(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】吸収性シート入り包装容器
(51)【国際特許分類】
B65D 75/62 20060101AFI20240527BHJP
【FI】
B65D75/62 A
(21)【出願番号】P 2023213091
(22)【出願日】2023-12-18
【審査請求日】2024-02-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100183081
【氏名又は名称】岡▲崎▼ 大志
(74)【代理人】
【識別番号】100211052
【氏名又は名称】奥村 大輔
(72)【発明者】
【氏名】梨子木 真実
(72)【発明者】
【氏名】湊 大尚
(72)【発明者】
【氏名】岩田 真依
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3229823(JP,U)
【文献】特開2015-063319(JP,A)
【文献】特開2006-212861(JP,A)
【文献】特開2011-219131(JP,A)
【文献】国際公開第2023/089847(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/180189(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 67/00-79/02
B65D 83/08
B65D 5/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面板、天面板、正面板、背面板、第1側面板及び第2側面板を含む包装容器と、
前記包装容器内に収容された複数の吸収性シートと、
を備え、
前記底面板と前記天面板とは、上下方向に対向し、
前記正面板と前記背面板とは、奥行方向に対向し、
前記第1側面板と前記第2側面板とは、幅方向に対向し、
前記複数の吸収性シートの各々は、透水性の表面シートと、前記表面シートの反対側の裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に配置された吸収体とを含み、折線に沿って二つ折りにされ、且つ、前記折線が前記上下方向に向けられた起立姿勢で前記包装容器内に収容され、
前記包装容器は、前記正面板、前記背面板、前記第1側面板及び前記第2側面板に連続的に形成され、前記天面板を含む容器上部を前記底面板を含む容器下部から分離して前記包装容器を開封するための開封線を有し、
前記上下方向において、前記開封線は、起立姿勢の前記複数の吸収性シートの頂部よりも前記底面板側に位置し、
前記上下方向における前記開封線と前記頂部との間の距離は、二つ折りの前記吸収性シートの剛軟度よりも小さ
く、
二つ折りの前記吸収性シートの剛軟度は、二つ折りの前記吸収性シートから30mm×100mmの試験片を切り出し、JIS L 1096に規定されるA法(45°カンチレバー法)に準拠する剛軟度試験機の台上に前記試験片をセットし、45°の傾斜面の方向に前記試験片を押し出し、水平面に対して前記試験片が150°の角度になった時点の押し出し距離であり、
前記複数の吸収性シートは、二つ折りの状態で前記幅方向に並べられ、
前記裏面シートは、前記吸収体に対向する内面とは反対側の外面を有し、
前記裏面シートの前記外面には、面ファスナーが設けられ、
前記複数の吸収性シートの各々は、前記裏面シートが内側に配置されるように前記折線に沿って二つ折りにされ、
前記複数の吸収性シートは、前記幅方向に並べられた第1列の吸収性シート群と、前記奥行方向において前記第1列の吸収性シート群に隣接して配置され、前記幅方向に並べられた第2列の吸収性シート群とを含み、
前記第1列の吸収性シート群の前記折線と前記第2列の吸収性シート群の前記折線とがそれぞれ対向するように、前記複数の吸収性シートが前記包装容器内に配置されている、
吸収性シート入り包装容器。
【請求項2】
前記上下方向における前記開封線と前記頂部との間の距離は、折り畳まれていない前記吸収性シートの剛軟度よりも大き
く、
折り畳まれていない前記吸収性シートの剛軟度は、折り畳まれていない前記吸収性シートから30mm×100mmの第2試験片を切り出し、前記剛軟度試験機の台上に前記第2試験片をセットし、45°の傾斜面の方向に前記第2試験片を押し出し、水平面に対して前記第2試験片が150°の角度になった時点の押し出し距離である、請求項1に記載の吸収性シート入り包装容器。
【請求項3】
前記開封線は、前記上下方向における前記包装容器の中心線よりも前記底面板側に形成されている、請求項1に記載の吸収性シート入り包装容器。
【請求項4】
前記開封線は、前記上下方向における前記複数の吸収性シートの中心線よりも前記天面板側に形成されている、請求項1に記載の吸収性シート入り包装容器。
【請求項5】
前記上下方向における前記開封線と前記頂部との距離が、50.2mm以上、95.2mm以下である、請求項1に記載の吸収性シート入り包装容器。
【請求項6】
前記開封線は、前記正面板に形成された正面開封線、前記背面板に形成された背面開封線、前記第1側面板に形成された第1側面開封線、及び、前記第2側面板に形成された第2側面開封線を含み、
前記第1側面開封線は、前記正面開封線に接続された第1部分と、前記背面開封線に接続された第2部分と、前記第1部分と前記第2部分との間に配置され、前記第1部分及び前記第2部分に対して前記上下方向にずれた位置に形成された第3部分とを含む、請求項1に記載の吸収性シート入り包装容器。
【請求項7】
前記第2側面開封線は、前記上下方向において前記第1側面開封線の前記第1部分及び前記第2部分よりも天面板側に位置し、
前記正面開封線及び前記背面開封線は、前記第2側面開封線に近づくにつれて前記天面板に近づくように、前記幅方向に対して傾斜する方向に延びている、請求項
6に記載の吸収性シート入り包装容器。
【請求項8】
前記開封線は、前記正面板と前記第1側面板との境界部、前記正面板と前記第2側面板との境界部、前記背面板と前記第1側面板との境界部、及び、前記背面板と前記第2側面板との境界部において、同じ高さ位置に配置されている、請求項1に記載の吸収性シート入り包装容器。
【請求項9】
前記包装容器は、前記正面板及び前記背面板の少なくとも一方に形成され、折曲線に沿って前記包装容器内へ折り曲げ可能なストッパ片を備え、
前記ストッパ片は、前記上下方向において前記開封線よりも前記底面板側に位置している、請求項1に記載の吸収性シート入り包装容器。
【請求項10】
前記複数の吸収性シートの各々は、前記表面シートと前記裏面シートとの間に吸収体が配置された吸収部と、前記吸収部を囲むように形成され、前記吸収体が配置されていないフラップ部と、を含み、
前記ストッパ片は、前記折曲線に沿って前記包装容器内へ折り曲げられたときに前記吸収部に接触する、請求項
9に記載の吸収性シート入り包装容器。
【請求項11】
前記ストッパ片の上縁部は、前記上下方向における前記開封線と前記底面板との中間線よりも前記開封線側に位置している、請求項
9に記載の吸収性シート入り包装容器。
【請求項12】
前記包装容器が紙製のカートン箱である、請求項1に記載の吸収性シート入り包装容器。
【請求項13】
