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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-28
(45)【発行日】2024-06-05
(54)【発明の名称】高電圧フィルタアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/46 20060101AFI20240529BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20240529BHJP
   H03H 7/09 20060101ALI20240529BHJP
【FI】
H05H1/46 R
H01L21/302 101C
H03H7/09 Z
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021541596
(86)(22)【出願日】2019-09-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-21
(86)【国際出願番号】 US2019052067
(87)【国際公開番号】W WO2020153997
(87)【国際公開日】2020-07-30
【審査請求日】2022-09-20
(31)【優先権主張番号】62/796,542
(32)【優先日】2019-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ミシュラ, アヌラグ クマール
(72)【発明者】
【氏名】ロジャーズ, ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】ドルフ, レオニド
(72)【発明者】
【氏名】ディンサ, ラジンダー
(72)【発明者】
【氏名】ルエール, オリヴィエ
【審査官】小林 幹
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-056706(JP,A)
【文献】特開2009-123505(JP,A)
【文献】特開2008-034812(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/00-1/54
H01L 21/3065
H03H 7/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルタアセンブリであって、
導電性の第1のリード線及び第2のリード線と、
AC電力供給部に電気的に結合されたフィルタアセンブリの出力端であって、前記第1のリード線及び前記第2のリード線は前記AC電力供給部に電気的に結合されるように構成されている、フィルタアセンブリの出力端と、
導電素子に電気的に接続された前記フィルタアセンブリの入力端であって、前記第1のリード線及び前記第2のリード線は前記導電素子に電気的に結合されるように構成されている、フィルタアセンブリの入力端と、
前記フィルタアセンブリの前記出力端で前記第1のリード線及び前記第2のリード線に電気的に結合された第1のインピーダンス生成要素と、
前記第1のインピーダンス生成要素と前記フィルタアセンブリの入力端との間に電気的に、直列に接続された複数の第2のインピーダンス生成要素と、
第1の接地されたインピーダンス生成要素と、
第2の接地されたインピーダンス生成要素と
を備え、
前記複数の第2のインピーダンス生成要素の各インピーダンス生成要素が、
トロイダル形状のコアの一部の周りに巻回された前記第1のリード線の部分と、
前記トロイダル形状のコアの一部の周りに巻回された前記第2のリード線の部分と
を含み、前記複数の第2のインピーダンス生成要素の直列に接続された第2のインピーダンス生成要素のインダクタンスが、前記入力端から、前記複数の第2のインピーダンス生成要素と前記第1のインピーダンス生成要素の間に配置されたポイントまで増加し、
前記第1の接地されたインピーダンス生成要素が、前記複数の第2のインピーダンス生成要素と前記第1のインピーダンス生成要素の間に配置された前記ポイントで、前記第1のリード線に結合され、
前記第2の接地されたインピーダンス生成要素が、前記複数の第2のインピーダンス生成要素と前記第1のインピーダンス生成要素の間に配置された前記ポイントで、前記第2のリード線に結合され、前記第1のインピーダンス生成要素のインピーダンスは、前記第1の接地されたインピーダンス生成要素のインピーダンスと前記第2の接地されたインピーダンス生成要素のインピーダンスよりも大きい、
フィルタアセンブリ。
【請求項2】
前記導電素子が抵抗加熱要素を含み、前記第1のリード線が、前記抵抗加熱要素の第1の側に結合され、前記第2のリード線が、前記抵抗加熱要素の第2の側に結合されている、請求項1に記載のフィルタアセンブリ。
【請求項3】
前記AC電力供給部が、前記第1のリード線にAC電流を供給し、前記第2のリード線上で帰還AC電流を受け取るよう構成される、請求項2に記載のフィルタアセンブリ。
【請求項4】
前記複数の第2のインピーダンス生成要素のうち少なくとも2つのインピーダンス生成要素のインピーダンスが、同じインピーダンス値を有する、請求項1に記載のフィルタアセンブリ。
【請求項5】
前記第1のリード線及び前記第2のリード線が、14AWGワイヤより大きい又は14AWGワイヤと等しい断面積を有するワイヤを含む、請求項1に記載のフィルタアセンブリ。
