(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-31
(45)【発行日】2024-06-10
(54)【発明の名称】制御装置、消火ポンプ装置、外部表示器及び消火ポンプ装置の停止方法
(51)【国際特許分類】
F04B 49/02 20060101AFI20240603BHJP
F04D 15/00 20060101ALI20240603BHJP
A62C 37/00 20060101ALN20240603BHJP
【FI】
F04B49/02 311
F04D15/00 Z
F04D15/00 J
A62C37/00
(21)【出願番号】P 2020132548
(22)【出願日】2020-08-04
【審査請求日】2023-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230112025
【氏名又は名称】小林 英了
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【氏名又は名称】大野 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100106840
【氏名又は名称】森田 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100174137
【氏名又は名称】酒谷 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】二ノ宮 宏則
(72)【発明者】
【氏名】山田 泰雅
(72)【発明者】
【氏名】デェ パルティビ
【審査官】大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】実開昭53-165301(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2013/0343911(US,A1)
【文献】特開2006-034529(JP,A)
【文献】特開2013-053536(JP,A)
【文献】特開2017-141771(JP,A)
【文献】特開平02-157486(JP,A)
【文献】特開2014-225101(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 49/02
F04D 15/00
A62C 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプと、当該ポンプを駆動する駆動機と、を備えた消火ポンプ装置を制御する制御装置であって、
前記制御装置は、
前記消火ポンプ装置を制御する制御部と、
前記ポンプを始動/停止する始動ボタンと停止ボタンと、
を備え、
前記制御部は、
前記始動ボタンおよび前記停止ボタンの信号、および、遠隔からポンプを運転する遠方起動信号を、それぞれ入力可能な入力部と、
前記ポンプを駆動するための第1の回路部と、
を備え、
前記第1の回路部が、前記始動ボタンおよび前記遠方起動信号のうち少なくともひとつの信号入力にてセットされ、且つ前記停止ボタンの信号入力によってリセットされる第1の接点信号が出力される自己保持回路にて構成され、
前記第1の接点信号がセットされているときに、前記遠方起動信号の信号入力の有無に伴ってON状態またはOFF状態となる遠方起動表示信号が、前記制御部と信号のやり取りが可能な運転パネルに表示され、
前記制御部は、
運転方法設定手段から出力された設定信号に応じて、機側起動と遠方起動かを判断する運転方法判断手段と、
前記運転方法判断手段によって機側起動と判断された場合に、起動/停止入力手段から出力された起動/停止指令に従って、前記ポンプを起動または停止する試験運転用起動/停止手段と、
を備える、制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、演算部を備えた電子回路部を更に有し、
前記制御部と前記運転パネルは、それぞれの演算部にて処理された情報を、通信可能な通信部を有し、
前記制御部は、前記遠方起動表示信号を通信にて前記運転パネルに送信し、
前記運転パネルは受信した当該遠方起動表示信号を表示する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、演算部を備えた電子回路部を更に有し、
前記制御装置は、
前記ポンプの試験運転指令が入力される前記電子回路部より出力される運転指令にてONまたはOFFされる第2の接点信号が出力される第2の回路部と、
前記第1の接点信号と前記第2の接点信号との論理和にて、前記駆動機に供給する電源を導通または遮断する論理和回路と、
を有する
、請求項1または2に記載の制御装置。
【請求項4】
作業者が前記ポンプの運転、前記ポンプの試験運転および前記遠方起動の状態を、同時に確認できるよう、前記停止ボタンが設けられた運転パネル上に、前記ポンプの運転状態を表示する運転表示手段、前記ポンプの試験運転を表示する試験運転表示手段、および、前記遠方起動表示信号を表示す
る遠方起動信号表示手段が配置されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記ポンプを始動/停止するための方法を複数有し、
前記運転パネルは、当該複数の方法の中から、前記運転パネルの操作によって前記ポンプを運転/停止する機側起動を優先できる運転方法設定手段を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記運転方法設定手段が
、前記機側起動を優先させるように切り替える操作時に始動するタイマーを備え、
当該タイマーが所定時間経過後に、前記機側起動による起動/停止指令の優先を解除する、請求項5に記載の制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記遠方起動信号に応じて遠方起動か否かを判断する遠方起動信号判断部を有し、
