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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-29
(45)【発行日】2024-06-06
(54)【発明の名称】ガラスの加工方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/0622 20140101AFI20240530BHJP
【FI】
B23K26/0622
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022556721
(86)(22)【出願日】2020-10-13
(86)【国際出願番号】 JP2020038617
(87)【国際公開番号】W WO2022079798
(87)【国際公開日】2022-04-21
【審査請求日】2023-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】300073919
【氏名又は名称】ギガフォトン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(72)【発明者】
【氏名】川筋 康文
(72)【発明者】
【氏名】諏訪 輝
(72)【発明者】
【氏名】阿達 康弘
【審査官】齋藤 健児
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-91684(JP,A)
【文献】特表2014-514754(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/0622
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ発振器を用いてパルスレーザ光を生成し、前記パルスレーザ光を加工対象の無アルカリガラスに照射することを含み、
前記パルスレーザ光の波長は、248nmから266nmの範囲内であり、
前記パルスレーザ光は、パルスの立ち上がりから5ns以降400nsまでのエネルギの比率が91%以上99%以下である、
ガラスの加工方法。
【請求項2】
請求項1に記載のガラスの加工方法であって、
前記レーザ発振器は、KrFエキシマレーザ装置である、
ガラスの加工方法。
【請求項3】
請求項1に記載のガラスの加工方法であって、
前記レーザ発振器は、
波長が1030nm又は1064nmのレーザ光を出力する固体レーザ装置と、
前記レーザ光の第4高調波を発生させる波長変換部と、を含む、
ガラスの加工方法。
【請求項4】
請求項3に記載のガラスの加工方法であって、
前記波長変換部は、
2つの第2高調波発生結晶又は1つの第4高調波発生結晶を含む、
ガラスの加工方法。
【請求項5】
請求項1に記載のガラスの加工方法であって、
前記パルスレーザ光の時間波形の時刻tにおける光強度をI(t)とする場合に、
TIS=[∫I(t)dt]/∫I(t)dt
で定義されるパルス幅は、62ns以上259ns以下である、
ガラスの加工方法。
【請求項6】
請求項1に記載のガラスの加工方法であって、
前記パルスレーザ光の立ち上がりから5ns以降400nsまでのエネルギの比率が91%以上95%以下である、
ガラスの加工方法。
【請求項7】
請求項1に記載のガラスの加工方法であって、
前記無アルカリガラスに前記パルスレーザ光を複数回照射することにより、前記無アルカリガラスに貫通穴を加工する、
ガラスの加工方法。
【請求項8】
レーザ発振器を用いて波長が248nmから266nmの範囲内である第1のパルスレーザ光を生成し、
前記第1のパルスレーザ光の光路上に配置された光パルスストレッチャを用いて前記第1のパルスレーザ光のパルス幅を伸長することにより、パルスの立ち上がりから5ns以降400nsまでのエネルギの比率が91%以上99%以下である第2のパルスレーザ光を生成し、
前記第2のパルスレーザ光を、加工対象の無アルカリガラスに照射することを含む、
ガラスの加工方法。
【請求項9】
請求項8に記載のガラスの加工方法であって、
前記光パルスストレッチャは、ビームスプリッタと複数の凹面ミラーとを含む、
ガラスの加工方法。
【請求項10】
請求項8に記載のガラスの加工方法であって、
前記光パルスストレッチャが2段以上配置される、
ガラスの加工方法。
【請求項11】
請求項8に記載のガラスの加工方法であって、
前記第2のパルスレーザ光は、前記第1のパルスレーザ光の一部が前記光パルスストレッチャの遅延光路を周回せずに前記光パルスストレッチャを通過した非周回光のパルスと、前記第1のパルスレーザ光の他の一部が前記遅延光路を1周回以上周回して前記光パルスストレッチャから出力された周回光のパルスとが連続して連なるように合成されたパルス波形を有し、
前記周回光のパルスは、先行するパルスの一部と重なり合っている、
ガラスの加工方法。
【請求項12】
複数のレーザ発振器を用いて波長が248nmから266nmの範囲内の複数のパルスレーザ光を異なるタイミングで生成し、
前記複数のパルスレーザ光の光路軸を平行にする伝搬光学系を用いて前記複数のパルスレーザ光を合成することにより、パルスの立ち上がりから5ns以降400nsまでのエネルギの比率が91%以上99%以下である合成パルスレーザ光を生成し、
前記合成パルスレーザ光を、加工対象の物としての無アルカリガラスに照射することを含む、
ガラスの加工方法。
【請求項13】
請求項12に記載のガラスの加工方法であって、
前記レーザ発振器は、KrFエキシマレーザ装置である、
ガラスの加工方法。
【請求項14】
請求項12に記載のガラスの加工方法であって、
前記レーザ発振器は、
波長が1030nm又は1064nmのレーザ光を出力する固体レーザ装置と、
前記レーザ光の第4高調波を発生させる波長変換部と、を含む、
ガラスの加工方法。
【請求項15】
請求項14に記載のガラスの加工方法であって、
前記波長変換部は、
2つの第2高調波発生結晶又は1つの第4高調波発生結晶を含む、
ガラスの加工方法。
【請求項16】
請求項12に記載のガラスの加工方法であって、
前記合成パルスレーザ光の時間波形の時刻tにおける光強度をI(t)とする場合に、
TIS=[∫I(t)dt]/∫I(t)dt
で定義されるパルス幅は、62ns以上259ns以下である、
ガラスの加工方法。
【請求項17】
請求項12に記載のガラスの加工方法であって、
前記複数のパルスレーザ光の発光タイミングの時間差を示す遅延時間を設定し、前記複数のレーザ発振器に発光トリガ信号を送信するタイミングを設定するプロセッサと、
前記プロセッサが設定した前記タイミングで前記複数のレーザ発振器に発光トリガ信号を送信する遅延回路と、
を用いて、前記複数のパルスレーザ光を異なるタイミングで生成する、
ガラスの加工方法。
【請求項18】
請求項12に記載のガラスの加工方法であって、
前記複数のレーザ発振器は、第1のレーザ発振器と、第2のレーザ発振器と、第3のレーザ発振器と、を含み、
前記複数のパルスレーザ光は、前記第1のレーザ発振器から出力される第1のパルスと、前記第2のレーザ発振器から出力される第2のパルスと、前記第3のレーザ発振器から出力される第3のパルスと、を含み、
前記伝搬光学系は、前記第1のレーザ発振器から出力された前記第1のパルスの光路軸が前記第2のパルスの光路軸と平行になるように前記第1のパルスを反射する第1のミラー及び第1のナイフエッジミラーを含み、さらに、
