(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】進行型多発性硬化症の処置における使用のためのクラドリビン処方計画
(51)【国際特許分類】
A61K 31/7076 20060101AFI20240528BHJP
A61K 38/21 20060101ALI20240528BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240528BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20240528BHJP
A61K 47/69 20170101ALI20240528BHJP
【FI】
A61K31/7076
A61K38/21
A61P25/00
A61P37/06
A61K47/69
(21)【出願番号】P 2020528327
(86)(22)【出願日】2018-11-23
(86)【国際出願番号】 EP2018082434
(87)【国際公開番号】W WO2019101960
(87)【国際公開日】2019-05-31
【審査請求日】2021-11-22
(32)【優先日】2017-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591032596
【氏名又は名称】メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D-64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110003971
【氏名又は名称】弁理士法人葛和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドッツァウアー,マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ダンゴン,フェルナンド
【審査官】金子 亜希
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-537605(JP,A)
【文献】特表2008-524313(JP,A)
【文献】Archivum immunologiae et therapiae experimentalis,1995年,43(5-6):323-327
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/7076
A61K 38/21
A61P 25/00
A61P 37/06
A61K 47/69
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
進行型多発性硬化症を罹患している患者の経口処置のための、クラドリビンを含む医薬製剤であって、
進行型多発性硬化症が
、2次進行型多発性硬化症であり、
患者当たり、体重当たりおよび処置年当たりの固定用量で、クラドリビンが各患者に経口投与され、固定用量が、1.5mg/kg~4.0mg/kgの範囲から選択される、
前記医薬製剤。
【請求項2】
固定用量が、1.5mg/kg~2.0mg/kgの範囲から選択される、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項3】
患者当たりの固定用量が、最大偏差+/-0.2mg/kgを伴って、処置年当たり1.75mg/kgである、請求項1または2に記載の医薬製剤。
【請求項4】
クラドリビンが、18~65歳の年齢を有する患者に経口投与される、請求項1~
3のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項5】
クラドリビンが、18~51歳の年齢を有する患者に経口投与される、請求項1~
4のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項6】
クラドリビンが、12~51歳の年齢を有する患者に経口投与される、請求項1~
5のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項7】
クラドリビンが、女性の患者および/または男性の患者に経口投与される、請求項1~
6のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項8】
患者が、高疾患活動性(HDA)を有するおよび/または高疾患活動性と診断されたことがある、請求項1~
7のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項9】
クラドリビン処置未経験および/またはクラドリビン以外の疾患修飾性薬処置未経験である患者に、クラドリビンが経口投与される、請求項1~
8のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項10】
クラドリビンおよび/またはクラドリビン以外の疾患修飾性薬を以前に与えられた患者に、クラドリビンが経口投与される、請求項1~
9のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項11】
1種以上のクラドリビン以外の疾患修飾性薬もまた与えられている患者に、クラドリビンが経口投与される、請求項1~
10のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項12】
請求項
9~
11のいずれか一項に記載の医薬製剤であって、クラドリビン以外の疾患修飾性薬が:
インターフェロンベータ-1a、ベータインターフェロン-1
a、
インターフェロンベータ-1b、ベータインターフェロン-1
b、
ペグインターフェロンベータ1
a、
アレムツズマ
ブ、
ダクリズマ
ブ、
フマル酸ジメチ
ル、
フィンゴリモ
ド、
グラチラマー酢酸
塩、
ナタリズマ
ブ、および
テリフルノミ
ド
からなる群から選択される、前記医薬製剤。
【請求項13】
請求項9~12のいずれか一項に記載の医薬製剤であって、クラドリビン以外の疾患修飾性薬が、アボネックス(登録商標)、レビフ(登録商標)、ベタフェロン(登録商標)、Extavia(登録商標)、Plegridy(登録商標)、Lemtrada(登録商標)、Zinbryta(登録商標)、テクフィデラ(登録商標)、ジレニア(登録商標)、コパキソン(登録商標)、タイサブリ(登録商標)、およびAubagio(登録商標)からなる群から選択される、前記医薬製剤。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の医薬製剤であって、患者当たり、体重当たりおよび処置年当たりの固定用量で、クラドリビンが各患者に経口投与され、固定用量が、1.5mg/kg~4.0mg/kgの範囲から選択され
、ならびに、固定用量が、前記処置年以内の隣接する2月以内に患者に経口投与される、前記医薬製剤。
【請求項15】
固定用量が、1.5mg/kg~2.0mg/kgの範囲から選択される、請求項14に記載の医薬製剤。
【請求項16】
固定用量が、最大偏差+/-0.2mg/kgを伴って、処置年当たり1.75mg/kgである、請求項15に記載の医薬製剤。
【請求項17】
固定用量が、処置年の最初に始まる隣接する2月以内に、患者に経口投与される、請求項
14~16のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項18】
固定用量が、
処置年の隣接する2月
における各月において、1週間または2週間以内に、
あるいは、隣接する2週間以内に、患者に経口投与される、請求項
14~17のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項19】
固定用量が、
処置年の隣接する2月
における各月において、最初に位置する1週間以内または隣接する2週間以内に、患者に経口投与される、請求項
14~18のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項20】
固定用量が
、1週間の間の2~7日以内に、または
2週間のうちの各週の2~7日以内に
、患者に経口投与される、請求項
18または19に記載の医薬製剤。
【請求項21】
固定用量が
、1週間の間の4~5日以内に、または
2週間のうちの各週の4~5日以内に
、患者に経口投与される、請求項
18または19に記載の医薬製剤。
【請求項22】
固定用量が、1日用量の各量に分割されている、請求項20または21に記載の医薬製剤。
【請求項23】
患者当たり、体重当たりおよび処置年当たりの固定用量で、クラドリビンが各患者に経口投与され、ならびに、処置が、1年以上の追加処置年を含む、請求項1~
22のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項24】
患者当たり、体重当たりおよび処置年当たりの固定用量で、クラドリビンが各患者に経口投与され、ならびに、処置が、2年の処置
年を含む、請求項1~
23のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項25】
2年の処置年が、実質的に同一である、請求項24に記載の医薬製剤。
【請求項26】
処置年が、いずれも互いに直接的に隣接しているか、または1~10か月の間隔により隔てられている、請求項
23~25のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項27】
請求項1~
26のいずれか一項に記載の医薬製剤であって、患者当たり、体重当たりおよび処置年当たりの固定用量で、クラドリビンが各患者に経口投与され、
a)処置年当たりの固定用量が、1.5mg/kg~4.0mg/kgの範囲から選択され
、
b)処置年が、
(i)処置年の始めの2か月の処置期間、ここで、クラドリビンの固定用量が、各月毎に約1~約7日
、または各月の始めにおいて各月毎に約1~約7日、経口投与され、固定用量が、クラドリビン5~20mgの1日用量に分割されている、前記期間、
(ii)その間にクラドリビンが投与されない、10か月続くクラドリビンフリー期間、
を含む、
前記医薬製剤。
【請求項28】
処置年当たりの固定用量が、1.5mg/kg~2.0mg/kgの範囲から選択される、請求項27に記載の医薬製剤。
【請求項29】
処置年当たりの固定用量が、最大偏差+/-0.2mg/kgを伴って、処置年当たり1.75mg/kgである、請求項28に記載の医薬製剤。
【請求項30】
請求項1~
29のいずれか一項に記載の医薬製剤であって、患者当たり、体重当たりおよび処置年当たりの固定用量で、クラドリビンが各患者に経口投与され、
a)処置年当たりの固定用量が、1.5mg/kg~4.0mg/kgの範囲から選択され
、
b)処置年が、
(iii)処置年の始めの2か月の処置期間、ここで、クラドリビンの固定用量が、各月の始めにおいて各月毎に約3~約5日、経口投与され、固定用量が、クラドリビン10または20mgの1日用量に分割されている、前記期間、
(iv)その間にクラドリビンが投与されない、10か月続くクラドリビンフリー期間、
を含む、
前記医薬製剤。
【請求項31】
処置年当たりの固定用量が、1.5mg/kg~2.0mg/kgの範囲から選択される、請求項30に記載の医薬製剤。
【請求項32】
処置年当たりの固定用量が、最大偏差+/-0.2mg/kgを伴って、処置年当たり1.75mg/kgである、請求項32に記載の医薬製剤。
【請求項33】
請求項1~
32のいずれか一項に記載の医薬製剤であって
、2次進行型多発性硬化症を罹患している患者の経口処置であり、患者当たり、体重当たりおよび処置年当たりの固定用量で、クラドリビンが各患者に経口投与され、患者当たりの固定用量が、最大偏差+/-0.2mg/kgを伴って処置年当たり1.75mg/kgであり、ならびに、処置が少なくとも2年の処置年
を含む、または処置が2年の処置年を含む、前記医薬製剤。
【請求項34】
処置が、いずれも互いに実質的に隣接しているか、または、1~10か月
の間隔により隔てられている、もしくは1~6か月の間隔により隔てられている、2年の処置年を含む、請求項1~
33のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項35】
請求項1~
34のいずれか一項に記載の医薬製剤であって、処置が
、次に続く処置年を
追加的に含み、
a)処置年当たりの固定用量が、0.75mg/kg~2.0mg/kgの範囲から選択され
、
b)次に続く処置年が、
(v)処置年の始めの1か月または2か月の処置期間、ここで、クラドリビンの固定用量が、各月の始めにおいて各月毎に3~5日、経口投与され、固定用量が、クラドリビン10または20mgの1日用量に分割されている、前記期間、
(vi)その間にクラドリビンが投与されない、11または10か月続くクラドリビンフリー期間、
を含む、
前記医薬製剤。
【請求項36】
処置年当たりの固定用量が、1.0mg/kg~1.5mg/kgの範囲から選択される、請求項35に記載の医薬製剤。
【請求項37】
処置年当たりの固定用量が、最大偏差+/-0.2mg/kgを伴って、処置年当たり0.8mg/kgである、請求項36に記載の医薬製剤。
【請求項38】
処置が、1または2処置年を含み、
任意に、クラドリビンが患者に投与されない少なくとも1年
もしくは少なくとも2年が後に続く、請求項
35に記載の追加の次に続く処置年を加える、
請求項1~
37のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項39】
クラドリビンが、液体、錠剤、またはカプセルとして経口投与される、請求項1~
38のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項40】
クラドリビンが、錠
剤として、経口投与される、請求項1~
39のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項41】
錠剤が、クラドリビン約10mgを含む、請求項40に記載の医薬製剤。
【請求項42】
クラドリビンが、クラドリビン、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンおよびクラドリビン-2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン-複合体の混合物の形態で、クラドリビン10mgを含む錠剤として経口投与され、クラドリビンの2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンに対する重量比が、約1:10~約1:16の
間である、請求項1~
41のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項43】
クラドリビンの2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンに対する重量比が、1:13~1:15の間である、請求項42に記載の医薬製剤。
【請求項44】
進行型多発性硬化症を罹患すると診断された患者を処置する方法における使用のための、クラドリビンを含む医薬製剤であって、
進行型多発性硬化症が
、2次進行型多発性硬化症
であり、
方法が、1年当たり約1.75mg/kg+/-0.2mg/kgの1つの処置コースとして、2年にわたり、最大偏差+/-0.4mg/kgを伴って約3.5mg/kg体重のクラドリビンの累積用量を患者に経口投与することを含み、ここで、各処置コースは、2週の処置週からなり、
各処置週は、各処置年の最初に始まる隣接する2月の、各月の始めである、
前記医薬製剤。
【請求項45】
医薬製剤が、各処置週
において、4または5日
にわたって経口投与され、ここで患者は、各患者の体重に依存して
、経口投与のためのクラドリビン10mgまたは20mgを与えられる、請求項
44に記載の医薬製剤。
【請求項46】
医薬製剤が、各処置週において、4または5日にわたって経口投与され、ここで患者は、各患者の体重に依存して、単一1日用量として、経口投与のためのクラドリビン10mgまたは20mgを与えられる、請求項45に記載の医薬製剤。
【請求項47】
患者が、錠剤またはカプセルとして
、経口投与のためのクラドリビン10mgまたは20mgを与えられる、請求項
45または46に記載の医薬製剤。
【請求項48】
錠剤またはカプセルが、クラドリビン10mgを含有する、請求項47に記載の医薬製剤。
【請求項49】
患者が、クラドリビン、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンおよびクラドリビン-2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン-複合体の混合物の形態で、クラドリビン10mgを含む錠剤またはカプセルとして、経口投与のためのクラドリビン10mgまたは20mgを与えられ、ここで、クラドリビンの2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンに対する重量比が、約1:10~約1:16の
間である、請求項
48に記載の医薬製剤。
【請求項50】
クラドリビンの2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンに対する重量比が、1:13~1:15の間である、請求項49に記載の医薬製剤。
【請求項51】
請求項
44~
50のいずれか一項に記載の医薬製剤であって、方法が、約1.75mg/kgの1回の処置コースとして、2年にわたり、約3.5mg/kg体重のクラドリビンの累積用量を患者に経口投与することを含み、
ここで、各処置コースは、2週の処置週からなり、
各処置週は、各処置年の最初に始まる隣接する2月の、各月の始めである、
前記医薬製剤。
【請求項52】
医薬製剤は、各処置週
において、4または5日
にわたって経口投与され、ここで患者は
、経口投与のためのクラドリビン10mgまたは20mgを与えられる、請求項
51に記載の医薬製剤。
【請求項53】
医薬製剤は、各処置週において、4または5日にわたって経口投与され、ここで患者は、各患者の体重に依存して、単一1日用量として、経口投与のためのクラドリビン10mgまたは20mgを与えられる、請求項52に記載の医薬製剤。
【請求項54】
処置される患者が、18~65歳の間である、請求項
44~
53のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項55】
処置される患者が、18~51歳の間である、請求項
44~
54のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項56】
処置される患者が、12~51歳の間である、請求項
44~
55のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項57】
処置される患者が、女性の患者および/または男性の患者である、請求項
44~
56のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項58】
処置される患者が、クラドリビン処置未経験および/またはクラドリビン以外の疾患修飾性薬処置未経験である、請求項
44~
57のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項59】
患者が、クラドリビンおよび/またはクラドリビン以外の疾患修飾性薬を以前に与えられた患者である、請求項
44~
58のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項60】
処置される患者が、1種以上のクラドリビン以外の疾患修飾性薬を追加的に与えられている、請求項
44~
59のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項61】
請求項
58~
60のいずれか一項に記載の医薬製剤であって、クラドリビン以外の疾患修飾性薬が:
インターフェロンベータ-1a、ベータインターフェロン-1
a、
インターフェロンベータ-1b、ベータインターフェロン-1
b、
ペグインターフェロンベータ1
a、
アレムツズマ
ブ、
ダクリズマ
ブ、
フマル酸ジメチ
ル、
フィンゴリモ
ド、
グラチラマー酢酸
塩、
ナタリズマ
ブ、および
テリフルノミ
ド
からなる群から選択される、前記医薬製剤。
【請求項62】
請求項58~61のいずれか一項に記載の医薬製剤であって、クラドリビン以外の疾患修飾性薬が、アボネックス(登録商標)、レビフ(登録商標)、ベタフェロン(登録商標)、Extavia(登録商標)、Plegridy(登録商標)、Lemtrada(登録商標)、Zinbryta(登録商標)、テクフィデラ(登録商標)、ジレニア(登録商標)、コパキソン(登録商標)、タイサブリ(登録商標)、およびAubagio(登録商標)からなる群から選択される、前記医薬製剤。
【請求項63】
各1年の2回の処置コースが完了した患者に対し、次に続く1および2年の間に患者に、さらなるクラドリビン処置が必要とされないおよび/または投与されない、請求項44~62のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項64】
各1年の2回の処置コースが完了した患者に対し、次に続く3および4年の間に患者に、さらなるクラドリビン処置が必要とされないおよび/または投与されない、請求項
44~
63のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項65】
進行型多発性硬化症に罹患している患者を処置する方法における使用のための、クラドリビンを含む医薬製剤であって、
進行型多発性硬化症が
、2次進行型多発性硬化症
であり、ならびに医薬製剤が、それぞれクラドリビン約10mgを含有する錠剤またはカプセルであり、
方法が、前記錠剤またはカプセルを患者に経口投与することを含み、ここで、錠剤またはカプセルは、下記処方計画:
(i)2か月続く処置コース
であって、
ここで、クラドリビン錠剤またはカプセルは
、各処置週におい
て、各月に3~6日間、
もしくは各月に4または5日間、クラドリビン10または20mgの1日用量で毎日経口投与される、
あるいは、
クラドリビン錠剤またはカプセルは、各月の第1週において(各処置週において)、各月に3~6日間、もしくは各月に4または5日間、クラドリビン10または20mgの1日用量で毎日経口投与される、
前記処置コース;
(ii)後に続く
、クラドリビンが患者に投与されない、10か月続くクラドリビンフリー期間
、または
後に続く、クラドリビンが患者に投与されない、第1の処置年の終わりまで10か月続くクラドリビンフリー期間;
を含む処置年と呼ばれる期間、投与され、
ここで、
-40~50kg未満の範囲の体重を有する患者には
1)処置コースの第1の処置週において4個の錠剤またはカプセル(クラドリビン40mg)、
2)処置コースの第2の処置週において4個の錠剤またはカプセル(クラドリビン40mg)、
が投与され、
-50~60kg未満の範囲の体重を有する患者には
1)それぞれ、処置コースの第1の処置週において5個の錠剤またはカプセル(クラドリビン50mg)、
2)処置コースの第2の処置週において5個の錠剤またはカプセル(クラドリビン50mg)、
が投与され、
-60~70kg未満の範囲の体重を有する患者には
1)処置コースの第1の処置週において6個の錠剤またはカプセル(クラドリビン60mg)、
2)処置コースの第2の処置週において6個の錠剤またはカプセル(クラドリビン60mg)、
が投与され、
-70~80kg未満の範囲の体重を有する患者には
1)処置コースの第1の処置週において7個の錠剤またはカプセル(クラドリビン70mg)、
2)処置コースの第2の処置週において7個の錠剤またはカプセル(クラドリビン70mg)、
が投与され、
-80~90kg未満の範囲の体重を有する患者には
1)処置コースの第1の処置週において8個の錠剤またはカプセル(クラドリビン80mg)、
2)処置コースの第2の処置週において7個の錠剤またはカプセル(クラドリビン70mg)、
が投与され、
-90~100kg未満の範囲の体重を有する患者には
1)処置コースの第1の処置週において9個の錠剤またはカプセル(クラドリビン90mg)、
2)処置コースの第2の処置週において8個の錠剤またはカプセル(クラドリビン80mg)、
が投与され、
-100~110kg未満の範囲の体重を有する患者には
1)処置コースの第1の処置週において10個の錠剤またはカプセル(クラドリビン100mg)、
2)処置コースの第2の処置週において9個の錠剤またはカプセル(クラドリビン90mg)、
が投与され、
-110kg以上の範囲の体重を有する患者には
1)処置コースの第1の処置週において10個の錠剤またはカプセル(クラドリビン100mg)、
2)処置コースの第2の処置週において10個の錠剤またはカプセル(クラドリビン100mg)、
が投与される、
前記医薬製剤。
【請求項66】
追加の処置年と呼ばれる少なくとも1年の次に続く期間をさらに含み、ここで、追加の処置年は、処置年と呼ばれる処方計画と実質的に同一である、また
は同一である、請求項
65に記載の医薬製剤。
【請求項67】
追加の処置年が、処置年と呼ばれる処方計画と直接的に隣接しているか、または2年の処置年の間には1~10か月の間隔がある、請求項
66に記載の医薬製剤。
【請求項68】
方法が、追加の処置年と呼ばれる2年以上の次に続く期
間をさらに含み、ここで、全ての追加の処置年は、実質的に同一であるか、また
は同一であり、および、追加の処置年は、互いに直接的に隣接しているか、または少なくとも2年の追加の処置年の間には1~10か月の間隔がある、請求項
65または
66に記載の医薬製剤。
