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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-28
(45)【発行日】2024-06-05
(54)【発明の名称】発光装置及び発光装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/62 20100101AFI20240529BHJP
   H01L 23/48 20060101ALI20240529BHJP
【FI】
H01L33/62
H01L23/48 F
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2020116546
(22)【出願日】2020-07-06
(65)【公開番号】P2022014288
(43)【公開日】2022-01-19
【審査請求日】2023-06-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100138863
【弁理士】
【氏名又は名称】言上 惠一
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 明弘
(72)【発明者】
【氏名】堀川 裕太
【審査官】村井 友和
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-088302(JP,A)
【文献】特開2013-143559(JP,A)
【文献】特開2016-122823(JP,A)
【文献】特開2017-216368(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0079811(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/48-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1A面と、前記第1A面の反対側にある第1B面と、前記第1A面と前記第1B面の間に位置し、少なくとも1つの第1凸部を含む第1C面と、を備える第1リード、前記第1リードと離隔して配置された第2リード、及び前記第1C面を覆い前記第1リードと前記第2リードとを保持する樹脂体、を備える基体と、
前記第1A面上に配置された発光素子と、
前記第1A面の少なくとも一部及び前記第1凸部と前記樹脂体との間の少なくとも一部に連続して配置される保護部材と、
を備え、
断面視において、前記第1凸部は、前記第1A面の前記第2リード側の第1端部より前記第2リード側に延びており、
前記保護部材は、前記発光素子の側面の少なくとも一部を覆い、
前記発光素子の側面を覆う前記保護部材の最大厚さは、前記発光素子から離れた位置で前記第1A面を覆う前記保護部材の平均厚さよりも厚い、発光装置。
【請求項2】
前記発光素子の側面を覆う前記保護部材の最大厚さは、前記発光素子から離れた位置で前記第1A面を覆う前記保護部材の平均厚さの5倍以上50倍以下である、請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
第1A面と、前記第1A面の反対側にある第1B面と、前記第1A面と前記第1B面の間に位置し、少なくとも1つの第1凸部を含む第1C面と、を備える第1リード、前記第1リードと離隔して配置された第2リード、及び前記第1C面を覆い前記第1リードと前記第2リードとを保持する樹脂体、を備える基体と、
前記第1A面上に配置された発光素子と、
前記第1A面の少なくとも一部及び前記第1凸部と前記樹脂体との間の少なくとも一部に連続して配置される保護部材と、
を備え、
断面視において、前記第1凸部は、前記第1A面の前記第2リード側の第1端部より前記第2リード側に延びており、
前記樹脂体は、上面視において前記発光素子を囲む側壁部を備えており、
前記保護部材は、前記発光素子の側面の少なくとも一部及び前記側壁部の内側面の少なくとも一部を覆い、
前記第1A面を覆う前記保護部材は、前記発光素子の側面の少なくとも一部を覆う前記保護部材、及び前記側壁部の内側面の少なくとも一部を覆う前記保護部材と連続している、発光装置。
【請求項4】
前記発光素子の側面を覆う前記保護部材の前記第1A面からの最大高さは、前記側壁部の内側面を覆う前記保護部材の前記第1A面からの最大高さと同じである、請求項3に記載の発光装置。
【請求項5】
第1A面と、前記第1A面の反対側にある第1B面と、前記第1A面と前記第1B面の間に位置し、少なくとも1つの第1凸部を含む第1C面と、を備える第1リード、前記第1リードと離隔して配置された第2リード、及び前記第1C面を覆い前記第1リードと前記第2リードとを保持する樹脂体、を備える基体と、
前記第1A面上に配置された発光素子と、
前記第1A面の少なくとも一部及び前記第1凸部と前記樹脂体との間の少なくとも一部に連続して配置される保護部材と、
を備え、
断面視において、前記第1凸部は、前記第1A面の前記第2リード側の第1端部より前記第2リード側に延びており、
前記第2リードは、第2A面と前記第2A面の反対側にある第2B面と前記第2A面と前記第2B面の間に位置し少なくとも1つの第2凸部を備える第2C面とを有し、
前記保護部材は、前記第2凸部と前記樹脂体との間に配置され、
断面視において、前記第2凸部は、前記第2A面の前記第1リード側の端部より前記第1リード側に延びており、
上面視において、前記発光素子は、前記第1凸部及び前記第2凸部と重なる、発光装置。
【請求項6】
第1A面と、前記第1A面の反対側にある第1B面と、前記第1A面と前記第1B面の間に位置し、少なくとも1つの第1凸部を含む第1C面と、を備える第1リード、前記第1リードと離隔して配置された第2リード、及び前記第1C面を覆い前記第1リードと前記第2リードとを保持する樹脂体、を備える基体と、
前記第1A面上に配置された発光素子と、
前記第1A面の少なくとも一部及び前記第1凸部と前記樹脂体との間の少なくとも一部に連続して配置される保護部材と、
を備え、
断面視において、前記第1凸部は、前記第1A面の前記第2リード側の第1端部より前記第2リード側に延びており、
前記保護部材は、樹脂と粒子とを含み、
断面視において、前記粒子の面積は前記樹脂の面積の0.5倍以上100倍以下である、発光装置。
【請求項7】
前記保護部材は、前記発光素子の側面の少なくとも一部を覆い、
前記発光素子の側面を覆う前記保護部材の最大厚さは、前記発光素子から離れた位置で前記第1A面を覆う前記保護部材の平均厚さよりも厚い、請求項3~6のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項8】
前記樹脂体は、上面視において前記発光素子を囲む側壁部を備えており、
前記保護部材は、前記発光素子の側面の少なくとも一部及び前記側壁部の内側面の少なくとも一部を覆い、
前記第1A面を覆う前記保護部材は、前記発光素子の側面の少なくとも一部を覆う前記保護部材、及び前記側壁部の内側面の少なくとも一部を覆う前記保護部材と連続している、請求項1、2、5~7のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項9】
前記第2リードは、第2A面と前記第2A面の反対側にある第2B面と前記第2A面と前記第2B面の間に位置し少なくとも1つの第2凸部を備える第2C面とを有し、
前記保護部材は、前記第2凸部と前記樹脂体との間に配置され、
断面視において、前記第2凸部は、前記第2A面の前記第1リード側の端部より前記第1リード側に延びている請求項1~4及び6~8のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項10】
上面視において、前記発光素子は、前記第1凸部及び前記第2凸部と重なる、請求項9に記載の発光装置。
【請求項11】
前記保護部材は、樹脂と粒子とを含み、
断面視において、前記粒子の面積は前記樹脂の面積の0.5倍以上100倍以下である、請求項1~5及び7~10のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項12】
断面視において、前記第1凸部は、前記第1B面の前記第2リード側の第2端部より前記第2リード側に延びている、請求項1~11のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項13】
断面視において、前記第1端部は、前記第2端部よりも前記第2リード側に位置する、請求項12に記載の発光装置。
【請求項14】
前記第1凸部において、前記第1端部から前記第1凸部の先端部に至る面は、前記第1A面側に向かって凹状に湾曲した湾曲面を有する、請求項1~13のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項15】
