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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】液体吐出装置および液体吐出方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/045 20060101AFI20240528BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
B41J2/045
B41J2/01 451
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020129367
(22)【出願日】2020-07-30
(65)【公開番号】P2022026077
(43)【公開日】2022-02-10
【審査請求日】2023-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】秋山 幸太
【審査官】加藤 昌伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-078859(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01 - 2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対的に移動する搬送物にヘッドから液滴を吐出させるための吐出力を生じさせるアクチュエータ素子を駆動するヘッド駆動回路と、
前記搬送物の相対移動量に応じた第1の駆動周期を演算し、前記第1の駆動周期を、前記液滴の吐出異常をもたらす第1の周期範囲と異なる第2の周期範囲の内の値に調整し、調整後の前記第1の駆動周期である第2の駆動周期で前記ヘッド駆動回路に前記アクチュエータ素子を駆動させ、前記第1の駆動周期の調整を、前記第2の駆動周期が1回以上経過する毎に実行し、連続する所定回数の前記第1の駆動周期の累積値と、連続する前記所定回数の前記第2の駆動周期の累積値と、の差分が許容値を超えないように、前記第1の駆動周期を調整する、吐出制御部と、
を備え
前記第2の周期範囲は、前記第1の周期範囲の上限値に接する第3の周期範囲と、前記第1の周期範囲の下限値に接する第4の周期範囲と、を含み、
前記吐出制御部は、前記第1の駆動周期が前記第1の周期範囲に含まれる場合、前記第2の駆動周期が経過する毎に、前記第1の駆動周期を、前記第3の周期範囲の内の値と、前記第4の周期範囲の内の値と、に交互に調整する、
体吐出装置。
【請求項2】
前記吐出制御部は、下記の条件(1)および条件(2)を満たすように、前記第1の駆動周期を調整し、
(Tafter_cur > Amax) or (Amin > Tafter_cur) ・・・(1)
|SUM(Tafter) - SUM(Tbefore)| < Z ・・・(2)
Tafter_curは前記第2の駆動周期であり、
Amaxは、前記第1の周期範囲の上限値であり、
Aminは、前記第1の周期範囲の下限値であり、
前記所定回数は2以上の自然数であり、
SUM(Tbefore)は、連続する前記所定回数の前記第1の駆動周期の累積値であり、
SUM(Tafter)は、連続する前記所定回数の前記第2の駆動周期の累積値であり、
Zは、前記許容値であり、正の実数である、
請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記許容値は、目標解像度に応じて決められた距離を前記搬送物の搬送速度で除算して得られる値である、
請求項1または2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記距離は、前記目標解像度に対応した吐出位置間隔の半分の値である、
請求項3に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
相対的に移動する搬送物にヘッドから液滴を吐出させるための吐出力を生じさせるアクチュエータ素子を駆動するヘッド駆動回路と、
前記搬送物の相対移動量に応じた第1の駆動周期を演算し、前記第1の駆動周期を、前記液滴の吐出異常をもたらす第1の周期範囲と異なる第2の周期範囲の内の値に調整し、調整後の前記第1の駆動周期である第2の駆動周期で前記ヘッド駆動回路に前記アクチュエータ素子を駆動させ、前記第1の駆動周期の調整を、前記第2の駆動周期が1回以上経過する毎に実行し、連続する所定回数の前記第1の駆動周期の累積値と、連続する前記所定回数の前記第2の駆動周期の累積値と、の差分が許容値を超えないように、前記第1の駆動周期を調整する、吐出制御部と、
を備え
前記吐出制御部は、前記第1の駆動周期および前記第2の駆動周期の駆動周期内に所定の周期の複数の駆動信号を有する駆動信号群を生成し、それぞれの前記第2の駆動周期において、前記複数の駆動信号のうちの1つ以上に従って前記ヘッド駆動回路に前記アクチュエータ素子を駆動させる、
液体吐出装置。
【請求項6】
ヘッドに対して相対的に移動する搬送物の相対移動量に応じた第1の駆動周期を演算する第1ステップと、
前記第1の駆動周期を、前記ヘッドから吐出される液滴の吐出異常をもたらす第1の周期範囲と異なる第2の周期範囲の内の値に調整して、調整後の前記第1の駆動周期である第2の駆動周期を得ることを、前記第2の駆動周期が1回以上経過する毎に実行し、連続する所定回数の前記第1の駆動周期の累積値と、連続する所定回数の前記第2の駆動周期の累積値と、の差分が許容値を超えないように、前記第1の駆動周期を調整する第2ステップと、
前記搬送物に前記ヘッドから前記液滴を吐出させるための吐出力を生じさせるアクチュエータ素子を前記第2の駆動周期で駆動する第3ステップと、
を備え
前記第2の周期範囲は、前記第1の周期範囲の上限値に接する第3の周期範囲と、前記第1の周期範囲の下限値に接する第4の周期範囲と、を含み、
前記第2ステップは、前記第1の駆動周期が前記第1の周期範囲に含まれる場合、前記第2の駆動周期が経過する毎に、前記第1の駆動周期を、前記第3の周期範囲の内の値と、前記第4の周期範囲の内の値と、に交互に調整するステップ、をさらに備える、
体吐出方法。
【請求項7】
ヘッドに対して相対的に移動する搬送物の相対移動量に応じた第1の駆動周期を演算する第1ステップと、
前記第1の駆動周期を、前記ヘッドから吐出される液滴の吐出異常をもたらす第1の周期範囲と異なる第2の周期範囲の内の値に調整して、調整後の前記第1の駆動周期である第2の駆動周期を得ることを、前記第2の駆動周期が1回以上経過する毎に実行し、連続する所定回数の前記第1の駆動周期の累積値と、連続する所定回数の前記第2の駆動周期の累積値と、の差分が許容値を超えないように、前記第1の駆動周期を調整する第2ステップと、
前記第1の駆動周期および前記第2の駆動周期の駆動周期内に所定の周期の複数の駆動信号を有する駆動信号群を生成する第3ステップと、
前記搬送物に前記ヘッドから前記液滴を吐出させるための吐出力を生じさせるアクチュエータ素子を前記第2の駆動周期で駆動し、それぞれの前記第2の駆動周期において、前記複数の駆動信号のうちの1つ以上に従って前記アクチュエータ素子を駆動する、第4ステップと、