前記開封線がミシン目を含む、請求項1に記載の吸収性シート入り包装容器。
【請求項14】
前記開封線が、上下一対のミシン目と、上下一対のミシン目の間に形成されたジッパー部とを含む、請求項1に記載の吸収性シート入り包装容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、吸収性シート入り包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
液体を吸収する吸収性シートが広く利用されている。例えば、下記特許文献1には、透水性の表面シートと、非透水性の裏面シートと、表面シートと裏面シートとの間に配置された吸収体とを備え、排泄物処理シートに形成された尿跡を覆うように当該排泄物処理シート上に重ねて使用されるペットシートについて記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の吸収性シートは、ペットが排尿をしたときに簡単に取り出してすぐに使用できることが望ましい。吸収性シートの取り出しを容易にするために、複数の吸収性シートを包装容器内に起立姿勢で収容し、厚み方向から吸収性シートを摘まんで包装容器から取り出せるようにすることが考えられる。しかしながら、吸収性シートを起立姿勢で収容すると、吸収性シートが倒れ、包装容器から吸収性シートを取り出しにくくなることがある。
【0005】
そこで、本開示は、吸収性シートを簡単に取り出すことができる吸収性シート入り包装容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一側面に係る吸収性シート入り包装容器は、底面板、天面板、正面板、背面板、第1側面板及び第2側面板を含む包装容器と、包装容器内に収容された複数の吸収性シートと、を備え、底面板と天面板とは、上下方向に対向し、正面板と背面板とは、奥行方向に対向し、第1側面板と第2側面板とは、幅方向に対向し、複数の吸収性シートの各々は、透水性の表面シートと、表面シートの反対側の裏面シートと、表面シートと裏面シートとの間に配置された吸収体とを含み、折線に沿って二つ折りにされ、且つ、折線が上下方向に向けられた起立姿勢で包装容器内に収容され、包装容器は、正面板、背面板、第1側面板及び第2側面板に連続的に形成され、天面板を含む容器上部を底面板を含む容器下部から分離して包装容器を開封するための開封線を有し、上下方向において、開封線は、起立姿勢の複数の吸収性シートの頂部よりも底面板側に位置し、上下方向における開封線と頂部との間の距離は、二つ折りの吸収性シートの剛軟度よりも小さい。
【0007】
この吸収性シート入り包装容器では、開封線が起立姿勢の複数の吸収性シートの頂部よりも底面板側に位置しているので、開封線に沿って包装容器を開封して容器上部を容器下部から分離すると、複数の吸収性シートの上部が開口部を介して包装容器から露出される。使用者は、当該開口部から包装容器内に指を入れ、吸収性シートを厚み方向から摘まんで包装容器から取り出すことができる。一方で、複数の吸収性シートの各々は、折線に沿って二つ折りにされているので、包装容器内で倒れにくい。特に、上下方向における開封線と頂部との間の距離が二つ折りの吸収性シートの剛軟度よりも小さいので、吸収性シートが容器下部にもたれかかって折れ曲がることが防止される。したがって、吸収性シートの起立姿勢が維持されるので、この包装容器によれば吸収性シートを簡単に取り出すことができる。
【0008】
複数の吸収性シートは、二つ折りの状態で幅方向に並べられていてもよい。この包装容器では、幅方向に並べられた吸収性シートを簡単に取り出すことができる。
【0009】
裏面シートは、吸収体に対向する内面とは反対側の外面を有し、裏面シートの外面には、面ファスナーが設けられ、複数の吸収性シートの各々は、裏面シートが内側に配置されるように折線に沿って二つ折りにされていてもよい。面ファスナーが設けられた裏面シートが内側に配置されるように二つ折りにして吸収性シートを包装容器内に収容することにより、面ファスナーが他の吸収性シートの表面シートに貼り付くことが防止される。したがって、包装容器から吸収性シートを個別に取り出すことができる。
【0010】
複数の吸収性シートは、幅方向に並べられた第1列の吸収性シート群と、奥行方向において第1列の吸収性シート群に隣接して配置され、幅方向に並べられた第2列の吸収性シート群とを含み、第1列の吸収性シート群の折線と第2列の吸収性シート群の折線とがそれぞれ対向するように、複数の吸収性シートが包装容器内に配置されていてもよい。第1列の吸収性シート群の折線と第2列の吸収性シート群の折線とがそれぞれ対向するように複数の吸収性シートが配置されることにより、第1列の吸収性シート群及び第2列の吸収性シート群のうちの一方の面ファスナーが、第1列の吸収性シート群及び第2列の吸収性シート群のうちの他方の表面シートに貼り付くことが防止される。したがって、包装容器から吸収性シートを個別に取り出すことができる。
【0011】
裏面シートは、吸収体に対向する内面とは反対側の外面を有する樹脂フィルムであり、裏面シートの外面には、面ファスナーが設けられ、複数の吸収性シートの各々は、表面シートが内側に配置されるように折線に沿って二つ折りにされていてもよい。樹脂フィルムには面ファスナーが貼り付きにくい。したがって、裏面シートを樹脂フィルムによって構成することにより、表面シートが内側に配置されるように折線に沿って二つ折りされた場合であっても、面ファスナーが他の吸収性シートの裏面シートに貼り付くことが防止される。したがって、包装容器から吸収性シートを個別に取り出すことができる。
【0012】
上下方向における開封線と頂部との間の距離は、折り畳まれていない吸収性シートの剛軟度よりも大きくてもよい。この場合には、開封線に沿って包装容器を開封したときに、吸収性シートの露出部分を大きくすることができるので、吸収性シートを包装容器から簡単に取り出すことができる。
【0013】
開封線は、上下方向における包装容器の中心線よりも底面板側に形成されていてもよい。この場合には、開封線に沿って包装容器を開封したときに、吸収性シートの露出部分を大きくすることができるので、吸収性シートを包装容器から簡単に取り出すことができる。
【0014】
開封線は、上下方向における複数の吸収性シートの中心線よりも天面板側に形成されている。この場合には、吸収性シートが起立姿勢を維持しやすくなるので、吸収性シートが容器下部にもたれかかって折れ曲がることが防止される。
【0015】
上下方向における開封線と頂部との距離が、50.2mm以上、95.2mm以下であってもよい。この場合には、開封線に沿って包装容器を開封したときに、吸収性シートが容器下部にもたれかかって折れ曲がることを防止しつつ、吸収性シートの露出部分を大きくすることができる。
【0016】
開封線は、正面板に形成された正面開封線、背面板に形成された背面開封線、第1側面板に形成された第1側面開封線、及び、第2側面板に形成された第2側面開封線を含み、第1側面開封線は、正面開封線に接続された第1部分と、背面開封線に接続された第2部分と、第1部分と第2部分との間に配置され、第1部分及び第2部分に対して上下方向にずれた位置に形成された第3部分とを含んでいてもよい。この場合には、第1側面開封線の第3部分を起点として容易に開封線を破断することができる。