前記樹脂体は、上面視において前記発光素子を囲む側壁部を備えており、
上面視において、前記側壁部に囲まれる前記第1C面の部分の全面に前記第1凸部を備える、請求項1~14のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項16】
前記第1B面は、前記樹脂体から露出する、請求項1~15のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項17】
第1A面と、前記第1A面の反対側にある第1B面と、前記第1A面と前記第1B面の間に位置し、少なくとも1つの第1凸部を備える第1C面と、を有する第1リード、前記第1リードと離隔して配置された第2リード、及び前記第1C面を覆い前記第1リードと前記第2リードとを保持する樹脂体、を備える基体を準備する工程と、
前記第1A面上に発光素子を配置する工程と、
前記第1凸部と前記樹脂体との間に樹脂、粒子及び溶剤を含む溶液を配置させる工程と、
前記溶剤を揮発させる工程と、
を含み、
断面視において、前記第1凸部は、前記第1A面の前記第2リード側の第1端部より前記第2リード側に延びている発光装置の製造方法。
【請求項18】
前記基体を準備する工程では、断面視において、前記第1凸部が、前記第1B面の前記第2リード側の第2端部より前記第2リード側に延びている前記基体を準備する、請求項17に記載の発光装置の製造方法。
【請求項19】
前記基体を準備する工程において、上面視において前記第1凸部が設けられた第1C面の部分を囲むように配置された側壁部を備える前記基体を準備し、
前記溶液を配置する工程において、前記溶液は、前記側壁部の内側に前記発光素子の上面が露出するように配置される、請求項17又は18に記載の発光装置の製造方法。
【請求項20】
前記基体を準備する工程では、上面視において、前記側壁部に囲まれる前記第1C面の部分の全面が前記第1凸部を備える前記基体を準備する、請求項19に記載の発光装置の製造方法。
【請求項21】
前記基体を準備する工程において、前記第2リードが、第2A面と前記第2A面の反対側にある第2B面と前記第2A面と前記第2B面の間に位置し少なくとも1つの第2凸部を備える第2C面とを有し、かつ、前記側壁部が、上面視において前記第2凸部を内側に含むように設けられており、断面視において、前記第2凸部が、前記第2A面の前記第1リード側の端部より前記第1リード側に延びている前記基体を準備し、
前記溶液を配置する工程において、前記第2凸部と前記樹脂体との間に前記溶液を配置させる、請求項19又は20に記載の発光装置の製造方法。
【請求項22】
前記発光素子を配置する工程において、前記発光素子は、上面視において、前記第1凸部及び前記第2凸部と重なるように配置される、請求項21に記載の発光装置の製造方法。
【請求項23】
前記溶液を充填させる工程において、
前記溶液は、粒子を含み、
前記粒子の比重は、前記樹脂の比重よりも大きい、請求項17~22のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光装置及び発光装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LED等の発光素子を用いた発光装置は高い発光効率を容易に得られるため、ディスプレイ等のバックライトおよび照明用灯具を含む多くの機器で用いられている。特許文献1には、正負一対のリード及び該一対のリードを支持する樹脂体を有する基板と、リードの上面に配置される発光素子と、を備える発光装置が開示されている。このような発光装置において、耐湿性の更なる向上が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-125776号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、高い耐湿性を有する発光装置及びその発光装置の製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
本開示の発光装置は、第1A面と、第1A面の反対側にある第1B面と、第1A面と第1B面の間に位置し、少なくとも1つの第1凸部を含む第1C面と、を備える第1リード、第1リードと離隔して配置された第2リード、及び第1C面を覆い第1リードと第2リードとを保持する樹脂体、を備える基体と、第1A面上に配置された発光素子と、第1A面の少なくとも一部及び第1凸部と樹脂体との間に連続して配置される保護部材と、を備え、断面視において、第1凸部は、第1A面の第2リード側の第1端部より第2リード側に延びている。
【0006】
また、本開示の発光装置の製造方法は、第1A面と、第1A面の反対側にある第1B面と、第1A面と第1B面の間に位置し、少なくとも1つの第1凸部を備える第1C面と、を有する第1リード、第1リードと離隔して配置された第2リード、及び第1C面を覆い第1リードと第2リードとを保持する樹脂体、を備える基体を準備する工程と、第1A面上に発光素子を配置する工程と、第1凸部と樹脂体との間に樹脂、粒子及び溶剤を含む溶液を配置させる工程と、溶剤を揮発させる工程と、を含み、断面視において、第1凸部は、第1A面の第2リード側の第1端部より第2リード側に延びている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の発光装置によれば、高い耐湿性を有する発光装置を提供するこができる。
また、本開示の発光装置の製造方法によれば、高い耐湿性を有する発光装置の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態1に係る発光装置の概略上面図である。
図2A図2Aは、図1のII-II線における概略断面図である。
図2B図2Bは、図2Aの一部の拡大図である。
図2C図2Cは、保護部材の配置の一例を示す概略断面図である。
図2D図2Cは、保護部材の配置の一例を示す概略断面図である。
図3図3は、図1のIII-III線における概略断面図である。
図4図4は、図1の発光装置に係る基体の概略上面図である。
図5図5は、図2Aの一部の拡大図である。
図6図6は、実施形態2に係る発光装置の概略上面図である。
図7図7は、図6のVII-VII線における概略断面図である。
図8図8は、図6のVIII-VIII線における概略断面図である。
図9図9は、図6の発光装置に係る基体の概略上面図である。
図10A】実施形態1に係る発光装置の製造工程の一例を示す概略断面図である。
図10B】実施形態1に係る発光装置の製造工程の一例を示す概略断面図である。
図10C】実施形態1に係る発光装置の製造工程の一例を示す概略断面図である。
図10D】実施形態1に係る発光装置の製造工程の一例を示す概略断面図である。
図10E】実施形態1に係る発光装置の製造工程の一例を示す概略断面図である。
図10F】実施形態1に係る発光装置の製造工程の一例を示す概略断面図である。
図10G】実施形態1に係る発光装置の製造工程の一例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明を実施するための形態を、以下に図面を参照しながら説明する。ただし、以下に示す形態は、本発明の技術思想を具体化するための発光装置を例示するものであって、本発明を以下の発光装置に限定するものではない。
【0010】
また、本明細書は、特許請求の範囲に示される部材を、実施形態の部材に特定するものではない。特に、実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定するものではない。また、本明細書では、断面図として切断面のみを示す端面図を用いることがある。尚、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。
【0011】
実施形態1
本実施形態に係る発光装置1は、図1図2Aに示すように、基体2及び発光素子60を備える。
基体2は、図2Aに示すように、第1リード10と、第1リード10と離隔して配置された第2リード20と、第1リード10及び第2リード20を保持する樹脂体5と、を備える。
第1リード10は、第1A面(上面)11と、第1A面11の反対側にある第1B面(下面)12と、第1A面11と第1B面12の間に位置し、少なくとも1つの第1凸部15を含む第1C面(側面)13と、を備える。第1凸部15は、図2Bに示すように、断面視において、第1A面11の第2リード20側の第1端部11aより第2リード20側に延びている。樹脂体5は、第1C面13を覆って第1リード10及び第2リード20を保持している。第1A面11上には、発光素子60が配置されている。
