(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】半導体反応チャンバ
(51)【国際特許分類】
H05H 1/46 20060101AFI20240528BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
H05H1/46 L
G03F7/20 521
(21)【出願番号】P 2023517948
(86)(22)【出願日】2021-09-22
(86)【国際出願番号】 CN2021119560
(87)【国際公開番号】W WO2022063112
(87)【国際公開日】2022-03-31
【審査請求日】2023-03-17
(31)【優先権主張番号】202011032583.8
(32)【優先日】2020-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】510182294
【氏名又は名称】北京北方華創微電子装備有限公司
【氏名又は名称原語表記】BEIJING NAURA MICROELECTRONICS EQUIPMENT CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】NO.8 Wenchang Avenue Beijing Economic-Technological Development Area, Beijing 100176, China
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】マオ シンフェイ
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ ガン
(72)【発明者】
【氏名】ワン ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】チェン グウォドン
【審査官】大門 清
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-058292(JP,A)
【文献】特開平10-074600(JP,A)
【文献】特開平07-201495(JP,A)
【文献】特開2018-056248(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104658944(CN,A)
【文献】中国実用新案第203557721(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第111599717(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0273482(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/46
G03F 7/20
H01L 21/3065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体反応チャンバであって、チャンバ本体、誘電体窓、吸気部材、載置部材及び上部無線周波数コンポーネントを備え、前記誘電体窓は前記チャンバ本体の最上部に設置され、前記載置部材は前記チャンバ本体内に設置され、加工対象ウェハを載置するためのものであり、前記吸気部材は前記誘電体窓の中心位置に設置され、前記チャンバ本体内にプロセスガスを導入するためのものであり、前記上部無線周波数コンポーネントは前記チャンバ本体の上方に設置され、前記チャンバ本体内に導入された前記プロセスガスを電離してプラズマ及び第1紫外光を発生させるためのものである半導体反応チャンバにおいて、
前記半導体反応チャンバは複数の紫外光発生装置をさらに備え、複数の前記紫外光発生装置は前記誘電体窓と前記載置部材との間に設置され、且つ前記吸気部材の周囲を取り囲んでおり、各前記紫外光発生装置はいずれも前記載置部材に向けて照射される第2紫外光を発生させるためのものであ
り、
フォトレジストマスクが形成された前記加工対象ウェハに対して前記第1紫外光と前記第2紫外光を組み合わせて使用することを特徴とする半導体反応チャンバ。
【請求項2】
前記半導体反応チャンバは支持リングをさらに備え、前記支持リングは前記チャンバ本体と前記誘電体窓との間に設置され、前記支持リングにはそれ自体を貫通して前記チャンバ本体の内部に連通する複数の取付孔が設置され、各前記紫外光発生装置は各前記取付孔内に対応して設置されることを特徴とする請求項1に記載の半導体反応チャンバ。
【請求項3】