【請求項69】
方法が、2年の追加の処置年をさらに含み、ここで、全ての追加の処置年は、実質的に同一であるか、または同一であり、および、追加の処置年は、互いに直接的に隣接しているか、または少なくとも2年の追加の処置年の間には1~10か月の間隔がある、請求項65または66に記載の医薬製剤。
【請求項70】
進行型多発性硬化症に罹患している患者を処置する方法における使用のための、クラドリビンを含む医薬製剤であって、
進行型多発性硬化症が
、2次進行型多発性硬化症
であり、ならびに医薬製剤が、それぞれクラドリビン約10mgを含有する錠剤またはカプセルであり、
方法が、前記錠剤またはカプセルを患者に経口投与することを含み、ここで、錠剤またはカプセルは、下記処方計画:
(i)2か月続く第1の処置コース
であって、
ここで、クラドリビン錠剤またはカプセルは、
処置週におい
て、各月に3~6日間、
もしくは各月に4または5日間、クラドリビン10または20mgの1日用量で毎日経口投与される、
あるいは、
クラドリビン錠剤またはカプセルは、各月の第1週において(処置週において)、各月に3~6日間、もしくは各月に4または5日間、クラドリビン10または20mgの1日用量で毎日経口投与される、
前記処置コース;
(ii)後に続く
、クラドリビンが患者に投与されない、10か月続く第1のクラドリビンフリー期間
、または
後に続く、クラドリビンが患者に投与されない、第1の処置年の終わりまで10か月続く第1のクラドリビンフリー期間;
(iii)後に続く、2か月続く第2の処置コース
であって、
ここで、クラドリビン錠剤またはカプセルは、
処置週におい
て、各月に3~6日間、
もしくは各月に4または5日間、クラドリビン10または20mgの1日用量で毎日経口投与される、
あるいは、クラドリビン錠剤またはカプセルは、各月の第1週において(処置週において)、各月に3~6日間、もしくは各月に4または5日間、クラドリビン10または20mgの1日用量で毎日経口投与される、
前記処置コース;および
(iv)後に続く
、クラドリビンが患者に投与されない、10か月続く第2のクラドリビンフリー期間
、または
後に続く、クラドリビンが患者に投与されない、第2の処置年の終わりまで10か月続く第2のクラドリビンフリー期間;
を含む処置年と呼ばれる期間、投与され、ならびに
ここで、
-40~50kg未満の範囲の体重を有する患者には
1)第1および第2の処置コース両方の第1の処置週において、それぞれ4個の錠剤またはカプセル(クラドリビン40mg)、
2)第1および第2の処置コース両方の第2の処置週において、それぞれ4個の錠剤またはカプセル(クラドリビン40mg)、
が投与され、
-50~60kg未満の範囲の体重を有する患者には
1)第1および第2の処置コース両方の第1の処置週において、それぞれ5個の錠剤またはカプセル(クラドリビン50mg)、
2)第1および第2の処置コース両方の第2の処置週において、それぞれ5個の錠剤またはカプセル(クラドリビン50mg)、
が投与され、
-60~70kg未満の範囲の体重を有する患者には
1)第1および第2の処置コース両方の第1の処置週において、それぞれ6個の錠剤またはカプセル(クラドリビン60mg)、
2)第1および第2の処置コース両方の第2の処置週において、それぞれ6個の錠剤またはカプセル(クラドリビン60mg)、
が投与され、
-70~80kg未満の範囲の体重を有する患者には
1)第1および第2の処置コース両方の第1の処置週において、それぞれ7個の錠剤またはカプセル(クラドリビン70mg)、
2)第1および第2の処置コース両方の第2の処置週において、それぞれ7個の錠剤またはカプセル(クラドリビン70mg)、
が投与され、
-80~90kg未満の範囲の体重を有する患者には
1)第1および第2の処置コース両方の第1の処置週において、それぞれ8個の錠剤またはカプセル(クラドリビン80mg)、
2)第1および第2の処置コース両方の第2の処置週において、それぞれ7個の錠剤またはカプセル(クラドリビン70mg)、
が投与され、
-90~100kg未満の範囲の体重を有する患者には
1)第1および第2の処置コース両方の第1の処置週において、それぞれ9個の錠剤またはカプセル(クラドリビン90mg)、
2)第1および第2の処置コース両方の第2の処置週において、それぞれ8個の錠剤またはカプセル(クラドリビン80mg)、
が投与され、
-100~110kg未満の範囲の体重を有する患者には
1)第1および第2の処置コース両方の第1の処置週において、それぞれ10個の錠剤またはカプセル(クラドリビン100mg)、
2)第1および第2の処置コース両方の第2の処置週において、それぞれ9個の錠剤またはカプセル(クラドリビン90mg)、
が投与され、
-110kg以上の範囲の体重を有する患者には
1)第1および第2の処置コース両方の第1の処置週において、それぞれ10個の錠剤またはカプセル(クラドリビン100mg)、
2)第1および第2の処置コース両方の第2の処置週において、それぞれ10個の錠剤またはカプセル(クラドリビン100mg)、
が投与される、
前記医薬製剤。
【請求項71】
クラドリビン、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンおよびクラドリビン-2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン-複合体の混合物の形態で、クラドリビン10mgを含む錠剤またはカプセルとして、経口投与のためのクラドリビン10mgまたは20mgが患者に投与され、ここで、クラドリビンの2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンに対する重量比が、約1:10~約1:16の
間である、請求項
65~
70のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項72】
クラドリビンの2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンに対する重量比が、1:13~1:15の間である、請求項71に記載の医薬製剤。
【請求項73】
処置される患者が、18~51歳または12~51歳の間である、請求項
65~
72のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項74】
処置される患者が、女性の患者および/または男性の患者である、請求項
65~
73のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項75】
処置される患者が、クラドリビン処置未経験および/またはクラドリビン以外の疾患修飾性薬処置未経験である、請求項
65~
74のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項76】
患者が、クラドリビンおよび/またはクラドリビン以外の疾患修飾性薬を以前に与えられた患者である、請求項
65~
75のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項77】
処置される患者が、1種以上のクラドリビン以外の疾患修飾性薬を追加的に与えられている、請求項
65~
76のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項78】
請求項
75~
77のいずれか一項に記載の医薬製剤であって、クラドリビン以外の疾患修飾性薬が:
インターフェロンベータ-1a、ベータインターフェロン-1
a、
インターフェロンベータ-1b、ベータインターフェロン-1
b、
ペグインターフェロンベータ1
a、
アレムツズマ
ブ、
ダクリズマ
ブ、
フマル酸ジメチ
ル、
フィンゴリモ
ド、
グラチラマー酢酸
塩、
ナタリズマ
ブ、および
テリフルノミ
ド
からなる群から選択される、前記医薬製剤。
【請求項79】
請求項75~78のいずれか一項に記載の医薬製剤であって、クラドリビン以外の疾患修飾性薬が、アボネックス(登録商標)、レビフ(登録商標)、ベタフェロン(登録商標)、Extavia(登録商標)、Plegridy(登録商標)、Lemtrada(登録商標)、Zinbryta(登録商標)、テクフィデラ(登録商標)、ジレニア(登録商標)、コパキソン(登録商標)、タイサブリ(登録商標)、およびAubagio(登録商標)からなる群から選択される、前記医薬製剤。
【請求項80】
各1年の2回の処置コースが完了した患者に対し、次に続く1および2年の間に患者に、さらなるクラドリビン処置が必要とされないおよび/または投与されない、請求項65~79のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項81】
各1年の2回の処置コースが完了した患者に、次に続く3および4年の間に、さらなるクラドリビン処置が必要とされないおよび/または投与されない、請求項
65~
80のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項82】
処置される患者が、方法による処置の開始前に、2次進行型多発性硬化症と診断されたことがある、請求項
65~
81のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項83】
患者が、高疾患活動性(HDA)を有するおよび/または高疾患活動性と診断されたことがある、請求項
65~
82のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、進行型多発性硬化症、特に1次進行型多発性硬化症および/または2次進行型多発性硬化症の処置のための、クラドリビンを含む特定の経口投薬、特定の経口投薬形態および/または特定の経口用量処方計画に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
多発性硬化症(MS)は、よく知られているヒトの中枢神経系の慢性炎症性脱髄性疾患である。疾患の発症は、典型的には20~40歳の間に起こる。女性は、男性のおよそ2倍の頻度で罹患する。
経時的に、MSは、様々な神経学的な障害の蓄積をもたらし得る。MSにおける臨床的な障害は、組織委縮をもたらす、続発のミエリンおよび軸索の喪失を伴った反復性の炎症性傷害の結果であると推測されている。
【0003】
MSはしばしば、身体症状(再発および障害の進行)、中枢神経系(CNS)炎症、脳委縮および認知的障害を呈する。主症状には、局所性感覚の欠損、局所脱力、視覚問題、平衡失調および倦怠感が含まれる。性的障害および括約筋機能不全が生じる場合もある。MS患者のおよそ半数は、認知的障害または鬱症状を経験し得る。
【0004】
MSは、しばしば多相性疾患と考えられ、臨床的静止(寛解)が増悪の間に生じる。寛解は、長さが変化して数年続くことがあるが、まれに永続性である。
一般的に、4つの疾患過程に区別される:再発寛解型(RR)、2次進行型(SP)、1次進行型(PP)および進行再発型(PR)多発性硬化症。
【0005】
80%を超えるMS患者は、初期には、神経学的症状の臨床的増悪を伴うRR過程を示し、次いで完全である場合もあるまたは完全ではない場合もある回復が続く(Lublin and Reingold, Neurology, 1996, 46:907-911)。
【0006】
RRMSの間、障害の蓄積は、再発からの不完全な回復に起因する。およそ、RRMS患者の半数が、疾患発症の10年後には、SPMSと呼ばれる進行型過程に切り替わる。SP相の間、障害の悪化は、増悪後の残存症状の蓄積およびまた増悪と増悪との間の潜行性の進行に起因する(上記Lublin and Reingold)。MS患者の10%は、疾患の発症からの症状の潜行性の進行により特徴づけられるPPMSを有する。5%未満の患者は、PRMSを有し、PPMSと同じ予後を有するとしばしば考えられている。明確に区別できる病態メカニズムが、異なる患者サブグループに関与し、疾患分類に幅広い範囲の意義を有する可能性があることが示唆されている(Lassmann et al., 2001, Trends Mol. Med., 7, 115-121; Lucchinetti et al., Curr. Opin. Neurol., 2001, 14, 259-269)。
【0007】
MSの発症は、CNS機能不全の最初の神経学的症状の発現により定義される。脳脊髄液(CSF)解析および磁気共鳴画像法(MRI)における進展は、診断プロセスを簡素化し、早期診断を促進してきた(Noseworthy et al., The New England Journal of Medicine, 2000, 343, 13, 938-952)。MS診断の国際パネルは、MSの診断を容易にし、臨床的および準臨床的診断方法を伴うMRIを含む、改訂基準を発行した(Mc Donald et al., 2001, Ann. Neurol., 50:121-127)。
【0008】
MSに対する現行の薬物療法は、疾患修飾処置、すなわち、MSの過程を修飾するものであり、免疫系を調節または抑制する。過去には、下記:3種のベータインターフェロン(Betaseron(登録商標)、Berlex;アボネックス(登録商標)、バイオジェン;レビフ(登録商標)、セローノ)およびグラチラマー酢酸塩(コパキソン(登録商標)、アムジェン)を含む、RRMSに対してFDAにより承認された免疫調節剤がいくつか存在している。また、悪化するMSに対してFDAにより承認された免疫抑制剤1種、ミトキサントロン(ノバントロン(登録商標)、アムジェン)も存在する。他のいくつかの免疫抑制剤が使用されるが、これらはFDAにより承認されていない。しかしながら、一方で、いわゆる疾患修飾薬(DMD)または疾患修飾治療剤/療法(DMT)には、下記:
インターフェロンベータ-1a、ベータインターフェロン-1a(例えば、アボネックス(登録商標)、レビフ(登録商標))、
インターフェロンベータ-1b、ベータインターフェロン-1b(例えば、ベタフェロン(登録商標)、Extavia(登録商標))、
ペグインターフェロンベータ1a(例えば、Plegridy(登録商標))、
アレムツズマブ(例えば、Lemtrada(登録商標))、
ダクリズマブ(例えば、Zinbryta(登録商標))、
フマル酸ジメチル(例えば、テクフィデラ(登録商標))
フィンゴリモド(例えば、ジレニア(登録商標))
グラチラマー酢酸塩(例えば、コパキソン(登録商標))
ナタリズマブ(例えば、タイサブリ(登録商標))、および
テリフルノミド(例えば、Aubagio(登録商標))
が含まれる。
【0009】
この分類の治療剤に追加された最新のものは、クラドリビン錠剤(Mavenclad(登録商標))であり、これは、高疾患活動性を有する患者における再発寛解型多発性硬化症の処置に対し、2017年8月にEMAにより承認されている。
しかしながら、これら全ての治療剤は、(FDA、EMAなどの)保健機関により、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)の処置に対して承認されているに過ぎない一方で、これらのうち、1次進行型多発性硬化症(PPMS)および2次進行型多発性硬化症(SPMS)を含むがこれらに限定されない進行型多発性硬化症に対して承認されているものはない。
【0010】
事実、現在まで、PPMSの処置に対して承認されている唯一の治療剤、オクレリズマブ(オクレバス(登録商標))があるが、これまで、この適応においては、良くても中程度の興味と成功を得ただけである。PPMSにおける他の臨床試験、例えば、(試験薬としてグラチラマー酢酸塩を採用する)PROMISE試験、(試験薬としてリツキシマブを採用する)OLYMPUS試験、および(試験薬としてフィンゴリモドを採用する)INFORMS試験は、有意な臨床的評価項目に達しなかった。しかしながら、早期の2次進行型多発性硬化症患者として同定された患者のサブセット(subset)においては、軽微な臨床活性がみられた。
【0011】
興味深いことに、このいわゆる早期の2次進行型多発性硬化症患者(ESPMS)は、再発寛解型MSと進行型MSとの間のある種の遷移状態を示す、ある型の多発性硬化症である。この型は、MSの純粋な再発寛解型および進行型両方の非常に異なる側面とまた非常に異なるメカニズムとを兼ね備える。
【0012】
結果として、理論により拘束されることを望むものではないが、オクレリズマブ以外のDMD、すなわち、元はRRMSに対して承認されたDMDを用いた上述の全てのPPMS試験においてみられた軽微な有効性または軽微な臨床効果は、簡単なメカニズムに基づくに過ぎないと考えられる:RRMSに対して承認されたDMDの前記の軽微なまたは中程度の有効性を経験した全ての患者は、実際には、再発寛解型MSと、ESPMSを含む進行型MSとの間の遷移状態にあり、そこで排他的に(部分的に)処置されたRRMSの側面およびメカニズムは、SPMSまたはPPMSの進行型の側面およびメカニズムに対しては全く効果または有効性を有さず、患者の全体的な状態には寄与しないということである。したがって、RRMSに承認されたDMDを採用した上述の試験の非常に満足のいかない結果は、一方において再発寛解型および他方で進行型の根底にあるメカニズムは非常に異なっており、RRMSに承認されたDMDによっては対処できないことを明確に示している。
【0013】
上記に基づけば、進行型MSの分野においては、有効な治療剤に対する未だ満たされていない高度な医療的必要性が明らかに存在している。
本明細書において詳細に議論される新しく驚くべき有利な臨床結果に基づけば、理論に拘束されることを望むものではないが、高疾患活動性を有する患者におけるRRMSの処置に対して新たに承認された活性成分クラドリビンを含む本明細書において記載される特定の経口投薬、特定の投薬形態および/または特定の経口用量処方計画はまた、ESPMSの処置を明らかに超えて、進行型MSの処置において有効であり、特に、単剤としてクラドリビンを用いた、および他のDMDと組み合わせてクラドリビンを用いた、PPMSおよび/またはSPMSの処置に有効であると考えられる。
【0014】
さらに詳しく述べると、RRMSおよびSPMS患者の両方が含まれていたONWARD試験の結果は、驚くべきことに、クラドリビン処置されたRRMS患者(すなわち、クラドリビンについて現在承認されているRRMS表示に従って、経口クラドリビンを与えられた患者)は、プラセボで処置された患者よりも、適格である再発(qualifying relapse)を有する可能性が50%減少したのに対し、クラドリビン処置されたSPMS患者(すなわち、同様にクラドリビンについて現在承認されているRRMS表示に従って、経口クラドリビンを与えられたSPMS患者)は、プラセボで処置された患者よりも、適格である再発を有する可能性が89%減少したことを示している。本臨床データにより示された有効性におけるこの有意な差は、クラドリビンで処置されたSPMS患者にとって、これまでに予期しなかった利点であり、SPMSおよびPPMSの両方を含む進行型MSの処置におけるクラドリビンの臨床的有効性および可能性を明確に示しており、このことは、クラドリビンの代わりにプラセボを与えられた患者を含む全ての患者に投与された併用薬とは明らかに無関係のようである。
【0015】
驚くべきことに、経口クラドリビンは、好ましくはSPMSおよびPPMSの両方を含む進行型MSに特徴的な、重度の異なる炎症性プロセスの標的およびメカニズムを強力に下方制御することができるようである。延長された薬力学的(PD)効果および様々な特定の免疫細胞に対する固有の特異的効果と組み合わさった短い半減期、最も注目すべき、これまでに知られていない選択性によるT細胞およびB細胞数の可逆的な減少を含むがこれらに限定されない、経口クラドリビンの固有の特性により、本発明に従った使用のための経口クラドリビンは、PPMSおよび/またはSPMS、好ましくはPPMSを含むがこれらに限定されない、1種以上の進行型MSの処置における画期的な治療剤になると考えられる。
【0016】
クラドリビン、すなわち塩素化プリンアナログである2-クロロ-2’デオキシアデノシンアナログ(2-CdA)は、MSの処置において有用であることが示唆されている(欧州特許626853号明細書、米国特許5,506,214号)。
多発性硬化症患者におけるクラドリビンを用いたいくつかの臨床試験では、MSにおけるi.v.およびs.c.クラドリビンの使用が調査された。
【0017】
慢性進行型MS(Selby et al., 1998, Can. J. Neurol. Sci., 25:295-299)および再発寛解型MS(Romine et al., 1999, Proceedings of the Association of American Physicians, 111, 1, 35-44)のそれぞれについて、二重盲検プラセボ対照第II相試験が行われた。
【0018】
最初の試験では、用いられたクラドリビン用量は、7日間にわたり、連続i.v.注入による0.1mg/kg/日であった。この処置は4か月間連続で反復された。
2回目の臨床試験では、用いられたクラドリビン用量は、5日間にわたり、皮下注射による0.07mg/kg/日であった。この処置は6か月間連続で反復された。
加えて、1次進行型(PP)または2次進行型(SP)多発性硬化症患者において、プラセボ対照第III相試験が行われた(Rice at al., 2000, Neurology, 54, 5, 1145-1155)。この試験では、両患者群ともに、クラドリビンを0.07mg/kg/日の用量で皮下注射により与えられた。処置は、2か月間または6か月間のいずれかにわたって反復された。
【0019】
第II相臨床試験では、Kutzke総合障害度尺度(Kutzke Extended Disability Status Scale)(EDSS)、スクリプス神経学的症状評価尺度(Scripps Neurologic rating Scale)(SNRS)スコアおよび磁気共鳴画像法(MRI)所見の観点から、クラドリビンのMS患者における肯定的な効果についての証拠が提供された(Beutler et al., 1996, Proc. Nat. Acad. Sci. USA, 93, 1716-1720; 上記Romineら、1999年)。第III相試験の結果は、MRIで測定される脳病変の有意な減少について肯定的であった(上記Riceら、2000年)。
【0020】
免疫機能の減弱または骨髄抑制に関連した感染症発生率の増加などのいくつかの副作用(AE)は、高用量で観察された(上記Selbyら、1998年; Beutler et al., 1994, Acta hematol., 91:10-15)。有効用量とAE発現用量との間の安全域が狭いため、多発性硬化症におけるクラドリビンの臨床試験は全て、これまでi.vまたはs.c.投与のいずれかを用いて行われてきた。その結果、Beutlerら(Beutler et al. 1996, Seminars in Hematology, 33, 1(S1), 45-52)は、クラドリビンを用いた多発性硬化症の処置に対しては、経口経路を除外している。
【0021】
Griebらは、11人の寛解再発型多発性硬化症患者における小規模試験を報告しており(Grieb et al., 1995, Archivum Immunologiae et Therapiae Experimentalis, 43 (5-6), 323-327)、ここでは、クラドリビンは、毎月5日間の6回コースで、約4~5.7mg/kg(それぞれ約52キロおよび約75キロの患者)の総用量で、すなわち、総有効用量2~2.85mg/kgで経口投与された。一部の患者では、3または6か月のクラドリビンフリー期間(Cladribine free-period)後に、単回再処置を5日、累積用量0.4~0.66mg/kgで行った。上記の処方計画で観察された副作用は、クラドリビンのi.v.注入で処置された慢性進行型多発性硬化症を罹患している患者における研究で観察された副作用に比べて、重症度がより低いと言われたが(Sipe et al., 1994, Lancet, 344, 9-13)、依然として存在していた。加えて、i.v.注入療法に対して上記の経口処方計画の治療的有効性は疑問視され(上記Grieb et al., 1995)、「非反応者」群が同定された(Stelmasiak et al., 1998, Laboratory Investigations, 4(1), 4-8)。
【0022】
Giovannoniら(N Engl J Med 2010)は、再発型多発性硬化症に対する経口クラドリビンのプラセボ対照第III相試験について報告している(ClinicalTrials.gov、NCT00213135)。それによれば、クラドリビンはリンパ球サブタイプを選択的に標的化することにより免疫調節をもたらす。Giovannoniらは、再発寛解型多発性硬化症患者における96週間の短期経口錠剤療法の第3相試験の結果を記載している。この試験では、1326人の患者がおよそ1:1:1の割合で無作為に割り当てられ、クラドリビン錠剤(体重キログラム当たり3.5mgまたは5.25mgのいずれか)の2つの累積用量のうちの1つ、またはそれに相当するプラセボを、最初の48週間には2回または4回の短期コースで、次いで48週目および52週目に始まる2回の短期コースで(1年当たり合計8~20日間)与えられた。主要評価項目は、96週目での再発率であった。
【0023】
クラドリビン錠剤(キログラム当たり3.5mgまたは5.25mgのいずれか)を与えられた患者では、プラセボ群よりも、年換算再発率が有意に低く(それぞれ0.33に対して0.14および0.15;両比較ともP<0.001)、無再発率が高く(それぞれ60.9%に対して79.7%および78.9%;両比較ともにP<0.001)、3か月持続する障害進行のリスクが低く(3.5mg群のハザード比、0.67;95%信頼区間[CI]、0.48~0.93;P=0.02;および5.25mg群のハザード比、0.69;95%CI、0.49~0.96;P=0.03)、ならびに磁気共鳴画像(MRI)上の脳病変数が有意に減少した(全比較についてP<0.001)。
