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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】研磨装置および処理システム
(51)【国際特許分類】
   B24B 37/00 20120101AFI20240527BHJP
   B24B 37/10 20120101ALI20240527BHJP
   B24B 57/02 20060101ALI20240527BHJP
   B24B 55/06 20060101ALI20240527BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
B24B37/00 K
B24B37/10
B24B57/02
B24B55/06
H01L21/304 622E
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020038725
(22)【出願日】2020-03-06
(65)【公開番号】P2021137927
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【弁理士】
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】森浦 拓也
(72)【発明者】
【氏名】寺田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】外崎 宏
(72)【発明者】
【氏名】曽根 忠一
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 雅佳
(72)【発明者】
【氏名】小畠 厳貴
【審査官】山村 和人
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-530422(JP,A)
【文献】特開2000-280166(JP,A)
【文献】特開2006-147773(JP,A)
【文献】特開平08-250457(JP,A)
【文献】特開2015-205355(JP,A)
【文献】特開2001-088009(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 37/00 - 37/34
H01L 21/304
B24B 57/02
B24B 55/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨パッドを支持するためのテーブルと、
対象物を保持するための研磨ヘッドと、
前記研磨パッドと前記対象物との間に研磨液を供給するための研磨液供給装置と、
を含み、
研磨液の存在下で前記研磨パッドと前記対象物とを接触させて互いに回転運動させることにより前記対象物の研磨を行う研磨装置であって、
前記研磨液供給装置は、前記対象物に対して前記研磨パッドの回転上流側に配置された状態において、前記研磨パッドの回転方向と交差する方向に配列された複数の研磨液供給口を有し、
前記複数の研磨液供給口から供給される研磨液が所定の流量分布となるように研磨液を供給するように構成され、
前記研磨液供給装置は、
研磨液を供給するための研磨液供給部材と、
前記研磨液供給部材を保持するためのアームと、を有し、
前記研磨液供給部材は、
前記複数の研磨液供給口が形成されている供給部材本体と、
前記供給部材本体に連結されているカバー部材と、を有し、
前記供給部材本体と前記カバー部材との間に、研磨液を一時的に蓄えるためのバッファ部が形成され、
前記カバー部材は前記アームに着脱可能に連結されており
前記供給部材本体は供給面を備え、前記複数の研磨液供給口は前記供給面に設けられており、前記供給部材本体は、
(a)前記供給面の短手方向側に、前記研磨液供給口を頂上とするテーパ形状の傾斜が設けられている、
(b)前記供給面の前記複数の研磨液供給口の周縁部に凸部が設けられている、または、(c)前記供給面は突起部を備え、前記複数の研磨液供給口は前記突起部に設けられてい
る、
ことを特徴とする研磨装置。
【請求項2】
前記供給部材本体は、締結部材により前記カバー部材に着脱可能に取り付けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の研磨装置。
【請求項3】
前記研磨液供給装置は、
前記研磨液供給部材から供給する研磨液の流量を調整するための流量調整機構、を含み、
前記アームは、前記研磨パッド外に配置された旋回軸を中心に旋回可能に構成される、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の研磨装置。
【請求項4】
前記複数の研磨液供給口は、開口径が0.3から2mmである、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の研磨装置。
【請求項5】
前記研磨液供給装置は、前記複数の研磨液供給口が前記対象物の直径に対応する範囲に形成され、前記範囲における研磨液の流量分布が均一になるように研磨液を供給する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の研磨装置。
【請求項6】
前記研磨液供給装置は、前記複数の研磨液供給口が前記研磨パッドの回転中心に近い側の前記対象物の半径に対応する範囲に形成され、前記範囲における研磨液の流量分布が均一になるように研磨液を供給する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の研磨装置。
【請求項7】
前記複数の研磨液供給口は開口径が同一であり、前記対象物の直径に対応する範囲、または、前記研磨パッドの回転中心に近い側の前記対象物の半径に対応する範囲において、均等間隔で配置されている、
ことを特徴とする請求項5または6に記載の研磨装置。
【請求項8】
前記研磨液供給装置は、前記複数の研磨液供給口が前記対象物の回転中心の前記研磨パッドの回転軌跡上の対応する位置から前記対象物の両外周に対応する位置に向かって等距離の範囲に形成され、前記範囲において前記対象物の回転中心の前記研磨パッドの回転軌跡上の対応する位置から前記対象物の両外周に対応する位置に向かって研磨液の流量が増加するように研磨液を供給する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の研磨装置。
【請求項9】
前記研磨液供給装置は、前記複数の研磨液供給口が前記研磨パッドの回転中心に近い側の前記対象物の半径に対応する範囲に形成され、前記範囲において前記対象物の回転中心の前記研磨パッドの回転軌跡上の対応する位置から前記研磨パッドの回転中心に近い側の前記対象物の外周に対応する位置に向かって研磨液の流量が増加するように研磨液を供給する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の研磨装置。
【請求項10】
前記複数の研磨液供給口は、前記対象物の回転中心の前記研磨パッドの回転軌跡上の対応する位置から前記対象物の両外周に対応する位置に向かって、または、前記対象物の回転中心の前記研磨パッドの回転軌跡上の対応する位置から前記研磨パッドの回転中心に近い側の前記対象物の外周に対応する位置に向かって、開口中心が均等間隔で配置されるとともに開口径が連続的または一定数毎に増加する、
ことを特徴とする請求項8または9に記載の研磨装置。
【請求項11】
前記複数の研磨液供給口は、開口径が同一であり、前記対象物の回転中心の前記研磨パッドの回転軌跡上の対応する位置から前記対象物の両外周に対応する位置に向かって、または、前記対象物の回転中心の前記研磨パッドの回転軌跡上の対応する位置から前記研磨パッドの回転中心に近い側の前記対象物の外周に対応する位置に向かって、各研磨液供給口の間隔が、連続的または一定数毎に減少する、
ことを特徴とする請求項8または9に記載の研磨装置。
【請求項12】