前記紫外光発生装置はカバー体、発光部材及び電気接続部材を備え、前記発光部材は前記カバー体内に設置され、前記第2紫外光を発生させるためのものであり、前記電気接続部材は前記発光部材に電気的に接続され、且つ給電装置の電気エネルギーを前記発光部材に伝達するように前記給電装置に電気的に接続され、
前記カバー体は取付部及び発光部を備え、前記取付部は前記取付孔内に設置され、前記発光部は前記取付部に接続されて前記取付孔から前記チャンバ本体内に延出し、且つ前記発光部は透明であることを特徴とする請求項2に記載の半導体反応チャンバ。
【請求項4】
前記発光部はアーチ状カバー体であることを特徴とする請求項3に記載の半導体反応チャンバ。
【請求項5】
前記カバー体は当接部をさらに備え、前記当接部は前記取付部に接続されて前記取付孔のチャンバ本体の内部から離れる側に位置し、且つ前記取付部の前記取付孔における位置を限定するように前記支持リングに当接され、且つ前記当接部は不透明であることを特徴とする請求項3に記載の半導体反応チャンバ。
【請求項6】
前記当接部と前記支持リングとの互いに当接される表面の間には前記取付孔を密封するための密封部材が設置されることを特徴とする請求項5に記載の半導体反応チャンバ。
【請求項7】
前記半導体反応チャンバは制御ユニットをさらに備え、前記制御ユニットは複数の前記紫外光発生装置に給電するための給電装置に電気的に接続され、前記給電装置をオン/オフにし及び前記給電装置の給電時間を制御するように前記給電装置に制御信号を送信するためのものであることを特徴とする請求項1に記載の半導体反応チャンバ。
【請求項8】
前記制御ユニットから出力された前記制御信号は連続波信号、同期パルス信号及び非同期パルス信号のうちのいずれか1つ又は複数を含むことを特徴とする請求項7に記載の半導体反応チャンバ。
【請求項9】
前記紫外光発生装置の光軸と前記載置部材の前記加工対象ウェハを載置するための載置面の垂直方向との夾角の値範囲は20°以上且つ70°以下であることを特徴とする請求項1に記載の半導体反応チャンバ。
【請求項10】
前記発光部材は短波紫外光源又は真空紫外光源であることを特徴とする請求項3に記載の半導体反応チャンバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置の技術分野に関し、具体的に半導体反応チャンバに関する。
【背景技術】
【0002】
誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma、ICPと略称される)エッチングプロセスはウェハをエッチングするようにプラズマを利用してウェハに衝撃を加えるプロセスであり、マスクプロセスを完了した後のウェハをエッチングすることができ、即ちウェハ上のフォトレジストを露光してマスクパターンを形成した後、ウェハのフォトレジストマスクで覆われていない部分をエッチングし、これによりマスクパターンをウェハに複製することを実現する。
【0003】
従来の誘導結合プラズマのエッチングプロセス装置は一般的にチャンバ本体、誘電体窓、ノズル、載置部材及び上部無線周波数コンポーネントを備え、誘電体窓はチャンバ本体の最上部に設置され、ノズルは誘電体窓の中心位置に設置され、チャンバ本体内にプロセスガスを導入するためのものであり、載置部材はチャンバ本体内に設置され、且つ誘電体窓の下方に位置し、ウェハを載置するためのものであり、上部無線周波数コンポーネントはチャンバ本体の外部に設置され、且つ誘電体窓の上方に位置し、チャンバ本体内のプロセスガスを励起してプラズマを形成するように誘電体窓を通してチャンバ本体内に無線周波数エネルギーを供給することができ、これらのプラズマは載置部材上のウェハに衝撃を加えることができる。
【0004】
プロセスガスが励起されてプラズマを形成するとき、さらに紫外光を発生させることとなり、これらの紫外光はウェハをエッチングする過程においてウェハ上のフォトレジストマスクに対して硬化作用を果たすこととなり、それによりフォトレジストマスクの腐食耐性を強化することができるが、ノズルが誘電体窓の中心位置に位置するため、ノズルから噴出されたプロセスガスはまずチャンバ本体の中心領域に入り、次にチャンバ本体の周りに拡散することとなり、このため、プロセスガスがイオン化されてプラズマを形成する際に発生した紫外光も中心領域から周りへ拡散することとなり、そのゆえ、チャンバ本体の中心領域とエッジ領域との間の紫外光の分布が不均一になってしまい、これにより、紫外光がウェハの表面の各箇所に照射する強度は不均一になり、更にウェハ上のフォトレジストマスクの硬化効果は不均一になってしまい、この結果、ウェハの各箇所でのエッチングレートの均一性及びウェハ間のエッチング適合性に影響する恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は少なくとも従来技術における技術的問題の1つを解決するように意図され、半導体反応チャンバを提供し、加工対象ウェハの各箇所でのエッチングレートの均一性を向上させて、複数の加工対象ウェハの間のエッチング適合性を向上させることができ、それによりプロセス効果を向上させる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的を実現するために、半導体反応チャンバを提供し、チャンバ本体、誘電体窓、吸気部材、載置部材及び上部無線周波数コンポーネントを備え、前記誘電体窓は前記チャンバ本体の最上部に設置され、前記載置部材は前記チャンバ本体内に設置され、加工対象ウェハを載置するためのものであり、前記吸気部材は前記誘電体窓の中心位置に設置され、前記チャンバ本体内にプロセスガスを導入するためのものであり、前記上部無線周波数コンポーネントは前記チャンバ本体の上方に設置され、前記チャンバ本体内に導入された前記プロセスガスを電離してプラズマ及び第1紫外光を発生させるためのものであり、
前記半導体反応チャンバは複数の紫外光発生装置をさらに備え、複数の前記紫外光発生装置は前記誘電体窓と前記載置部材との間に設置され、且つ前記吸気部材の周囲を取り囲んでおり、各前記紫外光発生装置はいずれも前記載置部材に向けて照射される第2紫外光を発生させるためのものである。
【0007】
好ましくは、前記半導体反応チャンバは支持リングをさらに備え、前記支持リングは前記チャンバ本体と前記誘電体窓との間に設置され、前記支持リングにはそれ自体を貫通して前記チャンバ本体の内部に連通する複数の取付孔が設置され、各前記紫外光発生装置は各前記取付孔内に対応して設置される。
【0008】
好ましくは、前記紫外光発生装置はカバー体、発光部材及び電気接続部材を備え、前記発光部材は前記カバー体内に設置され、前記第2紫外光を発生させるためのものであり、前記電気接続部材は前記発光部材に電気的に接続され、且つ給電装置の電気エネルギーを前記発光部材に伝達するように前記給電装置に電気的に接続され、
前記カバー体は取付部及び発光部を備え、前記取付部は前記取付孔内に設置され、前記発光部は前記取付部に接続されて前記取付孔から前記チャンバ本体内に延出し、且つ前記発光部は透明である。
【0009】
好ましくは、前記発光部はアーチ状カバー体である。
【0010】
好ましくは、前記カバー体は当接部をさらに備え、前記当接部は前記取付部に接続されて前記取付孔のチャンバ本体の内部から離れる側に位置し、且つ前記取付部の前記取付孔における位置を限定するように前記支持リングに当接され、且つ前記当接部は不透明である。
【0011】
好ましくは、前記当接部と前記支持リングとの互いに当接される表面の間には前記取付孔を密封するための密封部材が設置される。
【0012】
好ましくは、前記プロセスチャンバは制御ユニットをさらに備え、前記制御ユニットは複数の前記紫外光発生装置に給電するための給電装置に電気的に接続され、前記給電装置をオン/オフにし及び前記給電装置の給電時間を制御するように前記給電装置に制御信号を送信するためのものである。
【0013】
好ましくは、前記制御ユニットから出力された前記制御信号は連続波信号、同期パルス信号及び非同期パルス信号のうちのいずれか1つ又は複数を含む。
【0014】
好ましくは、前記紫外光発生装置の光軸と前記載置部材の前記加工対象ウェハを載置するための載置面の垂直方向との夾角の値範囲は20°以上且つ70°以下である。
【0015】
好ましくは、前記発光部材は短波紫外光源又は真空紫外光源である。
【発明の効果】
【0016】
本発明は以下の有益な効果を有する。
本発明に係る半導体反応チャンバは、上部無線周波数コンポーネントがチャンバ本体内に導入されたプロセスガスを電離してプラズマ及び第1紫外光を発生させる上で、誘電体窓と載置部材との間には吸気部材の周囲を取り囲んでいる複数の紫外光発生装置が設置され、各紫外光発生装置はいずれも載置部材に向けて照射される第2紫外光を発生させるためのものである。上記第1紫外光と第2紫外光を組み合わせて使用することにより、チャンバ本体の中心領域とエッジ領域との間の紫外光の均一な分布を確保することができ、それによりウェハ上のフォトレジストマスクの硬化効果の均一性を向上させることができ、更に加工対象ウェハの各箇所でのエッチングレートの均一性及び複数の加工対象ウェハの間のエッチング適合性を向上させることができ、これによりプロセス効果を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施例に係る半導体反応チャンバの構造概略図である。