【0024】
クラドリビン群において頻度が高かった有害事象は、リンパ球減少症(1.8%に対し、3.5mg群で21.6%および5.25mg群で31.5%)および帯状疱疹(無例に対し、それぞれ8例および12例)であった。このように、クラドリビン錠剤による処置は、96週目での再発率、障害進行リスク、および疾患活動性のMRI測定値を有意に低下させた。しかしながら、その有益性はリスクに照らして検討する必要があると言われている。
【0025】
したがって、好ましくはPPMSおよび/またはSPMSからなる群から選択される進行型MSを罹患している患者に対しても、有害事象の発現、有害事象の重症度、および/または疾患の一般的な進行を減少させながら、MS病変に対して同等または改善された効果をもたらすような、クラドリビンの経口投与を含む多発性硬化症を処置するための方法を有することが望ましい。加えて、MSは慢性疾患であるため、再処置が可能であるような方法で、有害事象の発現および/または重症度を減少させることが望ましい。また、処置期間と処置期間の間および/または処置期間を超えてのクラドリビン処置の持続的有益性も望ましい。
【発明の概要】
【0026】
発明の概要
本発明は、とりわけ、1次進行型多発性硬化症および/または2次進行型多発性硬化症を含むがこれらに限定されない、進行型多発性硬化症の処置のための経口医薬製剤の調製のためのクラドリビンの新規使用に向けられており、ここで、前記医薬製剤は、特定の処方計画に従って経口投与される。加えて、本発明は、特定の処方計画に従ってクラドリビンを経口投与することを含む、1次進行型多発性硬化症および/または2次進行型多発性硬化症を含むがこれらに限定されない、進行型多発性硬化症に罹患している患者を処置する特定の方法に向けられている。
【0027】
さらに、本発明は、進行型多発性硬化症の処置におけるクラドリビンの経口的使用のための改善された投薬処方計画を提供する。
本発明の追加的な側面は、患者に対する有効性が提供され、および/または副作用が低減され、それにより、好ましくは進行型多発性硬化症に罹患している患者のための新たな治療選択肢を提供する、進行型多発性硬化症の処置のための医薬製剤の調製のためのクラドリビンの使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図2】
図2は、ONWARDにおいてクラドリビン錠剤3.5mg/kg+IFN-βまたはプラセボ+IFN-βにより処置されたSPMS患者における適格再発率(年換算調整)を示す。
【
図3】
図3は、ONWARDにおいてクラドリビン錠剤3.5mg/kg+IFN-βまたはプラセボ+IFN-βにより処置されたRRMS患者における適格再発率(年換算調整)を示す。
【
図4】
図4は、試験デザイン概略図を示す。 さらに、本発明は、好ましくは、製剤が本明細書に記載される通りに経口投与される、医薬製剤の調製のためのクラドリビンの使用を提供する。 PPMSおよび/またはSPMSを含む進行型MSの処置におけるクラドリビンの有効性は、好ましくは、総合障害度尺度(EDSS)、疾患活動性の証拠なし(No Evidence of Disease Activity)(NEDA)、進行または活動性疾患の証拠無し(No Evidence Of Progression Or Active Disease)(NEPAD)、および/または生活の質(QoL)から選択される1項目以上に関する改善によって、好ましくは、当該技術分野において既知でありかつ記載されている通りに、および/または本明細書に記載されている通りに、示され得る。追加的にまたは代替的に、病変のMRI測定値は、好ましくは、当該技術分野において既知でありかつ記載されている通りに、および/または本明細書に記載されている通りに、有効性を追跡するために同様に好ましく使用することができる。
【0029】
発明の詳細な説明
本発明は、下記セクションにおいてより詳細に記載される:
1.進行型多発性硬化症に罹患している患者の経口処置における使用のためのクラドリビンであって、ここで、前記クラドリビンは、患者当たり、体重当たり、および処置年当たりに計算された一定の用量で各患者に経口投与され、ここで、前記用量または前記一定の用量は、1.5mg/kg~4.0mg/kgの範囲から選択される、前記クラドリビン。好ましくは、患者当たり、患者の体重当たり、および処置年当たりに計算されるこの用量は、「固定用量」と呼ばれる。したがって、好ましいのは、進行型多発性硬化症に罹患している患者の経口処置における使用のためのクラドリビンであって、ここで、前記クラドリビンは、患者当たり、体重当たり、および処置年当たりの固定用量で各患者に経口投与され、ここで、前記固定用量は、1.5mg/kg~4.0mg/kgの範囲から選択される、前記クラドリビンである。典型的には、処置年は約12か月続く。
【0030】
2.本明細書に記載されている通りの使用のためのクラドリビンであって、好ましくは、上記および/または下記番号セクションの1つ以上に記載されている通りであり、より好ましくは、セクション1に記載されている通りであり、ここで、前記固定用量は、1.5mg/kg~2.0mg/kgの範囲から選択され、好ましくは、年当たり1.5mg/kg~2.0mg/kgの範囲から選択される、前記クラドリビン。特に好ましいのは、本明細書に記載されている通りの使用のためのクラドリビンであって、好ましくは、上記および/または下記番号セクションの1つ以上に記載されている通りであり、より好ましくは、セクション1に記載されている通りであり、ここで、前記固定用量は、2年の連続する処置年の間、1.5mg/kg~2.0mg/kgの範囲から選択され、より好ましくは、年当たり1.5mg/kg~2.0mg/kgの範囲から選択される、前記クラドリビンである。したがって、前記固定用量は、好ましくは、連続する2年にわたって3.0mg/kg~4.0mg/kgの範囲から選択され(または連続する2年にわたって投与され)、ここで、前記固定用量は、前記2年のそれぞれにおいて、年当たり1.5mg/kg~2.0mg/kgの範囲から選択される。
【0031】
3.本明細書に記載されている通りの使用のためのクラドリビンであって、好ましくは、上記および/または下記番号セクションの1つ以上に記載されている通りであり、より好ましくは、セクション番号1および/または2に記載されている通りであり、ここで、患者当たりの前記固定用量は、好ましくは各患者について、最大偏差+/-0.2mg/kgを伴って、処置年当たり1.75mg/kgである、前記クラドリビン。特に好ましいのは、本明細書に記載されている通りの使用のためのクラドリビンであって、好ましくは、上記および/または下記番号セクションの1つ以上に記載されている通りであり、より好ましくは、セクション番号1および/または2に記載されている通りであり、ここで、前記患者1人当たりの前記固定用量は、好ましくは各患者について、2年の連続する処置年の間、最大偏差+/-0.2mg/kgを伴って、処置年あたり1.75mg/kgである、前記クラドリビンである。したがって、好ましくは各患者について、患者あたりの前記固定用量は、好ましくは最大偏差+/-0.4mg/kgを伴って、2年の連続する処置年にわたって3.5mg/kgである。
【0032】
4.本明細書に記載されている通りの使用のためのクラドリビンであって、好ましくは、上記および/または下記番号セクションの1つ以上に記載されている通りであり、より好ましくは、セクション1、2および/または3に記載されている通りであり、ここで、前記進行型多発性硬化症は、1次進行型多発性硬化症および/または2次進行型多発性硬化症を含み、特に、1次進行型多発性硬化症および/または2次進行型多発性硬化症からなる、前記クラドリビン。
【0033】
5.本明細書に記載されている通りの使用のためのクラドリビンであって、好ましくは、上記および/または下記番号セクションの1つ以上に記載されている通りであり、より好ましくは、セクション1、2、3および/または4に記載されている通りであり、ここで、前記進行型多発性硬化症は、1次進行型多発性硬化症である、前記クラドリビン。好ましくは、クラドリビンは、処置の開始前に既に1次進行型多発性硬化症と診断されている患者のために、本発明に従って使用される。より好ましくは、クラドリビンは、本明細書に記載されている通りに、特に、処置の開始前に既に1次進行型多発性硬化症と診断されている患者のために上記および/または下記に記載されている通りに、使用される。
【0034】
6.本明細書に記載されている通りの使用のためのクラドリビンであって、好ましくは、上記および/または下記番号セクションの1つ以上に記載されている通りであり、より好ましくは、セクション1、2、3および/または4に記載されている通りであり、ここで、前記進行型多発性硬化症は、2次進行型多発性硬化症である、前記クラドリビン。好ましくは、クラドリビンは、処置の開始前に既に2次進行型多発性硬化症と診断されている患者のために、本発明に従って使用される。好ましくは、2次進行型多発性硬化症は、早期2次進行型多発性硬化症を含まない。
【0035】
7.本明細書に記載されている通りの使用のためのクラドリビンであって、好ましくは、上記および/または下記番号セクションの1つ以上に記載されている通りであり、より好ましくは、前セクションの1つ以上に従った使用のためであり、ここで、前記クラドリビンは、好ましくは18歳の年齢を有する患者および65歳の年齢を有する患者を含む、18歳~65歳の間の年齢を有する患者に経口投与される、前記クラドリビン。
【0036】
8.本明細書に記載されている通りの使用のためのクラドリビンであって、好ましくは、上記および/または下記番号セクションの1つ以上に記載されている通りであり、より好ましくは、前セクションの1つ以上に従った使用のためであり、ここで、前記クラドリビンは、好ましくは18歳の年齢を有する患者および51歳の年齢を有する患者を含む、18歳~51歳の間の年齢を有する患者に経口投与される、前記クラドリビン。
【0037】
9.本明細書に記載されている通りの使用のためのクラドリビンであって、好ましくは、上記および/または下記番号セクションの1つ以上に記載されている通りであり、より好ましくは、前セクションの1つ以上に従った使用のためであり、ここで、前記クラドリビンは、好ましくは18歳の年齢を有する患者および51歳の年齢を有する患者を含む、12歳~51歳の間の年齢を有する患者に経口投与される、前記クラドリビン。
【0038】
10.本明細書に記載されている通りの使用のためのクラドリビンであって、好ましくは、上記および/または下記番号セクションの1つ以上に記載されている通りであり、より好ましくは、前番号セクションの1つ以上に従った使用のためであり、ここで、クラドリビンは、女性の患者および/または男性の患者に経口投与される、前記クラドリビン。女性患者のほうが、進行型多発性硬化症に罹患する頻度が高いおよび/またはより重度の進行型多発性硬化症に罹患することが多いため、女性患者を処置することは、この点から本発明の好ましい側面である。
【0039】
11.本明細書に記載されている通りの使用のためのクラドリビンであって、好ましくは、上記および/または下記番号セクションの1つ以上に記載されている通りであり、より好ましくは、前番号セクションの1つ以上に従った使用のためであり、ここで、前記患者は、高疾患活動性(HDA)を有するおよび/または高疾患活動性と診断されたことがある、前記クラドリビン。好ましくは、クラドリビンは、処置の開始前に既に高疾患活動性と診断されている患者のために、本発明に従って使用される。より好ましくは、クラドリビンは、本明細書に記載されている通りに、好ましくは、上記および/または下記番号セクションの1つ以上に記載されている通りに、より好ましくは、前番号セクションの1つ以上に従った使用のために、処置の開始前に既に高疾患活動性と診断されている患者のために、使用される。
【0040】
12.本明細書に記載されている通りの使用のためのクラドリビンであって、好ましくは、上記および/または下記番号セクションの1つ以上に記載されている通りであり、より好ましくは、前番号セクションの1つ以上に従った使用のためであり、ここで、前記クラドリビンは、クラドリビン処置未経験および/またはクラドリビン以外の疾患修飾性薬処置未経験である患者に、経口投与される、前記クラドリビン。
【0041】
13.本明細書に記載されている通りの使用のためのクラドリビンであって、好ましくは、上記および/または下記番号セクションの1つ以上に記載されている通りであり、より好ましくは、セクション1~11の1つ以上に従った使用のためであり、ここで、前記クラドリビンは、クラドリビンおよび/またはクラドリビン以外の疾患修飾性薬を以前に与えられた患者に、経口投与される、前記クラドリビン。好ましくは、この点において、クラドリビン以外の疾患修飾性薬は、インターフェロンベータ-1a、ベータインターフェロン-1a(例えば、アボネックス(登録商標)、レビフ(登録商標))を含む。
【0042】
14.本明細書に記載されている通りの使用のためのクラドリビンであって、好ましくは、上記および/または下記番号セクションの1つ以上に記載されている通りであり、より好ましくは、前セクションの1つ以上に従った使用のためであり、ここで、前記クラドリビンは、1種以上のクラドリビン以外の疾患修飾性薬もまた与えられている患者に、経口投与される、前記クラドリビン。好ましくは、この点において、クラドリビン以外の疾患修飾性薬は、インターフェロンベータ-1a、ベータインターフェロン-1a(例えば、アボネックス(登録商標)、レビフ(登録商標))を含む。
【0043】
15.本明細書に記載されている通りの使用のためのクラドリビンであって、好ましくは、上記および/または下記番号セクションの1つ以上に記載されている通りであり、より好ましくは、セクション12~14の1つ以上に従った使用のためであり、ここで、クラドリビン以外の前記疾患修飾性薬が:
インターフェロンベータ-1a、ベータインターフェロン-1a(例えば、アボネックス(登録商標)、レビフ(登録商標))、
インターフェロンベータ-1b、ベータインターフェロン-1b(例えば、ベタフェロン(登録商標)、Extavia(登録商標))、
ペグインターフェロンベータ1a(例えば、Plegridy(登録商標))、
アレムツズマブ(例えば、Lemtrada(登録商標))、
ダクリズマブ(例えば、Zinbryta(登録商標))、
フマル酸ジメチル(例えば、テクフィデラ(登録商標))
フィンゴリモド(例えば、ジレニア(登録商標))
グラチラマー酢酸塩(例えば、コパキソン(登録商標))
ナタリズマブ(例えば、タイサブリ(登録商標))、および
テリフルノミド(例えば、Aubagio(登録商標))
からなる群から選択される、前記クラドリビン。
【0044】
16.本明細書に記載されている通りの使用のためのクラドリビンであって、好ましくは、上記および/または下記番号セクションの1つ以上に記載されている通りであり、より好ましくは、前セクションの1つ以上に従った使用のためであり、ここで、前記クラドリビンは、患者当たり、体重当たりおよび処置年当たりの固定用量で、各患者に経口投与され、前記固定用量が、1.5mg/kg~4.0mg/kgの範囲から選択され、好ましくは1.5mg/kg~2.0mg/kgの範囲から選択され、および特に、好ましくは各患者に、最大偏差+/-0.2mg/kgを伴って、処置年当たり1.75mg/kgであり、ならびに、前記固定用量が、前記処置年以内の隣接する2月以内に、好ましくは前記処置年の始めの隣接する2月以内に、前記患者に経口投与される、前記クラドリビン。
【0045】
17.本明細書に記載されている通りの使用のためのクラドリビンであって、好ましくは、上記および/または下記番号セクションの1つ以上に記載されている通りであり、より好ましくは、セクション16に従った使用のためであり、ここで、前記固定用量は、処置年の最初に始まる隣接する2月以内に、前記患者に経口投与される、前記クラドリビン。より好ましいのは、本明細書に記載されている通りの使用のためのクラドリビンであって、好ましくは、上記および/または下記番号セクションの1つ以上に記載されている通りであり、より好ましくは、セクション16に従った使用のためであり、ここで、前記固定用量は、各前記処置年の最初に始まる隣接する2月以内に、前記患者に経口投与される、前記クラドリビンである。
【0046】
18.本明細書に記載されている通りの使用のためのクラドリビンであって、好ましくは、上記および/または下記番号セクションの1つ以上に記載されている通りであり、より好ましくは、セクション16および/または17に従った使用のためであり、ここで、前記固定用量は、前記隣接する2月の各月において、1週間または2週間以内に、好ましくは隣接する2週間以内に、前記患者に経口投与される、前記クラドリビン。
【0047】
19.本明細書に記載されている通りの使用のためのクラドリビンであって、好ましくは、上記および/または下記番号セクションの1つ以上に記載されている通りであり、より好ましくは、セクション16、17および/または18に従った使用のためであり、ここで、前記固定用量は、前記隣接する2月の各月の最初に位置する1週間以内または隣接する2週間以内に、前記患者に経口投与される、前記クラドリビン。
【0048】
20.本明細書に記載されている通りの使用のためのクラドリビンであって、好ましくは、上記および/または下記番号セクションの1つ以上に記載されている通りであり、より好ましくは、セクション16、17、18および/または19に従った使用のためであり、ここで、前記固定用量は、好ましくは、1日用量の各量の数に分割されて、前記患者に経口投与され、より好ましくは約等用量で、前記週の間の2~7日以内に、または各前記週の2~7日以内に、前記患者に経口投与される、前記クラドリビン。
【0049】
21.本明細書に記載されている通りの使用のためのクラドリビンであって、好ましくは、上記および/または下記番号セクションの1つ以上に記載されている通りであり、より好ましくは、セクション16、17、18、19および/または20に従った使用のためであり、ここで、前記固定用量は、好ましくは、1日用量の各量の数に分割されて、より好ましくは約等用量で、前記週の間の2~7日以内に、または各前記週の2~7日以内に、前記患者に経口投与される、前記クラドリビン。
【0050】
したがって、処置年は、典型的には、積極的処置(active treatment)の2か月、すなわちクラドリビンが患者に投与される2か月と、積極的処置を伴わない10か月、すなわちクラドリビンが前記患者に投与されない10か月とからなる。好ましくは、積極的処置の2か月は、処置年の最初を示すものとなる。好ましくは、クラドリビンは、前記積極的処置の2か月各々の各第1週の間に患者に投与される。
【0051】
22.本明細書に記載されている通りの使用のためのクラドリビンであって、好ましくは、上記および/または下記番号セクションの1つ以上に記載されている通りであり、より好ましくは、前セクションの1つ以上に従った使用のためであり、ここで、前記クラドリビンは、好ましくは、上記および/または下記セクションに記載されている通り、患者当たり、体重当たりおよび処置年当たりの前記固定用量としてもしくは前記固定用量で、各患者に経口投与され、ならびに、処置が、1年以上の追加処置年を含む、前記クラドリビン。好ましくは、本明細書に記載されている通りの使用のためのクラドリビンは、2年以上の処置年の間、より好ましくは、好ましくは基本的に同一であり好ましくは隣接する処置年である、2年の処置年の間、投与される。
【0052】
しかしながら、患者の血液学的状態に応じて、2年の処置年は、間隔、すなわち前の処置年が終わり、予測される次の処置年を開始することができないかまたは開始すべきではない一定の時間により、隔てることが必要であるかまたは有利になり得る。好ましくはおよび意図的に、クラドリビンは、かかる間隔の間には投与されない。典型的には、この点において間隔は、1~8か月の間、好ましくは1~6か月の間、より好ましくは1~3か月の間、続く。しばしば、かかる間隔の間、患者の血液学的状態は、次の処置年がいつ開始され得るかを決定するためにモニターされる。
【0053】
23.本明細書に記載されている通りの使用のためのクラドリビンであって、好ましくは、上記および/または下記番号セクションの1つ以上に記載されている通りであり、より好ましくは、前セクションの1つ以上に従った使用のためであり、ここで、前記クラドリビンは、好ましくは、上記および/または下記セクションに記載されている通り、患者当たり、体重当たりおよび処置年当たりの前記固定用量としてもしくは前記固定用量で、各患者に経口投与され、ならびに、処置は、2年の処置年、好ましくは実質的に同一である2年の処置年を含む、前記クラドリビン。
【0054】
24.本明細書に記載されている通りの使用のためのクラドリビンであって、好ましくは、上記および/または下記番号セクションの1つ以上に記載されている通りであり、より好ましくは、セクション20および/または21に従った使用のためであり、ここで、前記クラドリビンは、2年の前記処置年は、いずれも互いに直接的に隣接しているか、または1~10か月の間隔により隔てられている、前記クラドリビン。典型的には、かかる間隔は、もしある場合には、各処置年の終わりにおける患者の血液学的状態により、新たな処置年または次に続く処置年の開始前に導入される。場合によっては、2年の処置年を、間隔、すなわち前の処置年が終了し、予測される次の処置年を開始することができないかまたは開始すべきではない一定の時間により、隔てることが必要であるかまたは有利になり得る。好ましくはおよび意図的に、クラドリビンは、かかる間隔の間には投与されない。
【0055】
25.本明細書に記載されている通りの使用のためのクラドリビンであって、好ましくは、上記および/または下記番号セクションの1つ以上に記載されている通りであり、より好ましくは、前セクションの1つ以上に従った使用のためであり、ここで、前記クラドリビンは、患者当たり、体重当たりおよび処置年当たりの固定用量で、各患者に経口投与され、
a)処置年当たりの前記固定用量が、1.5mg/kg~4.0mg/kgの範囲から選択され、好ましくは1.5mg/kg~2.0mg/kgの範囲から選択され、および特に、各患者に対し、最大偏差+/-0.2mg/kgを伴って、処置年当たり1.75mg/kgであり、
b)前記処置年が、
(i)前記処置年の始めの2か月の処置期間であって、ここで、クラドリビンの前記固定用量が、各月毎に約1~約7日、好ましくは各月の始めにおいて各月毎に約1~約7日、経口投与され、前記固定用量が、クラドリビン5~20mgの1日用量に分割されている、前記期間、および
(ii)その間にクラドリビンが投与されない、少なくとも10か月続くまたは10か月続くクラドリビンフリー期間、
を含む、
前記クラドリビン。
【0056】
26.本明細書に記載されている通りの使用のためのクラドリビンであって、好ましくは、上記および/または下記番号セクションの1つ以上に記載されている通りであり、より好ましくは、前セクションの1つ以上に従った使用のためであり、ここで、前記クラドリビンは、患者当たり、体重当たりおよび処置年当たりの固定用量で、各患者に経口投与され、
a)処置年当たりの前記固定用量が、1.5mg/kg~4.0mg/kgの範囲から選択され、好ましくは1.5mg/kg~2.0mg/kgの範囲から選択され、および特に、各患者に対し、最大偏差+/-0.2mg/kgを伴って、処置年当たり1.75mg/kgであり、
b)前記処置年が、
(i)前記処置年の始めの2か月の処置期間であって、ここで、クラドリビンの前記固定用量が、各月の始めにおいて各月毎に3~5日、経口投与され、前記固定用量が、クラドリビン10または20mgの1日用量に分割されている、前記期間
(ii)その間にクラドリビンが投与されない、少なくとも10か月続くまたは10か月続くクラドリビンフリー期間、
を含む、
前記クラドリビン。
【0057】
27.本明細書に記載されている通りの使用のためのクラドリビンであって、好ましくは、上記および/または下記番号セクションの1つ以上に記載されている通りであり、より好ましくは、前セクションの1つ以上に従った使用のためであり、ここで、1次進行型多発性硬化症を罹患している患者および/または2次進行型多発性硬化症を罹患している患者の前記経口処置であり、前記クラドリビンは、患者当たり、体重当たりおよび処置年当たりの固定用量で、各患者に経口投与され、患者当たりの前記固定用量が、好ましくは各患者について、最大偏差+/-0.2mg/kgを伴って、処置年当たり1.75mg/kgであり、ならびに、処置が、少なくとも2年の処置年、好ましくは2または3年の処置年を含む、前記クラドリビン。
【0058】
28.本明細書に記載されている通りの使用のためのクラドリビンであって、好ましくは、上記および/または下記番号セクションの1つ以上に記載されている通りであり、より好ましくは、前セクションの1つ以上に従った使用のためであり、ここで、処置は、いずれも互いに実質的に隣接しているか、または、1~10か月、好ましくは1~6か月、および特に1~3か月の間隔により隔てられている、2年の処置年を含む、前記クラドリビン。
【0059】
29.本明細書に記載されている通りの使用のためのクラドリビンであって、好ましくは、上記および/または下記番号セクションの1つ以上に記載されている通りであり、より好ましくは、前セクションの1つ以上に従った使用のためであり、ここで、処置は、追加的に次に続く処置年をさらに含み、
