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特許7495978平坦な上面を有するミリングされた構造要素の生成
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-28
(45)【発行日】2024-06-05
(54)【発明の名称】平坦な上面を有するミリングされた構造要素の生成
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/305 20060101AFI20240529BHJP
   H01J 37/317 20060101ALI20240529BHJP
【FI】
H01J37/305 A
H01J37/317 D
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022506789
(86)(22)【出願日】2020-07-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-04
(86)【国際出願番号】 US2020041439
(87)【国際公開番号】W WO2021025822
(87)【国際公開日】2021-02-11
【審査請求日】2023-05-29
(31)【優先権主張番号】16/530,331
(32)【優先日】2019-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504144253
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ イスラエル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】ダビデスク ロン
(72)【発明者】
【氏名】ザー イェフダ
【審査官】右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特表2000-515661(JP,A)
【文献】特表2003-520409(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミリングされた構造要素を生成するための方法であって、
間隙によって互いに離間された構造要素のアレイの各構造要素をミリングして、前記ミリングされた構造要素を提供するステップであり、前記アレイの各ミリングされた構造要素が平坦な上面を有し、前記ミリングの前に、前記各構造要素が特定の幅の平坦な上面を有し、前記特定の幅がナノメートルスケールである、ステップと、
前記ミリングが、前記各構造要素の長手方向軸に沿って前記特定の幅のデフォーカスされたイオンビームを走査するステップを含み、
前記デフォーカスされたイオンビームの電流強度が、前記デフォーカスされたイオンビームの中央部からの距離とともに減少する、
方法。
【請求項2】
前記特定の幅に関する構造要素情報を受信するステップと、前記特定の幅の前記デフォーカスされたイオンビームを提供するために少なくとも1つのミリングパラメータを決定するステップと、を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アレイの均等にミリングされた構造要素の上部の形状を受信または決定するステップと、
前記均等にミリングされた構造要素の前記上部の前記形状が平坦な頂面を有することからの偏差を補償するミリング方式を決定するステップと、
前記各構造要素の前記ミリング中に前記ミリング方式を適用するステップと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ミリング方式を決定する前記ステップが、ミリング走査パターンと、前記デフォーカスされたイオンビームのデフォーカス強度またはデフォーカスされたイオンビーム電流分布のうちの少なくとも1つを含む1つもしくは複数の追加のミリングパラメータと、を決定するステップを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記デフォーカスされたイオンビームが、前記アレイの前記構造要素の前記平坦な上面よりも上にまたは下に焦点面を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
コントローラと
集束イオンビームモジュールと、を備えるミリング装置であって、
前記集束イオンビームモジュールが、前記コントローラの制御下で、間隙によって互いに離間された構造要素のアレイの各構造要素をミリングして、ミリングされた構造要素を提供するように構成され、各ミリングされた構造要素が平坦な上面を有し、ミリングの前に、前記各構造要素が特定の幅の平坦な上面を有し、前記特定の幅がナノメートルスケールであり、
