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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-30
(45)【発行日】2024-06-07
(54)【発明の名称】レーザー加工装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/073 20060101AFI20240531BHJP
   B23K 26/00 20140101ALI20240531BHJP
【FI】
B23K26/073
B23K26/00 M
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020084004
(22)【出願日】2020-05-12
(65)【公開番号】P2021178337
(43)【公開日】2021-11-18
【審査請求日】2023-04-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土屋 利夫
(72)【発明者】
【氏名】三浦 誠治
【審査官】柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-185543(JP,A)
【文献】特許第5916962(JP,B1)
【文献】特開平10-006048(JP,A)
【文献】再公表特許第2018/062463(JP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/073
B23K 26/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を保持するチャックテーブルと、
該チャックテーブルに保持された被加工物にレーザービームを照射するレーザービーム照射手段と、
該レーザービームの加工条件を入力する入力手段と、
各構成要素を制御する制御手段と、
を備えたレーザー加工装置であって、
該レーザービーム照射手段は、
レーザー発振器と、
該レーザー発振器によって発振されたレーザービームを集光する集光レンズと、
該レーザー発振器と該集光レンズとの間に配設され該レーザー発振器から発振されて発散角を有するレーザービームのビーム径を調整するとともに平行なレーザービームに調整するビーム調整ユニットと、
を有し、
該ビーム調整ユニットは、
該レーザー発振器から発振されるレーザービームの光軸上に配設され光軸に沿って移動可能に配設された第1のレンズユニットおよび第2のレンズユニットと、
該第1のレンズユニットおよび該第2のレンズユニットをそれぞれ光軸に沿って移動させる第1の移動手段および第2の移動手段と、
を含み、
該制御手段は、
レーザービームのビーム径と、装置間機差に対応した、該ビーム径に対応する該第1のレンズユニットおよび該第2のレンズユニットの位置と、をレーザー加工装置毎に予め記憶しておく記憶部を含み、
該記憶部に記憶した該ビーム径と該位置との関係に基づいて、該ビーム調整ユニットの該第1の移動手段および該第2の移動手段を作動させて該第1のレンズユニットおよび該第2のレンズユニットを該入力手段から入力された所定のビーム径に対応する位置に移動させる、
レーザー加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザー加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェーハ等のウェーハを分割する方法として、ウェーハに形成されたストリートに沿ってレーザービームを照射することにより形成したレーザー加工溝に沿って、ブレーキング装置を用いて割断する方法が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
このようなレーザー加工を実施するためのレーザー加工装置は、被加工物を保持するチャックテーブルと、チャックテーブルに保持された被加工物にレーザービームを照射するレーザービーム照射手段と、を備えている。このレーザービーム照射手段は、レーザービームを発振するレーザー発振器と、レーザー発振器から発振されたレーザービームを集光する集光レンズと、を備えている。
【0004】
レーザービーム照射手段は、集光レンズに入射されるレーザービームが所定のビーム径を有する平行ビームであることが望ましい。しかしながら、レーザー発振器から発振されるレーザービームは、レーザー発振器ごとの個体差を有し、また、発散角を有する。これに対し、レーザー発振器と集光レンズとの間に、レーザー発振器から発振されるレーザービームのビーム径および発散角を調整するためのビーム調整手段が配設されるレーザー加工装置が開示されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平10-305420号公報
【文献】特開2008-168323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のビーム調整手段は、CCD(Charge Coupled Device)等の受光手段で受光したレーザービームのビーム径および発散角(平行度)を確認した後、所望のビーム径および発散角にするために、都度調整する必要がある。すなわち、レーザー加工中に異なるビーム径に変更したい場合には、装置を停止させて所望のビーム径および発散角の調整作業を行わなければならず、生産性が下がってしまうという課題があった。
