(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】骨格型FERを有するゼオライト材料の製造方法
(51)【国際特許分類】
C01B 39/48 20060101AFI20240527BHJP
B01J 29/70 20060101ALI20240527BHJP
B01D 53/94 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
C01B39/48
B01J29/70 A
B01D53/94 222
(21)【出願番号】P 2021528491
(86)(22)【出願日】2019-07-26
(86)【国際出願番号】 EP2019070157
(87)【国際公開番号】W WO2020021054
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2022-07-11
(32)【優先日】2018-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(72)【発明者】
【氏名】パルフレスク,アンドレイ-ニコラエ
(72)【発明者】
【氏名】マクガイア,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー,ウルリヒ
(72)【発明者】
【氏名】クロマー,アレクサンダー
【審査官】▲高▼橋 真由
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-533776(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102530979(CN,A)
【文献】特表2016-513060(JP,A)
【文献】特表2017-510556(JP,A)
【文献】特表2017-532282(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0311654(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 39/48
B01J 29/70
B01D 53/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨格型FERを有し且つケイ素、アルミニウム、および酸素を含む骨格構造を有するゼオライト材料を製造する方法であって、前記方法が、
(i) 水と、FER以外の骨格型を有し且つケイ素、アルミニウム、および酸素を含む骨格構造を有するゼオライト材料と、FER以外の骨格型を有する前記ゼオライト材料以外のケイ素源と、ピペリジンを含む有機構造指向剤と、アルカリ金属源と、塩基源とを含む、水性合成混合物を調製する工程、
(ii) 工程(i)により調製した水性合成混合物を水熱合成条件に供する工程であって、前記合成混合物を140~190℃の範囲の温度に加熱し、前記合成混合物をこの範囲の温度で自己発生圧力下に維持して、骨格型FERを有するゼオライト材料を含む固体材料を含む母液を得る工程、
を含み、
工程(i)で調製し工程(ii)に供する混合物において、FER以外の骨格型を有する前記ゼオライト材料の骨格型が、FAUまたはCHAまたはLEVまたはAEIである骨格型であり、
FER以外の骨格型を有する前記ゼオライト材料の骨格型がCHAである場合、前記ゼオライト材料の骨格構造において、SiO
2:Al
2O
3として計算されるケイ素のアルミニウムに対するモル比が5:1~30:1の範囲にあり、
FER以外の骨格型を有する前記ゼオライト材料の骨格型がFAUである場合、前記ゼオライト材料の骨格構造において、SiO
2:Al
2O
3として計算されるケイ素のアルミニウムに対するモル比が2:1~8:1の範囲にあり、
FER以外の骨格型を有する前記ゼオライト材料の骨格型がAEIである場合、前記ゼオライト材料の骨格構造において、SiO
2:Al
2O
3として計算されるケイ素のアルミニウムに対するモル比が2:1~30:1の範囲にあり、
FER以外の骨格型を有する前記ゼオライト材料の骨格型がLEVである場合、前記ゼオライト材料の骨格構造において、SiO
2:Al
2O
3として計算されるケイ素のアルミニウムに対するモル比が2:1~30:1の範囲にある、方法。
【請求項2】
工程(i)で調製し工程(ii)に供する混合物において、FER以外の骨格型を有する前記ゼオライト材料の骨格型がCHAであり、FER以外の骨格型を有する前記ゼオライト材料の骨格構造において、SiO
2:Al
2O
3として計算されるケイ素のアルミニウムに対するモル比が6:1~9:1の範囲にある、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(i)で調製し工程(ii)に供する混合物において、FER以外の骨格型を有する前記ゼオライト材料の骨格型がFAUであり、FER以外の骨格型を有する前記ゼオライト材料の骨格構造において、SiO
2:Al
2O
3として計算されるケイ素のアルミニウムに対するモル比が2:1~7:1の範囲にある、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
工程(i)で調製し工程(ii)に供する混合物において、FER以外の骨格型を有する前記ゼオライト材料の骨格型がAEIであり、FER以外の骨格型を有する前記ゼオライト材料の骨格構造において、SiO
2:Al
2O
3として計算されるケイ素のアルミニウムに対するモル比が5:1~20:1の範囲にある、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
工程(i)で調製し工程(ii)に供する混合物において、FER以外の骨格型を有する前記ゼオライト材料の骨格型がLEVであり、FER以外の骨格型を有する前記ゼオライト材料の骨格構造において、SiO
2:Al
2O
3として計算されるケイ素のアルミニウムに対するモル比が5:1~28:1の範囲にある、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
工程(i)で調製し工程(ii)に供する混合物において、前記ピペリジンを含む有機構造指向剤の95~100質量%がピペリジンからなる、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
工程(i)で調製し工程(ii)に供する混合物において、FER以外の骨格型を有する前記ゼオライト材料以外のケイ素源が、シリケート、シリカゲル、シリカゾル、およびシリカ粉末のうちの1種以上を含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
工程(i)で調製し工程(ii)に供する合成混合物において、FER以外の骨格型を有する前記ゼオライト材料の前記塩基源に対する質量比が、1:1~1:4の範囲にある、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
工程(i)による混合物の調製が、
(i.1) 水を前記アルカリ金属源および前記塩基源と混合し、第1の混合物を得る工程、
(i.2) FER以外の骨格型を有する前記ゼオライト材料以外のケイ素源を前記第1の混合物に加え、第2の混合物を得る工程、
(i.3) FER以外の骨格型を有する前記ゼオライト材料を前記第2の混合物に加え、第3の混合物を得る工程、
(i.4) 前記ピペリジンを含む有機構造指向剤を前記第3の混合物に加え、第4の混合物を得る工程
を含み、
または工程(i)による混合物の調製が、
(i.1’) 水を前記アルカリ金属源および前記塩基源と混合し、第1の混合物を得る工程、
(i.2’) 前記ピペリジンを含む有機構造指向剤およびFER以外の骨格型を有する前記ゼオライト材料を前記第1の混合物に加え、第2の混合物を得る工程、
(i.3’) FER以外の骨格型を有する前記ゼオライト材料以外のケイ素源を前記第2の混合物に加え、第3の混合物を得る工程、
を含む、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
(iv) 工程(ii)から得られた前記母液から、前記固体材料を分離する工程
をさらに含む、請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
(v) 工程(iv)から得られた固体材料をか焼する工程
をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
(vi) 工程(iv)または工程(v)から得られた固体材料を、イオン交換条件に供する工程
をさらに含む、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
工程(vi)が、
(vi.1) 工程(iv)または(v)から得られた固体材料をイオン交換条件に供する工程であって、アンモニウムイオンを含む溶液を、工程(iv)または(v)から得られた固体材料と接触させて、固体材料をそのアンモニウム型で得ることを含む工程、
(vi.4) 工程(vi.1)で得られた固体材料をイオン交換条件に供する工程であって、1種以上の遷移金属のイオンを含む溶液をもたらすことを含む工程、
を含む、請求項12に記載の方法
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨格型FERを有し且つケイ素、アルミニウム、および酸素を含む骨格構造を有するゼオライト材料を製造する方法に関する。さらに、本発明は、前記方法によって得られるまたは得ることができる、骨格型FERを有するゼオライト材料を含む固体材料に関し、および前記方法において使用する水溶液に関する。さらに本発明は、前記固体材料を触媒活性材料として、触媒として、または触媒成分として使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ゼオライトは、シリカ源、アルミニウム源、および任意に有機テンプレートを含有する水溶液の水熱処理によってしばしば合成される。目標の構造を得るには、有機テンプレートの構造、温度、結晶化時間など、複数のパラメータを適切に制御する必要がある。例えば、Haiyan Zhangら、Organotemplate-free synthesis of high-silica ferrierite zeolite induced by CDO-structure zeolite buikding units,J.Mater.Chem.,2011,21,9494は、テンプレートなしでCOD種結晶を使用した、骨格型FERを有するゼオライト材料の合成を開示している。
【0003】
Zhenchao Zhaoら、「Insights into the topotactic conversion process from layered silicate RUB-36 to FER-type zeolite by layer assembly」、Chem.Mater.,2013,25,840-847は、界面活性剤の存在下でフェリエライトの層状前駆体を使用した、層状シリケートRUB-36のトポタクティック転化に基づく骨格型FERを有するゼオライト材料の、別の種類の合成を開示している。
【0004】
Gabrielly Pal-Borbelyら、「Solid-state recrystallization of aluminum-containing kanemite varieties to ferrierite」,Microporous and Mesoporous Materials 35-36(2000),573-584は、ピペリジンをテンプレートとして使用する骨格型FERを有するゼオライト材料の固体合成を開示している。ただし、高温での再結晶化の前に、テンプレートの沸点付近で熱的に前処理が実行されることが条件である。
【0005】
Yu Wangら、「ZSM-5 and ferrierite synthesized by magadiite conversion method in 1,6-hexethylenediamine system」、Microporous and Mesoporous Materials 208(2015),66-71は、1,6-ヘキサエチレンジアミンシステムを使用したフェリエライトの合成を開示している。しかしながら、新規特性および/または活性を表すであろう骨格型FERを有するゼオライト材料を製造するための改善された方法は、依然として提供する必要がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】Haiyan Zhangら、Organotemplate-free synthesis of high-silica ferrierite zeolite induced by CDO-structure zeolite buikding units,J.Mater.Chem.,2011,21,9494
【文献】Zhenchao Zhaoら、「Insights into the topotactic conversion process from layered silicate RUB-36 to FER-type zeolite by layer assembly」、Chem.Mater.,2013,25,840-847
【文献】Gabrielly Pal-Borbelyら、「Solid-state recrystallization of aluminum-containing kanemite varieties to ferrierite」、Microporous and Mesoporous Materials 35-36(2000),573-584
【文献】Yu Wangら、「ZSM-5 and ferrierite synthesized by magadiite conversion method in 1,6-hexethylenediamine system」、Microporous and Mesoporous Materials 208(2015),66-71
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って本発明の目的は、新規特性および/または活性を呈する、骨格型FERを有し且つケイ素、アルミニウム、および酸素を含む骨格構造を有するゼオライト材料を製造するための改善された方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
従って本発明は、骨格型FERを有し且つケイ素、アルミニウム、および酸素を含む骨格構造を有するゼオライト材料を製造する方法に関し、前記方法は、
(i) 水と、FER以外の骨格型を有し且つケイ素、アルミニウム、および酸素を含む骨格構造を有するゼオライト材料と、FER以外の骨格型を有するゼオライト材料以外のケイ素源と、ピペリジンを含む有機構造指向剤と、アルカリ金属源と、塩基源とを含む、水性合成混合物を調製する工程、
(ii) 工程(i)により調製した水性合成混合物を水熱合成条件に供する工程であって、合成混合物を140~190℃の範囲の温度に加熱し、合成混合物をこの範囲の温度で自己発生圧力下に維持して、骨格型FERを有するゼオライト材料を含む固体材料を含む母液を得る工程、
を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、参考例3によりそれぞれ得られたCHAゼオライト材料のXRDパターンを示す。
【
図2】
図2は、イオン交換した固体材料を含む新しい触媒の200~600℃でのNOx転化率を示す(X-NOx=NOx転化率)
【
図3】
図3は、イオン交換した固体材料を含むエージングした触媒の200~600℃でのNOx転化率を示す(X-NOx=NOx転化率)
【発明を実施するための形態】
【0010】
工程(i)で調製し工程(ii)に供する混合物について、FER以外の骨格型を有するゼオライト材料の骨格構造における、SiO2:Al2O3として計算されるケイ素のアルミニウムに対するモル比が、2:1~40:1の範囲、さらに好ましくは2:1~30:1の範囲にあることが好ましい。
【0011】
工程(i)で調製し工程(ii)に供する混合物において、FER以外の骨格型を有するゼオライト材料の骨格構造の95~100質量%、さらに好ましくは98~100質量%、さらに好ましくは99~100質量%が、Si、Al、O、および任意にHからなることが好ましい。
【0012】
