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特許7495077乾燥水電解水素ガスの連続的製造方法及びその装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】乾燥水電解水素ガスの連続的製造方法及びその装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/26 20060101AFI20240528BHJP
   C01B 3/02 20060101ALI20240528BHJP
   C25B 1/04 20210101ALI20240528BHJP
   H01M 8/04119 20160101ALI20240528BHJP
   H01M 8/0656 20160101ALI20240528BHJP
   B01D 53/28 20060101ALI20240528BHJP
   B01D 53/14 20060101ALI20240528BHJP
   B01D 53/18 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
B01D53/26 300
C01B3/02 H
C25B1/04
H01M8/04119
H01M8/0656
B01D53/28
B01D53/14 220
B01D53/18 110
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020113888
(22)【出願日】2020-07-01
(65)【公開番号】P2021007938
(43)【公開日】2021-01-28
【審査請求日】2023-04-24
(31)【優先権主張番号】P 2019123170
(32)【優先日】2019-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1.発行者名:一般社団法人水素エネルギー協会、刊行物名:第39回水素エネルギー協会大会予稿集、頁:第91頁~第92頁、発行年月日:2019年12月2日 2.集会名:第39回水素エネルギー協会大会、公開日:2019年12月3日(開催期間2019年12月2日~3日)
(73)【特許権者】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000230593
【氏名又は名称】日本化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100177149
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 浩義
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(72)【発明者】
【氏名】金久保 光央
(72)【発明者】
【氏名】牧野 貴至
(72)【発明者】
【氏名】河野 雄樹
(72)【発明者】
【氏名】前田 哲彦
(72)【発明者】
【氏名】黒坂 万里子
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 努
(72)【発明者】
【氏名】古井 恵里
【審査官】河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-202917(JP,A)
【文献】特開2018-051543(JP,A)
【文献】特公昭56-007734(JP,B1)
【文献】特開2003-183674(JP,A)
【文献】特表2017-538571(JP,A)
【文献】特表2007-501105(JP,A)
【文献】特開昭50-141150(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/14 - 53/18
B01D 53/26 - 53/28
C25B 1/04
C01B 3/02
C01B 3/52
H01M 8/0656
H01M 8/04119
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を電解することで、水素と原料水由来の水蒸気とを含有する湿潤水電解水素ガスを連続的に得る水素生成工程と、
前記湿潤水電解水素ガスを流通させて吸収液と気液混合して接触させることで、前記水蒸気を選択的に前記吸収液に吸収させて、水分含有量が減少した乾燥水電解水素ガスと、水分含有量が増加したリッチ吸収液との気液混合体を連続的に得る水素乾燥工程と、
前記乾燥水電解水素ガスと前記リッチ吸収液との前記気液混合体を連続的に気液分離することで、気相として前記乾燥水電解水素ガスと、液相として前記リッチ吸収液を連続的に得る水素分離工程と、
気液分離した前記リッチ吸収液の一部を抜き出し、流通させた再生用乾燥水素ガスと気液混合して接触させることで前記再生用乾燥水素ガスに水分を移動させて、水分含有量が減少したリーン吸収液と、水分含有量が増加した湿潤水素ガスとの気液混合体を連続的に得る吸収液再生工程と、
前記リーン吸収液と前記湿潤水素ガスとの前記気液混合体を連続的に気液分離することで、気相として前記湿潤水素ガスと、液相として前記リーン吸収液とを連続的に得る再生吸収液分離工程と、
気液分離した前記リーン吸収液を、前記水素乾燥工程の前記吸収液に連続的に戻す吸収液循環工程と、
を含み、
前記吸収液再生工程では、前記リッチ吸収液を加熱、及び/又は減圧下で前記再生用乾燥水素ガスと接触させる、乾燥水電解水素ガスの連続的製造方法。
【請求項2】
前記再生用乾燥水素ガスは、前記水素分離工程で気液分離した前記乾燥水電解水素ガスの一部であり、
前記再生吸収液分離工程で気液分離した前記湿潤水素ガスを、前記水素生成工程の湿潤水電解水素ガスに混合する水素循環工程を更に含む、請求項1に記載の乾燥水電解水素ガスの連続的製造方法。
【請求項3】
前記吸収液再生工程で前記リッチ吸収液と接触させる前記再生用乾燥水素ガスの量は、前記再生用乾燥水素ガス:前記水素分離工程で気液分離した前記乾燥水電解水素ガスの比(体積比)で1:100~40:100の範囲である、請求項1または請求項2に記載の乾燥水電解水素ガスの連続的製造方法。
【請求項4】
前記吸収液循環工程における前記吸収液の循環量は、循環回数で0.01回/時~1回/時の範囲である、請求項1~のいずれか1項に記載の乾燥水電解水素ガスの連続的製造方法。
【請求項5】
前記水素乾燥工程の温度が、0℃~100℃の範囲であり、前記吸収液再生工程の温度が、前記水素乾燥工程の温度より高くかつ50℃~200℃の範囲である、請求項1~のいずれか1項に記載の乾燥水電解水素ガスの連続的製造方法。
【請求項6】
前記水素乾燥工程の圧力が、0.1MPaG~100MPaGの範囲であり、前記吸収液再生工程の圧力が、前記水素乾燥工程の圧力より低くかつ-0.1MPaG~1MPaGの範囲である、請求項1~のいずれか1項に記載の乾燥水電解水素ガスの連続的製造方法。
【請求項7】
前記吸収液は、イオン液体及び/又はトリエチレングリコールを含有する、請求項1~のいずれか1項に記載の乾燥水電解水素ガスの連続的製造方法。
【請求項8】
前記吸収液は、前記イオン液体を含有し、前記イオン液体は式(1)で表される、請求項に記載の乾燥水電解水素ガスの連続的製造方法。
【化1】
【請求項9】
水を電解することで、水素と原料水由来の水蒸気とを含有する湿潤水電解水素ガスを連続的に得る水素生成手段と、
前記湿潤水電解水素ガスを流通させて吸収液と気液混合して接触させることで、前記水蒸気を選択的に前記吸収液に吸収させて、水分含有量が減少した乾燥水電解水素ガスと、水分含有量が増加したリッチ吸収液との気液混合体を得る水素乾燥手段と、
前記乾燥水電解水素ガスと前記リッチ吸収液との前記気液混合体を気液分離して、気相の前記乾燥水電解水素ガスと液相の前記リッチ吸収液を連続的に得る水素分離手段と、
気液分離した前記リッチ吸収液の一部を連続的に抜き出す吸収液抜き出し手段と、
抜き出した前記リッチ吸収液を流通させた再生用乾燥水素ガスと気液混合して接触させることで前記再生用乾燥水素ガスに水分を移動させて、水分含有量が減少したリーン吸収液と、水分含有量が増加した湿潤水素ガスとの気液混合体を連続的に得る吸収液再生手段と、
前記リーン吸収液と前記湿潤水素ガスとの前記気液混合体を連続的に気液分離して、気相の湿潤水素ガスと液相の前記リーン吸収液を得る再生吸収液分離手段と、
気液分離した前記リーン吸収液を、前記水素乾燥手段の前記吸収液に連続的に戻す吸収液循環手段と、
を備え、
前記吸収液再生手段は、前記リッチ吸収液を加熱する加熱手段、及び/又は前記乾燥水電解水素ガスを吸引する減圧手段を更に備える、乾燥水電解水素ガスの連続的製造装置。
【請求項10】
前記水素分離手段で分離した前記乾燥水電解水素ガスの一部を前記吸収液再生手段に前記再生用乾燥水素ガスとして連続的に移送する水素ガス抜き出し手段を更に備える、請求項に記載の乾燥水電解水素ガスの連続的製造装置。
【請求項11】
前記再生吸収液分離手段で気液分離した前記湿潤水素ガスを前記水素生成手段に移送して前記湿潤水電解水素ガスと混合する水素循環手段を更に備える、請求項10に記載の乾燥水電解水素ガスの連続的製造装置。
【請求項12】
前記水素乾燥手段と前記水素分離手段とは、第1反応器と第2反応器とを備え、
前記第1反応器は、第1吸収液入口と第1吸収液出口と第1ガス吹込口と第1ガス抜出口とを備え、
前記第2反応器は、第2吸収液入口と第2吸収液出口と第2ガス吹込口と第2ガス抜出口とを備え、
前記第1吸収液出口と前記第2吸収液入口とが接続され、前記第2ガス抜出口と前記第1ガス吹込口とが接続され、
前記吸収液と前記湿潤水電解水素ガスとが向流で移動する、請求項11のいずれか1項に記載の乾燥水電解水素ガスの連続的製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥水電解水素ガスの連続的製造方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水素ガスは、水素自動車や燃料電池車の燃料などの用途で需要が増大している。例えば、水素ガスを燃料電池車の燃料として用いる場合、燃料電池車用の水素ステーションで高圧下貯蔵された水素ガスを燃料電池車に充填する。その際、水素を供給する配管の経路に断熱膨脹によって低温になる部分があり、水素ガスに水分が多いと、その低温部で水蒸気が凝縮、凝固して、配管が閉塞するなどの問題が生じる恐れがある。そのため、用いる水素ガスの露点は低いほど望ましい。例えば、水素ガスの規格であるG1グレードでは、純度が99.99999体積%超で、窒素含有量が0.05体積ppm未満、露点が-80℃未満と規定されており、G2グレードでは、純度が99.999体積%超で、窒素含有量が5体積ppm未満、露点が-70℃以下と規定されている。
【0003】
一方、水素の製造方法としては、アルカリ水電解、固体高分子型水電解などの、水を電解して水素を製造する方法がある。水電解による水素の製造は、太陽光、風力などの再生可能エネルギーによって得られる発電電力を用いることができ有益である。しかし、水電解によって得られる水素には原料水由来の水分が混入するため、この水分を除去することが必要であり、除湿プロセスの研究がなされている。
【0004】
例えば、本発明者らは、特許文献1において、水を電解して水電解ガスを得る水電解ガス生成工程と、前記水電解ガス生成工程で得られた、原料水由来の水蒸気を含有する水電解ガスと、イオン液体を含有する吸収液とを接触させて、水蒸気を選択的に前記吸収液に吸収させる吸収工程と、前記吸収工程で湿度の減少した乾燥水電解水素ガスと、水蒸気を吸収した富吸収液を気液分離する分離工程とを含む乾燥水電解水素ガスの製造方法を開示した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-51543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
気体の一般的な除湿プロセスとしては、水蒸気を含む混合気体をチラーで冷却することで液化した水分を除去して露点を下げるプロセス、水蒸気を含む混合気体を吸着剤や吸収液に接触させることで水分を吸着剤や吸収液に吸着・吸収して除去して露点を下げるプロセスなどがある。
【0007】
しかしながら、前者の混合気体を冷却する除湿プロセスを水電解水素ガスに適用すると、除去対象の水だけでなく、水電解水素ガスそのものも低温に冷却しなければならず、余分にエネルギーが必要となる。また、水電解水素ガスの水素ガスは、除湿後に圧縮し、貯蔵や運搬することが多いが、冷却による水素ガスの分圧低下は、その後の圧縮工程の圧縮エネルギーの増加に繋がり、エネルギー的に不利となる。
【0008】
後者の吸着剤や吸収液を用いる除湿プロセスには、ゼオライトなどの固体の吸着剤と液体の吸収液を用いる方法がある。
【0009】
固体吸着剤を用いて除湿を行う場合、水分を吸収した固体吸着剤の再生には、高温(~200℃)で加熱処理を行う必要がある。そのため、この除湿プロセスを水分の量が多い水電解水素ガスに適用すると、必要とされるエネルギーが多大となる。また、一般に固体吸着剤による除湿はバッチ処理(2筒あるいは多筒式)が行われている。このバッチ処理は、その都度吸着剤のみならず装置そのものを昇温および冷却する必要があり、バッチ処理部の装置全体を加熱し、その後に冷却する必要がある。そしてこの処理においては熱交換が困難であるので、エネルギーが多大となる。
【0010】
液体の吸収液を用いる場合には、水を吸収した水リッチな吸収液を再生塔に送り込み、吸収された水を除去して、再生したリーン吸収液を吸収塔に戻して、再使用することが可能である。この場合には、再生塔は所定の温度に保てば良く、昇温および冷却を繰り返す必要はない。くわえて、低温の水リッチな吸収液と高温のリーン吸収液との間などで熱交換が容易である。
【0011】
しかしながら、液体の吸収液を用いる場合においても、吸収液の再生が容易でなく乾燥水電解水素ガスの製造が困難になる場合があった。例えば、吸収液の再生方法として、再生塔において水リッチな吸収液を加熱したり減圧したりする方法を採用しても水リッチな吸収液から水分を除去することが容易でない場合があった。
【0012】
したがって、本発明の課題は、水電解により製造された、高湿度な水電解水素ガスから、効率良く高純度の乾燥水電解水素ガスを製造する方法及びその装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前述の課題を解決するため、本発明の第一の観点に係る乾燥水電解水素ガスの連続的製造方法は、
水を電解することで、水素と原料水由来の水蒸気とを含有する湿潤水電解水素ガスを連続的に得る水素生成工程と、
前記湿潤水電解水素ガスを流通させて吸収液と気液混合して接触させることで、前記水蒸気を選択的に前記吸収液に吸収させて、水分含有量が減少した乾燥水電解水素ガスと、
水分含有量が増加したリッチ吸収液との気液混合体を連続的に得る水素乾燥工程と、
前記乾燥水電解水素ガスと前記リッチ吸収液との前記気液混合体を連続的に気液分離することで、気相として前記乾燥水電解水素ガスと、液相として前記リッチ吸収液を連続的に得る水素分離工程と、
気液分離した前記リッチ吸収液の一部を抜き出し、流通させた再生用乾燥水素ガスと気液混合して接触させることで前記再生用乾燥水素ガスに水分を移動させて、水分含有量が減少したリーン吸収液と、水分含有量が増加した湿潤水素ガスとの気液混合体を連続的に得る吸収液再生工程と、
前記リーン吸収液と前記湿潤水素ガスとの前記気液混合体を連続的に気液分離することで、気相として前記湿潤水素ガスと、液相として前記リーン吸収液とを連続的に得る再生吸収液分離工程と、
気液分離した前記リーン吸収液を、前記水素乾燥工程の前記吸収液に連続的に戻す吸収液循環工程と、
を含み、
前記吸収液再生工程では、前記リッチ吸収液を加熱、及び/又は減圧下で前記再生用乾燥水素ガスと接触させる
【0014】
前記再生用乾燥水素ガスは、前記水素分離工程で気液分離した前記乾燥水電解水素ガスの一部であり、
前記再生吸収液分離工程で気液分離した前記湿潤水素ガスを、前記水素生成工程の湿潤水電解水素ガスに混合する水素循環工程を更に含む、と好ましい。
【0016】