前記運転パネルは、前記遠方起動信号判断部による判断の結果、出力された前記遠方起動表示信号に応じて、遠方起動であることを認識可能に表示する遠方起動信号表示手段を更に備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項8】
前記ポンプ
について、試験運転中の有無を表示する表示部を備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項9】
当該制御装置は、異なる前記ポンプの停止方法を表示可能な外部表示器と接続可能であって、前記外部表示器に、前記遠方起動信号の状態、前記ポンプの試験運転中か否か、前記ポンプの停止方法のうち少なくともひとつの情報を送信する、
請求項1から8のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項10】
ポンプと、
当該ポンプを駆動する駆動機と、
請求項1から9のいずれか一項に記載の制御装置と、
を備える
、消火ポンプ装置。
【請求項11】
請求項10に記載の消火ポンプ装置の状態を表示するための外部表示器であって、
前記ポンプが運転中に、前記遠方起動信号の信号入力の有無に伴って選択された前記ポンプの停止方法を表示する
、外部表示器。
【請求項12】
ポンプと、当該ポンプを駆動する駆動機と、前記ポンプの制御盤とを備えた消火ポンプ装置において、運転中の前記ポンプを停止する場合
に実行されるポンプ停止方法であって、
前記消火ポンプ装置のポンプ停止方法は、
火災運転中
であるか試験運転中であるかを判定する第1の工程と、
前記第1の工程で試験運転中であると判定された場合には、試験運転中の停止方法を実行する第2の工程と、
前記第1の工程で火災運転中であると判定された場合には、遠方から前記ポンプを運転する遠方起動信号がON状態
であるか否かを判定する第3の工程と、
前記第3の工程で前記遠方起動信号がON状態であると判定された場合には、遠方運転中の停止方法を実行
する第4の工程と、
前記第3の工程で前記遠方起動信号がON状態でないと判定された場合には、機側運転中の停止方法を実行
する第5の工程と、
を含む、消火ポンプ装置のポンプ停止方法。
【請求項13】
ポンプと、当該ポンプを駆動する駆動機と、を備えた消火ポンプ装置を制御する制御装置であって、
前記消火ポンプ装置を制御する制御部と、
前記ポンプを始動/停止する始動ボタンと停止ボタンと、を備え、
前記制御部は、
前記始動ボタンおよび前記停止ボタンの信号、および、遠隔からポンプを運転する遠方起動信号を、それぞれ入力可能な入力部と、
前記ポンプを駆動するための第1の回路部と、を備え、
前記第1の回路部が、前記始動ボタンおよび前記遠方起動信号のうち少なくともひとつの信号入力にてセットされ、且つ前記停止ボタンの信号入力によってリセットされる第1の接点信号が出力される自己保持回路にて構成され、
前記第1の接点信号がセットされているときに、前記遠方起動信号の信号入力の有無に伴ってON状態またはOFF状態となる遠方起動表示信号が、前記制御部と信号のやり取りが可能な運転パネルに表示され、
前記制御装置は、前記ポンプを始動/停止するための方法を複数有し、
前記運転パネルは、当該複数の方法の中から、前記運転パネルの操作によって前記ポンプを運転/停止する機側起動を優先できる運転方法設定手段を有する、
前記制御装置は、前記運転方法設定手段が前記機側起動を優先させるように切り替える操作時に始動するタイマーを備え、
当該タイマーが所定時間経過後に、前記機側起動による起動/停止指令の優先を解除する、制御装置。
【請求項14】
ポンプと、
当該ポンプを駆動する駆動機と、
請求項13に記載の制御装置と、
を備える消火ポンプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、消火ポンプ装置、外部表示器及び消火ポンプ装置の停止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建物には、火災時に放水するための消火ポンプ装置が設置されている。この消火ポンプ装置には、火災発生時に確実に作動することが求められるが、平常時は停止した状態であるため、メンテナンスにて動作確認を行う必要がある。(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
火災時に確実に起動できるよう定期的に装置の運転が行われる。ここで、消火ポンプ装置の運転方法の一例としては、点検員が消火ポンプ装置側(以下、機側という)の運転パネルの始動、停止ボタンの操作信号にてポンプが運転/停止する「機側起動」と、消火ポンプ装置から離れた遠隔からの信号にてポンプが運転/停止する「遠方起動」の二つの方法があり、更に、「遠方起動」には、「火災発生信号の入力」や「手動による入力操作」等がある。このように消火ポンプ装置には、火災発生時の運転方法として、複数の運転方法を有する。また、運転方法には、これら火災発生時の運転方法に加えてメンテナンス時用の試験運転方法も含まれる。これら複数の運転方法のうち消火ポンプ装置が備える全ての方法にてポンプが正確に運転されるかを定期的に確認する必要がある。なぜならば、消火ポンプ装置の異常として、操作ボタンの不具合や起動信号を出力する信号線の断線等も考えられ、何れの異常でも火災発生時にポンプが起動できなくなるおそれがあるからである。