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特許7494857液晶硬化層転写シール、液晶硬化層転写物、及び液晶硬化層転写シールの真正性判定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】液晶硬化層転写シール、液晶硬化層転写物、及び液晶硬化層転写シールの真正性判定方法
(51)【国際特許分類】
   B42D 25/40 20140101AFI20240528BHJP
   B42D 25/364 20140101ALI20240528BHJP
   B32B 3/30 20060101ALI20240528BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
B42D25/40 100
B42D25/364
B32B3/30
G02B5/30
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021554340
(86)(22)【出願日】2020-10-15
(86)【国際出願番号】 JP2020038865
(87)【国際公開番号】W WO2021079815
(87)【国際公開日】2021-04-29
【審査請求日】2023-09-25
(31)【優先権主張番号】P 2019192972
(32)【優先日】2019-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000229117
【氏名又は名称】日本ゼオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤野 泰秀
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-120230(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03363652(EP,A1)
【文献】特開2010-211063(JP,A)
【文献】特開2011-128270(JP,A)
【文献】特開2002-205472(JP,A)
【文献】英国特許出願公開第02568760(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42D 25/40
B42D 25/364
B32B 3/18
3/30
G02B 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、前記基材と一方の面S1で接する液晶硬化層と、前記液晶硬化層の他方の面S2における一部の領域Fに接するパターン層とを含み、
前記液晶硬化層は、重合性液晶性化合物を含む液晶組成物を硬化させてなる層であり、
前記液晶硬化層の面S2は、一辺の長さが5μm以上100μm以下の格子状である複数の切り込みにより分割され、
前記パターン層は、接着性を有する層であるか、又は易剥離性を有する層である、液晶硬化層転写シール。
【請求項2】
前記液晶硬化層の厚みdが、1μm以上15μm以下である、請求項1に記載の液晶硬化層転写シール。
【請求項3】
前記切り込みの深さが、0.5dより大きく、d以下である、請求項1又は2に記載の液晶硬化層転写シール。
【請求項4】
前記基材が、透明基材である、請求項1~のいずれか一項に記載の液晶硬化層転写シール。
【請求項5】
前記液晶硬化層が、コレステリック規則性を有する層である、請求項1~のいずれか一項に記載の液晶硬化層転写シール。
【請求項6】
前記基材の面内方向における、測定波長550nmのレターデーションが、30nm以下である、請求項に記載の液晶硬化層転写シール。
【請求項7】
前記基材の面内方向における、測定波長550nmのレターデーションが、(550n/2-50)nm以上(550n/2+50)nm以下であり、ここでnは1以上の奇数である、請求項に記載の液晶硬化層転写シール。
【請求項8】
前記液晶硬化層の面内方向における、測定波長550nmのレターデーションが、100nm以上である、請求項1~のいずれか一項に記載の液晶硬化層転写シール。
【請求項9】
前記パターン層が易剥離性を有する層であり、
前記液晶硬化層転写シールが、前記液晶硬化層の面S2と前記パターン層とを覆う接着層を更に含む、請求項1~のいずれか一項に記載の液晶硬化層転写シール。
【請求項10】
前記基材と前記液晶硬化層との剥離強度A、前記液晶硬化層と前記接着層との剥離強度B、前記パターン層と前記液晶硬化層との剥離強度C、及び前記パターン層と前記接着層との剥離強度Dが、下記(i)及び(ii)を満たす、請求項に記載の液晶硬化層転写シール。
A<B (i)
C<A及びD<A、又は、C<A若しくはD<A (ii)
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の液晶硬化層転写シールを含む、被着体の改ざん防止シール。
【請求項12】
請求項1~10のいずれか一項に記載の液晶硬化層転写シールを含む、被着体の真贋判定シール。
【請求項13】
被着体と、請求項1~10のいずれか一項に記載の液晶硬化層転写シールにより前記被着体に転写された前記液晶硬化層とを含む、液晶硬化層転写物。
【請求項14】
請求項5~7のいずれか一項に記載の液晶硬化層転写シールの真正性判定方法であって、前記パターン層が易剥離性を有する層であり、前記液晶硬化層転写シールが、前記液晶硬化層の面S2と前記パターン層とを覆う接着層を更に含み、
前記基材は透明基材であり、
前記液晶硬化層転写シールを被着体に貼り付け、貼り付けられた前記液晶硬化層転写シールから前記基材を剥がして、前記液晶硬化層転写シールを、前記基材と前記液晶硬化層の一部の領域Fとを含む第一部材と、前記被着体に接着した前記接着層と前記液晶硬化層の前記一部の領域Fを除いた領域Gとを含む第二部材とに分ける工程(A1)、
前記第二部材の前記領域Gを、前記第一部材を介さずに観察し、前記領域Gの色情報C2aを取得する工程(A2)、
前記第一部材を、前記基材を観察側にして、前記領域Fの少なくとも一部分が、厚み方向から見て前記領域Gに重なるように前記第二部材に重ねて、前記第一部材の前記基材の側から前記領域Gを観察し、前記領域Gの色情報C3aを取得する工程(A3)、及び、
前記工程(A2)において取得された前記領域Gの色情報C2aと、前記工程(A3)において取得された前記領域Gの色情報C3aとを比較し、前記色情報C2aと前記色情報C3aとに差がある場合は、前記液晶硬化層転写シールが真正であると判定し、前記色情報C2aと前記色情報C3aとに差がない場合は、前記液晶硬化層転写シールが真正ではないと判定する工程(A4)を含む、
液晶硬化層転写シールの真正性判定方法。
【請求項15】
請求項に記載の液晶硬化層転写シールの真正性判定方法であって、
前記パターン層が易剥離性を有する層であり、前記液晶硬化層転写シールが、前記液晶硬化層の面S2と前記パターン層とを覆う接着層を更に含み、
前記基材は透明基材であり、
前記液晶硬化層転写シールを被着体に貼り付け、貼り付けられた前記液晶硬化層転写シールから前記基材を剥がして、前記液晶硬化層転写シールを、前記基材と前記液晶硬化層の一部の領域Fとを含む第一部材と、前記被着体に接着した前記接着層と前記液晶硬化層の、前記一部の領域Fを除いた領域Gとを含む第二部材とに分ける工程(A1)、
前記第一部材を、前記基材を観察側にして、前記領域Fの少なくとも一部分が、厚み方向から見て前記領域Gに重なるように前記第二部材に重ねて、前記第一部材の前記基材の側から前記領域Gを観察し、前記領域Gの色情報C3aを取得する工程(A3)、
前記第一部材を、前記液晶硬化層を観察側にして、前記領域Fの少なくとも一部分が、厚み方向から見て前記領域Gに重なるように前記第二部材に重ねて、前記第一部材の前記液晶硬化層の側から前記領域Gを観察し、前記領域Gの色情報C5aを取得する工程(A5)、及び、
前記工程(A3)において取得された前記領域Gの色情報C3aと、前記工程(A5)において取得された前記領域Gの色情報C5aとを比較し、前記色情報C3aと前記色情報C5aとに差がある場合は、前記液晶硬化層転写シールが真正であると判定し、前記色情報C3aと前記色情報C5aとに差がない場合は、前記液晶硬化層転写シールが真正ではないと判定する工程(A6)を含む、
液晶硬化層転写シールの真正性判定方法。
【請求項16】
請求項5~7のいずれか一項に記載の液晶硬化層転写シールの真正性判定方法であって、
前記パターン層は、接着性を有する層であり、
前記基材は透明基材であり、
前記液晶硬化層転写シールを被着体に貼り付け、貼り付けられた前記液晶硬化層転写シールから前記基材を剥がして、前記液晶硬化層転写シールを、前記基材と前記液晶硬化層の一部の領域Fを除いた領域Gとを含む第一部材と、前記被着体に接着したパターン層及び前記液晶硬化層の一部の領域Fを含む第二部材とに分ける工程(B1)、
前記第二部材の前記領域Fを、前記第一部材を介さずに観察し、前記領域Fの色情報C2bを取得する工程(B2)、
前記第一部材を、前記基材を観察側にして、前記領域Gの少なくとも一部分が、厚み方向から見て前記領域Fに重なるように前記第二部材に重ねて、前記第一部材の前記基材の側から前記領域Fを観察し、前記領域Fの色情報C3bを取得する工程(B3)、及び、
前記工程(B2)において取得された前記領域Fの色情報C2bと、前記工程(B3)において取得された前記領域Fの色情報C3bとを比較し、前記色情報C2bと前記色情報C3bとに差がある場合は、前記液晶硬化層転写シールが真正であると判定し、前記色情報C2bと前記色情報C3bとに差がない場合は、前記液晶硬化層転写シールが真正ではないと判定する工程(B4)を含む、
液晶硬化層転写シールの真正性判定方法。
【請求項17】
請求項に記載の液晶硬化層転写シールの真正性判定方法であって、
前記パターン層は、接着性を有する層であり、
前記基材は透明基材であり、
前記液晶硬化層転写シールを被着体に貼り付け、貼り付けられた前記液晶硬化層転写シールから前記基材を剥がして、前記液晶硬化層転写シールを、前記基材と前記液晶硬化層の一部の領域Fを除いた領域Gとを含む第一部材と、前記被着体に接着したパターン層及び前記液晶硬化層の前記一部の領域Fを含む第二部材とに分ける工程(B1)、
前記第一部材を、前記基材を観察側にして、前記領域Gの少なくとも一部分が、厚み方向から見て前記領域Fに重なるように前記第二部材に重ねて、前記第一部材の前記基材の側から前記領域Fを観察し、前記領域Fの色情報C3bを取得する工程(B3)、
前記第一部材を、前記液晶硬化層を観察側にして、前記領域Gの少なくとも一部分が、厚み方向から見て前記領域Fに重なるように前記第二部材に重ねて、前記第一部材の前記液晶硬化層の側から前記領域Fを観察し、前記領域Fの色情報C5bを取得する工程(B5)、及び、
前記工程(B3)において取得された前記領域Fの色情報C3bと、前記工程(B5)において取得された前記領域Fの色情報C5bとを比較し、前記色情報C3bと前記色情報C5bとに差がある場合は、前記液晶硬化層転写シールが真正であると判定し、前記色情報C3bと前記色情報C5bとに差がない場合は、前記液晶硬化層転写シールが真正ではないと判定する工程(B6)を含む、
液晶硬化層転写シールの真正性判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶硬化層転写シール、液晶硬化層転写物、及び液晶硬化層転写シールの真正性判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基材フィルム、基材フィルムに接着された真偽判定層、及び接着層を備える、不正使用防止体が知られている(特許文献1)。真偽判定層としては、例えば液晶性化合物の配向状態を固定化させた高分子フィルムが用いられている。不正使用防止体を、被着体に貼付して、基材フィルムを剥がすことにより、高分子フィルムが破壊されて、所定のパターンが表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-205472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
重合性液晶性化合物を含む液晶組成物を硬化させてなる層(以下、液晶硬化層ともいう。)は、液晶組成物の種類、層の製造方法などを調整することによって、様々な機能を有する層としうる。そのような機能を有する層をパターン状に被着体上に形成する方法としては、液晶硬化層を基材から剥離した後粉砕してフレーク状の顔料を製造し、顔料を含むインクを被着体上に印刷する方法がある。しかし、かかる方法は、剥離工程、粉砕工程などの煩雑な工程を必要とする。
そのため、液晶硬化層をパターン状に被着体上に転写することが求められている。
一方、本発明者の検討によれば、液晶硬化層をパターン状に被着体上に転写しようとすると、パターンの輪郭が不明瞭となる場合があることが判明した。液晶硬化層を、輪郭が明瞭なパターン状に被着体上に転写することができれば、液晶硬化層が転写された被着体を、例えば、優れた意匠を有する物品とすることができ、また例えば、被着体が真正な物品であると示すこともできる。
したがって、液晶硬化層を、輪郭が明瞭なパターン状に被着体上に転写しうる、液晶硬化層転写シール;被着体と液晶硬化層転写シールにより転写された液晶硬化層とを含む、液晶硬化層転写物;及び、液晶硬化層転写シールの真正性判定方法;が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、前記課題を解決するべく、鋭意検討した。その結果、基材と、液晶硬化層と、パターン層とを含む、特定の構成の液晶硬化層転写シールを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下を提供する。
【0006】