前記第3のレーザ発振器から出力された前記第3のパルスの光路軸が前記第2のパルスの光路軸と平行になるように前記第3のパルスを反射する第2のミラー及び第2のナイフエッジミラーを含む、
ガラスの加工方法。
【請求項19】
請求項12に記載のガラスの加工方法であって、
前記無アルカリガラスに前記合成パルスレーザ光を複数回照射することにより、前記無アルカリガラスに貫通穴を加工する、
ガラスの加工方法。
【請求項20】
請求項12に記載のガラスの加工方法であって、
前記合成パルスレーザ光は、前記複数のパルスレーザ光の各パルスが連続して連なるように合成されたパルス波形を有し、
前記複数のパルスレーザ光は、連続するパルス同士の一部が重なり合っている、
ガラスの加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ガラスの加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体露光装置においては、半導体集積回路の微細化及び高集積化につれて、解像力の向上が要請されている。このため、露光用光源から放出される光の短波長化が進められている。例えば、露光用のガスレーザ装置としては、波長約248nmのレーザ光を出力するKrFエキシマレーザ装置、並びに波長約193nmのレーザ光を出力するArFエキシマレーザ装置が用いられる。
【0003】
また、ガラスに微細穴を加工する方法として、フェムト秒レーザや紫外線レーザで変質部を作り、この変質部のエッチングレートが他の部分より大きいことを利用する方法や、エキシマレーザ装置で直接加工する方法などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2000-511113号公報
【文献】特開2010-274328号公報
【文献】特開2007-175721号公報
【文献】国際公開第2016/151723号
【概要】
【0005】
本開示の1つの観点に係るガラスの加工方法は、レーザ発振器を用いてパルスレーザ光を生成し、パルスレーザ光を加工対象の無アルカリガラスに照射することを含み、パルスレーザ光の波長は、248nmから266nmの範囲内であり、パルスレーザ光は、パルスの立ち上がりから5ns以降400nsまでのエネルギの比率が91%以上99%以下である。
【0006】
本開示の他の1つの観点に係るガラスの加工方法は、レーザ発振器を用いて波長が248nmから266nmの範囲内である第1のパルスレーザ光を生成し、第1のパルスレーザ光の光路上に配置された光パルスストレッチャを用いて第1のパルスレーザ光のパルス幅を伸長することにより、パルスの立ち上がりから5ns以降400nsまでのエネルギの比率が91%以上99%以下である第2のパルスレーザ光を生成し、第2のパルスレーザ光を加工対象の無アルカリガラスに照射することを含む。
【0007】
本開示の他の1つの観点に係るガラスの加工方法は、複数のレーザ発振器を用いて波長が248nmから266nmの範囲内の複数のパルスレーザ光を異なるタイミングで生成し、複数のパルスレーザ光の光路軸を平行にする伝搬光学系を用いて複数のパルスレーザ光を合成することにより、パルスの立ち上がりから5ns以降400nsまでのエネルギの比率が91%以上99%以下である合成パルスレーザ光を生成し、合成パルスレーザ光を加工対象の無アルカリガラスに照射することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本開示のいくつかの実施形態を、単なる例として、添付の図面を参照して以下に説明する。
図1図1は、ガラスの穴あけ加工に用いられるレーザ加工システムの構成例を概略的に示す。
図2図2は、比較例に係るエキシマレーザ装置の構成を概略的に示す。
図3図3は、実施形態1に係るガラスの加工方法に使用されるエキシマレーザ装置の構成を概略的に示す。
図4図4は、光パルスストレッチャ(OPS)の構成を概略的に示す。
図5図5は、実施形態1に係るエキシマレーザ装置から出力されるパルスレーザ光の波形の例を示すグラフである。
図6図6は、ガラスの微細穴加工における照射パルス数と加工深さとの関係を示すグラフである。
図7図7は、ガラスにパルスレーザ光を1パルス照射したときのガラス表面を観察した結果を示す画像である。
図8図8は、D法による加工閾値の計測結果を示すグラフである。
図9図9は、ガラス吸収量の時間変化を計測する際の試験セットアップの説明図である。
図10図10は、図9に示す波形センサによって計測されたガラスの透過光量の時間変化を示すグラフである。
図11図11は、加工時における2パルス目以降の透過光量の時間変化とデフォーカス時の透過光量の時間変化とを比較したグラフである。
図12図12は、2パルス目以降の透過光量/入射光量の比の時間変化を示すグラフである。
図13図13は、OPSの周回距離を変えた場合に出力されるパルスレーザ光の波形の例を示すグラフである。
図14図14は、OPS周回距離と、出力されるパルスレーザ光のTISと、パルスの立ち上がりから5ns以降400nsまでのエネルギの比率との関係をまとめた図表である。
図15図15は、OPS内のビームスプリッタの反射率を変えた場合に出力されるパルスレーザ光のTISと、パルスの立ち上がりから5ns以降400nsまでのエネルギの比率とのそれぞれの計算結果を示す図表である。
図16図16は、OPS内のビームスプリッタの反射率を変えた場合に出力されるパルスレーザ光の波形の例を示すグラフである。
図17図17は、実施形態2に係るエキシマレーザ装置の構成を概略的に示す。
図18図18は、OPSの段数を変えた場合に出力されるパルスレーザ光の波形の例を示す。
図19図19は、OPSの段数を変えた場合に出力されるパルスレーザ光のTISと、パルスの立ち上がりから5ns以降400nsまでのエネルギの比率とのそれぞれの計算結果を示す図表である。
図20図20は、実施形態3に係るレーザ装置の構成を概略的に示す。
図21図21は、実施形態4に係るレーザシステムの構成を概略的に示す。
図22図22は、実施形態4に係るレーザシステムの動作の例を示すフローチャートである。
図23図23は、複数のレーザ発振器から出力されるパルスレーザ光の遅延時間の説明図である。
図24図24は、複数のレーザ発振器のそれぞれから出力されるパルスレーザ光の1パルス分のパルス波形の例を示す。
【実施形態】
【0009】
-目次-
1.用語の説明
2.レーザ加工システムの概要
3.比較例に係るエキシマレーザ装置の説明
3.1 構成
3.2 動作
3.3 課題
4.実施形態1
4.1 構成
4.2 動作
4.3 ロングパルスのパルスレーザ光の加工レートが高い要因
4.4 OPS周回距離とTISとの関係
4.5 OPS内のビームスプリッタの反射率とTISとの関係
4.6 効果
4.7 変形例
5.実施形態2
5.1 構成
5.2 動作
5.3 OPSの段数とパルス波形とTISとの関係
5.4 効果
6.実施形態3
6.1 構成
6.2 動作
6.3 効果
7.実施形態4
7.1 構成
7.2 動作
7.3 効果
8.パルスレーザ光の好ましい条件の例
9.パルスレーザ光の波長について
10.レーザ制御部のハードウェア構成について
11.その他
