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特許7496367リソグラフィ装置、計測装置、光学システムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-29
(45)【発行日】2024-06-06
(54)【発明の名称】リソグラフィ装置、計測装置、光学システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/00 20060101AFI20240530BHJP
   G03F 9/00 20060101ALI20240530BHJP
【FI】
G01B11/00 A
G03F9/00 H
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021555003
(86)(22)【出願日】2020-02-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-28
(86)【国際出願番号】 EP2020055227
(87)【国際公開番号】W WO2020182488
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2023-02-28
(31)【優先権主張番号】62/818,054
(32)【優先日】2019-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503195263
【氏名又は名称】エーエスエムエル ホールディング エヌ.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100134256
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 武司
(72)【発明者】
【氏名】スミルノフ、スタニスラフ
【審査官】眞岩 久恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-165859(JP,A)
【文献】特開2012-053048(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
G02B 5/00-5/136
G03F 7/20-7/24
G03F 9/00-9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の高さを測定するように構成されたレベルセンサの感度を、前記レベルセンサ内の光学部品の特性の変化に対して低減する方法であって、
放射のビームを回折素子に向けることであって、前記ビームは第1偏光と、前記第1偏光に垂直な第2偏光とを有することと、
光学システムを介して、前記ビームを第1入射角で第1反射素子に向けることと、
を備え、
前記第1反射素子は、前記ビームを第2入射角で第2反射素子に向けて反射し、前記ビームを前記基板に衝突させ、
前記第1入射角および前記第2入射角は、前記第1反射素子および前記第2反射素子のうちの少なくとも1つの層の特性によって与えられる、前記ビームの前記第2偏光に対する前記第1偏光の強度比の変動を低減するように選択される、方法。
【請求項2】
前記第1入射角および前記第2入射角が45度を超えない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1入射角および前記第2入射角が10度から30度の間である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1反射素子および前記第2反射素子は、前記第1反射素子によって受け取られたビームが、前記第2反射素子によって反射されたビームと交差するように構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記光学システムは、第3反射素子、第4反射素子、および第5反射素子を備え、
前記回折素子は、前記ビームを前記第3反射素子に向けるように構成され、
前記第3反射素子は、前記回折素子から前記第4反射素子に向かってビームを反射するように構成され、
前記第4反射素子は、前記第3反射素子から前記第5反射素子に向かって前記ビームを反射し、前記第5反射素子によって反射されたビームを受け取り、前記第5反射素子から前記第1反射素子に向かって前記ビームを前記第1入射角で反射するように構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記層の特性は、前記層の厚さを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記層の特性は、前記層の誘電率、屈折率、および/または原子組成を含む誘電特性を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
第1偏光および前記第1偏光に垂直である第2偏光を有する放射のビームを方向づけるための光学システムであって、
回折素子と、
第1反射素子および第2反射素子と、
を備え、
前記回折素子は、前記ビームが第1入射角で前記第1反射素子に衝突するように、当該光学システム内で前記ビームを向けるように構成され、
前記第1反射素子は、前記ビームが基板に衝突するように、第2入射角で前記第2反射素子に向かって前記ビームを反射するように構成され、
前記第1入射角および前記第2入射角は、前記第1反射素子および前記第2反射素子のうちの少なくとも1つの層の特性によって与えられる、前記ビームの前記第2偏光に対する前記第1偏光の強度比の変動を低減するように選択される、光学システム。
【請求項9】
前記第1入射角および前記第2入射角が45度を超えない、請求項8に記載の光学システム。
【請求項10】
前記第1入射角および前記第2入射角が10度から30度の間である、請求項8に記載の光学システム。
【請求項11】
前記第1反射素子および前記第2反射素子は、前記第1反射素子によって受け取られたビームが、前記第2反射素子によって反射されたビームと交差するように構成される、請求項8に記載の光学システム。
【請求項12】
第3反射素子、第4反射素子、および第5反射素子をさらに備え、
前記回折素子は、前記ビームを前記第3反射素子に向けるように構成され、
前記第3反射素子は、前記回折素子から前記第4反射素子に向かってビームを反射するように構成され、
前記第4反射素子は、前記第3反射素子から前記第5反射素子に向かってビームを反射し、前記第5反射素子によって反射されたビームを受け取り、前記第5反射素子から前記第1反射素子に向かって前記ビームを前記第1入射角で反射するように構成される、請求項8に記載の光学システム。
【請求項13】
前記層の特性は、前記層の厚さを含む、請求項8に記載の光学システム。
【請求項14】
前記層の特性は、前記層の誘電率、屈折率、および/または原子組成を含む誘電特性を含む、請求項8に記載の光学システム。
【請求項15】
第1偏光と、前記第1偏光に垂直な第2偏光とを有する放射のビームを生成するように構成された放射源と、
前記放射のビームを基板に向けるように構成された光学システムであって、
回折素子と、
第1反射素子および第2反射素子と、を備え、
前記回折素子は、前記ビームが第1入射角で前記第1反射素子に衝突するように、前記光学システム内でビームを向けるように構成され、
前記第1反射素子は、前記ビームが前記基板に衝突するように、第2入射角で前記第2反射素子に向かって前記ビームを反射するように構成され、
前記第1入射角および前記第2入射角は、前記第1反射素子および前記第2反射素子のうちの少なくとも1つの層の特性によって与えられる、前記ビームの前記第2偏光に対する前記第1偏光の強度比の変動を低減するように選択される、光学システムと、
前記基板によって散乱された放射を受け取り、受け取った放射に基づいて信号を生成するように構成された検出器であって、前記信号が前記基板の高さの情報を含む検出器と、 を備える計測システム。
【請求項16】
前記第1入射角および前記第2入射角が45度を超えない、請求項15に記載の計測システム。
【請求項17】
前記第1入射角および前記第2入射角が10度から30度の間である、請求項15に記載の計測システム。
【請求項18】
前記第1反射素子および前記第2反射素子は、前記第1反射素子によって受け取られたビームが、前記第2反射素子によって反射されたビームと交差するように構成される、請求項15に記載の計測システム。
【請求項19】
第3反射素子、第4反射素子、および第5反射素子をさらに備え、
前記回折素子は、前記ビームを前記第3反射素子に向けるように構成され、
前記第3反射素子は、前記回折素子から前記第4反射素子に向かって前記ビームを反射するように構成され、
前記第4反射素子は、前記第3反射素子から前記第5反射素子に向かって前記ビームを反射し、前記第5反射素子によって反射されたビームを受け取り、前記第5反射素子から前記第1反射素子に向かって前記ビームを前記第1入射角で反射するように構成される、請求項15に記載の計測システム。
【請求項20】