前記研磨液供給装置は、前記複数の研磨液供給口が前記対象物の直径に対応する範囲に形成され、前記範囲において前記研磨パッドの回転中心に近い側の前記対象物の外周に対応する位置から、前記研磨パッドの回転中心から遠い側の前記対象物の外周に対応する位置に向かって、研磨液の流量が増加するように研磨液を供給する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の研磨装置。
【請求項13】
前記複数の研磨液供給口は、前記研磨パッドの回転中心に近い側の前記対象物の外周に対応する位置から、前記研磨パッドの回転中心から遠い側の前記対象物の外周に対応する位置に向かって、開口中心が均等間隔で配置されるとともに開口径が連続的または一定数毎に増加する、
ことを特徴とする請求項12に記載の研磨装置。
【請求項14】
前記複数の研磨液供給口は、開口径が同一であり、前記研磨パッドの回転中心に近い側の前記対象物の外周に対応する位置から、前記研磨パッドの回転中心から遠い側の前記対象物の外周に対応する位置に向かって、各研磨液供給口の間隔が、連続的または一定数毎に減少する、
ことを特徴とする請求項12に記載の研磨装置。
【請求項15】
前記研磨液供給部材は、前記アームの旋回運動により前記研磨パッド上で揺動可能である、
ことを特徴とする請求項3、および請求項3を引用する請求項4乃至13のいずれか一項に記載の研磨装置。
【請求項16】
前記研磨液供給部材は、前記複数の研磨液供給口が配列された第1の方向、前記研磨パッドの研磨面に対して垂直な第2の方向、および前記第1の方向と前記第2の方向と直交する第3の方向、のそれぞれに対してスライド移動可能に構成される、
ことを特徴とする請求項1乃至15のいずれか一項に記載の研磨装置。
【請求項17】
前記研磨液供給部材は、前記複数の研磨液供給口が配列された第1の方向、前記研磨パッドの研磨面に対して垂直な第2の方向、および前記第1の方向と前記第2の方向と直交する第3の方向、のそれぞれの仮想軸に対して回転可能に構成される、
ことを特徴とする請求項1乃至16のいずれか一項に記載の研磨装置。
【請求項18】
前記アームの旋回運動により前記研磨パッド外に旋回された前記研磨液供給装置に対して洗浄液を供給するための洗浄機構をさらに含む、
ことを特徴とする請求項3、および請求項3を引用する請求項4乃至16のいずれか一項に記載の研磨装置。
【請求項19】
対象物を処理する処理システムであって、
請求項1乃至18のいずれか一項に記載の研磨装置と、
前記研磨装置によって研磨された対象物を洗浄するための洗浄装置と、
前記洗浄装置によって洗浄された対象物を乾燥するための乾燥装置と、
前記研磨装置、前記洗浄装置、および前記乾燥装置間で前記対象物を搬送するための搬送装置と、
を含む処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研磨装置および処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造工程においては、半導体デバイス表面の平坦化技術がますます重要になっている。平坦化技術としては、化学的機械研磨(CMP(chemical Mechanical Polishing))が知られている。この化学的機械研磨は、研磨装置を用いて、シリカ(SiO)および/またはセリア(CeO)等の砥粒を含んだ研磨液(スラリー)を研磨パッドに供給しつつ半導体ウェハなどの基板を研磨パッドに摺接させて研磨を行うものである。
【0003】
CMPプロセスを行う研磨装置は、研磨パッドを支持するための研磨テーブルと、基板などの対象物を保持するための研磨ヘッドと、研磨パッドと基板との間に研磨液を供給するための研磨液供給装置と、を備えている。この研磨装置は、研磨液供給装置から研磨液を研磨パッドに供給し、基板を研磨パッドの表面(研磨面)に対して所定の圧力で押圧し、研磨テーブルと研磨ヘッドとを回転させることにより基板の表面を平坦に研磨する。
【0004】
特許文献1には、研磨パッドの中心部に研磨液を供給する第1のノズルと、研磨パッドの周辺部に研磨液を供給する第2のノズルと、を含む研磨液供給装置が開示されている。この研磨液供給装置は、研磨液の化学的性質などに応じて、第1のノズルからの研磨液の供給と第2のノズルからの研磨液の供給を切り替えるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第7,086,933号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の研磨装置は、第1のノズルと第2のノズルを切り替えることによって研磨液の供給箇所を変えるものであるので、基板の研磨レートを維持し、かつ、研磨液の使用量を削減することについては考慮されていない。
【0007】
すなわち、研磨装置に使用される研磨液は、高価であり、使用済みの研磨液の処分にもコストを要するため、研磨装置の運転コストおよび半導体デバイスの製造コスト削減のためには、研磨液の使用量の削減が求められる。この点、単に研磨液の供給量を減らすだけだと、基板の研磨レートが下降するので、好ましくない。基板の所定の研磨レートを維持しつつ研磨液の使用量を削減するためには、研磨液が効率よく研磨パッドと基板との間に行き渡るように研磨液を供給することが求められる。
【0008】
そこで、本発明の目的は、基板の研磨レートを維持し、かつ、研磨液の使用量を削減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施形態によれば、研磨パッドを支持するためのテーブルと、対象物を保持するための研磨ヘッドと、前記研磨パッドと前記対象物との間に研磨液を供給するための研磨液供給装置と、を含み、研磨液の存在下で前記研磨パッドと前記対象物とを接触させて互いに回転運動させることにより前記対象物の研磨を行う研磨装置であって、前記研磨液供給装
置は、前記対象物に対して前記研磨パッドの回転上流側に配置された状態において、前記研磨パッドの回転方向と交差する方向に配列された複数の研磨液供給口を有し、前記複数の研磨液供給口から供給される研磨液が所定の流量分布となるように研磨液を供給する、ことを特徴とする研磨装置が開示される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る研磨装置の概略構成を示す図である。
図2】研磨液供給装置の斜視図である。
図3】昇降旋回機構の構成を示す模式図である。
図4】研磨液供給部材の構成を概略的に示す断面図である。
図5】研磨液供給部材の側面断面を示す図である。
図6】研磨液供給部材、連結部材、およびアームの洗浄機構を示す図である。
図7】研磨液の流量分布の一例を模式的に示す図である。
図8図7の研磨液の流量分布を実現するための複数の研磨液供給口の形成例である。
図9】研磨液の流量分布の一例を模式的に示す図である。
図10図9の研磨液の流量分布を実現するための複数の研磨液供給口の形成例である。
図11】研磨液の流量分布の一例を模式的に示す図である。
図12図11の研磨液の流量分布を実現するための複数の研磨液供給口の形成例である。
図13】研磨液の流量分布の一例を模式的に示す図である。
図14図13の研磨液の流量分布を実現するための複数の研磨液供給口の形成例である。
図15】研磨液の流量分布の一例を模式的に示す図である。
図16図15の研磨液の流量分布を実現するための複数の研磨液供給口の形成例である。
図17】研磨液の流量分布の一例を模式的に示す図である。
図18図17の研磨液の流量分布を実現するための複数の研磨液供給口の形成例である。
図19】研磨液供給部材の揺動による研磨液の流れを模式的に示す図である。
図20】研磨液供給部材のスライド移動を模式的に示す図である。
図21】研磨液供給部材の角度調整を模式的に示す図である。
図22】研磨液供給部材の角度調整による研磨液の分布の相違を模式的に示す図である。
図23】一実施形態としての処理システムの概略構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。添付図面において、同一または類似の要素には同一または類似の参照符号が付され、各実施形態の説明において同一または類似の要素に関する重複する説明は省略することがある。また、各実施形態で示される特徴は、互いに矛盾しない限り他の実施形態にも適用可能である。
