(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】パターン算出装置、パターン算出方法、マスク、露光装置、デバイス製造方法、コンピュータプログラム、及び、記録媒体
(51)【国際特許分類】
G03F 1/70 20120101AFI20240528BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20240528BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20240528BHJP
G02F 1/1368 20060101ALI20240528BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
G03F1/70
G03F7/20 501
G02F1/13 101
G02F1/1368
G09F9/00 338
(21)【出願番号】P 2023006335
(22)【出願日】2023-01-19
(62)【分割の表示】P 2021116439の分割
【原出願日】2018-03-30
【審査請求日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】P 2017073024
(32)【優先日】2017-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100104765
【氏名又は名称】江上 達夫
(72)【発明者】
【氏名】加藤 正紀
(72)【発明者】
【氏名】戸口 学
【審査官】植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-018352(JP,A)
【文献】特開2005-183600(JP,A)
【文献】特開2007-189140(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/20
G03F 1/00~1/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に対して、少なくとも一部が走査方向に並んだ第1投影光学系および第2投影光学系を前記走査方向に移動させながら、前記基板において前記走査方向に延びる領域を、前記第1投影光学系を介した光で照射した後に前記第2投影光学系を介した光で照射して走査露光する露光装置に用いられる、デバイスパターンを前記基板に形成するためのマスクであって、
前記走査方向に延びる領域の上に配置され、
前記走査方向と交差する非走査方向に延びる配線パターンを有し、
前記配線パターンにおいて前記走査方向に延びる領域に対応する部分の線幅は、前記部分の中心部から前記部分の前記非走査方向における端に近づくにつれて、前記中心部における前記配線パターンの線幅との差が大きくなる、
マスク。
【請求項2】
前記配線パターンにおいて前記走査方向に延びる領域に対応する前記部分の前記線幅は、前記部分の前記中心部から前記部分の前記非走査方向における前記端に近づくにつれて太くなる、
請求項1に記載のマスク。
【請求項3】
デバイスパターンを露光光で基板に形成するためのマスクであって、
前記マスクは、第1方向に延びる第1配線を前記基板に形成するための第1配線パターン、前記第1方向に延びる第2配線を前記基板に形成するための第2配線パターン、および、前記第1方向に延びる第3配線を前記基板に形成するための第3配線パターンを含み、
前記第3配線パターンは、前記第1配線パターンと前記第2配線パターンの間に位置し、
前記第3配線パターンの線幅は、前記第1配線パターンの線幅と異なり、かつ前記第2配線パターンの線幅と異なる、
マスク。
【請求項4】
前記マスクは、基板に対して、少なくとも一部が走査方向に並んだ第1投影光学系および第2投影光学系を前記走査方向に移動させながら、前記基板において前記走査方向に延びる領域を、前記第1投影光学系を介した光で照射した後に前記第2投影光学系を介した光で照射して走査露光する露光装置に用いられる、前記デバイスパターンを前記基板に形成するためのマスクであって、
前記走査方向に延びる領域の上に配置され、
前記第3配線パターンは、前記走査方向である前記第1方向に延びる配線パターンであり、前記走査方向に延びる領域に投影される、
請求項3に記載のマスク。
【請求項5】
前記第1配線パターン、前記第2配線パターン、および、前記第3配線パターンのそれぞれは、データ線である請求項3に記載のマスク。
【請求項6】
前記第1配線パターン、前記第2配線パターン、および、前記第3配線パターンのそれぞれは、ゲート線である請求項3に記載のマスク。
【請求項7】
前記デバイスパターンは、複数配列された単位デバイスパターン部を有し、
前記マスクのマスクパターンのうち一の前記単位デバイスパターン部を前記基板に形成するための単位マスクパターン部を算出し、前記単位マスクパターン部に隣接し前記単位マスクパターン部の少なくとも一部に相当する特定マスクパターン部が前記単位マスクパターン部を介した露光光による前記単位デバイスパターン部の形成に与える影響に基づいて前記単位マスクパターン部を補正し、かつ、補正された前記単位マスクパターン部を複数配列することで、前記マスクパターンが算出された、請求項1~6のいずれか一項に記載のマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、露光装置に用いられるマスクに形成されるマスクパターンを算出するパターン算出装置及びパターン算出方法の技術分野に関し、更に、マスク、露光装置及び露光方法、デバイス製造方法、コンピュータプログラム、並びに、記録媒体の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
マスクに形成されたマスクパターンの像で基板(例えば、レジストが塗布されたガラス基板等)を露光する露光装置が使用されている。露光装置は、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等のフラットパネルディスプレイを製造するために使用される。このような露光装置では、マスクを製造するために、マスクパターンを適切に算出する(つまり、決定する)ことが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2010/0266961号明細書
【発明の概要】
【0004】
第1の態様によれば、単位デバイスパターン部が複数配列されているデバイスパターンを露光光で基板に形成するためのマスクに形成されるマスクパターンを算出するパターン算出装置であって、前記マスクパターンのうち一の前記単位デバイスパターン部を前記基板に形成するための単位マスクパターン部を算出し、且つ、前記算出した単位マスクパターン部を複数配列することで前記マスクパターンを算出し、前記単位マスクパターン部を算出する際に、前記単位マスクパターン部の少なくとも一部に相当する特定マスクパターン部が前記単位マスクパターン部に隣接していると仮定した上で、前記単位マスクパターン部を算出するパターン算出装置が提供される。
【0005】
第2の態様によれば、デバイスパターンを露光光で基板に形成するためのマスクに形成されるマスクパターンを算出するパターン算出装置であって、前記マスクは、前記デバイスパターンの少なくとも一部を形成するために前記露光光が少なくとも2回照射される第1マスク領域と、前記デバイスパターンの少なくとも他の一部を形成するために前記露光光が1回照射される第2マスク領域とを含み、前記デバイスパターンに基づいて算出した前記マスクパターンの少なくとも一部を、前記第1及び第2マスク領域と前記マスクパターンとの対応関係に基づいて補正するパターン算出装置が提供される。
【0006】
第3の態様によれば、デバイスパターンを露光光で基板に形成するためのマスクに形成されるマスクパターンを算出するパターン算出装置であって、前記マスクは、前記デバイスパターンの少なくとも一部を形成するために前記露光光が少なくとも2回照射される第1マスク領域を含み、前記デバイスパターンに基づいて算出した前記マスクパターンの少なくとも一部を、前記第1マスク領域を介した前記露光光による露光特性の前記基板上でのばらつきに基づいて補正するパターン算出装置が提供される。
【0007】
第4の態様によれば、デバイスパターンを露光光で基板に形成するためのマスクに形成されるマスクパターンを算出するパターン算出装置であって、前記マスクは、第1の投影光学系を介して前記基板を露光するための前記露光光が照射される第3マスク領域と、第2の投影光学系を介して前記基板を露光するための前記露光光が照射される第4マスク領域とを含み、前記デバイスパターンに基づいて算出した前記マスクパターンの少なくとも一部を、前記第3及び第4マスク領域と前記マスクパターンとの対応関係に基づいて補正するパターン算出装置が提供される。
【0008】
第5の態様によれば、デバイスパターンを露光光で基板に形成するためのマスクに形成されるマスクパターンを算出するパターン算出装置であって、前記マスクは、所望の投影光学系を介して前記基板を露光するための前記露光光が照射される第5マスク領域を含み、前記デバイスパターンに基づいて算出した前記マスクパターンの少なくとも一部を、前記第5マスク領域を介した前記露光光による露光特性の前記基板上でのばらつきに基づいて補正するパターン算出装置が提供される。
【0009】
第6の態様によれば、単位デバイスパターン部が複数配列されているデバイスパターンを露光光で基板に形成するためのマスクに形成されるマスクパターンを算出するパターン算出方法であって、前記マスクパターンのうち一の前記単位デバイスパターン部を前記基板に形成するための単位マスクパターン部を算出し、且つ、前記算出した単位マスクパターン部を複数配列することで前記マスクパターンを算出し、前記単位マスクパターン部を算出する際に、前記単位マスクパターン部の少なくとも一部に相当する特定マスクパターン部が前記単位マスクパターン部に隣接していると仮定した上で、前記単位マスクパターン部を算出するパターン算出方法が提供される。
【0010】
第7の態様によれば、デバイスパターンを露光光で基板に形成するためのマスクに形成されるマスクパターンを算出するパターン算出方法であって、前記マスクは、前記デバイスパターンの少なくとも一部を形成するために前記露光光が少なくとも2回照射される第1マスク領域と、前記デバイスパターンの少なくとも他の一部を形成するために前記露光光が1回照射される第2マスク領域とを含み、前記デバイスパターンに基づいて算出した前記マスクパターンの少なくとも一部を、前記第1及び第2マスク領域と前記マスクパターンとの対応関係に基づいて補正するパターン算出方法が提供される。
【0011】
第8の態様によれば、デバイスパターンを露光光で基板に形成するためのマスクに形成されるマスクパターンを算出するパターン算出方法であって、前記マスクは、前記デバイスパターンの少なくとも一部を形成するために前記露光光が少なくとも2回照射される第1マスク領域を含み、前記デバイスパターンに基づいて算出した前記マスクパターンの少なくとも一部を、前記第1マスク領域を介した前記露光光による露光特性の前記基板上でのばらつきに基づいて補正するパターン算出方法が提供される。
【0012】
第9の態様によれば、デバイスパターンを露光光で基板に形成するためのマスクに形成されるマスクパターンを算出するパターン算出方法であって、前記マスクは、第1の投影光学系を介して前記基板を露光するための前記露光光が照射される第3マスク領域と、第2の投影光学系を介して前記基板を露光するための前記露光光が照射される第4マスク領域とを含み、前記デバイスパターンに基づいて算出した前記マスクパターンの少なくとも一部を、前記第3及び第4マスク領域と前記マスクパターンとの対応関係に基づいて補正するパターン算出方法が提供される。
【0013】
第10の態様によれば、デバイスパターンを露光光で基板に形成するためのマスクに形成されるマスクパターンを算出するパターン算出方法であって、前記マスクは、所望の投影光学系を介して前記基板を露光するための前記露光光が照射される第5マスク領域を含み、前記デバイスパターンに基づいて算出した前記マスクパターンの少なくとも一部を、前記第5マスク領域を介した前記露光光による露光特性の前記基板上でのばらつきに基づいて補正するパターン算出方法が提供される。
【0014】
第11の態様によれば、上述したパターン算出方法の第6の態様から第10の態様のいずれかを用いて製造されたマスクが提供される。
【0015】
第12の態様によれば、上述したパターン算出方法の第6の態様から第10の態様のいずれかで算出したマスクパターンが形成されたマスクが提供される。
【0016】
第13の態様によれば、上述したマスクの第11又は第12の態様を介して前記露光光を前記基板に照射することで、前記基板に前記デバイスパターンを形成する露光装置が提供される。
【0017】
第14の態様によれば、上述した露光装置の第13の態様を用いて感光剤が塗布された前記基板を露光し、当該基板に前記デバイスパターンを形成し、露光された前記感光剤を現像して、前記デバイスパターンに対応する露光パターン層を形成し、前記露光パターン層を介して前記基板を加工するデバイス製造方法が提供される。
【0018】
第15の態様によれば、コンピュータに上述したパターン算出方法の第6の態様から第10の態様のいずれかを実行させるコンピュータプログラムが提供される。
【0019】
第16の態様によれば、上述したコンピュータプログラムの第15の態様が記録された記録媒体が提供される。
【0020】
第17の態様によれば、照明系からの照射量が、第1方向の位置に応じて、前記第1方向に交差する前記第2方向に沿って変化する第1領域と、前記第1領域とは異なる第2領域と、を有する照射領域によって照射されるマスクにおいて、前記照射領域のうち前記第1領域に対応する領域に設けられた第1回路パターンと、前記第2領域に対応する領域に設けられ、前記第1回路パターンに基づいて形成された第2回路パターンと、を備えるマスクが提供される。
【0021】
第18の態様によれば、光学特性が異なる複数の投影光学系により物体上に露光される所定パターンを有するマスクにおいて、前記複数の投影光学系のうち第1光学系の光学特性に基づいて形成された第1回路パターンと、前記第1光学系とは異なる第2光学系の光学特性に基づいて形成された第2回路パターンと、を備えるマスクが提供される。
【0022】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施するための形態から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、本実施形態の露光装置の全体構造の一例を示す斜視図である。
【
図2】
図2(a)は、基板上に設定される投影領域を示す平面図であり、
図2(b)は、マスク上に設定される照明領域を示す平面図であり、
図2(c)は、マスク上に繰り返し形成される複数の単位マスクパターン部を示す平面図である。
【
図3】
図3(a)は、表示パネルを製造するために使用されるマスクの一具体例を示す平面図であり、
図3(b)は、
図3(a)に示すマスクの一部を示す平面図である。
【
図4】
図4は、マスクパターン算出装置の構造を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、マスクパターン算出装置が行うマスクパターンの算出動作の流れを示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、
図5のステップS3において、複数の単位マスクパターン部がマスクに含まれることを利用してマスクパターンを算出する処理の流れを示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、ある一つの単位マスクパターン部のパターンレイアウトの一具体例を示す平面図である。
【
図8】
図8(a)から
図8(d)の夫々は、隣り合う2つの単位マスクパターン部の位置関係を示す平面図である。
【
図9】
図9は、単位マスクパターン部に、当該単位マスクパターン部の一部が隣接していると仮定した状況を示す平面図である。
【
図10】
図10は、単位マスクパターン部に、当該単位マスクパターン部の一部が隣接していると仮定した状況を示す平面図である。
【
図11】
図11は、単位マスクパターン部を複数配列することで得られるマスクパターンを示す平面図である。
【
図12】
図12は、マスクパターンを複数配列することで得られるマスクパターン群を示す平面図である。
【
図13】
図13は、隣接する領域のパターンレイアウトの違いに基づいて区別可能な複数種類の単位マスクパターン群を示す平面図である。
【
図14】
図14は、単位マスクパターン部と当該単位マスクパターン部に隣接する周辺マスクパターン部の少なくとも一部を含む複合マスクパターン部を示す平面図である。
【
図15】
図15は、第2変形例においてマスクパターンを算出する処理の流れを示すフローチャートである。
【
図16】
図16は、マスクパターンに、当該マスクパターンの一部が隣接していると仮定した状況を示す平面図である。
【
図17】
図17は、マスクパターンを複数配列することで得られるマスクパターン群を示す平面図である。
【
図18】
図18は、第3変形例においてマスクパターンを算出する処理の流れを示すフローチャートである。
