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特許7493199イノシトール含量が増加した糠の製造方法およびイノシトール含量が増加した糠の製造装置
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  • 特許-イノシトール含量が増加した糠の製造方法およびイノシトール含量が増加した糠の製造装置 図1
  • 特許-イノシトール含量が増加した糠の製造方法およびイノシトール含量が増加した糠の製造装置 図2
  • 特許-イノシトール含量が増加した糠の製造方法およびイノシトール含量が増加した糠の製造装置 図3
  • 特許-イノシトール含量が増加した糠の製造方法およびイノシトール含量が増加した糠の製造装置 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-23
(45)【発行日】2024-05-31
(54)【発明の名称】イノシトール含量が増加した糠の製造方法およびイノシトール含量が増加した糠の製造装置
(51)【国際特許分類】
   A23L 7/10 20160101AFI20240524BHJP
【FI】
A23L7/10 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020053777
(22)【出願日】2020-03-25
(65)【公開番号】P2021153394
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】504173471
【氏名又は名称】国立大学法人北海道大学
(73)【特許権者】
【識別番号】000127237
【氏名又は名称】株式会社イズミフードマシナリ
(74)【代理人】
【識別番号】100179969
【弁理士】
【氏名又は名称】駒井 慎二
(74)【代理人】
【識別番号】100173532
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 彰文
(72)【発明者】
【氏名】清水 直人
(72)【発明者】
【氏名】杉舩 大亮
(72)【発明者】
【氏名】山下 元気
【審査官】戸来 幸男
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-054586(JP,A)
【文献】特開2012-188574(JP,A)
【文献】特開昭55-048355(JP,A)
【文献】特開2003-225061(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 7/10
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Google
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め米油が抽出された脱脂米糠を貯留部に収納する収納工程と、
前記貯留部内に収納された前記脱脂米糠の表面を平らにならす、ならし工程と、
前記貯留部内に収納された前記脱脂米糠に対し、下方から水蒸気を供給して、該水蒸気と前記脱脂米糠とを接触させ、その接触状態を維持する接触状態維持工程とを有することを特徴とするイノシトール含量が増加した糠の製造方法。
【請求項2】
前記接触状態維持工程では、前記脱脂米糠に含まれるフィチン酸のリン酸エステルが加水分解されて、イノシトールが生成される請求項1に記載のイノシトール含量が増加した糠の製造方法。
【請求項3】
前記接触状態維持工程では、前記水蒸気の供給を継続することにより、前記貯留部内の温度を維持する請求項1または2に記載のイノシトール含量が増加した糠の製造方法。
【請求項4】
前記接触状態維持工程では、前記水蒸気の供給量を経時的に減少させる請求項に記載のイノシトール含量が増加した糠の製造方法。
【請求項5】
前記接触状態維持工程では、前記水蒸気の供給により、前記脱脂米糠を100度以上に加熱する請求項1~のいずれか1項に記載のイノシトール含量が増加した糠の製造方法。
【請求項6】
前記接触状態維持工程後に、前記貯留部内から前記脱脂米糠を排出する排出工程を有する請求項1~のいずれか1項に記載のイノシトール含量が増加した糠の製造方法。
【請求項7】
前記貯留部は、前記脱脂米糠が収納された状態で密閉されるよう構成されており、
前記接触状態維持工程と前記排出工程との間に、前記貯留部内の圧力を低下させる圧力低下工程を有する請求項に記載のイノシトール含量が増加した糠の製造方法。
【請求項8】
前記圧力低下工程では、前記貯留部内の圧力を段階的に低下させる請求項に記載のイノシトール含量が増加した糠の製造方法。
【請求項9】
予め米油が抽出された脱脂米糠を収納する貯留部と、
前記貯留部内に収納された前記脱脂米糠の表面を、回転動作により平らにならす羽根部と、
前記貯留部内に収納された前記脱脂米糠に対し、下方から水蒸気を供給する供給ラインとを備え、