前記集束イオンビームモジュールによる前記各構造要素のミリングが、前記各構造要素の長手方向軸に沿って前記特定の幅のデフォーカスされたイオンビームを走査するステップを含み、
前記デフォーカスされたイオンビームの電流強度が、前記デフォーカスされたイオンビームの中央部からの距離とともに減少する、
ミリング装置。
【請求項7】
前記コントローラが、前記特定の幅に関する構造要素情報を受信し、前記特定の幅の前記デフォーカスされたイオンビームを提供するために少なくとも1つのミリングパラメータを決定するように構成されている、請求項6に記載のミリング装置。
【請求項8】
前記コントローラが、
前記アレイの均等にミリングされた構造要素の上部の形状を受信または決定し、
前記均等にミリングされた構造要素の前記上部の前記形状が平坦な頂面を有することからの偏差を補償するミリング方式を決定するように構成され、
前記集束イオンビームモジュールが、前記各構造要素の前記ミリング中に前記ミリング方式を適用するように構成されている、
請求項6に記載のミリング装置。
【請求項9】
前記コントローラが、ミリング走査パターンと、前記デフォーカスされたイオンビームのデフォーカス強度またはデフォーカスされたイオンビームの電流分布のうちの少なくとも1つを含む1つもしくは複数の追加のミリングパラメータと、を決定することによって、前記ミリング方式を決定するように構成されている、請求項8に記載のミリング装置。
【請求項10】
前記デフォーカスされたイオンビームが、前記アレイの前記構造要素の前記平坦な上面よりも下に焦点面を有する、請求項6に記載のミリング装置。
【請求項11】
ミリングされた構造要素を生成するための命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記命令がミリング装置に、
間隙によって互いに離間された構造要素のアレイの各構造要素をミリングして、前記ミリングされた構造要素を提供するステップであって、各ミリングされた構造要素が平坦な上面を有し、前記ミリングするステップの前に、前記各構造要素が特定の幅の平坦な上面を有し、前記特定の幅がナノメートルスケールである、ステップを含む方法を実行させ、
前記ミリングが、前記各構造要素の長手方向軸に沿って前記特定の幅のデフォーカスされたイオンビームを走査するステップを含み、
前記デフォーカスされたイオンビームの電流強度が、前記デフォーカスされたイオンビームの中央部からの距離とともに減少する、
非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項12】
前記方法が、前記特定の幅に関する構造要素情報を受信するステップと、前記特定の幅の前記デフォーカスされたイオンビームを提供するために少なくとも1つのミリングパラメータを決定するステップと、をさらに含む、請求項11に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項13】
前記方法が、
前記アレイの均等にミリングされた構造要素の上部の形状を受信または決定するステップと、
前記均等にミリングされた構造要素の前記上部の前記形状が平坦な頂面を有することからの偏差を補償するミリング方式を決定するステップと、
前記各構造要素の前記ミリング中に前記ミリング方式を適用するステップと、
をさらに含む、請求項11に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項14】
前記ミリング方式を前記決定するステップが、ミリング走査パターンと、前記デフォーカスされたイオンビームのデフォーカス強度またはデフォーカスされたイオンビームの電流分布のうちの少なくとも1つを含む1つもしくは複数の追加のミリングパラメータと、を決定するステップを含む、請求項13に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項15】
前記デフォーカスされたイオンビームが、前記アレイの前記構造要素の前記平坦な上面よりも下に焦点面を有する、請求項11に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年8月2日に出願された米国非仮出願第16/530,331号の利益を主張するものであり、その内容全体がすべての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
