(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】テープ貼着装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20240527BHJP
H01L 21/301 20060101ALI20240527BHJP
B65H 37/04 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
H01L21/68 N
H01L21/78 L
B65H37/04 B
(21)【出願番号】P 2020117892
(22)【出願日】2020-07-08
【審査請求日】2023-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075384
【氏名又は名称】松本 昂
(74)【代理人】
【識別番号】100172281
【氏名又は名称】岡本 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100206553
【氏名又は名称】笠原 崇廣
(74)【代理人】
【識別番号】100189773
【氏名又は名称】岡本 英哲
(74)【代理人】
【識別番号】100184055
【氏名又は名称】岡野 貴之
(72)【発明者】
【氏名】三谷 修三
【審査官】渡井 高広
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-061457(JP,A)
【文献】特開平01-225334(JP,A)
【文献】特開2011-135026(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H01L 21/301
B65H 37/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央に開口部を有するリングフレームと、該リングフレームの該開口部に配置された板状の基板と、を粘着面を有する粘着テープで一体化させるテープ貼着装置であって、
該リングフレームを保持する環状のフレーム保持部と、中央に開口が形成された該フレーム保持部の該開口に配され該基板を保持する基板保持部と、を有する保持ユニットと、
該保持ユニットの該フレーム保持部に該リングフレームを搬送する搬送ユニットと、
該粘着テープの該粘着面を該フレーム保持部で保持された該リングフレームと、該基板保持部で保持された該基板と、に対面させ、該粘着テープを上方からローラーで押し付けながら該リングフレーム及び該基板に貼着するテープ貼着ユニットと、
該フレーム保持部を制御する制御ユニットと、を備え、
該フレーム保持部は、上面から突出するとともに該上面に平行な方向に進退可能な可動部を有し、該上面に載せられた該リングフレームに該可動部を突き当てることで該リングフレームを所定位置に移動でき、
該フレーム保持部は、該リングフレームが該所定位置に位置付けられているときの該可動部の停止位置に該可動部が位置付けられているか否かを検出できるセンサーを有し、
該制御ユニットは、
該搬送ユニットで該フレーム保持部に該リングフレームを搬送する前に該可動部を進退させたとき、該可動部が該リングフレームに当たらず該停止位置で停止しない場合に該フレーム保持部の該上面に該リングフレームが存在しないと判定し、該可動部が該リングフレームに当たり該停止位置で停止する場合に該フレーム保持部の該上面に該リングフレームが存在すると判定することを特徴とするテープ貼着装置。
【請求項2】
該可動部は、該リングフレームの側面に当たる2本のピンを備えることを特徴とする請求項1記載のテープ貼着装置。
【請求項3】
該制御ユニットは、該フレーム保持部の該上面に該リングフレームが存在しないと判定する場合に該搬送ユニットを制御して該フレーム保持部の該上面に該リングフレームを搬送させ、該フレーム保持部を制御して該フレーム保持部の該上面に載せられた該リングフレームに該可動部を突き当てさせることで該リングフレームを該所定位置に移動させ、その後、該テープ貼着ユニットを制御して該粘着テープを上方からローラーで押し付けさせながら該リングフレーム及び該基板に貼着させることを特徴とする請求項1または請求項2記載のテープ貼着装置。
【請求項4】
中央に開口部を有するリングフレームと、該リングフレームの該開口部に配置された板状の基板と、を粘着面を有する粘着テープで一体化させるテープ貼着装置であって、
該リングフレームを保持する環状のフレーム保持部と、中央に開口が形成された該フレーム保持部の該開口に配され該基板を保持する基板保持部と、を有する保持ユニットと、
該保持ユニットの該フレーム保持部に該リングフレームを搬送する搬送ユニットと、
該粘着テープの該粘着面を該フレーム保持部で保持された該リングフレームと、該基板保持部で保持された該基板と、に対面させ、該粘着テープを上方からローラーで押し付けながら該リングフレーム及び該基板に貼着するテープ貼着ユニットと、
該フレーム保持部を制御する制御ユニットと、を備え、
該フレーム保持部は、
上面から突出し、該上面に平行な第1の方向への該リングフレームの移動を規制する第1の固定部と、
該上面から突出し、該第1の方向に直交する第2の方向への該リングフレームの移動を規制する第2の固定部と、
該上面から突出し、該第1の固定部に対向し該第1の方向に進退して該第1の固定部との間で該リングフレームを挟む第1の可動部と、
該上面から突出し、該第2の固定部に対向し該第2の方向に進退して該第2の固定部との間で該リングフレームを挟む第2の可動部と、を備え、
該第1の固定部及び該第1の可動部で該リングフレームを挟み、該第2の固定部及び該第2の可動部で該リングフレームを挟むことで該リングフレームを所定位置に位置付け可能であり、
該リングフレームが該所定位置に位置付けられているときの該第1の可動部の停止位置に該第1の可動部が位置付けられているか否かを検出できるセンサーをさらに備え、
該制御ユニットは、