前記層の特性は、前記層の厚さ、前記層の誘電率、屈折率、および/または原子組成を含む、請求項15に記載の計測システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
この出願は、2019年3月13日に出願された米国仮特許出願第62/818,054号の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、計測装置およびシステム、例えば、リソグラフィ装置およびシステムのための位置センサに関する。
【背景技術】
【0003】
リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板に、通常は基板のターゲット部分に転写する機械である。リソグラフィ装置は例えば集積回路(IC)または機能するように設計された他のデバイスの製造に用いられる。その場合、マスクまたはレチクルとも呼ばれるパターニングデバイスを使用して、機能するよう設計されたデバイスの個々のレイヤに形成されるべき回路パターンを作成することができる。このパターンは、基板(例えばシリコンウェハ)上のターゲット部分(例えば一つまたは複数のダイの一部を含む)に転写することができる。パターンの転写は、通常、基板上に設けられる放射感応性材料(レジスト)の層上に結像される。一般に、単一の基板は、連続してパターン形成される隣接するターゲット部分のネットワークを含む。公知のリソグラフィ装置にはいわゆるステッパとスキャナとがある。ステッパにおいては、目標部分にパターン全体を一度に露光することにより各目標部分は照射を受ける。スキャナにおいては、所与の方向(スキャン方向)に放射ビームによりパターンを走査するとともに基板をこの方向と平行または逆平行に走査するようにして各目標部分は照射を受ける。パターニングデバイスから基板へのパターン転写は、基板にパターンをインプリントすることによっても可能である。
【0004】
半導体デバイスなどのデバイスの製造は、通常、いくつかの製造プロセスを使用して基板(例えば、半導体ウェーハ)を処理して、デバイスの様々なフィーチャおよび多くの場合複数の層を形成することを含む。そのような層および/またはフィーチャは、典型的には、例えばデポジション、リソグラフィ、エッチング、化学機械研磨、およびイオン注入などを使用して製造および処理される。複数のデバイスは、基板上の複数のダイ上に製造され、その後、個々のデバイスに分離され得る。このデバイス製造プロセスは、パターニングプロセスと見なすことができる。パターニングプロセスは、リソグラフィ装置を使用する光学的および/またはナノインプリントリソグラフィなどの、基板上にパターンを提供するパターン転写ステップを含み、典型的には、任意選択であるが、現像装置によるレジスト現像、ベークツールを使用した基板のベーキング、エッチング装置によるパターンのエッチングなどの、1つまたは複数の関連するパターン処理ステップを含む。さらに、1つまたは複数の計測プロセスがパターニングプロセスに含まれる。
【0005】
計測プロセスは、プロセスを監視および/または制御するために、パターニングプロセス中の様々なステップで使用される。たとえば、計測プロセスは、たとえば、1つまたは複数の特性からパターニングプロセスのパフォーマンスを決定できるように、パターニングプロセス中に基板上に形成されたフィーチャの相対的な位置(例えばレジストレーション、オーバーレイ、アライメントなど)や寸法(例えば線幅、限界寸法(CD)、厚さなど)などの、基板の1つまたは複数の特性を測定するために使用される。1つまたは複数の特性が許容できない場合(例えば、特性の所定の範囲外)、例えば、1つまたは複数の特性の測定に基づいて、パターニングプロセスによって製造された基板が許容可能な特性を有するように、パターニングプロセスの1つまたは複数の変数を設計または変更することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
リソグラフィおよび他のパターニングプロセス技術の進歩に伴い、デバイスあたりのトランジスタなどの機能素子の量が数十年にわたって着実に増加している一方で、機能素子の寸法は継続的に縮小されてきた。その間、オーバーレイ、限界寸法(CD)などに関して、精度の要件はますます厳しくなってきている。オーバーレイのエラー、CDのエラーなどのエラーは、パターニングプロセスで必然的に発生する。例えば、イメージングエラーは、光学収差、パターニングデバイスの加熱、パターニングデバイスのエラー、および/または基板の加熱から生成される可能性があり、例えばオーバーレイ、CDなどの観点から特徴付けることができる。追加的または代替的に、エラーは、エッチング、現像、ベークなどのようなパターニングプロセスの他の部分に導入される可能性があり、同様に、例えばオーバーレイ、CDなどに関して特徴付けることができる。エラーは、デバイスの機能に関して問題を引き起こす可能性がある。問題は、デバイスが機能しないこと、または機能しているデバイスの1つ以上の電気的問題を含む。したがって、1つまたは複数のこれらのエラーを特徴付け、これらのエラーの1つまたは複数を低減または最小化するためのパターン化プロセスを設計、修正、制御などするための措置を講じることが望ましい。
【0007】
計測システムは、通常、リソグラフィプロセスによって生成されるエラーの特性を明らかにするために使用される。計測システムは通常、基板上のターゲットの位置を正確に測定するために、再現性のある製造と光学部品の配置を必要とする。同じように設計および製造された計測システムは、一致する、または少なくとも所定の許容範囲内の測定値を発出できることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
いくつかの実施形態では、基板の高さを測定するように配置されたレベルセンサの感度を、レベルセンサ内の光学部品の特性の変化に対して低減する方法は、放射のビームを回折要素に向けることと、光学システムを介して、ビームを第1入射角で第1反射素子に向けることを含む。ビームは、第1偏光と、第1偏光に垂直な第2偏光とを有する。第1反射素子は、ビームを基板に衝突させるように、第2入射角で第2反射素子に向かってビームを反射する。第1および第2入射角は、第1および第2反射素子のうちの少なくとも1つの層の特性によって与えられる、ビームの第2偏光に対する第1偏光の強度比の変動を低減するように選択される。
【0009】
いくつかの実施形態では、第1偏光および第1偏光に垂直である第2偏光を有する放射のビームを方向づけるための光学システムは、回折素子と、第1反射素子および第2反射素子とを備える。回折素子は、ビームが第1入射角で第1反射素子に衝突するように、当該光学システム内でビームを向けるように構成される。第1反射素子は、ビームが基板に衝突するように、第2入射角で第2反射素子に向かってビームを反射するように構成される。第1入射角および第2入射角は、第1反射素子および第2反射素子のうちの少なくとも1つの層の特性によって与えられる、ビームの第2偏光に対する第1偏光の強度比の変動を低減するように選択される。
【0010】
いくつかの実施形態では、計測システムは、放射源と、光学システムと、検出器とを備える。放射源は、第1偏光と、第1偏光に垂直な第2偏光とを有する放射のビームを生成するように構成される。光学システムは、放射のビームを基板に向けるように構成される。光学システムは、回折素子と、第1反射素子および第2反射素子とを備える。回折素子は、ビームが第1入射角で第1反射素子に衝突するように、光学システム内でビームを向けるように構成される。第1反射素子は、ビームが基板に衝突するように、第2入射角で第2反射素子に向かってビームを反射するように構成される。第1入射角および第2入射角は、第1反射素子および第2反射素子のうちの少なくとも1つの層の特性によって与えられる、ビームの第2偏光に対する第1偏光の強度比の変動を低減するように選択される。検出器は、基板によって散乱された放射を受け取り、受け取った放射に基づいて信号を生成するように構成される。信号は、基板の高さの情報を含む。
【0011】
本発明のさらなる特徴および利点は、本発明の様々な実施の形態の構造および作用とともに、添付の図面を参照して以下で詳細に説明される。本発明は、本書で説明される特定の実施形態に限定されないことに注意する。このような実施形態は、例証目的で本書に提示されているに過ぎない。本書に含まれる教示に基づけば、さらなる実施形態は関連分野の当業者にとって明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本書に包含され明細書の一部をなす添付の図面は本発明を例証し、詳細な説明とともに本発明の原理を説明し、関連分野の当業者が本発明を実施し使用できるようにする役割を有する。
【0013】
図1A】いくつかの実施形態に係る反射型リソグラフィ装置を示す図である。
【0014】
図1B】いくつかの実施形態に係る透過型リソグラフィ装置を示す図である。
【0015】
図2】いくつかの実施形態に係る反射型リソグラフィ装置をより詳細に示す図である。