【0017】
第2側面開封線は、上下方向において第1側面開封線の第1部分及び第2部分よりも天面板側に位置し、正面開封線及び背面開封線は、第2側面開封線に近づくにつれて天面板に近づくように、幅方向に対して傾斜する方向に延びていてもよい。上記のように、正面開封線及び背面開封線が傾斜している場合には、開封線に沿って包装容器を開封したときに上下方向における容器下部の高さが第2側面板に近づくにつれて高くなる。その結果、包装容器に収容される吸収性シートの枚数が多いときには吸収性シートを簡単に取り出すことができる。一方、吸収性シートの枚数が少なくなったときには、吸収性シートが第2側面板に支持されて倒れにくくなるので、吸収性シートの起立姿勢が維持される。
【0018】
上下方向において、開封線は、正面板と第1側面板との境界部、正面板と第2側面板との境界部、背面板と第1側面板との境界部、及び、背面板と第2側面板との境界部において、同じ高さ位置に配置されていてもよい。この場合には、吸収性シートをどの向きからでも取り出すことができる。
【0019】
包装容器は、正面板及び背面板の少なくとも一方に形成され、折曲線に沿って包装容器内へ折り曲げ可能なストッパ片を備え、ストッパ片は、上下方向において開封線よりも底面板側に位置していてもよい。この場合には、ストッパ片を包装容器内へ折り曲げることにより、包装容器内の吸収性シートが当該ストッパ片に支持され、包装容器内で吸収性シートが倒れることが防止される。
【0020】
複数の吸収性シートの各々は、表面シートと裏面シートとの間に吸収体が配置された吸収部と、吸収部を囲むように形成され、吸収体が配置されていないフラップ部と、を含み、ストッパ片は、折曲線に沿って包装容器内へ折り曲げられたときに吸収部に接触してもよい。吸収部はフラップ部よりも高い剛性を有しているので、ストッパ片が吸収部に接触することにより、吸収性シートを確実に支持することができる。よって、包装容器内で吸収性シートが倒れることが防止される。
【0021】
ストッパ片の上縁部は、上下方向における開封線と底面板との中間線よりも開封線側に位置していてもよい。この場合には、包装容器内で吸収性シートが倒れることがより確実に防止される。
【0022】
包装容器が紙製のカートン箱であってもよい。なお、開封線がミシン目を含んでいてもよい。この場合には、包装容器を簡単に開封することができる。
【0023】
開封線が、上下一対のミシン目と、上下一対のミシン目の間に形成されたジッパー部とを含んでいてもよい。この場合には、包装容器を簡単に開封することができる。
【0024】
別の側面に係る吸収性シート入り包装容器は、底面板、天面板、正面板、背面板、第1側面板及び第2側面板を含む包装容器と、包装容器内に収容された複数の吸収性シートと、を備え、底面板と天面板とは、上下方向に対向し、正面板と背面板とは、奥行方向に対向し、第1側面板と第2側面板とは、幅方向に対向し、複数の吸収性シートの各々は、透水性の表面シートと、表面シートの反対側の裏面シートと、表面シートと裏面シートとの間に配置された吸収体と、裏面シートの外面を覆う離型シートとを含み、その厚み方向が幅方向に向けられた起立姿勢で包装容器内に収容され、包装容器は、正面板、背面板、第1側面板及び第2側面板に連続的に形成され、天面板を含む容器上部を底面板を含む容器下部から分離して包装容器を開封するための開封線を有し、上下方向において、開封線は、起立姿勢の複数の吸収性シートの頂部よりも底面板側の位置に形成され、上下方向における開封線と頂部との間の距離は、吸収性シートの剛軟度よりも小さい。
【0025】
上記のように、この包装容器では、包装容器を開封したときに吸収性シートの起立姿勢が維持されるので、吸収性シートを簡単に取り出すことができる。
【0026】
上下方向における開封線と頂部との間の距離は、離型シートを剥離した吸収性シートの剛軟度よりも大きくてもよい。この場合には、開封線に沿って包装容器を開封したときに、吸収性シートの露出部分を大きくすることができるので、吸収性シートを厚み方向から摘まみやすくなり、包装容器から簡単に取り出すことができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の種々の態様によれば、包装容器から吸収性シートを簡単に取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図2】包装容器に収容される例示的なペットシートを示す斜視図である。
【
図4】処理シート上に載置されたペットシートを示す斜視図である。
【
図5】ペットシートを裏面側から見た平面図である。
【
図6】
図5のA-A線に沿ったペットシートの概略的な断面図である。
【
図7】二つ折り状態のペットシートを示す斜視図である。
【
図9】開封線に沿って開封された包装容器を示す斜視図である。
【
図12】ストッパ片が折り曲げられた包装容器を示す上面図である。
【
図13】別の実施形態に係る包装容器の斜視図である。
【
図14】開封線に沿って開封された包装容器を示す斜視図である。
【
図15】更に別の実施形態に係る包装容器の斜視図である。
【
図18】ダブルジッパー式の開封線の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しながら本開示の実施形態が詳細に説明される。図面の説明において同一要素には同一符号が付され、重複する説明は省略される。図面は、理解の容易化のために一部を簡略化又は誇張して描いている場合があり、寸法比率は図面に記載のものに限定されない。
【0030】
図1は、一実施形態に係る吸収性シート入り包装容器1を示す斜視図である。包装容器1は、
図2に示すペットシート2を収容している。ペットシート2は、吸水性を有する吸収性シートの一例である。包装容器1は、複数のペットシート2を収容するための内部空間を画成する。
【0031】
まず、
図3及び
図4を参照してペットシート2の使用例について説明する。
図3は、ペット用の排泄物処理シート(以下「処理シート」という。)100を示している。処理シート100は、ペットの飼育空間(例えば、室内)に配置され、飼育空間を清潔に保つために使用される。すなわち、処理シート100は、ペットの排泄スペースを提供する。処理シート100は、飼育空間の床面又は地面に直接載置されてもよいし、トレイ上に載置されてもよい。
【0032】
処理シート100は、矩形状の平面形状を有し、液透過性の表面シートと、液不透過性の裏面シートと、表面シートと裏面シートとの間に配置された吸収体とを備えている。ペットは、処理シート100の上に乗って排泄する。処理シート100は、ペットの排泄物Uを吸収する。
【0033】
本明細書において、ペットは、脊椎動物や無脊椎動物を広く包含し、典型的には、犬、猫、ウサギ、ハムスター等の愛玩動物を含む。ペットには、鳥類、爬虫類、両生類等の哺乳類以外の動物が含まれる。ペットの排泄物Uとしては、典型的には尿が挙げられるが、低粘度の糞、唾液、血液等の吸収体で吸収可能な体液が含まれる。以下の説明では、排泄物Uとして尿を吸収する例について説明する。
【0034】