発光装置1はさらに、図2Bに示すように、第1A面11の少なくとも一部及び第1凸部15と樹脂体5との間の少なくとも一部に連続して配置される保護部材50を備える。本明細書において、2つの位置にそれぞれ配置された保護部材50が連続しているとは、一方の位置に配置された保護部材50の少なくとも一部が他方の位置に配置された保護部材50の少なくとも一部と一体化していることをいう。
また、本実施形態に係る発光装置1は、図2Aに示すように、第2リード20の第2A面(上面)21上に配置された保護素子70と、保護素子70を覆う反射部材80と、発光素子60を覆う封止部材95と、を備えている。
なお、図面の理解を容易にするため、図1図2B図2C図2D図5及び図6において、封止部材95は省略している。
以下、各部材について詳細に説明する。
【0012】
1.基体
図2A及び図4に示すように、本実施形態に係る基体2は、底部4と側壁部3とを備える。底部4は、第1リード10と第2リード20と樹脂体5とを含む。
第1リード10の厚さ、すなわち、第1A面11及び第1B面12の間の最大距離は、例えば、50μm以上5mm以下である。第2リード20の厚さ、すなわち、第2A面21及び第2B面22の間の最大距離は、例えば、50μm以上5mm以下である。第1リード10の厚さと第2リード20の厚さとは、同じであることが望ましい。尚、本明細書において、同じとは±5%以内の変動は許容されるものとする。
【0013】
第1リード10は、第1A面11と第1B面12とが略平行な平板状の導電性部材である。本実施形態に係る第1リード10は、上面視形状が長手方向と短手方向とを有する略矩形形状である。第1リード10は、図2A図3及び図4の網掛け部分で示すように、第1A面11上に溝(第1溝)16を有する。図4に示すように、第1溝16は、上面視において、第1リード10の外縁に沿って形成される。本実施形態においては、第1溝16は、第2リードと対向する第1リード10の外縁以外の3つの第1リード10の外縁に沿って略U字形状に形成される。
【0014】
第2リード20は、第2A面21(上面)と、第2A面21の反対側にある第2B面(下面)22と第2A面21と第2B面22の間に位置し、少なくとも1つの第2凸部25を備える第2C面(側面)23と、を備える。第2リード20は、第2A面21と第2B面22とが略平行な平板状の導電性部材である。本実施形態に係る第2リード20は、上面視形状が長手方向と短手方向とを有する略矩形形状であり、上面視における第2リード20の面積は、上面視における第1リード10の面積よりも小さい。第2リード20は、図2A図3及び図4の網掛け部分で示すように示すように、第2A面21上に溝(第2溝)26を有する。図4に示すように、第2溝26は、第2リード20の外縁に沿って形成される。本実施形態においては、第2溝26は、第1リードと対向する第2リード20の外縁以外の3つの第1リード10の外縁に沿って略U字形状に形成される。
【0015】
図2A及び図4に示すように、底部4において、第1リード10と第2リード20は、互いに離隔して配置されている。第1リード10は、第1方向xに延びる中心線に対して線対称であり、第2リード20は、第1方向xに延びる中心線に対して線対称である。第1方向xに延びる第1リード10の中心線と第2リード20の中心線とは、一直線上に位置する。底部4において、第1リード10と第2リード20とは、第1溝16及び第2溝26が、底部4の外周に位置するように配置される。第1リード10と第2リード20とは、少なくとも1つの第1C面13と少なくとも1つの第2C面23とを対向させて配置されている。
【0016】
第1リード10と第2リード20とは、第1リード10と第2リード20との間の領域に設けられた樹脂体5により保持されている。樹脂体5は、母材となる樹脂材料として、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などを用いることができる。熱硬化性樹脂の場合には、例えば、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂などを用いることができる。熱可塑性樹脂の場合には、例えば、ポリフタルアミド樹脂(PPA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、不飽和ポリエステルなどを用いることができる。樹脂体5の母材となる樹脂材料としては、耐熱性および耐光性に優れた熱硬化性樹脂を用いることが好ましい。
【0017】
樹脂体5は、上記の母材となる樹脂材料に、光反射性物質を含有することが好ましい。光反射性物質としては、発光素子からの光を吸収しにくく、且つ、母材となる樹脂材料に対して屈折率差の大きい部材を用いることが好ましい。このような光反射性物質は、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム等である。
【0018】
樹脂体5は、発光装置のコントラストを向上させるために、発光装置の外光(多くの場合、太陽光)に対して光反射率が低い充填剤を含有してもよい。この場合、樹脂体5は、例えば、黒色ないしそれに近似した色である。充填剤としては、アセチレンブラック、活性炭、黒鉛などのカーボンや、酸化鉄、二酸化マンガン、酸化コバルト、酸化モリブデンなどの遷移金属酸化物、もしくは有色有機顔料などを目的に応じて利用することができる。
【0019】
本実施形態では、樹脂体5は、第1リード10と第2リード20との間の領域から、第1リード10の周りと第2リード20の周りとに連続して設けることにより、第1リード10と第2リード20とをより強固に保持している。樹脂体5は、第1リード10の第1C面13及び第2リード20の第2C面23を覆って配置されている。ただし、図2Aに示すように、第1C面13の一部及び第2C面23の一部は、樹脂体5から露出する。第1C面13の一部及び第2C面23の一部は、底部4の側面を構成している。
底部4の上面は、第1リード10の第1A面11と、第2リード20の第2A面21と、樹脂体5の表面と、を含む。底部4の下面は、第1リード10の第1B面12と、第2リード20の第2B面22と、樹脂体5の表面と、を含む。
【0020】
次に、第1凸部15及び第2凸部25について説明する。
図2Aに示すように、第1凸部15及び第2凸部25は、底部4において互いに対向し合う第1C面13及び第2C面23に形成されている。言い換えると、第1凸部15は、第2リード20側に位置する第1C面13に形成されており、第2凸部25は、第1リード10側に位置する第2C面23に形成されている。第1C面13が第1凸部15を有することで、断面視における第1C面13と樹脂体5の隙間の経路を長くすることができる。これにより、隙間を介して発光装置内へ湿気が流入することを抑制することができる。同様に、第2C面23が第2凸部25を有することで、隙間を介して発光装置内へ湿気が流入することを抑制することができる。
【0021】
図2Bに示すように、第1凸部15は、第1A面11の第2リード20側の第1端部11aより第2リード20側に延びている。第1C面13が第1端部11aより第2リード20側に延びる第1凸部15を有することで、後述する溶液を第1C面13と樹脂体5の間の隙間に含浸させて保護部材50を形成する時に、溶液が第1凸部上に留まりやすくなる。これにより、保護部材50が第1B面12に形成されることを抑制することができる。また、本実施形態では、第1凸部15は、第1B面12の第2リード20側の第2端部12aより第2リード20側に延びている。このようにすることで、溶液を第1C面13と樹脂体5の間の隙間に含浸させて保護部材を形成する時に、溶液が第2凸部上に留まりやすくなる。さらに、本実施形態では、第1端部11aは、第2端部12aよりも第2リード20側に位置している。このようにすることで、上面視における第1A面の面積を大きくしやすくなる。これにより、第1A面上に配置された発光素子の上面視における面積も大きくすることができるので、発光装置の出力を向上させやすくなる。本実施形態における第1凸部15は、第2端部12aよりも第2リード20側に位置している。このようにすることで、基体2の底部4の下面における第1リード10から第2リード20までの距離を長くすることができる。これにより、第1リード10の下面及び第2リード20の下面と、配線基板と、を電気的に接続する場合に発光装置が短絡することを抑制しやすくなる。
本実施形態では、第1リード10の第2端部12aと第1端部11aとの第1方向xにおける距離は、例えば、10μm以上1mm以下である。
【0022】
図2Bに示すように、本実施形態に係る第1凸部15は、2つの先端部(第1先端部15b及び第2先端部15c)を有する。
ここで、先端部とは、断面視において、一点、一直線若しくは、一曲線である領域であり、具体的には以下のような領域である
