(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-22
(45)【発行日】2024-05-30
(54)【発明の名称】半導体リソグラフィ用の投影露光装置のアクチュエータを測定する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20240523BHJP
【FI】
G03F7/20 521
G03F7/20 502
G03F7/20 503
(21)【出願番号】P 2023521894
(86)(22)【出願日】2021-10-08
(86)【国際出願番号】 EP2021077830
(87)【国際公開番号】W WO2022078886
(87)【国際公開日】2022-04-21
【審査請求日】2023-05-30
(31)【優先権主張番号】102020212853.7
(32)【優先日】2020-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】503263355
【氏名又は名称】カール・ツァイス・エスエムティー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100139491
【氏名又は名称】河合 隆慶
(72)【発明者】
【氏名】マルクス ラーブ
(72)【発明者】
【氏名】ムハンマド アワド
(72)【発明者】
【氏名】マティアス マンガー
(72)【発明者】
【氏名】バスチアン ケラー
(72)【発明者】
【氏名】アニカ リーフ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ザイツ
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー ヴォグラー
【審査官】田中 秀直
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-534602(JP,A)
【文献】特表2019-510451(JP,A)
【文献】特開2014-190985(JP,A)
【文献】特開2010-067341(JP,A)
【文献】特開2009-169325(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20
G02B 26/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体リソグラフィ用の投影露光装置(1、2)の、特に投影レンズ(27、9)のアクチュエータ(38.2)を測定する方法であって、
ここで、少なくとも2つのアクチュエータ(38.1、38.2、38.3)は相互に機械的に結合されており、当該機械的に結合された少なくとも2つのアクチュエータ(38.1、38.2、38.3)は光学素子(32)を変形させるように機能するものであり、
一定の制御信号を用いて第1のアクチュエータ(38.2)を駆動し撓ませ、且つ機械的結合により別のアクチュエータ(38.1、38.3)を撓ませるステップと、
前記結合により撓んだ前記別のアクチュエータ(38.1、38.3)の静電容量を求めるステップと
を含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記アクチュエータ(38.1、38.2、38.3)は、圧電又は電歪アクチュエータであることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法において、
前記アクチュエータ(38.1、38.2、38.3)は、光学素子(32)、特にミラーに接続されることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の方法において、
前記第1のアクチュエータ(38.2)の撓みが、該アクチュエータ(38.2)の全撓みの40%を超える
、全撓みの70%を超える、
又は全撓みの100%であることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の方法において、
前記
別のアクチュエータ(38.1、38.3)の前記静電容量は、一定の周波数のAC電圧を用いて検出されることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1~5のいずれ1項に記載の方法において、