【
図19】
図19(a)は、基板上に形成されるデバイスパターンの一例を示す平面図であり、
図19(b)から
図19(d)の夫々は、
図19(a)に示すデバイスパターンを形成するためのマスクパターンの一例を示す平面図である。
【
図20】
図20は、第4変形例においてマスクパターンを算出する処理の流れを示すフローチャートである。
【
図21】
図21は、継ぎ露光領域と当該継ぎ露光領域を二重に露光する2つの投影領域との位置関係を示す平面図である。
【
図22】
図22は、
図19(a)に示すデバイスパターンを形成するためのマスクパターンの一例を示す平面図である。
【
図23】
図23は、第5変形例においてマスクパターンを算出する処理の流れを示すフローチャートである。
【
図24】
図24(a)から
図24(c)は、投影光学系の像面及び投影領域と歪曲収差との関係を示す平面図である。
【
図25】
図25(a)は、歪曲収差が発生している投影光学系及び歪曲収差が発生していない投影光学系が存在する場合に基板上に設定される投影領域を示す平面図であり、
図25(b)は、
図25(a)に示す歪曲収差が発生している場合におけるマスクパターンの補正内容の一例を示す平面図であり、
【
図26】
図26(a)は、像面湾曲が発生していない投影光学系の投影領域と露光量との関係を示す平面図であり、
図26(b)は、像面湾曲が発生している投影光学系の投影領域と露光量との関係を示す平面図である。
【
図27】
図27(a)は、像面湾曲が発生している投影光学系及び像面湾曲が発生していない投影光学系が存在する場合に基板上に設定される投影領域を示す平面図であり、
図27(b)は、
図27(a)に示す像面湾曲が発生している場合におけるマスクパターンの補正内容の一例を示す平面図であり、
【
図28】
図28は、露光装置を用いて表示パネルを製造するデバイス製造方法の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら、パターン算出装置、パターン算出方法、マスク、露光装置、デバイス製造方法、コンピュータプログラム、及び、記録媒体について説明する。但し、本発明が以下に説明する実施形態に限定されることはない。
【0025】
以下の説明では、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸から定義されるXYZ直交座標系を用いて、マスク及び露光装置を構成する構成要素の位置関係について説明する。尚、以下の説明では、説明の便宜上、X軸方向及びY軸方向の夫々が水平方向(つまり、水平面内の所定方向)であり、Z軸方向が鉛直方向(つまり、水平面に直交する方向であり、実質的には上下方向)であるものとする。また、+Z軸方向側が上方(上側)であり、-Z軸方向側が下方(下側)であるものとする。また、X軸、Y軸及びZ軸周りの回転方向(言い換えれば、傾斜方向)を、夫々、θX方向、θY方向及びθZ方向と称する。
【0026】
(1)本実施形態の露光装置1
図1及び
図2を参照しながら、本実施形態の露光装置1について説明する。本実施形態の露光装置1は、フォトレジスト(つまり、感光剤)が塗布された平板ガラスである基板151を、マスク131に形成されたマスクパターンの像で露光する。露光装置1によって露光された基板151は、例えば、表示装置(例えば、液晶ディスプレイや、有機ELディスプレイ等)の表示パネルを製造するために使用される。
【0027】
(1-1)本実施形態の露光装置1の構造
はじめに、
図1を参照しながら、本実施形態の露光装置1の構造について説明する。
図1は、本実施形態の露光装置1の全体構造の一例を示す斜視図である。
【0028】
図1に示すように、露光装置1は、光源ユニット11と、複数の照明光学系12と、マスクステージ13と、複数の投影光学系14と、基板ステージ15と、制御装置16とを備える。
【0029】
光源ユニット11は、露光光ELを射出する。露光光ELは、例えば、g線、h線及びi線のうちの少なくとも一つの波長帯域の光である。特に、光源ユニット11は、露光光ELを、マスク131の有効領域131p(後述の
図2参照)上に設定される複数の照明領域IRを夫々照明可能な複数の露光光ELに分岐する。
図1に示す例では、光源ユニット11は、露光光ELを、7つの照明領域IR(つまり、照明領域IRa、照明領域IRb、照明領域IRc、照明領域IRd、照明領域IRe、照明領域IRf及び照明領域IRg)を夫々照明可能な7つの露光光ELに分岐する。複数の露光光ELは、複数の照明光学系12に夫々入射する。
【0030】
複数の照明光学系12は、マルチレンズ型の照明光学系を構成する。
図1に示す例では、露光装置1は、7個の照明光学系12(つまり、照明光学系12a、照明光学系12b、照明光学系12c、照明光学系12d、照明光学系12e、照明光学系12f及び照明光学系12g)を備える。照明光学系12a、照明光学系12c、照明光学系12e及び照明光学系12gは、Y軸方向に沿って等間隔で並ぶように配置される。照明光学系12b、照明光学系12d及び照明光学系12fは、Y軸方向に沿って等間隔で並ぶように配置される。照明光学系12a、照明光学系12c、照明光学系12e及び照明光学系12gは、照明光学系12b、照明光学系12d及び照明光学系12fに対して、X軸方向に沿って所定量だけ離れた位置に配置される。照明光学系12a、照明光学系12c、照明光学系12e及び照明光学系12gと、照明光学系12b、照明光学系12d及び照明光学系12fとは、千鳥状に配列されている。
【0031】
各照明光学系12は、光源ユニット11の下方に配置されている。各照明光学系12は、各照明光学系12に対応する照明領域IRに、露光光ELを照射する。具体的には、照明光学系12aから12gは、照明領域IRaからIRgに露光光ELを夫々照射する。このため、マスク131上に設定される照明領域IRの数は、露光装置1が備える照明光学系12の数と同一である。
【0032】
マスクステージ13は、複数の照明光学系12の下方に配置されている。マスクステージ13は、マスク131を保持可能である。マスクステージ13は、保持したマスク131をリリース可能である。マスク131は、例えば、一辺または対角が500mm以上の矩形のガラス板から構成されている。マスク131には、基板151に転写されるべきデバイスパターンに対応するマスクパターンが形成されている。より具体的には、マスク11には、デバイスパターンを基板151に形成するように基板151を露光するための像(例えば、空間像ないしは露光パターン)を形成可能なマスクパターンが形成されている。
【0033】
マスクステージ13は、マスク131を保持した状態で、複数の照明領域IRを含む平面(例えば、XY平面)に沿って移動可能である。マスクステージ13は、X軸方向に沿って移動可能である。例えば、マスクステージ13は、任意のモータを含むマスクステージ駆動系の動作により、X軸方向に沿って移動可能である。マスクステージ13は、X軸方向に沿って移動可能であることに加えて、Y軸方向、Z軸方向、θX方向、θY方向及びθZ方向のうちの少なくとも一つに沿って移動可能であってもよい。
【0034】
複数の投影光学系14は、マルチレンズ型の投影光学系を構成する。
図1に示す例では、露光装置1は、7個の投影光学系14(つまり、投影光学系14a、投影光学系14b、投影光学系14c、投影光学系14d、投影光学系14e、投影光学系14f及び投影光学系14g)を備える。露光装置1が備える投影光学系14の数は、露光装置1が備える照明光学系12の数と同一である。投影光学系14a、投影光学系14c、投影光学系14e及び投影光学系14gは、Y軸方向に沿ってほぼ等間隔で並ぶように配置される。投影光学系14b、投影光学系14d及び投影光学系14fは、Y軸方向に沿ってほぼ等間隔で並ぶように配置される。投影光学系14a、投影光学系14c、投影光学系14e及び投影光学系14gは、投影光学系14b、投影光学系14d及び投影光学系14fに対して、X軸方向に沿って所定量だけ離れた位置に配置される。投影光学系14a、投影光学系14c、投影光学系14e及び投影光学系14gと、投影光学系14b、投影光学系14d及び投影光学系14fとは、千鳥状に配列されている。
【0035】
各投影光学系14は、マスクステージ13の下方に配置されている。各投影光学系14は、各投影光学系14に対応する照明領域IRに照射された露光光EL(つまり、照明領域IRが設定されているマスク131の有効領域131pに形成されているマスクパターンの像)を、各投影光学系14に対応して基板151上に設定される投影領域PRに対して投影する。具体的には、投影光学系14aは、照明領域IRaに照射された露光光EL(つまり、照明領域IRaが設定されているマスク131の有効領域131pに形成されているマスクパターンの像)を、基板151上に設定される投影領域PRaに対して投影する。投影光学系14bから投影光学系14gについても同様である。
【0036】
各投影光学系14は、視野絞り144を備えている。視野絞り144は、基板151上に投影領域PRを設定する。視野絞り144には、Y軸方向に平行な上辺及び底辺を有する台形状の開口が形成されている。その結果、基板151上には、Y軸方向に平行な上辺及び底辺を有する台形状の投影領域PRが設定される。
【0037】
基板ステージ15は、複数の投影光学系14の下方に配置されている。基板ステージ15は、基板151を保持可能である。基板ステージ15は、基板151の上面がXY平面に平行になるように基板151を保持可能である。基板ステージ15は、保持した基板151をリリース可能である。基板151は、例えば、数m角のガラス基板である。
【0038】
基板ステージ15は、基板151を保持した状態で、投影領域PRを含む平面(例えば、XY平面)に沿って移動可能である。基板ステージ15は、X軸方向に沿って移動可能である。例えば、基板ステージ15は、任意のモータを含む基板ステージ駆動系の動作により、X軸方向に沿って移動してもよい。基板ステージ15は、X軸方向に沿って移動可能であることに加えて、Y軸方向、Z軸方向、θX方向、θY方向及びθZ方向のうちの少なくとも一つに沿って移動可能であってもよい。
【0039】
制御装置16は、露光装置1の動作を制御可能である。制御装置16は、例えば、CPU(Central Processing Unit)や、ROM(Read Only Memory)や、RAM(Rondom Access Memory)等を備えている。
【0040】
制御装置16は、マスクステージ13が所望の第1移動態様で移動する(その結果、マスク131が所望の第1移動態様で移動する)ように、マスクステージ駆動系を制御する。制御装置16は、基板ステージ15が所望の第2移動態様で移動する(その結果、基板151が所望の第2移動態様で移動する)ように、基板ステージ駆動系を制御する。例えば、制御装置16は、ステップ・アンド・スキャン方式の露光が行われるように、マスクステージ駆動系及び基板ステージ駆動系を制御する。つまり、制御装置16は、マスク131上の照明領域IRに対して露光光ELが照射されている状態でマスク131を保持するマスクステージ13と基板151を保持する基板ステージ15とが同期して所定の走査方向に沿って移動するように、マスクステージ駆動系及び基板ステージ駆動系を制御する。その結果、マスク131に形成されているマスクパターンが、基板151に転写される。以下の説明では、マスクステージ13及び基板ステージ15が同期して移動する走査方向がX軸方向であり、X軸方向に直交するY軸方向を、適宜“非走査方向”と称する。
【0041】
尚、
図1及び
図2を用いて説明した露光装置1の構造は一例である。従って、露光装置1の構造の少なくとも一部が適宜改変されてもよい。例えば、露光装置1は、6個以下の又は8個以上の照明光学系12を備えていてもよい。例えば、露光装置1は、6個以下の又は8個以上の投影光学系14を備えていてもよい。
【0042】
或いは、露光装置1は、単一の照明光学系12を備えていてもよい。露光装置1は、単一の投影光学系14を備えていてもよい。但し、露光装置1が単一の投影光学系14を備えている場合には、マスク131上には、後述する継ぎパターン領域131a及び非継ぎパターン領域131bが設定されなくてもよいし、基板151上には、後述する継ぎ露光領域151a及び非継ぎ露光領域151bが設定されなくてもよい。
【0043】
(1-2)照明領域IR及び投影領域PRの配置
続いて、
図2(a)から
図2(c)を参照しながら、マスク131上に設定される照明領域IR及び基板151上に設定される投影領域RPについて説明する。
図2(a)は、基板151上に設定される投影領域PRを示す平面図である。
図2(b)は、マスク131上に設定される照明領域IRを示す平面図である。
図2(c)は、マスク131上に繰り返し形成される単位マスクパターン部MPpを示す平面図である。
【0044】
図2(a)に示すように、基板151上には、露光装置1が備える投影光学系14の数と同一の数の投影領域PRが設定される。本実施形態では、露光装置1が7個の投影光学系14を備えているがゆえに、基板151上には、7個の投影領域PR(つまり、投影領域PRa、投影領域PRb、投影領域PRc、投影領域PRd、投影領域PRe、投影領域PRf及び投影領域PRg)が設定される。投影光学系14aは、照明領域IRaに照射された露光光ELが投影光学系14aによって投影される投影領域PRaを設定する。投影光学系14bは、照明領域IRbに照射された露光光ELが投影光学系14bによって投影される投影領域PRbを設定する。投影光学系14cは、照明領域IRcに照射された露光光ELが投影光学系14cによって投影される投影領域PRcを設定する。投影光学系14dは、照明領域IRdに照射された露光光ELが投影光学系14dによって投影される投影領域PRdを設定する。投影光学系14eは、照明領域IReに照射された露光光ELが投影光学系14eによって投影される投影領域PReを設定する。投影光学系14fは、照明領域IRfに照射された露光光ELが投影光学系14fによって投影される投影領域PRfを設定する。投影光学系14gは、照明領域IRgに照射された露光光ELが投影光学系14gによって投影される投影領域PRgを設定する。
【0045】
投影領域PRa、投影領域PRc、投影領域PRe及び投影領域PRgは、+X側の辺が底辺となる台形状の領域である。投影領域PRb、投影領域PRd及び投影領域PRfは、-X側の辺が底辺となる台形状の領域である。投影領域PRa、投影領域PRc、投影領域PRe及び投影領域PRgは、投影領域PRb、投影領域PRd及び投影領域PRfに対して、X軸方向に沿って第1所定量だけ離れた位置に設定される。投影領域PRa、投影領域PRc、投影領域PRe及び投影領域PRgと、投影領域PRb、投影領域PRd及び投影領域PRfとは、千鳥状に設定される。
【0046】
各投影領域PRは、X軸方向に対して傾斜した辺によって規定される2つの端部(以降、適宜“傾斜部”と称する)を含む。但し、投影領域PRaの-Y側の辺及び投影領域PRgの+Y側の辺は、マスク131の有効領域131pを囲む遮光帯131s(
図2(b)参照)によって露光光ELが遮光されていることに起因して、X軸方向に対して傾斜していない。従って、投影領域PRa及び投影領域PRgの夫々は、単一の傾斜部を含む。
【0047】
投影領域PRaの+Y側の傾斜部は、X軸方向に沿って、投影領域PRbの-Y側の傾斜部と重なる(言い換えれば、隣接する、以下同じ)。投影領域PRbの+Y側の傾斜部は、X軸方向に沿って、投影領域PRcの-Y側の傾斜部と重なる。投影領域PRcの+Y側の傾斜部は、X軸方向に沿って、投影領域PRdの-Y側の傾斜部と重なる。投影領域PRdの+Y側の傾斜部は、X軸方向に沿って、投影領域PReの-Y側の傾斜部と重なる。投影領域PReの+Y側の傾斜部は、X軸方向に沿って、投影領域PRfの-Y側の傾斜部と重なる。投影領域PRfの+Y側の傾斜部は、X軸方向に沿って、投影領域PRgの-Y側の傾斜部と重なる。
【0048】
X軸方向に沿って重なる2つの傾斜部は、1回の走査露光動作中に当該2つの傾斜部によって露光光ELが2回投影される継ぎ露光領域151aを、基板151上で規定する。つまり、X軸方向に沿って重なる2つの傾斜部は、1回の走査露光動作中に当該2つの傾斜部によって二重に露光される継ぎ露光領域151aを、基板151上で規定する。一方で、基板151の表面のうち継ぎ露光領域151a以外の非継ぎ露光領域151bは、1回の走査露光動作中に露光光ELが1回投影される領域となる。各投影領域PRの傾斜部は、X軸方向に沿って重なる2つの傾斜部のX軸方向に沿った幅の総和が、各投影領域PRのX軸方向に沿った幅(つまり、傾斜部以外の領域部分のX軸方向に沿った幅)と同一になるように、設定される。その結果、二重に露光される継ぎ露光領域151aの露光量は、二重に露光されない非継ぎ露光領域151bの露光量と実質的に同一になる。従って、複数の投影領域PRに対して投影されるマスクパターンの像が相対的に高精度に繋がれる。
【0049】
継ぎ露光領域151aは、矩形の領域である。継ぎ露光領域151aは、X軸方向(つまり、走査方向)が長手方向となり且つY軸方向(つまり、非走査方向)が短手方向となる領域である。継ぎ露光領域151aは、X軸方向に沿って延伸する領域である。基板151上には、Y軸方向に沿って等間隔で並ぶ複数の継ぎ露光領域151a(
図2(a)に示す例では、6個の継ぎ露光領域151a)が設定される。