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。以下に説明される実施形態は、本開示のいくつかの例を示すものであって、本開示の内容を限定するものではない。また、各実施形態で説明される構成及び動作の全てが本開示の構成及び動作として必須であるとは限らない。なお、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、重複する説明を省略する。
【0010】
1.用語の説明
「TIS」は、パルスレーザ光のパルス幅の指標であり、以下の式(1)で表される。
【0011】
TIS=[∫I(t)dt]/∫I(t)dt (1)
式(1)中のI(t)は、パルスレーザ光の光強度(インテンシティ)の時間関数である。
【0012】
すなわち、パルスレーザ光の時間波形の時刻tにおける光強度をI(t)とする場合に、式(1)で定義されるパルス幅をTISという。TISは、矩形波ではないインテンシティの時間関数のパルス幅を定義する方法として知られている。TISは、「TISパルス時間幅」又は「TIS幅」などと呼ばれることがある。
【0013】
2.レーザ加工システムの概要
図1は、エキシマレーザ装置10でガラスGLに微細穴を直接加工する場合に用いられるレーザ加工システム1の例を概略的に示す。レーザ加工システム1は、エキシマレーザ装置10と、アパーチャ又はマスク60と、ミラー62と、縮小転写光学系64と、XYZステージ66とを含む。
【0014】
加工対象(被加工物)としてのガラスGLは、XYZステージ66上に配置される。XYZステージ66は、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の直交3軸の各方向に移動可能なアクチュエータ付きのステージである。エキシマレーザ装置10には、例えば、波長248nmのKrFエキシマレーザや波長193nmのArFエキシマレーザなどが用いられる。
【0015】
レーザ加工システム1は、エキシマレーザ装置10から出力されたパルスレーザ光をアパーチャ又はマスク60に照射し、アパーチャ又はマスク60の像を縮小転写光学系64にてガラスGLに照射することによりガラスGLを加工する。このようなレーザ加工システム1によれば、複数の微細穴の加工を同時に行うことが可能である。なお、図1に示す構成の他に、パルスレーザ光を集光レンズで集光し、穴あけ加工対象物に照射して加工する方法もある。
【0016】
3.比較例に係るエキシマレーザ装置の説明
3.1 構成
図2は、比較例に係るエキシマレーザ装置10の構成を概略的に示す。本開示の比較例とは、出願人のみによって知られていると出願人が認識している形態であって、出願人が自認している公知例ではない。
【0017】
エキシマレーザ装置10は、レーザ発振器12と、モニタモジュール16と、レーザ制御部20とを含む。レーザ発振器12は、チャンバ120と、リアミラー126と、出力結合ミラー128とを含む。出力結合ミラー128は、例えば、反射率が8%~15%の部分反射ミラーであってもよい。出力結合ミラー128はリアミラー126と共に光共振器を構成するように配置される。
【0018】
チャンバ120は、光共振器の光路上に配置される。チャンバ120は、一対の電極130a、130bと、レーザ光が透過する2枚のウインドウ134、136とを含む。チャンバ120内には、図示しないガス供給源からエキシマレーザガスが供給される。エキシマレーザガスは、例えば、レアガスと、ハロゲンガスと、バッファガスとを含む。レアガスは、例えば、Ar又はKrであってよい。ハロゲンガスは、例えば、Fであってよく、バッファガスは、例えば、Neであってよい。
【0019】
モニタモジュール16は、レーザ発振器12から出力されるパルスレーザ光の光路上に配置される。モニタモジュール16は、ビームスプリッタ162と、集光レンズ163と、光センサ164とを含む。
【0020】
ビームスプリッタ162は、パルスレーザ光の光路上に配置される。ビームスプリッタ162の反射光が集光レンズ163を介して光センサ164に入射するようにビームスプリッタ162、集光レンズ163及び光センサ164が配置される。
【0021】
光センサ164は、集光レンズ163の焦点の位置に光センサ164の受光部が位置するように配置される。光センサ164は、例えば、高速応答のフォトダイオード又はバイプラナ光電管であってもよい。
【0022】
3.2 動作
チャンバ120内の電極130a、130b間で放電を発生させると、エキシマレーザガスが励起され、出力結合ミラー128とリアミラー126とで構成される光共振器で増幅されたパルスレーザ光が出力結合ミラー128から出力される。
【0023】
レーザ発振器12から出力されたパルスレーザ光の一部は、モニタモジュール16内のビームスプリッタ162によって反射され、集光レンズ163を介して光センサ164に入射する。
【0024】
レーザ制御部20は、光センサ164からの信号を受信し、このパルス時間波形を積分してパルスエネルギを計算する。
【0025】
レーザ制御部20は、光センサ164で計測したパルスエネルギが目標パルスエネルギとなるように、レーザ発振器12内の電極130a、130b間に印加する電圧を制御する。
【0026】
3.3 課題
エキシマレーザで直接ガラスに微細穴を加工する方法は、加工レート(加工性)が低く、そのため、加工コストが高いという課題がある。
【0027】
4.実施形態1
4.1 構成
図3は、実施形態1に係るガラスの加工方法に使用されるエキシマレーザ装置10Aの構成を概略的に示す。図3に示す構成について、図2と異なる点を説明する。エキシマレーザ装置10Aは、レーザ発振器12とモニタモジュール16との間の光路上に光パルスストレッチャ(OPS)100を含むKrFエキシマレーザ装置である。OPS100は、出力結合ミラー128から出力されたパルスレーザ光が入射するように配置される。
【0028】
OPS100は、ビームスプリッタBS1と、4枚の凹面ミラー101、102、103、104とを含む。その他の構成は、図2と同様であってよい。
【0029】
図4は、OPS100の構成を概略的に示す。ビームスプリッタBS1は、レーザ発振器12の出力結合ミラー128から出力されたパルスレーザ光の光路上に配置される。ビームスプリッタBS1は、入射したパルスレーザ光のうちの一部のパルスレーザ光を透過させ、その他のパルスレーザ光を反射する部分反射ミラーである。ビームスプリッタBS1の反射率は、40%~70%であることが好ましく、約60%であることがより好ましい。
【0030】
凹面ミラー101、102、103及び104は、ビームスプリッタBS1の第1の面で反射されたパルスレーザ光の遅延光路を構成する。4枚の凹面ミラー101~104は、それぞれの焦点距離が全て略等しい凹面ミラーであってもよい。凹面ミラー101~104のそれぞれの焦点距離fは、例えば、ビームスプリッタBS1から凹面ミラー101までの距離に相当してよい。
【0031】
凹面ミラー101は、ビームスプリッタBS1の第1の面で反射されたパルスレーザ光を反射し、凹面ミラー102に入射させるように配置される。凹面ミラー101と凹面ミラー102とは、ビームスプリッタBS1の第1の面で反射されたパルスレーザ光が、ビームスプリッタBS1の第1の面における像を等倍(1:1)で第1の像として結像させるように配置される。
【0032】