工程(i)で調製し工程(ii)に供する混合物について、FER以外の骨格型を有するゼオライト材料が、アルカリ金属M、さらに好ましくはナトリウムおよびカリウムのうちの1種以上、さらに好ましくはナトリウムを含むことが好ましい。
【0013】
さらに好ましくは、FER以外の骨格型を有するゼオライト材料における、SiO2:M2Oとして計算されるケイ素のアルカリ金属Mに対するモル比が、1:1~500:1の範囲、さらに好ましくは1:1~250:1の範囲、さらに好ましくは1:1~150:1の範囲にある。
【0014】
工程(i)で調製し工程(ii)に供する混合物において、FER以外の骨格型を有するゼオライト材料の95~100質量%、さらに好ましくは98~100質量%、さらに好ましくは99~100質量%が、Si、Al、O、M、および任意にHからなることがさらに好ましい。
【0015】
工程(i)で調製し工程(ii)に供する混合物について、FER以外の骨格型を有するゼオライト材料の骨格型が、FAU、CHA、LEVおよびAEIのうちの1種以上、さらに好ましくはFAUまたはCHAまたはLEVまたはAEIである骨格型であることが好ましい。
【0016】
本発明の第一の側面によれば、FER以外の骨格型を有するゼオライト材料の骨格型が、CHAであることが好ましい。骨格型CHAを有するゼオライト材料の骨格構造において、SiO2:Al2O3として計算されるケイ素のアルミニウムに対するモル比が、さらに好ましくは5:1~30:1の範囲、さらに好ましくは6:1~9:1の範囲、さらに好ましくは7.5:1~8.5:1の範囲にあることがさらに好ましい。
【0017】
本発明の第一の側面によれば、工程(i)で調製し工程(ii)に供する混合物において、骨格型CHAを有するゼオライト材料における、SiO2:M2Oとして計算されるケイ素のアルカリ金属Mに対するモル比が、50:1~500:1の範囲、さらに好ましくは75:1~250:1の範囲、さらに好ましくは100:1~150:1の範囲にあることがさらに好ましい。
【0018】
従って、本発明の第一の側面は、好ましくは、骨格型FERを有し且つケイ素、アルミニウム、および酸素を含む骨格構造を有するゼオライト材料を製造する方法に関し、前記方法は、
(i) 水と、骨格型CHAを有し且つケイ素、アルミニウム、および酸素を含む骨格構造を有するゼオライト材料と、骨格型CHAを有するゼオライト材料以外のケイ素源と、ピペリジンを含む有機構造指向剤と、アルカリ金属源と、塩基源とを含む、水性合成混合物を調製する工程であって、骨格型CHAを有するゼオライト材料の骨格構造における、SiO2:Al2O3として計算されるケイ素のアルミニウムに対するモル比が、さらに好ましくは5:1~30:1の範囲、さらに好ましくは6:1~9:1の範囲、さらに好ましくは7.5:1~8.5:1の範囲にある工程、
(ii) 工程(i)により調製した水性合成混合物を水熱合成条件に供する工程であって、合成混合物を140~190℃の範囲の温度に加熱し、合成混合物をこの範囲の温度で自己発生圧力下に維持して、骨格型FERを有するゼオライト材料を含む固体材料を含む母液を得る工程、
を含む。
【0019】
本発明の第二の側面によれば、工程(i)で調製し工程(ii)に供する混合物において、FER以外の骨格型を有するゼオライト材料の骨格型が、FAUであることが好ましい。骨格型FAUを有するゼオライト材料について、それがゼオライトXおよびゼオライトYのうちの1種以上、さらに好ましくはゼオライトYであることが好ましい。
【0020】
第二の側面によれば、骨格型FAUを有するゼオライト材料の骨格構造において、SiO2:Al2O3として計算されるケイ素のアルミニウムに対するモル比が、2:1~8:1の範囲、さらに好ましくは2:1~7:1の範囲、さらに好ましくは2:1~6:1の範囲にあることが好ましい。
【0021】
第二の側面によれば、工程(i)で調製し工程(ii)に供する混合物において、骨格型FAUを有するゼオライト材料における、SiO2:M2Oとして計算されるケイ素のアルカリ金属Mに対するモル比が、1:1~8:1の範囲、さらに好ましくは1.5:1~7:1の範囲、さらに好ましくは2:1~6:1の範囲にあることが好ましい。
【0022】
従って、本発明の第二の側面は、好ましくは、骨格型FERを有し且つケイ素、アルミニウム、および酸素を含む骨格構造を有するゼオライト材料を製造する方法に関し、前記方法は、
(i) 水と、骨格型FAU(さらに好ましくはゼオライトXおよびゼオライトYのうちの1種以上、さらに好ましくはゼオライトYである)を有し且つケイ素、アルミニウム、および酸素を含む骨格構造を有するゼオライト材料と、骨格型FAUを有するゼオライト材料以外のケイ素源と、ピペリジンを含む有機構造指向剤と、アルカリ金属源と、塩基源とを含む、水性合成混合物を調製する工程であって、骨格型FAUを有するゼオライト材料の骨格構造において、SiO2:Al2O3として計算されるケイ素のアルミニウムに対するモル比が、さらに好ましくは2:1~8:1の範囲、さらに好ましくは2:1~7:1の範囲、さらに好ましくは2:1~6:1の範囲にある、工程
(ii) 工程(i)により調製した水性合成混合物を水熱合成条件に供する工程であって、合成混合物を140~190℃の範囲の温度に加熱し、合成混合物をこの範囲の温度で自己発生圧力下に維持して、骨格型FERを有するゼオライト材料を含む固体材料を含む母液を得る工程、
を含む。
【0023】
本発明の第三の側面によれば、工程(i)で調製し工程(ii)に供する混合物において、FER以外の骨格型を有するゼオライト材料の骨格型が、AEIであることが好ましく、FER以外の骨格型を有するゼオライト材料の骨格構造における、SiO2:Al2O3として計算されるケイ素のアルミニウムに対するモル比がさらに好ましくは、2:1~30:1の範囲、さらに好ましくは5:1~20:1の範囲、さらに好ましくは8:1~16:1の範囲、さらに好ましくは11:1~15:1の範囲にある。
【0024】
第三の側面によれば、工程(i)で調製し工程(ii)に供する混合物において、骨格型AEIを有するゼオライト材料における、SiO2:M2Oとして計算されるケイ素のアルカリ金属Mに対するモル比が、5:1~100:1の範囲、さらに好ましくは15:1~80:1の範囲、さらに好ましくは20:1~50:1の範囲、さらに好ましくは25:1~35:1の範囲にあることが好ましい。
【0025】
従って、本発明の第三の側面は、好ましくは、骨格型FERを有し且つケイ素、アルミニウム、および酸素を含む骨格構造を有するゼオライト材料を製造する方法に関し、前記方法は、
(i) 水と、骨格型AEIを有し且つケイ素、アルミニウム、および酸素を含む骨格構造を有するゼオライト材料と、骨格型AEIを有するゼオライト材料以外のケイ素源と、ピペリジンを含む有機構造指向剤と、アルカリ金属源と、塩基源とを含む、水性合成混合物を調製する工程であって、骨格型AEIを有するゼオライト材料の骨格構造において、SiO2:Al2O3として計算されるケイ素のアルミニウムに対するモル比がさらに好ましくは、2:1~30:1の範囲、さらに好ましくは5:1~20:1の範囲、さらに好ましくは8:1~16:1の範囲、さらに好ましくは11:1~15:1の範囲にある、工程
(ii) 工程(i)により調製した水性合成混合物を水熱合成条件に供する工程であって、合成混合物を140~190℃の範囲の温度に加熱し、合成混合物をこの範囲の温度で自己発生圧力下に維持して、骨格型FERを有するゼオライト材料を含む固体材料を含む母液を得る工程、
を含む。
【0026】
本発明の第四の側面によれば、工程(i)で調製し工程(ii)に供する混合物において、FER以外の骨格型を有するゼオライト材料の骨格型が、LEVであることが好ましく、FER以外の骨格型を有するゼオライト材料の骨格構造において、SiO2:Al2O3として計算されるケイ素のアルミニウムに対するモル比がさらに好ましくは、2:1~30:1の範囲、さらに好ましくは5:1~28:1の範囲、さらに好ましくは10:1~25:1の範囲、さらに好ましくは18:1~22:1の範囲にある。
【0027】
本発明の第四の側面によれば、工程(i)で調製し工程(ii)に供する混合物において、骨格型LEVを有するゼオライト材料における、SiO2:M2Oとして計算されるケイ素のアルカリ金属Mに対するモル比が、50:1~500:1の範囲、好ましくは75:1~250:1の範囲、さらに好ましくは100:1~150:1の範囲にあることが好ましい。
【0028】
従って、本発明の第四の側面は、好ましくは、骨格型FERを有し且つケイ素、アルミニウム、および酸素を含む骨格構造を有するゼオライト材料を製造する方法に関し、前記方法は、
(i) 水と、骨格型LEVを有し且つケイ素、アルミニウム、および酸素を含む骨格構造を有するゼオライト材料と、骨格型LEVを有するゼオライト材料以外のケイ素源と、ピペリジンを含む有機構造指向剤と、アルカリ金属源と、塩基源とを含む、水性合成混合物を調製する工程であって、骨格型LEVを有するゼオライト材料の骨格構造において、SiO2:Al2O3として計算されるケイ素のアルミニウムに対するモル比がさらに好ましくは、2:1~30:1の範囲、さらに好ましくは5:1~28:1の範囲、さらに好ましくは10:1~25:1の範囲、さらに好ましくは18:1~22:1の範囲にある、工程
(ii) 工程(i)により調製した水性合成混合物を水熱合成条件に供する工程であって、合成混合物を140~190℃の範囲の温度に加熱し、合成混合物をこの範囲の温度で自己発生圧力下に維持して、骨格型FERを有するゼオライト材料を含む固体材料を含む母液を得る工程、
を含む。
【0029】
本発明の文脈において、工程(i)で調製し工程(ii)に供する混合物について、FER以外の骨格型を有するゼオライト材料の骨格構造における、SiO2:Al2O3として計算されるケイ素のアルミニウムに対するモル比が、2:1~22:1の範囲にあることが好ましい。
【0030】
本発明によれば、工程(i)で調製し工程(ii)に供する混合物において、FER以外の骨格型を有するゼオライト材料が、参考例1b)に記載のように決定して50~950m2/gの範囲、さらに好ましくは100~950m2/gの範囲のBET比表面積を有することが好ましい。
【0031】
工程(i)で調製し工程(ii)に供する混合物において使用する、ピペリジンを含む有機構造指向剤について、それによって骨格型FERを有するゼオライト材料が得られる限り、特に制限はない。ピペリジンを含む有機構造指向剤の95~100質量%、さらに好ましくは98~100質量%、さらに好ましくは99~100質量%が、ピペリジンからなることが好ましい。ピペリジンを含む有機構造指向剤の0~1質量%、さらに好ましくは0~0.5質量%、さらに好ましくは0~0.1質量%が、ヘキサメチレンイミンからなることがさらに好ましい。
【0032】
工程(i)で調製し工程(ii)に供する混合物に含まれる有機構造剤について、それがピペリジンからなることが好ましい。
【0033】
従って、本発明は、好ましくは、骨格型FERを有し且つケイ素、アルミニウム、および酸素を含む骨格構造を有するゼオライト材料を製造する方法に関し、前記方法は、
(i) 水と、FER以外の骨格型を有し且つケイ素、アルミニウム、および酸素を含む骨格構造を有するゼオライト材料と、FER以外の骨格型を有するゼオライト材料以外のケイ素源と、ピペリジンを含む有機構造指向剤と、アルカリ金属源と、塩基源とを含む、水性合成混合物を調製する工程であって、ピペリジンを含む有機構造指向剤の95~100質量%、さらに好ましくは98~100質量%、さらに好ましくは99~100質量%が、ピペリジンからなり、およびピペリジンを含む有機構造指向剤の0~1質量%、さらに好ましくは0~0.5質量%、さらに好ましくは0~0.1質量%が、ヘキサメチレンイミンからなる、工程、
(ii) 工程(i)により調製した水性合成混合物を水熱合成条件に供する工程であって、合成混合物を140~190℃の範囲の温度に加熱し、合成混合物をこの範囲の温度で自己発生圧力下に維持して、骨格型FERを有するゼオライト材料を含む固体材料を含む母液を得る工程、
を含む。
【0034】
工程(i)で調製し工程(ii)に供する混合物に含まれる有機構造剤について、それがヘキサメチレンイミンを含有しないことが好ましい。
【0035】
工程(i)で調製し工程(ii)に供する混合物について、FER以外の骨格型を有するゼオライト材料およびFER以外の骨格型を有するゼオライト材料以外のケイ素源に含まれるケイ素の、有機構造指向剤、OSDAに対するモル比が、SiO2(源+ゼオライト):OSDAとして計算して、1:3~20:1の範囲にあることが好ましい。FER以外の骨格型を有するゼオライト材料およびFER以外の骨格型を有するゼオライト材料以外のケイ素源に含まれるケイ素の、有機構造指向剤、OSDAに対するモル比が、SiO2(源+ゼオライト):OSDAとして計算して、2:1~18:1の範囲、さらに好ましくは3:1~6:1の範囲にあることがさらに好ましい。あるいは、FER以外の骨格型を有するゼオライト材料およびFER以外の骨格型を有するゼオライト材料以外のケイ素源に含まれるケイ素の、有機構造指向剤、OSDAに対するモル比が、SiO2(源+ゼオライト):OSDAとして計算して、1:2~1:1の範囲にあることがさらに好ましい。
【0036】
工程(i)で調製し工程(ii)に供する混合物について、FER以外の骨格型を有するゼオライト材料以外のケイ素源が、シリケート、シリカゲル、シリカゾル、およびシリカ粉末のうちの1種以上、さらに好ましくはシリカゲルを含み、さらに好ましくは、シリケート、シリカゲル、シリカゾル、およびシリカ粉末のうちの1種以上、さらに好ましくはシリカゲルからなることが好ましい。
【0037】
さらに好ましくは、工程(i)で調製し工程(ii)に供する混合物に含まれるシリカゲルは、固体シリカゲルおよびコロイダルシリカのうちの1種以上を含む、さらに好ましくは固体シリカゲルおよびコロイダルシリカのうちの1種以上からなる。シリカゲルが、固体シリカゲルまたはコロイダルシリカであることがさらに好ましい。コロイダルシリカについて、それがアンモニウムで安定化された水性コロイダルシリカを含むことが好ましく、さらに好ましくはアンモニウムで安定化された水性コロイダルシリカである。工程(i)で調製し工程(ii)に供する混合物に含まれる固体シリカゲルについて、それが(cH2O):SiO2のモル比を呈することが好ましく、式中、cは、0~2.5の範囲、さらに好ましくは0~2の範囲、さらに好ましくは0.5~1.75の範囲、さらに好ましくは1.0~1.5の範囲の数である。工程(i)で調製し工程(ii)に供する混合物に含まれる固体シリカゲルについて、固体シリカゲルが、参考例2に記載のシリカゲルであることが好ましい。
【0038】
工程(i)で調製し工程(ii)に供する混合物が、FER以外の骨格型を有するゼオライト材料以外のアルミニウム源を0~1質量%、さらに好ましくは0~0.5質量%、さらに好ましくは0~0.01質量%含むことが好ましい。
【0039】
工程(i)で調製し工程(ii)に供する混合物が、FER以外の骨格型を有するゼオライト材料以外のアルミニウム源を含まないことが好ましい。
【0040】
工程(i)で調製し工程(ii)に供する混合物中のアルカリ金属源について、それがナトリウム源およびカリウム源のうちの1種以上、さらに好ましくはナトリウム源を含むことが好ましく、さらに好ましくはナトリウム源およびカリウム源のうちの1種以上、さらに好ましくはナトリウム源である。
【0041】
工程(i)で調製し工程(ii)に供する混合物中の塩基源について、それがアルカリ金属源、さらに好ましくはアルカリ金属塩基、さらに好ましくはアルカリ金属ヒドロキシド、さらに好ましくはナトリウムヒドロキシドであることが好ましい。
【0042】
従って、本発明は、好ましくは、骨格型FERを有し且つケイ素、アルミニウム、および酸素を含む骨格構造を有するゼオライト材料を製造する方法に関し、前記方法は、
(i) 水と、骨格型CHAを有し且つケイ素、アルミニウム、および酸素を含む骨格構造を有するゼオライト材料と、骨格型CHAを有するゼオライト材料以外のケイ素源と、ピペリジンを含む有機構造指向剤と、ナトリウムヒドロキシドとを含む、水性合成混合物を調製する工程、
(ii) 工程(i)により調製した水性合成混合物を水熱合成条件に供する工程であって、合成混合物を140~190℃の範囲の温度に加熱し、合成混合物をこの範囲の温度で自己発生圧力下に維持して、骨格型FERを有するゼオライト材料を含む固体材料を含む母液を得る工程、
を含む。あるいは、工程(i)で使用するゼオライト材料は、骨格型FAUまたはAEIまたはLEVを有するゼオライト材料であることが好ましい。
【0043】
