(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】荷電粒子線装置
(51)【国際特許分類】
H01J 37/248 20060101AFI20240527BHJP
H01J 37/06 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
H01J37/248 B
H01J37/06 A
H01J37/06 B
(21)【出願番号】P 2023514287
(86)(22)【出願日】2021-04-15
(86)【国際出願番号】 JP2021015638
(87)【国際公開番号】W WO2022219790
(87)【国際公開日】2022-10-20
【審査請求日】2023-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】森田 裕
(72)【発明者】
【氏名】久保 貴
(72)【発明者】
【氏名】酒巻 稔
(72)【発明者】
【氏名】石川 修平
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 俊一
【審査官】鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-127296(JP,A)
【文献】実開昭61-099958(JP,U)
【文献】実開昭59-048738(JP,U)
【文献】特開昭55-068096(JP,A)
【文献】特開昭61-153999(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/248
H01J 37/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子線発生装置から試料に対し荷電粒子線を照射し、試料から発生する荷電粒子を検出し試料画像を生成又は試料を加工する荷電粒子線装置であって、
前記荷電粒子線発生装置は、
絶縁ガスが満たされた金属製ハウジングの内部に配される荷電粒子源及びシールドと、
前記荷電粒子源の下部に配される加速電極と、を備え、
前記シールドは前記加速電極と電気的に接続されており、前記シールドを介して前記加速電極に給電することを特徴とす
る荷電粒子線装置。
【請求項2】
請求項1に記載の荷電粒子線装置において、
複数ある加速電極のうちの電子源側に配される加速電極に給電することを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項3】
請求項1に記載の荷電粒子線装置において、
前記シールドと前記荷電粒子源の間の絶縁ガス空間内に、前記荷電粒子源のいずれかの箇所と同電位の荷電粒子源シールドを有することを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項4】
請求項1に記載の荷電粒子線装置において、
第1の多芯ケーブル及び第1のブッシングと、
第2の多芯ケーブル及び第2のブッシングと、を備え、
前記第1の多芯ケーブル及び第1のブッシングと、前記第2の多芯ケーブル及び第2のブッシングとは相互に異なる位置に配され、前記第1の多芯ケーブル及び第1のブッシングを介して前記加速電極に給電し、前記第2の多芯ケーブル及び第2のブッシングを介して前記荷電粒子源のいずれかの箇所と電気的に接続されることを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項5】
請求項1に記載の荷電粒子線装置において、
一つ以上の制御用配線及び電流導入端子と、
前記シールドに設けられた開口を介して前記制御用配線と接続される荷電粒子源制御装置と、を備え、
前記荷電粒子源制御装置は、前記荷電粒子源の電圧及び/又は電流のON/OFFの制御を行うことを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項6】
請求項
1に記載の荷電粒子線装置において、
前記シールド及び
/又は前記金属製ハウジン
グの内面に絶縁性を有する塗装がされていることを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項7】
請求項3に記載の荷電粒子線装置において、
少なくとも、前記シールド及
び前記金属製ハウジング
並びに前記荷電粒子源シールドの内面に絶縁性を有する塗装がされていることを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項8】
