(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】電線およびケーブル
(51)【国際特許分類】
H01B 7/295 20060101AFI20240528BHJP
H01B 7/02 20060101ALI20240528BHJP
H01B 7/18 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
H01B7/295
H01B7/02 Z
H01B7/18 H
(21)【出願番号】P 2021019494
(22)【出願日】2021-02-10
【審査請求日】2023-09-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】株式会社プロテリアル
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 周
(72)【発明者】
【氏名】木部 有
(72)【発明者】
【氏名】中村 孔亮
(72)【発明者】
【氏名】橋本 充
(72)【発明者】
【氏名】梶山 元治
【審査官】神田 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-140840(JP,A)
【文献】特開2016-21360(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 7/295
H01B 7/02
H01B 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体と、
ポリオレフィンを含むベースポリマを備え、前記導体を被覆する第1絶縁層と、
ポリオレフィンを含むベースポリマを備え、前記第1絶縁層を被覆する第2絶縁層と、
を有し、
前記第1絶縁層は、ポリオレフィン100質量部に対して、水酸化アルミニウムが130~200質量部添加され、
前記第1絶縁層の樹脂組成物の単位体積当たりの水酸化アルミニウムの表面積が3.7m
2/ml以上であり、
前記第2絶縁層は、ポリオレフィン100質量部に対して、水酸化マグネシウムが150~250質量部添加され、かつ、ポリオレフィンの主成分としてエチレン酢酸ビニル共重合体を含むノンハロゲン樹脂組成物であり、
前記第1絶縁層および前記第2絶縁層のそれぞれは架橋されている、電線。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1絶縁層は、ポリオレフィンの主成分として融点が110℃以上のポリエチレンを含み、かつ、副成分として酢酸ビニル共重合体およびエチレンアクリル酸共重合体が含まれない、電線。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記第1絶縁層は、ポリオレフィンの副成分として酸変性ポリオレフィンを含み、
前記酸変性ポリオレフィンは、ポリエチレン、エチレン-α-オレフィン、およびエチレンアクリル酸共重合体のうちの一種類以上を含む、電線。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項において、
前記第1絶縁層に含まれる水酸化アルミニウムは、純水に懸濁した際の電気伝導度が20μS/cm以下である、電線。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項において、
前記第2絶縁層は、ポリオレフィンの主成分として融点が80℃以上のエチレン酢酸ビニル共重合体を含む、電線。
【請求項6】
複数の電線と、前記複数の電線を一括して被覆するシースと、を有し、
前記複数の電線のうちの少なくとも一部は、請求項1~5のいずれか1項に記載される電線である、ケーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線およびこれを用いたケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば鉄道車両には、モータなどに配線される動力線や、運転を制御する制御線など、多数のケーブルが使用されている。これらのケーブルには、高い難燃性および電気絶縁性能が要求される。
【0003】
高い難燃性を得るには、例えば、ポリオレフィン系樹脂に金属水酸化物を多量に配合する方法がある(例えば特許文献1および特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-186011号公報