[1] 基材と、前記基材と一方の面S1で接する液晶硬化層と、前記液晶硬化層の他方の面S2における一部の領域Fに接するパターン層とを含み、
前記液晶硬化層は、重合性液晶性化合物を含む液晶組成物を硬化させてなる層であり、
前記液晶硬化層の面S2は、複数の切り込みにより分割され、
前記パターン層は、接着性を有する層であるか、又は易剥離性を有する層である、液晶硬化層転写シール。
[2] 前記液晶硬化層の厚みdが、1μm以上15μm以下である、[1]に記載の液晶硬化層転写シール。
[3] 前記切り込みの深さが、0.5dより大きく、d以下である、[1]又は[2]に記載の液晶硬化層転写シール。
[4] 前記複数の切り込みが、一辺の長さが5μm以上100μm以下の格子状である、[1]~[3]のいずれか一項に記載の液晶硬化層転写シール。
[5] 前記基材が、透明基材である、[1]~[4]のいずれか一項に記載の液晶硬化層転写シール。
[6] 前記液晶硬化層が、コレステリック規則性を有する層である、[1]~[5]のいずれか一項に記載の液晶硬化層転写シール。
[7] 前記基材の面内方向における、測定波長550nmのレターデーションが、30nm以下である、[6]に記載の液晶硬化層転写シール。
[8] 前記基材の面内方向における、測定波長550nmのレターデーションが、(550n/2-50)nm以上(550n/2+50)nm以下であり、ここでnは1以上の奇数である、[6]に記載の液晶硬化層転写シール。
[9] 前記液晶硬化層の面内方向における、測定波長550nmのレターデーションが、100nm以上である、[1]~[5]のいずれか一項に記載の液晶硬化層転写シール。
[10] 前記パターン層が易剥離性を有する層であり、
前記液晶硬化層転写シールが、前記液晶硬化層の面S2と前記パターン層とを覆う接着層を更に含む、[1]~[9]のいずれか一項に記載の液晶硬化層転写シール。
[11] 前記基材と前記液晶硬化層との剥離強度A、前記液晶硬化層と前記接着層との剥離強度B、前記パターン層と前記液晶硬化層との剥離強度C、及び前記パターン層と前記接着層との剥離強度Dが、下記(i)及び(ii)を満たす、[10]に記載の液晶硬化層転写シール。
A<B (i)
C<A及びD<A、又は、C<A若しくはD<A (ii)
[12] [1]~[11]のいずれか一項に記載の液晶硬化層転写シールを含む、被着体の改ざん防止シール。
[13] [1]~[11]のいずれか一項に記載の液晶硬化層転写シールを含む、被着体の真贋判定シール。
[14] 被着体と、[1]~[11]のいずれか一項に記載の液晶硬化層転写シールにより前記被着体に転写された前記液晶硬化層とを含む、液晶硬化層転写物。
[15] [6]~[8]のいずれか一項に記載の液晶硬化層転写シールの真正性判定方法であって、前記パターン層が易剥離性を有する層であり、前記液晶硬化層転写シールが、前記液晶硬化層の面S2と前記パターン層とを覆う接着層を更に含み、
前記基材は透明基材であり、
前記液晶硬化層転写シールを被着体に貼り付け、貼り付けられた前記液晶硬化層転写シールから前記基材を剥がして、前記液晶硬化層転写シールを、前記基材と前記液晶硬化層の一部の領域Fとを含む第一部材と、前記被着体に接着した前記接着層と前記液晶硬化層の前記一部の領域Fを除いた領域Gとを含む第二部材とに分ける工程(A1)、
前記第二部材の前記領域Gを、前記第一部材を介さずに観察し、前記領域Gの色情報C2aを取得する工程(A2)、
前記第一部材を、前記基材を観察側にして、前記領域Fの少なくとも一部分が、厚み方向から見て前記領域Gに重なるように前記第二部材に重ねて、前記第一部材の前記基材の側から前記領域Gを観察し、前記領域Gの色情報C3aを取得する工程(A3)、及び、
前記工程(A2)において取得された前記領域Gの色情報C2aと、前記工程(A3)において取得された前記領域Gの色情報C3aとを比較し、前記色情報C2aと前記色情報C3aとに差がある場合は、前記液晶硬化層転写シールが真正であると判定し、前記色情報C2aと前記色情報C3aとに差がない場合は、前記液晶硬化層転写シールが真正ではないと判定する工程(A4)を含む、
液晶硬化層転写シールの真正性判定方法。
[16] [8]に記載の液晶硬化層転写シールの真正性判定方法であって、
前記パターン層が易剥離性を有する層であり、前記液晶硬化層転写シールが、前記液晶硬化層の面S2と前記パターン層とを覆う接着層を更に含み、
前記基材は透明基材であり、
前記液晶硬化層転写シールを被着体に貼り付け、貼り付けられた前記液晶硬化層転写シールから前記基材を剥がして、前記液晶硬化層転写シールを、前記基材と前記液晶硬化層の一部の領域Fとを含む第一部材と、前記被着体に接着した前記接着層と前記液晶硬化層の、前記一部の領域Fを除いた領域Gとを含む第二部材とに分ける工程(A1)、
前記第一部材を、前記基材を観察側にして、前記領域Fの少なくとも一部分が、厚み方向から見て前記領域Gに重なるように前記第二部材に重ねて、前記第一部材の前記基材の側から前記領域Gを観察し、前記領域Gの色情報C3aを取得する工程(A3)、
前記第一部材を、前記液晶硬化層を観察側にして、前記領域Fの少なくとも一部分が、厚み方向から見て前記領域Gに重なるように前記第二部材に重ねて、前記第一部材の前記液晶硬化層の側から前記領域Gを観察し、前記領域Gの色情報C5aを取得する工程(A5)、及び、
前記工程(A3)において取得された前記領域Gの色情報C3aと、前記工程(A5)において取得された前記領域Gの色情報C5aとを比較し、前記色情報C3aと前記色情報C5aとに差がある場合は、前記液晶硬化層転写シールが真正であると判定し、前記色情報C3aと前記色情報C5aとに差がない場合は、前記液晶硬化層転写シールが真正ではないと判定する工程(A6)を含む、
液晶硬化層転写シールの真正性判定方法。
[17] [6]~[8]のいずれか一項に記載の液晶硬化層転写シールの真正性判定方法であって、
前記パターン層は、接着性を有する層であり、
前記基材は透明基材であり、
前記液晶硬化層転写シールを被着体に貼り付け、貼り付けられた前記液晶硬化層転写シールから前記基材を剥がして、前記液晶硬化層転写シールを、前記基材と前記液晶硬化層の一部の領域Fを除いた領域Gとを含む第一部材と、前記被着体に接着したパターン層及び前記液晶硬化層の一部の領域Fを含む第二部材とに分ける工程(B1)、
前記第二部材の前記領域Fを、前記第一部材を介さずに観察し、前記領域Fの色情報C2bを取得する工程(B2)、
前記第一部材を、前記基材を観察側にして、前記領域Gの少なくとも一部分が、厚み方向から見て前記領域Fに重なるように前記第二部材に重ねて、前記第一部材の前記基材の側から前記領域Fを観察し、前記領域Fの色情報C3bを取得する工程(B3)、及び、
前記工程(B2)において取得された前記領域Fの色情報C2bと、前記工程(B3)において取得された前記領域Fの色情報C3bとを比較し、前記色情報C2bと前記色情報C3bとに差がある場合は、前記液晶硬化層転写シールが真正であると判定し、前記色情報C2bと前記色情報C3bとに差がない場合は、前記液晶硬化層転写シールが真正ではないと判定する工程(B4)を含む、
液晶硬化層転写シールの真正性判定方法。
[18] [8]に記載の液晶硬化層転写シールの真正性判定方法であって、
前記パターン層は、接着性を有する層であり、
前記基材は透明基材であり、
前記液晶硬化層転写シールを被着体に貼り付け、貼り付けられた前記液晶硬化層転写シールから前記基材を剥がして、前記液晶硬化層転写シールを、前記基材と前記液晶硬化層の一部の領域Fを除いた領域Gとを含む第一部材と、前記被着体に接着したパターン層及び前記液晶硬化層の前記一部の領域Fを含む第二部材とに分ける工程(B1)、
前記第一部材を、前記基材を観察側にして、前記領域Gの少なくとも一部分が、厚み方向から見て前記領域Fに重なるように前記第二部材に重ねて、前記第一部材の前記基材の側から前記領域Fを観察し、前記領域Fの色情報C3bを取得する工程(B3)、
前記第一部材を、前記液晶硬化層を観察側にして、前記領域Gの少なくとも一部分が、厚み方向から見て前記領域Fに重なるように前記第二部材に重ねて、前記第一部材の前記液晶硬化層の側から前記領域Fを観察し、前記領域Fの色情報C5bを取得する工程(B5)、及び、
前記工程(B3)において取得された前記領域Fの色情報C3bと、前記工程(B5)において取得された前記領域Fの色情報C5bとを比較し、前記色情報C3bと前記色情報C5bとに差がある場合は、前記液晶硬化層転写シールが真正であると判定し、前記色情報C3bと前記色情報C5bとに差がない場合は、前記液晶硬化層転写シールが真正ではないと判定する工程(B6)を含む、
液晶硬化層転写シールの真正性判定方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、液晶硬化層を、輪郭が明瞭なパターン状に被着体上に転写しうる、液晶硬化層転写シール;被着体と液晶硬化層転写シールにより転写された液晶硬化層とを含む、液晶硬化層転写物;及び、液晶硬化層転写シールの真正性判定方法;を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の第一実施形態に係る液晶硬化層転写シールを模式的に示す、分解斜視図である。
図2図2は、本発明の第一実施形態に係る液晶硬化層転写シールを模式的に示す、断面図である。
図3図3は、本発明の第一実施形態に係る液晶硬化層を、厚み方向から見た模式図である。
図4図4は、本発明の第二実施形態に係る液晶硬化層転写シールを模式的に示す、分解斜視図である。
図5図5は、本発明の第二実施形態に係る液晶硬化層転写シールを模式的に示す、断面図である。
図6図6は、本発明の一実施形態に係る液晶硬化層転写シールの使用方法を説明する模式図である。
図7図7は、本発明の一実施形態に係る液晶硬化層転写シールの使用方法を説明する模式図である。
図8図8は、本発明の第三実施形態に係る方法における工程(A1)で得られる部材の一例を説明する模式図である。
図9図9は、本発明の第三実施形態に係る方法における、工程(A2)及び(A3)の説明図である。
図10図10は、本発明の第四実施形態に係る方法における、工程(A5)の説明図である。
図11図11は、本発明の第五実施形態に係る方法における工程(B1)で得られる部材の一例を説明する模式図である。
図12図12は、本発明の第五実施形態に係る方法における、工程(B2)の説明図である。
図13図13は、本発明の第五実施形態に係る方法における、工程(B3)の説明図である。
図14図14は、本発明の第六実施形態に係る方法における、工程(B5)の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明について実施形態及び例示物を示して詳細に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施形態及び例示物に限定されるものではなく、本発明の請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
【0010】
以下の説明において、層の面内方向におけるレターデーションReは、別に断らない限り、Re=(nx-ny)×dで表される値である。ここで、nxは、層の厚み方向に垂直な方向(面内方向)であって最大の屈折率を与える方向の屈折率を表す。nyは、層の前記面内方向であってnxの方向に直交する方向の屈折率を表す。dは、層の厚みを表す。測定波長は、別に断らない限り、550nmである。
【0011】
以下の説明において、要素の方向が「平行」及び「直交」とは、別に断らない限り、本発明の効果を損ねない範囲内、例えば±3°、±2°又は±1°の範囲内での誤差を含んでいてもよい。
【0012】
以下の説明において、「λ/2板」、「λ/4板」とは、別に断らない限り、剛直な部材だけでなく、例えば樹脂製のフィルムのように可撓性を有する部材も含む。
【0013】
以下の説明において、接着剤とは、別に断らない限り、狭義の接着剤(エネルギー線照射後、あるいは加熱処理後、23℃における剪断貯蔵弾性率が1MPa~500MPaである接着剤)のみならず、23℃における剪断貯蔵弾性率が1MPa未満である粘着剤をも包含する。
【0014】
以下の説明において、同一の要素には同一の符号を付して、その説明を省略することがある。
【0015】
[1.液晶硬化層転写シール]
[1.1.液晶硬化層転写シールの構造]
(第一実施形態)
本発明の一実施形態に係る液晶硬化層転写シールは、基材と、前記基材と一方の面S1で接する液晶硬化層と、前記液晶硬化層の他方の面S2における一部の領域Fに接するパターン層とを含む。前記液晶硬化層の面S2は、複数の切り込みにより分割され、前記パターン層は接着性を有する層であるか、又は前記パターン層は易剥離性を有する層である。パターン層は、液晶硬化層の面S2の全部を覆ってはおらず、面S2の領域Fを除く領域G上には存在しない。
図1は、本発明の第一実施形態に係る液晶硬化層転写シールを模式的に示す、分解斜視図である。図2は、本発明の第一実施形態に係る液晶硬化層転写シールを模式的に示す、断面図である。図3は、本発明の第一実施形態に係る液晶硬化層を、厚み方向から見た模式図である。
【0016】
図1~3に示すように、本実施形態の液晶硬化層転写シール100は、基材110と、液晶硬化層120と、パターン層130とを備える。基材110は、好ましくは透明基材である。液晶硬化層120の一方の面S1としての、面120Uは、基材110の一方の面110Dと接している。液晶硬化層120の他方の面S2としての面120Dにおける、一部の領域Fには、パターン層130の一方の面130Uが接している。領域Gは、液晶硬化層120の領域Fを除く領域である。
【0017】
液晶硬化層120の面120Dは、複数の切り込み121により分割されている。複数の切り込み121の深さ121DPは、液晶硬化層120の厚みdと同じである。そのため、複数の切り込み121は、液晶硬化層120の面120Uに達し、面120Uを分割している。