しかしながら、点検員が、ポンプの起動を確認し、現場で消火ポンプ装置の運転パネルの停止操作を行おうとしたときに、「遠方起動」等の起動指令の信号が入力されたままであると、運転パネルからの操作を受け付けず、その結果、作業員が停止ボタンを何度も押下して破損するおそれや、停止ボタンの故障を誤認してしまう、といった問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、運転中のポンプの停止方法が識別可能な制御装置、消火ポンプ装置、外部表示器及び消火ポンプ装置の停止方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る制御装置は、ポンプと、当該ポンプを駆動する駆動機と、を備えた消火ポンプ装置の制御装置であって、前記消火ポンプ装置を制御する制御部と、前記ポンプを始動/停止する始動ボタンと停止ボタンと、を備え、前記制御部は、前記始動ボタンおよび前記停止ボタンの信号、および、遠隔からポンプを運転する遠方起動信号を、それぞれ入力可能な入力部と、前記ポンプを駆動するための第1の回路部と、を備え、前記第1の回路部が、前記始動ボタンおよび前記遠方起動信号のうち少なくともひとつの信号入力にてセットされ、且つ前記停止ボタンの信号入力によってリセットされる第1の接点信号が出力される自己保持回路にて構成され、前記第1の接点信号がセットされているときに、前記遠方起動信号の信号入力の有無に伴ってON状態またはOFF状態となる遠方起動表示信号が、前記制御部と信号のやり取りが可能な運転パネルに表示される。
【0007】
この構成によれば、遠隔からポンプを運転する信号が入力されているか否かが運転パネルに表示される。これにより、遠方起動信号が入力中であることを、現場で作業員が把握することができるので、作業員は、遠方起動信号の入力をOFFにした後、停止操作を行う、といった運転中のポンプの停止方法が識別可能であり、作業員が停止ボタンを何度も押下して破損するおそれや、停止ボタンの故障を誤認してしまう、といった問題の発生を未然に防ぐことができる。
【0008】
本発明の第2の態様に係る制御装置は、第1の態様に係る制御装置であって、前記制御部は、演算部を備えた電子回路部を更に有し、前記制御部と前記運転パネルは、それぞれの演算部にて処理された情報を、通信可能な通信部を有し、前記制御部は、遠方起動表示信号を通信にて前記運転パネルに送信し、前記運転パネルは受信した当該遠方起動表示信号を表示する。
【0009】
この構成によれば、第1の回路部にて使用される信号である遠方起動表示信号を電子回路部に入力し、電子回路部は、通信によって当該遠方起動表示信号を運転パネルに送信するので、専用の信号線を追加することなく、配線を簡略化できる。
【0010】
本発明の第3の態様に係る制御装置は、第1または2の態様に制御装置であって、前記制御部は、演算部を備えた電子回路部を更に有し、前記ポンプの試験運転指令が入力される前記電子回路部より出力される運転指令にてONまたはOFFされる第2の接点信号が出力される第2の回路部と、前記第1の接点信号と前記第2の接点信号との論理和にて、前記駆動機に供給する電源を導通または遮断する論理和回路と、を有する。
【0011】
この構成によれば、試験運転時は、ポンプの運転と停止を電子回路部にて制御するため、異常で停止する等、第1の回路部よりも複雑な制御を行うことができる。また、火災時に電子回路部が暴走しても、第1の回路部によってポンプの運転が継続できる。
【0012】
本発明の第4の態様に係る制御装置は、第1から3のいずれか態様に係る制御装置であって、作業者が前記ポンプの運転、前記ポンプの試験運転および前記遠方起動の状態を、同時に確認できるよう、前記停止ボタンが設けられた運転パネル上に、前記ポンプの運転状態を表示する運転表示手段、前記ポンプの試験運転を表示する試験運転表示手段、および、前記遠方起動表示信号を表示する前記遠方起動信号表示手段が並べて配置されている。
【0013】
この構成によれば、作業者がポンプの運転、試験運転および遠方起動の状態を、同時に確認することができる。
【0014】
本発明の第5の態様に係る制御装置は、第1から4のいずれかの態様に係る制御装置であって、前記ポンプを始動/停止するための方法を複数有し、前記運転パネルは、当該複数の方法の中から、前記運転パネルの操作によって前記ポンプを運転/停止する機側起動を優先できる運転方法設定手段を有する。
【0015】
この構成によれば、運転パネルの操作によって前記ポンプを運転/停止する機側起動を優先するように設定できる。
【0016】
本発明の第6の態様に係る制御装置は、第5の態様に係る制御装置であって、前記運転方法設定手段が前記機側起動を優先させるように切り替える操作時に始動するタイマーを備え、当該タイマーが所定時間経過後に、前記機側起動による起動/停止指令の優先を解除する。
【0017】
この構成によれば、機側起動に切り替えた後、一定時間経過後に、自動的に機側起動の優先を解除できるので、機側起動を優先した際の戻し忘れで、他の方法にて(例えば遠方から)起動/停止できなくなる事態を未然に防止することができる。
【0018】
本発明の第7の態様に係る制御装置は、第1から6のいずれかの態様に係る制御装置であって、前記制御部は、前記遠方起動信号に応じて遠方起動か否かを判断する遠方起動信号判断部を有し、前記運転パネルは、前記遠方起動信号判断部による判断の結果、出力された遠方起動表示信号に応じて、遠方起動であることを認識可能に表示する遠方起動信号表示手段を更に備える。
【0019】
この構成によれば、作業員は、機側において遠方起動によるポンプ運転状態である事を確認でき、利便性が向上する。
【0020】
本発明の第8の態様に係る制御装置は、第1から7のいずれかの態様に係る制御装置であって、前記ポンプの試験運転中であれば、試験運転の停止方法を表示する表示部を備える。
【0021】
この構成によれば、作業員は、試験運転の停止方法を把握することができる。
【0022】
本発明の第9の態様に係る制御装置は、第1から8のいずれかの態様に係る制御装置であって、当該制御装置は、異なる前記ポンプの停止方法を表示可能な外部表示器と接続可能であって、前記外部表示器に、前記遠方起動信号の状態、前記ポンプの試験運転中か否か、前記ポンプの停止方法のうち少なくともひとつの情報を送信する。
【0023】