【0012】
本明細書において「基板」には、半導体基板、ガラス基板、液晶基板、プリント回路基板だけでなく、磁気記録媒体、磁気記録センサ、ミラー、光学素子、微小機械素子、あるいは部分的に製作された集積回路、その他任意の被処理対象物を含む。基板は、多角形、円形を含む任意の形状のものを含む。また、本明細書において「前面」、「後面」、「前方」、「後方」、「上」、「下」、「左」、「右」、「鉛直」、「水平」等の表現を用いる場合があるが、これらは、説明の都合上、例示の図面の紙面上における位置、方向を示すものであり、装置使用時等の実際の配置では異なる場合がある。
【0013】
(研磨装置の概略構成)
図1は、本発明の一実施形態に係る研磨装置の概略構成を示す図である。本実施形態の研磨装置1は、研磨面102を有する研磨パッド100を使用して、研磨対象物としての半導体ウェハ等の基板WFの研磨を行うことができるように構成されている。図示するように、研磨装置1は、研磨パッド100を支持するための研磨テーブル20と、基板WFを保持して研磨パッド100の研磨面102に押し当てるための研磨ヘッド(基板保持部)30と、を備えている。さらに、研磨装置1は、研磨パッド100と基板WFとの間に研磨液(スラリー)を供給するための研磨液供給装置40と、研磨パッド100の外に旋回された研磨液供給装置40に対して洗浄液を供給するための洗浄機構300と、研磨面102に純水等の液体および/または窒素等のガスを噴射して、使用済みの研磨液、研磨残渣等を洗い流すためのアトマイザー50と、を備えている。研磨液供給装置40は、基板WFに対して研磨パッド100の回転上流側に配置されている。なお、図1の実施形態では洗浄機構300が研磨液供給装置40の上部に配置される例を示したが、これに限らず、例えば研磨液供給装置40の上部および下部に洗浄機構300をそれぞれ配置して、研磨液供給装置40を上下方向から洗浄するように構成することもできる。
【0014】
研磨テーブル20は、円盤状に形成されており、その中心軸を回転軸線として回転可能に構成される。研磨テーブル20には、貼付け等によって研磨パッド100が取り付けられる。研磨パッド100の表面は、研磨面102を形成する。研磨パッド100は、図示しないモータによって研磨テーブル20が回転することにより、研磨テーブル20と一体に回転する。
【0015】
研磨ヘッド30は、その下面において、基板WFを真空吸着などによって保持する。研磨ヘッド30は、図示しないモータからの動力により基板と共に回転可能に構成されている。研磨ヘッド30の上部は、シャフト31を介して支持アーム34に接続されている。研磨ヘッド30は、図示しないエアシリンダやボールねじを介したモータ駆動によって上下方向に移動可能であり、研磨テーブル20との距離を調整可能である。これにより、研磨ヘッド30は、保持した基板WFを研磨面102に押し当てることができる。また、研磨ヘッド30は図示しないが、その内部に複数の領域に分割されたエアバッグを有し、各エアバッグ領域に任意のエア等の流体圧力を供給することで、基板WFを背面から加圧する。さらに、支持アーム34は、図示しないモータにより旋回可能に構成されており、研磨ヘッド30を研磨面102に平行な方向に移動させる。本実施形態では、研磨ヘッド30は、図示しない基板の受取位置と、研磨パッド100の上方位置とで移動可能に構成されているとともに、研磨パッド100に対する基板WFの押し当て位置を変更可能に構成されている。
【0016】
研磨液供給装置40は、研磨パッド100に研磨液を供給するための研磨液供給部材41を含む。研磨液供給部材41は、研磨面102上の供給位置と、研磨テーブル20の外側の退避位置との間で移動可能に構成されている。研磨液供給装置40の詳細については後述する。
【0017】
アトマイザー50は、旋回軸51に接続されている。アトマイザー50は、図示していないモータなどの駆動機構によって旋回軸51の周りに回転可能になっており、研磨面102上の動作位置と、研磨テーブル20の外側の退避位置との間で移動可能に構成されている。また、アトマイザー50は、図示していないモータなどの駆動機構によって、研磨面102上における動作位置、高さを変更可能に構成されている。
【0018】
研磨装置1は、研磨装置1の動作全般を制御する制御装置200を更に備えている。制御装置200は、CPU、メモリ等を備え、研磨レシピ等のソフトウェアおよび/または予め入力された関連機器のマシンパラメータの情報を用いて所望の機能を実現するマイク
ロコンピュータとして構成されてもよいし、専用の演算処理を行うハードウェア回路として構成されてもよいし、マイクロコンピュータと、専用の演算処理を行うハードウェア回路との組み合わせで構成されてもよい。
【0019】
研磨装置1では、以下のようにして基板WFの研磨が行われる。まず、基板WFを保持する研磨ヘッド30を回転させると共に、研磨パッド100を回転させる。この状態で、研磨液供給装置40を用いて研磨液を供給する。具体的には、研磨液供給部材41は、後述する昇降旋回機構70の旋回機構90によりアーム60が旋回動作をすることで、研磨面102上の所定位置に移動し、さらに昇降機構80により所定高さに下降した後、研磨液の供給を開始する。この際、コンディショニング等で研磨パッド100上に残留した純水や薬液が排除されるとともに、研磨液が研磨面102上に分布することで、研磨液に置換される。なお、研磨液の供給開始から、基板WFの押し当てまでの時間や研磨パッド100の回転数は研磨面102に設けられた溝形状やパッド表面状態により調整する。例えば、溝形状が同心円溝の場合は、研磨液への置換に時間を要するため、研磨パッド100は高回転が望ましいが、研磨液の排除効果も増加してしまうため、60~120rpm、好ましくは80~100rpmが望ましい。また、供給時間は5~15sec程度が好ましい。その後、研磨ヘッド30に保持された基板WFを研磨面102に対して押し当てた後、基板WFの被研磨面が研磨液の存在下で研磨パッド100と接触した状態で、基板WFと研磨パッド100とが回転等の相対移動をする。こうして、基板は研磨される。また、研磨液供給部材41は、研磨終了後は昇降旋回機構70の昇降機構80により上昇し、さらに旋回機構90によるアーム60の旋回動作により研磨パッド100の外側の退避位置に移動された後、洗浄機構300を用いて洗浄される。また、これらの一連の動作シーケンスについては、制御装置200に内在する研磨レシピおよび/または予め設定されたマシンパラメータにて事前に設定可能である。
【0020】
上述の研磨装置1の構成は一例であり、他の構成を採用してもよい。例えば、研磨装置1は、ドレッサーおよび/または温度調節装置などを更に備えてもよいし、アトマイザーを省略してもよい。ドレッサーは、基板WFの研磨間、研磨中において、研磨面102の表面をコンディショニングするものであり、ダイヤモンド砥粒が配置された研磨パッド100よりも小径のディスクを研磨パッド100の研磨面102に押付け、研磨パッド100と相対運動をさせながら、研磨パッド100の研磨面102全面のコンディショニングを行う。ここで、コンディショニングや研磨時においては、研磨液が供給されるが、研磨間においては純水や薬液が供給される。また、温度調節機構は、例えば研磨液供給装置に接続されて、研磨液そのものを加熱冷却するものでも良い。また、温度調節機構は、研磨面102に対して、熱交換体を近接させ、熱交換体内部にヒータ、あるいは、温水乃至冷水のいずれかまたは所定の混合率で調整したものを供給させることで、熱交換体を加温・冷却し、これを研磨面102に伝えることで、研磨面102の温度を調節しても良い。また、温度調節機構は、例えば、研磨パッド100の研磨面102に気体(例えばエア、N2等)を噴射供給することで、研磨面102を冷却することもできる。なお、噴射供給される気体は予め冷却されていてもよい。
【0021】
(研磨液供給装置)
図2は、研磨液供給装置の斜視図である。図3は、昇降旋回機構の構成を示す模式図である。なお、本明細書において、上流および下流は、図1において研磨テーブル20(研磨パッド100)が時計回りに回転する場合の上流および下流を示すものとする。