ペットは、処理シート100上の排泄跡(尿跡)を避けて排泄する傾向がある。このため、ペットが尿跡を避けようとして無理な姿勢で排尿する結果、処理シート100の外部に排尿して、飼育空間を汚すことがある。かかる問題を回避するために、処理シート100の使用者(例えば、ペットの飼い主)は、使用可能な領域(新たな尿を吸収可能な領域)があるにも関わらず、処理シート100を新品の処理シート100に交換する場合がある。しかしながら、使用可能な処理シート100を交換することは、経済性の観点だけなく、環境保護の観点からも適切ではない。
【0035】
上記の問題を解消するために、
図4に示すように、ペットシート2は、処理シート100の排泄物Uが吸収された領域(例えば尿跡)に重ねて使用される。処理シート100を尿跡に重ねて配置することにより尿跡を視覚的に隠すことができるため、ペットが尿跡を避けて処理シート100の外部に排尿することを防止することができる。その結果、処理シート100を繰り返し、長期間使用することが可能となり、経済性及び環境保護の観点において改善が図られる。
【0036】
次に、包装容器1に収容されるペットシート2について説明する。
図2は、例示的なペットシート2の斜視図である。
図5は、ペットシート2を後述する裏面シート42側から見た平面図である。
図6は、
図5のA-A線に沿ったペットシート2の概略的な断面図である。
【0037】
図2に示すように、ペットシート2は、矩形状の平面形状を有する本体部10を備えている。なお、本体部10の平面形状は、矩形状に限定されず、多角形、円形、楕円等の任意の形状を採用し得る。本体部10のサイズは、ペットシート2を使用するペットのサイズ又は種類等に応じて決定される。典型的には、平面視におけるペットシート2の面積は、処理シート100の面積よりも小さい。
【0038】
本体部10は、透水性を有する表面シート41と、表面シートの反対側の裏面シート42と、表面シート41と裏面シート42との間に配置された吸収体43とを有している。表面シート41は、使用時にペット側(上方)に向けられる表面41aを有する。典型的には、表面シート41は、透水性を有する不織布によって構成され、ペットから排泄された尿を吸収体43側へ移動させる。表面シート41を構成する不織布としては、エアースルー不織布、スパンボンド不織布又はポイントボンド不織布等が例示される。
【0039】
裏面シート42は、Z方向において表面シート41とは反対側に配置され、非透水性を有している。裏面シート42は、表面シート41と実質的に同じ寸法を有し、Z方向から見て表面シート41と完全に重なるように配置されている。裏面シート42は、使用時に処理シート100上に載置される外面42aを有する。典型的には、裏面シート42は、非透水性を有する樹脂フィルムによって構成されている。裏面シート42を構成する樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルム又はポリプロピレンフィルムが使用される。なお、裏面シート42は、撥水性又は疎水性を有する不織布によって構成されていてもよいし、樹脂フィルム及び不織布を貼り合わせた積層体であってもよい。
【0040】
裏面シート42は、ペットシート2上に排泄された尿が処理シート100側へ移動することを防止する。なお、裏面シート42は、透水性を有していてもよい。処理シート100が尿を吸収する機能を有しているため、ペットシート2上に排泄された尿が処理シート100側へ移動しても大きな問題はないためである。
【0041】
吸収体43は、表面シート41と裏面シート42との間に配置され、ペットの尿を吸収する。吸収体43は、略矩形状の平面形状を有する。
図3に示すように、吸収体43は、表面シート41及び裏面シート42よりも一回り小さな寸法を有し、本体部10の中央に配置されている。これにより、本体部10には、表面シート41と裏面シート42との間に吸収体43が配置された吸収部10aと、表面シート41と裏面シート42との間に吸収体43が配置されないフラップ部10bとが形成される。典型的には、フラップ部10bは、吸収体43を介さずに表面シート41と裏面シート42とが貼り合わせた矩形枠状の領域であり、吸収部10aを囲むように形成されている。すなわち、フラップ部10bは、ペットシート2の外縁に沿って形成されている。
【0042】
フラップ部10bの剛性は、吸収体43が存在しない分、吸収部10aの剛性よりも低い。すなわち、フラップ部10bは、薄く、柔らかくなっているため、手で摘まみやすくなっている。二つ折りのペットシート2は、フラップ部10bを摘まんで持ち上げることで、自然に広げられる。
【0043】
図6に示すように、吸収体43は、吸収性コア44及びコアラップ45を含んでいる。吸収性コア44は、パルプ及び吸水性ポリマー(SAP:Superabsorbent Polymer)を含み、吸水性を有している。吸収性コア44のパルプとしては、例えば、化学パルプ、セルロース繊維、レーヨン、アセテート等のセルロース繊維が利用される。SAPとしては、例えばデンプン系、アクリル酸系、アミノ酸系の粒子状又は繊維状のポリマーが利用される。コアラップ45は、吸収性コア44の表面を覆っている。
【0044】
図5及び
図6に示すように、裏面シート42の外面42aには、処理シート100に結合可能な結合面48aを有する面ファスナー48が設けられている。面ファスナー48の結合面48aは、処理シート100の表面に係合する。
図5に示す実施形態では、4つの矩形状の面ファスナー48が外面42aの角部(四隅)に設けられている。これら4つの面ファスナー48は、各面ファスナー48の外縁部が裏面シート42の外縁から離間するように配置されている。面ファスナー48は、結合面48aが外部に露出した状態で設けられている。
【0045】
結合面48aには、フックシートから突出する複数のフックが形成されている。ペットシート2が処理シート100上に置かれたときに、結合面48aの複数のフックが処理シート100の表面シートを構成する不織布に絡みつくことにより、ペットシート2が処理シート100に結合される。一方で、面ファスナー48の結合面48a同士が結合されることがないように、複数のフックの形状が設計されている。
【0046】
ペットシート2は、折線L1に沿って二つ折りにされた状態で包装容器1内に収容される。
図5に示すように、折線L1は、ペットシート2を二つ折りするための二つ折り線であり、本体部10の中心線に沿って吸収体43を横断するように直線状に延在する。この折線L1によって、ペットシート2の本体部10は、折線L1に対して一方側に位置する第1部分18Aと、折線L1に対して他方側に位置する第2部分18Bとに区画される。
【0047】
図5に示されるように、面ファスナー48は、折線L1に対してずれた位置(折線L1に重ならない位置)に配置されている。より具体的には、4つの面ファスナー48は、折線L1に対して線対称な位置に設けられている。
図7は、折線L1に沿って裏面シート42が内側に配置されるように二つ折りにされたペットシート2を示している。上記のように、4つの面ファスナー48は、折線L1に対して線対称な位置に設けられているので、折線L1に沿ってペットシート2を二つ折りした場合には、第1部分18Aに設けられた2つの面ファスナー48が第2部分18Bに設けられた2つの面ファスナー48に接触する。上記のように、面ファスナー48は、結合面48a同士が結合されることがないように設計されているため、二つ折り状態のときに第1部分18A及び第2部分18Bは互いに結合されず、自然に離間するようになっている。