液晶硬化層転写シール100では、複数の切り込み121の深さ121DPは、厚みdと同じであるが、別の実施形態では、複数の切り込みの深さ121DPは、d以下であってもよい。例えば、複数の切り込みの深さ121DPは、好ましくは0.1d以上、より好ましくは0.2d以上、更に好ましくは0.3d以上、特に好ましくは0.4d以上、最も好ましくは、0.5d以上又は0.5dより大きく又は0.7d以上又は0.8d以上であり、通常d以下である。
複数の切り込みの深さ121DPが、前記下限値以上であることによって、液晶硬化層転写シール100の基材110を剥がした場合に、被着体に転写される液晶硬化層120の一部領域の輪郭が、より明瞭になる。また、効果的に液晶硬化層転写シール100の改ざんを防止できる。
【0018】
複数の切り込み121は、液晶硬化層120の面120Dの全体に形成されており、液晶硬化層120の厚み方向から見て、格子状である。格子の一辺の長さ122Lは、好ましくは5μm以上、より好ましくは50μm以上であり、好ましくは100μm以下、より好ましくは70μm以下である。長さ122Lが、前記下限値以上であることにより、複数の切り込み121を液晶硬化層120に容易に形成することができる。長さ122Lが、前記上限値以下であることにより、液晶硬化層転写シール100の基材110を剥がした場合に、被着体に転写される液晶硬化層120の一部領域の輪郭が、より滑らかとなる。そのため、例えば、パターン層130を、文字パターンとして、転写する液晶硬化層120の一部領域を文字パターンとした場合に、文字を判別することがより容易となる。また、より効果的に液晶硬化層転写シール100の改ざんを防止できる。
【0019】
別の実施形態では、複数の切り込み121は、液晶硬化層120の厚み方向から見て、互いに平行な線状、ハニカム状、三角形が集合した形状などの、任意の形状であってもよい。また、複数の切り込み121は、液晶硬化層120の面120Dの全体に形成されていてもよく、面120Dの一部(例えば、領域Fの周囲)のみに形成されていてもよい。
【0020】
(第二実施形態)
本発明の別の実施形態に係る液晶硬化層転写シールは、基材と、前記基材と一方の面S1で接する液晶硬化層と、前記液晶硬化層の他方の面S2における一部の領域Fに接するパターン層と、更に液晶硬化層の面S2と前記パターン層とを覆う接着層とを含む。前記液晶硬化層の面S2は、複数の切り込みにより分割され、前記パターン層は易剥離性を有する層である。パターン層は、液晶硬化層の面S2の全部を覆ってはおらず、面S2の領域Fを除く領域G上には存在しない。
図4は、本発明の第二実施形態に係る液晶硬化層転写シールを模式的に示す、分解斜視図である。図5は、本発明の第二実施形態に係る液晶硬化層転写シールを模式的に示す、断面図である。
【0021】
図4及び図5に示すように、本実施形態の液晶硬化層転写シール200は、基材110と、液晶硬化層120と、パターン層230と、接着層240とを備える。基材110及び液晶硬化層120については、液晶硬化層転写シール100が備える基材110及び液晶硬化層120と同様の構成であるので、説明を一部省略する。パターン層230は、易剥離性を有する層である。図5に示すように、液晶硬化層120の面120Dの一部の領域Fには、パターン層230の一方の面230Uが接している。領域Fを除く領域である、領域Gには、接着層240の一方の面240Uにおける一部の領域G’が接している。パターン層230の他方の面230Dは、領域F’と接している。領域F’は、接着層240の面240Uの一部の領域G’を除く領域である。すなわち、接着層240は、液晶硬化層120の、面S2としての面120Dにおける領域Gと、パターン層230の面230Dとを覆っている。
【0022】
好ましくは、基材110と液晶硬化層120との剥離強度A、液晶硬化層120と接着層240との剥離強度B、パターン層230と液晶硬化層120との剥離強度C、及びパターン層230と接着層240との剥離強度Dは、下記(i)及び(ii)を満たす。
A<B (i)
C<A及びD<A、又は、C<A若しくはD<A (ii)
【0023】
条件(i)を満たすことにより、液晶硬化層転写シール200を被着体に貼り付け、基材110を液晶硬化層転写シール200から剥がすと、基材110、液晶硬化層120、及び接着層240がこの順で積層された部分(すなわち、液晶硬化層120の領域Gを含む部分)においては、液晶硬化層120と接着層240との間が剥離しにくく、基材110と液晶硬化層120との間は剥離しやすい。
【0024】
条件(ii)を満たすことにより、液晶硬化層転写シール200を、被着体に貼り付け、基材110を液晶硬化層転写シール200から剥がすと、基材110、液晶硬化層120、パターン層230、及び接着層240がこの順で積層された部分(すなわち、液晶硬化層120の領域Fを含む部分)においては、液晶硬化層120とパターン層230との間及びパターン層230と接着層240との間の少なくとも一方の間が剥離しやすく、基材110と液晶硬化層120との間は剥離しにくい。
【0025】
条件(i)及び条件(ii)を満たすことにより、液晶硬化層転写シール200を、被着体に貼り付け、基材110を液晶硬化層転写シール200から剥がすと、基材110及び液晶硬化層120の領域Fを含む第一部材と、被着体に接着した接着層240及び液晶硬化層120の領域Gを含む第二部材とに、液晶硬化層転写シール200を容易に分けることができる。パターン層230は、C>Dの場合は第一部材に、C<Dの場合は第二部材に含まれうる。
【0026】
例えば、基材110と液晶硬化層120との剥離強度Aに応じて、接着層240の接着性を調整することにより、液晶硬化層転写シール200が条件(i)を満たすようにしうる。接着層240の接着性の調整は、例えば、接着層240を形成する接着剤の種類を適宜変更することにより、行いうる。
例えば、パターン層230を、剥離剤、離型剤などの、易剥離性を有する材料で形成することにより、液晶硬化層転写シール200が条件(ii)を満たすようにしうる。
【0027】
[1.2.液晶硬化層転写シールの構成要素]
次に、液晶硬化層転写シールを構成する要素について、詳細に説明する。以下の要素の説明は、第一実施形態に係る液晶硬化層転写シール及び第二実施形態に係る液晶硬化層転写シール、並びにこれらが変形された液晶硬化層転写シールが有する、各要素に適用されうる。
【0028】
(基材)
基材は、通常、可撓性を有する材料で形成されたフィルムである。基材は、好ましくは透明基材である。基材が透明であるとは、通常、基材の全光線透過率が、70%以上であることを意味する。基材の全光線透過率は、通常100%以下である。
基材を形成するための材料の例としては、熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂は、通常重合体を含む。熱可塑性樹脂に含まれる重合体の例としては、ポリオレフィン;脂環式構造含有重合体;ポリカーボネート;ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリスチレン;ポリビニルアルコール;酢酸セルロース;ポリ塩化ビニル;ポリメタクリレートが挙げられる。
【0029】
なかでも、透明性、低吸湿性、寸法安定性及び加工性の観点から、脂環式構造含有重合体が好ましい。脂環式構造含有重合体は、主鎖及び/又は側鎖に脂環式構造を有する重合体であり、例えば、特開2007-057971号公報に記載のものを用いうる。
脂環式構造含有重合体を含む樹脂の例としては、日本ゼオン社製「ゼオノア」が挙げられる。
【0030】
ここで、樹脂は、1種類の重合体を単独で含むものを用いてもよく、2種類以上の重合体を任意の比率で組み合わせて含むものを用いてもよい。また、樹脂は、本発明の効果を著しく損なわない限り、任意の配合剤を含んでいてもよい。
【0031】
また、基材は、一層のみを備える単層構造を有していてもよく、二層以上の層を備える複層構造を有していてもよい。
【0032】
基材は、例えば、配向膜を有していてもよい。配向膜は、例えば、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド等の重合体を含む樹脂により形成しうる。また、これらの重合体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
【0033】
基材は、表面処理が行われていてもよい。表面処理の例としては、ラビング処理、配向膜形成処理、延伸処理、イオンビーム配向処理等の、液晶性化合物の配向を促進するための処理が挙げられる。
【0034】
また基材は、延伸されていない未延伸フィルムであってもよく、延伸された延伸フィルムであってもよい。
基材は、光学的に異方性を有する層であってもよく、光学的に等方性を有する層であってもよい。
一実施形態では、基材は、面内方向における測定波長550nmのレターデーションが、好ましくは30nm以下であり、より好ましくは20nm以下であり、更に好ましくは10nm以下であり、通常0nm以上であり、0nmであってもよい。
また別の実施形態では、基材は、好ましくは1/2波長板(λ/2板)として機能しうる。基材は、面内方向における、測定波長550nmのレターデーションが、好ましくは(550n/2-50)nm以上であり、より好ましくは(550n/2-30)nm以上であり、好ましくは(550n/2+50)nm以下であり、より好ましくは(550n/2+30)nm以下である。ここでnは1以上の奇数である。nは、好ましくは1又は3であり、より好ましくは1である。
基材が、λ/2板として機能しうると、液晶硬化層転写シールが真正であるか否かを判定する手段が複数となるので、より効果的に液晶硬化層転写シールの改ざんを防止できる。
液晶硬化層転写シールの真正性を判定する方法については、後述する。
【0035】
基材は、任意の厚みとしうる。基材の厚みは、例えば、30μm以上、50μm以上、例えば1000μm以下、500μm以下であってよい。
【0036】
(液晶硬化層)
液晶硬化層は、重合性液晶性化合物を含む液晶組成物を硬化させてなる層である。
重合性液晶性化合物とは、液晶相を呈した状態で液晶組成物中で重合し、液晶相における分子の配向を維持したまま重合体となりうる液晶性化合物である。重合性液晶性化合物としては、例えば、重合性基を有する液晶性化合物、側鎖型液晶ポリマーを形成しうる化合物、円盤状液晶性化合物などが挙げられる。重合性基を有する液晶性化合物の具体例としては、特開平11-513360号公報、特開2002-030042号公報、特開2004-204190号公報、特開2005-263789号公報、特開2007-119415号公報、特開2007-186430号公報などに記載された、重合性基を有する棒状液晶性化合物などが挙げられる。また、側鎖型液晶ポリマー化合物の具体例としては、特開2003-177242号公報などに記載の側鎖型液晶ポリマー化合物などが挙げられる。好ましい重合性液晶性化合物の例を製品名で挙げると、BASF社製「LC242」等が挙げられる。円盤状液晶性化合物の具体例としては、特開平8-50206号公報に記載されている円盤状液晶性化合物が挙げられる。
【0037】
一実施形態では、液晶硬化層は、好ましくはコレステリック規則性を有する。
コレステリック規則性とは、材料内部のある平面上では分子軸が一定の方向に並んでいるが、それに重なる次の平面では分子軸の方向が少し角度をなしてずれ、さらに次の平面ではさらに角度がずれるというように、重なって配列している平面を順次透過して進むに従って当該平面中の分子軸の角度がずれて(ねじれて)いく構造である。即ち、ある材料の層の内部の分子がコレステリック規則性を有する場合、分子は、層の内部のある第一の平面上では分子軸が一定の方向になるように並ぶ。層の内部の、当該第一の平面に重なる次の第二の平面では、分子軸の方向が、第一の平面における分子軸の方向と、少し角度をなしてずれる。当該第二の平面にさらに重なる次の第三の平面では、分子軸の方向が、第二の平面における分子軸の方向から、さらに角度をなしてずれる。このように、重なって配列している平面において、当該平面中の分子軸の角度が順次ずれて(ねじれて)いく。このように分子軸の方向がねじれてゆく構造は、通常はらせん構造であり、光学的にカイラルな構造である。
【0038】
コレステリック規則性を有する液晶硬化層は、一般に、左右円偏光を分離可能である。すなわち、この層は、右円偏光及び左円偏光のうちの一方の円偏光を透過させ、他方の円偏光の一部又は全部を反射する性質を有する。コレステリック規則性を有する液晶硬化層における反射は、円偏光を、そのキラリティを維持したまま反射する。
コレステリック規則性を有する液晶硬化層を、以下コレステリック液晶硬化層ともいう。
【0039】
コレステリック液晶硬化層は、真正性判定時に観察される色の相違を大きくして判定を容易にする観点から、右円偏光及び左円偏光のうちの一方の円偏光を透過させ、他方の円偏光の少なくとも一部を反射する反射波長域において高い反射率を有することが好ましい。具体的には、コレステリック液晶硬化層は、非偏光入射に対して40%以上の反射率となる反射波長域を有することが好ましい。
【0040】
コレステリック液晶硬化層は、単層構造を有していてもよく、2層以上の複層構造を有していてもよい。コレステリック液晶硬化層に含まれる層の数は、製造のし易さの観点から、1~100であることが好ましく、1~20であることがより好ましい。
【0041】
コレステリック液晶硬化層を形成する方法の例としては、基材上にコレステリック液晶組成物の層を設け、前記層を硬化してコレステリック液晶硬化層を得る方法が挙げられる。便宜上「液晶組成物」と称する材料は、2以上の物質の混合物のみならず、単一の物質からなる材料をも包含する。また、コレステリック液晶組成物とは、当該液晶組成物に含まれる液晶性化合物を配向させた場合に、液晶性化合物がコレステリック規則性を有した液晶相(コレステリック液晶相)を呈することができる組成物をいう。