【0016】
図3】いくつかの実施形態に係るリソグラフィセルを示す図である。
【0017】
図4】いくつかの実施形態に係る計測システムを示す図である
【0018】
図5】いくつかの実施形態に係る光学システムの斜視図である。
【0019】
図6】いくつかの実施形態に係る光学システムの斜視図である。
【0020】
図7】いくつかの実施形態に係る、レベルセンサ内の光学部品の特性の変化に対するレベルセンサの感度を低減するための方法ステップを示す図である。
【0021】
図8】いくつかの実施形態に係る、照明の供給および検出のためにそれぞれ構成された2つの光学システムの斜視図である。
【0022】
本発明の特徴および利点は、同様の参照符号が全文書を通して対応する要素を特定する図面とともに以下で述べられる詳細な説明からより明らかになるだろう。一般に、図面において同様の参照符号は、同一の、機能的に類似の、および/または構造が類似の要素を表している。さらに、一般に、参照符号の左端の桁は、参照符号が最初に現れる図面を特定する。他に特に規定がなければ、本開示を通じて提供される図面は、縮尺どおりの図と解釈するべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本明細書は本発明の特徴を組み入れた一つまたは複数の実施形態を開示する。開示された実施形態は本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲は開示された実施形態には限定されない。本発明は添付の請求項により定義される。
【0024】
説明される実施形態、および「一実施形態」、「実施形態」、「例示的な実施形態」等への明細書内での言及は、説明する実施形態が特定の特徴、構造または特性を備えてもよいが、必ずしもあらゆる実施形態がその特定の特徴、構造または特性を備える必要はないことを示している。また、このような表現は同一の実施形態を必ずしも指し示すものではない。さらに、実施形態とともに特定の特徴、構造または特性が記載される場合、明示的に記載されているか否かに関わらず、そのような特徴、構造または特性を他の実施形態とともに実現することは当業者の知識内であると理解されたい。
【0025】
「真下に(beneath)」、「下方に(below)」、「下方の(lower)」、「上方に(above)」、「上に(on)」、「上方の(upper)」などのような空間的に相対的な用語は、説明を容易にするために、図に示されているある要素または機能の別の要素または機能との関係を説明するために本明細書で使用することができる。空間的に相対的な用語は、図に示されている方向に加えて、使用中または動作中のデバイスのさまざまな方向を包含することを意図している。装置は、他の方法で方向付けられ(90度または他の方向に回転され)、本明細書で使用される空間的に相対的な記述子は、同様にそれに応じて解釈され得る。
【0026】
「約(about)」という用語は、本明細書では、特定の技術に基づいて変化し得る所与の量の値を示すために使用することができる。特定の技術に基づいて、「約」という用語は、たとえば、値の10~30%(たとえば、値の±10%、±20%、または±30%)内で変化する所与の量の値を示すことができる。
【0027】
本開示の実施形態は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはそれらの任意の組み合わせで実装することができる。本開示の実施形態はまた、1つまたは複数のプロセッサによって読み取られ、実行され得る、機械可読媒体に格納された命令として実装され得る。機械可読媒体は、機械(例えば、コンピューティングデバイス)によって可読可能な形式で情報を格納または送信するための任意のメカニズムを含み得る。たとえば、機械可読媒体は、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイス、電気的、光学的、音響的、または他の形態の伝搬信号(例えば、搬送波、赤外線信号、デジタル信号など)、およびその他を含み得る。さらに、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、および/または命令は、特定のアクションを実行するものとして本明細書で説明することができる。しかしながら、そのような説明は単に便宜上のものであり、そのようなアクションは、実際には、コンピュータデバイス、プロセッサ、コントローラ、またはファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令などを実行する他のデバイスから生じることを理解されたい。
【0028】
この種の実施形態をより詳細に説明する前に、本開示の実施形態を実装可能である例示的な環境を提示することが有益である。
【0029】
(例示的なリソグラフィシステム)
【0030】
図1Aおよび図1Bは、いくつかの実施形態に係るリソグラフィ装置100およびリソグラフィ装置100’をそれぞれ模式的に示す図である。いくつかの実施形態では、リソグラフィ装置100およびリソグラフィ装置100’はそれぞれ以下の、放射ビームB(例えば深紫外放射または極端紫外放射)を調整する照明システム(イルミネータ)ILと、パターニングデバイス(例えばマスク、レチクル、または動的パターニングデバイス)MAを支持するよう構成されるとともに、パターニングデバイスを正確に位置決めするよう構成された第1ポジショナPMに接続されている支持構造(例えばマスクテーブル)MTと、基板(例えば、レジストでコーティングされたウェーハ)Wを保持するよう構成されるとともに、基板を正確に位置決めするよう構成された第2ポジショナPWに接続されている基板テーブル(例えばウェハテーブル)WTと、を備える。リソグラフィ装置100およびリソグラフィ装置100’は、パターニングデバイスMAにより放射ビームBに付与されたパターンを基板Wの(例えば一つまたは複数のダイを含む)ターゲット部分Cに投影するように構成された投影システムPSも備える。リソグラフィ装置100では、パターニングデバイスMAおよび投影システムPSが反射型である。リソグラフィ装置100’では、パターニングデバイスMAおよび投影システムPSが透過型である。
【0031】
照明システムILは、放射ビームBの向きや形状を変え、または放射ビームBを統制するために、屈折光学素子、反射光学素子、反射屈折光学素子、磁気的光学素子、電磁気的光学素子、静電的光学素子、あるいは他の種類の光学素子などの各種の光学素子、またはこれらの組み合わせを含み得る。
【0032】
支持構造MTは、基準フレームに対するパターニングデバイスMAの姿勢、リソグラフィ装置100および100’の少なくとも1つの設計、およびパターニングデバイスMAが真空環境で保持されるか否か等のその他の条件に応じた方式でパターニングデバイスMAを保持する。支持構造MTは、機械的固定、真空固定、静電固定、またはパターニングデバイスMAを保持するその他の固定技術を用いてもよい。支持構造MTは、例えばフレームまたはテーブルであってもよく、これらは固定されていてもよいし必要に応じて移動可能であってもよい。センサを用いることにより、支持構造MTは、例えば投影システムPSに対して所望の位置にパターニングデバイスMAを位置決めすることを保証してもよい。
【0033】
「パターニングデバイス」MAなる用語は、基板Wのターゲット部分Cにパターンを生成するために放射ビームBの断面にパターンを与えるのに使用される何らかのデバイスを指すものと広義に解釈される。放射ビームBに付与されたパターンは、集積回路を形成するためにターゲット部分Cに生成されるデバイスにおける特定の機能層に対応する。
【0034】
パターニングデバイスMAは、(図1Bのリソグラフィ装置100’のような)透過型であってもよいし、(図1Aのリソグラフィ装置100のような)反射型であってもよい。パターニングデバイスMAには例えばマスク、プログラム可能ミラーアレイ、及びプログラム可能LCDパネルが含まれる。マスクはリソグラフィにおいて周知であり、バイナリマスク、レベンソン型位相シフトマスク、減衰型位相シフトマスク、さらには多様なハイブリッド型マスクなどのマスク種類が含まれる。プログラム可能ミラーアレイは例えば、微小ミラーのマトリックス配列で構成される。各微小ミラーは、入射する放射ビームを異なる複数の方向に反射するよう個別的に傾斜可能である。小ミラーのマトリックスにより反射された放射ビームには、傾斜されたミラーによってパターンが付与されている。
【0035】
「投影システム」なる用語は、使用されている露光放射に適切な、または基板W上の浸液の使用や真空の使用などのその他の因子に適切な、屈折光学素子、反射光学素子、反射屈折光学素子、磁気的光学素子、電磁気的光学素子、静電的光学素子、またはこれらの組み合わせを含む何らかの投影システムを包含することができる。過剰な放射または電子を他の気体が吸収するので、EUVまたは電子ビーム放射のために真空環境を使用してもよい。したがって、真空壁および真空ポンプの助けを借りて、ビーム経路の全体に真空環境が与えられてもよい。
【0036】