この構成によれば、外部表示器に、遠方起動信号の状態、ポンプの試験運転中か否か、前記ポンプの停止方法が表示されるので、作業員は、運転パネルから離れていても、外部表示器を確認することで、遠方起動信号の状態、ポンプの試験運転中か否か、ポンプの停止方法を把握することができる。
【0024】
本発明の第10の態様に係る消火ポンプ装置は、ポンプと、当該ポンプを駆動する駆動機と、第1から9のいずれかの態様に係る制御装置と、を備える。
【0025】
本発明の第11の態様に係る消火ポンプ装置は、第10の態様に係る消火ポンプ装置であって、当該消火ポンプ装置の状態を表示するための外部表示器を備え、前記外部表示器は、前記ポンプが運転中に、前記遠方起動信号の信号入力の有無に伴って選択された前記ポンプの停止方法を表示する。
【0026】
この構成によれば、外部表示器に、ポンプの停止方法が表示されるので、作業員は、ポンプの停止方法をより具体的に把握することができる。
【0027】
本発明の第12の態様に係る消火ポンプ装置の運転方法は、消火ポンプ装置を停止する場合、火災運転中且つ遠方起動信号がON状態の場合、遠方運転中の停止方法を実行し、火災運転中且つ遠方起動信号がOFF状態の場合、機側運転中の停止方法を実行し、試験運転中の場合、試験運転中の停止方法を実行する。
【0028】
この構成によれば、それぞれの場合で、消火ポンプ装置を停止することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明の一態様によれば、遠隔からポンプを運転するための信号が入力された状態でポンプを運転している場合に、当該信号の入力状態が運転パネルに表示される。これにより、遠隔起動の信号が入力中であることを、現場で作業員が把握することができるので、作業員は、運転中のポンプの停止方法が識別可能であり、作業員が、遠隔起動の信号が入力中であるのに気が付かずに機側の停止ボタンを何度も押下して破損するおそれや、停止ボタンの故障を誤認してしまう、といった問題の発生を未然に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本実施形態の消火ポンプ装置の全体の構成を示す図である。
【
図6】本実施形態に係る消火ポンプ装置の概略機能ブロック図である。
【
図7】本実施形態に係る運転パネルの概略正面図の一例である。
【
図8】本実施形態に係る消火ポンプ装置の回路構成の概略図である。
【
図9】本実施形態に係る消火ポンプ装置の停止方法の一例を示すフローチャートで ある。
【
図10】消火ポンプ装置の状態を表示可能な外部表示器の表示内容を示す図である 。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、各実施形態について、図面を参照しながら説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0032】
図1は、本実施形態の消火ポンプ設備の全体の構成を示す図であって、この例では、消火ポンプ設備は、消火ポンプ10とそれに付随する周辺機器を共通ベース11上に搭載してユニット化して構成された給水ユニット12と、3つの階で個別に作動する放水システム14と、水源である地下水槽16及び補助高置水槽17と、これらを結ぶ配管とから構成され、火災発生時に給水ユニット12が水源の水を放水システム14に給水して消火を行うことができるようになっている。
【0033】
給水ユニット12内には、
図2ないし
図4に具体的に示すように、消火ポンプ(単にポンプともいう)10、駆動機の一例である駆動用電動機18、制御盤20が備えられる。そして、本実施形態の給水ユニット12には、呼水槽22、加熱防止逃がし装置24、及びこれらを連通する配管、フレキシブルパイプ(可撓管継手)、逆止弁70、仕切弁71、試験用流量計測装置68、ポンプ始動用の圧力検知器72、吸い込み配管カバー、吸い込み配管用フート弁、後述する起動用圧力タンク74等が設けられている。また呼水槽22の水位を計測する水位センサ75が設けられており、駆動用電動機18の温度を計測する温度センサ81が設けられている。なお、温度センサ81は、駆動用電動機18ではなく、消火ポンプ10の温度を検出してもよい。圧力検知器72、温度センサ81、及び水位センサ75、後述する電流検出器CT1と電流検出器CT2等を総称してセンサともいう。消火ポンプ10は、ポンプ本体とこれを駆動する駆動用電動機18とが共通ベース11上で直結した直結形か、一体化された直動形で運転される。制御盤20には、電源線25が接続され、これには電源切換手段26を介して常用電源27と非常用電源28が接続されている。
【0034】
図5は、制御盤の正面図である。制御盤20は詳細を後述する消火ポンプ10を制御する制御基板である制御部40を収容する。制御部40は記憶部、入出力ポート、演算部等を備えるCPU(Central Processing Unit)45を含む電子部品等で構成された電子回路部46を含み、制御盤20面には、消火ポンプ10を操作する上に必要な、操作スイッチ、液晶表示器、7セグメントLEDまたは運転パネル42(
図5及び
図7参照)、各種設定を入力するスイッチやボタン、設定器が取付けられている。また、運転パネル42は記憶部、入出力ポート、及び演算部等を備えるCPU(Central Processing Unit)を含む電子部品等で構成された電子回路部126を含み、制御部40と通信にて各種情報を共有し、給水ユニット12の各種状態を表示する。また、制御盤20内には、作業者が、試験運転指令による消火ポンプ10の運転/停止を操作可能な操作スイッチ20aが設けられている。
【0035】