【0042】
コレステリック液晶組成物としては、重合性液晶性化合物を含み、更に必要に応じて任意の成分を含む液晶組成物を用いることができる。重合性液晶性化合物を用いることで、コレステリック液晶硬化層が、高い熱安定性を得うる。重合性液晶性化合物を、コレステリック規則性を呈した状態で重合させることにより、コレステリック液晶組成物の層を硬化させ、コレステリック規則性を呈したまま硬化した非液晶性のコレステリック液晶硬化層を得ることができる。コレステリック液晶組成物としては、例えば、国際公開第2016/002765号に記載されたものを用いることができる。
【0043】
好ましくは、コレステリック液晶組成物として、下記化合物(A1)~(A10)から選ばれる1種以上の化合物と、下記化合物(B1)~(B9)から選ばれる一種以上の棒状液晶性化合物とを含む組成物を用いることが好ましく、下記化合物(A10)と、下記化合物(B5)とを含む組成物を用いることがより好ましい。
【0044】
【化1】
【0045】
上記化合物(A3)において、「*」はキラル中心を表す。
【0046】
【化2】
【0047】
コレステリック液晶組成物の層の硬化方法としては、コレステリック液晶組成物に含まれる成分に応じた方法を選択できる。通常コレステリック液晶組成物に含まれる重合性液晶性化合物等の重合成分を重合させることにより、コレステリック液晶組成物の層を硬化させる。重合方法としては、例えば、活性エネルギー線を照射する方法、及び、熱重合法が挙げられる。中でも、室温で重合反応を進行させられるので、活性エネルギー線を照射する方法が好ましい。ここで、照射される活性エネルギー線には、可視光線、紫外線、及び赤外線等の光、並びに電子線等の任意のエネルギー線が含まれうる。ここで、照射される活性エネルギー線には、可視光線、紫外線、及び赤外線等の光、並びに電子線等の任意のエネルギー線が含まれうる。また、活性エネルギー線の照射によってコレステリック液晶組成物の層を硬化させる場合、照射される活性エネルギー線の強度は、例えば、50mJ/cm~10,000mJ/cm2でありうる。
【0048】
また、液晶性化合物を配向させた後、コレステリック液晶組成物の層を硬化させる前に、コレステリック液晶組成物の層に広帯域化処理を施してもよい。このような広帯域化処理は、例えば、1回以上の活性エネルギー線の照射処理と加温処理との組み合わせにより行うことができる。この際、照射される光のエネルギーは、例えば、0.01mJ/cm~50mJ/cm2としうる。また、加熱処理は、例えば、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上、好ましくは200℃以下、より好ましくは140℃以下の温度に加熱することにより行うことができる。このような広帯域化処理を行うことにより、らせん構造のピッチの大きさを連続的に大きく変化させて、広い反射波長域を得ることができる。
【0049】
一実施形態では、液晶硬化層は、前記のコレステリック液晶硬化層の他に、任意の層を含んでいてもよい。任意の層としては、例えば、コレステリック液晶硬化層同士を貼り合わせるための接着層が挙げられる。
【0050】
また別の実施形態では、液晶硬化層は、面内方向における、測定波長550nmのレターデーションが、100nm以上である。このような液晶硬化層は、例えば液晶組成物に含まれる重合性液晶性化合物を、ホモジニアス配向させ、その配向を保持させたまま、重合性液晶性化合物を重合させることにより、得られうる。ここで、重合性液晶性化合物をホモジニアス配向させるとは、当該液晶性化合物を含む層を形成し、その層における液晶性化合物の分子の屈折率楕円体において最大の屈折率の方向を、前記層の面に平行なある一の方向に配向させることをいう。
【0051】
重合性液晶性化合物を、ホモジニアス配向させる方法としては、ラビング処理、配向膜形成処理、延伸処理、イオンビーム配向処理等の、液晶性化合物の配向を促進するための処理を行った基材に、重合性液晶性化合物を塗工する方法が挙げられる。
【0052】
例えば、液晶硬化層は、λ/2板として機能する層としうる。液晶硬化層が、λ/2板として機能する層とすることで、液晶硬化層転写シールを、例えば被着体の真贋判定のために用いうる。液晶硬化層が、λ/2板として機能する層である場合の、真贋判定の方法については、後述する。
【0053】
液晶硬化層は、任意の厚みとしうる。液晶硬化層の厚みは、好ましくは1μm以上、より好ましくは2μm以上又は3μm以上であり、例えば20μm以下、好ましくは15μm以下、より好ましくは3μm以下であってよい。
液晶硬化層の厚みが、前記下限値以上であることにより、液晶硬化層がコレステリック液晶硬化層である場合に、左右円偏光分離機能を高めることができる。または、液晶硬化層の面内方向におけるレターデーションを大きくしうる。液晶硬化層の厚みが、前記上限値以下であることにより、液晶硬化層の透明性を向上させうる。
【0054】
液晶硬化層に、複数の切り込みを形成する方法は、特に限定されず、従前公知の任意の方法を用いうる。
例えば、複数の切り込みに対応する凸部を有する金型を、液晶硬化層に押し当てる方法が挙げられる。金型を、複数回液晶硬化層に押し当てることにより、複数の切り込みを液晶硬化層に形成してもよい。
例えば、複数の切り込みが、格子状である場合には、複数の切り込みを、以下の方法で形成しうる。まず、互いに平行であって、等間隔で並んだ直線状の峰を有する金型を、液晶硬化層に押し当てて、直線状の複数の切り込みを液晶硬化層に形成する。次いで、形成された直線状の複数の切り込みに対して、金型の峰の方向が直交するように金型を配置し、金型を液晶硬化層に押し付ける。これにより、格子状の複数の切り込みを液晶硬化層に形成しうる。
【0055】
(パターン層)
パターン層は、接着性を有する層であるか、又は易剥離性を有する層である。パターン層は、パターン状の構造を有する。したがって、パターン層は、液晶硬化層の面S2の全部を覆っていない。ここで、パターンの形状は、特に限定されず、例えば、帯状、格子状、幾何学形状、文字状、絵柄状などの、任意の形状であってよく、同一のパターンが繰り返された形状であってもよく、同一のパターンが繰り返された形状でなくともよい。
【0056】
一実施形態において、パターン層は接着性を有する層である。
パターン層が、接着性を有する層である場合、液晶硬化層転写シールにおいて、基材、液晶硬化層、及びパターン層がこの順で積層された部分は、液晶硬化層転写シールを被着体に貼り付けてから、液晶硬化層転写シールから基材を剥がすことにより、パターン層が被着体に貼り付く一方で、基材と液晶硬化層との間が剥離して、基材を含む部分と、液晶硬化層、パターン層、及び被着体を含む部分とに分割される。
【0057】
接着性を有するパターン層を形成する材料は、特に限定されず、液晶硬化層及び被着体に接着しうる材料でありうる。接着性を有するパターン層を形成するための材料の例としては、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤、ゴム系接着剤、シリコーン系接着剤、ポリエステル系接着剤、エチレン酢酸ビニル樹脂接着剤、ポリビニルアルコール接着剤、及びポリアミド接着剤が挙げられる。接着性を有するパターン層形成のために、接着剤、粘着剤、又は感圧性接着剤として市販される材料を使用できる。そのような市販品としては、例えば、スリーボンド社製水性感圧接着剤「1549シリーズ」及び「1555シリーズ」が挙げられる。接着性を有するパターン層は、接着剤、粘着剤、又は感圧性接着剤からなる層であってもよい。
【0058】
また別の実施形態において、パターン層は易剥離性を有する層である。
パターン層が、易剥離性を有する層である場合、液晶硬化層転写シールにおいて、基材、液晶硬化層、及びパターン層がこの順で積層された部分は、液晶硬化層転写シールを接着層を介して被着体に貼り付けてから、液晶硬化層転写シールから基材を剥がすことにより、液晶硬化層とパターン層との間が、又はパターン層と接着層との間が剥離して、基材及び液晶硬化層を含む部分と、接着層及び被着体を含む部分とに分割される。
【0059】
易剥離性を有するパターン層を形成する材料は、特に限定されず、液晶硬化層及び接着層の少なくとも一方から容易に剥離する材料でありうる。パターン層は、例えば、フッ素樹脂、ワックス、及び/又はシリコーン類を含む材料から形成できる。易剥離性を有するパターン層形成のために、離型剤又は剥離剤として市販される材料を使用できる。そのような市販品としては、例えば、信越化学工業社製「KNSシリーズ」及び「KSシリーズ」が挙げられる。易剥離性を有するパターン層は、離型剤又は剥離剤からなる層であってもよい。
【0060】
パターン層の厚みは、特に限定されないが、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上であり、好ましくは30μm以下、より好ましくは20μm以下である。また、パターン層の厚みは、例えば、液晶硬化層の厚みdの50%以下としうる。通常パターン層の厚みは、液晶硬化層の厚みdの0%より大きい。
パターン層の厚みが、前記下限値以上であることにより、パターン層がその機能を安定的に奏することができる。パターン層の厚みが、前記上限値以下であることにより、パターン層の透明性を向上させうる。
【0061】
パターン層の形成方法の例としては、特に限定されないが、基材上に形成された液晶硬化層に、切り込みを形成し、次いで液晶硬化層の切り込みが形成された面に、パターン層を形成するための材料を塗工してパターン層を形成する方法;パターン層を別途支持体上に形成しておき、液晶硬化層の切り込みが形成された面に、支持体からパターン層を転写する方法;が挙げられる。
塗工方法の例としては、グラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、及びインクジェット印刷法が挙げられる。
【0062】
(接着層)
パターン層が易剥離性を有する層である場合、液晶硬化層転写シールは、接着層を含むことが好ましい。
接着層は、接着性を有する層であり、通常接着剤で形成された層を含む。接着剤は、感圧性接着剤(粘着剤)であってもよい。接着剤の例としては、接着性を有するパターン層を形成するための材料として例示された材料が挙げられる。
【0063】
接着層は、単層構造を有していてもよいし、複層構造を有していてもよい。例えば、接着層は、支持体の両面上に接着剤が塗工されて得られる構造((接着剤の層)/(支持体)/(接着剤の層))を有していてもよい。
【0064】
接着層の厚みは、任意の厚みとしうる。例えば、接着層の厚みは、0.5μm以上30μm以下であってよい。
【0065】
接着層を形成する方法の例としては、特に限定されないが、接着層を別途形成しておき、基材と液晶硬化層とパターン層とを備える積層体に、液晶硬化層とパターン層とを覆うように接着層を積層する方法;及び、当該積層体の液晶硬化層とパターン層との上に、接着剤を塗工し、必要に応じて硬化処理を行って接着層を得る方法;が挙げられる。
【0066】
[1.3.液晶硬化層転写シールの用途]
液晶硬化層転写シールは、被着体に直接、又は接着層を介して貼り付けた後、基材を剥がすことにより、パターン状の液晶硬化層を被着体に転写することができる。また、基材を剥がすことにより、パターン状の液晶硬化層が出現し、基材を剥がす前の液晶硬化層の状態を再生することが困難であることから、液晶硬化層転写シールを、被着体の真贋を判定するため、又は被着体の改ざんを防止するために使用しうる。
また、液晶硬化層転写シールは、特定の構成を有するので、偽造しにくい。したがって、真正な液晶硬化層転写シールを剥がした後に、被着体を改ざんし、偽造した液晶硬化層転写シールを貼付することが困難となる。そのため、液晶硬化層転写シールは、被着体の改ざんを防止しうる。
したがって、前記液晶硬化層転写シールを含む、真贋判定シール;及び、前記液晶硬化層転写シールを含む、改ざん防止シールを提供しうる。
【0067】
さらに、液晶硬化層がコレステリック規則性を有する層である、液晶硬化層転写シールは、例えば、次の方法により、特別のビュワーを用いずに簡便に真正性を判定できる。液晶硬化層転写シールを被着体に貼り付け、基材を剥がすことにより基材及び液晶硬化層の一部分を含む第一部材と、液晶硬化層の別の一部分を含む第二部材とに分割する。次いで、第一部材を第二部材に重ねて、第二部材に含まれる液晶硬化層の一部分を観察する。液晶硬化層転写シールの真正性判定方法については、更に後述する。
【0068】
また、液晶硬化層がλ/2板として機能する層である、液晶硬化層転写シールは、例えば、下記方法により、被着体の真贋判定のために用いうる。
【0069】
例えば、被着体にコレステリック規則性を有する層を積層し、当該層に厚み方向から見て重なるように、λ/2板として機能する液晶硬化層を、液晶硬化層転写シールを用いて転写し、積層体を形成する。図6及び7は、本発明の一実施形態に係る液晶硬化層転写シールの使用方法を説明する模式図である。図6及び7に示すように、被着体150上に、積層体1000が設けられている。積層体1000は、被着体150上に積層されたコレステリック規則性を有する層1001と、層1001に接着されたパターン層130と、パターン層130上に積層された、液晶硬化層の部分120Fとを備える。ここで、コレステリック規則性を有する層1001は、右回りの回転方向を有する光を反射し、左回りの回転方向を有する光を透過させうる層である。液晶硬化層の部分120Fは、λ/2板として機能する。液晶硬化層の部分120Fは、第一実施形態に係る液晶硬化層転写シールを用いて、転写された層である。しかし、コレステリック規則性を有する層1001に、別実施形態に係る液晶硬化層転写シールを用いて、液晶硬化層の部分を転写してもよい。
【0070】
