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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-31
(45)【発行日】2024-06-10
(54)【発明の名称】切削装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 27/06 20060101AFI20240603BHJP
   B24B 47/22 20060101ALI20240603BHJP
   B24B 49/12 20060101ALI20240603BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
B24B27/06 M
B24B47/22
B24B49/12
H01L21/78 F
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020122531
(22)【出願日】2020-07-17
(65)【公開番号】P2022019014
(43)【公開日】2022-01-27
【審査請求日】2023-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075384
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 昂
(74)【代理人】
【識別番号】100172281
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100206553
【弁理士】
【氏名又は名称】笠原 崇廣
(74)【代理人】
【識別番号】100189773
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 英哲
(74)【代理人】
【識別番号】100184055
【弁理士】
【氏名又は名称】岡野 貴之
(72)【発明者】
【氏名】大森 崇史
【審査官】小川 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-249571(JP,A)
【文献】特開2019-155589(JP,A)
【文献】特開2002-059365(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 27/06
B24B 47/22
B24B 49/12
H01L 21/301
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を保持する保持面を有するチャックテーブルと、
該チャックテーブルに隣接し、かつ、切削痕形成用ワークを保持する保持面を有するサブチャックテーブルと、
該チャックテーブルの保持面に保持された該被加工物及び該サブチャックテーブルの保持面に保持された該切削痕形成用ワークを切削する切削ブレードを回転可能に装着するスピンドルを有する切削ユニットと、
該切削痕形成用ワークを交換することなく処理が可能な被処理物の数を判定する判定ユニットと、
該切削ブレードの刃幅、該切削ブレードのX軸方向及びY軸方向への割り出し移動量、該切削痕形成用ワークの被切削面のサイズ及び該切削痕形成用ワークが使用された回数を示す信号、並びに、該被処理物の数の判定を要求する信号を該判定ユニットに入力するための入力ユニットと、
該判定ユニットによって判定された該被処理物の数を報知する報知ユニットと、を備え、
該切削ブレードの刃幅、該切削ブレードのX軸方向及びY軸方向への割り出し移動量、該切削痕形成用ワークの被切削面のサイズ及び該切削痕形成用ワークが使用された回数を示す信号、並びに、該被処理物の数の判定を要求する信号が該入力ユニットから該判定ユニットに入力された際に、該判定ユニットが該切削ブレードの刃幅、該切削ブレードのX軸方向及びY軸方向への割り出し移動量、該切削痕形成用ワークの被切削面のサイズ及び該切削痕形成用ワークが使用された回数に基づいて該被処理物の数を判定し、該判定に基づいて該報知ユニットが該被処理物の数を報知する
ことを特徴とする切削装置。
【請求項2】
報知ユニットは、該被処理物の数に加えて該切削痕形成用ワークの使用状況を報知する
ことを特徴とする請求項1に記載の切削装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切削装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータ及びスマートフォン等の小型化に伴って、それらに搭載されるチップにも小型化が求められている。チップは、ウェーハを分割予定ラインに沿って分割することで形成される。例えば、チップは、ウェーハを所望の厚さまで研削した後、切削して分割することで形成される。
【0003】
ただし、ウェーハを切削することによって個々のチップが形成される場合、個々のチップの縁にクラックが発生し、得られるチップの抗折強度が低下するおそれがある。さらに、クラックによる抗折強度の低下は、薄く小さいチップにおいて顕著である。
【0004】
クラックの発生を抑制するウェーハの分割方法(チップの形成方法)として、まず、切削予定ラインに沿ってウェーハを切削して所定の深さを有する溝を形成し、その後、ウェーハの裏面を研削して分割する方法が知られている。この方法は、研削に先立って切削を行う方法であるため、先ダイシング法とも呼ばれる。