制御盤20に設けられた各種操作スイッチは、機械式有接点スイッチや無接点スイッチを使用してもよい。運転パネル42は、液晶表示器に、文字・数字・記号をセグメントで表示したり、セグメント表示で状態を表示したり、ドットマトリクスで表示を行う。LED表示器を使用して、液晶表示器と同様な表示をすることができる。LED表示器の場合は、記載した文字周辺で、表示灯を点灯・消灯して表示をしても良く、また、表示灯の点灯色を切り替えて点灯表示しても良い。運転パネル42は、そのON/OFF状態を示す表示ランプ部150を備え、当該表示ランプ部150には、電源の導通を示す電源表示手段151、消火ポンプ10の運転状態を示す運転表示手段152、消火ポンプ10の停止状態を示す停止表示手段153、消火ポンプ10の電動機過電流を示す電動機過電流表示手段154、呼水槽の減水を示す呼水槽減水表示手段155、詳細を後述する試験運転表示手段121、遠方起動信号表示手段122を備える。表示ランプ部150は、各状態のONまたはOFF状態にて点灯または消灯する、例えば、LED等にて構成される。
【0036】
また、
図5に示すように、給水ユニット12は、その状態を表示可能な外部表示器300と無線または有線で接続されるとよい。外部表示器300は、スマートフォンやパソコン、タブレット等の汎用の通信端末でもよいし、専用の通信端末でもよい。外部表示器300は例えば、制御部40または/および運転パネル42と通信可能なアプリケーションを実行することで、外部表示器300として機能する。なお、外部表示器300は、運転パネル42と同様の機能を有してもよい。その場合、下記、外部表示器300が運転パネル42の一例となる。
【0037】
建築物内の各階には、放水手段である閉鎖型のスプリンクラーヘッド50を含む放水システム14が設けられている(
図1参照)。この放水システム14は、消火ポンプ10から建物の上下方向に沿って延びる主配管52と、主配管52から各階において分岐する各階配管54と、各階の所定領域において各階配管54から分岐し天井に沿って延びる領域配管56と、領域配管56に沿って互いに所定間隔を置いて設けられたスプリンクラーヘッド50とを備えている。主配管52の末端は例えば屋上等に配置された補助高置水槽17に開閉弁58及び逆止弁60を介して接続されている。各階配管54の所定箇所には、必要に応じて補助散水栓62が設けられている。各領域配管56の末端には、末端試験弁64と圧力表示器66が取付けられている。
【0038】
消火ポンプ10の吸込側は吸い込み配管10aを介して水源である地下水槽16に連結されている。消火ポンプ10の上側には、消火ポンプ10の内部のキャビティに呼水を与える呼水槽22が設けられている。この呼水槽22には、消火ポンプ10自体により、あるいは外部の給水手段により、常時一定レベルの水位が維持されるようになっており、また、消火ポンプ10の性能が当初の能力を有していることを確認するための試験装置68が設けられている。
【0039】
主配管52の基端部分(給水ユニット12に接続する側)には、逆止弁70が設けられ、その下流側の開閉弁71との間には圧力検知器72が設けられ、さらに、起動用圧力タンク74に接続する起動用配管76が合流している。起動用圧力タンク74内は所定のガス圧(最上階のスプリンクラーヘッド50から放水が可能な圧力)を維持するように管理され、常時、主配管52以降の各配管内の水に所定圧力を負荷している。各階配管54には、自動警報器78がそれぞれ設けられている。自動警報器78の出力は受信器80を介して、また圧力検知器72の出力は直接にそれぞれ制御盤20に導かれている。
【0040】
上記の構成の消火ポンプ設備の動作を説明する。建物の所定の領域において火災が発生すると、その領域のスプリンクラーヘッド50が火災を検知し、例えば、その先端を封じるヒューズメタルが溶けて開口し、起動用圧力タンク74によって加圧された配管内の水が当該領域に散水される。この散水によって起動用圧力タンク74の内圧は急激に低下し、その低下信号を検知して制御部40は消火ポンプ10を起動する。具体的には、起動用圧力タンク74に設けられた圧力スイッチが火災検出器として作用し、当該低下信号が制御部40に入力されることで、制御部40は消火ポンプ10を起動する。同時に、スプリンクラーヘッド50が作動した階の各階配管54において自動警報器78が水の流通を検知し、その信号が制御部40に入力されれば、どの階で火災が発生したかが判断され、制御部40はその階で放水が可能なように消火ポンプ装置の制御を行うこともできる。
【0041】
<制御部と運転パネルの機能>
図6は、本実施形態に係る消火ポンプ装置の概略機能ブロック図である。
図6に示すように、消火ポンプ装置Sは、消火ポンプ10と、消火ポンプ10を駆動する駆動用電動機18と、制御部40と、当該制御部40と信号のやり取りが可能な運転パネル42と、を備える。駆動用電動機18は例えば三相の商用電源CPに動力線で接続されている。消火ポンプ装置Sの一実施形態は上述の給水ユニット12である。また、本実施形態の商用電源CPに代えて、電源切換手段26を介して接続された常用電源27または非常用電源28が用いられてもよい。
【0042】
更に消火ポンプ装置Sは、商用電源CPから駆動用電動機18までのU相の配線の電流を検知する電流検出器CT1と、商用電源CPから駆動用電動機18までのW相の配線の電流を検知する電流検出器CT2とを備える。電流検出器CT1と電流検出器CT2は制御部40に接続されている。更に消火ポンプ装置Sは、リレー回路RCを備え、このリレー回路RCがセットされることで、商用電源CPと駆動用電動機18間の配線が導通され、リレー回路RCがリセットされることで、商用電源CPと駆動用電動機18間の配線が遮断される。
【0043】
制御部40は、起動/停止判断手段111と、異常判断手段112と、起動/停止判断手段111に接続された火災運転用起動/停止手段113と、起動/停止判断手段111に接続され且つ異常判断手段112に接続された試験運転用起動/停止手段114と、遠隔の管理装置(図示せず)に接続された端子T1を備える。更に制御部40は、火災運転用起動/停止手段113に接続され且つ試験運転用起動/停止手段114に接続されたポンプ駆動手段115を備える。ポンプ駆動手段115の出力はリレー回路RCに接続され、リレー回路RCを介して駆動用電動機18に供給される電力を通電または遮断することによって、消火ポンプ10の駆動と停止を制御する。ポンプ駆動手段115は、火災運転用起動/停止手段113の出力信号と試験運転用起動/停止手段114の出力信号とを論理和する、例えばリレー回路である。