a)処置年当たりの前記固定用量が、0.75mg/kg~2.0mg/kgの範囲から選択され、好ましくは1.0mg/kg~1.5mg/kgの範囲から選択され、および特に、好ましくは各患者について、最大偏差+/-0.2mg/kgを伴って、処置年当たり0.8mg/kgであり、
b)前記次に続く処置年が、
(i)前記処置年の始めの1か月または2か月の処置期間であって、ここで、クラドリビンの前記固定用量が、各月の始めにおいて各月毎に3~5日、経口投与され、前記固定用量が、クラドリビン10または20mgの1日用量に分割されている、前記期間、
(ii)その間にクラドリビンが投与されない、それぞれ11または10か月続くクラドリビンフリー期間、
を含む、
前記クラドリビン。
【0060】
30.本明細書に記載されている通りの使用のためのクラドリビンであって、好ましくは、上記および/または下記番号セクションの1つ以上に記載されている通りであり、より好ましくは、前セクションの1つ以上に従った使用のためであり、ここで、処置は、上記および/または下記セクションに記載されている通りの1または2年の処置年、好ましくは上記および/または下記セクションに記載されている通りの2年の処置年を含み、任意に、クラドリビンが前記患者に投与されない少なくとも1年、好ましくは少なくとも2年が後に続く、セクション26または29に記載されている通りの追加の次に続く処置年を加える、前記クラドリビン。
【0061】
31.本明細書に記載されている通りの使用のためのクラドリビンであって、好ましくは、上記および/または下記番号セクションの1つ以上に記載されている通りであり、より好ましくは、前セクションの1つ以上に従った使用のためであり、ここで、前記クラドリビンは、液体、錠剤、またはカプセルとして経口投与される、前記クラドリビン。
【0062】
32.本明細書に記載されている通りの使用のためのクラドリビンであって、好ましくは、上記および/または下記番号セクションの1つ以上に記載されている通りであり、より好ましくは、前セクションの1つ以上に従った使用のためであり、ここで、前記クラドリビンは、錠剤、好ましくはクラドリビン約10mgを含む錠剤として、経口投与される、前記クラドリビン。
【0063】
33.本明細書に記載されている通りの使用のためのクラドリビンであって、好ましくは、上記および/または下記番号セクションの1つ以上に記載されている通りであり、より好ましくは、前セクションの1つ以上に従った使用のためであり、ここで、前記クラドリビンは、クラドリビン、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンおよびクラドリビン-2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン-複合体の混合物の形態で、クラドリビン10mgを含む錠剤として経口投与され、クラドリビンの2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンに対する重量比は、約1:10~約1:16の間、好ましくは1:13~1:15の間である、前記クラドリビン。
【0064】
34.進行型多発性硬化症を罹患すると診断された患者を処置する方法であって、前記方法は、
好ましくは各前記患者に、1年当たり(すなわち、処置年当たり)約1.75mg/kg+/-0.2mg/kgの1回の処置コースとして、2年(すなわち、2年の処置年)にわたり、最大偏差+/-0.4mg/kgを伴って約3.5mg/kg体重のクラドリビンの累積用量を経口投与することを含み、ここで、各処置コースは、2週の処置週からなり、1つが各処置年の第1の月の始めであり、および1つが各処置年の第2の月の始めである、前記方法。
【0065】
35.本明細書に記載されている通りの方法であって、好ましくは、上記および/または下記番号セクションの1つ以上に記載されている通りであり、より好ましくは、セクション34に記載されている通りであり、ここで、各処置週は、4または5日からなり、ここで前記患者は、各患者の体重に依存して、好ましくは単一1日用量として、経口投与のためのクラドリビン10mgまたは20mgを与えられる、前記方法。
【0066】
36.本明細書に記載されている通りの方法であって、好ましくは、上記および/または下記番号セクションの1つ以上に記載されている通りであり、より好ましくは、セクション35に従っており、ここで、前記患者は、錠剤またはカプセルとして、好ましくはクラドリビン10mgを含有する錠剤またはカプセルとして、経口投与のためのクラドリビン10mgまたは20mgを与えられる、前記方法。
【0067】
37.本明細書に記載されている通りの方法であって、好ましくは、上記および/または下記番号セクションの1つ以上に記載されている通りであり、より好ましくはセクション36に従っており、ここで、前記患者は、クラドリビン、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンおよびクラドリビン-2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン-複合体の混合物の形態で、クラドリビン10mgを含む錠剤またはカプセルとして、経口投与のためのクラドリビン10mgまたは20mgを与えられ、クラドリビンの2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンに対する重量比が、約1:10~約1:16の間、好ましくは1:13~1:15の間である、前記方法。
【0068】
38.本明細書に記載されている通りの方法であって、好ましくは、上記および/または下記番号セクションの1つ以上に記載されている通りであり、より好ましくはセクション34~37の1つ以上に従っており、ここで、進行型多発性硬化症は、1次進行型多発性硬化症である、前記方法。
【0069】
39.本明細書に記載されている通りの方法であって、好ましくは、上記および/または下記番号セクションの1つ以上に記載されている通りであり、より好ましくはセクション34~37の1つ以上に従っており、ここで、進行型多発性硬化症は、2次進行型多発性硬化症である、前記方法。
【0070】
40.本明細書に記載されている通りの方法であって、好ましくは、上記および/または下記番号セクションの1つ以上に記載されている通りであり、より好ましくはセクション34~37の1つ以上に従っており、ここで、進行型多発性硬化症は、1次進行型多発性硬化症および2次進行型多発性硬化症からなる群から選択され、前記方法は、
約1.75mg/kgの1回の処置コースとして、2年にわたり、約3.5mg/kg体重のクラドリビンの累積用量を前記患者に経口投与することを含み、ここで、各処置コースは、2週の処置週からなり、1つが各処置年の第1の月の始めであり、および1つが各処置年の第2の月の始めである、前記方法。
【0071】
41.本明細書に記載されている通りの方法であって、好ましくは、上記および/または下記番号セクションの1つ以上に記載されている通りであり、より好ましくはセクション40に従っており、ここで、各処置週は、4または5日からなり、ここで前記患者は、好ましくは単一1日用量として、および好ましくは各患者の体重に依存して、経口投与のためのクラドリビン10mgまたは20mgを与えられる、前記方法。
【0072】
42.本明細書に記載されている通りの方法であって、好ましくは、上記および/または下記番号セクションの1つ以上に記載されている通りであり、より好ましくは前セクションの1つ以上に従っており、ここで、処置される前記患者は、18~65歳の間であり、好ましくはこれを含む、前記方法。
【0073】
43.本明細書に記載されている通りの方法であって、好ましくは、上記および/または下記番号セクションの1つ以上に記載されている通りであり、より好ましくは前セクションの1つ以上に従っており、ここで、処置される前記患者は、18~51歳の間であり好ましくはこれを含む、前記方法。
【0074】
44.本明細書に記載されている通りの方法であって、好ましくは、上記および/または下記番号セクションの1つ以上に記載されている通りであり、より好ましくは前セクションの1つ以上に従っており、ここで、処置される前記患者は、12~51歳の間であり好ましくはこれを含む、前記方法。
【0075】
45.本明細書に記載されている通りの方法であって、好ましくは、上記および/または下記番号セクションの1つ以上に記載されている通りであり、より好ましくは前セクションの1つ以上に従っており、ここで、処置される前記患者は、女性の患者および/または男性の患者である、前記方法。女性患者のほうが、進行型多発性硬化症に罹患する頻度が高いおよび/またはより重度の進行型多発性硬化症に罹患することが多いため、女性患者を処置することは、この点から本発明の好ましい側面である。
【0076】
46.本明細書に記載されている通りの方法であって、好ましくは、上記および/または下記番号セクションの1つ以上に記載されている通りであり、より好ましくは前セクションの1つ以上に従っており、ここで、処置される前記患者は、クラドリビン処置未経験および/またはクラドリビン以外の疾患修飾性薬処置未経験である、前記方法。
【0077】
47.本明細書に記載されている通りの方法であって、好ましくは、上記および/または下記番号セクションの1つ以上に記載されている通りであり、より好ましくは前セクションの1つ以上に従っており、ここで、前記患者は、クラドリビンおよび/またはクラドリビン以外の疾患修飾性薬を以前に与えられた患者である、前記方法。好ましくは、この点において、クラドリビン以外の疾患修飾性薬は、インターフェロンベータ-1a、ベータインターフェロン-1a(例えば、アボネックス(登録商標)、レビフ(登録商標))を含む。
【0078】
48.本明細書に記載されている通りの方法であって、好ましくは、上記および/または下記番号セクションの1つ以上に記載されている通りであり、より好ましくは前セクションの1つ以上に従っており、ここで、処置される前記患者は、1種以上のクラドリビン以外の疾患修飾性薬を追加的に与えられている、前記方法。好ましくは、この点において、クラドリビン以外の疾患修飾性薬は、インターフェロンベータ-1a、ベータインターフェロン-1a(例えば、アボネックス(登録商標)、レビフ(登録商標))を含む。
【0079】
49.本明細書に記載されている通りの方法であって、好ましくは、上記および/または下記番号セクションの1つ以上に記載されている通りであり、より好ましくは前セクションの1つ以上に従っており、ここで、クラドリビン以外の前記疾患修飾性薬は:
インターフェロンベータ-1a、ベータインターフェロン-1a(例えば、アボネックス(登録商標)、レビフ(登録商標))、
インターフェロンベータ-1b、ベータインターフェロン-1b(例えば、ベタフェロン(登録商標)、Extavia(登録商標))、
ペグインターフェロンベータ1a(例えば、Plegridy(登録商標))、
アレムツズマブ(例えば、Lemtrada(登録商標))、
ダクリズマブ(例えば、Zinbryta(登録商標))、
フマル酸ジメチル(例えば、テクフィデラ(登録商標))
フィンゴリモド(例えば、ジレニア(登録商標))
グラチラマー酢酸塩(例えば、コパキソン(登録商標))
ナタリズマブ(例えば、タイサブリ(登録商標))、および
テリフルノミド(例えば、Aubagio(登録商標))
からなる群から選択される、前記方法。
【0080】
50.本明細書に記載されている通りの方法であって、好ましくは、上記および/または下記番号セクションの1つ以上に記載されている通りであり、より好ましくは前セクションの1つ以上に従っており、ここで、前記2回の処置コースを伴った前記2年の完了後、前記2回の処置コースを伴った前記2年の完了後の次に続く1または2年の間に、患者にクラドリビンが投与されない、前記方法。
【0081】
51.本明細書に記載されている通りの方法であって、好ましくは、上記および/または下記番号セクションの1つ以上に記載されている通りであり、より好ましくは前セクションの1つ以上に従っており、ここで、各1年の2回の処置コースが完了した患者に対し、次に続く3および4年の間に前記患者に、さらなるクラドリビン処置が必要とされないおよび/または投与されない、前記方法。
【0082】
52.進行型多発性硬化症に罹患している患者を処置する方法であって、それぞれクラドリビン約10mgを含有する錠剤またはカプセルを前記患者に経口投与することを含み、ここで、前記錠剤またはカプセルは、下記処方計画:
(i)2か月続く処置コース、ここで、クラドリビン錠剤またはカプセルは、好ましくは各月の第1週において(各処置週において)、各月に3~6日間、好ましくは各月に4または5日間、クラドリビン10または20mgの1日用量で毎日経口投与される;
(ii)後に続く、好ましくは第1の処置年の終わりまで、クラドリビンが患者に投与されない、10か月続くクラドリビンフリー期間;
を含む処置年と呼ばれる期間、投与され、
ここで、
-40~50kg未満の範囲の体重を有する患者には
1)前記処置コースの第1の月または処置週において、4個の錠剤またはカプセル(クラドリビン40mg)、
2)前記処置コースの第2の月または処置週において、4個の錠剤またはカプセル(クラドリビン40mg)、
が投与され、または投与されるべきであり、
-50~60kg未満の範囲の体重を有する患者には
1)それぞれ、前記処置コースの第1の月または処置週において、5個の錠剤またはカプセル(クラドリビン50mg)、
2)前記処置コースの第2の月または処置週において、5個の錠剤またはカプセル(クラドリビン50mg)、
が投与され、または投与されるべきであり、
-60~70kg未満の範囲の体重を有する患者には
1)前記処置コースの第1の月または処置週において、6個の錠剤またはカプセル(クラドリビン60mg)、
2)前記処置コースの第2の月または処置週において、6個の錠剤またはカプセル(クラドリビン60mg)、
が投与され、または投与されるべきであり、
-70~80kg未満の範囲の体重を有する患者には
1)前記処置コースの第1の月または処置週において、7個の錠剤またはカプセル(クラドリビン70mg)、
2)前記処置コースの第2の月または処置週において、7個の錠剤またはカプセル(クラドリビン70mg)、
が投与され、または投与されるべきであり、
-80~90kg未満の範囲の体重を有する患者には
1)前記処置コースの第1の月または処置週において、8個の錠剤またはカプセル(クラドリビン80mg)、
2)前記処置コースの第2の月または処置週において、7個の錠剤またはカプセル(クラドリビン70mg)、
が投与され、または投与されるべきであり、
-90~100kg未満の範囲の体重を有する患者には
1)前記処置コースの第1の月または処置週において、9個の錠剤またはカプセル(クラドリビン90mg)、
2)前記処置コースの第2の月または処置週において、8個の錠剤またはカプセル(クラドリビン80mg)、
が投与され、または投与されるべきであり、
-100~110kg未満の範囲の体重を有する患者には
1)前記処置コースの第1の月または処置週において、10個の錠剤またはカプセル(クラドリビン100mg)、
2)前記処置コースの第2の月または処置週において、9個の錠剤またはカプセル(クラドリビン90mg)、
が投与され、または投与されるべきであり、
-110kg以上の範囲の体重を有する患者には
1)前記処置コースの第1の月または処置週において、10個の錠剤またはカプセル(クラドリビン100mg)、
2)前記処置コースの第2の月または処置週において、10個の錠剤またはカプセル(クラドリビン100mg)、
が投与され、または投与されるべきである、
前記方法。
【0083】
53.本明細書に記載されている通りの方法であって、好ましくは、上記および/または下記番号セクションの1つ以上に記載されている通りであり、より好ましくはセクション52に従っており、ここで、方法は、追加の処置年と呼ばれる少なくとも1年の次に続く期間をさらに含み、ここで、前記追加の処置年は、処置年と呼ばれる前記処方計画と実質的に同一である、または好ましくは同一である、前記方法。好ましくは、クラドリビンは、2年以上の処置年の間、より好ましくは、好ましくは基本的に同一であり好ましくは隣接する処置年である、2年の処置年の間、投与される。
【0084】
しかしながら、患者の血液学的状態に応じて、2年の処置年は、間隔、すなわち前の処置年が終わり、予測される次の処置年を開始することができないかまたは開始すべきではない一定の時間により、隔てることが必要であるかまたは有利になり得る。好ましくはおよび意図的に、クラドリビンは、かかる間隔の間には投与されない。典型的には、この点において間隔は、1~8か月の間、好ましくは1~6か月の間、より好ましくは1~3か月の間、続く。しばしば、かかる間隔の間、患者の血液学的状態は、次の処置年がいつ開始され得るかを決定するためにモニターされる。
【0085】
54.本明細書に記載されている通りの方法であって、好ましくは、上記および/または下記番号セクションの1つ以上に記載されている通りであり、より好ましくはセクション53に従っており、ここで、前記追加の処置年は、処置年と呼ばれる前記処方計画と直接的に隣接しているか、または2年の処置年の間には1~10か月の間隔がある、前記方法。典型的には、かかる間隔は、もしある場合には、各処置年の終わりにおける患者の血液学的状態により、新たな処置年または次に続く処置年の開始前にもたらされる。場合によっては、2年の処置年を、間隔、すなわち前の処置年が終了し、予測される次の処置年を開始することができないかまたは開始すべきではない一定の時間により、隔てることが必要であるかまたは有利になり得る。好ましくはおよび意図的に、クラドリビンは、かかる間隔の間には投与されない。
【0086】
55.本明細書に記載されている通りの方法であって、好ましくは、上記および/または下記番号セクションの1つ以上に記載されている通りであり、より好ましくはセクション52または53に従っており、ここで、方法は、追加の処置年と呼ばれる2年以上の次に続く期間、好ましくは2年の追加の処置年をさらに含み、全ての前記追加の処置年は、実質的に同一であるか、または好ましくは同一であり、および、前記追加の処置年は、互いに直接的に隣接しているか、または少なくとも2年の前記追加の処置年の間には1~10か月の間隔がある、前記方法。
【0087】
56.進行型多発性硬化症に罹患している患者を処置する方法であって、それぞれクラドリビン約10mgを含有する錠剤またはカプセルを前記患者に経口投与することを含み、ここで、前記錠剤またはカプセルは、下記処方計画:
(i)2か月続く第1の処置コースであって、ここで、クラドリビン錠剤またはカプセルは、好ましくは各月の第1週において(各処置週において)、各月に3~6日、好ましくは各月に4または5日、クラドリビン10または20mgの1日用量で毎日経口投与される、前記処置コース;
(ii)後に続く、好ましくは第1の処置年の終わりまで、クラドリビンが前記患者に投与されない、10か月続く第1のクラドリビンフリー期間;
(iii)後に続く、2か月続く第2の処置コースであって、ここで、クラドリビン錠剤またはカプセルは、好ましくは各月の第1週において(処置週において)、各月に3~6日間、好ましくは各月に4または5日間、クラドリビン10または20mgの1日用量で毎日経口投与される、前記処置コース;および
(iv)後に続く、好ましくは第2の処置年の終わりまで、クラドリビンが前記患者に投与されない、10か月続く第2のクラドリビンフリー期間;
を含む処置年と呼ばれる期間、投与され、ならびに
【0088】
ここで、
-40~50kg未満の範囲の体重を有する患者には
1)第1および第2の処置コース両方の第1の月または処置週において、それぞれ4個の錠剤またはカプセル(クラドリビン40mg)、
2)第1および第2の処置コース両方の第2の月または処置週において、それぞれ4個の錠剤またはカプセル(クラドリビン40mg)、
が投与され、または投与されるべきであり、
-50~60kg未満の範囲の体重を有する患者には
1)第1および第2の処置コース両方の第1の月または処置週において、それぞれ5個の錠剤またはカプセル(クラドリビン50mg)、
2)第1および第2の処置コース両方の第2の月または処置週において、それぞれ5個の錠剤またはカプセル(クラドリビン50mg)、
が投与され、または投与されるべきであり、
-60~70kg未満の範囲の体重を有する患者には
1)第1および第2の処置コース両方の第1の月または処置週において、それぞれ6個の錠剤またはカプセル(クラドリビン60mg)、
2)第1および第2の処置コース両方の第2の月または処置週において、それぞれ6個の錠剤またはカプセル(クラドリビン60mg)、
が投与され、または投与されるべきであり、
-70~80kg未満の範囲の体重を有する患者には
1)第1および第2の処置コース両方の第1の月または処置週において、それぞれ7個の錠剤またはカプセル(クラドリビン70mg)、
2)第1および第2の処置コース両方の第2の月または処置週において、それぞれ7個の錠剤またはカプセル(クラドリビン70mg)、
が投与され、または投与されるべきであり、
-80~90kg未満の範囲の体重を有する患者には
1)第1および第2の処置コース両方の第1の月または処置週において、それぞれ8個の錠剤またはカプセル(クラドリビン80mg)、
2)第1および第2の処置コース両方の第2の月または処置週において、それぞれ7個の錠剤またはカプセル(クラドリビン70mg)、
が投与され、または投与されるべきであり、
-90~100kg未満の範囲の体重を有する患者には
1)第1および第2の処置コース両方の第1の月または処置週において、それぞれ9個の錠剤またはカプセル(クラドリビン90mg)、
2)第1および第2の処置コース両方の第2の月または処置週において、それぞれ8個の錠剤またはカプセル(クラドリビン80mg)、
が投与され、または投与されるべきであり、
-100~110kg未満の範囲の体重を有する患者には
1)第1および第2の処置コース両方の第1の月または処置週において、それぞれ10個の錠剤またはカプセル(クラドリビン100mg)、
2)第1および第2の処置コース両方の第2の月または処置週において、それぞれ9個の錠剤またはカプセル(クラドリビン90mg)、
が投与され、または投与されるべきであり、
-110kg以上の範囲の体重を有する患者には
1)第1および第2の処置コース両方の第1の月または処置週において、それぞれ10個の錠剤またはカプセル(クラドリビン100mg)、
2)第1および第2の処置コース両方の第2の月または処置週において、それぞれ10個の錠剤またはカプセル(クラドリビン100mg)、
が投与され、または投与されるべきである、
前記方法。
【0089】
57.本明細書に記載されている通りの方法であって、好ましくは、上記および/または下記番号セクションの1つ以上に記載されている通りであり、より好ましくは前セクションの1つ以上に従っており、ここで、経口投与のための前記クラドリビン10mgまたは20mgは、クラドリビン、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンおよびクラドリビン-2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン-複合体の混合物の形態で、クラドリビン10mgを含む錠剤またはカプセルとして、患者に投与され、クラドリビンの2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンに対する重量比が、約1:10~約1:16の間、好ましくは1:13~1:15の間である、前記方法。
【0090】
58.本明細書に記載されている通りの方法であって、好ましくは、上記および/または下記番号セクションの1つ以上に記載されている通りであり、より好ましくは前セクションの1つ以上に従っており、ここで、進行型多発性硬化症は、1次進行型多発性硬化症である、前記方法。
【0091】
59.本明細書に記載されている通りの方法であって、好ましくは、上記および/または下記番号セクションの1つ以上に記載されている通りであり、より好ましくは前セクションの1つ以上に従っており、ここで、進行型多発性硬化症は、2次進行型多発性硬化症である、前記方法。
【0092】
60.本明細書に記載されている通りの方法であって、好ましくは、上記および/または下記番号セクションの1つ以上に記載されている通りであり、より好ましくは前セクションの1つ以上に従っており、ここで、処置される前記患者は、18~51歳または12~51歳の間である、前記方法。
【0093】
61.本明細書に記載されている通りの方法であって、好ましくは、上記および/または下記番号セクションの1つ以上に記載されている通りであり、より好ましくは前セクションの1つ以上に従っており、ここで、処置される前記患者は、女性の患者および/または男性の患者である、前記方法。女性患者のほうが、進行型多発性硬化症に罹患する頻度が高いおよび/またはより重度の進行型多発性硬化症に罹患することが多いため、女性患者を処置することは、この点から本発明の好ましい側面である。
【0094】
62.本明細書に記載されている通りの方法であって、好ましくは、上記および/または下記番号セクションの1つ以上に記載されている通りであり、より好ましくは前セクションの1つ以上に従っており、ここで、処置される前記患者は、クラドリビン処置未経験および/またはクラドリビン以外の疾患修飾性薬処置未経験である、前記方法。
【0095】
63.本明細書に記載されている通りの方法であって、好ましくは、上記および/または下記番号セクションの1つ以上に記載されている通りであり、より好ましくは前セクションの1つ以上に従っており、ここで、前記患者は、クラドリビンおよび/またはクラドリビン以外の疾患修飾性薬を以前に与えられた患者である、前記方法。