本発明によれば、FER以外の骨格型を有するゼオライト材料の塩基源に対する質量比が、工程(i)で調製し工程(ii)に供する合成混合物において、1:1~1:4の範囲、さらに好ましくは1:1~1:3の範囲、さらに好ましくは1:1~1:2.5の範囲にあることが好ましい。
【0044】
工程(i)で調製し工程(ii)に供する混合物の95~100質量%、さらに好ましくは98~100質量%、さらに好ましくは99~100質量%が、水と、FER以外の骨格型を有し且つケイ素、アルミニウム、および酸素を含む骨格構造を有するゼオライト材料と、FER以外の骨格型を有するゼオライト材料以外のケイ素源と、ピペリジンを含む有機構造指向剤と、アルカリ金属源と、塩基源とからなることが好ましい。
【0045】
好ましくは、工程(i)で調製し工程(ii)に供する混合物の0~1質量%、さらに好ましくは0~0.5質量%、さらに好ましくは0~0.1質量%が、骨格型FERを有するゼオライト材料からなる。好ましくは、工程(i)で調製し工程(ii)に供する混合物は、骨格型FERを有するゼオライト材料を含有しない。
【0046】
工程(i)で調製し工程(ii)に供する混合物が、水と、FER以外の骨格型を有し且つケイ素、アルミニウム、および酸素を含む骨格構造を有するゼオライト材料と、FER以外の骨格型を有するゼオライト材料以外のケイ素源と、ピペリジンを含む有機構造指向剤と、アルカリ金属源と、塩基源とからなることが好ましい。
【0047】
工程(i)で調製し工程(ii)に供する混合物の温度について、それが10~40℃の範囲、さらに好ましくは15~35℃の範囲、さらに好ましくは20~30℃の範囲にあることが好ましい。
【0048】
工程(i)による混合物の調製について、工程(i)が、
(i.1) 水をアルカリ金属源および塩基源と混合し、第1の混合物を得る工程、
(i.2) FER以外の骨格型を有するゼオライト材料以外のケイ素源を第1の混合物に加え、第2の混合物を得る工程、
(i.3) FER以外の骨格型を有するゼオライト材料を第2の混合物に加え、第3の混合物を得る工程、
(i.4) ピペリジンを含む有機構造指向剤を第3の混合物に加え、第4の混合物を得る工程
を含むことが好ましい。さらに好ましくは、FER以外の骨格型を有するゼオライト材料は、骨格型FAUを有するゼオライト材料であり、さらに好ましくは、ゼオライトYおよびゼオライトXのうちの1種以上、さらに好ましくはゼオライトYである。
【0049】
工程(i.1)の後且つ工程(i.2)の前に、および/または工程(i.2)の後且つ工程(i.3)の前に、および/または工程(i.3)の後且つ工程(i.4)の前に、および/または工程(i.4)の後に、それぞれの混合物を撹拌することがさらに好ましい。さらに好ましくは、工程(i.1)の後且つ工程(i.2)の前に、および工程(i.2)の後且つ工程(i.3)の前に、および工程(i.3)の後且つ工程(i.4)の前に、および工程(i.4)の後に、それぞれの混合物を撹拌する。
【0050】
あるいは、工程(i)による混合物の調製について、工程(i)が、
(i.1’) 水をアルカリ金属源および塩基源と混合し、第1の混合物を得る工程、
(i.2’) ピペリジンを含む有機構造指向剤およびFER以外の骨格型を有するゼオライト材料を第1の混合物に加え、第2の混合物を得る工程、
(i.3’) FER以外の骨格型を有するゼオライト材料以外のケイ素源を第2の混合物に加え、第3の混合物を得る工程、
を含むことが好ましい。さらに好ましくは、FER以外の骨格型を有するゼオライト材料は、骨格型CHAまたはAEIを有するゼオライト材料である。あるいは、FER以外の骨格型を有するゼオライト材料は、さらに好ましくは骨格型LEVを有するゼオライト材料である。
【0051】
工程(i.1’)の後且つ工程(i.2’)の前に、および/または工程(i.2’)の後且つ工程(i.3’)の前に、および/または工程(i.3’)の後に、それぞれの混合物を撹拌することがさらに好ましい。さらに好ましくは、工程(i.1’)の後且つ工程(i.2’)の前に、および工程(i.2’)の後且つ工程(i.3’)の前に、および工程(i.3’)の後に、それぞれの混合物を撹拌する。
【0052】
従って、本発明は、好ましくは、骨格型FERを有し且つケイ素、アルミニウム、および酸素を含む骨格構造を有するゼオライト材料を製造する方法に関し、前記方法は、
(i) 水と、骨格型CHAまたはFAUまたはLEVまたはAEIを有し且つケイ素、アルミニウム、および酸素を含む骨格構造を有するゼオライト材料と、骨格型CHAまたはFAUまたはLEVまたはAEIを有するゼオライト材料以外のケイ素源と、ピペリジンを含む有機構造指向剤と、アルカリ金属源と、塩基源とを含む、水性合成混合物を調製する工程、
(ii) 工程(i)により調製した水性合成混合物を水熱合成条件に供する工程であって、合成混合物を140~190℃の範囲の温度に加熱し、合成混合物をこの範囲の温度で自己発生圧力下に維持して、骨格型FERを有するゼオライト材料を含む固体材料を含む母液を得る工程、
を含み、工程(i)が、
(i.1) 水をアルカリ金属源および塩基源と混合し、第1の混合物を得る工程、
(i.2) 骨格型CHAまたはFAUまたはLEVまたはAEIを有するゼオライト材料以外のケイ素源を第1の混合物に加え、第2の混合物を得る工程、
(i.3) 骨格型CHAまたはFAUまたはLEVまたはAEIを有するゼオライト材料を第2の混合物に加え、第3の混合物を得る工程、
(i.4) ピペリジンを含む有機構造指向剤を第3の混合物に加え、第4の混合物を得る工程
を含むか、または
工程(i)が、
(i.1’) 水をアルカリ金属源および塩基源と混合し、第1の混合物を得る工程、
(i.2’) ピペリジンを含む有機構造指向剤および骨格型CHAまたはFAUまたはLEVまたはAEIを有するゼオライト材料を第1の混合物に加え、第2の混合物を得る工程、
(i.3’) 骨格型CHAまたはFAUまたはLEVまたはAEIを有するゼオライト材料以外のケイ素源を第2の混合物に加え、第3の混合物を得る工程、
を含む。
【0053】
工程(i.1)~(i.4)または工程(i.1’)~(i.3’)について、混合物の温度が10~40℃の範囲、さらに好ましくは15~35℃の範囲、さらに好ましくは20~30℃の範囲にあることが好ましい。
【0054】
工程(i.4)により得られた第4の混合物または工程(i.3’)により得られた第3の混合物は、さらに好ましくは前に定義したように撹拌後の、工程(ii)に供された混合物であることが好ましい。
【0055】
工程(ii)によれば、水性合成混合物を150~190℃の範囲、さらに好ましくは160~180℃の範囲、さらに好ましくは165~175℃の範囲の温度に加熱することが好ましい。
【0056】
工程(ii)によれば、水性合成混合物を、0.5~10K/分の範囲の加熱速度で前記温度に加熱することが好ましい。
【0057】
工程(ii)により前記温度まで加熱する間、水性合成混合物をかき混ぜる、さらに好ましくは機械的にかき混ぜることが好ましい。さらに好ましくは、工程(ii)により前記温度まで加熱する間、水性合成混合物を回転(tumbling)に供する。
【0058】
工程(ii)によれば、水性合成混合物を好ましくはオートクレーブで、さらに好ましくは工程(ii)による水熱結晶化を行うオートクレーブで前記温度に加熱する。
【0059】
工程(ii)によれば、混合物を好ましくは、この範囲の温度で自己発生圧力下に54~120時間、さらに好ましくは57~96時間、さらに好ましくは60~84時間、さらに好ましくは66~78時間維持する。
【0060】
本発明によれば、方法が、
(iii) 工程(ii)から得られた母液を、さらに好ましくは10~50℃の範囲、さらに好ましくは20~35℃の範囲の温度に冷却する工程
をさらに含むことが好ましい。
【0061】
本発明によれば、方法が、
(iv) 工程(ii)または工程(iii)から、さらに好ましくは工程(iii)から得られた母液から、固体材料を分離する工程
をさらに含むことが好ましい。
【0062】
工程(iv)による分離について、工程(iv)は、
(iv.1) 工程(ii)または工程(iii)から、さらに好ましくは工程(iii)から得られた母液を、遠心分離、濾過、または急速乾燥、さらに好ましくは濾過を含むことがさらに好ましい、固液分離法に供する工程、
(iv.2) 工程(iv.1)から得られた固体材料を、さらに好ましくは洗浄する工程、
(iv.3) 工程(iv.1)または工程(iv.2)から、さらに好ましくは工程(iv.2)から得られた固体材料を、さらに好ましくは乾燥させる工程
を含む。
【0063】
工程(iv.2)によれば、固体材料を、水で、さらに好ましくは蒸留水で、さらに好ましくは洗浄水が最大で500マイクロシーメンス、さらに好ましくは最大で200マイクロシーメンスの導電率を有するまで洗浄することが好ましい。
【0064】
工程(iv.3)によれば、固体材料を、70~150℃の範囲、さらに好ましくは90~140℃の範囲、さらに好ましくは110~130℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で、好ましくは乾燥させる。ガス雰囲気はさらに好ましくは、酸素および窒素のうちの1種以上を含み、さらに好ましくは空気、希薄空気、または合成空気である。
【0065】
本発明による方法は、好ましくは
(v) 工程(iv)から得られた固体材料をか焼する工程
をさらに含む。
【0066】
従って、本発明は、好ましくは、骨格型FERを有し且つケイ素、アルミニウム、および酸素を含む骨格構造を有するゼオライト材料を製造する方法に関し、前記方法は、
(i) 水と、FER以外の骨格型を有し且つケイ素、アルミニウム、および酸素を含む骨格構造を有するゼオライト材料と、FER以外の骨格型を有するゼオライト材料以外のケイ素源と、ピペリジンを含む有機構造指向剤と、アルカリ金属源と、塩基源とを含む、水性合成混合物を調製する工程、
(ii) 工程(i)により調製した水性合成混合物を水熱合成条件に供する工程であって、合成混合物を140~190℃の範囲の温度に加熱し、合成混合物をこの範囲の温度で自己発生圧力下に維持して、骨格型FERを有するゼオライト材料を含む固体材料を含む母液を得る工程、
(iii) さらに好ましくは、工程(ii)から得られた母液を、さらに好ましくは10~50℃の範囲、さらに好ましくは20~35℃の範囲の温度に冷却する工程
(iv) 工程(ii)または工程(iii)から、さらに好ましくは工程(iii)から得られた母液から、固体材料を分離する工程、
(v) 工程(iv)から得られた固体材料をか焼する工程
を含む。
【0067】
工程(v)によれば、固体材料を好ましくは、450~650℃の範囲、さらに好ましくは500~600℃の範囲、さらに好ましくは525~575℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中でか焼する。ガス雰囲気は、さらに好ましくは酸素を含み、さらに好ましくは空気、希薄空気または合成空気である。
【0068】
か焼した固体材料の10~100質量%、さらに好ましくは20~100質量%、さらに好ましくは40~100質量%、さらに好ましくは60~100質量%、さらに好ましくは70~100質量%、さらに好ましくは80~100質量%、さらに好ましくは90~100質量%が、骨格型FERを有するゼオライト材料からなることが好ましい。
【0069】
固体材料が、骨格型MORを有するゼオライト材料、骨格型MTNを有するゼオライト材料、骨格型MFIを有するゼオライト材料、骨格型FAUを有するゼオライト材料、および骨格型MTWを有するゼオライト材料のうちの1種以上をさらに含むことが好ましい。
【0070】
固体材料が、石英、クリストバライト、およびマガダイト(magadite)のうちの1種以上、さらに好ましくは石英およびクリストバライトのうちの1種以上をさらに含むことが好ましい。
【0071】
本発明によれば、方法が、
(vi) 工程(iv)または工程(v)から、さらに好ましくは工程(iv.3)または(v)から得られた固体材料を、イオン交換条件に供する工程
をさらに含むことが好ましい。
【0072】
さらに好ましくは、工程(vi)は、
(vi.1) 工程(iv)または(v)から、さらに好ましくは工程(iv.3)または(v)から得られた固体材料をイオン交換条件に供する工程であって、アンモニウムイオンを含む溶液を、工程(iv)または(v)から得られた固体材料と接触させて、固体材料をそのアンモニウム型で得ることを含む工程、
を含む。
【0073】
工程(vi.1)によれば、アンモニウムイオンを含む溶液は好ましくは、溶解したアンモニウム塩、さらに好ましくは溶解した無機アンモニウム塩を含む水溶液である。水溶液は、さらに好ましくは溶解したアンモニウムニトレートである。
【0074】
工程(vi.1)によれば、アンモニウムイオンを含む溶液は、好ましくは、0.5~5mol/lの範囲、さらに好ましくは1~4mol/lの範囲、さらに好ましくは1~3mol/lの範囲のアンモニウム濃度を有する。
【0075】
工程(vi.1)によれば、アンモニウムイオンを含む溶液を、40~100℃の範囲、さらに好ましくは60~90℃の範囲、さらに好ましくは70~90℃の範囲の溶液の温度で、工程(iv)または工程(v)から得られた固体材料と、好ましくは接触させる。
【0076】
工程(vi.1)によれば、アンモニウムイオンを含む溶液を、工程(iv)または工程(v)から得られた固体材料と、0.5~8時間の範囲、さらに好ましくは1~6時間の範囲、さらに好ましくは1.5~4時間の範囲の時間、好ましくは接触させる。
【0077】
工程(vi.1)によれば、溶液を固体材料と接触させることは、固体材料を、アンモニウムイオンを含む溶液と混合することを含むことが好ましい。
【0078】
工程(vi)について、工程(vi)が、
(vi.2) 任意に、工程(vi.1)で得られた固体材料を、ガス雰囲気中で乾燥する工程、
(vi.3) 工程(vi.1)または工程(vi.2)で得られた固体材料を、ガス雰囲気中で、さらに好ましくは、450~650℃の範囲、さらに好ましくは500~600℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中でか焼し、固体材料のH型を得る工程
をさらに含むことが好ましい。
【0079】
工程(vi.2)によれば、乾燥は好ましくは、90~200℃の範囲、さらに好ましくは100~150℃の範囲、さらに好ましくは110~130℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で行う。
【0080】
工程(vi.2)によれば、乾燥は好ましくは、ガス雰囲気中で0.5~5時間の範囲、さらに好ましくは1~3時間の範囲、さらに好ましくは1.5~2.5時間の範囲の間行う。
【0081】
工程(vi.2)について、ガス雰囲気は、好ましくは酸素を含み、さらに好ましくは空気、希薄空気または合成空気である。
【0082】
工程(vi.3)によれば、か焼は好ましくは、ガス雰囲気中で1~20時間の範囲、さらに好ましくは2~10時間の範囲、さらに好ましくは3~5時間の範囲の間行う。
【0083】
工程(vi.3)で得られたか焼した固体材料中のN濃度について、この濃度が、固体材料の質量に基づいて、0~0.01質量%の範囲、さらに好ましくは0~0.001質量%の範囲、さらに好ましくは0.0001質量%の範囲にあることが好ましい。
【0084】
工程(vi.1)、任意に工程(vi.2)、および工程(vi.3)を、少なくとも1回、さらに好ましくは2回行うことが好ましい。
【0085】
工程(vi.3)について、ガス雰囲気は、好ましくは酸素を含み、さらに好ましくは空気、希薄空気または合成空気である。
【0086】
本発明によれば、工程(vi)が、
(vi.4) 工程(vi.1)または工程(vi.3)で得られた固体材料をイオン交換条件に供する工程であって、1種以上の遷移金属のイオンを含む溶液をもたらすことを含む工程
をさらに含むことが好ましい。溶液が、Cu、Pd、Rh、PtおよびFeのうちの1種以上のイオン、さらに好ましくはCu、PdおよびFeのうちの1種以上のイオン、さらに好ましくはCuのイオンを含むことがさらに好ましい。
【0087】
工程(vi.4)によれば、1種以上の遷移金属のイオンを含む溶液は、好ましくは、溶解した1種以上の遷移金属の塩を含む水溶液である。水溶液は、さらに好ましくは溶解した銅塩、さらに好ましくは溶解した硝酸銅である。
【0088】
工程(vi.4)によれば、イオン交換条件は、好ましくは初期湿潤含浸または水性イオン交換を含む。