請求項4に記載の荷電粒子線装置において、
前記シールド及び/又は前記金属製ハウジングの内面に絶縁性を有する塗装がされていることを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項9】
請求項
5に記載の荷電粒子線装置において、
前記シールド及び/又は前記金属製ハウジングの内面に絶縁性を有する塗装がされ
ていることを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項10】
請求項
3に記載の荷電粒子線装置において、
第1の多芯ケーブル及び第1のブッシングと、
第2の多芯ケーブル及び第2のブッシングと、を備え、
前記第1の多芯ケーブル及び第1のブッシングと、前記第2の多芯ケーブル及び第2のブッシングとは相互に異なる位置に配され、前記第1の多芯ケーブル及び第1のブッシングを介して前記加速電極に給電し、前記第2の多芯ケーブル及び第2のブッシングを介して前記荷電粒子源のいずれかの箇所と電気的に接続されることを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項11】
請求項3に記載の荷電粒子線装置において、
一つ以上の制御用配線及び電流導入端子と、
前記シールドに設けられた開口を介して前記制御用配線と接続される荷電粒子源制御装置と、を備え、
前記荷電粒子源制御装置は、前記荷電粒子源の電圧及び/又は電流のON/OFFの制御を行うことを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項12】
請求項4に記載の荷電粒子線装置において、
一つ以上の制御用配線及び電流導入端子と、
前記シールドに設けられた開口を介して前記制御用配線と接続される荷電粒子源制御装置と、を備え、
前記荷電粒子源制御装置は、前記荷電粒子源の電圧及び/又は電流のON/OFFの制御を行うことを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項13】
荷電粒子線発生装置から試料に対し荷電粒子線を照射し、試料から発生する荷電粒子を検出し試料画像を生成又は試料を加工する荷電粒子線装置であって、
前記荷電粒子線発生装置は、
絶縁ガスが満たされた金属製ハウジングの内部に配される荷電粒子源及びシールドと、
前記荷電粒子源の下部に配される加速電極と、を備え、
前記シールドの電位を前記荷電粒子源のいずれかの箇所と同電位とし、
前記シールドと前記加速電極は異なる電位であり、前記シールドの内側に配される加速管給電用配線により前記加速電極に給電することを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項14】
請求項13に記載の荷電粒子線装置において、
前記シールドは前記加速電極と電気的に接続されていないことを特徴とする荷電粒子線装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷電粒子線装置に係り、特に高信頼な荷電粒子線発生装置を有する荷電粒子線装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、電子顕微鏡用の電子ビーム発生装置では電子銃から発生した電子ビームを試料に照射するものと、電子銃から発生した電子ビームを加速管によりさらに加速して試料に照射するものに大別できる。前者は主に大きな電子エネルギーを必要としない走査型電子顕微鏡、後者は主に大きな電子エネルギーを必要とする透過型電子顕微鏡に適用されることが多い。
透過型電子顕微鏡では100kV以上の高電圧を用いるため、絶縁破壊を起こさない高信頼な絶縁構造が必要である。
【0003】
加速管を用いた電子ビーム発生装置の一例として、特許文献1に記載される電子銃がある。特許文献1では、絶縁ガス空間内にシールドを有する高信頼な絶縁構造に、絶縁ガスを循環させて電子銃の冷却を実現している。
構造上、電子銃には突起があり、その突起先端は高電界となるため、放電による絶縁破壊を起こす可能性がある。しかしながら、上述のように高電位のシールドにより電子銃を包囲すると、突起先端の電界を緩和でき、放電による絶縁破壊を抑制できる。