前記静電容量は、前記アクチュエータ(38.1、38.2、38.3)の典型的な静電容量の10
-4以下
、10
-5、
又は10
-6の分解能で測定されることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の方法において、
前記静電容量は、一定の温度で検出されることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の方法において、
前記アクチュエータ(38.1、38.2、38.3)の撓みは、検出された静電容量値を前記アクチュエータ(38.1、38.2、38.3)の作動時に求められた設定静電容量値と比較することにより較正されることを特徴とする方法。
【請求項9】
制御装置(40)及び測定装置(43)を含む、
機械的に結合された少なくとも2つ
のアクチュエータ(38.1、38.2、38.3)
であって、当該機械的に結合された少なくとも2つのアクチュエータ(38.1、38.2、38.3)は光学素子(32)を変形させるように機能する、少なくとも2つのアクチュエータ(38.1、38.2、38.3)を測定する装置を含む、半導体リソグラフィ用の投影露光装置(1、21)であって、
前記測定装置(43)は、少なくとも1つのアクチュエータ(38.1、38.2、38.3)の静電容量を求めるよう構成されることを特徴とする投影露光装置。
【請求項10】
請求項9に記載の投影露光装置(1、21)において、
前記少なくとも2つのアクチュエータ(38.1、38.2、38.3)は、投影露光装置(1、21)の光学素子、特にミラーに接続されることを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の投影露光装置(1、21)において、
前記制御装置(40)は、AC電圧源及び/又はDC電圧源を含むことを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項9~11のいずれか1項に記載の投影露光装置(1、21)において、
前記測定装置(43)は、静電容量の検出時に温度を検出するセンサ(44)を含むことを特徴とする装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、独国特許出願第10 2020 212 853.7号の優先権を主張し、その内容を参照により本明細書に完全に援用する。
【0002】
本発明は、半導体リソグラフィ用の投影露光装置又は投影レンズのアクチュエータを測定する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
このような装置は、特に半導体コンポーネント又は他の微細構造コンポーネント部品に極めて微細な構造を作製するのに用いられる。上記装置の動作原理は、感光材料が設けられた構造化すべき要素、いわゆるウェーハに、レチクルと称するものを用いたマスク上の構造を概して縮小結像することにより、ナノメートル範囲の非常に微細な構造を作製することに基づく。作製される構造の最小寸法は、使用光の波長に直接依存する。近年では、数ナノメートルの範囲の、例えば1nm~120nmの、特に約13.5nmの発光波長を有する光源の使用が増えている。記載した波長域をEUV領域とも称する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
EUVシステムの使用のほかに、微細構造コンポーネント部品は、100nm~400nm、特に193nm又は248nmの波長の商業的に定着したDUVシステムを用いても作製される。EUV領域の導入の結果として、ひいてはより小さな構造を作製できる可能性がある結果として、競合する波長193nmのDUVシステムでの光学補正に対する要求もさらに高まっている。さらに、収益性を上げるために、波長とは関係なく投影露光装置の世代が新しくなるたびにスループットが向上し、これにより、通常は熱負荷が大きくなり、ひいては熱が引き起こす結像収差が大きくなる。結像収差を補正するために、特に、光学素子の位置及びアライメントを変更するか又は光学活性面の変形により光学素子、特にミラーの結像特性に影響を及ぼすマニピュレータを利用することができる。例として、変形は、ミラーの裏側に配置されたアクチュエータにより実現される。利用可能な設置空間が限られるので、技術的且つ経済的な観点から実現可能なセンサで、光学活性面のトポグラフィを求めるのに利用可能であり得るものは現在のところない。したがって、アクチュエータは開制御ループで駆動される。制御信号とアクチュエータの撓みとの間の関係の変化及び/又はアクチュエータの若しくはアクチュエータとミラーとの接続の欠陥を検出できないので、これは不利である。