【0044】
起動/停止判断手段111は、制御部40に設けられた入出力ポートを含む回路にて構成される。また、起動/停止判断手段111は、少なくともその一部の機能がCPU45またはCPU45の演算部によって実行される制御ソフトウエアによって実現されてもよい。異常判断手段112、および、試験運転用起動/停止手段114は、少なくともその一部の機能がCPU45またはCPU45の演算部によって実行される制御ソフトウエアによって実現される。また、試験運転用起動/停止手段114には、更に、後述を詳細するリレー回路(第2の回路部、
図6不図示、
図7参照)が含まれる。火災運転用起動/停止手段113は、後述を詳細するリレー回路(第1の回路部)にて構成される。このように、火災運転用起動/停止手段113がCPU45を介さずにリレー回路(第1の回路部)にて構成されるため、火災発生中の温度上昇や電源供給が不安定な状況下でCPU45が暴走しても、誤ってポンプを停止してしまうことがない。これにより、火災運転用起動/停止手段113は、誤停止することなく火災運転を継続できる。また、試験運転用起動/停止手段114は、その一部の機能がCPU45にて実行される制御ソフトウエアにて構成されるため、試験運転中の制御として、異常時には故障する前に停止させるなど、運転制御の設計自由度が高いといった効果を有することができる。
【0045】
起動/停止判断手段111は、試験運転か火災時の運転かを示す運転情報を通信にて運転パネル42へ出力する。ここで起動/停止判断手段111は、端子T1、T2、および、火災検知器に接続された運転方法判断手段130を有する。火災検知器または、遠隔の管理装置から端子T1に入力された、遠方からの火災/試験の起動/停止指令が運転方法判断手段130に入力される。これにより、運転方法判断手段130は、遠方起動と判断した場合において、火災検知器または端子T1の信号の状態が遠方からの「火災」の起動/停止指令のとき、火災運転用起動/停止手段113に、火災起動/停止指令を出力し、端子T1の信号の状態が遠方からの「試験」の起動/停止指令の場合、試験運転用起動/停止手段114に、試験起動/停止指令を出力する。この結果、遠方から火災または試験で、消火ポンプ10を起動または停止することができる。また、運転方法判断手段130は、「消火ポンプ10の運転中」且つ「遠方からの火災起動信号の入力あり」の状態を、「遠方起動信号」のON状態、「消火ポンプ10の停止中」または「遠方からの火災起動信号の入力なし」の状態を、「遠方起動信号」のOFF状態として、当該ON状態またはOFF状態を運転パネル42の遠方起動信号表示手段122へ、通信を介して出力する。
【0046】
一方、操作スイッチ20aが作業員から試験運転をする旨の操作を受け付けた場合、操作スイッチ20aから、試験運転指令が端子T2を介して運転方法判断手段130へ入力される。運転方法判断手段130は、試験運転指令が入力された場合、起動と判断し、試験起動指令を、試験運転用起動/停止手段114に、試験起動指令を出力する。
【0047】
起動/停止判断手段111は、試験運転の有無を選択可能なスイッチ111aを有する。スイッチ111aにて「試験運転有」が選択されている場合、上述の条件に従って試験運転用起動/停止手段114へ試験起動指令を出力する。スイッチ111aにて「試験運転無」が選択されている場合、試験運転による運転を不可とする。つまり、上述の条件に関わらず、試験運転用起動/停止手段114へ試験起動指令を出力しない。これにより、専門の知識を持つ点検員以外の第3者によって試験運転を実施されることを防止できる。本実施形態では試験運転の有無を選択可能なスイッチ111aは起動/停止判断手段111に設けられている。一実施形態でスイッチ111aは、試験運転用起動/停止手段114に設けられても、運転パネル42の一機能として設けられてもよい。また、試験運転用起動/停止手段114にて試験運転を行わない、といった判断を行ってもよい。
【0048】
異常判断手段112は、端子CN18を介して電流検出器CT1に接続され、端子CN19を介して電流検出器CT2に接続されている。異常判断手段112は、電流検出器CT1によって検出された電流値、及び/または電流検出器CT2によって検出された電流値を用いて、過負荷(起動不良)が発生したか否か判断する。更に、異常判断手段112は、他の異常(呼水槽の減水、吐出し圧力の異常低下等)が発生したか否か判断する。異常判断手段112は、異常が発生したと判断した場合、異常を示す信号を試験運転用起動/停止手段114に出力する。
【0049】
ここで、異常判断手段112の処理の具体例について説明する。異常判断手段112は、例えば、電流検出器CT1及び/または電流検出器CT2によって検出された電流値が電流値異常上昇に該当する場合(例えば電流値が電流閾値以上の場合)、予め記憶された反時限特性を用いた電子サーマル機能にて電流値の異常を検出した場合、漏電ブレーカ(不図示)が漏電を検出した場合、または各種センサ(例えば圧力検知器72、温度センサ81、及び/または水位センサ75)によって検出された一つ以上の検出値が温度異常、圧力異常低下、及び/または呼水槽22の水位低下に該当する場合には、異常が発生したと判断してもよい。温度異常は例えば、消火ポンプ10または駆動用電動機18の温度が温度閾値以上の場合である。圧力異常低下は、吐出し圧力が圧力閾値以下の場合であってもよいし、吐出し圧力が圧力閾値以下且つ、電流値が電流閾値以下、又は小水量検出であってもよい。また呼水槽22の水位低下は、水位が水位閾値以下であってもよい。
【0050】