図6の左部分に示すように、積層体1000に、円偏光板1002を重ね、非偏光I1RLを照射して、積層体1000が備える、層1001を観察する。ここで、円偏光板1002は、左回りの回転方向を有する光(以下、左円偏光ともいう。)は透過させず、右回りの回転方向を有する光(以下、右円偏光ともいう。)を透過させうる機能を有している。円偏光板1002に照射された非偏光I1RLのうち、右円偏光I2が円偏光板1002を透過し、層1001に到達する。層1001は、前記のとおり、右円偏光を反射しうるので、右円偏光I2は層1001により反射され、右円偏光I3となって円偏光板1002に到達する。円偏光板1002は、右円偏光I3を透過させ、右円偏光I4が観察される。
【0071】
図6の中央部分に示すように、非偏光I5RLを照射して、積層体1000が備える、液晶硬化層の部分120Fを円偏光板1002を介して観察する。非偏光I5RLのうち、右円偏光I6が円偏光板1002を透過し、部分120Fに到達する。部分120Fは、前記のとおり、λ/2板として機能するので、右円偏光I6は、部分120Fにより左円偏光I7に変換される。層1001は、左円偏光I7を透過させ、左円偏光I7は、反射光として観察されないので、部分120Fの像は観察されない。
【0072】
したがって、積層体1000に非偏光を照射して、円偏光板1002を介して観察すると、層1001の部分の反射光が観察され、部分120Fの反射光は観察されないため、部分120Fのパターンが、暗い像として観察される。
【0073】
図7の左部分に示すように、積層体1000に、円偏光板1002を重ねて、非偏光I8RLを照射して、積層体1000が備える、層1001を観察する。ここで、円偏光板1002は、右円偏光は透過させず、左円偏光を透過させうる機能を有している。円偏光板1002に照射された非偏光I8RLのうち、左円偏光I9が円偏光板1002を透過し、層1001に到達する。層1001は、左円偏光I9を透過させ、左円偏光I9は、反射光として観察されない。そのため、層1001は暗い像として観察される。
【0074】
図7の中央部分に示すように、非偏光I10RLを照射して、積層体1000が備える液晶硬化層の部分120Fを、円偏光板1002を介して観察する。非偏光I10RLのうち、左円偏光I11が円偏光板1002を透過し、部分120Fに到達する。左円偏光I11は、部分120Fにより右円偏光I12に変換され、層1001に到達する。層1001に到達した右円偏光I12は、回転方向を保持したまま層1001により反射され、次いで部分120Fにより回転方向が逆方向に変換されて、左円偏光I13となる。円偏光板1002は、左円偏光I13を透過させ、左円偏光I14が観察される。
【0075】
したがって、積層体1000に非偏光を照射して、円偏光板1002を介して観察すると、層1001の部分の反射光は観察されず、部分120Fの反射光が観察されるため、部分120Fのパターンが、明るい像として観察される。
【0076】
以上のとおり、積層体1000に非偏光を照射して、左右円偏光板を介して観察すると、左円偏光板を介した場合と、右円偏光板を介した場合とで、明暗が反転する。したがって、被着体に付された積層体を、左右円偏光を介して観察して、観察される像の明暗が反転するか否かによって、被着体の真贋を判定しうる。よって、本発明の一実施形態に係る液晶硬化層転写シールを、被着体の真贋判定のために好適に用いうる。
【0077】
[2.液晶硬化層転写物]
本発明の一実施形態に係る液晶硬化層転写物は、被着体と、前記項目[1.液晶硬化層転写シール]で説明した任意の実施形態に係る液晶硬化層転写シールにより被着体に転写された液晶硬化層とを含みうる。
液晶硬化層転写物においては、パターンを有する液晶硬化層が、接着性を有するパターン層又は接着層を介して、被着体の表面に貼り付けられている。被着体の例としては特に限定されず、紙幣、証書などの紙製品;衣類などの布製品;カバン、靴などの皮革製品;これらの包装が挙げられる。
【0078】
接着性を有するパターン層又は接着層と前記被着体との剥離強度Eは、通常、基材と液晶硬化層との剥離強度Aより大きく、また液晶硬化層と接着性を有するパターン層との剥離強度又は液晶硬化層と接着層との剥離強度Bよりも大きい。これにより、液晶硬化層転写シールを被着体から剥がそうとすると、少なくとも基材と液晶硬化層との間が剥離して、液晶硬化層転写シールが分割される。したがって、液晶硬化層転写シールの再利用がより困難となり、液晶硬化層転写シールの改ざん防止効果をより高めることができる。
【0079】
[3.液晶硬化層転写シールの真正性判定方法]
[3.1.第三実施形態の方法]
本発明の第三実施形態に係る液晶硬化層転写シールの真正性判定方法は、工程(A1)~(A4)を含む。工程(A1)は、工程(A2)~(A4)の前に行われる。工程(A4)は、工程(A1)~(A3)の後に行われる。工程(A2)の後に工程(A3)が行われてもよく、工程(A3)の後に工程(A2)が行われてもよく、工程(A2)と工程(A3)とは同時に行われてもよい。
第三実施形態の方法は、工程(A1)~(A4)の他に、任意の工程を含みうる。
【0080】
第三実施形態の方法において使用される液晶硬化層転写シールは、基材と、前記基材と一方の面S1で接する液晶硬化層と、前記液晶硬化層の他方の面S2における一部の領域Fに接するパターン層と、前記液晶硬化層の面S2と前記パターン層とを覆う接着層とを含む。ここで、液晶硬化層は、重合性液晶性化合物を含む液晶組成物を硬化させてなる層であってコレステリック規則性を有し、前記液晶硬化層の面S2は、複数の切り込みにより分割され、前記パターン層は、易剥離性を有する層であり、前記基材は透明基材である。基材、液晶硬化層、易剥離性を有するパターン層、及び接着層の、例及び好ましい例は、前記項目[1.液晶硬化層転写シール]で説明した例と同様である。
【0081】
[3.1.1.工程(A1)]
工程(A1)では、液晶硬化層転写シールを被着体に貼り付け、被着体に貼り付けられた液晶硬化層転写シールから基材を剥がして、液晶硬化層転写シールを、第一部材と第二部材とに分ける。
第一部材は、基材と液晶硬化層の一部の領域Fとを含む。第二部材は、被着体に接着した接着層と、前記液晶硬化層の、一部の領域Fを除いた領域Gとを含む。
【0082】
工程(A1)で得られる第一部材及び第二部材について、図を用いて説明する。
図8は、本発明の第三実施形態に係る方法における工程(A1)で得られる部材の一例を説明する模式図である。
図8に示すように、第一部材360は、基材110と、基材110の一部の領域上に積層された、液晶硬化層120の領域Fを含む部分120Fと、部分120F上に積層されたパターン層230とを備える。
第二部材370は、被着体150に面240Dで接着する接着層240と、接着層240の一部の領域G’上に積層された、液晶硬化層120の領域Gを含む部分120Gとを備える。
本実施形態では、液晶硬化層120は、コレステリック規則性を有し、右回りの回転方向を有する光を反射し、左回りの回転方向を有する光を透過させうる層である。また、被着体150は、吸収体である。
【0083】
本実施形態では、パターン層230は、易剥離性を有する層であり、少なくとも接着層240から剥離可能となるように構成されているので、基材110を剥がすことにより、パターン層230は接着層240から剥離して、パターン層230は、第一部材360に含まれる。別の実施形態では、パターン層230は、部分120Fから剥離して、パターン層230が第二部材370に含まれていてもよい。
【0084】
[3.1.2.工程(A2)]
工程(A2)では、第二部材の領域Gを、第一部材を介さずに観察し、領域Gの色情報C2aを取得する。以下、図9を用いて工程(A2)を説明する。
図9は、本発明の第三実施形態に係る方法における、工程(A2)及び(A3)の説明図である。
図9の右部分に示すように、第二部材370に、部分120G側から、非偏光L1RLを照射する。液晶硬化層の部分120Gは、右回りの回転方向を有する光を反射しうる。したがって、部分120Gに照射された非偏光L1RLに含まれる、右回りの回転方向を有する偏光L2は、部分120Gにより反射される。
液晶硬化層の部分120Gは、左回りの回転方向を有する光を透過させうる。したがって、非偏光L1RLに含まれる、左回りの回転方向を有する偏光L3は、部分120Gを透過する。
その結果、領域Gが、領域Gの周囲とは異なった色情報C2a(例えば、色度、彩度、明度)を有する像として観察される。
【0085】
[3.1.3.工程(A3)]
工程(A3)では、第一部材を、基材を観察側にして、領域Fの少なくとも一部分が、厚み方向から見て領域Gに重なるように第二部材に重ねて、第一部材の基材の側から領域Gを観察し、領域Gの色情報C3aを取得する。
以下、図9を用いて工程(A3)を説明する。
【0086】
図9の左部分に示すように、第一部材360を、基材110を観察側にして、第二部材370に重ねる。その際、部分120Fの領域Fの一部分である領域fが、第一部材360の厚み方向から見て領域Gに重なるようにする。また、第一部材360のパターン層230と第二部材370の部分120Gとが接するように、第一部材360を配置することが好ましい。
【0087】
そして、基材110側から、第一部材360及び第二部材370に非偏光L4RLを照射する。第一部材360の部分120Fは、左回りの回転方向を有する光を透過しうる。したがって、部分120Fに照射された非偏光L4RLに含まれる、左回りの回転方向を有する偏光L5は、部分120Fを透過する。
第二部材370の部分120Gも、部分120Fと同様に、左回りの回転方向を有する光を透過しうる。したがって、偏光L5は、部分120Gを透過する。
一方、部分120Fに照射された非偏光L4RLに含まれる、右回りの回転方向を有する偏光L6は、部分120Fにより反射され、部分120Gに到達しない。したがって、部分120Gによる反射光は観察されない。
その結果、領域Gの色情報C3aは、部分120Gによる反射光の情報を含まないものとなり、領域Gから観察される色情報C3aは、領域Gの周囲の色情報と同一であるか、又は相違がわずかとなって、肉眼で領域Gの像を認識しにくくなる。
【0088】
[3.1.4.工程(A4)]
工程(A4)では、工程(A2)において取得された領域Gの色情報C2aと、工程(A3)において取得された領域Gの色情報C3aとを比較し、色情報C2aと色情報C3aとに差がある場合は、液晶硬化層転写シールが真正であると判定し、色情報C2aと色情報C3aとに差がない場合は、液晶硬化層転写シールが真正ではないと判定する。
【0089】
前記のとおり、液晶硬化層転写シールが真正である場合、工程(A2)で得られる色情報C2aは、部分120Gによる反射光の情報を含むが、工程(A3)で得られる色情報C3aは、部分120Gの反射光の情報を含まない。したがって、色情報C2aと色情報C3aとに差が生じる。よって、色情報C2aと色情報C3aとに差がある場合は、液晶硬化層転写シールが真正であると判定する。
一方、色情報C2aと色情報C3aとに差がない場合は、液晶硬化層転写シールが、本発明の一実施形態に係る構成を有しておらず、液晶硬化層転写シールは真正ではないと判定する。
【0090】
[3.2.第四実施形態の方法]
本発明の第四実施形態に係る方法は、基材が、λ/2板として機能し、パターン層が易剥離性を有する層である場合の、液晶硬化層転写シールの真正性判定方法である。
本実施形態に係る液晶硬化層転写シールの真正性判定方法は、工程(A1)、工程(A3)、工程(A5)、及び工程(A6)を含む。工程(A1)は、工程(A3)、工程(A5)、及び工程(A6)の前に行われる。工程(A6)は、工程(A1)、工程(A3)、及び工程(A5)の後に行われる。工程(A3)の後に工程(A5)が行われてもよく、工程(A5)の後に工程(A3)が行われてもよい。工程(A3)及び工程(A5)は、通常同時には行われない。
【0091】
本実施形態に係る方法に用いられる液晶硬化層転写シールは、基材と、前記基材と一方の面S1で接する液晶硬化層と、前記液晶硬化層の他方の面S2における一部の領域Fに接するパターン層と、前記液晶硬化層の面S2と前記パターン層とを覆う接着層とを含む。ここで、前記液晶硬化層は、重合性液晶性化合物を含む液晶組成物を硬化させてなる層であってコレステリック規則性を有し、前記液晶硬化層の面S2は、複数の切り込みにより分割され、前記パターン層は、易剥離性を有する層であり、前記基材は透明基材であり、前記基材の面内方向における、測定波長550nmのレターデーションが、(550n/2-50)nm以上(550n/2+50)nm以下であり、ここでnは1以上の奇数である。基材、液晶硬化層、易剥離性を有するパターン層、及び接着層の、例及び好ましい例は、前記項目[1.液晶硬化層転写シール]で説明した例と同様である。
【0092】
[3.2.1.工程(A1)]
工程(A1)では、第三実施形態に係る工程(A1)と同様に、液晶硬化層転写シールを被着体に貼り付け、被着体に貼り付けられた液晶硬化層転写シールから透明基材を剥がして、液晶硬化層転写シールを、第一部材と第二部材とに分ける。液晶硬化層転写シールが、基板がλ/2板として機能する特定の液晶硬化層転写シールである以外は、第四実施形態に係る工程(A1)は、第三実施形態に係る工程(A1)と同様である。
【0093】
[3.2.2.工程(A3)]
工程(A3)では、第三実施形態に係る工程(A3)と同様に、第一部材を、基材を観察側にして、領域Fの少なくとも一部分が、厚み方向から見て領域Gに重なるように第二部材に重ねて、第一部材の基材の側から領域Gを観察し、領域Gの色情報C3aを取得する。基材が、λ/2板として機能している特定の基材である以外は、第四実施形態に係る工程(A3)は、第三実施形態に係る工程(A3)と同様である。基材は、λ/2板と機能している。通常、非偏光を基材に照射した場合、基材の透過光は、非偏光である。