【0005】
ウェーハの切削は、一般に、ウェーハの上方に配置される切削ブレードを用いて行われる。切削ブレードは、薄い環状の切刃を有し、この切刃を回転させながら切刃の外縁をウェーハに接触させることでウェーハが切削される。ウェーハの切削は、例えば、以下の順序で行われる。
【0006】
まず、切削ブレードの外縁の最下端がウェーハの表面を通る仮想の平面よりも下に位置するように切削ブレードを下降させる。次いで、切削ブレードが回転した状態で、ウェーハを加工送り方向に移動させてウェーハと切削ブレードとを接触させる。その結果、ウェーハが切削される。
【0007】
さらに、先ダイシング法によって薄いチップを形成するためには、所定の厚さまでウェーハを分割することなく研削することが求められる。他方、このような研削に先立って行われる切削によってウェーハに比較的深い溝が形成されると、所定の厚さまでウェーハを分割することなく研削することが困難になるおそれがある。
【0008】
そのため、先ダイシング法によって形成されるチップが薄い場合には、切削によって形成される溝の深さも浅くなることが多い。この場合、切削時における切削ブレードの高さを正確に設定する必要がある。
【0009】
特許文献1には、切削時における切削ブレードの高さを正確に設定するための方法が開示されている。例えば、特許文献1に記載の第2の発明によれば、切削ブレードを用いてダミー加工物(切削痕形成用ワーク)に切り込み溝(切削痕)を形成して切り込み溝の長さを測定すること等によって、切削ブレードと被加工物との切り込み送り方向(高さ方向)における接触原点位置(Z2)を算出する方法が提供される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2002-59365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、切削ブレードと被加工物との切り込み送り方向(高さ方向)における接触原点位置を算出するために用いられる切削痕形成用ワークは消耗品である。すなわち、切削痕形成用ワークの被切削面に多数の切削痕が形成され、新たな切削痕を形成するためのスペースが存在しなくなった時点で、この切削痕形成用ワークは使用不能になる。
【0012】
上述のとおり、所定の深さを有する溝をウェーハに正確に形成するためには、予め接触原点位置を算出することが必要である。そのため、仮に切削痕形成用ワークが使用不能になった場合には、切削痕形成用ワークが新しいものに交換されるまでチップの製造ラインを停止させざるを得ない。
【0013】
この点に鑑み、本発明の目的は、切削痕形成用ワークが使用不能になる前にオペレータが切削痕形成用ワークの寿命を把握することが可能な切削装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によれば、被加工物を保持する保持面を有するチャックテーブルと、該チャックテーブルに隣接し、かつ、切削痕形成用ワークを保持する保持面を有するサブチャックテーブルと、該チャックテーブルの保持面に保持された該被加工物及び該サブチャックテーブルの保持面に保持された該切削痕形成用ワークを切削する切削ブレードを回転可能に装着するスピンドルを有する切削ユニットと、該切削痕形成用ワークを交換することなく処理が可能な被処理物の数を判定する判定ユニットと、該切削ブレードの刃幅、該切削ブレードのX軸方向及びY軸方向への割り出し移動量、該切削痕形成用ワークの被切削面のサイズ及び該切削痕形成用ワークが使用された回数を示す信号、並びに、該被処理物の数の判定を要求する信号を該判定ユニットに入力するための入力ユニットと、該判定ユニットによって判定された該被処理物の数を報知する報知ユニットと、を備え、該切削ブレードの刃幅、該切削ブレードのX軸方向及びY軸方向への割り出し移動量、該切削痕形成用ワークの被切削面のサイズ及び該切削痕形成用ワークが使用された回数を示す信号、並びに、該被処理物の数の判定を要求する信号が該入力ユニットから該判定ユニットに入力された際に、該判定ユニットが該切削ブレードの刃幅、該切削ブレードのX軸方向及びY軸方向への割り出し移動量、該切削痕形成用ワークの被切削面のサイズ及び該切削痕形成用ワークが使用された回数に基づいて該被処理物の数を判定し、該判定に基づいて該報知ユニットが該被処理物の数を報知する切削装置が提供される。
【0015】
好ましくは、該報知ユニットは、該被処理物の数に加えて該切削痕形成用ワークの使用状況を報知する。
【発明の効果】
【0016】
本発明においては、判定ユニットが切削痕形成用ワークの寿命を判定し、該判定に基づいて報知ユニットが該寿命を報知する。これにより、オペレータは、切削痕形成用ワークが使用不能になる前に切削痕形成用ワークの寿命を把握することが可能である。その結果、切削痕形成用ワークの交換を効率的に行ってチップの製造効率を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、切削装置を模式的に示す斜視図である。
図2図2は、切削装置に内蔵される制御ユニットを模式的に示す機能ブロック図である。
図3図3は、処理部の動作フローの一例を模式的に示すフローチャートである。
図4図4は、報知ユニットにおいて表示される画像を模式的に示す図である。