様々な半導体物体(例えば、半導体ウエハ、ディスプレイパネル、ソーラーウエハ)などの物体は、実質的に矩形の断面を有し、空の間隙によって互いに分離された構造要素のアレイを含むことがある。このような構造要素の非限定的な例としては、メモリセル、メモリアレイなどを挙げることができる。
【0003】
これらの構造要素を均等にミリングすると、三角形断面などの傾斜断面を有するミリングされた構造要素が生じる。均等なミリングは、実質的に各点がミリングプロセス中に実質的に同じ量の放射エネルギーを受けた場合に得られる。
【0004】
三角形断面は、放出される材料原子の数が構造要素のエッジ付近で増加するために得られる。照射された材料原子が構造要素から抜け出す機会は、照射された材料原子が構造要素の任意の外部表面に近いほど増加する。したがって、構造要素の側壁により近い照射された材料原子は、構造要素の頂面だけでなく、構造要素の側壁を通って抜け出すことがある。したがって、実際のミリング収率(milling yield)は、構造要素の中心からの距離に応じて増加する。
【0005】
図1は、上から下に、以下を示す。
a.ミリング前の構造要素111のアレイ。
構造要素111は、間隙115によって互いに離間されている。各構造要素は、平坦な頂面112と、垂直側壁113および114とを有する。アレイの異なる構造要素は、理想的には同一であると仮定されている。
b.部分的にミリングされた構造要素121のアレイ。
部分的にミリングされた構造要素121は、第1のミリングの反復の結果である。部分的にミリングされた構造要素のそれぞれの頂部は、三角形断面を有する。部分的にミリングされた構造要素のそれぞれの下部は側壁を有する。部分的にミリングされた構造要素121は、間隙125によって離間されている。
c.ミリングされた構造要素131のアレイ。
ミリングされた構造要素は、第2のミリングの反復の結果である。ミリングされた構造要素131のそれぞれは、三角形断面を有する。ミリングされた構造要素131は、間隙135によって離間されている。
【0006】
平坦な頂面を有するミリングされた構造要素を生成する必要性が高まっている。
【発明の概要】
【0007】
ミリングされた構造要素を生成するための方法を提供することができ、本方法は、間隙によって互いに離間された構造要素のアレイの各構造要素をミリングして、ミリングされた構造要素を提供するステップであって、アレイの各ミリングされた構造要素が平坦な上面を有し、ミリングの前に、各構造要素が特定の幅の平坦な上面を有し、特定の幅がナノメートルスケールである、ステップを含む。本方法はまた、ミリングするステップが、各構造要素の長手方向軸に沿って、特定の幅のデフォーカスされたイオンビームを走査するステップを含む場合を含む。本方法はまた、デフォーカスされたイオンビームの電流強度が、デフォーカスされたイオンビームの中央部からの距離とともに減少する場合を含む。
【0008】
コントローラを含むミリング装置を提供することができる。ミリング装置はまた、集束イオンビームモジュールを含む。ミリング装置はまた、集束イオンビームモジュールが、コントローラの制御下で、間隙によって互いに離間された構造要素のアレイの各構造要素をミリングして、ミリングされた構造要素を提供するように構成され、各ミリングされた構造要素が平坦な上面を有し、ミリング前に、各構造要素が特定の幅の平坦な上面を有し、特定の幅がナノメートルスケールである場合を含む。ミリング装置はまた、集束イオンビームモジュールによる各構造要素のミリングが、各構造要素の長手方向軸に沿って特定の幅のデフォーカスされたイオンビームを走査するステップを含む場合を含む。ミリング装置はまた、デフォーカスされたイオンビームの電流強度が、デフォーカスされたイオンビームの中央部からの距離とともに減少する場合を含む。
【0009】
ミリングされた構造要素を生成するための命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体を提供することができ、本命令は、間隙によって互いに離間された構造要素のアレイの各構造要素をミリングして、ミリングされた構造要素を提供するステップであって、各ミリングされた構造要素が平坦な上面を有し、ミリングする前に、各構造要素が特定の幅の平坦な上面を有し、特定の幅がナノメートルスケールである、ステップを含む方法をミリング装置に実行させる。非一時的コンピュータ可読媒体はまた、ミリングが、各構造要素の長手方向軸に沿って特定の幅のデフォーカスされたイオンビームを走査するステップを含む場合を含む。非一時的コンピュータ可読媒体はまた、デフォーカスされたイオンビームの電流強度が、デフォーカスされたイオンビームの中央部からの距離とともに減少する場合を含む。
【0010】