前記吸収液再生工程で前記リッチ吸収液と接触させる前記再生用乾燥水素ガスの量は、前記再生用乾燥水素ガス:前記水素分離工程で気液分離した前記乾燥水電解水素ガスの比(体積比)で1:100~40:100の範囲である、と好ましい。
【0017】
前記吸収液循環工程における前記吸収液の循環量は、循環回数で0.01回/時~1回/時の範囲である、と好ましい。
【0018】
前記水素乾燥工程の温度が、0℃~100℃の範囲であり、前記吸収液再生工程の温度が、前記水素乾燥工程の温度より高くかつ50℃~200℃の範囲である、と好ましい。
【0019】
前記水素乾燥工程の圧力が、0.1MPaG~100MPaGの範囲であり、前記吸収液再生工程の圧力が、前記水素乾燥工程の圧力より低くかつ-0.1MPaG~1MPaGの範囲である、と好ましい。
【0020】
前記吸収液は、イオン液体及び/又はトリエチレングリコールを含有する、と好ましい。
【0021】
前記吸収液は、前記イオン液体を含有し、前記イオン液体は式(1)で表される、と好ましい。
【化1】
【0022】
本発明の第二の観点に係る乾燥水電解水素ガスの連続的製造装置は、
水を電解することで、水素と原料水由来の水蒸気とを含有する湿潤水電解水素ガスを連続的に得る水素生成手段と、
前記湿潤水電解水素ガスを流通させて吸収液と気液混合して接触させることで、前記水蒸気を選択的に前記吸収液に吸収させて、水分含有量が減少した乾燥水電解水素ガスと、
水分含有量が増加したリッチ吸収液との気液混合体を得る水素乾燥手段と、
前記乾燥水電解水素ガスと前記リッチ吸収液との前記気液混合体を気液分離して、気相の前記乾燥水電解水素ガスと液相の前記リッチ吸収液を連続的に得る水素分離手段と、
気液分離した前記リッチ吸収液の一部を連続的に抜き出す吸収液抜き出し手段と、
抜き出した前記リッチ吸収液を流通させた再生用乾燥水素ガスと気液混合して接触させることで前記再生用乾燥水素ガスに水分を移動させて、水分含有量が減少したリーン吸収液と、水分含有量が増加した湿潤水素ガスとの気液混合体を連続的に得る吸収液再生手段と、
前記リーン吸収液と前記湿潤水素ガスとの前記気液混合体を連続的に気液分離して、気相の湿潤水素ガスと液相の前記リーン吸収液を得る再生吸収液分離手段と、
気液分離した前記リーン吸収液を、前記水素乾燥手段の前記吸収液に連続的に戻す吸収液循環手段と、
を備え
前記吸収液再生手段は、前記リッチ吸収液を加熱する加熱手段、及び/又は前記乾燥水電解水素ガスを吸引する減圧手段を更に備える。
【0023】
前記乾燥水電解水素ガスの連続的製造装置は、前記水素分離手段で分離した前記乾燥水電解水素ガスの一部を前記吸収液再生手段に前記再生用乾燥水素ガスとして連続的に移送する水素ガス抜き出し手段を更に備える、と好ましい。
【0024】
前記乾燥水電解水素ガスの連続的製造装置は、前記再生吸収液分離手段で気液分離した前記湿潤水素ガスを前記水素生成手段に移送して前記湿潤水電解水素ガスと混合する水素循環手段を更に備える、と好ましい。
【0026】
前記水素乾燥手段と前記水素分離手段とは、第1反応器と第2反応器とを備え、
前記第1反応器は、第1吸収液入口と第1吸収液出口と第1ガス吹込口と第1ガス抜出口とを備え、
前記第2反応器は、第2吸収液入口と第2吸収液出口と第2ガス吹込口と第2ガス抜出口とを備え、
前記第1吸収液出口と前記第2吸収液入口とが接続され、前記第2ガス抜出口と前記第1ガス吹込口とが接続され、
前記吸収液と前記湿潤水電解水素ガスとが向流で移動する、と好ましい。
【発明の効果】
【0027】
本発明により、水電解により製造された、高湿度な水電解水素ガスから、効率良く高純度の乾燥水電解水素ガスを製造する方法及びその装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の一実施形態に係る乾燥水電解水素ガスの製造装置(吸収液再生に乾燥水素を使用)を示す図。
図2】本発明の一実施形態に係る乾燥水電解水素ガスの製造装置(吸収液再生に乾燥水素を使用し減圧する)を示す図。
図3】本発明の一実施形態に係る乾燥水電解水素ガスの製造装置(吸収液再生に製造した乾燥水素を使用)を示す図。
図4】本発明の一実施形態に係る乾燥水電解水素ガスの製造装置(吸収液再生に製造した乾燥水素を使用し減圧する)を示す図。
図5】本発明の一実施形態に係る乾燥水電解水素ガスの製造装置(吸収液再生に製造した乾燥水素を使用し、循環させる)を示す図。
図6】実施例1に用いた乾燥水電解水素ガスの製造装置を示す図。
図7】実施例1、6、7の乾燥水電解水素ガスの露点の経時変化を示すグラフ。
図8】実施例1、6、7の吸収塔のリッチ吸収液、再生塔のリーン吸収液中の水分量の経時変化を示すグラフ。
図9】実施例1、2、10の乾燥水電解水素ガスの露点の経時変化を示すグラフ。
図10】実施例1、2、10の吸収塔のリッチ吸収液、再生塔のリーン吸収液中の水分量の経時変化を示すグラフ。
図11】実施例1、3、4の乾燥水電解水素ガスの露点の経時変化を示すグラフ。
図12】実施例1、3、4の吸収塔のリッチ吸収液、再生塔のリーン吸収液中の水分量の経時変化を示すグラフ。
図13】参考例1、実施例4、9の乾燥水電解水素ガスの露点の経時変化を示すグラフ。
図14】参考例1、実施例4、9の吸収塔のリッチ吸収液、再生塔のリーン吸収液中の水分量の経時変化を示すグラフ。
図15】実施例1、5、8の乾燥水電解水素ガスの露点の経時変化を示すグラフ。
図16】実施例1、5、8の吸収塔のリッチ吸収液、再生塔のリーン吸収液中の水分量の経時変化を示すグラフ。
図17】本発明の一実施形態に係る吸収塔(槽型反応器)を示す図。
図18】本発明の一実施形態に係る吸収塔(管型反応器(1段))を示す図。
図19】本発明の一実施形態に係る吸収塔(管型反応器(2段))を示す図。
図20】実験例1に用いた吸収塔(1段)を示す図。
図21】実験例2に用いた吸収塔(2段)を示す図。
図22】実験例1、6の乾燥水電解水素ガスの露点の経時変化を示すグラフ。
図23】実験例2、3の乾燥水電解水素ガスの露点の経時変化を示すグラフ。
図24】実験例1、2の乾燥水電解水素ガスの露点の経時変化を示すグラフ。
図25】実験例3、6の乾燥水電解水素ガスの露点の経時変化を示すグラフ。
図26】実験例10、11の乾燥水電解水素ガスの露点の経時変化を示すグラフ。
図27】実験例14、15の乾燥水電解水素ガスの露点の経時変化を示すグラフ。
図28】実験例11、12、13の乾燥水電解水素ガスの露点の経時変化を示すグラフ。
図29】実験例3、4、5、7の乾燥水電解水素ガスの露点の経時変化を示すグラフ。
図30】実験例7、8、9、10の乾燥水電解水素ガスの露点の経時変化を示すグラフ。
図31】実験例10、14の乾燥水電解水素ガスの露点の経時変化を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の乾燥水電解水素ガスの連続的製造方法について以下に説明する。
【0030】
本発明の一実施形態に係る乾燥水電解水素ガスの連続的製造方法は、水素生成工程と、水素乾燥工程と、水素分離工程と、吸収液再生工程と、再生吸収液分離工程と、吸収液循環工程とを含む。この各工程は、並行して同時に行うことができ、乾燥水電解水素ガスを連続的に製造する。
【0031】
(水素生成工程)
水素生成工程では、水を電解することで、水素と原料水由来の水蒸気とを含有する湿潤水電解水素ガスを連続的に得る。
【0032】
水の電解方法は、水素が発生する方法であれば特に限定されないが、アルカリ水電解、固体高分子型水電解、高温水蒸気電解などが挙げられる。
【0033】
アルカリ水電解は、通常、電解質として水酸化ナトリウム水溶液または水酸化カリウム水溶液を用いる。アルカリ水電解では、陰極側で、水から水素と水酸化物イオンが得られ、陽極側で、水酸化物イオンから水と酸素が得られる。陽極側(アノード側)で酸素が得られ、陰極側(カソード側)で水素が得られるので、水素ガスは、酸素と別に得ることができるが、蒸気圧分の高湿度で水蒸気を含有する。アルカリ水電解の電解温度は、通常室温~200℃、好ましくは70℃~90℃である。高温であると電極反応速度が向上する傾向にある。
【0034】
固体高分子型水電解は、通常、電解質膜としてフッ素樹脂系カチオン膜などの、プロトン型のカチオン膜を用いる。固体高分子型水電解では、陽極側に水を供給すると酸素と水素イオンが生成する。この水素イオンは膜中を通り陰極側に移動し、電子を得て水素となる。水素イオンの膜中の移動に伴い、水も陰極側に移動する。陰極側で、発生したガスと移動した水を気液分離して、水素ガスが得られる。水素ガスは、酸素と別に得ることができるが、蒸気圧分の高湿度で水蒸気を含有する。固体高分子型水電解の電解温度は、通常60℃~100℃である。
【0035】
高温水蒸気電解は、アルカリ水電解を改良したものであり、電解質として酸化ジルコニウム等の固体電解質を用いる。高温水蒸気電解では、陰極側に供給された水蒸気の一部が水素と酸化物イオンになり、水素と水蒸気の混合ガスが得られる。酸化物イオンは電解質の膜中を移動して陽極側で酸素になる。従って、水素は、酸素と別に得ることができるが、未反応の水蒸気との混合ガスとして得られ、高湿度で水を含む。高温水蒸気電解の電解温度は、例えば500℃以上や700℃以上、1000℃以下である。
【0036】
このように、本実施形態に係る水素生成工程では、水素ガスは、水素と原料水由来の水蒸気とを含有する湿潤水電解水素ガスとして得られる。
【0037】
(水素乾燥工程)
水素乾燥工程では、前述の水素生成工程で得られた水素と原料水由来の水蒸気を含有する湿潤水電解水素ガスを流通させて吸収液と気液混合して接触させることで、前記水蒸気を選択的に前記吸収液に吸収させて、水分含有量が減少した水素ガス(乾燥水電解水素ガス)と、水分含有量が増加した吸収液(リッチ吸収液)との気液混合体を連続的に得る。
【0038】
吸収液は、水を吸収する液体であれば特に限定されないが、例えば、エチレングリコール類などの多価アルコール類、そのエーテルやポリエーテル誘導体、イオン液体、これらを含む混合液が挙げられる。得られる乾燥水電解水素ガスの純度の観点で、吸収液に含有される化合物は、沸点が高いと好ましく、また、蒸気圧が低いと好ましい。また、得られる水素量の観点で、吸収液に含有される化合物は、水素を吸収しない性質を有すると好ましい。
【0039】
多価アルコール類としては、エチレングリコール、トリエチレングリコール(略称:TEG)、ジエチレングリコール(略称:DEG)、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどのエチレングリコール類などが挙げられる。
【0040】
多価アルコール類のエーテル又はポリエーテル誘導体としては、ジエチレングリコールジメチルエーテル(別名:ジグリム(diglyme))、トリエチレングリコールジメチルエーテル(別名:トリグリム(Triglyme))、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(別名:テトラグリム(tetraglyme))、ペンタエチレングリコールジメチルエーテル(別名:ペンタグリム(pentaglyme))、ポリエチレングリコールジメチルエーテルなどが挙げられる。
【0041】
イオン液体は、カチオンとアニオンからなり、100℃、大気圧で液体の塩であれば特に限定されないが、50℃(大気圧)で液体の塩であると好ましく、室温(25℃)(大気圧)で液体であるとより好ましく、10℃(大気圧)で液体であるとより好ましい。
【0042】
イオン液体の融点は、100℃以下であると好ましく、50℃未満であるとより好ましく、25℃未満であると更に好ましく、10℃未満であると特に好ましい。イオン液体の融点の下限は、特に限定されない。
【0043】
また、イオン液体には、微量の水分を含むことで融点が低下するものがあるが、そのようなイオン液体の場合には、低下した融点が、100℃以下であると好ましく、50℃未満であるとより好ましく、25℃未満であると更に好ましく、10℃未満であると特に好ましい。
【0044】
また、イオン液体には、融点以下の温度でも過冷却となり液体状態をとる化合物が多いが、そのようなイオン液体の場合には、イオン液体は、100℃で液体状態をとる化合物であると好ましく、50℃未満で液体状態をとる化合物であるとより好ましく、25℃未満で液体状態をとる化合物であると更に好ましく、10℃未満で液体状態をとる化合物であると特に好ましい。
【0045】
イオン液体を構成するカチオンとアニオンは、その両方又は、いずれか一方が有機化合物であると融点の観点から好ましい。
【0046】
イオン液体を構成するアニオンは、特に限定されないが、オキソ酸イオンであると好ましい。本明細書においてオキソ酸とは、酸素を含む無機又は有機の酸である。
【0047】
オキソ酸としては例えば、カルボン酸、硝酸、硫酸、スルホン酸、硫酸エステル、リン酸エステル、リン酸、ホスホン酸エステル、ホスホン酸が挙げられる。
【0048】
カルボン酸イオンは、式2で表されるアニオンである。
【化2】
ここで、式2中Rは、水素原子又は無置換若しくは置換基を有していてもよい炭化水素基である。炭化水素基は、特に限定されないが、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、芳香族炭化水素基が挙げられ、環状であっても非環状であってもよく、骨格にヘテロ原子を有していてもよい。具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基などのアルキル基;これらのアルケニル基、アルキニル基;メトキシ基、エトキシ基などアルコキシ基、アリル基、アリール基などが挙げられる。置換基としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン基;水酸基;シアノ基などが挙げられる。
【0049】
カルボン酸のより具体的な例としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、オレイン酸、安息香酸、乳酸、トリフルオロ酢酸、ヘプタフルオロ酪酸が挙げられる。中でも、ギ酸、酢酸が好ましい。
【0050】
硫酸イオンは、式3で表されるアニオンである。
【化3】
【0051】
スルホン酸イオンは、式4で表されるアニオンである。
【化4】
ここで、式4中Rは、水素原子又は無置換若しくは置換基を有していてもよい炭化水素基である。置換基及び炭化水素基としては、カルボン酸イオンの置換基及び炭化水素基として挙げたものが挙げられる。スルホン酸の具体例としては、メチルスルホン酸、エタンスルホン酸などのアルキルスルホン酸;トリフルオロメタンスルホン酸、ノナフルオロブタンスルホン酸などのパーフルオロアルキルスルホン酸;ラウリル硫酸、ポリオキシエチレンアルキル硫酸などのアルキル硫酸が挙げられる。中でもメチルスルホン酸が好ましい。
【0052】
硫酸エステルイオンは、式5で表されるアニオンである。
【化5】
ここで、式5中Rは、水素原子又は無置換若しくは置換基を有していてもよい炭化水素基である。置換基及び炭化水素基としては、カルボン酸イオンの置換基及び炭化水素基として挙げたものが挙げられる。中でもアルキル基が好ましく、炭素数1~3のアルキル基がより好ましく、メチル基及びエチル基が特に好ましい。
【0053】
リン酸エステルイオン及びリン酸イオンは、式6で表されるアニオンである。
【化6】
ここで、式6中RとRは、水素原子又は無置換若しくは置換基を有していてもよい炭化水素基である。置換基及び炭化水素基としては、カルボン酸イオンの置換基及び炭化水素基として挙げたものが挙げられる。式6で表されるアニオンは、RとRが水素原子である場合がリン酸イオンであり、一方が水素原子で他方が炭化水素基である場合がリン酸モノエステルイオンであり、両方が炭化水素基である場合がリン酸ジエステルイオンである。
【0054】
リン酸エステルの具体例としては、ブチルホスフェート、フェニルホスフェートなどのリン酸エステル;ジメチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ビス(2-エチルヘキシル)ホスフェートなどのリン酸ジエステルが挙げられる。炭化水素基の中でも、脂肪族炭化水素基が好ましく、アルキル基がより好ましく、炭素数2以下のアルキル基が特に好ましく、メチル基が最も好ましい。