凹面ミラー103は、凹面ミラー102で反射されたパルスレーザ光で反射し、凹面ミラー104に入射させるように配置される。凹面ミラー104は、凹面ミラー104で反射したパルスレーザ光をビームスプリッタBS1の第1の面とは反対側の第2の面に入射させるように配置される。凹面ミラー103と凹面ミラー104とは、第1の像をビームスプリッタBS1の第2の面に等倍で第2の像として結像させるように配置される。
【0033】
4.2 動作
レーザ発振器12のチャンバ120において放電が発生すると、エキシマレーザガスが励起され、出力結合ミラー128とリアミラー126とで構成される光共振器によって生成されたパルスレーザ光が出力結合ミラー128から出力される。出力結合ミラー128から出力されたパルスレーザ光は、OPS100に入射し、OPS100によってパルスレーザ光のパルス幅が伸長される。
【0034】
すなわち、OPS100に入射したパルスレーザ光は、ビームスプリッタBS1の第1の面に入射する。ビームスプリッタBS1の第1の面に入射したパルスレーザ光のうちの一部は、ビームスプリッタBS1を透過し、遅延光路を周回していない0周回光のパルスレーザ光としてOPS100から出力される。なお、0周回光は非周回光と同義であり、「スルー光」とも呼ばれる。
【0035】
一方、ビームスプリッタBS1の第1の面に入射したパルスレーザ光のうち、ビームスプリッタBS1の第1の面で反射されたパルスレーザ光は遅延光路に進入し、凹面ミラー101~104によって反射される。凹面ミラー104からビームスプリッタBS1の第2の面に入射したパルスレーザ光の一部は、ビームスプリッタBS1の第2の面により反射され、遅延光路を1周回した1周回光のパルスレーザ光としてOPS100から出力される。この1周回光のパルスレーザ光は、0周回光のパルスレーザ光から遅延時間Δt1だけ遅れて出力される。この遅延時間Δt1は、OPS100の遅延光路の光路長(周回距離)をLOPS、光速をcとすると、Δt1=LOPS/cと表すことができる。
【0036】
凹面ミラー104からビームスプリッタBS1の第2の面に入射したパルスレーザ光のうちビームスプリッタBS1を透過したパルスレーザ光は、さらに遅延光路に進入し、4枚の凹面ミラー101~104により反射されて、ビームスプリッタBS1の第2の面に入射する。そして、ビームスプリッタBS1の第2の面により反射されたパルスレーザ光は、遅延光路を2周回した2周回光のパルスレーザ光としてOPS100から出力される。この2周回光のパルスレーザ光は、1周回光のパルスレーザ光から遅延時間Δt1だけ遅れて出力される。
【0037】
こうして、光の遅延光路の周回が繰り返されることにより、OPS100からは、0周回光、1周回光、2周回光、3周回光・・・のそれぞれのパルスが重ね合わされたパルスレーザ光が出力される。OPS100から出力される各周回光は、遅延光路の周回数が多くなるほど光強度が低下する。
【0038】
1周回光以降の周回光は、0周回光に対して遅延時間Δt1の整数倍だけ遅れてそれぞれ合成されてOPS100から出力されることにより、非周回光を含む各周回光のパルス波形が時間差を持って重ね合わされる。こうして、OPS100によってパルスレーザ光のパルス幅が伸長される。
【0039】
OPS100を通過したパルスレーザ光は、モニタモジュール16を通過して、エキシマレーザ装置10Aから出力される。出力結合ミラー128から出力されたパルスレーザ光は本開示における「第1のパルスレーザ光」の一例である。OPS100によってパルス幅が伸長されたパルスレーザ光は本開示における「第2のパルスレーザ光」の一例である。
【0040】
図5は、エキシマレーザ装置10Aから出力されるパルスレーザ光の波形の例を示すグラフである。横軸は時間を表し、縦軸はインテンシティを表す。図5には、比較のために、比較例に係るエキシマレーザ装置10から出力されるパルスレーザ光の波形も合わせて示す。OPS100を備えていない比較例に係るエキシマレーザ装置10から出力されるパルスレーザ光のTISは、例えば32nsである。
【0041】
一方で、実施形態1に係るエキシマレーザ装置10Aにおいて、例えばOPS100のビームスプリッタBS1の反射率を60%、周回距離を7mとすると、エキシマレーザ装置10Aから出力されるパルスレーザ光のTISは約74nsに伸長される。OPS100から出力されるパルスレーザ光は、非周回光のパルスと、遅延光路を1周回以上周回した各周回光のパルスとが連続して連なるように合成されたパルス波形を有し、合成されたパルス波形の全体が1つの照射パルスとなり得る。
【0042】
図6は、ガラスの微細穴加工における照射パルス数と加工深さとの関係を示すグラフである。横軸は照射パルス数を表し、縦軸は加工深さを表す。ここでは、加工対象のガラスは、板厚500μmの無アルカリガラスであり、無アルカリガラスに照射するパルスレーザ光の波長は248nmである。無アルカリガラスは、例えばガラスインターポーザやマイクロLED(Light-Emitting Diode)ディスプレイなどに用いられる。無アルカリガラスに加工される微細穴は、例えば配線のための貫通穴であってよい。無アルカリガラスにパルスレーザ光を複数回照射することにより、無アルカリガラスに貫通穴を直接加工することができる。
【0043】
図6には、TISが32nsの比較例に係るパルスレーザ光を用いた場合の例と、TISが74nsの実施形態1に係るパルスレーザ光を用いた場合の例とが示されている。図6に示すように、500μmの加工深さが得られる照射パルス数は、比較例に係るパルスレーザ光(TIS:32ns)のときは1200パルスであるのに対し、実施形態1に係るパルスレーザ光(TIS:74ns)のときは900パルスであった。
【0044】
よって、TISを32nsから74nsに伸長すると、加工レートが向上し、加工に必要なパルス数が25%減少する効果がある。
【0045】
図7は、無アルカリガラスにパルスレーザ光を1パルス照射したときのガラス表面を観察した結果を示す。図7に示す観察結果の画像において、パルスレーザ光の照射で加工された領域の長径をD1、短径をD2とし、D1とD2との積をDとする。Dは、パルスレーザ光の照射で加工された領域の外接矩形の面積に相当する。Dの計測のために照射されるパルスレーザ光のビーム断面の光強度分布はガウシアンであってよい。
【0046】
図8は、パルスレーザ光のフルエンスと加工された領域の外接矩形の面積との関係を示すグラフである。横軸はフルエンスを表し、縦軸はDを表す。ここで、図8に示すグラフから、Dが0のときのフルエンスがガラスの加工に必要なフルエンスの閾値(以下、加工閾値という。)になる。
【0047】
図8には、TISが32ns、62ns及び74nsのそれぞれのパルスレーザ光のフルエンスとDとの関係が示されている。TISが32nsのパルスレーザ光を用いたときのフルエンスとDとの関係から回帰直線RL32が得られる。この回帰直線RL32から、TISが32nsのパルスレーザ光のときの加工閾値Fthは18.0J/cmである。
【0048】
同様に、TISが62ns及び74nsのそれぞれのパルスレーザ光を用いたときのフルエンスとDとの関係から回帰直線RL62及び回帰直線RL74が得られる。回帰直線RL62から、TISが62nsのパルスレーザ光のときの加工閾値Fthは17.0J/cmであり、回帰直線RL74から、TISが74nsのパルスレーザ光のときの加工閾値Fthは12.8J/cmであった。
