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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-28
(45)【発行日】2024-06-05
(54)【発明の名称】現像装置、及び、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20240529BHJP
   G03G 21/18 20060101ALI20240529BHJP
   F16C 13/00 20060101ALI20240529BHJP
【FI】
G03G15/08 390Z
G03G21/18 114
F16C13/00 Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020089047
(22)【出願日】2020-05-21
(65)【公開番号】P2021184024
(43)【公開日】2021-12-02
【審査請求日】2023-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100117215
【弁理士】
【氏名又は名称】北島 有二
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 啓
(72)【発明者】
【氏名】大山 邦啓
(72)【発明者】
【氏名】松本 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】川島 直大
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-019239(JP,A)
【文献】特開平07-092885(JP,A)
【文献】実開昭63-014265(JP,U)
【文献】特開2010-242855(JP,A)
【文献】実開平04-075352(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/08
G03G 21/18
F16C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体の表面に形成される潜像を現像する現像装置であって、
回転軸を具備した回転部材と、
前記回転軸を支持する軸受と、
前記軸受を保持する保持部材と、
を備え、
前記軸受と前記保持部材とのうちいずれか一方に、前記保持部材に対して前記軸受が軸方向一端側に脱落しないように規制する第1規制部が設けられ、
前記保持部材に前記軸受が装着された後に、前記保持部材に対して前記軸受が軸方向他端側に脱落しないように規制する第2規制部が設けられ、
前記第1規制部は、前記軸受において他の部分に比べて大きな外径で形成されたツバ部であって、
前記第2規制部は、前記ツバ部に対して径方向外側から前記ツバ部の一部を覆うようにカシメられた部分であることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記像担持体に対向する前記回転部材としての現像剤担持体を備え、
前記保持部材は、前記像担持体と前記現像剤担持体との対向距離を定める面板であることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記第2規制部は、前記保持部材に前記軸受が装着されるときには前記軸受に接触せずに、前記保持部材に前記軸受が装着された後に前記軸受に接触可能に変形されるように、前記保持部材に形成されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記第2規制部は、前記軸受の周囲に間隔をあけて分割して複数配置されたことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかに記載の現像装置。
【請求項5】
複数の前記第2規制部は、略等間隔に配置されたことを特徴とする請求項4に記載の現像装置。
【請求項6】
複数の前記第2規制部は、前記軸受の周囲に対してすべての隙間を除いて占める割合が50%以上となるように配置されたことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の現像装置。
【請求項7】
前記回転軸の端面に接触するとともに、前記軸受の端面に接触する電極を備えたことを特徴とする請求項1~請求項6のいずれかに記載の現像装置。
【請求項8】
前記軸受は、玉軸受であることを特徴とする請求項1~請求項7のいずれかに記載の現像装置。
【請求項9】
請求項1~請求項8のいずれかに記載の現像装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
回転軸を具備した現像ローラと、前記回転軸を支持する軸受と、前記軸受を保持する保持部材と、を具備して、像担持体の表面に形成される潜像を現像する現像装置を備え、
前記軸受と前記保持部材とのうちいずれか一方に、前記保持部材に対して前記軸受が軸方向一端側に脱落しないように規制する第1規制部が設けられ、