【0055】
ホスホン酸エステルイオン及びホスホン酸イオンは、式7で表されるアニオンである。
【化7】
ここで、式7中Rは、水素原子又は無置換若しくは置換基を有していてもよい炭化水素基である。置換基及び炭化水素基としては、カルボン酸イオンの置換基及び炭化水素基として挙げたものが挙げられる。式7で表されるアニオンは、Rが水素原子である場合がホスホン酸イオンであり、Rが炭化水素基である場合がホスホン酸エステルイオンである。炭化水素基の中でも、脂肪族炭化水素基が好ましく、アルキル基がより好ましく、炭素数2以下のアルキル基が特に好ましく、メチル基が最も好ましい。ホスホン酸エステルの具体例としては、メチルホスファイト((MeO)HPOO)が挙げられる。
【0056】
これらのアニオンの中でも、リン酸エステルイオンが好ましく、ホスフェートがより好ましく、ジメチルホスフェートが特に好ましい。
【0057】
本発明に係るイオン液体を構成するカチオンは、特に限定されないが、例えばイミダゾリウム類、ピロリジニウム類、ピペリジニウム類、ピリジニウム類、モルホリニウム類、アンモニウム類、ホスホニウム類、スルホニウム類が挙げられる。
【0058】
これらのカチオンの中でも、ホスホニウム類が好ましく、メチルトリブチルホスホニウムがより好ましい。
【0059】
本発明に係るイオン液体において、前述のカチオンとアニオンの組合せは、特に限定されないが、より具体的には、メチルトリブチルホスホニウムとジメチルホスフェートの組み合わせが好ましい。吸収液が、イオン液体としてメチルトリブチルホスホニウム ジメチルホスフェートを含有していると、除湿量の観点で好ましい。
【0060】
本発明に係るイオン液体は、市販のものを入手することができ、又は公知の方法により製造することができる。例えば、前記のメチルトリブチルホスホニウム ジメチルホスフェートは、商品名「ヒシコーリンPX-4MP」(日本化学工業株式会社製)として入手することができる。
【0061】
本発明に係る吸収液は、本発明の効果を損なわない範囲で、更に他の添加剤を含むことができる。他の添加剤としては、無機塩が挙げられる。
【0062】
無機塩は、無機化合物のアニオンと無機化合物のカチオンとからなる塩であり、前述のイオン液体を除く化合物である。具体的には、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、クロム酸などの炭素を含まない酸、炭酸、酢酸、シアン酸、シアン化水素酸などの無機酸のアニオンと、金属イオンのカチオンとからなる塩が挙げられる。
【0063】
無機塩のカチオンは、無機のカチオンであれば特に限定されないが、金属カチオンであると好ましく、アルカリ金属カチオン及びアルカリ土類金属カチオンが好ましく、リチウムイオン及びカルシウムイオンが好ましい。
【0064】
無機塩のアニオンは、無機酸のアニオンであれば、特に限定されないが、フッ酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸などのハロゲン化水素酸、酢酸、蟻酸、炭酸、硝酸、硫酸、リン酸、クロム酸、シアン酸、シアン化水素酸のアニオンなどが挙げられる。中でも、ハロゲン化水素酸、硝酸、酢酸のアニオンが好ましく、塩酸、硝酸、酢酸のアニオンが好ましい。
【0065】
無機塩の具体例としては、前述の無機のカチオンと前述の無機酸のアニオンを組み合わせたものが挙げられるが、より具体的には、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウムなどの酢酸塩;塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウムなどの塩化物塩;臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化マグネシウム、臭化カルシウムなどの臭化物塩;硝酸リチウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸マグネシウム、硝酸カルシウムなどの硝酸塩などが挙げられる。中でも、リチウム塩及びカルシウム塩、並びに酢酸塩、塩化物塩、臭化物塩及び硝酸塩が好ましく、酢酸リチウム、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、塩化リチウム、硝酸カルシウム、臭化リチウムがより好ましく、酢酸リチウム、塩化カルシウム、塩化リチウム、硝酸リチウム、硝酸カルシウムが特に好ましい。
【0066】
イオン液体と無機塩とを組み合わせて用いる場合には、その組み合わせは特に限定されないが、無機塩がイオン液体に均一に溶解しうる無機塩であると好ましく、無機塩がイオン液体中に使用温度で均一に溶解または分散しうるものであるとより好ましい。具体的には、イオン液体としてのメチルトリブチルホスホニウム ジメチルホスフェートと、無機塩としての酢酸リチウム、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、塩化リチウム、硝酸カルシウム、硝酸リチウム又は臭化リチウムの組み合わせが好ましく、イオン液体としてのメチルトリブチルホスホニウム ジメチルホスフェートと、無機塩としての酢酸リチウム、塩化カルシウム又は塩化リチウムの組み合わせがより好ましい。
【0067】
イオン液体と無機塩とを組み合わせて用いる場合のイオン液体と無機塩との含有割合は特に限定されないが、吸収液が流動性を有するように、イオン液体に無機塩が使用温度で均一に溶解または分散しうる割合であると好ましく、イオン液体の常温における溶解度以下であるとより好ましく、イオン液体に無機塩が使用温度で均一に溶解しうる割合であると特に好ましい。含有割合がこの範囲にあると、吸収液は循環性に優れ、吸収及び放出の速度が速い点で好ましい。
【0068】
本実施形態に係る無機塩は、単独で空気や有機溶媒用の乾燥剤として用いられているものもあるが、それらの乾燥剤は固体であり流動性に劣る場合や、吸湿後に溶液となり、再生のために乾燥すると形状が乾燥剤に不向きな形状となったり、乾燥自体が困難である場合がある。それに対して、無機塩とイオン液体を併用した吸収液は、液状であるので循環させることが可能であり、また、吸収放出の速度が速く、再生も容易である。
【0069】
水素乾燥工程において、湿潤水電解水素ガスを流通させて吸収液と気液混合して接触させる方法は、水電解水素ガス中の水蒸気が吸収液に吸収される限り特に限定されない。例えば、流通した湿潤水電解水素ガスに吸収液をスプレーする方法、充填物を充填した充填塔の上方から吸収液を流下させ、湿潤水電解水素ガスを下方から上方に流通させる方法、貯留した吸収液中に湿潤水電解水素ガスをバブリングさせて流通させる方法が挙げられる。
【0070】
水素生成工程で得られる湿潤水電解水素ガスは、気体又は液体の水を伴う。液体の水が存在する場合は、水素乾燥工程の前に気液分離して除去することが好ましい。必要により気液分離して得られた気体は、水素と水蒸気との混合ガスになるが、水分を多く含み、通常、飽和水蒸気量の水蒸気を含む。例えば、25℃、常圧では、1m当たり飽和水蒸気量の23gの水蒸気を含む。
【0071】
水素乾燥工程において、湿潤水電解水素ガスを吸収液と接触させると、気相側の水蒸気を、液相の吸収液側に移動させて、気相の水分量を減らすことができる。特に吸収液としてイオン液体を用いると、イオン液体が水素をほとんど吸収せず水を吸収することから、より、気相側の水蒸気を、液相の吸収液側に移動させて、気相の水分量を減らすことができる。
【0072】
湿潤水電解水素ガスと吸収液とを接触させる際には、湿潤水電解水素ガスと吸収液の接触する界面が大きいほど好ましい。この様な接触方法としては、例えば、流通した湿潤水電解水素ガスに吸収液を噴霧する方法や、吸収液に湿潤水電解水素ガスをバブリングして流通させる方法、これらを充填材の存在下で行う方法などが挙げられる。
【0073】
湿潤水電解水素ガスと吸収液とを接触させることで、湿潤水電解水素ガス中の水蒸気が吸収液に界面を通して移動し、水分含有量が減少した乾燥水電解水素ガスと、水分含有量が増加した吸収液(リッチ吸収液)の気液混合体が得られる。
【0074】
水素乾燥工程の温度は特に限定されないが、0℃~100℃の範囲であると好ましく、10℃~50℃の範囲であるとより好ましい。水素乾燥工程の温度が低いと乾燥水電解水素ガス中の水分量が減少する傾向がある。
【0075】
水素乾燥工程の圧力は特に限定されないが、0.1MPaG~100MPaGの範囲であると好ましい。
【0076】
水素乾燥工程では、吸収液を循環させながら連続的に再生することで、乾燥水電解水素ガスを連続的に製造する。すなわち、水素乾燥工程の吸収液は、水分含有量が増加した吸収液(リッチ吸収液)を、後述する吸収液再生工程で連続的に再生し、その再生した吸収液(リーン吸収液)を水素乾燥工程の吸収液として循環させることで、流通させた湿潤水電解水素ガスを連続的に乾燥する。
【0077】
水素乾燥工程における湿潤水電解水素ガスの流通量と吸収液の量の割合は、湿潤水電解水素ガスを安定して連続的に乾燥できる範囲であれば特に限定されず、吸収液の循環量は、湿潤水電解水素ガスの水分含有量や流通量(処理量)に基づいて決定することができる。例えば、湿潤水電解水素ガスが10℃(0.35MPaG)の飽和水蒸気分の水蒸気を含んでいる場合、1単位体積の吸収液を再生して循環させながら使用すると、1時間当たり約240単位体積程度の湿潤水電解水素ガスを乾燥させることができる。
【0078】
吸収液の循環量は、吸収液の水分含有量が安定する範囲であれば特に限定されないが、循環回数で0.01回/時~1回/時の範囲であると好ましく、0.1回/時~0.8回/時であるとより好ましく、0.2回/時~0.4回/時であると特に好ましい。
【0079】
ここで、循環回数とは、水素乾燥工程で用いた吸収液が1時間に循環する回数をいい、例えば、湿潤水電解水素ガスと吸収液との接触を、吸収塔に吸収液を貯留し、その底部から湿潤水電解水素ガスをバブリングさせて流通させる方法を用いる場合には、吸収塔に貯留した吸収液が、1時間に循環する回数である。湿潤水電解水素ガスの水分含有量や流通量が多い場合は、吸収液の量や循環回数が多いほど好ましい。
【0080】
(水素分離工程)
水素分離工程では、前述の水素乾燥工程の乾燥水電解水素ガスとリッチ吸収液との気液混合体を連続的に気液分離することで、気相として前記乾燥水電解水素ガスと、液相として前記リッチ吸収液を連続的に得る。
【0081】
乾燥水電解水素ガスとリッチ吸収液との気液混合体を連続的に気液分離する方法は、気相として乾燥水電解水素ガスを液相のリッチ吸収液から分離できる限り特に限定されない。例えば、吸収液を貯留した吸収塔を用いることで、吸収液の液面で連続的に気液分離され、上部気室から連続的に気相を抜き出す方法や、水素乾燥工程の気液混合体を、別途、分離器に移送して気相と液相に分離する方法などが挙げられる。
【0082】
また、水素分離工程は水素乾燥工程と同時に行うことができる。例えば、充填材を充填した、吸収塔の上部から吸収液を流下し、吸収塔の下部から湿潤水電解水素ガスを導入して流通させ、吸収塔の上部から乾燥水電解水素ガスを抜き出す方法、水平な管の一端から他端に湿潤水電解水素ガスを流通させ、その湿潤水電解水素ガスに吸収液を管の上部からスプレーし、水蒸気を吸収した吸収液を下方から抜き出すことで、水電解水素ガス中の水蒸気を吸収液に吸収させて抜き出し、管の他端から乾燥水電解水素ガスを排出する方法等が挙げられる。
【0083】
吸収塔は、複数の反応器を直列に連結することが好ましい。例えば、2段の反応器を直列に連結する場合、第1吸収液入口と第1吸収液出口と第1ガス吹込口と第1ガス抜出口とを備える第1反応器と、第2吸収液入口と第2吸収液出口と第2ガス吹込口と第2ガス抜出口とを備える第2反応器について、第1吸収液出口と第2吸収液入口とを接続し、第2ガス抜出口と第1ガス吹込口とを接続し、吸収液と湿潤水電解水素ガスとが向流で移動することで、吸収塔内で水蒸気の吸収液への吸収が円滑に行われ、吸収塔内の入口と出口で吸収液中の含水量の濃度勾配が達成できる。
【0084】
気液分離した気相にミスト状に吸収液が混在する場合には、更に、ミストセパレーターや、トラップ、フィルター等を用いて、乾燥水電解水素ガスから吸収液を除去することができる。
【0085】
吸収液として、イオン液体などの蒸気圧が低いものを用いると、ミスト状になりづらく、乾燥水電解水素ガスに同伴される吸収液が減少するので好ましい。
【0086】
(吸収液再生工程)
吸収液再生工程は、前述の水素分離工程で気液分離して液相として得たリッチ吸収液の一部を抜き出し、流通させた再生用乾燥水素ガスと気液混合して接触させることで再生用乾燥水素ガスに水分を移動させて、水分含有量が減少したリーン吸収液と、水分含有量が増加した湿潤水素ガスとの気液混合体を連続的に得る。
【0087】
吸収液の再生に、乾燥した水素ガスを用いることで、本実施形態に係る連続的製造方法によって得られる乾燥水電解水素ガスを、窒素ガスや酸素ガスなどの不純物を含まない高純度ガスとして得ることができる。
【0088】
吸収液は、水素乾燥工程により、当初の吸収液に比べて水分含有量が増加している。水分含有量が増加した吸収液(リッチ吸収液)は、湿潤水電解水素ガスの乾燥能力が低下する。そのため、本実施形態に係る連続的製造方法では、リッチ吸収液の一部を抜き出して再生した後、再生吸収液(リーン吸収液)を後述する吸収液循環工程で吸収液に戻して循環させることで、水素乾燥工程における吸収液の水分含有量を所定以下にすることが可能である。
【0089】
再生用乾燥水素ガスは、リッチ吸収液と接触させることで、リッチ吸収液の水分含有量を減少させる程度に乾燥した水素ガスであれば特に限定されない。例えば、別途準備した水分含有量の少ない水素ガスを用いることができる。また、水素乾燥工程で得た乾燥水電解水素ガスを用いることもできる。
【0090】
再生用乾燥水素ガスとリッチ吸収液とを接触させると、リッチ吸収液から乾燥ガスに水分が移動し、リッチ吸収液を再生して再生吸収液(リーン吸収液)とすることができる。
【0091】
吸収液再生工程における再生用乾燥水素ガスとリッチ吸収液の接触方法は、リッチ吸収液中の水分が再生用乾燥水素ガスに移動する限り特に限定されない。例えば、流通させた再生用乾燥水素ガスにリッチ吸収液をスプレーする方法、充填物を充填した充填塔の上方からリッチ吸収液を流下させ、再生用乾燥水素ガスを流通させる方法、リッチ吸収液中に再生用乾燥水素ガスをバブリングさせて流通させる方法が挙げられる。再生用乾燥水素ガスをリッチ吸収液にバブリングすることで、再生塔内の吸収液を攪拌し、吸収液の再生速度を向上することが可能である。
【0092】
吸収液再生工程の温度及び圧力は特に限定されないが、リッチ吸収液を加熱、及び/又は減圧下で再生用乾燥水素ガスと接触させると、吸収液の再生の観点で好ましい。
【0093】
吸収液再生工程においてリッチ吸収液を加熱することで、所定の水蒸気分圧における吸収液の飽和水分量が低下し、リッチ吸収液中の水分を再生用乾燥水素ガスに移動しやすくなるので、吸収液の再生が容易になる。
【0094】
吸収液再生工程の温度は特に限定されないが、水素乾燥工程の温度より高いと好ましく、水素乾燥工程の温度より10℃以上高いとより好ましく、水素乾燥工程の温度より30℃以上高いとより更に好ましい。具体的には、水素乾燥工程の温度より高くかつ50℃~200℃であると好ましく、水素乾燥工程の温度より高くかつ100℃以上であるとより好ましい。吸収液再生工程の温度が高いと再生吸収液中の水分量が減少する傾向がある。
【0095】
吸収液再生工程の温度を水素乾燥工程の温度より高くする場合には、リッチ吸収液の加熱は、水素乾燥工程前の湿潤水電解水素ガスあるいはリーン吸収液との熱交換で行うと、エネルギー効率の点で好ましい。
【0096】
また、吸収液再生工程を水素乾燥工程よりも低圧で行う事で、吸収液の飽和水分量が低下し、また、水の沸点が下がるので、リッチ吸収液中の水分を再生用乾燥水素ガスに移動しやすくなる。
【0097】
吸収液再生工程の圧力は特に限定されないが、水素乾燥工程より低いと好ましく、水素乾燥工程より0.1MPaG(ゲージ圧)以上低いとより好ましく、水素乾燥工程より1MPaG以上低いと特に好ましい。具体的には、水素乾燥工程より低くかつ-0.1MPaG~1MPaGの範囲であると好ましく、水素乾燥工程より低くかつ-0.1MPaG~0.1MPaGの範囲であるとより好ましい。吸収液再生工程の圧力が低いと再生吸収液中の水分量が減少する傾向がある。