【0049】
よって、TISを32nsから62nsに伸長すると、加工に必要なフルエンスが6%減少するため、同じパルスエネルギの場合、加工面積を6%大きくできる効果がある。また、TISを32nsから74nsに伸長すると、加工に必要なフルエンスが29%減少するため、同じパルスエネルギの場合、加工面積を29%大きくできる効果がある。
【0050】
4.3 ロングパルスのパルスレーザ光の加工レートが高い要因
比較例に係るパルスレーザ光(TIS:32ns)に比べてパルス幅が伸長されたロングパルスのパルスレーザ光の方が加工レートが高い要因を調査するために、ガラス吸収量の時間変化を計測した。
【0051】
図9は、ガラス吸収量の時間変化を計測する際の試験セットアップの説明図である。ここでは、波長248nmのパルスレーザ光を使用し、集光レンズ52を介して加工対象物であるガラスGLにパルスレーザ光を照射して、その透過光の光強度(透過光量)を波形センサ54で計測した例を示す。ガラスGLは、無アルカリガラスである。波形センサ54としてバイプラナ光電管を用いた。
【0052】
加工対象物であるガラスGLをパルスレーザ光の光路軸方向に移動させて集光レンズ52とガラスGLとの相対距離を変えることによりデフォーカス量を変更し、フルエンスを変更して計測を実施した。デフォーカス時は、フルエンスが加工閾値に満たない低フルエンスの条件である。デフォーカス時に観測される透過光量の時間変化は、ガラスGLに照射されるパルスレーザ光のインテンシティの時間変化を示すものに相当すると理解してよい。
【0053】
図10は、波形センサ54によって計測されたガラスGLの透過光量の時間変化を示すグラフである。図10中のグラフG1は、ガラス加工時の1パルス目の透過光量の時間変化である。グラフG2は、ガラス加工時の2パルス目の透過光量の時間変化である。グラフGdfは、デフォーカス時(非加工時)の透過光量の時間変化である。
【0054】
図10によれば、加工閾値以上の高フルエンスでの透過光量は、加工閾値よりも低い低フルエンスでの透過光量の約10%である。このことから、加工のためにガラスGLにエネルギが吸収されていると理解される。
【0055】
また、グラフG1とグラフG2とを比較すると明らかなように、高フルエンスの1パルス目先頭部分のみ透過光量が大きい。これは、1パルス目先頭部分以降、ガラスGLに変質が発生し、光吸収量が増加しているためと考えられる。
【0056】
図11は、加工時における2パルス目以降の透過光量の時間変化とデフォーカス時の透過光量の時間変化とを比較したグラフである。なお、デフォーカス時の透過光量は、入射光量と見做すことができる。図11中のグラフG21は、ガラス加工時の2パルス目の透過光量の時間変化である。
【0057】
ガラス吸収係数が一定であれば、両者の波形は同じ形になると考えられるが、図11に示すとおり、両者は同じ波形ではない。これはガラスGLによる光吸収量がパルス中に変化していることを示している。なお、図11では、2パルス目の透過光量のグラフを示すが、3パルス目以降も2パルス目と同様の時間変化を示す。
【0058】
図12は、2パルス目以降の透過光量/入射光量の比をグラフ化したものである。ここでいう入射光量は、デフォーカス時の透過光量であってよい。透過光量/入射光量の比を「透過光量比」という。図12に示すように、パルスの立ち上がりから5ns程度は透過光量比が大きい。つまり、ガラスGLによる吸収光量が小さい。これは、パルスの立ち上がりから最初の5nsまでの期間は加工への寄与が小さいと考えられ、ロングパルスの加工レートが大きい結果と整合する。つまり、図12のグラフから、加工レートの向上には、透過光量比が小さくなる(吸収光量が大きくなる)5ns以降の光エネルギの寄与が重要であるとの知見が得られた。
【0059】
また、2パルス目に限らず、3パルス目以降についても、図12と同様の現象が観察されることから、加工対象物としてのガラスGLに繰り返し照射される複数パルスのそれぞれのビーム先頭でガラスGLの状態が2パルス目の状態にリセットしていると考えられる。
【0060】
レーザによるガラスの穴あけ加工の技術分野では、レーザ光のパルス幅を小さくすることが有益であると考えられているが、図12の結果が示すように、ガラスGLの透過光量比が小さい状態は照射パルスの立ち下がり終端後の極めて短時間にリセットされることに鑑みると、パルス幅を小さくすることは、透過光量比が大きい状態においてエネルギを投入することを意味しており、加工レートの向上にはつながりにくい。
【0061】
図10図12に基づく知見から、ガラスGLの透過光量比が小さい状態において照射されるパルスレーザ光のエネルギが加工レートの向上に寄与すると理解される。このため、OPS100から出力される各周回光のパルスは、それぞれが完全に分離した(独立した)複数のパルスとならずに、先行パルスとこれに続く後続パルスとの一部が重なり合って連なり、非周回光を含む複数の周回光のパルスが合成された合成波形の全体で1つのパルスが構成されることが好ましい。つまり、OPS100から出力される合成波形としての1つのパルスの途中においてエネルギが0になる期間が存在しないことが好ましい。
【0062】
4.4 OPS周回距離とTISとの関係
図13は、OPS100の周回距離を変えた場合に出力されるパルスレーザ光の波形の例を示すグラフである。横軸は時間を表し、縦軸はインテンシティを表す。図13には、周回距離が7mのOPSから出力されるパルスレーザ光の波形PW7と、周回距離が14mのOPSから出力されるパルスレーザ光の波形PW14とが示されている。また、図13には、参考のために、OPSなしの比較例に係るエキシマレーザ装置10から出力されたパルスレーザ光の波形PW0も合わせて表示した。
【0063】
図14は、OPS周回距離と、出力されるパルスレーザ光のTISと、パルスの立ち上がりから5ns以降400nsまでのエネルギの比率との関係をまとめた図表である。図14における「OPS-R」とはビームスプリッタBS1の反射率を表す。図14には、OPS100の周回距離が7m、14m及び21mのそれぞれの例が示されている。「エネルギの比率」とは、パルスレーザ光の立ち上がりから立ち下がり(パルス終端)までの期間を含む400nsまでのパルスエネルギに対して、パルスの立ち上がりから5ns以降400nsまでのエネルギが占める割合(比率)である。図14に示すとおり、OPS100の周回距離を長くすることにより、TISを伸長することができる。OPS100の周回距離を14mあるいは21mと長くすることにより、TISを97nsまで伸長することができる。またパルスの立ち上がりから5ns以降400nsまでのエネルギの比率を95%まで上げることができる。
【0064】
ここで「400ns」という終端時間は、パルスレーザ光のエネルギが0になるのに十分な時間という観点から定められている。OPS100の具体的構成などに依存してOPS100から出力されるパルスレーザ光のパルス波形は異なり、パルスの立ち上がり後、そのパルス波形によりエネルギが0になる時間は異なる。様々なパルス波形が想定されるが実用的な構成を踏まえると、パルスの立ち上がりから遅くとも400nsまでにはパルスレーザ光のエネルギが0になり得る。本開示ではパルスの立ち上がりから5ns以降400nsまでのエネルギの比率を求めることで、パルスの立ち上がりから5ns以降パルス終端までのエネルギの比率を評価している。