を備える液体吐出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置および液体吐出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクジェットヘッドなどのヘッドを用いた画像形成装置などの液体吐出装置が知られている。上記のような液体吐出装置では、圧電素子などのアクチュエータ素子を駆動してインクなどの液滴を吐出させる際、インクジェットヘッド全体、もしくは構造の一部が共振し、吐出不安定な吐出状態になったり、液滴の吐出速度が変化して画像品質が悪化したりすることがある。これは、インクジェットヘッドの構造的な共振周波数が、インクジェットヘッドの駆動周波数、つまりノズルからインクが吐出される周波数と一致あるいは近接することに起因することがある。
【0003】
これに対し、1印刷周期内で複数の駆動パルスからなる駆動波形によりノズルから液滴を吐出する液滴吐出装置において、装置の経時的な変化や個体差を考慮して、ノズルの共振によるクロストークの発生を防止するために、アクチュエータ素子の振動を検知する振動検知部で検知された前記振動波形に基づいて、ノズルの共振に影響を与える周波数を特定する周波数特定部と、特定された前記周波数に基づいて、生成された前記駆動信号の形状を変更し、周波数特性を補正する技術が既に知られている(特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術を画像形成装置に適用した場合、生成された駆動信号の形状を変えることで、駆動信号が持つ周波数成分を回避することができる。しかしながら、その駆動信号を、インクジェットヘッドの構造的共振周波数または、その約数で駆動してしまうと、励起された共振で不安定な吐出になったり、液滴の吐出速度が変化することで着弾位置がずれて画像が劣化したりする可能性がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、共振に起因する液滴の吐出精度の悪化を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、相対的に移動する搬送物にヘッドから液滴を吐出させるための吐出力を生じさせるアクチュエータ素子を駆動するヘッド駆動回路と、前記搬送物の相対移動量に応じた第1の駆動周期を演算し、前記第1の駆動周期を、前記液滴の吐出異常をもたらす第1の周期範囲と異なる第2の周期範囲の内の値に調整し、調整後の前記第1の駆動周期である第2の駆動周期で前記ヘッド駆動回路に前記アクチュエータ素子を駆動させ、前記第1の駆動周期の調整を、前記第2の駆動周期が1回以上経過する毎に実行し、連続する所定回数の前記第1の駆動周期の累積値と、連続する前記所定回数の前記第2の駆動周期の累積値と、の差分が許容値を超えないように、前記第1の駆動周期を調整する、吐出制御部と、を備え、前記第2の周期範囲は、前記第1の周期範囲の上限値に接する第3の周期範囲と、前記第1の周期範囲の下限値に接する第4の周期範囲と、を含み、前記吐出制御部は、前記第1の駆動周期が前記第1の周期範囲に含まれる場合、前記第2の駆動周期が経過する毎に、前記第1の駆動周期を、前記第3の周期範囲の内の値と、前記第4の周期範囲の内の値と、に交互に調整する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、共振に起因する液滴の吐出精度の悪化を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態にかかる画像形成装置の一例を示す図である。
図2図2は、実施形態にかかる画像形成装置の機構部を示す概略構成図である。
図3図3は、実施形態にかかる機構部の要部平面図である。
図4図4は、実施形態にかかる画像形成装置の記録ヘッドを構成する液体吐出ヘッドの一例を示す液室長手方向に沿う断面図である。
図5図5は、実施形態にかかる液体吐出ヘッドの液室短手方向に沿う断面図である。
図6図6は、実施形態にかかる画像形成装置の制御部を示す概略ブロック図である。
図7図7は、実施形態にかかる制御部に含まれる印刷制御部およびヘッド駆動回路の一例を示すブロック図である。
図8図8は、実施形態にかかる印刷制御部に含まれる駆動波形生成部で生成出力する駆動波形及び駆動信号選択用の滴制御信号の一例を示す模式図である。
図9図9は、実施形態にかかる滴制御信号に対応する吐出滴量を示す模式図である。
図10図10は、記録ヘッドの構造的な振動の周波数特性の一例を示す模式図である。
図11図11は、実施形態にかかる駆動周期演算部によって演算された駆動周期の推移の一例を示すグラフである。
図12図12は、実施形態にかかる画像形成装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態の液体吐出装置および液体吐出方法を適用した画像形成装置に関し以下図面を用いて説明するが、本発明の趣旨を越えない限り、何ら本実施形態に限定されるものではない。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化乃至省略する。
【0010】
本実施形態における液体吐出装置としての画像形成装置の一例について図1を参照して説明する。本実施形態における画像形成装置は、本体1と、本体1に装着された用紙を装填する給紙トレイ2と、本体1に着脱自在に装着され画像が形成された用紙をストックする排紙トレイ3を備える。なお、用紙は、搬送物の一例である。また、インクは液体の一例であり、用紙に吐出されるインクの滴は、搬送物である用紙に吐出される液滴の一例である。
【0011】
さらに、本体1の前面の一端部側、つまり給排紙トレイの側方には、前面から本体1の前方側に突き出し、上面よりも低くなったインクカートリッジを装填するためのカートリッジ装填部4を有する。また、カートリッジ装填部4の上面は操作ボタンや表示器などを設ける操作/表示部5が備わる。
【0012】
カートリッジ装填部4には、例えば、黒(K)インク、シアン(C)インク、マゼンタ(M)インク、イエロー(Y)インクをそれぞれ収容したインクカートリッジ10k、10c、10m、10yを、本体1の前面側から後方側に向って挿入して装填可能としている。また、カートリッジ装填部4の前面側には、インクカートリッジ10を着脱するときに開く前カバーであるカートリッジカバー6を開閉可能に設けている。
【0013】
また、操作/表示部5には、各色のインクカートリッジの装着位置に対応する配置位置で、各色のインクカートリッジの残量がニアーエンド及びエンドになったことを表示するための各色の残量表示部11k、11c、11m、11yを配置している。さらに、操作/表示部5には、電源ボタン12、用紙送り/印刷再開ボタン13、キャンセルボタン14が配置されている。
【0014】
次に、本実施形態における画像形成装置の機構部について図2及び図3を参照して説明する。本実施形態において、図示しない左右の側板間に横架したガイド部材であるガイドロッド21とステー22とでキャリッジ23が主走査方向に摺動自在に保持される。キャリッジ23は、主走査モータ24によって駆動プーリ25と従動プーリ26間に架け渡したタイミングベルト27を介し、矢印方向に移動走査される。
【0015】
キャリッジ23には、上述した各色のインク滴を吐出するヘッド(インクジェットヘッド)としての記録ヘッド31k、31c、31m、31yが、複数のインク吐出口を主走査方向と交叉する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着されている。
【0016】
インクジェットヘッドとしては、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータを、インクの液滴を吐出するための吐出力を発生するアクチュエータ素子として備えたものなどを使用できる。また、上記以外にも、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどを、アクチュエータ素子として備えたものなどを使用できる。