該搬送ユニットで該フレーム保持部に該リングフレームを搬送する前に該第1の可動部を進退させたとき、該第1の可動部が該リングフレームに当たらず該停止位置で停止しない場合に該フレーム保持部の該上面に該リングフレームが存在しないと判定し、該第1の可動部が該リングフレームに当たり該停止位置で停止する場合に該フレーム保持部の該上面に該リングフレームが存在すると判定することを特徴とするテープ貼着装置。
【請求項5】
該第1の可動部または該第2の可動部は、該リングフレームの側面に当たる2本のピンを備えることを特徴とする請求項
4記載のテープ貼着装置。
【請求項6】
該制御ユニットは、該フレーム保持部の該上面に該リングフレームが存在しないと判定する場合に該搬送ユニットを制御して該フレーム保持部の該上面に該リングフレームを搬送させ、該フレーム保持部を制御して該フレーム保持部の該上面に載せられた該リングフレームに該第1の可動部及び該第2の可動部を突き当てさせることで該リングフレームを該所定位置に移動させ、その後、該テープ貼着ユニットを制御して該粘着テープを上方からローラーで押し付けさせながら該リングフレーム及び該基板に貼着させることを特徴とする請求項4または請求項5記載のテープ貼着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円形の開口部を備えるリングフレームに粘着テープを貼着して該開口部を塞ぐとともに、該開口部に露出した粘着テープに基板を貼着するテープ貼着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話やコンピュータ等の電子機器に使用されるデバイスチップは、複数のデバイスが表面に並べて形成された半導体ウェーハ等の基板をデバイス毎に分割することで形成される。基板を分割する装置として、円環状の切削ブレードで基板を切削する切削装置や、被加工物にレーザビームを照射してレーザ加工するレーザ加工装置が知られている。
【0003】
切削装置やレーザ加工装置等の加工装置で加工される基板には、ダイシングテープやエキスパンドテープと呼ばれる円形の粘着テープが予め貼着される。そして、粘着テープの外周部は、中央に開口部が形成されたリングフレームの内周部に貼着される。すなわち、基板と、粘着テープと、リングフレームと、が一体化されてフレームユニットが形成される。そして、フレームユニットの状態で基板が加工装置に搬入され加工される。
【0004】
フレームユニットに組み込まれた状態の基板は、取り扱いが容易となる。また、基板を分割した後に粘着テープを外周方向に広げると、基板から形成されたチップ同士の間隔が広がり、チップのピックアップが容易となる。ここで、基板とリングフレームに粘着テープを貼着してフレームユニットを形成するテープ貼着装置が知られている(特許文献1参照)。
【0005】
テープ貼着装置は、基板を保持する基板保持部と、該基板保持部の周囲でリングフレームを保持するリングフレーム保持部と、を有する保持ユニットを備える。そして、テープ貼着装置でリングフレーム及び基板に粘着テープを貼着する際には、基板保持部で基板を保持し、リングフレーム保持部でリングフレームを保持し、基板及びリングフレームに上方から粘着テープを対面させる。そして、粘着テープの上でローラーを転動させて該粘着テープを押圧し、基板及びリングフレームに粘着テープを貼着させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
テープ貼着装置は、複数のフレームユニットを次々に形成している際に何らかのトラブルが生じて停止することがある。例えば、リングフレーム保持部にリングフレームが保持されている際にテープ貼着装置が停止したとき、該リングフレームを取り出さずに該テープ貼着装置を再起動すると、すでに搬入されていたリングフレームの上に新たなリングフレームが重ね置きされてしまう。この状態では、リングフレームの被貼着面が基板の被貼着面よりも大きく上方に突出することとなる。
【0008】
粘着テープの貼着を実施する際、リングフレームの被貼着面の高さが基板の被貼着面の高さよりも高い場合、ローラーで基板に十分な力で粘着テープを貼着できず、基板と粘着テープの間に気泡が入り込んだ状態で粘着テープが基板に貼着されてしまう。粘着テープと基板の間に気泡が存在するフレームユニットを加工装置に搬入しても、該基板を適切に加工できない。
【0009】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、リングフレームの重ね置きを防止できるテープ貼着装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様によれば、中央に開口部を有するリングフレームと、該リングフレームの該開口部に配置された板状の基板と、を粘着面を有する粘着テープで一体化させるテープ貼着装置であって、該リングフレームを保持する環状のフレーム保持部と、中央に開口が形成された該フレーム保持部の該開口に配され該基板を保持する基板保持部と、を有する保持ユニットと、該保持ユニットの該フレーム保持部に該リングフレームを搬送する搬送ユニットと、該粘着テープの該粘着面を該フレーム保持部で保持された該リングフレームと、該基板保持部で保持された該基板と、に対面させ、該粘着テープを上方からローラーで押し付けながら該リングフレーム及び該基板に貼着するテープ貼着ユニットと、該フレーム保持部を制御する制御ユニットと、を備え、該フレーム保持部は、上面から突出するとともに該上面に平行な方向に進退可能な可動部を有し、該上面に載せられた該リングフレームに該可動部を突き当てることで該リングフレームを所定位置に移動でき、該フレーム保持部は、該リングフレームが該所定位置に位置付けられているときの該可動部の停止位置に該可動部が位置付けられているか否かを検出できるセンサーを有し、該制御ユニットは、該搬送ユニットで該フレーム保持部に該リングフレームを搬送する前に該可動部を進退させたとき、該可動部が該リングフレームに当たらず該停止位置で停止しない場合に該フレーム保持部の該上面に該リングフレームが存在しないと判定し、該可動部が該リングフレームに当たり該停止位置で停止する場合に該フレーム保持部の該上面に該リングフレームが存在すると判定することを特徴とするテープ貼着装置が提供される。