先端部が断面視において一点である場合、先端部は、断面視において、第1凸部15の輪郭線の、第1A面11(又は第1B面12)に対する傾斜が不連続に変化する一点(屈曲点)であると言える。数学的に言えば、断面視において、第1凸部15の輪郭線の微分係数が一点(屈曲点)の前後で不連続に変化することである。
また、先端部が断面視において一点である場合、第1凸部15は角部を有し、先端部は該角部の頂点であると言える。そして、該角部の頂点を直線で切り欠いた場合が、先端部一直線である場合であると言える(いわゆるC面取り)。また、該角部の頂点を曲線で切り欠いた場合が、先端部が一曲線である場合と言える(いわゆるR面取り)。
また、第1先端部15bは、先端部のうち最も第2リード20側に位置する先端部である。本実施形態では、第1先端部15bが第2先端部15cよりも第1A面11側に位置しており、第1先端部15bは、第1B面12より第1A面11側に位置している。
本実施形態では、第1リード10の第2端部12aと第1先端部15bの先端15dとの第1方向xにおける距離は、例えば、10μm以上1mm以下である。第1先端部15bの先端15dとは、断面視において、第1先端部15bのうち最も第2リード20側に近い点を意味する。また、第1リード10の第2端部12aと第2先端部15cの先端15eとの第1方向xにおける距離は、例えば、10μm以上1mm以下である。第2先端部15cの先端15eとは、断面視において、第2先端部15cのうち最も第2リード20側に近い点を意味する。さらに、第2先端部15cの先端15eは、第1B面12から第1リード10の厚さ方向に、例えば10μm以上1mm以下の位置に設けられ、第1端部15bの先端15dは、第1B面12から第1リード10の厚さ方向に、例えば10μm以上1mm以下の位置に設けられる。
【0023】
第1凸部15において、第1端部11aから第1凸部15の第1先端部15bに至る面は、第1B面12に向かって凹状に湾曲した湾曲面15aを有することが望ましい。
このように第1凸部15が湾曲面15aを有することにより、後述する溶液を第1C面13と樹脂体5の間の隙間に含浸させて保護部材を形成する時に、溶液が湾曲面15a上に留まりやすくなる。これにより、保護部材が第1B面12に形成されることを抑制することができる。
【0024】
なお、本実施形態では、第1先端部15bが、第2先端部15cよりも第1A面11側に位置しているが、第2先端部15cが第1先端部15bよりも第1A面11側に位置していてもよい。また、第1凸部15が有する先端部の数は、2つに限定されるものではない。
【0025】
本実施形態では、図2Bに示すように、第1凸部15の断面形状と第2凸部25の断面形状とは、第1リード10及び第2リード20の厚さ方向に延在し、かつ第1リード10の第1端部11aと第2リード20の第1端部21aとの中心に位置する中心線に対して線対称である。すなわち、第2凸部25の断面形状は、第1凸部15を図2Bの左右方向において反転させた形状である。尚、本明細書において線対称とは、±3%以内の形状の変動は許容されるものとする。
【0026】
第2凸部25は、第2A面21の第1リード10側の第1端部21aより第1リード10側に延びている。また、本実施形態では、第2凸部25は、第2B面22の第1リード10側の第2端部22aより第1リード10側に延びている。さらに、本実施形態では、第1端部21aは、第2端部22aよりも第1リード10側に位置している。そのため、本実施形態における第2凸部25は、第2端部22aよりも第1リード10側に位置している。
本実施形態では、第2リード20の第2端部22aと第1端部21aとの第1方向xにおける距離は、例えば、10μm以上1mm以下である。
【0027】
本実施形態に係る第2凸部25は、2つの先端部(第1先端部25b及び第2先端部25c)を有する。第2凸部25の先端部は、上述した第1凸部15の先端部と同様の領域であり、第2凸部25の第1先端部25bは、先端部のうち最も第1リード10側に位置する先端部である。本実施形態では、第1先端部25bが第2先端部25cよりも第2A面21側に位置しており、第1先端部25bは、第2B面22より第2A面21側に位置している。
本実施形態では、第2リード20の第2端部22aと第1先端部25bの先端25dとの第1方向xにおける距離は、例えば、10μm以上1mm以下である。第1先端部25bの先端25dとは、断面視において、第1先端部25bのうち最も第1リード10側に近い点を意味する。また、第2リード20の第2端部22aと第2先端部25cの先端25eとの第1方向xにおける距離は、例えば、10μm以上1mm以下である。第2先端部25cの先端25eとは、断面視において、第2先端部25cのうち最も第1リード10側に近い点を意味する。さらに、第2先端部25cの先端2eは、第2B面22から第2リード20の厚さ方向に、例えば10μm以上1mm以下の位置に設けられ、第1端部25bの先端25dは、第2B面22から第2リード20の厚さ方向に、例えば10μm以上1mm以下の位置に設けられる。
【0028】
第2凸部25において、第1端部21aから第2凸部25の第1先端部25bに至る面は、第2B面22に向かって凹状に湾曲した湾曲面15aを有することが望ましい。
なお、本実施形態では、第1先端部25bが、第2先端部25cよりも第2A面21側に位置しているが、第2先端部25cが第1先端部25bよりも第2A面21側に位置していてもよい。また、第2凸部25が有する先端部の数は、2つに限定されるものではない。
【0029】
上記のような形状の第1凸部15及び第2凸部25は、例えば、第1リード10及び第2リード20の材料となる導電性部材をエッチングにより加工する際、マスクの特性、形状、位置関係などを調整することにより形成することができる。
【0030】
底部4は、上記のような形状である第1リード10と第2リード20とを所望の距離だけ離隔して配置し、例えば、第1リード10と第2リード20との周囲に成形樹脂を充填させ、該成形樹脂を硬化させることにより形成される。このとき、第1リード10と第2リード20とは、例えば、第1リード10の第1端部11aと第2リード20の第1端部21aとを、第1方向xにおいて50μm以上5mm以下だけ離隔して配置される。
このような形成方法に依拠して、図2Bに示すように、樹脂体5と第1C面13との間には、隙間(第1隙間)30が形成される。同様に、樹脂体5と第2C面23との間には、隙間(第2隙間)40が形成される。ここで、第1隙間30及び第2隙間40は、樹脂体5と第1C面13との間、及び樹脂体5と第2C面23との間全てに形成されるものではなく、それらの一部に断続的または連続的に形成されるものである。従って、樹脂体5と第1C面13とは、少なくとも一部が接しており、樹脂体5と第2C面23とは、少なくとも一部が接している。第1隙間30及び第2隙間40の幅は、例えば、1μm以下である。
【0031】
なお、図の理解を容易にし簡略化するため、図2Bに示す第1隙間30及び第2隙間40はそれぞれ、第1凸部15を有する第1C面13と樹脂体5との間、及び第2凸部25を有する第2C面23と樹脂体5との間にほぼ一定の幅に描いている。しかしながら、第1隙間30及び第2隙間40はそれぞれ、第1C面13と樹脂体5との間、及び第2C面23と樹脂体5との間に一定の幅に存在していない隙間を含んでいる。第1隙間30は、例えば、第1C面13と樹脂体5とが一部で接触し、一部が離れて、その離れた部分が連続して繋がっている。また、第2隙間40も同様である。また、第1隙間30は、第1リード10の第1C面13と樹脂体5との間の全面に形成され得、第2隙間40は、第2リード20の第2C面23と樹脂体5との間の全面に形成され得る。
また、図2Bでは、図の理解を容易にするため、第1隙間30及び第2隙間40は、底部4の上面から下面にかけて略一定の幅を有する隙間として図示されている。しかしながら、第1隙間30及び第2隙間40は底部4の上面から下面に連続しているとは限らない。また、図2Bに示す第1隙間30及び第2隙間40の幅は、誇張して描かれている。
【0032】
さらに、樹脂体5は、第1リード10の第1B面12及び第2リード20の第2B面22を露出させて配置されていることが望ましい。このようにすることで、発光装置からの熱が第1リード10及び第2リード20から発光装置を実装した配線基板に伝わりやすくなる。このため、発光装置の放熱性を向上させることができる。さらに、第1リード10の第1B面12及び第2リード20の第2B面22を樹脂体5から露出させることで、第1リード10の下面及び第2リード20の下面のうち配線基板と接合する部分が樹脂体5に覆われることを抑制でき、第1リード10及び第2リード20と配線基板の電極とが十分な強度で接合される。