【0096】
64.本明細書に記載されている通りの方法であって、好ましくは、上記および/または下記番号セクションの1つ以上に記載されている通りであり、より好ましくは前セクションの1つ以上に従っており、ここで、処置される前記患者は、1種以上のクラドリビン以外の疾患修飾性薬を追加的に与えられている、前記方法。
【0097】
65.本明細書に記載されている通りの方法であって、好ましくは、上記および/または下記番号セクションの1つ以上に記載されている通りであり、より好ましくは前セクションの1つ以上に従っており、ここで、クラドリビン以外の前記疾患修飾性薬が:
インターフェロンベータ-1a、ベータインターフェロン-1a(例えば、アボネックス(登録商標)、レビフ(登録商標))、
インターフェロンベータ-1b、ベータインターフェロン-1b(例えば、ベタフェロン(登録商標)、Extavia(登録商標))、
ペグインターフェロンベータ1a(例えば、Plegridy(登録商標))、
アレムツズマブ(例えば、Lemtrada(登録商標))、
ダクリズマブ(例えば、Zinbryta(登録商標))、
フマル酸ジメチル(例えば、テクフィデラ(登録商標))
フィンゴリモド(例えば、ジレニア(登録商標))
グラチラマー酢酸塩(例えば、コパキソン(登録商標))
ナタリズマブ(例えば、タイサブリ(登録商標))、および
テリフルノミド(例えば、Aubagio(登録商標))
からなる群から選択される、前記方法。
【0098】
66.本明細書に記載されている通りの方法であって、好ましくは、上記および/または下記番号セクションの1つ以上に記載されている通りであり、より好ましくは前セクションの1つ以上に従っており、ここで、前記2回の処置コースを伴った前記2年の完了後、前記2回の処置コースを伴った前記2年完了後の次に続く1または2年の間に、患者にクラドリビンが投与されない、前記方法。
【0099】
67.本明細書に記載されている通りの方法であって、好ましくは、上記および/または下記番号セクションの1つ以上に記載されている通りであり、より好ましくは前セクションの1つ以上に従っており、ここで、各1年の前記2回の処置コースが完了した患者に対し、次に続く3および4年の間に前記患者に、さらなるクラドリビン処置が必要とされないおよび/または投与されない、前記方法。
【0100】
68.本明細書に記載されている通りの方法であって、好ましくは、上記および/または下記番号セクションの1つ以上に記載されている通りであり、より好ましくは前セクションの1つ以上に従っており、ここで、処置される患者は、好ましくは本方法による処置の開始前に、好ましくは1次進行型多発性硬化症および2次進行型多発性硬化症からなる群から選択される、多発性硬化症を罹患すると診断されたことがある、前記方法。
【0101】
69.本明細書に記載されている通りの方法であって、好ましくは、上記および/または下記番号セクションの1つ以上に記載されている通りであり、より好ましくは前セクションの1つ以上に従っており、ここで、処置される患者は、好ましくは本方法による処置の開始前に、1次進行型多発性硬化症と診断されたことがある、前記方法。
【0102】
70.本明細書に記載されている通りの方法であって、好ましくは、上記および/または下記番号セクションの1つ以上に記載されている通りであり、より好ましくは前セクションの1つ以上に従っており、ここで、処置される患者は、好ましくは本方法による処置の開始前に、2次進行型多発性硬化症と診断されたことがある、前記方法。
【0103】
71.上記および/または下記番号セクションの1つ以上に記載されている通りの方法であって、好ましくは、前セクションの1つ以上に従っており、ここで、前記患者は、高疾患活動性(HDA)を有するおよび/または高疾患活動性と診断されたことがある、前記方法。好ましくは、クラドリビンは、処置の開始前に既に高疾患活動性と診断されている患者のために、本発明に従って使用される。
【0104】
代替的に好ましいのは、本明細書に記載された通りの、特に上記番号セクション1~71に記載されている通りの処置の方法であって、ここでは、下記の所定の好ましい特徴のうちの1つ以上が実現される:
・ 導入期間が、約2か月まで続く;
・ クラドリビンフリー期間(ii)が、約10か月、約12か月、約14か月または約16か月、好ましくは約10か月続く;
・ クラドリビンフリー期間(iv)が、少なくとも10ヶ月、少なくとも14か月、少なくとも22か月または少なくとも32か月続くか、あるいは、クラドリビンフリー期間(iv)が、少なくとも約10か月、少なくとも約14か月、少なくとも約22か月または約32か月続く;
・ 導入期間の終わりに達するクラドリビンの総用量は、約1.75mg/kgであり、または、導入期間の終わりに達するクラドリビンの総用量は、約3.5mg/kgであり、好ましくは、これは約1.75mg/kgである;
・ 維持期間の終わりに達するクラドリビンの総用量は、約1.75mg/kgであり、または、維持期間の終わりに達するクラドリビンの総用量は、約3.5mg/kgであり、好ましくは、これは約1.75mg/kgである;
【0105】
・ 導入期間の終わりに達するクラドリビンの総用量は、約1.75mg/kgであり、および、維持期間の終わりに達するクラドリビンの総用量は約1.75mg/kgである;
・ 導入期間および維持期間両方の終了後に達するクラドリビンの累積総用量は、約3.5mg/kgである;
・ クラドリビンフリー期間(ii)は約10か月まで続くか、または、クラドリビンフリー期間(ii)は少なくとも約10か月続く;
・ ラドリビンなしの期間(ii)は、少なくとも約10か月、典型的には10~13か月、特に約10か月続く;
【0106】
・ クラドリビンフリー期間(iv)は、少なくとも約8か月、より好ましくは少なくとも約10か月、さらにより好ましくは少なくとも18か月、特に好ましくは少なくとも24か月続く;
・ クラドリビンフリー期間(iv)は、少なくとも約10か月、または少なくとも約10か月続く;
・ クラドリビンフリー期間(iv)は、少なくとも約8か月、より好ましくは少なくとも約10か月、さらにより好ましくは少なくとも18か月、特に好ましくは少なくとも24か月続く。
・ クラドリビンフリー期間(iv)は、約34か月まで、20か月まで、13か月まで、または約10か月まで続く;
【0107】
・ クラドリビンフリー期間(ii)および/または(iv)は、MS治療に関して、いかなる投与も行われず、より好ましくは、いかなる投与も行われない。
・ 維持期間は、約4か月まで、または約3か月まで、または約2か月まで、より好ましくは約2か月まで続く;
・ 維持療法が約2か月間続く;
・ ステップ(iii)~(iv)は、少なくとも1回または2回反復される。
上記の所定の特徴は、互いに矛盾しない場合には、その2つ以上のみを組み合わせることが理解される。
【0108】
定義
「総用量」または「累積用量」は、好ましくは、処置の間に投与されたクラドリビンの総用量、すなわち、1日用量を加算することにより計算される処置の終わりに達する用量を言う。例えば、5日間の、1日当たりクラドリビン0.7mg/kgの処置に対応するクラドリビンの総用量は、3.5mg/kgであり、または、5日間の、1日当たりクラドリビン0.35mg/kgの処置に対応するクラドリビンの総用量は、1.7mg/kgである。
【0109】
「総有効用量」または「累積有効用量」は、好ましくは、所定の投与期間後のクラドリビンの生物学的利用可能用量、すなわち、生物学的利用能係数によって減少した1日用量を加算することにより計算される処置の終わりに達する生物学的利用可能用量を言う。例えば、クラドリビンの生物学的利用能が約40%である場合、5日間の、1日当たりクラドリビン0.7mg/kgの処置に対応するクラドリビンの総有効用量は1.4mg/kgであり、または、クラドリビンの生物学的利用能が約40%である場合、5日間の、1日当たりクラドリビン0.35mg/kgの処置に対応するクラドリビンの総有効用量は0.7mg/kgである。
典型的には、本発明の文脈において使用されるクラドリビンまたはクラドリビン製剤の生物学的利用能は、約30%~約90%、好ましくは約40%~約60%、例えば約50%である。
【0110】
「1週」は、好ましくは、約5日、約6日、または約7日の期間を言う。
「1か月」は、好ましくは、約28日、約29日、約30日、または約31日の期間を言う。
本明細書において使用される「処置」は、好ましくは、「導入処置」および少なくとも「維持処置」の順次連続したものを含む。典型的には、本発明による処置は、「導入処置」および約1回または約2回または約3回の維持処置、好ましくは約1回または約2回の維持処置、より好ましくは約1回の維持処置を含む。
【0111】
典型的には、本発明による処置は、約2年(約24か月)、または約3年(約36か月)、または約4年(約48か月)である。好ましくは
「導入処置」は、好ましくは、(i)本発明のクラドリビンまたはクラドリビン医薬製剤が経口投与される導入期間および(ii)クラドリビンフリー期間の順次連続したものである。導入期間は、好ましくは、約4か月まで、または約3か月まで、または約2か月まで続く。例えば、導入期間は、約2~約4か月間続く。導入期間は、好ましくは、各月に約1~約7日間の、クラドリビンまたはその医薬製剤の経口投与にある。
【0112】
「クラドリビンフリー期間」は、好ましくは、患者にクラドリビンが投与されない期間である。クラドリビンフリー期間中は、患者にいかなる投与も行われないか、またはプラセボ丸剤(placebo-pill)もしくはクラドリビンを除く別の薬剤が投薬され得る。クラドリビンフリー期間は、好ましくは、約10か月まで、または9か月まで、または約8か月まで続く。例えば、クラドリビンフリー期間は、約8~約10月、典型的には少なくとも約8か月続く。より好ましくは、クラドリビンフリー期間は、少なくとも約8か月、少なくとも約9か月、または少なくとも約10か月続く。特に好ましくは、クラドリビンフリー期間は約10か月続く。しかしながら、医師によって推奨される場合には、クラドリビンフリー期間もまた延長することができ、好ましくは約1~3か月延長することができる。本セクションにおけるクラドリビンフリー期間についての所定の期間は、導入処置と維持処置との間のクラドリビンフリー期間が特に好ましい。維持処置後のクラドリビンフリー期間に関しては、少なくとも約10か月、少なくとも約22か月、または少なくとも約34か月の期間が好ましい。典型的には、維持処置後のクラドリビンフリー期間は、約10か月から約22か月の間である。
【0113】
「維持処置」は、好ましくは、(i)本発明のクラドリビンまたはクラドリビン医薬製剤が、導入処置の間に経口投与されたクラドリビン用量よりも低い用量またはそれと等用量で経口投与される維持期間および(ii)クラドリビンフリー期間の順次連続したもので構成される。維持期間は、好ましくは、約4か月まで、または約3か月まで、または約2か月まで、好ましくは約2か月まで続く。例えば、維持期間は、約2~約4ヶ月間、好ましくは約2か月間続く。維持期間は、各月に約1~約7日間の、クラドリビンまたはその医薬製剤の経口投与で構成される。
【0114】
本発明の文脈内では、好ましくは疾患発症後の病態進行の減衰、減少、低減または軽減から選択される1つ以上を含むがこれらに限定されない有益な効果は、1つ以上の「処置」の後、「導入処置」の後、「維持処置」の後、またはクラドリビンフリー期間中に、みられ得る。
【0115】
「一日投与量」は、好ましくは、各投与日に患者に経口投与されるクラドリビンの総用量を言う。1日用量は、例えば1日1回、1日2回、または1日3回などの1日当たり単回または複数回の投与によって達せられる。好ましくは、これは、1日当たり単回の投与によって達せられまたは達成され、好ましくは1個以上の錠剤またはカプセル、好ましくは本明細書に記載されている通りの錠剤またはカプセルからなる。
【0116】
好ましくは、単回または複数回の用量として個体に投与される投薬量は、薬物動態学的特性、患者の状態および特徴(性別、年齢、体重、健康状態、大きさ)、症状の程度、併用処置、処置の頻度、ならびに所望の効果を含む様々な要因に応じて変化する。好ましくは、投与される投薬量または用量は、1つの因子、すなわち、それぞれの個体、患者またはヒトの体重のみに依存して変化する。各導入期間および各維持期間に対し、それぞれの個体、患者またはヒトの体重のkg当たり約1.75mgの用量が好ましい。好ましくは、体重kg当たり約1.75mgの前記用量は、プラスまたはマイナス10%、好ましくはプラスまたはマイナス5%の偏差を含む。典型的には、この偏差は、それぞれの個体、患者もしくはヒトに投与される、それぞれのクラドリビン含有投薬形態、例えば10mg錠剤もしくはカプセルの投薬強度、および/または、それぞれの個体、患者もしくはヒトが、好ましくは分割される体重範囲、例えば約5kgもしくは約10kgの体重範囲によって生じるが、これはそのそれぞれの個体、患者またはヒトの体重当たりのかかる固定された投薬量を投与するための十分な指導および実行可能性を提供するためである。
【0117】
MSに罹患している患者は、例えば、SchumacherまたはPoser基準に従って、臨床的に確定したまたは検査的に確定したMSを有すると定義され得る(Schumacherら、1965年、ANN. NY Acad. Sci. 1965; 122:552-568; Poserら, 1983, Ann. Neurol. 13(3): 227-31)。
【0118】
「再発」は、好ましくは、短期間、典型的には数日、場合によっては数時間または実に数分という短い期間に起こる神経学的問題を伴う。これらの発作は、疾患の初期には、運動、感覚、視覚、または協調の問題を伴うことが多い。その後、膀胱、腸、性、および認知の問題を示すことがある。場合によっては、発作の発症は、数週間にわたって発生じる。典型的なMSの再発は、神経学的欠損の進行とともに、悪化の期間を伴い、次いで、患者がより良くもならないがより悪くもならない安定期、続いて回復期間を伴う。回復は、通常、数週間以内に始まる。
【0119】
本発明に従った処置の「有効性」は、好ましくは、本発明に従った使用に反応した疾患過程における変化に基づいて測定することができる。例えば、MS処置の有効性は、RRMSにおける再発の頻度、および、MRI技術などの方法を用いて検出される通りのCNSにおける新たな病変の有無によって測定することができる(Millerら、1996, Neurology, 47(Suppl4):S217; Evansら、1997, Ann. Neurology, 41:125-132)。)
【0120】
好ましくは、(炎症が活発な領域を表すと考えられる)MRI T1ガドリニウム増強病変の減少および/または抑制の観察は、1次有効性変数を与える。2次有効性変数には、好ましくは、MRI T1増強脳病変の体積、MRI T1増強病変数、(疾患の総負荷、すなわち脱髄、グリオーシス、炎症および軸索損失を表すと考えられる)MRI T2病変の体積、(脱髄および軸索損失を主に表すと考えられる)MRI T1増強低強度(hypointense)病変の体積、MS進行までの期間、増悪の頻度および重症度、ならびに増悪までの期間、総合障害度尺度スコアおよびスクリプス神経学的症状評価尺度(SNRS)スコアが含まれる(Sipeら、1984, Neurology, 34, 1368-1372)。多発性硬化症の早期かつ正確な診断の方法および疾患進行を追跡する方法は、Mattson, 2002, Expert Rev. Neurotherapeutics, 319-328に記載されている。
【0121】
MS患者の障害の程度は、例えば、Kurtzke総合障害度尺度(EDSS)スコア(Kurtzke, 1983, Neurology, 33, 1444-1452)によって測定することができる。典型的には、EDSSスコアの減少は疾患の改善に対応し、逆に、EDSSスコアの増加は疾患の悪化に対応する。
【0122】
クラドリビン(2-CdA)
2-CdAおよびその薬理学的に許容し得る塩は、本発明の実施に用いることができる。
クラドリビンは、経口投与に適した任意の医薬製剤に製剤化することができる。2-CdAの代表的な経口製剤は、(国際公開第96/19230号;国際公開第96/19229号;米国特許第6,194,395号;米国特許第US5,506,214号;国際公開第2004/087100号;国際公開第2004/087101号)に記載されており、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。経口製剤のための成分の例は下記に示されている。
【0123】
2-CdAを調製するためのプロセスは、当該技術分野においてよく知られている。例えば、2-CdAの調製は、(欧州特許出願公開第173,059号明細書;国際公開第04/028462号;米国特許第5,208,327号;国際公開第00/64918号)およびRobinsら、J.Chem. Soc. 1984, 106: 6379に記載されている。代替的には、2-CdAの医薬製剤は、オハイオ州ベッドフォードのBedford Laboratoriesから購入することができる。
【0124】
クラドリビンの経口投与は、カプセル、錠剤、経口懸濁液、またはシロップの形態であってもよい。錠剤またはカプセルは、クラドリビン約3~500mgを含有していてもよい。好ましくは、これらは、クラドリビン約3~約10mgを含有していてもよく、より好ましくは約3、約5または約10mgのクラドリビンを含有していてもよい。カプセルは、ゼラチンカプセルであってもよく、上記に示された量のクラドリビンに加えて、少量、例えば5重量%未満のステアリン酸マグネシウムまたは他の賦形剤を含有していてもよい。錠剤は、典型的な糖衣を伴って、前記量の化合物(クラドリビン)、および、ゼラチン溶液、水中のデンプンペースト、水中のポリビニルアルコールなどであってもよいバインダー(binder)を含有していてもよい。代替的に、錠剤は、前記量の化合物(クラドリビン)、および、1種以上のシクロデキストリンを含むかまたは1種以上のシクロデキストリンからなるバインダーを含有していてもよい。
【0125】
好ましくは、前記バインダーは、錠剤の総重量に基づいて、50%以上の量で、60%以上の量で、70%以上の量で、80%以上の量で、または90%以上の量で、例えば、約60%の量で、約70%の量で、約80%の量で、約90%の量で、または約95%の量で、前記錠剤中に含有される。さらに、錠剤は、錠剤の総重量に基づいて、50%未満の量、好ましくは40%未満の量で、例えば、約40%の量で、約30%の量で、約20%の量で、または約10%の量で、1種以上の他の賦形剤を含有していてもよい。好ましくは、前記1種以上のシクロデキストリンは、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンを含むか、または本質的に2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンからなる。
【0126】
組成物
組成物は、ミョウバン、安定剤、抗菌剤、緩衝剤、着色剤、香料、アジュバントなどの、1種以上の薬学的に許容し得る追加成分をさらに含んでいてもよい。
【0127】
組成物は、従来の方法で製剤化された錠剤またはロゼンジの形態であってもよい。例えば、経口投与のための錠剤およびカプセルは、結合剤(binding agent)、充填剤、滑沢剤、崩壊剤および湿潤剤を含むがこれらに限定されない、従来の賦形剤を含有していてもよい。結合剤としては、シロップ、アカシア、ゼラチン、ソルビトール、トラガカント、デンプン粘液、およびポリビニルピロリドンが含まれるが、これらに限定されない。充填剤としては、乳糖、糖、微結晶セルロース、トウモロコシデンプン、リン酸カルシウム、およびソルビトールが含まれるが、これらに限定されない。滑剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク、ポリエチレングリコール、およびシリカが含まれるが、これらに限定されない。崩壊剤としては、バレイショデンプン、およびデンプングリコール酸ナトリウムが含まれるが、これらに限定されない。湿潤剤としては、ラウリル硫酸ナトリウムが含まれるが、これらに限定されない)。錠剤は、当該技術分野でよく知られている方法に従ってコーティングされていてもよい。
【0128】
組成物はまた、水性または油性の懸濁液、溶液、乳剤、シロップ、およびエリキシルを含むがこれらに限定されない、液体製剤であってもよい。組成物はまた、使用前に水または他の適切な媒体で構成するための乾燥製品として製剤化されてもよい。かかる液体製剤は、懸濁剤、乳化剤、非水性媒体および防腐剤を含むがこれらに限定されない、添加剤を含有していてもよい。懸濁剤としては、ソルビトールシロップ、メチルセルロース、ブドウ糖/糖シロップ、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸アルミニウムゲル、および水素化食用油脂が含まれるが、これらに限定されない。乳化剤としては、レシチン、モノオレイン酸ソルビタン、およびアカシアが含まれるが、これらに限定されない。非水性媒体としては、食用油、アーモンド油、分画ココナッツ油、油性エステル、プロピレングリコール、およびエチルアルコールが含まれるが、これらに限定されない。防腐剤としては、p-ヒドロキシ安息香酸メチルもしくはプロピル、およびソルビン酸が含まれるが、これらに限定されない。
【0129】
組み合わせ
好ましくは、クラドリビンは、単独でまたはIFN-ベータと組み合わせて、予防的または治療的に、他の治療的処方計画または薬剤(例えば、複数の薬剤処方計画)、特に多発性硬化症の処置のための治療剤に先立って、これと同時にあるいは連続的に、治療的に有効な量で個体に投与され得る。他の治療剤と同時に投与される活性剤は、同じまたは異なる組成物中において、および同じまたは異なる投与経路で、投与され得る。
【0130】
例えば、クラドリビンがIFN-ベータと組み合わせて投与される場合、IFN-ベータは好ましくは、クラドリビンフリー期間に投与される。
代替的に、クラドリビンがIFN-ベータと組み合わせて投与される場合、IFN-ベータは好ましくは、本発明に従った「処置」の後に投与される。
【0131】
本明細書で使用される通り、用語「インターフェロン-ベータ(IFN-β)」は、好ましくは、体液からの単離により得られる通り、または原核生物もしくは真核生物宿主細胞からのDNA組換え技術により得られる通りの、特にヒト由来の線維芽細胞インターフェロン、ならびにその塩、機能性誘導体、変異体、アナログ、および活性断片を含むことが意図される。
本発明に従って使用するのに好ましく適したIFN-βは、例えば、レビフ(登録商標)(セローノ)、アボネックス(登録商標)(バイオジェン)またはベタフェロン(登録商標)(シェーリング)として、市販されている。ヒト由来のインターフェロンの使用もまた、本発明に従って好ましい。本明細書で使用される通り、用語インターフェロンは、その塩、機能性誘導体、変異体、アナログおよび活性断片を包含することが意図される。
【0132】
レビフ(登録商標)(組換えヒトインターフェロン-β)は、多発性硬化症(MS)に対するインターフェロン治療における最新の開発品の一つであり、MS治療における有意義な進歩を表すと考えられている。レビフ(登録商標)は、哺乳類細胞株から産生されるインターフェロン(IFN)-ベータ1aである。インターフェロンベータ-1aの週3回の皮下投与は、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)の処置に有効であることが証明された。インターフェロンベータ-1aは、再発の数および重症度を減少させ、ならびにMRIにより測定される疾患の負荷および疾患活動性を減少させることにより、MSの長期過程に対して肯定的な効果を有し得る。
【0133】
適用可能である場合には、本発明に従った進行型MSの処置におけるIFN-βの投薬は、好ましくは使用されるIFN-βの種類に依存する。
本発明に従って適用される場合、IFNが、商標Betaseron(登録商標)で市販されている、大腸菌で生成された組換えIFN-β1bである場合には、これは好ましくは、1人当たり約250~300μg、または8MIU~9.6MIUの投薬量で、2日ごとに皮下投与され得る。
【0134】
本発明に従って適用される場合、IFNが、商標アボネックス(登録商標)で市販されている、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)で生成された組換えIFN-β1aである場合には、これは好ましくは、1人当たり約30μg~33μg、または6MIU~6.6MIUの投薬量で、1週間に1回、筋肉内投与され得る。
本発明に従って、IFNが、商標レビフ(登録商標)で市販されているチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)で生成される組換えIFN-β1aである場合、これは好ましくは、1人当たり約22~44μgまたは6MIU~12MIUの投薬量で、週3回(TIW)、皮下投与され得る。
【0135】
患者
好ましくは、本発明に従った患者は、1次進行型多発性硬化症(PPMS)、2次進行型多発性硬化症(SPMS)および早期2次進行型多発性硬化症(ESPMS)、好ましくは、1次進行型多発性硬化症(PPMS)および2次進行型多発性硬化症(SPMS)に罹患している患者である。
【0136】
特に好ましくは、本発明に従った患者は、1次進行型多発性硬化症(PPMS)、2次進行型多発性硬化症(SPMS)および早期2次進行型多発性硬化症(ESPMS)、好ましくは、1次進行型多発性硬化症(PPMS)および2次進行型多発性硬化症(SPMS)と診断された患者である。診断のための基準は、当業者に知られており、本明細書の様々なセクションにおいてさらに記載されている。