【
図2】本発明の実施例に係る半導体反応チャンバにおける第1紫外光及び第2紫外光が加工対象ウェハに向けて照射される概略図である。
【
図3】本発明の実施例に係る半導体反応チャンバにおける紫外光発生装置が支持リング体内に設置される構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
当業者に本発明の技術案をよりよく理解させるために、以下に図面を参照しながら本発明に係る半導体反応チャンバを詳しく説明する。
【0019】
図1及び
図2に示すように、本実施例は半導体反応チャンバを提供し、チャンバ本体11、誘電体窓12、吸気部材13、載置部材14、上部無線周波数コンポーネント18及び複数の紫外光発生装置15を備え、誘電体窓12はチャンバ本体11の最上部に設置され、載置部材14はチャンバ本体11内に設置され、加工対象ウェハ20を載置するためのものである。吸気部材13は誘電体窓12の中心位置に設置され、チャンバ本体11内にプロセスガスを導入するためのものである。該吸気部材13は例えばノズルであり、該ノズルは誘電体窓12を貫通して設置されてもよく、且つノズルにおける吸気通路の排気端がチャンバ本体11の内部に連通し、吸気端が吸気管路(図示せず)に連通するためのものである。しかしながら、吸気部材13の構造はこれに限定されるものではない。
【0020】
上部無線周波数コンポーネント18はチャンバ本体11の上方に設置され、チャンバ本体11内に導入されたプロセスガスを電離してプラズマ及び第1紫外光21を発生させるためのものであり、複数の紫外光発生装置15は誘電体窓12と載置部材14との間に設置され、且つ吸気部材13の周囲を取り囲んでおり、各紫外光発生装置15はいずれも載置部材14に向けて照射される第2紫外光22を発生させるためのものである。具体的には、
図1に示すように、各紫外光発生装置15の射出方向(即ち、光軸が位置する方向)と載置部材14の加工対象ウェハ20を載置するための載置面の垂直方向とが所定の夾角をなし、これにより第2紫外光22が載置部材14に向けて照射できるように確保する。選択肢として、複数の紫外光発生装置15は第2紫外光22のチャンバ本体11の周方向における分布の均一性を確保するようにチャンバ本体11の周方向に沿って間隔を置いて均一に配置され、それにより載置部材に照射される第2紫外光22の分布均一性を更に向上させることができる。
【0021】
本発明の好適な実施例では、上記所定角度の値範囲は20°以上且つ70°以下である。該角度範囲内に、第2紫外光22が載置部材14に照射できることが確保され得る。
図1に示すように、好ましくは、上記所定角度は45°である(
図1における角度Aに示される)。
【0022】
本実施例に係る半導体反応チャンバは、上部無線周波数コンポーネント18がチャンバ本体11内に導入されたプロセスガスを電離してプラズマ及び第1紫外光21を発生させる上で、誘電体窓12と載置部材14との間には吸気部材13の周囲を取り囲んでいる複数の紫外光発生装置15が設置され、各紫外光発生装置15はいずれも載置部材14に向けて照射される第2紫外光22を発生させるためのものである。上記第1紫外光21と第2紫外光22を組み合わせて使用することにより、チャンバ本体11の中心領域とエッジ領域との間の紫外光の均一な分布を確保することができ、それによりウェハ20上のフォトレジストマスクの硬化効果の均一性を向上させることができ、更に加工対象ウェハの各箇所でのエッチングレートの均一性及び複数の加工対象ウェハの間のエッチング適合性を向上させることができ、これによりプロセス効果を向上させる。
【0023】
図1に示すように、本発明の好適な実施例では、載置部材14はベース141及びチャック142を備えてもよく、ベース141はチャンバ本体11内に固定され、チャック142はベース141に設置され、且つチャンバ本体11の最上部に設けられた誘電体窓12の下方に対応して設置され、加工対象ウェハ20を載置するためのものである。選択肢として、チャック142は静電チャックを含んでもよい。
【0024】
上部無線周波数コンポーネント18はチャンバ本体11の上方に設置され、チャンバ本体11内に電磁界を発生させてチャンバ本体11内のプロセスガスを励起してプラズマ及び第1紫外光21を形成するように誘電体窓12を通してチャンバ本体11内に無線周波数エネルギーを供給するためのものである。選択肢として、上部無線周波数コンポーネント18はチャンバ本体11内の上方領域に高周波電磁界を発生できるように誘導結合プラズマコイルを備えてもよく、チャンバ本体11内のプロセスガスをより容易に励起してプラズマを形成することに寄与する。