【0050】
非継ぎ露光領域151bは、矩形の領域である。非継ぎ露光領域151bは、X軸方向が長手方向となり且つY軸方向が短手方向となる領域である。非継ぎ露光領域151bは、X軸方向に沿って延伸する領域である。基板151上には、Y軸方向に沿って等間隔で並ぶ複数の非継ぎ露光領域151b(
図2(a)に示す例では、7個の非継ぎ露光領域151b)が設定される。
【0051】
一方で、
図2(b)に示すように、マスク131上には、露光装置1が備える照明光学系12の数と同一の数の照明領域IRが設定される。本実施形態では、露光装置1が7個の照明光学系14を備えているがゆえに、マスク131上には、7個の照明領域IR(つまり、照明領域IRa、照明領域IRb、照明領域IRc、照明領域IRd、照明領域IRe、照明領域IRf及び照明領域IRg)が設定される。照明光学系12aは、照明領域IRaに露光光ELを照射する。照明光学系12bは、照明領域IRbに露光光ELを照射する。照明光学系12cは、照明領域IRcに露光光ELを照射する。照明光学系12dは、照明領域IRdに露光光ELを照射する。照明光学系12eは、照明領域IReに露光光ELを照射する。照明光学系12fは、照明領域IRfに露光光ELを照射する。照明光学系12gは、照明領域IRgに露光光ELを照射する。
【0052】
各投影光学系14の物体面側の視野は、各投影光学系14が備える視野絞り144によって規定される。このため、各照明領域IRは、視野絞り144と光学的に共役な領域を意味している。
【0053】
本実施形態では、各投影光学系14は、マスクパターンの等倍の正立正像を基板151上に投影する。このため、照明領域IRaから照明領域IRgの形状及び配列は、投影領域PRaから投影領域PRgの形状及び配列と夫々同一である。このため、各照明領域IRは、X軸方向に対して傾斜した辺によって規定される2つの端部(以降、適宜“傾斜部”と称する)を含む。X軸方向に沿って重なる2つの傾斜部は、1回の走査露光動作中に当該2つの傾斜部によって露光光ELが2回照明される継ぎパターン領域131aを、マスク131上で規定する。つまり、X軸方向に沿って重なる2つの照明領域IRの2つの傾斜部は、1回の走査露光動作中に当該2つの傾斜部によって二重に照明される継ぎパターン領域131aを、マスク131上で規定する。一方で、有効領域131pのうち継ぎパターン領域131a以外の非継ぎパターン領域131bは、1回の走査露光動作中に露光光ELが1回照明される領域となる。
【0054】
継ぎパターン領域131aは、継ぎ露光領域151aに対応する領域である。つまり、継ぎパターン領域131aを照明した露光光ELは、継ぎパターン領域131aを通過し、継ぎ露光領域151aに照射される。一方で、非継ぎパターン領域131bは、非継ぎ露光領域151bに対応する領域である。つまり、非継ぎパターン領域131bを照明した露光光ELは、非継ぎパターン領域131bを通過し、非継ぎ露光領域151bに照射される。
【0055】
継ぎパターン領域131aは、矩形の領域である。継ぎパターン領域131aは、X軸方向(つまり、走査方向)が長手方向となり且つY軸方向(つまり、非走査方向)が短手方向となる領域である。継ぎパターン領域131aは、X軸方向に沿って延伸する領域である。マスク131上には、Y軸方向に沿って等間隔で並ぶ複数の継ぎパターン領域131a(
図3(b)に示す例では、6個の継ぎパターン領域131a)が設定される。
【0056】
非継ぎパターン領域131bは、矩形の領域である。非継ぎパターン領域131bは、X軸方向が長手方向となり且つY軸方向が短手方向となる領域である。非継ぎパターン領域131bは、X軸方向に沿って延伸する領域である。マスク131上には、Y軸方向に沿って等間隔で並ぶ複数の非継ぎパターン領域131b(
図3(b)に示す例では、7個の非継ぎパターン領域131b)が設定される。
【0057】
マスク131上に形成されているマスクパターンは、たとえば
図2(c)に示すように、Y軸方向に沿って繰り返し規則的に形成され且つ夫々が同一のマスクパターンである複数の単位マスクパターン部1311uを含んでいる。複数の単位マスクパターン部1311uは、有効領域131pの少なくとも一部に形成されている。つまり、有効領域131pの少なくとも一部は、複数の単位マスクパターン部1311uがX軸方向及びY軸方向の少なくとも一方に沿って繰り返し規則的に形成されている繰り返し領域を含む。尚、
図2(c)に示す例では、複数の単位マスクパターン部1311uは、X軸方向及びY軸方向の双方に沿って繰り返し規則的に形成されている。
【0058】
この場合、Y軸方向に沿って隣り合う2つの継ぎパターン領域131aの間隔D1は、Y軸方向に沿って隣り合う2つの単位マスクパターン部1311uの間隔D2よりも長い。Y軸方向に沿って継ぎパターン領域131aが現れる頻度は、Y軸方向に沿って単位マスクパターン部1311uが現れる頻度よりも低い。Y軸方向に沿った継ぎパターン領域131aの配列周期は、Y軸方向に沿った単位マスクパターン部1311uの配列周期よりも長い。
【0059】
単位マスクパターン部1311uを介した露光光ELによって、基板151上には、単位マスクパターン部1311uに対応する単位デバイスパターン部1511uが形成される。従って、繰り返し規則的に形成された(つまり、配列された)複数の単位マスクパターン部1311uを含むマスク131を介した露光光ELによって、基板151上には、繰り返し規則的に配列された複数の単位デバイスパターン部1511uを含むデバイスパターンが形成される。
【0060】
上述したように、露光装置1によって露光された基板151は、例えば、表示パネルを製造するために使用される。この場合、単位マスクパターン部1311uは、表示パネルを構成する各画素(つまり、各表示画素)を基板151上に形成するためのマスクパターンである。つまり、単位マスクパターン部1311uは、各画素内に形成されるTFT(Thin Film Transistor)素子等の回路素子、カラーフィルタ、ブラックマトリクス、タッチパネル回路素子等を基板151上に形成するためのマスクパターンである。更に、単位デバイスパターン部1511uは、各画素のデバイスパターンである。
【0061】
このような表示パネルを製造するために使用されるマスク131の一具体例について、
図3(a)及び
図3(b)を参照しながら説明する。
図3(a)は、表示パネルを製造するために使用されるマスク131の一具体例を示す平面図である。
図3(b)は、
図3(a)に示すマスク131の一部を示す平面図である。
【0062】
図3(a)に示すように、マスク131には(特に、遮光領域131sによって囲まれた有効領域131pには)、複数の同じマスクパターン1311dを含むマスクパターン群1311gが形成されている。各マスクパターン1311dは、1台の表示パネルを製造するためのマスクパターンである。つまり、各マスクパターン1311dは、1台の表示パネルのデバイスパターンに対応するマスクパターンである。従って、
図3(a)に示すマスク131は、1枚の基板151から複数の同じ表示パネルを製造するために用いられる。
図3(a)に示す例では、マスク131には、8個のマスクパターン1311dが形成されている。従って、
図3(a)に示すマスク131は、1枚の基板151から8個の同じ表示パネルを製造するために用いられる。
【0063】
各マスクパターン1311dは、
図3(b)に示すように、1台の表示パネルの複数の画素を基板151上に夫々形成するための複数の単位マスクパターン部1311uを含む。以降、複数の単位マスクパターン部1311uの集合を、適宜“画素マスクパターン部1311p”と称する。各マスクパターン1311dは更に、複数の画素が配置される画素領域の周辺に配置される周辺回路等を基板151上に形成するための周辺マスクパターン部1311sを含む。
図3(b)は、周辺マスクパターン部1311sが、複数の画素から引き出される配線(例えば、複数の画素と駆動回路とを接続する配線)を形成するためのマスクパターンを含む例を示している。尚、
図3(b)に示す例では、周辺マスクパターン部1311sが画素マスクパターン部1311pの-X側に配置されている。しかしながら、周辺回路等の配置位置に合わせて、周辺マスクパターン部1311sは、画素マスクパターン部1311pの+X側、-Y側及び+Y側の少なくとも一つに配置されていてもよい。
【0064】
このようなマスク131は、以下のように製造される。まず、後述するマスクパターン算出装置2によって、デバイスパターンに対応するマスクパターン(
図3(a)から
図3(b)に示す例では、複数のマスクパターン1311dを含むマスクパターン群1311g)が算出される。尚、ここで言う「マスクパターンの算出」とは、マスクパターンの内容(つまり、パターンレイアウト)を決定することを意味しており、実質的には、マスクパターンの内容を示すマスクパターンデータの生成と等価である。その後、算出されたマスクパターンが、マスクパターンが形成されていないマスクブランクスに対して実際に形成される。具体的には、例えば、算出されたマスクパターンに基づいて、電子線ビーム露光装置等が、感光材が塗布されたマスクブランクスを露光する。その後、露光されたマスクブランクスが現像されることで、マスクブランクス上には、マスクパターンに対応する感光材のパターン層が形成される。その後、感光材のパターン層を介してマスクブランクス(特に、マスクブランクスが備える遮光膜)が加工される。その結果、デバイスパターンに対応するマスクパターンが形成されたマスク131が製造される。
【0065】
(2)本実施形態のマスクパターン算出装置2
続いて、
図4から
図12を参照しながら、マスク131に形成されるマスクパターンを算出するマスクパターン算出装置2について説明する。
【0066】
(2-1)マスクパターン算出装置2の構造
はじめに、
図4を参照しながら、マスクパターン算出装置2の構造について説明する。
図4は、マスクパターン算出装置2の構造を示すブロック図である。
【0067】
図4に示すように、マスクパターン算出装置2は、CPU(Central Processing Unit)21と、メモリ22と、入力部23と、操作機器24と、表示機器25とを備える。
【0068】
CPU21は、マスクパターン算出装置2の動作を制御する。CPU21は、マスクパターンを算出して、マスクパターンデータを生成する。つまり、CPU21は、マスクレイアウトを設計する。具体的には、CPU21は、デバイスパターンの内容(つまり、パターンレイアウト)を示すデバイスパターンデータに基づいて、所望の算出条件を満たすマスクパターンを算出する。具体的には、CPU21は、所望の算出条件を満たすマスクパターンを算出するための最適化問題又は数理計画問題を解くことで、マスクパターンを算出する。所望の算出条件の一具体例として、露光量(DOSE量)及び焦点深度(DOF:Depth Of Focus)を最適化する(いわゆる、プロセスウインドウを最適化する)という条件があげられる。尚、露光量及び焦点深度を最適化するという条件は、露光量を第1所望量に設定し且つ焦点深度を第2所望量に設定するという条件を意味する。
【0069】
CPU21は、実質的には、EDA(Electronic Design Automation)ツールとして機能してもよい。例えば、CPU21は、上述したマスクパターンの算出動作をCPU21に行わせるためのコンピュータプログラムを実行することで、EDAツールとして機能してもよい。
【0070】
メモリ22は、マスクパターンの算出動作をCPU21に行わせるためのコンピュータプログラムを格納する。但し、マスクパターンの算出動作をCPU21に行わせるためのコンピュータプログラムは、外部の記憶装置(例えば、ハードディスクや光ディスク)等に記録されていてもよい。メモリ22は、更に、CPU21がマスクパターンの算出動作を行っている間に生成される中間データを一時的に格納する。
【0071】
入力部23は、CPU21がマスクパターンの算出動作を行うために用いられる各種データの入力を受け付ける。このようなデータの一例として、基板151に対して形成するべきデバイスパターンを示すデバイスパターンデータ等があげられる。但し、マスクパターン算出装置2は、入力部23を備えていなくてもよい。
【0072】
操作機器24は、マスクパターン算出装置2に対するユーザの操作を受け付ける。操作機器24は、例えば、キーボード、マウス及びタッチパネルの少なくとも一つを含んでいてもよい。CPU21は、操作機器24が受け付けたユーザの操作に基づいて、マスクパターンの算出動作を行ってもよい。但し、マスクパターン算出装置2は、操作機器24を備えていなくてもよい。
【0073】
表示機器25は、所望の情報を表示可能である。例えば、表示機器25は、マスクパターン算出装置2の状態を示す情報を直接的に又は間接的に表示してもよい。例えば、表示機器25は、マスクパターン算出装置2が算出しているマスクパターンを直接的に又は間接的に表示してもよい。例えば、表示機器25は、マスクパターンの算出動作に関する任意の情報を直接的に又は間接的に表示してもよい。但し、マスクパターン算出装置2は、表示機器25を備えていなくてもよい。
【0074】
(2-2)マスクパターンの算出動作
続いて、
図5を参照しながら、マスクパターン算出装置2が行うマスクパターンの算出動作について説明する。
図5は、マスクパターン算出装置2が行うマスクパターンの算出動作の流れを示すフローチャートである。
【0075】
図5に示すように、マスクパターン算出装置2が備えるCPU21は、デバイスパターンを示すデバイスパターンデータを取得する(ステップS1)。デバイスパターンデータは、所定の設計ルールを満たすように調整されたデバイスパターンの内容(つまり、パターンレイアウト)を示すデータであり、いわゆるデバイス設計(言い換えれば、回路設計)の結果として取得される。所定の設計ルールとして、例えば、ライン又はホールの最小幅や、2本のライン又は2つのホールの間の最小空間が一例としてあげられる。
【0076】
ステップ1の処理と並行して、CPU21は、マスク131を介した露光光ELでデバイスパターンを基板151に形成する際の露光装置1の状態を示す状態変数を設定する(ステップS2)。
【0077】
例えば、CPU21は、照明光学系12に関する状態変数を設定してもよい。照明光学系12に関する状態変数は、光源ユニット11の状態(例えば、照明光学系12の瞳面での光強度分布、照明光学系12の瞳面での光の偏光状態の分布等)を規定する、調整可能な又は固定されたパラメータである。このような照明光学系12に関する状態変数の一具体例として、照明光学系12による照明パターンの形状(つまり、露光光ELの射出パターンの形状)に関する状態変数、σ値に関する状態変数及び露光光EL1の光強度に関する状態変数のうちの少なくとも一つがあげられる。
【0078】
例えば、CPU21は、投影光学系14に関する状態変数を設定してもよい。投影光学系14に関する状態変数は、投影光学系14の状態(例えば、収差やリタデーション等の光学特性)を規定する、調整可能な又は固定されたパラメータである。このような投影光学系14に関する状態変数の一具体例として、投影光学系14が投影する露光光ELの波面形状に関する状態変数、投影光学系14が投影する露光光ELの強度分布に関する状態変数及び投影光学系14が投影する露光光ELの位相シフト量(或いは、位相)に関する状態変数のうちの少なくとも一つがあげられる。
【0079】
その後、CPU21は、ステップS1で取得したデバイスパターンデータが示すデバイスパターンを基板151に形成する像を形成可能なマスクパターンを算出する(ステップS3)。このとき、CPU21は、ステップS2で設定した状態変数が示す状態にある露光装置1が露光光ELを照射するという状況下で上述した算出条件を満たすことが可能なマスクパターンを算出する。このため、CPU21は、マスクパターンを算出する都度、当該算出したマスクパターンが算出条件を満たすか否かを判定する。算出したマスクパターンが算出条件を満たさない場合には、CPU21は、マスクパターンを変更する(言い換えれば、算出したマスクパターンを調整する)動作を、算出条件が満たされるまで繰り返す。但し、CPU21は、マスクパターンを変更することに加えて又は代えて、状態変数を変更してもよい。この場合には、CPU21は、変更後の状態変数が示す状態にある露光装置1が露光光ELを照射するという状況下で上述した算出条件を満たすことが可能なマスクパターンを算出することになる。
【0080】
本実施形態では特に、CPU21は、
図5のステップS3においてマスクパターンを算出する際に、複数の単位マスクパターン部1311uがマスク131に含まれる(つまり、形成される)ことを利用して、相対的に効率的にマスクパターンを算出する。以下、
図6を参照しながら、
図5のステップS3において、複数の単位マスクパターン部1311uがマスク131に含まれることを利用してマスクパターンを算出する処理について更に説明する。
図6は、
図5のステップS3において、複数の単位マスクパターン部1311uがマスク131に含まれることを利用してマスクパターンを算出する処理の流れを示すフローチャートである。尚、説明の便宜上、
図6を用いた説明では、
図3(a)から
図3(b)に示すマスクパターンを算出する動作を用いて説明を進めるが、
図6に示す処理は、任意のマスクパターンを算出する際に適用可能である。
【0081】
