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特許7497179耐衝撃性改良剤、これを含む耐衝撃性改良剤組成物、これらを含む合成樹脂組成物、およびその成形体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-31
(45)【発行日】2024-06-10
(54)【発明の名称】耐衝撃性改良剤、これを含む耐衝撃性改良剤組成物、これらを含む合成樹脂組成物、およびその成形体
(51)【国際特許分類】
   C08G 59/40 20060101AFI20240603BHJP
   C08L 55/02 20060101ALI20240603BHJP
   C08L 69/00 20060101ALI20240603BHJP
   C08L 27/18 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
C08G59/40
C08L55/02
C08L69/00
C08L27/18
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020049494
(22)【出願日】2020-03-19
(65)【公開番号】P2021147524
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000000387
【氏名又は名称】株式会社ADEKA
(74)【代理人】
【識別番号】100096714
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100124121
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 由美子
(74)【代理人】
【識別番号】100176566
【弁理士】
【氏名又は名称】渡耒 巧
(74)【代理人】
【識別番号】100180253
【弁理士】
【氏名又は名称】大田黒 隆
(72)【発明者】
【氏名】圓城 直樹
(72)【発明者】
【氏名】崔 椿
【審査官】佐藤 貴浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-106111(JP,A)
【文献】特開平09-241365(JP,A)
【文献】特開2002-293899(JP,A)
【文献】特開2000-103951(JP,A)
【文献】国際公開第2014/115745(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/202642(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G63/00- 64/42
C08G59/00- 59/72
C08L 1/00-101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジオール(a1)とジカルボン酸(a2)が反応して得られるポリエステル(a)と、炭素原子数2~4のアルキレンオキシ基の群から選ばれる少なくとも一つの基を一つ以上有する両末端に水酸基を有する化合物(b)と、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物(D)と、が反応して得られる高分子化合物(E)の1種以上を含有する耐衝撃性改良剤であって、
前記ジオール(a1)が、1,4-ブタンジオール、またはエチレングリコールの少なくとも一方であり、前記ジカルボン酸(a2)が、コハク酸、またはコハク酸を含有するジカルボン酸の混合物であることを特徴とする耐衝撃性改良剤。
【請求項2】
前記炭素原子数2~4のアルキレンオキシ基の群から選ばれる少なくとも一つの基が、エチレンオキシ基、またはブチレンオキシ基の少なくとも一方である請求項1記載の耐衝撃性改良剤。
【請求項3】
前記高分子化合物(E)が、前記ポリエステル(a)から構成されるポリエステルのブロック(A)と、前記化合物(b)から構成されるポリエーテルのブロック(B)とを有し、
前記ポリエステル(a)の末端に有する水酸基またはカルボキシル基と、化合物(b)の末端に有する水酸基と、前記エポキシ化合物(D)のエポキシ基またはエポキシ基が反応することによって形成された水酸基、との反応により形成された、エステル結合またはエーテル結合を介して結合してなる構造を有する請求項1または2記載の耐衝撃性改良剤。
【請求項4】
前記高分子化合物(E)が、前記ポリエステルのブロック(A)と、前記ポリエーテルのブロック(B)と、がエステル結合を介して繰り返し交互に結合してなる両末端にカルボキシル基を有するブロックポリマー(C)と、前記エポキシ化合物(D)と、がエステル結合を介して結合してなる構造を有する請求項3記載の耐衝撃性改良剤。
【請求項5】
前記ポリエステル(a)が、両末端にカルボキシル基を有する構造である請求項1~4のうちいずれか一項記載の耐衝撃性改良剤。
【請求項6】
前記化合物(b)が、ポリエチレングリコール、またはポリテトラメチレングリコールの少なくとも一方である請求項1~5のうちいずれか一項記載の耐衝撃性改良剤。
【請求項7】
前記高分子化合物(E)の結晶化温度が20~70℃の範囲内である請求項1~6のうちいずれか一項記載の耐衝撃性改良剤。
【請求項8】
前記高分子化合物(E)の前記ポリエステル(a)の数平均分子量が、ポリスチレン換算で1,000~10,000である請求項1~7のうちいずれか一項記載の耐衝撃性改良剤。
【請求項9】
前記高分子化合物(E)の前記ブロックポリマー(C)の数平均分子量がポリスチレン換算で5,000~50,000である請求項記載の耐衝撃性改良剤。
【請求項10】
請求項1~9のうちいずれか一項記載の耐衝撃性改良剤に対し、さらにアニオン性界面活性剤が配合されていることを特徴とする耐衝撃性改良剤組成物。
【請求項11】
合成樹脂に対し、請求項1~9のうちいずれか一項記載の耐衝撃性改良剤が配合されていることを特徴とする合成樹脂組成物。
【請求項12】
合成樹脂に対し、請求項10記載の耐衝撃性改良剤組成物が配合されていることを特徴とする合成樹脂組成物。
【請求項13】
前記合成樹脂が、ポリカーボネート樹脂およびアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂からなる群から選ばれる1種以上である請求項11または12記載の合成樹脂組成物。
【請求項14】
さらに、ポリテトラフルオロエチレンが配合されている請求項11~13のうちいずれか一項記載の合成樹脂組成物。
【請求項15】
請求項11~14のうちいずれか一項記載の合成樹脂組成物からなることを特徴とする成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐衝撃性改良剤、これを含む耐衝撃性改良剤組成物、これらを含む合成樹脂組成物、およびその成形体に関し、詳しくは、合成樹脂に対して、優れた耐衝撃性を付与することができる耐衝撃性改良剤、これを含む耐衝撃性改良剤組成物、これらを含む合成樹脂組成物、およびその成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂は、軽量で加工が容易であるのみならず、用途に応じて基材を設計することができる等の優れた特性を有しているため、現代では欠かすことのできない重要な素材である。特に熱可塑性樹脂は、溶融成形が可能であることから、成形品を製造することが広く行われており、その成形品は種々の用途に用いられている。
【0003】
しかしながら、これら熱可塑性樹脂の成形品は耐衝撃性が十分ではなく、落下、衝突、振動など、成形体が強い衝撃を受けると、ひび割れ、欠けなどの破壊が発生し易いという問題がある。また、合成樹脂に難燃性を付与するために、難燃剤や難燃助剤が配合されることがある。特に、燃焼時のドリップを防止するために、ポリテトラフルオロエチレン等のドリップ防止剤が広く使用されている。しかしながら、これらドリップ防止剤を合成樹脂に配合した場合、合成樹脂の耐衝撃性が落ちるという問題があった。
【0004】
そこで、合成樹脂の耐衝撃性を改善するために、各種ゴムやエラストマーなどの使用が、例えば、特許文献1~4で提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-234920号公報
【文献】特開2002-356521号公報
【文献】特開2003-96290号公報
【文献】特開2014-162878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、これら従来の耐衝撃性改良剤の耐衝撃性改良効果は十分ではなく、さらなる改良が望まれているのが現状である。
【0007】
そこで、本発明の目的は、合成樹脂に対して、優れた耐衝撃性を付与することができる優れた耐衝撃性を付与することができる耐衝撃性改良剤、これを含む耐衝撃性改良剤組成物、これらを含む合成樹脂組成物、およびその成形体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、上記課題を解消するために鋭意検討した結果、所定の構造を有する高分子化合物が、合成樹脂に対して優れた耐衝撃性を付与することができ、これを用いることで、上記課題を解消することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明の耐衝撃性改良剤は、ジオール(a1)とジカルボン酸(a2)が反応して得られるポリエステル(a)と、炭素原子数2~4のアルキレンオキシ基の群から選ばれる少なくとも一つの基を一つ以上有する両末端に水酸基を有する化合物(b)と、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物(D)と、が反応して得られる高分子化合物(E)の1種以上を含有する耐衝撃性改良剤であって、
前記ジオール(a1)が、1,4-ブタンジオール、またはエチレングリコールの少なくとも一方であり、前記ジカルボン酸(a2)が、コハク酸、またはコハク酸を含有するジカルボン酸の混合物であることを特徴とするものである。
【0010】
本発明の耐衝撃性改良剤は、前記炭素原子数2~4のアルキレンオキシ基の群から選ばれる少なくとも一つの基が、エチレンオキシ基、またはブチレンオキシ基の少なくとも一方であることが好ましい。また、本発明の耐衝撃性改良剤においては、前記高分子化合物(E)が、前記ポリエステル(a)から構成されるポリエステルのブロック(A)と、前記化合物(b)から構成されるポリエーテルのブロック(B)とを有し、
前記ポリエステル(a)の末端に有する水酸基またはカルボキシル基と、化合物(b)の末端に有する水酸基と、前記エポキシ化合物(D)のエポキシ基またはエポキシ基が反応することによって形成された水酸基、との反応により形成された、エステル結合またはエーテル結合を介して結合してなる構造を有することが好ましい。さらに、本発明の耐衝撃性改良剤においては、前記高分子化合物(E)が、前記ポリエステルのブロック(A)と、前記ポリエーテルのブロック(B)と、がエステル結合を介して繰り返し交互に結合してなる両末端にカルボキシル基を有するブロックポリマー(C)と、前記エポキシ化合物(D)と、がエステル結合を介して結合してなる構造を有することが好ましい。さらにまた、本発明の耐衝撃性改良剤においては、前記ポリエステル(a)が、両末端にカルボキシル基を有する構造であることが好ましい。また、本発明の耐衝撃性改良剤においては、前記化合物(b)が、ポリエチレングリコール、またはポリテトラメチレングリコールの少なくとも一方であることが好ましい。さらに、本発明の耐衝撃性改良剤においては、前記高分子化合物(E)の結晶化温度が20~70℃の範囲内であることが好ましい。さらにまた、本発明の耐衝撃性改良剤においては、前記高分子化合物(E)の前記ポリエステル(a)の数平均分子量が、ポリスチレン換算で1,000~10,000であることが好ましい。また、本発明の耐衝撃性改良剤においては、前記高分子化合物(E)の前記ブロックポリマー(C)の数平均分子量がポリスチレン換算で5,000~50,000であることが好ましい。
【0011】
本発明の耐衝撃性改良剤組成物は、本発明の耐衝撃性改良剤に対し、さらにアニオン性界面活性剤が配合されていることを特徴とするものである。
【0012】
本発明の合成樹脂組成物は、合成樹脂に対し、本発明の耐衝撃性改良剤が配合されていることを特徴とするものである。また、本発明の他の合成樹脂組成物は、合成樹脂に対し、本発明の耐衝撃性改良剤組成物が配合されていることを特徴とするものである。
【0013】
本発明の合成樹脂組成物においては、前記合成樹脂が、ポリカーボネート樹脂およびアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂からなる群から選ばれる1種以上であることが好ましい。また、本発明の合成樹脂組成物においては、さらに、ポリテトラフルオロエチレンが配合されていることが好ましい。
【0014】
本発明の成形体は、本発明の合成樹脂組成物からなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、合成樹脂に対して、優れた耐衝撃性を付与することができる耐衝撃性改良剤、これを含む耐衝撃性改良剤組成物、これらを含む合成樹脂組成物、およびその成形体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明の耐衝撃性改良剤は、ジオール(a1)とジカルボン酸(a2)が反応して得られるポリエステル(a)と、炭素原子数2~4のアルキレンオキシ基の群から選ばれる少なくとも一つの基を一つ以上有する両末端に水酸基を有する化合物(b)と、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物(D)と、が反応して得られる高分子化合物(E)の1種以上を含有するものである。ここで炭素原子数2~4のアルキレンオキシ基とは、エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基、ブチレンオキシ基が挙げられる。これらの中でも、耐衝撃性の点から、エチレンオキシ基、またはブチレンオキシ基の少なくとも一方が好ましい。ここで、エチレンオキシ基とは、下記一般式(1)で示される基であり、ブチレンオキシ基は下記一般式(2)で表される基である。
【0017】
【0018】
本発明の耐衝撃性改良剤においては、ジオール(a1)は、1,4-ブタンジオールまたはエチレングリコールの少なくとも一方である。これらは、他のジオールと比較して、耐衝撃性の点に優れている。
【0019】
本発明の耐衝撃性改良剤においては、ジカルボン酸(a2)は、コハク酸、または、コハク酸を含有するジカルボン酸の混合物である。コハク酸は、他のジカルボン酸と比較して、耐衝撃性の点に優れている。
【0020】
コハク酸との混合物として使用できるジカルボン酸の例としては、脂肪族ジカルボン酸および芳香族ジカルボン酸が挙げられ、これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0021】
脂肪族ジカルボン酸としては、好ましくは炭素原子数2~20の脂肪族ジカルボン酸が挙げられ、例えば、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、メチルコハク酸、ジメチルマロン酸、3-メチルグルタル酸、エチルコハク酸、イソプロピルマロン酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸(1,10-デカンジカルボン酸)、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸、エイコサン二酸、1,3-シクロペンタンジカルボン酸、1,2-シクロペンタンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサン二酢酸、1,3-シクロヘキサン二酢酸、1,2-シクロヘキサン二酢酸、1,1-シクロヘキサン二酢酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸等が挙げられる。
【0022】