【0022】
図示されるように、研磨液供給装置40は、研磨液供給部材41と、アーム60と、研磨液供給部材41とアーム60とを連結する連結部材61と、を含んでいる。研磨液供給部材41には、研磨液供給ライン120が接続されている。研磨液供給部材41は、研磨液供給ライン120から供給された研磨液を研磨面102上に吐出する。アーム60の先
端部60aには、連結部材61を介して研磨液供給部材41が取り付けられている。研磨液供給部材41は、連結部材61に対して脱着可能になっており、連結部材61は、アーム60に対して着脱可能になっている。これにより、研磨仕様や基板WF性状に応じて、研磨液供給部材41を取り替えたり、研磨液供給部材41と連結部材61をまとめて取り換えたりすることができる。
【0023】
(昇降旋回機構)
アーム60の基端部60bは、図3に示すように、アーム60を昇降旋回させる昇降旋回機構70に接続されている。昇降旋回機構70は、アーム60を昇降させるための昇降機構80と、アーム60を旋回させるための旋回機構90とを備えている。昇降機構80および旋回機構90は、制御装置200により制御される。
【0024】
昇降機構80は、この例では、フレーム85に固定された昇降シリンダ81を有し、アーム60の基端部60bは、昇降シリンダ81の軸82に固定されている。昇降シリンダ81は、流体ライン130から流体(エアー等の気体、または作動油等の液体)の供給を受け、軸82を進退させるものである。昇降シリンダ81は、例えば、ピストンにより仕切られた2つの室を有し、一方の室には流体ライン130の一方が接続され、他方の室には流体ライン130の他方が接続される。昇降シリンダ81は、一方の室に流体を導入するとともに他方の室から流体を排出し、および、他方の室に流体を導入するとともに一方の室から流体を排出することにより、軸82を進退させる。アーム60は、昇降シリンダ81の軸82進退により、上下方向に移動されるように構成されている。昇降機構80は、アーム60の上下動を案内するボールスプライン83を更に備えている。ボールスプライン83は、フレーム85に固定されている。アーム60の基端部60bは、ボールスプライン83の軸84に篏合され、昇降シリンダ81によるアーム60の上下移動が軸84に沿って案内される。アーム60の上下動を案内する構成は、ボールスプラインに限定されず、任意の案内機構を採用することができ、省略してもよい。また、昇降シリンダ81の軸82の移動を検出してアーム60の高さを検出するためのセンサ86(例えばマグネット式センサ)が設けられている。電気ケーブル140は、センサに接続されるケーブルである。センサは、省略することもできる。昇降機構80は、上述の構成に限定されず、アーム60を昇降可能な構成であれば、任意の構成を採用することが可能である。また、この例では、昇降機構80は昇降シリンダ81による駆動方式を採用するが、ボールねじ、ベルト機構を介したモータ駆動でもよい。本昇降機構80により、研磨液供給部材41は研磨面102から所定高さへの移動が可能となる。ここで、研磨液供給部材41の研磨面102からの高さについては、研磨面102からの距離が近いほど、研磨液供給部材41から供給される研磨液の分布は後述の研磨液供給口414の穴形状および配置に沿った分布になるが、一方で研磨面102からの研磨液の飛散による研磨液供給部材41の汚染の度合いも増加する。よって、例えば、昇降機構80により、研磨液供給部材41の供給面410aは研磨面102から5mm~30mm、好ましくは5mm~15mmの高さに設定される。なお、研磨液供給部材41は、研磨面102に平行になるよう移動させる。
【0025】
また、アーム60の基端部60bは、フレーム85を介してアーム60を旋回させるための旋回機構90に接続されている。この例では、旋回機構90は、例えば、図3に示すように、フレーム85の下部に固定されたシャフト92の下端に接続されたモータ93を有する。モータ93は、例えば、減速機構等を介してシャフト92に接続される。なお、モータ93の軸をシャフト92に直接接続してもよい。アーム60は、モータ93の回転により、シャフト92が回転されることにより、研磨面102に平行な面内で旋回可能に構成されている。このように、アーム60は、研磨パッド100外に配置された旋回軸を中心に旋回可能に構成される。なお、旋回機構90は、上述の構成に限定されず、アーム60を旋回可能な構成であれば、任意の構成を採用することが可能である。また、旋回機構90のモータ93に例えばパルスモータの使用し、パルスモータの入力パルスを調製す
ることで、任意の角度にアーム60を旋回させてもよい。本旋回機構90により、研磨液供給部材41は研磨面102上の所定位置への移動が可能となる。
【0026】
この例では、図2に示すように、アーム60の基端部60b、並びに昇降機構80は、これらの構成を研磨液、水、研磨残渣等の飛散から保護するための防水ボックス71内に収納される。また、図2に示すように、アーム60の基端側は、防水ボックス72により覆われる。なお、アーム60は、金属製であってもよいし、金属に樹脂を貼り付けて構成することもできる。アーム60は、これに限らず、各種の複合材を用いて構成することもできるし、樹脂だけで構成してもよく、金属へ樹脂コーティングを施して構成することもできる。
【0027】
(研磨液供給部材)
次に、研磨液供給部材41の詳細を説明する。図4は、研磨液供給部材の構成を概略的に示す断面図である。図4に示すように、研磨液供給部材41は、供給部材本体410と、パッキン440を介して供給部材本体410と連結されるカバー部材430と、を含む。供給部材本体410は、矩形の板状に形成され、中央に窪みを有する。供給部材本体410の窪み部分には所定方向に沿って配列された複数の研磨液供給口414が形成されている。複数の研磨液供給口414は、研磨液供給部材41が基板WFに対して研磨パッド100の回転上流側に配置された状態において、研磨パッド100の回転方向と交差する方向に配列される。複数の研磨液供給口414は、一例として、開口径が0.3から2mmとなるように形成されるが、任意の開口径を採用することができる。
【0028】
カバー部材430には、研磨液供給ライン120が接続されている。カバー部材430と供給部材本体410との間には、バッファ部(バッファ空間)420が形成される。なお、供給部材本体410には複数の研磨液供給口414が形成されており、カバー部材430とネジ等の締結部材により着脱可能となっている。これにより供給部材本体410を交換することで、所望の研磨液流れのパターンを形成することができる。また、カバー部430についても、アーム60とネジ等の締結部材により着脱可能であり、供給部材本体410の研磨液供給口414の配置に応じて異なるバッファ部420のカバー部材430を選択してもよい。研磨液供給ライン120の基端部には、研磨液供給装置40から供給する研磨液の流量を調整するための流量調整機構125が接続されている。研磨液供給ライン120の先端部は、バッファ部420に開口している。ここで、バッファ部420は、研磨液供給ライン120より供給された研磨液を一時的に蓄えることで、複数の研磨液供給口414へ供給する研磨液の背圧を均一化させる働きを有しており、これにより、研磨液供給ライン120から供給された研磨液は、バッファ部420に蓄えられた後、複数の研磨液供給口414から研磨パッド100上に供給される、なお、図4ではバッファ部420の容積は研磨液供給ライン120からの研磨液の供給量に対して小さくすることで、複数の研磨液供給口414に供給する研磨液の背圧を維持し、かつバッファ部420への研磨液の充填時間を短くすることができるが、一方で流路壁面との摩擦による圧力損失も増加する。よって、圧力損失の影響が大きい場合は、バッファ部420の流路形状を圧力損失が小さい形状に変更してもよい。例えば、図4ではカバー部430に設けられたバッファ部420の上面の断面形状は直線状であるが、研磨液供給ライン120との接続部を要とした扇形形状でもよい。また、複数の研磨液供給口414の開口形状は、例えば円孔であり、また、供給部材本体410の背面410bから供給面410aに向かって直線状に設けてもよい。但し、供給口径が小さい場合は圧力損失が大きくなることから、図4に示すように、供給面410aおよび背面410bの少なくとも一方にテーパ孔やザグリ孔を設けることで、複数の研磨液供給口414の流路の圧力損失を低減させてもよい。また、供給部材本体410の供給面410aについて、図4では平面状であるが、研磨液流量が小さい場合、複数の研磨液供給口414から供給される研磨液が供給部材本体410の供給面410aの濡れ性や表面粗さにより、供給面410aを伝ってしまうことで、所