図5図5は、処理部の動作フローの別の例を模式的に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る切削装置2を示す斜視図である。なお、以下の説明で用いられるX軸方向(被加工物を切削する際の加工送り方向、前後方向)、Y軸方向(被加工物を切削する際の割り出し送り方向、左右方向)及びZ軸方向(切り込み送り方向、高さ方向)は、図1に示される方向を意味し、互いに直交している。
【0019】
図1に示される切削装置2は、各構成要素を支持する基台4を有する。基台4上には、チャックテーブル20及びサブチャックテーブル24のX軸方向に沿った移動を制御するチャックテーブル移動機構6が設けられている。チャックテーブル移動機構6は、基台4の上面に固定された、X軸方向に概ね平行な一対のX軸ガイドレール8を有する。
【0020】
一対のX軸ガイドレール8には、X軸移動プレート10がX軸方向にスライド可能に取り付けられている。X軸移動プレート10の下面(裏面)側には、ボールねじを構成するナット(不図示)が設けられている。該ナットには、X軸ガイドレール8に概ね平行なX軸ボールねじ軸12が回転可能に連結(螺合)されている。
【0021】
X軸ボールねじ軸12の一端部には、X軸パルスモータ14が連結されている。そのため、X軸パルスモータ14によってX軸ボールねじ軸12を回転させれば、X軸移動プレート10は、X軸ガイドレール8に沿ってX軸方向に移動する。
【0022】
チャックテーブル移動機構6の周りには、被加工物を切削する際に使用される切削水の廃液等を一時的に貯留するウォーターケース16が設けられている。ウォーターケース16内に貯留された廃液は、ドレーン(不図示)等を介して切削装置2の外部に排出される。
【0023】
X軸移動プレート10の上面側(表面側)には、テーブルベース18aを介して円柱状のθテーブル18bが設けられている。θテーブル18bは、チャックテーブル20を回転させるためのモータ等の回転駆動源(不図示)を内蔵する。
【0024】
θテーブル18bの上面には、被加工物を保持する保持面を上部に有する円盤状のチャックテーブル20が設けられている。チャックテーブル20は、θテーブル18bに連結されており、回転可能である。チャックテーブル20が回転する際の軸心は、Z軸方向に概ね平行であり、該保持面の概ね中心を通る。
【0025】
チャックテーブル20は、ステンレス鋼等の金属で形成された円盤状の枠体20aを有する。枠体20aの上面側には凹部が形成されており、該凹部には、多孔質セラミックスで形成され、凹部の内径と概ね同じ外径を有する円盤状のポーラス板20bが固定されている。
【0026】
ポーラス板20bは、枠体20aに形成されている流路を介して真空ポンプ等の吸引源(不図示)に連結されている。吸引源を動作させると、ポーラス板20bの上面(チャックテーブル20の保持面)には負圧が発生する。この負圧により、該保持面では被加工物の吸引保持が可能である。該保持面に吸引保持された該被加工物は、加工後に他の被加工物に交換可能である。
【0027】
被加工物は、例えば、シリコン等の半導体で形成された円盤状のウェーハであり、その表面側に、デバイス領域と、デバイス領域を囲む外周余剰領域とを有する。デバイス領域は、格子状に配列された切削予定ラインで複数の領域に区画されており、各領域には、IC(Integrated Circuit)又はLSI(Large Scale Integration)等のデバイスが形成されている。
【0028】
θテーブル18bの周囲には、カバー18cが設けられている。カバー18cの角部上には、支持ロッド22が設けられている。支持ロッド22は、チャックテーブル20に隣接して設けられているサブチャックテーブル24を支持する。サブチャックテーブル24は、交換可能な切削痕形成用ワーク11を保持する保持面を上部に有する。
【0029】
切削痕形成用ワーク11は、一般的に、シリコン等の半導体からなる矩形の薄板である。ただし、切削痕形成用ワーク11の種類、材質、形状、構造及び大きさ等に制限はない。例えば、シリコン以外の半導体(GaAs、InP、GaN及びSiC等)等からなる非矩形の薄板を切削痕形成用ワーク11として適用してもよい。
【0030】
基台4上には、チャックテーブル移動機構6を跨ぐ様に配置された、門型の支持構造30が設けられている。支持構造30の前面(表面)には、切削ユニット50のY軸方向及びZ軸方向に沿った移動を制御する切削ユニット移動機構32が設けられている。
【0031】
切削ユニット移動機構32は、支持構造30の前面に固定された一対のY軸ガイドレール34を有する。一対のY軸ガイドレール34のそれぞれは、Y軸方向に概ね平行に配置されている。
【0032】
一対のY軸ガイドレール34には、2つのY軸移動プレート36がY軸方向にスライド可能に取り付けられている。2つのY軸移動プレート36のそれぞれの後面(裏面)側には、ボールねじを構成するナット(不図示)が設けられている。
【0033】
Y軸移動プレート36の後面側に設けられたナットには、Y軸ボールねじ軸38が回転可能に連結(螺合)されている。Y軸ボールねじ軸38は、一対のY軸ガイドレール34に概ね平行に配置されている。
【0034】
Y軸ボールねじ軸38の一端部には、Y軸パルスモータ40が連結されている。そのため、Y軸パルスモータ40によってY軸ボールねじ軸38を回転させれば、Y軸移動プレート36は、Y軸ガイドレール34に沿ってY軸方向に移動する。
【0035】