芳香族ジカルボン酸としては、好ましくは炭素原子数8~20の芳香族ジカルボン酸が挙げられ、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、フェニルマロン酸、ホモフタル酸、フェニルコハク酸、β-フェニルグルタル酸、α-フェニルアジピン酸、β-フェニルアジピン酸、ビフェニル-2,2’-ジカルボン酸、ビフェニル-4,4’-ジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、3-スルホイソフタル酸ナトリウムおよび3-スルホイソフタル酸カリウム等が挙げられる。
【0023】
コハク酸との混合物で使用するジカルボン酸は、耐衝撃性の点から、脂肪族ジカルボン酸が好ましく、アジピン酸、セバシン酸がより好ましく、アジピン酸が最も好ましい。
【0024】
ジカルボン酸(a2)は、耐衝撃性の点から、コハク酸と、他のジカルボン酸(例えば、アジピン酸)との比率がモル比で、100:0~50:50が好ましく、100:0~70:30がより好ましく、100:0~80:20がさらにより好ましく、100:0~90:10がさらにより好ましい。
【0025】
本発明の耐衝撃性改良剤に係る高分子化合物(E)においては、耐衝撃性の点から、ポリエステル(a)から構成されるポリエステルのブロック(A)と、化合物(b)から構成されるポリエーテルのブロック(B)と、を有し、ポリエステル(a)の末端に有する水酸基またはカルボキシル基と、化合物(b)の末端に有する水酸基と、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物(D)のエポキシ基、またはエポキシ基が反応することによって形成された水酸基と、の反応により形成された、エステル結合またはエーテル結合を介して結合してなる構造を有することが好ましい。ここで、エポキシ基が反応することによって形成された水酸基とは、エポキシ化合物(D)のエポキシ基が、水酸基またはカルボキシル基と開環反応することで形成される水酸基である。
【0026】
本発明の耐衝撃性改良剤に係る高分子化合物(E)においては、特に、耐衝撃性の点から、ポリエステルのブロック(A)と、ポリエーテルのブロック(B)と、がエステル結合を介して繰り返し交互に結合してなる両末端にカルボキシル基を有するブロックポリマー(C)と、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物(D)と、がエステル結合を介して結合してなることが好ましい。ここでのエステル結合は、ブロックポリマー(C)の有するカルボキシル基とエポキシ化合物(D)の有するエポキシ基との反応により形成されるエステル結合と、さらに、このエステル結合を形成する反応で、エポキシ基が開環し形成された水酸基と、カルボキシル基が反応して形成されたエステル結合が挙げられる。本発明の耐衝撃性改良剤においては、これらいずれのエステル結合を介して結合していてもよく、両者のエステル結合を介して結合しているのが耐衝撃性の点からより好ましい。
【0027】
本発明の耐衝撃性改良剤に係る高分子化合物(E)において、ポリエステル(a)は、ジオール(a1)として1,4-ブタンジオールまたはエチレングリコールの少なくとも一方、ジカルボン酸(a2)としてコハク酸、または、コハク酸を含有するジカルボン酸の混合物、をエステル化反応(エステル交換反応を含む)させたものであればよい。本発明の耐衝撃性改良剤でいうエステル化反応とは、エステル結合を形成する反応であれば特に制限はない。ジオール(a1)は1,4-ブタンジオールのみでもよく、エチレングリコールのみでもよく、1,4-ブタンジオールおよびエチレングリコールの両者でもよい。ジオール(a1)は、耐衝撃性の点から1,4-ブタンジオールが好ましく、1,4-ブタンジオールとエチレングリコールを併用する場合は、1,4-ブタンジオールの割合が多いほど、耐衝撃性の点から好ましい。
【0028】
ジオール(a1)は、耐衝撃性の点から、1,4-ブタンジオールと、エチレングリコールとの比率がモル比で、100:0~50:50が好ましく、100:0~70:30がより好ましく、100:0~80:20がさらにより好ましい。
【0029】
本発明の耐衝撃性改良剤に係る高分子化合物(E)で用いられるジカルボン酸(a2)であるコハク酸は、コハク酸の誘導体であってもよく、誘導体としては、例えば、コハク酸無水物、コハク酸エステル(例えば、コハク酸メチルエステル等のコハク酸アルキルエステル)、コハク酸アルカリ金属塩(例えば、コハク酸ナトリウム塩)、コハク酸ハライド(例えば、コハク酸クロライド)が挙げられる。また、コハク酸との混合物として使用されるジカルボン酸も、ジカルボン酸の誘導体であってもよい。誘導体としては、例えば、カルボン酸無水物、カルボン酸エステル(例えば、カルボン酸メチルエステル等のカルボン酸アルキルエステル)、カルボン酸アルカリ金属塩(例えば、カルボン酸ナトリウム塩)、カルボン酸ハライド(例えば、カルボン酸クロライド)等が挙げられる。コハク酸との混合物として使用されるジカルボン酸は2種以上でもよい。
【0030】
次に、化合物(b)と、好ましい高分子化合物(E)のポリエーテルのブロック(B)について説明する。ポリエーテルのブロック(B)は、炭素原子数2~4のアルキレンオキシ基の群から選ばれる少なくとも一つの基を一つ以上有する両末端に水酸基を有する化合物(b)から構成されるが、なかでも、下記一般式(1)で示されるエチレンオキシ基、または下記一般式(2)で示されるブチレンオキシ基の少なくとも一方を、一つ以上有する両末端に水酸基を有する化合物(b)から構成されることが、耐衝撃性の点から好ましい。
【0031】
【0032】
一般式(1)で示されるエチレンオキシ基を一つ以上有し、両末端に水酸基を有する化合物(b)としては、一般式(1)で示されるエチレンオキシ基を有するポリエーテルが好ましく、耐衝撃性の点から、ポリエチレングリコールがより好ましく、下記一般式(3)で表されるポリエチレングリコールが特に好ましい。
【0033】
【0034】
一般式(3)中、mは5~250の数を表す。mは、耐衝撃性の点から、20~200が好ましく、40~180がより好ましい。
【0035】
一般式(2)で示されるブチレンオキシ基を一つ以上有し、両末端に水酸基を有する化合物(b)としては、一般式(2)で示されるブチレンオキシ基を有するポリエーテルが好ましく、耐衝撃性の点から、ポリテトラメチレングリコールがより好ましく、下記一般式(4)で表されるポリテトラメチレングリコールが特に好ましい。
【0036】
【0037】
一般式(4)中、nは3~100の数を表す。nは、耐衝撃性の点から、6~80が好ましく、8~60がより好ましい。
【0038】
化合物(b)としては、エチレンオキサイドを付加反応させて得られるポリエチレングリコール、1,4-ブチレンオキサイドを付加反応させて得られるポリテトラメチレングリコール以外に、エチレンオキサイドまたは1,4-ブチレンオキサイドの少なくとも一方と、他のアルキレンオキサイド、例えば、プロピレンオキサイド、1,2-、2,3-、または1,3-ブチレンオキサイド等の1種以上とを付加反応させたポリエーテルが挙げられ、このポリエーテルはランダムでもブロックでもいずれでもよい。
【0039】
化合物(b)の例をさらに挙げると、活性水素原子含有化合物にエチレンオキサイド、または1,4-ブチレンオキサイドの少なくとも一方が付加した構造の化合物や、エチレンオキサイド、1,4-ブチレンオキサイドおよび他のアルキレンオキサイド、例えば、プロピレンオキサイド、1,2-、2,3-または1,3-ブチレンオキサイド等の1種以上が付加した構造の化合物が挙げられる。これらはランダム付加およびブロック付加のいずれでもよい。
【0040】
活性水素原子含有化合物としては、グリコール、2価フェノール、1級モノアミン、2級ジアミンおよびジカルボン酸等が挙げられる。
【0041】
グリコールとしては、炭素原子数2~20の脂肪族グリコール、炭素原子数5~12の脂環式グリコールおよび炭素原子数8~26の芳香族グリコール等が使用できる。
【0042】
脂肪族グリコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ヘキサンジオール、1,4-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、1,18-オクタデカンジオール、1,20-エイコサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールおよびチオジエチレングリコール等が挙げられる。
【0043】
脂環式グリコールとしては、例えば、1-ヒドロキシメチル-1-シクロブタノール、1,2-シクロヘキサンジオール、1,3-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1-メチル-3,4-シクロヘキサンジオール、2-ヒドロキシメチルシクロヘキサノール、4-ヒドロキシメチルシクロヘキサノール、1,4-シクロヘキサンジメタノールおよび1,1’-ジヒドロキシ-1,1’-ジシクロヘキシル等が挙げられる。
【0044】
芳香族グリコールとしては、例えば、ジヒドロキシメチルベンゼン、1,4-ビス(β-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、2-フェニル-1,3-プロパンジオール、2-フェニル-1,4-ブタンジオール、2-ベンジル-1,3-プロパンジオール、トリフェニルエチレングリコール、テトラフェニルエチレングリコールおよびベンゾピナコール等が挙げられる。
【0045】
2価フェノールとしては、炭素原子数6~30のフェノールが使用でき、例えば、カテコール、レゾルシノール、ハイドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ジヒドロキシジフェニルエーテル、ジヒドロキシジフェニルチオエーテル、ビナフトールおよびこれらのアルキル(炭素原子数1~10)またはハロゲン置換体等が挙げられる。
【0046】
1級モノアミンとしては、炭素原子数1~20の脂肪族1級モノアミンが挙げられ、例えば、メチルアミン、エチルアミン、n-プロピルアミン、イソプロピルアミン、n-ブチルアミン、s-ブチルアミン、イソブチルアミン、n-アミルアミン、イソアミルアミン、n-ヘキシルアミン、n-ヘプチルアミン、n-オクチルアミン、n-デシルアミン、n-オクタデシルアミンおよびn-イコシルアミン等が挙げられる。
【0047】
2級ジアミンとしては、炭素原子数4~18の脂肪族2級ジアミン、炭素原子数4~13の複素環式2級ジアミン、炭素原子数6~14の脂環式2級ジアミン、炭素原子数8~14の芳香族2級ジアミンおよび炭素原子数3~22の2級アルカノールジアミン等が使用できる。
【0048】
脂肪族2級ジアミンとしては、例えば、N,N’-ジメチルエチレンジアミン、N,N’-ジエチルエチレンジアミン、N,N’-ジブチルエチレンジアミン、N,N’-ジメチルプロピレンジアミン、N,N’-ジエチルプロピレンジアミン、N,N’-ジブチルプロピレンジアミン、N,N’-ジメチルテトラメチレンジアミン、N,N’-ジエチルテトラメチレンジアミン、N,N’-ジブチルテトラメチレンジアミン、N,N’-ジメチルヘキサメチレンジアミン、N,N’-ジエチルヘキサメチレンジアミン、N,N’-ジブチルヘキサメチレンジアミン、N,N’-ジメチルデカメチレンジアミン、N,N’-ジエチルデカメチレンジアミンおよびN,N’-ジブチルデカメチレンジアミン等が挙げられる。
【0049】
複素環式2級ジアミンとしては、例えば、ピペラジン、1-アミノピペリジン等が挙げられる。
【0050】
脂環式2級ジアミンとしては、例えば、N,N’-ジメチル-1,2-シクロブタンジアミン、N,N’-ジエチル-1,2-シクロブタンジアミン、N,N’-ジブチル-1,2-シクロブタンジアミン、N,N’-ジメチル-1,4-シクロヘキサンジアミン、N,N’-ジエチル-1,4-シクロヘキサンジアミン、N,N’-ジブチル-1,4-シクロヘキサンジアミン、N,N’-ジメチル-1,3-シクロヘキサンジアミン、N,N’-ジエチル-1,3-シクロヘキサンジアミン、N,N’-ジブチル-1,3-シクロヘキサンジアミン等が挙げられる。
【0051】
芳香族2級ジアミンとしては、例えば、N,N’-ジメチル-フェニレンジアミン、N,N’-ジメチル-キシリレンジアミン、N,N’-ジメチル-ジフェニルメタンジアミン、N,N’-ジメチル-ジフェニルエーテルジアミン、N,N’-ジメチル-ベンジジンおよびN,N’-ジメチル-1,4-ナフタレンジアミン等が挙げられる。
【0052】
2級アルカノールジアミンとしては、例えば、N-メチルジエタノールアミン、N-オクチルジエタノールアミン、N-ステアリルジエタノールアミンおよびN-メチルジプロパノールアミン等が挙げられる。
【0053】
ジカルボン酸としては、炭素原子数2~20のジカルボン酸が使用でき、例えば、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸および脂環式ジカルボン酸等が用いられる。
【0054】
脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、メチルコハク酸、ジメチルマロン酸、β-メチルグルタル酸、エチルコハク酸、イソプロピルマロン酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジ酸、ドデカンジ酸、トリデカンジ酸、テトラデカンジ酸、ヘキサデカンジ酸、オクタデカンジ酸およびイコサンジ酸が挙げられる。
【0055】
芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、フェニルマロン酸、ホモフタル酸、フェニルコハク酸、β-フェニルグルタル酸、α-フェニルアジピン酸、β-フェニルアジピン酸、ビフェニル-2,2’-ジカルボン酸、ビフェニル-4,4’-ジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、3-スルホイソフタル酸ナトリウムおよび3-スルホイソフタル酸カリウム等が挙げられる。
【0056】
脂環式ジカルボン酸としては、例えば、1,3-シクロペンタンジカルボン酸、1,2-シクロペンタンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジ酢酸、1,3-シクロヘキサンジ酢酸、1,2-シクロヘキサンジ酢酸およびジシクロヘキシル-4,4’-ジカルボン酸等が挙げられる。
【0057】
これらの活性水素原子含有化合物は、1種でも2種以上の混合物でも使用することができる。
【0058】
次に、高分子化合物(E)を構成するエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物(D)について説明する。本発明に用いるエポキシ化合物(D)としては、エポキシ基を2個以上有するものであれば特に制限されず、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ピロカテコール、フロログルクシノール等の単核多価フェノール化合物のポリグリシジルエーテル化合物;ジヒドロキシナフタレン、ビフェノール、メチレンビスフェノール(ビスフェノールF)、メチレンビス(オルトクレゾール)、エチリデンビスフェノール、イソプロピリデンビスフェノール(ビスフェノールA)、イソプロピリデンビス(オルトクレゾール)、テトラブロモビスフェノールA、1,3-ビス(4-ヒドロキシクミルベンゼン)、1,4-ビス(4-ヒドロキシクミルベンゼン)、1,1,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,2,2-テトラ(4-ヒドロキシフェニル)エタン、チオビスフェノール、スルホビスフェノール、オキシビスフェノール、フェノールノボラック、オルソクレゾールノボラック、エチルフェノールノボラック、ブチルフェノールノボラック、オクチルフェノールノボラック、レゾルシンノボラック、テルペンフェノール等の多核多価フェノール化合物のポリグリジルエーテル化合物;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリグリコール、チオジグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ビスフェノールA-エチレンオキシド付加物、ジシクロペンタジエンジメタノール等の多価アルコール類のポリグリシジルエーテル;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、コハク酸、グルタル酸、スベリン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸、トリマー酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸等の脂肪族、芳香族または脂環族多塩基酸のグリシジルエステル類およびグリシジルメタクリレートの単独重合体または共重合体;N,N-ジグリシジルアニリン、ビス(4-(N-メチル-N-グリシジルアミノ)フェニル)メタン、ジグリシジルオルトトルイジン等のグリシジルアミノ基を有するエポキシ化合物;ビニルシクロヘキセンジエポキシド、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル-6-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル)アジペート等の環状オレフィン化合物のエポキシ化物;エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化スチレン-ブタジエン共重合物等のエポキシ化共役ジエン重合体、トリグリシジルイソシアヌレート等の複素環化合物、エポキシ化大豆油等が挙げられる。また、これらのエポキシ化合物は、末端イソシアネートのプレポリマーによって内部架橋されたもの、あるいは多価の活性水素化合物(多価フェノール、ポリアミン、カルボニル基含有化合物、ポリリン酸エステル等)を用いて高分子量化したものであってもよい。かかるエポキシ化合物(D)は、2種以上を使用してもよい。