【0007】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、レーザー加工中に装置を停止させることなくレーザービームのビーム径を変更することができるレーザー加工装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のレーザー加工装置は、被加工物を保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物にレーザービームを照射するレーザービーム照射手段と、該レーザービームの加工条件を入力する入力手段と、各構成要素を制御する制御手段と、を備えたレーザー加工装置であって、該レーザービーム照射手段は、レーザー発振器と、該レーザー発振器によって発振されたレーザービームを集光する集光レンズと、該レーザー発振器と該集光レンズとの間に配設され該レーザー発振器から発振されて発散角を有するレーザービームのビーム径を調整するとともに平行なレーザービームに調整するビーム調整ユニットと、を有し、該ビーム調整ユニットは、該レーザー発振器から発振されるレーザービームの光軸上に配設され光軸に沿って移動可能に配設された第1のレンズユニットおよび第2のレンズユニットと、該第1のレンズユニットおよび該第2のレンズユニットをそれぞれ光軸に沿って移動させる第1の移動手段および第2の移動手段と、を含み、該制御手段は、装置間機差に対応した、レーザービームのビーム径と、該ビーム径に対応する該第1のレンズユニットおよび該第2のレンズユニットの位置と、をレーザー加工装置毎に予め記憶しておく記憶部を含み、該記憶部に記憶した該ビーム径と該位置との関係に基づいて、該ビーム調整ユニットの該第1の移動手段および該第2の移動手段を作動させて該第1のレンズユニットおよび該第2のレンズユニットを該入力手段から入力された所定のビーム径に対応する位置に移動させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本願発明は、レーザー加工中に装置を停止させることなくレーザービームのビーム径を変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態に係るレーザー加工装置の構成例を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示されたレーザー加工装置のレーザービーム照射手段の構成を模式的に示す模式図である。
図3図3は、図2に示されたレーザービーム照射手段のビーム調整ユニットの構成例を示す斜視図である。
図4図4は、図1に示されたレーザー加工装置のタッチパネルに表示される画面の構成例を示す図である。
図5図5は、図1に示されたレーザー加工装置のタッチパネルに表示される画面の構成例を示す図である。
図6図6は、図1に示されたレーザー加工装置のタッチパネルに表示される画面の構成例を示す図である。
図7図7は、図1に示されたレーザー加工装置の加工条件データの一例を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。更に、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換または変更を行うことができる。
【0012】
〔実施形態〕
本発明の実施形態に係るレーザー加工装置1を図面に基づいて説明する。図1は、実施形態に係るレーザー加工装置1の構成例を示す斜視図である。図2は、図1に示されたレーザー加工装置1のレーザービーム照射手段20の構成を模式的に示す模式図である。図3は、図2に示されたレーザービーム照射手段20のビーム調整ユニット24の構成例を示す斜視図である。図4図5および図6は、図1に示されたレーザー加工装置1のタッチパネル80に表示される画面の構成例を示す図である。図7は、図1に示されたレーザー加工装置1の加工条件データ913-1の一例を示す表である。実施形態に係るレーザー加工装置1は、加工対象である被加工物100に対してレーザービーム21を照射することにより、被加工物100を加工する装置である。
【0013】
図1に示すように、レーザー加工装置1は、チャックテーブル10と、レーザービーム照射手段20と、X軸方向移動ユニット40と、Y軸方向移動ユニット50と、Z軸方向移動ユニット60と、撮像ユニット70と、タッチパネル80と、制御手段90と、を備える。以下の説明において、X軸方向は、水平面における一方向である。Y軸方向は、水平面において、X軸方向に直交する方向である。Z軸方向は、X軸方向およびY軸方向に直交する方向である。実施形態のレーザー加工装置1は、加工送り方向がX軸方向であり、割り出し送り方向がY軸方向であり、集光点位置調整方向がZ軸方向である。
【0014】
被加工物100は、シリコン(Si)、サファイア(Al)、ガリウムヒ素(GaAs)または炭化ケイ素(SiC)等を基板とする円板状の半導体ウェーハ、光デバイスウェーハ等のウェーハである。なお、被加工物100は実施形態に限定されず、本発明では円板状でなくともよい。レーザー加工装置1による被加工物100の加工は、例えば、ステルスダイシングによって被加工物100の内部に改質層を形成する改質層形成加工、被加工物100の表面に溝を形成する溝加工、または分割予定ラインに沿って被加工物100を切断する切断加工等である。
【0015】
チャックテーブル10は、被加工物100を保持面11で保持する。被加工物100は、例えば、環状フレーム110が貼着されかつ被加工物100の外径よりも大径なテープ111が被加工物100の裏面に貼着されて、環状フレーム110の開口内に支持された状態で、チャックテーブル10の保持面11に載置される。
【0016】