図6に示すように、CPU21は、デバイスパターンデータに基づいて、単位デバイスパターン部1511uのパターンレイアウトを取得する(ステップS311)。尚、デバイスパターンには、複数の単位デバイスパターン部1511uが含まれているが、複数の単位デバイスパターン部1511uのパターンレイアウトが同一であるため、CPU21は、一つの単位デバイスパターン部1511uのパターンレイアウトを取得すればよい。
【0082】
その後、CPU21は、ステップS311で取得した一つの単位デバイスパターン部1511uのパターンレイアウトに基づいて、一つの単位マスクパターン部1311uのパターンレイアウトを算出する(ステップS312)。つまり、CPU21は、複数の単位マスクパターン部1311uを含む画素マスクパターン部1311pをまとめて算出することに代えて、まずは、一つの単位マスクパターン部1311uのパターンレイアウトを算出する。
【0083】
本実施形態では、CPU21は、ステップS312において一つの単位マスクパターン部1311uのパターンレイアウトを算出する際に、複数の単位マスクパターン部1311uがマスク131に含まれることを利用する。具体的には、上述したように、CPU21が算出するべきマスクパターンには、繰り返し規則的に配列された複数の単位マスクパターン部1311uが含まれている。複数の単位マスクパターン部1311uのパターンレイアウトは同一である。そうすると、マスク131上では、ある単位マスクパターン部1311uには、当該ある単位マスクパターン部1311u自身の一部が隣接しているはずである。
【0084】
例えば、
図7は、表示パネルの一つの画素に対応するある一つの単位デバイスパターン部1511uを形成するためのある一つの単位マスクパターン部1311uのパターンレイアウトを示している。ある一つの画素に含まれるTFT素子を形成するためのマスクパターン、及び、ある一つの画素に含まれ且つ当該TFT素子につながる信号線(例えば、ゲート線やデータ線等)を形成するためのマスクパターンが含まれている。但し、TFT素子を形成するための走査露光動作と信号線を形成するための走査露光動作とは、異なるマスク131を用いて別々に行われることが一般的である。従って、パターン算出装置2は、実際には、TFT素子を形成するための単位マスクパターン部1311uを含むマスクパターンと、信号線を形成するための単位マスクパターン部1311uを含むマスクパターンとを別個に算出する。しかしながら、本実施形態では、説明の便宜上、
図7(更には、以下の
図8(a)から
図10)において、複数の単位マスクパターン部1311uの繰り返しの配列を分かりやすく図示する目的で、TFT素子を形成するためのマスクパターン及び信号線を形成するためのマスクパターンを含む単位マスクパターン部1311uを用いて説明を進める。
【0085】
図7に示す例では、単位マスクパターン部1311uのXY平面上における形状は、矩形(例えば、長方形又は正方形)となる。つまり、マスク131上で単位マスクパターン部1311uが占める領域のXY平面上における形状は、矩形となる。マスク131上では、このような単位マスクパターン部1311uが、X軸方向及びY軸方向の双方に沿って繰り返し規則的に複数配列される。つまり、マスク131上では、このような単位マスクパターン部1311uが、マトリクス状に複数配列される。
【0086】
この場合、
図8(a)に示すように、単位マスクパターン部1311u-1の+X側には、単位マスクパターン部1311u-2が隣接している。単位マスクパターン部1311u-2のパターンレイアウトは、単位マスクパターン部1311u-1のパターンレイアウトと同一である。このため、実質的には、単位マスクパターン部1311u-1の+X側の外縁(或いは、辺、以下同じ)には、当該単位マスクパターン部1311u-1の-X側の外縁を含む単位マスクパターン部1311u-1の一部である隣接マスクパターン部1311nが隣接する。
【0087】
同様に、
図8(b)に示すように、単位マスクパターン部1311u-1の-X側には、単位マスクパターン部1311u-3が隣接している。単位マスクパターン部1311u-3のパターンレイアウトは、単位マスクパターン部1311u-1のパターンレイアウトと同一である。このため、実質的には、単位マスクパターン部1311u-1の-X側の外縁には、当該単位マスクパターン部1311u-1の+X側の外縁を含む単位マスクパターン部1311u-1の一部である隣接マスクパターン部1311nが隣接する。
【0088】
同様に、
図8(c)に示すように、単位マスクパターン部1311u-1の-Y側には、単位マスクパターン部1311u-4が隣接している。単位マスクパターン部1311u-4のパターンレイアウトは、単位マスクパターン部1311u-1のパターンレイアウトと同一である。このため、実質的には、単位マスクパターン部1311u-1の-Y側の外縁には、当該単位マスクパターン部1311u-1の+Y側の外縁を含む単位マスクパターン部1311u-1の一部である隣接マスクパターン部1311nが隣接する。
【0089】
同様に、
図8(d)に示すように、単位マスクパターン部1311u-1の+Y側には、単位マスクパターン部1311u-5が隣接している。単位マスクパターン部1311u-5のパターンレイアウトは、単位マスクパターン部1311u-1のパターンレイアウトと同一である。このため、実質的には、単位マスクパターン部1311u-1の+Y側の外縁には、当該単位マスクパターン部1311u-1の-Y側の外縁を含む単位マスクパターン部1311u-1の一部である隣接マスクパターン部1311nが隣接する。
【0090】
このような単位マスクパターン部1311uの一部が当該単位マスクパターン部1311uに隣接する隣接マスクパターン部1311nとなり得ることを考慮して、CPU21は、算出しようとしている一つの単位マスクパターン部1311uの一部が、隣接マスクパターン部1311nとして当該一つの単位マスクパターン部1311uに隣接していると仮定する(言い換えれば、みなす)。例えば、
図9に示すように、CPU21は、単位マスクパターン部1311の各辺が延びる方向(つまり、X軸方向及びY軸方向の少なくとも一方)に沿って隣接マスクパターン部1311nが単位マスクパターン部1311uに隣接していると仮定してもよい。具体的には、CPU21は、(i)単位マスクパターン部1311uの+X側の外縁には、当該単位マスクパターン部1311uの-X側の外縁を含む隣接マスクパターン部1311n-1が隣接し、(ii)単位マスクパターン部1311uの-X側の外縁には、当該単位マスクパターン部1311uの+X側の外縁を含む隣接マスクパターン部1311n-2が隣接し、(iii)単位マスクパターン部1311uの+Y側の外縁には、当該単位マスクパターン部1311uの-Y側の外縁を含む隣接マスクパターン部1311n-3が隣接し、(iv)単位マスクパターン部1311uの-Y側の外縁には、当該単位マスクパターン部1311uの+Y側の外縁を含む隣接マスクパターン部1311n-4が隣接していると仮定してもよい。或いは、
図10に示すように、CPU21は、
図9に示す単位マスクパターン部1311の各辺が延びる方向に加えて(或いは、代えて)、単位マスクパターン部1311uの対角方向(つまり、XY平面上でX軸方向及びY軸方向の双方に交差する方向)に沿って隣接マスクパターン部1311nが単位マスクパターン部1311uに隣接していると仮定してもよい。具体的には、CPU21は、(i)単位マスクパターン部1311uの対角方向に沿って、単位マスクパターン部1311uの+X側且つ+Y側の外縁(例えば、頂点、以下この文章において同じ)には、当該単位マスクパターン部1311uの-X側且つ-Y側の外縁を含む隣接マスクパターン部1311n-5が隣接し、(ii)単位マスクパターン部1311uの-X側且つ+Y側の外縁には、当該単位マスクパターン部1311uの+X側且つ-Y側の外縁を含む隣接マスクパターン部1311n-6が隣接し、(iii)単位マスクパターン部1311uの+X側且つ-Y側の外縁には、当該単位マスクパターン部1311uの-X側且つ+Y側の外縁を含む隣接マスクパターン部1311n-7が隣接し、(iv)単位マスクパターン部1311uの-X側且つ-Y側の外縁には、当該単位マスクパターン部1311uの+X側且つ+Y側の外縁を含む隣接マスクパターン部1311n-8が隣接していると仮定してもよい。
【0091】
このような仮定の状況下で、CPU21は、隣接マスクパターン部1311nの影響を考慮して、一つの単位マスクパターン部1311uのパターンレイアウトを算出する。一例として、CPU21は、単位デバイスパターン部1511uに基づいて、まずは、上述した算出条件を満たすように、当該単位デバイスパターン部1511uに対応する単位マスクパターン部1311uを算出する。つまり、CPU21は、まずは、複数の単位マスクパターン部1311uの繰り返しの配列を考慮することなく、単位マスクパターン部1311uを算出する。この時点では、マスクパターン部1311uは、隣接マスクパターン部1311nの存在を考慮することなく(つまり、隣接マスクパターン部1311nが単位マスクパターン部1311uに隣接していないと仮定した上で)算出されている。しかしながら、実際には、単位マスクパターン部1311uには、隣接マスクパターン部1311n(つまり、他の単位マスクパターン部1311uの一部)が隣接している。従って、単位マスクパターン部1311uを介した露光光ELは、露光光EL自身が通過した単位マスクパターン部1311uのみならず、隣接マスクパターン部1311nの影響を受ける可能性がある。このため、隣接マスクパターン部1311nの存在を考慮することなく算出された単位マスクパターン部1311uを介した露光光ELは、隣接マスクパターン部1311nの影響に起因して、単位デバイスパターン部1511uを形成可能な像を基板151上に形成することができない可能性がある。そこで、CPU21は、算出した単位マスクパターン部1311uの一部が、算出した単位マスクパターン部1311uに隣接マスクパターン部1311nとして隣接していると仮定する。その後、CPU21は、隣接マスクパターン部1311nの存在が単位マスクパターン部1311uを介した露光光ELによる単位デバイスパターン部1511uの形成に与える影響を推定し、当該影響を相殺しつつも上述した算出条件を満たすように、単位マスクパターン部1311uの少なくとも一部を補正する。つまり、CPU21は、隣接マスクパターン部1311nが存在している場合であっても、隣接マスクパターン部1311nが存在していない場合と同様に適切な単位デバイスパターン部1511uを形成可能な像を形成することができるように、単位マスクパターン部1311uの少なくとも一部を補正する。尚、単位マスクパターン部1311uの少なくとも一部の補正は、単位マスクパターン部1311uの少なくとも一部の線幅の調整、単位マスクパターン部1311uの少なくとも一部の延伸方向の調整、単位マスクパターン部1311uの少なくとも一部の除去、及び、単位マスクパターン部1311uの少なくとも一部に対する新たなマスクパターンの追加を含んでいる。
【0092】
再び
図6において、単位マスクパターン部1311uの算出の後(或いは、前又は並行して)、CPU21は、デバイスパターンデータに基づいて、周辺回路のデバイスパターンに相当する周辺デバイスパターン部1511sのパターンレイアウトを取得する(ステップS313)。その後、CPU21は、ステップS313で取得した周辺デバイスパターン部1511sに基づいて、周辺マスクパターン部1311sのパターンレイアウトを算出する(ステップS314)。
【0093】
その後、CPU21は、ステップS312で算出した単位マスクパターン部1311uを繰り返し規則的に複数配列する(ステップS315)。具体的には、CPU21は、
図5のステップS1で取得したデバイスパターンデータに基づいて、デバイスパターンに含まれる複数の単位デバイスパターン部1511uの配列態様を特定する。その後、CPU21は、特定した複数の単位デバイスパターン部1511uの配列態様に合わせて、複数の単位マスクパターン部1311uを配列する。その結果、複数の単位マスクパターン部1311uを含む画素マスクパターン部1311p(
図3(b)参照)のパターンレイアウトが算出される。その後、CPU21は、算出した画素マスクパターン部1311pに対して、ステップS314で算出した周辺マスクパターン部1311sを配置する(ステップS315)。その結果、
図11に示すように、複数の単位マスクパターン部1311uを含むマスクパターン1311dのパターンレイアウトが算出される(ステップS315)。
【0094】
その後、CPU21は、ステップS315で算出したマスクパターン1311dを複数配列する(ステップS316)。その結果、
図12に示すように、複数のマスクパターン1311dを含むマスクパターン群1311g(つまり、マスク131上のマスクパターン)が算出される。
【0095】
以上説明したように、本実施形態では、CPU21は、複数の単位マスクパターン部1311uがマスク131に含まれることを利用してマスクパターンを算出することができる。従って、CPU21は、マスクパターンを効率的に算出することができる。
【0096】
尚、上述した
図6のステップS316の処理は、複数の単位マスクパターン部1311uを含むマスクパターン1311dを複数含むマスク131のマスクパターンを算出する際に行われる処理である。しかしながら、パターン算出装置2は、複数の単位マスクパターン部1311uを含むマスクパターン1311dをただ一つ含むマスク131のマスクパターンを算出してもよい。この場合には、上述した
図6のステップS316の処理が行われなくてもよい。
【0097】
(3)変形例
続いて、上述したマスクパターンの算出動作の変形例について説明する。
【0098】
(3-1)第1変形例
上述した説明では、CPU21は、一つの単位マスクパターン部1311uを算出し、当該算出した単位マスクパターン部1311uを複数配列することで、マスクパターン1311dを算出している。一方で、第1変形例では、CPU21は、互いに異なる複数種類の単位マスクパターン部1311uを算出する。
【0099】
具体的には、
図13に示すように、マスクパターン1311dに含まれる複数の単位マスクパターン部1311uの夫々は、他の単位マスクパターン部1311uの隣接位置の違いに基づいて区別可能な複数種類の単位マスクパターン群1311udに分類可能である。
図13に示す例では、例えば、複数の単位マスクパターン部1311uの夫々は、9種類の単位マスクパターン群1311ud-1から1311ud-9のいずれかに分類可能である。単位マスクパターン群1311ud-1には、+X側、-X側、+Y側及び-Y側の夫々に他の単位マスクパターン部1311uが隣接する単位マスクパターン部1311uが属する。単位マスクパターン群1311ud-2には、+X側、-X側及び+Y側の夫々に他の単位マスクパターン部1311uが隣接する一方で、-Y側に他の単位マスクパターン部1311uが隣接しない単位マスクパターン部1311uが属する。単位マスクパターン群1311ud-3には、+X側、-X側及び-Y側の夫々に他の単位マスクパターン部1311uが隣接する一方で、+Y側に他の単位マスクパターン部1311uが隣接しない単位マスクパターン部1311uが属する。単位マスクパターン群1311ud-4には、-X側、+Y側及び-Y側の夫々に他の単位マスクパターン部1311uが隣接する一方で、+X側に他の単位マスクパターン部1311uが隣接しない単位マスクパターン部1311uが属する。単位マスクパターン群1311ud-5には、+X側、+Y側及び-Y側の夫々に他の単位マスクパターン部1311uが隣接する一方で、-X側に他の単位マスクパターン部1311uが隣接しない単位マスクパターン部1311uが属する。単位マスクパターン群1311ud-6には、+X側及び+Y側の夫々に他の単位マスクパターン部1311uが隣接する一方で、-X側及び-Y側の夫々に他の単位マスクパターン部1311uが隣接しない単位マスクパターン部1311uが属する。単位マスクパターン群1311ud-7には、+X側及び-Y側の夫々に他の単位マスクパターン部1311uが隣接する一方で、-X側及び+Y側の夫々に他の単位マスクパターン部1311uが隣接しない単位マスクパターン部1311uが属する。単位マスクパターン群1311ud-8には、-X側及び+Y側の夫々に他の単位マスクパターン部1311uが隣接する一方で、+X側及び-Y側の夫々に他の単位マスクパターン部1311uが隣接しない単位マスクパターン部1311uが属する。単位マスクパターン群1311ud-9には、-X側及び-Y側の夫々に他の単位マスクパターン部1311uが隣接する一方で、+X側及び+Y側の夫々に他の単位マスクパターン部1311uが隣接しない単位マスクパターン部1311uが属する。
【0100】
CPU21は、異なる複数種類の単位マスクパターン群1311udに属する複数種類の単位マスクパターン部1311uを算出する。