【0025】
下部無線周波数コンポーネント19はチャンバ本体11の外部に設置され、且つ順にチャンバ本体11及びベース141に設置される開口を通ってチャック142の底部に延出してチャック142に電気的に接続され、下部無線周波数コンポーネント19はチャック142に無線周波数バイアスを印加するためのものであり、それによりチャンバ本体11内のプラズマを引き付けてチャック142へ加速移動させてプラズマがチャック142に載置される加工対象ウェハ20に衝撃を加えるようにし、これにより加工対象ウェハ20に対してエッチングプロセスを行い、例えばマスクプロセスを完了した後の加工対象ウェハ20をエッチングすることを実現する。
【0026】
具体的には、
図1及び
図2に示すように、マスクプロセスを完了した後の加工対象ウェハ20をエッチングする過程において、まず該加工対象ウェハ20をチャック142に置き、次に吸気部材13を利用してチャンバ本体11内にプロセスガスを導入し、且つ上部無線周波数コンポーネント18を利用して誘電体窓12を通してチャンバ本体11内に無線周波数エネルギーを供給して、チャンバ本体11内のプロセスガスを励起してプラズマ及び第1紫外光21を形成するとともに、複数の紫外光発生装置15を利用してチャック142に向けて第2紫外光22を照射し、そして、下部無線周波数コンポーネント19を利用してチャック142に無線周波数バイアスを印加し、チャンバ本体11内のプラズマを引き付けてチャック142上の加工対象ウェハ20に衝撃を加える。
【0027】
マスクプロセスを完了した後の加工対象ウェハ20をエッチングする過程において、加工対象ウェハ20に第1紫外光21及び第2紫外光22を同時に照射することができ、このような場合、
図2に示すように、第1紫外光21は加工対象ウェハ20の表面全体(中心領域及びエッジ領域を含む)に照射され得るが、プラズマが主にチャンバ本体11の中心領域に発生するため、第1紫外光21を中心領域から周りへ拡散させ、第1紫外光21を独立して使用して照射すると、チャンバ本体11の中心領域とエッジ領域との間の紫外光の分布が不均一になってしまい、それゆえ、加工対象ウェハ20の中心領域及びエッジ領域に照射される紫外光の数に相違があり、更にウェハ上のフォトレジストマスクの硬化効果が不均一になってしまい、このために、上記第2紫外光22によって加工対象ウェハ20のエッジ領域に照射される紫外光の数を増加させることができ、それにより加工対象ウェハ20の中心領域及びエッジ領域に照射される紫外光の強度の相違を補償することができ、更にウェハ上のフォトレジストマスクの硬化効果の均一性を向上させることができ、更に加工対象ウェハの各箇所でのエッチングレートの均一性及び複数の加工対象ウェハの間のエッチング適合性を向上させることができ、これによりプロセス効果を向上させる。
図2における矢印は第1紫外光21及び第2紫外光22が加工対象ウェハ20に向けて照射される効果を示し、
図2から分かるように、加工対象ウェハ20に第1紫外光21及び第2紫外光22を同時に照射するとき、紫外光を加工対象ウェハ20の表面全体に均一に照射することができる。
【0028】
当然ながら、実際の応用において、実際のニーズに応じて第1紫外光21及び第2紫外光22を同時に照射しなくてもよく、具体的に、第1紫外光21を照射してから第2紫外光22を照射してもよく、又は、第2紫外光22を照射してから第1紫外光21を照射してもよく、これは、第1紫外光21を独立して使用する場合に比べて、同様にウェハ上のフォトレジストマスクの硬化効果の均一性を向上させる効果を実現することができる。
【0029】
なお、各紫外光発生装置15の射出方向(即ち、光軸が位置する方向)を調整して、それと載置部材14の加工対象ウェハ20を載置するための載置面の垂直方向との所定の夾角を変更することにより、第2紫外光22がそれぞれ加工対象ウェハ20の中心領域及びエッジ領域に照射される強度の比率を調節することができ、それにより異なるプロセスニーズを満たす。具体的には、上記所定の夾角を大きくすれば、加工対象ウェハ20の中心領域に照射される紫外光の数を増加させるとともに、加工対象ウェハ20のエッジ領域に照射される紫外光の数を減少させることができ、それとは逆に、上記所定の夾角を小さくすれば、加工対象ウェハ20のエッジ領域に照射される紫外光の強度を増加させるとともに、加工対象ウェハ20の中心領域に照射される紫外光の強度を相対的に減少させることができる。
【0030】