【0005】
この問題を解決するための文献から既知のインピーダンス分光法は、非常に高価であると共に技術的観点から実現が困難である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
代替的な解決手段は、独立請求項に記載の特徴を有する方法及び装置により示される。従属請求項は、有利な発展形態及び変形形態に関するものである。
【0007】
半導体リソグラフィ用の投影露光装置のアクチュエータを測定する方法が、
一定の制御信号を用いて第1のアクチュエータを駆動し撓ませ、且つ第1のアクチュエータとの機械的結合により別のアクチュエータを撓ませるステップと、
結合により撓んだ上記別のアクチュエータの静電容量の変化を求めるステップと
を含む。
【0008】
ここで、アクチュエータの機械的結合は、特に、圧電的又は電歪的に活性な材料、例えば圧電セラミック内に電極を組み込むことでアクチュエータを圧電又は電歪アクチュエータとして形成することにより得ることができる。機械的結合は、比較的剛性のばねのように働く圧電セラミック自体により実施される。上記別のアクチュエータは、調整可能なキャパシタのように働き、その静電容量は、特にその撓みに応じて変わる。したがって、第1のアクチュエータの駆動の結果として且つ第1のアクチュエータの撓みの上記別のアクチュエータへの機械的な伝達の結果として、上記別のアクチュエータの撓みが変わる場合に、上記別のアクチュエータの静電容量が変わる。
【0009】
結果として、第1のアクチュエータが撓んだときの上記別のアクチュエータの現在の静電容量を求めることで、第1のアクチュエータの部位の条件に関する結論を出すことができる。特に、これにより、アクチュエータ間の機械的結合の品質、ひいては周囲の材料の完全性又は接着結合部位の状態に関する結論を出すことができる。
【0010】
しかしながら、欠陥のある第1のアクチュエータ及び上記別のアクチュエータの欠陥に特に起因して、上記別のアクチュエータの測定された静電容量のずれも生じ得る。この場合、第1のアクチュエータの撓み中に第1のアクチュエータの周囲の複数のアクチュエータの静電容量を連続して求めることにより、誤差を明確に求めることができる。誤差は、こうして確認されたデータの総観により絞ることができる。
【0011】
アクチュエータは、半導体リソグラフィ用の投影露光装置の光学素子に接続される。特に、光学素子は、EUV投影露光装置又はDUV投影露光装置のミラーであり得る。特に、光学素子は、投影露光装置の投影レンズの一部であり得る。
【0012】
第1のアクチュエータの撓みがアクチュエータの全撓みの40%を超える、好ましくは全撓みの70%を超える、特に好ましくは全撓みの100%である結果として、上記別のアクチュエータの静電容量に対して測定可能な影響を及ぼすのに十分なほど上記別のアクチュエータを撓ませることができる。
【0013】
特に、第2のアクチュエータの静電容量は、一定の周波数のAC電圧を用いて検出することができる。ここで、特に、関連の装置の機械的固有周波数から十分に離れた周波数を選択することが可能である。
【0014】
静電容量がアクチュエータの典型的な静電容量の10-4以下、好ましくは10-5、特に好ましくは10-6の分解能で測定されれば有利である。
【0015】
有利な実施形態において、静電容量は一定の温度で検出される。結果として、上記別のアクチュエータの静電容量に対する温度の影響が排除され、測定の意義が増す。
【0016】
一変形形態において、アクチュエータの撓みは、検出された静電容量値をアクチュエータの作動時に求められた設定静電容量値と比較することにより較正される。これにより、アクチュエータのエージング効果を確認することが可能になり、特に、装置の通常動作の範囲内でアクチュエータの駆動時にこれを考慮することが可能になる。
【0017】
制御装置及び測定装置を含む、少なくとも2つの機械的に結合されたアクチュエータを測定する装置を含む、半導体リソグラフィ用の投影露光装置又は投影レンズは、測定装置が少なくとも1つのアクチュエータの静電容量を求めるよう構成されることを特徴とする。