リソグラフィ装置100および/またはリソグラフィ装置100’は2つ以上(2つの場合にはデュアルステージと呼ばれる)の基板テーブルWT(及び/または2つ以上のマスクテーブル)を備えてもよい。このような多重ステージ型の装置においては、追加の基板テーブルWTが並行して使用されるか、あるいは1以上のテーブルで露光が行われている間に1以上の他の基板テーブルWTで準備工程が実行されるようにしてもよい。ある状況では、追加のテーブルは基板テーブルWTでなくてもよい。
【0037】
図1Aおよび図1Bを参照すると、イルミネータILは放射源SOから放射ビームを受け取る。例えば光源SOがエキシマレーザである場合には、光源SOとリソグラフィ装置100、100’とは別個の物理的実体であってもよい。この場合、光源SOはリソグラフィ装置100、100’の一部を構成しているとはみなされなく、放射ビームBは光源SOからビーム搬送システムBD(図1B)を介してイルミネータILへと到達する。ビーム搬送システムBDは例えば適当な方向変更用ミラー及び/またはビームエキスパンダを含む。あるいは例えば光源SOが水銀ランプである場合には、光源SOはリソグラフィ装置100、100’に一体に構成されていてもよい。光源SOとイルミネータILとは、またビーム搬送システムBDが必要とされる場合にはこれも合わせて、放射システムと総称されることがある。
【0038】
イルミネータILは放射ビームの角強度分布を調整するアジャスタAD(図1B)を備えてもよい。一般には、イルミネータの瞳面における照度分布の少なくとも外径及び/または内径の値(通常それぞれ「σouter」、「σinner」と呼ばれる)が調整される。加えてイルミネータILは、インテグレータIN及びコンデンサCOなどの他の要素(図1B)を備えてもよい。イルミネータILはビーム断面における所望の均一性及び照度分布を得るべく放射ビームBを調整するために用いられる。
【0039】
図1Aを参照すると、放射ビームBは、支持構造(例えばマスクテーブル)MTに保持されているパターニングデバイス(例えばマスク)MAに入射して、当該パターニングデバイスによりパターンが付与される。リソグラフィ装置100では、放射ビームBはパターニングデバイス(例えばマスク)MAから反射される。パターニングデバイス(例えばマスク)MAから反射された後に、放射ビームBは投影システムPSを通過する。投影システムPSはビームBを基板Wのターゲット部分Cに合焦させる。第2ポジショナPWと位置センサIF2(例えば、干渉計、リニアエンコーダ、静電容量センサなど)の助けにより、基板テーブルWTは、(例えば、放射ビームBの経路に異なる複数のターゲット部分Cをそれぞれ位置決めするように)正確に移動される。同様に、第1ポジショナPMおよび別の位置センサIF1を使用して、放射ビームBの経路に対してパターニングデバイス(例えばマスク)MAを正確に位置決めすることができる。マスクアライメントマークM1、M2および基板アライメントマークP1、P2を使用して、パターニングデバイス(例えばマスク)MAおよび基板Wを位置合わせすることができる。
【0040】
図1Bを参照すると、支持構造(例えばマスクテーブルMT)に保持されるパターニングデバイス(例えばマスクMA)に放射ビームBが入射し、パターニングデバイスによってパターンが付与される。マスクMAの通過後、放射ビームBは投影システムPSを通過し、投影システムPSが基板Wのターゲット部分Cにビームを合焦させる。投影システムは、照明システムの瞳IPUと共役の瞳PPUを有する。放射の一部は、照明システムの瞳IPUにおける強度分布から生じ、マスクパターンにおいて回折の影響を受けることなくマスクパターンを横切り、照明システムの瞳IPUにおいて強度分布の像を作り出す。
【0041】
第2ポジショナPWと位置センサIF(例えば、干渉計、リニアエンコーダ、静電容量センサなど)の助けにより、(例えば放射ビームBの経路に異なるターゲット部分Cを位置決めするように)基板テーブルWTを正確に移動させることができる。同様に、(例えばマスクライブラリからのマスク交換後または走査の間に)第1ポジショナPMと別の位置センサ(図1Bに図示せず)により、放射ビームBの経路に対してマスクMAを正確に位置決めすることができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、マスクテーブルMTの移動は、ロングストロークモジュール(粗い位置決め用)及びショートストロークモジュール(精細な位置決め用)により実現される。これらモジュールは、第1ポジショナPMの一部を構成する。同様に、基板テーブルWTの移動は、第2ポジショナPWの一部を構成するロングストロークモジュール及びショートストロークモジュールにより実現される。ステッパの場合には(スキャナとは異なり)、マスクテーブルMTはショートストロークモジュールにのみ接続されていてもよいし、マスクテーブルMTは固定されていてもよい。マスクMAと基板Wとは、マスクアライメントマークM1、M2、及び基板アライメントマークP1、P2を使用して位置合わせされる。(図示されるように)基板アライメントマークは専用のターゲット部分を占有しているが、基板アライメントマークはターゲット部分間の領域に配置されていてもよい(スクライブラインアライメントマークとして公知である)。同様に、マスクMAに複数のダイがある場合には、マスクアライメントマークがダイ間に配置されてもよい。
【0043】
マスクテーブルMTおよびパターニングデバイスMAは、真空チャンバ内に位置することができる。真空内ロボットIVRを用いて、マスクなどのパターニングデバイスを真空チャンバ内および外に移動することができる。あるいは、マスクテーブルMTおよびパターニングデバイスMAは、真空チャンバの外側にあり、真空内ロボットIVRと似た様々な輸送作業のために真空外ロボットを用いることができる。真空中および真空外ロボットは、中継ステーションの固定されたキネマティックマウントへの任意のペイロード(例えばマスク)のスムーズな輸送ために較正される必要がある。
【0044】
リソグラフィ装置100、100’は以下のモードのうち少なくとも一つで使用することができる。
【0045】
1.ステップモードにおいては、放射ビームBに付与されたパターンの全体が1回の照射で一つのターゲット部分Cに投影される間、支持構造(例えばマスクテーブル)MT及び基板テーブルWTは実質的に静止状態とされる(すなわち1回の静的な露光)。そして基板テーブルWTがX方向及び/またはY方向に移動されて、異なるターゲット部分Cが露光される。
【0046】
2.スキャンモードにおいては、放射ビームに付与されたパターンがターゲット部分Cに投影される間、支持構造(例えばマスクテーブル)MT及び基板テーブルWTは同期して走査される(すなわち1回の動的な露光)。支持構造(例えばマスクテーブル)MTに対する基板テーブルWTの速度及び方向は、投影システムPSの拡大(縮小)特性及び像反転特性により定められる。
【0047】
3.別のモードにおいては、放射ビームに付与されたパターンがターゲット部分Cに投影される間、支持構造(例えばマスクテーブル)MTはプログラム可能パターニングデバイスを保持して実質的に静止状態とされ、基板テーブルWTは移動または走査される。パルス放射源SOが用いられ、プログラム可能パターニングデバイスは走査中に基板テーブルWTが移動するたびに、または連続するパルスとパルスの間に必要に応じて更新される。この動作モードは、プログラム可能ミラーアレイなどのプログラム可能パターニングデバイスを使用するマスクレスリソグラフィに適用可能である。
【0048】
上記のモードを組み合わせて動作させてもよいし、モードに変更を加えて動作させてもよく、さらに全く別のモードを用いてもよい。
【0049】
いくつかの実施形態では、リソグラフィ装置100は、極端紫外(EUV)放射源を含む。極端紫外放射源は、EUVリソグラフィのためにEUV放射ビームを発生させるよう構成される。一般に、EUV放射源は、放射システム内に構成され、対応する照明システムは、EUV放射源のEUV放射ビームを調整するよう構成される。
【0050】
図2は、リソグラフィ装置100をより詳細に示す。EUVリソグラフィ装置100は、放射コレクタ装置SO、照明システムIL、および投影システムPSを含む。放射コレクタ装置SOは、放射コレクタ装置SOの密閉構造220内で真空環境を維持できるように構成および配置される。EUV放射放出プラズマ210は、放電プラズマ源により形成される。EUV放射は、例えばXeガス、Li蒸気、またはSn蒸気等の気体または蒸気により生成される。この気体または蒸気中に高温プラズマ210が形成されて、EUV領域の電磁放射スペクトルの放射が発せられる。この高温プラズマ210は、例えば放電により少なくとも部分的にイオン化されたプラズマを生成することにより形成される。効率的に放射を生成するためには、Xe、Li、Sn蒸気またはその他の適する気体または蒸気の例えば10Paの分圧が必要である。いくつかの実施形態では、励起されたスズ(Sn)のプラズマがEUV放射を生成するために提供される。
【0051】