【文献】特開2014-53247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明者は、電線およびこれを用いたケーブルにおいて、難燃性、あるいは電気絶縁性能の特性を向上させる技術について検討した。例えば、上記した特許文献1では、外側の絶縁層を構成する材料として、スチレン系エラストマやエチレンプロピレンゴムが添加された絶縁層が記載されているが、特許文献1に記載される処方では、十分な耐油性が得られない。また、内側の絶縁層として水酸化マグネシウムを含有する絶縁層が記載されているが、水酸化マグネシウムは不純物イオンが多くなり易いので、電線の電気的な特性を低下させる原因になる場合がある。また、内側の絶縁層のベースポリマとして極性が高いエチレンアクリル酸共重合体を用いる場合、吸湿性が高いので、電線の電気的な特性を低下させる原因になる場合がある。また、例えば上記特許文献に記載されるように、絶縁層として酢酸の割合が30%以上である酢酸ビニル共重合体をベースポリマとして用いた場合、電線表面のタックが強すぎることに起因して、電子線を照射することによる架橋処理が困難になる場合がある。
【0006】
本発明は、難燃性および電気絶縁性能において高い特性を備える電線およびケーブルを提供すること目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施の形態である電線は、[1]導体と、ポリオレフィンを含むベースポリマを備え、前記導体を被覆する第1絶縁層と、ポリオレフィンを含むベースポリマを備え、前記第1絶縁層を被覆する第2絶縁層と、を有する。前記第1絶縁層は、ポリオレフィン100質量部に対して、水酸化アルミニウムが130~200質量部添加される。前記第1絶縁層の樹脂組成物の単位体積当たりの水酸化アルミニウムの表面積が3.7m2/ml以上である。前記第2絶縁層は、ポリオレフィン100質量部に対して、水酸化マグネシウムが150~250質量部添加され、かつ、ポリオレフィンの主成分としてエチレン酢酸ビニル共重合体を含むノンハロゲン樹脂組成物である。前記第1絶縁層および前記第2絶縁層のそれぞれは、架橋されている。
【0008】
[2]例えば、[1]において、前記第1絶縁層は、ポリオレフィンの主成分として融点が110℃以上のポリエチレンを含み、かつ、副成分として酢酸ビニル共重合体およびエチレンアクリル酸共重合体が含まれない。
【0009】
[3]例えば[1]または[2]において、前記第1絶縁層は、ポリオレフィンの副成分として酸変性ポリオレフィンを含む。前記酸変性されたポリオレフィンは、ポリエチレン、エチレン-α-オレフィン、およびエチレンアクリル酸共重合体のうちの一種類以上を含む。
【0010】
[4]例えば、[1]~[3]のいずれかにおいて、前記第1絶縁層に含まれる水酸化アルミニウムは、純水に懸濁した際の電気伝導度が20μS/cm以下である。
【0011】
[5]例えば、[1]~[3]のいずれかにおいて、前記第2絶縁層は、ポリオレフィンの主成分として融点が80℃以上のエチレン酢酸ビニル共重合体を含む。
【0012】
また、他の実施の形態であるケーブルは、[6]複数の電線と、前記複数の電線を一括して被覆するシースと、を有し、前記複数の電線のうちの少なくとも一部は、[1]~[5]のいずれかに記載される電線である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の代表的な実施の形態によれば、難燃性および電気絶縁性能において高い特性を備える電線およびケーブルが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】一実施の形態である電線の構造例を示す断面図である。
【
図2】
図1に示す電線を含むケーブルの構造例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0016】
<電線およびケーブルの基本構造例>
図1は、一実施の形態である電線の構造例を示す断面図である。
図2は、
図1に示す電線を含むケーブルの構造例を示す断面図である。
【0017】
図1に示す電線10は、導体11と、導体11を被覆する絶縁層(第1絶縁層)12と、絶縁層12を被覆する絶縁層(第2絶縁層)13と、を有する。電線10は、2層の絶縁層を備える2層絶縁電線である。後述するように、絶縁層12および13のそれぞれは、架橋されている。電線10は、2層架橋絶縁電線と言いかえることができる。また、後述するように、電線10は、絶縁層12および13のそれぞれに難燃剤を含有している。電線10は、2層架橋難燃絶縁電線と言い換えることができる。
【0018】
図2に示すケーブル20は、複数の電線10と、複数の電線10を一括して被覆するシース(絶縁層、第3絶縁層)21と、を有する。
図2に示す例では、シース21が2本の電線10を被覆する例を示している。ただし、シース21内の電線10の本数は、2本には限定されず、例えば、3本以上の場合もある。また、
図2に示すように、シース21に被覆されるすべての電線が電線10であることが好ましいが、変形例としては、電線10とは異なる構造の電線が、電線10と一緒にシース21に被覆されている場合がある。
【0019】