前記保持部材に前記軸受が装着された後に、前記保持部材に対して前記軸受が軸方向他端側に脱落しないように規制する第2規制部が設けられ、
前記第1規制部は、前記軸受の端面に接触して、前記軸受を介して前記現像ローラに現像バイアスを印加するための電極であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
前記電極は、前記回転軸の端面にも接触するように分岐して形成されて、前記現像ローラに対して直接的にも現像バイアスを印加できるように形成されたことを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、感光体ドラム等の像担持体の表面に形成される潜像を現像する現像装置と、それを備えた画像形成装置と、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機、プリンタ等の画像形成装置に設置される現像装置において、感光体ドラム(像担持体)と現像ローラ(回転部材)とのギャップを定めるための面板(保持部材)に、現像ローラの回転軸を支持する軸受を設置する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の技術は、現像装置に対して保持部材を着脱するときに、保持部材から軸受が脱落してしまう不具合が生じてしまっていた。そのため、軸受が破損する不具合や、現像装置の組立て性が低下しまう不具合などが生じてしまっていた。
【0004】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、現像装置に対して保持部材を着脱するときに、保持部材から軸受が脱落してしまう不具合が生じにくい、現像装置、及び、画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明における現像装置は、像担持体の表面に形成される潜像を現像する現像装置であって、回転軸を具備した回転部材と、前記回転軸を支持する軸受と、前記軸受を保持する保持部材と、を備え、前記軸受と前記保持部材とのうちいずれか一方に、前記保持部材に対して前記軸受が軸方向一端側に脱落しないように規制する第1規制部が設けられ、前記保持部材に前記軸受が装着された後に、前記保持部材に対して前記軸受が軸方向他端側に脱落しないように規制する第2規制部が設けられ、前記第1規制部は、前記軸受において他の部分に比べて大きな外径で形成されたツバ部であって、前記第2規制部は、前記ツバ部に対して径方向外側から前記ツバ部の一部を覆うようにカシメられた部分である
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、現像装置に対して保持部材を着脱するときに、保持部材から軸受が脱落してしまう不具合が生じにくい、現像装置、及び、画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】この発明の実施の形態における画像形成装置を示す全体構成図である。
図2】作像部を示す断面図である。
図3】現像装置と感光体ドラムとを長手方向に示す図である。
図4】現像装置における軸受の近傍を示す断面図であって、(A)第2規制部が変形される前の状態を示す図と、(B)第2規制部が変形された後の状態を示す図と、である。
図5】軸受に対する複数の第2規制部の周方向の位置関係を示す図である。
図6】電極が設置された状態の現像装置の要部を示す図である。
図7】変形例としての現像装置における軸受の近傍を示す断面図であって、(A)第2規制部が変形される前の状態を示す図と、(B)第2規制部が変形された後の状態を示す図と、である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0009】
まず、図1にて、画像形成装置1における全体の構成・動作について説明する。
本実施の形態における画像形成装置1は、複数のプロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKが中間転写ベルト40に対向するように並設されたタンデム型のカラー画像形成装置である。また、複数のプロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKの感光体ドラム21に対向するように現像装置26(図2参照)が設置されている。
【0010】
図1において、1は画像形成装置としてのカラー複写機の装置本体、2は原稿を原稿読込部3に搬送する原稿搬送部、3は原稿の画像情報を読み込む原稿読込部、4は入力画像情報に基づいたレーザ光を発する書込み部(露光部)、を示す。
また、20Y、20M、20C、20BKは各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応したプロセスカートリッジ、40は複数色のトナー像が重ねて転写される中間転写ベルト、を示す。