定の研磨液の供給流量分布が得られないことがある。ここで、供給部材本体410はPEEKやPVC、PP等の樹脂材料で製作されていてもよいが、上記の濡れ性の影響が無視できない場合はPTFEやPCTFE、PFA等のフッ素樹脂材料により製作してもよい。また、図5は、研磨液供給部材41の側面断面を示す図である。図5(a)に示すように、供給部材本体410の供給面410aの短手方向側にテーパ形状等の傾斜を設けてもよく、図5(b)に示すように、供給面410aの複数の研磨液供給口414の周縁部に凸部410cを設けてもよい。また、図5(c)に示すように、供給部材本体410の供給面410aに突起部410dを設け、突起部410dに研磨液供給口414を設けてもよい。突起部410dは、供給部材本体410の供給面410aの長手方向に沿って複数設けることができる。突起部410dは、円柱、四角柱、円錐、四角錐など任意の形状で設けることができる。
【0029】
(洗浄機構)
次に、洗浄機構300の詳細を説明する。図6は、研磨液供給部材41、連結部材61、およびアーム60の洗浄機構300を示す図である。図6に示すように、洗浄機構300は、研磨液供給部材41、連結部材61、およびアーム60の上部および下部に配置された複数の洗浄ノズル301を含み、研磨テーブル20の外側に配置される。洗浄機構300は、基板WFの研磨間において、研磨液供給部材41が旋回機構90により、研磨テーブルの外側に退避した際に研磨液供給部材41、連結部材61、およびアーム60を洗浄する。洗浄ノズル301は円錐型もしくは扇型の少なくとも一方もしくはその組合せからなり、純水301aを供給する。なお、洗浄機構300は洗浄ノズル301による洗浄後に研磨液供給部材41、連結部材61、およびアーム60を乾燥させるための乾燥ノズル302を有してもよい。乾燥ノズル302は円錐型もしくは扇型の少なくとも一方もしくはその組合せからなり、N2もしくは圧縮空気302aを供給する。純水が残留すると、次研磨において、研磨液供給部材41が再度研磨テーブル20上に移動した際に、残留した純水が研磨パッド100の研磨面102に落下することで研磨性能に影響を及ぼしたり、供給面410aに残留すると、研磨液供給口414からの研磨液の流れを乱したりするためである。洗浄ノズル301による洗浄後に乾燥ノズル302にて研磨液供給部材41の供給部材本体410、カバー部430、およびアーム60を乾燥させることで、純水が残留することを抑制できる。
【0030】
本実施形態の研磨液供給装置40は、研磨パッド100と基板WFとが相対運動する際に、複数の研磨液供給口414から供給される研磨液が所定の流量分布となるように研磨液を供給するようになっている。言い換えると、研磨液供給装置40は、基板WFが研磨パッド100上を摺動する軌跡の範囲内において、研磨液が所定の供給流量分布となるように、研磨液を供給する。この点について以下、詳細を説明する。
【0031】
図7は、研磨液の流量分布の一例を模式的に示す図である。図8は、図7の研磨液の流量分布を実現するための複数の研磨液供給口の形成例である。図7に示すように、研磨液供給部材41は、基板WFに対して研磨パッド100の回転上流側に、複数の研磨液供給口414が研磨パッド100の回転方向に交差するように配置される。また、図7,8に示すように、研磨液供給部材41は、複数の研磨液供給口414が、研磨パッド100の径方向に沿った基板WFの直径DIの研磨パッド100の回転軌跡上の対応する範囲DI´に形成されており、範囲DI´における研磨液SLの流量分布が均一になるように研磨液を供給することができる。この流量分布を実現するために、研磨液供給部材41の供給部材本体410は、研磨パッド100の半径に相当する長さを有しており、図8に示すように、複数の研磨液供給口414は、開口径が同一であり、範囲DI´内において、開口中心が均等間隔で配置される。なお、図8では、複数の研磨液供給口414は供給部材本体410の長手方向に一列の直線状に配置され、バッファ部420に接続されているが、例えば複数列に配置されていてもよい。また、配置としては格子配置や千鳥配置であって
もよい。複数の研磨液供給口414を複数列にすることにより、供給される研磨液の研磨パッド102上のカバー率が増加することで、より均一な研磨液の供給量分布を得ることができる。
【0032】
本実施形態によれば、基板WFの直径DIの方向に対して、研磨液SLを均一な流量分布供給することができる。研磨液自身のケミカル性が大きい場合は、均一な流量分布で供給することにより、研磨液供給量分布による、研磨レートプロファイルの変化を低減することができる。また、例えば、研磨パッド100に溝が同心円状に形成されている場合、基板WFの回転を考慮しても、遠心力によって研磨パッド100の半径方向外側へ研磨液が広がりにくい場合がある。その場合は、基板WFの直径範囲をカバーするように、研磨液を供給することで、基板WFの全面に均一に研磨液を供給することが可能となる。なお、複数の研磨液供給口414について、基板WFの研磨パッド100上での軌跡の範囲内に配置することで、余剰な研磨液の供給が抑制され、その結果、研磨液の使用量を削減することができる。
【0033】
図9は、研磨液の流量分布の一例を模式的に示す図である。図10は、図9の研磨液の流量分布を実現するための複数の研磨液供給口の形成例である。図9,10に示すように、研磨液供給装置40は、複数の研磨液供給口414が、研磨パッド100の径方向に沿った研磨パッド100の回転中心に近い側の基板WFの半径RAの研磨パッド100の回転軌跡上の対応する範囲RA´に形成され、範囲RA´における研磨液SLの流量分布が均一になるように研磨液を供給することができる。ここで、範囲RA´の一端は基板WFの回転中心の研磨パッド100上での軌跡(破線)の一端に位置している。この流量分布を実現するために、研磨液供給部材41の供給部材本体410は、研磨パッド100の半径の半分よりも僅かに長い長さを有しており、図10に示すように、複数の研磨液供給口414は開口径が同一であり、範囲RA´内において、開口中心が均等間隔で配置される。
【0034】
本実施形態によれば、基板WFの半径分のみ、研磨液SLを均一な流量分布にて供給することができる。研磨液自身のケミカル性が大きい場合は、均一な流量分布で供給することにより、研磨液の供給量分布による、研磨レートプロファイルの変化を低減することができる。研磨条件(例えば研磨パッド100に形成された溝形状や基板WF、研磨テーブル20の回転数、研磨ヘッド30のリテーナリングの溝形状など)によっては、基板WFの回転による研磨液の研磨ヘッド30内での回り込みにより、基板WFの全面に対して均一に研磨液を供給することが可能である。また、本実施形態によれば、余剰な研磨液の供給が抑制され、その結果、研磨液の使用量を削減することができる。
【0035】
図11は、研磨液の流量分布の一例を模式的に示す図である。図12は、図11の研磨液の流量分布を実現するための複数の研磨液供給口の形成例である。図11,12に示すように、研磨液供給装置40は、複数の研磨液供給口414が基板WFの回転中心CTの研磨パッド100の回転軌跡(破線)上の対応する位置CT´から研磨パッド100の径方向に沿った基板WFの両外周EG1,EG2に対応する位置EG1´,EG2´に向かって等距離の範囲に(左右対称に)形成され、この範囲において位置CT´から位置EG1´,EG2´に向かって研磨液SLの流量が増加するように研磨液を供給することができる。この流量分布を実現するために、研磨液供給部材41の供給部材本体410は、研磨パッド100の半径に相当する長さを有している。また、図12(a)に示すように、複数の研磨液供給口414は、位置CT´から位置EG1´,EG2´に向かって、開口中心が均等間隔で配置されるとともに連続的に開口径が増加する。ただし、図12(a)の例に限らず、位置CT´から位置EG1´,EG2´に向かって、開口径が一定数毎に(非連続で)増加してもよい。また、図12(b)に示すように、複数の研磨液供給口414は、開口径が同一であり、位置CT´から位置EG1´,EG2´に向かって、各研