特許請求される主題の例は、本明細書の結論部分において特に指摘され、明確に特許請求され得る。しかしながら、本開示の実施形態は、その目的、特徴、および利点とともに、構成および動作方法の両方に関して、添付の図面とともに読まれるとき、以下の詳細な説明を参照することによって最もよく理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】先行技術の構造要素、先行技術の部分的にミリングされた構造要素、および先行技術のミリングされた構造要素の例である。
図2】本開示の1つまたは複数の実施形態による構造要素、ミリングされた構造要素、およびデフォーカスされたイオンビーム電流強度分布の例である。
図3】方法の例である。
図4】本開示の1つまたは複数の実施形態による構造要素、走査パターンの走査線、およびデフォーカスされたイオンビーム電流強度分布の例である。
図5】本開示の1つまたは複数の実施形態による構造要素および走査パターンの一部の例である。
図6】集束イオンビームモジュールおよびコントローラの例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図を簡単および明確にするために、図に示されている要素は、必ずしも縮尺通りには描かれていないことを理解されるであろう。例えば、要素の一部の寸法は、明確にするために他の要素に比べて誇張されることがある。さらに、適切であると考えられる場合は、参照数字は、対応するまたは類似する要素を示すために、各図間で繰り返されることがある。
【0013】
以下の詳細な説明では、本開示の実施形態の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が記載される。しかしながら、本開示の本実施形態は、これらの具体的な詳細なしに実施され得ることが当業者によって理解されるであろう。他の事例では、本開示の本実施形態を不明瞭にしないように、よく知られている方法、手順、および構成要素は詳細に説明されていない。
【0014】
本開示の実施形態と見なされる主題は、本明細書の結論部分において特に指摘され、明確に特許請求される。しかしながら、本開示の実施形態は、その目的、特徴、および利点とともに、構成および動作方法の両方に関して、添付の図面とともに読まれるとき、以下の詳細な説明を参照することによって最もよく理解され得る。
【0015】
本開示の本実施形態の図示される実施形態は、大部分が、当業者に知られている電子構成要素および回路を使用して実装され得るため、詳細は、本開示の本実施形態の基礎となる概念の理解および認識のために、および本開示の本実施形態の教示を不明瞭にしないために、または本開示の本実施形態の教示から逸脱しないために、上記で例示されたように必要と考えられる範囲を超えては説明されない。
【0016】
本明細書における方法へのいかなる言及も、その方法を実行することができるミリング装置に、必要な変更を加えて、適用されるべきであり、コンピュータによって実行されるとその方法の実行をもたらす命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体に、必要な変更を加えて、適用されるべきである。
【0017】
本明細書におけるシステムへのいかなる言及も、システムによって実行され得る方法に、必要な変更を加えて、適用されるべきであり、ミリング装置によって実行され得る命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体に、必要な変更を加えて、適用されるべきである。
【0018】
本明細書における非一時的コンピュータ可読媒体へのいかなる言及も、非一時的コンピュータ可読媒体に記憶された命令を実行することができるミリング装置に、必要な変更を加えて、適用されるべきであり、非一時的コンピュータ可読媒体に記憶された命令を読み取るコンピュータによって実行され得る方法に、必要な変更を加えて、適用されるべきである。
【0019】
間隙によって互いに離間された構造要素をミリングして、平坦な頂面を有するミリングされた構造要素を提供するためのミリング装置、方法、および非一時的コンピュータ可読媒体を提供することができる。
【0020】
構造要素全体にわたる実際のミリング収率の差を補償し、照射された材料原子と構造要素の側壁との間の距離にかかわらず、照射された原子材料が構造要素から出る機会を実質的に同じにする必要がある。
【0021】
実質的という用語は、限定された量の偏差を指すことができる。例えば、最大5%、10%、15%などである。
【0022】
図2は、本開示の1つまたは複数の実施形態による構造要素111、ミリングされた構造要素151、およびデフォーカスされたイオンビーム電流強度分布162の例である。
【0023】