前記貯留部内では、前記脱脂米糠と前記水蒸気とが接触し、その接触状態が維持されることを特徴とするイノシトール含量が増加した糠の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イノシトール含量が増加した糠の製造方法およびイノシトール含量が増加した糠の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
米糠には、フィチン酸が含まれている。フィチン酸は、適当な条件下で加水分解されると、イノシトールとなることが知られている(例えば、特許文献1参照)。イノシトールは、例えばビタミン剤等に混合されることにより、体内に摂取可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表平8-506720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、米糠は、当該米糠に含まれる油分が劣化し易く、また、米糠自体の臭いや味が悪いため、廃棄されることが多い。また、米糠から米油を抽出することができるが、米油が抽出された状態の脱脂米糠は、米油抽出前の米糠よりもさらに利用価値が低いため、廃棄されることがさらに多くなる。
【0005】
本発明の目的は、糠を容易に有効利用することができるイノシトール含量が増加した糠の製造方法およびイノシトール含量が増加した糠の製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のイノシトール含量が増加した糠の製造方法の一つの態様は、糠を貯留部に収納する収納工程と、
前記貯留部内に前記糠を収納した状態で水蒸気を供給して、該水蒸気と前記糠とを接触させ、その接触状態を維持する接触状態維持工程とを有することを特徴とする。
【0007】
本発明のイノシトール含量が増加した糠の製造装置の一つの態様は、糠を収納する貯留部と、
前記貯留部内に前記糠を収納した状態で水蒸気を供給する供給ラインとを備え、
前記貯留部内では、前記糠と前記水蒸気とが接触し、その接触状態が維持されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
イノシトールは、例えば、体内摂取により生活習慣病の予防効果等が期待できる。そして、本発明によれば、糠を、イノシトール含量が増加した状態とすることができる。糠は、一般的に利用価値が低く、廃棄されることが多いとされているが、イノシトール含量を増加させることにより、体内摂取で容易に有効利用される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明のイノシトール含量が増加した米糠の製造装置の実施形態を示す装置構成図である。
図2図1に示す製造装置で実行される工程(本発明のイノシトール含量が増加した米糠の製造方法)を順に示す図である。
図3】接触状態維持工程における、貯留部内への水蒸気供給量と時間との関係を示すグラフと、貯留部内の温度と時間との関係を示すグラフである。
図4図1に示す製造装置で処理される前後の米糠に含まれるイノシトールの量を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図1図4を参照して、本発明のイノシトール含量が増加した糠の製造方法およびイノシトール含量が増加した糠の製造装置の実施形態について説明する。なお、以下では、説明の都合上、図1中の上側を「上(または上方)」、下側を「下(または下方)」と言う。
【0011】
図1に示すように、イノシトール含量が増加した糠の製造装置(以下単に「製造装置」と言う)1は、タンク2と、水蒸気供給ライン(供給ライン)3と、圧力調整ライン4とを備える。
また、製造装置1では、本発明のイノシトール含量が増加した糠の製造方法(以下単に「製造方法」と言う)が実行される。図2に示すように、この製造方法は、収納工程と、ならし工程と、接触状態維持工程と、第1圧力低下工程と、第2圧力低下工程と、排出工程とを有し、各工程がこの順に行われる。
【0012】
製造装置1(製造方法)は、粉末状の糠BRに対して所定の処理、すなわち、接触状態維持工程を施して、処理前(未処理)の糠BRよりも、イノシトール含量が増加した糠BRを製造することができる。
【0013】
本実施形態では、糠BRとして、米糠を用いる。米糠は、種々の糠の中でも、特に、機能性成分であるフィチン酸が比較的多く含まれる。そして、後述するように、製造装置1(製造方法)により、フィチン酸のリン酸エステルを加水分解して、イノシトールを生成することができる。これにより、米糠は、イノシトール含量が増加した状態となる。イノシトールは、体内摂取により、例えば、動脈硬化や脂肪肝等の生活習慣病の予防効果が期待できる。なお、イノシトール含量が増加した米糠は、例えば、粉末状やタブレット状して、体内に摂取可能となる。
【0014】
また、米糠としては、予め米油が抽出された脱脂米糠を用いるのが好ましい。脱脂米糠は、一般的に、脱脂前の米糠よりも利用価値が低く、廃棄されることが多いとされているが、製造装置1(製造方法)によって有効に利用されることとなる。
なお、糠BRとして、本実施形態では米糠を用いるが、これに限定されず、例えば、種々の穀物を精白した際に生じる果皮、種皮、外胚乳等も用いることができる。
【0015】
タンク2は、糠BRを収納する、すなわち、貯留する貯留部である。タンク2では、糠BRを収納する収納工程が行われる。