磨液供給口414の開口中心間の間隔(複数の研磨液供給口414のピッチ)が減少してもよい。さらに、図12(c)に示すように、複数の研磨液供給口414は、開口径が同一であり、位置CT´から位置EG1´,EG2´に向かって、複数列にするなど、単位面積当たりの各研磨液供給口414の数を連続的または一定数毎に増加してもよい。
【0036】
本実施形態によれば、基板WFの回転中心に対して、同一の半径(<基板WFの半径)の範囲内に、研磨液を基板WFの半径方向に対して増加するように供給することができる。研磨条件(例えば研磨パッド100に形成された溝形状や基板WF、研磨テーブル20の回転数、研磨ヘッド30のリテーナリングの溝形状など)によっては、基板WFの回転による研磨液の研磨ヘッド30内での回り込みにより、基板WFの全面に対して均一に研磨液を供給することが可能であるが、研磨パッド100の回転による遠心力を考慮した場合に、基板WFの回転中心部に過剰な研磨液が供給される場合がある。この場合は、本分布にすることにより、基板WF内において、研磨液量の分布が均一になるが、例えば、研磨パッド100に形成された溝が同心円状の溝の場合、遠心力による研磨パッド半径方向へ研磨液が基板WFの回転を考慮しても広がりにくい場合がある。その場合は、基板WFの直径範囲をカバーするように研磨液を供給することで、基板WFの全面に対して研磨液分布を形成することが可能となる。また、本実施形態によれば、余剰な研磨液の供給が抑制され、その結果、研磨液の使用量を削減することができる。
【0037】
図13は、研磨液の流量分布の一例を模式的に示す図である。図14は、図13の研磨液の流量分布を実現するための複数の研磨液供給口の形成例である。図13,14に示すように、研磨液供給装置40は、複数の研磨液供給口414が、研磨パッド100の径方向に沿った研磨パッド100の回転中心に近い側の基板WFの半径RAの研磨パッド100の回転軌跡上の対応する範囲RA´に形成され、範囲RA´において基板WFの回転中心CTの研磨パッド100の回転軌跡(破線)上の対応する位置CT´から研磨パッド100の径方向に沿った研磨パッド100の回転中心に近い側の基板WFの外周EG1に対応する位置EG1´に向かって研磨液SLの流量が増加するように研磨液を供給することができる。この流量分布を実現するために、研磨液供給部材41の供給部材本体410は、研磨パッド100の半径の半分よりも僅かに長い長さを有しており、図14(a)に示すように、複数の研磨液供給口414は、位置CT´から位置EG1´に向かって、開口中心が均等間隔で配置されるとともに開口径が連続的に増加する。また、図14(b)に示すように、複数の研磨液供給口414は、開口径が同一であり、位置CT´から位置EG1´に向かって、各研磨液供給口414の開口中心間の間隔が、連続的に減少してもよい。また図示はしないが、複数の研磨液供給口414は、開口径が同一であり、位置CT´から位置EG1´に向かって、複数列にするなど、単位面積当たりの各研磨液供給口414の数を連続的または一定数毎に増加してもよい。
【0038】
本実施形態によれば、基板WFの半径分のみに、研磨液を基板WFの半径方向に対して増加するように供給することができる。研磨条件(例えば研磨パッド100に形成された溝形状や基板WF、研磨テーブル20の回転数、研磨ヘッド30のリテーナリングの溝形状など)によっては、基板WFの回転による研磨液の研磨ヘッド30内での回り込みにより、基板WFの全面に対して均一に研磨液を供給することが可能であるが、研磨パッド100の回転による遠心力を考慮した場合に、基板WFの回転中心部に過剰な研磨液が供給される場合がある。この場合は、本分布にすることにより、基板WF内において、研磨液の量の分布を均一にすることができる。また、本実施形態によれば、余剰な研磨液の供給が抑制され、その結果、研磨液の使用量を削減することができる。
【0039】
図15は、研磨液の流量分布の一例を模式的に示す図である。図16は、図15の研磨液の流量分布を実現するための複数の研磨液供給口の形成例である。図15,16に示すように、研磨液供給装置40は、複数の研磨液供給口414が、研磨パッド100の径方
向に沿った基板WFの直径DIの研磨パッド100の回転軌跡上の対応する範囲DI´に形成されており、範囲DI´において研磨パッド100の回転中心に近い側の基板WFの外周EG1に対応する位置EG1´から、研磨パッド100の回転中心から遠い側の基板WFの外周EG2に対応する位置EG2´に向かって、研磨液SLの流量が増加するように研磨液を供給することができる。この流量分布を実現するために、研磨液供給部材41の供給部材本体410は、研磨パッド100の半径に相当する長さを有しており、図16に示すように、複数の研磨液供給口414は、開口径が同一であり、位置EG1´から位置EG2´に向かって、各研磨液供給口414の開口中心間の間隔が連続的に減少する。また、これに限らず、複数の研磨液供給口414は、位置EG1´から位置EG2´に向かって、開口中心が均等間隔で配置されるとともに開口径が連続的または一定数毎に増加してもよい。
【0040】
本実施形態によれば、研磨パッド100の外周方向に向かって、研磨液の供給流量が増加する流量分布にて研磨液を供給することができる。研磨パッド100の周長を考慮すべき場合、周長が大きい研磨パッド100の外周部では内周よりも必要研磨液量が多くなるため、本分布にすることで、研磨パッド100の各周長における研磨液の量の分布を均一にすることができる。また、本実施形態によれば、余剰な研磨液の供給が抑制され、その結果、研磨液の使用量を削減することができる。
【0041】
図17は、研磨液の流量分布の一例を模式的に示す図である。図18は、図17の研磨液の流量分布を実現するための複数の研磨液供給口の形成例である。図17,18に示すように、研磨液供給装置40は、複数の研磨液供給口414が基板WFの回転中心CTの研磨パッド100の回転軌跡(破線)上の対応する位置CT´に関して対称な範囲に形成され、この範囲における研磨液SLの流量分布が均一になるように研磨液を供給することができる。この流量分布を実現するために、研磨液供給部材41の供給部材本体410は、図7,8に示すものより短く図9,10に示すものよりも長い長さを有しており、図18に示すように、複数の研磨液供給口414は、開口径が同一であり、位置CT´に関して対称な範囲において開口中心が均等間隔で配置される。
【0042】
本実施形態によれば、基板WFの回転中心に対して、同一の半径(<基板WF半径)の範囲内に、研磨液を均一な流量分布にて供給することができる。研磨液自身のケミカル性が大きい場合は、均一な流量分布で供給することにより、研磨液供給量分布による、研磨レートプロファイルの変化を低減することができる。また、例えば、研磨パッド100に溝が同心円状に形成されている場合、基板WFの回転を考慮しても、遠心力によって研磨パッド100の半径方向外側へ研磨液が広がりにくい場合がある。その場合は、基板WFの直径範囲をカバーするように研磨液を供給することで、基板WFの全面に均一に研磨液を供給することが可能となるが、研磨パッド100上にて研磨液が通過する基板WFの円弧長さを考慮すると、基板WF端部は円弧長が短いことから、基板WF端部は研磨液の供給量が過多になる場合がある。この場合は、供給範囲を基板WF径よりも小さい範囲で研磨液を供給することで、基板WFの端部への余剰な研磨液供給が抑制され、その結果、研磨液の使用量を削減することができる。図7図18を用いて説明したように、本実施形態によれば、複数の研磨液供給口414の開口径を一定にする/変える、複数の研磨液供給口414のピッチを一定にする/変える、または複数の研磨液供給口414を単列/複列に配置することによって、研磨液の所望の流量分布を実現することができる。なお、複数の研磨液供給口414は、図7図18の実施形態に記載した配置に限定されず、開口径を一定にする/変える、ピッチを一定にする/変える、または単列/複列に配置することを複合的に組み合わせて研磨液の所望の流量分布を実現してもよい。また、供給部材本体410、カバー部430は、そのパッド投影面形状を、図7図18では長辺方向に直線形状の長方形としているが、仕様によっては長方形に限らない。例えば曲線形状でもよい。