【0137】
したがって、好ましくは本発明に従った患者は、RRMSおよび/またはESPMSに罹患していないか、あるいはRRMSおよび/またはESPMSと診断されていない。より好ましくは、本発明に従って処置される患者は、RRMSおよび/またはESPMSとは異なる型のMSと診断されるか、あるいは再発型MSとは異なる型のMSに罹患していると診断される。
【0138】
好ましくは、本発明に従って、患者は、10~70歳の間、より好ましくは18~65歳の間、さらにより好ましくは18~55歳、および特に18~51歳の間のヒト男性または女性から選択される。女性患者が大多数を占め、疾患負荷が大きいことが多いため、女性患者の処置は好ましい。
【0139】
本発明に従った代替的使用
1つの態様においては、本発明は、進行型多発性硬化症、好ましくはPPMSおよび/またはSPMSの処置のための医薬製剤の調製のためのクラドリビンの使用を提供し、ここで、製剤は、下記の順次ステップに従って経口投与される:
(i)導入期間であって、ここで、クラドリビン医薬製剤が投与され、および導入期間の終わりに達するクラドリビンの総用量が約1.7mg/kg~約3.5mg/kgである、前記導入期間;
(ii)クラドリビンが投与されない、クラドリビンフリー期間;
(iii)維持期間であって、クラドリビン医薬製剤が投与され、および維持期間の終わりに達するクラドリビンの総用量が、導入期間(i)の終わりに達するクラドリビンの総用量よりも低いかまたはこれと同等である、前記維持期間;
(iv)クラドリビンが投与されない、クラドリビンフリー期間。
さらなる態様では、本発明は、導入期間が約4か月まで、または約3か月まで、または約2か月まで続く本発明に従った使用を提供する。
【0140】
さらなる態様においては、本発明は、導入期間が約2か月まで続く本発明に従った使用を提供する。
さらなる態様においては、本発明は、導入期間が約4か月まで続く本発明に従った使用を提供する。
さらなる態様において、本発明は、クラドリビンフリー期間(ii)が約10か月、約12か月、約14か月または約16か月続く、本発明に従った使用を提供する。
【0141】
さらなる態様において、本発明は、クラドリビンフリー期間(iv)が約10か月、約14か月、約22か月または約32か月続く、本発明に従った使用を提供する。
さらなる態様において、本発明は、導入期間の終わりに達するクラドリビンの総用量が約1.75mg/kgである、本発明に従った使用を提供する。
【0142】
さらなる態様においては、本発明は、導入期間の終わりに達するクラドリビンの総用量が約3.5mg/kgである、本発明に従った使用を提供する。
さらなる態様において、本発明は、維持期間の終わりに達するクラドリビンの総用量が約1.75mg/kgである、本発明に従った使用を提供する。
さらなる態様において、本発明は、維持期間の終わりに達するクラドリビンの総用量が約3.5mg/kg、より好ましくは約1.75mg/kgである、本発明に従った使用を提供する。
【0143】
別のさらなる態様においては、本発明は、クラドリビンフリー期間が、約34か月まで、または20か月まで、または10か月まで続く本発明に従った使用を提供する。これは、クラドリビンフリー期間(iv)に関して特に好ましい。
別のさらなる態様において、本発明は、クラドリビンフリー(ii)の期間が約8か月まで続く本発明に従った使用を提供する。
別のさらなる態様においては、本発明は、クラドリビンフリー(ii)の期間が少なくとも約8か月続く、本発明に従った使用を提供する。
【0144】
別のさらなる態様において、本発明は、クラドリビンフリー期間(ii)が少なくとも約10か月、典型的には10~18か月、および特に約10か月続く、本発明に従った使用を提供する。
別のさらなる態様においては、本発明は、クラドリビンフリー(iv)の期間が少なくとも約10か月続く、本発明に従った使用を提供する。
別のさらなる態様において、本発明は、クラドリビンフリー(iv)の期間が少なくとも約8か月、より好ましくは少なくとも約10か月、さらにより好ましくは少なくとも18か月、および特に少なくとも24か月続く、本発明に従った使用を提供する。
【0145】
別のさらなる態様において、本発明は、クラドリビンフリー期間(ii)および/または(iv)が、少なくとも約8か月、より好ましくは少なくとも約10か月、ならびに典型的には約10か月または約10~18か月のいずれか続く、本発明に従った使用を提供する。
別のさらなる態様において、本発明は、プラセボ丸剤がクラドリビンフリー期間中に投与される、本発明に従った使用を提供する。
別のさらなる態様においては、本発明は、クラドリビンフリー期間にいかなる投与も行われない、本発明に従った使用を提供する。
【0146】
別のさらなる態様において、本発明は、維持期間が約4か月まで、または約3か月まで、または約2か月まで、好ましくは約2か月まで続く、本発明に従った使用を提供する。
別のさらなる態様においては、本発明は、維持期間(iii)の終わりに達するクラドリビンの総用量が約1.75mg/kgである、本発明に従った使用を提供する。
【0147】
別のさらなる態様において、本発明は、ステップ(iii)または(iv)が少なくとも1回または2回反復される、本発明に従った使用を提供する。
この点において、クラドリビンフリー期間(iv)は、好ましくは少なくとも約24か月、または少なくとも約18か月、または少なくとも12か月、または少なくとも約10か月、または少なくとも約9ヶ月、または少なくとも約8か月続く。
【0148】
好ましい態様においては、本発明は、進行型多発性硬化症、好ましくはPPMSおよび/またはSPMSの処置のための医薬製剤の調製のためのクラドリビンの使用を提供し、ここで、製剤は、下記の順次ステップに従って経口投与される:
(i)導入期間であって、ここで、クラドリビン医薬製剤が投与され、および導入期間の終わりに達するクラドリビンの総用量が約1.7mg/kg~約3.5mg/kgである、前記導入期間;
(ii)クラドリビンが投与されない、クラドリビンフリー期間;
(iii)維持期間であって、ここで、クラドリビン医薬製剤が投与され、および維持期間の終わりに達するクラドリビンの総用量が、導入期間(i)の終わりに達するクラドリビンの総用量よりも低いか、またはほぼ等しく、好ましくはほぼ等しい、前記維持期間;
(iv)クラドリビンが投与されない、クラドリビンフリー期間;
ここで、導入期間は約4か月まで、または約3か月まで、または約2か月まで続き;クラドリビンフリー期間(ii)は約10か月まで、または約9か月まで、または約8か月まで続き;維持期間(iii)は約2か月まで続き;クラドリビンフリー期間(iv)は約10か月まで続き;維持期間の終わりに達するクラドリビンの総用量が約1.7mg/kgであり、およびステップ(iii)~(iv)が、1回、2回または3回反復して行われる。
【0149】
別の態様においては、本発明は、進行型多発性硬化症、好ましくはPPMSおよび/またはSPMSの処置のための医薬製剤の調製のためのクラドリビンの使用を提供し、ここで、製剤は、下記の順次ステップに従って経口投与される:
(i)導入期間であって、ここで、クラドリビン医薬製剤が投与され、および導入期間の終わりに達するクラドリビンの総有効用量が約0.7mg/kg~約1.4mg/kgである、前記導入期間;
(ii)クラドリビンが投与されない、クラドリビンフリー期間;
(iii)維持期間であって、ここで、クラドリビン医薬製剤が投与され、および維持期間(iii)の終わりに達するクラドリビンの総有効用量が、導入期間(i)の終わりに達するクラドリビンの総有効用量よりも低いか、またはほぼ等しく、好ましくはほぼ等しい、前記維持期間;
(iv)クラドリビンが投与されない、クラドリビンフリー期間。
【0150】
さらなる態様において、本発明は、進行型多発性硬化症、好ましくはPPMSおよび/またはSPMSの処置のための医薬製剤の調製のためのクラドリビンの使用を提供し、ここで、製剤は、下記の順次ステップに従って経口投与される:
(i)導入期間であって、ここで、クラドリビン医薬製剤が投与され、および導入期間の終わりに達するクラドリビンの総有効用量が約0.7mg/kg~約1.4mg/kgである、前記導入期間;
(ii)クラドリビンが投与されない、クラドリビンフリー期間;
(iii)維持期間であって、ここで、クラドリビン医薬製剤が投与され、および維持期間の終わりに達するクラドリビンの総有効用量が、導入期間(i)の終わりに達するクラドリビンの総有効用量よりも低いか、または等しく、好ましくは等しい、前記維持期間;
(iv)クラドリビンが投与されない、クラドリビンフリー期間;
ここで、導入期間は約4か月まで、または約3か月まで、または約2か月まで続き;クラドリビンフリー期間(ii)は約10か月まで、または約9か月まで、または約8か月まで続き;維持期間(iii)は約2か月まで続き;クラドリビンフリー期間(ii)は約10か月まで続き;維持期間の終わりに達するクラドリビンの総有効用量が約0.7mg/kgであり、およびステップ(iii)~(iv)が、1回、2回または3回反復して行われる。
【0151】
好ましい態様において、本発明は、進行型多発性硬化症、好ましくはPPMSおよび/またはSPMSの処置のための医薬としての使用のためのクラドリビンを提供し、ここで、医薬は、下記の順次ステップに従って経口投与される:
(i)導入期間であって、ここで、クラドリビン医薬製剤が投与され、および導入期間の終わりに達するクラドリビンの総用量が約1.7mg/kg~約3.5mg/kg、好ましくは約1.75mg/kgまたは約3.5mg/kgのいずれか、より好ましくは約1.75mg/kgである、前記導入期間;
(ii)クラドリビンが投与されない、クラドリビンフリー期間;
(iii)維持期間であって、ここで、クラドリビン医薬製剤が投与され、および維持期間の終わりに達するクラドリビンの総用量が、導入期間(i)の終わりに達するクラドリビンの総用量よりも低いか、または等しい、前記維持期間;
(iv)クラドリビンが投与されない、クラドリビンフリー期間;
ここで、導入期間は約4か月まで、または約3か月まで、または約2か月まで続き;クラドリビンフリー期間(ii)は約10か月まで、または約9か月まで、または約8か月まで続き;維持期間(iii)は約2か月まで続き;クラドリビンフリー期間(ii)は約10か月まで続き;維持期間の終わりに達するクラドリビンの総用量が約1.75mg/kgであり、およびステップ(iii)~(iv)が、1回、2回または3回反復して行われる。
【0152】
別の態様においては、本発明は、医薬製剤は、クラドリビン約3~30mg、好ましくはクラドリビン5~20mg、最も好ましくはクラドリビン10mgのクラドリビン1日用量で経口投与される、本発明に従ったクラドリビンの使用を提供する。
別のさらなる態様においては、本発明は、導入期間の終わりに達するクラドリビンの総用量が約3.5mg/kgであり、および維持期間の終わりに達するクラドリビンの総用量が約1.75mg/kgである、本発明に従った使用を提供する。
【0153】
さらなる態様において、本発明は、導入期間の終わりに達するクラドリビンの総用量が約1.75mg/kgであり、および維持期間の終わりに達するクラドリビンの総用量が約1.75mg/kgである、本発明に従った使用を提供する。
別のさらなる態様においては、本発明は、導入期間の終わりに達するクラドリビンの総有効用量が約1.4mg/kgであり、および維持期間の終わりに達するクラドリビンの総有効用量が約0.7mg/kgである、本発明に従った使用を提供する。
【0154】
別の態様においては、本発明は、医薬製剤が、導入期間中に1日1回経口投与される、本発明に従ったクラドリビンの使用を提供しする。
別の態様においては、本発明は、医薬製剤が、導入期間中に、1日1回、好ましくは1日2回または3回、より好ましくは1日2回投与される、1日複数回経口投与される、本発明に従ったクラドリビンの使用を提供する。
【0155】
別の態様において、本発明は、医薬製剤が、導入期間中、月当たり約1~約7日、好ましくは月当たり約5~約7日、経口投与される、本発明に従ったクラドリビンの使用を提供する。
別の態様において、本発明は、医薬製剤が、導入期間中、月当たり約0.02日/kg~約0.08日/kg経口投与される、本発明に従ったクラドリビンの使用を提供する。
【0156】
別の態様においては、本発明は、医薬製剤が、維持期間中、月当たり約0.02日/kg~約0.08日/kg経口投与される、本発明に従ったクラドリビンの使用を提供する。
別の態様において、本発明は、医薬製剤が、導入期間中、毎月1日~約2日まで、クラドリビン約10mgの1日用量で経口投与される、本発明に従ったクラドリビンの使用を提供する。
【0157】
別の態様において、本発明は、医薬製剤が、導入期間中、毎月1日~約3日まで、クラドリビン約10mgの1日用量で経口投与される、本発明に従ったクラドリビンの使用を提供する。
別の態様においては、本発明は、医薬製剤が、導入期間中、毎月1日~約4日まで、クラドリビン約10mgの1日用量で経口投与される、本発明に従ったクラドリビンの使用を提供する。
【0158】
別の態様において、本発明は、医薬製剤が、導入期間中、毎月1日~約5日まで、クラドリビン約10mgの1日用量で経口投与される、本発明に従ったクラドリビンの使用を提供する。
別の態様においては、本発明は、医薬製剤が、導入期間中、毎月1日~約6日まで、クラドリビン約10mgの1日用量で経口投与される、本発明に従ったクラドリビンの使用を提供する。
【0159】
別の態様において、本発明は、医薬製剤が、導入期間中、毎月1日~約4日まで、クラドリビン約10mgの1日用量で経口投与される、本発明に従ったクラドリビンの使用であって、ここで、医薬製剤は、国際公開第2004/087101号または国際公開第2004/087100号に記載されている医薬製剤である、前記使用を提供する。
別の態様においては、本発明は、医薬製剤がインターフェロン-ベータと組み合わせて投与される、前セクションのいずれかに従ったクラドリビンの使用を提供する。
【0160】
好ましい態様において、本発明は、進行型多発性硬化症、好ましくはPPMSおよび/またはSPMSの処置のための方法であって、その必要がある患者におけるクラドリビンまたはその医薬製剤の経口投与を含み、下記ステップ:
(i)導入期間、好ましくは約2か月の導入期間であって、ここで、クラドリビンまたはその医薬製剤が投与され、および導入期間の終わりに達するクラドリビンの総用量が約1.5mg/kg~約3.5mg/kg、好ましくは約1.75mg/kgまたは約3.5mg/kgのいずれか、より好ましくは約1.75mg/kgである、前記導入期間;
(ii)クラドリビンが投与されない、クラドリビンフリー期間、好ましくは少なくとも10か月のクラドリビンフリー期間;
(iii)維持期間、好ましくは約2か月の維持期間であって、ここで、クラドリビンまたはその医薬製剤が投与され、および維持期間の終わりに達するクラドリビンの総用量が、導入期間(i)の終わりに達するクラドリビンの総用量よりも低いか、またはこれと等しく、好ましくは約1.75mg/kgまたは約3.5mg/kgのいずれか、より好ましくは約1.75mg/kgである、前記維持期間;
(iv)クラドリビンが投与されない、クラドリビンフリー期間、好ましくは少なくとも10か月のクラドリビンフリー期間
を含む、前記方法を提供する。
【0161】
好ましい態様においては、本発明は、進行型多発性硬化症、好ましくはPPMSおよび/またはSPMSの処置のための方法であって、その必要がある患者におけるクラドリビンまたはその医薬製剤の経口投与を含み、下記ステップ:
(i)導入期間であって、ここで、クラドリビンまたはその医薬製剤が投与され、および導入期間の終わりに達するクラドリビンの総有効用量が約0.7mg/kg~約1.4mg/kgである、前記導入期間;
(ii)クラドリビンが投与されない、クラドリビンフリー期間;
(iii)維持期間であって、ここで、クラドリビン医薬製剤が投与され、および維持期間の終わりに達するクラドリビンの総有効用量が、導入期間(i)の終わりに達するクラドリビンの総有効用量よりも低いか、またはこれと等しい、前記維持期間;
(iv)クラドリビンが投与されない、クラドリビンフリー期間
を含む、前記方法を提供する。
【0162】
別のさらなる態様においては、本発明は、ステップ(iii)~(iv)が、少なくとも1回または2回反復される、本発明に従った方法を提供する。
この点において、クラドリビンフリー期間(iv)は、好ましくは少なくとも約24か月、または少なくとも約18か月、または少なくとも12か月、または少なくとも約10か月、または少なくとも約9ヶ月、または少なくとも約8か月続く。
【0163】
好ましい態様において、本発明は、クラドリビンを用いて、進行型多発性硬化症、好ましくはPPMSおよび/またはSPMSを処置する方法であって、ここで、クラドリビンは、下記の順次ステップ:
(i)導入期間の終わりに達するクラドリビンの総用量が約1.7mg/kg~約3.5mg/kg、好ましくは約1.75mg/kgまたは約3.5mg/kg、より好ましくは約1.75mg/kgであるように、クラドリビンを投与するステップ;
(ii)クラドリビンフリー期間中、クラドリビンを投与しないステップ;
(iii)維持期間の終わりに達するクラドリビンの総用量が、導入期間(i)の終わりに達するクラドリビンの総用量よりも低いか、またはこれと等しく、好ましくは約1.75mg/kgまたは約3.5mg/kg、より好ましくは約1.75mg/kgであるように、クラドリビンを投与するステップ;
(iv)および任意に、クラドリビンが投与されない、クラドリビンフリー期間
に従って経口投与される、前記方法を提供する。
【0164】
さらなる好ましい態様において、本発明は、導入期間が約4か月まで、または約3か月まで、または約2か月まで続く方法を提供する。
さらなる好ましい態様において、本発明は、導入期間の終わりに達するクラドリビンの総用量が約1.75mg/kgである方法を提供する。
【0165】
さらなる好ましい態様において、本発明は、導入期間の終わりに達するクラドリビンの総用量が約3.5mg/kgである方法を提供する。
さらなる好ましい態様においては、本発明は、導入期間の終わりに達するクラドリビンの総有効用量が約1.4mg/kgである方法を提供する。
【0166】
さらなる好ましい態様において、本発明は、クラドリビンフリー期間が約18か月まで、または12か月まで、または10か月まで、または約9か月まで、または約8か月まで続く方法を提供する。
さらなる好ましい態様においては、本発明は、クラドリビンフリー期間(ii)が約18か月まで、または12か月まで、または10か月まで、または約9か月まで、または約8か月まで続く方法を提供する。
【0167】
さらなる好ましい態様においては、本発明は、維持期間が約4か月まで、または約3か月まで、または約2か月まで続く方法を提供する。
さらなる好ましい態様において、本発明は、維持期間の終わりに達するクラドリビンの総用量が約1.75mg/kgである方法を提供する。
さらなる好ましい態様においては、本発明は、維持期間の終わりに達するクラドリビンの総有効用量が約0.7mg/kgである方法を提供する。
【0168】
別の好ましい態様においては、本発明は、維持期間の後にクラドリビンフリー期間が続く方法を提供する。
別のさらなる態様において、本発明は、導入期間の終わりに達するクラドリビンの総用量が約3.5mg/kgであり、および維持期間の終わりに達するクラドリビンの総用量が約1.75mg/kgである、本発明に従った方法を提供する。
別のさらなる態様においては、本発明は、導入期間の終わりに達するクラドリビンの総有効用量が約1.4mg/kgであり、および維持期間の終わりに達するクラドリビンの総有効用量が約0.7mg/kgである、本発明に従った方法を提供する。
【0169】
別のさらなる態様において、本発明は、クラドリビンが約3~約30mgの1日用量で経口投与される、本発明に従った方法を提供する。
別のさらなる態様においては、本発明は、クラドリビンが約10mgの1日用量で経口投与される、本発明に従った方法を提供する。
別のさらなる態様において、本発明は、クラドリビンが導入期間中、月当たり約1~約7日経口投与される、本発明に従った方法を提供する。
【0170】
別のさらなる態様において、本発明は、ステップ(iii)が少なくとも1回または2回反復される、本発明に従った方法を提供する。
別のさらなる態様においては、本発明は、クラドリビンがインターフェロン-ベータと組み合わせて投与される、本発明に従った方法を提供する。
【0171】
本明細書に記載されているおよび/または特許請求されている通りの使用のためのクラドリビンのさらなる特に好ましい側面、好ましくは、本明細書に記載されているおよび/または特許請求されている通りの使用のためのクラドリビン錠剤、その特性および/または使用は、下記に記載される:
好ましい医薬製品
クラドリビン10mg錠(Mavenclad(登録商標))
質的および量的組成:
各錠剤は、クラドリビン10mgを含有する
既知の効果を有する賦形剤:
各錠剤は、ソルビトール64mgを含有する
好ましい剤形:
錠剤;直径8.5mmの白色円形両凸の錠剤
【0172】
好ましい臨床項目:
用法用量(posology)および投与方法
用法用量
クラドリビン錠剤の推奨累積用量は、2年にわたり3.5mg/kg体重であって、1年当たり1.75mg/kgを1回の処置コースとして投与される。各処置コースは、2週の処置週からなり、これは、各処置年の第1の月の始めの1週および第2の月の始めの1週である。各処置週は、4または5日からなり、ここで患者は体重に応じて単一の1日用量として10mgまたは20mg(1または2錠)を与えられる。詳細については、下記の表1および2を参照。
【0173】
治療開始および継続の基準
リンパ球数が
・1年目にMAVENCLADを開始する前に、正常、
・2年目にMAVENCLADを開始する前に、少なくとも800細胞/mm3
であることが推奨される。
【0174】
必要に応じて、リンパ球の回復のために、2年目の処置コースを、好ましくは6か月まで遅らせることができる。
用量配分
2年にわたる処置の総用量の好ましい配分が下記の表1に提供されている。体重範囲によっては、錠剤の数が処置週ごとに異なる場合がある。
【0175】
【0176】
下記表2は、処置週当たりの総錠剤数が、個々の日にわたってどのように配分されるかを示す。各処置週におけるクラドリビンの1日用量は、毎日ほぼ同じ時間に24時間間隔で服用することが推奨される。1日用量が2錠からなる場合は、両方の錠剤を単一用量として一緒に服用する。
【0177】
【0178】
服用し忘れた用量は、処置スケジュールに従って、思い出し次第、同日中に服用しなければならない。
服用し忘れた用量は、翌日、次に予定された用量と一緒に服用してはならない。用量を服用し忘れた場合、患者は、服用し忘れた用量を翌日に服用し、その処置週の日数を延長しなければならない。2回連続して服用し忘れた場合も同様で、その処置週の日数が2日延長される。
【0179】
投与方法
MAVENCLADは、経口使用される。錠剤は、水と一緒に服用し、噛まずに飲み込まなければならない。錠剤は、食物の摂取とは無関係に服用することができる。
【0180】
血液学的モニタリング
クラドリビンの作用形式は、リンパ球数の減少と密接に関連している。リンパ球数に対する効果は用量依存的である。基準値と比較した好中球数、赤血球数、ヘマトクリット、ヘモグロビンまたは血小板数の減少も臨床試験において観察されているが、これらのパラメータは通常、正常範囲内にとどまる。
【0181】
血液学的プロフィールに影響を与える他の物質(セクション4.5参照)に先行して、またはこれらと併用して、クラドリビンが投与される場合、追加的な血液学的副作用が予想され得る。
リンパ球数を
・1年目にMAVENCLADを開始する前に、
・2年目にMAVENCLADを開始する前に、
・各処置年の処置開始から2か月後および6か月後に、
測定しなければならない。リンパ球数が500細胞/mm3未満である場合は、再び値が増加するまで積極的にモニタリングが行われるべきである。
【0182】
作用メカニズム
クラドリビンは、デオキシアデノシンのヌクレオシドアナログである。プリン環における塩素置換は、アデノシンデアミナーゼによる分解からクラドリビンを保護し、クラドリビンプロドラッグの細胞内滞留時間を増加させる。クラドリビンの活性な三リン酸型である2-クロロデオキシアデノシン三リン酸(Cd-ATP)への、後に続くリン酸化は、その構成的に高いデオキシシチジンキナーゼ(DCK)レベルおよび比較的低い5’-ヌクレオチダーゼ(5’-NTase)レベルのために、リンパ球において特に効率的に達成される。5’-NTaseに対するDCKの比が高いことにより、Cd-ATPの蓄積が起こりやすく、リンパ球は細胞死に対して特に感受性になる。DCK/5’-NTaseの比がより低い結果として、他の骨髄由来の細胞は、リンパ球よりも影響を受けにくい。DCKは、クラドリビンプロドラッグをその活性な三リン酸型に変換するための律速酵素であり、分裂および非分裂T細胞およびB細胞の選択的な枯渇をもたらす。
【0183】
Cd-ATPの作用の主要なアポトーシス誘導メカニズムは、DNA合成およびミトコンドリア機能に対する直接的および間接的作用である。分裂細胞では、Cd-ATPは、リボヌクレオチド還元酵素の阻害を介してDNA合成を阻害し、DNAポリメラーゼによるDNAへの取り込みにおいてデオキシアデノシン三リン酸と競合する。休止細胞では、クラドリビンは、DNA一本鎖の切断、急速なニコチンアミドアデニンジヌクレオチドの消費、ATP枯渇、および細胞死を引き起こす。クラドリビンはまた、非分裂細胞の細胞質へのチトクロームcおよびアポトーシス誘導因子の放出を介して、直接的なカスパーゼ依存性および非依存性アポトーシスを引き起こし得るという証拠がある。