タンク2は、筒状をなすタンク本体21と、タンク本体21の上側を覆う上蓋22と、タンク本体21の下側を覆う下蓋23と、下蓋23に設けられたフィルタ部材24と、タンク本体21に配置された羽根部25とを有する。
【0016】
上蓋22は、タンク本体21に開閉可能に支持されている。そして、上蓋22を開状態とすることにより、乾燥した糠BRをタンク本体21の上側から投入することができる。これにより、タンク2内に糠BRが堆積して、収納工程が行われる。
下蓋23も、タンク本体21に開閉可能に支持されている。そして、下蓋23を開状態とすることにより、糠BRをタンク本体21の下側から排出することができる(図1中の二点鎖線の部分参照)。これにより、排出工程が行われる。
【0017】
また、上蓋22および下蓋23をそれぞれ閉状態とすることにより、タンク2は、糠BRを収納した状態で密閉される。この密閉状態は、第2圧力低下工程が完了するまで維持される。
【0018】
羽根部25は、鉛直方向と平行な軸26回りに回転可能に支持されている。羽根部25が回転することにより、タンク2内に堆積した糠BRの表層(表面)を平らにならすならし工程が行われる。ならし工程により、糠BRの堆積高さを水平方向に沿って一定にすることができる。そして、次工程である接触状態維持工程で水蒸気STが下方から供給された際、当該水蒸気STと糠BRとの接触を迅速かつ均一に行うことができる。
【0019】
供給ライン3は、糠BRを収納した状態のタンク2内に対して、水蒸気STを供給する水蒸気供給部である。水蒸気STの供給により、タンク2内で水蒸気STと糠BRとを接触させて、その接触状態を維持する接触状態維持工程を行うことができる。
供給ライン3は、水蒸気STを発生させる水蒸気発生部31と、水蒸気発生部31とタンクとを連結する連結管32と、連結管32の途中に設けられたフィルタ部材33とを有する。
【0020】
水蒸気発生部31は、例えば純水を加熱して、水蒸気STを発生させるよう構成されている。
連結管32は、上流側が水蒸気発生部31に接続され、下流側がタンク2の下蓋23に接続されている。これにより、連結管32を介して、水蒸気発生部31とタンク2とが連通する。水蒸気発生部31で生じた水蒸気STは、連結管32を通過して、タンク2内に供給される。そして、水蒸気STの供給に伴って、糠BRには、下方から徐々に水蒸気STが接触していくこととなる。
【0021】
フィルタ部材33は、例えば錆等の不純物が水蒸気STとともに連結管32を通過した場合、その不純物を捕捉する。これにより、タンク2内への不純物の侵入を防止することができる。なお、不純物の大きさにもよるが、タンク2のフィルタ部材24でも不純物の捕捉が可能である。
【0022】
以上のような構成の供給ライン3を用いることにより、接触状態維持工程が行われる。接触状態維持工程では、糠BRは、水蒸気STと接触するとともに、水蒸気STにより加熱されて、糠BRの温度が上昇する。これにより、糠BRに含まれるフィチン酸のリン酸エステルが加水分解されて、イノシトールが生成される。糠BRは、イノシトール含量が増加した状態となる。
【0023】
また、接触状態維持工程では、前述したように、糠BRに対し、下方から水蒸気STを供給する。これにより、糠BRの粒子をわずかに浮かせて、粒子同士の間隔を広げることができる。水蒸気STは、糠BRの粒子同士の隙間を通過して、糠BR全体に行き渡ることができ、よって、糠BR全体に均一に接触することができるとともに、糠BR全体を均一に加熱することができる。
【0024】
図3に示すように、接触状態維持工程では、水蒸気STの供給を継続することにより、タンク2内の糠BRの温度を一定に維持する。これにより、イノシトールの生成が安定して行われる。
また、接触状態維持工程では、水蒸気STの供給量を所定時間維持した後、水蒸気STの供給量を経時的に減少させる。これにより、糠BRの温度一定化に寄与する。
【0025】
接触状態維持工程では、水蒸気STの供給により、糠BRを100度以上に加熱するのが好ましく、温度が高いほどイノシトールの生成が進行し易いが、タンク2の製造コストも考慮すると、120度以上145度以下に加熱するのがより好ましい。これにより、イノシトールの生成が進行し易くなる、すなわち、促進される。
【0026】
なお、本願において、温度を一定に維持するとは、上述の通り100度以上の温度を保つという意味や、100度(好ましくは120度)~145度のある所定の温度の幅を保つという意味の両方を指す。
また、水蒸気STの供給による加熱は、例えばヒータ等でタンク2内を加熱する場合に比べて、省電力化を図ることができる。
【0027】
タンク2内では、糠BR(タンク2内)の温度上昇に伴って、内部の圧力も上昇する。このときのタンク2内の圧力は、大気圧を超える。
圧力調整ライン4は、タンク2内の圧力を調整する圧力調整部である。これにより、接触状態維持工程と排出工程との間で、タンク2内の圧力を低下させる圧力低下工程を行うことができる。図2に示すように、圧力低下工程には、第1圧力低下工程と、第2圧力低下工程とが含まれる。
【0028】