【0065】
4.5 OPS内のビームスプリッタの反射率とTISとの関係
図15は、OPS100内のビームスプリッタBS1の反射率を変えた場合に出力されるパルスレーザ光のTISの計算結果と、パルスの立ち上がりから5ns以降400nsまでのエネルギの比率とを示す図表である。図15中の反射率40%、TISが62nsである条件は、図6で説明したTISが62nsの条件に相当するものである。また、図15中の反射率60%、TISが74nsである条件は、図6で説明したTISが74nsの条件に相当するものである。
【0066】
図16は、OPS100内のビームスプリッタBS1の反射率を変えた場合に出力されるパルスレーザ光の波形の例を示すグラフである。横軸は時間を表し、縦軸はインテンシティを表す。図16には、ビームスプリッタBS1の反射率が40%であるOPSから出力されるパルスレーザ光の波形PWR40と、ビームスプリッタBS1の反射率が60%であるOPSから出力されるパルスレーザ光の波形PWR60と、ビームスプリッタBS1の反射率が90%であるOPSから出力されるパルスレーザ光の波形PWR90とが示されている。また、図16には、参考のために、OPSなしの比較例に係るエキシマレーザ装置10から出力されたパルスレーザ光の波形PW0も合わせて表示した。
【0067】
図15及び図16に示すように、OPS100内のビームスプリッタBS1の反射率を40%以上に大きくすることによって、TISを伸長することができる。
【0068】
OPS100内のビームスプリッタBS1の反射率を40%よりもさらに大きくすることにより、TISを74nsまで伸長することができる。また、OPS100内のビームスプリッタBS1の反射率を40%以上に大きくすることにより、パルスの立ち上がりから5ns以降400nsまでのエネルギの比率を91%以上99%まで上げることができる。
【0069】
4.6 効果
図6で説明したグラフのTISの条件を、パルスの立ち上がりから5ns以降400nsまでのエネルギの比率の条件に置き換えて考察すると明らかなように、パルスの立ち上がりから5ns以降400nsまでのエネルギの比率が91%以上のパルスレーザ光を無アルカリガラスに照射することにより、加工レートを向上させることができる。
【0070】
4.7 変形例
実施形態1で説明したOPS100は、4枚の凹面ミラー101~104によって遅延光路が構成される形態であるが、OPSの構成はこの例に限らない。例えば、6枚の凹面ミラーによって遅延光路を構成する形態も可能であるし、8枚以上の凹面ミラーによって遅延光路を構成する形態も可能である。
【0071】
5.実施形態2
5.1 構成
図17は、実施形態2に係るエキシマレーザ装置10Bの構成を概略的に示す。図17に示す構成について、図3と異なる点を説明する。
【0072】
エキシマレーザ装置10Bは、レーザ発振器12とモニタモジュール16との間の光路上に複数段のOPS100、200を含む。エキシマレーザ装置10Bは、OPS100とモニタモジュール16との間の光路上にOPS200が配置される。
【0073】
OPS200は、ビームスプリッタBS2と、4枚の凹面ミラー201~204とを含む。OPS200の構成は、図4で説明したOPS100の構成と同様であってよい。OPS200の周回距離は、OPS100の周回距離と同じであってもよいし、異なるものであってもよい。
【0074】
5.2 動作
OPS100から出力されたパルスレーザ光は、OPS200に入射する。OPS200に入射したパルスレーザ光はOPS200によってさらにパルス幅が伸長される。OPS200の動作はOPS100と同様である。OPS200のビームスプリッタBS2と凹面ミラー201~204とのそれぞれの役割は、OPS100の対応する要素と同様である。
【0075】
パルスレーザ光の光路上に光パルスストレッチャ100、200を直接に複数段配置することにより、TISをさらに伸ばすことができる。ここでは、OPSを2段配置する構成を例示するが、OPSの段数は2段に限らず、3段以上とすることも可能である。
【0076】
5.3 OPSの段数とパルス波形とTISとの関係
図18は、OPSの段数を変えた場合に出力されるパルスレーザ光の波形の例を示すグラフである。横軸は時間を表し、縦軸はインテンシティを表す。図18には、OPSを1段配置した構成(周回距離が7m)から出力されるパルスレーザ光の波形PWS1と、OPSを2段配置した構成(周回距離が7m+14m)から出力されるパルスレーザ光の波形PWS2と、OPSを3段配置した構成(周回距離が7m+14m+21m)から出力されるパルスレーザ光の波形PWS3とが示されている。また、図18には、参考のために、OPSなしの比較例に係るエキシマレーザ装置10から出力されたパルスレーザ光の波形PW0も合わせて表示した。
【0077】
図19は、OPSの段数を変えた場合に出力されるパルスレーザ光のTISと、パルスの立ち上がりから5ns以降400nsまでのエネルギの比率とのそれぞれの計算結果を示す図表である。なお、ここでは、1段目のOPS100の周回距離は7mであり、2段目のOPS200の周回距離は14mであり、図示しない3段目のOPSの周回距離は21mである場合を例示するが、それぞれの段におけるOPSの周回距離はこの例に限らず様々な形態があり得る。
【0078】
図18及び図19に例示したように、OPSを2段配置することにより、TISは155nsまで伸長され、パルスの立ち上がりから5ns以降400nsまでのエネルギの比率は98%まで向上する。
【0079】
また、OPSを3段配置することにより、TISは259nsまで伸長され、パルスの立ち上がりから5ns以降400nsまでのエネルギの比率は99%まで向上する。
【0080】
このように、OPSを1段以上配置する構成を採用することによりTISが伸長され、パルスの立ち上がりから5ns以降400nsまでのエネルギの比率を高めることができ、その結果、加工レートが向上する。
【0081】
なお、OPSの段数を3段以上に増やすとエネルギの損失が大きく増加するため、OPSの段数は1段又は2段であることが好ましい。
【0082】
5.4 効果
実施形態2に係るガラスの加工方法によれば、実施形態1よりもさらにパルス幅を伸長することが可能であり、パルス立ち上がりから5ns以降400nsまでのエネルギの比率を高めることができるため、加工レートが一層向上する。
【0083】
6.実施形態3
6.1 構成
図20は、実施形態3に係るレーザ装置10Cの構成を概略的に示す。図20に示す構成について、図3と異なる点を説明する。図3ではパルスレーザ光を出力するレーザ装置としてエキシマレーザ装置10Aを例示したが、図20に示す実施形態3では、エキシマレーザ装置10Aに代えて、固体レーザの第4高調波光を出力するレーザ装置10Cが用いられる。
【0084】
レーザ装置10Cは、図3のレーザ発振器12に代えて、固体レーザ装置12Cと、波長変換部13とを含む。固体レーザ装置12Cは、例えば、発振波長が1030nm又は1064nmのYAGレーザ装置であってよい。
【0085】
波長変換部13は、固体レーザ装置12CとOPS100との間の光路上に配置される。なお、波長変換部13は、OPS100とモニタモジュール16との間の光路上に配置されてもよいが、エネルギ効率の観点から、図20のように、OPS100の前段に配置されることが好ましい。