【0089】
本発明によれば、工程(vi)が、
(vi.5) 工程(vi.4)で得られた固体材料をガス雰囲気中で、さらに好ましくは90~200℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で乾燥させる工程
をさらに含むことが好ましい。
【0090】
本発明によれば、工程(vi)が、
(vi.6) 工程(vi.4)または工程(vi.5)で得られた固体材料をガス雰囲気中で、さらに好ましくは400~600℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中でか焼する工程
をさらに含むことが好ましい。
【0091】
工程(vi.6)によれば、好ましくは、工程(vi.4)または工程(vi.5)で得られた固体材料を、1~10時間の範囲、さらに好ましくは3~7時間の範囲の間か焼する。
【0092】
工程(vi.5)および(iv.6)について、それぞれ独立して、ガス雰囲気は、好ましくは酸素を含み、さらに好ましくは空気、希薄空気または合成空気である。
【0093】
本発明によれば、方法が、
(vi) 工程(iv)または工程(v)から、さらに好ましくは工程(iv.3)または(v)から得られた固体材料を、イオン交換条件に供する工程
をさらに含み、工程(vi)がさらに好ましくは
(vi.1) 工程(iv)または(v)から、さらに好ましくは工程(iv.3)または(v)から得られた固体材料をイオン交換条件に供する工程であって、アンモニウムイオンを含む溶液を、工程(iv)または(v)から得られた固体材料と接触させて、固体材料をそのアンモニウム型で得ることを含む工程、
(vi.2) 任意に、工程(vi.1)で得られた固体材料を、ガス雰囲気中で乾燥する工程、
(vi.3) さらに好ましくは、工程(vi.1)または工程(vi.2)で得られた固体材料を、ガス雰囲気中で、さらに好ましくは、450~650℃の範囲、さらに好ましくは500~600℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中でか焼し、固体材料のH型を得る工程、
(vi.4) 工程(vi.1)または工程(vi.3)で得られた固体材料をイオン交換条件に供する工程であって、1種以上の遷移金属のイオン、さらに好ましくはCu、Pd、Rh、PtおよびFeのうちの1種以上のイオン、さらに好ましくはCu、PdおよびFeのうちの1種以上のイオン、さらに好ましくはCuのイオンを含む溶液をもたらすことを含む工程、
(vi.5) 任意に、工程(vi.4)で得られた固体材料をガス雰囲気中で、さらに好ましくは90~200℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で乾燥させる工程、
(vi.6) 工程(vi.4)または工程(vi.5)で得られた固体材料をガス雰囲気中で、さらに好ましくは400~600℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中でか焼する工程
を含むことが好ましい。
【0094】
本発明はさらに、骨格型FERを有するゼオライト材料を含む固体材料に関する。固体材料は、好ましくは本発明による方法によって得ることができるまたは得られる。
【0095】
好ましくは、固体材料は、骨格型MORを有するゼオライト材料、骨格型MTNを有するゼオライト材料、骨格型MFIを有するゼオライト材料、骨格型FAUを有するゼオライト材料、および骨格型MTWを有するゼオライト材料のうちの1種以上、さらに好ましくは骨格型MORを有するゼオライト材料、骨格型MFIを有するゼオライト材料および骨格型FAUを有するゼオライト材料のうちの1種以上をさらに含む。
【0096】
好ましくは、固体材料は、石英、クリストバライト、およびマガダイトのうちの1種以上、さらに好ましくは石英およびクリストバライトのうちの1種以上をさらに含む。
【0097】
固体材料の70~100質量%、さらに好ましくは80~100質量%、さらに好ましくは90~100質量%、さらに好ましくは98~100質量%が骨格型FERを有するゼオライト材料からなることが好ましい。固体材料が、骨格型FERを有するゼオライト材料であることがさらに好ましい。
【0098】
固体材料の10~100質量%、さらに好ましくは20~100質量%、さらに好ましくは40~100質量%、さらに好ましくは60~100質量%、さらに好ましくは70~95質量%、さらに好ましくは80~95質量%が骨格型FERを有するゼオライト材料からなり、および
固体材料の0~90質量%、さらに好ましくは0~80質量%、さらに好ましくは0~60質量%、さらに好ましくは0~40質量%、さらに好ましくは5~30質量%、さらに好ましくは5~20質量%が石英、クリストバライトおよびマガダイトのうちの1種以上からなり、または
固体材料の0~90質量%、さらに好ましくは0~80質量%、さらに好ましくは0~60質量%、さらに好ましくは0~40質量%、さらに好ましくは5~30質量%、さらに好ましくは5~20質量%が骨格型MORを有するゼオライト材料、骨格型MTNを有するゼオライト材料、骨格型MFIを有するゼオライト材料、骨格型FAUを有するゼオライト材料、および骨格型MTWを有するゼオライト材料のうちの1種以上からなる
ことも好ましい。
【0099】
本発明によれば、固体材料は、参考例1b)に記載のように決定して50~650m2/gの範囲、さらに好ましくは60~400m2/gの範囲のBET比表面積を有することが好ましい。さらに好ましくは、固体材料は、参考例1b)に記載のように決定して200~450m2/gの範囲、さらに好ましくは250~400m2/gの範囲、さらに好ましくは300~380m2/gの範囲のBET比表面積を有する。
【0100】
固体材料は、SiO2:Al2O3として計算されるケイ素のアルミニウムに対するモル比を、2:1~150:1の範囲、さらに好ましくは5:1~100:1の範囲で有することが好ましい。さらに好ましくは、固体材料は、SiO2:Al2O3として計算されるケイ素のアルミニウムに対するモル比を、5:1~30:1の範囲、さらに好ましくは15:1~30:1の範囲で有する。あるいは、固体材料はさらに好ましくは、SiO2:Al2O3として計算されるケイ素のアルミニウムに対するモル比を、40:1~100:1の範囲、さらに好ましくは60:1~95:1の範囲、さらに好ましくは70:1~90:1の範囲で有する。
【0101】
固体材料は、参考例1c)に記載のように決定して50~100%の、さらに好ましくは60~100%の、さらに好ましくは70~100%の結晶化度を有することが好ましい。
【0102】
本発明によれば、固体材料は、参考例1b)に記載のように決定して0.01~0.50ml/gの範囲、さらに好ましくは0.02~0.30ml/gの範囲、さらに好ましくは0.03~0.15ml/gの範囲のマイクロ細孔容積を有することが好ましい。
【0103】
固体材料は、0.1~2.5mmol/gの範囲、さらに好ましくは0.2~2.0mmol/gの範囲、さらに好ましくは1.5~1.9mmol/gの範囲、またはさらに好ましくは0.2~0.5mmol/gの範囲の全酸度を有することが好ましい。
【0104】
前に記載した固体材料は、本発明による方法によって得ることができるまたは得られることが好ましい。
【0105】
本発明はさらに、本発明による固体材料を、触媒活性材料として、触媒として、または触媒成分として使用する方法に関する。好ましくは、前記使用方法は、ディーゼルエンジンの排気ガス流中の窒素酸化物を選択的触媒還元するためのものである。あるいは、前記使用方法は、好ましくは、オレフィンの異性化、さらに好ましくはC4オレフィン異性化のためのものである。あるいはさらに、前記使用方法は、好ましくはアルコールおよび/またはエーテルのカルボニル化のためのものである。
【0106】
本発明はさらに、ディーゼルエンジンの排気ガス流中の窒素酸化物を選択的触媒的に還元する方法に関し、前記方法は、前記排気ガス流を、本発明による固体材料と接触させることを含む。
【0107】
本発明はさらに、オレフィンの異性化、好ましくはC4オレフィン異性化の方法に関し、前記方法は、前記オレフィンを本発明による固体材料と接触させることを含む。
【0108】
本発明はさらに、アルコールおよび/またはエーテルのカルボニル化の方法に関し、前記方法は、前記アルコールおよび/またはエーテルを本発明による固体材料と接触させることを含む。
【0109】
本発明はさらに、水と、FER以外の骨格型を有し且つケイ素、アルミニウム、および酸素を含む骨格構造を有するゼオライト材料と、FER以外の骨格型を有するゼオライト材料以外のケイ素源と、ピペリジンを含む有機構造指向剤と、アルカリ金属源と、塩基源とを含む、水性混合物に関し、前記水性混合物は、好ましくは本発明による方法の工程(i)によって得ることができるまたは得られる。
【0110】
本発明はさらに、本発明の水性混合物を、骨格型FERを有するゼオライト材料を含む固体材料の製造に使用する方法に関する。
【0111】
本発明を、それぞれ従属的参照及び後方参照により示される以下の実施態様及び実施態様の組み合わせによってさらに説明する。特に、実施態様の範囲が言及される各場合において、例えば、「実施態様1から3のいずれか1項に記載の方法」などの用語の文脈において、この範囲のすべての実施態様は当業者に明確に開示される。すなわち、この用語の表現は、「実施態様1、2および3のいずれか1項に記載の方法」と同義であるとして、当業者に理解される。
【0112】
1. 骨格型FERを有し且つケイ素、アルミニウム、および酸素を含む骨格構造を有するゼオライト材料を製造する方法であって、前記方法が、
(i) 水と、FER以外の骨格型を有し且つケイ素、アルミニウム、および酸素を含む骨格構造を有するゼオライト材料と、FER以外の骨格型を有するゼオライト材料以外のケイ素源と、ピペリジンを含む有機構造指向剤と、アルカリ金属源と、塩基源とを含む、水性合成混合物を調製する工程、
(ii) 工程(i)により調製した水性合成混合物を水熱合成条件に供する工程であって、合成混合物を140~190℃の範囲の温度に加熱し、合成混合物をこの範囲の温度で自己発生圧力下に維持して、骨格型FERを有するゼオライト材料を含む固体材料を含む母液を得る工程、
を含む、方法。
【0113】
2. 工程(i)で調製し工程(ii)に供する混合物において、FER以外の骨格型を有するゼオライト材料の骨格構造における、SiO2:Al2O3として計算されるケイ素のアルミニウムに対するモル比が、2:1~40:1の範囲、好ましくは2:1~30:1の範囲にある、実施態様1に記載の方法。
【0114】
3. 工程(i)で調製し工程(ii)に供する混合物において、FER以外の骨格型を有するゼオライト材料の骨格構造の95~100質量%、好ましくは98~100質量%、さらに好ましくは99~100質量%が、Si、Al、O、および任意にHからなる、実施態様1または2に記載の方法。
【0115】
4. 工程(i)で調製し工程(ii)に供する混合物において、FER以外の骨格型を有するゼオライト材料が、アルカリ金属M、好ましくはナトリウムおよびカリウムのうちの1種以上、さらに好ましくはナトリウムを含む、実施態様1から3のいずれか1項に記載の方法。
【0116】
5. 工程(i)で調製し工程(ii)に供する混合物において、FER以外の骨格型を有するゼオライト材料における、SiO2:M2Oとして計算されるケイ素のアルカリ金属Mに対するモル比が、1:1~500:1の範囲、好ましくは1:1~250:1の範囲、さらに好ましくは1:1~150:1の範囲にある、実施態様4に記載の方法。
【0117】
6. 工程(i)で調製し工程(ii)に供する混合物において、FER以外の骨格型を有するゼオライト材料の95~100質量%、好ましくは98~100質量%、さらに好ましくは99~100質量%が、Si、Al、O、M、および任意にHからなる、実施態様4または5に記載の方法。
【0118】
7. 工程(i)で調製し工程(ii)に供する混合物において、FER以外の骨格型を有するゼオライト材料の骨格型が、FAU、CHA、LEVおよびAEIのうちの1種以上、さらに好ましくはFAUまたはCHAまたはLEVまたはAEIである骨格型である、実施態様1から6のいずれか1項に記載の方法。
【0119】
8. 工程(i)で調製し工程(ii)に供する混合物において、骨格型FAUを有するゼオライト材料が、ゼオライトXおよびゼオライトYのうちの1種以上、好ましくはゼオライトYである、実施態様7に記載の方法。
【0120】
9. 工程(i)で調製し工程(ii)に供する混合物において、FER以外の骨格型を有するゼオライト材料の骨格型がCHAであり、FER以外の骨格型を有するゼオライト材料の骨格構造における、SiO2:Al2O3として計算されるケイ素のアルミニウムに対するモル比が、好ましくは5:1~30:1の範囲、さらに好ましくは6:1~9:1の範囲、さらに好ましくは7.5:1~8.5:1の範囲にあり、
工程(i)で調製し工程(ii)に供する混合物において、骨格型CHAを有するゼオライト材料における、SiO2:M2Oとして計算されるケイ素のアルカリ金属Mに対するモル比が、好ましくは、50:1~500:1の範囲、さらに好ましくは75:1~250:1の範囲、さらに好ましくは100:1~150:1の範囲にある、実施態様1から7のいずれか1項に記載の方法。
【0121】
10. 工程(i)で調製し工程(ii)に供する混合物において、FER以外の骨格型を有するゼオライト材料の骨格型がFAUであり、FER以外の骨格型を有するゼオライト材料の骨格構造における、SiO2:Al2O3として計算されるケイ素のアルミニウムに対するモル比が、好ましくは2:1~8:1の範囲、好ましくは2:1~7:1の範囲、さらに好ましくは2:1~6:1の範囲にあり、
工程(i)で調製し工程(ii)に供する混合物において、骨格型FAUを有するゼオライト材料における、SiO2:M2Oとして計算されるケイ素のアルカリ金属Mに対するモル比が、好ましくは1:1~8:1の範囲、さらに好ましくは1.5:1~7:1の範囲、さらに好ましくは2:1~6:1の範囲にある、実施態様1から8のいずれか1項に記載の方法。
【0122】
11. 工程(i)で調製し工程(ii)に供する混合物において、FER以外の骨格型を有するゼオライト材料の骨格型がAEIであり、FER以外の骨格型を有するゼオライト材料の骨格構造において、SiO2:Al2O3として計算されるケイ素のアルミニウムに対するモル比が、好ましくは、2:1~30:1の範囲、好ましくは5:1~20:1の範囲、さらに好ましくは8:1~16:1の範囲、さらに好ましくは11:1~15:1の範囲にあり、
さらに好ましくは、工程(i)で調製し工程(ii)に供する混合物において、骨格型AEIを有するゼオライト材料における、SiO2:M2Oとして計算されるケイ素のアルカリ金属Mに対するモル比が、5:1~100:1の範囲、好ましくは15:1~80:1の範囲、さらに好ましくは20:1~50:1の範囲、さらに好ましくは25:1~35:1の範囲にある、実施態様1から7のいずれか1項に記載の方法。
【0123】
12. 工程(i)で調製し工程(ii)に供する混合物において、FER以外の骨格型を有するゼオライト材料の骨格型がLEVであり、FER以外の骨格型を有するゼオライト材料の骨格構造において、SiO2:Al2O3として計算されるケイ素のアルミニウムに対するモル比が、好ましくは、2:1~30:1の範囲、好ましくは5:1~28:1の範囲、さらに好ましくは10:1~25:1の範囲、さらに好ましくは18:1~22:1の範囲にあり、
さらに好ましくは、工程(i)で調製し工程(ii)に供する混合物において、骨格型LEVを有するゼオライト材料における、SiO2:M2Oとして計算されるケイ素のアルカリ金属Mに対するモル比が、50:1~500:1の範囲、好ましくは75:1~250:1の範囲、さらに好ましくは100:1~150:1の範囲にある、実施態様1から7のいずれか1項に記載の方法。
【0124】
13. 工程(i)で調製し工程(ii)に供する混合物において、FER以外の骨格型を有するゼオライト材料が、参考例1b)に記載のように決定して50~950m2/gの範囲、好ましくは100~950m2/gの範囲のBET比表面積を有する、実施態様1から12のいずれか1項に記載の方法。
【0125】