電子銃の各電極或いは加速電極はそれぞれ別の電位とする必要があり、特許文献1では、ケーブルヘッドと呼ぶ多芯のブッシングにより大気中から絶縁ガス中に電流が導入され、絶縁ガス内の配線によりそれぞれに電圧が印加される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示される構成では、高電位の配線が、配線相互間或いは接地電位である絶縁ガス容器との間で放電し、絶縁破壊を起こす可能性を有することが危惧される。
そこで、本発明は、高信頼な絶縁構造を実現可能な荷電粒子線装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る荷電粒子線装置は、荷電粒子線発生装置から試料に対し荷電粒子線を照射し、試料から発生する荷電粒子を検出し試料画像を生成又は試料を加工する荷電粒子線装置であって、前記荷電粒子線発生装置は、絶縁ガスが満たされた金属製ハウジングの内部に配される荷電粒子源及びシールドと、前記荷電粒子源の下部に配される加速電極と、を備え、前記シールドは前記加速電極と電気的に接続されており、前記シールドを介して前記加速電極に給電することを特徴とする。
また、本発明に係る荷電粒子線装置は、荷電粒子線発生装置から試料に対し荷電粒子線を照射し、試料から発生する荷電粒子を検出し試料画像を生成又は試料を加工する荷電粒子線装置であって、前記荷電粒子線発生装置は、絶縁ガスが満たされた金属製ハウジングの内部に配される荷電粒子源及びシールドと、前記荷電粒子源の下部に配される加速電極と、を備え、前記シールドの電位を前記荷電粒子源のいずれかの箇所と同電位とし、前記シールドと前記加速電極は異なる電位であり、前記シールドの内側に配される加速管給電用配線により前記加速電極に給電することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、高信頼な絶縁構造を実現可能な荷電粒子線装置を提供することが可能となる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施例に係る実施例1の電子ビーム発生装置の縦断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る荷電粒子線装置の全体構成図である。
【
図3】本発明の他の実施例に係る実施例2の電子ビーム発生装置の縦断面図である。
【
図4】本発明の他の実施例に係る実施例3の電子ビーム発生装置の縦断面図である。
【
図5】本発明の他の実施例に係る実施例4の電子ビーム発生装置の縦断面図である。
【
図6】本発明の他の実施例に係る実施例5の電子ビーム発生装置の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下では、本発明の荷電粒子線装置として、試料上に一次電子線を照射し二次元走査することで試料から発生する二次電子を検出し画像形成する走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を例に説明する。なお、本発明の荷電粒子線装置は、走査電子顕微鏡に限られず、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)、走査イオン顕微鏡(SIM:Scanning Ion Microscope)又は収束イオンビーム(FIB:Focused Ion Beam)加工装置等も含まれる。
【0010】
図2は、本発明の一実施形態に係る荷電粒子線装置の全体構成図である。本実施例における荷電粒子線装置としての走査電子顕微鏡(SEM)1は、図示しない真空排気系により真空状態に維持された筐体2内に、一次電子を放出する電子ビーム発生装置21、電子ビーム発生装置21より放出された一次電子を試料保持部26上の試料25表面上に集束する集束レンズ22、集束された一次電子線28を試料25上で二次元走査可能に偏向する偏向器23、対物レンズ24、一次電子線28の照射により試料25より発生する二次電子27を検出する二次電子検出器6を備えている。
【0011】
また、集束レンズ22への印加電圧を制御する集束レンズ制御部3、制御装置7から指令値として供給される一次電子線28の偏向量に基づき偏向器23を制御する偏向制御部4、二次電子検出器6からの信号に基づき画像データを生成する検出信号処理部5を備えている。ここで、二次電子検出器6は、試料25から発生する二次電子27が衝突することにより発光する蛍光体、光信号を電気信号に変換し増幅する光電子増倍管から構成される。なお、二次電子検出器6として、半導体検出器等を用いても良い。また、検出信号処理部5は、図示しない光電子増倍管からの電気信号を増幅するアンプ、増幅後の電気信号をディジタル信号に変換するA/D変換器、A/D変換器からのディジタル信号及び偏向制御部4から偏向器23へ出力される偏向量及び走査タイミングに基づいて各画素における輝度を算出し画像データを生成する画像形成部を有している。