【0098】
吸収液再生工程で用いる再生用乾燥水素ガスの量は、吸収液を安定的に再生できる範囲で特に限定されないが、再生用乾燥水素ガス:水素分離工程で分離した乾燥水電解水素ガスの比(体積比)で1:100~40:100の範囲であると好ましく、10:100~30:100の範囲であるとより好ましく、20:100~27:100の範囲であると特に好ましい。吸収液を安定的に再生できる範囲で、乾燥水電解水素ガスに対する再生用乾燥水素ガスの比が小さいほど、吸収液の再生に掛かるエネルギーを削減できる観点で好ましい。
【0099】
吸収液再生工程における、再生処理量は特に限定されないが、1時間あたり、水素乾燥工程における吸収液の1%~100%の量を再生処理することが好ましく、10%~80%の量を再生処理することがより好ましく、20%~40%の量を再生処理することが特に好ましい。
【0100】
(再生吸収液分離工程)
再生吸収液分離工程では、吸収液再生工程で得たリーン吸収液と湿潤水素ガスとの気液混合体を連続的に気液分離することで、気相として前記湿潤水素ガスと、液相として前記リーン吸収液とを連続的に得る。
【0101】
リーン吸収液と湿潤水素ガスとの気液混合体を連続的に気液分離する方法は、特に限定されない。例えば、吸収液を貯留した再生塔を用いることで、吸収液の液面で連続的に気液分離され、上部気室から連続的に気相を抜き出すとともに、吸収液の液面付近から液相を抜き出す方法や、吸収液再生工程の気液混合体を、別途、分離器に移送して気相と液相に分離する方法などが挙げられる。
【0102】
また、再生吸収液分離工程は吸収液再生工程と同時に行うことができる。例えば、充填材を充填した、再生塔の下部から再生用乾燥水素ガスを導入して流通させ、再生塔の上部から湿潤水素ガスを抜き出しながら、再生塔の上部からリッチ吸収液を流下し再生塔の下部からリーン吸収液を抜き出す方法等が挙げられる。
【0103】
(吸収液循環工程)
吸収液循環工程では、再生吸収液分離工程で気液分離した前記リーン吸収液を、前記水素乾燥工程の前記吸収液に連続的に戻す。
【0104】
吸収液再生工程で吸収液を加熱する場合には、再生吸収液を水素乾燥工程の吸収液に戻す際に、温度を下げておくことが好ましい。リーン吸収液の冷却には、吸収液再生工程前のリッチ吸収液との熱交換により行うと、エネルギー効率の点で好ましい。
【0105】
吸収液再生工程の圧力が水素乾燥工程の圧力より低い場合には、リーン吸収液は、加圧ポンプ等で加圧して水素乾燥工程の吸収液に戻すことができる。
【0106】
再生吸収液を水素乾燥工程の吸収液に戻す量は特に限定されないが、吸収液再生工程で吸収液を抜き出す量と同量とすることができ、同量とすることで吸収塔および再生塔内の吸収液量を一定に保つことができる。
【0107】
再生吸収液分離工程で気液混合体を気液分離して気相として得た湿潤水素ガスは、そのまま排気することができる。また、湿潤水素ガスを水素生成工程の陰極側などに循環させることで、含有する水分を水電解の原料水とし、かつ水素ガスの損失を無くすことができる。湿潤水素ガスを循環させる場合には、連続的に又は断続的に行うことができる。
【0108】
本実施形態に係る乾燥水電解水素ガスの連続的製造方法によれば、水素生成工程で得られた湿潤水電解水素ガスを、水素乾燥工程で吸収液によって乾燥し、水素分離工程を経て乾燥水電解水素ガスを得ると共に、並行して吸収液を吸収液再生工程で再生し、再生した吸収液を水素乾燥工程に戻すことで、連続的に乾燥水電解水素ガスを製造することができる。
【0109】
また、吸収液再生工程で乾燥水電解水素ガスの一部を用いて吸収液の再生を行い、再生に使用した水分含有量が増加した再生用乾燥水素ガス(湿潤水素ガス)を水素生成工程に循環させることで、水素ガスを損失することなく、湿潤水電解水素ガスから効率良く高純度の乾燥水電解水素ガスを得ることができる。
【0110】
更に、本実施形態に係る乾燥水電解水素ガスの連続的製造方法によれば、水蒸気量の非常に高い水電解水素ガスを所定の湿度まで、低下することが、連続的に、かつ低コストでできる。この水分量を減らした水電解水素ガスは、更に、塩化カルシウムやゼオライトなどの固体乾燥剤などで水分量を更に低下させることも可能である。この場合には、水蒸気量の非常に高い水電解水素ガスを、固体乾燥剤などで直接処理して水分量を低下させる場合に比べて、固体乾燥剤の使用量を減らす事や使用期間を延ばす事ができる。
【0111】
(乾燥水電解水素ガスの製造装置)
本発明の乾燥水電解水素ガスの連続的製造方法は、用いる装置によっては限定されないが、例えば、以下の装置を使用することができる。
【0112】
以下に図を参照しながら本発明の一実施形態にかかる乾燥水電解水素ガスの連続的製造装置について説明するが本発明はこれに限定されない。
【0113】
図1は、乾燥水電解水素ガスの製造装置の一態様を示す図であり、吸収液の再生に乾燥水素ガスを用いる態様である。
【0114】
水電解装置1は、水を電気分解して水素と酸素を発生させる。電気分解の態様としては、アルカリ水電解、固体高分子型水電解、高温水蒸気電解などがあるが、例えばアルカリ水電解の場合は、陰極側(カソード側)で水素が発生する。水素の発生量は、水電解装置1の電力量により制御でき、水電解装置1は一般に加圧状態になる。この水素は、水蒸気を含有する湿潤水電解水素ガス2である。
【0115】
湿潤水電解水素ガス2は、吸収塔3へ導入される。吸収塔3では湿潤水電解水素ガス2を吸収液4と接触させて乾燥させる。例えば、吸収塔3の内部に充填物を詰め、吸収塔3の上部から吸収液4を導入し、吸収塔3の下部から湿潤水電解水素ガス2を導入して湿潤水電解水素ガス2を吸収液4と接触させる。吸収塔3内の吸収液4は、温度制御し、例えば25℃などの一定温度とすることができる。吸収塔3内の圧力は、背圧弁5を設けて制御することができる。湿潤水電解水素ガス2中の水分は、吸収液4に吸収されて減少する。
【0116】
水分の減少した水素ガスは、吸収塔3内で気液分離されて、吸収塔3の上部から乾燥水電解水素ガス6として排出される。
【0117】
乾燥水電解水素ガス6は、吸収塔3の上部からトラップ7に導入される。トラップ7は、水素に飛沫同伴された吸収液4を除去することができる。トラップ7を通過した水素は、露点計8で露点が計測されたのち、排気口9から連続的に製造される。
【0118】
吸収塔3で水分を吸収した吸収液4は、リッチ吸収液10として吸収塔3の下部から少なくとも一部を抜き出され、流量計11で流量を計測しながら流量調節用バルブ12(例えばニードルバルブ)で流量を調節して、再生塔13内に上部から導入される。再生塔13は、例えば100℃、80℃、60℃などの一定温度に調整することができる。乾燥水素ボンベ14から流量計15を介して所定量の再生用乾燥水素ガス16を再生塔13内に下部から導入することで、リッチ吸収液10を再生用乾燥水素ガス16と接触させる。リッチ吸収液10と再生用乾燥水素ガス16とが接触することで、リッチ吸収液10中の水分は、再生用乾燥水素ガス16に移動し、リッチ吸収液10が再生される。
【0119】
リッチ吸収液10が再生されたリーン吸収液17は、再生塔13内で気液分離されて再生塔13の下部から排出され、吸収塔3へ循環される。吸収塔3内の湿潤水電解水素ガス2の圧力が再生塔13内の圧力よりも高い場合には、送液ポンプ18を用いてリーン吸収液17を昇圧して吸収塔3に戻す。
【0120】
再生用乾燥水素ガス16の水分含有量が増加した湿潤水素ガス19は、再生塔13内で気液分離されて再生塔13の上部から排出され排気口20から放出される。
【0121】
図2は、乾燥水電解水素ガスの製造装置の一態様を示す図であり、吸収液の再生に乾燥水素ガスを用い、かつ減圧する態様である。
【0122】
図2に示す乾燥水電解水素ガスの製造装置では、再生塔13の上部に真空ポンプ21が配置されており、例えば0kPaG~-100kPaGなどの減圧を行う事ができる。再生塔13内が減圧されるとリッチ吸収液10中の水分は、リッチ吸収液10から放出され、リーン吸収液17に再生される。水分は、再生塔13の上部から湿潤水素ガス19として放出され、排気口20から湿潤水素ガス19として排気される。この場合、乾燥水素ボンベ14から流量計15を介して導入する再生用乾燥水素ガス16は図1に係る装置に比べて極めて少なくすることも可能である。
【0123】
図3は、乾燥水電解水素ガスの製造装置の一態様を示す図であり、吸収液の再生に製造した乾燥水素の一部を用いる態様である。
【0124】
図3に示す乾燥水電解水素ガスの製造装置では、吸収塔3の上部から抜き出した乾燥水電解水素ガス6をトラップ7を介した後、その一部を再生用乾燥水素ガス16として、T字コネクター22で分岐して抜き出し、流量計15で流量を制御して、一定量を再生塔13内に下部から導入し、再生塔13内に上部から導入されるリッチ吸収液10と接触させる。再生塔13は、例えば100℃、80℃、60℃などの一定温度に調整することができる。再生塔13内で、再生用乾燥水素ガス16とリッチ吸収液10とが接触することで、リッチ吸収液10中の水分は、リッチ吸収液10から再生用乾燥水素ガス16に移動し、湿潤水素ガス19として排気口20から放出される。
【0125】
図4は、乾燥水電解水素ガスの製造装置の一態様を示す図であり、吸収液の再生に製造した乾燥水素の一部を用いかつ減圧する態様である。
【0126】
図4に示す乾燥水電解水素ガスの製造装置では、吸収塔3の上部から抜き出した乾燥水電解水素ガス6の一部を再生用乾燥水素ガス16として、T字コネクター22で分岐して抜き出し、流量計15で流量を制御して、一定量を再生塔13内に下部から導入し、再生塔13内に上部から導入されるリッチ吸収液10と接触させる。再生塔13は、例えば100℃、80℃、60℃などの一定温度に調整することができる。更に、図4では、再生塔13の上部に真空ポンプ21が配置されており、減圧を行う事ができる。減圧は、例えば、-50kPaG(ゲージ圧)などにすることができる。再生塔13内で、減圧下、再生用乾燥水素ガス16とリッチ吸収液10とが接触することで、リッチ吸収液10中の水分は、リッチ吸収液10から再生用乾燥水素ガス16に移動し、湿潤水素ガス19として排気口20から放出される。再生されたリーン吸収液17は、再生塔13の下部から排出される。吸収塔3内の湿潤水電解水素ガス2の圧力が再生塔内の圧力よりも高い場合には、送液ポンプ18によってリーン吸収液17を昇圧して吸収塔3へ循環させる。
【0127】
図5は、乾燥水電解水素ガスの製造装置の一態様を示す図であり、吸収液の再生に製造した乾燥水素の一部を用いかつその水素を水電解装置に循環させる態様である。
【0128】
図5に示す乾燥水電解水素ガスの製造装置では、吸収塔3の上部から抜き出した乾燥水電解水素ガス6の一部を再生用乾燥水素ガス16として、T字コネクター22で分岐して抜き出し、流量計15で流量を制御して、一定量を再生塔13内に下部から導入し、再生塔13内に上部から導入されるリッチ吸収液10と接触させる。再生塔13は、例えば100℃、80℃、60℃などの一定温度に調整することができる。再生塔13内で、再生用乾燥水素ガス16とリッチ吸収液10とが接触することで、リッチ吸収液10中の水分は、リッチ吸収液10から再生用乾燥水素ガス16に移動し、水素の水分が増加するとともに、リーン吸収液17に再生される。再生塔13の上部からは湿潤水素ガス19が得られ、再生塔13の下部からはリーン吸収液17が得られる。吸収塔3内の湿潤水電解水素ガス2の圧力が再生塔内の圧力よりも高い場合には、送液ポンプ18によってリーン吸収液17を昇圧して吸収塔3へ循環させる。再生塔13の上部に真空ポンプ21が配置されており、減圧操作を行っても良いし、行わなくても良い。減圧は、例えば、-50kPaG(ゲージ圧)などにすることができる。再生塔13の上部から取り出した湿潤水素ガス19は、必要に応じてコンプレッサ23により加圧されて、水電解装置1へ循環される。
【0129】
(吸収塔)
以下、吸収塔3の一実施態様について説明する。
【0130】
(槽型反応器)
乾燥水電解水素ガスの製造装置において、図1に示すように吸収塔3の反応器として槽型の反応器を用いることができる。
【0131】
槽型の反応器について図17を用いて説明する。槽型反応器200は、水平方向の長さに対して鉛直方向の長さが比較的短い筒状の反応器であり、吸収液入口201、吸収液出口202、ガス吹込口203及びガス抜出口204を備える。吸収液入口201は槽型反応器200の上部に設けられ、再生塔吸収液出口(図不示)に接続されている。吸収液出口202は槽型反応器200の下部に設けられ、再生塔吸収液入口(図不示)に接続されている。ガス吹込口203は槽型反応器200の下部に設けられ、水電解装置(図不示)に接続されている。ガス抜出口204は槽型反応器200の上部に設けられている。ガス抜出口204は吸収液入口201より高い位置に設けられ、吸収液出口202はガス吹込口203より低い位置に設けられている。
【0132】
槽型反応器200には、吸収液210を一定量貯留する。槽型反応器200内は、吸収液210の液面211より下の液相部分と、液面211より上のガス相部分の2相に分かれている。
【0133】
湿潤水電解水素ガス212は、槽型反応器200の液相部分の下方のガス吹込口203から吹き込む。吸収液210より低比重の湿潤水電解水素ガス212は、吸収液210中をガス吹込口203から上方に向かって移動する。
【0134】
湿潤水電解水素ガス212中の水蒸気は吸収液210へ界面を通して移動する。水分含有量が減少した乾燥水電解水素ガス213は、吸収液210の液面211で吸収液210と気液分離されて、槽型反応器200の上部のガス抜出口204から抜き出される。
【0135】
また、吸収液210は、吸収液出口202から連続的に一部抜き出される。抜き出した吸収液210は、当初の吸収液210に比べて水分含有量が増加した吸収液210(リッチ吸収液206)である。リッチ吸収液206は再生塔(図不示)で連続的に再生し、再生した吸収液(リーン吸収液207)を吸収液入口201から槽型反応器200に戻す。抜き出した量と戻す量を合わせることで、槽型反応器200中の吸収液210の量を一定にすることができる。
【0136】
槽型反応器200中の吸収液210の水分濃度は、液面211付近から吸収液出口202までほぼ均一に低濃度で一定に保つことができる。
【0137】
ガス抜出口204が吸収液入口201より高い位置に設けられているので、乾燥水電解水素ガス213にリーン吸収液207が同伴することを防ぐことができる。また、吸収液出口202がガス吹込口203より低い位置に設けられているので、リッチ吸収液206に湿潤水電解水素ガス212が同伴することを防ぐことができる。
【0138】
槽型反応器200内には、充填物を配置することができる。例えば、槽型反応器200の上部のガス相部分に一部、ガラスビーズなどの充填物を設置することができる(不図示)。充填物としては、ガラスビーズ(アズワン株式会社製、型番:BZ-4、球状、φ3.962~4.699mm)が好ましい。ガラスビーズを設置することで、吸収液は、吸収液入口201からガラスビーズに滴下し、ガラスビーズの表面を経由して下部の液溜へと移動する。
【0139】
槽型反応器200中の吸収液210は、撹拌翼を用いて撹拌することができるが、槽型反応器200として、乾燥させる湿潤水電解水素ガス212の量に対して、貯留する吸収液210の量を多く貯留できる容積の大きいものを用いることで、撹拌翼を用いなくても、湿潤水電解水素ガス212の吹き込みおよびリッチ吸収液206の抜き出しによる撹拌、リーン吸収液207の戻しによる撹拌および拡散で、槽型反応器200中の吸収液210の水分濃度を、ほぼ均一にすることができる。
【0140】
槽型反応器200の外部には、恒温槽(図不示)を設けて、槽型反応器200内の温度を所定の温度に調整することができる。
【0141】
(管型反応器)
乾燥水電解水素ガスの製造装置においては、槽型反応器200の代わりに、管型の反応器を用いることができる。
【0142】