高温プラズマ210により放出された放射は、ソースチャンバ211からオプションのガスバリアまたは汚染物質トラップ230(ある場合には、汚染物質バリアまたはフォイルトラップとも称される)を通じてコレクタチャンバ212へと向かう。ガスバリアまたは汚染物質トラップ230は、ソースチャンバ211の開口またはその後方に配置されている。汚染物質トラップ230は、チャネル構造を含んでもよい。汚染物質トラップ230は、ガスバリアまたはガスバリアとチャネル構造の組み合わせを含んでもよい。本明細書に示す汚染物質トラップまたは汚染物質バリア230は、少なくとも技術的に知られたチャネル構造を含む。
【0052】
コレクタチャンバ212は、放射コレクタCOを含む。放射コレクタCOは、いわゆる斜入射型コレクタであってよい。放射コレクタCOは、放射コレクタ上流側251および放射コレクタ下流側252を有する。放射コレクタCOを通過した放射は、格子スペクトルフィルタ240で反射され、コレクタチャンバ48の開口に位置する仮想点源IFに集束する。仮想点源IFは、一般的に中間焦点と称され、放射源コレクタ装置は、中間焦点IFが密閉構造220の開口219またはその近くに位置するように配置される。仮想点源IFは、放射放出プラズマ210の像である。格子スペクトルフィルタ240は、特に赤外線(IR)放射を抑制するために用いられる。
【0053】
その後、放射は照明システムILを横切る。照明システムILは、パターニングデバイスMAにおける所望の放射強度均一性とともに、パターニングデバイスMAにおける所望の放射ビーム221の角度分布を提供するよう配置されるファセットフィールドミラーデバイス222およびファセット瞳ミラーデバイス224を含む。支持構造MTにより保持されたパターニングデバイスMAにおける放射ビーム221の反射により、パターンが付与されたビーム226が形成され、パターンが付与されたビーム226は、投影システムPSによって、反射素子228,230を介してウェハステージまたは基板テーブルWTにより保持された基板W上に結像される。
【0054】
通常、図示されているよりも多くの素子が照明光学ユニットILおよび投影システムPSに存在してよい。格子スペクトルフィルタ240は、リソグラフィ装置のタイプに応じてオプション的に存在してよい。さらに、図示されるよりも多くのミラーが存在してよい。例えば、図2に示すよりも多くの、1つ乃至6つの追加の反射素子が投影システムPSに存在してもよい。
【0055】
図2に示すように、コレクタ光学システムCOは、コレクタ(またはコレクタミラー)のほんの一例として、斜入射リフレクタ253,254および255を伴う入れ子状のコレクタとして図示されている。斜入射リフレクタ253,254および255は、光軸Oの周りに軸対称に配置されており、このタイプのコレクタ光学システムCOは、DPP源と称される放電プラズマ源と組み合わせて好適に用いられる。
【0056】
(例示的なリソグラフィセル)
【0057】
図3に模式的に示すリソグラフィセル300は、たまにリソセルまたはクラスタとも称される。リソグラフィ装置100または100’は、リソグラフィセル300の一部を形成してよい。リソグラフィセル300は、基板上での露光前および露光後プロセスを実行するための装置も含んでよい。従来、これらは、レジスト層を堆積させるスピンコート装置SC、露光されたレジストを現像する現像装置DE、冷却プレートCH、およびベークプレートBKを含む。基板ハンドラまたはロボットROは、基板を入力/出力ポートI/O1,I/O2から取り出し、異なるプロセス装置間で基板を移動させ、リソグラフィ装置のローディングベイLBに基板を運ぶ。これらの装置(しばしば集合的にトラックと称される)は、トラック制御ユニットTCUの制御下にあり、TCU自体は監視制御システムSCSにより制御され、SCSはリソグラフィ制御ユニットLACUを介してリソグラフィ装置も制御する。したがって、異なる装置がスループットおよびプロセス効率を最大化させるように動作しうる。
【0058】
(例示的な計測システム)
【0059】
図4は、いくつかの実施形態に係る、リソグラフィ装置100または100’の一部として実装することができる計測システム400の概略図を示す。いくつかの実施形態では、計測システム400は、基板Wの表面上の高さおよび高さの変動を測定するように構成することができる。いくつかの実施形態では、計測システム400は、基板上のアライメントマークの位置を検出し、アライメントマークの検出された位置を使用して、パターニングデバイスまたはリソグラフィ装置100または100’の他の構成要素に対して基板を位置合わせする。
【0060】
いくつかの実施形態では、計測システム400は、放射源402、投影格子404、検出格子412、および検出器414を含むことができる。放射源402は、1つまたは複数の通過帯域を有する電磁狭帯域放射ビームを提供するように構成することができる。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の通過帯域は、約500nmから約900nmの間の波長のスペクトル内にあり得る。別の例では、1つまたは複数の通過帯域は、約500nmから約900nmの間の波長のスペクトル内の離散的な狭い通過帯域であり得る。別の例では、放射源402は、約225nmから400nmの間の波長の紫外線(UV)スペクトル内の光を生成する。放射源402は、長期間にわたって(例えば、放射源402の寿命にわたって)実質的に一定の中心波長(CWL)値を有する1つまたは複数の通過帯域を提供するようにさらに構成することができる。放射源402のそのような構成は、現在の計測システムにおいて、上述したように、実際のCWL値が所望のCWL値からシフトするのを防ぐのを助けることができる。そして、結果として、一定のCWL値の使用は、現在の計測システムと比較して、計測システム(例えば、計測システム400)の長期の安定性および精度を改善することができる。
【0061】
投影格子404は、放射源402から生成された放射線のビーム(または複数のビーム)を受け取り、基板408の表面に投影画像を提供するように構成することができる。イメージング光学系406は、投影格子404と基板408との間に含めることができ、1つまたは複数のレンズ、ミラー、格子などを含むことができる。いくつかの実施形態では、イメージング光学系406は、投影格子404からの投影画像を基板408の表面に集束するように構成される。
【0062】
いくつかの実施形態では、投影格子404は、表面法線に対して角度θで基板408の表面上に画像を提供する。画像は、基板表面によって反射され、検出格子412上で再結像される。検出格子412は、投影格子404と同一であり得る。イメージング光学系410は、基板408と基板検出格子412との間に含めることができ、1つまたは複数のレンズ、ミラー、格子などを含むことができる。いくつかの実施形態では、イメージング光学系410は、基板408の表面から反射された画像を検出格子412に集束するように構成される。斜め入射により、基板408の表面の高さ変化(Z)は、投影格子404によって投影された画像をシフトし、この画像は、次の式(1)によって与えられる距離(s)にわたって検出格子412によって受け取られる。
【数1】
【0063】
いくつかの実施形態では、投影格子404のシフトされた画像は検出格子412を部分的に透過し、透過強度は画像シフトの周期関数である。このシフトされた画像は、検出器414によって受信および測定される。検出器414は、フォトダイオードまたはフォトダイオードアレイを含むことができる。検出器414の他の例には、CCDアレイが含まれる。いくつかの実施形態では、検出器414は、受信した画像に基づいて、ウェハ高さの変動を1nmまで測定するように設計することができる。
【0064】
(例示的な光学システム)
【0065】
先に述べたように、計測システムは、通常、光学的測定を正確に行うために、再現性のある製造および光学部品の配置を必要とする。さらに、同じように設計された計測システムは、一致する、または少なくとも所定の許容範囲内の測定値を生成できる必要がある。しかしながら、光学部品製造における許容範囲(トレランス)の限界(たとえば、正確な薄膜層の堆積を必要とするミラー)は、計測システムのパフォーマンスに悪影響を与える可能性がある。リソグラフィ装置の計測システムの場合、一部の光学部品に必要な許容範囲(トレランス)を達成するのが難しい場合がある。外見的には同一の光学部品間のばらつきにより、ある計測システムは、同じ光学部品構成を使用する別の計測システムとは異なる測定結果を引き起こす。計測システムの精度と信頼性を向上させるために、計測システム間のばらつき、またはマシン同士の(machine-to-machine(M2M))のばらつきを減らすことが望ましい。
【0066】