図2は、上から下に、以下を示す。
a.デフォーカスされたイオンビーム電流強度分布162の例。
デフォーカスされたイオンビームの電流強度は、デフォーカスされたイオンビームの中央部163からの距離とともに減少する。電流強度は、デフォーカスされたイオンビームの中央部163で高くなり、デフォーカスされたイオンビームのエッジ付近で低くなっている。これにより、照射された材料原子と構造要素の側壁との間の距離にかかわらず、照射された原子材料が構造要素から出る機会が実質的に同じになる。
b.ミリング前の構造要素111のアレイ。
構造要素111は、間隙115によって互いに離間され、平坦な頂面112ならびに垂直側壁113および114を有する。間隙115は、構造要素111の垂直側壁間の空間であり得る。間隙は、半導体製造プロセス中に生成され、半導体製造プロセスの後のステップにおいて材料で充填されることになる空隙であり得る。各構造要素の高さは、116と表記されている。各構造要素の幅は、117と表記されている。
c.矩形断面を有するミリングされた構造要素151のアレイ。
各ミリングされた構造要素151は、平坦な頂面152ならびに垂直側壁153および154を有する。ミリングされた構造要素151は、間隙155によって離間されている。各ミリングされた構造要素の高さは、118と表記されている。
【0024】
図3は、ミリングされた構造要素を生成するための方法200の例を示す。
【0025】
方法200は、構造要素のアレイに関連する構造要素情報を受信するステップ210によって開始することができる。アレイは、間隙によって互いに離間された構造要素を含む。各構造要素は、特定の幅の平坦な上面を有してもよい。特定の幅は、ナノメートルスケール(例えば100ナノメートル~1000ナノメートル)である。各構造要素は、垂直側壁を有することができる。
【0026】
構造要素情報は、(各構造要素の)特定の幅を規定することができる。
【0027】
ステップ210の後に、構造要素情報に少なくとも部分的に基づいて、ミリング方式を決定するステップ220が続くことができる。
【0028】
ステップ220は、以下の少なくとも1つを含むことができる。
a.特定の幅のデフォーカスされたイオンビームを提供するために少なくとも1つのミリングパラメータを決定するステップ221。
デフォーカスされたイオンビームは、デフォーカスされたイオンビームが構造要素の平坦な上面に当たる位置で特定の幅を有する。
b.デフォーカスされたイオンビームの所望の電流強度分布を決定するステップ222。
c.ミリング走査パターンおよび1つまたは複数の追加のミリングパラメータを決定するステップ223。
1つまたは複数の追加のミリングパラメータは、デフォーカスされたイオンビームのデフォーカス強度、およびデフォーカスされたイオンビームの電流分布を含むことができる。
d.均等にミリングされたアレイの構造要素の上部の形状を受信または決定するステップ224。
e.均等にミリングされた構造要素の上部の形状の(平坦な頂面からの)偏差を補償するためのミリング方式を決定するステップ225。ステップ224は、ステップ225の前に行われてもよい。例えば、第1の関数が、均等にミリングされた構造要素の頂部の断面を表すと仮定すると、ミリング方式は、第2の関数に従った放射エネルギーで構造要素を照射すべきであり、第2の関数は、第1の関数と実質的に等しい。
f.少なくとも、ミリングプロセス中にミリングされる(構造要素の)1つまたは複数の材料に基づいて、ミリング方式を決定するステップ226。
g.少なくとも、ミリングされた構造要素の寸法に基づいて、ミリング方式を決定するステップ227。
h.少なくとも、ミリングされた構造要素の頂面の平滑度に基づいてミリング方式を決定するステップ228。
i.ミリング速度を決定するステップ229。
【0029】
ステップ220中に決定されるミリングパラメータは、デフォーカス強度、ミリングの持続時間、対物レンズに供給されるバイアス電圧、全体的なイオンビームエネルギー、イオンビームの全体的な電流のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0030】
デフォーカス強度は、デフォーカスされたイオンビームの電流分布に影響を与えることができる。
【0031】
ミリングの持続時間は、ミリングによる構造要素の高さの減少を決定することができる。
【0032】
対物レンズのバイアス電圧は、デフォーカス強度を制御する。
【0033】
全体的なデフォーカスされたイオンビームエネルギーは、デフォーカスに影響を与えないが、デフォーカスされたイオンビームエネルギーを強くすることで、デフォーカスされたイオンビームが構造要素の高さの減少を大きくすることができ、頂面の変形が低減され得る。