【0011】
好ましくは、該可動部は、該リングフレームの側面に当たる2本のピンを備える。また、好ましくは、該制御ユニットは、該フレーム保持部の該上面に該リングフレームが存在しないと判定する場合に該搬送ユニットを制御して該フレーム保持部の該上面に該リングフレームを搬送させ、該フレーム保持部を制御して該フレーム保持部の該上面に載せられた該リングフレームに該可動部を突き当てさせることで該リングフレームを該所定位置に移動させ、その後、該テープ貼着ユニットを制御して該粘着テープを上方からローラーで押し付けさせながら該リングフレーム及び該基板に貼着させる。
【0012】
また、本発明の他の一態様によると、中央に開口部を有するリングフレームと、該リングフレームの該開口部に配置された板状の基板と、を粘着面を有する粘着テープで一体化させるテープ貼着装置であって、該リングフレームを保持する環状のフレーム保持部と、中央に開口が形成された該フレーム保持部の該開口に配され該基板を保持する基板保持部と、を有する保持ユニットと、該保持ユニットの該フレーム保持部に該リングフレームを搬送する搬送ユニットと、該粘着テープの該粘着面を該フレーム保持部で保持された該リングフレームと、該基板保持部で保持された該基板と、に対面させ、該粘着テープを上方からローラーで押し付けながら該リングフレーム及び該基板に貼着するテープ貼着ユニットと、該フレーム保持部を制御する制御ユニットと、を備え、該フレーム保持部は、上面から突出し、該上面に平行な第1の方向への該リングフレームの移動を規制する第1の固定部と、該上面から突出し、該第1の方向に直交する第2の方向への該リングフレームの移動を規制する第2の固定部と、該上面から突出し、該第1の固定部に対向し該第1の方向に進退して該第1の固定部との間で該リングフレームを挟む第1の可動部と、該上面から突出し、該第2の固定部に対向し該第2の方向に進退して該第2の固定部との間で該リングフレームを挟む第2の可動部と、を備え、該第1の固定部及び該第1の可動部で該リングフレームを挟み、該第2の固定部及び該第2の可動部で該リングフレームを挟むことで該リングフレームを所定位置に位置付け可能であり、該リングフレームが該所定位置に位置付けられているときの該第1の可動部の停止位置に該第1の可動部が位置付けられているか否かを検出できるセンサーをさらに備え、該制御ユニットは、該搬送ユニットで該フレーム保持部に該リングフレームを搬送する前に該第1の可動部を進退させたとき、該第1の可動部が該リングフレームに当たらず該停止位置で停止しない場合に該フレーム保持部の該上面に該リングフレームが存在しないと判定し、該第1の可動部が該リングフレームに当たり該停止位置で停止する場合に該フレーム保持部の該上面に該リングフレームが存在すると判定することを特徴とするテープ貼着装置が提供される。
【0013】
好ましくは、該第1の可動部または該第2の可動部は、該リングフレームの側面に当たる2本のピンを備える。また、好ましくは、該制御ユニットは、該フレーム保持部の該上面に該リングフレームが存在しないと判定する場合に該搬送ユニットを制御して該フレーム保持部の該上面に該リングフレームを搬送させ、該フレーム保持部を制御して該フレーム保持部の該上面に載せられた該リングフレームに該第1の可動部及び該第2の可動部を突き当てさせることで該リングフレームを該所定位置に移動させ、その後、該テープ貼着ユニットを制御して該粘着テープを上方からローラーで押し付けさせながら該リングフレーム及び該基板に貼着させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一態様に係るテープ貼着装置において、リングフレームを保持するフレーム保持部は、上面に平行な方向に進退可能な可動部を有し、該上面に載せられたリングフレームに該可動部を突き当てることで該リングフレームを所定位置に移動できる。ここで、フレーム保持部は、リングフレームが該所定位置に位置付けられているときの可動部の停止位置に該可動部が位置付けられているか否かを検出できるセンサーを有する。
【0015】
そのため、可動部を進退させたとき、該可動部がリングフレームに当たり該停止位置で停止する場合にフレーム保持部の上面に該リングフレームが存在すると判定できる。その一方で、該可動部がリングフレームに当たらず該停止位置で停止しない場合にフレーム保持部の上面にリングフレームが存在しないと判定できる。
【0016】
フレーム保持部の上面にリングフレームが存在すると判定される場合、作業者は、残置されたリングフレームを除去しその後にフレームユニットの作成をテープ貼着装置に指示することでリングフレームの重ね置きを防止できる。そのため、リングフレームが基板よりも上方に突出することはなく、ローラーで適切に粘着テープを該リングフレーム及び該基板に貼着できる。
【0017】
したがって、本発明の一態様によると、リングフレームの重ね置きを防止できるテープ貼着装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】テープ貼着装置を模式的に示す斜視図である。
【
図2】テープ貼着ユニット及び保持ユニットを模式的に示す斜視図である。
【
図3】可動部を移動させる移動機構を模式的に示す斜視図である。
【
図4】リングフレーム及び基板を保持ユニットに載せる様子を模式的に示す斜視図である。
【
図5】粘着テープをリングフレーム及び基板に貼着する様子を模式的に示す断面図である。
【
図6】フレームユニットを模式的に示す斜視図である。
【
図7】
図7(A)は、保持ユニットに残置されたリングフレームが存在しない場合における可動部の停止位置を模式的に示す斜視図であり、
図7(B)は、保持ユニットに残置されたリングフレームが存在する場合における可動部の停止位置を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