以下、電線10の特徴について、内層である絶縁層12と、外層である絶縁層13と、に分けて説明する。
【0020】
<絶縁層12>
内層である絶縁層12は、ベースポリマとしてポリオレフィンを主成分とする(ベースポリマの50重量%以上がポリオレフィンである)。絶縁層12は、難燃剤として水酸化アルミニウムを含んでいることが好ましい。一般的に難燃剤として用いられる金属水酸化物に水酸化マグネシウムがある。水酸化マグネシウムは不純物イオンが多くなり易いので、電線の電気的な特性を低下させる原因になる場合がある。一方、難燃剤として水酸化アルミニウムを用いた場合、水酸化マグネシウムを用いた場合と比較して、電線10の電気的特性を向上させることができる。
【0021】
ただし、絶縁層12を構成する樹脂組成物(ベースポリマおよびフィラを含む組成物)の単位体積当たりの水酸化アルミニウムの表面積は、3.7m2/ml以上である必要がある。また、絶縁層12に含まれるポリオレフィンを100質量部とした時の水酸化アルミニウムの添加量は、130~200質量部(130質量部以上、200質量部以下)である必要がある。
【0022】
ベースポリマとフィラとの界面の面積(言い換えればフィラの表面積)が少ない程、水分の侵入を防止できると考えられる。この考え方に則れば、フィラの添加量は少ない程好ましく、フィラの表面積は小さいほど好ましいはずである。しかし、本願発明者の検討によれば、絶縁層12に含まれるポリオレフィンを100質量部とした時の水酸化アルミニウムの添加量が100質量部を超えている場合、水酸化アルミニウムの表面積が、3.7m2/ml未満の場合には絶縁破壊が発生する場合があり、水酸化アルミニウムの表面積が、3.7m2/ml以上である場合には、絶縁破壊しないことが判った。このメカニズムは、完全には明らかにされている訳ではないが、以下のように考察できる。すなわち、水酸化アルミニウムのフィラに起因する絶縁破壊は、樹脂組成物の絶縁抵抗の要素に加え、電解ひずみの要素が影響していると考えられる。絶縁層12に添加される水酸化アルミニウムの量が多くなれば、樹脂組成物の絶縁抵抗は小さくなるが、水酸化アルミニウムの表面積が、3.7m2/ml以上の場合には、電解ひずみも小さくなるので、絶縁破壊を防止できると考えられる。
【0023】
また、絶縁層12に対して十分な難燃性を付与する観点から、絶縁層12に含まれるポリオレフィンを100質量部とした時の水酸化アルミニウムの添加量は、130質量部以上である必要がある。例えば、上記した水酸化アルミニウムの添加量が100質量部未満であれば、絶縁層12の絶縁破壊は生じないが、難燃性が不足する。ただし、上記した水酸化アルミニウムの添加量が200質量部を超えると、水酸化アルミニウムの表面積が、3.7m2/ml以上であっても絶縁破壊する場合がある。また、上記した水酸化アルミニウムの添加量が200質量部を超えると、絶縁層12の伸び特性などの機械的特性が低下する。したがって、絶縁層12に含まれるポリオレフィンを100質量部とした時の水酸化アルミニウムの添加量は、130~200質量部である必要がある。
【0024】
また、電線10の電気特性を向上させる観点からは、以下の構成が好ましい。すなわち、絶縁層12に含まれる水酸化アルミニウムは、純水に懸濁した際の電気伝導度が20μS/cm以下であることが好ましい。また、変形例として水酸化アルミニウムに表面処理を施すこともできる。例えば、水酸化アルミニウムの表面にシラン処理が施されている場合、ベースポリマと水酸化アルミニウムのフィラとの密着性が向上するので、電気特性を向上させることができる点で好ましい。なお、電気特性の向上に着目すれば、水酸化アルミニウムのフィラと、クレーやタルクなどの充填剤とを置き換えることも考えられる。しかし、本実施の形態の場合、絶縁層12の難燃性を向上させる観点から、水酸化アルミニウムをベースポリマ中に充填されるフィラとして採用する。
【0025】
また、電線10の耐油性を評価する耐油試験を適切に実施する観点からは、以下の構成が好ましい。すなわち、絶縁層12は、ポリオレフィンの主成分として融点が110℃以上のポリエチレンを含むことが好ましい。耐油試験の代表的な方法として、100℃に加熱した試験油(IRM902試験油)に72時間浸漬する前後において引張特性を計測し、浸漬前後での引張特性の変化の程度を評価する方法がある。この時、試料のベースポリマであるポリオレフィンの主成分(ベース)の融点は、示差走査熱量測定法(DSC法)にて110℃以上が好ましい。上記したポリオレフィンの主成分(ベース)とは、ポリオレフィン100質量部に対して50質量部以上を占める成分のことをいう。ポリオレフィンの主成分の融点が110℃を下回ると、耐油試験中にベースポリマの結晶が融解し、油の拡散を防ぐことが困難になる。この場合、試験油の拡散に起因して引張特性の変化率が大きくなり、正確な耐油性の評価が困難になる。
【0026】