【0034】
全体的なイオンビーム電流は、デフォーカスを決定せず、ミリング速度を決定する。例えば、イオンビーム電流が高いほど、ミリングが速くなる。
【0035】
ステップ220は、ミリング方式と、ミリングされたおよび/またはミリングされていない構造要素の1つもしくは複数のパラメータとの間のマッピングを使用するステップを含むことができる。マッピングは、1つまたは複数の仕方で学習することができる。例えば、マッピングは、異なるミリングパラメータを適用しながら実行される実際のミリング操作に基づいてもよい。ミリングパラメータ値のすべての可能な組合せの一部のみがテストされてもよい。さらに別の例では、ミリング操作は、ミリングを行わなくても、ミリングのシミュレーションまたは他の推定に基づいてもよい。
【0036】
ステップ220の後に、アレイの各構造要素をミリングして、ミリングされた構造要素を提供するステップ230が続くことができる。各ミリングされた構造要素は、特定の幅の平坦な上面を有する。
【0037】
ステップ230は、構造要素の長手方向軸に沿って特定の幅のデフォーカスされたイオンビームを走査することによってアレイの各構造要素をミリングするステップを含むことができる。デフォーカスされたイオンビームの電流強度は、デフォーカスされたイオンビームの中央部からの距離とともに減少する。
【0038】
図4は、本開示の1つまたは複数の実施形態による構造要素111、走査パターンの走査線172、およびデフォーカスされたイオンビーム電流強度分布162の例である。
【0039】
走査線172は、構造要素111の長手方向軸(例えば、長手方向軸119)に平行であり、構造要素の中心に配置されている。
【0040】
これらの走査線に従うと、(デフォーカスされたイオンビーム電流強度分布162を有する)デフォーカスされたイオンビームは、構造要素111を「覆う」。
【0041】
各構造要素について、デフォーカスされたイオンビームの全体的な電流は、構造要素の垂直側壁からの距離とともに増加し、これにより、構造要素の側壁からの距離の減少に伴う材料の抽出の増加を補償する。
【0042】
図5は、構造要素111のアレイ110、構造要素間に形成された間隙115、ならびに走査線172およびカウンタ走査線171を含む走査パターン170の一部の例である。走査線172は、構造要素111の長手方向軸に平行であり、構造要素111の中心に配置されている。
【0043】
カウンタ走査線171は、アレイ110の外側に配置され、デフォーカスされたイオンビームを1つの走査線から別の走査線へと「移動させる」ために使用される。
【0044】
図6は、構造要素111のアレイ110と、ミリング装置の集束イオンビームモジュール10とを含む、半導体ウエハなどの物体40の例を示す。
【0045】
集束イオンビームモジュール10は、ビーム源14と、第1のレンズ18と、対物レンズ20と、電源ユニット30と、を含む。集束イオンビームモジュール10は、コントローラ34によって制御される。
【0046】
第1のレンズ18は、集光レンズおよび/または走査レンズであってもよい。
【0047】
対物レンズ20は、磁気レンズ22および静電レンズ24を含むことができる。バイアス電圧が静電レンズ24に印加されてもよい。
【0048】
集束イオンビームモジュール10は、追加の光学要素、他の光学要素などを含むことができる。
【0049】
集束イオンビームモジュール10は、デフォーカスされたイオンビーム62を生成することができる。
【0050】
デフォーカスされたイオンビーム62は、1回または複数回偏向されてもよい。
【0051】
図6は、対物レンズ20によって集束され、物体40の上面(第1の平面51に位置する)に到達するイオンビーム62を示す。焦点面52は、物体40の上面よりも下にある。物体40の上面は、構造要素の頂面の平面に位置していてもよい。デフォーカスされたイオンビームの焦点面は、上面よりも上にあってもよいことに留意されたい。
【0052】
デフォーカス強度ならびに他のミリングパラメータは、コントローラ34によって制御することができる。
【0053】
本開示の実施形態はまた、コンピュータシステムなどのプログラマブル装置上で実行されると、本開示の実施形態による方法のステップを実行するための、またはプログラマブル装置が本開示の実施形態によるデバイスまたはシステムの機能を実行することを可能にするためのコード部分を少なくとも含む、コンピュータシステム上で実行するためのコンピュータプログラムに実装されてもよい。コンピュータプログラムは、ストレージシステムに、ディスクドライブをディスクドライブグループに割り当てさせることができる。