上記エッチングプロセスはマスクパターンをウェハに複製することを実現するように加工対象ウェハ20上のフォトレジストマスクで覆われていない部分のみをエッチングするためのものであり、しかしながら、実際の応用において、プラズマが不可避的にフォトレジストマスクをエッチングして、加工対象ウェハ20上の異なる位置でのフォトレジストマスクの厚さに相違がある恐れがあることとなり、このような相違に起因して加工対象ウェハ20上の異なる位置でのエッチングレートが異なることとなり、それによりエッチングの均一性に影響してしまう。複数の加工対象ウェハ20をエッチングするとき、異なる加工対象ウェハ20上のフォトレジストマスクのエッチングされた位置及び度合いが異なるため、異なる加工対象ウェハ20に形成されたパターンが異なり、それにより複数の加工対象ウェハ20の間のエッチングが不一致であることを引き起こしてしまう。
【0031】
上記問題を解決するために、本実施例では、マスクプロセスを完了した後の加工対象ウェハ20をエッチングする過程において、上部無線周波数コンポーネントを利用してプラズマ及び第1紫外光21を発生させる上で、複数の紫外光発生装置15を利用して加工対象ウェハ20に第2紫外光22を照射することで、加工対象ウェハ20上のフォトレジストマスクの硬化作用を強化することができ、これは、第1紫外光21を独立して使用する場合に比べて、加工対象ウェハ20上のフォトレジストマスクの硬化効果を更に向上させることができ、加工対象ウェハ20上のフォトレジストマスクがプラズマによりエッチングされにくいようにし、それにより加工対象ウェハ20上のフォトレジストマスクで覆われていない部分のみをエッチングすることを実現することができ、更に加工対象ウェハの各箇所でのエッチングレートの均一性及び複数の加工対象ウェハの間のエッチング適合性を向上させ、これによりプロセス効果を向上させる。
【0032】
選択肢として、紫外光発生装置15の数は4~20個であってもよい。
【0033】
好ましくは、紫外光発生装置15の数は8つであってもよい。
【0034】
本発明の好適な実施例では、
図1に示すように、半導体反応チャンバは支持リング16をさらに備えてもよく、該支持リング16はチャンバ本体11と誘電体窓12との間に設置され、支持リング16にはそれ自体を貫通してチャンバ本体11の内部に連通する複数の取付孔が設置され、支持リング16上の取付孔の数が紫外光発生装置15の数と同じであってもよく、且つ各紫外光発生装置15は各取付孔内に対応して設置される。紫外光発生装置15により発生した第2紫外光22は上記取付孔を通過してチャンバ本体11内に照射してウェハの表面に到達することができる。しかしながら、実際の応用において、支持リング16及びそれに設置された取付孔の設置形態はこれに限定されるものではない。
【0035】
チャンバ本体11と誘電体窓12との間に支持リング16を設置することにより、チャンバ本体11、誘電体窓12及び複数の紫外光発生装置15を容易に着脱することができ、それにより複数の紫外光発生装置15を容易に保守及び交換することができる。
【0036】
なお、上記取付孔の軸線と誘電体窓12の下表面とが所定の夾角をなし、該所定の夾角が各紫外光発生装置15の射出方向と誘電体窓12の下表面との間の所定の夾角に等しい。
【0037】
本発明の好適な実施例では、
図3に示すように、紫外光発生装置15はカバー体、発光部材152及び電気接続部材153を備えてもよく、発光部材152はカバー体内に設置され、第2紫外光22を発生させるためのものである。本発明の好適な実施例では、発光部材152は短波紫外光源又は真空紫外光源であってもよい。具体的に、短波紫外光源は短波紫外光を発することとなり、短波紫外光とは波長が100nm~280nmの紫外光を指し、真空紫外光源は真空紫外光を発することとなり、真空紫外光とは波長が100nm~200nmの紫外光を指す。
【0038】
電気接続部材153は発光部材152に電気的に接続され、且つ給電装置の電気エネルギーを発光部材152に伝達するように給電装置(図示せず)に電気的に接続される。選択肢として、電気接続部材153は導電線を含んでもよい。
【0039】
具体的に、上記カバー体は取付部1511及び発光部1512を備え、該取付部1511は上記取付孔内に設置され、発光部1512は取付部1511に接続されて該取付孔からチャンバ本体11内に延出し、且つ発光部1512は透明である。選択肢として、発光部1512の製造材料は透明石英を含んでもよい。
【0040】
給電装置がオンにされる場合、給電装置が供給する電気エネルギーは電気接続部材153を介して発光部材152に伝達され、発光部材152が第2紫外光22を発生させることができるようにし、第2紫外光22はカバー体の発光部1512を通して射出し、即ち発光部1512を貫通してチャンバ本体11内に照射することができる。