融点が110℃のポリオレフィンとして、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、およびポリプロピレンなどを例示できる。ただし、ポリオレフィンの主成分としてポリプロピレンを用いた場合、電子線照射による架橋処理を行った場合にポリプロピレンは崩壊するので、ポリオレフィンの主成分としてはポリエチレンが好ましい。
【0027】
また、ポリオレフィンの副成分(ポリオレフィン100質量部に対して50質量部未満の成分)として、酢酸ビニル共重合体およびエチレンアクリル酸共重合体が含まれないことが好ましい。酢酸ビニル共重合体およびエチレンアクリル酸共重合体は吸湿性を備えているので、これらの成分を除外することにより、水分に起因する電気特性の低下を防止できる。
【0028】
ただし、酸で変性されているエチレンアクリル酸共重合体は、ポリマの密着性を高めることができる。ポリオレフィンの副成分として、酸で変性されたエチレンアクリル酸共重合体が含まれている場合、ベースポリマの密着性を向上させることにより水分の侵入を抑制し、電線10の電気特性を向上させることができる。酸としては、マレイン酸、無水マレイン酸、あるいはフマル酸などを挙げることができる。また、酸変性ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、エチレン-α-オレフィン、あるいはエチレンアクリル酸共重合体を挙げることができる。ポリオレフィンの副成分としては、上記した複数の成分のうちの一種類が単独で含まれている場合もあり、上記した複数の成分の二種類以上が含まれている場合もある。
【0029】
また、
図1に示す電線10の絶縁層12を構成する樹脂組成物には、上記以外の副成分が含まれている場合がある。上記以外の副成分として絶縁層12を構成する樹脂組成物に添加される材料を機能的に例示すると、例えば、架橋助剤、難燃助剤、紫外線吸収剤、光安定剤、軟化剤、滑剤、着色剤、補強材、界面活性剤、可塑剤、金属キレート剤、発泡剤、相溶化剤、加工助剤、安定剤、などを例示できる。
【0030】
<絶縁層13>
外層である絶縁層13は、ベースポリマとしてポリオレフィンを主成分とする(ベースポリマの50重量%以上がポリオレフィンである)。絶縁層13は、ベースポリマに難燃剤のフィラ等を混合させた樹脂組成物から成る。絶縁層13は、燃焼時にハロゲンガスを発生させない、ノンハロゲン樹脂組成物である。また、絶縁層13は、難燃剤として水酸化マグネシウムを含んでいる。ノンハロゲン樹脂組成物用の難燃剤として、赤リンなどのリン系難燃剤や、メラミンシアヌレート等のトリアジン系難燃剤などがあるが、水酸化マグネシウムの場合、燃焼時に人体に有害なホスフィンガスやシアンガスを発生させないので、これを採用する。
【0031】
絶縁層13の難燃性を向上させる観点から、絶縁層13のベースポリマであるポリオレフィン100質量部に対して150質量部以上の水酸化マグネシウムが添加されていることが好ましく、160質量部以上の水酸化マグネシウムが添加されていることが特に好ましい。また、絶縁層13の伸び特性などの機械的特性の低下を防止する観点からは、絶縁層13のベースポリマであるポリオレフィン100質量部に対して250質量部以下の水酸化マグネシウムが添加されていることが好ましく、200質量部以下の水酸化マグネシウムが添加されていることが特に好ましい。
【0032】
また、絶縁層13のベースポリマであるポリオレフィンは、主成分(ポリオレフィン100質量部に対して50質量部以上)として、酢酸ビニル共重合体を含む。特に、エチレン酢酸ビニル共重合体は燃焼時に脱酢酸による吸熱反応がある点で好ましい。酢酸ビニル共重合体は脱酢酸による吸熱効果が難燃性の向上に寄与する。このため、絶縁層13のポリオレフィンは、酢酸ビニル共重合体を主成分として含む必要があるが、ポリオレフィンの主成分として融点が80℃以上のエチレン酢酸ビニル共重合体を含むことが特に好ましい。融点が80℃以上のエチレン酢酸ビニル共重合体を主成分として用いた場合、電線10動詞のタック性を抑制する効果が得られる。また、電線10に対して試験油(IRM903試験油)を用いた耐油試験を行う場合、試験温度は70℃である。このため、絶縁層13のポリオレフィンの融点が高くなることにより、耐油試験の評価精度を向上させることができる。
【0033】
また、エチレン酢酸ビニル共重合体は、単独で用いてもよいが、絶縁層13の特性を向上させる目的で、複数種類の酢酸ビニル共重合体と混合して用いてもよい。例えば、絶縁層13の伸び特性を向上させる観点から、融点が80℃未満の酢酸ビニル共重合体(例えば結晶を持たない酢酸ビニル共重合体)と混合させる場合がある。伸び特性を向上させる効果は、低融点の酢酸ビニル共重合体の割合が60%以上である場合に、特に発現し易い。また、必要に応じて絶縁層13のポリオレフィンとして、酢酸ビニル共重合体と、他のポリオレフィンとを混合する場合がある。例えば、絶縁層13のポリオレフィンが、酸変性されたエチレン-α-オレフィンを含んでいる場合、絶縁層13の低温特性を向上させることができる。