また、61は用紙等のシートPが収納される給紙装置、65は中間転写ベルト40上に形成されたトナー像をシートPに転写する2次転写ローラ、66はシートP上の未定着画像を定着する定着装置、70は複数のプロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKに対応した各現像装置26に各色のトナーを補給するためのトナー容器、を示す。
【0011】
ここで、図2をも参照して、各プロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKは、それぞれ、像担持体としての感光体ドラム21、帯電装置22、クリーニング装置23、が一体化されたものである。そして、各プロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKは、寿命に達したときに画像形成装置本体1に対して交換される。
また、各現像装置26は、各プロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKの感光体ドラム21にそれぞれ対向するように設置されている。そして、現像装置26は、寿命に達したときに画像形成装置本体1に対して交換される。なお、画像形成装置本体1に対する現像装置26の着脱操作と、画像形成装置本体1に対するプロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKの着脱操作と、はそれぞれ別々に独立しておこなうことができる。
各プロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKにおける感光体ドラム21(像担持体)上では、それぞれ、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)のトナー像が形成される。
【0012】
以下、画像形成装置における、通常のカラー画像形成時の動作について説明する。
まず、原稿は、原稿搬送部2の搬送ローラによって、原稿台から搬送されて、原稿読込部3のコンタクトガラス上に載置される。そして、原稿読込部3で、コンタクトガラス上に載置された原稿の画像情報が光学的に読み取られる。
そして、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の画像情報は、書込み部4に送信される。そして、書込み部4からは、各色の画像情報に基づいたレーザ光(露光光)が、それぞれ、対応するプロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKの感光体ドラム21(図2参照)の表面に向けて照射される。
【0013】
一方、4つの感光体ドラム21は、それぞれ、図1図2の時計方向に回転している。そして、まず、感光体ドラム21の表面は、帯電装置22(帯電ローラ)との対向位置で、一様に帯電される(帯電工程である。)。こうして、感光体ドラム21上には、帯電電位が形成される。その後、帯電された感光体ドラム21の表面は、それぞれの書込み部4によるレーザ光の照射位置に達して、その位置で画像情報に基づいた静電潜像が形成される(露光工程である。)。
【0014】
イエロー成分に対応したレーザ光は、紙面左側から1番目のプロセスカートリッジ20Yの感光体ドラム21の表面に照射される。このとき、イエロー成分のレーザ光は、高速回転するポリゴンミラーにより、感光体ドラム21の回転軸方向(主走査方向)に走査される。こうして、帯電装置22にて帯電された後の感光体ドラム21上には、イエロー成分に対応した静電潜像が形成される。
同様に、シアン成分のレーザ光は、紙面左から2番目のプロセスカートリッジ20Cの感光体ドラム21の表面に照射されて、シアン成分の静電潜像が形成される。マゼンタ成分に対応したレーザ光は、紙面左から3番目のプロセスカートリッジ20Mの感光体ドラム21の表面に照射されて、マゼンタ成分に対応した静電潜像が形成される。ブラック成分のレーザ光は、紙面左から4番目のプロセスカートリッジ20BKの感光体ドラム21の表面に照射されて、ブラック成分の静電潜像が形成される。
【0015】
その後、各色の静電潜像が形成された感光体ドラム21の表面は、それぞれ、現像装置26との対向位置に達する。そして、各現像装置26から感光体ドラム21上に各色のトナーが供給されて、感光体ドラム21上の潜像が現像される(現像工程である。)。
その後、現像工程後の感光体ドラム21の表面は、それぞれ、中間転写ベルト40との対向位置に達する。ここで、それぞれの対向位置には、中間転写ベルト40の内周面に当接するように1次転写ローラ24が設置されている。そして、1次転写ローラ24の位置で、中間転写ベルト40上に、感光体ドラム21上に形成された各色のトナー像が、順次重ねて転写される(1次転写工程である。)。
【0016】
そして、1次転写工程後の感光体ドラム21の表面は、それぞれ、クリーニング装置23との対向位置に達する。そして、クリーニング装置23で、感光体ドラム21上に残存する未転写トナーが回収される(クリーニング工程である。)。