【0018】
ここで、少なくとも2つのアクチュエータは、投影露光装置又は投影レンズの光学素子に接続され得る。
【0019】
制御装置は、特にAC電圧源及びDC電圧源を含み得る。電圧装置をアクチュエータの所要電圧範内で動作させることができなければならない。さらに、低周波数範囲<50Hzの電圧変化が得策である。
【0020】
さらに、制御装置及び測定装置は、必ずしも別個のユニットとして実現される必要はなく、両方の機能が共通のアセンブリに組み込まれていてもよい。
【0021】
測定デバイスが静電容量の検出時に温度を検出するセンサを含む場合、測定の精度をさらに向上させることができる。
【0022】
図面を参照して例示的な実施形態及び変形形態を以下でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図3a】従来技術から既知のデフォーマブルミラーのアクチュエータ配置を示す。
【
図3b】従来技術から既知のデフォーマブルミラーのアクチュエータ配置を示す。
【
図3c】従来技術から既知のデフォーマブルミラーのアクチュエータ配置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、本発明を用いることができる例示的なDUV投影露光装置21を示す。投影露光装置21は、コンピュータチップ等の半導体コンポーネントの製造のために、感光材料で覆われ且つ概して主にケイ素からなるウェーハ22とも称する基板に構造を露光する働きをする。
【0025】
投影露光装置21は、この場合、照明装置23と、ウェーハ22上のその後の構造を決定する構造が設けられたマスク、いわゆるレチクル25を収容し且つ正確に位置決めするレチクルホルダ24と、上記ウェーハ22を保持し、移動させ、且つ正確に位置決めするウェーハホルダ26と、複数の光学素子28を有する結像装置、具体的には投影レンズ27とを実質的に備えており、光学素子28は、投影レンズ27のレンズハウジング30にマウント29により保持される。
【0026】
この場合の基本的な機能原理では、レチクル25に導入された構造がウェーハ22に概して縮小して結像される。
【0027】
照明装置23は、ウェーハ22へのレチクル25の結像に必要な電磁放射線の形態の投影ビーム31を供給し、上記放射線の波長域は特に100nm~300nmにある。レーザ、プラズマ源等をこの放射線の供給源として用いることができる。照明装置23の光学素子を用いて、レチクル25への入射時に投影ビーム31が直径、偏光、波面形態等に関して所望の特性を有するように放射線が整形される。
【0028】
レチクル25の像は、投影ビーム31により生成され、既に上述したように適当な縮小形態で投影レンズ27からウェーハ22に転写される。この場合、レチクル25及びウェーハ22を同期して移動させることができるので、レチクル25の各領域が、いわゆる走査プロセス中に事実上連続してウェーハ22の対応領域に結像される。投影レンズ27は、複数の個別の屈折、回折、及び/又は反射光学素子28、例えばレンズ素子、ミラー、プリズム、終端板等を有し、上記光学素子28は、例えばここに記載するアクチュエータ配置の1つ又は複数により作動され得る。
【0029】
図2は、本発明を同様に適用することができるマイクロリソグラフィEUV投影露光装置1の基本構成を例として示す。投影露光装置1の照明系は、光源3に加えて、物体面6の物体視野5を照明する照明光学ユニット4を有する。光源3が発生した使用放射線の形態のEUV放射線14が、中間焦点面15の領域の中間焦点を通過した後に視野ファセットミラー2に入射するように、光源3に組み込まれたコレクタにより位置合わせされる。視野ファセットミラー2の下流で、EUV放射線14は瞳ファセットミラー16により反射される。瞳ファセットミラー16とミラー18、19、及び20を有する光学アセンブリ17とを用いて、視野ファセットミラー2の視野ファセットが物体視野5に結像される。
【0030】
物体視野5に配置され、概略的に示すレチクルホルダ8により保持されたレチクル7が照明される。概略的に示してあるにすぎない投影レンズ9が、物体視野5を像面11の像視野10に結像する働きをする。レチクル7上の構造が、像面11の像視野10の領域に配置されたウェーハ12の感光層に結像され、ウェーハ12は、同じく部分的に表すウェーハホルダ13により保持される。光源3は、特に1nm~120nmの波長の使用放射線を発することができる。