【0059】
エポキシ化合物(D)は、耐衝撃性の点から、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ジシクロペンタジエンジメタノールジグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテルが好ましい。
【0060】
エポキシ化合物(D)のエポキシ当量は、耐衝撃性の点から、70~2,000が好ましく、100~1,000がより好ましく、150~600が特により好ましい。
【0061】
本発明の耐衝撃性改良剤に係る高分子化合物(E)は、ジオール(a1)とジカルボン酸(a2)とが反応して得られるポリエステル(a)と、エチレンオキシ基を1つ以上有する両末端に水酸基を有する化合物(b)と、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物(D)と、が反応して得られるものであり、ポリエステル(a)から構成されるポリエステルのブロック(A)と、化合物(b)から構成されるポリエーテルのブロック(B)と、を有し、ポリエステル(a)の末端に有する水酸基またはカルボキシル基と、化合物(b)の末端に有する水酸基と、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物のエポキシ基、またはこのエポキシ基が反応することによって形成された水酸基と、の反応により形成された、エステル結合またはエーテル結合を介して結合してなる構造を有するものが、耐衝撃性の点から好ましい。
【0062】
さらに、本発明の耐衝撃性改良剤に係る高分子化合物(E)は、耐衝撃性の点から、ポリエステル(a)から構成されるポリエステルのブロック(A)および化合物(b)から構成されるポリエーテルのブロック(B)がエステル結合を介して繰り返し交互に結合してなる両末端にカルボキシル基を有するブロックポリマー(C)と、エポキシ化合物(D)とが、ブロックポリマー(C)のカルボキシル基と、エポキシ化合物(D)のエポキシ基と、により形成されたエステル結合を介して結合してなる構造を有するものが好ましく、さらにカルボキシル基との反応でエポキシ基が開環して形成された水酸基と、カルボキシル基との反応により形成されたエステル結合を介して結合する構造を有していることも好ましい。
【0063】
本発明の高分子化合物(E)に係るポリエステルのブロック(A)を構成するポリエステル(a)は、ジオール(a1)とジカルボン酸(a2)からなるものであればよく、耐衝撃性とその持続性、保存安定性、生産性(カッティング性)の点から、好ましくは、ジオール(a1)の水酸基を除いた残基と、ジカルボン酸(a2)のカルボキシル基を除いた残基とが、エステル結合を介して結合する構造を有する。
【0064】
また、ポリエステル(a)は、耐衝撃性の点から、両末端にカルボキシル基を有する構造のものが好ましい。さらに、ポリエステル(a)の重合度は、耐衝撃性の点から好適には2~50の範囲である。
【0065】
両末端にカルボキシル基を有するポリエステル(a)は、ジオール(a1)(1,4-ブタンジオールまたはエチレングリコールの少なくとも一方)と、ジカルボン酸(a2)(例えばコハク酸)とをエステル化反応させることにより得ることができる。
【0066】
ジカルボン酸(a2)(例えば、コハク酸)は、その誘導体(例えば、酸無水物、アルキルエステル等のエステル、アルカリ金属塩、酸ハライド等)であってもよく、誘導体を使用してポリエステル(a)を得た場合は、最終的に両末端を処理してカルボキシル基にすればよく、そのままの状態で、次の、両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(C)を得るための反応に進んでもよい。
【0067】
ジカルボン酸(a2)と、ジオール(a1)との反応比は、両末端がカルボキシル基となるように、ジカルボン酸(a2)を過剰に使用することが好ましく、モル比で、ジオール(a1)に対して1モル過剰に使用することが好ましい。エステル化反応には、エステル化反応を促進する触媒を使用してもよく、触媒としては、ジブチル錫オキサイド、テトラアルキルチタネート、酢酸ジルコニウム、酢酸亜鉛等、従来公知のものが使用できる。
【0068】
また、ジカルボン酸の代わりに、エステル、アルカリ金属塩、酸ハライド等の誘導体を使用した場合には、それらとジオールとの反応後に、両末端を処理してジカルボン酸としてもよく、そのままの状態で、次の、両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(C)を得るための反応に進んでもよい。
【0069】
ジオール(a1)と、ジカルボン酸(a2)からなり両末端にカルボキシル基を有する好適なポリエステル(a)は、化合物(b)と反応することでエステル結合を形成し、ブロックポリマー(C)の構造を形成するものが好ましく、両末端のカルボキシル基は、保護されていてもよく、修飾されていてもよく、また、前駆体の形であってもよい。また、反応時に生成物の酸化を抑えるために、反応系にフェノール系酸化防止剤等の酸化防止剤を添加してもよい。
【0070】
炭素原子数2~4のアルキレンオキシ基の群から選ばれる少なくとも一つの基を一つ以上有し両末端に水酸基を有する化合物(b)は、好ましくはポリエステル(a)と反応することでエステル結合またはエーテル結合、好ましくはエステル結合を形成しブロックポリマー(C)の構造を形成するものであり、両末端の水酸基は、保護されていてもよく、修飾されていてもよく、また、前駆体の形であってもよい。
【0071】
本発明の耐衝撃性改良剤に係る高分子化合物(E)の両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(C)は、ポリエステル(a)から構成されたブロック(A)と、化合物(b)から構成されたブロック(B)とを有し、これらのブロックが、カルボキシル基と水酸基とにより形成されたエステル結合を介して繰り返し交互に結合してなる構造を有する。かかるブロックポリマー(C)の一例を挙げると、例えば、下記一般式(5)で表される構造を有するものが挙げられる。
【0072】
【0073】
一般式(5)中、(A)は、上記両末端にカルボキシル基を有するポリエステル(a)から構成されたブロックを表し、(B)は、上記両末端に水酸基を有する化合物(b)から構成されたブロックを表し、tは繰り返し単位の繰り返しの数であり、耐衝撃性の点から好ましくは1~10の数を表す。tは、より好ましくは1~7の数であり、最も好ましくは1~5の数である。
【0074】
両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(C)は、両末端にカルボキシル基を有するポリエステル(a)と、両末端に水酸基を有する化合物(b)とを、重縮合反応させることによって得ることができるが、ポリエステル(a)と化合物(b)とが、カルボキシル基と水酸基とにより形成されたエステル結合を介して繰り返し交互に結合してなる構造を有するものと同等の構造を有するものであれば、必ずしも上記ポリエステル(a)と上記化合物(b)とから合成する必要はない。
【0075】
ポリエステル(a)と化合物(b)との反応比は、化合物(b)がXモルに対して、ポリエステル(a)がX+1モルとなるように調整すれば、両末端にカルボキシル基を有するブロックポリマー(C)を好ましく得ることができる。
【0076】
反応に際しては、ポリエステル(a)の合成反応の完結後に、ポリエステル(a)を単離せずに、化合物(b)を反応系に加えて、そのまま反応させてもよい。
【0077】
重縮合反応には、エステル化反応を促進する触媒を使用してもよく、触媒としては、ジブチル錫オキサイド、テトラアルキルチタネート、酢酸ジルコニウム、酢酸亜鉛等、従来公知のものが使用できる。また、反応時に生成物の酸化を抑えるために、反応系にフェノール系酸化防止剤等の酸化防止剤を添加してもよい。
【0078】
本発明の耐衝撃性改良剤に係る高分子化合物(E)は、耐衝撃性の点から、好ましくは、両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(C)と、2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物(D)とが、エステル結合を介して結合してなる構造を有する。エステル結合は、ブロックポリマー(C)の末端のカルボキシル基とエポキシ化合物(D)のエポキシ基との反応により形成されたエステル結合、さらにこの反応(カルボキシル基とエポキシ基との反応)によって形成された水酸基と、カルボキシル基との反応により形成されたエステル結合のいずれでもよく、両方のエステル結合が存在することが、耐衝撃性の点から好ましい。
【0079】
また、かかる高分子化合物(E)は、さらに、ポリエステル(a)のカルボキシル基とエポキシ化合物(D)のエポキシ基とにより形成されたエステル結合を含んでいてもよい。
【0080】
さらに、かかる高分子化合物(E)は、ポリエステル(a)のカルボキシル基と、エポキシ化合物のエポキシ基が反応して形成された水酸基とにより形成されたエステル結合を含んでいてもよい。
【0081】
さらにまた、かかる高分子化合物(E)は、さらに、ポリエステル(a)の水酸基または化合物(b)の水酸基と、エポキシ化合物(D)のエポキシ基とにより形成されたエーテル結合を含んでいてもよい。
【0082】
好ましい高分子化合物(E)を得るためには、ブロックポリマー(C)とエポキシ化合物(D)を反応させればよい。すなわち、ブロックポリマー(C)のカルボキシル基を、エポキシ化合物(D)のエポキシ基と反応させればよい。さらに好ましくは、反応したエポキシ基から形成された水酸基と、カルボキシル基を反応させればよい。エポキシ化合物(D)のエポキシ基の数は、反応させるブロックポリマー(C)のカルボキシル基の数の、0.5~5当量が好ましく、0.5~1.5当量がより好ましい。また、上記反応は、各種溶媒中で行ってもよく、溶融状態で行ってもよい。
【0083】
反応させるエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物(D)は、反応させるブロックポリマー(C)のカルボキシル基の数の、0.1~2.0当量が好ましく、0.2~1.5当量がより好ましい。
【0084】
反応に際しては、ブロックポリマー(C)の合成反応の完結後に、ブロックポリマー(C)を単離せずに、反応系にエポキシ化合物(D)を加えて、そのまま反応させてもよい。その場合、ブロックポリマー(C)を合成するときに過剰に使用した未反応のポリエステル(a)のカルボキシル基と、エポキシ化合物(D)の一部のエポキシ基とが反応して、エステル結合を形成してもよい。
【0085】
本発明の耐衝撃性改良剤に係る好ましい高分子化合物(E)は、両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(C)とエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物(D)とが、それぞれのカルボキシル基とエポキシ基とにより形成されたエステル結合を介して結合した構造を有するものと同等の構造を有するものであれば、必ずしも上記ブロックポリマー(C)と上記エポキシ化合物(D)とから合成する必要はない。ここでいうカルボキシル基とエポキシ基とにより形成されたエステル結合には、カルボキシル基と、カルボキシル基と反応することによってエポキシ基から形成された水酸基とにより形成されたエステル結合も含まれる。
【0086】
本発明の耐衝撃性改良剤において、高分子化合物(E)における、両末端に水酸基を有する化合物(b)から構成されるブロック(B)を構成する化合物(b)の数平均分子量は、水酸基価の測定値から算出し、耐衝撃性の点から、好ましくは400~10,000であり、より好ましくは1,000~8,000であり、さらに好ましくは2,000~8,000である。水酸基価の測定方法と水酸基価からの数平均分子量の算出方法を以下に記す。
【0087】
<水酸基価からの数平均分子量の算出方法>
下記水酸基価測定方法で水酸基価を測定し、下記式で数平均分子量(以下「Mn」とも称する)を決定した。
数平均分子量=(56110×2)/水酸基価
<水酸基価測定法>
・試薬A(アセチル化剤)
(1)トリエチルホスフェート 1560mL
(2)無水酢酸 193mL
(3)過塩素酸(60%) 16g
上記試薬を(1)→(2)→(3)の順に混合する。
・試薬B
ピリジンと純水を体積比率で3:1に混合する。
・試薬C
500mLのイソプロピルアルコールにフェノールフタレイン液を2~3滴加え、1N-KOH水溶液で中性にする。
【0088】
まず、200mL三角フラスコにサンプルを2g量りとり、トリエチルホスフェート10mLを加え、加熱溶解させる。試薬A15mLを加え、共栓をして激しく振盪する。試薬B20mLを加え、共栓をして激しく振盪する。試薬C50mLを加える。1N-KOH水溶液で滴定し、下式で計算する。
水酸基価[mgKOH/g]=56.11×f×(T-B)/S
f:1N-KOH水溶液のfactor
B:空試験滴定量[mL]
T:本試験滴定量[mL]
S:サンプル量[g]
【0089】
また、本発明の耐衝撃性改良剤において、高分子化合物(E)における、ポリエステル(a)から構成されるブロック(A)を構成するポリエステル(a)の数平均分子量は、ポリスチレン換算で、耐衝撃性の点から、好ましくは1,000~10,000であり、より好ましくは1,500~8,000であり、さらに好ましくは2,500~7,500である。数平均分子量が1,000未満だと保存安定性が劣るおそれがあり、10,000を超えると高分子化合物(E)を得るための反応に時間がかかり経済性に劣るおそれや、得られる高分子化合物が長時間の反応により着色するおそれがある。
【0090】
ポリスチレン換算による数平均分子量の測定方法は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法が好ましく、その測定方法を以下に示す。
【0091】
<ポリスチレン換算による数平均分子量の測定方法>
数平均分子量(以下、「Mn」とも称する)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によって測定した。Mnの測定条件は以下の通りである。
装置 :日本分光(株)製GPC装置
溶媒 :クロロホルム
基準物質 :ポリスチレン
検出器 :示差屈折計(RI検出器)
カラム固定相:昭和電工(株)製Shodex LF-804
カラム温度 :40℃
サンプル濃度:1mg/1mL
流量 :0.8mL/min.