したがって、第三実施形態に係る工程(A3)と同様に、第四実施形態に係る工程(A3)で得られる領域Gの色情報C3aは、液晶硬化層の領域Gを含む部分による反射光の情報を含まないものとなる。そのため、領域Gから観察される色情報C3aは、領域Gの周囲の色情報と同一であるか、又は相違がわずかとなって、肉眼で領域Gの像を認識しにくくなる。
【0094】
[3.2.3.工程(A5)]
工程(A5)では、第一部材を、液晶硬化層を観察側にして、領域Fの少なくとも一部分が、厚み方向から見て領域Gに重なるように第二部材に重ねて、第一部材の液晶硬化層の側から領域Gを観察し、領域Gの色情報C5aを取得する。
以下、図10を用いて工程(A5)を説明する。
図10は、本発明の第四実施形態に係る方法における、工程(A5)の説明図である。
図10に示すように、第一部材360を、液晶硬化層の一部分である部分120Fを観察側にして、第二部材370に重ねる。その際、部分120Fの領域Fの一部分である領域fが、第一部材360の厚み方向からみて、液晶硬化層の一部分である部分120Gの領域Gに重なるようにする。また、第一部材360の基材110と第二部材370の部分120Gとが接するように、第一部材360を配置することが好ましい。
【0095】
そして、部分120Fの側(詳細には、パターン層230の側)から、第一部材360及び第二部材370に非偏光L7RLを照射する。液晶硬化層の部分120Fは、第三実施形態の方法において説明したとおり、左回りの回転方向を有する光を透過しうる。したがって、左回りの回転方向を有する偏光L8は、部分120Fを透過する。
部分120Fを透過した偏光L8は、次いで基材110を透過する。ここで、基材110は、λ/2板として機能するように構成されている。したがって、偏光L8は、基材110を透過する際に位相差が付与されて、偏光L8とは逆回りの、右回りの回転方向を有する偏光L9となる。
【0096】
第二部材370の部分120Gは、右回りの回転方向を有する光を反射しうる。したがって、偏光L9は、部分120Gにより反射されて、偏光L10となる。
【0097】
偏光L10は、次いで基材110を透過する。偏光L10は、基材110を透過する際に、位相差が付与されて、偏光L10とは逆回りの、左回りの回転方向を有する偏光L11となる。偏光L11は、左回りの回転方向を有する光を透過させうる部分120Fを透過する。
その結果、領域Gが、領域Gの周囲とは異なった色情報C5aを有する像として観察される。
【0098】
[3.2.4.工程(A6)]
工程(A6)では、工程(A3)において取得された領域Gの色情報C3aと、工程(A5)において取得された領域Gの色情報C5aとを比較し、色情報C3aと色情報C5aとに差がある場合は、液晶硬化層転写シールが真正であると判定し、色情報C3aと色情報C5aとに差がない場合は、液晶硬化層転写シールが真正ではないと判定する。
【0099】
前記のとおり、液晶硬化層転写シールが真正である場合、工程(A3)で得られる色情報C3aは、部分120Gの反射光の情報を含まないが、工程(A5)で得られる色情報C5aは、部分120Gの反射光の情報を含む。したがって、色情報C3aと色情報C5aとに差が生じる。よって、色情報C3aと色情報C5aとに差がある場合、液晶硬化層転写シールが真正であると判定する。
一方、色情報C3aと色情報C5aとに差がない場合は、液晶硬化層転写シールが、本発明の一実施形態に係る構成を有しておらず、液晶硬化層転写シールは真正ではないと判定する。
【0100】
[3.2.5.任意の工程]
第四実施形態に係る方法は、工程(A1)、工程(A3)、工程(A5)、及び工程(A6)の他に、任意の工程を含みうる。
例えば、第四実施形態に係る方法は、第三実施形態に係る方法における、工程(A2)及び工程(A4)を含んでいてもよい。第四実施形態に係る方法が、工程(A1)、工程(A3)、工程(A5)、及び工程(A6)の他に、工程(A2)及び工程(A4)を含むことにより、液晶硬化層転写シールの真正性判定を、より確実に行いうる。
【0101】
[3.3.第五実施形態の方法]
本発明の第五実施形態に係る液晶硬化層転写シールの真正性判定方法は、工程(B1)~(B4)を含む。工程(B1)は、工程(B2)~(B4)の前に行われる。工程(B4)は、工程(B1)~(B3)の後に行われる。工程(B2)の後に工程(B3)が行われてもよく、工程(B3)の後に工程(B2)が行われてもよく、工程(B2)と工程(B3)とは同時に行われてもよい。
第五実施形態の方法は、工程(B1)~(B4)の他に、任意の工程を含みうる。
【0102】
第五実施形態の方法において使用される液晶硬化層転写シールは、基材と、前記基材と一方の面S1で接する液晶硬化層と、前記液晶硬化層の他方の面S2における一部の領域Fに接するパターン層とを含む。ここで、前記液晶硬化層は、重合性液晶性化合物を含む液晶組成物を硬化させてなる層であってコレステリック規則性を有し、前記液晶硬化層の面S2は、複数の切り込みにより分割され、前記パターン層は、接着性を有する層であり、前記基材は透明基材である。基材、液晶硬化層、及び接着性を有するパターン層の、例及び好ましい例は、前記項目[1.液晶硬化層転写シール]で説明した例と同様である。
【0103】
[3.3.1.工程(B1)]
工程(B1)では、液晶硬化層転写シールを被着体に貼り付け、貼り付けられた前記液晶硬化層転写シールから前記基材を剥がして、前記液晶硬化層転写シールを、第一部材と、第二部材とに分ける。第一部材は、基材と液晶硬化層の一部の領域Fを除いた領域Gとを含む。第二部材は、被着体に接着したパターン層及び前記液晶硬化層の一部の領域Fを含む。
【0104】
工程(B1)で得られる第一部材及び第二部材について、図を用いて説明する。
図11は、本発明の第五実施形態に係る方法における工程(B1)で得られる部材の一例を説明する模式図である。
第一部材560は、基材110と、基材110の一部の領域上に積層された、液晶硬化層120の領域Gを含む部分120Gとを備える。
第二部材570は、液晶硬化層120の領域Fを含む部分120Fと、部分120Fと被着体150とを接着するパターン層130とを備える。本実施形態でも、第三実施形態~第四実施形態と同様に、液晶硬化層120は、コレステリック規則性を有し、右回りの回転方向を有する光を反射し、左回りの回転方向を有する光を透過させうる層である。また、被着体150は、吸収体である。
【0105】
本実施形態では、パターン層130は、接着性を有する層であり、液晶硬化層120の一部の領域Fに接しているので、液晶硬化層120の領域Fを含む部分120Fは、パターン層130を介して被着体150に接着する。一方、液晶硬化層120の、領域Fを除いた領域Gを含む部分120Gには、パターン層130が接していないので、部分120Gは、被着体150に接着されない。
したがって、基材110を剥がすことにより、液晶硬化層120の領域Gを含む部分120Gは、基材110と共に被着体150から剥離する。そのため、領域Gを含む部分120Gは、第一部材560に含まれる。一方、液晶硬化層120の領域Fを含む部分120Fは、パターン層130により被着体150に接着されているので、被着体150側に残り、部分120Fは基材110から剥離する。そのため、領域Fを含む部分120Fは、第二部材570に含まれる。
【0106】
[3.3.2.工程(B2)]
工程(B2)では、第二部材の領域Fを、第一部材を介さずに観察し、領域Fの色情報C2bを取得する。以下、図12を用いて工程(B2)を説明する。
図12は、本発明の第五実施形態に係る方法における、工程(B2)の説明図である。
図12に示すように、第二部材570に、部分120F側から、非偏光L101RLを照射する。液晶硬化層の部分120Fは、右回りの回転方向を有する光を反射しうる。したがって、部分120Fに照射された非偏光L101RLに含まれる、右回りの回転方向を有する偏光L102は、部分120Fにより反射される。
液晶硬化層の部分120Fは、左回りの回転方向を有する光を透過させうる。したがって、非偏光L101RLに含まれる、左回りの回転方向を有する偏光L103は、部分120Fを透過する。
その結果、領域Fが、領域Fの周囲とは異なった色情報C2b(例えば、色度、彩度、明度)を有する像として観察される。
【0107】
[3.3.3.工程(B3)]
工程(B3)では、第一部材を、基材を観察側にして、領域Gの少なくとも一部分が、厚み方向から見て領域Fに重なるように第二部材に重ねて、第一部材の基材の側から領域Fを観察し、領域Fの色情報C3bを取得する。
以下、図13を用いて工程(B3)を説明する。
【0108】
図13は、本発明の第五実施形態に係る方法における、工程(B3)の説明図である。図13に示すように、第一部材560を、基材110を観察側にして、第二部材570に重ねる。その際、領域Gの少なくとも一部分が、第一部材560の厚み方向から見て、領域Fに重なるようにする。また、第一部材560が備える液晶硬化層の部分120Gと、第二部材570の部分120Fとが接するように、第一部材560を配置することが好ましい。
【0109】
そして、基材110側から、第一部材560及び第二部材570に非偏光L104RLを照射する。第一部材560の部分120Gは、左回りの回転方向を有する光を透過しうる。したがって、部分120Gに照射された非偏光L104RLに含まれる、左回りの回転方向を有する偏光L105は、部分120Gを透過する。
第二部材570の部分120Fも、部分120Gと同様に、左回りの回転方向を有する光を透過しうる。したがって、偏光L105は、部分120Fを透過する。
一方、部分120Gに照射された非偏光L104RLに含まれる、右回りの回転方向を有する偏光L106は、部分120Gにより反射され、部分120Fに到達しない。したがって、部分120Fによる反射光は観察されない。
その結果、領域Fの色情報C3bは、部分120Fによる反射光の情報を含まないものとなり、領域Fから観察される色情報C3bは、領域Fの周囲の色情報と同一であるか、又は相違がわずかとなって、肉眼で領域Fの像を認識しにくくなる。
【0110】
[3.3.4.工程(B4)]
工程(B4)では、工程(B2)において取得された領域Fの色情報C2bと、工程(B3)において取得された領域Fの色情報C3bとを比較し、色情報C2bと色情報C3bとに差がある場合は、液晶硬化層転写シールが真正であると判定し、色情報C2bと色情報C3bとに差がない場合は、液晶硬化層転写シールが真正ではないと判定する。
【0111】
前記のとおり、液晶硬化層転写シールが真正である場合、工程(B2)で得られる色情報C2bは、部分120Fによる反射光の情報を含むが、工程(B3)で得られる色情報C3bは、部分120Fの反射光の情報を含まない。したがって、色情報C2bと色情報C3bとに差が生じる。よって、色情報C2bと色情報C3bとに差がある場合は、液晶硬化層転写シールが真正であると判定する。
一方、色情報C2bと色情報C3bとに差がない場合は、液晶硬化層転写シールが、本発明の一実施形態に係る構成を有しておらず、液晶硬化層転写シールは真正ではないと判定する。
【0112】
[3.4.第六実施形態の方法]
本発明の第六実施形態に係る方法は、基材が、λ/2板として機能し、パターン層が接着性を有する層である場合の、液晶硬化層転写シールの真正性判定方法である。
本実施形態に係る液晶硬化層転写シールの真正性判定方法は、工程(B1)、工程(B3)、工程(B5)、及び工程(B6)を含む。工程(B1)は、工程(B3)、工程(B5)、及び工程(B6)の前に行われる。工程(B6)は、工程(B1)、工程(B3)、及び工程(B5)の後に行われる。工程(B3)の後に工程(B5)が行われてもよく、工程(B5)の後に工程(B3)が行われてもよい。工程(B3)及び工程(B5)は、通常同時には行われない。
【0113】
本実施形態に係る方法に用いられる液晶硬化層転写シールは、基材と、前記基材と一方の面S1で接する液晶硬化層と、前記液晶硬化層の他方の面S2における一部の領域Fに接するパターン層とを含む。ここで、前記液晶硬化層は、重合性液晶性化合物を含む液晶組成物を硬化させてなる層であってコレステリック規則性を有し、前記液晶硬化層の面S2は、複数の切り込みにより分割され、前記パターン層は、接着性を有する層であり、前記基材は透明基材であり、前記基材の面内方向における、測定波長550nmのレターデーションが、(550n/2-50)nm以上(550n/2+50)nm以下であり、ここでnは1以上の奇数である。基材、液晶硬化層、及び接着性を有するパターン層の、例及び好ましい例は、前記項目[1.液晶硬化層転写シール]で説明した例と同様である。
【0114】
[3.4.1.工程(B1)]
工程(B1)では、第五実施形態に係る工程(B1)と同様に、液晶硬化層転写シールを被着体に貼り付け、被着体に貼り付けられた液晶硬化層転写シールから透明基材を剥がして、液晶硬化層転写シールを、第一部材と第二部材とに分ける。液晶硬化層転写シールが、基板がλ/2板として機能する特定の液晶硬化層転写シールである以外は、第六実施形態に係る工程(B1)は、第五実施形態に係る工程(B1)と同様である。
【0115】
[3.4.2.工程(B3)]
工程(B3)では、基材を観察側にして、領域Gの少なくとも一部分が、厚み方向から見て領域Fに重なるように第二部材に重ねて、第一部材の基材の側から領域Fを観察し、領域Fの色情報C3bを取得する。基材が、λ/2板として機能している特定の基材である以外は、第六実施形態に係る工程(B3)は、第五実施形態に係る工程(B3)と同様である。基材は、λ/2板と機能している。通常、非偏光を基材に照射した場合、基材の透過光は、非偏光である。
したがって、第五実施形態に係る工程(B3)と同様に、第六実施形態に係る工程(B3)で得られる領域Fの色情報C3bは、液晶硬化層の領域Fを含む部分による反射光の情報を含まないものとなる。そのため、領域Fから観察される色情報C3bは、領域Fの周囲の色情報と同一であるか、又は相違がわずかとなって、肉眼で領域Fの像を認識しにくくなる。