図1に示される切削装置2では、切削ユニット50のY軸方向に沿った移動がY軸パルスモータ40によって制御される。
【0036】
また、切削ユニット移動機構32は、各Y軸移動プレート36の前面(表面)に固定された一対のZ軸ガイドレール42を有する。一対のZ軸ガイドレール42のそれぞれは、Z軸方向に概ね平行に配置されている。
【0037】
一対のZ軸ガイドレール42には、1つのZ軸移動プレート44がZ軸方向にスライド可能に取り付けられている。Z軸移動プレート44の後面側(裏面)には、ナット(不図示)が設けられている。該ナットには、Z軸ボールねじ軸46が回転可能に連結(螺合)されている。Z軸ボールねじ軸46は、一対のZ軸ガイドレール42に概ね平行に配置されている。
【0038】
Z軸ボールねじ軸46の一端部には、Z軸パルスモータ48が連結されている。そのため、Z軸パルスモータ48によってZ軸ボールねじ軸46を回転させれば、Z軸移動プレート44は、Z軸ガイドレール42に沿ってZ軸方向に移動する。
【0039】
図1に示される切削装置2では、切削ユニット50のZ軸方向に沿った移動がZ軸パルスモータ48によって制御される。
【0040】
Z軸移動プレート44の下部には、切削ユニット50が固定されている。切削ユニット50は、長手部がY軸方向に概ね平行に配置された筒状のスピンドルハウジング52を有する。
【0041】
スピンドルハウジング52には、長手部がY軸方向と概ね平行に配置された円柱状のスピンドル(不図示)が収容されている。該スピンドルは、回転可能な状態でスピンドルハウジング52によって支持される。
【0042】
チャックテーブル20に近接する側の該スピンドルの一端部は、スピンドルハウジング52の外に突出し、該一端部には環状の切刃を有する切削ブレード54が装着されている。該スピンドルの一端部に装着される切削ブレード54は、被加工物の種類又は切刃の摩耗量等に応じて交換可能である。
【0043】
切削ブレード54は、例えば、金属等でなる環状の基台と、基台の外周縁に沿って形成された環状の切刃とが一体となって構成された、ハブタイプの切削ブレードである。ハブタイプの切削ブレードの切刃は、ダイヤモンド又は立方晶窒化ホウ素(cBN:cubic Boron Nitride)等でなる砥粒がニッケル等の結合材によって固定された電鋳砥石によって構成される。
【0044】
また、切削ブレード54として、砥粒が金属、セラミックス又は樹脂等でなる結合材によって固定された環状の切刃によって構成される、ワッシャータイプの切削ブレードを用いてもよい。
【0045】
該スピンドルの他端部は、スピンドルハウジング52に内蔵されるサーボモータ等の回転駆動源(不図示)に連結されている。そのため、該回転駆動源で該スピンドルを回転させれば、切削ブレード54も回転する。
【0046】
図1に示される切削装置2では、チャックテーブル移動機構6によるチャックテーブル20及びサブチャックテーブル24のX軸方向に沿った移動と、θテーブル18bに内蔵される回転駆動源によるチャックテーブル20の回転と、切削ユニット移動機構32による切削ユニット50のY軸方向及びZ軸方向に沿った移動と、スピンドルハウジング52に内蔵される回転駆動源による切削ブレード54の回転とが異時に又は同時に制御される。
【0047】
例えば、切削装置2では、チャックテーブル20の保持面に保持された被加工物を切削ブレード54が切削する際に、チャックテーブル移動機構6によるチャックテーブル20のX軸方向に沿った移動と、回転駆動源による切削ブレード54の回転とが同時に行われる。また、切削装置2では、サブチャックテーブル24の保持面に保持された切削痕形成用ワーク11に切削ブレード54が切削痕を形成する際に、切削ユニット移動機構32による切削ユニット50のZ軸方向に沿った移動と、回転駆動源による切削ブレード54の回転とが同時に行われる。
【0048】
また、スピンドルハウジング52の前面(表面)側の側面には、撮像ユニット56が配置されている。撮像ユニット56は、チャックテーブル20の保持面に保持された被加工物及びサブチャックテーブル24の保持面に保持された切削痕形成用ワーク11を可視光で撮像する。
【0049】
撮像ユニット56は、例えば、LED(Light Emitting Diode)等の光源と、対物レンズと、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の撮像素子とを含む。
【0050】
撮像ユニット56は、例えば、位置合わせのための被加工物の撮像及び切削ブレード54と被加工物とのZ軸方向における接触原点位置を算出するための切削痕形成用ワーク11に形成された切削痕の撮像等を行う。
【0051】
切削装置2の前面(表面)側には、タッチパネル58が配置されている。タッチパネル58は、例えば、オペレータからの指示を切削装置2へ入力するための入力ユニットとして機能するタッチセンサと、該オペレータに各種の情報を報知するための報知ユニットとして機能するディスプレイとによって構成される。
【0052】
該タッチセンサは、例えば、静電容量方式のタッチセンサ又は抵抗膜方式のタッチセンサ等である。また、該ディスプレイは、例えば、液晶ディスプレイ又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等である。
【0053】