【0086】
波長変換部13は、2つの第2高調波発生(SHG)結晶又は1つの第4高調波発生(FHG)結晶を含む構成であってよい。波長変換部13に配置される非線形光学結晶は、例えばLBO(LiB)結晶やCLBO(CsLiB10)結晶であってもよい。固体レーザ装置12Cと波長変換部13との組み合わせは本開示における「レーザ発振器」の一例である。
【0087】
6.2 動作
固体レーザ装置12Cから出力されたパルスレーザ光は、波長変換部13で1030nmの第4高調波の波長257.5nm、又は1064nmの第4高調波の波長266nmのパルスレーザ光に変換される。
【0088】
波長変換部13から出力されたパルスレーザ光はOPS100によってパルス幅が伸長される。
【0089】
6.3 効果
実施形態3に係るレーザ装置10Cによれば、KrFエキシマレーザ装置の発振波長である248nmと概ね同等の紫外波長である257.5nm又は266nmのパルスレーザ光が得られるため、実施形態1と同等の効果が得られる。
【0090】
7.実施形態4
7.1 構成
図21は、実施形態4に係るレーザシステム10Dの構成を概略的に示す。図21に示す構成について、図3と異なる点を説明する。図3ではパルスレーザ光を出力するレーザ装置としてエキシマレーザ装置10Aを例示したが、図21に示す実施形態4では、エキシマレーザ装置10Aに代えて、複数のレーザ発振器41、42、43を含むレーザシステム10Dが用いられる。なお、図21では、3台のレーザ発振器41、42、43を備える形態を例示するが、レーザ発振器の台数は3台に限らず、2台以上の適宜の台数を備える構成を採用し得る。
【0091】
レーザシステム10Dは、複数のレーザ発振器41、42、43と、遅延回路50と、モニタモジュール16と、レーザ制御部20Dと、高反射ミラー71、72と、ナイフエッジミラー81、82とを含む。高反射ミラー71、72と、ナイフエッジミラー81、82とにより構成される伝搬光学系は本開示における「伝搬光学系」の一例である。高反射ミラー71は本開示における「第1のミラー」の一例であり、高反射ミラー72は本開示における「第2のミラー」の一例である。ナイフエッジミラー81は本開示における「第1のナイフエッジミラー」の一例であり、ナイフエッジミラー82は本開示における「第2のナイフエッジミラー」の一例である。
【0092】
レーザ発振器41、42、43のそれぞれは、例えば、図3のレーザ発振器12と同様の構成であってもよいし、又は図20に示すようなYAGレーザなどの固体レーザ装置12Cと第4高調波を生成する波長変換部13とを備えるレーザ発振器であってもよい。また、それぞれのレーザ発振器41、42、43の光路上に図示しない光パルスストレッチャが1段以上配置されてもよい。
【0093】
高反射ミラー71とナイフエッジミラー81とは、レーザ発振器41から出力された第1のパルスレーザ光PL1の光路上に配置される。高反射ミラー71は第1のパルスレーザ光PL1を反射し、ナイフエッジミラー81に入射させるように配置される。ナイフエッジミラー81は、高反射ミラー71を介して入射した第1のパルスレーザ光PL1を反射し、反射した第1のパルスレーザ光PL1の光路軸がレーザ発振器42から出力される第2のパルスレーザ光PL2の光路軸と平行となるように配置される。
【0094】
高反射ミラー72とナイフエッジミラー82とは、レーザ発振器43から出力された第3のパルスレーザ光PL3の光路上に配置される。高反射ミラー72は第3のパルスレーザ光PL3を反射し、ナイフエッジミラー82に入射させるように配置される。ナイフエッジミラー82は、高反射ミラー72を介して入射した第3のパルスレーザ光PL3を反射し、反射した第3のパルスレーザ光PL3の光路軸が第2のパルスレーザ光PL2の光路軸と平行となるように配置される。
【0095】
ナイフエッジミラー81、82を通過した第1のパルスレーザ光PL1、第2のパルスレーザ光PL2及び第3のパルスレーザ光PL3は、互いに平行な光路上を進み、モニタモジュール16内のビームスプリッタ162でそれぞれの一部が反射され、集光レンズ163を透過後に光センサ164に入射する。
【0096】
遅延回路50は、レーザ制御部20Dから各レーザ発振器41、42、43の発光遅延時間を受信して、それぞれの発光遅延時間に応じた発光タイミングで各レーザ発振器41、42、43に発光トリガ信号を出力するように構成されている。
【0097】
レーザ発振器41は本開示における「第1のレーザ発振器」の一例である。レーザ発振器42は本開示における「第2のレーザ発振器」の一例である。レーザ発振器43は本開示における「第3のレーザ発振器」の一例である。レーザ発振器41、42、43のそれぞれを図21及び図22において「レーザ発振器1」、「レーザ発振器2」、「レーザ発振器3」と表記する。
【0098】
7.2 動作
図22は、レーザシステム10Dの動作の例を示すフローチャートである。ステップS11において、レーザ制御部20Dは、複数のレーザ発振器41、42、43のそれぞれから出力されるパルスレーザ光の遅延時間を設定し、遅延回路50に送信する。第1のパルスレーザ光PL1の遅延時間(第1の遅延時間)をTd1、第2のパルスレーザ光PL2の遅延時間(第2の遅延時間)をTd2、第3のパルスレーザ光PL3の遅延時間(第3の遅延時間)をTd3とすると、レーザ制御部20Dは、例えば、Td1=30ns、Td2=50ns、Td3=70nsのように設定する。
【0099】
レーザ制御部20Dは、第1のパルスレーザ光PL1、第2のパルスレーザ光PL2及び第3のパルスレーザ光PL3を合成した合成パルスレーザ光におけるパルスの立ち上がりから5ns以降400nsまでのエネルギの比率が91%以上99%以下になるように、それぞれの遅延時間Td1、Td2、Td3を設定することが好ましい。それぞれの遅延時間はTd1<Td2<Td3の関係を満たすように設定されてよい。
【0100】
次いで、ステップS12において、レーザ制御部20Dは、複数のレーザ発振器41、42、43のそれぞれから出力されるパルスレーザ光の目標パルスエネルギを設定する。第1のパルスレーザ光PL1の目標パルスエネルギ(第1の目標パルスエネルギ)をE1、第2のパルスレーザ光PL2の目標パルスエネルギ(第2の目標パルスエネルギ)をE2、第3のパルスレーザ光PL3の目標パルスエネルギ(第3の目標パルスエネルギ)をE3とすると、レーザ制御部20Dは、例えば、E1=70mJ、E2=100mJ、E3=100mJのように設定する。それぞれの目標パルスエネルギはE1<E2≦E3の関係を満たすように設定されてよい。
【0101】
次いで、ステップS13において、レーザ制御部20Dは、遅延回路50に発光トリガ信号を送信する。
【0102】
次いで、ステップS14において、遅延回路50は、遅延時間の設定に従い各レーザ発振器41、42、43に発光トリガ信号を送信する。
【0103】
次いで、ステップS15において、レーザ制御部20Dは、加工対象物に対する加工を完了したか否かを判定する。ステップS15の判定結果がNo判定である場合、レーザ制御部20DはステップS13に戻る。一方、ステップS15の判定結果がYes判定である場合、レーザ制御部20Dは図22のフローチャートを終了する。
【0104】