図5は、いくつかの実施形態に係る光学システム500の斜視概略図を示す。いくつかの実施形態では、光学システム500は、ミラー502、ミラー504、ミラー506、ミラー508、およびミラー510を備える。光学システム500は、例えば、計測システム400(図4)におけるイメージング光学系406の代わりに、計測システムに実装することができる。このシナリオでは、投影格子404をイメージング光学系406に吸収することができる。同様に、光学システム500は、イメージング光学系410の代わりに実装でき、任意選択で検出格子412を吸収できる。したがって、いくつかの実施形態では、光学システム500は、格子512を備える。いくつかの実施形態では、ミラー506は、放射ビーム514がミラー506を通過することを可能にするように構成された1つまたは複数の孔516を備える。
【0067】
いくつかの実施形態では、格子512は、放射ビーム514をミラー502に向けるように構成される。格子512は、放射ビーム514が1つまたは複数の回折次数および/または1つまたは複数の波長に分解されるように、放射ビーム514を回折するようにさらに構成される。ミラー502は、放射ビーム514を格子512からミラー504に向けるように構成される。ミラー504は、放射ビーム514をミラー502からミラー506に向けるように構成される。ミラー506は、放射ビーム514をミラー504から受け取り、放射ビーム514をミラー504に戻すように構成される。ミラー504はさらに、放射ビーム514をミラー506から受け取り、放射ビーム514をミラー508に向けるように構成される。
【0068】
いくつかの実施形態では、ミラー502が放射ビーム514を格子512からミラー504に向ける場合、ミラー502は、放射ビームをミラー506の1つまたは複数の孔516の1つを通して向けることによってそうするように構成される。ミラー504が放射ビーム514をミラー506からミラー508に向ける場合、ミラー504は、放射ビームをミラー506の1つまたは複数の孔516の1つを通して向けることによってそうするように構成される。
【0069】
いくつかの実施形態では、ミラー508は、ミラー504から第1入射角で放射ビーム514受け取り、放射ビーム514をミラー510に向けるように構成される。ミラー510は、ミラー508によって反射されたビームを第2入射角で受け取り、放射ビーム514を例えば基板518に向けて出力するように構成される。
【0070】
いくつかの実施形態では、上記の光学機能を逆にすることができる。例えば、光学システム500が検出構成で使用される場合、基板518から散乱された放射は、光学システム500に入力される放射である(例えば、ミラー510に衝突することによって)。例示的な検出構成は、図8を参照して後述される。
【0071】
いくつかの実施形態では、第1および第2入射角は、約80度を超えない。いくつかの実施形態では、第1入射角は、約60度から80度の間である。いくつかの実施形態では、第1入射角は、約45度から60度の間である。いくつかの実施形態では、第2入射角は、約60度から80度の間である。いくつかの実施形態では、第2入射角は、約45度から60度の間である。いくつかの実施形態では、第1および第2入射角は同じであるか、または実質的に同様である。
【0072】
いくつかの実施形態では、光学システム500は、例えば、基板の高さを測定するために、計測システムに実装することができる(例えば、レベルセンサ)。このシナリオでは、計測システムの検出器は、基板から散乱された放射を受け取り、受け取った放射に基づいて信号を生成するように構成される。信号は、基板の高さの情報を含むことができる。高さは、基板表面に垂直な軸に沿った位置として定義できる。レベルセンサのM2M変動の重要なメトリック(critical metric)は、いわゆる高さプロセス依存性(HPD(height process dependency)である。HPDは、基板からの高さに関するレベルセンサの応答特性(感度など)を参照する。光学システム(レンズ、対物レンズ、イメージング光学系など)を介した透過率は、特に基板の平面に対して考慮した場合のRs/Rpと呼ばれる垂直および水平偏光の透過率は、HPDに影響を与えるパラメータである。より具体的には、光学システムのRs/Rpは、次々に、例えば、2つ以上のフォールドミラー(例えば、ミラー508およびミラー510)のRs/Rpの積に比例する。各ミラーのRs/Rpは、各ミラーに衝突するビームの入射角の関数である。HPDの重要なパラメータは、製造エラーなどによるRs/Rpの変動である。光学システムのHPDNOM2M変動の主な原因は、特に高い入射角でのミラーのコーティング厚さエラーである。反射現象の性質により、Rs/Rpは入射角に依存し、たとえば、反射面構成上のコーティングの厚さと組成は、透過特性や誘電特性(誘電率、屈折率など)などの光学特性に影響を与える可能性がある。本発明の実施形態は、HPDのM2M変動の低減を可能にし、計測システムの精度および信頼性を高めることを可能にする構造および方法を提供する。
【0073】
図6は、いくつかの実施形態に係る光学システム600の斜視概略図を示す。いくつかの実施形態では、光学システム600は、ミラー602、ミラー604、ミラー606、ミラー608、およびミラー610を備える。光学システム600は、例えば、計測システム400(図4)におけるイメージング光学系406の代わりに、計測システムに実装することができる。このシナリオでは、投影格子404をイメージング光学系406に吸収することができる。同様に、光学システム600は、イメージング光学系410の代わりに実装でき、任意選択で検出格子412を吸収できる。したがって、いくつかの実施形態では、光学システム600は、格子612を備える。いくつかの実施形態では、ミラー606は、放射ビーム614がミラー606を通過することを可能にするように構成された1つまたは複数の孔616を備える。
【0074】
いくつかの実施形態では、格子612は、放射ビーム614をミラー602に向けるように構成される。格子612は、放射ビーム614が1つまたは複数の回折次数および/または1つまたは複数の波長に分解されるように、放射ビーム614を回折するようにさらに構成される。ミラー602は、放射ビーム614を格子612からミラー604に向けるように構成される。ミラー604は、放射ビーム614をミラー602からミラー606に向けるように構成される。ミラー606は、放射ビーム614をミラー604から受け取り、放射ビーム614をミラー604に戻すように構成される。ミラー604はさらに、放射ビーム614をミラー606から受け取り、放射ビーム614をミラー608に向けるように構成される。
【0075】
いくつかの実施形態では、ミラー602が放射ビーム614を格子612からミラー604に向ける場合、ミラー602は、放射ビームをミラー606の1つまたは複数の孔616の1つを通して向けることによってそうするように構成される。いくつかの実施形態では、ミラー604が放射ビーム614をミラー606からミラー608に向ける場合、ミラー604は、放射ビームをミラー606の1つまたは複数の孔616の1つを通して向けることによってそうするように構成される。
【0076】
いくつかの実施形態では、ミラー608は、ミラー604からの放射ビーム614を第1入射角で受け取り、放射ビーム614をミラー610に向けて直接受け取るように構成される。ミラー610は、ミラー608によって反射されたビームを第2入射角で受け取り、放射ビーム614を例えば基板618に向けて出力するように構成される。
【0077】
いくつかの実施形態では、上記の光学機能を逆にすることができる。例えば、光学システム600が検出構成で使用される場合、基板618から散乱された放射は、光学システム600に入力される放射である(例えば、ミラー610に衝突することによって)。例示的な検出構成は、図8を参照して後述される。
【0078】
いくつかの実施形態では、光学システム600は、例えば、基板の高さを測定するために、計測システムに実装することができる(例えばレベルセンサ)。このシナリオでは、計測システムの検出器は、基板から散乱された放射を受け取り、受け取った放射に基づいて信号を生成するように構成されている。信号は、基板の高さの情報を含むことができる。
【0079】
反射現象の性質により、Rs/Rpが入射角に応答し、高い入射角で大きな変動が生じることは先に述べた。したがって、いくつかの実施形態では、第1および第2入射角は、約45度を超えない。いくつかの実施形態では、第1入射角は、約30度から45度の間である。いくつかの実施形態では、第1入射角は、約10度から30度の間である。いくつかの実施形態では、第2入射角は、約30度から45度の間である。いくつかの実施形態では、第2入射角は、約10度から30度の間である。いくつかの実施形態では、第1および第2の入射角は同じであるか、または実質的に同様である。いくつかの実施形態では、ミラー608およびミラー610は、ミラー608によって受け取られた放射ビーム614がミラー610によって反射された放射ビーム614と交差するように配置される。このシナリオでは、第1および第2入射角の合計は90度未満である。別の説明では、ミラー608およびミラー610は、ミラー608によって受け取られた放射ビーム614が、ミラー610によって反射された放射ビーム614上に折り畳まれるように配置される。低減された入射角を使用する実施形態は、光学システムの感度を低減し、これは、次に、ミラーの製造におけるエラーから生じる感度の影響を弱めることができる。本明細書に記載の構造および方法の重要な利点は、ミラーのコーティング許容範囲(トレランス)を厳しくすることなく、Rs/Rp変動を低減できることであり、これにより、光学システムの製造、実装、および保守において大幅な時間およびコストの利点が提供される。