また、保護部材は第1B面12及び第2B面22から離れて位置することが好ましい。発光装置の第1リード10及び第2リード20と配線基板とは半田等の公知の接合部材によって接合される。半田等の接合部材は、一般的に樹脂材料を含む保護部材よりも熱伝導性が高い。保護部材が第1B面12及び第2B面22から離れていることにより、第1B面12及び第2B面22を直接覆う半田等の接合部材の表面積を大きくすることができる。これにより、発光装置からの熱が第1リード10及び第2リード20から発光装置を実装した配線基板に伝わりやすくなるので発光装置の放熱性が向上する。
【0033】
次に、図2A及び図4を参照して、側壁部3について説明する。
図4に示すように、側壁部3は、底部4の外周に沿って配置されている。側壁部3は、第1リード10の第1溝16及び第2リード20の第2溝26を覆って配置されている。これにより、第1リード10と側壁部3との接触面積、及び第2リード20と側壁部3との接触面積が増え、第1リード10と側壁部3との接合強度、及び第2リード20と側壁部3との接合強度を高めることができる。
【0034】
このように配置された側壁部3は、上面視において、第1リード10の第1A面11の一部と、第2リード20の第2A面21の一部と、第1リード10及び第2リード20の間に配置される樹脂体5の表面の一部と、を囲んでいる。従って、上面視において、側壁部3は、第1リード10の第1C面13のうち、第2リード20の第2C面23と対向する第1C面13の部分の一部17を囲んでいる。そして、該一部17の全面にわたって第1凸部15が形成されていることが望ましい。このようにすることで、該一部17の全面にわたって第1C面13と樹脂体5の隙間の経路を長くすることができる。これにより、隙間を介して発光装置内へ湿気が流入することを抑制することができる。また、上記のように配置された側壁部3は、上面視において、第2リード20の第2C面23のうち、第1リード10の第1C面13と対向する第2C面23の部分の一部27を囲んでいる。そして、該一部27の全面にわたって第2凸部25が形成されていることが望ましい。このようにすることで、該一部17の全面にわたって第2C面23と樹脂体5の隙間の経路を長くすることができる。
【0035】
さらに、本実施形態では、側壁部3は、図2Aに示すように、内側面3aが底部4の上面に対して傾斜しており、側壁部3は、底部4の上面から離れるに従って薄くなっている。側壁部3は、例えば、樹脂体5と同一の材料で形成される。
【0036】
2.保護部材
保護部材50は、第1A面11の少なくとも一部、及び第1凸部15と樹脂体5との間の少なくとも一部に連続して配置されている。第1A面11の少なくとも一部及び第1凸部15と樹脂体5との間の少なくとも一部の具体的な位置は、以下の保護部材50の形成方法から明らかになる。
【0037】
後述するように、第1隙間30に保護部材50を配置する方法は、例えば、保護部材50の材料となる溶液を、第1A面11上に配置し第1隙間30に含浸させる、又は第1A面11側から第1隙間30に配置する工程を有する。
【0038】
第1A面11上に配置し第1隙間30に溶液を含浸させる場合、溶液は第1A面11から第1隙間30に流れ込むので、第1A面11の第1隙間30近傍には、第1隙間30に流れ込んだ溶液と連続する溶液が残留している。上記の第1A面11の少なくとも一部とは、該溶液が残留した領域である。従って、第1A面11の少なくとも一部とは、第1A面11のうち、第1凸部15が設けられた第1C面13と連続する部分を含むと言える。
【0039】
また、第1隙間30に溶液を配置させる場合、第1隙間30の幅が1μm以下の大きさであるため、第1隙間30のみに溶液を配置することは困難であり、第1隙間30から溢れた溶液が、第1A面11の第1隙間30近傍に配置される。上記の第1A面11の少なくとも一部とは、該第1隙間30から溢れた溶液が配置された領域である。従って、第1隙間30に溶液を配置させる場合もまた、第1A面11の少なくとも一部とは、第1A面11のうち、第1凸部15が設けられた第1C面13と連続する部分を含むと言える。
【0040】
一方、第1凸部15と樹脂体5との間に配置される保護部材50は、溶液を第1A面11側から第1隙間30に含浸させる、又は第1A面11側から第1隙間30に配置する、いずれの方法でも、溶液を第1A面11側から第1隙間30へ流れ込ませて形成される。
【0041】
第1隙間30は、第1凸部15に沿って形成されているため、第1隙間30に流れ込んだ溶液は、第1凸部15の形状に応じて、第1隙間30の途中で留まり得る。
具体的には、例えば図2Cに示すように、第1隙間30に流れ込んだ溶液は、第1凸部15の第1先端部15bまたは第1先端部15bの先端15dで留まり、第1先端部15bより第1A面11側に配置される。つまり、第1凸部15の第1先端部15bまたは第1先端部15bの先端15dよりも下側に位置する第1C面113は保護部材50から露出する。
また、例えば図2Dに示すように、第1隙間30に流れ込んだ溶液は、第1凸部15の第1先端部15bまたは第1先端部15bの先端を通過した場合であっても第1凸部15の第2先端部15cまたは第2先端部15cの先端15eで留まり、第2先端部15cより第1A面11側に配置される。
従って、第1凸部15と樹脂体5との間の少なくとも一部とは、第1凸部15の第1先端部15b又は第1先端部15bの先端15dより第1A面11側に位置する領域を含むと言える。
【0042】
なお、第2隙間40は、第2凸部25に沿って形成されているため、第2隙間40に流れ込んだ溶液も、第2凸部25の形状に応じて、第2隙間40の途中で留まり得る。
具体的には、例えば図2Cに示すように、第2隙間40に流れ込んだ溶液は、第2凸部25の第1先端部25bまたは第1先端部25bの先端25dで留まり、第1先端部25bより第1A面11側に配置される。
また、例えば図2Dに示すように、第2隙間40に流れ込んだ溶液は、第2凸部25の第1先端部25bまたは第1先端部25bの先端25dを通過した場合であっても第1凸部15の第2先端部15cまたは第2先端部15cの先端25eで留まり、第2先端部25cより第1A面21側に配置される。
第1隙間30に配置された保護部材50は、第1凸部15及び樹脂体5に接して配置されている。第2隙間40に配置された保護部材50は、第2凸部25及び樹脂体5に接して配置されている。
【0043】
さらに本実施形態では、保護部材50は、側壁部3で囲まれる底部4の上面(第1A面11、第2A面21、及び樹脂体5の表面)と、側壁部3の内側面3aの少なくとも一部と、発光素子60の側面60aの少なくとも一部と、を覆って配置されている。このようにすることで、保護部材50と基体2とが接する面積を大きくすることができるので、保護部材50が基体2から剥がれることを抑制することができる。
さらに、本実施形態では、保護部材50は保護素子70の表面(側面及び/又は上面)を覆って配置されている。保護素子70は、発光素子60から出射された光を吸収し得るので、保護素子70の表面が保護部材50で覆われることにより、保護素子70による光の吸収を抑制することができる。その結果、発光装置1の光取り出し効率を向上させることができる。従って、保護部材50は、保護素子70の側面及び上面を覆って配置されていることが望ましい。
【0044】
なお、添付の図面では、図面の理解を容易にするため、保護部材50は、第1隙間30及び第2隙間40の全体にわたって配置されているが、実際は第1隙間30及び第2隙間40それぞれのうち少なくとも一部に配置されていればよい。また、添付の図面では、図面の理解を容易にするため、保護部材50は、側壁部3で囲まれる底部4の上面の全体にわたって配置されているが、実際は、少なくとも第1A面11の一部に配置されていればよい。ただし、上述したように、第1A面11上に配置された保護部材50の少なくとも一部と、第1隙間30に配置された保護部材50の少なくとも一部とは、連続して配置されている。
【0045】
以上のように、第1隙間30及び第2隙間40に保護部材50が配置されることで、第1隙間30及び第2隙間40から発光装置1内に湿気が流入することを防止できる。
【0046】
なお、上記で説明したように、本実施形態では、第1リード10及び第2リード20に凸部(第1凸部15、第2凸部25)が設けられているが、凸部は第1リード10又は第2リード20のどちらか一方に設けられているだけでもよい。この場合、凸部は、発光素子60が配置される第1リード10に設けられていることが望ましい。これにより、発光素子60により近い第1隙間30に保護部材50を配置することができ、発光装置1の外部からの湿気によって発光装置の信頼性が低下することをより効率的に抑制することができる。
【0047】
保護部材50は、樹脂と粒子とを含む。