圧力調整ライン4は、タンク2とドレン回収部5と連結する連結管41と、連結管51の途中の2点間(以下、上流側の点を「第1分岐点411」と言い、下流側の点を「第2分岐点412」と言う)を連結するショートカット連結菅42とを有する。
また、圧力調整ライン4は、連結管41の第1分岐点411と第2分岐点412との間に設けられた大気開放弁(調圧弁)43と、連結管41の第2分岐点412よりも下流側に設けられたコンデンサ44と、連結管41のコンデンサ44よりも下流側に設けられた切換弁45と、ショートカット連結菅42に設けられた切換弁46とを有する。
【0029】
また、圧力調整ライン4は、連結管41のコンデンサ44と切換弁45との間から分岐した分岐管47と、分岐管47の下流側に連結されたポンプ(真空ポンプ)48とを有する。
製造装置では、排出工程に先立って、第1圧力低下工程と、第2圧力低下工程とを順に行う。
【0030】
まず、第1圧力低下工程を行うには、切換弁45および切換弁46を開状態とするとともに、ポンプ48の作動を停止した状態として、大気開放弁43は接触状態維持工程から作動(閉)状態のままとする。これにより、タンク2内の圧力が大気圧まで低下する(第1圧力低下工程)。この圧力低下に伴って、糠BR(タンク2内)の温度が低下する。また、第1圧力低下工程での圧力低下により、糠BRの水分が蒸発して、糠BRが乾燥していく。
【0031】
次いで、第2圧力低下工程を行うには、切換弁46を開状態のままとするとともに、ポンプ48を作動させた状態とする。これにより、タンク2内の圧力が強制的に陰圧となる、すなわち、大気圧よりも低い圧力まで低下する(第2圧力低下工程)。この圧力低下に伴って、糠BRの温度がさらに低下する。また、第2圧力低下工程での圧力低下により、糠BRの水分がさらに蒸発して、糠BRがさらに乾燥していく。なお、第2圧力低下工程では、大気開放弁43を開状態としてもよいが、閉状態としてもよい。これにより、タンク2内を迅速に減圧することができる。
【0032】
以上ように、圧力低下工程では、タンク2内の圧力を段階的に低下させる。これにより、前記のように糠BRを十分に冷ますことができ、よって、次工程である排出工程で、糠BRを容易かつ安全にタンク2から排出することができる。
また、圧力低下工程では、前記のように糠BRの水分を蒸発させて、糠BRを十分に乾燥させることができる。これにより、糠BRは、乾燥した分、総重量が低下する。これにより、排出工程での糠BRの排出を容易かつ迅速に行うことができる。また、排出後の糠BRの搬送も容易に行うことができる。
また、排出工程後に糠BRを乾燥させる乾燥工程を行う場合、糠BRは圧力低下工程で乾燥してるため、乾燥工程に要する時間を短縮することができる。
【0033】
第2圧力低下工程では、切換弁45を開状態とするとともに、コンデンサ44に対する冷媒RFの供給、排出を行ってもよい。これにより、コンデンサ44内を通過する水蒸気STが冷媒RFで冷却されて、水となる。この水は、排液として、ドレン回収部5で回収される。製造装置1では、圧力調整ライン4の一部が排液ラインとしても機能する。
【0034】
第2圧力低下工程完了後(接触状態維持工程後)に、タンク2の下蓋23を開状態とする。これにより、タンク2内から糠BRを排出することができる(排出工程)。この糠BRは、回収容器(図示せず)に回収される。これにより、イノシトール含量が増加した糠BRが得られる。
【0035】
前記のように、イノシトールは、体内摂取により生活習慣病の予防効果等が期待できる。そして、本発明によれば、糠BRを、イノシトール含量が増加した状態とすることができる。糠BRは、一般的に利用価値が低く、廃棄されることが多いとされているが、イノシトール含量を増加させることにより、体内摂取で容易に有効利用される。
【0036】
次に、一例として、糠BRが脱脂米糠の場合のイノシトールの含有量について説明する。
図4に示すように、処理前、すなわち、接触状態維持工程を経る前の脱脂米糠には、約0.24[mg/mL]のイノシトールが含有されている。この脱脂米糠に対し、処理を施す、すなわち、接触状態維持工程を行った場合、当該処理後の脱脂米糠には、約0.7[mg/mL]のイノシトールが含有されている。従って、処理後には、イノシトール含量が明らかに増加したことが分かる。
【0037】
以上、本発明のイノシトール含量が増加した糠の製造方法およびイノシトール含量が増加した糠の製造装置を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。また、イノシトール含量が増加した糠の製造装置を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1 イノシトール含量が増加した糠の製造装置(製造装置)
2 タンク
21 タンク本体
22 上蓋
23 下蓋
24 フィルタ部材
25 羽根部
26 軸
3 水蒸気供給ライン(供給ライン)
31 水蒸気発生部
32 連結管
33 フィルタ部材
4 圧力調整ライン
41 連結管
411 第1分岐点
412 第2分岐点
42 ショートカット連結菅
43 大気開放弁(調圧弁)
44 コンデンサ
45 切換弁
46 切換弁
47 分岐管
48 ポンプ(真空ポンプ)
5 ドレン回収部
BR 糠
RF 冷媒
ST 水蒸気

図1
図2
図3
図4