【0116】
[3.4.3.工程(B5)]
工程(B5)では、第一部材を、液晶硬化層を観察側にして、領域Gの少なくとも一部分が、厚み方向から見て領域Fに重なるように第二部材に重ねて、第一部材の液晶硬化層の側から領域Fを観察し、領域Fの色情報C5bを取得する。
以下、図14を用いて工程(B5)を説明する。
図14は、本発明の第六実施形態に係る方法における、工程(B5)の説明図である。
図14に示すように、第一部材560を、液晶硬化層の一部分である部分120Gを観察側にして、第二部材570に重ねる。その際、領域Gの少なくとも一部が、第一部材560の厚み方向からみて、領域Fに重なるようにする。また、第一部材560の基材110と第二部材570の部分120Fとが接するように、第一部材560を配置することが好ましい。
【0117】
そして、部分120Gの側から、第一部材560及び第二部材570に非偏光L107RLを照射する。液晶硬化層の部分120Gは、第五実施形態の方法において説明したのと同様に、左回りの回転方向を有する光を透過しうる。したがって、左回りの回転方向を有する偏光L108は、部分120Gを透過する。
部分120Gを透過した偏光L108は、次いで基材110を透過する。ここで、基材110は、λ/2板として機能するように構成されている。したがって、偏光L108は、基材110を透過する際に位相差が付与されて、偏光L108とは逆回りの、右回りの回転方向を有する偏光L109となる。
【0118】
第二部材570の部分120Fは、右回りの回転方向を有する光を反射しうる。したがって、偏光L109は、部分120Fにより反射されて、偏光L110となる。
【0119】
偏光L110は、次いで基材110を透過する。偏光L110は、基材110を透過する際に、位相差が付与されて、偏光L110Rとは逆回りの、左回りの回転方向を有する偏光L111となる。偏光L111は、左回りの回転方向を有する光を透過させうる部分120Gを透過する。
その結果、領域Fが、領域Fの周囲とは異なった色情報C5bを有する像として観察される。
【0120】
[3.4.4.工程(B6)]
工程(B6)では、工程(B3)において取得された領域Fの色情報C3bと、工程(B5)において取得された領域Fの色情報C5bとを比較し、色情報C3bと色情報C5bとに差がある場合は、液晶硬化層転写シールが真正であると判定し、色情報C3bと色情報C5bとに差がない場合は、液晶硬化層転写シールが真正ではないと判定する。
【0121】
前記のとおり、液晶硬化層転写シールが真正である場合、工程(B3)で得られる色情報C3bは、部分120Fの反射光の情報を含まないが、工程(B5)で得られる色情報C5bは、部分120Fの反射光の情報を含む。したがって、色情報C3bと色情報C5bとに差が生じる。よって、色情報C3bと色情報C5bとに差がある場合、液晶硬化層転写シールが真正であると判定する。
一方、色情報C3bと色情報C5bとに差がない場合は、液晶硬化層転写シールが、本発明の一実施形態に係る構成を有しておらず、液晶硬化層転写シールは真正ではないと判定する。
【0122】
[3.4.5.任意の工程]
第六実施形態に係る方法は、工程(B1)、工程(B3)、工程(B5)、及び工程(B6)の他に、任意の工程を含みうる。
例えば、第六実施形態に係る方法は、第五実施形態に係る方法における、工程(B2)及び工程(B4)を含んでいてもよい。第五実施形態に係る方法が、工程(B1)、工程(B3)、工程(B5)、及び工程(B6)の他に、工程(B2)及び工程(B4)を含むことにより、液晶硬化層転写シールの真正性判定を、より確実に行いうる。
【実施例
【0123】
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施例に限定されるものではなく、本発明の請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
【0124】
以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、別に断らない限り、重量基準である。また、以下に説明する操作は、別に断らない限り、常温及び常圧の条件において行った。
【0125】
[実施例A群]
実施例A群では、(透明基材)/(コレステリック液晶硬化層)/(易剥離性を有するパターン層)/(接着層)の層構成を含む液晶硬化層転写シールを製造して被着体に液晶硬化層を転写し、転写された文字パターンの明瞭性を評価した。
【0126】
[実施例A1]
(透明基材の製造)
脂環式構造含有重合体を含む樹脂(「ゼオノア」、日本ゼオン社製)を、単軸押出機(OCS社製)のフィーダーに供給して溶融押出することにより、厚み200μmの延伸前フィルムを得た。得られた延伸前フィルムを、二軸延伸試験装置(東洋精機社製)を用いて一軸延伸し、厚み142μmの透明基材を得た。一軸延伸の条件は、下記のとおりである。
・延伸温度:125℃
・延伸速度:100mm/min
・延伸倍率:1.4倍
透明基材の面内方向におけるレターデーションを位相差計(Axometrics社製「AxoScan」)にて測定したところ、測定波長550nmにおいて268nmであり、λ/2板として機能しうることが分かった。
【0127】
(液晶組成物の調製)
下記式(X1)で表される光重合性の液晶性化合物と、下記式(X2)で表される光重合性の非液晶性化合物と、カイラル剤(BASF社製「LC756」)と、光重合開始剤(チバ・ジャパン社製「イルガキュアOXEO2」)と、界面活性剤(ネオス社製「フタージェント209F」)と、溶媒としてのシクロペンタノンとを、下記表1に示す量で混合して、液晶組成物を調製した。
【0128】
【化3】
【0129】
【化4】
【0130】
【表1】
【0131】
(コレステリック液晶硬化層(液晶硬化層)の作製)
透明基材の表面に、ラビング処理を施した。ラビング処理を施した透明基材の面に、バーコーターを用いて液晶組成物を塗工して、液晶組成物の層を形成した。次いで、液晶組成物の層に対して、120℃で4分間加熱する配向処理を施した。その後、30mJ/m以下の微弱な紫外線の照射と100℃の加温処理とを複数回繰り返した。最後に、800mJ/cmの紫外線を液晶組成物の層に照射して、液晶組成物の層を硬化させ、液晶硬化層としてのコレステリック液晶硬化層を得た。得られたコレステリック液晶硬化層の厚みを、表2に示す。
【0132】
得られたコレステリック液晶硬化層に非偏光を入射したときの反射率を紫外可視分光光度計(日本分光社製「UV-Vis 550」)を用いて測定した。その結果、得られたコレステリック液晶硬化層の反射率は、波長450nm以上750nm以下の範囲において、40%以上50%以下であり、広帯域において、左右円偏光を分離する機能を有することが分かった。
【0133】
得られた(透明基材)/(コレステリック液晶硬化層)の層構成を有する複層フィルムについて、コレステリック液晶硬化層と透明基材との剥離強度を測定したところ、0.4N/25mmであった。剥離強度は、IMADA社製「デジタルフォースゲージZP-50」を用いて、一方の層を180°方向に引き剥がす、180°剥離試験の方法により測定した。
【0134】
(液晶硬化層への切り込み加工)
得られた複層フィルムのコレステリック液晶硬化層(液晶硬化層)側に、小型熱プレス機を用いて金型を押し当てて、複数の切り込みをコレステリック液晶硬化層に入れた。小型熱プレス機として、アズワン(AS ONE)社製「H300-10D」を用いた。金型を加熱せず、室温として切り込み加工を行った。金型として、隣り合う峰の間隔が50μmである、複数の直線状の凸部を有する金型を用いた。複数の凸部は、互いに平行である。まず凸部の方向が複層フィルムの一辺の方向に平行となるようにして金型を複層フィルムに押し当て、次いで凸部の方向が複層フィルムの当該一辺の方向と直交するようにして金型を複層フィルムに押し当てた。金型のプレス圧は、0.5MPaとした。これにより、複層フィルムのコレステリック液晶硬化層に、一辺が50μmである格子状の切り込みが入れられた。
【0135】
切り込みの深さを、下記のとおりにして測定した。
複層フィルムをミクロトームでスライスして、複層フィルムの厚み方向の断面を観察できる試料片を得た。得られた試料片を、走査型電子顕微鏡(日本電子社製「JEOL/JSM-7401F」)にて観察して、複層フィルムのコレステリック液晶硬化層に入れられた切り込みの深さを測定した。
金型のプレス圧、切り込みの深さ、格子の一辺の長さ(切り込みのピッチ)、(切り込み深さ)/(コレステリック液晶硬化層の厚み)の値を、表2に示す。
【0136】
(パターン層の形成)
コレステリック液晶硬化層(液晶硬化層)に切り込み加工がされた複層フィルムの液晶硬化層上に、グラビア印刷機を用いて、文字パターンを印刷して、パターン層を形成した。インクとして、信越化学工業社製「KNS-3051」を用いた。パターン層の厚みは、約1μmであった。
【0137】
(接着層の積層)
剥離シート付きの感圧性接着剤層(アクリル系接着剤を含む層、日栄化研社製「NE-tak PET-21WF」)を用意した。
パターン層が形成された複層フィルムの、パターン層を形成した側に、接着層としての感圧性接着剤層を貼り合わせた。
【0138】
(液晶硬化層転写シールの評価)
感圧性接着剤層の剥離シートを剥がし、黒色のアクリル板に複層フィルム(液晶硬化層転写シール)を貼り付けた。次いで、複層フィルムから、透明基材を引き剥がして、複層フィルムを、透明基材を含む部材(第一部材)と、アクリル板に貼り付いて残る部材(第二部材)とに分解した。第一部材の透明基材上には、印刷された文字パターン状のパターン層と同様のパターンで、コレステリック液晶硬化層の一部の領域が残っていた。感圧性接着剤層には、パターン層が接着していた。第二部材の感圧性接着剤層には、コレステリック液晶硬化層の一部の領域が残っていた。第二部材に残ったコレステリック液晶硬化層の領域は、文字パターンが印刷されていなかったコレステリック液晶硬化層の領域と同じ形状であった。得られた第一部材及び第二部材の構造から、透明基材とコレステリック液晶硬化層との剥離強度A、コレステリック液晶硬化層と感圧性接着剤層との剥離強度Bは、A<Bの関係にあることが分かる。
また、コレステリック液晶硬化層とパターン層とが剥離し、感圧性接着剤層にパターン層が接着していることから、前記剥離強度Aと、コレステリック液晶硬化層とパターン層との剥離強度C、パターン層と感圧性接着剤層との剥離強度Dは、C<D<Aの関係にあることが分かる。
すなわち、本実施例に係る複層フィルム(液晶硬化層転写シール)は、前記条件(i)及び条件(ii)を満たすことが分かる。
【0139】
また、第二部材を肉眼で観察したところ、第二部材の文字パターンを認識できた。
次いで、第一部材の透明基材側が視認側となるように、第二部材上に、第一部材を重ねた。その際第二部材が備えるコレステリック液晶硬化層の一部分の上に第一部材の文字パターンが重なるようにした。透明基材側から第二部材を肉眼で観察すると、第二部材の文字パターンを認識できなかった。
【0140】
第一部材が備えるコレステリック液晶硬化層の領域の輪郭と、第二部材が備えるコレステリック液晶硬化層の領域の輪郭とを、目視により観察し、以下の基準により輪郭の明瞭性を評価した。
良:領域の輪郭が、印刷した文字パターンの輪郭と同じである。
可:領域の輪郭が、文字パターンを認識できる程度に明瞭である。
不良:領域の輪郭が不明瞭であり、文字パターンを認識できない。
【0141】
[実施例A2~A15]
下記事項を変更した以外は実施例A1と同様にして、複層フィルム(液晶硬化層転写シール)を得て、評価した。
・実施例A2~A3、A5~A6、A8~A9、A11~A12、A14~A15では、金型のプレス圧を表2に示すとおりとした。
・実施例A4~A15では、(コレステリック液晶硬化層(液晶硬化層)の作製)において、表2に示す厚みのコレステリック液晶硬化層が得られるように、液晶組成物の塗工条件を調整した。
・実施例A7~A12では、金型を変更し、切り込みのピッチを表2に示すとおりとした。
【0142】
実施例A2~A15いずれにおいても、第二部材を肉眼で観察したところ、第二部材の文字パターンを認識できた。
次いで、第一部材の透明基材側が視認側となるように、第二部材上に、第一部材を重ねた。その際第二部材が備えるコレステリック液晶硬化層の一部分の上に第一部材の文字パターンが重なるようにした。透明基材側から第二部材を肉眼で観察すると、第二部材の文字パターンを認識できなかった。
【0143】
[比較例CA1~CA3]
下記事項を変更した以外は実施例A1と同様にして、複層フィルム(液晶硬化層転写シール)を得て、評価した。
・コレステリック液晶硬化層(液晶硬化層)への切り込み加工を行わなかった。
・比較例CA2~CA3では、(コレステリック液晶硬化層(液晶硬化層)の作製)において、表2に示す厚みのコレステリック液晶硬化層が得られるように、液晶組成物の塗工条件を調整した。
【0144】
実施例A群の結果を表2に示す。
下記表2において、略号は下記の意味を表す。表3、表5、及び表6においても同様である。
d:液晶硬化層の厚み
切込み深さ/d:切り込み深さの、液晶硬化層の厚みdに対する割合
【0145】
【表2】
【0146】
[実施例B群]
実施例B群では、(透明基材)/(コレステリック液晶硬化層)/(接着性を有するパターン層)の層構成を含む液晶硬化層転写シールを製造し、転写された文字パターンの明瞭性を評価した。
【0147】
[実施例B1]
実施例A1と同様にして、(透明基材)/(コレステリック液晶硬化層)の層構成を有する複層フィルムを得た。次いで、実施例A1と同様にして、得られた複層フィルムの液晶硬化層へ切り込み加工を行い、コレステリック液晶硬化層に切り込み加工がされた複層フィルムを得た。実施例A1と同様の方法により、切り込みの深さを測定した。金型のプレス圧、切り込みの深さ、格子の一辺の長さ(切り込みのピッチ)、(切り込み深さ)/(コレステリック液晶硬化層の厚み)の値を、表3に示す。