【0041】
しかしながら、実際の応用において、紫外光発生装置15は電気接続部材153を介して給電装置に電気的に接続されることにより発光部材152への給電を実現することに限定されるのではなく、該紫外光発生装置15は第2紫外光22を直接発生させることができる装置であってもよく、例えば、紫外光発生装置15はさらにプラズマ発生器又はマイクロ波無電極紫外光装置であってもよく、上部無線周波数コンポーネント18がプロセスガスを励起してプラズマを発生させることに類似して、該プラズマ発生器はガスを励起してプラズマを発生させるための装置であり、且つガスを励起してプラズマを発生させる際にも紫外光を発生させることとなり、該紫外光は同様に上記第2紫外光22として使用され得る。マイクロ波無電極紫外光装置は真空石英管と、高エネルギーのマイクロ波場を発生させることができるマイクロ波源とを備えてもよく、真空石英管内にはフィラメントも電極もなく、発光物質及び希薄な始動ガスが充填されており、マイクロ波無電極紫外光装置はマイクロ波源が発生した高エネルギーのマイクロ波場によって希薄な始動ガスを電離して紫外光を発生させることができ、該紫外光は同様に第2紫外光22として使用され得る。
【0042】
図3に示すように、本発明の好適な実施例では、カバー体は当接部1513をさらに備えてもよく、該当接部1513は上記取付部1511に接続されて取付孔のチャンバ本体11の内部から離れる側に位置し、且つ上記支持リング16に当接される。当接部1513は取付部1511の取付孔における位置を限定するためのものであり、且つ当接部1513は不透明であり、それによりチャンバ本体11外の光が当接部1513を通過してカバー体に入って、更にチャンバ本体11内に照射して、半導体プロセスに干渉することを回避し、これによりプロセス効果を向上させる。
【0043】
選択肢として、発光部1512と当接部1513は同じ材料で製造されてもよく、例えば、両方はいずれも透明石英で製造され、且つ透明な石英を不透明にするように当接部1513に対してつや消しプロセスによる処理を行い、当然ながら、当接部1513の製造材料は不透明材料を含んでもよい。
【0044】
本発明の好適な実施例では、発光部1512はアーチ状カバー体であり、例えば半球状のカバー体であり、このような形状のカバー体は紫外光の散乱に寄与し、それにより第2紫外光22のチャンバ本体11内での照射面積を大きくすることができ、紫外光のチャンバ本体11内での分布均一性をさらに向上させることに寄与する。
【0045】
本発明の好適な実施例では、
図3に示すように、当接部1513と支持リング16との互いに当接される表面の間には上記取付孔を密封するための密封部材17が設置される。該密封部材17は例えば環状の密封リングであってもよい。選択肢として、上記当接部1513の外壁には取付部1511の外周壁に対して突出する環状凸部154が設置され、該環状凸部154のチャンバ本体11の内部に接近する端面は支持リング16の該端面に対向する表面に当接され、上記密封部材17は環状凸部154の端面と支持リング16の該端面に対向する表面との間に設置される。密封部材17によって、チャンバ本体11外のガスがチャンバ本体11に入ってチャンバ本体11内のプロセスガスと混合し、又はチャンバ本体11内のプロセス圧力に影響することを回避することができ、それにより半導体プロセスに干渉することを回避する一方、チャンバ本体11内のガスがチャンバ本体11外に漏れて、環境を汚染し又は潜在的な安全上の問題を引き起こすことを回避することができる。
【0046】
なお、支持リング16の環状凸部154の端面に対向する表面は斜面であり、該斜面は環状凸部154が斜面に当接されるとき、取付部1511の軸線が取付孔の軸線と平行することができるように、上記取付孔の軸線と互いに垂直であり、これにより取付部1511が取付孔にスムーズに挿入できることが確保される。
【0047】
本発明の好適な実施例では、プロセスチャンバは制御ユニット(図示せず)をさらに備えてもよく、該制御ユニットは複数の紫外光発生装置15に給電するための給電装置に電気的に接続され、給電装置をオン/オフにし及び給電装置の給電時間を制御するように該給電装置に制御信号を送信するためのものであり、これにより、半導体プロセスの実際の状況に応じて各紫外光発生装置15の紫外光の照射期間及び照射時間を制御することができ、更に複数の紫外光発生装置15の制御の自動化を実現して制御の柔軟性を向上させることができる。
【0048】