【0017】
なお、インクジェットヘッドとしては、複数のノズルを並べてノズル列を複数列有し、各ノズル列から同じ色の液滴を吐出する構成であっても、異なる色の液滴を吐出する構成であってもよい。また、キャリッジ23には、記録ヘッド31に各色のインクを供給するための各色のヘッドタンク32が搭載されている。
【0018】
ヘッドタンク32には各色のインク供給チューブを介して、カートリッジ装填部4に装着された各色のインクカートリッジ10から各色のインクが補充供給される。一方、給紙トレイ2の用紙積載部41上に積載した用紙42を給紙するための給送手段である給紙部として、給紙コロ43及び分離パッド44を備える。給紙コロ43は用紙積載部41から用紙42を1枚ずつ分離給送する。分離パッド44は摩擦係数の大きな材質からなり、給紙コロ43に対向し、給紙コロ43側に付勢されている。
【0019】
そして、本実施形態における画像形成装置は、用紙42を案内するガイド部材45と、カウンタローラ46と、搬送ガイド部材47と、先端加圧コロ49を有する押さえ部材48とを備える。これらの構成によって、給紙部から給紙された用紙42を記録ヘッド31の下方側に送り込む。さらに、本実施形態における画像形成装置は、給送された用紙42を静電吸着して記録ヘッド31に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト51を備えている。
【0020】
搬送ベルト51は、無端状ベルトであり、搬送ローラ52とテンションローラ53との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向、つまり副走査方向に周回するように構成されている。搬送ベルト51は、用紙吸着面となる表層と、この表層と同材質でカーボンによる抵抗制御を行った裏層とを有する。表層は、例えば、抵抗制御を行っていない純粋な厚さ40μm程度の樹脂材、例えばETFEピュア材で形成し、裏層は、例えば中抵抗層やアース層である。
【0021】
そして、本実施形態における画像形成装置は、搬送ベルト51の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ56を備えている。帯電ローラ56は、搬送ベルト51の表層に接触し、搬送ベルト51の回動に従動して回転するように配置され、加圧力として軸の両端に所定の押圧力をかけている。
【0022】
なお、搬送ローラ52はアースローラの役目も担っており、搬送ベルト51の中抵抗層と接触配置され接地している。また、搬送ベルト51の裏側には、記録ヘッド31による印写領域に対応してガイド部材57を配置している。
【0023】
ガイド部材57は、上面が搬送ベルト51を支持する2つのローラである搬送ローラ52とテンションローラ53の接線よりも記録ヘッド35側に突出させる。これにより搬送ベルト51の高精度な平面性を維持するようにしている。搬送ベルト51は、副走査モータ58によって駆動ベルト59及びプーリ60を介して搬送ローラ52が回転駆動されることによって図3のベルト搬送方向、つまり副走査方向に周回移動する。
【0024】
さらに、記録ヘッド31で記録された用紙42を排紙するための排紙部として、搬送ベルト51から用紙42を分離するための分離爪61と、排紙ローラ62及び排紙コロ63とを備え、排紙ローラ62の下方に排紙トレイ3を備えている。
【0025】
また、装置本体1の背面部には両面ユニット71が着脱自在に装着されている。両面ユニット71は搬送ベルト51の逆方向回転で戻される用紙42を取り込んで反転させて再度カウンタローラ46と搬送ベルト51との間に給紙する。また、この両面ユニット71の上面は手差しトレイ72としている。
【0026】
さらに、図3に示すように、キャリッジ23の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド31のノズルの状態を維持し、回復するための回復手段を含む維持回復機構81を配置している。維持回復機構81は、キャップ部材82a~82d(以下「キャップ」という。)と、ワイパーブレード83と、空吐出受け84などを備えている。
【0027】
キャップは記録ヘッド31の各ノズル面をキャピングする。ワイパーブレード83は、ノズル面をワイピングするためのブレード部材である。空吐出受け84は、増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける。ここでは、キャップ82aを吸引用及び保湿用キャップ(以下「吸引用キャップ」という。)とし、他のキャップ82b~82dは保湿用キャップとしている。
【0028】
また、キャリッジ23の走査方向他方側の非印字領域には、記録中などに増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け88を配置する。空吐出受け88には記録ヘッド31のノズル列方向に沿った開口89a~89dを設けている。
【0029】
このように構成したインクジェット記録装置においては、給紙トレイ2から用紙42が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙42はガイド部材45で案内される。そして、用紙42は、搬送ベルト51とカウンタローラ46との間に挟まれて搬送され、さらに先端を搬送ガイド37で案内されて先端加圧コロ49で搬送ベルト51に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
【0030】
このとき、図示しない制御部によってACバイアス供給部から帯電ローラ56に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が印加される。これにより、搬送ベルト51が交番する帯電電圧パターン、すなわち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。
【0031】
プラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト51上に用紙42が給送されると、用紙42が搬送ベルト51に吸着され、搬送ベルト51の周回移動によって用紙42が副走査方向に搬送される。そこで、キャリッジ23を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド31を駆動する。これにより、停止している用紙42にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙42を所定量搬送後、次の行の記録を行う。
【0032】
記録終了信号又は用紙42の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙42を排紙トレイ3に排紙する。また、印字待機中にはキャリッジ23は維持回復機構81側に移動されて、キャップ82で記録ヘッド31がキャッピングされて、ノズルを湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。
【0033】
また、キャップ82で記録ヘッド31をキャッピングした状態で図示しない吸引ポンプによってノズルから記録液を吸引し、増粘した記録液や気泡を排出する回復動作を行う。また、記録開始前、記録途中などに、空吐出受け84、88に向けて記録と関係しないインクを吐出する空吐出動作を行う。つまり、画像形成に寄与しない液滴を吐出する。これによって、記録ヘッド31の安定した吐出性能を維持、回復する。
【0034】