【0148】
(パターン層の形成)
得られた複層フィルムのコレステリック液晶硬化層(液晶硬化層)上に、スクリーン印刷機を用いて文字パターンを印刷して、接着性を有するパターン層を形成した。インクとして、スリーボンド社製スクリーン印刷用水性感圧性接着剤「1549」を用いた。パターン層の厚みは、10μmであった。
【0149】
(液晶硬化層転写シールの評価)
パターン層が形成された複層フィルム(液晶硬化層転写シール)を、黒色のアクリル板に貼り付けた。貼り付けの際は、複層フィルムのパターン層が形成された側の面を、アクリル板に密着させた。次いで、複層フィルムから、透明基材を引き剥がして、複層フィルムを、透明基材を含む部材(第一部材)と、アクリル板に貼り付いて残る部材(第二部材)とに分解した。アクリル板上には、印刷された文字パターン状のパターン層と、パターン層と同様のパターンを有する、液晶硬化層の一部の領域とを備える第二部材が貼り付いていた。透明基材上には、コレステリック液晶硬化層の一部の領域が残っていた。透明基材上に残ったコレステリック液晶硬化層の領域は、文字パターンが印刷されていなかったコレステリック液晶硬化層の領域と同じ形状であった。
【0150】
第一部材が備えるコレステリック液晶硬化層の領域の輪郭と、第二部材が備えるコレステリック液晶硬化層の領域の輪郭とを、実施例A1と同様に観察し、同様の基準により輪郭の明瞭性を評価した。
【0151】
また、第二部材を肉眼で観察したところ、文字パターンを認識できた。
次いで、第二部材の文字パターン上に、透明基材側が視認側となるように第一部材を重ねた。その際第一部材が備えるコレステリック液晶硬化層の一部分が第二部材の文字パターンに重なるようにした。透明基材側から第二部材を肉眼で観察すると、第二部材の文字パターンを認識できなかった。
【0152】
[実施例B2~B15]
下記事項を変更した以外は、実施例B1と同様にして、複層フィルム(液晶硬化層転写シール)を得て、評価した。
・実施例B2~B3、B5~B6、B8~B9、B11~B12、B14~B15では、金型のプレス圧を表3に示す通りとした。
・実施例B4~B15では、(コレステリック液晶硬化層(液晶硬化層)の作製)において、表3に示す厚みのコレステリック液晶硬化層が得られるように、液晶組成物の塗工条件を調整した。
・実施例B7~B12では、金型を変更し、切り込みのピッチを表3に示すとおりとした。
【0153】
実施例B2~B15いずれにおいても、第二部材を肉眼で観察したところ、第二部材の文字パターンを認識できた。
次いで、第二部材の文字パターン上に、透明基材側が視認側となるように第一部材を重ねた。その際第一部材が備えるコレステリック液晶硬化層の一部分が文字パターンに重なるようにした。透明基材側から第二部材を肉眼で観察すると、第二部材の文字パターンを認識できなかった。
【0154】
[比較例CB1~CB3]
下記事項を変更した以外は実施例B1と同様にして、複層フィルム(液晶硬化層転写シール)を得て、評価した。
・コレステリック液晶硬化層(液晶硬化層)への切り込み加工を行わなかった。
・比較例CB2~CB3では、(コレステリック液晶硬化層(液晶硬化層)の作製)において、表3に示す厚みのコレステリック液晶硬化層が得られるように、液晶組成物の塗工条件を調整した。
【0155】
実施例B群の結果を表3に示す。
【0156】
【表3】
【0157】
[実施例C群]
実施例C群では、(透明基材)/(面内方向において位相差を有する液晶硬化層)/(易剥離性を有するパターン層)/(接着層)の層構成を含む液晶硬化層転写シールを製造して被着体に液晶硬化層を転写し、転写された文字パターンの明瞭性を評価した。
【0158】
[実施例C1]
(透明基材の製造)
実施例A1の(透明基材の製造)と同様にして、透明基材を製造した。透明基材は、実施例A1において製造された透明基材と同様に、λ/2板として機能するものであった。
【0159】
(液晶組成物の調整)
光重合性の液晶性化合物(BASF社製「LC242」)と、前記式(X2)で表される光重合性の非液晶性化合物と、光重合開始剤(チバ・ジャパン社製「イルガキュアOXEO2」)と、界面活性剤(ネオス社製「フタージェント209F」)と、溶媒としてのシクロペンタノンとを、下記表4に示す量で混合して、液晶組成物を調製した。
【0160】
【表4】
【0161】
(液晶硬化層の作製)
透明基材の表面に、ラビング処理を施した。ラビング処理を施した透明基材の面に、バーコーターを用いて液晶組成物を塗工して、液晶組成物の層を形成した。次いで、液晶組成物の層に対して、120℃で4分間加熱する配向処理を施した。800mJ/cmの紫外線を30秒間、液晶組成物の層に照射して、液晶組成物の層を硬化させ、液晶硬化層を得た。得られた液晶硬化層の厚みを、表5に示す。
【0162】
得られた液晶硬化層の面内方向におけるレターデーションを位相差計(Axometrics社製「Axoscan」)にて測定したところ、測定波長550nmにおいて140nmであり、液晶硬化層は、λ/4板として機能しうることが分かった。
【0163】
得られた(透明基材)/(液晶硬化層)の層構成を有する複層フィルムについて、実施例A1と同様の方法により液晶硬化層と透明基材との剥離強度を測定したところ、0.4N/25mmであった。
【0164】
(液晶硬化層への切り込み加工)
得られた複層フィルムの液晶硬化層に、実施例A1の(液晶硬化層への切り込み加工)と同様にして、複数の切り込みを入れた。また、液晶硬化層に入れられた切り込みの深さを、実施例A1と同様にして測定した。
金型のプレス圧、切り込みの深さ、格子の一辺の長さ(切り込みのピッチ)、(切り込み深さ)/(液晶硬化層の厚み)の値を、表5に示す。
【0165】
(パターン層の形成及び接着層の積層)
切り込み加工がされた複層フィルムの液晶硬化層上に、実施例A1と同様にして易剥離性を有するパターン層を形成した。パターン層の厚みは、約1μmであった。次いで、複層フィルムに、実施例A1と同様にして感圧性接着剤層を貼り合わせた。
【0166】
(液晶硬化層転写シールの評価)
実施例A1と同様にして、液晶硬化層転写シールの評価を行った。第一部材の透明基材上には、印刷された文字パターン状のパターン層と同様のパターンで、液晶硬化層の一部の領域が残っていた。液晶硬化層の一部の領域には、パターン層が接着していた。第二部材の感圧性接着剤層には、液晶硬化層の一部の領域が残っていた。第二部材に残った液晶硬化層の領域は、文字パターンが印刷されていなかった液晶硬化層の領域と同じ形状であった。得られた第一部材及び第二部材の構造から、透明基材と液晶硬化層との剥離強度A、液晶硬化層と感圧性接着剤層との剥離強度Bは、A<Bの関係にあることが分かる。
また、液晶硬化層とパターン層とが剥離し、感圧性接着剤層にパターン層が接着していることから、前記剥離強度Aと、コレステリック液晶硬化層とパターン層との剥離強度C、パターン層と感圧性接着剤層との剥離強度Dは、C<D<Aの関係にあることが分かる。
すなわち、本実施例に係る複層フィルム(液晶硬化層転写シール)は、前記条件(i)及び条件(ii)を満たすことが分かる。
【0167】
[実施例C2~C3]
下記事項を変更した以外は、実施例C1と同様にして、複層フィルム(液晶硬化層転写シール)を得て、評価した。
・(液晶硬化層の作製)において、表5に示す厚みの液晶硬化層が得られるように、液晶組成物の塗工条件を調整した。
・実施例C3では、金型のプレス圧を表5に示すとおりとした。
【0168】
実施例C2~C3で得られた液晶硬化層の面内方向におけるレターデーションを実施例C1と同様にして測定したところ、280nmであり、液晶硬化層は、λ/2板として機能しうることが分かった。
【0169】
[比較例CC1~CC2]
下記事項を変更した以外は実施例C1と同様にして、複層フィルム(液晶硬化層転写シール)を得て、評価した。
・液晶硬化層への切り込み加工を行わなかった。
・比較例CC2では、(液晶硬化層の作製)において、表5に示す厚みの液晶硬化層が得られるように、液晶組成物の塗工条件を調整した。
【0170】
実施例C群の結果を表5に示す。
【0171】
【表5】
【0172】
[実施例D群]
実施例D群では、(透明基材)/(面内方向において位相差を有する液晶硬化層)/(接着性を有するパターン層)の層構成を含む液晶硬化層転写シールを製造し、転写された文字パターンの明瞭性を評価した。
【0173】
[実施例D1]
実施例C1と同様にして、(透明基材)/(液晶硬化層)の層構成を有する複層フィルムを得て、液晶硬化層に複数の切り込みを入れた。液晶硬化層に入れられた切り込みの深さを、実施例A1と同様にして測定した。液晶硬化層の面内方向におけるレターデーションは、実施例C1における液晶硬化層と同様に、測定波長550nmにおいて140nmであり、液晶硬化層は、λ/4板として機能しうる。
金型のプレス圧、切り込みの深さ、格子の一辺の長さ(切り込みのピッチ)、(切り込み深さ)/(液晶硬化層の厚み)の値を、表6に示す。
【0174】
(パターン層の形成)
切り込み加工がされた複層フィルムの液晶硬化層上に、実施例B1と同様にして、接着性を有するパターン層を形成した。パターン層の厚みは、10μmであった。
【0175】
実施例B1と同様にして、パターン層が形成された複層フィルム(液晶硬化層転写シール)の評価を行った。
【0176】
[実施例D2~D3]
下記事項を変更した以外は、実施例D1と同様にして、複層フィルム(液晶硬化層転写シール)を得て、評価した。
・(液晶硬化層の作製)において、表6に示す厚みの液晶硬化層が得られるように、液晶組成物の塗工条件を調整した。
・実施例D3では、金型のプレス圧を表6に示すとおりとした。
液晶硬化層の面内方向におけるレターデーションは、測定波長550nmにおいて280nmであり、液晶硬化層は、λ/2板として機能しうる。
【0177】
実施例D2で得られた液晶硬化層の面内方向におけるレターデーションを実施例C1と同様にして測定したところ、280nmであり、液晶硬化層はλ/2板として機能しうることが分かった。
【0178】
[比較例CD1~CD2]
下記事項を変更した以外は実施例D1と同様にして、複層フィルム(液晶硬化層転写シール)を得て、評価した。
・液晶硬化層への切り込み加工を行わなかった。
・比較例CD2では、(液晶硬化層の作製)において、表6に示す厚みの液晶硬化層が得られるように、液晶組成物の塗工条件を調整した。
【0179】
実施例D群の結果を表6に示す。
【0180】
【表6】
【0181】
以上の結果から、液晶硬化層の感圧性接着剤層(接着層)側にある面が、切り込みにより分割されている実施例に係る液晶硬化層転写シールは、被着体であるアクリル板から透明基材を剥がすと、印刷した文字パターンの輪郭が、アクリル板に残る部材に明瞭に出現する。したがって、本発明の液晶硬化層転写シールは、被着体に液晶硬化層を転写するために有用である。また、印刷した文字パターンの輪郭が明瞭に出現することから、液晶硬化層転写シールが真正であることを、容易に判定できる。
【0182】
[実施例E]
実施例Eでは、前記実施例D2で得られた液晶硬化層転写シールが、被着体の真贋判定シールとして有用であることを示す。
【0183】
実施例A1と同様にして、コレステリック液晶硬化層に切り込み加工がされた複層フィルムを得た。得られた複層フィルムのコレステリック液晶硬化層に、剥離シート付きの感圧性接着剤層(アクリル系接着剤を含む層、日栄化研社製「NE-tak PET-21WF」)を貼り合わせた。
【0184】
感圧性接着剤層の剥離シートを剥がし、黒色のアクリル板に複層フィルムを貼り付けた。次いで、複層フィルムから、透明基材を引き剥がして、アクリル板にコレステリック液晶硬化層を転写した。
【0185】
転写したコレステリック液晶硬化層の上に、実施例D2で得られた液晶硬化層転写シールを貼り付けた。貼り付けの際は、液晶硬化層転写シールのパターン層が形成された側の面を、コレステリック液晶硬化層上に密着させた。次いで、液晶硬化層転写シールから、透明基材を引き剥がして、(アクリル板)/(感圧性接着剤層)/(コレステリック液晶硬化層)/(接着性を有するパターン層)/(λ/2板として機能する液晶硬化層)の層構成を有する、積層体を形成した。
【0186】
積層体に非偏光を照射して肉眼で観察したところ、λ/2板として機能する液晶硬化層の文字パターンは認識できなかった。
また、積層体を左右円偏光板を介して観察したところ、観察される文字パターンの明暗が反転した。具体的には、左円偏光板を介して観察すると黒色に見える部分は、右偏光板を介して観察すると銀色に見え、左円偏光板を介して観察すると銀色に見える部分は黒色に見えた。
したがって、真正である被着体に、コレステリック液晶硬化層を転写し、コレステリック液晶硬化層の上に、液晶硬化層転写シールを用いてλ/2板として機能する液晶硬化層を転写することにより、被着体が真正であることを示すことができる。
【符号の説明】
【0187】
100 :液晶硬化層転写シール
110 :基材
110D :面
120 :液晶硬化層
120D :面
120F :部分
120G :部分
120U :面
121 :切り込み
121DP :深さ
130 :パターン層
130U :面
150 :被着体
200 :液晶硬化層転写シール
230 :パターン層
230D :面
230U :面
240 :接着層
240D :面
240U :面
360 :第一部材
370 :第二部材
560 :第一部材
570 :第二部材
1000 :積層体
1001 :層
1002L :円偏光板
1002R :円偏光板
F :領域
F’ :領域
G :領域
G’ :領域
d :厚み
f :領域
図1
図2
図3
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