【請求項6】
前記複数の第2のインピーダンス生成要素の第1のインピーダンス要素内の前記トロイダル形状のコアが、第1の透磁率を有する第1の材料を含み、
前記複数の第2のインピーダンス生成要素の第2のインピーダンス要素内の前記トロイダル形状のコアが、前記第1の透磁率より高い第2の透磁率を有する第2の材料を含み、
前記複数の第2のインピーダンス生成要素の前記第1のインピーダンス要素が、前記フィルタアセンブリの前記入力端の近くに配置され、前記複数の第2のインピーダンス生成要素の前記第2のインピーダンス要素が、前記フィルタアセンブリの前記出力端の近くに配置されている、請求項1に記載のフィルタアセンブリ。
【請求項7】
プラズマ処理チャンバであって、
基板支持体の内部に配置され、発電機によって駆動されるよう構成されたバイアス電極、
前記基板支持体の内部に配置され、前記バイアス電極から或る一定の距離を取って配置された導電素子、並びに
フィルタアセンブリ
を備え、当該フィルタアセンブリが、
導電性の第1のリード線及び第2のリード線と、
電力供給部に電気的に結合されたフィルタアセンブリの出力端であって、前記第1のリード線及び前記第2のリード線は前記電力供給部に電気的に結合されるように構成されている、フィルタアセンブリの出力端と、
前記導電素子に電気的に接続された前記フィルタアセンブリの入力端であって、前記第1のリード線及び前記第2のリード線は前記導電素子に電気的に結合されるように構成されている、フィルタアセンブリの入力端と、
前記フィルタアセンブリの前記出力端で前記第1のリード線及び前記第2のリード線に電気的に結合された第1のインピーダンス生成要素と、
前記第1のインピーダンス生成要素と前記フィルタアセンブリの入力端との間に電気的に、直列に接続された複数の第2のインピーダンス生成要素と、
第1の接地されたインピーダンス生成要素と、
第2の接地されたインピーダンス生成要素と
を備え、
前記複数の第2のインピーダンス生成要素の各第2のインピーダンス生成要素が、
トロイダル形状のコアの一部の周りに巻回された前記第1のリード線の部分と、
前記トロイダル形状のコアの一部の周りに巻回された前記第2のリード線の部分と
を含み、前記複数の第2のインピーダンス生成要素の直列に接続された第2のインピーダンス生成要素のインダクタンスが、前記入力端から、前記複数の第2のインピーダンス生成要素と前記第1のインピーダンス生成要素の間に配置されたポイントまで増加し、
前記第1の接地されたインピーダンス生成要素が、前記複数の第2のインピーダンス生成要素と前記第1のインピーダンス生成要素の間に配置された前記ポイントで、前記第1のリード線に結合され、
前記第2の接地されたインピーダンス生成要素が、前記複数の第2のインピーダンス生成要素と前記第1のインピーダンス生成要素の間に配置された前記ポイントで、前記第2のリード線に結合され、前記第1のインピーダンス生成要素のインピーダンスは、前記第1の接地されたインピーダンス生成要素のインピーダンスと前記第2の接地されたインピーダンス生成要素のインピーダンスよりも大きい、
プラズマ処理チャンバ。
【請求項8】
前記トロイダル形状のコアの前記一部の周りに巻回された前記第1のリード線の前記部分と、前記トロイダル形状のコアの前記一部の周りに巻回された前記第2のリード線の前記部分とが、コモンモード巻回構成で巻回されている、請求項7に記載のプラズマ処理チャンバ。
【請求項9】
前記導電素子が抵抗加熱要素を含む、請求項7に記載のプラズマ処理チャンバ。
【請求項10】
前記電力供給部は、AC電力供給部である、請求項9に記載のプラズマ処理チャンバ。
【請求項11】
前記複数の第2のインピーダンス生成要素のうち少なくとも2つのインピーダンス生成要素のインピーダンスが、同じインピーダンス値を有する、請求項7に記載のプラズマ処理チャンバ。
【請求項12】
前記第1のリード線及び前記第2のリード線が、14AWGワイヤより大きい又は14AWGワイヤと等しい断面積を有するワイヤを含む、請求項7に記載のプラズマ処理チャンバ。
【請求項13】
前記複数の第2のインピーダンス生成要素の第1のインピーダンス要素内の前記トロイダル形状のコアが、第1の透磁率を有する第1の材料を含み、
前記複数の第2のインピーダンス生成要素の第2のインピーダンス要素内の前記トロイダル形状のコアが、前記第1の透磁率より高い第2の透磁率を有する第2の材料を含み、
前記複数の第2のインピーダンス生成要素の前記第1のインピーダンス要素が、前記フィルタアセンブリの前記入力端の近くに配置され、前記複数の第2のインピーダンス生成要素の前記第2のインピーダンス要素が、前記フィルタアセンブリの前記出力端の近くに配置されている、請求項7に記載のプラズマ処理チャンバ。
【請求項14】
前記トロイダル形状のコアの前記一部の周りに巻回された前記第1のリード線の前記部分と、前記トロイダル形状のコアの前記一部の周りに巻回された前記第2のリード線の前記部分とが、コモンモード巻回構成で巻回されている、請求項1に記載のフィルタアセンブリ。
【請求項15】
前記導電素子が抵抗加熱要素を含む、請求項1に記載のフィルタアセンブリ。
【請求項16】
前記導電素子が、前記AC電力供給部に結合されている、請求項15に記載のフィルタアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載される実施形態は、概して、半導体製造時に使用されるプラズマ処理チャンバに関する。