火災運転用起動/停止手段113(第1の回路部)は、火災起動/停止指令が入力された場合、火災起動指令の場合、ポンプ駆動手段115に起動信号を出力し、火災停止指令の場合、消火ポンプ10停止信号を出力するよう制御する。具体的には、火災起動指令の場合、例えばリレー回路RCをセットすべくポンプ駆動手段115に出力する第1の接点信号をセットして自己保持し、火災停止指令の場合、リレー回路RCをリセットすべく、自己保持した第1の接点信号をリセットする。火災運転用起動/停止手段113(第1の回路部)は、火災起動指令(始動ボタン141、および、端子T1への入力信号または火災検知器の入力信号である遠方起動信号のうち少なくともひとつ)の信号入力にてセットされ、火災停止指令(停止ボタン142)の信号入力によってリセットされる信号(第1の接点信号)を出力する自己保持回路にて構成される。これにより、火災起動指令の場合、消火ポンプ10が駆動され、火災停止指令が入力されて消火ポンプ10が停止されるまでの間、異常や停電が発生しても停止させることなく、消火ポンプ10の運転を継続させることができる。また、遠方起動信号が入力されている間は、火災停止指令(停止ボタン142)が入力されても、制御部40は、消火ポンプ10の運転を継続する。
【0051】
同様に試験運転用起動/停止手段114(第2の回路部)は、試験起動/停止指令が入力された場合、試験起動指令の場合、ポンプの運転を開始するよう制御し(具体的には例えばポンプ駆動手段115にON信号(第2の接点信号)を出力し)、試験停止指令の場合、ポンプの運転を停止するよう制御する(具体的には例えば、ポンプ駆動手段115に出力したON信号の出力を中断する)。これにより、試験起動指令の場合、消火ポンプ10が駆動され、試験停止指令の場合、消火ポンプ10が停止される。また、消火ポンプ10の運転中に停電が発生しても、復電時にはCPU45がリセットされるため消火ポンプ10は停止した状態で復帰する。これにより、作業者が意図しない試験運転を避けることができる。
【0052】
また試験運転用起動/停止手段114は、異常判断手段112から異常(起動不良)が入力された場合、運転指令を中断し、ポンプの運転を停止するよう制御する(具体的には例えばポンプ駆動手段115への出力を中断する)。これにより、異常が発生した場合に消火ポンプ10を停止させることができる。
【0053】
運転パネル42は、試験運転表示手段121、遠方起動信号表示手段122、運転方法設定手段123、起動/停止入力手段124、及びタイマー125を備える。
試験運転表示手段121は、制御部40の起動/停止判断手段111から出力される運転情報が試験運転を示す場合、試験運転であることを認識可能に表示する。
【0054】
遠方起動信号表示手段122は、運転方法判断手段130から出力された「遠方起動信号」を認識可能に表示する。具体的には例えば遠方起動信号表示手段122は、遠方起動信号が入力されている場合、遠方起動信号が入力中であることを認識可能に表示する。これにより、現在、遠方起動信号が入力中か否かを作業員(例えば、点検員)が確認することができるので、作業者が停止ボタン142を入力しても、制御部40は消火ポンプ10の運転を継続することを認識できる。
【0055】
起動/停止入力手段124は、起動または停止の操作を当該作業員(例えば、点検員)から受け付け、受け付けた操作に応じた起動/停止指令を出力する。具体的には例えば、起動/停止入力手段124は、起動の操作を受け付けた場合には、起動指令を出力し、停止の操作を受け付けた場合には、停止指令を出力する。つまり、起動/停止入力手段124は、起動入力手段、停止入力手段の一例である。
【0056】
運転方法設定手段123は、制御装置40が有する複数の、消火ポンプ10を始動/停止するための方法の中から、運転パネル42の操作によって消火ポンプ10を運転/停止する機側起動を優先できる。本実施形態では、運転方法設定手段123は、運転パネル42の操作によって消火ポンプ10を運転/停止する機側起動と、端子T2に入力される信号によってポンプを運転/停止する試験起動とを作業員(例えば、点検員)が切り替える操作を受け付け、当該受け付けた操作に応じた設定信号を制御部40に出力する。
これに応じて、制御部40の運転方法判断手段130は、運転方法設定手段123から出力された設定信号に応じて、消火ポンプ10を始動/停止するための方法を判断する。試験運転用起動/停止手段114は、運転方法判断手段130によって機側起動と判断された場合、起動/停止入力手段124から出力された起動/停止指令に従って、ポンプを起動または停止する。
【0057】
この構成により、端子T2に入力された信号によって消火ポンプ10が試験運転している場合であっても、現場で作業員(例えば、点検員)が、運転方法設定手段123に機側起動に切り替える操作をすれば、運転パネル42の停止ボタン142の操作によって消火ポンプ10を停止することができる。そして、その後の、起動/停止入力手段124を介して、作業員(例えば、点検員)が起動を入力すれば、ポンプを起動することができるので、遠方起動信号が入力されたままの状態に設定されている場合であっても現場でポンプを起動停止することができる。
【0058】
タイマー125は、始動後、一定時間経過後に通知する。運転方法設定手段123は、機側起動に切り替える操作を受け付け、機側起動を優先した場合、タイマー125を始動させ、一定時間経過後にタイマーからの通知を受信した場合、当該通知を運転方法判断手段130へ出力する。この構成により、機側起動に切り替えた後、一定時間経過後に、自動的に機側起動の優先を解除できるので、機側起動を優先した際の戻し忘れで、他の方法にて(例えば遠方から)起動/停止できなくなる事態を未然に防止することができる。
【0059】
更に、運転方法判断手段130は、遠方起動を示す設定信号が入力された場合、「遠方起動信号」を遠方起動信号表示手段122へ出力する。遠方起動信号表示手段122は、運転方法判断手段130から出力された遠方起動信号に応じて、遠方起動信号が入力中であることを認識可能に表示する。これにより、作業員は、機側において遠方起動によるポンプ運転状態である事を確認でき、利便性が向上する。