その後、感光体ドラム21の表面は、除電装置の位置で残留電位が除電されて、感光体ドラム21における一連の作像プロセスが終了する。
【0017】
他方、感光体ドラム21上の各色の画像が重ねて転写された中間転写ベルト40の表面は、図中の矢印方向に走行して、2次転写ローラ65の位置に達する。そして、2次転写ローラ65の位置で、シートP上に中間転写ベルト40上のフルカラーの画像が2次転写される(2次転写工程である。)。
その後、中間転写ベルト40の表面は、中間転写ベルトクリーニング装置の位置に達する。そして、中間転写ベルト40上の未転写トナーが中間転写ベルトクリーニング装置に回収されて、中間転写ベルト40上の一連の転写プロセスが完了する。
【0018】
ここで、2次転写ローラ65の位置に搬送されるシートPは、給紙装置61からレジストローラ64等を経由して搬送されるものである。
詳しくは、シートPを収納する給紙装置61から、給紙ローラ62により給送されたシートPが、搬送路を通過した後に、レジストローラ64の位置に導かれる。レジストローラ64の位置に達したシートPは、中間転写ベルト40上のトナー像とタイミングを合わせて、2次転写ローラ65の位置に向けて搬送される。
【0019】
その後、フルカラー画像が転写されたシートPは、定着装置20の位置に導かれる。そして、定着装置20において、定着ローラと加圧ローラとのニップにて、カラー画像がシートP上に定着される。
そして、定着工程後のシートPは、排紙ローラ69によって装置本体1外に出力画像として排出された後に、排紙トレイ5上にスタックされて、一連の画像形成プロセスが完了する。
【0020】
次に、図2及び図3にて、画像形成装置の作像部について詳述する。
なお、装置本体1に設置される4つの作像部は、作像プロセスに用いられるトナーの色が異なる以外はほぼ同一構造であるので、プロセスカートリッジや現像装置などの構成部材における符号のアルファベット(Y、M、C、BK)を除して図示する。
【0021】
図2に示すように、プロセスカートリッジ20は、主として、像担持体としての感光体ドラム21と、帯電装置22と、クリーニング装置23と、がケースに一体的に収納されている。
感光体ドラム21は、負帯電性の有機感光体であって、ドラム状導電性支持体上に感光層等を設けたものである。
帯電装置22は、導電性芯金の外周に中抵抗の弾性層を被覆してなる帯電ローラである。そして、この帯電装置22(帯電ローラ)に電源部から所定の電圧が印加されて、これにより対向する感光体ドラム21の表面を一様に帯電する。
クリーニング装置23には、感光体ドラム21に当接するクリーニングブレード25a及びクリーニングローラ25bが設置されている。クリーニングブレード25aは、ウレタンゴム等のゴム材料からなり、感光体ドラム21表面に所定角度かつ所定圧力で当接している。クリーニングローラ25bは、芯金上にブラシ毛が周設されたブラシローラである。
【0022】
図2図3に示すように、現像装置26は、主として、現像剤担持体としての現像ローラ26a(回転部材)、現像ローラ26aに対向する第1搬送スクリュ26b1(第1搬送部材)、仕切部材26eを介して第1搬送スクリュ26b1に対向する第2搬送スクリュ26b2(第2搬送部材)、現像ローラ26aに対向して現像ローラ26a上に担持された現像剤の量を規制するドクターブレード26c(現像剤規制部材)、等で構成される。
【0023】
現像装置26内には、キャリアとトナーとからなる現像剤(2成分現像剤)が収容されている。
現像ローラ26aは、感光体ドラム21に対して微小な現像ギャップG(対向距離)をあけて対向して現像領域を形成するように構成されている。現像ローラ26aは、図3に示すように、内部に非回転で固設されてローラ外周面上に複数の極(磁極)を形成するマグネット26a1と、マグネット26a1の周囲を回転するスリーブ26a2と、で構成される。
なお、現像ローラ26aと感光体ドラム21との現像ギャップG(対向距離)は、長手方向両端部(軸方向両端部)でそれぞれ現像ローラ26aと感光体ドラム21との軸中心間距離を定める2つの面板28、29(図3参照)によって精度良く設定されている。
【0024】
搬送スクリュ26b1、26b2は、現像装置26の内部に収容された現像剤を長手方向に搬送して循環経路(図3にて破線矢印で示す循環経路である。)を形成する。すなわち、第1搬送スクリュ26b1による第1搬送経路B1と、第2搬送スクリュ26b2による第2搬送経路B2と、による現像剤の循環経路が形成されている。
第1搬送経路B1と第2搬送経路B2とは仕切部材26e(壁部)によって隔絶されていて、2つの搬送経路B1、B2の長手方向両端部は互いに連通口26f、26gを介して連通している。具体的に、図3を参照して、第1搬送経路B1の搬送方向上流側の端部と、第2搬送経路B2の搬送方向下流側の端部と、が第1連通口26fを介して連通している。また、第1搬送経路B1の搬送方向下流側の端部と、第2搬送経路B2の搬送方向上流側の端部と、が第2連通口26gを介して連通している。すなわち、仕切部材26eは、長手方向両端部を除く位置に配設されている。