14. 工程(i)で調製し工程(ii)に供する混合物において、ピペリジンを含む有機構造指向剤の95~100質量%、好ましくは98~100質量%、さらに好ましくは99~100質量%がピペリジンからなり、ピペリジンを含む有機構造指向剤の好ましくは0~1質量%、さらに好ましくは0~0.5質量%、さらに好ましくは0~0.1質量%がヘキサメチレンイミンからなる、実施態様1から13のいずれか1項に記載の方法。
【0126】
15. 工程(i)で調製し工程(ii)に供する混合物において、有機構造指向剤がピペリジンからなり、工程(i)で調製し工程(ii)に供する混合物において、有機構造指向剤が好ましくはヘキサメチレンイミンを含有しない、実施態様14に記載の方法。
【0127】
16. 工程(i)で調製し工程(ii)に供する混合物において、FER以外の骨格型を有するゼオライト材料およびFER以外の骨格型を有するゼオライト材料以外のケイ素源に含まれるケイ素の、有機構造指向剤、OSDAに対するモル比が、SiO2(源+ゼオライト):OSDAとして計算して、1:3~20:1の範囲にあり、
工程(i)で調製し工程(ii)に供する混合物において、FER以外の骨格型を有するゼオライト材料およびFER以外の骨格型を有するゼオライト材料以外のケイ素源に含まれるケイ素の、有機構造指向剤、OSDAに対するモル比が、SiO2(源+ゼオライト):OSDAとして計算して、さらに好ましくは、2:1~18:1の範囲、さらに好ましくは3:1~6:1の範囲、または1:3~1:1の範囲にある、実施態様1から15のいずれか1項に記載の方法。
【0128】
17. 工程(i)で調製し工程(ii)に供する混合物において、FER以外の骨格型を有するゼオライト材料以外のケイ素源が、シリケート、シリカゲル、シリカゾル、およびシリカ粉末のうちの1種以上、好ましくはシリカゲルを含み、好ましくは、シリケート、シリカゲル、シリカゾル、およびシリカ粉末のうちの1種以上、好ましくはシリカゲルからなる、実施態様1から16のいずれか1項に記載の方法。
【0129】
18. 工程(i)で調製し工程(ii)に供する混合物において、シリカゲルが固体シリカゲルおよびコロイダルシリカのうちの1種以上、好ましくは固体シリカゲルまたはコロイダルシリカを含み、好ましくは固体シリカゲルおよびコロイダルシリカのうちの1種以上、好ましくは固体シリカゲルまたはコロイダルシリカからなる、実施態様17に記載の方法。
【0130】
19. 工程(i)で調製し工程(ii)に供する混合物において、コロイダルシリカがアンモニウムで安定化された水性コロイダルシリカを含む、好ましくはアンモニウムで安定化された水性コロイダルシリカである、実施態様18に記載の方法。
【0131】
20. 工程(i)で調製し工程(ii)に供する混合物において、固体シリカゲルが、(cH2O):SiO2のモル比を呈し、式中、cは、0~2.5の範囲、好ましくは0~2の範囲、さらに好ましくは0.5~1.75の範囲、さらに好ましくは1.0~1.5の範囲の数である、実施態様18に記載の方法。
【0132】
21. 工程(i)で調製し工程(ii)に供する混合物において、固体シリカゲルが参考例2に記載のシリカゲルである、実施態様20に記載の方法。
【0133】
22. 工程(i)で調製し工程(ii)に供する混合物が、FER以外の骨格型を有するゼオライト材料以外のアルミニウム源を0~1質量%、好ましくは0~0.5質量%、さらに好ましくは0~0.01質量%含む、実施態様1から21のいずれか1項に記載の方法。
【0134】
23. 工程(i)で調製し工程(ii)に供する混合物が、FER以外の骨格型を有するゼオライト材料以外のアルミニウム源を含まない、実施態様1から22のいずれか1項に記載の方法。
【0135】
24. 工程(i)で調製し工程(ii)に供する混合物において、アルカリ金属源がナトリウム源およびカリウム源のうちの1種以上、さらに好ましくはナトリウム源を含み、好ましくはナトリウム源およびカリウム源のうちの1種以上、さらに好ましくはナトリウム源である、実施態様1から23のいずれか1項に記載の方法。
【0136】
25. 工程(i)で調製し工程(ii)に供する混合物において、塩基源がアルカリ金属源、好ましくはアルカリ金属塩基、さらに好ましくはアルカリ金属ヒドロキシド、さらに好ましくはナトリウムヒドロキシドである、実施態様1から24のいずれか1項に記載の方法。
【0137】
26. 工程(i)で調製し工程(ii)に供する合成混合物において、FER以外の骨格型を有するゼオライト材料の塩基源に対する質量比が、1:1~1:4の範囲、好ましくは1:1~1:3の範囲、さらに好ましくは1:1~1:2.5の範囲にある、実施態様1から25のいずれか1項に記載の方法。
【0138】
27. 工程(i)で調製し工程(ii)に供する混合物の95~100質量%、好ましくは98~100質量%、さらに好ましくは99~100質量%が、水と、FER以外の骨格型を有し且つケイ素、アルミニウム、および酸素を含む骨格構造を有するゼオライト材料と、FER以外の骨格型を有するゼオライト材料以外のケイ素源と、ピペリジンを含む有機構造指向剤と、アルカリ金属源と、塩基源とからなる、実施態様1から26のいずれか1項に記載の方法。
【0139】
28. 工程(i)で調製し工程(ii)に供する混合物の0~1質量%、好ましくは0~0.5質量%、さらに好ましくは0~0.1質量%が、骨格型FERを有するゼオライト材料からなる、実施態様1から27のいずれか1項に記載の方法。
【0140】
29. 工程(i)で調製し工程(ii)に供する混合物が、骨格型FERを有するゼオライト材料を含有しない、実施態様1から28のいずれか1項に記載の方法。
【0141】
30. 工程(i)で調製し工程(ii)に供する混合物が、水と、FER以外の骨格型を有し且つケイ素、アルミニウム、および酸素を含む骨格構造を有するゼオライト材料と、FER以外の骨格型を有するゼオライト材料以外のケイ素源と、ピペリジンを含む有機構造指向剤と、アルカリ金属源と、塩基源とからなる、実施態様1から29のいずれか1項に記載の方法。
【0142】
31. 工程(i)で調製し工程(ii)に供する混合物の温度が10~40℃の範囲、好ましくは15~35℃の範囲、さらに好ましくは20~30℃の範囲にある、実施態様1から30のいずれか1項に記載の方法。
【0143】
32. 工程(i)による混合物の調製が、
(i.1) 水をアルカリ金属源および塩基源と混合し、第1の混合物を得る工程、
(i.2) FER以外の骨格型を有するゼオライト材料以外のケイ素源を第1の混合物に加え、第2の混合物を得る工程、
(i.3) FER以外の骨格型を有するゼオライト材料を第2の混合物に加え、第3の混合物を得る工程、
(i.4) ピペリジンを含む有機構造指向剤を第3の混合物に加え、第4の混合物を得る工程
を含む、実施態様1から31のいずれか1項に記載の方法。
【0144】
33. 工程(i.1)の後且つ工程(i.2)の前に、および/または工程(i.2)の後且つ工程(i.3)の前に、および/または工程(i.3)の後且つ工程(i.4)の前に、および/または工程(i.4)の後に、それぞれの混合物を撹拌し、好ましくは、工程(i.1)の後且つ工程(i.2)の前に、および工程(i.2)の後且つ工程(i.3)の前に、および工程(i.3)の後且つ工程(i.4)の前に、および工程(i.4)の後に、それぞれの混合物を撹拌する、実施態様32に記載の方法。
【0145】
34. 工程(i)による混合物の調製が、
(i.1’) 水をアルカリ金属源および塩基源と混合し、第1の混合物を得る工程、
(i.2’) ピペリジンを含む有機構造指向剤およびFER以外の骨格型を有するゼオライト材料を第1の混合物に加え、第2の混合物を得る工程、
(i.3’) FER以外の骨格型を有するゼオライト材料以外のケイ素源を第2の混合物に加え、第3の混合物を得る工程、
を含む、実施態様1から31のいずれか1項に記載の方法。
【0146】
35. 工程(i.1’)の後且つ工程(i.2’)の前に、および/または工程(i.2’)の後且つ工程(i.3’)の前に、および/または工程(i.3’)の後に、それぞれの混合物を撹拌し、好ましくは、工程(i.1’)の後且つ工程(i.2’)の前に、および工程(i.2’)の後且つ工程(i.3’)の前に、および工程(i.3’)の後に、それぞれの混合物を撹拌する、実施態様34に記載の方法。
【0147】
36. 混合物の温度が10~40℃の範囲、好ましくは15~35℃の範囲、さらに好ましくは20~30℃の範囲にある、実施態様32から35のいずれか1項に記載の方法。
【0148】
37. 工程(i.4)により得られた第4の混合物または工程(i.3’)により得られた第3の混合物が、好ましくは実施態様33または35に定義したように撹拌後の、工程(ii)に供する混合物である、実施態様32から36のいずれか1項に記載の方法。
【0149】
38. 工程(ii)により、水性合成混合物を150~190℃の範囲、好ましくは160~180℃の範囲、さらに好ましくは165~175℃の範囲の温度に加熱する、実施態様1から37のいずれか1項に記載の方法。
【0150】
39. 工程(ii)により、水性合成混合物を0.5~10K/分の範囲の加熱速度で前記温度に加熱する、実施態様1から38のいずれか1項に記載の方法。
【0151】
40. 工程(ii)により前記温度まで加熱する間、水性合成混合物をかき混ぜる、好ましくは機械的にかき混ぜる、実施態様1から39のいずれか1項に記載の方法。
【0152】
41. 工程(ii)により前記温度まで加熱する間、水性合成混合物を回転に供する、実施態様40に記載の方法。
【0153】
42. 工程(ii)により、水性合成混合物をオートクレーブで、好ましくは工程(ii)による水熱結晶化を行うオートクレーブで前記温度に加熱する、実施態様1から41のいずれか1項に記載の方法。
【0154】
43. 工程(ii)により、混合物をこの範囲の温度で自己発生圧力下に54~120時間、好ましくは57~96時間、さらに好ましくは60~84時間、さらに好ましくは66~78時間維持する、実施態様1から42のいずれか1項に記載の方法。
【0155】
44. (iii) 工程(ii)から得られた母液を、好ましくは10~50℃の範囲、さらに好ましくは20~35℃の範囲の温度に冷却する工程
をさらに含む、実施態様1から43のいずれか1項に記載の方法。
【0156】
45. (iv) 工程(ii)または工程(iii)から、好ましくは工程(iii)から得られた母液から、固体材料を分離する工程
をさらに含む、実施態様1から44のいずれか1項に記載の方法。
【0157】
46. 工程(iv)による分離が、
(iv.1) 工程(ii)または工程(iii)から、好ましくは工程(iii)から得られた母液を、遠心分離、濾過、または急速乾燥、好ましくは濾過を含むことが好ましい、固液分離法に供する工程、
(iv.2) 工程(iv.1)から得られた固体材料を、好ましくは洗浄する工程、
(iv.3) 工程(iv.1)または工程(iv.2)から、さらに好ましくは工程(iv.2)から得られた固体材料を、好ましくは乾燥させる工程
を含む、実施態様45に記載の方法。
【0158】
47. 工程(iv.2)により、固体材料を、水で、好ましくは蒸留水で、好ましくは洗浄水が最大で500マイクロシーメンス、さらに好ましくは最大で200マイクロシーメンスの導電率を有するまで洗浄する、実施態様46に記載の方法。
【0159】
48. 工程(iv.3)により、固体材料を、70~150℃の範囲、好ましくは90~140℃の範囲、さらに好ましくは110~130℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で乾燥させる、実施態様46または47に記載の方法。
【0160】
49. ガス雰囲気が、酸素および窒素のうちの1種以上を含み、好ましくは空気、希薄空気、または合成空気である、実施態様48に記載の方法。
【0161】
50. (v) 工程(iv)から得られた固体材料をか焼する工程
をさらに含む、実施態様45から49のいずれか1項に記載の方法。
【0162】
51. 工程(v)により、固体材料を、450~650℃の範囲、好ましくは500~600℃の範囲、さらに好ましくは525~575℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中でか焼する、実施態様50に記載の方法。
【0163】
52. ガス雰囲気が酸素を含み、好ましくは空気、希薄空気または合成空気である、実施態様51に記載の方法。
【0164】
53. か焼した固体材料の10~100質量%、好ましくは20~100質量%、さらに好ましくは40~100質量%、さらに好ましくは60~100質量%、さらに好ましくは70~100質量%、さらに好ましくは80~100質量%、さらに好ましくは90~100質量%が、骨格型FERを有するゼオライト材料からなる、実施態様1から52のいずれか1項に記載の方法。
【0165】
54. 固体材料が、骨格型MORを有するゼオライト材料、骨格型MTNを有するゼオライト材料、骨格型MFIを有するゼオライト材料、骨格型FAUを有するゼオライト材料、および骨格型MTWを有するゼオライト材料のうちの1種以上をさらに含む、実施態様1から53のいずれか1項に記載の、好ましくは実施態様53に記載の方法。
【0166】
55. 固体材料が、石英、クリストバライト、およびマガダイトのうちの1種以上、好ましくは石英およびクリストバライトのうちの1種以上をさらに含む、実施態様1から54、好ましくは実施態様53または54に記載の方法。
【0167】
56. (vi) 工程(iv)または工程(v)から、好ましくは工程(iv.3)または(v)から得られた固体材料を、イオン交換条件に供する工程
をさらに含む、実施態様45から55のいずれか1項に記載の方法。
【0168】
57 工程(vi)が、
(vi.1) 工程(iv)または(v)から、好ましくは工程(iv.3)または(v)から得られた固体材料をイオン交換条件に供する工程であって、アンモニウムイオンを含む溶液を、工程(iv)または(v)から得られた固体材料と接触させて、固体材料をそのアンモニウム型で得ることを含む工程、
を含む、実施態様56に記載の方法。
【0169】
58. 工程(vi.1)によるアンモニウムイオンを含む溶液が、溶解したアンモニウム塩、好ましくは溶解した無機アンモニウム塩を含む水溶液、さらに好ましくは溶解したアンモニウムニトレートを含む水溶液である、実施態様57に記載の方法。
【0170】
59. 工程(vi.1)によるアンモニウムイオンを含む溶液が、0.5~5mol/lの範囲、好ましくは1~4mol/lの範囲、さらに好ましくは1~3mol/lの範囲のアンモニウム濃度を有する、実施態様57または58に記載の方法。
【0171】
60. 工程(vi.1)により、アンモニウムイオンを含む溶液を、40~100℃の範囲、好ましくは60~90℃の範囲、さらに好ましくは70~90℃の範囲の溶液の温度で、工程(iv)または工程(v)から得られた固体材料と接触させる、実施態様57から59のいずれか1項に記載の方法。
【0172】
61. 工程(vi.1)により、アンモニウムイオンを含む溶液を、工程(iv)または工程(v)から得られた固体材料と、0.5~8時間の範囲、好ましくは1~6時間の範囲、さらに好ましくは1.5~4時間の範囲の時間、接触させる、実施態様57から60のいずれか1項に記載の方法。
【0173】
62. 工程(vi.1)により、溶液を固体材料と接触させることが、固体材料を、アンモニウムイオンを含む溶液と混合することを含む、実施態様57から61のいずれか1項に記載の方法。
【0174】
63. 工程(vi)が、
(vi.2) 任意に、工程(vi.1)で得られた固体材料を、ガス雰囲気中で乾燥する工程、
(vi.3) 工程(vi.1)または工程(vi.2)で得られた固体材料を、ガス雰囲気中で、好ましくは、450~650℃の範囲、さらに好ましくは500~600℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中でか焼し、固体材料のH型を得る工程
をさらに含む、実施態様57から62のいずれか1項に記載の方法。
【0175】
64. 工程(vi.2)による乾燥を、90~200℃の範囲、好ましくは100~150℃の範囲、さらに好ましくは110~130℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で行う、実施態様63に記載の方法。
【0176】
65. 工程(vi.2)による乾燥を、ガス雰囲気中で0.5~5時間の範囲、好ましくは1~3時間の範囲、さらに好ましくは1.5~2.5時間の範囲の間行う、実施態様63または64に記載の方法。
【0177】