注入量 :100μL
【0092】
さらに、高分子化合物(E)における、両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(C)の数平均分子量は、ポリスチレン換算で、耐衝撃性の点から、好ましくは5,000~50,000であり、より好ましくは10,000~,45,000であり、さらに好ましくは15,000~40,000である。数平均分子量が50,000を超えると高分子化合物(E)を得るための反応に時間がかかり経済性に劣るおそれや、得られる高分子化合物が長時間の反応により着色するおそれがある。ポリスチレン換算による数平均分子量の測定方法は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法が好ましく、その測定方法は上述のとおりである。
【0093】
また、本発明の耐衝撃性改良剤に係る高分子化合物(E)は、ジオール(a1)とジカルボン酸(a2)からポリエステル(a)を得たのち、ポリエステル(a)を単離せずに、化合物(b)および/またはエポキシ化合物(D)と反応させてもよい。
【0094】
本発明の耐衝撃性改良剤に係る高分子化合物(E)は、耐衝撃性の点から、結晶化温度が20℃以上70℃以下の範囲内であることが好ましく、30℃以上70℃以下がより好ましく、40℃以上70℃以下がさらにより好ましく、50℃以上70℃以下がさらにより好ましく、55℃以上70℃以下がさらにより好ましく、60℃以上70℃以下がさらにより好ましい。本発明の耐衝撃性改良剤においては、結晶化温度は、以下の結晶化温度測定方法により測定される。
【0095】
<結晶化温度測定方法>
結晶化温度は示差走査熱量測定器(DSC)を用いて測定する。試料を、アルミニウムパンに3±1mg量り取り、室温(25℃)から10℃/分の速度で130℃まで昇温し、5分間保持後、10℃/分の速度で0℃まで冷却して得られたチャートにおいて、吸熱のピークトップとなる温度を結晶化温度とする。
【0096】
本発明の耐衝撃性改良剤に係る高分子化合物(E)は、ペレット状で使用することがハンドリング性から好ましい。ペレット状にするには、重合反応後に、ポリマーを押出機から押し出し、カッティングしてペレット状とすればよい。カッティングにはペレタイザー等の機械を使用してもよい。
【0097】
次に、本発明の耐衝撃性改良剤組成物について説明する。
本発明の耐衝撃性改良剤組成物は、本発明の耐衝撃性改良剤に対し、さらに、アニオン性界面活性剤の1種以上が配合されてなるものである。
【0098】
アニオン性界面活性剤の、アニオン形成性基としては、カルボン酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩およびリン酸エステル塩などが挙げられる。塩を構成するカチオンとしては、塩を形成するものであれば特に制限はなく、通常、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、ルビジウム)イオン、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウムなど)イオン、アンモニウムイオン等が挙げられる。
【0099】
これらアニオン性界面活性剤の例としては、カルボン酸塩型アニオン性界面活性剤、硫酸エステル塩型アニオン性界面活性剤、スルホン酸塩型アニオン性界面活性剤、リン酸エステル塩型アニオン性界面活性剤等が挙げられる。
【0100】
カルボン酸塩型アニオン性界面活性剤を構成する脂肪酸としては、炭素数8~20の高級脂肪酸等が挙げられ、例えば、オクタン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸およびエイコサン酸などが挙げられる。カルボン酸塩型アニオン性界面活性剤の具体例としてはオクタン酸リチウム、オクタン酸ナトリウム、オクタン酸カリウム、オクタン酸マグネシウム、オクタン酸カルシウム、ラウリン酸リチウム、ラウリン酸カリウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸マグネシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、オレイン酸リチウム、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、オレイン酸マグネシウム、オレイン酸カルシウム、エイコサン酸リチウム、エイコサン酸ナトリウム、エイコサン酸マグネシウムおよびエイコサン酸カルシウム等が挙げられる。
【0101】
硫酸エステル塩型アニオン性界面活性剤としては、炭素数8~20の高級アルコールの硫酸エステル塩および炭素数8~20の高級アルキルエーテル硫酸エステル塩等が使用できる。高級アルコールの硫酸エステル塩としては、例えば、オクチル硫酸エステルリチウム、オクチル硫酸エステルナトリウム、オクチル硫酸エステルカリウム、オクチル硫酸エステルマグネシウム、オクチル硫酸エステルカルシウム、ラウリル硫酸エステルリチウム、ラウリル硫酸エステルナトリウム、ラウリル硫酸エステルカリウム、ラウリル硫酸エステルマグネシウム、ラウリル硫酸エステルカルシウム、セチル硫酸エステルリチウム、セチル硫酸エステルナトリウム、セチル硫酸エステルカリウム、セチル硫酸エステルマグネシウム、セチル硫酸エステルカルシウム、ステアリル硫酸エステルリチウム、ステアリル硫酸エステルナトリウム、ステアリル硫酸エステルカリウム、ステアリル硫酸エステルマグネシウム、ステアリル硫酸エステルカルシウム、エイコシル硫酸エステルリチウム、エイコシル硫酸エステルナトリウム、エイコシル硫酸エステルカリウム、エイコシル硫酸エステルマグネシウムおよびエイコシル硫酸エステルカルシウム等が挙げられる。
【0102】
高級アルキルエーテル硫酸エステル塩としては、高級アルコールのアルキレンオキシド(好ましくはエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシド)付加物(付加モル数1~20モル、好ましくは1~10モル)の硫酸エステル塩が使用でき、例えばオクチルエーテル硫酸エステルリチウム、オクチルエーテル硫酸エステルナトリウム、オクチルエーテル硫酸エステルカリウム、オクチルエーテル硫酸エステルマグネシウム、オクチルエーテル硫酸エステルカルシウム、ラウリルエーテル硫酸エステルリチウム、ラウリルエーテル硫酸エステルナトリウム、ラウリルエーテル硫酸エステルカリウム、ラウリルエーテル硫酸エステルマグネシウム、ラウリルエーテル硫酸エステルカルシウム、ドデシルエーテル硫酸リチウム、ドデシルエーテル硫酸ナトリウム、ドデシルエーテル硫酸カリウム、ドデシルエーテル硫酸マグネシウム、ドデシルエーテル硫酸カルシウム、ステアリルエーテル硫酸リチウム、ステアリルエーテル硫酸ナトリウム、ステアリルエーテル硫酸カリウム、ステアリルエーテル硫酸マグネシウム、ステアリルエーテル硫酸カルシウム、エイコシルエーテル硫酸エステルリチウム、エイコシルエーテル硫酸エステルナトリウム、エイコシルエーテル硫酸エステルカリウム、エイコシルエーテル硫酸エステルマグネシウムおよびエイコシルエーテル硫酸エステルカルシウム等が挙げられる。
【0103】
スルホン酸塩型アニオン性界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、スルホコハク酸モノおよびジアルキルエステル塩、並びにパラフィンスルホン酸塩などが使用できる。
【0104】
アルキルベンゼンスルホン酸塩としては、例えば、p-トルエンスルホン酸リチウム、p-トルエンスルホン酸ナトリウム、p-トルエンスルホン酸カリウム、オクチルベンゼンスルホン酸リチウム、オクチルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクチルベンゼンスルホン酸カリウム、オクチルベンゼンスルホン酸マグネシウム、オクチルベンゼンスルホン酸カルシウム、ドデシルベンゼンスルホン酸リチウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸カリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸マグネシウム、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム、ラウリルベンゼンスルホン酸リチウム、ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルベンゼンスルホン酸カリウム、ラウリルベンゼンスルホン酸マグネシウム、ラウリルベンゼンスルホン酸カルシウム、オクタデシルベンゼンスルホン酸リチウム、オクタデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクタデシルベンゼンスルホン酸カリウム、オクタデシルベンゼンスルホン酸マグネシウム、オクタデシルベンゼンスルホン酸カルシウム、エイコシルベンゼンスルホン酸リチウム、エイコシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、エイコシルベンゼンスルホン酸カリウム、エイコシルベンゼンスルホン酸マグネシウムおよびエイコシルベンゼンスルホン酸カルシウム等が挙げられる。
【0105】
アルキルスルホン酸塩としては、オクチルスルホン酸リチウム、オクチルスルホン酸ナトリウム、オクチルスルホン酸カリウム、オクチルスルホン酸マグネシウム、オクチルスルホン酸カルシウム、ラウリルスルホン酸リチウム、ラウリルスルホン酸ナトリウム、ラウリルスルホン酸カリウム、ラウリルスルホン酸マグネシウム、ラウリルスルホン酸カルシウム、エイコシルスルホン酸リチウム、エイコシルスルホン酸ナトリウム、エイコシルスルホン酸カリウム、エイコシルスルホン酸マグネシウムおよびエイコシルスルホン酸カルシウムなどが挙げられる。スルホコハク酸モノおよびジアルキルエステル塩としては、スルホコハク酸モノ-およびジ-2-エチルヘキシルエステルリチウム、スルホコハク酸モノ-およびジ-2-エチルヘキシルエステルモノ-およびジ-ナトリウム、スルホコハク酸ジ-2-エチルヘキシルエステルカリウム、スルホコハク酸ジ-2-エチルヘキシルエステルマグネシウム、並びにスルホコハク酸ジ-2-エチルヘキシルエステルカルシウムなどが挙げられる。パラフィンスルホン酸塩としては、パラフィンスルホン酸リチウム、パラフィンスルホン酸ナトリウム、パラフィンスルホン酸カリウム、パラフィンスルホン酸マグネシウムおよびパラフィンスルホン酸カルシウム等が挙げられる。
【0106】
リン酸エステル塩型アニオン性界面活性剤としては、炭素数8~20の高級アルコールリン酸エステル塩等が使用でき、例えば、リン酸モノエステルとしては、オクチルリン酸モノエステルジリチウム、オクチルリン酸モノエステルジナトリウム、オクチルリン酸モノエステルジカリウム、オクチルリン酸モノエステルマグネシウム、オクチルリン酸モノエステルカルシウム、ラウリルリン酸モノエステルジリチウム、ラウリルリン酸モノエステルジナトリウム、ラウリルリン酸モノエステルジカリウム、ラウリルリン酸モノエステルマグネシウム、ラウリルリン酸モノエステルカルシウム、エイコシルリン酸モノエステルジリチウム、エイコシルリン酸モノエステルジナトリウム、エイコシルリン酸モノエステルジカリウム、エイコシルリン酸モノエステルマグネシウムおよびエイコシルリン酸モノエステルカルシウムなどが挙げられ、リン酸ジエステルとしては、オクチルリン酸ジエステルリチウム、オクチルリン酸ジエステルナトリウム、オクチルリン酸ジエステルカリウム、ラウリルリン酸ジエステルリチウム、ラウリルリン酸ジエステルナトリウム、ラウリルリン酸ジエステルカリウム、ステアリルリン酸ジエステルリチウム、ステアリルリン酸ジエステルナトリウム、ステアリルリン酸ジエステルカリウム、エイコシルリン酸ジエステルリチウム、エイコシルリン酸ジエステルナトリウムおよびエイコシルリン酸ジエステルカリウム等が挙げられる。
【0107】
これらアニオン性界面活性剤は、1種または2種以上の混合物でもよい。
【0108】
アニオン性界面活性剤は、耐衝撃性の点から、アルカリ金属の塩が好ましく、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩がより好ましく、ナトリウム塩がさらにより好ましいい。
【0109】
これらアニオン性界面活性剤の中で、耐衝撃性の点から、好ましいのは、p-トルエンスルホン酸リチウム、p-トルエンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸リチウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等であり、最も好ましいのはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムである。
【0110】
アニオン性界面活性剤は、本発明の耐衝撃性改良剤に配合してもよいし、本発明の耐衝撃性改良剤とともに合成樹脂に配合して使用してもよい。アニオン性界面活性剤の配合量は、耐衝撃性の点から、本発明の耐衝撃性改良剤100質量部に対して、0.01~20質量部が好ましく、0.1~15質量部がより好ましく、3.0~12質量部が最も好ましい。
【0111】
本発明の耐衝撃性改良剤組成物を得るためには、本発明の耐衝撃性改良剤と、アニオン性界面活性剤の1種以上を、さらに必要に応じて他の任意成分を混合すればよく、混合には各種混合機を用いることができる。混合時には加熱してもよい。使用できる混合機の例を挙げると、タンブラーミキサー、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、V型混合機、W型混合機、スーパーミキサー、ナウターミキサー等が挙げられる。また、高分子化合物(E)の合成反応中に、反応系にアニオン性界面活性剤の1種以上を添加したものでもよい。
【0112】
また、本発明の耐衝撃性改良剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、アニオン性界面活性剤以外の界面活性剤を配合して、耐衝撃性改良剤組成物として使用してもよい。アニオン性界面活性剤以外の界面活性剤としては、非イオン性、カチオン性または両性の界面活性剤を使用することができる。非イオン性界面活性剤としては、高級アルコールエチレンオキシド付加物、脂肪酸エチレンオキシド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキシド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキシド付加物等のポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤;ポリエチレンオキシド、グリセリンの脂肪酸エステル、ペンタエリスリットの脂肪酸エステル、ソルビット若しくはソルビタンの脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、アルカノールアミンの脂肪族アミド等の多価アルコール型非イオン界面活性剤等が挙げられ、カチオン性界面活性剤としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩等の第4級アンモニウム塩等が挙げられる。両性界面活性剤としては、高級アルキルアミノプロピオン酸塩等のアミノ酸型両性界面活性剤、高級アルキルジメチルベタイン、高級アルキルジヒドロキシエチルベタイン等のベタイン型両性界面活性剤等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0113】
さらにまた、本発明の耐衝撃性改良剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、相溶化剤を配合して、耐衝撃性改良剤組成物としてもよい。相溶化剤を配合することで、本発明の耐衝撃性改良剤と他成分や合成樹脂との相溶性を向上させることができる。かかる相溶化剤としては、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、ヒドロキシル基およびポリオキシアルキレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基(極性基)を有する変性ビニル重合体、例えば、特開平3-258850号公報に記載の重合体や、特開平6-345927号公報に記載のスルホニル基を有する変性ビニル重合体、あるいはポリオレフィン部分と芳香族ビニル重合体部分とを有するブロック重合体等が挙げられる。
【0114】
さらに好ましい相溶化剤としては、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水イタコン酸変性ポリエチレン、無水イタコン酸変性ポリプロピレン等の酸無水物変性ポリオレフィンが挙げられる。
【0115】
相溶化剤は、本発明の耐衝撃性改良剤に配合してもよく、本発明の耐衝撃性改良剤とともに合成樹脂に配合して使用してもよい。相溶化剤の配合量は、本発明の耐衝撃性改良剤100質量部に対して、0.1~15質量部が好ましく、1~10質量部がより好ましい。本発明の耐衝撃性改良剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、本発明の耐衝撃性改良剤と先に挙げた成分以外にも、任意の成分として他の成分を配合してもよい。これら他の成分は、耐衝撃性改良剤組成物に直接配合してもよいし、本発明の耐衝撃性改良剤や本発明の耐衝撃性改良剤組成物を熱可塑性樹脂等の合成樹脂に配合して、耐衝撃性を有する樹脂組成物として使用する場合に、合成樹脂に配合してもよい。
【0116】
本発明の耐衝撃性改良剤および耐衝撃性改良剤組成物は、合成樹脂、特に好ましくは、熱可塑性樹脂に配合して、耐衝撃性を有する合成樹脂組成物として使用できる。
【0117】
次に、本発明の合成樹脂組成物について説明する。
本発明の合成樹脂組成物は、合成樹脂に対し、本発明の耐衝撃性改良剤、または本発明の耐衝撃性改良剤組成物が配合されてなるものである。合成樹脂としては、熱可塑性樹脂が好ましい。
【0118】