【背景技術】
【0002】
高アスペクト比のフィーチャ(feature)を高い信頼度で製造することは、半導体素子の次世代の大規模集積(VLSI:very large scale integration)及び超大規模集積(ULSI:ultra large scale integration)のための重要な技術課題の1つとなっている。高アスペクト比のフィーチャを形成する1つの方法は、基板の誘電体層といった材料層に高アスペクト比の開口を形成するために、反応性イオンエッチング(RIE:reactive ion etch)プラズマプロセスといったプラズマ支援エッチングプロセスを利用することである。典型的なRIEプラズマプロセスでは、プラズマがRIE処理チャンバ内で形成され、プラズマからのイオンが、基板の表面に向かって加速させられて、基板の表面に形成されたマスク層の下に配置された材料層に開口を形成する。
【0003】
現在のプラズマ処理チャンバ及びプロセスについての課題は、プラズマ処理中に限界寸法の均一性を制御することを含み、このことは、制御されたやり方での静電チャンバの加熱を必要とする。誘電材料に埋め込まれたマルチゾーン加熱アセンブリが、静電チャックアセンブリを加熱するために利用される。典型的な反応性イオンエッチング(RIE)プラズマ処理チャンバは、高周波(RF)バイアス生成器を含み、この高周波(RF)バイアス生成器は、RF電圧を「パワー電極(power electrode)」に、即ち、より一般的には「カソード」と称される、基板支持体アセンブリに埋め込まれた金属製ベースプレートに供給する。パワーRFバイアス電極は、ESCアセンブリの一部である誘電材料(例えば、セラミック材料)の層を介して、マルチゾーン静電チャック加熱アセンブリに容量的に結合される。パワー電極とマルチゾーン静電チャック加熱部との間の強度の容量結合によって、接地への大きなRF電流の流れのための経路がもたらされ、その結果、RFバイアス波形に負荷が掛かり、RF電力の損失が生じる。RF駆動要素から接地されたハードウェア部品への不要に大きなRF電流の流れは、パワー電極に効率良く供給しうるRF電力量の低下(即ちRF伝達効率が低下する)を含む多くの望まれぬ影響を引き起こす可能性があり、作業員の安全性に関わる問題を生ぜしめる可能性があり、さらに、付属の電気部品及びハードウェア部品への望まれぬ損傷を引き起こす可能性がある。上記の望まれぬ影響を防止する能力は、パワー電極に供給されるRF電力が広範囲のRF周波数を含む場合には、その実現がより一層困難になる。最も従来型のRFフィルタリング技術は、RF電力供給部から供給される狭範囲の周波数をブロックするために調整され、生成されたRFエネルギーが、RF駆動回路に接続された外部の部品及び付属の電気部品に損傷を与えることを防止する。半導体素子のアスペクト比が高くなるほど、当該フィーチャをエッチングするために要するイオンエネルギーが大きくなる。より大きなイオンエネルギーを実現するために、トレンドは、より低い周波数かつより大きなパワーへと動いており、フィルタ設計をさらにより困難なものとしている。より具体的には、周波数が低く広い周波数スペクトルを有する整形されたDCパルスが利用されうるが、当該整形されたDCパルスは、従来のフィルタリング設計を利用してフィルタに掛けることが最も困難である。
【0004】
従って、望まれぬほど大きなRF電流を最小化し、及び/又は、望まれぬほど大きなRF電流が、1つ以上の接地されたチャンバハードウェア部品を介して接地に伝達されることを防止する装置及び方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
一実施例において、フィルタアセンブリが開示される。フィルタアセンブリは、当該フィルタアセンブリの入力端と出力端との間に直列に、電気的に接続された複数のインピーダンス生成要素を含む。フィルタアセンブリは、第1の接地されたインピーダンス生成要素をさらに含む。フィルタアセンブリは、第2の接地されたインピーダンス生成要素をさらに含む。インピーダンス生成要素は、第1のリード線及び第2のリード線によって一緒に直列に、電気的に接続されている。インピーダンス生成要素はそれぞれ、第1のリード線及び第2のリード線をトロイダル形状のコアの周りに巻回することで形成されたコモンモードチョークを含む。第1の接地されたインピーダンス生成要素は、2つの隣り合って配置された直列に接続されたインピーダンス生成要素の間のポイントで第1のリード線に結合され、かつ接地に結合されている。第2の接地されたインピーダンス生成要素は、2つの隣り合って配置された直列に接続されたインピーダンス生成要素の間のポイントで第2のリード線に結合され、かつ接地に結合されている。
【0006】