管型の反応器について図18を用いて説明する。管型反応器220は、水平方向の長さに対して鉛直方向の長さが比較的長い管状の反応器であり、吸収液入口201、吸収液出口202、ガス吹込口203及びガス抜出口204を備える。吸収液入口201は管型反応器220の上部に設けられ、再生塔吸収液出口(図不示)に接続されている。吸収液出口202は管型反応器220の下部に設けられ、再生塔吸収液入口(図不示)に接続されている。ガス吹込口203は管型反応器220の下部に設けられ、水電解装置(図不示)に接続されている。ガス抜出口204は管型反応器220の上部に設けられている。ガス抜出口204は吸収液入口201より高い位置に設けられ、吸収液出口202はガス吹込口203より低い位置に設けられている。
【0143】
管型反応器220では、図17の槽型反応器200と同様に、管型反応器220中に吸収液210を一定量貯留させることができる。この場合、管型反応器220内は、吸収液210の液面211より下の液相部分と、液面211より上のガス相部分の2相に分かれている。
【0144】
湿潤水電解水素ガス212は、管型反応器220の液相部分の下方のガス吹込口203から吹き込む。吸収液210より低比重の湿潤水電解水素ガス212は、管型反応器220内の吸収液210中をガス吹込口203から上方に向かって移動する。
【0145】
湿潤水電解水素ガス212中の水蒸気は吸収液210へ界面を通して移動する。水分含有量が減少した乾燥水電解水素ガス213は、吸収液210の液面211で吸収液210と気液分離されて、管型反応器220の上部のガス抜出口204から抜き出される。
【0146】
また、吸収液210は、吸収液出口202から連続的に抜き出される。抜き出した吸収液210は、当初の吸収液210に比べて水分含有量が増加した吸収液210(リッチ吸収液206)である。リッチ吸収液206は再生塔(図不示)で連続的に再生し、再生した吸収液(リーン吸収液207)を槽型反応器200に戻す。抜き出した量と戻す量を合わせることで、槽型反応器200中の吸収液210の量を一定にすることができる。
【0147】
管型反応器220では、吸収液210は、湿潤水電解水素ガス212の流れと対向して、上方の吸収液入口201から下方の吸収液出口202へ押し出されて流れる。管型反応器220中の吸収液210の水分濃度は、液面211付近から吸収液出口202まで、下方ほど高濃度となる。
【0148】
ガス抜出口204が吸収液入口201より高い位置に設けられているので、乾燥水電解水素ガス213にリーン吸収液207が同伴することを防ぐことができる。また、吸収液出口202がガス吹込口203より低い位置に設けられているので、リッチ吸収液206に湿潤水電解水素ガス212が同伴することを防ぐことができる。
【0149】
管型反応器220内には、充填物を設置することができる。例えば、槽型反応器200と同様に、上部のガス相部分に一部、ガラスビーズなどの充填物を設置することができる(不図示)。また、液相部分に、円筒状の充填物、具体的にはラッシリング(ラシヒリング)を設置することができる(不図示)。ラッシリングを用いると、吸収液相中をガスが移動する際に、ガス流量が大きくても、比較的小さいサイズの気泡として上部へと移動するので好ましい。
ラッシリングの形状、材質、大きさは、管型反応器220のサイズなどによって適宜選択されるが、例えば、サイズが内径1インチ(2.54cm)の場合、ラッシリング(東京硝子機器株式会社製、商品名:ラッシリング、型式:FC-6、形状:円筒状、φ6×6mm)を用いることができる。
【0150】
管型反応器220の外部には、恒温槽(図不示)を設けて、槽型反応器200内の温度を所定の温度に調整することができる。
【0151】
(多段式反応器)
乾燥水電解水素ガスの製造装置においては、吸収塔3は、2以上の反応器を直列に連結して、2段以上の多段式の反応器にすることができる。特に、管型反応器220を多段式にすることが望ましい。反応器を多段式にすることで、気液接触の効率と吸収液210の濃度勾配を増大させて、除湿プロセスが更に高効率化することができる。
【0152】
多段式の反応器について図19を用いて説明する。図19の2段式反応器230は、2つの管型の反応器として第1管型反応器240と第2管型反応器250とが直列に連結されている。
【0153】
第1管型反応器240は、水平方向の長さに対して鉛直方向の長さが比較的長い管状の反応器であり、第1吸収液入口241、第1吸収液出口242、第1ガス吹込口243及び第1ガス抜出口244を備える。第1吸収液入口241は第1管型反応器240の上部に設けられ、第1吸収液出口242は第1管型反応器240の下部に設けられている。第1ガス吹込口243は第1管型反応器240の下部に設けられ、第1ガス抜出口244は第1管型反応器240の上部に設けられている。第1ガス抜出口244は第1吸収液入口241より高い位置に設けられ、第1吸収液出口242は第1ガス吹込口243より低い位置に設けられている。
【0154】
第2管型反応器250は、水平方向の長さに対して鉛直方向の長さが比較的長い管状の反応器であり、第2吸収液入口251、第2吸収液出口252、第2ガス吹込口253及び第2ガス抜出口254を備える。第2吸収液入口251は第2管型反応器250の上部に設けられ、第2吸収液出口252は第2管型反応器250の下部に設けられている。第2ガス吹込口253は第2管型反応器250の下部に設けられ、第2ガス抜出口254は第2管型反応器250の上部に設けられている。第2ガス抜出口254は第2吸収液入口251より高い位置に設けられ、第2吸収液出口252は第2ガス吹込口253より低い位置に設けられている。
【0155】
第1管型反応器240の第1吸収液入口241は再生塔吸収液出口(図不示)に接続され、第1管型反応器240の第1吸収液出口242は第2管型反応器250の第2吸収液入口251に接続され、第2管型反応器250の第2吸収液出口252は再生塔吸収液入口(図不示)に接続されている。第1管型反応器240には、吸収液210を一定量貯留させることができる。この場合、第1管型反応器240内は、吸収液210の液面245より下の液相部分と、液面245より上のガス相部分の2相に分かれている。
【0156】
第2管型反応器250の第2ガス吹込口253は、水電解装置(図不示)に接続され、第2管型反応器250の第2ガス抜出口254は、第1管型反応器240の第1ガス第1ガス吹込口243に接続されている。
【0157】
第2管型反応器250の第2吸収液出口252は、第1管型反応器240の第1吸収液出口242よりも定位置になるように配置することができる。この高低差により吸収液210は、重力で第1管型反応器240から第2管型反応器250へ、途中にポンプなどの動力源を入れなくても移動する。
【0158】
第2管型反応器250の第2吸収液出口252は、第1管型反応器240の第1吸収液出口242よりも低位置になるように配置することができる。この高低差により吸収液210は、重力で第1管型反応器240から第2管型反応器250へ、途中にポンプなどの動力源を入れなくても移動する。また、第1管型反応器240の第1ガス抜出口244は、第2管型反応器250の第2ガス抜出口254よりも高位置になるように配置することができる。この高低差により、湿潤水電解水素ガス212は吸収液210との比重差により第2管型反応器250から第1管型反応器240へと、吸収液210の流れに対して向流で移動する。
【0159】
第2管型反応器250の頂部が、第1管型反応器240の底部よりも上になるように第2管型反応器250を配置することで、第1ガス吹込口243の高さが第2管型反応器250中の吸収液210の液面255となり、第2管型反応器250は、液面255より下の液相部分と、液面255より上のガス相部分の2相に分かれ、第2管型反応器250中での気液分離が行われやすくなるので好ましい。
【0160】
第2管型反応器250の第2吸収液入口251は、第2管型反応器250の上部に設けられていればよく、液面255の上側でも下側に配置されていてもよいが、液面255付近、すなわち第1ガス吹込口243の高さ付近に配置すると、吸収液210の濃度勾配が大きくなるので好ましい。第1管型反応器240の第1吸収液出口242と第2管型反応器250の第2吸収液入口251とを接続する管は、第2管型反応器250の側面から配管することもできるが、図19に示すように第2管型反応器250の底部から配管することが好ましい。
【0161】
多段式反応器を3段以上の多段式の反応器にする場合には、図19の2段式反応器230の第2管型反応器250と同様の管型の反応器を吸収液210の下流側に順次設置する。
【0162】
2段式反応器230内には、第1管型反応器240および第2管型反応器250にそれぞれ独立に、充填物を設置することができる。例えば、槽型反応器200と同様に、上部のガス相部分に一部、ガラスビーズなどの充填物を設置することができる(不図示)。また、液相部分に、円筒状の充填物、具体的にはラッシリング(ラシヒリング)を設置することができる(不図示)。ラッシリングを用いると、吸収液相中をガスが移動する際に、ガス流量が大きくても、比較的小さいサイズの気泡として上部へと移動するので好ましい。
ラッシリングの形状、材質、大きさは、管型反応器220のサイズなどによって適宜選択されるが、例えば、サイズが内径1インチ(2.54cm)の場合、ラッシリング(東京硝子機器株式会社製、商品名:ラッシリング、型式:FC-6、形状:円筒状、φ6×6mm)を用いることができる。
【0163】
(実施例)
以下、本発明を実施例に基づき説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。圧力は、特に断りのない限り絶対圧である。
【0164】
(除湿試験)
除湿試験の手順を、図6を用いて説明する。
【0165】
図6に示す乾燥水電解水素ガス製造装置は、水電解装置101と加湿塔102と吸収塔103と再生塔104とを備える。
【0166】
乾燥水電解水素ガス105は、湿潤水電解水素ガス106を、水電解装置101で発生させ、加湿塔102を経由して吸収塔103に移送し、除湿することで製造される。
【0167】
水電解装置101で得られる水素ガスは、水電解装置の形式・条件により温度、圧力、湿度、組成などが異なる。そのため、乾燥水電解水素ガス105の製造に加湿塔102は必須ではないが、本試験装置では除湿性能を評価するために、水電解装置101で発生した湿潤水電解水素ガス106を加湿塔102で所定の温度、圧力、湿度に調整してから、除湿を行う。
【0168】
また、除湿試験を行う前に、まず始めに、静電容量式露点計107中の水分を排気するため、水電解装置101で発生した湿潤水電解水素ガス106を除湿装置108で乾燥し、そのガスを静電容量式露点計107に導入する。具体的には、バルブ109とバルブ110を閉じ、バルブ111とバルブ112を開いてマスフローコントローラー113(最大流量:3SLM)への流路を開き、三方弁114、三方弁115、三方弁116、三方弁117で静電容量式露点計107への流路をつなぎ、マスフローコントローラー113で流量を調整して静電容量式露点計107中の水分を排気する。静電容量式露点計107は、ロトロニックAG製の工業用温湿度変換器HF533-WAA3D14X・耐圧型プローブHC2-IE102-Mを用いた。
【0169】
次に、湿潤水電解水素ガス106を加湿塔102で温度、圧力、湿度を調整し、調整した湿潤水電解水素ガス118の露点を測定する。
【0170】
具体的には、バルブ109とバルブ110を開いてマスフローコントローラー119(最大流量:100sccm)の流路を開き、バルブ111、バルブ112、バルブ120を閉じ、三方弁114と三方弁115を加湿塔102側に流路を変更し、水電解装置101から湿潤水電解水素ガス106を、マスフローコントローラー119で流量調整し、逆止弁121を経て、加湿塔102に導入する。
【0171】
加湿塔102は、保温装置122で10℃に保温されている。加湿塔102の圧力は、静電容量式露点計107の下流側に設けた背圧弁123で調整される(例えば0.30MPaG)。加湿塔102の温度と圧力は、加湿塔102に設置された温度計124と圧力計125で測定される。
【0172】
加湿塔102での加湿は、加湿塔102内に貯留してある水の底部から湿潤水電解水素ガス106をバブリングすることで行い、湿潤水電解水素ガス118は、加湿塔102の温度と圧力における飽和量の水分を含有する。
【0173】
前述のとおり、湿潤水電解水素ガス118の露点を測定した後、湿潤水電解水素ガス118を吸収塔103に導入して各種条件で除湿する。
【0174】
吸収塔103には、吸収液126が貯留してあり、保温装置127で所定の温度(25℃)に保温されている。吸収塔103の圧力は、加湿塔102と同様に背圧弁123で調整される(例えば0.30MPaG)。吸収塔103内の温度、圧力、吸収液126の量は、吸収塔103に設置された温度計128、圧力計129、液面計130で測定される。
【0175】
湿潤水電解水素ガス118と吸収液126との接触は、具体的には、吸収液126が貯留してある吸収塔103の底部から湿潤水電解水素ガス118をバブリングさせることで行う。吸収塔103内では底部から吸収液126の気液面まで湿潤水電解水素ガス118の気泡が上昇し、その間に、湿潤水電解水素ガス118中の水分が吸収液126に移動する。気液面では乾燥した水素ガス(乾燥水電解水素ガス105)が放出され、水分を吸収した吸収液126と気液分離される。
【0176】
除湿された乾燥水電解水素ガス105は、経時的に静電容量式露点計107及び鏡面式露点計131で露点が測定され、マスフローメーター132で排出流量が測定され、排気口133から放出される。乾燥水電解水素ガス105の成分(例えば酸素、窒素など)は、ガスクロマトグラフ134で測定される。鏡面式露点計131は、東京光電子工業株式会社製のDPH-703Aを用い、ガスクロマトグラフ134は、アジレント・テクノロジー株式会社製の490マイクロGCを用いた。
【0177】
乾燥水電解水素ガス105は、三方弁117を経由して、トラップ135で吸収液126の飛沫等を分離し、フィルター136でその他の固体又液体の不純物を除去した後、静電容量式露点計107で露点を測定する。
【0178】
再生塔104では、吸収塔103で水分含有量が増加した吸収液(リッチ吸収液137)から水分を除去して水分含有量が減少した再生吸収液(リーン吸収液138)を得る。
【0179】
再生塔104と吸収塔103とは、吸収塔103から再生塔104にリッチ吸収液137を抜き出すラインと、再生塔104から吸収塔103にリーン吸収液138を戻すラインで接続されている。抜き出すラインには、ニードルバルブ139と流量計140が設けられ、戻すラインには送液ポンプ141が設けられている。本装置では、再生塔104の圧力が吸収塔103の圧力より低いので、高圧側の吸収塔103からリッチ吸収液137を抜き出す量は、流量計140で測定しながらニードルバルブ139で調整し、高圧側の吸収塔103にリーン吸収液138を戻す量は、送液ポンプ141で調整する。吸収塔103から抜き出す量と吸収塔103に戻す量は、通常同量にして吸収塔103及び再生塔104内の液量を一定にする。再生塔104内の温度、圧力、液量は、再生塔104に設置された温度計142、圧力計143、液面計144で測定される。
【0180】
再生塔104において、リッチ吸収液137から水分を除去するには、リッチ吸収液137と再生用乾燥水素ガス145を接触させる。再生用乾燥水素ガス145として乾燥水電解水素ガス105の一部を用いるために、バルブ120を開き、乾燥水電解水素ガス105を分岐点146で分岐させてマスフローコントローラー147で流量を調整し再生塔104に導入する。マスフローコントローラー147と再生塔104の間に背圧弁148を設け、背圧を、背圧弁123の設定圧力と再生塔104の設定圧力の中間の所定の圧力(例えば0.20MPaG)に設定する。マスフローコントローラー147の前後の圧力は、それぞれ圧力計149と圧力計150で測定する。
【0181】