粒子は、例えば光反射性粒子であることが望ましい。粒子が光反射性粒子であると、発光素子60から出射された光のうち、底部4の上面に配置された保護部材50に照射された光を、発光装置1の上方(光の取り出し方向)に向けて反射させることができ、光の取り出し効率を高めることができる。
粒子は、例えば酸化チタン、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム等が挙げられる。樹脂は、例えばジメチルシリコーン又はフェニルシリコーン等が挙げられる。
【0048】
粒子の比重は、樹脂の比重よりも大きいことが望ましい。このようにすることで、樹脂中において粒子を沈降させやすくなる。粒子が沈降することにより、粒子をリードと樹脂体との間の隙間に粒子を配置させやすくなる。粒子として酸化チタン等の樹脂よりも水分を通しにくい材料を用いている場合には、リードと樹脂体との間の隙間に粒子が配置されることにより湿気が発光装置内に侵入することを抑制することができる。
【0049】
発光装置1の断面視において、粒子の総面積は、樹脂の総面積の0.5倍以上100倍以下であることが望ましく、更に5倍以上80倍以下であることが望ましい。粒子として酸化チタン等の樹脂よりも水分を通しにくい材料を用いている場合には、粒子の総面積が、樹脂の総面積の0.5倍以上であることにより、湿気が発光装置内に侵入することを抑制することができる。また、粒子の総面積が、樹脂の総面積の5倍以上であることにより、更に湿気が発光装置内に侵入することを抑制することができる。粒子の総面積が、樹脂の総面積の100倍以下であることにより、各粒子を樹脂で覆いやすくなる。これにより、粒子が離れ離れになることを抑制することができる。また、粒子の総面積が、樹脂の総面積の80倍以下であることにより、更に各粒子を樹脂で覆いやすくなる。 さらに、粒子の平均粒径は、例えば、0.01μm以上1μm以下であることが好ましい。粒子の平均粒径が0.01μm以上であることにより、樹脂中において粒子を沈降させやすくなる。粒子の平均粒径が1μm以下であることにより、第1C面13と樹脂体5の間の隙間に粒子を配置しやすくなる。ここで、粒子の平均粒径は、FSSS法(フィッシャーサブシーブサイザー:Fisher Sub-Sieve Sizer)により測定した粒子径の平均値のことである。フィッシャー法により測定される平均粒径は、例えば、Fisher Sub-Sieve Sizer Model95(Fisher Scientific社製)を用いて測定される。
【0050】
図5に示すように、第1A面11上に配置される保護部材50は、第1A面11上から連続して発光素子60の側面60aの少なくとも一部を覆っていてもよい。発光素子60の側面60aの少なくとも一部が保護部材50で覆われることにより、湿気による水分が発光素子60に接することを抑制することができる。これにより、発光素子60の半導体層又は電極が腐食することを抑制することができる。さらに、第1A面11上に配置される保護部材50は、第1A面11上から連続して側壁部3の内側面3aの少なくとも一部を覆っていてもよい。このようにすることで、保護部材50と基体2との密着性が向上するので、保護部材50が基体2から剥がれることを抑制することができる。
【0051】
後述するように樹脂、粒子及び溶剤を含む溶液が第1A面及び発光素子60の側面60aを覆うように配置した後に、溶剤を揮発させることにより、発光素子60の側面60aに沿った領域(第1領域)R1に配置される保護部材50の最大厚さt3が、発光素子60から離れた領域(第2領域)R2で第1A面11を覆う保護部材50の平均厚さt4よりも厚くなる。また、発光素子60の側面60aに沿った領域R1に配置される保護部材50の最大厚さt3は、例えば、発光素子60から離れた領域R2で第1A面11を覆う保護部材50の平均厚さt4の5倍以上50倍以下である。発光素子60の側面60aに沿った領域R1に配置される保護部材50の最大厚さt3が、発光素子60から離れた領域R2で第1A面11を覆う保護部材50の平均厚さt4の5倍以上であることにより湿気が発光素子60に接することを抑制することができる。発光素子60の側面60aに沿った領域R1に配置される保護部材50の最大厚さt3が、発光素子60から離れた領域R2で第1A面11を覆う保護部材50の平均厚さt4の50倍以下であることにより保護部材50から露出する発光素子60の側面の面積を大きくすることができる。これにより、発光素子60の側面からの光を取出しやすくなるので発光装置1の光取り出し効率が向上する。
【0052】
ここで、発光素子60から離れた領域(第2領域)R2とは、保護部材50の厚さが実質的に一定であり表面が平坦な領域である。ここで、保護部材50の厚さが実質的に一定とは、例えば、最大厚さと最小厚さが±10%以内であることをいう。発光素子60の側面60aに沿った領域(第1領域)R1とは、第2領域R2に連続する領域であって、保護部材50が発光素子60の側面60aに沿って這い上がっている領域である。第1領域R1は発光素子60の側面60aから第2領域R2に至る領域とも言える。第1領域R1は、保護部材50の厚さが実質的に一定の厚さから厚くなり始めた位置から発光素子60の側面60aに至る領域とも言える。また、保護部材50の厚さとは、保護部材50の下面50bから上面50aまでの距離である。
【0053】
さらに、ワイヤ90上に配置された保護部材50の最大厚さt5は、第1領域R1に配置される保護部材50の最大厚さt3よりも薄い。また、側壁部3の内側面3a上に配置された保護部材50の最大厚さt6は、第1領域R1に配置される保護部材50の最大厚さt3よりも薄い。
【0054】
後述するように樹脂、粒子及び溶剤を含む溶液を側壁部3の内に配置した後に、溶剤を揮発させて保護部材を形成することにより、第1領域R1に配置される保護部材50の第1A面11からの最大高さh1は、例えば、側壁部3の内側面3aを覆う保護部材50の第1A面11からの最大高さh2と同じになることがある。ここで、本明細書において、最大高さh1と最大高さh2とが同じであるとは、例えば、最大高さh1と最大高さh2とが±10%以内であることをいう。また、保護部材50の第1A面11からの最大高さとは、第1A面11から保護部材50の上面50aまでの最大距離である。
【0055】
3.発光素子
発光素子60は、n型半導体層と、p型半導体層と、n型半導体層及びp型半導体層の間に配置される活性層と、を含む半導体層を有する。本実施形態に用いられる発光素子60は、図2Aに示すように、上面60bを発光面とし、その上面60bに第1電極(例えばn型半導体層と接続されるn側電極)61と第2電極(例えばp側半導体素子層と接続されるp側電極)62とを備えている。発光素子60は、第1リード10の第1A面11上に発光面である上面60bを上にしてフェイスアップ実装される。発光素子60と第1リード10とを接合する接合部材は、絶縁性の接合部材でも導電性の接合部材でもよく、公知の接合部材を用いることができる。発光素子60の第1電極61と第2電極62とはそれぞれ、例えば、ワイヤ90を介して第1リード10と第2リード20とに接続される。
なお、図2Aは、図1のII-II線の概略断面図を示しているため、第2電極62に接続されるワイヤ90は図示されていない。
また、本実施形態に係る発光装置1は、1つの発光素子60を備えているが、2つ以上の発光素子60を備えていてもよい。
【0056】
4.保護素子
図2Aに示すように、保護素子70は、第2リード20の第2A面21上に配置されている。保護素子70は、いわゆるツェナーダイオードである。保護素子70は、例えば、下面に第1電極(例えばp側電極)を有し、上面に第2電極(例えばn側電極)を有している。保護素子70は、例えば、ワイヤ90を介して第1リード10に接続され、半田を介して第2リード20と接続される。
なお、保護素子70の第1電極及び第2電極は、図面上、省略されている。また、図2Aは、図1のII-II線の概略断面図を示しているため、保護素子70の第2電極に接続されるワイヤ90は図示されていない。
【0057】
5.反射部材
図2Aに示すように、反射部材80は、保護素子70を覆って配置されている。これにより、発光素子60から出射された光が保護素子70に吸収されることを抑制できる。
また、本実施形態では、反射部材80は、例えば、側壁部3で囲まれる第2リード20の第2A面21上に配置されている。さらに、反射部材80は、発光素子60を覆わなければ側壁部3に囲まれる樹脂体5の表面上及び/又は第1リード10の第1A面11上に配置されていてもよい。これらの場合、第2A面21、樹脂体5の表面、第1A面11のうち保護部材50が配置されている領域においては、保護部材50上に反射部材80が配置される。
【0058】