熱可塑性樹脂の例としては、ポリプロピレン、インパクトコポリマーポリプロピレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、架橋ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリブテン-1、ポリ-3-メチルペンテン、ポリ-4-メチルペンテン等のα-オレフィン重合体またはエチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-エチルアクリレート共重合体、エチレン-プロピレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂およびこれらの共重合体;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、塩化ゴム、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-エチレン共重合体、塩化ビニル-塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル-塩化ビニリデン-酢酸ビニル三元共重合体、塩化ビニル-アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル-マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル-シクロヘキシルマレイミド共重合体等の含ハロゲン樹脂;石油樹脂、クマロン樹脂、ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、スチレンおよび/またはα-メチルスチレンと他の単量体(例えば、無水マレイン酸、フェニルマレイミド、メタクリル酸メチル、ブタジエン、アクリロニトリル等)との共重合体(例えば、AS樹脂、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体)樹脂、ACS樹脂、SBS樹脂、MBS樹脂、耐熱ABS樹脂等);ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート等のポリアルキレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリアルキレンナフタレート等の芳香族ポリエステルおよびポリテトラメチレンテレフタレート等の直鎖ポリエステル;ポリヒドロキシブチレート、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリ乳酸、ポリリンゴ酸、ポリグリコール酸、ポリジオキサン、ポリ(2-オキセタノン)等の分解性脂肪族ポリエステル;ポリフェニレンオキサイド、ポリカプロラクタムおよびポリヘキサメチレンアジパミド等のポリアミド、ポリカーボネート、ポリカーボネート/ABS樹脂、ポリカーボネート/ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート/ABS樹脂、分岐ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド、ポリウレタン、繊維素系樹脂、ポリイミド樹脂、ポリサルフォン、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー等の熱可塑性樹脂およびこれらのブレンド物を挙げることができる。
【0119】
また、熱可塑性樹脂は、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、アクリロニトリル-ブタジエン共重合ゴム、スチレン-ブタジエン共重合ゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ニトリル系エラストマー、ナイロン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー等のエラストマーであってもよい。本発明の樹脂組成物において、これらの熱可塑性樹脂は、単独で使用してもよく、2種以上を併せて使用してもよい。また、熱可塑性樹脂はアロイ化されていてもよい。
【0120】
これらの熱可塑性樹脂は、分子量、重合度、密度、軟化点、溶媒への不溶分の割合、立体規則性の程度、触媒残渣の有無、原料となるモノマーの種類や配合比率、重合触媒の種類(例えば、チーグラー触媒、メタロセン触媒等)等に関わらず使用することができる。これらの熱可塑性樹脂の中でも、耐衝撃性の点から、ポリカーボネート樹脂およびアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂からなる群から選ばれる1種以上であることが好ましく、ポリカーボネート樹脂およびABS樹脂(ポリカーボネート/ABS樹脂)がより好ましい。
【0121】
本発明の合成樹脂組成物中の、合成樹脂と、本発明の耐衝撃性改良剤、または本発明の耐衝撃性改良剤組成物との質量比は、99/1~40/60の範囲が好ましい。
【0122】
本発明の耐衝撃性改良剤の合成樹脂への配合方法は特に限定されず、通常使用されている任意の方法を用いることができる。例えば、ロール混練り、バンパー混練り、押し出し機、ニーダー等により混合、練り込みして配合すればよい。また、本発明の耐衝撃性改良剤は、そのまま合成樹脂に添加してもよいが、必要に応じて、担体に含浸させてから添加してもよい。担体に含浸させるには、そのまま加熱混合してもよいし、必要に応じて、有機溶媒で希釈してから担体に含浸させ、その後に溶媒を除去する方法でもよい。こうした担体としては、合成樹脂のフィラーや充填剤として知られているもの、または、常温で固体の難燃剤や光安定剤が使用でき、例えば、ケイ酸カルシウム粉末、シリカ粉末、タルク粉末、アルミナ粉末、酸化チタン粉末、または、これら担体の表面を化学修飾したもの、下記に挙げる難燃剤や酸化防止剤の中で固体のもの等が挙げられる。これらの担体の中でも担体の表面を化学修飾したものが好ましく、シリカ粉末の表面を化学修飾したものがより好ましい。これらの担体は、平均粒径が0.1~100μmのものが好ましく、0.5~50μmのものがより好ましい。
【0123】
本発明の耐衝撃性改良剤の合成樹脂への配合方法としては、ブロックポリマー(C)と、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物(D)とを合成樹脂と同時に練り込みながら高分子化合物(E)を合成して配合してもよく、そのときにさらにアニオン性界面活性剤の1種以上を同時に練り込んでもよく、また、射出成形等の成形時に本発明の耐衝撃性改良剤と合成樹脂とを混合して成形品を得る方法で配合してもよく、そのときにさらにアニオン性界面活性剤の1種以上を配合してもよく、さらに、あらかじめ本発明の耐衝撃性改良剤と合成樹脂とのマスターバッチを製造しておき、このマスターバッチを配合してもよく、そのときにアニオン性界面活性剤の1種以上を配合してもよい。
【0124】
本発明の合成樹脂組成物には、必要に応じて、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤等の各種添加剤をさらに添加することができ、これにより、本発明の合成樹脂組成物を安定化させることができる。
【0125】
これら酸化防止剤等の各種添加剤は、合成樹脂に配合するまえに、本発明の耐衝撃性改良剤組成物中に配合しておいてもよい。さらには高分子化合物(E)の製造時に配合しておいてもよい。特に酸化防止剤は、高分子化合物(E)の製造時に配合することで、製造中の高分子化合物(E)の酸化劣化も防ぐことができるので好ましい。
【0126】
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6-ジ第三ブチル-p-クレゾール、2,6-ジフェニル-4-オクタデシロキシフェノール、ジステアリル(3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ホスホネート、1,6-ヘキサメチレンビス〔(3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド〕、4,4’-チオビス(6-第三ブチル-m-クレゾール)、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-第三ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-第三ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデンビス(6-第三ブチル-m-クレゾール)、2,2’-エチリデンビス(4,6―ジ第三ブチルフェノール)、2,2’-エチリデンビス(4-第二ブチル-6-第三ブチルフェノール)、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-第三ブチルフェニル)ブタン、1,3,5-トリス(2,6-ジメチル-3-ヒドロキシ-4-第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5-トリス(3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5-トリス(3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2,4,6-トリメチルベンゼン、2-第三ブチル-4-メチル-6-(2-アクリロイルオキシ-3-第三ブチル-5-メチルベンジル)フェノール、ステアリル(3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス〔3-(3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチル〕メタン、チオジエチレングリコールビス〔(3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6-ヘキサメチレンビス〔(3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ビス〔3,3-ビス(4-ヒドロキシ-3-第三ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、ビス〔2-第三ブチル-4-メチル-6-(2-ヒドロキシ-3-第三ブチル-5-メチルベンジル)フェニル〕テレフタレート、1,3,5-トリス〔(3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル〕イソシアヌレート、3,9-ビス〔1,1-ジメチル-2-{(3-第三ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル〕-2,4,8,10-テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、トリエチレングリコールビス〔(3-第三ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート〕等が挙げられる。これらのフェノール系酸化防止剤の添加量は、合成樹脂100質量部に対して、0.001~10質量部であることが好ましく、0.05~5質量部であることがより好ましい。
【0127】
リン系酸化防止剤としては、例えば、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス〔2-第三ブチル-4-(3-第三ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニルチオ)-5-メチルフェニル〕ホスファイト、トリデシルホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、ジ(デシル)モノフェニルホスファイト、ジ(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ第三ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6-トリ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(トリデシル)イソプロピリデンジフェノールジホスファイト、テトラ(トリデシル)-4,4’-n-ブチリデンビス(2-第三ブチル-5-メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)-1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-第三ブチルフェニル)ブタントリホスファイト、テトラキス(2,4-ジ第三ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、9,10-ジハイドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナンスレン-10-オキサイド、2,2’-メチレンビス(4,6-第三ブチルフェニル)-2-エチルヘキシルホスファイト、2,2’-メチレンビス(4,6-第三ブチルフェニル)-オクタデシルホスファイト、2,2’-エチリデンビス(4,6-ジ第三ブチルフェニル)フルオロホスファイト、トリス(2-〔(2,4,8,10-テトラキス第三ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン-6-イル)オキシ〕エチル)アミン、2-エチル-2-ブチルプロピレングリコールと2,4,6-トリ第三ブチルフェノールのホスファイト等が挙げられる。これらのリン系酸化防止剤の添加量は、合成樹脂100質量部に対して0.001~10質量部であることが好ましく、0.05~5質量部であることがより好ましい。
【0128】
チオエーテル系酸化防止剤としては、例えば、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジミリスチル、チオジプロピオン酸ジステアリル等のジアルキルチオジプロピオネート類、および、ペンタエリスリトールテトラ(β-アルキルチオプロピオン酸)エステル類が挙げられる。これらのチオエーテル系酸化防止剤の添加量は、合成樹脂100質量部に対して、0.001~10質量部であることが好ましく、0.05~5質量部であることがより好ましい。
【0129】
紫外線吸収剤としては、例えば、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-オクトキシベンゾフェノン、5,5’-メチレンビス(2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン)等の2-ヒドロキシベンゾフェノン類;2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ第三ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾ-ル、2-(2’-ヒドロキシ-3’-第三ブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾ-ル、2-(2’-ヒドロキシ-5’-第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ-ル、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾ-ル、2,2’-メチレンビス(4-第三オクチル-6-(ベンゾトリアゾリル)フェノール)、2-(2’-ヒドロキシ-3’-第三ブチル-5’-カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾール等の2-(2’-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4-ジ第三ブチルフェニル-3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、2,4-ジ第三アミルフェニル-3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル-3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート類;2-エチル-2’-エトキシオキザニリド、2-エトキシ-4’-ドデシルオキザニリド等の置換オキザニリド類;エチル-α-シアノ-β、β-ジフェニルアクリレート、メチル-2-シアノ-3-メチル-3-(p-メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート類;2-(2-ヒドロキシ-4-オクトキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジ第三ブチルフェニル)-s-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)-4,6-ジフェニル-s-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-プロポキシ-5-メチルフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジ第三ブチルフェニル)-s-トリアジン等のトリアリールトリアジン類が挙げられる。これらの紫外線吸収剤の添加量は、合成樹脂100質量部に対して、0.001~30質量部であることが好ましく、0.05~10質量部であることがより好ましい。
【0130】
ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルステアレート、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1-オクトキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)・ビス(トリデシル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)・ビス(トリデシル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-2-ブチル-2-(3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシベンジル)マロネート、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルメタクリレート、ポリ〔{6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル}{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}〕、1,2,3,4-ブタンカルボン酸/2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオール/3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロパナール/1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニルエステル重縮合物、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)=デカンジオアート/メチル=1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル=セバカート混合物、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルメタクリレート、1-(2-ヒドロキシエチル)-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジノール/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルアミノ)ヘキサン/ジブロモエタン重縮合物、1,6-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4-ジクロロ-6-モルホリノ-s-トリアジン重縮合物、1,6-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4-ジクロロ-6-第三オクチルアミノ-s-トリアジン重縮合物、1,5,8,12-テトラキス[2,4-ビス(N-ブチル-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)アミノ)-s-トリアジン-6-イル]-1,5,8,12-テトラアザドデカン、1,5,8,12-テトラキス[2,4-ビス(N-ブチル-N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)アミノ)-s-トリアジン-6-イル]-1,5,8,12-テトラアザドデカン、1,6,11-トリス[2,4-ビス(N-ブチル-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)アミノ)-s-トリアジン-6-イルアミノ]ウンデカン、1,6,11-トリス[2,4-ビス(N-ブチル-N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)アミノ)-s-トリアジン-6-イルアミノ]ウンデカン、3,9-ビス〔1,1-ジメチル-2-{トリス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルオキシカルボニル)ブチルカルボニルオキシ}エチル〕-2,4,8,10-テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、3,9-ビス〔1,1-ジメチル-2-{トリス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルオキシカルボニル)ブチルカルボニルオキシ}エチル〕-2,4,8,10-テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、ビス(1-ウンデシルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)カーボネート、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルヘキサデカノエート、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルオクタデカノエート等のヒンダードアミン化合物が挙げられる。これらのヒンダードアミン系光安定剤の添加量は、合成樹脂100質量部に対して0.001~30質量部であることが好ましく、0.05~10質量部であることがより好ましい。
【0131】
また、合成樹脂としてポリオレフィン系樹脂を使用する場合は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じてさらに、ポリオレフィン樹脂中の残渣触媒を中和するために、公知の中和剤を添加することが好ましい。中和剤としては、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム等の脂肪酸金属塩、または、エチレンビス(ステアロアミド)、エチレンビス(12-ヒドロキシステアロアミド)、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド化合物が挙げられ、これら中和剤は混合して用いてもよい。
【0132】
本発明の合成樹脂組成物は、燃焼時のドリップを防止するためにドリップ防止剤を配合されたものが、耐衝撃性を付与できる点から好ましい。ドリップ防止剤としては、フッ素系ドリップ防止剤や層状ケイ酸塩、シリコンゴム類等が挙げられる。
【0133】
フッ素系ドリップ防止剤の具体例としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロピレン等のフッ素系樹脂やパーフルオロメタンスルホン酸ナトリウム塩、パーフルオロ-n-ブタンスルホン酸カリウム塩、パーフルオロ-t-ブタンスルホン酸カリウム塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ナトリウム塩、パーフルオロ-2-エチルヘキサンスルホン酸カルシウム塩等のパーフルオロアルカンスルホン酸アルカリ金属塩化合物またはパーフルオロアルカンスルホン酸アルカリ土類金属塩等が挙げられる。
【0134】
層状ケイ酸塩としては、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、バイデライト、スティブンサイト、ノントロナイト等のスメクタイト系粘土鉱物、バーミキュライト、ハロイサイト、膨潤性マイカ、タルク等が挙げられ、その層間に、有機カチオン、第4級アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオンがインターカレートされているものでもよい。
【0135】
ドリップ防止剤の中でも、耐衝撃性の点から、フッ素系ドリップ防止剤が好ましく、中でも、ポリテトラフルオロエチレンが最も好ましい。
【0136】
ドリップ防止剤を含有させる場合のドリップ防止剤の含有量は、合成樹脂100質量部に対して、0.01~5質量部が好ましく、0.05~3質量部がより好ましく、0.1~1質量部がさらにより好ましい。
【0137】
本発明の合成樹脂組成物には、添加剤として、必要に応じてさらに、本発明の効果を損なわない範囲で、芳香族カルボン酸金属塩、脂環式アルキルカルボン酸金属塩、p-第三ブチル安息香酸アルミニウム、芳香族リン酸エステル金属塩、ジベンジリデンソルビトール類等の結晶核剤、金属石鹸、ハイドロタルサイト、トリアジン環含有化合物、金属水酸化物、リン酸エステル系難燃剤、縮合リン酸エステル系難燃剤、無機リン系難燃剤、(ポリ)リン酸塩系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、シリコン系難燃剤、三酸化アンチモン等の酸化アンチモン、その他の無機系難燃助剤、その他の有機系難燃助剤、充填剤、顔料、イオン性液体、滑剤、加工助剤、可塑剤、強化材、老化防止剤、木粉、発泡剤等を添加してもよい。
【0138】
トリアジン環含有化合物としては、例えば、メラミン、アンメリン、ベンズグアナミン、アセトグアナミン、フタロジグアナミン、メラミンシアヌレート、ピロリン酸メラミン、ブチレンジグアナミン、ノルボルネンジグアナミン、メチレンジグアナミン、エチレンジメラミン、トリメチレンジメラミン、テトラメチレンジメラミン、ヘキサメチレンジメラミン、1,3-ヘキシレンジメラミン等が挙げられる。
【0139】
金属水酸化物としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化亜鉛、キスマー5A(水酸化マグネシウム:協和化学工業(株)製)等が挙げられる。
【0140】
リン酸エステル系難燃剤としては、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリスクロロエチルホスフェート、トリスジクロロプロピルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、トリスイソプロピルフェニルホスフェート、2-エチルヘキシルジフェニルホスフェート、t-ブチルフェニルジフェニルホスフェート、ビス-(t-ブチルフェニル)フェニルホスフェート、トリス-(t-ブチルフェニル)ホスフェート、イソプロピルフェニルジフェニルホスフェート、ビス-(イソプロピルフェニル)ジフェニルホスフェート、トリス-(イソプロピルフェニル)ホスフェート等が挙げられる。
【0141】
縮合リン酸エステル系難燃剤の例としては、1,3-フェニレンビス(ジフェニルホスフェート)、1,3-フェニレンビス(ジキシレニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)等が挙げられる。
【0142】
(ポリ)リン酸塩系難燃剤の例としては、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸ピペラジン、ピロリン酸メラミン、ピロリン酸ピペラジン等の(ポリ)リン酸のアンモニウム塩やアミン塩が挙げられる。
【0143】
その他の無機系難燃助剤としては、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、ハイドロタルサイト、タルク、モンモリロナイト等の無機化合物、およびその表面処理品が挙げられ、例えば、TIPAQUE R-680(酸化チタン:石原産業(株)製)、キョーワマグ150(酸化マグネシウム:協和化学工業(株)製)、DHT-4A(ハイドロタルサイト:協和化学工業(株)製)、アルカマイザー4(亜鉛変性ハイドロタルサイト:協和化学工業(株)製)等の種々の市販品を用いることができる。また、その他の有機系難燃助剤としては、例えば、ペンタエリスリトールが挙げられる。
【0144】
老化防止剤としては、ナフチルアミン系、ジフェニルアミン系、p-フェニルジアミン系、キノリン系、ヒドロキノン誘導体、モノフェノール系、チオビスフェノール系、ヒンダートフェノール系、亜リン酸エステル系などが挙げられる。
【0145】
結晶核剤としては、無機系結晶核剤および有機系結晶核剤が挙げられ、無機系結晶核剤の具体例としては、カオリナイト、合成マイカ、クレー、ゼオライト、シリカ、グラファイト、カーボンブラック、酸化マグネシウム、酸化チタン、硫化カルシウム、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、酸化ネオジウムおよびフェニルホスホネート等の金属塩を挙げることができる。これらの無機系結晶核剤は、組成物中での分散性を高めるために、有機物で修飾されていてもよい。
【0146】
有機系結晶核剤の具体例としては、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、安息香酸カルシウム、安息香酸マグネシウム、安息香酸バリウム、テレフタル酸リチウム、テレフタル酸ナトリウム、テレフタル酸カリウム、シュウ酸カルシウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸ナトリウム、ミリスチン酸カリウム、ミリスチン酸カルシウム、オクタコサン酸ナトリウム、オクタコサン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、モンタン酸ナトリウム、モンタン酸カルシウム、トルイル酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸カリウム、サリチル酸亜鉛、アルミニウムジベンゾエート、カリウムジベンゾエート、リチウムジベンゾエート、ナトリウムβ-ナフタレート、ナトリウムシクロヘキサンカルボキシレート等の有機カルボン酸金属塩、p-トルエンスルホン酸ナトリウム、スルホイソフタル酸ナトリウム等の有機スルホン酸塩、ステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、パルチミン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、トリメシン酸トリス(t-ブチルアミド)等のカルボン酸アミド、ベンジリデンソルビトールおよびその誘導体、ナトリウム-2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)ホォスフェート等のリン化合物金属塩、および2,2-メチルビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)ナトリウム等を挙げることができる。
【0147】
イオン性液体の例としては、100℃以下の融点を有し、イオン性液体を構成するカチオンまたはアニオンのうち少なくとも一つが有機物イオンであり、初期電導度が1~200ms/cm、好ましくは10~200ms/cmである常温溶融塩であって、例えば、国際公開第95/15572号に記載の常温溶融塩が挙げられる。
【0148】
イオン性液体を構成するカチオンとしては、アミジニウム、ピリジニウム、ピラゾリウムおよびグアニジニウムカチオンからなる群から選ばれるカチオンが挙げられる。このうち、アミジニウムカチオンとしては、下記のものが挙げられる。
【0149】
(1)イミダゾリニウムカチオン
炭素原子数5~15のものが挙げられ、例えば、1,2,3,4-テトラメチルイミダゾリニウム、1,3-ジメチルイミダゾリニウム;
【0150】
(2)イミダゾリウムカチオン
炭素原子数5~15のものが挙げられ、例えば、1,3-ジメチルイミダゾリウム、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム;
【0151】
(3)テトラヒドロピリミジニウムカチオン
炭素原子数6~15のものが挙げられ、例えば、1,3-ジメチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジニウム、1,2,3,4-テトラメチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジニウム;
【0152】
(4)ジヒドロピリミジニウムカチオン
炭素原子数6~20のものが挙げられ、例えば、1,3-ジメチル-1,4-ジヒドロピリミジニウム、1,3-ジメチル-1,6-ジヒドロピリミジニウム、8-メチル-1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]-7,9-ウンデカジエニウム、8-メチル-1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]-7,10-ウンデカジエニウム。
【0153】
ピリジニウムカチオンとしては、炭素原子数6~20のものが挙げられ、例えば、3-メチル-1-プロピルピリジニウム、1-ブチル-3,4-ジメチルピリジニウムが挙げられる。
【0154】
ピラゾリウムカチオンとしては、炭素原子数5~15のものが挙げられ、例えば、1、2-ジメチルピラゾリウム、1-n-ブチル-2-メチルピラゾリウムが挙げられる。
【0155】
グアニジニウムカチオンとしては、下記のものが挙げられる。
【0156】
(1)イミダゾリニウム骨格を有するグアニジニウムカチオン
炭素原子数8~15のものが挙げられ、例えば、2-ジメチルアミノ-1,3,4-トリメチルイミダゾリニウム、2-ジエチルアミノ-1,3,4-トリメチルイミダゾリニウム;
【0157】
(2)イミダゾリウム骨格を有するグアニジニウムカチオン
炭素原子数8~15のものが挙げられ、例えば、2-ジメチルアミノ-1,3,4-トリメチルイミダゾリウム、2-ジエチルアミノ-1,3,4-トリメチルイミダゾリウム;
【0158】
(3)テトラヒドロピリミジニウム骨格を有するグアニジニウムカチオン
炭素原子数10~20のものが挙げられ、例えば、2-ジメチルアミノ-1,3,4-トリメチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジニウム、2-ジエチルアミノ-1,3-ジメチル-4-エチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジニウム;
【0159】
(4)ジヒドロピリミジニウム骨格を有するグアニジニウムカチオン
炭素原子数10~20のものが挙げられ、例えば、2-ジメチルアミノ-1,3,4-トリメチル-1,4-ジヒドロピリミジニウム、2-ジメチルアミノ-1,3,4-トリメチル-1,6-ジヒドロピリミジニウム、2-ジエチルアミノ-1,3-ジメチル-4-エチル-1,4-ジヒドロピリミジニウム、2-ジエチルアミノ-1,3-ジメチル-4-エチル-1,6-ジヒドロピリミジニウム。
【0160】
カチオンは1種を単独で用いても、また、2種以上を併用しても、いずれでもよい。
【0161】
イオン性液体において、アニオンを構成する有機酸または無機酸としては、下記のものが挙げられる。
【0162】
有機酸としては、例えば、カルボン酸、硫酸エステル、スルホン酸およびリン酸エステル;無機酸としては、例えば、超強酸(例えば、ホウフッ素酸、四フッ化ホウ素酸、過塩素酸、六フッ化リン酸、六フッ化アンチモン酸および六フッ化ヒ素酸)、リン酸およびホウ酸が挙げられる。これらの有機酸および無機酸は、1種を単独で用いても、また、2種以上を併用しても、いずれでもよい。
【0163】
有機酸および無機酸のうち、イオン性液体を構成するアニオンのHamett酸度関数(-H0)が12~100である、超強酸の共役塩基、超強酸の共役塩基以外のアニオンを形成する酸およびこれらの混合物が挙げられる。
【0164】
超強酸の共役塩基以外のアニオンとしては、例えば、ハロゲン(例えば、フッ素、塩素および臭素)イオン、アルキル(炭素原子数1~12)ベンゼンスルホン酸(例えば、p-トルエンスルホン酸およびドデシルベンゼンスルホン酸)イオンおよびポリ(n=1~25)フルオロアルカンスルホン酸(例えば、ウンデカフルオロペンタンスルホン酸)イオンが挙げられる。
【0165】
また、超強酸としては、プロトン酸およびプロトン酸とルイス酸との組み合わせから誘導されるもの、およびこれらの混合物が挙げられる。超強酸としてのプロトン酸としては、例えば、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド酸、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド酸、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メタン、過塩素酸、フルオロスルホン酸、アルカン(炭素原子数1~30)スルホン酸(例えば、メタンスルホン酸、ドデカンスルホン酸等)、ポリ(n=1~30)フルオロアルカン(炭素原子数1~30)スルホン酸(例えば、トリフルオロメタンスルホン酸、ペンタフルオロエタンスルホン酸、ヘプタフルオロプロパンスルホン酸、ノナフルオロブタンスルホン酸、ウンデカフルオロペンタンスルホン酸およびトリデカフルオロヘキサンスルホン酸)、ホウフッ素酸および四フッ化ホウ素酸が挙げられる。これらのうち、合成の容易さの観点から好ましいのはホウフッ素酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸およびビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド酸である。
【0166】
ルイス酸と組合せて用いられるプロトン酸としては、例えば、ハロゲン化水素(例えば、フッ化水素、塩化水素、臭化水素およびヨウ化水素)、過塩素酸、フルオロスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ペンタフルオロエタンスルホン酸、ノナフルオロブタンスルホン酸、ウンデカフルオロペンタンスルホン酸、トリデカフルオロヘキサンスルホン酸およびこれらの混合物が挙げられる。