【0031】
図3a~
図3cは、上記に示す装置の1つで用いられる、デフォーマブルミラー32として具現された光学素子のための従来技術から既知の種々のアクチュエータ配置を示す。
【0032】
図3aは、アクチュエータ37がデフォーマブルミラー32の裏側35とフレーム36との間に配置されたアクチュエータ配置を示す。各アクチュエータ37が制御装置40に接続される。
図3aに示すように、アクチュエータ37が駆動されて中立位置から撓んだ場合、ミラー体33、ひいては結像特性に関係するミラー面34が変形する。
【0033】
図3bは、アクチュエータ38がデフォーマブルミラー32の裏側35に配置されたさらに別のアクチュエータ配置を示す。アクチュエータ38は、ミラー体33の裏側35に対して垂直に実行される撓みにより、ミラー体33、ひいては結像特性に関係するミラー面34を変形させる。
図3aに示すアクチュエータ37とは異なり、ミラー体33の変形は、この場合はアクチュエータ38の横方向の収縮により起こる。
図3aのように、ミラー32は変形状態で示されている。通常、アクチュエータ38は、予め張力をかけて、すなわち既に撓んだ状態でミラー裏側35に接続され、その結果としてアクチュエータ38は2方向に作用することができる。
図3aに示すように、各アクチュエータ38が制御装置40に接続される。
【0034】
図3は、アクチュエータ38がアクチュエータ本体39の一部として具現されたさらに別の代替的なアクチュエータ配置を示す。アクチュエータ本体39は、アクチュエータ38と同じ材料を含み、アクチュエータ38は、アクチュエータ本体39が電極(図示せず)の領域でのみ撓むようにアクチュエータ本体39に電極を配置することにより形成される。アクチュエータ38をミラー32のミラー裏側35に個別に取り付ける必要がなく、その代わりにアクチュエータ38の群を1つのコンポーネント部品としてミラー裏側35に取り付けることができるので、これは有利である。個々のアクチュエータ38は、アクチュエータ本体39により相互に機械的に結合される。ミラー体33及びミラー面34の変形の基本機能は、
図3bに示した通りである。同様に、各アクチュエータ38が制御装置40に接続される。
【0035】
図4a~
図4cはそれぞれ、アクチュエータ38同士及びアクチュエータ38とミラー32との機械的結合(
図4a及び
図4b)及び測定原理(
図4c)を説明する等価回路図を示す。
【0036】
ここで、
図4aは、9個のアクチュエータ38.xを含むアクチュエータ本体39を有するミラー体33の裏側35の平面図を示す。アクチュエータ38.xは、全てがアクチュエータ本体39により相互に機械的に結合され、アクチュエータ同士の機械的結合をばね41により概略的に示し、アクチュエータ38.xとミラー体33との結合をばね42により概略的に示す。
図4aに破線を用いて示す、アクチュエータ本体39の中心にあるアクチュエータ38.2は、本発明による測定中に制御装置40により駆動され、一定の電圧で撓ませられる。
【0037】
図4bは、
図4aの線IVbに沿ったミラー32の断面を示す。3つのアクチュエータ38.1、38.2、38.3を断面図で明確に見ることができ、アクチュエータ38.2は、制御装置40に接続されているがまだ駆動されておらず、すなわち撓みはゼロである。アクチュエータ38.xの部位の温度の測定に用いられるセンサ44も同様に、
図4bで明確に見ることができる。
【0038】
次に、
図4cは、アクチュエータ38.2が一定の電圧で制御装置40により駆動されるミラー32の断面を示す。アクチュエータ38.2は、ミラー体33の裏側35に対して垂直に撓むと同時に、ミラー体33の裏側35と平行に収縮する。ミラー体33は、アクチュエータ38.2とミラー体33とが結合されている結果として変形する。アクチュエータ38.1、38.3は、アクチュエータ本体39及びミラー体33によりアクチュエータ38.2に機械的に結合されており、アクチュエータ38.2が撓むと応力が生じてアクチュエータ38.1、38.3が変形する。これにより、電歪又は圧電アクチュエータ38.1、38.3においては静電容量が変化し、これを測定することができる。この目的で、測定中にセンサとして働く2つのアクチュエータ38.1及び38.3は、測定装置43に接続される。測定装置43は、