再生塔104において、リッチ吸収液137と接触した再生用乾燥水素ガス145は、リッチ吸収液137から水分を吸収する。リッチ吸収液137と再生用乾燥水素ガス145との接触は、具体的には、リッチ吸収液137が貯留してある再生塔104の底部から再生用乾燥水素ガス145をバブリングさせることで行う。再生塔104内では底部からリッチ吸収液137の気液面まで再生用乾燥水素ガス145の気泡が上昇し、その間に、再生用乾燥水素ガス145がリッチ吸収液137中の水分を同伴する。気液面では水分含有量が増加した水素ガス(湿潤水素ガス152)が放出され、水分含有量が減少した吸収液(リーン吸収液138)と気液分離される。
【0182】
再生塔104の温度は吸収塔103の温度より高い所定の温度(例えば、60℃、80℃、100℃)に設定され、及び/又は、再生塔104の圧力は吸収塔103の圧力より低い所定の圧力(例えば、0kPaG、-50kPaG)に設定されている。
【0183】
高温ほど、水素ガス中の飽和水蒸気圧が高くなり、吸収液中の水分も気化し易くなるので、再生塔104の温度が吸収塔103の温度より高いと、再生塔104内の水素ガスは、吸収塔103内の水素ガスよりも水分の含有量を多くすることができる。従って、再生塔104の温度を吸収塔103の温度より高くし、及び/又は、再生塔104の圧力を吸収塔103の圧力より低くすることで、乾燥水電解水素ガス105の一部である再生用乾燥水素ガス145を用いて、リッチ吸収液137の全量を再生してリーン吸収液138にでき、連続的に乾燥水電解水素ガス105を製造することができる。
【0184】
再生塔104は、保温装置151で60℃~100℃の範囲の所定の温度に保温されている。
【0185】
再生塔104で水分を吸収した再生用乾燥水素ガス145は、再生塔104のヘッドスペースから、湿潤水素ガス152として、フィルター153、静電容量式露点計154、ニードルバルブ155を通して、ドライ真空ポンプ156で吸引される。それにより再生塔104は減圧される。フィルター153と静電容量式露点計154の間に圧力計157を設け、静電容量式露点計154で測定する湿潤水素ガス152の圧力を計測する。
【0186】
ドライ真空ポンプ156から排気された湿潤水素ガス152を、高圧の加湿塔102に戻すため、真空ポンプ兼用のコンプレッサ158で加圧する。逆止弁159、バッファータンク160、フィルター161、背圧弁162を順に接続し、背圧弁162の設定圧力を0.35MPaGにする。圧力は、フィルター161と背圧弁162の間に設置した圧力計163で測定する。
【0187】
加圧した湿潤水素ガス152は、マスフローメーター164と静電容量式露点計165で流量と露点が測定され、逆止弁166を経て、加湿塔102の湿潤水電解水素ガス106のラインに戻される。戻す圧力は、マスフローメーター164と静電容量式露点計165との間に設置した圧力計167で測定する。
【0188】
湿潤水素ガス152中の水分は、ラインが露点以下に冷却されておらず、また、飽和水蒸気圧以上に加圧されていなければ、全量が加湿塔102に戻る。
【0189】
なお本試験装置では、湿潤水素ガス152を湿潤水電解水素ガス106のラインに戻しているが、水電解装置101に戻すことができ、この場合、湿潤水素ガス152中の水分は、水電解の原料水として利用できる。
【0190】
(実施例1)
吸収液として、イオン液体である、式(1)で示される、メチルトリブチルホスホニウム ジメチルホスフェート(日本化学工業株式会社製、ヒシコーリンPX-4MP、化学式[(n-C(CH)][(MeO)PO ])を用いた。
【化8】
【0191】
湿潤水電解水素ガス106を、加湿塔102で、温度10℃、圧力0.30MPaGの飽和水蒸気量分の水蒸気を含んだ状態(常圧換算の露点:-9℃)にし、2L/min、圧力0.30MPaGで吸収塔3に供給した。吸収塔103は、吸収液の液量を500mL、温度を25℃、圧力を0.30MPaGとし、再生塔104は、液量を500mL、温度を60℃、圧力を-50kPaGとし、吸収液の循環量を5mL/minとし、乾燥水素の循環流量を500mL/minにして除湿試験を行った。静電容量式露点計107で測定した、乾燥水電解水素ガスの露点(常圧換算値)の経時変化を図7図9図11図15に示す。また、吸収塔103からサンプリングした、リッチ吸収液137と再生塔104からサンプリングしたリーン吸収液138の水分量の経時変化を図8図10図12図16に示す。乾燥水電解水素ガス105の露点は、20分程度で安定し、連続的に乾燥水電解水素ガス105が得られていることがわかる。
【0192】
乾燥水電解水素ガス105の露点が安定した30分後に、乾燥水電解水素ガス105の露点を鏡面式露点計131で測定して常圧換算値の露点を求めた。また、乾燥水電解水素ガス105をガスクロマトグラフ134で測定し、窒素濃度、酸素濃度を求めた。この乾燥水素ガスの露点(常圧換算値)、窒素濃度、酸素濃度、及び240分後のリッチ吸収液137とリーン吸収液138の水分量を表1に示す。
【0193】
(実施例2)
再生塔の圧力を0kPaGに変えた以外は実施例1と同様にして、除湿試験を行った。乾燥水電解水素ガス105の露点(常圧換算値)の経時変化を図9に示す。乾燥水電解水素ガス105の露点は、20分程度で安定し、連続的に乾燥水電解水素ガス105が得られていることがわかる。実施例1と比較すると乾燥水電解水素ガス105の露点が高い事がわかる。
【0194】
また、吸収塔103からサンプリングした、リッチ吸収液137と再生塔104からサンプリングしたリーン吸収液138の水分量の経時変化を図10に示す。乾燥水電解水素ガス105の露点が安定した30分後に、乾燥水電解水素ガス105の露点を鏡面式露点計131で測定して常圧換算値の露点を求めた。また、乾燥水電解水素ガス105をガスクロマトグラフ134で測定し、窒素濃度、酸素濃度を求めた。この乾燥水素ガスの露点(常圧換算値)、窒素濃度、酸素濃度、及び240分後のリッチ吸収液137とリーン吸収液138の水分量を表1に示す。
【0195】
(実施例3)
乾燥水素の循環流量を300mL/minに変えた以外は実施例1と同様にして、除湿試験を行った。静電容量式露点計107で測定した、乾燥水電解水素ガス105の露点(常圧換算値)の経時変化を図11に示す。乾燥水電解水素ガス105の露点は、20分程度で安定し、連続的に乾燥水電解水素ガス105が得られていることがわかる。また、吸収塔103からサンプリングした、リッチ吸収液137と再生塔104からサンプリングしたリーン吸収液138の水分量の経時変化を図12に示す。
【0196】
乾燥水電解水素ガス105の露点が安定した30分後に、乾燥水電解水素ガス105の露点を鏡面式露点計131で測定して常圧換算値の露点を求めた。また、乾燥水電解水素ガス105をガスクロマトグラフ134で測定し、窒素濃度、酸素濃度を求めた。この乾燥水素ガスの露点(常圧換算値)、窒素濃度、酸素濃度、及び240分後のリッチ吸収液137とリーン吸収液138の水分量を表1に示す。
【0197】
(実施例4)
乾燥水素の循環流量を100mL/minに変えた以外は実施例1と同様にして、除湿試験を行った。静電容量式露点計107で測定した、乾燥水電解水素ガス105の露点(常圧換算値)の経時変化を図13に示す。乾燥水電解水素ガス105の露点は、20分程度で安定し、連続的に乾燥水電解水素ガス105が得られていることがわかる。また、吸収塔103からサンプリングした、リッチ吸収液137と再生塔104からサンプリングしたリーン吸収液138の水分量の経時変化を図14に示す。
【0198】
乾燥水電解水素ガス105の露点が安定した30分後に、乾燥水電解水素ガス105の露点を鏡面式露点計131で測定して常圧換算値の露点を求めた。また、乾燥水電解水素ガス105をガスクロマトグラフ134で測定し、窒素濃度、酸素濃度を求めた。この乾燥水素ガスの露点(常圧換算値)、窒素濃度、酸素濃度、及び240分後のリッチ吸収液137とリーン吸収液138の水分量を表1に示す。
【0199】
(実施例5)
吸収液の循環量を2mL/minにした以外は、実施例1と同様にして除湿試験を行った。静電容量式露点計107で測定した、乾燥水電解水素ガス105の露点(常圧換算値)の経時変化を図15に示す。乾燥水電解水素ガス105の露点は、20分程度で安定し、連続的に乾燥水電解水素ガス105が得られていることがわかる。また、吸収塔103からサンプリングした、リッチ吸収液137と再生塔104からサンプリングしたリーン吸収液138の水分量の経時変化を図16に示す。
【0200】
乾燥水電解水素ガス105の露点が安定した30分後に、乾燥水電解水素ガス105の露点を鏡面式露点計131で測定して常圧換算値の露点を求めた。また、乾燥水電解水素ガス105をガスクロマトグラフ134で測定し、窒素濃度、酸素濃度を求めた。この乾燥水素ガスの露点(常圧換算値)、窒素濃度、酸素濃度、及び240分後のリッチ吸収液137とリーン吸収液138の水分量を表1に示す。
【0201】
(実施例6)
再生塔の温度を80℃に変えた以外は実施例1と同様にして、除湿試験を行った。乾燥水電解水素ガス105の露点(常圧換算値)の経時変化を図7に示す。乾燥水電解水素ガス105の露点は、20分程度で安定し、連続的に乾燥水電解水素ガス105が得られていることがわかる。実施例1と比較すると乾燥水電解水素ガス105の露点が高い事がわかる。
【0202】
また、吸収塔103からサンプリングした、リッチ吸収液137と再生塔104からサンプリングしたリーン吸収液138の水分量の経時変化を図8に示す。乾燥水電解水素ガス105の露点が安定した30分後に、乾燥水電解水素ガス105の露点を鏡面式露点計131で測定して常圧換算値の露点を求めた。また、乾燥水電解水素ガス105をガスクロマトグラフ134で測定し、窒素濃度、酸素濃度を求めた。なお、実施例6及び実施例7では、ガスクロマトグラフ134として、490マイクロGC(アジレント・テクノロジー株式会社製)の代わりに、低濃度の測定が可能なGC-2014(株式会社島津製作所製)を用いて測定した。この乾燥水素ガスの露点(常圧換算値)、窒素濃度、酸素濃度、及び240分後のリッチ吸収液137とリーン吸収液138の水分量を表1に示す。
【0203】
(実施例7)
再生塔104の温度を100℃に変えた以外は実施例1と同様にして、除湿試験を行った。乾燥水電解水素ガス105の露点(常圧換算値)の経時変化を図7に示す。乾燥水電解水素ガス105の露点は、20分程度で安定し、連続的に乾燥水電解水素ガス105が得られていることがわかる。実施例1と比較すると乾燥水電解水素ガス105の露点が高い事がわかる。
【0204】
また、吸収塔103からサンプリングした、リッチ吸収液137と再生塔104からサンプリングしたリーン吸収液138の水分量の経時変化を図8に示す。乾燥水電解水素ガス105の露点が安定した30分後に、乾燥水電解水素ガス105の露点を鏡面式露点計131で測定して常圧換算値の露点を求めた。また、乾燥水電解水素ガス105をガスクロマトグラフ134で測定し、窒素濃度、酸素濃度を求めた。この乾燥水素ガスの露点(常圧換算値)、窒素濃度、酸素濃度、及び240分後のリッチ吸収液137とリーン吸収液138の水分量を表1に示す。
【0205】
図7の実施例1、実施例6、実施例7で、再生塔104の温度に対する乾燥水電解水素ガス105の露点を比較すると、再生塔104の温度が高いほど乾燥水電解水素ガス105の露点が下がるが、80℃以上ではその低下量は少なく、10℃以上ではほとんど低下しないと推測される。
【0206】
(実施例8)
吸収液の循環量を1mL/minにした以外は、実施例1と同様にして除湿試験を行った。静電容量式露点計107で測定した、乾燥水電解水素ガス105の露点(常圧換算値)の経時変化を図15に示す。乾燥水電解水素ガス105の露点は、20分程度で安定し、連続的に乾燥水電解水素ガス105が得られていることがわかる。また、吸収塔103からサンプリングした、リッチ吸収液137と再生塔104からサンプリングしたリーン吸収液138の水分量の経時変化を図16に示す。
【0207】
乾燥水電解水素ガス105の露点が安定した30分後に、乾燥水電解水素ガス105の露点を鏡面式露点計131で測定して常圧換算値の露点を求めた。また、乾燥水電解水素ガス105をガスクロマトグラフ134で測定し、窒素濃度、酸素濃度を求めた。この乾燥水素ガスの露点(常圧換算値)、窒素濃度、酸素濃度、及び240分後のリッチ吸収液137とリーン吸収液138の水分量を表1に示す。
【0208】
図15の実施例1、実施例5、実施例8で、吸収液の循環量に対する乾燥水電解水素ガス105の露点を比較すると、吸収液の循環量が低いほど乾燥水電解水素ガス105の露点が下がるが、2mL/min以下ではその低下量は少なく、5mL/min以下ではほとんど低下しないと推測される。
【0209】
(実施例9)
乾燥水素の循環流量を50mL/minに変えた以外は実施例1と同様にして、除湿試験を行った。乾燥水電解水素ガス105の露点(常圧換算値)の経時変化を図13に示す。乾燥水電解水素ガス105の露点は、20分程度で安定し、連続的に乾燥水電解水素ガス105が得られていることがわかる。実施例1と比較すると乾燥水電解水素ガス105の露点が高い事がわかる。
【0210】
また、吸収塔103からサンプリングした、リッチ吸収液137と再生塔104からサンプリングしたリーン吸収液138の水分量の経時変化を図14に示す。乾燥水電解水素ガス105の露点が安定した30分後に、乾燥水電解水素ガス105の露点を鏡面式露点計131で測定して常圧換算値の露点を求めた。また、乾燥水電解水素ガス105をガスクロマトグラフ134で測定し、窒素濃度、酸素濃度を求めた。この乾燥水素ガスの露点(常圧換算値)、窒素濃度、酸素濃度、及び240分後のリッチ吸収液137とリーン吸収液138の水分量を表1に示す。
【0211】
(参考例1)
再生塔104に乾燥水素を流さない以外は実施例1と同様にして、除湿試験を行った。すなわち、吸収液として、イオン液体のメチルトリブチルホスホニウム ジメチルホスフェート(日本化学工業株式会社製、ヒシコーリンPX-4MP)を用い、湿潤水電解水素ガス106を、加湿塔102で、温度10℃、圧力0.30MPaGの飽和水蒸気量分の水蒸気を含んだ状態にし、2L/min、圧力0.30MPaGで吸収塔3に供給した。吸収塔103は、吸収液の液量を500mL、温度を25℃、圧力を0.30MPaGとした。
【0212】
再生塔104は、液量を500mL、温度を60℃とし、バルブ120を閉じて乾燥水素の循環流量を0mL/minにして、ドライ真空ポンプ156で-50kPaGで吸引し、排気は、循環させずに排気口(不図示)から放出した。吸収液の循環量は5mL/minとして除湿試験を行った。静電容量式露点計107で測定した、乾燥水電解水素ガス105の露点(常圧換算値)の経時変化を図13に示す。また、吸収塔103からサンプリングした、リッチ吸収液137と再生塔104からサンプリングしたリーン吸収液138の水分量の経時変化を図14に示す。乾燥水電解水素ガス105の露点は、20分程度で安定したが、露点は、-9℃(常圧換算)から、約-10℃程度に減少した。再生塔104を加熱しかつ減圧にすることで、リッチ吸収液137から水分が気化して除去されたと推測される。
【0213】
乾燥水電解水素ガス105の露点が安定した30分後に、乾燥水電解水素ガス105の露点を鏡面式露点計131で測定して常圧換算値の露点を求めた。また、乾燥水電解水素ガス105をガスクロマトグラフ134で測定し、窒素濃度、酸素濃度を求めた。この乾燥水素ガスの露点(常圧換算値)、窒素濃度、酸素濃度、及び240分後のリッチ吸収液137とリーン吸収液138の水分量を表1に示す。
【0214】
図11及び図13で実施例1、実施例3、実施例4、実施例9、参考例1を比較すると、再生塔104へのガス流量(水素ガスの循環流量)を変えても排気口から得られる乾燥水電解水素ガス105の総量は約2mL/minと変化しないが、水素ガスの循環流量が多いほど、吸収液中の水分量が減り、乾燥水電解水素ガス105の露点が低くなること、その低下割合は100mL/min以下で穏やかになり、循環流量300mL/min以下でより穏やかになる。循環流量500mL/min以下では、その低下量は少ないと推測される。
【0215】
(実施例10)
再生塔104の圧力を100kPaGに変えた以外は実施例1と同様にして、除湿試験を行った。乾燥水電解水素ガス105の露点(常圧換算値)の経時変化を図9に示す。乾燥水電解水素ガス105の露点は、20分程度で安定し、連続的に乾燥水電解水素ガス105が得られていることがわかる。