【0054】
コンピュータプログラムは、特定のアプリケーションプログラムおよび/またはオペレーティングシステムなどの命令のリストである。コンピュータプログラムは、例えば、サブルーチン、関数、手順、オブジェクトメソッド、オブジェクトインプリメンテーション、実行可能なアプリケーション、アプレット、サーブレット、ソースコード、オブジェクトコード、共有ライブラリ/ダイナミックロードライブラリ、および/またはコンピュータシステム上での実行のために設計された命令の他のシーケンスのうちの1つもしくは複数を含むことができる。
【0055】
コンピュータプログラムは、非一時的コンピュータ可読媒体に内部的に記憶されてもよい。コンピュータプログラムのすべてまたは一部は、情報処理システムに恒久的に、取り外し可能に、または遠隔で結合されたコンピュータ可読媒体上で提供されてもよい。コンピュータ可読媒体は、例えば、ディスクおよびテープ記憶媒体を含む磁気記憶媒体、コンパクトディスク媒体およびデジタルビデオディスク記憶媒体などの光学記憶媒体、フラッシュメモリ、消去可能メモリユニット、または強磁性デジタルメモリなどの半導体ベースのメモリユニットを含む不揮発性メモリ記憶媒体、メモリスタ、レジスタ、バッファもしくはキャッシュを含む揮発性記憶媒体、メインメモリなどの任意の数のものを含むことができるが、これらに限定されない。
【0056】
コンピュータプロセスは、通常、実行中の(稼働中の)プログラムまたはプログラムの一部、現在のプログラムの値および状態情報、ならびにプロセスの実行を管理するためにオペレーティングシステムによって使用されるリソースを含む。オペレーティングシステム(OS)は、コンピュータのリソースの共有を管理し、それらのリソースにアクセスするために使用されるインターフェースをプログラマに提供するソフトウェアである。オペレーティングシステムは、システムデータおよびユーザ入力を処理し、システムのユーザおよびプログラムへのサービスとして、タスクおよび内部システムリソースを割り当て、管理することによって応答する。
【0057】
コンピュータシステムは、例えば、少なくとも1つの処理ユニット、関連付けられたメモリ、およびいくつかの入出力(I/O)デバイスを含むことができる。コンピュータプログラムを実行すると、コンピュータシステムは、コンピュータプログラムに従って情報を処理し、I/Oデバイスを介して結果として得られる出力情報を生成する。
【0058】
前述の明細書において、本開示の実施形態は、本開示の実施形態の特定の例を参照して説明されてきた。しかしながら、添付の特許請求の範囲に記載されるような本開示の実施形態のより幅広い精神および範囲から逸脱することなく、様々な修正および変更を行うことができることは明白であろう。
【0059】
さらに、本明細書および特許請求の範囲における「正面」、「背面」、「上部」、「底部」、「上」、「下」などの用語は、存在する場合は、説明の目的のために使用され、必ずしも恒久的な相対的位置を説明するために使用されているわけではない。そのように使用される用語は、本明細書に記載された本開示の実施形態が、例えば、本明細書に図示された、またはその他の方法で説明されたもの以外の配向で動作することができるように、適切な状況下で交換可能であることを理解されたい。
【0060】
特定の導電型または電位の極性が実施例に記載されているが、導電型および電位の極性は、逆であってもよいことが理解されるであろう。
【0061】
本明細書に記載された各信号は、正論理または負論理として設計されてもよい。負論理信号の場合、信号は、論理的に真の状態が論理レベル0に対応するアクティブローである。正論理信号の場合、信号は、論理的に真の状態が論理レベル1に対応するアクティブハイである。本明細書に記載された信号のいずれも、負論理信号または正論理信号のいずれかとして設計することができることに留意されたい。したがって、代替の実施形態では、正論理信号として記載された信号は、負論理信号として実施されてもよく、負論理信号として記載された信号は、正論理信号として実施されてもよい。
【0062】
さらに、「アサート」または「セット」および「ネゲート」(または「デアサート」もしくは「クリア」)という用語は、本明細書では、信号、ステータスビット、または同様の装置をそれぞれその論理的に真または論理的に偽の状態にすることを指すときに使用される。論理的に真の状態が論理レベル1である場合、論理的に偽の状態は、論理レベル0である。そして、論理的に真の状態が論理レベル0である場合、論理的に偽の状態は、論理レベル1である。
【0063】