【0012】
更に、走査電子顕微鏡1は、バス11を介して、集束レンズ制御部3、偏向制御部4、検出信号処理部5及び外部記憶媒体9と接続される制御装置7及び表示装置8を備えている。外部記憶媒体9には、検出信号処理部5により生成された画像データあるいはパターン形状情報(CADデータ等)を格納可能となっている。
【0013】
以下では、荷電粒子線装置の一例として、電子顕微鏡を構成する荷電粒子線発生装置としての電子ビーム発生装置の詳細について図面を用いて、実施例を説明する。
なお、電子銃を荷電粒子源の一例として、電子銃シールドを荷電粒子源シールドの一例として説明する。また、電子銃制御装置を荷電粒子源制御装置の一例として説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は、本発明の一実施例に係る実施例1の電子ビーム発生装置の縦断面図である。
図1に示すように、電子ビーム発生装置21は、絶縁ガス102が満たされた金属製ハウジング101、金属製ハウジング101の内部に配される電子銃103とシールド
110、電子銃103の下部に配されるn個の加速電極111-1~n,それらの間を絶縁する絶縁材112-1~n,各加速電極間を電気的に接続する抵抗器113~n、多芯ケーブル109及びブッシング108にて構成される。
【0015】
金属製ハウジング101は、一部に非金属製の部材を使用しても良いが、内面は金属或いは導電性の材質であることが望ましい。
絶縁ガス102は、六フッ化硫黄,窒素,二酸化炭素,空気,或いは炭素とフッ素を含む各種化合物が挙げられる。
【0016】
電子ビーム発生装置21を構成する電子銃103には、電子源104、サプレッサ電極105、及び引き出し電極106が真空107中に配置されている。電子銃103の下部には、n個の加速電極111-1~n,それらの間を絶縁する絶縁材112-1~n,各加速電極間を電気的に接続する抵抗器113~nがある。
【0017】
外部の高電圧発生装置(図示せず)と接続した多芯ケーブル109及びブッシング108を介して、高電圧が金属製ハウジング101内に導入され、絶縁ガス102内の配線を介して電子銃103の電子源104、サプレッサ電極105、引き出し電極106、及びシールド110に給電される。ここでシールド110は、導電性部材、例えば、金属材料からなる。
シールド110は、加速電極111-1と電気的に接続されており、加速電極111-1はシールド110を介して給電される。
上述の構成において、各部の電位を、電子源104<引き出し電極106<加速電極111-1・・・加速電極111-n、とすることにより電子ビーム114を発生することができる。
【0018】
シールド110及び/又は金属製ハウジング101の内面に絶縁性塗料を塗布してもよい。絶縁性塗料は体積抵抗率1012Ωcm以上が望ましい。
また、塗料の中に、異物付着時の電界緩和効果により絶縁信頼性を高めることが可能な酸化亜鉛,炭化ケイ素,チタン酸バリウム等の抵抗率の電界依存性を有する非線形抵抗材料を添加することも望ましい。
上記構成の電子ビーム発生装置21を用いて電子顕微鏡を構成する。
上記構成により、ブッシング108から加速電極111-1への給電にシールド110を用いることにより、専用の高電位の配線を必要とせず、配線の電界集中による絶縁信頼性の低下を生じない。
さらに絶縁性塗料の効果により絶縁信頼性が向上し、絶縁破壊を起こさない高信頼な絶縁構造を実現可能である。
【0019】
以上の通り本実施例によれば、高信頼な絶縁構造を実現可能な荷電粒子線装置を提供することが可能となる。
また、本実施例によれば、電子銃とハウジングの間の絶縁ガス空間内に加速電極と同電位のシールドを有し、ブッシングから加速電極への給電にシールドを用いることにより、専用の高電位の配線を必要とせず、配線の電界集中による絶縁信頼性の低下を生じないため,絶縁破壊を起こさない高信頼な絶縁構造を実現可能である。
【実施例2】
【0020】