【0043】
図19は、研磨液供給部材41の揺動による研磨液の流れを模式的に示す図である。図19(a)に示すように、研磨液供給部材41は、アーム60の旋回運動により研磨パッド100上において、第1の位置PT1と第2の位置PT2との間で揺動可能である。図19(b)に示すように、研磨液供給部材41が第1の位置PT1もしくは第2の位置PT2に配置されている状態では、複数の研磨液供給口414から供給される研磨液SL1やSL2の流れの間に間隔があり、研磨液の流れが不連続になるおそれがある。一方、研磨液供給部材41が第1の位置PT1と第2の位置PT2との間で揺動している状態では、複数の研磨液供給口414から供給される研磨液の流れがSL1とSL2に交互にかつ連続的に変化するようになるので、研磨液の流れを連続的にすることができる。
【0044】
以上のように、本実施形態によれば、複数の研磨液供給口414から研磨液を供給するため、研磨条件(例えば、研磨パッド100に形成された溝や基板WF、研磨テーブル20の回転数)によっては、研磨液供給口414間の研磨液量が不連続になる場合がある。これに対して、本実施形態のように、研磨液供給部材41が接続されるアーム60を揺動させることで、各研磨液供給口414から供給される研磨液の軌跡を連続的に変化させることができるので、研磨液量の不連続を解消することができる。ここで、アーム60の揺動運動については、制御装置200内の研磨レシピやマシンパラメータにて制御され、この場合、揺動距離もしくは揺動範囲、および揺動速度がパラメータとなる。なお、揺動距離ついては、基本的に研磨液供給口414の研磨パッド100半径方向に対するピッチの整数倍が望ましい。また、研磨時においては、研磨液供給部材41の揺動とともに、支持アーム34を揺動させることで研磨ヘッド30を同時に揺動させてもよい。
【0045】
図20は、研磨液供給部材41のスライド移動を模式的に示す図である。図20(a)~図20(c)に示すように、研磨液供給部材41は、研磨パッド100に対向して配置された状態において、複数の研磨液供給口414が配列された第1の方向(仮想軸BBの方向)、研磨パッド100の研磨面に対して垂直な第2の方向(仮想軸CCの方向)、および第1の方向と第2の方向と直交する第3の方向(仮想軸AAの方向)、のそれぞれに対してスライド移動可能に構成される。
【0046】
研磨液供給部材41のスライド移動は、例えば、研磨液供給部材41と連結部材61、または連結部材61とアーム60をねじ等によって締結する場合には、締結する部材に形成した長孔を用いて実現することができる。すなわち、締結する両部材のうちの少なくとも一方に、仮想軸AA、BB、CCの方向に伸びる長孔を形成し、長孔の長さの分だけ研磨液供給部材41の位置を調整して固定できるようにすることによって、研磨液供給部材41のスライド移動を実現することができる。また、研磨液供給部材41と連結部材61、または連結部材61とアーム60を摩擦によるクランプ等で締結する場合には、連結部材61に対する研磨液供給部材41の締結位置、またはアーム60に対する連結部材61の締結位置を仮想軸AA、BB、CCに沿って調整することによって、研磨液供給部材41のスライド移動を実現することができる。また、研磨液供給部材41のスライド移動は、これに限らず、アクチュエータなどの任意の駆動機構、またはリニアガイド、リンク機構、スプライン、ボールねじ、ねじとスプリング、カムなどの任意の位置調整機構を用いて実現することもできる。
【0047】
図21は、研磨液供給部材41の角度調整を模式的に示す図である。図21(a)~図21(c)に示すように、研磨液供給部材41は、研磨パッド100に対向して配置された状態において、複数の研磨液供給口414が配列された第1の方向、研磨パッド100の研磨面に対して垂直な第2の方向、および第1の方向と第2の方向と直交する第3の方向、のそれぞれの仮想軸BB、CC、AAに対して回転可能に構成される。
【0048】
研磨液供給部材41の角度調整は、例えば、研磨液供給部材41を仮想軸AA、BB、CCに沿って伸びる軸によって支持して軸周りに回転可能にし、研磨液供給部材41を所望の角度で固定できるようにすることによって実現することができる。また、研磨液供給部材41と連結部材61、または連結部材61とアーム60を、ボールジョイントなどを用いて連結することによって研磨液供給部材41を仮想軸AA、BB、CC周りに回転可能にしてもよい。また、研磨液供給部材41の角度調整は、これに限らず、アクチュエータなどの任意の駆動機構を用いて実現することもできる。
【0049】
これらのスライド移動および角度調整が可能であることで、後述の図23のように複数の研磨装置1-A~1-Cに研磨液供給装置40が搭載されている場合においても、所定の研磨液流れが調整可能となり、研磨装置間の研磨性能差を低減することが可能となる。
【0050】
また、研磨液供給部材41の研磨パッド100の回転方向に対する角度を変更することで、研磨液の研磨面102上の分布を変更することが可能となる。図22は、研磨液供給部材41の角度調整による研磨液の分布の相違を模式的に示す図である。図22(a)は、研磨液供給部材41の角度調整を行わず、研磨パッド100に対して垂直に研磨液SLを供給した状態を示している。また、図22(b)は、複数の研磨液供給口414が研磨パッド100の回転上流側に向くように研磨液供給部材41を仮想軸BBに対して角度調整を行い、研磨パッド100の回転上流側に対して研磨液SLを供給した状態を示している。
【0051】
本実施形態によれば、研磨液供給部材41の研磨パッド100に対する角度を変更することにより、供給される研磨液の研磨パッド半径方向の分布を変更することが可能である。具体的には、図22(b)に示すように、研磨液供給口414の角度を研磨パッド100の回転上流側に向けて研磨液を供給する場合、供給された研磨液は研磨パッド100の回転下流側に移動するが、その際に供給された研磨液の流れを避けるように外側に広がって移動する。これにより、研磨パッド100の研磨面に対して垂直に供給するよりも、研磨液は研磨パッド100の半径方向に広がる形で基板WFに供給されることになるので、研磨パッド100の半径方向の研磨液供給量分布がより均一化される。なお、本実施形態では、研磨液供給部材41の回転角度θは約30°であるが、回転角度θは任意に設定することができる。
【0052】

図23は、一実施形態としての処理システムの概略構成を示す平面図である。図示の処理システム1000は、本明細書で説明されるような、基板WFを研磨処理する研磨装置1-A~1-Cと、基板WFを洗浄するための洗浄装置350-A,350-Bと、基板WFの搬送装置としてのロボット400と、基板WFのロードポート500と、乾燥装置600と、を有する。かかるシステム構成において、処理される基板WFは、ロードポート500に入れられる。ロードポート500にロードされた基板WFは、ロボット400により研磨装置1-A~1-Cのいずれかに搬送され、研磨処理が行われる。基板WFは、複数の研磨装置で順次研磨処理されてもよい。研磨処理が行われた基板WFは、ロボット400により洗浄装置350-A,350-Bのいずれかに搬送され、洗浄される。基板WFは、洗浄装置350-A,350-Bで順次洗浄されてもよい。洗浄処理が行われた基板WFは、乾燥装置600へ搬送されて、乾燥処理が行われる。乾燥した基板WFは、再びロードポート500に戻される。
【0053】
以上、いくつかの本発明の実施形態について説明してきたが、上記した発明の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に