第1搬送スクリュ26b1(第1搬送経路B1)は現像ローラ26aに対向するように配設され、第2搬送スクリュ26b2(第2搬送経路B2)は仕切部材26eを介して第1搬送スクリュ26b1(第1搬送経路B1)に対向するように配設されている。第1搬送スクリュ26b1は、現像剤を長手方向(図3の左右方向であって、軸方向である。)に搬送しながら、現像ローラ26aに向けて現像剤を供給するとともに、現像ローラ26aから離脱した現像工程後の現像剤を回収する。第2搬送スクリュ26b2は、第1搬送経路B1から搬送された現像工程後の現像剤と、補給口26dから補給されたフレッシュなトナーと、を長手方向に搬送しながら撹拌・混合する。
本実施の形態において、2つの搬送スクリュ26b1、26b2は、水平方向に並設されている。2つの搬送スクリュ26b1、26b2は、いずれも、軸部にスクリュ部が巻装されたものである。
【0025】
先に述べた作像プロセスを、現像工程を中心にしてさらに詳しく説明する。
回転部材としての現像ローラ26a(現像剤担持体)は、図2中の矢印方向に回転している。現像装置26内の現像剤は、図3に示すように、間に仕切部材26eを介在するように配設された第1搬送スクリュ26b1及び第2搬送スクリュ26b2の矢印方向の回転によって、トナー容器70からトナー補給経路を経て補給口26dから補給されたトナーとともに撹拌混合されながら長手方向に循環する(図3中の破線矢印方向の循環である。)。
そして、摩擦帯電してキャリアに吸着したトナーは、現像ローラ26a上に形成された剤汲上げ極によって、キャリアとともに現像ローラ26a上に汲み上げられる。現像ローラ26a上に担持された現像剤は、図2中の矢印方向に搬送されて、ドクターブレード26cとの対向位置に達する。そして、現像ローラ26a上の現像剤は、この位置で現像剤量が適量化された後に、感光体ドラム21との対向位置(現像領域である。)まで搬送される。そして、現像領域に形成された電界によって、感光体ドラム21上に形成された潜像にトナーが吸着される。その後、現像ローラ26a上に残った現像剤はスリーブの回転にともない第1搬送経路B1の上方に達して、この位置で現像ローラ26aから離脱される。ここで、現像領域における電界は、現像用の電源によって現像ローラ26aに印加される所定の電圧(現像バイアス)と、帯電工程と露光工程とによって感光体ドラム21の表面に形成される表面電位(潜像電位)と、によって形成されるものである。
【0026】
なお、トナー容器70内のトナーは、現像装置26内のトナーの消費にともない、補給口26dから現像装置26内に適宜に補給されるものである。現像装置26内のトナーの消費は、現像装置26内の現像剤のトナー濃度(現像剤中のトナーの割合である。)を磁気的に検知するトナー濃度センサによって検知される。
また、補給口26dは、第2搬送スクリュ26b2の長手方向(図3の左右方向である。)の一端であって、第2搬送スクリュ26b2(第2搬送経路B2)の上方に設けられている。
【0027】
以下、本実施の形態において特徴的な、現像装置26の構成・動作について詳しく説明する。
先に図2図3等を用いて説明したように、感光体ドラム21(像担持体)の表面に形成される潜像を現像する現像装置26には、感光体ドラム21に対向する現像剤担持体としての現像ローラ26aが設置されている。
この現像ローラ26aは、回転軸26a20を具備した回転部材である。詳しくは、図3に示すように、現像ローラ26aは、回転軸26a20が長手方向一端側に形成されたスリーブ26a2と、スリーブ26a2の内部に保持されたマグネット26a1と、で構成されている。現像装置26において、スリーブ26a2は軸受26mを介して回転可能に支持され、マグネット26a1は非回転で支持されている。
【0028】
ここで、軸受26mは、図4図5に示すように、玉軸受であって、現像ローラ26a(スリーブ26a2)の回転軸26a20を回転可能に支持している。
特に、この軸受26m(玉軸受)は、導電性金属材料からなる内輪と外輪との間に複数のボールが転動可能に設置されている。さらに、内輪と外輪との間には、導電性グリースが充填され、導電性グリースの漏出を防止するためのシール材が両端面に設置されている。このように構成された軸受26mは、不図示の駆動機構によって回転軸26a20が回転駆動されると、回転軸26a20とともに軸受26mの内輪がボールの転動により回転することになる。このとき、外輪は、非回転であるが、導電性グリースやボールにより内輪と電気的に接続されていることになる。
【0029】
また、先に図3を用いて説明したように、現像装置26には、感光体ドラム21(像担持体)と現像ローラ26a(現像剤担持体)との対向距離としての現像ギャップGを定める2つの面板28、29(位置決め部材)が着脱可能に設けられている。
詳しくは、面板28、29には、それぞれ、感光体ドラム21の軸部と、現像ローラ26aの軸部(図3の左方の面板29の場合は回転軸26a20である。)と、を支持する2つの穴部が高い位置精度で形成されている。これにより、感光体ドラム21と現像ローラ26aとの軸間距離が定まり、感光体ドラム21と現像ローラ26aとの現像ギャップGが狙いの値に高精度に設定される。