【0048】
上記のように、ペットシート2は、二つ折りの状態で包装容器1内に収容される。ペットシート2は、ペットが排尿をしたときに簡単に取り出してすぐに使用できることが望ましい。包装容器1は、ペットシート2を簡単に取り出すことができるように、ペットシート2を収容している。
【0049】
図1は、複数のペットシート2を収容する包装容器1を示す概略的な斜視図である。包装容器1は、例えば、略直方体形状を有し、厚紙又はボール紙等によって構成された紙製のカートン箱である。
図1に示すように、包装容器1は、底面板11、天面板12、正面板13、背面板14、左面板(第1側面板)15及び右面板(第2側面板)16を含んでいる。
図1には、互いに直交する幅方向X、奥行方向Y及び上下方向Zが示されている。幅方向Xは、包装容器1の左面板15及び右面板16に交差又は直交する方向であり、奥行方向Yは、包装容器1の正面板13及び背面板14に交差又は直交する方向である。上下方向Zは、幅方向X及び奥行方向Yに垂直な方向であり、底面板11及び天面板12に交差又は直交する方向である。なお、以下の説明では、底面板11から天面板12へ向かう方向を「上方」といい、天面板12から底面板11へ向かう方向を「下方」というものとする。
【0050】
包装容器1の正面板13及び背面板14は奥行方向Yにおいて互いに対向し、左面板15及び右面板16は幅方向Xにおいて互いに対向している。包装容器1の底面板11及び天面板12は包装容器1の上下方向Zにおいて互いに対向している。底面板11は、正面板13、背面板14、左面板15及び右面板16の下端に接続され、包装容器1の底部を閉じている。天面板12は、正面板13、背面板14、左面板15及び右面板16の上端に接続され、包装容器1の上部を閉じている。天面板12は、当該天面板12と背面板14との境界部を支点として旋回し、包装容器1の上部を開閉できるようになっていてもよい。典型的には、包装容器1は、一枚のブランクシートを折り曲げ、糊付けして作製される。
【0051】
図1に示すように、包装容器1には、開封線20が形成されている。開封線20は、正面板13、背面板14、左面板15及び右面板16に連続的に形成されている。典型的には、開封線20は、カット部と非カット部とを含むミシン目である。開封線20が全域に亘って破断されると、包装容器1が開封される。
【0052】
図1に示すように、開封線20は、正面開封線23、背面開封線24、左開封線(第1側面開封線)25、及び、右開封線(第2側面開封線)26を含んでいる。一実施形態では、正面開封線23、背面開封線24、左開封線25及び右開封線26は、底面板11に対して実質的に平行に延びている。
【0053】
正面開封線23は、正面板13に形成され、幅方向Xに延在する。より詳細には、正面開封線23は、正面板13と左面板15との境界部31と、正面板13と右面板16との境界部32との間で正面板13を横断するように幅方向Xに直線的に延びている。背面開封線24は、背面板14に形成され、幅方向Xに延在する。背面開封線24は、背面板14と左面板15との境界部33と、背面板14と右面板16との境界部34との間で背面板14を横断するように幅方向Xに直線的に延びている。境界部31,32,33,34は、包装容器1の角部を構成する。
【0054】
左開封線25は、左面板15に形成され、奥行方向Yに延在する。左開封線25は、境界部31と境界部33との間で左面板15を横断するように奥行方向Yに直線的に延びている。左開封線25の一端は、境界部31上で正面開封線23の一端に接続され、左開封線25の他端は、境界部33上で背面開封線24の一端に接続されている。右開封線26は、右面板16に形成され、奥行方向Yに延在する。右開封線26は、境界部32と境界部34との間で右面板16を横断するように奥行方向Yに直線的に延びている。右開封線26の一端は、境界部32上で正面開封線23の他端に接続され、右開封線26の他端は、境界部34上で背面開封線24の他端に接続されている。すなわち、開封線20は、包装容器1の側面の全周に亘って連続的に延びている。
【0055】
図8は、包装容器1の左面図である。一実施形態では、
図8に示すように、左開封線25は、第1部分25aと、第2部分25bと、当該第1部分25aと第2部分25bとの間に配置された第3部分25cとを含んでいる。第1部分25aの一端は、境界部31上で正面開封線23の一端に接続され、第1部分25aの他端は、第3部分25cの一端に接続されている。第2部分25bの一端は、境界部33上で背面開封線24の一端に接続され、第2部分25bの他端は、第3部分25cの他端に接続されている。
【0056】
第3部分25cは、第1部分25a及び第2部分25bに対して上下方向Zにずれた位置に形成されている。
図8に示す実施形態では、第3部分25cは、第1部分25a及び第2部分25bよりも下方に配置されている。なお、第3部分25cは、第1部分25a及び第2部分25bよりも上方に配置されていてもよい。第3部分25cが第1部分25a及び第2部分25bに対して上下方向Zにずれた位置に配置されることにより、第3部分25cの直上又は直下で左面板15を押圧することにより、第3部分25cを起点として包装容器1を開封線20に沿って容易に開封することができる。なお、一実施形態では、第3部分25cは、上下方向Zにおいて第1部分25a及び第2部分25bと同じ高さ位置に形成されていてもよい。
【0057】
図1に示すように、上下方向Zにおいて、正面開封線23、背面開封線24及び右開封線26は、同じ高さ位置に配置されている。また、左開封線25の第1部分25a及び第2部分25bは、正面開封線23、背面開封線24及び右開封線26と同じ高さ位置に配置されている。したがって、開封線20は、境界部31,32,33,34上で同じ高さ位置に配置されている。
【0058】
一実施形態では、開封線20は、上下方向Zにおける包装容器1の中心線よりも下方(底面板11側)に形成されている。すなわち、境界部31,32,33,34上における開封線20の高さ位置は、上下方向Zにおける包装容器1の中心線よりも下方に配置されている。なお、正面開封線23、背面開封線24、左開封線25、及び、右開封線26の高さ位置が異なっている場合には、開封線20の高さ位置とは、境界部31,32,33,34上における開封線20の高さ位置のうち最も低い位置を意味する。なお、別の実施形態では、開封線20は、上下方向Zにおける包装容器1の中心線よりも上方(正面板13側)に配置されていてもよい。
【0059】
一実施形態では、包装容器1の正面板13及び背面板14には、複数のペットシート2を包装容器1内で支持するためのストッパ片35が形成されていてもよい。
図1に示すように、ストッパ片35は、正面板13及び背面板14に形成されたミシン目を破ることにより形成され、上下方向Zに延びる折曲線35aに沿って包装容器1の内部へ折り曲げ可能である。ストッパ片35は、上下方向Zにおいて開封線20よりも下方(底面板11側)に位置している。特に、ストッパ片35の上縁部は、上下方向Zにおける開封線20と底面板11との中間線よりも上方(開封線20側)に位置していていてもよい。