当業者は、論理ブロック間の境界が単に例示であり、代替の実施形態は、論理ブロックもしくは回路要素をマージすることができ、または様々な論理ブロックもしくは回路要素に機能の代替的な分解を課すことができることを認識するであろう。したがって、本明細書に示されるアーキテクチャは、単に例示であり、実際には、同じ機能を達成する他の多くのアーキテクチャを実装することができることを理解されたい。
【0064】
同じ機能を達成するための構成要素のいかなる配置も、所望の機能が達成されるように、効果的に「関連付けられる」。したがって、特定の機能性を達成するように本明細書において組み合わされる2つのいかなる構成要素も、アーキテクチャまたは中間の構成要素とは無関係に、所望の機能性が実現されるように互いに「関連付けられている」と見なされてもよい。同様に、そのように関連付けられた任意の2つの構成要素は、所望の機能を達成するために、互いに「動作可能に接続されている」、または「動作可能に結合されている」と見なすことができる。
【0065】
さらに、当業者は、上述した動作間の境界が単に例示であることを認識するであろう。複数の動作は、単一の動作に結合されてもよく、単一の動作は、追加の動作に分散されてもよく、動作は、時間的に少なくとも部分的に重複して実行されてもよい。さらに、代替の実施形態は、特定の動作の複数のインスタンスを含んでもよく、動作の順番は、様々な他の実施形態において変更されてもよい。
【0066】
また、例えば、一実施形態において、図示された例は、単一の集積回路上または同じデバイス内に位置する回路として実装されてもよい。あるいは、実施例は、適切なやり方で互いに相互接続された任意の数の別個の集積回路または別個のデバイスとして実装されてもよい。
【0067】
また、例えば、実施例またはその一部は、物理的な回路または物理的な回路に変換可能な論理表現のソフト表現もしくはコード表現として、任意の適切なタイプのハードウェア記述言語などで実装されてもよい。
【0068】
また、本開示の実施形態は、非プログラマブルハードウェアに実装された物理的な装置またはユニットに限定されず、メインフレーム、ミニコンピュータ、サーバ、ワークステーション、パーソナルコンピュータ、ノートパッド、携帯情報端末、電子ゲーム、自動車および他の組込みシステム、携帯電話、ならびに本出願では一般に「コンピュータシステム」と呼ばれる様々な他のワイヤレス装置などの、適切なプログラムコードに従って動作することによって所望の装置機能を実行することができるプログラマブル装置またはユニットにおいて適用することもできる。
【0069】
しかしながら、他の修正形態、変形形態、および代替形態も可能である。明細書および図面は、それに応じて、限定的な意味ではなく例示的な意味で考えられるべきである。
【0070】
特許請求の範囲において、括弧間に配置されたいかなる参照符号も、特許請求の範囲を限定するものとして解釈されないものとする。「備える」という単語は、請求項に列記されたもの以外の他の要素またはステップの存在を排除するものではない。さらに、本明細書で使用されるように、「1つ(a)」または「1つ(an)」という用語は、1つまたは2つ以上として定義される。また、特許請求の範囲における「少なくとも1つ」もしくは「1つまたは複数」などの導入句の使用は、同じ請求項が導入句「1つまたは複数」もしくは「少なくとも1つ」、および「1つ(a)」もしくは「1つ(an)」などの不定冠詞を含んでいる場合でさえ、不定冠詞「1つ(a)」もしくは「1つ(an)」による別の請求項要素の導入が、そのような導入された請求項要素を含む任意の特定の請求項を、そのような要素を1つだけ含む実施形態に限定することを暗示すると解釈されるべきではない。同じことが定冠詞の使用に当てはまる。別段の記載がない限り、「第1」および「第2」などの用語は、そのような用語が説明する要素間を任意に区別するために使用される。したがって、これらの用語は、必ずしもそのような要素の時間的または他の優先順位付けを示すことを意図したものではない。特定の手段が互いに異なる請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組合せを有利に使用することができないことを示すものではない。
【0071】
本開示の実施形態の特定の特徴が本明細書に例示され説明されてきたが、多くの修正形態、置換形態、変更形態、および均等物がここで、当業者には想到されるであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本開示の実施形態の真の精神の範囲内に入るようなそのような修正形態および変更形態をすべて網羅することが意図されていることを理解されたい。
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