次に、本実施形態の画像形成装置における液体吐出ヘッドの一例について図4及び図5を参照して説明する。この液体吐出ヘッドは、流路板101と、振動板102と、ノズル板103とを接合して積層し、これらによって液滴を吐出するノズル104が連通する流路であるノズル連通路105及び液室106、液室106にインクを供給するための共通液室108に連通するインク供給口109などを形成している。
【0035】
なお、流路板101は例えばSUS基板あるいは単結晶シリコン基板をエッチングして形成される。振動板102は流路板101の下面に接合した例えばニッケル電鋳で形成する。ノズル板103は流路板101の上面に接合される。
【0036】
また、振動板102を変形させて液室106内のインクを加圧するための圧力発生手段、つまりアクチュエータ素子として、2列の積層型圧電素子121と、この圧電素子121を接合固定するベース基板122とを備えている。なお、圧電素子121の間には支柱部123を設けている。支柱部123は圧電素子部材を分割加工することで圧電素子121と同時に形成した部分であるが、駆動電圧を印加しないので単なる支柱となる。
【0037】
また、圧電素子121には図示しない駆動回路である駆動ICに接続するためのFPCケーブル126を接続している。そして、振動板102の周縁部をフレーム部材130に接合する。
【0038】
フレーム部材130には、貫通部131及びインク供給穴132が形成されている。貫通部131は圧電素子121及びベース基板122などで構成されるアクチュエータユニットを収納する。インク供給穴132は共通液室108となる凹部、この共通液室108に外部からインクを供給する。フレーム部材130は、例えばエポキシ系樹脂などの熱硬化性樹脂あるいはポリフェニレンサルファイトで射出成形により形成されている。
【0039】
ここで、流路板101は、例えば結晶面方位[110]の単結晶シリコン基板を水酸化カリウム水溶液(KOH)などのアルカリ性エッチング液を用いて異方性エッチングする。これにより、又は、SUS基板をエッチングすることなどにより、ノズル連通路105、液室106となる凹部や穴部を形成したものである。
【0040】
振動板102は、ニッケルの金属プレートから形成したもので、例えばエレクトロフォーミング法(電鋳法)で作製しているが、この他、金属板や金属と樹脂板との接合部材などを用いることもできる。振動板102に圧電素子121及び支柱部123を接着剤接合し、さらにフレーム部材130を接着剤接合している。
【0041】
ノズル板103は各液室106に対応して直径10~30μmのノズル104を形成し、流路板101に接着剤接合している。ノズル板103は、金属部材からなるノズル形成部材の表面に所要の層を介して最表面に撥水層を形成したものである。なお、ノズル板103の表面がノズル面31aとなる。
【0042】
圧電素子121は、圧電材料151と内部電極152とを交互に積層した積層型圧電素子である。圧電素子121の交互に異なる端面に引き出された各内部電極152には個別電極153及び共通電極154が接続されている。
【0043】
なお、本実施形態では、圧電素子121の圧電方向としてd33方向の変位を用いて液室106内インクを加圧する構成としているが、圧電素子121の圧電方向としてd31方向の変位を用いて加圧液室106内インクを加圧する構成とすることもできる。また、1つの基板122に1列の圧電素子121が設けられる構造とすることもできる。
【0044】
このように構成した液体吐出ヘッドにおいては、例えば圧電素子121に印加する電圧を基準電位から下げることによって圧電素子121が収縮し、振動板102が下降して液室106の容積が膨張する。これにより、液室106内にインクが流入する。
【0045】
その後、圧電素子121に印加する電圧を上げて圧電素子121を積層方向に伸長させ、振動板102をノズル104方向に変形させて液室106の容積/体積を収縮させる。これにより、液室106内の記録液が加圧され、ノズル104から記録液の滴が吐出される。
【0046】
そして、圧電素子121に印加する電圧を基準電位に戻すことによって振動板102が初期位置に復元し、液室106が膨張して負圧が発生する。そのため、このとき共通液室108から液室106内に記録液が充填される。そこで、ノズル104のメニスカス面の振動が減衰して安定した後、次の液滴吐出のための動作に移行する。
【0047】
なお、このヘッドの駆動方法については、上述した引き・押し打ちの例に限るものではなく、駆動波形の与えた方によって引き打ちや押し打ちなどを行うこともできる。
【0048】
次に、本実施形態における画像形成装置の制御部の概要について図6を参照して説明する。制御部は、主制御部301と印刷制御部302とを備えている。主制御部301は、本画像形成装置全体の制御を司る、本発明に係る空吐出動作に関する制御をする手段などを兼ねたマイクロコンピュータで構成される。印刷制御部302は印刷制御を司るマイクロコンピュータで構成される。なお、印刷制御部302は、吐出制御部に相当する。
【0049】
そして、主制御部301は、通信回路300から入力される印刷処理の情報に基づいて用紙42に画像を形成するために次の制御を行う。それは、主走査モータ駆動回路303及び副走査モータ駆動回路304を介した主走査モータ24や副走査モータ58の駆動制御や、印刷制御部302に対して印刷用データを送出するなどの制御である。
【0050】
また、主制御部301には、キャリッジ23の位置を検出するキャリッジ位置検出回路305からの検出信号が入力される。主制御部301はこの検出信号に基づいてキャリッジ23の移動位置及び移動速度を制御する。
【0051】
キャリッジ位置検出回路305は、例えばキャリッジ23の走査方向に配置されたエンコーダシートのスリット数を、キャリッジ23に搭載されたフォトセンサで読み取って計数することで、キャリッジ23の位置を検出する。
【0052】
主走査モータ駆動回路303は、主制御部301から入力されるキャリッジ移動量に応じて主走査モータ24を回転駆動させて、キャリッジ23を所定の位置に所定の速度で移動させる。
【0053】
また、主制御部301には搬送ベルト51の移動量を検出する搬送量検出回路306からの検出信号が入力される。主制御部301はこの検出信号に基づいて搬送ベルト51の移動量及び移動速度を制御する。
【0054】
搬送量検出回路306は、例えば搬送ローラ52の回転軸に取り付けられた回転エンコーダシートのスリット数を、フォトセンサで読み取って計数することで搬送量を検出する。
【0055】
副走査モータ駆動回路304は、主制御部301から入力される搬送量に応じて副走査モータ58を回転駆動させて、搬送ローラ52を回転駆動して搬送ベルト51を所定の位置に所定の速度で移動させる。
【0056】
主制御部301は、給紙コロ駆動回路307に給紙コロ駆動指令を与えることによって給紙コロ43を1回転させる。また、主制御部301は、維持回復機構駆動用モータ駆動回路308を介して維持回復機構81のモータ221を回転駆動する。これにより、前述したようにキャップ82の昇降、ワイパーブレード83の昇降、吸引ポンプの駆動などを行わせる。
【0057】
主制御部301は、インク供給モータ駆動回路311を介して供給ユニットのポンプを駆動するためのインク供給モータを駆動制御する。これにより、カートリッジ装填部4に装填されたインクカートリッジ10からヘッドタンク32に対してインクが補充供給される。このとき、主制御部301は、ヘッドタンク32が満タン状態にあることを検知するヘッドタンク満タンセンサ312からの検知信号に基づいて補充供給を制御する。
【0058】