保持面11は、ポーラスセラミック等から形成された円盤形状である。保持面11は、実施形態において、水平方向と平行な平面である。保持面11は、例えば、真空吸引経路を介して真空吸引源と接続している。チャックテーブル10は、保持面11上に載置された被加工物100を吸引保持する。チャックテーブル10の周囲には、被加工物100を支持する環状フレーム110を挟持するクランプ部12が複数配置されている。
【0017】
チャックテーブル10は、回転ユニット13によりZ軸方向と平行な軸心回りに回転される。回転ユニット13は、X軸方向移動プレート14に支持される。回転ユニット13およびチャックテーブル10は、X軸方向移動プレート14を介して、X軸方向移動ユニット40によりX軸方向に移動される。回転ユニット13およびチャックテーブル10は、X軸方向移動プレート14、X軸方向移動ユニット40およびY軸方向移動プレート15を介して、Y軸方向移動ユニット50によりY軸方向に移動される。
【0018】
レーザービーム照射手段20は、チャックテーブル10に保持された被加工物100に対してパルス状のレーザービーム21を照射するユニットである。図2に示すように、レーザービーム照射手段20は、レーザー発振器22と、ビーム調整ユニット24と、ビーム測定ユニット25と、ミラー26と、集光レンズ27と、を含む。レーザービーム照射手段20のうち、少なくとも集光レンズ27は、図1に示すレーザー加工装置1の装置本体2から立設した柱3に設置されるZ軸方向移動ユニット60に支持される。
【0019】
レーザー発振器22は、被加工物100を加工するための所定の波長を有するレーザービーム21を発振する。レーザービーム照射手段20が照射するレーザービーム21は、被加工物100に対して透過性または吸収性を有する波長である。
【0020】
ビーム調整ユニット24は、レーザー発振器22から発振されるレーザービーム21のビーム径を調整する。ビーム調整ユニット24は、実施形態ではレーザー発振器22とビーム測定ユニット25との間に設けられるが、本発明ではレーザー発振器22と集光レンズ27との間であればどこに設けられてもよい。ビーム調整ユニット24は、基準レンズ23と、第1のレンズユニット241と、第2のレンズユニット242と、レンズ移動機構30と、を含む。
【0021】
基準レンズ23は、レーザー発振器22から発振されるレーザービーム21の光軸上において、レーザー発振器22と第1のレンズユニット241との間に設けられる。基準レンズ23は、実施形態では平凸レンズであるが、本発明ではこれに限定されない。基準レンズ23は、後述の制御手段90による制御によって移動可能な第1のレンズユニット241および第2のレンズユニット242の位置の基準となるレンズであり、制御手段90による制御によっては移動しない。
【0022】
第1のレンズユニット241は、レーザー発振器22から発振されるレーザービーム21の光軸上において、光軸に沿って移動可能に設けられる。第1のレンズユニット241は、実施形態において、基準レンズ23と第2のレンズユニット242との間に設けられる平凹レンズである。第1のレンズユニット241に含まれるレンズは、実施形態では1枚であるが、本発明では複数枚のレンズ群により構成されてもよい。第1のレンズユニット241は、基準レンズ23から光軸に沿って第1の距離243の位置に設けられる。第1の距離243は、後述のレンズ移動機構30の第1の移動手段34が第1のレンズユニット241を光軸に沿って移動させることによって調整可能である。
【0023】
第2のレンズユニット242は、レーザー発振器22から発振されるレーザービーム21の光軸上において、光軸に沿って移動可能に設けられる。第2のレンズユニット242は、実施形態において、第1のレンズユニット241とビーム測定ユニット25との間に設けられる両凸レンズである。第2のレンズユニット242に含まれるレンズは、実施形態では1枚であるが、本発明では複数枚のレンズ群により構成されてもよい。第2のレンズユニット242は、第1のレンズユニット241から光軸に沿って第2の距離244の位置に設けられる。第2の距離244は、後述のレンズ移動機構30の第2の移動手段35が第2のレンズユニット242を光軸に沿って移動させることによって調整可能である。
【0024】
ビーム調整ユニット24は、第1のレンズユニット241および第2のレンズユニット242の第1の距離243および第2の距離244を調整することにより、レーザー発振器22から発振されるレーザービーム21のビーム径を調整することができる。この際、ビーム調整ユニット24は、レーザー発振器22から発振されて発散角を有するレーザービーム21を平行なレーザービーム21に調整することができる。
【0025】
レンズ移動機構30は、第1のレンズユニット241および第2のレンズユニット242をそれぞれレーザービーム21の光軸に沿って移動させる。図3に示すように、レンズ移動機構30は、支持基台31と、第1のレンズ支持部材32と、第2のレンズ支持部材33と、第1の移動手段34と、第2の移動手段35と、第1のレンズ位置検出手段36と、第2のレンズ位置検出手段37と、を含む。
【0026】
支持基台31は、第1の案内レール311と、第2の案内レール312と、を含む。第1の案内レール311と第2の案内レール312とは、両側側辺が互いに平行、かつレーザービーム21の光軸に平行に設けられる。
【0027】
第1のレンズ支持部材32は、支持基台31の第1の案内レール311に沿って移動可能に設けられる。第1のレンズ支持部材32は、第1の被案内レール321を含む。第1の被案内レール321は、支持基台31の第1の案内レール311に嵌合する。第1のレンズ支持部材32は、第1の被案内レール321が第1の案内レール311に沿って移動することによって、レーザービーム21の光軸に平行な方向に移動可能である。第1のレンズ支持部材32は、第1のレンズユニット241を支持する。すなわち、第1のレンズユニット241は、レーザービーム21の光軸に平行な方向に、第1のレンズ支持部材32と一体的に移動する。