添付図面を参照して、本発明の一態様に係る実施形態について説明する。本実施形態に係るテープ貼着装置は、切削装置やレーザ加工装置等の加工装置で加工される被加工物となる基板と、該基板を収容できる大きさの開口部を有するリングフレームと、に粘着テープを貼着してフレームユニットを形成する。まず、基板と、リングフレームと、粘着テープと、を含むフレームユニットについて説明する。
図6は、フレームユニット11を模式的に示す斜視図である。
【0020】
基板1は、例えば、Si(シリコン)、SiC(シリコンカーバイド)、GaN(ガリウムナイトライド)、GaAs(ヒ化ガリウム)、若しくは、その他の半導体等の材料から形成されるウェーハである。または、基板1は、サファイア、ガラス、石英等の材料からなる略円板状の基板等である。該ガラスは、例えば、アルカリガラス、無アルカリガラス、ソーダ石灰ガラス、鉛ガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラス等である。
【0021】
基板1の表面1aには、IC(Integrated Circuit)、LSI(Large Scale Integration)等の複数のデバイス9が形成されている。基板1を切削装置やレーザ加工装置等の加工装置でデバイス9毎に分割すると、個々のデバイスチップを形成できる。基板1を加工装置に搬入する際には、例えば、基板1の裏面1b側に該基板1よりも大きな径を有する粘着テープ5を貼着する。
【0022】
粘着テープ5は、ダイシングテープと呼ばれる。
図5には、剥離テープ7から剥離されて基板1等に貼着される粘着テープ5を模式的に示す断面図が含まれている。粘着テープ5は、可撓性を有するフィルム状の基材層5bを有する。基材層5bは、PO(ポリオレフィン)、PET(ポリエチレンテレフタラート)、PVC(ポリ塩化ビニル)、PS(ポリスチレン)等で形成されている。基材層5bの一方の面には、接着層(糊層)(不図示)が設けられている。
【0023】
該接着層は、それぞれ紫外線硬化型のシリコーンゴム、アクリル系材料、エポキシ系材料等で形成されている。この接着層が、基板1の裏面1b側に貼り付けられる。そして、接着層が露出している面が粘着テープ5の粘着面5aとなる。粘着テープ5を基板1に貼り付けることで加工や搬送等の際における基板1への衝撃を緩和でき、基板1の損傷を低減できる。
【0024】
粘着テープ5の外周部には、アルミニウム、ステンレス鋼等の金属で形成されたリングフレーム3の内周部が貼り付けられる。リングフレーム3は、基板1の径よりも大きな径の開口部3cを有し、表面3a及び裏面3bが平坦である。リングフレーム3の開口部3cの略中央に基板1を位置付けた状態で、基板1の裏面1b側と、リングフレーム3の裏面3bと、に粘着テープ5を貼り付けることで、フレームユニット11が形成される。
【0025】
次に、基板1及びリングフレーム3に粘着テープ5を貼着するテープ貼着装置について説明する。
図1は、テープ貼着装置2を模式的に示す斜視図である。テープ貼着装置2は、各構成要素を支持する基台4を備える。
【0026】
基台4の前端には、カセット載置台6a,6b,6cがY軸方向に沿って並んで配設されている。例えば、基板1はカセット載置台6aに置かれるカセット8aに収容された状態でテープ貼着装置2に搬入され、リングフレーム3は、カセット載置台6bに置かれるカセット8bに収容された状態でテープ貼着装置2に搬入される。
【0027】
また、テープ貼着装置2で作成されたフレームユニット11は、カセット載置台6cに置かれるカセット8cに収容される。そして、テープ貼着装置2で作成された複数のフレームユニット11は、カセット8cが搬出されることでテープ貼着装置2から搬出される。
図2では、各カセット8a,8b,8cに収容された各収容物10a,10b,10cが破線で示されている。
【0028】
テープ貼着装置2は、カセット載置台6a,6b,6cに隣接する位置にY軸方向に長い開口4aが形成されている。開口4aには、リングフレーム3及びフレームユニット11を搬送する第1の搬送ユニット12aと、基板1を搬送する第2の搬送ユニット12bと、がそれぞれY軸方向に沿って移動可能に収容されている。
【0029】
第1の搬送ユニット12aは、Y軸方向に沿って移動可能な移動支持部14aと、一端が移動支持部14aに回転可能に固定された腕部16aと、腕部16aの他端に設けられた支持部18aと、を備える。第1の搬送ユニット12aは多関節ロボットであり、腕部16aを伸縮及び回転させて支持部18aを移動できる。
【0030】
第1の搬送ユニット12aは、カセット載置台6bに置かれたカセット8bに収容されたリングフレーム3を支持部18aで支持し、該リングフレーム3をカセット8bから搬出して後述の保持ユニット24に載せる。また、第1の搬送ユニット12aは、保持ユニット24に載る形成されたフレームユニット11を支持部18aで支持し、カセット載置台6cに置かれたカセット8cに搬送する。
【0031】
第2の搬送ユニット12bは、Y軸方向に沿って移動可能な移動支持部14bと、一端が移動支持部14bに回転可能に固定された腕部16bと、腕部16bの他端に設けられた支持部18bと、を備える。第2の搬送ユニット12bは多関節ロボットであり、腕部16bを伸縮及び回転させて支持部18bを移動できる。第2の搬送ユニット12bは、カセット載置台6aに置かれたカセット8aに収容された基板1を支持部18bで支持し、該基板1をカセット8aから搬出して後述の保持ユニット24に載せる。
【0032】
基台4の開口4aに隣接する位置には、保持ユニット24をY軸方向に直交するX軸方向に沿って移動させる移動ユニット20と、該移動ユニット20に支持された保持ユニット24と、が設けられている。移動ユニット20は、X軸方向に沿った一対のガイドレール22aを備える。保持ユニット24は、X軸方向に沿って移動可能にガイドレール22aに支持されている。
【0033】
移動ユニット20は、さらに、保持ユニット24の下面に設けられたナット部(不図示)に螺合するガイドレール22aに平行なボールねじ22bと、ボールねじ22bの一端に接続されたパルスモータ22cと、を備える。パルスモータ22cは、ボールねじ22bを回転できる。ボールねじ22bが回転すると、保持ユニット24は、X軸方向に沿って移動する。