【0216】
また、吸収塔103からサンプリングした、リッチ吸収液137と再生塔104からサンプリングしたリーン吸収液138の水分量の経時変化を図10に示す。乾燥水電解水素ガス105の露点が安定した30分後に、乾燥水電解水素ガス105の露点を鏡面式露点計131で測定して常圧換算値の露点を求めた。また、乾燥水電解水素ガス105をガスクロマトグラフ134で測定し、窒素濃度、酸素濃度を求めた。この乾燥水素ガスの露点(常圧換算値)、窒素濃度、酸素濃度、及び240分後のリッチ吸収液137とリーン吸収液138の水分量を表1に示す。
【0217】
図9の実施例1、実施例2、実施例10で、再生塔104の圧力に対する乾燥水電解水素ガス105の露点を比較すると、圧力が低いほど乾燥水電解水素ガス105の露点が下がること、0kPaG以下ではその低下量が少なく、-50PaG以下では、その低下量がより少ないと推測される。
【0218】
【表1】
【0219】
(比較例1)
再生塔104に乾燥水素を流す代わりに、乾燥窒素を流し、ドライ真空ポンプ156から排出されたガスは循環させずに系外に排出した以外は実施例1と同様にして、除湿試験を行った。乾燥水電解水素ガス105の露点は、20分程度で安定し、連続的に乾燥水電解水素ガス105が得られた。
【0220】
また、吸収塔103からサンプリングしたリッチ吸収液137と再生塔104からサンプリングしたリーン吸収液138の水分量を測定した。乾燥水電解水素ガス105の露点が安定した30分後に、乾燥水電解水素ガス105の露点を鏡面式露点計131で測定して常圧換算値の露点を求めた。また、乾燥水電解水素ガス105をガスクロマトグラフ134で測定し、窒素濃度、酸素濃度を求めた。この乾燥水素ガスの露点(常圧換算値)、窒素濃度、酸素濃度、及び240分後のリッチ吸収液137とリーン吸収液138の水分量を表2に示す。
【0221】
実施例1~実施例10と比較例1とを比較すると、乾燥水電解水素ガス105中の窒素ガス濃度が、比較例1では約48ppmであるのに対して、実施例1~実施例10では、検出限界(4ppm)以下であり、実施例1~実施例10で得られる乾燥水電解水素ガス105は、高純度であることがわかる。
【0222】
(比較例2)
再生塔104に流す乾燥窒素の流量を500mL/min.から300mL/min.に変更した以外は、比較例1と同様にして、除湿試験を行った。また、比較例1と同様にして、乾燥水素ガスの露点(常圧換算値)、窒素濃度、酸素濃度、及び240分後のリッチ吸収液137とリーン吸収液138の水分量を測定した。結果を表2に示す。乾燥水電解水素ガス105中に窒素が混入していることがわかる。
【0223】
(比較例3)
再生塔104に流す窒素の流量を500mL/min.から100mL/min.に変更した以外は、比較例1と同様にして、除湿試験を行った。また、比較例1とど同様にして、乾燥水素ガスの露点(常圧換算値)、窒素濃度、酸素濃度、及び240分後のリッチ吸収液137とリーン吸収液138の水分量を測定した。結果を表2に示す。乾燥水電解水素ガス105中に窒素が混入していることがわかる。
【0224】
(比較例4)
再生塔104の温度を60℃から80℃に変更した以外は、比較例1と同様にして、除湿試験を行った。また、比較例1と同様にして、乾燥水素ガスの露点(常圧換算値)、窒素濃度、酸素濃度、及び240分後のリッチ吸収液137とリーン吸収液138の水分量を測定した。結果を表2に示す。乾燥水電解水素ガス105中に窒素が混入していることがわかる。なお、比較例4及び比較例5では、ガスクロマトグラフ134として、490マイクロGC(アジレント・テクノロジー株式会社製)の代わりに、低濃度の測定が可能なGC-2014(株式会社島津製作所製)を用いて測定した。
【0225】
(比較例5)
再生塔104の温度を60℃から100℃に変更した以外は、比較例1と同様にして、除湿試験を行った。また、比較例1と同様にして、乾燥水素ガスの露点(常圧換算値)、窒素濃度、酸素濃度、及び240分後のリッチ吸収液137とリーン吸収液138の水分量を測定した。結果を表2に示す。乾燥水電解水素ガス105中に窒素が混入していることがわかる。
【0226】
【表2】
【0227】
(実験例1に用いる管型反応器(1段))
実験例1では、図6に示す乾燥水電解水素ガス製造装置の吸収塔103の他の態様として管型の反応器による除湿試験を行う。実験例1に用いる管型の反応器(1段)について図20を用いて、図6の吸収塔103(槽型反応器)と比較しながら説明する。
前述の実施例1に用いた吸収塔103では、図6に示すように、除湿は、吸収塔103に吸収液(500mL)を貯留して、吸収塔103の底部から湿潤水電解水素ガス118(温度10℃、圧力0.30MPaG)を2L/minでバブリングさせることで、湿潤水電解水素ガス118と吸収液126との接触させることにより行った。吸収塔103内では底部から吸収液126の気液面まで湿潤水電解水素ガス118の気泡が上昇し、その間に、湿潤水電解水素ガス118中の水分が吸収液126に移動する。液面では乾燥した水素ガス(乾燥水電解水素ガス105)が放出され、水分を吸収した吸収液126と気液分離される。吸収塔103の上部のガス相に一部、ガラスビーズ(アズワン株式会社製、型番:BZ-4、球状、φ3.962~4.699mm)を設置して、吸収液をガラスビーズに滴下し、吸収液は、ガラスビーズの表面を経由して下部の液溜へと移動させた。
【0228】
実験例1に用いる吸収塔の1段式管型反応器301は、図20に示すように直管302(内径:1インチ(2.54cm)、長さ:100cm、材質:PFA(四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合体))の上端にT型管継手303を、下端にT型管継手304を接続し、上端のT型管継手303の枝管側に吸収液入口305を設け、下端のT型管継手304の母管側に吸収液出口306を設けてある。また、下端のT型管継手303の枝管側にガス吹込口307を設け、上端のT型管継手303の母管側にガス出口308を設けてある。図20の1段式管型反応器301は、図6の吸収塔103の槽型反応器に比べて容積が小さく、水平断面の断面積が小さく、垂直方向の長さが長い。1段式管型反応器301内には、充填材を充填していない。
【0229】
1段式管型反応器301に吸収液309を所定量貯留し、1段式管型反応器301内の温度を温度計310で計測して、1段式管型反応器301の外周に設置した恒温槽(図不示)で所定の温度に調整する。水電解装置(図不示)で製造した水電解水素ガスを、実施例1と同様に加湿塔311で加温と加湿を行い所定の温度、圧力、湿度に調整した湿潤水電解水素ガス312とし、逆止弁313を経由して所定の流量でガス吹込口307から、1段式管型反応器301に吹き込む。湿潤水電解水素ガス312は、吸収液309中を上昇して水分量が減少し、ガス出口308をから乾燥水電解水素ガス314として抜き出し、排気口315から排出する。乾燥水電解水素ガス314は、露点計(図不示)で露点を経時的に測定した。
【0230】
本測定では、吸収塔の性能を試験するため、再生塔を用いる代わりにリーン吸収液316として市販の乾燥したトリエチレングリコール(TEG、水分含有量200ppm以下)をリーン吸収液容器317に貯め、送液ポンプ318で圧送して、三方弁319、二方弁320、逆止弁321を経由して吸収液入口305から1段式管型反応器301に導入する。リーン吸収液316の水分量はサンプリング部322でサンプリングした試料を測定して求める。
【0231】
リーン吸収液316は、1段式管型反応器301中の吸収液309を下方に押し出す。1段式管型反応器301中でリーン吸収液316と湿潤水電解水素ガス312とが接触してリーン吸収液316中の水分濃度が上昇し、湿潤水電解水素ガス312中の水分濃度が降下する。1段式管型反応器301中で水分濃度が最も高い状態の吸収液309が、吸収液出口306からリッチ吸収液323として排出される。吸収液出口306の位置は、ガス吹込口307から導入する湿潤水電解水素ガス312が下方に向かって同伴しない程度にガス吹込口307より下方に設置されている。吸収液出口306から排出されたリッチ吸収液323の水分量は、二方バルブ324、ニードルバルブ325を経由してサンプリング部326でサンプリングした試料を測定して求めた。また、リッチ吸収液323は、二方バルブ327、流量調節バルブ328、流量調節バルブ329、微小流量計330を経由してリッチ吸収液容器331に貯留する。流量調節バルブ328および流量調節バルブ329の2段階で流量を微小に調節する。
【0232】
(実験例1:管型反応器(1段)による除湿試験(充填材なし))
湿潤水電解水素ガス312を、流量:2L/min、加湿塔温度:10℃、加湿塔圧力:0.30MPaGとし、吸収液309としてTEGを用い、リーン吸収液316として水分量158ppmのTEGを、1段式管型反応器301に流量:1mL/minで供給し、吸収塔温度:20℃、吸収塔圧力:0.30MPaGの条件で乾燥試験を行った。乾燥水電解水素ガス314の露点(常圧換算値)の経時変化を図22および図23に示す。また、240分経過後のリーン吸収液316(サンプリング部322)、リッチ吸収液323(サンプリング部326)の水分量を表3に示す。
【0233】
(実験例2に用いる管型反応器(2段))
実験例2では、図6に示す乾燥水電解水素ガス製造装置の吸収塔103の他の態様として2段の管型の反応器による除湿試験を行う。実験例2に用いる管型の反応器(2段)について図21を用いて説明する。
【0234】
2段式管型反応器401は、図21に示すように、第1管型反応器402と第2管型反応器403とが直列に連結されている。
【0235】
第1管型反応器402は、直管404(内径:1インチ(2.54cm)、長さ:100cm、材質:PFA)の上端にT型管継手405を接続し、下端にT型管継手406を接続し、上端のT型管継手405の枝管側に第1吸収液入口407を設け、下端のT型管継手406の母管側に第1吸収液出口408を設けてある。また、下端のT型管継手406の枝管側に第1ガス吹込口409を設け、上端のT型管継手の母管側に第1ガス出口410を設けてある。また、上端のT型管継手405の母管側から温度計411の熱電対が差し込まれており、第1管型反応器402内の温度を測定する。
【0236】
第2管型反応器403は、直管412(内径:1インチ(2.54cm)、長さ:100cm、材質:PFA)の下端にT型管継手413を接続し、更にT型管継手413の母管側にT型管継手414を直列に接続し、T型管継手414の母管側から細管415を直管412の中間まで通して第2吸収液入口416を設け、T型管継手414の枝管側に第2吸収液出口417を設けてある。また、T型管継手413の枝管側に第2ガス吹込口418を設け、直管412の上端に第2ガス出口419を設けてある。また、直管412の上端から温度計420の熱電対が差し込まれており、第2管型反応器403内の温度を測定する。
【0237】
第1管型反応器402の第1吸収液出口408は第2管型反応器403の第2吸収液入口416と連結され、第2管型反応器403の第2ガス出口419は第1管型反応器402の第1ガス吹込口409と連結されている。第1吸収液出口408は第2吸収液入口416より低い位置に配置されている。また、第2ガス出口419は、第1ガス出口410より低く、第1ガス吹込口409より高い位置に配置されている。
【0238】
第1管型反応器402および第2管型反応器403は、それぞれ図20の1段式管型反応器301と同様に、図6の吸収塔103(槽型反応器)に比べて容積が小さく、水平断面の断面積が小さく、垂直方向の長さが長い。第1管型反応器402および第2管型反応器403内には、充填材を充填していない。
【0239】
第1管型反応器402および第2管型反応器403に吸収液421を所定量貯留し、第1管型反応器402および第2管型反応器403内の温度は、それぞれ温度計411および温度計420で計測して、第1管型反応器402および第2管型反応器403の外周に設置した恒温槽(図不示)で所定の温度に調整する。水電解装置(図不示)で製造した水電解水素ガスを、実施例1と同様に加湿塔422を経由して加湿して所定の温度、圧力、湿度に調整した湿潤水電解水素ガス423とし、逆止弁424を経由して、所定の流量で、第1ガス吹込口409から、第2管型反応器403に吹き込む。湿潤水電解水素ガス423は、第2管型反応器403内の吸収液421中を上昇して水分量が減少し、第2ガス出口419から第1ガス吹込口409へ移動して第1管型反応器402に吹き込まれ、第1管型反応器402内の吸収液421中を上昇して更に水分量が減少し、第1ガス出口410から、乾燥水電解水素ガス425として抜き出し、排気口426から排出する。乾燥水電解水素ガス425は、露点計(図不示)で露点を経時的に測定する。
【0240】
本試験では、実験例1と同様に、吸収塔の性能を試験するため、再生塔を用いる代わりに、吸収液421としてTEGを用い、市販の乾燥したTEG(水分含有量200ppm以下)をリーン吸収液容器428に貯め、送液ポンプ429で圧送して、三方弁430、二方弁431、逆止弁432を経由して第1吸収液入口407から第1管型反応器402に導入する。リーン吸収液427の水分量は、サンプリング部433でサンプリングした試料を測定することにより行う。
【0241】
リーン吸収液427は、第1管型反応器402中の吸収液421を下方に押し出し、吸収液421は、第1吸収液出口408から第2吸収液入口416に移動し、第2管型反応器403に導入される。第1吸収液出口408より第2吸収液入口416が低位置にあるので、第1吸収液出口408と第2吸収液入口416の間にポンプを設けなくても第1管型反応器402から第2管型反応器403に吸収液421を送ることができる。第1吸収液出口408と第2吸収液入口416との間の吸収液421の水分量は、二方バルブ434、ニードルバルブ435を経由してサンプリング部436でサンプリングした試料を測定することにより行う。第2吸収液入口412から第2管型反応器403に導入された吸収液421は、第2管型反応器403中の吸収液421を下方に押し出し、第2吸収液出口417からリッチ吸収液437として排出される。リッチ吸収液437は、二方バルブ438、流量調節バルブ439、流量調節バルブ440、微小流量計441を経由してリッチ吸収液容器442に貯留する。流量調節バルブ439および流量調節バルブ440の2段階で流量を微小に調節する。リッチ吸収液437の水分量は、ニードルバルブ443を経由してサンプリング部444でサンプリングした試料を測定して求めた。
【0242】
(実験例2:管型反応器(2段)による除湿試験(充填材なし))
湿潤水電解水素ガス423を、流量:2L/min、加湿塔温度:10℃、加湿塔圧力:0.30MPaGとし、吸収液421としてTEGを用い、リーン吸収液427として水分量182ppmのTEGを、2段式管型反応器401に流量:1mL/minで供給し、吸収塔温度:20℃、吸収塔圧力:0.30MPaGの条件で乾燥試験を行った。乾燥水電解水素ガス425の露点(常圧換算値)の経時変化を図23および図24に示す。また、240分経過後のリーン吸収液427(サンプリング部433)、第1管型反応器402の第1吸収液出口408と第2管型反応器403の第2吸収液入口416との間の吸収液421(サンプリング部436)、リッチ吸収液437(サンプリング部444)の水分量を表3に示す。
【0243】
吸収塔の段数について実験例1と実験例2を比較すると図24からわかるように、充填材が無い場合、吸収塔を1段から2段にすることで、除湿水素の露点が約-51℃から約-61℃と大幅(約10℃)に下がった。
【0244】
(実験例3:管型反応器(2段)による除湿試験(充填材あり))
実験例2で用いた2段式管型反応器401では、第1管型反応器402および第2管型反応器403内に充填材を充填していないが、実験例3では、第1管型反応器402および第2管型反応器403内に充填材としてラッシリング(東京硝子機器株式会社製、商品名:ラッシリング、型式:FC-6、形状:円筒状、φ6×6mm)を充填した。