【0080】
当業者であれば、光学システム500または光学システム600のミラーが、本明細書に記載の結果および利点を達成しながら、取り外し、追加、または再配置できることを理解するであろう。例えば、ミラー608およびミラー610の配置は、放射ビーム614をミラー608に送達する他のミラーの配置が変更されている間、上記のように維持することができる。
【0081】
図7は、いくつかの実施形態に係る、基板の高さを測定するように構成されたレベルセンサの、レベルセンサ内の光学部品の特性の変化に対する感度を低減する方法ステップを示す。ステップ702において、放射ビームが回折素子に向けられる。ビームは、第1偏光と、第1偏光に垂直な第2偏光とを含む。ステップ704において、ビームは、光学システムを介して、第1入射角で第1反射素子に向けられる。ステップ706において、ビームは、第1反射素子を使用して、第2入射角で第2反射素子に向かって反射される。第1および第2入射角は、(例えば、第1および第2反射素子の配置を介して)、第1および第2反射素子のうちの少なくとも1つの層の特性によって与えられるビームの第2偏光に対する第1偏光の強度の比の変動を低減するように選択される。ステップ708において、ビームは、基板に衝突するように光学システムから出力される。
【0082】
いくつかの実施形態では、第1および第2入射角は、約45度を超えない。いくつかの実施形態では、第1入射角は、約30度から45度の間である。いくつかの実施形態では、第1入射角は、約10度から30度の間である。いくつかの実施形態では、第2入射角は、約30度から45度の間である。いくつかの実施形態では、第2入射角は、約10度から30度の間である。いくつかの実施形態では、第1および第2入射角は同じであるか、または実質的に同様である。いくつかの実施形態では、第1および第2反射素子は、第1反射素子によって受け取られたビームが第2反射素子によって反射されたビームと交差するように配置される。このシナリオでは、第1および第2入射角の合計は90度未満である。別の説明では、第1および第2反射素子は、第1反射素子によって受け取られたビームが、第2反射素子によって反射されたビーム上に折り畳まれるように配置される。
【0083】
いくつかの実施形態では、光学システムは、第3、第4、および第5ミラー(反射素子)を含む。回折素子は、ビームを第3反射素子に向けるように構成される。第3反射素子は、回折素子から第4反射素子に向かってビームを反射するように構成される。第4反射素子は、第3反射素子から第5反射素子に向かってビームを反射し、第5反射素子によって反射されたビームを受け取り、第5反射素子から第1反射素子に向かってビームを第1入射角で反射するように構成される。
【0084】
いくつかの実施形態では、層の特性は、層の厚さおよび/または層の少なくとも1つの誘電特性(例えば、誘電率、屈折率、原子組成など)を含む。
【0085】
図8は、いくつかの実施形態に係る、照明の供給および検出のためにそれぞれ構成された光学システム800および光学システム800’の斜視概略図を示す。光学システム800の要素は、機能的および構造的に、同様の参照符号を有する図5および図6のものと同様であり、参照符号の左端の桁は、参照符号が現れる図面を特定する。いくつかの実施形態では、光学システム800’は、光学システム800の同様の番号が付けられた要素に対応する要素を備える。図8に示される構成は、光学システム800のコピーとして180℃回転した光学システム800’を示す。いくつかの実施形態では、光学システム800’は、光学システム800のミラーコピーとして配置されている。
【0086】
いくつかの実施形態では、基板818によって反射された放射ビーム814’は、放射ビーム814’が光学系800’に入力されるときにミラー810’に衝突する。ミラー810およびミラー810’は、基板818に最も近接する光学素子である必要はない。次に、放射ビーム814’は、光学システム800を通る放射ビーム814の逆に対応する方向に、光学システム800’を通過する。
【0087】
いくつかの実施形態では、光学素子820(例えば、偏光回転子、格子、波長板、複数の光学素子など)をミラー810と基板818との間に配置することができる。光学素子820’をミラー810’と基板818の間に配置することができる。ミラー808、ミラー810、ミラー808’、およびミラー810’の配置は、ミラー508およびミラー510(図5)と同様であることが示されているが、当業者であれば、ミラー808、ミラー810、ミラー808’、およびミラー810’もまた、ミラー608およびミラー610(図6)と同様に配置できることを理解するであろう。
【0088】
以下の節を使用して、実施形態をさらに説明することができる。
1.基板の高さを測定するように構成されたレベルセンサの感度を、前記レベルセンサ内の光学部品の特性の変化に対して低減する方法であって、
放射のビームを回折素子に向けることであって、前記ビームは第1偏光と、前記第1偏光に垂直な第2偏光とを有することと、
光学システムを介して、前記ビームを第1入射角で第1反射素子に向けることと、
を備え、
前記第1反射素子は、前記ビームを第2入射角で第2反射素子に向けて反射し、前記ビームを前記基板に衝突させ、
前記第1入射角および前記第2入射角は、前記第1反射素子および前記第2反射素子のうちの少なくとも1つの層の特性によって与えられる、前記ビームの前記第2偏光に対する前記第1偏光の強度比の変動を低減するように選択される、方法。
2.前記第1入射角および前記第2入射角が約45度を超えない、節1に記載の方法。
3.前記第1入射角および前記第2入射角が約10度から30度の間である、節1に記載の方法。
4.前記第1反射素子および前記第2反射素子は、前記第1反射素子によって受け取られたビームが、前記第2反射素子によって反射されたビームと交差するように構成される、節1に記載の方法。
5.前記光学システムは、第3反射素子、第4反射素子、および第5反射素子を備え、
前記回折素子は、前記ビームを前記第3反射素子に向けるように構成され、
前記第3反射素子は、前記回折素子から前記第4反射素子に向かってビームを反射するように構成され、
前記第4反射素子は、前記第3反射素子から前記第5反射素子に向かって前記ビームを反射し、前記第5反射素子によって反射されたビームを受け取り、前記第5反射素子から前記第1反射素子に向かって前記ビームを前記第1入射角で反射するように構成される、節1に記載の方法。
6.前記層の特性は、前記層の厚さを含む、節1に記載の方法。
7.前記層の特性は、前記層の誘電率、屈折率、および/または原子組成を含む誘電特性を含む、節1に記載の方法。
8.第1偏光および前記第1偏光に垂直である第2偏光を有する放射のビームを方向づけるための光学システムであって、
回折素子と、
第1反射素子および第2反射素子と、
を備え、
前記回折素子は、前記ビームが第1入射角で前記第1反射素子に衝突するように、当該光学システム内で前記ビームを向けるように構成され、
前記第1反射素子は、前記ビームが基板に衝突するように、第2入射角で前記第2反射素子に向かって前記ビームを反射するように構成され、
前記第1入射角および前記第2入射角は、前記第1反射素子および前記第2反射素子のうちの少なくとも1つの層の特性によって与えられる、前記ビームの前記第2偏光に対する前記第1偏光の強度比の変動を低減するように選択される、光学システム。
9.前記第1入射角および前記第2入射角が約45度を超えない、節8に記載の光学システム。
10.前記第1入射角および前記第2入射角が約10度から30度の間である、節8に記載の光学システム。
11.前記第1反射素子および前記第2反射素子は、前記第1反射素子によって受け取られたビームが、前記第2反射素子によって反射されたビームと交差するように構成される、節8に記載の光学システム。
12.第3反射素子、第4反射素子、および第5反射素子をさらに備え、
前記回折素子は、前記ビームを前記第3反射素子に向けるように構成され、
前記第3反射素子は、前記回折素子から前記第4反射素子に向かってビームを反射するように構成され、
前記第4反射素子は、前記第3反射素子から前記第5反射素子に向かってビームを反射し、前記第5反射素子によって反射されたビームを受け取り、前記第5反射素子から前記第1反射素子に向かって前記ビームを前記第1入射角で反射するように構成される、節8に記載の光学システム。
13.前記層の特性は、前記層の厚さを含む、節8に記載の光学システム。
14.前記層の特性は、前記層の誘電率、屈折率、および/または原子組成を含む誘電特性を含む、節8に記載の光学システム。