【0034】
移動ユニット20は、手前側の搬出入領域と、奥側のテープ貼着領域と、の間で保持ユニット24を移動させる。搬出入領域では、保持ユニット24への基板1及びリングフレーム3の搬入と、フレームユニット11の搬出と、が実施される。また、テープ貼着領域では、後述のテープ貼着ユニット44による粘着テープ5の貼着が実施される。
【0035】
図2は、テープ貼着領域に移動した保持ユニット24と、テープ貼着ユニット44と、を模式的に示す斜視図である。次に、保持ユニット24及びテープ貼着ユニット44について説明する。
【0036】
保持ユニット24は、リングフレーム3を保持する環状のフレーム保持部26と、基板1を保持する基板保持部30と、を有する。フレーム保持部26の上面28の中央には開口が形成されており、基板保持部30はフレーム保持部26の該開口に配される。保持ユニット24が搬出入領域に位置付けられているとき、第1の搬送ユニット12aによりリングフレーム3がフレーム保持部26の上に搬送され、第2の搬送ユニット12bにより基板1が基板保持部30の上に搬送される。
【0037】
図4は、保持ユニット24に基板1及びリングフレーム3を載せる様子を模式的に示す斜視図である。このとき、リングフレーム3の粘着テープ5が貼着される裏面3b側が上方に向けられるとともに、基板1の粘着テープ5が貼着される裏面1b側が上方に向けられる。すなわち、リングフレーム3の表面3a側をフレーム保持部26に対面させ、基板1の表面1a側を基板保持部30に対面させる。ただし、粘着テープ5は、リングフレーム3の表面3a及び基板1の表面1aに貼着されてもよい。
【0038】
上面に基板1及びリングフレーム3が置かれた後、保持ユニット24はテープ貼着領域に送られる。リングフレーム3に粘着テープ5を適切に貼着できるように、保持ユニット24の上面ではリングフレーム3の位置が調整される。フレーム保持部26は、上面28に置かれたリングフレーム3の位置を調整できる。
【0039】
フレーム保持部26は、上面28から突出し、該上面28に平行な第1の方向(例えば、X軸方向)へのリングフレーム3の移動を規制する第1の固定部36を備える。第1の固定部36は、例えば、第1の方向に直交する第2の方向(例えば、Y軸方向)に沿って長い形状に形成されており、第1の方向から当たるリングフレーム3の移動を規制する。
【0040】
また、フレーム保持部26は、上面28から突出し、第1の固定部36に対向し該第1の方向に進退して第1の固定部36との間でリングフレーム3を挟む第1の可動部34を備える。第1の可動部34は、基板保持部30を挟んで第1の固定部36に対向する位置に設けられており、例えば、フレーム保持部26の上面28から突出した2本のピン32を備える。
【0041】
フレーム保持部26の上面28には第1の方向に沿った形状の2つの穴が形成されており、それぞれのピン32はこの穴から上方に突出している。保持ユニット24は、この穴に沿ってピン32を移動させる移動機構を内部に備える。
図3は、第1の可動部34を第1の方向に沿って移動させる移動機構72を模式的に示す斜視図である。
【0042】
移動機構72は、フレーム保持部26の上面28よりも下方で2つのピン32を支持する第2の方向に沿った支持部58と、該支持部58の一端に接続された移動体60と、を備える。また、移動機構72は、移動体60に先端が接続されたピストンロッド64と、該ピストンロッド64の基端側を収容するシリンダチューブ62と、を含むエアシリンダー66を備える。
【0043】
エアシリンダー66は、第1の方向に沿って移動可能なピストン(不図示)を内部空間に備える。該ピストンは、シリンダチューブ62の内部空間を前後に隔てる。そして、ピストンの前後で該内部空間に気圧差を与えると、該ピストンが前後に移動する。ピストンにはピストンロッド64の基端が接続されており、ピストンを移動させるとピストンロッド64と、移動体60と、支持部58と、が第1の方向に沿って移動し、ピン32が第1の方向に沿って進退する。
【0044】
また、フレーム保持部26は、上面28から突出し、該上面28に平行な第2の方向(例えば、Y軸方向)へのリングフレーム3の移動を規制する第2の固定部42を備える。第2の固定部42は、例えば、第1の方向に沿って長い形状に形成されており、第2の方向から当たるリングフレーム3の移動を規制する。
【0045】
また、フレーム保持部26は、上面28から突出し、第2の固定部42に対向し該第2の方向に進退して第2の固定部42との間でリングフレーム3を挟む第2の可動部40を備える。第2の可動部40は、基板保持部30を挟んで第2の固定部42に対向する位置に設けられており、例えば、フレーム保持部26の上面28から突出した2本のピン38を備える。
【0046】
フレーム保持部26の上面28には第2の方向に沿った形状の2つの穴が形成されており、それぞれのピン38はこの穴から上方に突出している。保持ユニット24は、この穴に沿ってピン38を移動させる移動機構を内部に備える。この移動機構は、第1の可動部34を移動させる移動機構72と同様の構成であるため、説明を省略する。
【0047】
フレーム保持部26の上面28に置かれたリングフレーム3の位置を調整する際には、まず、第1の可動部34の2つのピン32を第1の方向に沿って移動させリングフレーム3の側面に当て、第1の固定部36及び該第1の可動部34でリングフレーム3を挟む。次に、第2の可動部40の二つのピン38を第2の方向に沿って移動させリングフレーム3の側面に当て、第2の固定部42及び第2の可動部40でリングフレーム3を挟む。このとき、第1の可動部34及び第2の可動部40によりリングフレーム3が移動する。
【0048】
フレーム保持部26では、粘着テープ5の貼着に適した所定位置にリングフレーム3が位置付けられるように第1の固定部36と、第1の可動部34と、第2の固定部42と、第2の可動部40と、の位置が決められる。
【0049】
次に、粘着テープ5をリングフレーム3及び基板1に貼着するテープ貼着ユニット44について説明する。