【0184】
薬力学的効果
クラドリビンは、MSの病態生理に関与するリンパ球および自己免疫プロセスを優先的に標的とすることにより、長期にわたる効果を発揮することが示されている。
いくつもの研究において、グレード3または4のリンパ球減少症(<500~200細胞/mm3または<200細胞/mm3)の患者の割合が最も多くみられたのは、各年の最初のクラドリビン用量から2カ月後であり、クラドリビンの血漿中濃度と最大の血液学的効果との間に時間差があることを示している。
【0185】
いくつもの臨床試験において、提案された累積用量3.5mg/kg体重によるデータは、クラドリビンの初回用量から84週目(クラドリビンの最終用量から約30週後)にリンパ球数の中央値が正常範囲にまで徐々に改善することを示している。クラドリビンの初回用量から144週目(クラドリビン最終用量から約90週後)までには、75%を超える患者のリンパ球数が正常範囲に戻った。
クラドリビンの経口処置は、循環CD4+およびCD8+T細胞の急速な減少をもたらす。CD8+T細胞はCD4+T細胞よりも顕著な減少が少なくかつ回復が早く、CD8に対するCD4の比の一時的減少をもたらす。クラドリビンは、CD19+B細胞およびCD16+/CD56+ナチュラルキラー細胞を減少させるが、これらもまたCD4+T細胞よりも早く回復する。
【0186】
臨床的有効性および安全性
再発寛解型MS
経口クラドリビンの有効性および安全性は、再発寛解型MS患者1,326人を対象とした無作為化二重盲検プラセボ対照臨床試験(CLARITY)において評価された。試験の目的は、年率再発率(ARR)の低下(主要評価項目)、障害進行の遅化、およびMRIにより測定される活動性病変の減少における、プラセボに対するクラドリビンの有効性を評価することである。
【0187】
患者は、プラセボ(n=437)、あるいはクラドリビンの累積用量3.5mg/kg(n=433)または5.25mg/kg体重(n=456)のいずれかを、96週(2年)の試験期間にわたり2回の処置コースで与えられた。累積用量3.5mg/kgに無作為化された患者は、第1年目の1週および5週に第1回の処置コースを、ならびに第2年目の1週および5週に第2回の処置コースを与えられた。累積用量5.25mg/kgに無作為化された患者は、第1年目の9週および13週に追加の処置を受けた。プラセボ処置群(87.0%)ならびにクラドリビン3.5mg/kg処置群(91.9%)および5.25mg/kg処置群(89.0%)の患者の大多数は、全96週の試験を完了した。
【0188】
患者は、過去12か月間に少なくとも1回の再発があることが条件とされた。試験集団全体では、年齢中央値は39歳(範囲18~65歳)であり、および男性に対する女性の比は約2:1であった。試験登録前のMSの平均罹患期間は8.7年であり、すべての処置群にわたってKurtzke総合障害度尺度(EDSS)スコアに基づく神経学的障害の中央基準値は3.0(範囲0~6.0)であった。3分の2を超える試験患者は、MS疾患修飾性薬(DMD)処置未経験であった。残りの患者は、インターフェロンベータ-1a、インターフェロンベータ-1b、グラチラマー酢酸塩、またはナタリズマブのいずれかにより前処置されていた。
【0189】
クラドリビン3.5mg/kgを与えられた再発寛解型MS患者は、プラセボ患者と比較して、年換算再発率、96週にわたり無再発である患者の割合、96週にわたり持続的障害のない患者の割合、および3か月のEDSS進行までの時間において、統計学的に有意な改善が示された(下記表3参照)。
【0190】
【0191】
加えて、クラドリビン3.5mg/kg処置群は、試験の全96週にわたって、脳MRIで示されたT1 Gd+病変、活動性T2病変、および複合型固有病変(combined unique lesion)の数および相対的減少に関して、プラセボよりも統計学的に有意に優れていた。プラセボ処置群と比較して、クラドリビン服用患者では、T1 Gd+病変の平均数(クラドリビン3.5mg/kg群の調整平均数、およびプラセボ群は、それぞれ0.12および0.91)が86%、活動性T2病変の平均数(クラドリビン3.5mg/kg群の調整平均数、およびプラセボ群は、それぞれ0.38および1.43)が73%、ならびにスキャン当たりの患者当たり複合型固有病変の平均数(クラドリビン3.5mg/kg群の調整平均数、およびプラセボ群は、それぞれ0.43および1.72)は74%、相対的に減少した(3回のMRI転帰すべてにわたってp<0.001)。
【0192】
6か月確認されるEDSS進行までの時間の事後分析により、クラドリビン3.5mg/kgは、プラセボと比較して障害進行リスクの47%減少という結果となった(ハザード比=0.53、95%CI[0.36、0.79]、p<0.05);プラセボ群では、245日目に10パーセンタイルに達し、クラドリビン3.5mg/kg群では試験期間中、全くこれに達しなかった。
上記表3に示されている通り、より高い累積用量では、臨床的に有意な有益性はなかったが、グレード3以上のリンパ球減少症についてはより高い発生率と関連していた(3.5mg/kg群における25.6%に対し、5.25mg/kg群における44.9%)。
【0193】
CLARITYを完了した患者は、CLARITY延長(CLARITY Extension)に登録することができた。この延長試験おいて、患者806人は、プラセボまたは(CLARITYにおいて用いられたのと同様の処方計画での)クラドリビン3.5mg/kgの累積用量のいずれかを96週の試験期間にわたって与えられた。この試験の主要目的は安全性であり、有効性の評価項目は予備的なものであった。
3.5mg/kg用量を2年にわたって与えられた患者における再発頻度の低下および障害進行の遅化における効果の大きさは、3年目および4年目において維持されていた(セクション4.2参照)。
【0194】
高疾患活動性を有する患者における有効性
推奨されている3.5mg/kgの累積用量で経口クラドリビンにより処置された、高疾患活動性を有する患者において、事後サブグループ有効性解析が行われた。これらには、
・ 他のDMDによる治療の間に、前年に1回の再発があり、かつ、T1 Gd+病変を少なくとも1か所、またはT2病変を9か所以上、有する患者、
・ DMD処置を受けているかどうかに関わらず、前年に2回以上の再発があった患者
が含まれていた。
【0195】
CLARITYデータの解析においては、年換算再発率が、クラドリビン群で0.16~0.18、プラセボ群で0.47~0.50の範囲であり(p<0.0001)、再発に対する一貫した処置効果が観察された。全集団と比較して、クラドリビンが障害進行リスクを82%減少させた、6か月持続する障害までの時間において、より大きい効果が観察された(ハザード比=0.18、95%CI[0.07、0.47])。プラセボでは、16週から23週の間に障害進行について10パーセンタイルに達したのに対し、クラドリビン群では、全試験期間中、これに達しなかった。
【0196】
再発を伴う2次進行型MS
プラセボ+インターフェロン-ベータに対してインターフェロン-ベータへの追加(add-on)としてクラドリビンで処置された患者におけるサポート試験ではまた、限られた数の2次進行型MS患者(26人の患者)が含まれていた。これらの患者では、クラドリビン3.5mg/kgによる処置が、プラセボと比較して年換算再発率の低下をもたらした(0.30に対して0.03、リスク比:0.11、p<0.05)。再発寛解型MS患者と再発を伴う2次進行型MS患者との間で、年換算再発率における差はなかった。障害進行に対する効果は、いずれのサブグループにおいても示されることがなかった。
【0197】
2次進行型MS患者は、CLARITY試験では除外されていた。しかしながら、CLARITYおよびONWARDの患者を含む混合コホートの事後解析は、2次進行型MSについて、代用として3.5以上の基準EDSSスコアにより定義されていたが、EDSSスコアが3未満の患者と比較して、年換算再発率における同様の低下を示した。
【0198】
薬物動態学的特性
クラドリビンは、生物学的に活性化するために細胞内でリン酸化されなければならないプロドラッグである。クラドリビンの薬物動態は、MS患者および悪性腫瘍患者における経口および静脈内投与後に、ならびにin vitro系で、研究されてきた。
【0199】
吸収
経口投与後、クラドリビンは急速に吸収される。クラドリビン10mgの投与は、22~29ng/mLの範囲のクラドリビン平均Cmax、および対応する80~101ng・時間/mLの範囲の平均AUCをもたらす(様々な研究からの算術的平均値)。
経口クラドリビンが絶食状態で与えられた場合、中央値Tmaxは0.5時間(範囲0.5~1.5時間)であった。高脂肪食とともに投与された場合、クラドリビンの吸収は遅延し(中央値Tmax1.5時間、範囲1~3時間)、およびCmaxは29%減少した(幾何学的平均に基づく)が、AUCは変化しなかった。経口クラドリビン10mgの生物学的利用能は約40%であった。
【0200】
分布
分布体積は大きく、広範囲の組織分布および細胞内取り込みを示している。研究により、クラドリビンの平均分布体積は480~490Lの範囲であることが明らかになった。クラドリビンの血漿タンパク質結合は、20%であり、血漿濃度に依存しない。
生物学的膜を横切るクラドリビンの分布は、ENT1、CNT3およびBCRPを含む様々な輸送タンパク質によって促進される。
【0201】
in vitro研究により、クラドリビンの排出は、P-gpと最小限にしか関連性していないことが示されている。臨床的に関連するP-gp阻害剤との相互作用は、期待されていない。クラドリビンの生物学的利用能に及ぼすP-gp誘導の潜在的な因果関係は、正式には研究されていない。
in vitro試験により、トランスポーターを介したヒト肝細胞へのクラドリビンの取り込みはごくわずかであることが示された。
【0202】
クラドリビンは血液脳関門を透過する可能性を有する。癌患者における小規模研究により、約0.25の脳脊髄液/血漿濃度比が示されている。
クラドリビンおよび/またはそのリン酸化代謝物は、ヒトリンパ球に実質的に蓄積され、保持される。in vitroでは、細胞外に対する細胞内の蓄積比は、クラドリビン曝露1時間後にはすでにおよそ30~40であることが見出された。
【0203】
生体内変換
クラドリビンの代謝を、MS患者において、単回の10mg錠剤の投与および単回の3mg静脈内用量の投与後に調べた。経口投与後および静脈内投与後の両方とも、親化合物であるクラドリビンが血漿および尿中に存在する主成分であった。代謝物である2-クロロアデニンは、血漿中および尿中の両方で、微量代謝物であり、例えば、経口投与後の血漿における親薬剤曝露の3%以下を占めるにすぎなかった。他の代謝物は、血漿中および尿中に微量でしか見出すことができなかった。
肝臓インビトロ系では、ごくわずかのクラドリビンの代謝が観察された(少なくとも90%は未変化クラドリビンであった)。
【0204】
クラドリビンは、チトクロームP450酵素に関連する基質ではなく、CYP1A2、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1およびCYP3A4の阻害剤として作用する有意な可能性を示していない。これらの酵素または遺伝子多型(例えば、CYP2D6、CYP2C9またはCYP2C19)の阻害は、クラドリビンの薬物動態または曝露に対して臨床的に有意な効果をもたらすとは予測されない。クラドリビンは、CYP1A2、CYP2B6およびCYP3A4酵素に対する臨床的に意味のある誘導効果を示さない。
【0205】
標的細胞に入った後、クラドリビンは、DCKによって(およびミトコンドリアのデオキシグアノシンキナーゼによっても)、クラドリビン一リン酸(Cd-AMP)にリン酸化される。Cd-AMPはさらに、クラドリビン二リン酸(Cd-ADP)およびクラドリビン三リン酸(Cd-ATP)にリン酸化される。Cd-AMPの脱リン酸化および不活性化は、細胞質の5’-NTaseによって触媒される。慢性骨髄性白血病患者におけるCd-AMPおよびCd-ATPの細胞内薬物動態の研究においては、Cd-ATPのレベルはCd-AMPのレベルの約半分であった。
Cd-AMPの細胞内半減期は15時間であった。Cd-ATPの細胞内半減期は10時間であった。
【0206】
排泄
様々な研究からのプールされた集団の薬物動態データに基けば、排泄の中央値は、腎クリアランスで22.2L/時間および非腎クリアランスで23.4L/時間であった。腎クリアランスは、糸球体濾過率を上回っており、クラドリビンの活性な腎尿細管分泌を示している。
【0207】
クラドリビンの排泄の非腎性部分(約50%)は、ごくわずかな肝代謝と、標的となる細胞内コンパートメント(すなわちリンパ球)内において活性であるクラドリビンの原則(Cd-ATP)の広範囲にわたる細胞内分布および補足、ならびにそれに続くこれらの細胞のライフサイクルおよび排泄経路に従った細胞内Cd-ATPの排泄とからなる。
典型的な患者についての集団薬物動態解析から推定される終末相半減期(terminal half-life)は約1日である。しかしながら、この半減期は、AUCのごく一部を占めるにすぎないため、1日1回の投薬後に薬剤の蓄積をもたらさない。
【0208】
用量および時間依存性
3~20mgの用量範囲にわたるクラドリビンの経口投与後、CmaxおよびAUCは、用量に比例して増加し、経口用量20mgまでは吸収が速度または容量により制限されるプロセスにより影響を受けないことが示唆された。
血漿中のクラドリビン濃度の有意な蓄積は、反復投薬後に観察されなかった。反復投与後に、クラドリビンの薬物動態が時間依存的に変化し得るという示唆はない。
【0209】
特殊集団
高齢または小児のMS患者、あるいは腎障害または肝障害のある対象においては、クラドリビンの薬物動態を評価する研究は行われていない。
集団動態解析では、クラドリビンの薬物動態に対する年齢(18~65歳の範囲)または性別の効果は示されなかった。
【0210】
腎障害
クラドリビンの腎クリアランスは、クレアチニンクリアランスに依存することが示された。腎機能正常患者および軽度腎障害患者を含む集団薬物動態解析に基づけば、軽度腎障害患者(CLCR=60mL/分)の総クリアランスは、中程度に減少し、25%の曝露量増加をもたらすと予想される。
【0211】
肝障害
クラドリビンの排泄に対する肝機能の役割は、ごくわずかであると考えられている。
薬物動態学的相互作用
MS患者における薬物相互作用試験では、パントプラゾールと併用投与された場合に、経口クラドリビン10mgの生物学的利用能は変化しないことが示された。
【0212】
前臨床安全性データ
クラドリビンの安全性評価に関連する動物モデルにおけるクラドリビンの非臨床安全性薬理学的および毒性評価は、クラドリビンの薬理学的メカニズムにより予測されるもの以外の有意な知見はもたらさなかった。マウスおよびサルにおける1年の期間までの非経口経路(静脈内または皮下)による反復用量毒性試験で同定された主要な標的臓器は、リンパ系および造血系であった。サルでの皮下経路によるクラドリビンのさらなる長期投与後(14サイクル)の他の標的臓器は、腎臓(腎尿細管上皮の核肥大)、副腎(皮質萎縮および液胞減少)、胃腸管(粘膜萎縮)および精巣であった。腎臓に対する効果はマウスでもみられた。
【0213】
変異原性
クラドリビンはDNA鎖に取り込まれ、DNA合成および修復を阻害する。クラドリビンは、細菌または哺乳類細胞では遺伝子変異を誘導しなかったが、in vitroでは、予想された臨床的Cmaxの17倍の濃度で、哺乳類細胞に染色体損傷を引き起こす染色体異常誘発原性(clastogenic)であった。マウスにおけるin vivoでの染色体異常誘発原性は、10mg/kgで検出されたが、これは最も低い試験用量であった。
【0214】
発がん性
クラドリビンの潜在的発がん性は、マウスでの皮下投与による22か月間の長期試験およびトランスジェニックマウスでの経口経路による26週間の短期試験において評価された。
・ マウスでの長期発がん性試験においては、用いられた最高用量は10mg/kgであったが、マウス小核試験で遺伝毒性がみられた(クラドリビン20mgの最大1日用量を服用している患者のAUCにおいて予想されるヒト曝露量の約16倍に等しい)。マウスでは、リンパ増殖性障害または他の種類の腫瘍(ハーデリアン腺腫瘍(主に腺腫)を除く)の発生率の増加はみられなかった。ハーデリアン腺腫瘍は、ヒトは同等の解剖学的構造を有さないため、臨床的な関連性があるとは考えられていない。
【0215】
・ Tg rasH2マウスにおける短期発がん性試験では、1日当たり30mg/kgまでのいずれの用量においても、クラドリビンに関連したリンパ増殖性障害または他の種類の腫瘍の発生率の増加はみられなかった(クラドリビン20mgの最大1日用量を服用している患者のAUCにおいて予想されるヒト曝露量の約25倍に等しい)。
【0216】
皮下経路による1年間のサルにおける試験でも、クラドリビンが評価された。この試験では、リンパ増殖性障害の発生率の増加はみられず、腫瘍もみられられなかった。
クラドリビンは遺伝毒性の可能性を有し得るが、マウスおよびサルでの長期データでは、ヒトにおける発がん性リスクの相対的増加の証拠は提供されなかった。
【0217】
生殖毒性
女性の受胎可能性、生殖機能または子孫の一般的な能力に対する効果はなかったが、クラドリビンは、妊娠中のマウスに投与された場合に胚死性であることが示されており、この化合物は、マウス(雄性のみの処置後であっても)およびウサギにおいて催奇形性であった。観察された胚死性および催奇形性の効果は、クラドリビンの薬理学的メカニズムと一致している。雄性マウスの不妊試験では、上腕骨および/または大腿骨遠位部の付属器の一部に形成不全を伴う奇形胎仔がみられた。この研究において影響を受けたマウス胎仔の発生率は、この系統のマウスにおけるアメリア(amelia)およびフォコメリア(phocomelia)の自然発生率と同じ範囲にあった。しかしながら、クラドリビンの遺伝毒性を考慮すると、分化精子細胞の潜在的な遺伝的変化に関連する雄性を介した影響を除外することはできない。
【0218】
クラドリビンは、雄性マウスの生殖能力に影響を与えなかったが、観察された精巣への効果は、精巣重量の減少および非運動性精子数の増加であった。サルではまた、精巣の変性および高速前進運動性を有する精子の可逆的減少もみられた。組織学的には、1年間の皮下毒性試験で、精巣の変性は1匹の雄性サルにおいてのみみられた。
【0219】
薬学的詳細:
賦形剤一覧
ヒドロキシプロピルベタデックス(2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン)
ソルビトール
ステアリン酸マグネシウム
【0220】
MAVENCLADの服用法
この薬は、医師により推奨される通りに正確に服用することが好ましい。疑わしい場合は、医師または薬剤師に確認することが推奨される。
【0221】
処置コース
患者は、MAVENCLADを2年にわたって2回の処置コースとして与えられる。
各処置コースは2週の処置週からなり、これらは各処置年の初めにおいて1か月隔てられている。
1週の処置週は、4または5日からなり、ここでは1日1錠または2錠が与えられる(表4参照)。
例:4月中旬に処置を開始した場合、以下の表4において示される通りに錠剤を服用する:
【0222】
【0223】
処置コースを開始する前に、医師は血液検査を行い、リンパ球(白血球の一種)のレベルが許容範囲にあるかどうかを確認する。そうでない場合は、処置を遅らせることができる。
患者が2年にわたって2回の処置コースを完了した場合、好ましくは、医師は、それぞれの対象が好ましくは薬を服用する必要がないまた別の2年の間、それぞれの患者の健康状態をモニターすることを継続する。
【0224】
用量
1. 各患者は、直下の表2に示されている通り、自分の体重に応じて、各処置週に正確な数の錠剤が処方されることになる。
2. 各患者は、1パック以上のクラドリビン錠剤が与えられ、正確な数の錠剤が提供されることになる。
【0225】
3. 各患者が各々の供給された薬を受け取った後、各患者は、自分が正確な数の錠剤が与えられたことを確認することが推奨される。
4. 下記表5の左欄において、各患者は、好ましくは、(kgでの)自分の体重に適合する行を見つけることができ、次いで、自分が開始する処置週のためのパックに含まれているはずの錠剤の数を再度確認する必要がある。
【0226】
5. 各パックの錠剤の数が、各患者について表5の各体重に示されている数と異なっている場合は、医師に連絡する必要がある。
6. 体重範囲によっては、錠剤の数が処置週ごとに変わる場合があることが強調されている。
【0227】
例:その患者が、体重が85kgであり、処置1週目を開始しようとしている場合、8錠の錠剤が与えられることになる。
薬の服用法
錠剤は、毎日ほぼ同じ時間に服用し、噛まずに飲み込まなければならない。食事時に服用する必要はなく、食事と一緒にまたは食間に服用することができる。
【0228】
【0229】
処置週の期間
処方された錠剤の総数に応じて、各処置週に4日または5日にわたって服用しなければならない。
下記表6は、各日において何錠(1錠または2錠)を服用しなければならないかを示している。1日用量が2錠の場合は、好ましくは同時に服用されるべきである。
例:8錠を服用しなければならない場合、1日目、2日目、3日目に2錠を服用し、4日目および5日目に1錠を服用する。
【0230】
【0231】
詳細情報
以下の略語は、好ましくはそれぞれ下記定義を参照する:
kg(キログラム)、μg(マイクログラム)、mg(ミリグラム)、AEs(有害作用)、CNS(中枢神経系)、CSF(脳脊髄液)、EDSS(総合障害度尺度、SNRS(スクリプス神経学的症状評価尺度)、IFN(インターフェロン)、i.v.(静脈内)、MIU(ミリオン国際単位)、MS(多発性硬化症)、MRI(磁気共鳴画像法)、p.o.(経口)、PPMS(1次進行型多発性硬化症)、PRMS(進行再発型多発性硬化症)、RRMS(再発寛解型多発性硬化症)、SPMS(2次進行型多発性硬化症)、s.c.(皮下)、TIW(週3回)、2-CdA(2-クロロ-2'デオキシアデノシンまたはクラドリビン)、UI(国際単位)。
【0232】
数、数値、範囲および/または量に関して本明細書において使用される通りの「約」という用語は、好ましくは、「およそ」および/または「ほぼ」を意味することが意図されている。それらの用語の意味は、当該技術分野でよく知られており、好ましくは、それぞれの数、数値、範囲、および/または量の、プラス/マイナス15%、特にプラス/マイナス10%の分散、偏差、および/または変動を含む。
いずれの場合においても、数、数値、範囲および/または量に関して本明細書において使用される通りの「約」という用語は、好ましくは、「およそ」および/または「ほぼ」を意味することが意図されている。それらの用語の意味は、当該技術分野でよく知られており、好ましくは、それぞれの数、数値、範囲、および/または量の、少なくともプラス/マイナス5%の分散、偏差、および/または変動を含む。
【0233】
本明細書において使用される通りの「障害」および「疾患」という用語の意味は、当該技術分野でよく知られており、理解されている。本発明の文脈においては、それらは好ましくは同義語として使用され、したがって、本明細書において使用される文脈がそうでないことを強く示唆しない限り、好ましくは交換可能である。
処置処方計画、投薬スケジュールおよび臨床試験デザインを含むがこれらに限定されない医学的文脈において、患者、医療スタッフおよび/または医師による利便性および/または簡易性、ならびに結果等の信頼性および/または再現性のために、用語「週」/「1週」、「月」/「1か月」および/または「年」/「1年」は、グレゴリオ暦の定義からわずかに逸脱して使用することができる。例えば、前記医学的文脈において、1月はしばしば28日とみなされ、1年はしばしば48週とみなされる。
【0234】
したがって、本発明の文脈において、用語「週」または「1週」は、好ましくは約5、約6または約7日の期間、より好ましくは約7日の期間をいう。
医学的文脈においては、用語「月」または「1か月」は、好ましくは約28、約29、約30または約31日の期間、より好ましくは約28、約30または約31日の期間をいう。
医学的文脈において、用語「年」または「1年」は、好ましくは、約12か月の期間、または約48、約50、もしくは約52週の期間、より好ましくは約12か月、または約48もしくは約52週の期間をいう。
【0235】
本発明によれば、特に好ましいのは、本明細書に記載されている通りの主題であり、ここで、2つ以上の好ましい、より好ましいおよび/または特に好ましい態様、側面、および/または主題の特徴は、1つの態様、側面、および/または主題と組み合わされる。好ましくは、本発明によれば、好ましい主題または態様は、他の好ましい主題または態様と組み合わせることができ;より好ましい主題または態様は、他のより好ましくないまたはさらにより好ましい主題または態様と組み合わせることができ;特に好ましい主題または態様は、他のまさに好ましいまたはまさにさらにより好ましい主題または態様と組み合わせることができる。
【0236】
以下、本発明を例によりさらに詳細に説明する。本発明は、好ましくは、特許請求された範囲全体にわたって実施することができ、ここに示された例に限定されない。
さらに、下記実施例は、当業者が例示によって本発明をよりよく理解するのを助けるために示されている。例は、特許請求の範囲によって付与される保護の範囲を限定することを意図していない。例において定義されたプロセス、化合物、組成物および/または使用について例示された特徴、特性および利点は、例において具体的に記載および/または定義されていないが特許請求の範囲において定義されたものの範囲に該当する、他のプロセス、化合物、組成物および/または使用に割り当てられてもよい。