また、主制御部301は、カートリッジ通信回路314を通じて、カートリッジ装填部4に装着された各インクカートリッジ10に設けられるカートリッジEEPROM316に記憶されている情報を取り込む。そして、例えば、主制御部301は、所要の処理を行って、取り込んだ情報をEEPROM315に格納保持する。
【0059】
また、主制御部301には、環境温度、環境湿度を検知する環境センサ313からの検知信号が入力される。
【0060】
印刷制御部302は、主制御部301からの信号とキャリッジ位置検出回路305及び搬送量検出回路306などからのキャリッジ位置や搬送量に基づいて、記録ヘッド31の液滴を吐出させるための圧力発生手段を駆動するためのデータを生成する。印刷制御部302は、このデータをシリアルデータでヘッド駆動回路310に転送し、このデータの転送及び転送の確定などに必要な転送クロックやラッチ信号、滴制御信号としてのマスク信号などをヘッド駆動回路310に出力する。
【0061】
また、印刷制御部302は、ROMに格納されている駆動信号のパターンデータをD/A変換するD/A変換器、電圧増幅器、電流増幅器等で構成される駆動波形生成部及びヘッドドライバに与える駆動波形選択手段を含む。印刷制御部302は、駆動信号である、1の駆動パルスあるいは複数の駆動パルスで構成される駆動信号群を複数含む駆動波形を生成してヘッド駆動回路310に対して出力する。
【0062】
ヘッド駆動回路310は、記録ヘッド31に駆動信号を与える駆動手段である。具体的には、ヘッド駆動回路310は、所定の画像データに基づいて、記録ヘッド31の駆動素子に対して駆動信号を選択的に印加することで、記録ヘッド31を駆動する。
【0063】
所定の画像データとは、例えば、シリアルに入力される記録ヘッド31の1行分に相当する画像データである。また、駆動信号は印刷制御部302から与えられる駆動波形を構成する。駆動素子は、記録ヘッド31に備わる、液滴を吐出させるエネルギーを発生する例えば前述したような圧電素子である。
【0064】
このとき、駆動波形を構成する駆動信号群の駆動パルスを選択することによって、大きさの異なる液滴を吐出させて大きさの異なるドットを打ち分けることができる。
【0065】
次に、印刷制御部302及びヘッド駆動回路310の一例について図7を参照して説明する。印刷制御部302は、駆動周期演算部400と駆動波形生成部401とデータ転送部402を備えている。駆動周期演算部400は、駆動周期を演算する。駆動波形生成部401は、駆動波形、すなわち共通駆動波形を生成して出力する。データ転送部402は、印刷画像に応じた2ビットの画像データ[階調信号0、1]と、クロック信号、ラッチ信号、滴制御信号MN0~MN3を出力する。
【0066】
駆動周期演算部400は、キャリッジ位置検出回路305によるエンコーダシートのスリットの読み取り時間間隔、つまり用紙の相対移動量、に基づいて駆動周期を演算する。そして、駆動周期演算部400は、演算によって得られた駆動周期を駆動波形生成部401に出力するとともに、演算によって得られた駆動周期でデータ転送部402に、ラッチ信号など各種信号を出力する動作指示を送る。なお、駆動周期の演算方法の詳細については後述する。
【0067】
駆動波形生成部401は、1駆動周期内に2以上の前記駆動信号を含む駆動波形を生成する駆動波形生成手段である。具体的には、後述の図8(a)に示すように、駆動波形生成部401は、1駆動周期内に、1又は複数の駆動信号で構成される第1駆動信号群PG1、及び、1又は複数の駆動信号で構成される第2駆動信号群PG2を連続的に含む駆動波形を生成して出力する。なお、本実施形態では駆動信号群が2つの例で説明するが、3つ以上の駆動信号群を生成出力する構成であってもよい。
【0068】
また、データ転送部402は、第1駆動信号群PG1及び第2駆動波形群PG2のうちの駆動信号を選択する滴制御信号MN0~MN3を、第1駆動信号群PG1、第2駆動信号群PG2の出力に合わせて1駆動周期内に連続的に出力する。
【0069】
なお、滴制御信号MN0~MN3は、ヘッド駆動回路310のスイッチ手段であるアナログスイッチ415の開閉を滴毎に指示する2ビットの信号である。また、滴制御信号MN0~MN3は、第1駆動波形群PG1、第2駆動波形群PG2の周期に合わせて選択すべき波形でLレベルに状態遷移し、非選択時にはHレベルに状態遷移する。
【0070】
ヘッド駆動回路310は、シフトレジスタ411と、ラッチ回路412と、デコーダ413と、レベルシフタ414と、アナログスイッチ415とを備えている。
【0071】
シフトレジスタ411は、データ転送部402からの転送クロックであるシフトクロック及びシリアル画像データである階調データ[2ビット/CH]を入力する。ラッチ回路412は、シフトレジスタ411の各レジスト値をラッチ信号によってラッチする。デコーダ413は、階調データと第1、第2滴制御信号MN0a~MN3a、MN0b~MN3bをデコードして結果を出力する。
【0072】
また、レベルシフタ414は、デコーダ413のロジックレベル電圧信号をアナログスイッチ415が動作可能なレベルへとレベル変換する。アナログスイッチ415は、レベルシフタ414を介して与えられるデコーダ413の出力でオン/オフされる。アナログスイッチ415は、各圧電素子121の選択電極である個別電極153に接続され、駆動波形生成部401からの共通駆動波形が入力されている。
【0073】
シリアル転送された画像データと滴制御信号MN0~MN3をデコーダ413でデコードした結果に応じてアナログスイッチ415がオンにする。これにより、共通駆動波形に含まれる第1駆動信号群PG1、第2駆動信号群PG2を構成する所要の駆動信号が通過して、つまり選択されて圧電素子121に印加される。
【0074】
そこで、駆動波形生成部401から出力する駆動波形とデータ転送部402から出力する滴制御信号の一例について図8及び図9を参照して説明する。駆動波形生成部401から出力される第1駆動波形群PG1は、図8(a)に示すように、非吐出駆動パルスP1と、吐出駆動パルスP2、P3とで構成される。
【0075】
非吐出駆動パルスP1は、基準電位Veから立ち下がる波形要素、立下り後の電位に保持する波形要素、ホールド後基準電位Veまでそのまま立ち上がる波形要素で構成される。吐出駆動パルスP2、P3は、基準電位Veから立ち下がる波形要素、立下り後の電位に保持する波形要素、ホールド後基準電位Veまで段階的に立ち上がる波形要素で構成される。
【0076】
なお、非吐出駆動パルスとは、圧電素子121を駆動するが、メニスカスに振動を与えるだけでノズルから液滴が吐出されない駆動パルスを意味する。また、吐出駆動パルスとは、圧電素子121を駆動し、ノズルから液滴を吐出させる駆動パルスを意味する。
【0077】
第1駆動波形群PG1に連続して生成出力される第2駆動波形群PG2は、吐出駆動パルスP4と、吐出駆動パルスP5とで構成される。吐出駆動パルスP4は、基準電位Veから立ち下がる波形要素、立下り後の電位に保持する波形要素、ホールド後基準電位Veまでそのまま立ち上がる波形要素で構成される。
【0078】
また、吐出駆動パルスP5は、基準電位Veから立ち下がる波形要素、立下り後の電位に保持する波形要素、ホールド後基準電位Veよりも高い電位までそのまま立ち上がる波形要素、立ち上がり後の電位に保持する波形要素、ホールド後基準電位Veまで立ち下がる波形要素で構成される駆動パルスP5とで構成される。
【0079】
ここで、駆動パルスの電位Vが基準電位Veから立ち下がる波形要素は、これによって圧電素子121が収縮して加圧液室106の容積が膨張する引込み波形要素である。また、立下り後の状態から立ち上がる波形要素は、これによって圧電素子121が伸長して加圧液室106の容積が収縮する加圧波形要素である。