また、面板28、29は、いずれも、図3の左右方向を着脱方向として、現像ローラ26a(現像装置26)や感光体ドラム21(プロセスカートリッジ20)に対して着脱可能に構成されている。そして、現像装置26やプロセスカートリッジ20の交換やメンテナンスなどをおこなうときに、面板28、29の着脱がおこなわれることになる。
【0030】
ここで、2つの面板28、29のうち一方の面板29(図3の左側の面板であって、画像形成装置1に対する現像装置26の装着方向奥側に位置するものである。)は、軸受26mを保持する保持部材として機能している。
詳しくは、面板29には、軸受26mの外径と略同等の穴径で形成された穴部が形成されていて、その穴部に軸受26mが挿入されている。
【0031】
そして、軸受26mと面板29(保持部材)とのうちいずれか一方に、面板29に対して軸受26mが軸方向一端側(図3図4の左方である。)に脱落しないように規制する第1規制部が設けられている。
詳しくは、本実施の形態では、軸受26mに、第1規制部材としてのツバ部26m1が形成されている。
具体的に、軸受26mにおいて、ツバ部26m1は、その他の部分(面板29の穴部に挿入される部分である。)の外径に比べて大きな外径で形成されている。そのため、ツバ部26m1が面板29に接触して、軸受26mの図3図4の左方(軸方向一端側)への移動が規制されることになる。すなわち、軸受26mが幅方向一端側に外れる不具合が防止される。
【0032】
さらに、図4(B)を参照して、本実施の形態における現像装置26には、面板29(保持部材)に軸受26mが装着された後に、面板29に対して軸受26mが軸方向他端側(図4の右方である。)に脱落しないように規制する第2規制部29a´が設けられている。
詳しくは、第2規制部29aは、図4(A)に示すように面板29(保持部材)に軸受26mが装着されるときには軸受26mに接触せずに、図4(B)に示すように面板29に軸受26mが装着された後に軸受26mに接触可能に変形されるように、面板29に形成されている。
【0033】
すなわち、軸受26mは、面板29に対して以下の手順で組付けられる。
まず、図4(A)に示すように、軸受26mが右方から左方に移動して、面板29の穴部に挿入される。そして、軸受26mのツバ部26m1が面板29の側面(穴部の縁部である。)に当接した状態になる。一方、第2規制部29aは、面板29において軸受26mの装着方向他端側(図4の右方)に起立するように爪状に一体的に形成されている。そして、第2規制部29aによって妨げられることなく、軸受26mが面板29に装着されることになる。すなわち、軸受26mの装着時に、第2規制部29aは、軸受26m(ツバ部26m1)に接触しないか、接触するにしてもその装着動作を妨げることはない。
そして、図4(B)に示すように、面板29への軸受26mの装着が完了した後に、熱又は圧カにより第2規制部29a´が潰され、軸受26m(ツバ部26m1)の周囲を覆うようにカシメられる。これにより、軸受26mを図4(B)の右方へ移動しようとしても、第2規制部29a´がツバ部26m1に引っ掛かって、その移動が規制されることになる。すなわち、第1規制部(ツバ部26m1)と第2規制部29a´とによって、軸受26mの軸方向両側への移動(脱落)が規制されることになる。
【0034】
このように第1規制部(ツバ部26m1)と第2規制部29a´とを設けることにより、メンテナンス時等において現像装置26(又は、プロセスカートリッジ20)に対して面板29を着脱するときに、面板29から軸受26mが脱落してしまう(外れてしまう)不具合が防止される。そのため、軸受26mが脱落によって破損する不具合が防止されるとともに、面板29の着脱操作性が向上することになる。
【0035】
ここで、図5に示すように、本実施の形態において、第2規制部29a(変形前のものを図示している。)は、軸受26mの周囲に間隔をあけて分割して複数配置されている。具体的に、図5(A)のものは、3つの第2規制部29aが周方向に分割して設置されて、図5(B)のものは、8つの第2規制部29aが周方向に分割して設置されているが、その数はこれらに限定されるものではない。
このように、複数の第2規制部29aを周方向に分割して設置することで、周方向全域に1つの第2規制部を設ける場合に比べて、熱や圧力などによる第2規制部29aの変形を容易におこなうことができる。
【0036】
また、本実施の形態において、複数の第2規制部29aは、図5(A)等に示すように、略等間隔に配置されている。
このように構成することで、軸受26mを図4(B)の右方に引き抜く力が作用したときに、その力を複数の第2規制部29aによって略均等に分散して受けることができる。すなわち、所定の第2規制部29aへの応力集中を避けることができる。そのため、第2規制部29aによって軸受26mの脱落を防止する効果が効率的に発揮されることになる。