他の実施形態において、プラズマ処理チャンバが開示される。プラズマ処理チャンバは、基板支持体の内部に配置されたバイアス電極を含む。バイアス電極は、発電機によって駆動されるよう構成される。プラズマ処理チャンバは、基板支持体の内部に配置されバイアス電極から距離を置いて配置された導電素子をさらに含む。プラズマ処理チャンバは、フィルタアセンブリを更に含む。フィルタアセンブリは、当該フィルタアセンブリの入力端と出力端との間に直列に、電気的に接続された複数のインピーダンス生成要素を含む。フィルタアセンブリは、第1の接地されたインピーダンス生成要素をさらに含む。フィルタアセンブリは、第2の接地されたインピーダンス生成要素をさらに含む。インピーダンス生成要素は、第1のリード線及び第2のリード線によって一緒に直列に、電気的に接続されている。インピーダンス生成要素はそれぞれ、第1のリード線及び第2のリード線をトロイダル形状のコアの周りに巻回することで形成されたコモンモードチョークを含む。第1の接地されたインピーダンス生成要素は、2つの隣り合って配置された直列に接続されたインピーダンス生成要素の間のポイントで第1のリード線に結合され、かつ接地に結合されている。第2の接地されたインピーダンス生成要素は、2つの隣り合って配置された上記直列に接続されたインピーダンス生成要素の間のポイントで第2のリード線に結合され、かつ接地に結合されている。第1のリード線及び第2のリード線が、導電素子を外部の電気部品に接続する。
【0007】
本開示の上記の特徴を詳細に理解することができるように、上記で簡単に要約した本開示のより具体的な説明を、実施形態を参照することによって行うことができ、そのいくつかを添付の図面に示す。しかしながら、本開示は他の等しく有効な実施形態も許容しうることから、添付の図面は本開示の典型的な実施形態のみを示しており、従って、本開示の範囲を限定すると見なすべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係る、本明細書に記載の方法の実施するよう構成された例示的な処理チャンバの概略的な断面図である。
図2】一実施形態に係る基板支持アセンブリ一例の概略的な断面図である。
図3】一実施形態に係るプラズマ処理チャンバ内に配置された1つ以上の電気部品に結合されたフィルタアセンブリの概略図である。
図4】一実施形態に係るプラズマ処理チャンバ内に配置されたパルス直流パワー伝達システム内に配置された1つ以上の電気部品に結合されたフィルタアセンブリの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
理解を容易にするため、可能な場合には、複数の図に共通する同一の要素を示すのに同一の参照番号を使用した。1の実施形態の構成要素及び特徴が、更なる記載がなくとも、他の実施形態に有益に組み込まれうることが想定されている。
【0010】
本明細書に記載の実施形態は、全ての種類のプラズマ支援処理チャンバ又はプラズマ強化処理チャンバでの利用のために適用可能であり、基板のプラズマ支援処理又はプラズマ強化処理の方法のためにも適用可能である。特に、本開示の実施形態は、本明細書ではフィルタアセンブリとも称される広帯域周波数フィルタアセンブリを含み、当該フィルタアセンブリは、RF漏れ電流が、1つ以上のRF駆動要素から接地へと、上記RF駆動要素及び接地に直接的又は間接的に電気的に結合された他の電気部品を介して転送されることを低減/防止するよう構成されている。
【0011】
図1は、一実施形態に係る、供給源アセンブリ140を利用して、処理チャンバ100の処理空間106内でプラズマプロセスを実施するよう構成された処理チャンバ100の概略的な断面図である。本実施形態では、処理チャンバ100は、反応性イオンエッチング(RIE)プラズマチャンバといったプラズマ処理チャンバである。幾つかの他の実施形態において、処理チャンバは、プラズマ強化堆積チャンバ、例えば、プラズマ化学気相堆積(PECVD:plasma-enhanced chemical vapor deposition)チャンバ、プラズマ物理的気相堆積(PEPVD:plasma enhanced physical vapor deposition)チャンバ、又はプラズマ原子層堆積(PEALD:plasma-enhanced atomic layer deposition)チャンバである。幾つかの他の実施形態において、処理チャンバは、プラズマ処理チャンバ、又は、プラズマベースのイオン注入チャンバ、例えばプラズマドーピング(PLAD:plasma doping)チャンバである。本明細書では、図1に示すように、処理チャンバ100は供給源アセンブリ140を含み、供給源アセンブリ140は、RF整合回路141を介して高周波(RF)電力供給部142に電気的に結合された誘導結合ラズマ(ICP:inductively coupled plasma)源を含む。他の実施形態において、供給源アセンブリ140は、容量結合プラズマ(CCP:capacitively coupled plasma)源であり、例えば、基板支持体111に面して処理空間106内に配置されたソース電極(図示せず)であり、ここで、ソース電極は、RF電力供給部(図示せず)に電気的に結合されている。
【0012】
処理チャンバ100は、チャンバリッド123を含むチャンバ本体102、1つ以上の側壁122、及び、処理空間106を画定するチャンバ基部124を含む。チャンバリッド123を貫通して配置されたガス入口116が、流体連結している処理ガス源120から、1つ以上の処理ガスを処理空間106に供給するために利用される。ここでは、電力供給部142が、処理ガスからの処理プラズマ107を点火して維持するよう構成され、処理空間106の外のチャンバリッド123の近傍に配置された1つ以上の誘導コイル104を含む。電力供給部142は、処理ガスと、誘導コイル104及びRF電力供給部142により生成された電磁場と、を用いて、プラズマ107を点火して維持するよう構成されている。処理空間106は、真空出口127を介して1つ以上の専用真空ポンプに流体連結されており、上記専用真空ポンプは、処理空間106を準大気圧状態に維持し、そこから処理ガス/他のガスを排出する。処理空間106内に配置された基板支持体アセンブリ117が、チャンバ基部124を通ってシールしながら延在する支持シャフト138に載置されている。