切削装置2の動作は、内蔵の制御ユニットによって制御される。図2は、切削装置2に内蔵される制御ユニット60を模式的に示す機能ブロック図である。なお、図2には、制御ユニット60の構成要素のみならず、それらと関連する切削装置2のその他の構成要素も図示されている。
【0054】
制御ユニット60は、切削装置2の構成要素を制御するための信号を生成する処理部70と、処理部70において用いられる各種の情報(データ及びプログラム等)を記憶する記憶部80とを有する。
【0055】
処理部70の機能は、CPU(Central Processing Unit)等によって具現される。また、記憶部80の機能は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)及びNAND型フラッシュメモリ等の少なくとも一つによって具現される。
【0056】
処理部70は、タッチパネル58(図1)に含まれるタッチセンサによって具現されている入力ユニット62から信号が入力される入力部72を有する。入力部72は、入力された信号を駆動部74、撮像部76及び判定部78のいずれで処理するかを決定する。
【0057】
駆動部74は、入力部72を介して入力された信号に応じて、チャックテーブル移動機構6(図1)、チャックテーブル20(図1)を回転させる回転駆動源、切削ユニット移動機構32(図1)及び切削ブレード54(図1)を回転させる回転駆動源によって具現されている駆動ユニット66を制御する。
【0058】
駆動部74は、例えば、チャックテーブル20の保持面に保持された被加工物を切削するように、又は、接触原点位置を算出するために利用される切削痕を切削痕形成用ワーク11に形成するように駆動ユニット66を制御する。
【0059】
この時、駆動部74は、記憶部80に記憶された各種の情報(例えば、過去の切削における切削条件)を読みだして駆動ユニット66を制御してもよい。また、駆動部74は、記憶部80に新たな情報(例えば、今回の切削における切削条件)を記憶させてもよい。
【0060】
また、駆動部74は、駆動ユニット66における加工条件及び加工の進捗状況等をオペレータに報知するために報知ユニット68を制御してもよい。報知ユニット68は、タッチパネル58に含まれるディスプレイによって具現されている。
【0061】
撮像部76は、入力部72を介して入力された信号に応じて、撮像ユニット56を制御する。撮像部76は、例えば、チャックテーブル20の保持面に保持された被加工物、又は、サブチャックテーブル24の保持面に保持された切削痕形成用ワーク11に形成された切削痕を撮像するように撮像ユニット56を制御する。
【0062】
この時、撮像部76は、記憶部80に記憶された各種の情報(例えば、過去の撮像における撮像条件)を読みだして撮像ユニット56の撮像を制御してもよい。また、撮像部76は、記憶部80に新たな情報(例えば、今回の撮像における撮像条件)を記憶させてもよい。
【0063】
また、撮像部76は、撮像ユニット56が撮像した被加工物の画像又は切削痕形成用ワーク11に形成された切削痕の画像若しくはサイズ等をオペレータに報知するために報知ユニット68を制御してもよい。
【0064】
判定部78は、切削痕形成用ワーク11の寿命を判定するための判定用パラメータに基づいて該寿命を判定する判定ユニットとして機能する。判定用パラメータは、切削ブレード54の刃幅、切削ブレード54のX軸方向及びY軸方向への割り出し移動量、切削痕形成用ワーク11の被切削面のサイズ(切削痕形成用ワーク11の上面のサイズ)及び切削痕形成用ワーク11が使用された回数(切削痕形成用ワーク11に形成された切削痕の数)を含む。
【0065】
判定部78は、切削痕形成用ワーク11の寿命の判定が要求される度に記憶部80に記憶された判定用パラメータの具体的な値を読みだして判定を行ってもよい。あるいは、判定部78は、切削痕形成用ワーク11の寿命の判定が要求される度にオペレータに判定用パラメータの一部又は全部の具体的な値の入力を求めるように報知ユニット68を制御してもよい。
【0066】
また、判定部78は、判定用パラメータの具体的な値を新たに記憶部80に記憶させてもよく、また、既存の判定用パラメータの具体的な値を書き換えてもよい。例えば、判定部78は、切削痕形成用ワーク11に切削痕が形成される度に、記憶部80に記憶された、切削痕形成用ワーク11が使用された回数を1回増加させるように書き換えてもよい。
【0067】
なお、処理部70の構成は図2に示される構成に限定されず、処理部70が入力部72、駆動部74、撮像部76及び判定部78以外の機能部を有していてもよい。例えば、処理部70は、撮像ユニット56が撮像した、切削痕形成用ワーク11に形成された切削痕の画像に基づいて、切削ブレード54と被加工物とのZ軸方向における接触原点位置を算出する算出部を有していてもよい。
【0068】
図3は、処理部70の動作フローの一例を模式的に示すフローチャートである。具体的には、図3は、被加工物の切削に必要なパラメータをオペレータに報知してから、被加工物の切削が終了するまでの流れを模式的に示すフローチャートである。
【0069】
被加工物の切削を行う前に、処理部70は、被加工物の切削に必要なパラメータをオペレータに報知する(ステップS1)。例えば、処理部70は、必要なパラメータの入力画面が表示されるように報知ユニット68を制御する。
【0070】
なお、該必要なパラメータのうち被加工物に関するものとしては、例えば、被加工物のサイズと、チャックテーブル20の加工送り速度、切削ユニット50の割り出し移動量及び切削ユニット50の高さ等の被加工物を切削する際の切削条件とが挙げられる。