【0167】
ルイス酸としては、例えば、三フッ化ホウ素、五フッ化リン、五フッ化アンチモン、五フッ化ヒ素、五フッ化タンタルおよびこれらの混合物が挙げられる。これらのうちでも、イオン性液体の初期電導度の観点から好ましいのは三フッ化ホウ素および五フッ化リンである。
【0168】
プロトン酸とルイス酸との組み合わせは任意であるが、これらの組み合わせからなる超強酸としては、例えば、テトラフルオロホウ酸、ヘキサフルオロリン酸、六フッ化タンタル酸、六フッ化アンチモン酸、六フッ化タンタルスルホン酸、四フッ化ホウ素酸、六フッ化リン酸、塩化三フッ化ホウ素酸、六フッ化ヒ素酸およびこれらの混合物が挙げられる。
【0169】
イオン性液体の具体例としては、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムドデシルベンゼンスルホナート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド等が挙げられる。
【0170】
滑剤としては、例えば、流動パラフィン、天然パラフィン、マイクロワックス、合成パラフィン、低分子量ポリエチレン、ポリエチレンワックス等の純炭化水素系滑剤;ハロゲン化炭化水素系滑剤;高級脂肪酸、オキシ脂肪酸等の脂肪酸系滑剤;脂肪酸アミド、ビス脂肪酸アミド等の脂肪酸アミド系滑剤;脂肪酸の低級アルコールエステル、グリセリド等の脂肪酸の多価アルコールエステル、脂肪酸のポリグリコールエステル、脂肪酸の脂肪アルコールエステル(エステルワックス)等のエステル系滑剤;金属石鹸、脂肪アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、ポリグリセロール、脂肪酸と多価アルコールの部分エステル、脂肪酸とポリグリコール、ポリグリセロールの部分エステル系の滑剤や、シリコーンオイル、鉱油等が挙げられる。
【0171】
加工助剤としては、アクリル系加工助剤が挙げられ、アクリル系加工助剤は、(メタ)アクリル酸エステルの1種を重合または2種以上を共重合させたものが使用できる。重合または共重合する(メタ)アクリル酸エステルの例としては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n-プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n-プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n-ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t-ブチルメタクリレート、n-ヘキシルアクリレート、n-ヘキシルメタクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、トリデシルメタクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。また、これら以外にも、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシ基を含有した(メタ)アクリル酸エステルも挙げられる。
【0172】
可塑剤としては、例えばポリエステル系可塑剤、グリセリン系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤、ポリアルキレングリコール系可塑剤、エーテルエステル系可塑剤およびエポキシ系可塑剤等が挙げられる。
【0173】
強化材としては、例えば、ガラス繊維、アスベスト繊維、炭素繊維、グラファイト繊維、金属繊維、チタン酸カリウムウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカー、マグネシウム系ウイスカー、珪素系ウイスカー、ワラステナイト、セピオライト、アスベスト、スラグ繊維、ゾノライト、エレスタダイト、石膏繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化硅素繊維および硼素繊維等の無機繊維状強化材、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、再生セルロース繊維、アセテート繊維、ケナフ、ラミー、木綿、ジュート、麻、サイザル、亜麻、リネン、絹、マニラ麻、さとうきび、木材パルプ、紙屑、古紙およびウール等の有機繊維状強化材、ガラスフレーク、非膨潤性雲母、グラファイト、金属箔、セラミックビーズ、クレー、マイカ、セリサイト、ゼオライト、ベントナイト、ドロマイト、カオリン、微粉ケイ酸、長石粉、チタン酸カリウム、シラスバルーン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、ケイ酸アルミニウム、酸化ケイ素、石膏、ノバキュライト、ドーソナイトおよび白土等の板状や粒状の強化材が挙げられる。これらの強化材は、エチレン/酢酸ビニル共重合体等の熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂で被覆または集束処理されていてもよく、アミノシランやエポキシシラン等のカップリング剤等で処理されていても良い。
【0174】
充填剤の例としては、例えば、タルク、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウム繊維、シリカ、クレー、カオリン、アルミナ、カーボンブラック、ガラス繊維等が挙げられる。これら充填剤は、微粉化や微粒子化等の処理や表面処理をされていてもよい。
【0175】
木粉は、合成樹脂組成物から得られる成形体に、天然木材の有する木目模様や木質感を付与し、天然木材に近い色調および風合いをもたせて、車両用内装材、サイドモ-ル、住宅用内装材、外装建材等の建材、テラス、バルコニー、デッキ材等の床材、土木材料、自然公園内の湿地等に渡される木道、鋼管に被覆した手すり、テ-ブル枠、ガスケット等の用途に使用するために配合される。木粉の平均粒径は、好ましくは30~500μmであり、より好ましくは100~200μmである。平均粒径が500μmを超えると成形物の表面状態が悪くなる傾向があり好ましくない。木粉に使用される木の種類としては、特には限定されないが、例えば、杉、ラワン、栂、檜等針葉樹が好適である。使用目的によっては広葉樹から得られた木粉も使用できる。また、おが屑、籾殻、パーチクルボードの表面研磨粉等を微粉砕したものも使用できる。木粉を微粉末にする方法としては、特には限定されず、例えば、チップ化された木材を乾式粉砕機にて微粉砕する方法等がある。
【0176】
その他、本発明の合成樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、通常合成樹脂に使用される添加剤、例えば、架橋剤、防曇剤、プレートアウト防止剤、帯電防止剤、表面処理剤、上述の難燃剤以外の難燃剤、蛍光剤、防黴剤、殺菌剤、金属不活性剤、離型剤、顔料、上述の酸化防止剤以外の酸化防止剤、上述の光安定剤以外の光安定剤等を、本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。
【0177】
本発明の合成樹脂組成物に配合される添加剤は、合成樹脂に直接添加してもよく、本発明の耐衝撃性改良剤または耐衝撃性改良剤組成物に配合してから、合成樹脂に添加してもよい。
【0178】
本発明の成形体は、本発明の合成樹脂組成物からなるものである。すなわち、本発明の合成樹脂組成物を成形することにより、耐衝撃性を有する本発明の合成樹脂の成形体を得ることができる。成形方法としては、特に限定されるものではなく、押出加工、カレンダー加工、射出成形、ロール、圧縮成形、ブロー成形、回転成形等が挙げられ、樹脂板、シート、フィルム、ボトル、繊維、異形品等の種々の形状の成形品が製造できる。本発明の合成樹脂組成物により得られる成形体は、耐衝撃性能に優れるものである。
【0179】
本発明の合成樹脂組成物およびこれを用いた成形体は、電気・電子・通信、農林水産、鉱業、建設、食品、繊維、衣類、医療、石炭、石油、ゴム、皮革、自動車、精密機器、木材、建材、土木、家具、印刷、楽器等の幅広い産業分野に使用できる。
【0180】
より具体的には、本発明の合成樹脂組成物は、プリンター、パソコン、ワープロ、キーボード、PDA(小型情報端末機)、電話機、複写機、ファクシミリ、ECR(電子式金銭登録機)、電卓、電子手帳、カード、ホルダー、文具等の事務、OA機器、洗濯機、冷蔵庫、掃除機、電子レンジ、照明器具、ゲーム機、アイロン、コタツ等の家電機器、TV、VTR、ビデオカメラ、ラジカセ、テープレコーダー、ミニディスク、CDプレーヤー、スピーカー、液晶ディスプレー等のAV機器、コネクター、リレー、コンデンサー、スイッチ、プリント基板、コイルボビン、半導体封止材料、LED封止材料、電線、ケーブル、トランス、偏向ヨーク、分電盤、時計等の電気・電子部品および通信機器、自動車用内外装材、製版用フィルム、粘着フィルム、ボトル、食品用容器、食品包装用フィルム、製薬・医薬用ラップフィルム、製品包装フィルム、農業用フィルム、農業用シート、温室用フィルム等の用途に用いられる。
【0181】
さらに、本発明の合成樹脂組成物は、座席(詰物、表地等)、ベルト、天井張り、コンパーチブルトップ、アームレスト、ドアトリム、リアパッケージトレイ、カーペット、マット、サンバイザー、ホイルカバー、マットレスカバー、エアバック、絶縁材、吊り手、吊り手帯、電線被覆材、電気絶縁材、塗料、コーティング材、上張り材、床材、隅壁、カーペット、壁紙、壁装材、外装材、内装材、屋根材、デッキ材、壁材、柱材、敷板、塀の材料、骨組および繰形、窓およびドア形材、こけら板、羽目、テラス、バルコニー、防音板、断熱板、窓材等の自動車、車両、船舶、航空機、建物、住宅および建築用材料や土木材料、衣料、カーテン、シーツ、不織布、合板、合繊板、絨毯、玄関マット、シート、バケツ、ホース、容器、眼鏡、鞄、ケース、ゴーグル、スキー板、ラケット、テント、楽器等の生活用品、スポーツ用品等の各種用途に使用することができる。
【実施例
【0182】
以下、本発明を、実施例を用いてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
下記の製造例に従い、本発明の耐衝撃性改良剤である高分子化合物(E)を製造した。また、下記の製造例において、化合物(b)の数平均分子量は、下記<水酸基価からの数平均分子量の算出方法>で算出し、化合物(b)以外の数平均分子量は、下記<ポリスチレン換算による数平均分子量の測定方法>で算出した。
【0183】
<水酸基価からの数平均分子量の算出方法>
下記水酸基価測定方法で水酸基価を測定し、下記式で数平均分子量を決定した。
数平均分子量=(56110×2)/水酸基価
<水酸基価測定法>
・試薬A(アセチル化剤)
(1)トリエチルホスフェート 1560mL
(2)無水酢酸 193mL
(3)過塩素酸(60%) 16g
上記試薬を(1)→(2)→(3)の順に混合する。
・試薬B
ピリジンと純水を体積比率で3:1に混合する。
・試薬C
500mLのイソプロピルアルコールにフェノールフタレイン液を2~3滴加え、1N-KOH水溶液で中性にする。
【0184】
まず、200mL三角フラスコにサンプルを2g量りとり、トリエチルホスフェート10mLを加え、加熱溶解させる。試薬A15mLを加え、共栓をして激しく振盪する。試薬B20mLを加え、共栓をして激しく振盪する。試薬C50mLを加える。1N-KOH水溶液で滴定し、下式で計算する。
水酸基価[mgKOH/g]=56.11×f×(T-B)/S
f:1N-KOH水溶液のfactor
B:空試験滴定量[mL]
T:本試験滴定量[mL]
S:サンプル量[g]
【0185】
<ポリスチレン換算による数平均分子量の測定方法>
数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によって測定した。Mnの測定条件は以下の通りである。
装置 :日本分光(株)製GPC装置
溶媒 :クロロホルム
基準物質 :ポリスチレン
検出器 :示差屈折計(RI検出器)
カラム固定相:昭和電工(株)製Shodex LF-804
カラム温度 :40℃
サンプル濃度:1mg/1mL
流量 :0.8mL/min.
注入量 :100μL
【0186】
〔製造例1〕
セパラブルフラスコ中で、酸化防止剤(テトラキス[3-(3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシメチル]メタン、アデカスタブAO-60(株)ADEKA製)0.2g存在下、1,4-ブタンジオール122g(1.35モル)と、コハク酸168g(1.42モル)を、140℃から190℃まで徐々に昇温しながら常圧で3時間重合して、ポリエステル(a)-1を得た。得られたポリエステル(a)-1の数平均分子量は3,000であった。
【0187】
次に、得られたポリエステル(a)-1を250g、両末端に水酸基を有する化合物(b)-1として数平均分子量3,300、エチレンオキシ基の繰り返し単位の数=75のポリエチレングリコールを160g、酸化防止剤(アデカスタブAO-60)を0.2g、オクチル酸ジルコニウムを0.4g仕込み、200℃で3時間、減圧下で重合して、両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(C)-1を400g得た。この両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(C)-1の数平均分子量Mnは16,500であった。
【0188】
得られた両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(C)-1の400gに、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物(D)-1として、ビスフェノールFジグリシジルエーテル(エポキシ当量170g/eq)3gを仕込み、220℃で5時間、減圧下で重合したのち、ラボプラストミルμ((株)東洋精機製作所製)を用いて220℃で押し出し、5mm角のペレット状にカッティングして、本発明の耐衝撃性改良剤である高分子化合物(E)-1のペレットを400g得た。得られたペレットの結晶化温度を下記<結晶化温度測定方法>で測定した。結果を表1に示す。
【0189】
<結晶化温度測定方法>
示差走査熱量測定器(Perkin社製Diamond DSC)を用いて結晶化温度を測定する。試料を、ペレットを細かく切断し、アルミニウムパンに3±1mg量り取り、室温(25℃)から10℃/分の速度で130℃まで昇温し、5分間保持後、10℃/分の速度で0℃まで冷却して得られたチャートにおいて、吸熱のピークトップとなる温度を結晶化温度とした。
【0190】
〔製造例2〕
製造例1と同様にして得られたブロックポリマー(C)-1の400gに、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物(D)-2として、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル(エポキシ当量215g/eq)4gを仕込み、220℃で5時間、減圧下で重合した後、製造例1と同様にして、本発明の耐衝撃性改良剤である高分子化合物(E)-2のペレットを400g得た。得られた高分子化合物(E)-2のペレットを、製造例1と同様にして、結晶化温度を測定した。
【0191】
〔製造例3〕
製造例1と同様にして得られたブロックポリマー(C)-1の400gに、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物(D)-3として、ジシクロペンタジエンジメタノールジグリシジルエーテル(エポキシ当量170g/eq)3gを仕込み、220℃で5時間、減圧下で重合した後、製造例1と同様にして、本発明の耐衝撃性改良剤である高分子化合物(E)-3のペレットを400g得た。得られた高分子化合物(E)-3のペレットを、製造例1と同様にして、結晶化温度を測定した。
【0192】
〔製造例4〕
セパラブルフラスコ中で、酸化防止剤(テトラキス[3-(3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシメチル]メタン、アデカスタブAO-60(株)ADEKA製)0.2g存在下、1,4-ブタンジオール58g(0.65モル)と、コハク酸91g(0.77モル)を、140℃から190℃まで徐々に昇温しながら常圧で3時間重合して、ポリエステル(a)-2を得た。得られたポリエステル(a)-2の数平均分子量は1,000であった。
【0193】
次に、得られたポリエステル(a)-2を130g、両末端に水酸基を有する化合物(b)-1として数平均分子量3,300、エチレンオキシ基の繰り返し単位の数=75のポリエチレングリコールを277g、酸化防止剤(アデカスタブAO-60)を0.2g、オクチル酸ジルコニウムを0.4g仕込み、200℃で3時間、減圧下で重合して、両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(C)-2を400g得た。この両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(C)-2の数平均分子量Mnは9,600であった。
【0194】
得られた両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(C)-2の400gに、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物(D)-1として、ビスフェノールFジグリシジルエーテル(エポキシ当量170g/eq)5gを仕込み、220℃で5時間、減圧下で重合した後、製造例1と同様にして、本発明の耐衝撃性改良剤である高分子化合物(E)-4のペレットを400g得た。得られた高分子化合物(E)-4のペレットを、製造例1と同様にして、結晶化温度を測定した。
【0195】
〔製造例5〕
セパラブルフラスコ中で、酸化防止剤(テトラキス[3-(3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシメチル]メタン、アデカスタブAO-60(株)ADEKA製)0.2g存在下、エチレングリコール100g(1.61モル)と、コハク酸199g(1.69モル)を、140℃から190℃まで徐々に昇温しながら常圧で3時間重合して、ポリエステル(a)-3を得た。得られたポリエステル(a)-3の数平均分子量は3,000であった。
【0196】