66. 工程(vi.2)において、ガス雰囲気が酸素を含み、好ましくは空気、希薄空気または合成空気である、実施態様63から65のいずれか1項に記載の方法。
【0178】
67. 工程(vi.3)によるか焼を、ガス雰囲気中で1~20時間の範囲、好ましくは2~10時間の範囲、さらに好ましくは3~5時間の範囲の間行う、実施態様63から66のいずれか1項に記載の方法。
【0179】
68. 工程(vi.3)で得られたか焼した固体材料中のN濃度が、固体材料の質量に基づいて、0~0.01質量%の範囲、好ましくは0~0.001質量%の範囲、さらに好ましくは0.0001質量%の範囲にある、実施態様63から67のいずれか1項に記載の方法。
【0180】
69. 工程(vi.1)、任意に工程(vi.2)、および工程(vi.3)を、少なくとも1回、好ましくは2回行う、実施態様63から68のいずれか1項に記載の方法。
【0181】
70. 工程(vi.3)において、ガス雰囲気が酸素を含み、好ましくは空気、希薄空気または合成空気である、実施態様63から69のいずれか1項に記載の方法。
【0182】
71. 工程(vi)が、
(vi.4) 工程(vi.1)または工程(vi.3)で得られた固体材料をイオン交換条件に供する工程であって、1種以上の遷移金属のイオン、好ましくはCu、Pd、Rh、PtおよびFeのうちの1種以上のイオン、さらに好ましくはCu、PdおよびFeのうちの1種以上のイオン、さらに好ましくはCuのイオンを含む溶液をもたらすことを含む工程
をさらに含む、実施態様57から70のいずれか1項に記載の方法。
【0183】
72. 工程(vi.4)による、1種以上の遷移金属のイオンを含む溶液が、溶解した1種以上の遷移金属の塩、好ましくは溶解した銅塩、さらに好ましくは溶解した硝酸銅を含む水溶液である、実施態様71に記載の方法。
【0184】
73. 工程(vi.4)による、イオン交換条件が、初期湿潤含浸または水性イオン交換を含む、実施態様71または72に記載の方法。
【0185】
74. 工程(vi)が、
(vi.5) 工程(vi.4)で得られた固体材料をガス雰囲気中で、好ましくは90~200℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で乾燥させる工程
をさらに含む、実施態様71から73のいずれか1項に記載の方法。
【0186】
75. 工程(vi)が、
(vi.6) 工程(vi.4)または工程(vi.5)で得られた固体材料をガス雰囲気中で、好ましくは400~600℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中でか焼する工程
をさらに含む、実施態様71から74のいずれか1項に記載の方法。
【0187】
76. 工程(vi.6)により、工程(vi.4)または工程(vi.5)で得られた固体材料を、1~10時間の範囲、好ましくは3~7時間の範囲の間か焼する、実施態様75に記載の方法。
【0188】
77. 工程(vi.5)および(iv.6)において、それぞれ独立して、ガス雰囲気が酸素を含み、好ましくは空気、希薄空気または合成空気である、実施態様76に記載の方法。
【0189】
78. 実施態様1から77のいずれか1項に記載の、好ましくは実施態様45から55のいずれか1項に記載の、さらに好ましくは実施態様50から55のいずれか1項に記載の方法によって得ることができるまたは得られる、骨格型FERを有するゼオライト材料を含む固体材料。
【0190】
79. 骨格型MORを有するゼオライト材料、骨格型MTNを有するゼオライト材料、骨格型MFIを有するゼオライト材料、骨格型FAUを有するゼオライト材料、および骨格型MTWを有するゼオライト材料のうちの1種以上、好ましくは骨格型MORを有するゼオライト材料、骨格型MFIを有するゼオライト材料および骨格型FAUを有するゼオライト材料のうちの1種以上をさらに含む、実施態様78に記載の固体材料。
【0191】
80. 石英、クリストバライト、およびマガダイトのうちの1種以上、好ましくは石英およびクリストバライトのうちの1種以上をさらに含む、実施態様78または79に記載の固体材料。
【0192】
81. 固体材料の70~100質量%、好ましくは80~100質量%、さらに好ましくは90~100質量%、さらに好ましくは98~100質量%が骨格型FERを有するゼオライト材料からなる、実施態様78から80のいずれか1項に記載の固体材料。
【0193】
82. 固体材料の10~100質量%、好ましくは20~100質量%、さらに好ましくは40~100質量%、さらに好ましくは60~100質量%、さらに好ましくは70~95質量%、さらに好ましくは80~95質量%が骨格型FERを有するゼオライト材料からなり、および
固体材料の0~90質量%、好ましくは0~80質量%、さらに好ましくは0~60質量%、さらに好ましくは0~40質量%、さらに好ましくは5~30質量%、さらに好ましくは5~20質量%が石英、クリストバライトおよびマガダイトのうちの1種以上からなり、または
固体材料の0~90質量%、好ましくは0~80質量%、さらに好ましくは0~60質量%、さらに好ましくは0~40質量%、さらに好ましくは5~30質量%、さらに好ましくは5~20質量%が骨格型MORを有するゼオライト材料、骨格型MTNを有するゼオライト材料、骨格型MFIを有するゼオライト材料、骨格型FAUを有するゼオライト材料、および骨格型MTWを有するゼオライト材料のうちの1種以上からなる、実施態様78から80のいずれか1項に記載の固体材料。
【0194】
83. 参考例1b)に記載のように決定して50~650m2/gの範囲、好ましくは60~400m2/gの範囲のBET比表面積を有する、実施態様78から82のいずれか1項に記載の固体材料。
【0195】
84. 参考例1b)に記載のように決定して200~450m2/gの範囲、好ましくは250~400m2/gの範囲、さらに好ましくは300~380m2/gの範囲のBET比表面積を有する、実施態様83に記載の固体材料。
【0196】
85. SiO2:Al2O3として計算されるケイ素のアルミニウムに対するモル比を、2:1~150:1の範囲、好ましくは5:1~100:1の範囲、さらに好ましくは5:1~40:1の範囲で有する、実施態様78から84のいずれか1項に記載の固体材料。
【0197】
86. SiO2:Al2O3として計算されるケイ素のアルミニウムに対するモル比を、5:1~30:1の範囲、好ましくは8:1~20:1の範囲、さらに好ましくは10:1~19:1の範囲、さらに好ましくは15:1~18:1、または好ましくは20:1~30:1の範囲で有する、実施態様85に記載の固体材料。
【0198】
87. SiO2:Al2O3として計算されるケイ素のアルミニウムに対するモル比を、40:1~100:1の範囲、好ましくは60:1~95:1の範囲、さらに好ましくは70:1~90:1の範囲で有する、実施態様85に記載の固体材料。
【0199】
88. 参考例1c)に記載のように決定して50~100%の、好ましくは60~100%の、さらに好ましくは70~100%の結晶化度を有する、実施態様78から87のいずれか1項に記載の固体材料。
【0200】
89. 参考例1b)に記載のように決定して0.01~0.50ml/gの範囲、好ましくは0.02~0.30ml/gの範囲、さらに好ましくは0.03~0.15ml/gの範囲のマイクロ細孔容積を有する、実施態様78から88のいずれか1項に記載の、好ましくは実施態様56から70のいずれか1項に記載の方法によって得ることができるまたは得られる固体材料。
【0201】
90. 好ましくは実施態様56から70のいずれか1項に記載の方法により得ることができまたは得られ、0.1~2.5mmol/gの範囲、好ましくは0.2~2.0mmol/gの範囲、さらに好ましくは1.5~1.9mmol/gの範囲、またはさらに好ましくは0.2~0.5mmol/gの範囲の全酸度を有する、実施態様78から89のいずれか1項に記載の固体材料。
【0202】
91. 骨格型FERを有するゼオライト材料を含む固体材料、好ましくは実施態様78から90のいずれか1項に記載の固体材料。
【0203】
92. 骨格型MORを有するゼオライト材料、骨格型MTNを有するゼオライト材料、骨格型MFIを有するゼオライト材料、骨格型FAUを有するゼオライト材料、および骨格型MTWを有するゼオライト材料のうちの1種以上、好ましくは骨格型MORを有するゼオライト材料、骨格型MFIを有するゼオライト材料および骨格型FAUを有するゼオライト材料のうちの1種以上をさらに含む、実施態様91に記載の固体材料。
【0204】
93. 石英、クリストバライト、およびマガダイトのうちの1種以上、好ましくは石英およびクリストバライトのうちの1種以上をさらに含む、実施態様91または92に記載の固体材料。
【0205】
94. 固体材料の70~100質量%、好ましくは80~100質量%、さらに好ましくは90~100質量%、さらに好ましくは98~100質量%が骨格型FERを有するゼオライト材料からなる、実施態様91から93のいずれか1項に記載の固体材料。
【0206】
95. 固体材料の10~100質量%、好ましくは20~100質量%、さらに好ましくは40~100質量%、さらに好ましくは60~100質量%、さらに好ましくは70~95質量%、さらに好ましくは80~95質量%が骨格型FERを有するゼオライト材料からなり、および
固体材料の0~90質量%、好ましくは0~80質量%、さらに好ましくは0~60質量%、さらに好ましくは0~40質量%、さらに好ましくは5~30質量%、さらに好ましくは5~20質量%が石英、クリストバライトおよびマガダイトのうちの1種以上からなり、または
固体材料の0~90質量%、好ましくは0~80質量%、さらに好ましくは0~60質量%、さらに好ましくは0~40質量%、さらに好ましくは5~30質量%、さらに好ましくは5~20質量%が骨格型MORを有するゼオライト材料、骨格型MTNを有するゼオライト材料、骨格型MFIを有するゼオライト材料、骨格型FAUを有するゼオライト材料、および骨格型MTWを有するゼオライト材料のうちの1種以上からなる、実施態様91から93のいずれか1項に記載の固体材料。
【0207】
96. 参考例1b)に記載のように決定して50~650m2/gの範囲、好ましくは60~400m2/gの範囲のBET比表面積を有する、実施態様91から95のいずれか1項に記載の固体材料。
【0208】
97. 参考例1b)に記載のように決定して200~450m2/gの範囲、好ましくは250~400m2/gの範囲、さらに好ましくは300~380m2/gの範囲のBET比表面積を有する、実施態様96に記載の固体材料。
【0209】
98. SiO2:Al2O3として計算されるケイ素のアルミニウムに対するモル比を、2:1~150:1の範囲、好ましくは5:1~100:1の範囲、さらに好ましくは5:1~40:1の範囲で有する、実施態様91から97のいずれか1項に記載の固体材料。
【0210】
99. SiO2:Al2O3として計算されるケイ素のアルミニウムに対するモル比を、5:1~30:1の範囲、好ましくは8:1~20:1の範囲、さらに好ましくは10:1~19:1の範囲、さらに好ましくは15:1~18:1、または好ましくは20:1~30:1の範囲で有する、実施態様98に記載の固体材料。
【0211】
100. SiO2:Al2O3として計算されるケイ素のアルミニウムに対するモル比を、40:1~100:1の範囲、好ましくは60:1~95:1の範囲、さらに好ましくは70:1~90:1の範囲で有する、実施態様98に記載の固体材料。
【0212】
101. 参考例1c)に記載のように決定して50~100%の、好ましくは60~100%の、さらに好ましくは70~100%の結晶化度を有する、実施態様91から100のいずれか1項に記載の固体材料。
【0213】
102. 参考例1b)に記載のように決定して0.01~0.50ml/gの範囲、好ましくは0.02~0.30ml/gの範囲、さらに好ましくは0.03~0.15ml/gの範囲のマイクロ細孔容積を有する、実施態様91から101のいずれか1項に記載の固体材料。
【0214】
103. 0.1~2.5mmol/gの範囲、好ましくは0.2~2.0mmol/gの範囲、さらに好ましくは1.5~1.9mmol/gの範囲、またはさらに好ましくは0.2~0.5mmol/gの範囲の全酸度を有する、実施態様91から102のいずれか1項に記載の固体材料。
【0215】
104. 実施態様78から103のいずれか1項に記載の固体材料の、触媒活性材料としての、触媒としての、または触媒成分としての使用方法。
【0216】
105. ディーゼルエンジンの排気ガス流中の窒素酸化物を選択的触媒還元するための、実施態様104に記載の使用方法。
【0217】
106. オレフィンの異性化、好ましくはC4オレフィン異性化のための、実施態様104に記載の使用方法。
【0218】
107. アルコールおよび/またはエーテルのカルボニル化のための、実施態様104に記載の使用方法。
【0219】
108. ディーゼルエンジンの排気ガス流中の窒素酸化物を選択的触媒的に還元する方法であって、前記排気ガス流を、実施態様78から103のいずれか1項に記載の固体材料と接触させることを含む方法。
【0220】
109. オレフィンの異性化、好ましくはC4オレフィン異性化の方法であって、前記オレフィンを実施態様78から103のいずれか1項に記載の固体材料と接触させることを含む方法。
【0221】
110. アルコールおよび/またはエーテルのカルボニル化の方法であって、前記アルコールおよび/またはエーテルを実施態様78から103のいずれか1項に記載の固体材料と接触させることを含む、方法。
【0222】
111. 水と、FER以外の骨格型を有し且つケイ素、アルミニウム、および酸素を含む骨格構造を有するゼオライト材料と、FER以外の骨格型を有するゼオライト材料以外のケイ素源と、ピペリジンを含む有機構造指向剤と、アルカリ金属源と、塩基源とを含む、水性混合物であって、前記水性混合物が、好ましくは実施態様1から77のいずれか1項に記載の方法の工程(i)によって得ることができるまたは得られる、水性混合物。
【0223】
112. 実施態様111に記載の水性混合物を、骨格型FERを有するゼオライト材料を含む固体材料の製造に使用する方法。
【0224】
本発明の文脈において、「Xは、A、B、およびCのうちの1種以上である」という用語では、Xが所与の特徴であり、A、BおよびCのそれぞれが前記特徴の特定の実現を表すものであり、そしてこの用語は、XがA、若しくはB、若しくはCであるか、またはAおよびB、若しくはAおよびC、若しくはBおよびCであるか、またはAとBとCとであることを開示すると理解される。これに関して、当業者は、上記の抽象的な用語から具体的な例、例えば、Xは化学元素であり、A、BおよびCはLi、NaおよびKなどの具体的な元素であるか、またはXは温度であり、A、BおよびCは10℃、20℃および30℃などの具体的な温度に移すことができることに留意されたい。これに関して、当業者は上記の用語を前記特徴のより具体的ではない実現、例えば、XがA、若しくはB、またはAおよびBであることを開示する「Xは、AおよびBのうちの1種以上である」、または前記特徴のさらに具体的な実現、例えば、XがA、若しくはB、若しくはC、若しくはD、またはAとB、若しくはAとC、若しくはAとD、若しくはBとC、若しくはBとD、若しくはCとD、またはAとBとC、若しくはAとBとD、若しくはBとCとD、若しくはAとBとCとDであることを開示する「XはA、B、C、およびDのうちの1種以上である」に拡張できることに、さらに留意されたい。
【0225】
本発明を、以下の参考例、比較例、および実施例によってさらに説明する。
【実施例】
【0226】
参考例1:特徴付け
a) X線粉末回折(XRD)パターンは、CuKアルファ放射線(ラムダ=1.5406オングストローム)を使用して、Rigaku Ultimate VI X線回折計(40kV、40mA)で測定した。
【0227】
b) 液体窒素の温度でのN2収着等温線は、BET比表面積を決定するためのMicromeritics ASAP2020MおよびTristarシステムを使用して測定した。マイクロ細孔容積は、DIN66134に準拠してBJH(Barett、Joyner、Halenda)分析によって測定した。
【0228】