【0028】
第2のレンズ支持部材33は、支持基台31の第2の案内レール312に沿って移動可能に設けられる。第2のレンズ支持部材33は、第2の被案内レール331を含む。第2の被案内レール331は、支持基台31の第2の案内レール312に嵌合する。第2のレンズ支持部材33は、第2の被案内レール331が第2の案内レール312に沿って移動することによって、レーザービーム21の光軸に平行な方向に移動可能である。第2のレンズ支持部材33は、第2のレンズユニット242を支持する。すなわち、第2のレンズユニット242は、レーザービーム21の光軸に平行な方向に、第2のレンズ支持部材33と一体的に移動する。
【0029】
第1の移動手段34は、第1のレンズ支持部材32を支持基台31の第1の案内レール311に沿って移動させることによって、第1のレンズユニット241をレーザービーム21の光軸に沿って移動させる。第1の移動手段34は、雄ねじロッド341と、パルスモータ342と、軸受ブロック343と、雌ねじブロック344と、貫通雌ねじ孔345と、を含む。
【0030】
雄ねじロッド341は、支持基台31の第1の案内レール311と平行に設けられる。雄ねじロッド341は、軸回りに回転自在に設けられる。パルスモータ342は、雄ねじロッド341の一方の端部側において、支持基台31に固定されて設けられる。パルスモータ342は、雄ねじロッド341を回転駆動するための駆動源である。パルスモータ342の出力軸は、雄ねじロッド341に連結している。パルスモータ342は、後述の制御手段90によって制御される。軸受ブロック343は、雄ねじロッド341の他方の端部側において、支持基台31に固定されて設けられる。軸受ブロック343は、雄ねじロッド341を軸回りに回転自在に支持する。雌ねじブロック344は、第1のレンズ支持部材32に固定されて設けられる。雌ねじブロック344には、貫通雌ねじ孔345が形成される。貫通雌ねじ孔345は、雄ねじロッド341に螺合する。
【0031】
雌ねじブロック344は、パルスモータ342が雄ねじロッド341を正転または逆転に駆動させることにより、雄ねじロッド341に沿って移動する。これにより、雌ねじブロック344が固定される第1のレンズ支持部材32が第1の案内レール311に沿って移動するので、第1のレンズ支持部材32に支持される第1のレンズユニット241は、レーザービーム21の光軸に沿って移動する。すなわち、第1の移動手段34は、後述の制御手段90が雄ねじロッド341を正転または逆転に駆動させるようにパルスモータ342を制御することによって、第1のレンズユニット241をレーザービーム21の光軸に沿って移動させる。
【0032】
第2の移動手段35は、第2のレンズ支持部材33を支持基台31の第2の案内レール312に沿って移動させることによって、第2のレンズユニット242をレーザービーム21の光軸に沿って移動させる。第2の移動手段35は、雄ねじロッド351と、パルスモータ352と、軸受ブロック353と、雌ねじブロック354と、貫通雌ねじ孔(不図示)と、を含む。
【0033】
雄ねじロッド351は、支持基台31の第2の案内レール312と平行に設けられる。雄ねじロッド351は、軸回りに回転自在に設けられる。パルスモータ352は、雄ねじロッド351の一方の端部側において、支持基台31に固定されて設けられる。パルスモータ352は、雄ねじロッド351を回転駆動するための駆動源である。パルスモータ352の出力軸は、雄ねじロッド351に連結している。パルスモータ352は、後述の制御手段90によって制御される。軸受ブロック353は、雄ねじロッド351の他方の端部側において、支持基台31に固定されて設けられる。軸受ブロック353は、雄ねじロッド351を軸回りに回転自在に支持する。雌ねじブロック354は、第2のレンズ支持部材33に固定されて設けられる。雌ねじブロック354には、貫通雌ねじ孔(不図示)が形成される。貫通雌ねじ孔は、雄ねじロッド351に螺合する。
【0034】
雌ねじブロック354は、パルスモータ352が雄ねじロッド351を正転または逆転に駆動させることにより、雄ねじロッド351に沿って移動する。これにより、雌ねじブロック354が固定される第2のレンズ支持部材33が第2の案内レール312に沿って移動するので、第2のレンズ支持部材33に支持される第2のレンズユニット242は、レーザービーム21の光軸に沿って移動する。すなわち、第2の移動手段35は、後述の制御手段90が雄ねじロッド351を正転または逆転に駆動させるようパルスモータ352を制御することによって、第2のレンズユニット242をレーザービーム21の光軸に沿って移動させる。
【0035】
第1のレンズ位置検出手段36は、第1のレンズユニット241の移動位置を検出する。第1のレンズ位置検出手段36は、リニアスケール361と、読み取りヘッド362と、を含む。
【0036】
リニアスケール361は、第1の移動手段34の雄ねじロッド341と平行に設けられる。読み取りヘッド362は、第1のレンズ支持部材32に固定された雌ねじブロック344に設けられる。読み取りヘッド362は、リニアスケール361に沿って移動する。読み取りヘッド362は、リニアスケール361に対応する第1のレンズユニット241の移動位置を検出する。読み取りヘッド362は、検出信号を、後述の制御手段90に送出する。
【0037】