【0013】
基板110は、1つ以上の側壁122における開口(図示せず)を介して処理空間106内へとロードされ、及びそこから取り除かれ、上記開口は、基板110のプラズマ処理中には、ドア又はバルブ(図示せず)によってシールされる。ここでは、基板110は、基板支持体111の収容面115(例えば、基板支持面)へと及び当該収容面115から移送され、基板支持体111は、リフトピンシステム(図示せず)を用いたESC基板支持体111Aを含みうる。
【0014】
基板支持体111は、支持体基部111Bと、当該支持体基部111Bに熱的に結合され当該支持体基部111B上に配置されたESC基板支持体111Aと、を含む。支持体基部111Bは、絶縁プレート111Cと、絶縁プレート111Cとチャンバ基部124との間に配置された接地プレート137と、によって、チャンバ基部124から電気的に絶縁されている。典型的に、支持体基部111Bは、基板の処理中に、ESC基板支持体111Aと、当該ESC基板支持体111Aに載置された基板110と、の温度を調整するために利用される。幾つかの実施形態において、支持体基部111Bは、その内部に配置された1つ以上の冷却チャネル(図示せず)であって、冷却源(図示せず)、例えば、比較的高い電気抵抗を有する冷媒(refrigerant)の供給源又は水の供給源)に流体結合され、かつ流体的に連通する上記冷却チャネルを含む。ここでは、支持体基部111Bは、耐食金属といった耐食性の熱伝導材料、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、又はステンレス鋼で形成され、接着剤又は機械的手段によって基板支持体に結合されている。
【0015】
典型的に、ESC基板支持体111Aは誘電材料で形成され、例えば、バルク焼結セラミック材料、例えば、耐食金属酸化物又は金属窒化物材料、例えば、酸化アルミニウム(Al)、窒化アルミニウム(AlN)、酸化チタン(TiO)、窒化チタン(TiN)、酸化イットリウム(Y)、これらの混合物、又は、これらの組み合わせで形成される。本明細書の幾つかの実施形態において、ESC基板支持体111Aは、その誘電材料に埋め込まれたバイアス電極112をさらに含む。一構成において、バイアス電極112は、ESC基板支持体111Aの収容面115に基板110を固定(チャック)するため、及び処理プラズマ107に関して基板110にバイアスを掛けるために利用されるチャッキングポールである。典型的に、バイアス電極112は、1つ以上の金属メッシュ、金属片、プレート、又はこれらの組み合わせといった1つ以上の導電部品で形成される。ここでは、バイアス電極112は、高電圧モジュール155に電気的に結合されており、この高電圧モジュール155は、送電線151といった導電体を用いて、バイアス電極112にチャッキング電圧、例えば約-5000Vと約5000Vとの間の静的なDC電圧を供給する。
【0016】
幾つかの実施形態において、ESC基板支持体111Aは、ESC基板支持体111Aの誘電材料に埋め込まれた抵抗加熱要素といったヒータ要素113を含む。ヒータ要素113は、AC電力供給部165を利用した、1つ以上の導電素子114を介したAC電力の伝達により生ぜしめられた抵抗性加熱により、ESC基板支持体111A内で熱を生成するために利用され、上記1つ以上の導電素子114は、ESC基板支持体111Aを形成するために利用された材料内に埋め込まれている。一実施形態において、1つ以上の導電素子114は、バイアス電極112から或る一定の間隔を置かれており、従って、バイアス電極112に直接的には接続されていない。図2に関連して更に検討するように、ヒータ要素113は、複数の加熱ゾーンを含んでよく、例えば、第1の導電素子114Aを含む内側ヒータゾーン113Aと、第2の導電素子114Bを含む外側ヒータゾーン113Bと、を含んでよい。
【0017】
処理チャンバ100の一実施形態において、フィルタアセンブリ160が、AC電力供給部165と、1つ以上の導電素子114と、の間に配置されており、RFバイアスが掛けられたバイアス電極112から1つ以上の導電素子114にもたらされるどのRF漏れも、AC電力供給部165に流れ込まずかつその内部の部品に損傷を与えないように、及び/又は処理ツールのユーザにとって安全ではない状況が生じないようにする。フィルタアセンブリ160の構成は、以下でより詳細に説明される。
【0018】
バイアス電極112は、ESC基板支持体111Aの誘電材料の層によって、ESC基板支持体111Aの基板収容面115から離れており、従って基板110から離れている。典型的に、上記誘電材料の層は、厚さが約0.1mmと約1mmとの間、例えば、約0.1mmと約0.5mmとの間、例えば約0.3mmである。ここでは、バイアス電極112は、送電線151といった導電体を用いて発電機150に電気的に結合されている。発電機150は、直流(DC)発電機、低周波RF発電機、又は整形パルスDCバイアス発電機でありうる。上記パルス直流(DC)発電機の一バージョンが、以下で更に記載される。誘電材料と、バイアス電極112と基板収容面115と間に形成された層の厚さとは、誘電材料の層のキャパシタンスC図2)が約5nFと約12nFとの間、例えば約7nFと約10nFであるように選択されうる。