【0071】
また、該必要なパラメータのうち切削痕形成用ワーク11に関するものとしては、例えば、切削痕形成用ワーク11の被切削面のサイズと、切削ユニット50のX軸方向及びY軸方向への割り出し移動量及び切り込み送り速度等の切削痕形成用ワーク11に切削痕を形成する際の切削条件とが挙げられる。
【0072】
また、該必要なパラメータのうち切削ブレード54に関するものとしては、例えば、切削ブレード54の刃幅及び外径等が挙げられる。
【0073】
被加工物の切削に必要なパラメータがオペレータに報知されると、オペレータが入力ユニット62を操作して該必要なパラメータの具体的な値を新たに入力することが可能になる。例えば、オペレータがタッチパネル58を操作して必要なパラメータの具体的な値を入力することが可能になる。
【0074】
オペレータによる必要なパラメータの具体的な値の入力がなされると、必要なパラメータの具体的な値を示す信号が入力ユニット62から処理部70に入力される(ステップS2)。必要なパラメータの具体的な値を示す信号が処理部70に入力されると、処理部70は、入力されたパラメータの具体的な値を記憶部80に記憶させる(ステップS3)。
【0075】
被加工物の切削に必要なパラメータの具体的な値が全て記憶部80に記憶されると、処理部70は、被加工物の切削が開始可能であることをオペレータに報知する(ステップS4)。例えば、処理部70は、被加工物の切削を開始させるためのアイコン(例えば、オペレータにボタンだと認識されるような概ね円形のアイコン)が表示されるように報知ユニット68を制御する。
【0076】
被加工物の切削が開始可能であることがオペレータに報知されると、オペレータが入力ユニット62を操作して被加工物の切削を開始させることが可能になる。例えば、オペレータがタッチパネル58に表示された被加工物の切削を開始させるためのアイコンに接触することで被加工物の切削を開始させることが可能になる。
【0077】
オペレータが被加工物の切削を開始させるように入力ユニット62を操作すると、被加工物の切削を要求する信号が入力ユニット62から処理部70に入力される(ステップS5)。
【0078】
該信号が入力されると、処理部70は、駆動部74における被加工物の切削及び判定部78における切削痕形成用ワーク11の寿命の判定を並行して行う。そのため、該信号は、被加工物の切削を要求する信号であるのみならず、切削痕形成用ワーク11の寿命の判定を要求する信号でもある。
【0079】
入力部72を介して処理部70に該信号(被加工物の切削を要求する信号)が入力されると、処理部70は、被加工物と切削ブレード54との位置合わせを行う(ステップS6-1)。
【0080】
例えば、被加工物を撮像するように撮像部76が撮像ユニット56を制御する。次いで、撮像ユニット56によって撮像された被加工物の画像に基づいて、チャックテーブル20を回転させて被加工物の切削予定ラインがX軸方向と平行になるように駆動部74が駆動ユニット66を制御する。
【0081】
また、切削ブレード54と被加工物とのZ軸方向における接触原点位置を算出するための切削痕を切削痕形成用ワーク11に形成するように駆動部74が駆動ユニット66を制御する。次いで、該切削痕を撮像するように撮像部76が撮像ユニット56を制御する。次いで、撮像ユニット56が撮像した該切削痕の画像に基づいて、不図示の算出部が切削ブレード54と被加工物とのZ軸方向における接触原点位置を算出する。次いで、切削ユニット50の高さを調節することで被加工物に形成される溝が所定の深さとなるように駆動部74が駆動ユニット66を制御する。
【0082】
被加工物と切削ブレード54との位置合わせが完了すると、駆動部74は、記憶部80から被加工物の切削条件等を読みだして、チャックテーブル20の保持面に保持された被加工物を切削するように駆動ユニット66を制御する(ステップS6-2)。
【0083】
また、入力部72を介して判定部78に該信号(切削痕形成用ワーク11の寿命の判定を要求する信号)が入力されると、判定部78は、記憶部80から上記の判定用パラメータの具体的な値を読みだして、該判定用パラメータの具体的な値に基づいて切削痕形成用ワーク11の寿命を判定する(ステップS7-1)。
【0084】
すなわち、上記の判定用パラメータの具体的な値を示す信号及び該寿命の判定を要求する信号が入力されると、判定ユニットとして機能する判定部78が寿命を判定する。該寿命としては、例えば、切削痕形成用ワーク11を交換することなく処理が可能な被加工物又は複数の被加工物を収容するカセット等の被処理物の数等が挙げられる。例えば、被加工物が交換される度に接触原点位置を算出するための切削痕を切削痕形成用ワーク11に形成する場合、判定部78は、以下の順序で、切削可能な被加工物の数を判定する。
【0085】
まず、判定部78は、切削ブレード54の刃幅及び切削ブレード54のX軸方向及びY軸方向への割り出し移動量に基づいて、切削ブレード54と被加工物とのZ軸方向における接触原点位置を算出するために利用される切削痕を1つ形成する際に必要となる単位面積を設定する。次いで、判定部78は、切削痕形成用ワーク11の被切削面のサイズから求められる被切削面の面積を該単位面積で除すことによって、切削痕形成用ワーク11の最大使用回数を算出する。次いで、判定部78は、該最大使用回数から切削痕形成用ワーク11が使用された回数を引くことによって、切削痕形成用ワーク11の残りの使用可能回数を算出する。ここで、被加工物が交換される度に接触原点位置を算出するための切削痕を切削痕形成用ワーク11に形成する場合には、切削可能な被加工物の数と、切削痕形成用ワーク11の残りの使用可能回数とは一致する。そのため、判定部78は、切削痕形成用ワーク11の残りの使用可能回数と等しい数を切削可能な被加工物の数として算出する。