【0034】
また、
図1に示す電線10の絶縁層13を構成する樹脂組成物には、上記以外の副成分が含まれている場合がある。上記以外の副成分として絶縁層13を構成する樹脂組成物に添加される材料を機能的に例示すると、例えば、架橋助剤、難燃助剤、紫外線吸収剤、光安定剤、軟化剤、滑剤、着色剤、補強材、界面活性剤、可塑剤、金属キレート剤、発泡剤、相溶化剤、加工助剤、安定剤、などを例示できる。
【0035】
<架橋について>
電線10が燃焼した際のドリップ(樹脂組成物の一部が溶け落ちる現象)を抑制する観点からは、絶縁層12および絶縁層13のそれぞれは架橋されていることが好ましい。架橋処理の方法としては、有機過酸化物、硫黄化合物、あるいはシラン等を用いた化学架橋、電子線や放射線などのエネルギービームを照射する照射架橋、あるいは、その他の化学反応を利用した架橋方法などがあるが、いずれの架橋方法も適用可能である。電子線を照射する方法により架橋する方法の場合、室温付近で架橋処理を実施できるため、処理の容易さ、あるいは架橋処理の前後でポリマの結晶のガラス転移温度や融解温度が変化し難い点で特に有利な方法である。
【0036】
<評価>
次に、
図1に示す電線10の実施例および実施例に対する比較例をいくつか作製し、それぞれについて評価した結果について説明する。表1は、実施例1~7の配合割合と評価結果を示す。表2は、比較例1~5の配合割合と評価結果を示す。
【0037】
表1に示す複数の実施例および表2に示す複数の比較例のそれぞれは、以下の手順で
図1に示す電線10と同じ構造を持つように製造した。導体11は、例えば、錫めっき銅線を素線とし、37本の素線を撚り線とした錫めっき導体である。導体11の直径は例えば0.18mmである。絶縁層12および絶縁層13のそれぞれは、表1および表2に示す配合のものを14インチオープンロールにて混練し、造粒機でペレット化した。その後、絶縁層12の厚さが0.3mm、絶縁層13の厚さが0.47mmになるように40mm押出機を用いて2層押出成形を行い、導体11を被覆した。得られた電線10に電子線を照射することにより架橋処理を行った。
【0038】
表1および表2に「表面積」として記載された項目は、絶縁層12の樹脂組成物の単位体積当たりの難燃剤である水酸化アルミニウムまたは水酸化マグネシウムの表面積の値を示している。「表面積」は、1ccの樹脂組成物に対する比表面積を示しており、(表面積)=(BET法による表面積)×比重×難燃剤重量÷樹脂組成物全体の重量の式により算出される。
【0039】
引張試験においては、作製した電線10から導体11を取り出したチューブを用いて、変位速度250mm/minで引張試験を実施し、引張強さと伸び特性とを測定した。評価の指標として、伸びが150%以上のものを〇、150%未満、かつ、120%以上のものを△、120%未満のものを×とした。
【0040】
耐油試験では、電線10から導体11を取り出したチューブを、100℃に加熱した試験油(IRM902)に72時間浸漬した。その後、室温で16時間放置し、上記した引張試験と同様の条件で、引張試験を実施し、引張強さおよび伸び特性を測定した。得られた測定結果を上記した引張試験の結果と比較して、試験油による加熱前後の引張強さおよび伸び特性の変化率を算出した。評価の指標として、引張強さの変化率の絶対値が30%未満のものを〇、30%以上のものを△とした。また、伸び特性の変化率の絶対値が40%未満のものを〇、40%以上のものを△とした。
【0041】
難燃性試験として、欧州規格(EN45545-2)に準拠し、以下の評価を行った。すなわち、垂直に支持した電線にバーナの炎を1分間当てた後、炎を外して上側固定部と炭化上端部との距離が50mm以上、かつ、上側固定部と炭化部下端との距離が540mm未満のものを〇とし、それ以外を×とした。
【0042】
電気試験として、欧州規格EN50305.6.7に準拠した1500V直流安定性試験を実施した。240時間短絡しなかったものを〇、240時間未満で短絡したものを×とした。
【0043】
電気伝導度の評価として、純水100mlに難燃剤を2g投入してから攪拌し、85℃で20時間加熱した。その後、ろ過した懸濁液を電気伝導度測定器により測定した。
【0044】
総合評価として、全ての評価項目が〇のものを◎、△が一つ以上含まれるものを◎とした。また×が含まれるものは×とした。
【0045】
【0046】
【0047】
【0048】
【0049】
<実施例1>
図1に示す絶縁層13において、EVA(三井デュポンケミカル製,V5274)を45質量部、EVA(ランクセス製,レバブン600)を40質量部、変性ポリオレフィン(三井化学製,タフマMH7020)を15質量部、難燃剤として水酸化マグネシウム(神島化学工業,マグシーズS4)を180質量部、他の添加剤として表3に示す添加剤を8質量部、混練した。