【0019】
処理チャンバ100は、システムコントローラ134をさらに含みうる。システムコントローラ134は、ここでは、中央処理装置(CPU:central processing unit)と、メモリと、サポート回路とを含む。システムコントローラ134は、本明細書に記載の基板バイアス方法を含め、基板110を処理するために利用されるプロセスシーケンスを制御するために利用される。CPUは、処理チャンバ、及び、処理チャンバと関連するサブプロセッサを制御するための工業設定における使用のために構成された汎用コンピュータプロセッサである。ここでのメモリは、ランダムアクセスメモリ、読み出し専用メモリ、フロッピー若しくはハードディスクドライブ、又は、ローカル若しくはリモートの他の適切な形態のデジタルストレージを含みうる。サポート回路は、従来ではCPUに接続されており、キャッシュ、クロック回路、入出力サブシステム、電源等、及び、これらの組み合わせを含みうる。メモリには、CPU内のプロセッサに命令するためのソフトウエア命令及びデータをコード化して格納することができる。システムコントローラ134により可読なプログラム(又は、コンピュータ命令)が、どのタスクがプラズマチャンバ100内の部品によって実行可能であるかを決定する。好適に、システムコントローラ134により可読なプログラムは、コードであって、プロセッサによって実行されたときに、本明細書に記載の電極バイアス方式の監視及び実行に関するタスクを実行するコードを含む。上記プログラムは、様々なハードウェア、及び処理チャンバ100内の電気部品を制御して、本明細書に記載の電極バイアス方式を実現するために利用する様々なプロセスタスク及び様々なプロセスシーケンスを実施するために利用される命令を含む。
【0020】
図2は、図1に示された基板支持体111の部分、及び様々な支持電気部品の概略的な側方断面図である。先に述べたように、ESC基板支持体111A内に埋め込まれたヒータ要素113は、複数の加熱ゾーンを含み、例えば、第1の導電素子114Aを含む内側ヒータゾーン113Aと、第2の導電素子114Bを含む外側ヒータゾーン113Bと、を含む。第1の導電素子114Aの第1の側は、第1のリード線211に結合されており、第1の導電素子114Aの第2の側は、第2のリード線212に結合されている。第1のリード線211と第2のリード線212とは、第1のフィルタアセンブリ160Aを介して第1の電力供給部165Aに接続されている。同様に、第2の導電素子114Bの第1の側は、第1のリード線221に結合されており、第2の導電素子114B第2の側は、第2のリード線222に結合されている。第1のリード線221と第2のリード線222とは、第2のフィルタアセンブリ160Bを介して第2の電力供給部165Bに接続されている。図2には、第1の電力供給部165A及び第2の電力供給部165Bが含まれているが、本構成は、本明細書で提供される本開示の範囲を限定することが意図されていない。なぜならば、第1の導電素子114A及び第2の導電素子114Bに伝達される電力を別々に制御するために、任意の数の電力伝達要素が利用されうるからである。電力供給部165、又は電力供給部165A及び165B、並びに、導電素子114、又は第1の導電素子114A及び第2の導電素子114Bは、典型的に、約5000ワットと約15,000ワットとの間の電力を生成して、基板支持体111を所望の温度に加熱するよう構成されている。従って、一実施例において、電力供給部165、又は電力供給部165A及び165Bは、約5000ワットと約15000ワットとの間の電力を、208ボルトの電圧で伝達するよう構成され、従って、リ-ド線211、212、221、及び222は典型的に大きなゲージワイヤを必要とし、例えば、少なくとも10AWG~14AWGのシールド線を必要とする。一実施形態において、リード線211、212、221、及び222が、14AWGワイヤより大きく又は14AWGワイヤと等しい断面積を有するワイヤを含む。
【0021】
稼働中に、発電機150は、ナノ秒のDCバルス、又は幾つかの構成ではRF電力をバイアス電極112に供給するよう構成されており、バイアス電極112は、ESCキャパシタンスC3及び基板キャパシタンスCを含みうる複数の直列のキャパシタンスを介して、プラズマ107に容量的に結合される。プラズマ107は概して、インピーダンスZを有し、インピーダンスZは、形成されたプラズマと、チャンバ壁において及び基板110の上で形成されたプラズマシースと、により一連の複素インピーダンスを含む。静電チャック内の誘電体層、及び、基板110(例えば、厚さ0.8mmのドープされたシリコンスラブで、キャパシタンスC>10nF)が、プラズマ107からバイアス電極112を隔てており、図2の回路ではキャパシタC及びCによって表される。基板キャパシタンスC2が、典型的に非常に大きく(10nFより大きく)、又は基板が導電性でありうるため(無限大のキャパシタンス)、直列のキャパシタンスは、主に、実際のESCキャパシタンスC(例えば、6.8nFまで)によって決定される。