【0086】
切削痕形成用ワーク11の寿命が判定されると、判定部78は、切削痕形成用ワーク11の寿命をオペレータに報知するように報知ユニット68を制御する(ステップS7-2)。例えば、判定部78は、図4に示されるような画像が表示されるように報知ユニット68を制御する。
【0087】
図4に示される画像の中央部には、切削痕形成用ワーク11が模式的に示されている。表示された切削痕形成用ワーク11の内側には、4行26列に配列された104個の長方形が表示されている。
【0088】
各長方形は、切削ブレード54と被加工物とのZ軸方向における接触原点位置を算出するために利用される切削痕が形成された箇所又は形成される予定の箇所を表している。なお、図4においては、既に切削痕が形成された切削痕形成済み箇所13aはハッチングが付されて表示され、未だ切削痕が形成されていない切削痕形成予定箇所13bは白抜きで表示されている。
【0089】
図4に示される画像の下方部には、切削痕形成用ワーク11の寿命に関する情報を含むテキスト部90が表示されている。テキスト部90に含まれる部分90a及び部分90bのそれぞれには、該情報として、切削痕形成用ワーク11の使用状況に関する情報が表示されている。また、テキスト部90に含まれる部分90c及び部分90dのそれぞれには、該情報として、切削痕形成用ワーク11を交換することなく処理が可能な被処理物の数が表示されている。
【0090】
具体的には、部分90aは、切削痕形成用ワーク11において最大で104個の切削痕(line)が形成可能であること、及び、切削痕形成用ワーク11においては既に13個の切削痕(line)が形成されていることを表示している。
【0091】
また、部分90bは、切削痕形成用ワーク11の被切削面の約12%(≒13/104(部分90a参照))が既に使用されていることを表示している。
【0092】
また、部分90cは、既存の切削痕形成用ワーク11を新しいものに交換することなく、切削可能な被加工物(ウェーハ(wafer))の数を表示している。なお、ここでは、切削痕形成用ワーク11には、被加工物が交換される度に接触原点位置を算出するための切削痕が形成されることを想定している。そして、切削痕形成用ワーク11の残りの使用可能回数は91(=104-13(部分90a参照))回である。そのため、既存の切削痕形成用ワーク11を新しいものに交換することなく、切削可能な被加工物の数も91である。
【0093】
また、部分90dは、切削痕形成用ワーク11が交換される前に交換されることになるカセット(cassette)の数を表示している。なお、ここでは、該カセットとして、25枚の被加工物(ウェーハ)を収容するカセットを想定している。すなわち、部分90dには、既存の切削痕形成用ワーク11を新しいものに交換することなく、3つの新たなカセットに収容される全ての該被加工物が切削可能であることが表示されている。
【0094】
オペレータは、図4に示されるような画像を視認することで、切削痕形成用ワーク11の使用状況(部分90a及び部分90b参照)と、切削痕形成用ワーク11の交換が必要とされるまでに処理が可能な被処理物(被加工物及びカセット等)の数(部分90c及び部分90d参照)との双方を同時に認知することができる。換言すると、報知ユニット68は、図4に示されるような画像を表示することで、切削痕形成用ワーク11の使用状況及び該被処理物の数の双方を同時に報知している。
【0095】
上述の切削装置2においては、判定ユニットとして機能する判定部78が切削痕形成用ワーク11の寿命を判定し、該判定に基づいて報知ユニット68が該寿命を報知する。これにより、オペレータは、切削痕形成用ワーク11が使用不能になる前に切削痕形成用ワーク11の寿命を把握することが可能である。その結果、切削痕形成用ワーク11の交換を効率的に行ってチップの製造効率を向上させることが可能となる。
【0096】
なお、上述の切削装置2は本発明の実施形態であって、本発明に係る切削装置は上述の切削装置2に限定されない。
【0097】
例えば、上述の切削装置2においては、判定ユニットとして機能する判定部78が、図4に示されるような画像を表示するように報知ユニット68を制御する実施形態について例示したが、報知ユニット68に表示される画像は、図4に示される画像に限定されない。本発明においては、判定部78が、例えば、切削痕形成用ワーク11の被切削面のうち使用可能な領域の割合(%)を含む画像を表示するように報知ユニット68を制御してもよい。
【0098】
また、上述の切削装置2においては、入力ユニット62としてタッチパネル58のタッチセンサを適用する実施形態について例示したが、本発明における入力ユニットは、このようなタッチセンサに限定されない。例えば、本発明においては、該タッチセンサに替えて又は追加して、キーボード、マウス、ボタン(押入可能に切削装置から突出した部材)及びマイクロフォン等の少なくとも一つを入力ユニットとして適用してもよい。
【0099】