したがって、下記実施例は、本発明をさらに詳細に記載するが、本発明およびその特許請求される範囲を限定しない。
【0237】
例
例1:ONWARD試験
計画
18~65歳の患者は、下記基準を満たす場合には、ONWARD試験に参加する資格を有する:
- 再発を伴うRRMSまたはSPMSの診断(2005年マクドナルド基準)4
- その間に1回以上のMS再発を伴っている、スクリーニング前における48週以上連続したIFN-βによる処置
- スクリーニング前28日間の臨床的安定性(再発を除く)
- 1.0~5.5の総合障害度尺度(EDSS)スコア
- 基準(無作為化第1日目)から28日以内の正常な血液学的パラメータ:これは、血小板 140~450×103/μL;絶対好中球数 2.03~8.36×103/μL、絶対リンパ球数 1.02~3.36×103/μL;白血球数 4.1~12.3×103/μL、ヘモグロビン11.6~16.2g/dLとして定義される
【0238】
・ スクリーニング前の48週間におけるIFN-β療法から別のIFN-β療法への切り替えは、スクリーニングの3か月以上前に現在のIFN-β療法の安定した処方計画を受けていた場合に許可された。
・ 患者が、感染症または免疫低下疾患を有している場合、以前に免疫抑制療法または細胞毒性療法により処置されたことがある場合、あるいは、試験中に、妊娠している、授乳中である、または避妊法の使用を拒否した場合は、除外された。
・ この試験では、既存のIFN-β療法に追加して、3.5mg/kgの用量のクラドリビン錠剤が適用された。
・ すべての解析は、事後のものであって事前に指定されたものではなく、結果として得られたp値に多重性の調整は行われなかった。統計的検定によりp値が0.05未満であったすべての比較は、名目上、有意であるとみなされるべきである。
図1参照:ONWARD試験のデザイン
【0239】
導入
CLARITY試験においては、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)患者に対して、クラドリビン錠剤を2年間、短期間処置で1年ごとに与えたところ、臨床転帰およびMRI転帰が有意に改善した。2年間のCLARITY延長試験では、CLARITYで与えられた最初の2年のクラドリビン処置(3.5mg/kg体重)の臨床的有益性が、さらなる積極的処置を伴わずにプラセボを与えられるように再無作為化された患者において、持続することが示された。ONWARD試験によって、インターフェロン-β(IFN-β)療法の追加として投与されたクラドリビン錠剤(3.5mg/kg)の安全性および耐容性が、IFN-βで少なくとも1回の再発を経験した患者における主要評価項目として、確認された。ONWARD試験ではまた、副次項目として有効性が確認され、再発型MS(RMS)患者でIFN-βに追加されたクラドリビン錠剤3.5mg/kgについても同様の有益性が示された。しかしながら、ONWARD試験では、RMS患者を採用しており(下記
図1)、RRMSまたは再発を伴う2次進行性MS(SPMS)を有する場合に試験参加の資格を有する患者を含んでいた。ONWARDにおいてSPMS患者が含まれていることにより、これらの患者での、IFN-βに追加して、プラセボに対しクラドリビン錠剤3.5mg/kgを用いた処置の有効性を確認する機会が提供された。当初の目的は、ONWARD試験においてSPMSまたはRRMS患者でのクラドリビン錠剤3.5mg/kgの効果を確認することであった。
【0240】
【0241】
EDSS、総合障害度尺度;Gd+、ガドリニウム増強;RRMS、再発寛解型多発性硬化症;-SD、標準偏差、SPMS;2次進行型多発性硬化症。a ITT集団(オリジナルおよび修正プロトコールの両方で無作為化された患者)におけるクラドリビン5.25mg/kg群を除く、プラセボおよびクラドリビン3.5mg/kg群の全人数
【0242】
臨床的有効性
SPMS患者およびRRMS患者において、クラドリビン錠剤3.5mg/kgによる処置を受けた患者は、プラセボと比較して、名目上、統計学的に有意な年換算再発率の低下を示した。SPMS患者においては、年換算再発率は、クラドリビン3.5mg/kg+IFN-βにより処置された患者については0.03(95%CI:0.00~0.24)であり、プラセボ+IFN-βを与えられた患者については0.30(95%CI:0.13~0.73)であった。クラドリビン処置されたSPMS患者は、プラセボ処置された患者よりも、適格である再発を有する可能性が89%低かった(
図2)。
【0243】
図2参照。ONWARDにおいてクラドリビン錠剤3.5mg/kg+IFN-βまたはプラセボ+IFN-βにより処置されたSPMS患者における適格再発率(年換算調整)(プラセボと比較して、クラドリビンにより処置されたSPMS患者について、89%リスク減少)。
【0244】
これと対照的に、RRMS患者においては、年換算再発率は、クラドリビン3.5mg/kg+IFN-βにより処置された患者について0.15(95%CI:0.11~0.22)であり、プラセボ+IFN-βを与えられた患者について0.31(95%CI 0.21~0.45)であった。したがって、クラドリビン処置されたRRMS患者は、プラセボ処置された患者よりも、適格である再発を有する可能性が50%しか低くなかった(
図3。
【0245】
図3参照。ONWARDにおいてクラドリビン錠剤3.5mg/kg+IFN-βまたはプラセボ+IFN-βにより処置されたRRMS患者における適格再発率(年換算調整)(プラセボと比較して、クラドリビンにより処置されたRRMS患者について、50%リスク減少)。
【0246】
障害進行
SPMSまたはRRMSサブグループでは、3か月または6か月確認されるEDSS進行までの時間(time to 3-month or 6-month confirmed EDSS progression)のいずれに対しても、処置効果は観察されなかった(図示せず)。これらの知見は、ONWARD試験の全集団と類似しており、試験での患者数の少なさを反映している可能性がある。
磁気共鳴画像法(MRI)の転帰
SPMSおよびRRMS患者の両方において、クラドリビン錠剤3.5mg/kgによる処置は、T1 Gd+病変の平均数および活動性T2病変の平均数の減少と関連していた(下記表2)。
【0247】
【0248】
Gd+、ガドリニウム増強;RRMS、再発寛解型多発性硬化症;-SD、標準偏差、SPMS;2次進行型多発性硬化症。a ITT集団(オリジナルおよび修正プロトコールの両方で無作為化された患者)におけるクラドリビン5.25mg/kg群を除く、プラセボおよびクラドリビン3.5mg/kg群の全人数
【0249】
例2:PPMS試験
主要目的
1次進行型多発性硬化症(PPMS)を有する対象での、6か月確認される障害進行の遅延におけるプラセボと比較したクラドリビンの有効性を確認すること。
【0250】
副次目的
主な副次目的:
・ PPMSを有する対象での、障害進行のさらなる測定値におけるプラセボと比較したクラドリビンの有効性を確認すること。
・ PPMSを有する対象での、疾患進行の磁気共鳴画像法(MRI)測定値における、プラセボと比較したクラドリビンの有効性を確認すること。
安全性目的
・ PPMSを有する対象での、プラセボと比較した経口クラドリビンによる処置の安全性および耐容性を確認すること。
【0251】
方法論:
これは、PPMSを有する対象において、プラセボに対する経口ラドリビン経口の有効性および安全性を確認するための、無作為化二重盲検2群並行群プラセボ対照多施設試験である。この試験は、スクリーニング期間とそれに続く2年間の二重盲検処置期間とを含み、0、1、3、6、9、11、12、13、15、18、21、および24か月目にある来院とそれに続く12か月間の安全性のフォローアップを伴う。
対象は、1:1の比で処置について無作為化される。クラドリビンを与えられる対象は、推奨累積用量3.5mg/kg体重を2年にわたって与えられ(再処置基準を満たすことを条件とする:第2年目の処置コースの時点で、対象はリンパ球数が有害事象共通用語規準(Common Terminology Criteria for Adverse Events [CTCAE])グレード(Grade)0または1である必要がある)、1回の処置コースとして年当たり1.75mg/kgが投与される。
【0252】
適合するプラセボを与えられる被験者には、クラドリビン処置される対象と同様のスケジュールでその錠剤が与えられる。
総合障害度尺度の評価、時限25フィート歩行、および9穴ペグテストを含む障害の評価は、処置期間を通して行われる。磁気共鳴画像法も行われる。安全性は、有害事象のモニタリングにより評価される。加えて、患者から報告された転帰および臨床家から報告された転帰は、頻繁に評価される。
【0253】
主要評価項目:EDSSに基づいて障害進行が6か月確認されるまでの時間。
主な副次評価項目:
本試験の主な副次評価項目には:
・3か月確認される障害進行までの時間であって、
o 3か月確認されるEDSSの進行および/または;
o 基準値に対する、時限25フィート歩行(T25FW)における3か月確認される悪化(>20%)および/または;
o 基準値に対する、9穴ペグテスト(9-HPT)における3か月確認される悪化(>20%);
により定義される複合スコアに基づく、前記時間;
・基準値から24か月目までのT2強調画像上の病変の総体積におけるパーセント変化;
・6か月目から24か月目までの脳体積におけるパーセント変化;
が含まれる。
【0254】
安全性評価項目:
・プラセボと比較した、クラドリビンを与えられている対象における処置上の緊急有害事象(非重篤な有害事象[AE]、重篤な有害事象[SAE]、および特定の関心のある有害事象[AESI])の発生;
・プラセボと比較した、クラドリビンを与えられている対象における臨床検査値(血液学および臨床化学)の評価。
【0255】
診断ならびに主な包含基準および除外基準:
包含基準
・18歳から51歳(含む)までの男性および女性の対象;
・改訂マクドナルド基準、好ましくはマクドナルド基準2010(Polman, 2011)の通りであって、PPMS判定委員会(Adjudication Committee)(PPMS AC)により確認されている、PPMS診断;
・2.5~5.5(含む)のEDSSスコア;記録された欠損が錐体機能系または小脳機能系のいずれかに影響を及ぼしている場合には、EDSSスコアが2.0である対象が資格を有する;
・PPMSの症状発症からの時間が、スクリーニングにおけるEDSSスコアが5.5である対象については15年未満、またはスクリーニング時のEDSSスコアが5.0以下である対象については10年未満であること。
【0256】
医薬品:用量/投与形式/投薬スケジュール:
クラドリビン錠剤(10mg)またはそれに適合するプラセボ:体重3.5mg/kgを2年にわたって投与し(すなわち、年当たり1.75mg/kgの1回の処置コース)、それに続いてさらに12か月間、安全性を観察する。各処置コースは、2週の処置週からなり、これは、各年の第1の月の初めにおける1週および第2の月の初めにおける1週である。各処置週は、4または5日からなり、ここで対象は、体重に応じて10mgまたは20mgのいずれか(1錠または2錠のいずれか)を単一の1日用量として与えられる。
【0257】
対象ごとの試験および処置期間:
対象は、スクリーニング評価を経て、それに続いて2年の処置期間を経る。次いで、追加の12か月間、安全性について監視される。
【0258】
背景情報
クラドリビン(2-クロロ-2’-デオキシアデノシン、2-CdA)は、天然に存在するヌクレオシドデオキシアデノシンの合成塩素化ヌクレオシドアナログであり(Beutler、1992)、その三リン酸型への細胞内活性化の後、選択的枯渇T細胞およびB細胞によって作用することが示されている。クラドリビンの細胞内代謝は、クラドリビンの全体的な有効性および安全性において重要な役割を果たしており、おそらくクラドリビンの最も重要な非腎排泄経路である。クラドリビンは、血漿と全血細胞との間にほぼ等しく分布しており、25%まで血液脳関門を透過することができる(Liliemark, 1992; Kearns, 1994)。
【0259】
クラドリビンは、短い半減期を有し、それと一緒に、特定の免疫細胞に対する長期にわたる薬力学的(PD)効果;最も著しいのは、T細胞およびB細胞数の可逆的な減少、を伴う。リンパ球数の緩やかな回復は、MSで使用されるいくつかの他の疾患修飾性薬(DMD)でみられるリバウンド活性または自己免疫と潜在的に関連する、残留リンパ球サブタイプの恒常性増殖を惹起することなく生じる(Jones, 2013; Zwang, 2014; Willis, 2015)。この薬物動態(PK)/PDプロファイルは、1年目および2年目の始めにおいて投与される短期の処置コース(合計20日までの処置)という、MS分野の経口薬剤としてはユニークな用法用量をもたらす。
【0260】
クラドリビンの好ましい累積用量は、2年にわたって(再発寛解型MS(RMS)の適応で承認されている通り)3.5mg/kg体重であり、好ましくは2回の処置コース(すなわち、年当たり1.75mg/kg)として投与される。、2回の処置コースの完了後、3年目および/または4年目におけるさらなるクラドリビン処置は現在のところ必要であるとみなされてはいないが、PPMSおよび/またはSPMSではオプションとして考慮され得る。
【0261】
クラドリビンは、再発型MS(RMS)において証明された有効性を示す。この臨床試験は、その適応における満たされていない医療的必要性が高いことから、再発型MSのみならずPPMSを有する対象を含むように表示の適応を拡大するための、経口クラドリビンの全体的開発戦略の一部である。PPMSはMS症例の10~15%を占めるにすぎないが(Miller, 2007)、幅広く利用可能で証明された有効な経口処置が存在しないことは、満たされていない医療的必要性を浮き彫りにしている。
【0262】
経口クラドリビンの第II/III相臨床試験の結果は、個別解析および統合解析の両方で臨床的有効性のデータを提供しており、経口クラドリビンが、RMSの臨床スペクトルにわたって活動性疾患を有する対象において極めて有効であることを示している。CLARITY試験では、処置未経験RRMSおよび処置経験RRMSの両方を含む集団において、高度の臨床的およびMRI有効性が立証された。CLARITYおよびCLARITY EXTの解析では、クラドリビンの再発抑制およびEDSS進行の遅化における有効性が、3.5mg/kgの推奨用量による2回の短期処置コースの後、少なくともさらに2年の治療中止の間にも維持されることが示された。ORACLE MS試験では、クラドリビンが、臨床的に孤立した症候群(CIS)の対象の、臨床的に確定したMSおよびMcDonald 2005 MSへの転換を減少させ、一貫した臨床的およびMRI有効性が示された。ONWARDは、正規の有効性の証明のために十分にデザインされていなかったが、インターフェロン(IFN)-βの追加療法としてのクラドリビンの安全性および有効性プロファイルを評価するためにデザインされた;しかしながら、有効性データは、RMS患者集団においてCLARITY試験の知見を裏付けている。上記のすべての試験について、5.25mg/kgのクラドリビン用量(およびいくつかの追加試験の場合には、より高い2つの用量:7.0mg/kgおよび8.75mg/kg)では、3.5mg/kg用量と比較して、臨床的に有意な有益性を付加しなかった。クラドリビンのMRI評価項目における有意な有効性は、クラドリビンの抗炎症特性を浮き彫りにしている。
【0263】
B細胞を含むリンパ球の選択的枯渇は、早期PPMSにおいて重要な役割を果たすと考えられている。B細胞のCD20表面分子を標的とするヒト化モノクローナル抗体であるオクレリズマブは、その枯渇を惹起するが、最近、RRMSおよび早期PPMS患者の処置について米国食品医薬品局(FDA)により承認された;欧州においては、承認は認められなかった。現在のところ、早期PPMSについて臨床使用可能な他の薬剤はない。
【0264】
いくつかの証拠は、B細胞およびB細胞由来の生成物がMSの慢性的進行に役立ち得ることを示唆している(Fereidan-Esfahani, 2015)。RRMSおよび2次進行型MS(SPMS)において、ならびにPPMS患者の大多数において、中枢神経系(CNS)コンパートメント内に隔離されているクローン性に増殖したB細胞が、オリゴクローン性のバンド(ologoclonal band)を生成し、さらに病変内でクローン性に増殖する。最近の知見では、髄膜B細胞浸潤は、おそらくB細胞小胞様構造において組織化されており、病原性CNSのB細胞機能を維持する微小環境(niche)となり得ることが示唆されている(Magliozzi, 2007)。
【0265】
進行型MSにおいては、髄膜および血管周囲のB細胞の集積は、しばしば活性化されたT細胞およびマクロファージと共局在し、実験的証拠により、これらの髄膜免疫細胞の凝集が皮質病変の形成、脱髄およびミクログリアの活性化と関連していることが示唆されている。クラドリビンは、血液脳関門透過性であることが見出されており、血管漏出と無関係に脳に入るため、RMSおよびCISを有する対象において立証されているその高い有効性のために、ならびに、末梢および潜在的にCNSの両方において選択的にB細胞およびT細胞を選択的に標的とするその能力のために、PPMSに対する優れた候補薬剤である。さらに、慢性MSにおける非経口クラドリビンを用いた以前のデータにより、MRI有効性(T1強調ガドリニウム増強[T1 Gd+])の傾向が示された(Rice, 2000; 詳細はセクション5.2を参照)。したがって、スポンサーは、PPMSを有する対象におけるクラドリビンの効果を確認するために、本臨床試験をデザインしている。本試験のデータは、クラドリビンのPPMS患者への適応拡大を達成するために使用される。
図4参照 PPMS試験の試験デザイン概略図
【0266】
【0267】
CDP=EDSS進行の確認、CSF=脳脊髄液、EDSS=総合障害度尺度、HR=ハザード比、PPMS=1次進行型多発性硬化症、T1 Gd+=T1強調ガドリニウム増強。ORATORIOについて:KMに由来する12か月目にCDPを伴う対象の割合(Montalban、2017年)。出典:(PROMISE)Wolinsky、2007年、(OLYMPUS)Hawker、2009年、(INFORMS)Lublin、2016年、(ORATORIO)Montalban、2017年。
【0268】
我々の経験に基づき、我々は、MRIの活性がより高い、より若年層のPPMS集団は、特に炎症性の負荷が高い場合には、処置により適している可能性があり、したがって、それ以外では満たされていない医療的必要性が高いと考えている。
要約すると、我々の評価に基づけば、55歳未満の年齢でPPMSを有しかつより低いEDSSを有する試験集団を含めることにより、炎症性疾患を有する対象を含む可能性は増加する。不可逆的な障害の発症の前に、早期にPPMSを標的とする薬剤に対する満たされていない必要性がある。クラドリビンのCNSへの透過性(Liliemark, 1997)および血液脳関門を越えて予想されるその作用は、進行型MSの病態生理にCNS内の炎症が関与しているとみなされることから、本試験のさらなる強い根拠を提供する。
【0269】
用量および投与
無作為化された対象は、経口クラドリビンまたはそれに適合するプラセボを、処置期間中、年1回の処置コースを2回、盲検で投与される。
最初の用量は現場で投与し、次の3~4日間の処置は患者が自宅で服用する。
【0270】
クラドリビンの推奨累積用量は、2年にわたって3.5mg/kg体重であり、年当たり1.75mg/kgの1回の処置コースとして投与される。各処置コースは、2週の処置週からなり、これは、第1の月(基準)の始めにおける1週および第2の月(1か月目)の始めにおける1週、ならびに、それに続く第2年目においては12か月目および13か月目の始めである。体重に応じて、各処置週は4または5日からなり、ここで対象は、単一の1日用量として10mgまたは20mg(1錠または2錠)を与えられる。
2回の処置コースの完了後、3年目および/または4年目におけるさらなるクラドリビン処置は、現在のところ必要ないと考えられている。しかしながら、3年目における治療の再度開始は、患者、特にPPMS患者の状況をさらに改善するためのオプションとなり得る。
【0271】
治療を開始および継続するのための好ましい基準
リンパ球数は、
・1年目にクラドリビンを開始する前に、正常、
・2年目にクラドリビンを開始する前に、ALCが少なくともグレード0または1
でなければならない。
必要に応じて、2年目における処置コースは、リンパ球の回復を可能にするために6か月まで遅らせることができる。この回復に6か月よりも長くかかる場合は、その患者にはクラドリビンをそれ以上与えるべきでない。
【0272】
【0273】
対象は、各日の同じ時間に水と一緒に薬を服用するよう指示される;錠剤は丸ごと飲み込まなければならない。錠剤はコーティングされていないため、ブリスターパックから取り出した後はすぐに服用しなければならない。空腹の制限はなく;錠剤は、食物の摂取とは無関係に服用することができる。
【0274】
服用し忘れた用量は、思い出し次第、同じ日に処置スケジュールにしたがって服用しなければならない。
服用し忘れた用量は、翌日に予定されている次の用量と一緒に服用してはならない。服用し忘れた場合は、翌日に服用し忘れた分を服用し、その処置週の日数を延長しなければならない。2回連続して服用し忘れた場合も同様のルールが適用され、その処置週の日数を延長する。2回連続して服用しなかった場合も同じルールが適用され、その処置週の日数が2日延長される。
【0275】
例3
本明細書に記載されている通りの経口クラドリビン投与、最終的には複数用量(multi-dose)投与の有効性および安全性もまた評価されており、例えば、以下に記載されている通りの再発型MS処置のためのプロトコールに従っている:
【0276】
再発型MSの処置における経口クラドリビン
臨床的に確定した再発型多発性硬化症の患者60人についての試験が行われる。各患者はまず、基準値を確立するために正常な肝機能、腎機能、および骨髄機能について検査される。
患者は、過去12か月以内に1回以上の再発があった18歳から55歳の間の男性または女性から選択される。女性患者は妊娠していない女性である。
患者は、下記表1に列挙される処置群のいずれかに無作為に割り当てられる:
【0277】
【0278】
第2群および第3群の各患者は、国際公開第2004/087101号、実施例3に記載されている通りのシクロデキストリン製剤に配合された2-CdA3mgまたは10mg(患者の体重に応じて1日に1回、2回または3回投与)を与えられる。ヒドロキシプロピル-ベータ-シクロデキストリンを含有する2-CdA3mgまたは10mg錠剤中のクラドリビン製剤の組成物は、下記表2に列挙されている:
【0279】
【0280】
目標用量1.75mg/kgおよび3.5mg/kgについて、それぞれ患者の体重に応じた導入期間の投与スキームが下記表3および表4に示されている。維持期については、表3の投与スキーム例が適用可能である。
【0281】
【0282】
【0283】
【0284】
第1群では、患者は、プラセボを4か月間与えられ、その後8か月は無処置とする。
第2群では、患者は、2-CdAシクロデキストリン製剤を2か月(導入期間)の間に、最初の2か月の終わりにおいて投与された総有効用量が約0.7mg/kg(約40%の生物学的利用能に対して総用量約1.75mg/kg)に近似するように、1か月に約5日間、クラドリビンの1日毎の経口投与を受ける;その後2か月間はプラセボ投与を受け;その後8か月は無処置とする。
【0285】
第3群では、患者は、2-CdAシクロデキストリン製剤を4か月(導入期間)の間に、最初の4か月の終わりにおいて投与された総有効用量が約1.4mg/kg(約40%の生物学的利用能に対して総用量約3.5mg/kg)に近似するように、1か月に約5日間、クラドリビンの1日毎の経口投与を受け;その後8か月は無処置とする。
【0286】
13か月目からは、3つの全患者群は、クラドリビンシクロデキストリン製剤を、1か月に約5日間、2か月(維持期間)の間、より低い用量で(最初の2か月の終わりにおいて投与された総有効用量が約0.7mg/kgに近似するように)再処置を受け、その後10か月は無処置とする。
【0287】
最後に、25か月目からは、全患者群は、クラドリビンシクロデキストリン製剤を、1か月に約5日間、2か月(維持期間)の間、より低い用量で(最初の2か月の終わりにおいて投与された総有効用量が約0.7mg/kgに近似するように)再処置を受け、その後さらに10か月は無処置とする。
【0288】
患者は、上記Millerら、1996年;上記Evansら、1997年;上記Sipeら、1984年;および上記Mattson、2002年に記載されている通り、MRIスキャンおよび神経学的検査を通じて、MSの進行に関連する脳病変の進行または改善があるかどうかを決定するためにモニターされる。全患者は、基準値を有しており、12か月目にMRI検査(病変の局在にしたがって、脳または脊髄)を受ける。
患者の障害進行および初回再発までの時間、ならびに24か月目での無再発である患者の割合をモニターする。
【0289】
患者のリンパ球マーカーおよび単球数をモニターする。
第2群および第3群の患者は、脳病変が減少している。
これらのデータは、導入処置および維持処置の連続からなる2-CdA処方計画が、脳病変の減少に効果的であり、重篤な副作用は観察されないことを示す。