記載された各構成要素の任意の組み合わせ、または、省略が可能である。
【0054】
本願は、一実施形態として、研磨パッドを支持するためのテーブルと、対象物を保持するための研磨ヘッドと、前記研磨パッドと前記対象物との間に研磨液を供給するための研磨液供給装置と、を含み、研磨液の存在下で前記研磨パッドと前記対象物とを接触させて互いに回転運動させることにより前記対象物の研磨を行う研磨装置であって、前記研磨液供給装置は、前記対象物に対して前記研磨パッドの回転上流側に配置された状態において、前記研磨パッドの回転方向と交差する方向に配列された複数の研磨液供給口を有し、前記複数の研磨液供給口から供給される研磨液が所定の流量分布となるように研磨液を供給する、研磨装置を開示する。
【0055】
また、本願は、一実施形態として、前記研磨液供給装置は、研磨液を供給するための研磨液供給部材と、前記研磨液供給部材を保持するためのアームと、前記研磨液供給部材から供給する研磨液の流量を調整するための流量調整機構と、を含み、前記アームは、前記研磨パッド外に配置された旋回軸を中心に旋回可能に構成され、前記研磨液供給部材は、前記複数の研磨液供給口と、前記流量調整機構と前記複数の研磨液供給口に接続されたバッファ部と、を含む、研磨装置を開示する。
【0056】
また、本願は、一実施形態として、前記複数の研磨液供給口は、開口径が0.3から2mmである、研磨装置を開示する。
【0057】
また、本願は、一実施形態として、前記複数の研磨液供給口が前記対象物の直径に対応する範囲に形成され、前記範囲における研磨液の流量分布が均一になるように研磨液を供給する、研磨装置を開示する。
【0058】
また、本願は、一実施形態として、前記研磨液供給装置は、前記複数の研磨液供給口が前記研磨パッドの回転中心に近い側の前記対象物の半径に対応する範囲に形成され、前記範囲における研磨液の流量分布が均一になるように研磨液を供給する、研磨装置を開示する。
【0059】
また、本願は、一実施形態として、前記複数の研磨液供給口は開口径が同一であり、前記対象物の直径に対応する範囲、または、前記研磨パッドの回転中心に近い側の前記対象物の半径に対応する範囲において、均等間隔で配置されている、研磨装置を開示する。
【0060】
また、本願は、一実施形態として、前記研磨液供給装置は、前記複数の研磨液供給口が前記対象物の回転中心の前記研磨パッドの回転軌跡上の対応する位置から前記対象物の両外周に対応する位置に向かって等距離の範囲に形成され、前記範囲において前記対象物の回転中心の前記研磨パッドの回転軌跡上の対応する位置から前記対象物の両外周に対応する位置に向かって研磨液の流量が増加するように研磨液を供給する、研磨装置を開示する。
【0061】
また、本願は、一実施形態として、前記研磨液供給装置は、前記複数の研磨液供給口が前記研磨パッドの回転中心に近い側の前記対象物の半径に対応する範囲に形成され、前記範囲において前記対象物の回転中心の前記研磨パッドの回転軌跡上の対応する位置から前記研磨パッドの回転中心に近い側の前記対象物の外周に対応する位置に向かって研磨液の流量が増加するように研磨液を供給する、研磨装置を開示する。
【0062】
また、本願は、一実施形態として、前記複数の研磨液供給口は、前記対象物の回転中心の前記研磨パッドの回転軌跡上の対応する位置から前記対象物の両外周に対応する位置に向かって、または、前記対象物の回転中心の前記研磨パッドの回転軌跡上の対応する位置
から前記研磨パッドの回転中心に近い側の前記対象物の外周に対応する位置に向かって、開口中心が均等間隔で配置されるとともに開口径が連続的または一定数毎に増加する、研磨装置を開示する。
【0063】
また、本願は、一実施形態として、前記複数の研磨液供給口は、開口径が同一であり、前記対象物の回転中心の前記研磨パッドの回転軌跡上の対応する位置から前記対象物の両外周に対応する位置に向かって、または、前記対象物の回転中心の前記研磨パッドの回転軌跡上の対応する位置から前記研磨パッドの回転中心に近い側の前記対象物の外周に対応する位置に向かって、各研磨液供給口の間隔が、連続的または一定数毎に減少する、研磨装置を開示する。
【0064】
また、本願は、一実施形態として、前記研磨液供給装置は、前記複数の研磨液供給口が前記対象物の直径に対応する範囲に形成され、前記範囲において前記研磨パッドの回転中心に近い側の前記対象物の外周に対応する位置から、前記研磨パッドの回転中心から遠い側の前記対象物の外周に対応する位置に向かって、研磨液の流量が増加するように研磨液を供給する、研磨装置を開示する。
【0065】
また、本願は、一実施形態として、前記複数の研磨液供給口は、前記研磨パッドの回転中心に近い側の前記対象物の外周に対応する位置から、前記研磨パッドの回転中心から遠い側の前記対象物の外周に対応する位置に向かって、開口中心が均等間隔で配置されるとともに開口径が連続的または一定数毎に増加する、研磨装置を開示する。
【0066】
また、本願は、一実施形態として、前記複数の研磨液供給口は、開口径が同一であり、前記研磨パッドの回転中心に近い側の前記対象物の外周に対応する位置から、前記研磨パッドの回転中心から遠い側の前記対象物の外周に対応する位置に向かって、各研磨液供給口の間隔が、連続的または一定数毎に減少する、研磨装置を開示する。
【0067】
また、本願は、一実施形態として、前記研磨液供給部材は、前記アームの旋回運動により前記研磨パッド上で揺動可能である、研磨装置を開示する。
【0068】
また、本願は、一実施形態として、前記研磨液供給部材は、前記複数の研磨液供給口が配列された第1の方向、前記研磨パッドの研磨面に対して垂直な第2の方向、および前記第1の方向と前記第2の方向と直交する第3の方向、のそれぞれに対してスライド移動可能に構成される、研磨装置を開示する。
【0069】
また、本願は、一実施形態として、前記研磨液供給部材は、前記複数の研磨液供給口が配列された第1の方向、前記研磨パッドの研磨面に対して垂直な第2の方向、および前記第1の方向と前記第2の方向と直交する第3の方向、のそれぞれの仮想軸に対して回転可能に構成される、研磨装置を開示する。
【0070】
また、本願は、一実施形態として、前記アームの旋回運動により前記研磨パッド外に旋回された前記研磨液供給装置に対して洗浄液を供給するための洗浄機構をさらに含む、研磨装置を開示する。
【0071】
また、本願は、一実施形態として、対象物を処理する処理システムであって、上記のいずれかに記載の研磨装置と、前記研磨装置によって研磨された対象物を洗浄するための洗浄装置と、前記洗浄装置によって洗浄された対象物を乾燥するための乾燥装置と、前記研磨装置、前記洗浄装置、および前記乾燥装置間で前記対象物を搬送するための搬送装置と、前記研磨装置、前記洗浄装置、および前記乾燥装置間で前記対象物を搬送するための搬送装置と、を含む処理システムを開示する。
【符号の説明】
【0072】
1,1-A,1-B,1-C 研磨装置
20 研磨テーブル
30 研磨ヘッド
31 シャフト
34 支持アーム
40 研磨液供給装置
41 研磨液供給部材
50 アトマイザー
51 旋回軸
60 アーム
60a 先端部
60b 基端部
61 連結部材
70 昇降旋回機構
80 昇降機構
81 昇降シリンダ
82 軸
83 ボールスプライン
84 軸
85 フレーム
86 センサ
90 旋回機構
92 シャフト
93 モータ
100 研磨パッド
102 研磨面
120 研磨液供給ライン
125 流量調整機構
130 流体ライン
140 電気ケーブル
200 制御装置
300 洗浄機構
301 洗浄ノズル
302 乾燥ノズル
350-A,350-B 洗浄装置
400 ロボット(搬送装置)
410 供給部材本体
410a 供給面
410b 背面
410c 凸部
410d 突起部
414 研磨液供給口
420 バッファ部
430 カバー部材
440 パッキン
500 ロードポート
600 乾燥装置
1000 処理システム
AA,BB,CC 仮想軸
DI 直径
RA 半径
WF 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23