図13に示す例では、CPU21は、単位マスクパターン群1311ud-1に属する一つの単位マスクパターン部1311u-11、単位マスクパターン群1311ud-2に属する一つの単位マスクパターン部1311u-12、単位マスクパターン群1311ud-3に属する一つの単位マスクパターン部1311u-13、単位マスクパターン群1311ud-4に属する一つの単位マスクパターン部1311u-14、単位マスクパターン群1311ud-5に属する一つの単位マスクパターン部1311u-15、単位マスクパターン群1311ud-6に属する一つの単位マスクパターン部1311u-16、単位マスクパターン群1311ud-7に属する一つの単位マスクパターン部1311u-17、単位マスクパターン群1311ud-8に属する一つの単位マスクパターン部1311u-18、及び、単位マスクパターン群1311ud-9に属する一つの単位マスクパターン部1311u-19を算出する。
【0101】
複数種類の単位マスクパターン部1311uの夫々を算出する処理自体は、上述した単位マスクパターン部1311uを算出する処理と同一である。従って、CPU21は、各種類の単位マスクパターン部1311uのX側、-X側、+Y側及び-Y側の夫々の外縁のうち他の単位マスクパターン部1311uが隣接する外縁に、各種類の単位マスクパターン部1311uの少なくとも一部が隣接していると仮定した上で、各種類の単位マスクパターン部1311uを算出する。例えば、CPU21は、単位マスクパターン部1311u-11の+X側、-X側、+Y側及び-Y側の夫々の外縁に単位マスクパターン部1311u-11の少なくとも一部が隣接していると仮定した上で、単位マスクパターン部1311u-11を算出する。例えば、CPU21は、単位マスクパターン部1311u-12の+X側、-X側及び+Y側の夫々の外縁に単位マスクパターン部1311u-12の少なくとも一部が隣接していると仮定した上で、単位マスクパターン部1311u-12を算出する。例えば、CPU21は、単位マスクパターン部1311u-13の+X側、-X側及び-Y側の夫々の外縁に単位マスクパターン部1311u-13の少なくとも一部が隣接していると仮定した上で、単位マスクパターン部1311u-13を算出する。例えば、CPU21は、単位マスクパターン部1311u-14の-X側、+Y側及び-Y側の夫々の外縁に単位マスクパターン部1311u-14の少なくとも一部が隣接していると仮定した上で、単位マスクパターン部1311u-14を算出する。例えば、CPU21は、単位マスクパターン部1311u-15の+X側、+Y側及び-Y側の夫々の外縁に単位マスクパターン部1311u-15の少なくとも一部が隣接していると仮定した上で、単位マスクパターン部1311u-15を算出する。例えば、CPU21は、単位マスクパターン部1311u-16の+X側及び+Y側の夫々の外縁に単位マスクパターン部1311u-16の少なくとも一部が隣接していると仮定した上で、単位マスクパターン部1311u-16を算出する。例えば、CPU21は、単位マスクパターン部1311u-17の+X側及び-Y側の夫々の外縁に単位マスクパターン部1311u-17の少なくとも一部が隣接していると仮定した上で、単位マスクパターン部1311u-17を算出する。例えば、CPU21は、単位マスクパターン部1311u-18の-X側及び+Y側の夫々の外縁に単位マスクパターン部1311u-18の少なくとも一部が隣接していると仮定した上で、単位マスクパターン部1311u-18を算出する。例えば、CPU21は、単位マスクパターン部1311u-19の-X側及び-Y側の夫々の外縁に単位マスクパターン部1311u-19の少なくとも一部が隣接していると仮定した上で、単位マスクパターン部1311u-19を算出する。
【0102】
その後、CPU21は、算出した複数種類の単位マスクパターン部1311u及び周辺マスクパターン部1311sを配列することで、マスクパターンを算出する。
【0103】
このような第1変形例によれば、CPU21は、単位マスクパターン部1311u毎に隣接マスクパターン部1311nからの影響が異なることをも考慮して、単位マスクパターン部1311uを算出することができる。このため、CPU21は、所望のデバイスパターンを相対的に高精度に形成可能なマスクパターンを、相対的に効率的に算出することができる。更に、このような第1変形例によって算出されたマスクパターンが形成されたマスク131を用いて基板151を露光する露光装置1は、所望のデバイスパターンを相対的に高精度に形成するように基板151を露光することができる。
【0104】
尚、周辺マスクパターン部1311sに隣接している単位マスクパターン部1311uを算出する際には、CPU21は、周辺マスクパターン部1311sの少なくとも一部が隣接マスクパターン部1311nとして単位マスクパターン部1311uに隣接していると仮定した上で、単位マスクパターン部1311uを算出してもよい。例えば、
図13に示す例では、CPU21は、単位マスクパターン部1311u-15の-X側の外縁に周辺マスクパターン部1311sの少なくとも一部が隣接していると仮定した上で、単位マスクパターン部1311u-15を算出してもよい。単位マスクパターン部1311u-16及び1311ud-17についても同様である。この場合には、CPU21は、単位マスクパターン部1311uを算出する前に、周辺マスクパターン部1311sを算出しておいてもよい。その結果、CPU21は、単位マスクパターン部1311uを介した露光光ELが周辺マスクパターン部1311sから受ける影響をも考慮して、単位マスクパターン部1311uを算出することができる。このため、CPU21は、所望のデバイスパターンを相対的に高精度に形成可能なマスクパターンを、相対的に効率的に算出することができる。
【0105】
同様の理由から、単位マスクパターン部1311uに隣接している周辺マスクパターン部1311sを算出する際には、CPU21は、単位マスクパターン部1311uの少なくとも一部が隣接マスクパターン部1311nとして周辺マスクパターン部1311sに隣接していると仮定した上で、周辺マスクパターン部1311sを算出してもよい。
【0106】
或いは、周辺マスクパターン部1311sに隣接している単位マスクパターン部1311uを算出する際には、CPU21は、
図14に示すように、単位マスクパターン部1311uと当該単位マスクパターン部1311uに隣接する周辺マスクパターン部1311sの少なくとも一部を含む複合マスクパターン部1311cを算出してもよい。このような複合マスクパターン部1311cを算出する場合であっても、単位マスクパターン部1311uに周辺マスクパターン部1311sの少なくとも一部が隣接していると仮定した上で単位マスクパターン部1311uを算出する場合と同様に、CPU21は、所望のデバイスパターンを相対的に高精度に形成可能なマスクパターンを、相対的に効率的に算出することができる。
【0107】
(3-2)第2変形例
上述した説明では、CPU21は、複数のマスクパターン1311dを配列することで、マスクパターン群1311gを算出している。一方で、第2変形例では、CPU21は、複数のマスクパターン1311dを配列した後に、更に、複数のマスクパターン1311dの配列態様に応じて複数のマスクパターン1311dの少なくとも一部を補正することで、マスクパターン群1311gを算出する。以下、第2変形例におけるマスクパターンの算出動作について、
図15を参照しながら説明する。尚、上述した実施形態において行われる処理と同一の処理については、同一のステップ番号を付してその詳細な説明を省略する。
【0108】
図15に示すように、第2変形例においても、上述した実施形態と同様に、ステップS311からステップS316までの処理が行われる。第2変形例では、ステップS316において複数のマスクパターン1311dが配列された後に、CPU21は、複数のマスクパターン1311dがマスク131に含まれる(つまり、複数のマスクパターン1311dが配列される)ことを利用して、複数のマスクパターン1311dの少なくとも一部を補正する(ステップS321)。尚、複数のマスクパターン1311dの少なくとも一部の補正は、複数のマスクパターン1311dの少なくとも一部の線幅の調整、複数のマスクパターン1311dの少なくとも一部の延伸方向の調整、複数のマスクパターン1311dの少なくとも一部の除去、及び、複数のマスクパターン1311dの少なくとも一部に対する新たなマスクパターンの追加を含んでいる。
【0109】
具体的には、上述したように、マスクパターン群1311gに含まれる複数のマスクパターン1311dのパターンレイアウトは同一である。そうすると、マスク131上では、あるマスクパターン1311dには、当該あるマスクパターン1311d自身の一部が隣接しているはずである。このため、CPU21は、単位マスクパターン部1311uの一部が当該単位マスクパターン部1311uに隣接していると仮定した上で単位マスクパターン部1311uを算出する動作と同様の方法で、各マスクパターン1311dに当該各マスクパターン1311d自身の一部が隣接していると仮定した上で各マスクパターン1311dの少なくとも一部を補正する。
【0110】
例えば、
図16に示すように、CPU21は、マスクパターン1311d-1の-X側の外縁に、当該マスクパターン1311d-1の+X側の外縁を含むマスクパターン1311d-1の少なくとも一部が隣接し、マスクパターン1311d-1の+Y側の外縁に、当該マスクパターン1311d-1の-Y側の外縁を含むマスクパターン1311d-1の少なくとも一部が隣接すると仮定する。その上で、CPU21は、隣接していると仮定したマスクパターンの存在が各マスクパターン1311d-1を介した露光光ELによるデバイスパターンの形成に与える影響を推定し、当該影響を相殺しながら上述した算出条件を満たすように、マスクパターン1311d-1の少なくとも一部を補正する。
【0111】
尚、図面の煩雑化を避けるために図示しないものの、CPU21は、マスクパターン1311d-2の-X側の外縁に、当該マスクパターン1311d-2の+X側の外縁を含むマスクパターン1311d-2の少なくとも一部が隣接し、マスクパターン1311d-2の-Y側の外縁に、当該マスクパターン1311d-2の+Y側の外縁を含むマスクパターン1311d-2の少なくとも一部が隣接すると仮定した上で、マスクパターン1311d-2を補正する。CPU21は、マスクパターン1311d-3の+X側の外縁に、当該マスクパターン1311d-3の-X側の外縁を含むマスクパターン1311d-3の少なくとも一部が隣接し、マスクパターン1311d-3の-X側の外縁に、当該マスクパターン1311d-3の+X側の外縁を含むマスクパターン1311d-3の少なくとも一部が隣接し、マスクパターン1311d-3の+Y側の外縁に、当該マスクパターン1311d-3の-Y側の外縁を含むマスクパターン1311d-3の少なくとも一部が隣接すると仮定した上で、マスクパターン1311d-3を補正する。マスクパターン1311d-5については、マスクパターン1311d-3と同様である。このため、CPU21は、マスクパターン1311d-5を、マスクパターン1311d-3と同様の補正態様で補正すればよい。CPU21は、マスクパターン1311d-4の+X側の外縁に、当該マスクパターン1311d-4の-X側の外縁を含むマスクパターン1311d-4の少なくとも一部が隣接し、マスクパターン1311d-4の-X側の外縁に、当該マスクパターン1311d-4の+X側の外縁を含むマスクパターン1311d-4の少なくとも一部が隣接し、マスクパターン1311d-4の-Y側の外縁に、当該マスクパターン1311d-4の+Y側の外縁を含むマスクパターン1311d-4の少なくとも一部が隣接すると仮定した上で、マスクパターン1311d-4を補正する。マスクパターン1311d-6については、マスクパターン1311d-4と同様である。このため、CPU21は、マスクパターン1311d-6を、マスクパターン1311d-4と同様の補正態様で補正すればよい。CPU21は、マスクパターン1311d-7の+X側の外縁に、当該マスクパターン1311d-7の-X側の外縁を含むマスクパターン1311d-7の少なくとも一部が隣接し、マスクパターン1311d-7の+Y側の外縁に、当該マスクパターン1311d-7の-Y側の外縁を含むマスクパターン1311d-7の少なくとも一部が隣接すると仮定した上で、マスクパターン1311d-7を補正する。CPU21は、マスクパターン1311d-8の+X側の外縁に、当該マスクパターン1311d-8の-X側の外縁を含むマスクパターン1311d-8の少なくとも一部が隣接し、マスクパターン1311d-8の-Y側の外縁に、当該マスクパターン1311d-8の+Y側の外縁を含むマスクパターン1311d-8の少なくとも一部が隣接すると仮定した上で、マスクパターン1311d-8を補正する。
【0112】
このような第2変形例によれば、CPU21は、マスクパターン1311d毎に隣接する他のマスクパターンからの影響が異なることをも考慮して、マスクパターン1311dを補正することができる。このため、CPU21は、所望のデバイスパターンを相対的に高精度に形成可能なマスクパターンを、相対的に効率的に算出することができる。更に、このような第2変形例によって算出されたマスクパターンが形成されたマスク131を用いて基板151を露光する露光装置1は、所望のデバイスパターンを相対的に高精度に形成するように基板151を露光することができる。
【0113】
尚、CPU21は、
図17に示すように、隣接する2つのマスクパターン1311dが周辺マスクパターン部1311sを介して隣接するように、複数のマスクパターン1311dを配列してもよい。この場合、CPU21は、複数のマスクパターン1311dを配列する前に、周辺マスクパターン部1311s同士が隣接すると認識することができる。このため、この場合には、CPU21は、単位マスクパターン部1311uの一部が当該単位マスクパターン部1311uに隣接していると仮定した上で単位マスクパターン部1311uを算出する動作と同様の方法で、周辺マスクパターン部1311sの一部が当該周辺マスクパターン部1311sに隣接すると仮定した上で、周辺マスクパターン部1311sを算出してもよい。
【0114】
(3-3)第3変形例
第3変形例では、CPU21は、複数のマスクパターン1311dを配列した後に、上述した継ぎパターン領域131a及び非継ぎパターン領域131bと複数のマスクパターン1311dとの間の対応関係に基づいて複数のマスクパターン1311dの少なくとも一部を補正することで、マスクパターン群1311gを算出する。継ぎパターン領域131a及び非継ぎパターン領域131bは、夫々、基板151上の継ぎ露光領域151a及び非継ぎ露光領域151bに対応している。このため、CPU21は、継ぎ露光領域151a及び非継ぎ露光領域151bと複数のマスクパターン1311dとの間の対応関係に基づいて複数のマスクパターン1311dの少なくとも一部を補正するとも言える。以下、第3変形例におけるマスクパターンの算出動作について、
図18を参照しながら説明する。尚、上述した実施形態において行われる処理と同一の処理については、同一のステップ番号を付してその詳細な説明を省略する。
【0115】
図18に示すように、第3変形例においても、上述した実施形態と同様に、ステップS311からステップS316までの処理が行われる。第3変形例では、ステップS316において複数のマスクパターン1311dが配列された後に、CPU21は、継ぎパターン領域131aを介した露光光ELによる継ぎ露光領域151aにおける露光量と非継ぎパターン領域131bを介した露光光ELによる非継ぎ露光領域151bにおける露光量とに基づいて、複数のマスクパターン1311dの少なくとも一部を補正する(ステップS331)。
【0116】
具体的には、上述したように、継ぎ露光領域151aを規定する各投影領域PRの傾斜部は、X軸方向に沿って重なる2つの傾斜部のX軸方向に沿った幅の総和が、各投影領域PRのX軸方向に沿った幅(つまり、傾斜部以外の領域部分のX軸方向に沿った幅)と同一になるように、設定される。このため、理論的には、二重に露光される継ぎ露光領域151aの露光量は、二重に露光されない非継ぎ露光領域151bの露光量と実質的に同一になる。しかしながら、継ぎ露光領域151aが二重に露光される一方で非継ぎ領域151bが二重に露光されないという違いが存在するがゆえに、何らかの要因によって継ぎ露光領域151aの露光量が非継ぎ露光領域151bの露光量と同一にならない可能性がある。
【0117】
そこで、第3変形例では、CPU21は、複数のマスクパターン1311dの少なくとも一部を補正する前と比較して継ぎ露光領域151aの露光量と非継ぎ露光領域151bの露光量とのずれ(つまり、差分)が小さくなるように又はゼロになるように、複数のマスクパターン1311dの少なくとも一部を補正する。例えば、継ぎ露光領域151aの露光量が非継ぎ露光領域151bの露光量よりも大きい場合には、CPU21は、継ぎ露光領域151aの露光量が小さくなる及び/又は非継ぎ露光領域151bの露光量が大きくなるように、複数のマスクパターン1311dの少なくとも一部を補正してもよい。例えば、継ぎ露光領域151aの露光量が非継ぎ露光領域151bの露光量よりも小さい場合には、CPU21は、継ぎ露光領域151aの露光量が大きくなる及び/又は非継ぎ露光領域151bの露光量が小さくなるように、複数のマスクパターン1311dの少なくとも一部を補正してもよい。
【0118】