なお、上述した理由により、複数の第2規制部29aは略等間隔に配置されることが好ましいが、周方向の長さが異なる複数の第2規制部29aが等間隔でなくても周方向にある程度分散して配置されているような場合(例えば、軸受26mの中心を通る仮想線に対して複数の第2規制部29aが線対象で配置されている場合などである。)であっても、上述したものと同様の効果がある程度発揮されることになる。
【0037】
また、本実施の形態において、複数の第2規制部29aは、軸受26mの周囲に対してすべての隙間を除いて占める割合(以下、適宜に「カバー率X」と呼ぶ。)が50%以上となるように配置されている。
具体的に、このカバー率Xは、図5(A)を参照して、
X(%)=○×3/(○×3+△×3)×100
となる。
この第2規制部29aのカバー率Xが高くなるほど、第2規制部29aによって軸受26mの引抜き(脱落)を防止する力(以下、適宜に「引抜き強さ」)が比例的に強くなる。そして、カバー率Xが50%以上であれば、経時で軸受26m(玉軸受)の内輪に回転軸26a20が焼き付いてしまうなどして、現像装置26(回転軸26a20)から面板29(軸受26m)を取り外すときに、第2規制部29aに大きな力が作用してしまっても、第2規制部29aによって軸受26mの脱落を防止することができる。
なお、本実施の形態では、ステンレス鋼からなる直径6mmの回転軸26a20が750rpmにて回転することになるが、第2規制部29aのカバー率Xを58%(引抜き強度130N)程度に設定して、軸受26mの脱落を防止している。
【0038】
ここで、図6に示すように、本実施の形態における現像装置26には、現像ローラ26aの回転軸26a20の端面に接触するとともに、軸受26mの端面に接触する電極26zが設置されている。
この電極26zは、現像用の電源によって現像ローラ26aに所定の電圧(現像バイアス)を印加するためのものである。
詳しくは、現像装置26が画像形成装置本体1に装着されると、画像形成装置本体1に設置された現像用電源に接続された端子102(図6参照)に、現像装置26の電極26zが接触する。そして、この端子102を介して電極26zから現像ローラ26aに現像バイアスが供給される。
ここで、電極26zには、回転軸26a20の端面に接触する第1通電部26z1と、軸受26m(特に、外輪である。)の端面に接触する第2通電部26z2と、が設けられている。すなわち、2つのバイアス経路によって現像ローラ26aに現像バイアスを印加できるように、電極26zが構成されている。
このように、2つのバイアス経路によって現像ローラ26aに現像バイアスを印加するように構成することで、1つのバイアス経路が何らかの原因により遮断されてしまっても、もう1つのバイアス経路によって現像ローラ26aに現像バイアスを印加することが可能になる。
【0039】
また、第1通電部26z1は、その先端が略半球状に形成されていて、その略半球状の先端が回転軸26a20の端面の中心に接触するように配置されている。これにより、略半球状の先端の経時における摩耗を軽減することができる。
また、第2通電部26z2は、軸受26mの端面に接触するように構成されているため、軸受26mの外周面に接触するように構成する場合のように、面板29の穴部への軸受26mの装着の妨げになることはない。
そして、軸受26mは、第1規制部(ツバ部26m1)と第2規制部29a´とによって、面板29における軸方向の移動がほとんど生じないように規制されて、面板29に対してガタついて傾斜するような不具合も生じにくい。そのため、軸受26mや回転軸26a20に対する電極26zの接触状態も安定して、電極26zの接触不良による現像ローラ26aへのバイアス印加不良も生じにくくなる。
【0040】
<変形例>
図7に示すように、変形例における軸受26mには、第1規制部として機能するツバ部26m1が形成されていない。すなわち、変形例における軸受26mは、その外形が略円柱状に形成されている。
そして、変形例では、面板29(保持部材)に対して軸受26mが軸方向一端側(図7の左方である。)に脱落しないように規制する第1規制部が、軸受26mではなく、面板29(保持部材)に設けられている。
詳しくは、変形例における第1規制部は、面板29に形成された小径穴部29b1である。この小径穴部29b1(第1規制部)は、図7(A)を参照して、面板29において軸受26mが装着される穴部26bに形成されて、軸受26mの内径Bよりも大きく、軸受26mの外径Aよりも小さな穴径Cにて形成されている(B<C<A)。特に、本実施の形態では、軸受26mとして玉軸受が用いられているため、軸受26mの内輪の回転を妨げないように、内輪の外径よりも小径穴部29b1の穴径Cが大きくなるように設定されている。
このように第1規制部を構成した場合であっても、小径穴部29b1の段差に軸受26mが接触することで、図7の左方への軸受26mの移動(脱落)が規制されることになる。そして、第1規制部(小径穴部29b1)と第2規制部29a´とによって、面板29から軸受26mが脱落してしまう(外れてしまう)不具合が防止されることになる。