本実施形態の発光装置1において、反射部材80は、第2A面21(基体2の上面)からの厚さが、実質的に同じ厚さになるように形成されていても良いが、好ましくは、反射部材80は、側壁部3に近づくにしたがって厚さが厚くなるように形成する。このように、反射部材80を側壁部3に近づくにしたがって厚くなるように形成し、表面が傾斜するようにすると、発光素子60が発光する光を反射部材80の傾斜した表面により上方(光の取り出し方向)に向けて反射させることができ取り出し効率を高くできる。
【0059】
6.封止部材
封止部材95は、発光素子60の側面60a及び上面60bを覆って、側壁部3に囲まれた領域内(以下、側壁部3の内側とも言う)に配置されている。
封止部材95は蛍光体を含有してもよい。このようにすることで、発光装置の色調整が容易になる。封止部材95に含まれる蛍光体は1種類でもよく複数種類でもよい。封止部材95に含有される蛍光体は分散していてもよく、偏在していてもよい。蛍光体には、公知の材料を適用することができる。蛍光体の例は、KSF系蛍光体等のフッ化物系蛍光体、CASN等の窒化物系蛍光体、YAG系蛍光体、βサイアロン蛍光体等である。KSF系蛍光体およびCASNは、青色光を赤色光に変換する波長変換部材の例であり、YAG系蛍光体は、青色光を黄色光に変換する波長変換部材の例である。βサイアロン蛍光体は、青色光を緑色光に変換する波長変換部材の例である。蛍光体は、量子ドット蛍光体であってもよい。蛍光体等の粒子を分散させる母材としては、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、ユリア樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂もしくはフッ素樹脂、または、これらの樹脂の2種以上を含む樹脂を用いることができる。
【0060】
実施形態2
本実施形態に係る発光装置100は、図6図9に示すように、発光素子がフェイスダウン実装されるものである点で実施形態1に係る発光装置1と異なる。また、本実施形態に係る発光装置100における第1リード110及び第2リード120の形状は、実施形態1に係る発光装置1における第1リード10及び第2リード20の形状と異なる。
以下では、実施形態1と異なる点を説明する。
【0061】
図8に示すように、第1リード110は、第1A面(上面)111と、第1A面111の反対側にある第1B面(下面)112と、第1A面111と第1B面112の間に位置し、少なくとも1つの第1凸部115を含む第1C面113と、を備える。第2リード120は、第2A面(上面)121と、第2A面121の反対側にある第2B面(下面)122と、第2A面121と第2B面122の間に位置し、少なくとも1つの第2凸部125を含む第2C面123と、を備える。
【0062】
第1リード110は、図9に示すように、上面視形状が、長手方向に延伸する第1部分110Aと、第1部分110Aの一方の端部に接続し、短手方向に延伸する第2部分110Bとを有する平板である。第2部分110Bの一方の端部は第1部分110Aの端部に接続している。
第2リード120は、図9に示すように、上面視形状が、長手方向に延伸する第1部分120Aと、第1部分120Aの一方の端部に接続し、短手方向に延伸する第2部分120Bとを有する平板である。第2部分120Bは、その一方の端部を第1部分120Aの端部に接続している。
上面視における第1リード110の面積と第2リード120の面積は、略同一である。
【0063】
図9において網掛けで示すように、本実施形態においてもまた、第1リード110には、第1A面111上に、側壁部3との接合強度を高めるための第1溝116が設けられている。第1溝116は、例えば、上面視において第1部分110A及び第2部分110Bに沿って設けられている。同様に、第2リード120には、第2A面121上に、側壁部3との接合強度を高めるための第2溝126が設けられている。第2溝126は、例えば、上面視において第1部分120A及び第2部分120Bに沿って設けられている。
【0064】
図9に示すように、第1リード110と第2リード120とは、離隔して配置されている。短手方向において、第1リード110の第1部分110Aと第2リード120の第1部分120Aとは対向している。長手方向において、第1リード110の第2部分110Bは、第2リード120の第1部分120A及び第1部分120Bと対向している。長手方向において、第2リード110の第2部分120Bは、第1リード110の第1部分110A及び第2部分110Bと対向している。第1リード110と第2リード120とは、第1リード110の第1C面113及び第2リード120の第2C面123を覆って配置された樹脂体5によって保持されている。ただし、図7に示すように、第1C面113の一部及び第2C面123の一部は、樹脂体5から露出している。
【0065】
発光素子160は、図8に示すように、上面を発光面とし、上面と反対側の下面に第1電極(例えばn型半導体層と接続されるn側電極)161と第2電極(例えばp型半導体層と接続されるp側電極)162とが設けられている。発光素子160は、一方の電極(例えば第1電極161)を第1リード110に電気的に接続し、他方の電極(例えば第2電極162)を第2リード120に電気的に接続している。発光素子160は、図6に示すように、上面視において第1リード110と第2リード120と重なるように配置されている。
本実施形態では、2つの発光素子160が配置されているが、発光素子の数はこれに限定されるものではない。
【0066】
このように構成された発光装置100においても、図8に示すように、第1凸部115は、第1C面113のうち、第2リード120の第2C面123に対向する第1C面113に形成されている。さらに、本実施形態では、第1凸部115は、上面視において、側壁部3に囲まれる第1C面113の部分117(図6及び図9参照)に設けられている。また、第2凸部125は、図8に示すように、第2C面123のうち、第1リード110の第1C面113に対向する第2C面123に形成されている。さらに、本実施形態では、第2凸部125は、上面視において、側壁部3に囲まれる第2C面123の部分127(図6及び図9参照)に設けられている。
【0067】
これらの中でも特に、第1凸部115は、上面視において、発光素子160と重なる第1C面113の部分117aに設けられることが望ましく、第2凸部125は、上面視において、発光素子160と重なる第2C面123の部分127aに設けられることが望ましい。これにより、発光素子160の下方に形成された第1隙間130及び第2隙間140に保護部材50を配置することができ、発光装置の外部からの湿気によって発光装置の信頼性が低下することをより効率的に抑制することができる。
【0068】
なお、第1領域R1に配置される保護部材50の最大厚さt3と第2領域R2に配置される保護部材50の平均厚さt4との関係は、実施形態1と同様であるため説明を省略する。また、第1領域R1における保護部材50の第1A面111からの最大高さh1と、側壁部3の内側面3aを覆う保護部材50の第1A面111からの最大高さh2との関係は、実施形態1と同様であるため説明を省略する。
【0069】
製造方法
次に、実施形態に係る発光装置の製造方法について説明する。
実施形態に係る発光装置の製造方法は、
(1)基体を準備する工程と、
(2)第1A面上に発光素子を配置する工程と、
(3)第2A面上に保護素子を配置する工程と、
(4)第1凸部と樹脂体との間に樹脂、粒子及び溶剤を含む溶液を配置させる工程と、
(5)溶剤を揮発させる工程と、
(6)反射部材を配置する工程と、
(7)封止部材を配置する工程と、
を含む。
【0070】
(1)基体を準備する工程
まず、図10Aに示すように、第1リード10と、第2リード20と、樹脂体5と、を含む底部4を形成する。まず、第1リード10と第2リード20とを、第1凸部15が設けられている第1C面13と第2凸部25が設けられている第2C面23とを対向させて互いに所望の距離だけ離隔して配置する。次に、第1リード10と第2リード20との周囲に成形樹脂を充填させ、該成形樹脂を硬化させることにより形成される。硬化した成形樹脂が樹脂体5となる。成形樹脂を硬化させる際に、第1リード10と樹脂体5との間に第1隙間30が形成され、かつ第2リード20と樹脂体5との間に第2隙間40が形成される。
【0071】
次に、図10Bに示すように、底部4の外周に沿って側壁部3を形成する。側壁部3は、第1溝16及び第2溝26を覆って配置される。側壁部3は、図4に示すように、第1リード10の第1C面13のうち、第2リード20の第2C面23と対向する第1C面13の部分の一部17を囲んで配置される。すなわち、側壁部3は、上面視において第1凸部15が設けられた第1C面13の部分を囲むように配置される。これにより、上面視において、第1凸部15が設けられた第1C面13の部分を囲むように配置された側壁部3を備える基体2を準備することができる。上面視において、側壁部3に囲まれる第1C面13の部分の全面が第1凸部15を備えることが好ましい。このようにすることで、発光装置の耐湿性を更に向上させることができる。