【0080】
この駆動波形について、データ転送部402は、図8(b)に示すように、第1駆動波形群PG1を構成する駆動パルスP1~P3及び第2駆動波形群PG2を構成する駆動パルスP4、P5を選択する滴制御信号MN0~MN3を順次出力する。
【0081】
この滴制御信号MN0~MN3においては、図9に示すように、滴制御信号MN0を与えることで駆動パルスP1のみが選択されてヘッドに与えられる。その結果、非吐出駆動状態となり、すなわち吐出滴量は0plとなる。
【0082】
同様に、滴制御信号MN1を与えることで駆動パルスP3のみが選択されてヘッドに与えられるため、吐出滴量は3plとなる。また、滴制御信号MN2を与えることで駆動パルスP2、P4が選択されてヘッドに与えられるため、吐出滴量は9plとなる。さらに、滴制御信号MN3を与えることで駆動パルスP2~P5が選択されてヘッドに与えられるため、吐出滴量は18plとなる。
【0083】
つまり、4つの、2ビットからなる滴制御信号MN0~MN3で駆動波形を構成する駆動パルスP1~P5を選択することにより、非吐出[0pl]、小滴[3pl]、中滴[9pl]、大滴[18pl]の4種類の大きさの滴を得ることができる。つまり、本実施形態によれば、簡単な構成で大きさの異なる液滴を吐出することができる。
【0084】
次に、記録ヘッドの構造的な振動の周波数特性について図10を参照して説明する。本図における縦軸は、正弦波入力による1つの圧力室の駆動時におけるヘッドノズル面の変形量をレーザードップラー計で測定したときの速度を示し、横軸は駆動の周波数を示す。また、縦軸の数値はヘッドの変形量に対応しており、この数値が大きいほどヘッドの変形量が大きいということになる。
【0085】
図10から明らかなように、この記録ヘッドの場合、395kHzに大きな共振が確認できる。他にも共振は見られるが、395kHzほどのピークを有していないので、ここでは、395kHzを代表として考えてよい。この、共振スペクトルの周波数のピーク値(共振周波数)または共振周波数の約数がインクジェットヘッドの駆動周波数(駆動周期の逆数)と一致あるいは近接していると、記録ヘッドの構造的共振を励起し、吐出安定性に悪影響を及ぼす。つまり、インクの吐出異常が起きる。その結果、インクの吐出精度が悪化する。
【0086】
そこで、実施形態では、駆動周期演算部400は、駆動周期を、共振周波数または共振周波数の約数の周波数を含む範囲と異なる範囲から選択された値に調整する。これによって、インクの吐出精度の悪化を抑制する。
【0087】
以下に、駆動周期演算部400による駆動周期の演算方法について説明する。前述したように、駆動周期演算部400は、キャリッジ位置検出回路305によるエンコーダシートのスリットの読み取り時間間隔、つまり用紙の相対移動量、に基づいて駆動周期を演算する。そして、駆動周期演算部400は、演算された駆動周期に合わせて、データ転送部402にヘッド駆動回路310へのラッチ信号の出力などを実行させる。
【0088】
このとき、エンコーダシートのスリットの読み取り時間間隔が駆動周期として使用されてもよいし、エンコーダシートのスリットの読み取り時間間隔を用いた演算によって算出された値が駆動周期として使用されてもよい。例えば、読み取り時間間隔が150[dpi]のピッチであり、液滴の吐出間隔を300[dpi]としたい場合は、駆動周期演算部400は、読み取り時間間隔に対して1/2を乗じた周期を駆動周期とすることができる。また、駆動周期のノイズを除去するために、駆動周期演算部400は、連続する複数回分の駆動周期に対して移動平均を取ったりすることができる。ここまでの処理によって演算された駆動周期を、調整前駆動周期と表記する。なお、調整前駆動周期は、第1の駆動周期に相当する。
【0089】
続いて、駆動周期演算部400は、調整前駆動周期を、共振によって吐出異常をもたらす周期範囲とは異なる他の周期範囲の内の値に調整する。吐出異常をもたらす周期範囲は、共振周波数または共振周波数の約数の周波数を含む周期範囲であり、第1の周期範囲に相当する。吐出異常をもたらす周期範囲と異なる他の周期範囲は、第2の周期範囲に相当する。調整後の駆動周期(以降、調整後駆動周期と表記する)は、第2の駆動周期に相当する。
【0090】
駆動周期の調整に起因してインクの着弾位置が目標位置から大きくずれることを防止するために、駆動周期演算部400は、連続する所定回の調整後駆動周期の累積値が、当該連続する所定回の調整後駆動周期に対応した所定回の調整前駆動周期の累積値と略等しくなるように、第2の周期範囲の内から調整後駆動周期の値を決定する。具体的には、駆動周期演算部400は、連続する所定回の調整後駆動周期の累積値と、当該連続する所定回の調整後駆動周期と対応した連続する所定回の調整前駆動周期の累積値と、の差分が許容値を超えないように、第2の周期範囲の内から調整後駆動周期の値を決定する。
【0091】
より詳しくは、駆動周期演算部400は、下記の条件(1)および条件(2)を満たすように、新しい調整後駆動周期Tafter_curを演算する。
(Tafter_cur > Amax) or (Amin > Tafter_cur) ・・・(1)
|SUM(Tafter) - SUM(Tbefore)| < Z ・・・(2)
【0092】
ただし、Amaxは、吐出異常をもたらす周期範囲の上限値である。Aminは、吐出異常をもたらす周期範囲の下限値である。SUM(Tbefore)は、新しい調整後駆動周期Tafter_curの元となる調整前駆動周期Tbefore_curを含む連続する最新のn回の調整前駆動周期Tbeforeの累積値である。SUMは、累積を意味する演算子である。SUM(Tafter)は、新しい調整後駆動周期Tafter_curを含む連続する最新のn回の調整後駆動周期Tafterの累積値である。n回は、所定回の一例であり、2以上の自然数である。Zは、許容値の一例であり、任意の正の実数である。
【0093】
なお、条件(1)および条件(2)に含まれる不等号の一部または全部は、等号付き不等号とされてもよい。
【0094】
駆動周期演算部400は、調整前駆動周期Tbeforeを得るための調整の処理を、調整前駆動周期Tbeforeが1回以上経過する毎に実行する。なお、以降では、駆動周期演算部400は、調整前駆動周期Tbeforeが1回経過する毎に調整前駆動周期Tbeforeを得るための調整の処理を実行することとして説明する。
【0095】
図11は、実施形態にかかる駆動周期演算部400によって演算された駆動周期の推移の一例を示すグラフである。
【0096】
この例では、395kHzの周辺がヘッドの持つ共振周波数とされている。そのような場合、ヘッドの構造の共振を回避するためには、2.53μsの周期の倍数の駆動周期を回避することが望まれる。よって、駆動周期演算部400は、2.53μsを含む所定幅の周期範囲501が、共振によって吐出異常をもたらす第1の周期範囲とされる。
【0097】
また、駆動周期としては、吐出異常を考慮しなければ、周期範囲502の内から設定することが可能とされている。よって、周期範囲502のうちの周期範囲501を除いた周期範囲503が第2の周期範囲とされる。第2の周期範囲は、共振に起因した吐出異常をもたらさないとされる周期範囲である。
【0098】
なお、周期範囲502は、周期範囲501を含んでいる。よって、周期範囲503は、周期範囲501の上限値に接する周期範囲504と、周期範囲501の下限値に接する周期範囲505と、に分割されている。周期範囲504は、第3の周期範囲に相当する。また、周期範囲505は、第4の周期範囲に相当する。