【0060】
なお、ストッパ片35は、正面板13及び背面板14の一方のみに設けられていてもよい。
図1に示す実施形態では、ストッパ片35は、左面板15側に開放された略U字状のミシン目を破ることにより形成されるが、ストッパ片35は、右面板16側に開放された略U字状のミシン目を破ることにより形成されてもよい。また、ストッパ片35は、幅方向Xに延びる折曲線に沿って包装容器1の内部へ折り曲げ可能であってもよい。
【0061】
包装容器1を開封する際には、使用者は、左開封線25の第3部分25cの直上又は直下で左面板15を押圧して、第3部分25cを起点として左開封線25を破断する。そして、開封線20を全域に亘って破断させる。その結果、
図9に示すように、包装容器1が、天面板12を含む容器上部51と、底面板11を含む容器下部52とに分離される。
【0062】
図9に示すように、複数のペットシート2は、折線L1が上下方向Zに向けられた起立姿勢で包装容器1内に収容されている。ここで、上下方向Zにおいて、開封線20は、起立姿勢の複数のペットシート2の頂部2aよりも下方(底面板11側)に位置している。したがって、包装容器1が容器上部51と容器下部52とに分割されると、容器上部51と容器下部52との間に形成された開口部36を介して包装容器1内に収容された複数のペットシート2の上部が露出される。したがって、使用者は、開口部36から包装容器1内に指を入れ、ペットシート2の露出部分を厚み方向から摘まんで包装容器1から取り出すことができる。
【0063】
図10は、開封された包装容器1の左面図である。上下方向Zにおける開封線20とペットシート2の頂部2aとの間の距離H1は、二つ折りのペットシート2の剛軟度よりも小さい。
図10に示すように、上下方向Zにおける開封線20とペットシート2の頂部2aとの間の距離H1は、包装容器1が開封された際のペットシート2の露出部分の高さに相当する。言い換えると、距離H1は、底面板11を基準とする起立状態のペットシート2の高さH2と底面板11を基準とする開封線20の高さH3との差である。限定されてるものではないが、上下方向Zにおける開封線20とペットシート2の頂部2aとの間の距離H1は、例えば50.2mm以上、95.2mm以下である。
【0064】
剛軟度は、曲げ反発性を示す指標であり、JIS L 1096 A法(45°カンチレバー法)に準拠する剛軟度試験機(例えば、大栄科学精器製作所社製の剛軟度試験機CAN-1MCA)を用いて測定される。具体的には、二つ折りのペットシート2の剛軟度は、以下のように測定することができる。まず、二つ折りのペットシート2の吸収部10aから30mm×100mmの試験片を切り出し、45°の傾斜面を有する台上に当該試験片をセットする。次に、当該試験片を5mm/秒の速度で押し出し、水平面に対して150°の角度になった時点の押し出し距離を測定する。そして、測定された押し出し距離を剛軟度とする。
【0065】
上記のように、包装容器1では、上下方向Zにおける開封線20とペットシート2の頂部2aとの間の距離H1が二つ折りのペットシート2の剛軟度よりも小さいので、包装容器1を開封した際にペットシート2が容器下部52にもたれかかって折れ曲がることが防止され、起立姿勢が維持される。したがって、この包装容器1では、ペットシート2を簡単に取り出すことができる。
【0066】
なお、上下方向Zにおける開封線20とペットシート2の頂部2aとの間の距離H1は、折り畳まれていない状態(折り畳み前)のペットシート2の剛軟度よりも大きくてもよい。この場合には、包装容器1を開封した際のペットシート2の露出部分を大きくすることができるので、包装容器1から簡単に取り出すことができる。
【0067】
図11は、開封された包装容器1の上面図である。
図11に示すように、複数のペットシート2は、裏面シート42が内側に配置されるように二つ折りされた状態で包装容器1の内部で幅方向Xに並べられている。一実施形態では、複数のペットシート2は、2列に並べられていてもよい。
図11に示す実施形態では、複数のペットシート2は、幅方向Xに並べられた第1列の複数のペットシート2Aと、幅方向Xに並べられた第2列の複数のペットシート2Bとを含んでいる。第1列の複数のペットシート2A及び第2列の複数のペットシート2Bは、奥行方向Yに隣接して配置され、奥行方向Yにそれぞれ整列されている。
【0068】
第1列の複数のペットシート2A及び第2列の複数のペットシート2Bは、互いの折線L1を突き合わせた状態で包装容器1内に配置されている。すなわち、第1列の複数のペットシート2Aの折線L1と第2列の複数のペットシート2Bの折線L1とがそれぞれ対向している。このように複数のペットシート2が収容されることにより、第1列の複数のペットシート2Aの面ファスナー48が第2列の複数のペットシート2Bの表面シート41に貼り付くことが防止され、第2列の複数のペットシート2Bの面ファスナー48が第1列の複数のペットシート2Aの表面シート41に貼り付くことが防止される。したがって、第1列の複数のペットシート2Aと第2列の複数のペットシート2Bとが結合されることが防止されるので、包装容器1からペットシート2を個別に取り出すことができる。
【0069】
包装容器1から幾つかのペットシート2が取り出され、ペットシート2の残り枚数が減少してくると、使用者は、
図12に示すように、包装容器1内の複数のペットシート2を左面板15側に移動させ、正面板13及び背面板14に形成されたストッパ片35を折曲線35aに沿って包装容器1の内部へ折り曲げる。このとき、包装容器1内へ折り曲げられたストッパ片35は、包装容器1内のペットシート2の吸収部10aに接触して、ペットシート2がストッパ片35に支持される。その結果、包装容器1内でペットシート2が倒れることが防止される。
【0070】
以上説明したように、上述した包装容器1では、開封線20が起立姿勢の複数のペットシート2の頂部2aよりも底面板11側に位置しているので、開封線20に沿って包装容器1を開封して容器上部51を容器下部52から分離すると、複数のペットシート2の上部が開口部36を介して包装容器1から露出される。したがって、使用者は、当該開口部36から包装容器1内に指を入れ、ペットシート2を厚み方向から摘まんで包装容器1から取り出すことができる。一方で、複数のペットシート2の各々は、折線L1に沿って二つ折りにされているので、包装容器1内で倒れにくい。特に、上下方向Zにおける開封線20とペットシート2の頂部2aとの間の距離H1が二つ折りのペットシート2の剛軟度よりも小さいので、ペットシート2が容器下部52にもたれかかって折れ曲がることが防止される。したがって、ペットシート2の起立姿勢が維持されるので、この包装容器1によれば、ペットシート2を簡単に取り出すことができる。
【0071】
なお、
図9~
図12に示す実施形態では、複数のペットシート2は、裏面シート42が内側に配置されるように二つ折りされた状態で包装容器1内に配置されているが、裏面シート42が樹脂フィルムによって構成されている場合には、複数のペットシート2は、表面シート41が内側に配置されるように二つ折りされた状態で包装容器1内に配置されてもよい。樹脂フィルムには面ファスナー48が貼り付きにくいので、裏面シート42が内側に配置されるように二つ折りされた状態で包装容器1の内部で複数のペットシート2が幅方向Xに並べられている場合であっても、面ファスナー48が他のペットシート2の裏面シート42に貼り付くことが防止される。