例えば、上部無線周波数コンポーネント18又は下部無線周波数コンポーネント19の動作状況に応じて複数の紫外光発生装置15の紫外光の照射期間及び照射時間を制御することができ、具体的に、例えば、制御ユニットは上部無線周波数コンポーネント18を利用して第1紫外光21を発生させるとき、複数の紫外光発生装置15を制御して第2紫外光22を同期して発生させることができる。さらに例えば、制御ユニットは上部無線周波数コンポーネント18が第1紫外光21を発生させた後又はその前に、複数の紫外光発生装置15を制御して第2紫外光22を発生させてもよい。さらに例えば、制御ユニットはさらに下部無線周波数コンポーネント19がチャック142に無線周波数バイアスを印加するとき、複数の紫外光発生装置15を制御して第2紫外光22を同期して発生させてもよい。
【0049】
選択肢として、制御ユニットから出力された上記制御信号は連続波信号、同期パルス信号及び非同期パルス信号のうちのいずれか1つ又は複数を含む。
【0050】
具体的に、制御ユニットから出力された上記制御信号が連続波信号である場合、制御ユニットは紫外光発生装置15を制御して第2紫外光22を持続的に発生させることができる。
【0051】
制御ユニットから出力された上記制御信号が同期パルス信号である場合、制御ユニットは上部無線周波数コンポーネント18を利用してプラズマ及び第1紫外光21を形成し、及び/又は下部無線周波数コンポーネント19を利用してチャック142に無線周波数バイアスを印加するとき、紫外光発生装置15を制御して第2紫外光22を同期して発生させることができ、即ち同期パルス信号を利用して紫外光発生装置15のオン又はオフと、上部無線周波数コンポーネント18及び/又は下部無線周波数コンポーネント19のオン又はオフとの同期実行を実現し、且つ紫外光発生装置15がオンにされるとき、上部無線周波数コンポーネント18及び/又は下部無線周波数コンポーネント19がオンにされ、紫外光発生装置15がオフにされるとき、上部無線周波数コンポーネント18及び/又は下部無線周波数コンポーネント19がオフにされる。
【0052】
制御ユニットから出力された上記制御信号が非同期パルス制御信号である場合、制御ユニットは上部無線周波数コンポーネント18を利用してプラズマ及び第1紫外光21を形成し、及び/又は下部無線周波数コンポーネント19を利用してチャック142に無線周波数バイアスを印加するとき、紫外光発生装置15を制御して第2紫外光22の発生を同期して停止させることができ、即ち非同期パルス信号を利用して紫外光発生装置15のオン又はオフと、上部無線周波数コンポーネント18及び/又は下部無線周波数コンポーネント19のオフ又はオンとの同期実行を実現し、且つ紫外光発生装置15がオンにされるとき、上部無線周波数コンポーネント18及び/又は下部無線周波数コンポーネント19がオフにされ、紫外光発生装置15がオフにされるとき、上部無線周波数コンポーネント18及び/又は下部無線周波数コンポーネント19がオンにされる。
【0053】
要するに、本発明の実施例に係る半導体反応チャンバは、上部無線周波数コンポーネントがチャンバ本体内に導入されたプロセスガスを電離してプラズマ及び第1紫外光を発生させる上で、誘電体窓と載置部材との間には吸気部材の周囲を取り囲んでいる複数の紫外光発生装置が設置され、各紫外光発生装置はいずれも載置部材に向けて照射される第2紫外光を発生させるためのものである。上記第1紫外光と第2紫外光を組み合わせて使用することにより、チャンバ本体の中心領域とエッジ領域との間の紫外光の均一な分布を確保することができ、それによりウェハ上のフォトレジストマスクの硬化効果の均一性を向上させることができ、更に加工対象ウェハの各箇所でのエッチングレートの均一性及び複数の加工対象ウェハの間のエッチング適合性を向上させることができ、これによりプロセス効果を向上させる。
【0054】
理解されるように、以上の実施形態は単に本発明の原理を説明するために用いた例示的な実施形態であり、本発明を限定するものではない。当業者であれば、本発明の趣旨及び本質から逸脱することなく、種々の変形及び改良を行うことができ、これらの変形及び改良も本発明の保護範囲として見なされる。
【符号の説明】
【0055】
11 チャンバ本体
12 誘電体窓
13 吸気部材
14 載置部材
141 ベース
142 チャック
15 紫外光発生装置
1511 取付部
1512 発光部
1513 当接部
152 発光部材
153 電気接続部材
154 環状凸部
16 支持リング
17 密封部材
18 上部無線周波数コンポーネント
19 下部無線周波数コンポーネント
20 加工対象ウェハ
21 第1紫外光
22 第2紫外光