図2には、テープ貼着ユニット44を模式的に示す斜視図が含まれている。
図5には、テープ貼着ユニット44を模式的に示す断面図が含まれている。
【0050】
テープ貼着ユニット44は、剥離テープ7に支持された状態の複数の粘着テープ5が巻き取られて収容されているテープ供出ローラー46と、粘着テープ5が剥離された剥離テープ7を巻き取って回収する巻き取りローラー56と、を備える。粘着テープ5は、例えば、リングフレーム3の開口部3cを塞ぐ所定の形状に切り出された状態で剥離テープ7に支持されている。ここで、粘着テープ5の径は、開口部3cよりも大きくリングフレーム3の外径よりも小さい。
【0051】
テープ貼着ユニット44は、テープ供出ローラー46から引き出された剥離テープ7を誘導する誘導ローラー48と、誘導ローラー48で誘導された剥離テープ7を折り曲げて粘着テープ5から剥離させる剥離部52と、をさらに備える。また、テープ貼着ユニット44は、剥離部52で粘着テープ5から剥離された剥離テープ7を誘導する誘導ローラー54を備える。
【0052】
そして、テープ貼着ユニット44は、保持ユニット24の上方で昇降可能であり、剥離部52で剥離テープ7が剥離された粘着テープ5を上方から押圧して被貼着物に貼着させる押圧ローラー50をさらに備える。ここで、押圧ローラー50は、テープ貼着ユニット44を昇降させることで粘着テープ5を押圧する。または、保持ユニット24は昇降可能でもよく、保持ユニット24が上昇することで押圧ローラー50が相対的に上方から粘着テープ5を押圧してもよい。
【0053】
また、テープ貼着ユニット44は、粘着テープ5から剥離され誘導ローラー54で誘導された剥離テープ7を巻き取って回収する巻き取りローラー56を備える。テープ貼着ユニット44は、テープ供出ローラー46と、各誘導ローラー48,54と、巻き取りローラー56と、を連動させて回転させ、テープ供出ローラー46から巻き取りローラー56まで剥離テープ7を移す間に粘着テープ5を被貼着物に提供する。
【0054】
次に、保持ユニット24で保持されたリングフレーム3及び基板1に粘着テープ5を貼着する手順について
図5を用いて説明する。まず、移動ユニット20を作動させて保持ユニット24をテープ貼着領域に進行させる。このとき、テープ貼着装置2の前側(進行方向(X軸方向)の後方側)におけるリングフレーム3の端部をテープ貼着ユニット44の押圧ローラー50の下方に位置付ける。
【0055】
そして、テープ貼着ユニット44を所定の高さまで下降させ、巻き取りローラー56等を回転させ、剥離部52で剥離テープ7を粘着テープ5から剥離する。その後、露出した粘着テープ5の粘着面5aをリングフレーム3の裏面3bに対面させた状態で、粘着テープ5をリングフレーム3に貼着する。さらに、粘着テープ5のリングフレーム3に貼着された部分を押圧ローラー50で上方から押圧しながら、保持ユニット24を移動ユニット20でテープ貼着装置2の前側(進行方向の後方側)に移動させる。
【0056】
すると、リングフレーム3の端部から他端にかけて、粘着テープ5の粘着面5aが次々にリングフレーム3の裏面3bに接触し、粘着テープ5が次々に押圧ローラー50で押圧され、粘着テープ5が徐々にリングフレーム3に貼着されていく。このとき、押圧ローラー50の下方に基板1の裏面1bが差し掛かると、基板1の裏面1bにも粘着テープ5が貼着されていく。
【0057】
なお、粘着テープ5に皺等が生じないように、テープ供出ローラー46から巻き取りローラー56に移動する剥離テープ7の各部の移動速度と、移動ユニット20により移動する保持ユニット24の移動速度と、を一致させる。そして、押圧ローラー50がリングフレーム3の他端に達すると、リングフレーム3及び基板1への粘着テープ5の貼着が完了する。
【0058】
押圧ローラー50で押圧しながら粘着テープ5をリングフレーム3及び基板1に貼着すると、粘着テープ5と、リングフレーム3及び基板1と、の間に気泡が入り込むこともなく、粘着テープ5に皺が生じることもない。そのため、基板1を加工する加工装置に搬入するのに適したフレームユニット11が形成される。
【0059】
このとき、リングフレーム3と、該リングフレーム3の開口部3cの内部に配された基板1と、に粘着テープ5を適切に押圧ローラー50で押圧できるように、リングフレーム3の裏面3bの高さと、基板1の裏面1bの高さと、が一致するとよい。例えば、保持ユニット24は、基板保持部30の高さを変更できることが好ましい。そして、リングフレーム3及び基板1の厚さが互いに異なる場合、基板保持部30の高さを調整して互いの裏面3b,1bの高さが揃えられるとよい。
【0060】
なお,テープ貼着ユニット44では、剥離テープ7が使用されなくてもよい。例えば、テープ供出ローラー46には長い帯状の粘着テープ5が巻き付けられており、リングフレーム3及び基板1に貼着された後にリングフレーム3の内周縁と外周縁との間で一周に渡って切断される。この場合、テープ貼着ユニット44はリングフレーム3の裏面3b上で粘着テープ5を切断できるカッターを備える。
【0061】
基板1と、リングフレーム3と、粘着テープ5と、が一体化されてフレームユニット11が形成された後、移動ユニット20を作動させて保持ユニット24を搬出入領域に移動させる。そして、第1の搬送ユニット12aによりフレームユニット11を保持ユニット24からカセット載置台6cに載せられたカセット8cに搬送する。
【0062】
テープ貼着装置2は、各カセット載置台6a,6b,6c、各搬送ユニット12a,12b、移動ユニット20、保持ユニット24、テープ貼着ユニット44等の各構成要素を制御する制御ユニット2aをさらに備える。
【0063】
制御ユニット2aは、CPU(Central Processing Unit)等の処理装置、及び、フラッシュメモリ等の記憶装置を含むコンピュータによって構成される。記憶装置に記憶されるプログラム等のソフトウェアに従い処理装置を動作させることによって、制御ユニット2aは、ソフトウェアと処理装置(ハードウェア資源)とが協働した具体的手段として機能する。