第2のレンズ位置検出手段37は、第2のレンズユニット242の移動位置を検出する。第2のレンズ位置検出手段37は、リニアスケール371と、読み取りヘッド372と、を含む。
【0038】
リニアスケール371は、第2の移動手段35の雄ねじロッド351と平行に設けられる。読み取りヘッド372は、第2のレンズ支持部材33に固定された雌ねじブロック354に設けられる。読み取りヘッド372は、リニアスケール371に沿って移動する。読み取りヘッド372は、リニアスケール371に対応する第2のレンズユニット242の移動位置を検出する。読み取りヘッド372は、検出信号を、後述の制御手段90に送出する。
【0039】
なお、第1のレンズユニット241および第2のレンズユニット242の移動位置を検出する検出手段は、実施形態に限定されない、本発明では、例えば、第1の移動手段34のパルスモータ342および第2の移動手段35のパルスモータ352を駆動する駆動パルスのカウント値に基づいて算出するものであってもよい。
【0040】
図2に示すビーム測定ユニット25は、ビーム調整ユニット24によってビーム径を調整されたレーザービーム21のビーム径を測定する。ビーム測定ユニット25は、ビーム調整ユニット24によってビーム径を調整されたレーザービーム21を受光する位置に移動可能に設けられる。ビーム測定ユニット25は、実施形態において、ビーム調整ユニット24の後段に設けられる。ビーム測定ユニット25は、例えば、レーザービーム21のビーム径および空間的な強度分布を測定するビームプロファイラを含む。ビームプロファイラは、例えば、レーザービーム21を撮像して、レーザービーム21の形状および空間的な強度分布を示すレーザービーム21の平面像を取得する。なお、ビーム測定ユニット25によってレーザービーム21のビーム径を測定する位置は、実施形態に限定されず、本発明では集光レンズ27によって集光された集光点、または集光点を通過して発散した位置等でもよい。
【0041】
ミラー26は、レーザービーム21を反射して、チャックテーブル10の保持面11に保持した被加工物100に向けて反射する。実施形態において、ミラー26は、ビーム調整ユニット24によってビーム径を調整されたレーザービーム21を集光レンズ27へ向けて反射する。
【0042】
集光レンズ27は、レーザー発振器22から発振されたレーザービーム21を、チャックテーブル10の保持面11に保持された被加工物100に集光して照射させる。集光レンズ27は、ミラー26により反射されたレーザービーム21を加工点28に集光する。
【0043】
実施形態において、レーザービーム21の集光点である加工点28は、被加工物100の表面に設定される。レーザービーム21を加工点28に照射しつつ、チャックテーブル10を加工送りすることによって、被加工物100の表面に、分割予定ラインに沿ったレーザー加工溝が形成される。
【0044】
図1に示すX軸方向移動ユニット40は、チャックテーブル10と、レーザービーム照射手段20とを加工送り方向であるX軸方向に相対的に移動させるユニットである。X軸方向移動ユニット40は、実施形態において、チャックテーブル10をX軸方向に移動させる。X軸方向移動ユニット40は、実施形態において、レーザー加工装置1の装置本体2上に設置されている。X軸方向移動ユニット40は、X軸方向移動プレート14をX軸方向に移動自在に支持する。
【0045】
X軸方向移動ユニット40は、周知のボールねじ41と、周知のパルスモータ42と、周知のガイドレール43と、を含む。ボールねじ41は、軸心回りに回転自在に設けられる。パルスモータ42は、ボールねじ41を軸心回りに回転させる。ガイドレール43は、X軸方向移動プレート14をX軸方向に移動自在に支持する。ガイドレール43は、Y軸方向移動プレート15に固定して設けられる。
【0046】
Y軸方向移動ユニット50は、チャックテーブル10と、レーザービーム照射手段20とを割り出し送り方向であるY軸方向に相対的に移動させるユニットである。Y軸方向移動ユニット50は、実施形態において、チャックテーブル10をY軸方向に移動させる。Y軸方向移動ユニット50は、実施形態において、レーザー加工装置1の装置本体2上に設置されている。Y軸方向移動ユニット50は、Y軸方向移動プレート15をY軸方向に移動自在に支持する。
【0047】
Y軸方向移動ユニット50は、周知のボールねじ51と、周知のパルスモータ52と、周知のガイドレール53と、を含む。ボールねじ51は、軸心回りに回転自在に設けられる。パルスモータ52は、ボールねじ51を軸心回りに回転させる。ガイドレール53は、Y軸方向移動プレート15をY軸方向に移動自在に支持する。ガイドレール53は、装置本体2に固定して設けられる。
【0048】
Z軸方向移動ユニット60は、チャックテーブル10と、レーザービーム照射手段20とを集光点位置調整方向であるZ軸方向に相対的に移動させるユニットである。Z軸方向移動ユニット60は、実施形態において、レーザービーム照射手段20をZ軸方向に移動させる。Z軸方向移動ユニット60は、実施形態において、レーザー加工装置1の装置本体2から立設した柱3に設置されている。Z軸方向移動ユニット60は、レーザービーム照射手段20のうち少なくとも集光レンズ27(図2参照)をZ軸方向に移動自在に支持する。
【0049】
Z軸方向移動ユニット60は、周知のボールねじ61と、周知のパルスモータ62と、周知のガイドレール63と、を含む。ボールねじ61は、軸心回りに回転自在に設けられる。パルスモータ62は、ボールねじ61を軸心回りに回転させる。ガイドレール63は、レーザービーム照射手段20をZ軸方向に移動自在に支持する。ガイドレール63は、柱3に固定して設けられる。
【0050】