15.第1偏光と、前記第1偏光に垂直な第2偏光とを有する放射のビームを生成するように構成された放射源と、
前記放射のビームを基板に向けるように構成された光学システムであって、
回折素子と、
第1反射素子および第2反射素子と、を備え、
前記回折素子は、前記ビームが第1入射角で前記第1反射素子に衝突するように、前記光学システム内でビームを向けるように構成され、
前記第1反射素子は、前記ビームが前記基板に衝突するように、第2入射角で前記第2反射素子に向かって前記ビームを反射するように構成され、
前記第1入射角および前記第2入射角は、前記第1反射素子および前記第2反射素子のうちの少なくとも1つの層の特性によって与えられる、前記ビームの前記第2偏光に対する前記第1偏光の強度比の変動を低減するように選択される、光学システムと、
前記基板によって散乱された放射を受け取り、受け取った放射に基づいて信号を生成するように構成された検出器であって、前記信号が前記基板の高さの情報を含む検出器と、 を備える計測システム。
16.前記第1入射角および前記第2入射角が約45度を超えない、節15に記載の計測システム。
17.前記第1入射角および前記第2入射角が約10度から30度の間である、節15に記載の計測システム。
18.前記第1反射素子および前記第2反射素子は、前記第1反射素子によって受け取られたビームが、前記第2反射素子によって反射されたビームと交差するように構成される、節15に記載の計測システム。
19.第3反射素子、第4反射素子、および第5反射素子をさらに備え、
前記回折素子は、前記ビームを前記第3反射素子に向けるように構成され、
前記第3反射素子は、前記回折素子から前記第4反射素子に向かって前記ビームを反射するように構成され、
前記第4反射素子は、前記第3反射素子から前記第5反射素子に向かって前記ビームを反射し、前記第5反射素子によって反射されたビームを受け取り、前記第5反射素子から前記第1反射素子に向かって前記ビームを前記第1入射角で反射するように構成される、節15に記載の計測システム。
20.前記層の特性は、前記層の厚さ、前記層の誘電率、屈折率、および/または原子組成を含む、節15に記載の計測システム。
【0089】
本明細書ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用を例として説明しているが、リソグラフィ装置は他の用途にも適用することが可能であるものと理解されたい。他の用途としては、集積光学システム、磁区メモリ用案内パターンおよび検出パターン、フラットパネルディスプレイ、LCD、薄膜磁気ヘッドなどがある。当業者であればこれらの他の適用に際して、本明細書における「ウェーハ」あるいは「ダイ」という用語がそれぞれ「基板」あるいは「ターゲット部分」という、より一般的な用語と同義であるとみなされると理解することができるであろう。基板は露光前または露光後においてトラックユニット(典型的にはレジスト層を基板に塗布し、露光後のレジストを現像するツール)、計測ユニット、及び/またはインスペクションユニットにより処理されてもよい。適用可能であれば、本明細書の開示はこれらのまたは他の基板処理装置にも適用され得る。また、基板は例えば多層ICを製造するために複数回処理されてもよく、その場合には本明細書における基板という用語は既に処理されている多数の処理層を含む基板をも意味する。
【0090】
以上では光学リソグラフィとの関連で本発明の実施形態の使用に特に言及しているが、本発明は、インプリントリソグラフィなどの他の用途においても使用可能であり、状況が許せば、光学リソグラフィに限定されないことが理解される。インプリントリソグラフィでは、パターニングデバイスのトポグラフィによって、基板上に生成されるパターンが画定される。パターニングデバイスのトポグラフィを基板に供給されたレジストの層に押しつけ、その後に電磁放射、熱、圧力またはその組合せにより、レジストを硬化する。パターニングデバイスをレジストから離し、レジストを硬化した後にパターンを残す。
【0091】
本明細書の表現または専門用語は、説明を目的としており限定のためではなく、本明細書の専門用語または表現は、本開示の教示を考慮して当業者によって解釈されるべきものであることを理解されたい。
【0092】
本明細書に記載の実施例において、「レンズ」「レンズ素子」なる用語は文脈が許す限り、屈折光学素子、反射光学素子、磁気的光学素子、電磁的光学素子、および静電的光学素子を含むさまざまな種類の光学素子のいずれかまたは任意の組み合わせを示してもよい。本明細書で使用される「ミラー」という用語は、反射を介して放射を方向付ける/方向転換する様々なタイプの反射素子または光学部品の任意の1つまたは組み合わせを示してもよい。本明細書で使用される「格子」という用語は、回折を介して放射を方向付ける/方向転換する様々なタイプの回折素子または光学部品の任意の1つまたは組み合わせを示してもよい。
【0093】
さらに、本明細書における「放射」、「ビーム」および「光」なる用語は、例えば、(例えば365nm、248nm、193nm、157nm、または126nmの波長λを有する)紫外(UV)放射、(例えば5乃至20nmの範囲に含まれる波長(例えば13.5nm)を有するか、5nm未満で作動する硬X線)極紫外(EUVまたは軟X線)放射などのあらゆる電磁放射、及びイオンビームまたは電子ビーム等の粒子ビームを含む。一般に、約400乃至約700nmの間の波長を有する放射は可視放射と見なされ、約780乃至3000nm(またはそれ以上)の間の波長を有する放射は赤外放射とみなされる。UVとはおよそ100乃至400nmの波長を有する放射をいう。リソグラフィにおいては「UV」なる用語も水銀放電ランプにより生成される波長に用いられる。436nmのG線、405nmのH線、365nmのI線である。真空UV(VUV、つまり気体に吸収されるUV)とはおよそ100乃至200nmの波長を有する放射をいう。深紫外(DUV)とは一般に126nmから428nmの波長を有する放射をいう。いくつかの実施形態においては、エキシマレーザが、リソグラフィ装置で使用されるDUV放射を生成可能である。なお、例えば5乃至20nmの波長を有する放射とは、5乃至20nmの範囲の少なくとも一部のある波長域を有する放射を言うものと理解されたい。
【0094】
本明細書で用いられる「基板」という用語は、材料層が上に追加される材料を言い表してよい。いくつかの実施形態では、基板自体がパターニングされてもよく、その上に追加される材料もパターニングされてもよく、又はパターニングされずに保たれてもよい。
【0095】
IC製造におけるリソグラフィ装置の使用について本文書において特に言及をしてきたが、本明細書で述べたリソグラフィ装置は、他の応用形態も有していることを理解すべきである。例えば、集積された光学システム、磁気領域メモリ用の誘導及び検出パターン(guidance and detection pattern)、LCDパネル、薄膜磁気ヘッドなどの製造といった応用である。当業者は、このような代替的な応用形態の文脈において、本明細書における「レチクル」、「ウェハ」または「ダイ」という用語のいかなる使用も、それぞれより一般的な用語である「マスク」、「基板」および「目標部分」と同義とみなすことができることを認められよう。
【0096】
本発明の特定の実施形態について上述したが、本発明は説明したもの以外の態様で実施されてもよいことを理解されたい。上記説明は本発明を限定することを意図していない。
【0097】
発明の概要および要約の部分ではなく、詳細な説明の部分が特許請求の範囲を解釈するために用いられることを意図されていることを理解すべきである。発明の概要および要約の部分は、発明者によって考案された本発明の実施形態のうち一つまたは複数について述べているが、全ての例示的な実施形態について述べている訳ではない。したがって、本発明および添付の特許請求の範囲をいかなる方法によっても限定する意図はない。
【0098】
特定の機能および関係の実現を例証する機能的な構成要素の助けを用いて本発明を上記で説明してきた。これらの機能的な構成要素の境界は、説明の便宜上、適宜定義されている。それらの特別な機能および関係が適切に実行される限り、別の境界も定義することができる。
【0099】
特定の実施形態についての上記説明は本発明の一般的性質を完全に公開しており、したがって、当分野の能力に含まれる知識を適用することによって、過度の実験をすることなく、および本発明の一般概念から逸脱することなく、種々の応用に対してそのような特定の実施形態を直ちに修正しおよび/または適応させることができる。したがって、そのような適応および修正は、本書に提示された教示および助言に基づき、開示された実施形態の意義および等価物の範囲内であると意図されている。
【0100】
本発明の広さおよび範囲は、上述した例示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、以下の特許請求の範囲およびそれらの等価物にしたがってのみ規定されるべきである。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8