図23は、レーザシステム10Dにおける複数のレーザ発振器41、42、43からそれぞれ出力されるパルスレーザ光の遅延時間の説明図である。図10図12を用いて考察したとおり、ガラスGLにパルスレーザ光を複数パルス照射して微細穴を加工する場合、指定の繰り返し周波数で複数回照射されるパルスのそれぞれのビーム先頭でガラスGLの状態がリセットしていると考えられる。したがって、図23に示すように、複数のレーザ発振器41、42、43からそれぞれ異なるタイミングで出力される複数のパルスレーザ光は、ガラスGLの透過光量比が小さい状態がリセットしない状態で、後続パルスが連続して照射されるように、連続するパルス同士の一部が重なり合って連なることが好ましい。すなわち、各遅延時間Td1、Td2、Td3は、後続パルスが先行パルスの一部と重なるように設定されることが好ましい。
【0105】
図24は、複数のレーザ発振器41、42、43のそれぞれから出力されるパルスレーザ光の1パルス分のパルス波形の例を示す。図24の上段に示すパルス波形PW1は、レーザ発振器41から出力される第1のパルスレーザ光PL1のパルス波形の例である。図24の中段に示すパルス波形PW2は、レーザ発振器42から出力される第2のパルスレーザ光PL2のパルス波形の例である。図24の下段に示すパルス波形PW3は、レーザ発振器43から出力される第3のパルスレーザ光PL3のパルス波形の例である。
【0106】
第1のパルスレーザ光PL1のパルス波形PW1は本開示における「第1のパルス」の一例である。第2のパルスレーザ光PL2のパルス波形PW2は本開示における「第2のパルス」の一例である。第3のパルスレーザ光PL3のパルス波形PW3は本開示における「第3のパルス」の一例である。
【0107】
第1のパルスレーザ光PL1のパルス波形PW1におけるパルスの立ち上がりから立ち下がりまでのパルス持続時間をDu1、第2のパルスレーザ光PL2のパルス波形PW2におけるパルスの立ち上がりから立ち下がりまでのパルス持続時間をDu2、第3のパルスレーザ光PL3のパルス波形PW3におけるパルスの立ち上がりから立ち下がりまでのパルス持続時間をDu3とすると、次のような関係を満たすことが好ましい。
【0108】
Td2<(Td1+Du1)
Td3<(Td2+Du2)
このように、連続する複数のパルスにおいて、後続パルスが先行パルスの一部と重なることにより、これら複数のパルスが合成された合成波形の全体でTd3+Du3-Td1のパルス持続時間を持つ合成パルスレーザ光を生成し得る。既述した図6図12の内容によれば、合成パルスレーザ光のTISが62ns以上であることが好ましい。また、Du1>5nsを満たし、かつTd2-Td1>5nsを満たすことが好ましい。
【0109】
ナイフエッジミラー81、82によってパルス波形PW1、パルス波形PW2及びパルス波形PW3が合成されて得られる合成パルスレーザ光は本開示における「合成パルスレーザ光」の一例である。
【0110】
7.3 効果
実施形態4に係るレーザシステム10Dによれば、複数のレーザ発振器41、42、43から出力される複数のパルスレーザ光を合成することにより、パルスの立ち上がりから5ns以降400nsまでのエネルギの比率が91%以上99%以下の合成パルスレーザ光を得ることができ、実施形態1~3と同等の効果が得られる。
【0111】
8.パルスレーザ光の好ましい条件の例
実施形態1~4で説明したように、パルスレーザ光のTISについて好ましい範囲は、62ns以上259ns以下であり、さらに好ましい範囲は62ns以上155ns以下であり、さらに好ましくは62ns以上74ns以下である。
【0112】
また、パルスの立ち上がりから5ns以降400nsまでのエネルギの比率について好ましい範囲は91%以上99%以下であり、さらに好ましくは91%以上95%以下である。
【0113】
9.パルスレーザ光の波長について
波長248nmから266nmの範囲のパルスレーザ光について、上述のとおりパルスの立ち上がりから5ns以降400nsまでのエネルギの比率を91%以上にすることで加工レートの向上が確認された。
【0114】
一方で、ArFエキシマレーザ装置(波長193nm)を用いた場合には、パルス幅(TIS)を変化させても加工レートに顕著な変化は確認されなかった。
【0115】
波長248nmよりも短い波長の範囲あるいは波長266nmよりも長い波長の範囲において、波長248nm~266nmと同様に加工レートの向上が期待される波長が存在する可能性は推定されるものの、その波長条件を実証的に確認するには至っていない。
【0116】
現時点の知見では、少なくとも、KrFエキシマレーザ装置(波長248nm)などに代表される波長248nmから266nmの範囲のパルスレーザ光を無アルカリガラスに照射して加工を行うという条件の組み合わせにおいて特有の現象が起きていると考えることができる。本開示の技術はこのような新たな知見に基づき、特定の波長範囲(248nm~266nm)のパルスレーザ光を用いて加工レートの向上を実現した。
【0117】
10.レーザ制御部のハードウェア構成について
レーザ制御部20、20Dは、1つ以上のプロセッサを用いて実現することが可能である。プロセッサとは、制御プログラムが記憶された記憶装置と、制御プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)とを含む処理装置である。プロセッサは本開示に含まれる各種処理を実行するために特別に構成又はプログラムされている。
【0118】
記憶装置は、有体物たる非一時的なコンピュータ可読媒体であり、例えば、主記憶装置であるメモリ及び補助記憶装置であるストレージを含む。コンピュータ可読媒体は、例えば、半導体メモリ、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive:HDD)装置、若しくはソリッドステートドライブ(Solid State Drive:SSD)装置又はこれらの複数の組み合わせであってよい。プロセッサが実行するプログラムはコンピュータ可読媒体に記憶されている。
【0119】
また、レーザ制御部20、20Dの処理機能の一部は、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)に代表される集積回路を用いて実現してもよい。
【0120】
11.その他
上記の説明は、制限ではなく単なる例示を意図している。したがって、特許請求の範囲を逸脱することなく本開示の実施形態に変更を加えることができることは、当業者には明らかである。また、本開示の実施形態を組み合わせて使用することも当業者には明らかである。
【0121】
本明細書及び特許請求の範囲全体で使用される用語は、明記が無い限り「限定的でない」用語と解釈されるべきである。例えば、「含む」、「有する」、「備える」、「具備する」などの用語は、「記載されたもの以外の構成要素の存在を除外しない」と解釈されるべきである。また、修飾語「1つの」は、「少なくとも1つ」又は「1又はそれ以上」を意味すると解釈されるべきである。また、「A、B及びCの少なくとも1つ」という用語は、「A」「B」「C」「A+B」「A+C」「B+C」又は「A+B+C」と解釈されるべきである。さらに、それらと「A」「B」「C」以外のものとの組み合わせも含むと解釈されるべきである。
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