次に、得られたポリエステル(a)-3を250g、両末端に水酸基を有する化合物(b)-1として数平均分子量3,300、エチレンオキシ基の繰り返し単位の数=75のポリエチレングリコールを160g、酸化防止剤(アデカスタブAO-60)を0.2g、オクチル酸ジルコニウムを0.4g仕込み、200℃で3時間、減圧下で重合して、両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(C)-3を400g得た。この両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(C)-3の数平均分子量Mnは16,500であった。
【0197】
得られた両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(C)-3の400gに、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物(D)-1として、ビスフェノールFジグリシジルエーテル(エポキシ当量170g/eq)3gを仕込み、220℃で5時間、減圧下で重合した後、製造例1と同様にして、本発明の耐衝撃性改良剤である高分子化合物(E)-5のペレットを400g得た。得られた高分子化合物(E)-5のペレットを、製造例1と同様にして、結晶化温度を測定した。
【0198】
〔製造例6〕
セパラブルフラスコ中で、酸化防止剤(テトラキス[3-(3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシメチル]メタン、アデカスタブAO-60(株)ADEKA製)0.2g存在下、1,4-ブタンジオール101g(1.12モル)と、エチレングリコール17g(0.28モル)と、コハク酸173g(1.47モル)を、140℃から190℃まで徐々に昇温しながら常圧で3時間重合して、ポリエステル(a)-4を得た。得られたポリエステル(a)-4の数平均分子量は3,000であった。
【0199】
次に、得られたポリエステル(a)-4を243g、両末端に水酸基を有する化合物(b)-1として数平均分子量3,300、エチレンオキシ基の繰り返し単位の数=75のポリエチレングリコールを161g、酸化防止剤(アデカスタブAO-60)を0.2g、オクチル酸ジルコニウムを0.4g仕込み、200℃で3時間、減圧下で重合して、両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(C)-4を400g得た。この両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(C)-4の数平均分子量Mnは16,500であった。
【0200】
得られた両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(C)-4の400gに、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物(D)-1として、ビスフェノールFジグリシジルエーテル(エポキシ当量170g/eq)3gを仕込み、220℃で5時間、減圧下で重合した後、製造例1と同様にして、本発明の耐衝撃性改良剤である高分子化合物(E)-6のペレットを400g得た。得られた高分子化合物(E)-6のペレットを、製造例1と同様にして、結晶化温度を測定した。
【0201】
〔製造例7〕
セパラブルフラスコ中で、酸化防止剤(テトラキス[3-(3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシメチル]メタン、アデカスタブAO-60(株)ADEKA製)0.2g存在下、1,4-ブタンジオール120g(1.33モル)と、コハク酸149g(1.26モル)と、アジピン酸21g(0.14モル)を、140℃から190℃まで徐々に昇温しながら常圧で3時間重合して、ポリエステル(a)-5を得た。得られたポリエステル(a)-5の数平均分子量は3,000であった。
【0202】
次に、得られたポリエステル(a)-5を248g、両末端に水酸基を有する化合物(b)-1として数平均分子量3,300、エチレンオキシ基の繰り返し単位の数=75のポリエチレングリコールを157g、酸化防止剤(アデカスタブAO-60)を0.2g、オクチル酸ジルコニウムを0.4g仕込み、200℃で3時間、減圧下で重合して、両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(C)-5を400g得た。この両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(C)-5の数平均分子量Mnは16,500であった。
【0203】
得られた両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(C)-5の400gに、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物(D)-1として、ビスフェノールFジグリシジルエーテル(エポキシ当量170g/eq)3gを仕込み、220℃で5時間、減圧下で重合した後、製造例1と同様にして、本発明の耐衝撃性改良剤である高分子化合物(E)-7のペレットを400g得た。得られた高分子化合物(E)-7のペレットを、製造例1と同様にして、結晶化温度を測定した。
【0204】
〔製造例8〕
セパラブルフラスコ中で、酸化防止剤(テトラキス[3-(3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシメチル]メタン、アデカスタブAO-60(株)ADEKA製)0.2g存在下、1,4-ブタンジオール118g(1.31モル)と、コハク酸130g(1.10モル)と、アジピン酸40g(0.28モル)を、140℃から190℃まで徐々に昇温しながら常圧で3時間重合して、ポリエステル(a)-6を得た。得られたポリエステル(a)-6の数平均分子量は3,000であった。
【0205】
次に、得られたポリエステル(a)-6を246g、両末端に水酸基を有する化合物(b)-1として数平均分子量3,300、エチレンオキシ基の繰り返し単位の数=75のポリエチレングリコールを155g、酸化防止剤(アデカスタブAO-60)を0.2g、オクチル酸ジルコニウムを0.4g仕込み、200℃で3時間、減圧下で重合して、両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(C)-6を400g得た。この両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(C)-6の数平均分子量Mnは16,500であった。
【0206】
得られた両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(C)-6の400gに、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物(D)-1として、ビスフェノールFジグリシジルエーテル(エポキシ当量170g/eq)3gを仕込み、220℃で5時間、減圧下で重合した後、製造例1と同様にして、本発明の耐衝撃性改良剤である高分子化合物(E)-8のペレットを400g得た。得られた高分子化合物(E)-8のペレットを、製造例1と同様にして、結晶化温度を測定した。
【0207】
〔製造例9〕
セパラブルフラスコ中で、酸化防止剤(テトラキス[3-(3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシメチル]メタン、アデカスタブAO-60(株)ADEKA製)0.2g存在下、1,4-ブタンジオール116g(1.28モル)と、コハク酸144g(1.22モル)と、セバシン酸27g(0.14モル)を、140℃から190℃まで徐々に昇温しながら常圧で3時間重合して、ポリエステル(a)-7を得た。得られたポリエステル(a)-7の数平均分子量は3,000であった。
【0208】
次に、得られたポリエステル(a)-7を251g、両末端に水酸基を有する化合物(b)-1として数平均分子量3,300、エチレンオキシ基の繰り返し単位の数=75のポリエチレングリコールを154g、酸化防止剤(アデカスタブAO-60)を0.2g、オクチル酸ジルコニウムを0.4g仕込み、200℃で3時間、減圧下で重合して、両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(C)-7を400g得た。この両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(C)-7の数平均分子量Mnは16,500であった。
【0209】
得られた両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(C)-7の400gに、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物(D)-1として、ビスフェノールFジグリシジルエーテル(エポキシ当量170g/eq)3gを仕込み、220℃で5時間、減圧下で重合した後、製造例1と同様にして、本発明の耐衝撃性改良剤である高分子化合物(E)-9のペレットを400g得た。得られた高分子化合物(E)-9のペレットを、製造例1と同様にして、結晶化温度を測定した。
【0210】
〔製造例10〕
セパラブルフラスコ中で、酸化防止剤(テトラキス[3-(3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシメチル]メタン、アデカスタブAO-60(株)ADEKA製)0.2g存在下、1,4-ブタンジオール110g(1.22モル)と、コハク酸122g(1.04モル)と、セバシン酸52g(0.26モル)を、140℃から190℃まで徐々に昇温しながら常圧で3時間重合して、ポリエステル(a)-8を得た。得られたポリエステル(a)-8の数平均分子量は3,000であった。
【0211】
次に、得られたポリエステル(a)-8を259g、両末端に水酸基を有する化合物(b)-1として数平均分子量3,300、エチレンオキシ基の繰り返し単位の数=75のポリエチレングリコールを152g、酸化防止剤(アデカスタブAO-60)を0.2g、オクチル酸ジルコニウムを0.4g仕込み、200℃で3時間、減圧下で重合して、両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(C)-8を400g得た。この両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(C)-8の数平均分子量Mnは16,500であった。
【0212】
得られた両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(C)-8の400gに、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物(D)-1として、ビスフェノールFジグリシジルエーテル(エポキシ当量170g/eq)3gを仕込み、220℃で5時間、減圧下で重合した後、製造例1と同様にして、本発明の耐衝撃性改良剤である高分子化合物(E)-10のペレットを400g得た。得られた高分子化合物(E)-10のペレットを、製造例1と同様にして、結晶化温度を測定した。
【0213】
〔製造例11〕
セパラブルフラスコ中で、酸化防止剤(テトラキス[3-(3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシメチル]メタン、アデカスタブAO-60(株)ADEKA製)0.2g存在下、1,4-ブタンジオール105g(1.17モル)と、コハク酸103g(0.87モル)と、セバシン酸75g(0.37モル)を、140℃から190℃まで徐々に昇温しながら常圧で3時間重合して、ポリエステル(a)-9を得た。得られたポリエステル(a)-9の数平均分子量は3,000であった。
【0214】
次に、得られたポリエステル(a)-9を250g、両末端に水酸基を有する化合物(b)-1として数平均分子量3,300、エチレンオキシ基の繰り返し単位の数=75のポリエチレングリコールを161g、酸化防止剤(アデカスタブAO-60)を0.2g、オクチル酸ジルコニウムを0.4g仕込み、200℃で3時間、減圧下で重合して、両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(C)-9を400g得た。この両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(C)-9の数平均分子量Mnは16,500であった。
【0215】
得られた両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(C)-9の400gに、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物(D)-1として、ビスフェノールFジグリシジルエーテル(エポキシ当量170g/eq)3gを仕込み、220℃で5時間、減圧下で重合した後、製造例1と同様にして、本発明の耐衝撃性改良剤である高分子化合物(E)-11のペレットを400g得た。得られた高分子化合物(E)-11のペレットを、製造例1と同様にして、結晶化温度を測定した。
【0216】
〔製造例12〕
セパラブルフラスコ中で、酸化防止剤(テトラキス[3-(3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシメチル]メタン、アデカスタブAO-60(株)ADEKA製)0.2g存在下、1,4-ブタンジオール115g(1.27モル)と、コハク酸143g(1.21モル)と、2,6-ナフタレンジカルボン酸29g(0.13モル)を、140℃から190℃まで徐々に昇温しながら常圧で3時間重合して、ポリエステル(a)-10を得た。得られたポリエステル(a)-10の数平均分子量は3,000であった。
【0217】
次に、得られたポリエステル(a)-10を256g、両末端に水酸基を有する化合物(b)-1として数平均分子量3,300、エチレンオキシ基の繰り返し単位の数=75のポリエチレングリコールを170g、酸化防止剤(アデカスタブAO-60)を0.2g、オクチル酸ジルコニウムを0.4g仕込み、200℃で3時間、減圧下で重合して、両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(C)-10を400g得た。この両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(C)-10の数平均分子量Mnは16,500であった。
【0218】
得られた両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(C)-10の400gに、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物(D)-1として、ビスフェノールFジグリシジルエーテル(エポキシ当量170g/eq)3gを仕込み、220℃で5時間、減圧下で重合した後、製造例1と同様にして、本発明の耐衝撃性改良剤である高分子化合物(E)-12のペレットを400g得た。得られた高分子化合物(E)-12のペレットを、製造例1と同様にして、結晶化温度を測定した。
【0219】
〔製造例13〕
セパラブルフラスコ中で、酸化防止剤(テトラキス[3-(3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシメチル]メタン、アデカスタブAO-60(株)ADEKA製)0.2g存在下、1,4-ブタンジオール119g(1.32モル)と、コハク酸171g(1.45モル)を、140℃から190℃まで徐々に昇温しながら常圧で3時間重合して、ポリエステル(a)-11を得た。得られたポリエステル(a)-11の数平均分子量は2,000であった。
【0220】
次に、得られたポリエステル(a)-11を250g、両末端に水酸基を有する化合物(b)-2として数平均分子量2,000、ブチレンオキシ基の繰り返し単位の数=27のポリテトラメチレングリコールを160g、酸化防止剤(アデカスタブAO-60)を0.2g、オクチル酸ジルコニウムを0.4g仕込み、200℃で3時間、減圧下で重合して、両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(C)-11を400g得た。この両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(C)-11の数平均分子量Mnは9,900であった。
【0221】
得られた両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(C)-11の400gに、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物(D)-1として、ビスフェノールFジグリシジルエーテル(エポキシ当量170g/eq)2gを仕込み、220℃で5時間、減圧下で重合したのち、製造例1と同様にして、本発明の耐衝撃性改良剤である高分子化合物(E)-13のペレットを400g得た。得られた高分子化合物(E)-13のペレットを、製造例1と同様にして、結晶化温度を測定した。
【0222】
〔実施例1~60、比較例1~4〕
表1~8に記載した配合量(質量部)に基づいてブレンドした各実施例の樹脂組成物を用いて、下記に示す試験片作製条件に従い、試験片を得た。得られた試験片を用いて、下記に従い、シャルピー衝撃強度の測定を行い、耐衝撃性の評価を行った。結果を表1~8に示す。同様にして、下記の表8に示す配合で、比較例の樹脂組成物を調製し、評価を行った。結果を表8に示す。
【0223】
<ポリカーボネート/ABS樹脂組成物試験片作成条件>
表1~8に示す配合量に基づいてポリカーボネート/ABS樹脂組成物を、(株)池貝製2軸押出機(PCM30,60mesh入り)を用いて、250℃、15kg/時間の条件で造粒し、ペレットを得た。得られたペレットを、横型射出成形機(NEX80:日精樹脂工業(株)製)を用い、樹脂温度250℃、金型温度50℃の加工条件で成形し、試験片(80mm×10mm×4mm)を得た。ポリカーボネート/ABSは、ポリカーボネート/ABS=7/3(質量比)であり、メルトフローレート=40g/10min(ISO1133、260℃×5.00kg)を使用した。
【0224】
<シャルピー衝撃強度>
ISO179-1(ノッチ付)に準拠して測定した。
測定は試験片10枚を測定し、平均値を算出した。
【0225】
【表1】
*1:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム
*2:ポリカーボネート/ABS=7/3(質量比)、メルトフローレート=40g/10min(ISO1133、260℃×5.00kg)
*3:ポリテトラフルオロエチレン
【0226】
【表2】
【0227】
【表3】
【0228】
【表4】
【0229】
【表5】
【0230】
【表6】
【0231】
【表7】
【0232】
【表8】
【0233】
表1~8中に示す結果から、本発明によれば、合成樹脂に、優れた耐衝撃性を付与することができる耐衝撃性改良剤を得られることが明らかである。