CPU21は、複数のマスクパターン1311dのうち継ぎパターン領域131aに形成される継ぎマスクパターン部1311a(例えば、継ぎパターン領域131aに含まれる単位マスクパターン部1311uや周辺マスクパターン部1311s)の少なくとも一部を補正してもよい。つまり、CPU21は、複数のマスクパターン1311dのうち継ぎ露光領域151aを露光するための露光光ELが照射される継ぎマスクパターン部1311aの少なくとも一部を補正してもよい。例えば、CPU21は、複数のマスクパターン1311dのうち非継ぎパターン領域131bに含まれる非継ぎマスクパターン部1311b(例えば、非継ぎパターン領域131bに含まれる単位マスクパターン部1311uや周辺マスクパターン部1311s)の少なくとも一部を補正してもよい。つまり、CPU21は、複数のマスクパターン1311dのうち非継ぎ露光領域151bを露光するための露光光ELが照射される非継ぎマスクパターン部1311bの少なくとも一部を補正してもよい。
【0119】
CPU21が継ぎマスクパターン部1311a及び非継ぎマスクパターン部1311bの双方を補正する場合には、継ぎマスクパターン部1311aの補正内容は、非継ぎマスクパターン部1311bの補正内容と異なる。但し、継ぎマスクパターン部1311aの補正内容は、非継ぎマスクパターン部1311bの補正内容と同一であってもよい。
【0120】
ここで、
図19(a)から
図19(d)を参照しながら、継ぎ露光領域151aの露光量と非継ぎ露光領域151bの露光量とのずれが小さくなるように複数のマスクパターン1311dの少なくとも一部を補正する処理の一具体例について説明する。
【0121】
図19(a)に示すように、基板151に形成されるべきデバイスパターンが、継ぎ露光領域151a及び非継ぎ露光領域151bの間で線幅(より具体的には、基準となる線幅)が同一になるデバイスパターンである場合を例にあげて説明を進める。
【0122】
この場合、継ぎ露光領域151aにおける露光量と非継ぎ露光領域151bにおける露光量との差分を考慮しなければ、CPU21は、
図19(b)に示すように、継ぎパターン領域131aに含まれる継ぎマスクパターン部1311aの線幅が、非継ぎパターン領域131bに含まれる非継ぎマスクパターン部1311bの線幅と同一になるようにマスクパターンを算出する。この場合、継ぎマスクパターン部1311aの線幅と非継ぎマスクパターン部1311bの線幅とが同一になる状況下で継ぎ露光領域151aの露光量と非継ぎ露光領域151bの露光量とが同一になるのであれば、CPU21は、複数のマスクパターン1311dの少なくとも一部を補正しなくてもよい。
【0123】
しかしながら、場合によっては、継ぎマスクパターン部1311aの線幅と非継ぎマスクパターン部1311bの線幅とが同一になる状況下で、継ぎ露光領域151aの露光量と非継ぎ露光領域151bの露光量とが同一にならない可能性がある。この場合、CPU21は、継ぎ露光領域151aの露光量と非継ぎ露光領域151bの露光量とのずれを小さくするように、CPU21は、複数のマスクパターン1311dの少なくとも一部を補正する。具体的には、CPU21は、継ぎマスクパターン部1311a及び非継ぎパターン1311bの少なくとも一方の線幅を調整するように、複数のマスクパターン1311dの少なくとも一部を補正してもよい。つまり、CPU21は、継ぎマスクパターン部1311aの線幅と非継ぎパターン1311bの線幅とが異なるものとなるように継ぎマスクパターン部1311a及び非継ぎマスクパターン部1311bの少なくとも一部を補正してもよい。より具体的には、例えば、基板151にネガレジストが塗布される場合には、CPU21は、継ぎマスクパターン部1311aのうち露光光ELを通過させる透光パターン1311a-1及び非継ぎマスクパターン部1311bのうち露光光ELを通過させる透光パターン1311b-1の少なくとも一部の線幅を調整してもよい。例えば、基板151にポジレジストが塗布される場合には、CU21は、継ぎマスクパターン部1311aのうち露光光ELを遮光する遮光パターン1311a-2及び非継ぎマスクパターン部1311bのうち露光光ELを遮光する遮光パターン1311b-2の少なくとも一部の線幅を調整してもよい。以下では、説明の便宜上、基板151にネガレジストが塗布されている例を用いて説明を進める。つまり、以下の説明では、マスクパターン1311a及びマスクパターン1311bの少なくとも一部の調整が、透光パターン1311a-1及び1311b-1の少なくとも一部の線幅の調整に相当する例を用いて説明を進める。
【0124】
例えば、継ぎ露光領域151aの露光量が非継ぎ露光領域151bの露光量よりも大きい可能性がある。この場合、継ぎ露光領域151aに形成されるデバイスパターンが、非継ぎ露光領域151bに形成されるデバイスパターンよりも太くなってしまう可能性がある。そこで、CPU21は、上述したように、継ぎ露光領域151aの露光量が小さくなる及び/又は非継ぎ露光領域151bの露光量が大きくなるように、透光パターン1311a-1及び1311b-1の少なくとも一部の線幅を調整する。具体的には、
図19(c)に示すように、CPU21は、例えば、透光パターン1311a-1の線幅が透光パターン1311b-1の線幅よりも細くなるように、透光パターン1311a-1及び1311b-1の少なくとも一部の線幅を調整する。
【0125】
或いは、例えば、継ぎマスクパターン部1311aの線幅と非継ぎマスクパターン部1311bの線幅とが同一になる状況下で、継ぎ露光領域151aの露光量が非継ぎ露光領域151bの露光量よりも小さくなる可能性がある。この場合、継ぎ露光領域151aに形成されるデバイスパターンが、非継ぎ露光領域151bに形成されるデバイスパターンよりも細くなってしまう可能性がある。そこで、CPU21は、上述したように、継ぎ露光領域151aの露光量が大きくなる及び/又は非継ぎ露光領域151bの露光量が小さくなるように、透光パターン1311a-1及び1311b-1の少なくとも一部の線幅を調整する。具体的には、
図19(d)に示すように、CPU21は、例えば、透光パターン1311a-1の線幅が透光パターン1311b-1の線幅よりも太くなるように、透光パターン1311a-1及び1311b-1の少なくとも一部の線幅を調整する。
【0126】
このような透光パターン1311a-1及び1311b-1の少なくとも一部の線幅の調整の結果、継ぎ露光領域151aの露光量と非継ぎ露光領域151bの露光量とのずれが小さくなる又はゼロになる。このため、継ぎ露光領域151aに形成されるデバイスパターンの線幅と非継ぎ露光領域151bに形成されるデバイスパターンの線幅とのずれもまた小さくなる又はゼロになる。つまり、このような第3変形例によれば、CPU21は、所望のデバイスパターンを相対的に高精度に形成可能なマスクパターンを、相対的に効率的に算出することができる。更に、このような第3変形例によって算出されたマスクパターンが形成されたマスク131を用いて基板151を露光する露光装置1は、所望のデバイスパターンを相対的に高精度に形成するように基板151を露光することができる。
【0127】
尚、継ぎ露光領域151aの露光量と非継ぎ露光領域151bの露光量とのずれは、露光装置1の特性や、基板151に塗布されるレジストの特性等に依存して変動する。このため、パターン算出装置2は、メモリ22内に、継ぎ露光領域151aの露光量と非継ぎ露光領域151bの露光量とのずれと、露光装置1の特性及び基板151に塗布されるレジストの特性等との間の相関関係を示す第1相関情報を予め格納しておいてもよい。このような第1相関情報は、露光装置1が実際に露光した基板151の計測結果に基づいて生成されてもよいし、露光装置1の動作のシミュレーションの結果に基づいて生成されてもよい。第1相関情報がメモリ22に予め格納されている場合には、CPU21は、当該第1相関情報に基づいて、パターン算出装置2が算出したマスクパターンが形成されたマスク131を実際に使用する露光装置1における継ぎ露光領域151aと非継ぎ露光領域151bとの間での露光量のずれを特定してもよい。その後、CPU21は、特定したずれが小さくなる又はゼロになるように、複数のマスクパターン1311dの少なくとも一部を補正してもよい。
【0128】
また、継ぎ露光領域151aと非継ぎ露光領域151bとの間での露光量のずれの補正量は、複数のマスクパターン1311dの少なくとも一部の補正内容(例えば、線幅の調整量)に依存する。このため、パターン算出装置2は、メモリ22内に、継ぎ露光領域151aと非継ぎ露光領域151bとの間での露光量のずれの補正量と、複数のマスクパターン1311dの少なくとも一部の補正内容との間の相関関係を示す第2相関情報を予め格納しておいてもよい。このような第2相関情報は、露光装置1が実際に露光した基板151の計測結果に基づいて生成されてもよいし、露光装置1の動作のシミュレーションの結果に基づいて生成されてもよい。第2相関情報がメモリ22に予め格納されている場合には、CPU21は、継ぎ露光領域151aと非継ぎ露光領域151bとの間での露光量のずれを小さくする又はゼロにするために必要な補正量を特定すると共に、第2相関情報に基づいて、特定した補正量だけ露光量のずれを補正するために必要な複数のマスクパターン1311dの少なくとも一部の補正内容を特定してもよい。
【0129】
また、CPU21は、継ぎ露光領域151aの露光量と非継ぎ露光領域151bの露光量とに基づくことに加えて又は代えて、継ぎ露光領域151aにおける任意の露光特性と非継ぎ露光領域151bにおける任意の露光特性とに基づいて、複数のマスクパターン1311dの少なくとも一部を補正してもよい。例えば、CPU21は、継ぎ露光領域151aにおける任意の露光特性と非継ぎ露光領域151bにおける任意の露光特性とのずれ(つまり、差分)が小さくなる又はゼロになるように、複数のマスクパターン1311dの少なくとも一部を補正してもよい。
【0130】
また、上述した説明では、継ぎ露光領域151aは、複数の投影光学系14が夫々設定する複数の投影領域PRによって規定されている。しかしながら、露光装置1が単一の投影光学系14を備えている(つまり、単一の投影領域PRが設定される)場合であっても、基板151上に継ぎ露光領域151aが規定可能である。例えば、あるデバイスパターンの少なくとも一部を形成するためのN1(但し、N1は、1以上の整数)回目の走査露光動作によって露光光ELが投影される領域の少なくとも一部と、同じデバイスパターンの少なくとも一部を形成するためのN2(但し、N2は、N1とは異なる1以上の整数)回目の走査露光動作によって露光光ELが投影される領域の少なくとも一部とが重複する場合には、基板151上には、同じデバイスパターン(例えば、同一レイヤのデバイスパターン)を形成するために露光光ELが2回以上露光される領域が存在する。この露光光ELが2回以上露光される領域は、上述した継ぎ露光領域151aに相当する。一方で、例えば、N1回目の走査露光動作によって露光光ELが投影される領域の少なくとも一部が、N2(但し、N2は、N1とは異なる1以上の整数)回目の走査露光動作によって露光光ELが投影される領域と重複しない場合には、基板151上には、同じデバイスパターンを形成するために露光光ELが1回しか露光されない領域が存在する。この露光光ELが1回しか露光されない領域は、上述した非継ぎ露光領域151bに相当する。従って、パターン算出装置2は、第3変形例の算出方法を用いて、単一の投影光学系14を備えている(つまり、単一の投影領域PRが設定される)露光装置1が用いるマスク131のマスクパターンをも算出することができる。
【0131】
また、第3変形例では、CPU21は、単位マスクパターン部1311uを算出した後に当該算出した単位マスクパターン部1311uを複数配列することでマスクパターンを算出しなくてもよい。この場合、CPU21は、任意の方法でデバイスパターンに対応するマスクパターンを算出し、その後、当該算出したマスクパターンを、継ぎパターン領域131a及び非継ぎパターン領域131bと複数のマスクパターン1311dとの間の対応関係に応じて補正してもよい。この場合であっても、CPU21は、所望のデバイスパターンを相対的に高精度に形成可能なマスクパターンを算出することができることに変わりはない。
【0132】
(3-4)第4変形例
上述した第3変形例では、CPU21は、継ぎ露光領域151aにおける露光量と非継ぎ露光領域151bにおける露光量とのずれが小さくなる又はゼロになるように、複数のマスクパターン1311dの少なくとも一部を補正することで、マスクパターン群1311gを算出する。一方で、第4変形例では、CPU21は、複数のマスクパターン1311dを配列した後に、継ぎ露光領域151aにおける露光量のばらつきが小さくなる又はゼロになるように、複数のマスクパターン1311dの少なくとも一部を補正することで、マスクパターン群1311gを算出する。以下、第4変形例におけるマスクパターンの算出動作について、
図20を参照しながら説明する。尚、上述した実施形態において行われる処理と同一の処理については、同一のステップ番号を付してその詳細な説明を省略する。また、以下の説明で特段説明しない処理内容については、第3変形例での処理内容と同一であってもよい。
【0133】
図20に示すように、第4変形例においても、上述した実施形態と同様に、ステップS311からステップS316までの処理が行われる。第4変形例では、ステップS316において複数のマスクパターン1311dが配列された後に、CPU21は、継ぎパターン領域131aを介した露光光ELによる継ぎ露光領域151aにおける露光量に基づいて、複数のマスクパターン1311dの少なくとも一部を補正する(ステップS341)。
【0134】
具体的には、上述したように、継ぎ露光領域151aを規定するようにX軸方向に沿って重なる2つの投影領域PRの傾斜部のX軸方向に沿った幅の総和は、一定値(具体的には、傾斜部以外の領域部分のX軸方向に沿った幅)となるように、設定される。このため、理論的には、2つの投影領域PRによって二重に露光される継ぎ露光領域151a内において、露光量にばらつきが生ずることはない。しかしながら、ある継ぎ露光領域151a内において、2つの投影領域PRのうちの一方による露光量と2つの投影領域PRのうちの他方による露光量との比率Rが変わり得る。具体的には、
図21に示すように、Y軸方向に沿った継ぎ露光領域151aの中心を通ってX軸方向に沿って延びる領域151ar-1では、一方の投影領域PR(
図21に示す例では、投影領域PRa)による露光量と他方の投影領域PR(
図21に示す例では、投影領域PRb)による露光量との比率Rは、概ね50:50となる。一方で、Y軸方向に沿った継ぎ露光領域151aの中心よりも-Y側に所定量だけシフトした位置を通ってX軸方向に沿って延びる領域151ar-2では、一方の投影領域PRaによる露光量と他方の投影領域PRbによる露光量との比率Rは、概ねR1(但し、R1>50):R2(但し、R2<50)となる。Y軸方向に沿った継ぎ露光領域151aの中心よりも+Y側に所定量だけシフトした位置を通ってX軸方向に沿って延びる領域151ar-3では、一方の投影領域PRaによる露光量と他方の投影領域PRbによる露光量との比率Rは、概ねR3(但し、R3<50):R4(但し、R4>50)となる。このような継ぎ露光領域151a内における比率Rの変動に起因して、継ぎ露光領域151a内において露光量にばらつきが生ずる可能性がある。
【0135】
そこで、第4変形例では、CPU21は、複数のマスクパターン1311dの少なくとも一部を補正する前と比較して継ぎ露光領域151a内の露光量のばらつきが小さくなるように、複数のマスクパターン1311d(例えば、継ぎマスクパターン部1311aや、透光パターン1311a-1や、遮光パターン1311a-2)の少なくとも一部を補正する。或いは、CPU21は、複数のマスクパターン1311dの少なくとも一部を補正する前と比較して継ぎ露光領域151a内の露光量のばらつきがゼロになる(つまり、露光量が均一になる)ように、複数のマスクパターン1311dの少なくとも一部を補正する。例えば、継ぎ露光領域151a内の第1領域の露光量が継ぎ露光領域151a内の第2領域の露光量よりも大きい場合には、CPU21は、第1領域の露光量が小さくなる及び/又は第2領域の露光量が大きくなるように、複数のマスクパターン1311dの少なくとも一部を補正してもよい。例えば、継ぎ露光領域151a内の第1領域の露光量が継ぎ露光領域151a内の第2領域の露光量よりも小さい場合には、CPU21は、第1領域の露光量が大きくなる及び/又は第2領域の露光量が小さくなるように、複数のマスクパターン1311dの少なくとも一部を補正してもよい。
【0136】
一例として、継ぎ露光領域151a内のある領域における比率Rが50:50(=1)に近づけば近づくほど、当該ある領域における露光量が大きくなる可能性がある。より具体的には、
図21に示す例では、
図21の右側のグラフに示すように、継ぎ露光領域151a内において、領域151ar-1における露光量が最大となり、Y軸方向に沿って露光領域151ar-1からより多く離れた領域ほど露光量が小さくなる可能性がある。つまり、継ぎ露光領域151a内において、Y軸方向に沿った継ぎ露光領域151aの中心部における露光量が最大となり、当該中心部からのY軸方向に沿ってより多く離れた領域ほど露光量が小さくなる可能性がある。この場合には、CPU21は、Y軸方向に沿った継ぎ露光領域151aの中心部からY軸方向に沿ってより多く離れた領域ほど、複数のマスクパターン1311dの少なくとも一部の補正によって露光量がより多く増加するように、複数のマスクパターン1311dの少なくとも一部を補正してもよい。或いは、CPU21は、Y軸方向に沿った継ぎ露光領域151aの中心部からY軸方向に沿ってより多く離れた領域ほど、複数のマスクパターン1311dの少なくとも一部の補正によって露光量が減少しにくくなるように、複数のマスクパターン1311dの少なくとも一部を補正してもよい。より具体的には、例えば、