撮像ユニット70は、チャックテーブル10に保持された被加工物100を撮像する。撮像ユニット70は、チャックテーブル10に保持された被加工物100を撮像するCCDカメラまたは赤外線カメラを含む。撮像ユニット70は、例えば、レーザービーム照射手段20の集光レンズ27(図2参照)に隣接するように固定されている。撮像ユニット70は、被加工物100を撮像して、被加工物100とレーザービーム照射手段20との位置合わせを行うアライメントを遂行するための画像を得て、得た画像を後述の制御手段90に出力する。
【0051】
タッチパネル80は、表示面を外側に向けた状態でレーザー加工装置1に設置される。タッチパネル80に表示される各種画面は、レーザー加工装置1において動作するプログラムの種類やバージョンに応じた画面構成を備える。タッチパネル80に表示される設定画面は、レーザー加工装置1の装置構成、すなわち、レーザー加工装置1に設置される部品および部品の種類等に対応する設定項目を含んで構成される。タッチパネル80は、表示手段81および入力手段82を有する。
【0052】
表示手段81は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electro-Luminescence Display)、または無機ELディスプレイ(IELD:Inorganic Electro-Luminescence Display)等の表示デバイスにより構成される。
【0053】
表示手段81は、レーザー加工装置1の操作等に関する各種画面を表示する。表示手段81は、後述の制御手段90の演算部92による制御に基づいて、各種画面を表示する。各種画面は、例えば、図4に示すメニュー画面83、図5および図6に示す加工条件データリスト画面84、および加工条件データを個別に設定する設定画面等を含む。
【0054】
図1に示す入力手段82は、表示手段81に表示された操作画面に対するオペレータの操作に従って、被加工物100へ照射するレーザービーム21の加工条件をレーザー加工装置1に入力する。
【0055】
入力手段82は、タッチスクリーン等の入力デバイスを含んで構成できる。入力手段82がタッチスクリーンで構成される場合、入力手段82は、オペレータの指、ペン、またはスタイラスペン等の接触または近接を検出できる。タッチスクリーンの検出方式は、静電容量方式、抵抗膜方式、表面弾性波方式、赤外線方式、および荷重検出方式等の任意の方式でよい。
【0056】
図4に示す構成例において、メニュー画面83には、レーザー加工装置1のメンテナンス、操作、設定等を実行するための複数のメニューボタン831~837が表示される。メニューボタン831は、フルオートメーションに関する操作画面を表示するための操作を受け付け可能である。また、メニューボタン832は、マニュアルオペレーションに関する操作画面を表示するための操作を受け付け可能である。また、メニューボタン833は、図5および図6に示す加工条件データリスト画面84を表示するための操作を受け付け可能である。また、メニューボタン834は、レーザーメンテナンスに関する操作画面を表示するための操作を受け付け可能である。また、メニューボタン835は、オペレータメンテナンスに関する操作画面を表示するための操作を受け付け可能である。また、メニューボタン836は、マシンメンテナンスに関する操作画面を表示するための操作を受け付け可能である。また、メニューボタン837は、エンジニアリングメンテナンスに関する操作画面を表示するための操作を受け付け可能である。
【0057】
図5および図6に示す加工条件データリスト画面84は、例えば、後述の制御手段90の演算部92が、図4に示すメニュー画面83においてメニューボタン833を選択するオペレータの操作を検出した場合、タッチパネル80に表示される。加工条件データリスト画面84には、被加工物100の加工条件データの一覧が表示される。加工条件データリスト画面84は、ディレクトリ表示部85と、一覧表示部86と、データ番号表示部87と、ENTERボタン88と、EXITボタン89と、を含む。
【0058】
ディレクトリ表示部85には、被加工物100の加工条件データが保存されるディレクトリの一覧が表示される。ディレクトリ表示部85には、画像851~856に例示するように、所定のアイコン画像、および「rist_sample1」等の文字列で構成されたディレクトリ名で、ディレクトリの情報が表示される。ディレクトリ名は、加工条件データの保存時に、オペレータにより設定されたディレクトリ名が表示されてよい。
【0059】
一覧表示部86には、ディレクトリに保存されている加工条件データのファイル名の一覧が表示される。後述の制御手段90の演算部92は、例えば、図5に示すように、ディレクトリ表示部85から画像851を選択するオペレータの操作を検出した場合、図6に示すように、ディレクトリ名が「rist_sample1」のディレクトリに保存されている加工条件データの一覧を一覧表示部86に表示させる。以下の説明では、ディレクトリ名が「rist_sample1」のディレクトリに保存されている加工条件データは、レーザービーム21のビーム径に関するデータを含むものとして説明する。
【0060】
一覧表示部86には、画像861~864に例示するように、「110」等の数字で構成されたデータ番号、および「Beam_diameter_A-1」等の文字列で構成されたファイル名で、加工条件データの情報が表示される。データ番号は、加工条件データの保存時に、レーザー加工装置1において自動的に割り当てられた一意な数字が表示されてよい。ファイル名は、加工条件データの保存時に、オペレータにより設定されたファイル名が表示されてよい。図6に示す一例において、加工条件データは、レーザービーム21のビーム径に関するデータを含む。