c)結晶化度はX線粉末回折分析によって決定した。角度および強度の算出:角度および強度の算出には、Bruker AXS GmbHが提供するソフトウェアDIFRAC.EVAに実装されているピーク検索アルゴリズムをそのまま使用した。その後、検出された強度を手動でチェックし、スプリアスピークを削除し、ピーク位置を修正した。結晶化度の算出:サンプルの結晶化度は、Bruker AXS GmbH,Karlsruheが提供するソフトウェアDIFFRAC.EVAを使用して算出した。この方法は、ユーザーマニュアルの第121頁に記載されている。計算のデフォルトパラメータを使用した。相組成の算出:相組成は、Bruker AXS GmbH,Karlsruheが提供するモデリングソフトウェアDIFFRAC.TOPASを使用して生データに対して算出した。同定された相の結晶構造、機器パラメータ、および個々の相の結晶子サイズを使用して、回折パターンをシミュレートした。これは、バックグラウンド強度をモデル化する関数に加えて、データに適合させた。データ収集:サンプルを乳鉢で均質化してから、Bragg-Brentanoジオメトリデータ収集用のBruker AXS GmbHが提供する標準の平坦なサンプルホルダーに押し入れた。平坦な表面は、ガラス板を使用してサンプル粉末を圧縮および平坦化することによって実現した。データは、0.02°の2シータのステップサイズで2~70°の2シータの角度範囲から収集し、可変発散スリットは0.4°の角度に設定した。結晶含有量は、全散乱強度に対する結晶信号の強度を表す。
【0229】
d) AlおよびSiの元素分析は、誘導結合プラズマ原子発光分析装置(ICP-OES、Spectro Blue Sop機器)によって行い、Naの元素分析はフレーム原子吸光分析(F-AAS、Spectro Arcos Sop機器)によって行った。
【0230】
e) 固体材料の酸度の決定は、温度プログラムされたアンモニアの脱着(NH3-TPD)によって行った。
【0231】
アンモニアの温度プログラム脱着(NH3-TPD)は、熱伝導度検出器を有する自動化された化学吸着分析ユニット(Micromeritics AutoChem II 2920)で行った。オンライン質量分析計(Pfeiffer Vacuum社のOmniStar QMG200)を使用して、脱着した種の連続分析を行った。サンプル(0.1g)を石英管に入れ、以下に記載するプログラムを使用して分析した。温度は、石英管内のサンプルのすぐ上にあるNi/Cr/Ni熱電対を使用して測定した。分析には、純度5.0のHeを使用した。いかなる測定の前にも、ブランクサンプルを分析して較正を行った。
【0232】
1. 準備:記録の開始;1秒あたり1回の測定。25℃および30cm3/分のHe流量(室温(約25℃)および1気圧)で10分間待つ。20K/分の加熱速度で600℃まで加熱する。10分間保持する。He流(30cm3/分)下、20K/分(炉ランプ温度)の冷却速度で100℃まで冷却する。He流(30cm3/分)下、3K/分(サンプルランプ温度)の冷却速度で100℃まで冷却する。
2. NH3を用いた飽和:記録の開始;1秒あたり1回の測定。気体流をHe中10%NH3の混合物(75cm3/分;100℃および1気圧)に100℃で変更する。30分間保持する。
【0233】
3. 余剰分の除去:記録の開始;1秒あたり1回の測定。気体流を75cm3/分のHe流(100℃および1気圧)に100℃で変更する。60分間保持する。
【0234】
4. NH3-TPD:記録の開始;1秒あたり1回の測定。He流(流量:30cm3/分)で、10K/分の加熱速度で600℃まで加熱する。30分間保持する。
【0235】
5. 測定の終了。
【0236】
脱着したアンモニアは、オンライン質量分析計を使用して測定した。これは、脱着したアンモニアによって、熱伝導度検出器からの信号が生じたことを実証していた。これは、アンモニアの脱着を監視するために、アンモニアからのm/z=16の信号を利用することを伴った。吸着されたアンモニアの量(mmol/サンプル1g)は、Micromeriticsソフトウェアを使用して、TPD信号を水平ベースラインと統合することで確認した。
【0237】
参考例2:固体シリカゲル
固体シリカゲルは、Qingdao Haiyang Chemical Reagent Co,Ltdから購入したもので、細孔容積は0.9~1.0cm3/g(BET(3H-2000PS2)Beishide Instrument Technology(Beijing)Co.,Ltd.で測定した)、細孔径10nm(BET)、粒子径(200メッシュのふるいを通過する粒子の百分率)>90%、シリカ含有量>98質量%(HFで溶解しその後の化学分析により決定)、および380~480g/Lのかさ密度(100mLメスシリンダーをタップして完全に充填した)であった。
【0238】
参考例3:オルガノテンプレートを含まないチャバザイトの合成
CHA骨格型を有するゼオライト材料は、WO2013/068976Aに開示されているように製造した。得られたゼオライト材料の結晶化度は、参考例1c)に記載のように決定して、94%であった。参考例1a)に記載のように決定した、得られたゼオライト材料のXRDパターンを
図1に示す。ゼオライト材料のXRDパターンはCHA骨格構造に関連する一連のピークを示し、特に、2シータ約9.5°のピークが最も強度が高く、2シータ約12.9°のピーク、2シータ約16°のピーク、2シータ約18°のピーク、2シータ約20.5°のピーク、2シータ約25~26°の2つのピーク、および2シータ約30.9°のピークを示した。
【0239】
か焼したH型ゼオライト材料の元素分析:
Si: 35g/100g
Al: 8.3g/100g
Na: 0.42g/100g
【0240】
元素分析によると、それぞれ得られたゼオライト材料のSiO2:Al2O3モル比は8.1:1であった。
【0241】
実施例1:FAUゼオライト材料を出発材料として用いた、骨格型FERを有するゼオライト材料を含む固体材料の製造
材料:
Na-Yゼオライト(Zeolyst International社のCBV100、SiO2:Al2O3モル比5.1、Na2Oとして計算したNa含有量13.0質量%、およびBET比表面積900m2/g) 5g
参考例2の固体シリカゲル 61g
水 279g
NaOH(99%、錠剤) 7.5g
ピペリジン(99%、溶液) 17.5g
【0242】
279gの水を開放攪拌装置のビーカーに入れ、7.5gのNaOHをその中に溶解させた。5分後、61gの固体シリカゲルを加え、混合物をさらに5分間撹拌した。さらに、5gのNa-Yゼオライトを加え、混合物を5分間再び撹拌した。最後に、17.5gのピペリジンを加え、混合物を15分間撹拌した。得られた混合物を、それぞれ約180gの2つの等しい部分に分離し、そのそれぞれをBerghofオートクレーブ(200ml)に入れた。オートクレーブを密封し、回転オーブン(tumble oven)に入れ、混合物を150℃で3日間(72時間)結晶化させた。圧力を解放して室温に冷却した後、得られた懸濁液のうちの1つを濾過に供し、脱イオン水で3回洗浄した。次いでフィルターケーキを120℃の温度で5時間乾燥し、550℃で6時間か焼した。
【0243】
固体材料は、ゼオライト材料の混合物、すなわち骨格型FERを有するゼオライト材料(72%)、骨格型MFIを有するゼオライト材料(12%)、および骨格型FAU-ゼオライトYを有するゼオライト材料(9%)であった。サンプルの結晶化度は、参考例1c)に記載のように決定して89%であった。
【0244】
【0245】
か焼した固体材料のXRDパターンは、参考例1a)に記載のように決定して、FER骨格構造に関連する一連のピークを示し、特に2シータ°9.36のピークが最も強度が高く、10および35%の間の強度でさらなるピークを示した(太字の値)。
【0246】
比較例1:異なる有機構造指向剤を用いた、骨格構造型FERを有するゼオライト材料を含む固体材料を製造する試み
【0247】
材料:
Na-Yゼオライト(Zeolyst International社のCBV100、SiO2:Al2O3モル比5.1、Na2Oとして計算したNa含有量13.0質量%、およびBET比表面積900m2/g) 10g
参考例2の固体シリカゲル 122g
水 558g
NaOH(99%、錠剤) 15g
ヘキサメチレンイミン(99%、溶液) 35g
【0248】
558gの水を開放攪拌装置のビーカーに入れ、15gのNaOHをその中に溶解させた。5分後、122gの固体シリカゲルを加え、混合物をさらに5分間撹拌した。さらに、10gのNa-Yゼオライトを加え、混合物を5分間再び撹拌した。最後に、35gのヘキサメチレンイミンを加え、混合物を15分間撹拌した。得られた混合物を、それぞれ約180gの4つの等しい部分に分離し、そのそれぞれをBerghofオートクレーブに入れた。オートクレーブのうちの1つを密封し、回転オーブンに入れ、混合物を150℃で3日間(72時間)結晶化させた。圧力を解放して室温に冷却した後、得られた懸濁液のうちの1つを濾過に供し、脱イオン水で5回洗浄した。次いでフィルターケーキを120℃の温度で2時間乾燥し、550℃で5時間か焼した。
【0249】
固体材料は、ゼオライト材料の混合物、すなわち骨格型FAU-ゼオライトYを有するゼオライト材料(90%)、骨格型MTW-ゼオライトZSM-12を有するゼオライト材料(7%)および骨格型MWW-ゼオライトITQ-1を有するゼオライト材料(3%)であった。サンプルの結晶化度は、参考例1c)に記載のように決定して37%であった。表2から分かるように、か焼した固体材料のXRDパターンは、参考例1a)に記載のように決定して、FAU骨格構造に関連する一連のピーク、特に6.17の2シータ°のピーク(最高強度)、MTW骨格型に関連する一連のピーク、MWW骨格型に関連する一連のピークを示した。
【0250】
【0251】
比較例1は、有機構造指向剤としてのピペリジンの使用が、骨格型FERを有するゼオライト材料を得るために不可欠であることを実証している。
【0252】
実施例2:FAUゼオライト材料を出発材料として用いた、骨格型FERを有するゼオライト材料を含む固体材料の製造
材料:
Na-Yゼオライト(Zeolyst International社のCBV100、SiO2:Al2O3モル比5.1、Na2Oとして計算したNa含有量13.0質量%、およびBET比表面積900m2/g) 5g
参考例2の固体シリカゲル 61g
水 279g
NaOH(99%、錠剤) 7.5g
ピペリジン(99%、溶液) 17.5g
【0253】
279gの水を開放攪拌装置のビーカーに入れ、7.5gのNaOHをその中に溶解させた。5分後、61gの固体シリカゲルを加え、混合物をさらに5分間撹拌した。さらに、5gのNa-Yゼオライトを加え、混合物を5分間再び撹拌した。最後に、17.5gのピペリジンを加え、混合物を15分間撹拌した。得られた混合物を、それぞれ約180gの2つの等しい部分に分離し、そのそれぞれをBerghofオートクレーブに入れた。オートクレーブを密封し、回転オーブンに入れ、混合物を150℃で4日間(96時間)結晶化させた。圧力を解放して室温に冷却した後、得られた懸濁液のうちの1つを濾過に供し、脱イオン水で洗浄した。次いでフィルターケーキを120℃の温度で5時間乾燥し、550℃で6時間か焼した。
【0254】
固体材料は、主相として、骨格型FERを有するゼオライト材料、石英(SiO2)およびクリストバライト(SiO2)であった。サンプルの結晶化度は、参考例1c)に記載のように決定して65%であった。
【0255】
それぞれ得られた固体材料の、参考例1d)の記載による元素分析:
Si: 43g/100g
Na: 3g/100g
Al: 0.83g/100g
BET比表面積は、参考例1b)に記載のように決定して、94m2/gであった。
【0256】
実施例3:FAUゼオライト材料を出発材料として用いた、骨格型FERを有するゼオライト材料を含む固体材料の製造
材料:
Na-Yゼオライト(Zeolyst International社のCBV100、SiO2:Al2O3モル比5.1、Na2Oとして計算したNa含有量13.0質量%、およびBET比表面積900m2/g) 5g
参考例2の固体シリカゲル 61g
水 279g
NaOH(99%、錠剤) 7.5g
ピペリジン(99%、溶液) 17.5g
【0257】
279gの水を開放攪拌装置のビーカーに入れ、7.5gのNaOHをその中に溶解させた。5分後、61gの固体シリカゲルを加え、混合物をさらに5分間撹拌した。さらに、5gのNa-Yゼオライトを加え、混合物を5分間再び撹拌した。最後に、17.5gのピペリジンを加え、混合物を15分間撹拌した。得られた混合物を、それぞれ約180gの2つの等しい部分に分離し、そのそれぞれをBerghofオートクレーブに入れた。オートクレーブを密封し、回転オーブンに入れ、混合物を175℃で3日間(72時間)結晶化させた。圧力を解放して室温に冷却した後、得られた懸濁液のうちの1つを濾過に供し、脱イオン水で洗浄した。次いでフィルターケーキを120℃の温度で5時間乾燥し、550℃で6時間か焼した。
【0258】
固体材料は、90%の骨格型FERを有するゼオライト材料、および10%の石英(SiO2)であった。得られた固体材料のSiO2(ゼオライト+石英):Al2O3モル比は、88であった。表3から分かるように、か焼した固体材料のXRDパターンは、参考例1a)に記載のように決定して、FER骨格構造に関連する一連のピーク、および石英に関連する一連のピークを示した。サンプルの結晶化度は、参考例1c)に記載のように決定して90%であった。
【0259】
【0260】
BET比表面積は、参考例1b)に記載のように決定して76m2/gであった。実施例3は、合成条件、特に結晶化温度が結晶化度の効果を有することを示している。特に、実施例1で得られた固体材料と比較すると、結晶化の温度を上げることによって固体の結晶化度を最適化できる。
【0261】
実施例4:FAUゼオライト材料を出発材料として用いた、骨格型FERを有するゼオライト材料を含む固体材料の製造
材料:
Na-Yゼオライト(Zeolyst International社のCBV100、SiO2:Al2O3モル比5.1、Na2Oとして計算したNa含有量13.0質量%、およびBET比表面積900m2/g) 5g
参考例2の固体シリカゲル 61g
水 279g
NaOH(99%、錠剤) 7.5g
ピペリジン(99%、溶液) 17.5g
【0262】
279gの水を開放攪拌装置のビーカーに入れ、7.5gのNaOHをその中に溶解させた。5分後、61gの固体シリカゲルを加え、混合物をさらに5分間撹拌した。さらに、5gのNa-Yゼオライトを加え、混合物を5分間再び撹拌した。最後に、17.5gのピペリジンを加え、混合物を20分間撹拌した。得られた混合物を、それぞれ約180gの2つの等しい部分に分離し、そのそれぞれをBerghofオートクレーブに入れた。オートクレーブを密封し、混合物を175℃で3日間(72時間)乾燥キャビネット中に静置した状態で結晶化させた。
【0263】
圧力を解放して室温に冷却した後、得られた懸濁液のうちの1つを濾過に供し、脱イオン水で洗浄した。次いでフィルターケーキを120℃の温度で5時間乾燥し、550℃の温度で6時間か焼した。
【0264】
固体材料は、主に石英(87%)であり、FERゼオライト材料(13%)を伴った。サンプルの結晶化度は、参考例1c)に記載のように決定して90%であった。
【0265】
実施例3および4は、結晶化のための回転オーブンの使用が、出発材料として骨格型FAUを有するゼオライト材料を使用した場合、得られた固体材料中の骨格構造型FERを有するゼオライト材料の量を増加できることを示している。
【0266】
実施例5:CHAゼオライト材料を出発材料として用いた、骨格構造型FERを有するゼオライト材料を含む固体材料の製造
材料:
参考例3に記載のように得られたゼオライトCHA 32.8g
コロイダルシリカ(水中40質量%の懸濁液) 220g
水 770.7g
NaOH溶液(50質量%) 70.7g
ピペリジン(99%、溶液) 30g
【0267】
670.7gの水を開放攪拌装置のビーカーに入れ、70.7gのNaOH溶液をその中に加えた。5分後、30gのピペリジンをまず加え、そして32.8gのゼオライトCHAを撹拌しながら加えた。混合物を60分間撹拌した。撹拌時間後、220gのコロイダルシリカを加え、混合物を60分間再び撹拌した。得られた混合物をオートクレーブ(2.5リットル)に入れ、100gの脱イオン水ですすいだ。オートクレーブを密封し、混合物を170℃で3日間(72時間)250rpmの回転速度下で結晶化させた。圧力を解放して室温に冷却した後、懸濁液を濾過に供し、脱イオン水で5回洗浄した。次いでフィルターケーキを120℃の温度で5時間乾燥し、550℃で5時間か焼した。
【0268】