【0050】
図1に示す絶縁層12として、ポリエチレン(プライムポリマ製,SP1510)を70質量部、EBR(三井化学製,タフマDF840)を26質量部、変性ポリオレフィン(アルケマ製,ボンダインLX4110)を4質量部、難燃剤として水酸化アルミニウム(Huber製,OL107ZO)を130質量部、表4に示す他添加剤を5質量部、混練した。
【0051】
上記材料を用いて
図1に示す電線を作製し、5Mrad電子線を照射して絶縁層12および13を架橋した後、表1に示す各種の評価を実施した。表1に示すように、すべての評価項目において、〇と判定されたので、総合評価は◎であった。
【0052】
<実施例2>
図1に示す絶縁層13において、EVA(三井デュポンケミカル製,V5274)を45質量部、EVA(ランクセス製,レバブン600)を40質量部、変性ポリオレフィン(三井化学製,タフマMH7020)を15質量部、難燃剤として水酸化マグネシウム(神島化学工業,マグシーズS4)を180質量部、他の添加剤として表3に示す添加剤を8質量部、混練した。
【0053】
図1に示す絶縁層12として、ポリエチレン(プライムポリマ製,SP1510)を70質量部、EBR(三井化学製,タフマDF840)を26質量部、変性ポリオレフィン(アルケマ製,ボンダインLX4110)を4質量部、難燃剤として水酸化アルミニウム(Huber製,OL107ZO)を150質量部、表4に示す他添加剤を5質量部、混練した。
【0054】
上記材料を用いて
図1に示す電線を作製し、5Mrad電子線を照射して絶縁層12および13を架橋した後、表1に示す各種の評価を実施した。表1に示すように、すべての評価項目において、〇と判定されたので、総合評価は◎であった。
【0055】
<実施例3>
図1に示す絶縁層13において、EVA(三井デュポンケミカル製,V5274)を45質量部、EVA(ランクセス製 ,レバブン600)を40質量部、変性ポリオレフィン(三井化学製,タフマMH7020)を15質量部、難燃剤として水酸化マグネシウム(神島化学工業,マグシーズS4)を180質量部、他の添加剤として表3に示す添加剤を8質量部、混練した。
【0056】
図1に示す絶縁層12として、ポリエチレン(プライムポリマ製,SP1510)を70質量部、EBR(三井化学製,タフマDF840)を26質量部、変性ポリオレフィン(三井化学製,タフマMH7020)を4質量部、難燃剤として水酸化アルミニウム(Huber製,OL107ZO)を150質量部、表4に示す他添加剤を5質量部、混練した。
【0057】
上記材料を用いて
図1に示す電線を作製し、5Mrad電子線を照射して絶縁層12および13を架橋した後、表1に示す各種の評価を実施した。表1に示すように、すべての評価項目において、〇と判定されたので、総合評価は◎であった。
【0058】
<実施例4>
図1に示す絶縁層13において、EVA(三井デュポンケミカル製,V5274)を45質量部、EVA(ランクセス製 ,レバブン600)を40質量部、変性ポリオレフィン(三井化学製,タフマMH7020)を15質量部、難燃剤として水酸化マグネシウム(神島化学工業,マグシーズS4)を180質量部、他の添加剤として表3に示す添加剤を8質量部、混練した。
【0059】
図1に示す絶縁層12として、ポリエチレン(プライムポリマ製,SP1510)を70質量部、EBR(三井化学製,タフマDF840)を26質量部、変性ポリオレフィン(三井化学製,タフマMH7020)を4質量部、難燃剤として水酸化アルミニウム(Huber製,OL107ZO)を180質量部、表4に示す他添加剤を5質量部、混練した。
【0060】
上記材料を用いて
図1に示す電線を作製し、5Mrad電子線を照射して絶縁層12および13を架橋した後、表1に示す各種の評価を実施した。表1に示すように、すべての評価項目において、〇と判定されたので、総合評価は◎であった。
【0061】
<実施例5>
図1に示す絶縁層13において、EVA(三井デュポンケミカル製,V5274)を45質量部、EVA(ランクセス製 ,レバブン600)を40質量部、変性ポリオレフィン(三井化学製,タフマMH7020)を15質量部、難燃剤として水酸化マグネシウム(神島化学工業,マグシーズS4)を180質量部、他の添加剤として表3に示す添加剤を8質量部、混練した。
【0062】
図1に示す絶縁層12として、ポリエチレン(プライムポリマ製,SP1510)を70質量部、EBR(三井化学製,タフマDF840)を26質量部、変性ポリオレフィン(三井化学製,タフマMH7020)を4質量部、難燃剤として水酸化アルミニウム(Huber製,OL107ZO)を200質量部、表4に示す他添加剤を5質量部、混練した。
【0063】
上記材料を用いて