【0099】
三角形のドットは、調整前駆動周期の推移を表している。円形のドットは、調整後駆動周期の推移を表している。調整前駆動周期は、吐出異常をもたらす周期範囲501に時折含まれているが、調整後駆動周期は、周期範囲501を避けて設定されていることが読み取れる。つまり、調整後駆動周期を使用することで、記録ヘッドの構造的共振を抑制でき、これによってインクの吐出精度の悪化を抑制することができる。
【0100】
また、四角形のドットは、調整後駆動周期の5点移動平均を表している。本図からは、調整後駆動周期の5点移動平均が、調整前駆動周期の推移と略一致していることが読み取れる。これは、条件(2)で使用されるパラメータZとして十分に小さい値が設定されることによる。
【0101】
調整後駆動周期は、用紙の相対移動量と対応するように演算された調整前駆動周期の値を調整することで演算される。よって、調整前駆動周期から乖離した値が調整後駆動周期として使用されると、局所的にインクの吐出位置が目標位置からずれる。そして、駆動周期が経過する毎に駆動周期毎のずれ量が累積する。しかしながら、調整後駆動周期の移動平均が調整前駆動周期の推移と略一致するように調整後駆動周期が設定されることで、インクの吐出位置の目標位置からのずれ量が累積によって拡大することを防止できる。
【0102】
なお、パラメータZとしては、任意の実数が設定され得る。例えば、目標解像度に応じて決められた距離を用紙のキャリッジに対する相対速度で除算して得られる値を、パラメータZとして設定することができる。目標解像度を考慮してパラメータZが設定されることで、インクの吐出位置の目標位置からのずれが画質に与える影響を抑制することが可能である。
【0103】
なお、前述された目標解像度に応じて決められた距離は、一例では、目標解像度に対応した吐出位置間隔の半分の距離とすることができる。これによって、インクの吐出位置の目標位置からのずれが画質に与える影響を、視認で確認することが困難なレベルまで抑制することができる。なお、目標解像度に応じて決められた距離は、これに限定されない。
【0104】
また、図11に示された例では、調整後駆動周期の値は、1回毎に周期範囲504および周期範囲505から交互に選択されている。つまり、周期範囲504および周期範囲505のうちの一方から調整後駆動周期の値が選択されると、次は周期範囲504および周期範囲505のうちの他方から調整後駆動周期の値が選択されている。周期範囲504および周期範囲505のうちの一方から2回以上連続して調整後駆動周期の値が選択されていない。このように調整後駆動周期の値が選択されることによって、調整後駆動周期の値を2以上の選択する毎に調整後駆動周期の値の選択元を周期範囲504と周期範囲505との間で切り替える場合に比べて、インクの吐出位置の目標位置からのずれ量を小さく抑制することができる。
【0105】
なお、調整後駆動周期の値を2以上の選択する毎に調整後駆動周期の値の選択元を周期範囲504と周期範囲505との間で切り替えてもよい。
【0106】
また、nは、2以上の自然数から任意に設定され得る。しかしながら、nが小さいほど、インクの着弾位置の目標位置からのずれの累積量を小さくすることができるため、画質に与える影響を小さくすることができる。
【0107】
図12は、実施形態にかかる画像形成装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【0108】
まず、印刷制御部302がキャリッジ位置検出回路305からエンコーダシートの読み取り時間間隔を取得すると(S101)、駆動周期演算部400は、取得された読み取り時間間隔に基づいて調整前駆動周期Tbeforeの新しい値Tbefore_curを演算する(S102)。
【0109】
前述されたように、駆動周期演算部400は、エンコーダシートの読み取り時間間隔をTbefore_curとしてもよい。または、駆動周期演算部400は、エンコーダシートの読み取り時間間隔に対して所定の処理(例えば除算、乗算、または移動平均化など)を施して、当該処理によって得られた値をTbefore_curとしてもよい。
【0110】
続いて、駆動周期演算部400は、前述された条件(1)および条件(2)を満たすように、調整後駆動周期Tafterの新しい値Tafter_curを演算する(S103)。
【0111】
そして、印刷制御部302は、前回に圧電素子121を駆動してから調整後駆動周期Tafter_curに対応した時間が経過したタイミングで圧電素子121を駆動するよう、ヘッド駆動回路310を制御する(S104)。
【0112】
そして、制御がS101に移行する。なお、S104の後の制御の移行先はS101に限定されない。S104の後、制御がS102またはS103に移行するケースがあってもよい。例えば、読み取り時間間隔が150[dpi]のピッチであり、液滴の吐出間隔を300[dpi]としたい場合、S103およびS104の対が2回繰り返された後に、制御がS101に移行してもよい。
【0113】
また、図12に示された例によれば、調整後駆動周期の値が1回使用される毎に調整後駆動周期の演算が実行された。調整後駆動周期の値が2回以上使用される毎に調整後駆動周期の演算が実行されてもよい。つまり、調整後駆動周期が1回以上経過する毎に調整後駆動周期の演算が実行されてもよい。
【0114】
以上述べたように、実施形態によれば、液体吐出装置としての画像形成装置は、ヘッド駆動回路310と、吐出制御部としての印刷制御部302と、を備える。ヘッド駆動回路310は、相対的に移動する搬送物(例えば用紙)にヘッドから液滴(例えばインクの液滴)を吐出させるための吐出力を生じさせるアクチュエータ素子(例えば圧電素子121)を駆動する。印刷制御部302は、搬送物の相対移動量に応じた第1の駆動周期(例えば調整前駆動周期)を演算する。そして印刷制御部302は、第1の駆動周期を、インクの吐出異常をもたらす第1の周期範囲(例えば周期範囲501)と異なる第2の周期範囲(例えば周期範囲503)の内の値に調整することで、第2の駆動周期(例えば調整後駆動周期)を得る。そして、印刷制御部302は、第2の駆動周期でヘッド駆動回路にアクチュエータ素子を駆動させる。印刷制御部302は、第2の駆動周期が1回以上経過する毎に第2の駆動周期を得る処理を実行する。さらに、印刷制御部302は、連続する所定回数(例えばn回)の第1の駆動周期の累積値と、連続する所定回数(例えばn回)の第2の駆動周期の累積値と、の差分が許容値(例えばZ)を超えないように、第1の駆動周期を調整する。
【0115】
よって、共振に起因する液滴の吐出精度の悪化を抑制することが可能となる。
【0116】
より具体的には、印刷制御部302は、前述した条件(1)および条件(2)を満たすように、第1の駆動周期を調整する。
【0117】
よって、インクの着弾位置が目標位置から大きくずれることを防止することが可能となる。
【0118】
また、実施形態によれば、目標解像度に応じて決められた距離を搬送物の搬送速度で除算して得られる値を許容値とすることができる。
【0119】
よって、インクの吐出位置の目標位置からのずれが画質に与える影響を抑制することが可能となる。
【0120】
また、実施形態によれば、目標解像度に対応した吐出位置間隔の半分の値を搬送物の搬送速度で除算して得られる値を許容値とすることができる。
【0121】
よって、インクの吐出位置の目標位置からのずれが画質に与える影響を、視認で確認することが困難なレベルまで抑制することが可能となる。
【0122】
また、実施形態によれば、所定回は、目標解像度に応じて決定されている。
【0123】