図22に示すように、CPU21は、継ぎパターン領域131a内において、Y軸方向に沿った継ぎ露光領域151aの中心部からY軸方向に沿ってより多く離れた領域ほど、継ぎマスクパターン部1311aの線幅が太くなるように、継ぎマスクパターン部1311aの少なくとも一部を調整してもよい。尚、
図22に示すマスクパターンは、継ぎ露光領域151a及び非継ぎ露光領域151bの間で線幅が同一になるデバイスパター(つまり、
図19(a)に示すデバイスパターン)を形成するためのマスクパターンである。
【0137】
このような複数のマスクパターン1311dの少なくとも一部の補正の結果、継ぎ露光領域151aにおける露光量のばらつきが小さくなる又はゼロになる。このため、継ぎ露光領域151aに形成されるデバイスパターンの線幅のばらつきもまた小さくなる又はゼロになる。つまり、このような第4変形例によれば、CPU21は、所望のデバイスパターンを相対的に高精度に形成可能なマスクパターンを、相対的に効率的に算出することができる。更に、このような第4変形例によって算出されたマスクパターンが形成されたマスク131を用いて基板151を露光する露光装置1は、所望のデバイスパターンを相対的に高精度に形成するように基板151を露光することができる。
【0138】
尚、継ぎ露光領域151aにおける露光量のばらつきは、露光装置1の特性や、基板151に塗布されるレジストの特性等に依存して変動する。このため、パターン算出装置2は、メモリ22内に、継ぎ露光領域151aにおける露光量のばらつきと、露光装置1の特性及び基板151に塗布されるレジストの特性等との間の相関関係を示す第3相関情報を予め格納しておいてもよい。このような第3相関情報は、露光装置1が実際に露光した基板151の計測結果に基づいて生成されてもよいし、露光装置1の動作のシミュレーションの結果に基づいて生成されてもよい。第3相関情報がメモリ22に予め格納されている場合には、CPU21は、当該第3相関情報に基づいて、パターン算出装置2が算出したマスクパターンが形成されたマスク131を実際に使用する露光装置1での継ぎ露光領域151aにおける露光量のばらつきを特定してもよい。その後、CPU21は、特定したばらつきが小さくなる又はゼロになるように、複数のマスクパターン1311dの少なくとも一部を補正してもよい。
【0139】
また、継ぎ露光領域151aにおける露光量のばらつきの補正量は、複数のマスクパターン1311dの少なくとも一部の補正内容(例えば、線幅の調整量)に依存する。このため、パターン算出装置2は、メモリ22内に、継ぎ露光領域151aにおける露光量のばらつきの補正量と、複数のマスクパターン1311dの少なくとも一部の補正内容との間の相関関係を示す第4相関情報を予め格納しておいてもよい。このような第4相関情報は、露光装置1が実際に露光した基板151の計測結果に基づいて生成されてもよいし、露光装置1の動作のシミュレーションの結果に基づいて生成されてもよい。第4相関情報がメモリ22に予め格納されている場合には、CPU21は、継ぎ露光領域151aにおける露光量のばらつきを小さくする又はゼロにするために必要な補正量を特定すると共に、第4相関情報に基づいて、特定した補正量だけ露光量のばらつきを補正するために必要な複数のマスクパターン1311dの少なくとも一部の補正内容を特定してもよい。
【0140】
また、CPU21は、継ぎ露光領域151aにおける露光量のばらつきに基づくことに加えて又は代えて、継ぎ露光領域151aにおける任意の露光特性のばらつきに基づいて、複数のマスクパターン1311dの少なくとも一部を補正してもよい。例えば、CPU21は、継ぎ露光領域151aにおける任意の露光特性のばらつきが小さくなる又はゼロになるように、複数のマスクパターン1311dの少なくとも一部を補正してもよい。
【0141】
また、第4変形例では、CPU21は、単位マスクパターン部1311uを算出した後に当該算出した単位マスクパターン部1311uを複数配列することでマスクパターンを算出しなくてもよい。この場合、CPU21は、任意の方法でデバイスパターンに対応するマスクパターンを算出し、その後、当該算出したマスクパターンを、継ぎ露光領域151aにおける露光量のばらつきが小さくなる又はゼロになるように補正してもよい。この場合であっても、CPU21は、所望のデバイスパターンを相対的に高精度に形成可能なマスクパターンを算出することができることに変わりはない。
【0142】
(3-5)第5変形例
第5変形例では、CPU21は、複数のマスクパターン1311dを配列した後に、複数の投影光学系14と複数のマスクパターン1311dとの間の対応関係に応じて複数のマスクパターン1311dの少なくとも一部を補正することで、マスクパターン群1311gを算出する。複数の投影光学系14は、複数の照明領域IR(或いは、複数の投影領域PR)に夫々対応する。従って、CPU21は、複数の照明領域IR(或いは、複数の投影領域PR)と複数のマスクパターン1311dとの間の対応関係に応じて複数のマスクパターン1311dの少なくとも一部を補正するとも言える。以下、第5変形例におけるマスクパターンの算出動作について、
図23を参照しながら説明する。尚、上述した実施形態において行われる処理と同一の処理については、同一のステップ番号を付してその詳細な説明を省略する。
【0143】
図23に示すように、第5変形例においても、上述した実施形態と同様に、ステップS311からステップS316までの処理が行われる。第5変形例では、ステップS316において複数のマスクパターン1311dが配列された後に、CPU21は、複数の投影光学系14から夫々投影される複数の露光光ELによる露光量のばらつきに基づいて、複数のマスクパターン1311dの少なくとも一部を補正する(ステップS351)。
【0144】
具体的には、複数の投影光学系14は、複数の投影光学系14の間で光学特性(例えば、収差等)が同じになるように製造される。この場合、複数の投影光学系14からの複数の露光光ELによる露光量は、全て同じになるはずである。しかしながら、実際には、製造誤差等に起因して、複数の投影光学系14の間で光学特性のばらつきが生ずる可能性がある。例えば、一の投影光学系14の光学特性が、他の投影光学系14の光学特性と同一にならない可能性がある。この場合、一の投影光学系14から投影される一の露光光ELによる露光量は、他の投影光学系14から投影される他の露光光ELによる露光量と同一にならない可能性がある。その結果、基板151上において、一の投影光学系14から投影される一の露光光ELによって露光される一の露光領域における露光量は、他の投影光学系14から投影される他の露光光ELによって露光される他の露光領域における露光量と同一にならない可能性がある。より具体的には、一の投影光学系14に対応する一の投影領域PRが設定される基板151上の一の露光領域における露光量は、他の投影光学系14に対応する他の投影領域PRが設定される基板151上の他の露光領域における露光量と同一にならない可能性がある。
【0145】
そこで、第5変形例では、CPU21は、複数のマスクパターン1311dの少なくとも一部を補正する前と比較して複数の投影光学系14から夫々投影される複数の露光光ELによる露光量のばらつきが小さくなるように、複数のマスクパターン1311dの少なくとも一部を補正する。或いは、CPU21は、複数のマスクパターン1311dの少なくとも一部を補正する前と比較して複数の投影光学系14からの複数の露光光ELによる露光量のばらつきがゼロになる(つまり、複数の露光光ELによる露光量が全て同じになる)ように、複数のマスクパターン1311dの少なくとも一部を補正する。言い換えれば、CPU21は、複数のマスクパターン1311dの少なくとも一部を補正する前と比較して複数の投影光学系14から夫々投影される複数の露光光ELによって夫々露光される基板151上の複数の露光領域における露光量のばらつきが小さくなる又はゼロになるように、複数のマスクパターン1311dの少なくとも一部を補正する。例えば、一の投影光学系14から投影される一の露光光ELによって露光される一の露光領域の露光量が他の投影光学系14から投影される他の露光光ELによって露光される他の露光領域の露光量よりも大きい場合には、CPU21は、一の露光領域の露光量が小さくなる及び/又は他の露光領域の露光量が大きくなるように、複数のマスクパターン1311dの少なくとも一部を補正してもよい。例えば、一の投影光学系14から投影される一の露光光ELによって露光される一の露光領域の露光量が他の投影光学系14から投影される他の露光光ELによって露光される他の露光領域の露光量よりも小さい場合には、CPU21は、一の露光領域の露光量が大きくなる及び/又は他の露光領域の露光量が小さくなるように、複数のマスクパターン1311dの少なくとも一部を補正してもよい。
【0146】
一の投影光学系14から投影される一の露光光ELによって露光される基板151上の一の露光領域は、基板151上において一の投影光学系14に対応する投影領域PRが設定される領域(より具体的には、基板151の移動に伴って投影領域PRが通過する領域)である。ある投影領域PRが設定される基板151上の領域を露光する露光光ELは、当該ある投影領域PRに対応する照明領域IRが設定されるマスク131上の領域(より具体的には、マスク131の移動に伴って照明領域IRが通過する領域)を介して基板151に投影される露光光ELである。このため、CPU21は、一の投影光学系14から投影される一の露光光ELによって露光される一の露光領域の露光量を調整するために、当該一の投影光学系14に対応する照明領域IR(つまり、一の投影光学系14によって投影される露光光ELが照射される照明領域IR)が通過するマスク131上の領域に含まれるマスクパターンを補正してもよい。例えば、CPU21は、投影光学系14aから投影される露光光ELによって露光される露光領域の露光量を調整するために、照明領域IRaが設定されるマスク131上の領域に含まれるマスクパターン(例えば、照明領域IRaが設定される領域に含まれる単位マスクパターン部1311uや、周辺マスクパターン部1311s等)を補正してもよい。例えば、CPU21は、投影光学系14bから投影される露光光ELによって露光される露光領域の露光量を調整するために、照明領域IRbが設定されるマスク131上の領域に含まれるマスクパターン(例えば、照明領域IRbが設定される領域に含まれる単位マスクパターン部1311uや、周辺マスクパターン部1311s等)を補正してもよい。投影光学系14cから14g(照明領域IRaからIRg)についても同様である。
【0147】
CPU21は、一の照明領域IRが設定されるマスク131上の領域に含まれる一のマスクパターンの補正内容と、他の照明領域IRが設定されるマスク131上の領域に含まれる他のマスクパターンの補正内容とが異なるように、複数のマスクパターン1311dの少なくとも一部を補正する。なぜならば、露光量のばらつきの原因の一つが複数の投影光学系14の間での光学特性のばらつきであるがゆえに、一のマスクパターンの補正内容と他のマスクパターンの補正内容とを異ならしめれば複数の投影光学系14の間での光学特性のばらつきがマスクパターンによって補正可能である(その結果、露光量のばらつきも補正可能である)からである。但し、CPU21は、一の照明領域IRが設定されるマスク131上の領域に含まれるマスクパターンの補正内容と、他の照明領域IRが設定されるマスク131上の領域に含まれるマスクパターンの補正内容とが同一となるように、複数のマスクパターン1311dの少なくとも一部を補正してもよい。
【0148】
続いて、
図24(a)から
図24(c)及び
図25(a)から
図25(b)を参照しながら、複数の投影光学系14から夫々投影される複数の露光光ELによる露光量のばらつきが小さくなるように複数のマスクパターン1311dの少なくとも一部を補正する処理の一具体例について説明する。
【0149】
上述したように、複数の投影光学系14から夫々投影される複数の露光光ELによる露光量のばらつきが生ずる原因の一つは、複数の投影光学系14の間での光学特性のばらつきである。このような光学特性の一例として、収差(特に、歪曲収差)があげられる。歪曲収差は、投影光学系14が像面に形成する像が歪む現象である。
【0150】
例えば、
図24(a)は、歪曲収差が発生していない投影光学系14の像面141と当該像面141内に設定される投影領域PRを示す。尚、像面141内の点線は、像面141のゆがみを表現するための補助線である。更に、
図24(a)は、歪曲収差が発生していない投影光学系14の投影領域PRに投影された露光光ELで走査露光された基板151上のある位置における露光量を示している。特に、
図24(a)は、基板151上においてY軸方向に沿って並ぶ3つの位置A、位置B及び位置Cにおける露光量を示している。位置Aは、投影領域PRのY軸方向における中央部よりも-Y側においてX軸に沿って延びる領域aに投影される露光光ELの一部(
図24(a)では、便宜上、“露光光ELa(1)、露光光ELa(2)、・・・、露光光ELa(n)”と表記する)によって順次走査露光される。位置Bは、投影領域PRのY軸方向における中央部においてX軸に沿って延びる領域bに投影される露光光ELの一部(
図24(a)では、便宜上、“露光光ELb(1)、露光光ELb(2)、・・・、露光光ELb(n)”と表記する)によって順次走査露光される。位置Cは、投影領域PRのY軸方向における中央部よりも+Y側においてX軸に沿って延びる領域cに投影される露光光ELの一部(
図24(a)では、便宜上、“露光光ELc(1)、露光光ELc(2)、・・・、露光光ELc(n)”と表記する)によって順次走査露光される。
図24(a)に示すように、歪曲収差が発生していない場合には、位置Aから位置Cにおける露光量(特に、その分布パターン)は同一となる。その結果、同一線幅のマスクパターンを介して露光光ELが位置Aから位置Cに投影されると、位置Aから位置Cに同一線幅のデバイスパターンが形成される。
【0151】
一方で、
図24(b)は、歪曲収差(特に、像面の中央から外側に向かって膨らむ歪みが発生する、樽型の歪曲収差)が発生している投影光学系14の像面141と当該像面141内に設定される投影領域PRを示す。更に、
図24(b)は、樽型の歪曲収差が発生している投影光学系14の投影領域PRに投影された露光光ELで走査露光された基板151上のある位置における露光量も示している。
図24(c)は、歪曲収差(特に、像面の外側から中央に向かって窪んだ歪みが発生する、糸巻き型の歪曲収差)が発生している投影光学系14の像面141と当該像面141内に設定される投影領域PRを示す。更に、
図24(c)は、糸巻き型の歪曲収差が発生している投影光学系14の投影領域PRに投影された露光光ELで走査露光された基板151上のある位置における露光量も示している。
図24(b)から
図24(c)から分かるように、歪曲収差が発生している場合には、歪曲収差による像面141のゆがみに応じて、露光光ELa(1)、露光光ELa(2)、・・・、露光光ELa(n)が投影される領域a及び露光光ELc(1)、露光光ELc(2)、・・・、露光光ELc(n)が投影される領域cもまた湾曲する。このため、位置A及びCにおける露光量(特に、その分布パターン)は、位置Bにおける露光量(特に、その分布パターン)と異なるものになる。具体的には、位置A及びCにおける露光量のピーク値が位置Bにおける露光量のピーク値よりも小さくなり、且つ、位置A及びCにおける露光量の減少勾配が位置Bにおける露光量の減少勾配よりも小さくなる。その結果、同一線幅のマスクパターンを介して露光光ELが位置Aから位置Cに投影されたとしても、位置A及びCに形成されるデバイスパターンの線幅は、位置Bに形成されるデバイスパターンの線幅よりも太くなる可能性がある。
【0152】
複数の投影光学系14の全てに歪曲収差が発生しない又は同一の歪曲収差が発生する可能性はゼロではないものの、現実的には、複数の投影光学系14の夫々に異なる歪曲収差が発生する又は複数の投影光学系14の一部にのみ歪曲収差が発生する可能性が高い。このため、このような歪曲収差を複数の投影光学系14の調整によって解消することは容易ではない。従って、歪曲収差の解消が容易でない以上、このような歪曲収差に起因して、複数の投影光学系14から夫々投影される複数の露光光ELによる露光量のばらつきが生ずる。例えば、
図25(a)は、投影光学系14aに樽型の歪曲収差が発生し、投影光学系14bに糸巻き型の歪曲収差が発生し、投影光学系14cに歪曲収差が発生していない場合に基板151上に設定される投影領域PRaからPRcを示す。
図25(a)に示すように、投影領域PRaは、非継ぎ露光領域151b-a及び継ぎ露光領域151a-abに跨って設定される。投影領域PRcは、継ぎ露光領域151a-ab、非継ぎ露光領域151b-b及び継ぎ露光領域151a-bcに跨って設定される。投影領域PRcは、継ぎ露光領域151a-bc及び非継ぎ露光領域151b-cに設定される。このため、