【0064】
制御ユニット2aは、例えば、複数のフレームユニット11を次々に形成するように、自動プログラムに従って各構成要素を制御する。自動プログラムを実行すると、カセット8aに収容されたていた複数の基板1と、カセット8bに収容されていた複数のリングフレーム3と、が粘着テープ5で次々に一体化され、複数のフレームユニット11が形成されてカセット8cに収容される。
【0065】
ここで、テープ貼着装置2では、自動プログラムを実行している間に何らかのトラブルが生じて機能が停止することがある。例えば、フレーム保持部26にリングフレーム3が保持されている際にテープ貼着装置2が停止することがある。この場合、該リングフレーム3を取り出さずに該テープ貼着装置2を再起動すると、自動プログラムによるフレームユニット11の形成が再開されたときに、残置されていたリングフレーム3の上に新たなリングフレーム3が重ね置きされてしまう。
【0066】
そのため、テープ貼着ユニット44により基板保持部30で保持された基板1と、この新たなリングフレーム3と、に粘着テープ5が貼着されることとなる。この状態では、リングフレーム3の被貼着面(裏面3b)は、基板1の被貼着面(裏面1b)よりも残置されたリングフレーム3の厚さの分だけ上方に突出することとなる。
【0067】
粘着テープ5の貼着を実施する際、リングフレーム3の被貼着面の高さが基板1の被貼着面の高さよりも高い場合、リングフレーム3で押圧ローラー50が支持されてしまうため、押圧ローラー50で基板1に十分な力で粘着テープ5を押しつけられない。この場合、基板1及び粘着テープ5の間に気泡が入り込んだ状態で粘着テープ5が基板1に貼着されてしまう。粘着テープ5と基板1の間に気泡が存在するフレームユニット11を加工装置に搬入しても、基板1を適切に加工できない。
【0068】
その上、不適切なフレームユニット11が形成された後においても、残置されたリングフレーム3が取り除かれない限り、テープ貼着装置2では、その後に形成されるフレームユニット11のすべてにこのような問題が生じる。そして、自動プログラムが実行されている間にこのような不具合が察知される機会はない。すなわち、カセット8cの所定の数のフレームユニット11が収容されて自動プログラムが終了するまでフレームユニット11の不良品が形成され続けることとなり、損害は甚大となる。
【0069】
そこで、本実施形態に係るテープ貼着装置2では、基板1及びリングフレーム3への粘着テープ5の貼着を実施する前に、保持ユニット24のフレーム保持部26に残置されたリングフレーム3が存在するか否かが確認される。以下、残置されたリングフレーム3の検出に寄与する構成を中心に、本実施形態に係るテープ貼着装置2の説明を続ける。
【0070】
テープ貼着装置2のフレーム保持部26は、リングフレーム3が第1の可動部34により所定位置に位置付けられているときの該第1の可動部34の停止位置に該第1の可動部34が位置付けられているか否かを検出できるセンサーをさらに備える。例えば、
図3に示す通り、フレーム保持部26の移動機構72には、エアシリンダー66の外周に該センサーとしてオートスイッチ68が設けられる。
【0071】
該センサーとして機能するオートスイッチ68は、例えば、エアシリンダー66の内部の空間を前後方向に移動するピストン(不図示)が検出位置に位置付けられている際に、該検出位置に該ピストンが位置付けられていることを検出できる。例えば、ピストンには磁石が組み込まれており、オートスイッチ68は該磁石により生じる磁界を検出する。
【0072】
ここで、該検出位置とは、フレーム保持部26の上にリングフレーム3が載せられているとき、該リングフレーム3を粘着テープ5の貼着を実施するのに適した位置に第1の可動部34が位置付けた際の該ピストンの位置である。移動機構72を作動させて第1の可動部34を移動させるとき、リングフレーム3がフレーム保持部26に載せられている場合、リングフレーム3が固定部36に当たって停止し、該ピストンが該検出位置で停止する。そのため、オートスイッチ(センサー)68は、該ピストンが該検出位置にあることを検出する。
【0073】
そこで、本実施形態に係るテープ貼着装置2では、フレームユニット11を形成する際、カセット8bから保持ユニット24のフレーム保持部26にリングフレーム3を搬送する前に、オートスイッチ68で残置されたリングフレーム3の有無を確認する。
図7(A)及び
図7(B)は、残置されたリングフレーム3の確認動作が実施される際の保持ユニット24を模式的に示す斜視図である。
【0074】
図7(A)は、残置されたリングフレーム3が存在しない場合におけるフレーム保持部26を模式的に示す斜視図である。そして、
図7(B)は、残置されたリングフレーム3が存在する場合におけるフレーム保持部26を模式的に示す斜視図である。
【0075】
図7(B)に示す通り、フレーム保持部26にリングフレーム3が残置されている場合、第1の可動部34を移動させると、第1の可動部34で押されたリングフレーム3が固定部36に衝突して停止し、第1の可動部34(ピン32)が停止する。このときピン32は、粘着テープ5の貼着に適した所定位置にリングフレーム3が位置付けられたときの停止位置32aに停止する。オートスイッチ(センサー)68を用いると、第1の可動部34のピン32が該停止位置32aに停止したことを検出できる。
【0076】
例えば、オートスイッチ68を含むエアシリンダー66は、配線70を介して制御ユニット2a(
図1参照)に接続されている。制御ユニット2aは、エアシリンダー66を制御するとともに、配線70を介してオートスイッチ(センサー)68による検出結果を受信する。そして、制御ユニット2aは、第1の可動部34を進退させたとき、該第1の可動部34がリングフレーム3に当たり停止位置32aで停止する場合にフレーム保持部26の上面28にリングフレーム3が存在すると判定する。
【0077】