湿潤水電解水素ガス423を、流量:2L/min、加湿塔温度:10℃、加湿塔圧力:0.30MPaGとし、吸収液421としてTEGを用い、リーン吸収液427として水分量140ppmのTEGを、2段式管型反応器401に流量:1mL/minで供給し、吸収塔温度:20℃、吸収塔圧力:0.30MPaGの条件で乾燥試験を行った。乾燥水電解水素ガス425の露点(常圧換算値)の経時変化を図23図25図29に示す。また、240分経過後のリーン吸収液427(サンプリング部433)、第1管型反応器402の第1吸収液出口408と第2管型反応器403の第2吸収液入口416との間の吸収液421(サンプリング部436)、リッチ吸収液437(サンプリング部444)の水分量を表3に示す。
【0245】
ラッシリングの充填の有無について実験例2と実験例3を比較すると図23からわかるように、吸収塔が2段の場合、吸収塔にラッシリングを充填しても、除湿水素の露点は、約-61℃から約-62℃と、ほとんど変化しなかった。
【0246】
(実験例4:管型反応器(2段)による除湿試験(充填材あり))
実験例3で用いた2段式管型反応器401を用いて、吸収液流量を0.5L/minとした以外は、実験例3と同様にして乾燥試験を行った。乾燥水電解水素ガス425の露点(常圧換算値)の経時変化を図29に示す。また、240分経過後のリーン吸収液427(サンプリング部433)、第1管型反応器402の第1吸収液出口408と第2管型反応器403の第2吸収液入口416との間の吸収液421(サンプリング部436)、リッチ吸収液437(サンプリング部444)の水分量を表3に示す。
【0247】
(実験例5:管型反応器(2段)による除湿試験(充填材あり))
実験例3で用いた2段式管型反応器401を用いて、吸収液流量を2mL/minで供給した以外は、実験例3と同様にして乾燥試験を行った。乾燥水電解水素ガス425の露点(常圧換算値)の経時変化を図29に示す。また、240分経過後のリーン吸収液427(サンプリング部433)、第1管型反応器402の第1吸収液出口408と第2管型反応器403の第2吸収液入口416との間の吸収液421(サンプリング部436)、リッチ吸収液437(サンプリング部444)の水分量を表3に示す。
【0248】
(実験例6:管型反応器(1段)による除湿試験(充填材あり))
実験例1で用いた1段式管型反応器301内には、充填材を充填していないが、実験例6では1段式管型反応器301内にラッシリング(東京硝子機器株式会社製、商品名:ラッシリング、型式:FC-6、形状:円筒状、φ6×6mm)を充填した。ラッシリングを用いた以外は、実験例1と同様にして乾燥試験を行った。乾燥水電解水素ガス314の露点(常圧換算値)の経時変化を図22および図25に示す。また、240分経過後のリーン吸収液316(サンプリング部322)、リッチ吸収液323(サンプリング部326)の水分量を表3に示す。
【0249】
ラッシリングの充填の有無について実験例1と実験例6を比較すると図22からわかるように、吸収塔が1段の場合、吸収塔にラッシリングを充填することで、除湿水素の露点が、約-51℃から約-60℃と、大幅(約10℃)に低下した。
【0250】
吸収塔の段数について実験例6と実験例3を比較すると図25からわかるように、ラッシリングを充填した場合は、吸収塔を1段から2段にしても、除湿水素の露点は、約-60℃から約-62℃と、ほぼ等しかった。
【0251】
(実験例7:管型反応器(2段)による除湿試験(充填材あり))
実験例3で用いた2段式管型反応器401を用いて、リーン吸収液427を流量:0.3mL/minで供給した以外は、実験例3と同様にして乾燥試験を行った。乾燥水電解水素ガス425の露点(常圧換算値)の経時変化を図29図30に示す。また、240分経過後のリーン吸収液427(サンプリング部433)、第1管型反応器402の第1吸収液出口408と第2管型反応器403の第2吸収液入口416との間の吸収液421(サンプリング部436)、リッチ吸収液437(サンプリング部444)の水分量を表3に示す。
【0252】
吸収液流量について実験例5(2.0mL/min)、実験例3(1.0mL/min)、実験例4(0.5mL/min)、実験例7(0.3mL/min)を比較すると、図29からわかるように吸収塔が2段の場合では、吸収液流量を0.3~2.0mL/minの範囲で変化させても、約-62℃~約-61℃と、除湿水素の露点はほとんど変化しなかった。
【0253】
吸収液流量について実験例5(2.0mL/min)、実験例3(1.0mL/min)、実験例4(0.5mL/min)、実験例7(0.3mL/min)を比較すると吸収塔が2段の場合では、吸収液流量を0.3~2.0mL/minの範囲で変化させても、約-62℃~約-61℃と、除湿水素の露点はほとんど変化しなかった。
【0254】
(実験例8:管型反応器(2段)による除湿試験(充填材あり))
実験例3で用いた2段式管型反応器401を用いて、湿潤水電解水素ガス423の流量を3L/minに変えた以外は、実験例7と同様にして乾燥試験を行った。乾燥水電解水素ガス425の露点(常圧換算値)の経時変化を図30に示す。また、240分経過後のリーン吸収液427(サンプリング部433)、第1管型反応器402の第1吸収液出口408と第2管型反応器403の第2吸収液入口416との間の吸収液421(サンプリング部436)、リッチ吸収液437(サンプリング部444)の水分量を表3に示す。
【0255】
(実験例9:管型反応器(2段)による除湿試験(充填材あり))
実験例3で用いた2段式管型反応器401を用いて、湿潤水電解水素ガス423の流量を4L/minに変えた以外は、実験例7と同様にして乾燥試験を行った。乾燥水電解水素ガス425の露点(常圧換算値)の経時変化を図30に示す。また、240分経過後のリーン吸収液427(サンプリング部433)、第1管型反応器402の第1吸収液出口408と第2管型反応器403の第2吸収液入口416との間の吸収液421(サンプリング部436)、リッチ吸収液437(サンプリング部444)の水分量を表3に示す。
【0256】
(実験例10:管型反応器(2段)による除湿試験(充填材あり))
実験例3で用いた2段式管型反応器401を用いて、湿潤水電解水素ガス423の流量を5L/minに変えた以外は、実験例7と同様にして乾燥試験を行った。乾燥水電解水素ガス425の露点(常圧換算値)の経時変化を図30に示す。また、240分経過後のリーン吸収液427(サンプリング部433)、第1管型反応器402の第1吸収液出口408と第2管型反応器403の第2吸収液入口416との間の吸収液421(サンプリング部436)、リッチ吸収液437(サンプリング部444)の水分量を表3に示す。
【0257】
湿潤水電解水素ガス流量について実験例7(2L/min)、実験例8(3L/min)、実験例9(4L/min)、実験例10(5L/min)を比較すると、図30からわかるように、吸収塔が2段の場合は、水素流量を2L/min~5L/minの範囲で変化させても、除湿水素の露点はほとんど変化しなかった。
【0258】
(実験例11:管型反応器(1段)による除湿試験(充填材あり))
実験例6で用いた1段式管型反応器301を用い、リーン吸収液427の流量を0.3mL/minで供給し、湿潤水電解水素ガス流量を5L/minに変えた以外は、実験例6と同様にして乾燥試験を行った。乾燥水電解水素ガス314の露点(常圧換算値)の経時変化を図26および図28に示す。また、240分経過後のリーン吸収液316(サンプリング部322)、リッチ吸収液323(サンプリング部326)の水分量を表3に示す。
【0259】
(実験例12:管型反応器(1段)による除湿試験(充填材あり))
実験例6で用いた1段式管型反応器301を用い、リーン吸収液427の流量を0.5mL/minに変えた以外は、実験例11と同様にして乾燥試験を行った。乾燥水電解水素ガス314の露点(常圧換算値)の経時変化を図28に示す。また、240分経過後のリーン吸収液316(サンプリング部322)、リッチ吸収液323(サンプリング部326)の水分量を表3に示す。
【0260】
(実験例13:管型反応器(1段)による除湿試験(充填材あり))
実験例6で用いた1段式管型反応器301を用い、リーン吸収液427の流量を1.0mL/minに変えた以外は、実験例11と同様にして乾燥試験を行った。乾燥水電解水素ガス314の露点(常圧換算値)の経時変化を図28に示す。また、240分経過後のリーン吸収液316(サンプリング部322)、リッチ吸収液323(サンプリング部326)の水分量を表3に示す。
【0261】
吸収液流量について実験例11(0.3mL/min)、実験例12(0.5mL/min)、実験例13(1.0mL/min)を比較すると図28からわかるように、吸収塔が1段の場合は、吸収液流量が増大すると除湿水素の露点が低くなる傾向が確認できた。
【0262】
(実験例14:管型反応器(2段)による除湿試験(充填材あり))
実験例3で用いた2段式管型反応器401を用いて、湿潤水電解水素ガス423の圧力を調整して吸収塔圧力を0.60MPaGに変えた以外は、実験例10と同様にして乾燥試験を行った。乾燥水電解水素ガス425の露点(常圧換算値)の経時変化を図30に示す。また、240分経過後のリーン吸収液427(サンプリング部433)、第1管型反応器402の第1吸収液出口408と第2管型反応器403の第2吸収液入口416との間の吸収液421(サンプリング部436)、リッチ吸収液437(サンプリング部444)の水分量を表3に示す。
【0263】
吸収塔圧力について実験例10(0.3MPaG)、実験例14(0.60MPaG)を比較すると図31からわかるように、吸収塔が2段の場合は、圧力を0.30MPaGから0.60MPaGに上げることで、除湿水素の露点はわずかに(約2℃)低下した。
【0264】
(実験例15:管型反応器(1段)による除湿試験(充填材あり))
実験例6で用いた1段式管型反応器301を用い、リーン吸収液427の流量を0.3mL/minで供給し、湿潤水電解水素ガス流量を5L/minに変え、湿潤水電解水素ガス312の圧力を調整して吸収塔圧力を0.60MPaGに変えた以外は、実験例6と同様にして乾燥試験を行った。乾燥水電解水素ガス314の露点(常圧換算値)の経時変化を図27に示す。また、240分経過後のリーン吸収液316(サンプリング部322)、リッチ吸収液323(サンプリング部326)の水分量を表3に示す。
【0265】
管型反応器の段数について、吸収液流量:0.3mL/min、水素流量:5L/min、吸収塔圧力:0.3MPaGの条件で、実験例11(1段)と実験例10(2段)を比較すると図26からわかるように、吸収塔を1段から2段にすることで除湿水素の露点が7℃程度下がった。また、管型反応器の段数について、吸収液流量:0.3mL/min、水素流量:5L/min、吸収塔圧力:0.6MPaGの条件で、実験例15(1段)と実験例14(2段)を比較すると図27からわかるように、吸収塔を1段から2段にすることで除湿水素の露点が6℃程度下がった。
【表3】
【0266】
以上の実験例1から実験例15の結果以下のことがわかった。
1)段数が多く、ラッシリングがある方が、より低い露点の精製水素を得られた。2)吸収塔1段では吸収液流量が多い程精製水素の露点が低くなる傾向が見られたが、吸収塔2段では、吸収液流量を0.3~2.0mL/minで変化させても、精製水素の露点にほとんど影響が見られなかった。3)吸収塔2段では水素流量を2~5L/minで変化させても、除湿水素の露点はほとんど変化しなかった。4)吸収塔2段では、圧力を0.30MPaGから0.60MPaGに上げることで、除湿水素の露点はわずかに(約2℃)低下した。
【0267】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。
【符号の説明】
【0268】
1:水電解装置、2:湿潤水電解水素ガス、3:吸収塔、4:吸収液、5:背圧弁、6:乾燥水電解水素ガス、7:トラップ、8:露点計、9:排気口、10:リッチ吸収液、11:流量計、12:流量調節用バルブ、13:再生塔、14:乾燥水素ボンベ、15:流量計、16:再生用乾燥水素ガス、17:リーン吸収液、18:送液ポンプ、19:湿潤水素ガス、20:排気口、21:真空ポンプ、22:T字コネクター、23:コンプレッサ、
101:水電解装置、102:加湿塔、103:吸収塔、104:再生塔、105:乾燥水電解水素ガス、106:湿潤水電解水素ガス、107:静電容量式露点計、108:除湿装置、109:バルブ、110:バルブ、111:バルブ、112:バルブ、113:マスフローコントローラー、114:三方弁、115:三方弁、116:三方弁、117:三方弁、118:湿潤水電解水素ガス、119:マスフローコントローラー、120:バルブ、121:逆止弁、122:保温装置、123:背圧弁、124:温度計、125:圧力計、126:吸収液、127:保温装置、128:温度計、129:圧力計、130:液面計、131:鏡面式露点計、132:マスフローメーター、133:排気口、134:ガスクロマトグラフ、135:トラップ、136:フィルター、137:リッチ吸収液、138:リーン吸収液、139:ニードルバルブ、140:流量計、141:送液ポンプ、142:温度計、143:圧力計、144:液面計、145:再生用乾燥水素ガス、146:分岐点、147:マスフローコントローラー、148:背圧弁、149:圧力計、150:圧力計、151:保温装置、152:湿潤水素ガス、153:フィルター、154:静電容量式露点計、155:ニードルバルブ、156:ドライ真空ポンプ、157:圧力計、158:コンプレッサ、159:逆止弁、160:バッファータンク、161:フィルター、162:背圧弁、163:圧力計、164:マスフローメーター、165:静電容量式露点計、166:逆止弁、167:圧力計、
200:槽型反応器、201:吸収液入口、202:吸収液出口、203:ガス吹込口、204:ガス抜出口、206:リッチ吸収液、207:リーン吸収液、210:吸収液、211:液面、212:湿潤水電解水素ガス、213:乾燥水電解水素ガス、220:管型反応器、230:2段式反応器、240:第1管型反応器、241:第1吸収液入口、242:第1吸収液出口、243:第1ガス吹込口、244:第1ガス抜出口、245:液面、250:第2管型反応器、251:第2吸収液入口、252:第2吸収液出口、253:第2ガス吹込口、254:第2ガス抜出口、255:液面、
301:1段式管型反応器、302:直管、303:T型管継手、304:T型管継手、305:吸収液入口、306:吸収液出口、307:ガス吹込口、308:ガス出口、309:吸収液、310:温度計、311:加湿塔、312:湿潤水電解水素ガス、313:逆止弁、314:乾燥水電解水素ガス、315:排気口、316:リーン吸収液、317:リーン吸収液容器、318:送液ポンプ、319:三方弁、320:二方弁、321:逆止弁、322:サンプリング部、323:リッチ吸収液、324:二方バルブ、325:ニードルバルブ、326:サンプリング部、327:二方バルブ、328:流量調節バルブ、329:流量調節バルブ、330:微小流量計、331:リッチ吸収液容器、
401:2段式管型反応器、402:第1管型反応器、403:第2管型反応器、404:直管、405:T型管継手、406:T型管継手、407:第1吸収液入口、408:第1吸収液出口、409:第1ガス吹込口、410:第1ガス出口、411:温度計、412:直管、413:T型管継手、414:T型管継手、415:細管、416:第2吸収液入口、417:第2吸収液出口、418:第2ガス吹込口、419:第2ガス出口、420:温度計、421:吸収液、422:加湿塔、423:湿潤水電解水素ガス、424:逆止弁、425:乾燥水電解水素ガス、426:排気口、427:リーン吸収液、428:リーン吸収液容器、429:送液ポンプ、430:三方弁、431:二方弁、432:逆止弁、433:サンプリング部、434:二方バルブ、435:ニードルバルブ、436:サンプリング部、437:リッチ吸収液、438:二方バルブ、439:流量調節バルブ、440:流量調節バルブ、441:微小流量計、442:リッチ吸収液容器、443:ニードルバルブ、444:サンプリング部
図1
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