バイアス電極112はまた、図2でそれぞれキャパシタンスC及びCにより表されるように、第1の導電素子114A及び第2の導電素子114Bに容量結合される。第1の導電素子114A及び第2の導電素子114Bへのバイアス電極112の容量結合によって、RF漏れ電流(又は、本明細書では雑音電流とも称される)は、リード線211、212、221、及び222を通って、これらの対応する第1のフィルタアセンブリ160A及び第2のフィルタアセンブリ160Bへと進まされる。従って、第1のフィルタアセンブリ160A、及び第2のフィルタアセンブリ160Bは、上記の望まれぬRF漏れ電流をフィルタで除去して、生成されたRF電流が、電力供給部165A及び165Bのいずれかに損傷を与え及び/又は作業員の安全性に関わる問題を引き起こさないように構成されている。
【0022】
図3は、一実施形態に係る、プラズマ処理チャンバ内に配置された、導電素子114と電力供給部165との間に配置されたフィルタアセンブリ160(図1)の概略図である。図4は、一実施形態に係る、プラズマ処理チャンバ100内に配置された、導電素子114と電力供給部165との間に配置されたフィルタアセンブリ160の概略図である。先に述べたように、フィルタアセンブリ160が配置されており、バイアス電極112から導電素子114へと通るRF漏れ電流が、電力供給部165に到達するのを防止するよう構成されている。フィルタアセンブリ160は、入力端201と出力端202との間にリード線211及び212を介して一緒に接続された複数のインピーダンス生成要素Ziを含んでいる。フィルタアセンブリ160はまた、接地されたインピーダンス要素305を含み、この接地されたインピーダンス要素305は、接続されたインピーダンス生成要素のうちの直近の2つの間、例えば、図3のインピーダンス生成要素ZとZとの間に配置されたポイントで、リード線211又は212に接続され、かつ接地に接続されている。
【0023】
一実施形態において、図3及び図4に示すように、複数のインピーダンス生成要素が、リード線211及び212を介して直列に接続された5つのインピーダンス生成要素Z、Z、Z、Z、及びZを含む。一般に、複数のインピーダンス生成要素は、少なくとも誘導性要素(L)をそれぞれが含む少なくとも2つのインピーダンス生成要素を含んでいる。図4に示すように、インピーダンス生成要素のそれぞれは、「本当の(real)」誘導性要素(L)を含み、当該誘導性要素(L)は、巻線におけるワイヤの抵抗(R)を含み、かつ自己容量(C)を有する。接地されたインピーダンス要素305が、容量性要素(C)及び抵抗性要素(R)を含み、容量性要素(C)及び抵抗性要素(R)は、リード線211又は212のうちの1つの間に直列に接続され、かつ接地に接続されている。図4に示される接地されたインピーダンス要素305内に見られるインダクタンス(L17)は、容量性要素と抵抗性要素とを接続する配線の巻回に考慮するためにモデル化を目的として追加されており、従って、追加された別個の素子ではないことに気付くであろう。一実施形態において、複数のインピーダンス生成要素のそれぞれのインピーダンスは、入力端201の近くの第1のインピーダンス生成要素Zから、接地されたインピーダンス要素305の手前のインピーダンス生成要素(例えば、図3のインピーダンス生成要素Z)へと増大する。一実施例において、インピーダンス生成要素のインピーダンスが増大し(例えば、誘導性要素L<L<L<L)、最後のインピーダンス生成要素Z5は、上記要素305のインピーダンスよりも大きなインピーダンスを有する。一実施形態において、各インピーダンス生成要素おける誘導性要素(L)は、図4に示すように、例えばL10<L11<L12<L13のように増大する。
【0024】
他の実施形態において、直列に接続されたインピーダンス生成要素のうち少なくとも2つのインピーダンス生成要素のインピーダンスが、同じインピーダンス値を有する。一実施例において、第1のインピーダンス生成要素Z及び第2のインピーダンス生成要素Zはそれぞれ、第1のインピーダンス値を有し、第3のインピーダンス生成要素Z及び第4のインピーダンス生成要素Zはそれぞれ、第1のインピーダンス値とは異なる第2のインピーダンス値を有する。本例において、第1のインピーダンス値は、好適に第2のインピーダンス値より小さい。
【0025】
幾つかの実施形態において、インピーダンス生成要素Ziはそれぞれ、コモンモードチョークを含み、このコモンモードチョークは、「コモンモード(Common Mode)」構成において巻回されたトロイダル形状のコアの周りに、リード線211及び212を巻回することによって形成されている。一実施例において、トロイダル形状のコアは、トロイダル形状のフェライトを含むコアであるが、コアは、他の高透磁率材料でも作製されうる。コモンモード巻回構成では、RF漏れ電流(雑音電流)が、同じリード線211及び212上を同じ方向に(即ち、入力端201から出力端202へと)進み、導電素子114内で熱を生成するために電力供給部165から供給されたAC電流が、トロイダル上のリード線211及び212の巻回方向に対して反対方向に流れる。コモンモードチョーク内の2つ以上の巻線は、コモンモード電流が、当該コモンモード電流の如何なる増大にも抗する磁場を生成するように配置される。一実施形態において、インピーダンス生成要素のインピーダンスは、巻線の巻回数を変更すること、異なる透磁率(μ)を有する材料を含むトロイドを選択すること、及び/又はその双方によって調整される。