図25(a)の右側に示すように、継ぎ露光領域151a-abから151a-bc及び非継ぎ露光領域151b-aから151b-cの間で、露光量にばらつきが生ずる。その結果、継ぎ露光領域151a-abから151a-bc及び非継ぎ露光領域151b-aから151b-cの間で、形成されるデバイスパターンの線幅にもばらつきが生ずる。更には、継ぎ露光領域151a-abから151a-bc及び非継ぎ露光領域151b-aから151b-bの夫々の内部においても、露光量にばらつきが生ずる。その結果、継ぎ露光領域151a-abから151a-bc及び非継ぎ露光領域151b-aから151b-bの内部においても、形成されるデバイスパターンの線幅にばらつきが生ずる。
【0153】
そこで、CPU21は、
図25(b)に示すように、このような露光量のばらつきを小さくする(特に、形成されるデバイスパターンの線幅のばらつきを小さくする)ように、継ぎ露光領域151a-abに対応する継ぎパターン領域131a-ab、継ぎ露光領域151a-bcに対応する継ぎパターン領域131a-bc、非継ぎ露光領域151b-aに対応する非継ぎパターン領域131b-a、非継ぎ露光領域151b-bに対応する非継ぎパターン領域131b-b、及び、非継ぎ露光領域151b-cに対応する非継ぎパターン領域131b-cの少なくとも一つに含まれるマスクパターンの少なくとも一部を補正する。例えば、CPU21は、第3変形例から第4変形例と同様に、マスクパターンの少なくとも一部の線幅を調整するように、マスクパターンを補正してもよい。更に、CPU21は、マスクパターンの補正内容(例えば、線幅の調整量)が、マスクパターンを補正する前の露光量に応じた量となるように、マスクパターンを補正してもよい。その結果、
図25(b)の右側に示すように、補正されたマスクパターンによれば、継ぎ露光領域151a-abから151a-bc及び非継ぎ露光領域151b-aから151b-cの間での露光量のばらつきが小さくなる(
図25(b)に示す例では、ゼロになる)。このため、継ぎ露光領域151a-abから151a-bc及び非継ぎ露光領域151b-aから151b-cの間で、形成されるデバイスパターンの線幅のばらつきが小さくなる(
図25(b)に示す例では、ゼロになる)。更には、
図25(b)に示す例では、継ぎ露光領域151a-abから151a-bc及び非継ぎ露光領域151b-aから151b-bの夫々の内部における露光量のばらつきもまた小さくなる。その結果、継ぎ露光領域151a-abから151a-bc及び非継ぎ露光領域151b-aから151b-bの内部においても、形成されるデバイスパターンの線幅のばらつきが小さくなる。
【0154】
更に、
図26(a)から
図26(b)及び
図27(a)から
図27(b)を参照しながら、複数の投影光学系14から夫々投影される複数の露光光ELによる露光量のばらつきが小さくなるように複数のマスクパターン1311dの少なくとも一部を補正する処理の他の具体例について説明する。
【0155】
上述したように、複数の露光光ELによる露光量のばらつきが生ずる原因の一つは、複数の投影光学系14の間での光学特性のばらつきである。このような光学特性の一例として、収差(特に、像面湾曲)があげられる。像面湾曲は、投影光学系14の像面141が、投影光学系14に対して凹面又は凸面となるように湾曲する現象である。像面141が湾曲しているがゆえに、基板151では、像面湾曲が発生している投影光学系14から投影される露光光ELは、実質的にはデフォーカスした状態にある。
【0156】
例えば、
図26(a)は、像面湾曲が発生していない投影光学系14の像面141と当該像面141内に設定される投影領域PRを示す。更に、
図26(a)は、像面湾曲が発生していない投影光学系14の投影領域PRに投影された露光光ELで走査露光された基板151上のある位置(上述した位置Aから位置C)における露光量を示している。
図24(a)に示すように、像面湾曲が発生していない場合には、位置Aから位置Cにおける露光量(特に、その分布パターン)は同一となる。その結果、同一線幅のマスクパターンを介して露光光ELが位置Aから位置Cに投影されると、位置Aから位置Cに同一線幅のデバイスパターンが形成される。
【0157】
一方で、
図26(b)は、像面湾曲が発生している投影光学系14の像面141と当該像面141内に設定される投影領域PRを示す。更に、
図26(b)は、像面湾曲が発生している投影光学系14の投影領域PRに投影された露光光ELで走査露光された基板151上のある位置(位置Aから位置C)における露光量を示している。
図26(b)に示す例では、位置Bにおいて、像面141が基板151の表面に一致している(つまり、ピントが合っている)ものとする。この場合、位置Bにおいて露光光ELが適切に集光されるものの、位置A及びCにおいては、露光光ELがデフォーカスした状態にある。このため、位置A及びCにおける露光量(特に、その分布パターン)は、位置Bにおける露光量(特に、その分布パターン)と異なるものになる。具体的には、位置A及びCにおける露光量のピーク値が位置Bにおける露光量のピーク値よりも小さくなり、且つ、位置A及びCにおける露光量の減少勾配が位置Bにおける露光量の減少勾配よりも小さくなる。その結果、同一線幅のマスクパターンを介して露光光ELが位置Aから位置Cに投影されたとしても、位置A及びCに形成されるデバイスパターンの線幅は、位置Bに形成されるデバイスパターンの線幅よりも太くなる可能性がある。
【0158】
複数の投影光学系14の全てに像面湾曲が発生しない又は同一の像面湾曲が発生する可能性がゼロではないものの、現実的には、複数の投影光学系14の夫々に異なる像面湾曲が発生する又は複数の投影光学系14の一部にのみ像面湾曲が発生する可能性が高い。このため、このような像面湾曲を複数の投影光学系14の調整によって解消することは容易ではない。従って、像面湾曲の解消が容易でない以上、このような像面湾曲に起因して、複数の投影光学系14から夫々投影される複数の露光光ELによる露光量のばらつきが生ずる。例えば、
図27(a)は、投影光学系14aに像面141が凹面となるように湾曲する像面湾曲が発生し、投影光学系14bに像面141が凸面となるように湾曲する像面湾曲が発生し、投影光学系14cに像面湾曲が発生していない場合に基板151上に設定される投影領域PRaからPRcを示す。
図26(a)に示すように、継ぎ露光領域151a-abから151a-bc及び非継ぎ露光領域151b-aから151b-cの間で、露光量にばらつきが生ずる。その結果、継ぎ露光領域151a-abから151a-bc及び非継ぎ露光領域151b-aから151b-cの間で、形成されるデバイスパターンの線幅にもばらつきが生ずる。更には、継ぎ露光領域151a-abから151a-bc及び非継ぎ露光領域151b-aから151b-bの夫々の内部においても、露光量にばらつきが生ずる。その結果、継ぎ露光領域151a-abから151a-bc及び非継ぎ露光領域151b-aから151b-bの内部においても、形成されるデバイスパターンの線幅にばらつきが生ずる。
【0159】
そこで、CPU21は、
図27(b)に示すように、このような露光量のばらつきを小さくする(特に、形成されるデバイスパターンの線幅のばらつきを小さくする)ように、継ぎパターン領域131a-ab、継ぎパターン領域131a-bc、非継ぎパターン領域131b-a、非継ぎパターン領域131b-b、及び、非継ぎパターン領域131b-cの少なくとも一つに含まれるマスクパターンの少なくとも一部を補正する。その結果、
図27(b)の右側に示すように、補正されたマスクパターンによれば、継ぎ露光領域151a-abから151a-bc及び非継ぎ露光領域151b-aから151b-cとの間での露光量のばらつきが小さくなる(
図27(b)に示す例では、ゼロになる)。このため、継ぎ露光領域151a-abから151a-bc及び非継ぎ露光領域151b-aから151b-cの間で、形成されるデバイスパターンの線幅のばらつきが小さくなる(
図27(b)に示す例では、ゼロになる)。更には、
図27(b)に示す例では、継ぎ露光領域151a-abから151a-bc及び非継ぎ露光領域151b-aから151b-bの夫々の内部における露光量のばらつきもまた小さくなる。その結果、継ぎ露光領域151a-abから151a-bc及び非継ぎ露光領域151b-aから151b-bの内部においても、形成されるデバイスパターンの線幅のばらつきが小さくなる。
【0160】
このように、第5変形例によれば、複数の投影光学系14から夫々投影される複数の露光光ELによる露光量のばらつきが小さくなる又はゼロになる。このため、異なる投影光学系14から投影される異なる露光光ELが夫々投影される基板151上の異なる領域に形成されるデバイスパターンの線幅のばらつきもまた小さくなる又はゼロになる。つまり、このような第5変形例によれば、CPU21は、所望のデバイスパターンを相対的に高精度に形成可能なマスクパターンを、相対的に効率的に算出することができる。更に、このような第5変形例によって算出されたマスクパターンが形成されたマスク131を用いて基板151を露光する露光装置1は、所望のデバイスパターンを相対的に高精度に形成するように基板151を露光することができる。
【0161】
尚、複数の投影光学系14から夫々投影される複数の露光光ELによる露光量のばらつきは、露光装置1の特性や、基板151に塗布されるレジストの特性等に依存して変動する。このため、パターン算出装置2は、メモリ22内に、複数の投影光学系14から夫々投影される複数の露光光ELによる露光量のばらつきと、露光装置1の特性及び基板151に塗布されるレジストの特性等との間の相関関係を示す第5相関情報を予め格納しておいてもよい。このような第5相関情報は、露光装置1が実際に露光した基板151の計測結果に基づいて生成されてもよいし、露光装置1の動作のシミュレーションの結果に基づいて生成されてもよい。第5相関情報がメモリ22に予め格納されている場合には、CPU21は、当該第5相関情報に基づいて、パターン算出装置2が算出したマスクパターンが形成されたマスク131を実際に使用する露光装置1での複数の露光光ELによる露光量のばらつきを特定してもよい。その後、CPU21は、特定したばらつきが小さくなる又はゼロになるように、複数のマスクパターン1311dの少なくとも一部を補正してもよい。
【0162】
また、複数の露光光ELによる露光量のばらつきの補正量は、複数のマスクパターン1311dの少なくとも一部の補正内容(例えば、線幅の調整量)に依存する。このため、パターン算出装置2は、メモリ22内に、複数の露光光ELによる露光量のばらつきの補正量と、複数のマスクパターン1311dの少なくとも一部の補正内容との間の相関関係を示す第6相関情報を予め格納しておいてもよい。このような第6相関情報は、露光装置1が実際に露光した基板151の計測結果に基づいて生成されてもよいし、露光装置1の動作のシミュレーションの結果に基づいて生成されてもよい。第6相関情報がメモリ22に予め格納されている場合には、CPU21は、複数の露光光ELによる露光量のばらつきを小さくする又はゼロにするために必要な補正量を特定すると共に、第6相関情報に基づいて、特定した補正量だけ露光量のばらつきを補正するために必要な複数のマスクパターン1311dの少なくとも一部の補正内容を特定してもよい。
【0163】
また、CPU21は、複数の投影光学系14から夫々投影される複数の露光光ELによる露光量のばらつきに基づくことに加えて又は代えて、当該複数の露光光ELによる任意の露光特性のばらつきに基づいて、複数のマスクパターン1311dの少なくとも一部を補正してもよい。例えば、CPU21は、複数の露光光ELによる任意の露光特性のばらつきが小さくなる又はゼロになるように、複数のマスクパターン1311dの少なくとも一部を補正してもよい。
【0164】
また、第5変形例では、CPU21は、単位マスクパターン部1311uを算出した後に当該算出した単位マスクパターン部1311uを複数配列することでマスクパターンを算出しなくてもよい。この場合、CPU21は、任意の方法でデバイスパターンに対応するマスクパターンを算出し、その後、当該算出したマスクパターンを、複数の投影光学系14から夫々投影される複数の露光光ELによる露光量のばらつきが小さくなる又はゼロになるように補正してもよい。この場合であっても、CPU21は、所望のデバイスパターンを相対的に高精度に形成可能なマスクパターンを算出することができることに変わりはない。
【0165】
また、第5変形例では、CPU21は、複数の投影光学系14から夫々投影される複数の露光光ELによる露光特性のばらつきに基づいて、複数のマスクパターン1311dの少なくとも一部を補正している。しかしながら、CPU21は、これに加えて又は代えて、ある一の投影光学系14から投影される露光光ELによる露光特性のばらつき(つまり、一の投影光学系14に対応する一の投影領域PR内での露光特性のばらつき)に基づいて、複数のマスクパターン1311dの少なくとも一部を補正してもよい。つまり、CPU21は、複数の投影光学系14から夫々投影される複数の露光光ELによる露光特性のばらつきを考慮することなく、複数のマスクパターン1311dの少なくとも一部を補正している。具体的には、
図24(b)及び
図24(c)に示すように、歪曲収差が発生している投影光学系14の投影領域PR内では、露光特性にばらつきが発生している(つまり、位置A及びCにおける露光量が位置Bにおける露光量と異なる状態を引き起こすような露光特性のばらつきが発生している)。像面歪曲が発生する場合も同様である。更には、投影光学系14の光学特性によっては、歪曲収差及び像面歪曲が発生していない投影光学系14の投影領域PR内においても、露光特性にばらつきが発生する可能性がある。このため、CPU21は、このような単一の投影光学系14から投影される露光光ELによる露光特性のばらつき(つまり、単一の投影光学系14に対応する単一の投影領域PR内での露光特性のばらつき)を小さくする又はゼロになるように、複数のマスクパターン1311dの少なくとも一部を補正してもよい。
【0166】
(4)デバイス製造方法
続いて、
図28を参照しながら、上述した露光装置1を用いて表示パネルを製造する方法について説明する。
図28は、上述した露光装置1を用いて表示パネルを製造するデバイス製造方法の流れを示すフローチャートである。尚、以下では、説明の便宜上、表示パネルの一例である液晶表示パネルを製造するデバイス製造方法について説明する。但し、その他の表示パネルもまた、
図28に示すデバイス製造方法の少なくとも一部を改変したデバイス製造方法を用いて製造可能である。
【0167】
図28のステップS200(マスク製造工程)では、まず、マスク131が製造される。つまり、マスクパターン算出装置2によってマスクパターンが算出されると共に、算出されたマスクパターンが形成されたマスク131が製造される。その後、ステップS201(パターン形成工程)では、露光対象の基板151上にレジストを塗布する塗布工程、上述した露光装置1を用いて表示パネル用のマスクパターンを基板151に転写する露光工程、及び、当該基板151を現像する現像工程が実行される。この塗布工程、露光工程、及び現像工程を含むリソグラフィ工程によって、基板151上に、マスクパターン(或いは、デバイスパターン)に対応するレジストパターンが形成される。リソグラフィ工程に続いて、レジストパターンをマスクとしたエッチング工程及びレジストパターンを除去する剥離工程等が実行される。その結果、基板151上にデバイスパターンが形成される。このようなリソグラフィ工程等は、基板151に形成されるレイヤの数に応じて複数回実行される。
【0168】
ステップS202(カラーフィルタ形成工程)では、カラーフィルタが形成される。ステップS203(セル組立工程)では、ステップS201においてデバイスパターンが形成された基板151とステップS202において形成されたカラーフィルタとの間に液晶を注入される。その結果、液晶セルが製造される。
【0169】
その後のステップS204(モジュール組立工程)では、ステップS203において製造された液晶セルに所望の表示動作を行わせるための部品(例えば、電気回路及びバックライト等)が取り付けられる。その結果、液晶表示パネルが完成する。
【0170】
上述の各実施形態の構成要件の少なくとも一部は、上述の各実施形態の構成要件の少なくとも他の一部と適宜組み合わせることができる。上述の各実施形態の構成要件のうちの一部が用いられなくてもよい。また、法令で許容される限りにおいて、上述の各実施形態で引用した露光装置等に関する全ての公開公報及び米国特許の開示を援用して本文の記載の一部とする。
【0171】
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うパターン算出装置、パターン算出方法、マスク、露光装置、デバイス製造方法、コンピュータプログラム、及び、記録媒体もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0172】
1 露光装置
131 マスク
131a 継ぎパターン領域
131b 非継ぎパターン領域
1311u 単位マスクパターン部
1311p 画素マスクパターン部
1311s 周辺マスクパターン部
1311d マスクパターン
1311g マスクパターン群
14 投影光学系
15 基板ステージ
151 基板
151a 継ぎ領域
151b 非継ぎ領域
1511u 単位デバイスパターン部
EL 露光光
IR 照明領域
PR 投影領域