図1に示す電線を作製し、5Mrad電子線を照射して絶縁層12および13を架橋した後、表1に示す各種の評価を実施した。表1に示すように、破断伸びは130%だったので評価は△とした。その他のすべての評価項目において、〇と判定されたので、総合評価は〇であった。
【0064】
<実施例6>
図1に示す絶縁層13において、EVA(三井デュポンケミカル製,V5274)を45質量部、EVA(ランクセス製 ,レバブン600)を40質量部、変性ポリオレフィン(三井化学製,タフマMH7020)を15質量部、難燃剤として水酸化マグネシウム(神島化学工業,マグシーズS4)を180質量部、他の添加剤として表3に示す添加剤を8質量部、混練した。
【0065】
図1に示す絶縁層12として、ポリエチレン(プライムポリマ製,SP1510)を70質量部、EBR(三井化学製,タフマDF840)を26質量部、変性ポリオレフィン(アルケマ製,ボンダインLX4110)を4質量部、難燃剤として水酸化アルミニウム(Huber製,OL104ZO)を180質量部、表4に示す他添加剤を5質量部、混練した。
【0066】
上記材料を用いて
図1に示す電線を作製し、5Mrad電子線を照射して絶縁層12および13を架橋した後、表1に示す各種の評価を実施した。表1に示すように、すべての評価項目において、〇と判定されたので、総合評価は◎であった。
【0067】
<実施例7>
図1に示す絶縁層13において、EVA(三井デュポンケミカル製,V5274)を45質量部、EVA(ランクセス製,レバブン600)を40質量部、変性ポリオレフィン(三井化学製,タフマMH7020)を15質量部、難燃剤として水酸化マグネシウム(神島化学工業,マグシーズS4)を180質量部、他の添加剤として表3に示す添加剤を8質量部、混練した。
【0068】
図1に示す絶縁層12として、ポリエチレン(プライムポリマ製,SP0510)を70質量部、EBR(三井化学製,タフマDF840)を26質量部、変性ポリオレフィン(アルケマ製,ボンダインLX4110)を4質量部、難燃剤として水酸化アルミニウム(Huber製,OL107ZO)を150質量部、表4に示す他添加剤を5質量部、混練した。
【0069】
上記材料を用いて
図1に示す電線を作製し、5Mrad電子線を照射して絶縁層12および13を架橋した後、表1に示す各種の評価を実施した。表1に示すように、耐油引張強さの変化率の絶対値および耐油破断伸びの変化率の絶対値が、それぞれ30%より大きかったので評価は△とした。その他のすべての評価項目において、〇と判定されたので、総合評価は〇であった。
【0070】
<比較例1>
図1に示す絶縁層13において、EVA(三井デュポンケミカル製,V5274)を45質量部、EVA(ランクセス製,レバブン600)を40質量部、変性ポリオレフィン(三井化学製,タフマMH7020)を15質量部、難燃剤として水酸化マグネシウム(神島化学工業,マグシーズS4)を180質量部、他の添加剤として表3に示す添加剤を8質量部、混練した。
【0071】
図1に示す絶縁層12として、ポリエチレン(プライムポリマ製,SP1510)を70質量部、EBR(三井化学製,タフマDF840)を26質量部、変性ポリオレフィン(アルケマ製,ボンダインLX4110)を4質量部、難燃剤として水酸化アルミニウム(Huber製,OL104ZO)を160質量部、表4に示す他添加剤を5質量部、混練した。
【0072】
上記材料を用いて
図1に示す電線を作製し、5Mrad電子線を照射して絶縁層12および13を架橋した後、表2に示す各種の評価を実施した。表2に示すように、水酸化アルミニウムの表面積が3.7m
2/ml未満(3.5m
2/ml)であり、直流安定性試験が不合格であった。このため、総合評価は×であった。
【0073】
<比較例2>
図1に示す絶縁層13において、EVA(三井デュポンケミカル製,V5274)を45質量部、EVA(ランクセス製,レバブン600)を40質量部、変性ポリオレフィン(三井化学製,タフマMH7020)を15質量部、難燃剤として水酸化マグネシウム(神島化学工業,マグシーズS4)を180質量部、他の添加剤として表3に示す添加剤を8質量部、混練した。
【0074】
図1に示す絶縁層12として、ポリエチレン(プライムポリマ製,SP1510)を70質量部、EBR(三井化学製,タフマDF840)を26質量部、変性ポリオレフィン(アルケマ製,ボンダインLX4110)を4質量部、難燃剤として水酸化アルミニウム(Huber製,OL104ZO)を120質量部、表4に示す他添加剤を5質量部、混練した。
【0075】
上記材料を用いて
図1に示す電線を作製し、5Mrad電子線を照射して絶縁層12および13を架橋した後、表2に示す各種の評価を実施した。表2に示すように、水酸化アルミニウムの表面積が3.7m
2/ml未満(2.9m
2/ml)であり、直流安定性試験が不合格であった。また、燃焼試験も不合格であった。このため、総合評価は×であった。