【0061】
データ番号表示部87には、選択中の加工条件データに一意に割り当てられるデータ番号が表示される。後述の制御手段90の演算部92は、例えば、図6に示すように、「データ番号:130」かつ「ファイル名:Beam_diameter_B-1」のビーム径の加工条件データに対応する画像863を選択するオペレータの操作を検出した場合、選択中の加工条件データのデータ番号「130」をデータ番号表示部87に表示させる。
【0062】
ENTERボタン88には、タッチパネル80に表示中の画面に対応する各種操作の実行機能が割り当てられている。例えば、加工条件データリスト画面84がタッチパネル80に表示中であるときにENTERボタン88に割り当てられる機能の1つとして、一覧表示部86において選択された加工条件データの設定画面を表示させる機能が含まれる。後述の制御手段90の演算部92は、例えば、データ番号表示部87に加工条件データのデータ番号が表示されている状態において、ENTERボタン88に対する操作を検出した場合、選択中の加工条件データ(例えば、データ番号:「130」かつファイル名:「Beam_diameter_B-1」)の設定画面をタッチパネル80に表示させる。
【0063】
加工条件データの設定画面は、例えば、加工条件データの複数の設定項目が個別に表示される加工条件データ表示部を含む。加工条件データ表示部は、一覧表示部86に表示された任意のファイル名をオペレータがタッチすることで個別の加工条件データを加工条件データの設定画面上に表示する。設定画面では、加工条件データ表示部に表示される各項目に対し、オペレータにより設定される設定値を入力手段82から入力できる。タッチパネル80は、入力手段82の検出結果に従って、表示手段81にソフトウェアキーボード等のユーザインタフェース等を表示できる。タッチパネル80は、例えば、設定画面の加工条件データ表示部の項目に対する操作を検出すると、項目に対応するプルダウンメニューやソフトウェアキーボード等を表示できる。
【0064】
EXITボタン89は、図4に示すメニュー画面83をタッチパネル80に再表示させる機能等が割り当てられる。後述の制御手段90の演算部92は、例えば、EXITボタン89に対する操作を検出した場合、図4に示すメニュー画面83をタッチパネル80に再表示させる。
【0065】
図1に示す制御手段90は、演算手段としての演算処理装置と、記憶手段としての記憶装置と、通信手段としての入出力インターフェース装置と、を含むコンピュータである。演算処理装置は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のマイクロプロセッサを含む。記憶装置は、ROM(Read Only Memory)またはRAM(Random Access Memory)等のメモリを有する。演算処理装置は、記憶装置に格納された所定のプログラムに基づいて各種の演算を行う。演算処理装置は、演算結果にしたがって、入出力インターフェース装置を介して各種制御信号を上述した各構成要素に出力し、レーザー加工装置1の制御を行う。制御手段90は、記憶部91と、演算部92と、を含む。
【0066】
記憶部91は、制御手段90により実行される各種処理を実現するためのプログラムおよびデータを記憶できる。記憶部91は、制御プログラム911、システムデータ912、および加工条件データ913を記憶する。
【0067】
制御プログラム911は、レーザー加工装置1による加工処理を制御するための機能を提供できる。より詳しくは、制御プログラム911は、回転ユニット13、レーザービーム照射手段20、レンズ移動機構30、X軸方向移動ユニット40、Y軸方向移動ユニット50、Z軸方向移動ユニット60、撮像ユニット70、およびタッチパネル80の動作を制御するための機能を提供できる。
【0068】
システムデータ912は、レーザー加工装置1のシステム構成に関するデータである。システムデータ912は、タッチパネル80に表示される各種操作画面の画面構成に関するデータを含む。
【0069】
加工条件データ913は、レーザー加工処理に関わる基本的な条件に関する複数のデータである。加工条件データ913は、例えば、所定のディレクトリに保存される。加工条件データ913は、レーザー加工装置1においてオペレータにより作成された加工条件データ、および他のレーザー加工装置1において作成された加工条件データの複製物(コピー)を含む。
【0070】
レーザー加工装置1においてオペレータにより作成された加工条件データは、装置間機差に対応して個々のレーザー加工装置1毎に設定される加工条件データ913-1を含む。加工条件データ913-1は、図7に例示されるように、レーザービーム21のビーム径と、ビーム径に対応する第1のレンズユニット241および第2のレンズユニット242(図2等参照)の位置と、を関連付けたデータを含む。図7に示す一例の場合、加工条件データ913-1は、「Beam_diameter_A-1」等の文字列で構成されたファイル名と、ファイル名に対応するビーム径を形成するための第1のレンズユニット241の位置および第2のレンズユニット242の位置と、を関連付けたデータを含む。「Beam_diameter_A-1」等の文字列は、一覧表示部86に表示されるファイル名に対応する。「Beam_diameter_A-1」等の文字列の代わりに「110」等の数字で構成されたデータ番号が用いられてもよい。第1のレンズユニット241の位置および第2のレンズユニット242の位置は、図7に示す一例において、第1の距離243および第2の距離244(図2等参照)で表される。加工条件データ913-1は、例えば、レーザー加工装置1の製造時、工場出荷時等に、個々のレーザー加工装置1毎に生成される。このため、加工条件データ913-1は、同じ種類のレーザー加工装置1であっても、個々のレーザー加工装置1毎に異なる場合がある。