すなわち、フレーム保持部26に残置されたリングフレーム3が存在することが検出される。この場合、制御ユニット2aは、テープ貼着装置2の使用者等に警告を発して残置されたリングフレーム3の除去を促す。または、第1の搬送ユニット12aを制御して、残置されたリングフレーム3をフレーム保持部26から除去し、カセット8b等に収容する。もしくは、新たなリングフレーム3をフレーム保持部26に搬出せず、残置されたリングフレーム3及び基板1に粘着テープ5を貼着してフレームユニット11を形成する。
【0078】
その一方で、
図7(A)に示す通りフレーム保持部26にリングフレーム3が残置されていない場合、第1の可動部34のピン32を移動させると、該第1の可動部34の該ピン32が停止位置32aを通過する。すなわち、オートスイッチ(センサー)68は、第1の可動部34のピン32が該停止位置32aに停止していないことを検出する。
【0079】
そして、制御ユニット2aは、第1の可動部34を進退させたとき、該第1の可動部34がリングフレーム3に当たらず停止位置32aで停止しない場合にフレーム保持部26の上面28にリングフレーム3が存在しないと判定する。この場合、制御ユニット2aは、通常通りに自動プログラムを開始して、リングフレーム3及び基板1を保持ユニット24に搬送して粘着テープ5を貼着してフレームユニット11を形成する。
【0080】
以上に説明する通り、本実施形態に係るテープ貼着装置2では、リングフレーム3を保持ユニット24のフレーム保持部26に搬送する前に、残置されたリングフレーム3がフレーム保持部26に存在するか否かを確認できる。そのため、残置されたリングフレーム3の上に新たなリングフレーム3が重ね置きされることもなく、加工装置への搬入に適さないフレームユニット11が形成されることもない。
【0081】
なお、本発明は、上記実施形態の記載に制限されず種々変更して実施可能である。例えば、上記実施形態では、第1の方向(X軸方向)に沿って移動する第1の可動部34のピン32が停止位置32aで停止するか否かをオートスイッチ(センサー)68で検出して残置されたリングフレーム3の有無を検出する場合について説明した。しかしながら、本発明の一態様はこれに限定されない。
【0082】
例えば、保持ユニット24のフレーム保持部26は、リングフレーム3が所定位置に位置付けられているときの第2の可動部40のピン38の停止位置38aに該第2の可動部40のピン38が位置付けられているか否かを検出できる第2のセンサーを有してもよい。この場合、例えば、上述のオートスイッチ68と同様に構成される第2のオートスイッチ(不図示)がフレーム保持部26に設けられるとよい。そして、該第2のセンサーを利用して残置されたリングフレーム3の有無が判定されるとよい。
【0083】
また、上記実施形態では、可動部34,40と、固定部36,42と、でリングフレーム3を挟むことでリングフレーム3を粘着テープ5の貼着に適した所定位置に移動させる場合について説明した。しかしながら、本発明の一態様はこれに限定されない。例えば、保持ユニット24のフレーム保持部26は、固定部36,42に代えて、可動部34,40と連動してそれぞれ該可動部34,40とは反対方向に移動する連動移動部(不図示)を備えてもよい。
【0084】
この場合においても、フレーム保持部26は、可動部34,40と、該連動移動部と、でリングフレーム3を挟むことで該リングフレーム3をフレーム保持部26の上面28の所定位置に移動できる。そして、フレーム保持部26には、可動部34,40が停止位置38a,38bに位置付けられているか否かを検出できるセンサーに代えて、該連動移動部が特定の停止位置に位置付けられているか否かを検出できるセンサーが設けられてもよい。このセンサーは、残置されたリングフレーム3の有無の判定に利用可能である。
【0085】
さらに、上記実施形態では、フレーム保持部26に、第1の方向にリングフレーム3を移動させる第1の可動部34と、第1の方向に直交する第2の方向にリングフレーム3を移動させる第2の可動部40と、が設けられる場合について説明した。しかしながら、本発明の一態様はこれに限定されない。例えば、フレーム保持部26には、基板保持部30の中心に向かって互いに60°異なる向きに進退する3つの可動部が設けられてもよく、4以上の可動部が設けられてもよい。
【0086】
この場合に、フレーム保持部26の上面28に載せられたリングフレーム3をすべての可動部を作動させて移動させることで、該リングフレーム3を粘着テープ5の貼着に適した所定位置に移動できる。そして、この場合、少なくとも一つの可動部に該可動部が所定の停止位置に位置付けられているか否かを検出できるセンサーが設けられていると、残置されたリングフレーム3の有無の判定が可能である。
【0087】
したがって、本発明の一態様に係るテープ貼着装置2では、保持ユニット24のフレーム保持部26に含まれる少なくとも一つの可動部に該可動部が所定の停止位置に停止しているか否かを検出できるセンサーを有していればよい。
【0088】
その他、上記実施形態及び変形例に係る構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。
【符号の説明】
【0089】
1 基板
1a,3a 表面
1b,3b 裏面
3 リングフレーム
3c 開口部
5 粘着テープ
5a 粘着面
5b 基材層
7 剥離テープ
9 デバイス
11 フレームユニット
2 テープ貼着装置
2a 制御ユニット
4 基台
4a 開口
6a,6b,6c カセット載置台
8a,8b,8c カセット
10a,10b,10c 収容物
12a,12b 搬送ユニット
14a,14b 移動支持部
16a,16b 腕部
18a,18b 支持部
20 移動ユニット
22a ガイドレール
22b ボールねじ
22c パルスモータ
24 保持ユニット
26 フレーム保持部
28 上面
30 基板保持部
32,38 ピン
34,40 可動部
36,42 固定部
44 テープ貼着ユニット
46 テープ供出ローラー
48,54 誘導ローラー
50 押圧ローラー
52 剥離部
56 巻き取りローラー
58 支持部
60 移動体
62 シリンダチューブ
64 ピストンロッド
66 エアシリンダー
68 オートスイッチ
70 配線
72 移動機構