【0072】
次に、別の実施形態に係る包装容器について説明する。
図13は、別の実施形態に係る包装容器1Aを示す斜視図である。以下では、
図1に示す包装容器1との相違点について主に説明し、重複する説明は省略する。
【0073】
図13に示すように、包装容器1Aの右面板16に形成された右開封線26は、左面板15に形成された左開封線25よりも上方(天面板12側)に配置されている。それに伴って、包装容器1Aの正面開封線23及び背面開封線24は、右開封線26に近づくにつれて上方に向かうように奥行方向Yに対して傾斜して延びている。
【0074】
使用者が、開封線20に沿って包装容器1Aを開封すると、
図14に示すように、包装容器1Aが、天面板12を含む容器上部51と、底面板11を含む容器下部52とに分離される。このとき、正面開封線23及び背面開封線24が傾斜しているので、上下方向Zにおける容器下部52の高さは左面板15から右面板16に向かうにつれて高くなる。この包装容器1Aでは、収容されるペットシート2の枚数が多いときには、使用者は、左面板15側からペットシート2を簡単に取り出すことができる。一方、左面板15側からペットシート2を順に取り出し、包装容器1Aに収容されるペットシート2の枚数が少なくなったときには、ペットシート2が右面板16に支持されて倒れにくくなる。したがって、右面板16の起立姿勢を維持しやすくなる。
【0075】
次に、更に別の実施形態に係る包装容器について説明する。
図15は、別の実施形態に係る包装容器1Bを示す斜視図である。以下では、
図1に示す包装容器1との相違点について主に説明し、重複する説明は省略する。
【0076】
図15に示すように、包装容器1Bは、複数のペットシート3を収容している。包装容器1B内に収容された複数のペットシート3は折り畳まれておらず、その厚み方向が幅方向Xに向けられた起立姿勢で包装容器1B内に幅方向Xに並べられている。
図16は、ペットシート3の概略的な断面図である。
図16に示すように、ペットシート3は、表面シート41、裏面シート42及び吸収体43に加え、粘着層46及び離型シート47を更に備えている点でペットシート2と相違している。
【0077】
粘着層46は、裏面シート42の外面42aを覆うように設けられている。離型シート47は、粘着層46を介して裏面シート42を覆っている。このペットシート3では、離型シート47を剥離することにより、粘着層46の粘着力によって裏面シート42を処理シート100上に貼り付けることができる。
【0078】
複数のペットシート3は、離型シート47が剥離されていない状態で包装容器1B内に起立姿勢で収容されている。
図17は、開封された包装容器1Bの左面図である。
図17に示すように、上下方向Zにおける開封線20とペットシート3の頂部3aとの間の距離H1は、離型シート47付きのペットシート3の剛軟度よりも小さい。ペットシート3は、ペットシート2と異なり二つ折りされていないものの、離型シート47を備える分だけ剛軟度が高められている。上記のように、上下方向Zにおける開封線20とペットシート3の頂部3aとの間の距離H1がペットシート3の剛軟度よりも小さいので、包装容器1Bを開封した際にペットシート3が容器下部52にもたれかかって折れ曲がることが防止され、起立姿勢が維持される。
【0079】
なお、上下方向Zにおける開封線20とペットシート3の頂部3aとの間の距離H1は、離型シート47を剥離したペットシート3の剛軟度よりも大きくてもよい。この場合には、開封線20に沿って包装容器1Bを開封したときに、ペットシート3の露出部分を大きくすることができるので、ペットシート3を厚み方向から摘まんで包装容器1Bから簡単に取り出すことができる。
【0080】
以上、種々の実施形態に係る包装容器1,1A,1Bについて説明してきたが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく発明の要旨を変更しない範囲で種々の変形態様を構成可能である。すなわち、上述した実施形態は例示説明を目的とするものであり、本発明の範囲を制限するものではないことに留意すべきである。
【0081】
例えば、上記実施形態では、包装容器1,1A,1Bはペットシート2,3を収容しているが、包装容器1,1A,1Bに収容される吸収性シートはペットシート2,3に限定されない。例えば、処理シート100を収容していてもよい。
【0082】
図18に示すように、開封線20は、上下一対のミシン目20a,20bと、上下一対のミシン目20a,20bの間に形成されたジッパー部20cとを含む、所謂ダブルジッパー式のミシン目であってもよい。この場合には、ジッパー部20cを引っ張ることにより、開封線20を簡単に破断することができる。なお、開封線20がダブルジッパー式のミシン目である場合には、
図18に示すように、左開封線25の第3部分25cのミシン目20a又はミシン目20bが、左開封線25の第1部分25a及び第2部分25bのミシン目20a又はミシン目20bに対して上下方向Zにずれた位置に形成されていてもよい。なお、上述した種々の実施形態は、矛盾のない範囲で組み合わせることが可能である。
【0083】
本開示は以下の内容を含む。
【0084】
[1] 底面板、天面板、正面板、背面板、第1側面板及び第2側面板を含む包装容器と、
前記包装容器内に収容された複数の吸収性シートと、
を備え、
前記底面板と前記天面板とは、上下方向に対向し、
前記正面板と前記背面板とは、奥行方向に対向し、
前記第1側面板と前記第2側面板とは、幅方向に対向し、
前記複数の吸収性シートの各々は、透水性の表面シートと、前記表面シートの反対側の裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に配置された吸収体とを含み、折線に沿って二つ折りにされ、且つ、前記折線が前記上下方向に向けられた起立姿勢で前記包装容器内に収容され、
前記包装容器は、前記正面板、前記背面板、前記第1側面板及び前記第2側面板に連続的に形成され、前記天面板を含む容器上部を前記底面板を含む容器下部から分離して前記包装容器を開封するための開封線を有し、
前記上下方向において、前記開封線は、起立姿勢の前記複数の吸収性シートの頂部よりも前記底面板側に位置し、
前記上下方向における前記開封線と前記頂部との間の距離は、二つ折りの前記吸収性シートの剛軟度よりも小さい、吸収性シート入り包装容器。
【0085】
[2] 前記複数の吸収性シートは、二つ折りの状態で前記幅方向に並べられている、[1]に記載の吸収性シート入り包装容器。
【0086】
[3] 前記裏面シートは、前記吸収体に対向する内面とは反対側の外面を有し、
前記裏面シートの前記外面には、面ファスナーが設けられ、
前記複数の吸収性シートの各々は、前記裏面シートが内側に配置されるように前記折線に沿って二つ折りにされている、[2]に記載の吸収性シート入り包装容器。
【0087】
[4] 前記複数の吸収性シートは、前記幅方向に並べられた第1列の吸収性シート群と、前記奥行方向において前記第1列の吸収性シート群に隣接して配置され、前記幅方向に並べられた第2列の吸収性シート群とを含み、