また、上述の切削装置2においては、報知ユニット68としてタッチパネル58のディスプレイを適用する実施形態について例示したが、本発明における報知ユニットは、このようなディスプレイに限定されない。例えば、本発明においては、該ディスプレイに替えて又は追加して、プリンタ及びスピーカ等の少なくとも一つを報知ユニットとして適用してもよい。
【0100】
また、上述の切削装置2においては、駆動部74における該被加工物の切削及び判定部78における切削痕形成用ワーク11の寿命の判定が並行して行われる実施形態について例示したが(図3参照)、本発明における該寿命の判定は独立して行われてもよい。すなわち、本発明に係る切削装置においては、オペレータが切削痕形成用ワーク11の寿命の判定を要求するためだけの操作を行うことも可能である。
【0101】
図5は、処理部70の動作フローの別の例を模式的に示すフローチャートである。該動作フローにおいては、切削痕形成用ワーク11の寿命の判定及び報知のみが行われる。そのため、該動作フローにおいては、駆動部74、撮像部76及び判定部78のうち判定部78のみが動作する。
【0102】
具体的には、図5は、切削痕形成用ワーク11の寿命の判定を要求する信号が入力されてからオペレータに該寿命を報知するまでの流れを模式的に示すフローチャートである。
【0103】
まず、オペレータが切削痕形成用ワーク11の寿命の判定を要求するために入力ユニット62を操作する。例えば、報知ユニット68が該寿命の判定を開始させるためのアイコンを表示した状態でオペレータが該アイコンに接触する。
【0104】
これを受けて、切削痕形成用ワーク11の寿命の判定を要求する信号が入力ユニット62から入力部72を介して判定部78に入力される(ステップS11)。該寿命の判定を要求する信号が判定部78に入力されると、判定部78は、上記の判定用パラメータの全てが記憶部80に記憶されているかを確認する(ステップS12)。
【0105】
上記の判定用パラメータの少なくとも一つが記憶部80に記憶されていなかった場合(ステップS12:NO)には、判定部78は、報知ユニット68を制御して判定に必要な判定用パラメータをオペレータに報知する(ステップS13)。例えば、判定部78は、必要な判定用パラメータの入力画面が表示されるように報知ユニット68を制御する。
【0106】
これにより、オペレータが入力ユニット62を操作して必要な判定用パラメータの具体的な値を新たに入力することが可能になる。例えば、オペレータが入力ユニット62を操作して該必要な判定用パラメータの具体的な値を入力することが可能になる。
【0107】
オペレータによる必要な判定用パラメータの具体的な値の入力がなされると、該必要な判定用パラメータの具体的な値を示す信号が入力ユニット62から入力部72を介して判定部78に入力される(ステップS14)。該必要な判定用パラメータの具体的な値を示す信号が判定部78に入力されると、判定部78は、入力された判定用パラメータの具体的な値を記憶部80に記憶させる(ステップS15)。
【0108】
上記の判定用パラメータの全てが記憶部80に記憶されていれば(ステップS12:YES)、判定部78は、記憶部80に記憶されている上記の判定用パラメータを読みだして、切削痕形成用ワーク11の寿命を判定する(ステップS16)。
【0109】
すなわち、上記の判定用パラメータを示す信号及び該寿命の判定を要求する信号が入力されると、判定ユニットとして機能する判定部78が切削痕形成用ワーク11の寿命を判定する。例えば、判定部78は、該寿命として切削痕形成用ワーク11を交換することなく処理が可能な被処理物の数を判定する。
【0110】
切削痕形成用ワーク11の寿命が判定されると、判定部78は、報知ユニット68を制御して切削痕形成用ワーク11の寿命をオペレータに報知する(ステップS17)。例えば、判定部78は、図4に示されるような画像が表示されるように報知ユニット68を制御する。
【0111】
その他、上述した実施形態及び変形例にかかる構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。
【符号の説明】
【0112】
11 :切削痕形成用ワーク
13a :切削痕形成済み箇所
13b :切削痕形成予定箇所
2 :切削装置
4 :基台
6 :チャックテーブル移動機構
8 :X軸ガイドレール
10 :X軸移動プレート
12 :X軸ボールねじ軸
14 :X軸パルスモータ
16 :ウォーターケース
18a :テーブルベース
18b :θテーブル
18c :カバー
20 :チャックテーブル
20a :枠体
20b :ポーラス板
22 :支持ロッド
24 :サブチャックテーブル
30 :支持構造
32 :切削ユニット移動機構
34 :Y軸ガイドレール
36 :Y軸移動プレート
38 :Y軸ボールねじ軸
40 :Y軸パルスモータ
42 :Z軸ガイドレール
44 :Z軸移動プレート
46 :Z軸ボールねじ軸
48 :Z軸パルスモータ
50 :切削ユニット
52 :スピンドルハウジング
54 :切削ブレード
56 :撮像ユニット
58 :タッチパネル
60 :制御ユニット
62 :入力ユニット
66 :駆動ユニット
68 :報知ユニット
70 :処理部
72 :入力部
74 :駆動部
76 :撮像部
78 :判定部
80 :記憶部
90 :テキスト部
90a :部分
90b :部分
90c :部分
90d :部分
図1
図2
図3
図4
図5