【0076】
<比較例3>
図1に示す絶縁層13において、EVA(三井デュポンケミカル製,V5274)を45質量部、EVA(ランクセス製,レバブン600)を40質量部、変性ポリオレフィン(三井化学製,タフマMH7020)を15質量部、難燃剤として水酸化マグネシウム(神島化学工業,マグシーズS4)を180質量部、他の添加剤として表3に示す添加剤を8質量部、混練した。
【0077】
図1に示す絶縁層12として、ポリエチレン(プライムポリマ製,SP1510)を70質量部、EBR(三井化学製,タフマDF840)を26質量部、変性ポリオレフィン(三井化学製,タフマMH7020)を4質量部、難燃剤として水酸化アルミニウム(Huber製,OL107ZO)を210質量部、表4に示す他添加剤を5質量部、混練した。
【0078】
上記材料を用いて
図1に示す電線を作製し、5Mrad電子線を照射して絶縁層12および13を架橋した後、表2に示す各種の評価を実施した。表2に示すように、水酸化アルミニウムの添加量が多すぎるため、破断伸びが120%で不合格であった。また、直流安定性試験が不合格であった。このため、総合評価は×であった。
【0079】
<比較例4>
図1に示す絶縁層13において、EVA(三井デュポンケミカル製,V5274)を45質量部、EVA(ランクセス製,レバブン600)を40質量部、変性ポリオレフィン(三井化学製,タフマMH7020)を15質量部、難燃剤として水酸化マグネシウム(神島化学工業,マグシーズS4)を180質量部、他の添加剤として表3に示す添加剤を8質量部、混練した。
【0080】
図1に示す絶縁層12として、ポリエチレン(プライムポリマ製,SP1510)を70質量部、EBR(三井化学製,タフマDF840)を26質量部、変性ポリオレフィン(アルケマ製,ボンダインLX4110)を4質量部、難燃剤として水酸化マグネシウム(Huber製,H10A)を150質量部、表4に示す他添加剤を5質量部、混練した。
【0081】
上記材料を用いて
図1に示す電線を作製し、5Mrad電子線を照射して絶縁層12および13を架橋した後、表2に示す各種の評価を実施した。表2に示すように、直流安定性試験が不合格であった。この原因は、水酸化アルミニウムに変えて水酸化マグネシウムを添加したためと考えられる。このため、総合評価は×であった。
【0082】
<比較例5>
図1に示す絶縁層13において、EVA(三井デュポンケミカル製,V5274)を45質量部、EVA(ランクセス製,レバブン600)を40質量部、変性ポリオレフィン(三井化学製,タフマMH7020)を15質量部、難燃剤として水酸化マグネシウム(神島化学工業,マグシーズS4)を180質量部、他の添加剤として表3に示す添加剤を8質量部、混練した。
【0083】
図1に示す絶縁層12として、ポリエチレン(プライムポリマ製,SP1510)を70質量部、EBR(三井化学製,タフマDF840)を26質量部、変性ポリオレフィン(アルケマ製,ボンダインLX4110)を4質量部、難燃剤として水酸化マグネシウム(Huber製,H10A)を100質量部、表4に示す他添加剤を5質量部、混練した。
【0084】
上記材料を用いて
図1に示す電線を作製し、5Mrad電子線を照射して絶縁層12および13を架橋した後、表2に示す各種の評価を実施した。表2に示すように、難燃剤の添加量が少ないため、燃焼試験が不合格であった。また、直流安定性試験が不合格であった。この原因は、水酸化アルミニウムに変えて水酸化マグネシウムを添加したためと考えられる。このため、総合評価は×であった。
<評価結果>
表1に示す実施例および表2に示す比較例の評価結果より、以下のことが判る。まず、内層である絶縁層12に添加される難燃剤として水酸化アルミニウムを用いることにより、難燃性と電気特性を両立させることができる。また、ポリオレフィンを100質量部とした時の水酸化アルミニウムの添加量は、難燃性を向上させる観点から130質量部以上が好ましく、破断伸び特性を向上させる観点から200質量部以下が好ましい。また、絶縁層12の樹脂組成物の単位体積当たりの水酸化アルミニウムの表面積が3.7m
2/ml以上であれば、直流安定性試験に合格する電線10が得られる。ただし、比較例3の結果から、水酸化アルミニウムの添加量が200質量部を超えると、表面積が3.7m
2/ml以上で直流安定性試験に不合格になる。
【0085】
本発明は前記実施の形態および実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しな
い範囲で種々変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明は、電線およびケーブルに適用可能である。
【符号の説明】
【0087】
10 電線
11 導体
12 絶縁層(第1絶縁層、内層)
13 絶縁層(第2絶縁層、外層)
20 ケーブル
21 シース