また、側壁部3は、図4に示すように、第2リード20の第2C面23のうち、第1リード10の第1C面13と対向する第2C面23の部分の一部27を囲んで配置される。すなわち、側壁部3は、上面視において第2凸部25が設けられた第2C面23の部分を囲むように配置される。また、側壁部3に囲まれる第2C面23の部分の全面が第2凸部25を備えることが好ましい。
側壁部3は、樹脂体5の材料と同一の成型樹脂を用いることができる。側壁部3は、例えば、成型金型を用いて形成される。
なお、側壁部3は、基体2と一体成形してもよい。また、基体2は、既製品を購入してもよい。
【0072】
(2)第1A面上に発光素子を配置する工程
次に、図10Cに示すように、第1リード10の第1A面11上に発光素子60を配置する。発光素子60は、発光面である上面60bを上にしてフェイスアップ実装される。発光素子60は、例えばシリコーン樹脂によって第1A面11に接合される。発光素子60は、第1電極61を、例えばワイヤ90を介して第1リード10に接続させ、第2電極62を、例えばワイヤ90を介して第2リード20に接続させている。なお、第2電極62と第2リード20とを接続するワイヤ90は、図10Cには示されていない。
【0073】
なお、実施形態2のようにフェイスダウン実装される発光素子160を備える発光装置100を製造する場合は、発光素子160を発光面である上面を上にして、第1リード110及び第2リード120に跨がって配置し、発光素子160の下面に設けられた第1電極161と第2電極162をそれぞれ、第1リード110の第1A面111と第2リード120の第2A面121とに、例えば半田やAuSn系合金等の公知の材料で接合することができる。特に、発光素子160は、上面視において第1凸部115及び第2凸部125と重なるように配置されることが望ましい。
【0074】
(3)第2A面上に保護素子を配置する工程
次に、図10Dに示すように、第2リード20の第2A面21上に保護素子70を配置する。保護素子70は、上面に配置された第1電極を、例えばワイヤ90を介して第1リード10に接続させ、下面に配置された第2電極を、例えば半田を介して第2リード20に接続させている。なお、第1電極、第2電極、及び保護素子70と第1リード10とを接続するワイヤ90は、図10Dには示されていない。
【0075】
(4)第1凸部と樹脂体との間に樹脂、粒子及び溶剤を含む溶液を配置させる工程
次に、図10Eに示すように、側壁部3の内側に発光素子60の上面60bが露出するように溶液55を配置する。
溶液55は、樹脂と、溶剤と、粒子と、を含む。粒子の比重は、樹脂の比重よりも大きいことが望ましい。粒子の比重が樹脂の比重よりも大きいと、粒子が樹脂よりも沈殿しやすく、粒子が第1隙間30及び第2隙間40に充填されやすくなる。樹脂は、例えばジメチルシリコーン又はフェニルシリコーンである。溶剤は、揮発性溶剤であり、例えばトリデカンである。一般的に、溶剤は硬化前の樹脂よりも粘度が低い。このため、溶液55が溶剤を含むことで溶液55の粘度を低くすることができる。これにより、第1隙間30及び第2隙間40に溶液を充填させやすくなる。溶液55における溶剤の量を樹脂の量よりも大きくしてもよい。このようにすることで、溶液55の粘度を低くしやすくなる。また、溶液55における溶剤の量を樹脂の量よりも小さくしてもよい。このようにすることで、揮発する溶剤の量が減るので保護部材50の形状がばらつくことを抑制できる。粒子は、例えば光反射性粒子であり、例えば酸化チタンである。
【0076】
溶液55は、例えば、塗布によって側壁部3の内側に配置される。このとき、溶液55を、例えば側壁部3の内側面3aにあてて側壁部3の内側に配置することで、配置される溶液55の形状のバラつきを抑制することができる。
【0077】
このように側壁部3の内側に配置された溶液55は、第1凸部15と樹脂体5との間の第1隙間30に含浸する。このとき、溶液55は、第2凸部25と樹脂体5との間の第2隙間40にも含浸する。
溶液55を含浸させて第1隙間30及び第2隙間40に配置すると、溶液55は、第1隙間30及び第2隙間40の途中で留まり得る。特に、第1凸部15及び第2凸部25が、断面視形状において屈曲部を有する形状である場合、溶液55は、該屈曲部まで含浸し、該屈曲部で留まり得る。つまり、溶液55は、第1凸部15の第1先端部15b(又は第2先端部15c)及び第2凸部25の第1先端部25b(又は第2先端部25c)まで含浸し、第1先端部15b(又は第2先端部15c)及び第1先端部25b(又は第2先端部25c)で留まり得る。従って、このように、溶液55を第1隙間30及び第2隙間40に含浸させることで、第1B面12及び第2B面22が溶液55に覆われることを防止できる。
【0078】
なお、溶液55は、第1隙間30及び第2隙間40の全体に含浸していてもよいが、第1B面12及び第2B面22は溶液55で覆わないことが望ましい。
また、溶液55は、含浸により第1隙間30及び第2隙間40に配置する以外に、例えばスポイト等を用いて、第1隙間30及び第2隙間40に直接配置してもよい。
【0079】
(5)溶剤を揮発させる工程と、
次に、側壁部3の内側に配置した溶液55から溶剤を揮発させる。溶剤を揮発させる方法は、例えば50℃以上70℃以下の範囲の環境下で30分から250分程度保管したり、常温(約25℃)の環境下で48時間以上保管したりすることが挙げられる。溶剤が揮発させられると、図10Fに示すように、樹脂及び粒子が、溶液55が配置されていた部分に残留し、保護部材50として配置される。具体的には、保護部材50は、第1A面11の少なくとも一部及び第1凸部15と樹脂体5との間(第1隙間30)の少なくとも一部に連続して配置される。また、保護部材50は、発光素子60の側面60a、及び側壁部3の内側面3aを覆って配置され得る。
【0080】
上述したように、粒子の比重が樹脂の比重よりも大きいと、粒子が第1隙間30及び第2隙間40に充填されやすいため、溶剤が揮発されて形成される保護部材50によって、第1隙間30及び第2隙間40が塞がれる。
また、上述したように、第1B面12及び第2B面22が溶液55に覆われていないと、保護部材50が第1B面12及び第2B面22に形成されない。これにより、配線基板と接続するための第1B面12及び第2B面の面積を十分に確保することができる。
【0081】
(6)反射部材を配置する工程
次に、図10Gに示すように、基体2の底部4の上面であって、側壁部3の内側に反射部材80を配置する。本実施形態では、反射部材80は、側壁部3で囲まれる第2リード20の第2A面21上であって、保護素子70を覆って配置される。なお、第2A面21上に保護部材50が形成されている場合、反射部材80は、該保護部材50も覆って形成される。
【0082】
反射部材80は、例えば母材となる樹脂材料に、光反射性物質を含有した材料が挙げられる。反射部材80は、例えば、塗布によって配置される。反射部材80は、側壁部3に近づくにしたがって厚さが厚くなるように形成されることが望ましい。
【0083】
(7)被覆部材を配置する工程
次に、発光素子60の側面60a及び上面60bを覆って、側壁部3の内側に被覆部材70を配置する。
以上のようにして実施形態1に係る発光装置1が得られる。
【0084】
以上、本開示の実施形態を説明したが、開示内容は構成の細部において変化してもよく、実施形態における要素の組合せや順序の変化等は請求された本開示の範囲および思想を逸脱することなく実現し得るものである。
【符号の説明】
【0085】
1、100 発光装置
2 基体
3 側壁部
3a 内側面
4 底部
5 樹脂体
10、110 第1リード
11、111 第1A面
11a 第1端部
12、112 第1B面
12a 第2端部
13、113 第1C面
15、115 第1凸部
15a 湾曲面
15b 第1先端部
15c 第2先端部
15d、15e 先端
16、116 第1溝
20、120 第2リード
21、121 第2A面
21a 第1端部
22、122 第2B面
22a 第2端部
23、123 第2C面
25、125 第2凸部
25a 湾曲面
25b 第1先端部
25c 第2先端部
25d、25e 先端
26、126 第2溝
30、130 第1隙間
40、140 第2隙間
50 保護部材
60 発光素子
60a
60b
70 保護素子
80 反射部材
90 ワイヤ
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図10F
図10G