固体材料は、ゼオライト材料の混合物、すなわち骨格型FERを有するゼオライト材料(60%)、および骨格型MORを有するゼオライト材料(40%)であった。か焼した固体材料のXRDパターンは、参考例1a)に記載のように決定して、FER骨格型に関連する一連のピーク、すなわち2シータ°9.32のピーク(最高強度)およびさらに他のピーク、およびMOR骨格型に関連する一連のピークを示した。サンプルの結晶化度は、参考例1c)に記載のように決定して89%であった。
【0269】
【0270】
それぞれ得られた固体材料の、参考例1d)の記載による元素分析:
Si: 37g/100g
Al: 3.9g/100g
Na: 1.4g/100g
【0271】
それぞれ得られた固体材料のBET比表面積は、参考例1b)に記載のように決定して、328m2/gであった。
【0272】
実施例5は、出発ゼオライト材料を置き換えることによって、特にCHAゼオライト材料を使用することによって、骨格型FERを有するゼオライト材料を合成することが可能であることを示している。
【0273】
実施例6:CHAゼオライト材料を出発材料として用いた、骨格構造型FERを有するゼオライト材料の製造
材料:
参考例3に記載のように得られたゼオライトCHA 32.8g
コロイダルシリカ(水中40質量%の懸濁液) 220g
水 770.7g
NaOH溶液(50質量%) 70.7g
ピペリジン(99%、溶液) 190g
【0274】
670.7gの水を開放攪拌装置のビーカーに入れ、70.7gのNaOH溶液をその中に加えた。5分後、190gのピペリジンをまず加え、そして32.8gのゼオライトCHAを撹拌しながら加えた。混合物を60分間撹拌した。撹拌時間後、220gのコロイダルシリカを加え、混合物を60分間再び撹拌した。得られた混合物をオートクレーブ(2.5リットル)に入れ、100gの脱イオン水ですすいだ。オートクレーブを密封し、混合物を170℃で3日間(72時間)250rpmの回転速度下で結晶化させた。圧力を解放して室温に冷却した後、懸濁液を濾過に供し、脱イオン水で3回洗浄した。次いでフィルターケーキを120℃の温度で2時間乾燥し、550℃で5時間か焼した。得られたゼオライト材料のSiO2:Al2O3モル比は17であった。以下の表5に示すように、か焼したゼオライト材料のXRDパターンは、参考例1a)に記載のように決定して、FER骨格構造に関連する一連のピークを示した。サンプルの結晶化度は、参考例1c)に記載のように決定して90%であった。
【0275】
【0276】
それぞれ得られたゼオライト材料の、参考例1d)の記載による元素分析:
Si: 39g/100g
Al: 4.4g/100g
Na: 0.9g/100g
【0277】
それぞれ得られたゼオライト材料のBET比表面積は、参考例1b)に記載のように決定して、328m2/gであった。
【0278】
実施例5および6は、構造指向剤として増加した量のピペリジンを使用することによって、結晶化度を増加させ、骨格型FERを有するゼオライト材料からなる固体材料を得ることができることを実証している。
【0279】
実施例7:実施例3の固体材料のH型の製造
材料:
実施例3で得られた固体材料 39g
NH4NO3p.a.(99質量-%) 40g
脱イオン水 360g
【0280】
40gのNH4NO3p.a.を360gの脱イオン水と混合してアンモニウムニトレート溶液を形成した。39gの実施例3で得られたゼオライト材料を、400gのNH4NO3溶液と80℃で2時間イオン交換した(1リットルのフラスコ内で150rpmでかきまぜた)。次いで、得られた固体材料を濾過し、ポンプで排出して、オーブン中120℃で12時間乾燥させた。最後に、乾燥した固体材料を550℃で5時間か焼した。手順を1回繰り返した。
【0281】
得られた固体材料は、80%の骨格構造FERを有するゼオライト材料および20%の石英(SiO2)であった。得られた固体材料のSiO2(ゼオライト+石英):Al2O3モル比は、88であり、サンプルの結晶化度は、参考例1c)に記載のように決定して92%であった。マイクロ細孔容積は、参考例1b)で決定したように、0.03ml/gであった。全酸度は、参考例1d)に記載のように決定して、0.2mmol/gの弱酸性度および0.1mmol/gの中酸性度を含めて、0.3mmol/gであった。理論に拘束されることを望むものではないが、サンプルの酸度は、特にシリカ対アルミナのモル比が高いためであると想定することができよう。BET比表面積は、参考例1b)に記載のように決定して91m2/gであった。実施例8は、実施例3のH型へのイオン交換により、サンプル中の石英の量が増加したことを示している。
【0282】
実施例8:実施例6のゼオライト材料のH型の製造
材料:
実施例6で得られた骨格構造FERを有するゼオライト材料 40g
NH4NO3p.a.(99質量-%) 40g
脱イオン水 360g
【0283】
40gのNH4NO3p.a.を360gの脱イオン水と混合してアンモニウムニトレート溶液を形成した。40gの実施例6で得られたゼオライト材料を、400gのNH4NO3溶液と80℃で2時間イオン交換した(150rpmでかきまぜた)。次いで、得られたゼオライト材料を濾過し、ポンプで排出して、オーブン中120℃で2時間乾燥させた。最後に、乾燥したゼオライト材料を550℃で5時間か焼した。手順を1回繰り返した。
【0284】
得られたゼオライト材料のSiO2:Al2O3モル比は17であり、サンプルの結晶化度は、参考例1c)に記載のように決定して98%であった。それぞれ得られた骨格構造FERを有するH型ゼオライト材料のBET比表面積は、参考例1b)に記載のように決定して328m2/gであった。マイクロ細孔容積は、参考例1b)で決定したように、0.13ml/gであった。全酸度は、参考例1d)に記載のように決定して、1mmol/gの弱酸性度および0.7mmol/gの中酸性度を含めて、1.7mmol/gであった。
【0285】
実施例9:実施例8で得られた固体材料のNOx転化への使用
実施例8で得られた固体材料に、初期湿潤を介して硝酸銅水溶液を含浸させた。硝酸銅の量は、最終的に得られるゼオライト材料に担持された銅を含有する材料において、CuOとして計算される銅の量が、その上にCuが担持された固体材料の総質量に基づいて4質量%であるように選択した。この含浸後、得られた生成物をオーブン中に20時間50℃で保存した。次いで生成物を乾燥させ、空気中450℃で5時間か焼した。
【0286】
さらに、得られたイオン交換した固体材料を、あらかじめ粉砕したガンマアルミナスラリー(70質量%のゼオライト材料、30質量%のアルミナ)と混合することによって、成形したサンプルを調製した。スラリーをマグネチックスターラープレート上で100℃で撹拌しながら乾燥させ、空気中550℃で1時間か焼した。得られたケーキを圧搾し、試験用に250~500マイクロメートルの目標画分までふるいにかけた。成形した粉末の画分をマッフルオーブンで、10%蒸気/空気中650℃で50時間、および10%蒸気/空気中800℃で16時間エージングした。得られた新しい触媒170mgをコランダムで1mlに希釈した。これは、ウォッシュコートにおいて120g/lのゼオライトでコーティングした1mlに相当した。
【0287】
新しいおよびエージングした触媒の触媒活性は、ABB LIMAS NOx/NH
3およびABB URAS N
2O分析器(ABB AO2020シリーズ)を備えた48倍並列試験ユニットで測定した。各サンプルについて、170mgの得られた新しい触媒およびエージングした触媒(650℃で50時間エージング)をコランダムで希釈して総量を1mlにし、各反応器に入れた。等温条件下(T=175、200、250、300、450、550、575℃)で、500ppmのNO、500ppmのNH
3、5%のO
2、10%のH
2O、残部N
2からなる供給ガスを、80000h
-1のガス毎時空間速度(GHSV)で触媒床を通過させた。各温度での並列反応器の熱平衡化のための30分の待機時間に加えて、すべての位置を3分間平衡化し、その後30秒のサンプリング時間を設けた。分析器によって1Hzの周波数で記録されたデータは、サンプリング間隔について平均化し、NO転化率およびN
2O収率の計算に使用した。結果を
図2および
図3に示す。
【0288】
図2からわかるように、本発明によるCu含有固体材料(FERゼオライト材料)を含む触媒は、300~450℃の範囲の温度で、約95~100%のNOx転化率を示し、約250℃のT
50を呈する。よってこの実施例は、本発明により得られた固体材料が、優れた触媒活性を呈することを実証している。
【0289】
参考例4:AEIゼオライト材料の合成
20.194kgの蒸留水を60Lのオートクレーブ反応器に入れ、200rpmで撹拌した。次いで、蒸留水中50質量%のNaOH溶液2.405kgを加え、続いて6.670kgの1,1,3,5-テトラメチルピペリジニウムヒドロキシドを加えた。次いで、560gのゼオライトY種(5.2:1のシリカ対アルミナのモル比、659m2/gのBET比表面積および0.2質量%のNa2Oを有するNH4-ゼオライトY)を3Lの蒸留水中に懸濁させ、懸濁液を撹拌しながら反応器に加えて、その後7.473kgのコロイダルシリカ(水溶液、40質量%)を加えた。1.00のSiO2:0.30のNa2O:0.17のテンプレート:0.19のゼオライトY:41.5のH2Oのモル比を示す得られた混合物を、室温でさらに30分間撹拌して、その後反応器を閉じ、反応混合物を自己発生圧力下で1.5時間160℃に加熱し、その後続いてさらに攪拌しながらその温度で48時間維持した。
【0290】
得られた懸濁液を5つの10Lのキャニスターに充填し、懸濁液を沈降させて、その後透明な上澄みをデカントした。固形残留物をフィルターに入れ、蒸留水で200μS未満に洗浄した。次いで、フィルターケーキを120℃で一晩乾燥させて、1.1848kgの結晶性固体を提供し、これをその後続いて2℃/分で500℃に加熱し、その温度で空気下で5時間か焼した。前記か焼後、か焼したゼオライト材料を、さらなるか焼工程に供し、それを2℃/分で550℃に加熱し、その温度で5時間か焼して、1.0810kgのゼオライト材料のナトリウム形態を提供した。ゼオライト材料のX線回折分析により、AEI型の骨格構造が明らかとなった。Na-AEIゼオライトは、506m2/gの窒素等温線から得られたBET表面積および685m2/gのラングミュア表面積を示した。
【0291】
得られたNa-AEIゼオライトの、参考例1d)の記載による元素分析:
Si: 34g/100g
Al: 5.1g/100g
Na: 2g/100g
【0292】
よってゼオライトは、12.9:1のSiO2:Al2O3モル比を示した。
【0293】
Na-AEIゼオライトのNH3-TPD分析から、1.4mmol/gの酸部位の総量が提供された。デコンボリューションされた脱着スペクトルには、0.6mmol/gの酸部位の量を有する515℃のピークが含まれていた。
【0294】
実施例10:AEIゼオライト材料を出発材料として用いた、骨格構造型FERを有するゼオライト材料の製造
材料:
参考例4に記載のように得られたゼオライトAEI 9.4g
ピペリジン(99%、溶液) 54.1g
コロイダルシリカ(水中40質量%の懸濁液) 62.8g
水 230.8g
NaOH(99%、錠剤) 10.1g
【0295】
230.8gの水を開放攪拌装置のビーカーに入れ、10.1gのNaOH溶液をその中で溶解した。5分後、54.1gのピペリジンおよび9.4gのゼオライトAEIを加え、混合物を60分間撹拌した。最後に、60分の撹拌後、62.8gのコロイダルシリカを加え、混合物をさらに60分間撹拌した。得られた混合物を、それぞれ約170gの2つの等しい部分に分離し、そのうちの1つをテフロン(登録商標)オートクレーブに入れた。前記オートクレーブを密封し、回転オーブンに入れ、混合物を170℃で3日間(72時間)40U/分で結晶化させた。圧力を解放して室温に冷却した後、得られた懸濁液を濾過に供し、3Lの脱イオン水で80℃で80μS(マイクロシーメンス)まで洗浄した。次いでフィルターケーキを120℃の温度で2時間乾燥し、550℃で5時間か焼した。
【0296】
固体材料は、骨格型FERを有するゼオライト材料であり、主相として微量の不明成分を伴った。サンプルの結晶化度は、参考例1c)に記載のように決定して90%であった。以下の表6に示すように、か焼したゼオライト材料のXRDパターンは、参考例1a)に記載のように決定して、FER骨格構造に関連する一連のピークを示した。
【0297】
【0298】
それぞれ得られた固体材料の、参考例1d)の記載による元素分析:
Si: 39g/100g
Al: 2.7g/100g
Na: 1.1g/100g
よって固体材料は、約28:1のシリカ対アルミナのモル比を有していた。
【0299】
参考例5:LEVゼオライト材料の合成
LEVゼオライト材料は、WO2011/158218A1の実施例1のように製造した。よって元素分析によれば、ゼオライト材料のSi:Al:Naのモル比は、約9.6:1:0.17であった。よってゼオライト材料は、19.2:1のシリカ対アルミナのモル比を有していた。
【0300】
実施例11:LEVゼオライト材料を出発材料として用いた、骨格構造型FERを有するゼオライト材料の製造
材料:
参考例5に記載のように得られたゼオライトLEV 9.4g
ピペリジン(99%、溶液) 54.1g
コロイダルシリカ(水中40質量%の懸濁液) 62.8g水 230.2g
NaOH(99%、錠剤) 10.1g
【0301】
230.2gの水を開放攪拌装置のビーカーに入れ、10.1gのNaOH溶液をその中で溶解した。5分後、54.1gのピペリジンおよび9.4gのゼオライトLEVを加え、混合物を60分間撹拌した。最後に、60分の撹拌後、62.8gのコロイダルシリカを加え、混合物をさらに60分間撹拌した。得られた混合物を、それぞれ約170gの2つの等しい部分に分離し、そのうちの1つをテフロン(登録商標)オートクレーブに入れた。前記オートクレーブを密封し、回転オーブンに入れ、混合物を170℃で3日間(72時間)40U/分で結晶化させた。圧力を解放して室温に冷却した後、得られた懸濁液を濾過に供し、3Lの脱イオン水で80℃で30μS(マイクロシーメンス)まで洗浄した。次いでフィルターケーキを120℃の温度で2時間乾燥し、550℃で5時間か焼した。
【0302】
固体材料は、骨格型FERを有するゼオライト材料であり、主相として少量の不純物を伴った。サンプルの結晶化度は、参考例1c)に記載のように決定して86%であった。以下の表7に示すように、か焼したゼオライト材料のXRDパターンは、参考例1a)に記載のように決定して、FER骨格構造に関連する一連のピークを示した。
【0303】
【0304】
それぞれ得られた固体材料の、参考例1d)の記載による元素分析:
Si: 41g/100g
Al: 3g/100g
Na: 0.8g/100g
【0305】
よって固体材料は、約26:1のシリカ対アルミナのモル比を有していた。
【0306】
引用文献
― Haiyan Zhangら、Organotemplate-free synthesis of high-silica ferrierite zeolite induced by CDO-structure zeolite buikding units,J.Mater.Chem.,2011,21,9494
― Zhenchao Zhaoら、「Insights into the topotactic conversion process from layered silicate RUB-36 to FER-type zeolite by layer assembly」、Chem.Mater.,2013,25,840-847
― Gabrielly Pal-Borbelyら、「Solid-state recrystallization of aluminum-containing kanemite varieties to ferrierite」、Microporous and Mesoporous Materials 35-36(2000),573-584
― Yu Wangら、「ZSM-5 and ferrierite synthesized by magadiite conversion method in 1,6-hexethylenediamine system」、Microporous and Mesoporous Materials 208(2015),66-71
― WO2013/068976A
― WO2011/158218A1