【0071】
演算部92は、記憶部91に格納された制御プログラム911に基づいて、レーザー加工装置1の上述した各構成要素をそれぞれ制御して、被加工物100に対する加工動作をレーザー加工装置1に実行させる。演算部92は、回転ユニット13、レーザービーム照射手段20、レンズ移動機構30、X軸方向移動ユニット40、Y軸方向移動ユニット50、Z軸方向移動ユニット60、撮像ユニット70、およびタッチパネル80を制御する。
【0072】
演算部92は、例えば、レーザービーム21のビーム径と、ビーム径に対応する第1のレンズユニット241および第2のレンズユニット242(図2等参照)の位置とを、加工条件データ913として記憶部91に記憶させる。演算部92は、例えば、撮像ユニット70に被加工物100を撮像させる。演算部92は、例えば、撮像ユニット70によって撮像した画像の画像処理を行う。演算部92は、例えば、画像処理によって被加工物100の加工ラインを検出する。演算部92は、例えば、第1の移動手段34および第2の移動手段35(図2等参照)を作動させて、後述のタッチパネル80の入力手段82から指定された所定のビーム径に対応する位置に第1のレンズユニット241および第2のレンズユニット242を移動させる。演算部92は、例えば、レーザービーム21の集光点である加工点28が加工ラインに沿って移動するようにX軸方向移動ユニット40を駆動させると共に、レーザービーム照射手段20にレーザービーム21を照射させる。
【0073】
以上説明したように、実施形態のレーザー加工装置1は、制御手段90の記憶部91が、レーザービーム21のビーム径と、ビーム径に対応する第1のレンズユニット241および第2のレンズユニット242の位置と、を予め記憶している。記憶部91が記憶するレーザービーム21のビーム径、およびビーム径に対応する第1のレンズユニット241および第2のレンズユニット242の位置は、装置間機差に対応して個々のレーザー加工装置1毎に設定される。記憶部91が記憶するレーザービーム21のビーム径およびビーム径に対応する第1のレンズユニット241および第2のレンズユニット242の位置は、レーザー発振器22から発振されるレーザービーム21の周波数毎に設定されてもよい。
【0074】
レーザービーム21のビーム径、およびビーム径に対応する第1のレンズユニット241および第2のレンズユニット242の位置の加工条件データは、例えば、各々の第1の距離243および第2の距離244でのレーザービーム21のビーム径を、ビーム測定ユニット25で測定することによって生成できる。
【0075】
実施形態のレーザー加工装置1は、制御手段90が、ビーム調整ユニット24の第1の移動手段34および第2の移動手段35を作動させて、入力手段82から指定された所定のビーム径に対応する位置に第1のレンズユニット241および第2のレンズユニット242を移動させる。この際、制御手段90は、予め記憶部91に記憶された加工条件データに基づいて第1のレンズユニット241および第2のレンズユニット242を移動させる。すなわち、レーザー加工装置1は、レーザービーム21のビーム径を入力手段82から指定した各々のビーム径に自動で変更することができるので、短時間で所望のビーム径に調整できるとともに、同一のビーム径に対する反復性を有する。
【0076】
したがって、レーザー加工装置1は、都度ビーム径の調整をする必要がないので、異なるデバイスを加工する際のレーザー加工条件の選定が容易になるという効果を奏する。例えば、種類によって材質、厚み、ストリートサイズ等が異なるウェーハを加工する場合であっても、集光レンズ27に入射するビーム径を変更して加工することが容易である。また、1パス目と2パス目のビーム径を変更する等、様々なビーム径のレーザービーム21を組み合わせてレーザー加工することも容易である。
【0077】
また、ビーム径の調整のために装置を停止させる必要がなく、レーザー加工中であっても自動で調整を行うことができるため、調整作業にかかる時間を短縮でき、生産性の低下を抑制できる。また、レーザービーム21のビーム径、およびビーム径に対応する第1のレンズユニット241および第2のレンズユニット242の位置は、個々のレーザー加工装置1毎に設定されるので、装置間機差を低減することができる。
【0078】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。すなわち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0079】
1 レーザー加工装置
10 チャックテーブル
20 レーザービーム照射手段
21 レーザービーム
22 レーザー発振器
23 基準レンズ
24 ビーム調整ユニット
241 第1のレンズユニット
242 第2のレンズユニット
25 ビーム測定ユニット
26 ミラー
27 集光レンズ
28 加工点
30 レンズ移動機構
31 支持基台
32 第1のレンズ支持部材
33 第2のレンズ支持部材
34 第1の移動手段
35 第2の移動手段
36 第1のレンズ位置検出手段
37 第2のレンズ位置検出手段
80 タッチパネル
81 表示手段
82 入力手段
90 制御手段
91 記憶部
92 演算部
100 被加工物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7