前記第1列の吸収性シート群の前記折線と前記第2列の吸収性シート群の前記折線とがそれぞれ対向するように、前記複数の吸収性シートが前記包装容器内に配置されている、[3]に記載の吸収性シート入り包装容器。
【0088】
[5] 前記裏面シートは、前記吸収体に対向する内面とは反対側の外面を有する樹脂フィルムであり、
前記裏面シートの前記外面には、面ファスナーが設けられ、
前記複数の吸収性シートの各々は、前記表面シートが内側に配置されるように前記折線に沿って二つ折りにされている、[2]~[4]の何れか一項に記載の吸収性シート入り包装容器。
【0089】
[6] 前記上下方向における前記開封線と前記頂部との間の距離は、折り畳まれていない前記吸収性シートの剛軟度よりも大きい、[1]~[5]の何れか一項に記載の吸収性シート入り包装容器。
【0090】
[7] 前記開封線は、前記上下方向における前記包装容器の中心線よりも前記底面板側に形成されている、[1]~[6]の何れか一項に記載の吸収性シート入り包装容器。
【0091】
[8] 前記開封線は、前記上下方向における前記複数の吸収性シートの中心線よりも前記天面板側に形成されている、[1]~[6]の何れか一項に記載の吸収性シート入り包装容器。
【0092】
[9] 前記上下方向における前記開封線と前記頂部との距離が、50.2mm以上、95.2mm以下である、[1]~[8]の何れか一項に記載の吸収性シート入り包装容器。
【0093】
[10] 前記開封線は、前記正面板に形成された正面開封線、前記背面板に形成された背面開封線、前記第1側面板に形成された第1側面開封線、及び、前記第2側面板に形成された第2側面開封線を含み、
前記第1側面開封線は、前記正面開封線に接続された第1部分と、前記背面開封線に接続された第2部分と、前記第1部分と前記第2部分との間に配置され、前記第1部分及び前記第2部分に対して前記上下方向にずれた位置に形成された第3部分とを含む、[1]~[9]の何れか一項に記載の吸収性シート入り包装容器。
【0094】
[11] 前記第2側面開封線は、前記上下方向において前記第1側面開封線の前記第1部分及び前記第2部分よりも天面板側に位置し、
前記正面開封線及び前記背面開封線は、前記第2側面開封線に近づくにつれて前記天面板に近づくように、前記幅方向に対して傾斜する方向に延びている、[1]~[10]の何れか一項に記載の吸収性シート入り包装容器。
【0095】
[12] 前記開封線は、前記正面板と前記第1側面板との境界部、前記正面板と前記第2側面板との境界部、前記背面板と前記第1側面板との境界部、及び、前記背面板と前記第2側面板との境界部において、同じ高さ位置に配置されている、[1]~[11]の何れか一項に記載の吸収性シート入り包装容器。
【0096】
[13] 前記包装容器は、前記正面板及び前記背面板の少なくとも一方に形成され、折曲線に沿って前記包装容器内へ折り曲げ可能なストッパ片を備え、
前記ストッパ片は、前記上下方向において前記開封線よりも前記底面板側に位置している、[1]~[12]の何れか一項に記載の吸収性シート入り包装容器。
【0097】
[14] 前記複数の吸収性シートの各々は、前記表面シートと前記裏面シートとの間に吸収体が配置された吸収部と、前記吸収部を囲むように形成され、前記吸収体が配置されていないフラップ部と、を含み、
前記ストッパ片は、前記折曲線に沿って前記包装容器内へ折り曲げられたときに前記吸収部に接触する、[13]に記載の吸収性シート入り包装容器。
【0098】
[15] 前記ストッパ片の上縁部は、前記上下方向における前記開封線と前記底面板との中間線よりも前記開封線側に位置している、[13]又は[14]に記載の吸収性シート入り包装容器。
【0099】
[16] 前記包装容器が紙製のカートン箱である、[1]~[15]の何れか一項に記載の吸収性シート入り包装容器。
【0100】
[17] 前記開封線がミシン目を含む、[1]~[16]の何れか一項に記載の吸収性シート入り包装容器。
【0101】
[18] 前記開封線が、上下一対のミシン目と、上下一対のミシン目の間に形成されたジッパー部とを含む、[1]~[17]の何れか一項に記載の吸収性シート入り包装容器。
【0102】
[19] 底面板、天面板、正面板、背面板、第1側面板及び第2側面板を含む包装容器と、
前記包装容器内に収容された複数の吸収性シートと、
を備え、
前記底面板と前記天面板とは、上下方向に対向し、
前記正面板と前記背面板とは、奥行方向に対向し、
前記第1側面板と前記第2側面板とは、幅方向に対向し、
前記複数の吸収性シートの各々は、透水性の表面シートと、前記表面シートの反対側の裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に配置された吸収体と、前記裏面シートの外面を覆う離型シートとを含み、その厚み方向が前記幅方向に向けられた起立姿勢で前記包装容器内に収容され、
前記包装容器は、前記正面板、前記背面板、前記第1側面板及び前記第2側面板に連続的に形成され、前記天面板を含む容器上部を前記底面板を含む容器下部から分離して前記包装容器を開封するための開封線を有し、
前記上下方向において、前記開封線は、起立姿勢の前記複数の吸収性シートの頂部よりも前記底面板側の位置に形成され、
前記上下方向における前記開封線と前記頂部との間の距離は、前記吸収性シートの剛軟度よりも小さい、吸収性シート入り包装容器。
【0103】
[20] 前記上下方向における前記開封線と前記頂部との間の距離は、前記離型シートを剥離した前記吸収性シートの剛軟度よりも大きい、[19]に記載の吸収性シート入り包装容器。
【符号の説明】
【0104】
1,1A,1B…包装容器、2,3…ペットシート(吸収性シート)、2a,3a…頂部、10a…吸収部、10b…フラップ部、11…底面板、12…天面板、13…正面板、14…背面板、15…左面板(第1側面板)、16…右面板(第2側面板)、25a…第1部分、25b…第2部分、20…開封線、23…正面開封線、24…背面開封線、25…左開封線(第1側面開封線)、25c…第3部分、26…右開封線(第2側面開封線)、31,31,32,33,34…境界部、35…ストッパ片、35a…折曲線、41…表面シート、41a…表面、42…裏面シート、42a…外面、43…吸収体、47…離型シート、48…面ファスナー、H1…距離、L1…折線、X…幅方向、Y…奥行方向、Z…上下方向。
【要約】
【課題】吸収性シートを簡単に取り出すことができる吸収性シート入り包装容器を提供する。
【解決手段】
吸収性シート入り包装容器は、底面板、天面板、正面板、背面板、第1側面板及び第2側面板を含む包装容器と、包装容器内に収容された複数の吸収性シートと、を備え、複数の吸収性シートの各々は、折線に沿って二つ折りにされ、且つ、折線が上下方向に向けられた起立姿勢で包装容器内に収容され、包装容器は、正面板、背面板、第1側面板及び第2側面板に連続的に形成され、天面板を含む容器上部を底面板を含む容器下部から分離して包装容器を開封するための開封線を有し、上下方向において、開封線は、起立姿勢の複数の吸収性シートの頂部よりも底面板側に位置し、上下方向における開封線と頂部との間の距離は、二つ折りの吸収性シートの剛軟度よりも小さい。
【選択図】
図9