よって、インクの吐出位置の目標位置からのずれが画質に与える影響を抑制することが可能となる。
【0124】
また、実施形態によれば、目標解像度がa[dpi]である場合に、4*a/25.4の演算によって得られた値よりも大きい値が所定回(例えばn)として設定され得る。
【0125】
また、実施形態によれば、第2の周期範囲は、第1の周期範囲の上限値に接する第3の周期範囲(例えば周期範囲504)と、第1の周期範囲の下限値に接する第4の周期範囲(例えば周期範囲505)と、を含む。
【0126】
そして、実施形態によれば、印刷制御部302は、調整後駆動周期が経過する毎に、第1の駆動周期を、第3の周期範囲の内の値と、第4の周期範囲の内の値と、に交互に調整する。
【0127】
よって、2以上の回数の調整後駆動周期が経過する毎に第1の駆動周期が第3の周期範囲の内の値と、第4の周期範囲の内の値と、に交互に調整された場合に比べて、インクの吐出位置の目標位置からのずれ量を小さくすることが可能である。
【0128】
また、実施形態によれば、液体吐出方法は、ヘッドに対して相対的に移動する搬送物(例えば用紙)の相対移動量に応じた第1の駆動周期を演算する第1ステップ(例えば図12のS101,S102)と、第1の駆動周期を、ヘッドから吐出される液滴の吐出異常をもたらす第1の周期範囲と異なる第2の周期範囲の内の値に調整して、調整後の第1の駆動周期である第2の駆動周期を得ること(例えば図12のS103)を、第2の駆動周期が1回以上経過する毎に実行する第2ステップ(例えば図12のS103の繰り返し)と、搬送物にヘッドから液滴を吐出させるための吐出力を生じさせるアクチュエータ素子を第2の駆動周期で駆動する第3ステップ(例えば図12のS104)と、を備える。
【0129】
よって、共振に起因する液滴の吐出精度の悪化を抑制することが可能となる。
【0130】
また、実施形態によれば、第2ステップは、連続する所定回数(例えばn回)の第1の駆動周期の累積値と、連続する所定回数(例えばn回)の第2の駆動周期の累積値と、の差分が許容値Zを超えないように、第1の駆動周期を調整するステップである。
【0131】
よって、インクの吐出位置の目標位置からのずれ量が累積によって拡大することを防止することが可能となる。
【0132】
なお、以上では、実施形態にかかる液体吐出装置が、用紙の搬送方向と直行する向きに記録ヘッドが設けられたキャリッジ23が移動するシリアル方式の画像形成装置に適用された例について説明された。実施形態にかかる液体吐出装置を適用できる画像形成装置は、これに限定されない。
【0133】
例えば、実施形態にかかる液体吐出装置は、用紙の搬送方向と同じ方向に記録ヘッドが相対的に移動し画像を形成するライン方式の画像形成装置に対しても適用することができる。そのような場合には、用紙の搬送速度の検知のために具備されたエンコーダがフォトセンサによって読み出され、当該フォトセンサによる読み出し時間間隔に基づいて第1の駆動周期が演算され、その後、上記された手順と同様の手順で、第2の駆動周期が演算される。
【0134】
また、シリアル方式の画像形成装置およびライン方式の画像形成装置のいずれに実施形態にかかる液体吐出装置が適用される場合においても、搬送物の相対移動量の検出方法は、エンコーダをフォトセンサによって読む方法に限定されない。実施形態にかかる液体吐出装置は、任意の方法で搬送物の相対移動量を取得することができる。
【0135】
また、実施形態にかかる液体吐出装置は、相対的に移動する搬送物に液体の滴をノズルから吐出する任意の装置に適用することができる。
【0136】
また、実施形態にかかる液体吐出装置および液体吐出方法は、本発明の好適な実施形態であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更実施が可能である。例えば、上述された実施形態にかかる液体吐出方法の各処理を、ハードウェア、又は、ソフトウェア、あるいは、両者の複合構成を用いて実行することも可能である。
【0137】
なお、実施形態にかかる液体吐出方法の各処理をソフトウェアを用いて実行する場合には、実施形態にかかる液体吐出方法の各処理の処理シーケンスを記録したプログラムを、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ内のメモリにインストールして実行させることが可能である。あるいは、各種処理が実行可能な汎用コンピュータにプログラムをインストールして実行させることが可能である。
【0138】
実施形態にかかる液体吐出方法の各処理の処理シーケンスを記録したプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0139】
さらに、実施形態にかかる液体吐出方法の各処理の処理シーケンスを記録したプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、実施形態にかかる液体吐出方法の各処理の処理シーケンスを記録したプログラムを、インターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【符号の説明】
【0140】
1 装置本体
2 給紙トレイ
3 排紙トレイ
4 カートリッジ装填部
5 操作/表示部
6 カートリッジカバー
10,10k,10c,10m,10y インクカートリッジ
11k,11c,11m,11y 残量表示部
12 電源ボタン
13 用紙送り/印刷再開ボタン
14 キャンセルボタン
21 ガイドロッド
22 ステー
23 キャリッジ
24 主走査モータ
25 駆動プーリ
26 従動プーリ
27 タイミングベルト
31,31k,31c,31m,31y 記録ヘッド
31a ノズル面
32 ヘッドタンク
35 記録ヘッド
37 搬送ガイド
41 用紙積載部
42 用紙
43 給紙コロ
44 分離パッド
45 ガイド部材
46 カウンタローラ
47 搬送ガイド部材
48 押さえ部材
49 先端加圧コロ
51 搬送ベルト
52 搬送ローラ
53 テンションローラ
56 帯電ローラ
57 ガイド部材
58 副走査モータ
59 駆動ベルト
60 プーリ
61 分離爪
62 排紙ローラ
63 排紙コロ
71 両面ユニット
72 手差しトレイ
81 維持回復機構
82,82a~82d キャップ
83 ワイパーブレード
101 流路板
102 振動板
103 ノズル板
104 ノズル
105 ノズル連通路
106 液室
108 共通液室
109 インク供給口
121 積層型圧電素子(圧電素子)
122 ベース基板
123 支柱部
126 ケーブル
130 フレーム部材
131 貫通部
132 インク供給穴
151 圧電材料
152 内部電極
153 個別電極
154 共通電極
221 モータ
300 通信回路
301 主制御部
302 印刷制御部
303 主走査モータ駆動回路
304 副走査モータ駆動回路
305 キャリッジ位置検出回路
306 搬送量検出回路
307 給紙コロ駆動回路
308 維持回復機構駆動用モータ駆動回路
310 ヘッド駆動回路
311 インク供給モータ駆動回路
312 ヘッドタンク満タンセンサ
313 環境センサ
314 カートリッジ通信回路
400 駆動周期演算部
401 駆動波形生成部
402 データ転送部
411 シフトレジスタ
412 ラッチ回路
413 デコーダ
414 レベルシフタ
415 アナログスイッチ
501~505 周期範囲
【先行技術文献】
【特許文献】
【0141】
【文献】特開2015-231700号公報
図1
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図12