異なるインピーダンスをそれぞれが有する複数のインピーダンス生成要素を、フィルタアセンブリ160に含めることで、リード線211及び212に沿って進む雑音電流(RF漏れ電流)を効率良く無くし又は最小に抑えることが可能であり、これにより、取り付けられた電気部品(例えば、電力供給部165)が、RF漏れから影響を受けないと考えられる。インピーダンス生成要素の異なるインピーダンスが、異なる周波数を有するRF漏れ電流を遮断するために利用される。一実施例において、それぞれでインダクタンス(L)が増大するインピーダンス生成要素を有するフィルタアセンブリ160は、最初に、周波数がより高い雑音電流を遮断し、その後、雑音電流が入力端201から出力端202へと、連続する各インピーダンス生成要素Zを介して通るにつれて、周波数が下がっていく雑音電流を徐々に遮断する。
【0026】
接地されたインピーダンス要素305は、所望のRC値を有するよう構成され、最後のインピーダンス要素(例えば、Z)は、リード線211又は212を流れるどの残りの雑音電流も接地に流されるように、大きさが定められる。一実施形態において、最後のインピーダンス素子(例えば、Z)は、コモンモードチョークであり、このコモンモードチョークは、少なくとも第1のインピーダンス生成要素Z1内のトロイダルコアを形成するために利用された材料の透磁率(μ)よりも透磁率(μ)が高い高透磁率材料で形成されたトロイダルコアを含む。一般に、所望の数のインピーダンス生成要素、及びこれらのインピーダンスを選択して、或る範囲の周波数に亘ってもたらされる全てのRF漏れ電流を効果的に遮断することにより、接地されたインピーダンス要素305を介して接地に流れる電流の量が小さくなり、従って、接地にもたらされる漏れ電流の如何なる問題も回避される。一実施形態において、所望の数のインピーダンス生成要素と、接地されたインピーダンス素子305の構成と、の組み合わせが、接地されたインピーダンス要素305を介して通る出力電流を、150mAより小さくなるよう制限するために利用される。
【0027】
上述のように、図4は、プラズマ処理チャンバ100内に配置された、導電素子114と電力供給部165との間に結合されたフィルタアセンブリ160の概略図である。本例において、発電機150は、バイアス電極112においてパルス状の電圧を形成して、プラズマ107の特徴を変更するために利用されるパルスバイアス生成器である。バイアス電極112は、ESCアセンブリ内の誘電材料の薄層(例えば、キャパシタンスC3を形成する薄い誘電体層)によって、基板から隔てられている。発電機150は、基板処理時間の最大約90%の間、基板110の上でほぼ一定のプラズマシース電圧を維持することを可能とするパルス状電圧バイアススキームを形成するよう構成され、結果的に、単一の(狭義の)ピークイオンエネルギー分散機能(IEDF:ion energy distribution function)が得られる。
【0028】
発電機150から提供されるパルス状電圧バイアススキームの一例は、内部の発電機スイッチSが閉じられた(オン)ポジションにある期間中に、大きさがVの出力電圧(V)を伝達することを含むことができ、ほぼ一定の正の(Vと等しい)出力電圧が維持される。電圧(V)は、数キロボルト(例えば、0.1~10kV)もの高さでありうる。スイッチが閉じられた(オン)ポジションのままであり、かつほぼ一定の正の出力電圧が維持されている期間は、「パルス幅(pulse width)」、τと称され、長さが数十ナノ秒(例えば、10~100ns)でありうる。また、スイッチSが閉じた(オン)ポジションに移った後の、電圧(V)に達する期間は、「上昇時間(rise time)」、τriseと称され、同様に数十ナノ秒(例えば、25~50ns)でありうる。スイッチが、開いたポジションから閉じたポジションへと遷移する間、ナノ秒パルス生成器の出力電圧は、電圧Vに達するまで徐々に上昇する。最終的に、開いた(オフ)ポジションから閉じた(オン)ポジションへと(又は、その逆方向も然り)遷移するスイッチSからの、2つの連続的な遷移の間の時間の長さは「周期(period)」、Tと称され、その逆数がパルス繰り返し周波数と等しく、バルス繰り返し周波数は、例えば400kHzもの高さでありうる。
【0029】
本明細書で開示される広帯域周波数フィルタアセンブリは、従来のフィルタ設計に対して重要な利点を有する。なぜならば、上記フィルタアセンブリは、広範囲の周波数においてもたらされる漏れ電流をフィルタで除去して、当該漏れ電流の転送を最小に抑えるからである。本明細書に記載の構成はまた、バイアス電極に供給されるパルスの歪みを最小に抑え、フィルタアセンブリの出力端において、接地に伝達される漏れ電流を150mAより小さい値まで最小に抑え、様々なインピーダンス生成要素によって生成される熱量が、インピーダンス生成要素の構成に起因して、同じプラズマ処理装置に同様に接続された従来のフィルタ設計に対して非常に小さい。上述のように、所望のインピーダンス生成要素構成の詳細の幾つかは、フィルタアセンブリの入力端に対して直列に接続されたインピーダンス生成要素の向き、各インピーダンス生成要素の配線の種類及び巻回構成、及び、各インピーダンス生成要素内のトロイダルコアを作製する材料の選択を含むが、これらには限定されない。
図1
図2
図3
図4