図3は、本発明の他の実施例に係る実施例2の電子ビーム発生装置の縦断面図である。本実施例に係る電子ビーム発生装置21aは、上述の実施例1の構成に加えて、シールド110と電子銃103の間に、電子銃シールド115を備える点に特徴を有する。その他の構成は上述の実施例1と同様であり、実施例1と同様の構成要素に同一符号を付し、以下では実施例1と重複する説明を省略する。
【0021】
図3に示される電子銃シールド115は、電子銃103のいずれかの箇所と電気的に接続し同電位となる。
図3では電子源104と同電位とする構成を示すが、これに限られるものではない。例えば、電子銃シールド115が、サプレッサ電極105、引き出し電極106、或いは電子銃に備えたその他の電極と電気的に接続し同電位とする構成でも良い。
【0022】
上述の実施例1と同様に、シールド110、金属製ハウジング101及び/又は電子銃シールド115の内面に絶縁性塗料を塗布しても良い。上述の実施例1で示した絶縁性塗料を塗布しても良い。
【0023】
上記構成の電子ビーム発生装置21aを用いて電子顕微鏡を構成する。
上記構成により、加速電極111-1と同電位のシールド110と電子銃103の間に、電子銃103のいずれかの箇所と同電位の電子銃シールド115を有することにより、配線や端子の電界集中による絶縁信頼性の低下を生じないため、電子銃と加速電極と同電位のシールドの間に絶縁破壊を起こさない高信頼な絶縁構造を実現可能である。
【0024】
本実施例によれば、実施例1の効果に加え、加速電極と同電位のシールドと電子銃の間に、電子銃のいずれかの箇所と同電位のシールドを有することにより、配線や端子の電界集中による絶縁信頼性の低下を生じないため,電子銃と加速電極と同電位のシールドの間に絶縁破壊を起こさない高信頼な絶縁構造を実現可能な荷電粒子線装置を提供することが可能となる。
【実施例3】
【0025】
図4は、本発明の他の実施例に係る実施例3の電子ビーム発生装置の縦断面図である。本実施例に係る電子ビーム発生装置21bでは、ブッシング108と多芯ケーブル109を複数備える点が実施例1と異なる。その他の構成は上述の実施例1と同様であり、実施例1と同様の構成要素に同一符号を付し、以下では実施例1と重複する説明を省略する。
【0026】
図4に示すように、電子ビーム発生装置21bは、上述の実施例1の電子ビーム発生装置21おいて、ブッシング108-1と多芯ケーブル109-1、及びブッシング108-2と多芯ケーブル109-2を備えている。
図4では、ブッシング108-1と多芯ケーブル109-1、及びブッシング108-2と多芯ケーブル109-2を、中心軸に対して反対側に配置している。換言すれば、ブッシング108-1と多芯ケーブル109-1、及びブッシング108-2と多芯ケーブル109-2を、相互に対向するよう配置している。なお、ブッシング108-1と多芯ケーブル109-1、及びブッシング108-2と多芯ケーブル109-2の配置は、これに限られるものではない。例えば、ブッシング108-1と多芯ケーブル109-1、及びブッシング108-2と多芯ケーブル109-2を、金属製ハウジング101の上部に配置しても良い。
【0027】
なお、
図4では、実施例1の電子ビーム発生装置21おいて、ブッシング108-1と多芯ケーブル109-1、及びブッシング108-2と多芯ケーブル109-2を備える構成を説明したがこれに限らず、実施例2の電子ビーム発生装置21aにおいて、ブッシング108-1と多芯ケーブル109-1、及びブッシング108-2と多芯ケーブル109-2を備える構成としても良い。
【0028】
上記構成の電子ビーム発生装置21bを用いて電子顕微鏡を構成する。
上記構成により、実施例1及び実施例2と同様に高信頼な絶縁構造を実現可能であるとともに、芯数の少ない多芯ケーブル109及びブッシング108を使用でき、高電位の配線を十分な距離を持って配置することが可能となり、さらに高信頼な絶縁構造を実現可能である。
【0029】
本実施例によれば、実施例1及び実施例2の効果に加え、芯数の少ない多芯ケーブル及びブッシングを使用でき、高電位の配線を十分な距離を持って配置することが可能となり、さらに高信頼な絶縁構造を実現可能な荷電粒子線装置を提供することが可能となる。
【実施例4】
【0030】
図5は、本発明の他の実施例に係る実施例4の電子ビーム発生装置の縦断面図である。本実施例に係る電子ビーム発生装置21cでは、制御用配線117、電流導入端子116、及び電子銃制御装置118を備える点が実施例1と異なる。その他の構成は上述の実施例1と同様であり、実施例1と同様の構成要素に同一符号を付し、以下では実施例1と重複する説明を省略する。