図4bに示す無負荷状態と
図4cに示すアクチュエータ38.2の撓みにより生じた応力による負荷状態との間でのアクチュエータ38.1、38.3の静電容量の変化を検出する。
図4cは、全てのアクチュエータ38.1、38.2、38.3の順次測定が可能であるように、全てのアクチュエータ38.1、38.2、38.3が制御装置40及び測定装置43に接続されることを示す。
【0039】
当然ながら、
図4a~
図4cに基づいて説明した測定原理は、例示的にここで示す配置に加えて全く異なるアクチュエータ配置に適用することができる。
【0040】
この測定プロセスの理論的背景を以下で簡単に要約する。
【0041】
下記の式(1)は、アクチュエータ38の歪みSと電場Eと応力σとの間の関係を記述したものである。材料パラメータMは、機械的歪みと電場Eとの間の結合を表す。材料のヤング率の逆数をsで表す。
S=M*E2+s*σ (1)
【0042】
電場は(2)から得られる。
E=U/dlayer (2)
式中、dlayerはアクチュエータ38の2つの電極間の層厚を示し、Uは電圧である。
【0043】
応力σは、(3)により計算され、単位面積Aあたりの印加された力Fから形成される。
σ=F/A (3)
【0044】
線形圧電材料と同様に、電歪材料も(4)で記述される逆電歪効果εを有する。
D=ε*E+2*M*E*σ (4)
【0045】
その結果、電場E及び応力σに応じた電束密度Dが生じる。
【0046】
電歪アクチュエータの静電容量Cは、電束密度D及び印加電圧Uから(5)を用いて計算することができる。ここで、Cは静電容量を示し、Aはアクチュエータのアクティブ面積を示し、Nは層の数を示し、dlayerは層の厚さを示す。
C=(D*A*N)/U (5)
【0047】
(4)及び(5)から、アクチュエータの静電容量は
C=(ε*A*N)/dlayer+(2*M*σ*N)/dlayer (6)
として得られる。
【0048】
ここで、ここに示す電歪アクチュエータ38.1、38.3の場合には一定のバイアス電圧が印加され、静電容量は一定の周波数で求められる。便宜上、静電容量測定に対する温度変化の影響を排除するために一定の温度で測定が実行される。静電容量測定は、圧電アクチュエータの場合にも適用することができ、このタイプのアクチュエータでは、圧電効果の結果としての応力を電圧測定により求めることもできる。
【0049】
図5は、2つのアクチュエータが相互に機械的に結合された投影露光装置のアクチュエータを測定する本発明による方法のフローチャートを示す。
【0050】
第1の方法ステップ51において、一定の制御信号を用いて第1のアクチュエータ38.2を駆動し撓ませ、且つ機械的結合41の結果として別のアクチュエータ38.1、38.3を撓ませる。
【0051】
第2の方法ステップ52において、結合の結果として撓んだ上記別のアクチュエータ38.1、38.3の静電容量を求める。
【符号の説明】
【0052】
1 投影露光装置(EUV)
2 視野ファセットミラー(EUV)
3 光源(EUV)
4 照明光学ユニット(EUV)
5 物体視野(EUV)
6 物体面(EUV)
7 レチクル(EUV)
8 レチクルホルダ(EUV)
9 投影レンズ(EUV)
10 像視野(EUV)
11 像面(EUV)
12 ウェーハ(EUV)
13 ウェーハホルダ(EUV)
14 EUV放射線(EUV)
15 中間視野焦点面(EUV)
16 瞳ファセットミラー(EUV)
17 アセンブリ(EUV)
18 ミラー(EUV)
19 ミラー(EUV)
20 ミラー(EUV)
21 投影露光装置(DUV)
22 ウェーハ(DUV)
23 照明光学ユニット(DUV)
24 レチクルホルダ(DUV)
25 レチクル(DUV)
26 ウェーハホルダ(DUV)
27 投影レンズ(DUV)
28 光学素子(DUV)
29 マウント(DUV)
30 レンズハウジング(DUV)
31 投影ビーム(DUV)
32 ミラー
33 ミラー体
34 ミラー面
35 ミラー裏側
36 フレーム
37 アクチュエータ-ミラー裏側に対して垂直なコントローラ出力
38.1~38.3 アクチュエータ-ミラー裏側と平行なコントローラ出力
39 アクチュエータ本体
40 制御装置
41 ばね(アクチュエータ本体における機械的結合)
42 ばね(ミラー本体との機械的結合)
43 測定装置
44 センサ
51 方法ステップ1
52 方法ステップ2