なお、変形例では、軸受26mにツバ部26mが形成されていないため、図7(B)に示すように、変形後の第2規制部29a´は、軸受26mの外輪に直接接触するように熱カシメ又は圧カシメされることになる。
【0041】
以上説明したように、本実施の形態における現像装置26は、感光体ドラム21(像担持体)の表面に形成される潜像を現像する現像装置26であって、回転軸26a20を具備した現像ローラ26a(回転部材)と、回転軸26a20を支持する軸受26mと、軸受26mを保持する面板29(保持部材)と、が設けられている。また、軸受26mと面板29とのうちいずれか一方に、面板29に対して軸受26mが軸方向一端側に脱落しないように規制するツバ部26m1(第1規制部)が設けられている。さらに、面板29に軸受26mが装着された後に、面板29に対して軸受26mが軸方向他端側に脱落しないように規制する第2規制部29aが設けられている。
これにより、現像装置26に対して面板29(保持部材)を着脱するときに、面板29から軸受26mが脱落してしまう不具合を生じにくくすることができる。
【0042】
なお、本実施の形態では、現像装置26をプロセスカートリッジ20の構成部材とせずに、画像形成装置本体1に対して単独で着脱できるユニットとした。これに対して、現像装置26をプロセスカートリッジ20の構成部材の1つとして、画像形成装置本体1に対してプロセスカートリッジとして一体的に着脱されるように構成することもできる。
そして、このような場合にも、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
なお、本願において、「プロセスカートリッジ」とは、像担持体を帯電する帯電装置と、像担持体上に形成された潜像を現像する現像装置と、像担持体上をクリーニングするクリーニング装置と、のうち少なくとも1つと、像担持体と、が一体化されて、画像形成装置本体に対して着脱可能に構成されたユニットと定義する。
【0043】
また、本実施の形態では、2つの搬送スクリュ26b1、26b2(搬送部材)が水平方向に並設されていて、ドクターブレード26cが現像ローラ26aの下方に配置された現像装置26に対して、本発明を適用した。しかし、本発明が適用される現像装置の構成はこれに限定されることなく、例えば、3つ以上の搬送部材が水平方向に並設された現像装置や、複数の搬送部材が上下方向に並設されている現像装置や、ドクターブレードが現像ローラの上方に配置された現像装置に対しても、本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、トナーとキャリアとからなる2成分現像剤を用いた現像装置26に対して、本発明を適用した。これに対して、トナー(外添剤等も含む。)のみからなる1成分現像剤を用いた現像装置に対しても、本発明を適用することができる。
そして、それらのような場合にも、本実施の形態のものとほぼ同様の効果を得ることができる。
【0044】
また、本実施の形態では、回転部材としての現像ローラ26aの軸受26mの軸方向両側への脱落を防止するように本発明を適用したが、その他の回転部材(例えば、搬送スクリュ26b1、26b2である。)の軸受の軸方向両側への脱落を防止するように本発明を適用することもできる。
また、本実施の形態では、軸受26mとして玉軸受を用いたが、軸受はこれに限定されることなく、例えば、軸受26mとしてスベリ軸受を用いることもできる。
また、本実施の形態では、軸受26mが保持される保持部材として、現像ギャップG(対向距離)を定める位置決め部材としての面板29を用いたが、保持部材はこれに限定されることなく、例えば、現像装置に対して着脱可能に構成された面板以外の側板であっても良い。
そして、それらのような場合にも、本実施の形態のものとほぼ同様の効果を得ることができる。
【0045】
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施の形態の中で示唆した以外にも、各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【符号の説明】
【0046】
1 画像形成装置(画像形成装置本体)、
20、20Y、20M、20C、20BK プロセスカートリッジ、
21 感光体ドラム(像担持体)、
26 現像装置、
26a 現像ローラ(現像剤担持体、回転部材)、
26a20 回転軸、
26m 軸受(玉軸受)、
26m1 ツバ部(第1規制部)、
26z 電極、
26z1 第1通電部、
26z2 第2通電部、
29 面板(保持部材)、
29a 第2規制部(変形前の第2規制部)、
29a´ 第2規制部(変形後の第2規制部)、
29b 穴部、
29b1 小径穴部(第1規制部)、
G 現像ギャップ(対向距離)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0047】
【文献】特開2006-242990号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7