【0031】
図5に示すように、電子ビーム発生装置21cは、上述の実施例1の電子ビーム発生装置21おいて、更に制御用配線117、電流導入端子116、及び電子銃制御装置118を備える。なお、制御用配線117及び電流導入端子116は一つ以上備えることが好ましい。制御用配線117は電線でも良く、光ケーブルでも構わない。
【0032】
制御用配線117はシールド110に設けられた開口を介して、電子銃制御装置118に接続されており、電子銃103の電圧及び/又は電流のON/OFFなどを制御する信号を伝送する。
【0033】
なお、
図4では、実施例1の電子ビーム発生装置21おいて、更に制御用配線117、電流導入端子116、及び電子銃制御装置118を備える構成としたがこれに限られるものではない。例えば、実施例2の電子ビーム発生装置21a又は実施例3の電子ビーム発生装置21bにおいて、更に制御用配線117、電流導入端子116、及び電子銃制御装置118を備える構成としても良い。
【0034】
上記構成の電子ビーム発生装置21cを用いて電子顕微鏡を構成する。
上記構成により、実施例1、実施例2、及び実施例3と同様に高信頼な絶縁構造を実現可能であると共に、電子銃103の電圧及び/又は電流のON/OFFなどの制御を実現可能である。
【実施例5】
【0035】
図6は、本発明の他の実施例に係る実施例5の電子ビーム発生装置の縦断面図である。本実施例に係る電子ビーム発生装置21dでは、シールド110の電位が加速電極111-1と同電位ではなく、シールド110の電位を電子銃113のいずれかの電位と同電位とした点が実施例1と異なる。その他の構成は上述の実施例1と同様であり、実施例1と同様の構成要素に同一符号を付し、以下では実施例1と重複する説明を省略する。
【0036】
図6に示すように、本実施例に係る電子ビーム発生装置21dでは、シールド110の電位が加速電極111-1と同電位ではなく、電子銃113のいずれかの電位とするため、シールド110は加速電極111-1と電気的に接続されておらず、代わりに電子銃113のいずれかと電気的に接続されている。
多芯ケーブル109及びブッシング108を介して、シールド110の内側に配置した加速管給電用配線119により、加速電極111-1に給電される。
加速管給電用配線119は、シールド110から十分に距離をとるか、絶縁材を配置するかにより、絶縁される。加速管給電用配線119は真空107内部を介しても良い。
【0037】
なお、図6に示す、シールド110の電位が加速電極111-1と同電位ではなく、電子銃113のいずれかの電位とするため、シールド110は加速電極111-1と電気的に接続されておらず、代わりに電子銃113のいずれかと電気的に接続する構成、及び加速管給電用配線119により、加速電極111-1に給電する構成は、上述の実施例2の電子ビーム発生装置21a、実施例3の電子ビーム発生装置21b、及び実施例4の電子ビーム発生装置21cに適用することも可能である。
【0038】
上記構成の電子ビーム発生装置21dを用いて電子顕微鏡を構成する。
上記構成により、実施例2、実施例3又は実施例4と同様に高信頼な絶縁構造を実現可能である。
本実施例によれば、上述の実施例2乃至実施例4と同様に高信頼な絶縁構造を実現可能な荷電粒子線装置を提供することが可能となる。
【0039】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。
【符号の説明】
【0040】
1…荷電粒子線装置、2…筐体、3…集束レンズ制御部、4…偏向制御部、5…検出信号処理部、6…二次電子検出器、7…制御装置、8…表示装置、9…外部記憶媒体、10…レシピ作成部、12…画像メモリ、21,21a,21b,21c,21d…電子ビーム発生装置、22…集束レンズ、23…偏向器、24…対物レンズ、25…試料、26…試料保持部、31…書き込みアドレス制御部、32…読み出しアドレス制御部、33…表示制御部、101…金属製ハウジング、102…絶縁ガス、103…電子銃、104…電子源、105…サプレッサ電極、106…引き出し電極、107…真空、108…ブッシング、109…多芯ケーブル、110…シールド、111…加速電極、112…絶縁体、113…抵抗器、114…電子ビーム 、115…電子銃シールド、116…電流導入端子、117…制御用配線、118…電子銃制御装置、119…加速管給電用配線