【0060】
図7は、本実施形態に係る運転パネルの概略正面図の一例である。
図7に示すように、運転パネル42は、試験運転表示手段121の一例として表示灯が示されており、試験運転時に点灯する。遠方起動信号表示手段122の一例として表示灯が示されており、例えば、遠方起動信号が入力中(ON状態)の場合に点灯し遠方起動信号が入力中でない(OFF状態)の場合に消灯してもよいし、遠方起動信号が入力中(ON状態)の場合に第1の色で点灯し、遠方起動信号が入力中でない(OFF状態)場合に第2の色で点灯してもよい。なお、一実施形態として、試験運転表示手段121および遠方起動信号表示手段122は、運転パネル42には有しておらず、外部表示器300でのみ表示してもよい。
【0061】
起動/停止入力手段124は、例えば、始動ボタン141と、停止ボタン142とを有する。機側起動の場合において、始動ボタン141が押されると、消火ポンプ10が起動し、後述する所定の条件下にて停止ボタン142が押されると、消火ポンプ10が停止する。
【0062】
図8は本実施形態に係る消火ポンプ装置の回路構成の概略図である。
図8に示すように、
図6にてその機能を説明した制御部40の回路構成の一例である制御部400は、起動入力手段である始動ボタン141および停止入力手段である停止ボタン142の信号、および、遠隔からポンプを運転する遠方起動信号を、それぞれ入力可能な入力部40aと、消火ポンプ10を駆動するための第1の接点信号を出力する第1の回路部104と、を備える。ここで第1の回路部104は、火災運転用起動/停止手段113の一例である。また、運転パネル420は、
図6にてその機能を説明した運転パネル42の回路構成の一例である。
【0063】
第1の回路部104は、運転パネル420から入力される始動ボタン141および端子T1から入力される遠方起動信号のうち少なくともひとつの信号入力にてセットされ、運転パネル420から入力される停止ボタン142の信号入力によってリセットされる第1の接点信号が出力される自己保持回路にて構成される。そして、第1の回路部104が出力する第1の接点信号がセットされているときに、遠方起動信号の信号入力の有無に伴ってON状態またはOFF状態となる遠方起動表示信号が、運転パネル420の遠方起動信号表示手段122に表示される。これにより、遠方起動信号の入力があれば、消火ポンプ10を停止する手段として停止ボタン142が使えないが、このように遠方起動信号表示手段122の表示を行うことによって、操作者は遠方起動中であり停止ボタン142が使用できないことを把握することができる。
【0064】
制御部400は、電子回路部46、センサ入力部102、通信部103、第1の回路部104、第2の回路部105、論理和回路106を更に備える。電子回路部46は、演算部を含むCPU45を有する。通信部103は、CPU45にて送受信される信号を例えば、RS485、RS232C等に変換する通信ドライバであって、CPU45の演算部にて処理された情報は、運転パネル420の通信部127と通信にて送受信が可能である。
【0065】
センサ入力部102は、入力されたセンサ101の検出値のA/D変換等の信号処理を行い、当該信号処理した検出値を、異常判断部453へ出力する。ここでセンサ101は例えば、電流検出器、温度計、圧力スイッチ、または呼水槽水位である。
電子回路部46は、遠方起動信号が入力された場合、通信部103から遠方起動表示信号を通信にて運転パネル420に送信する。そして、運転パネル420は受信した当該遠方起動表示信号を表示する。ここで、電子回路部46のCPU45は、遠方起動信号判断部451と、自動点検処理部452、異常判断部453、試験運転運転指令判断部454として機能する。
【0066】
遠方起動信号判断部451は、遠方起動信号が入力された場合、遠方起動と判断する。
自動点検処理部452は、自動点検用オプション基板200から入力された自動点検信号に応じて、自動点検処理を実行する。自動点検処理では、例えば予め設定された周期で消火ポンプ10を起動/停止させる。自動点検信号が試験運転起動を示す場合、自動点検処理部452は、試験運転起動信号を試験運転運転指令判断部454へ出力する。一方、自動点検信号が試験運転停止を示す場合、自動点検処理部452は、試験運転停止信号を試験運転運転指令判断部454へ出力する。
【0067】
異常判断部453は、センサ入力部102から入力された検出値に応じて、異常の有無を判断する。異常判断部453は、異常と判断した場合、停止信号を試験運転運転指令判断部454へ出力する。上述の異常判断手段112は、一例として異常判断部453にて構成される。 試験運転運転指令判断部454は、入力される自動点検信号に応じて、運転指令を第2の回路部105へ出力する。また、試験運転運転指令判断部454は、異常判断部453から停止信号を受けた場合、運転指令をOFF状態にする。上述の起動/停止判断手段111は、一例として、その機能一部が試験運転運転指令判断部454によって構成される。
【0068】
第1の回路部104は、ポンプを駆動するためのものである。第1の回路部は、始動ボタン141および遠方起動信号のうち少なくともひとつの信号入力にてセットされ、且つ停止ボタンの信号入力によってリセットされる第1の接点信号が出力される自己保持回路にて構成される。そして、制御部400のCPU45は、第1の接点信号がセットされているときに、遠方起動信号の信号入力の有無に伴ってON状態またはOFF状態となる遠方起動表示信号を、運転パネル420に表示させる。具体的には例えば、制御部400は、遠方起動信号が入力された場合、遠方起動表示信号を通信にて運転パネル420に送信し、運転パネル420は受信した当該遠方起動表示信号を表示する。これにより、通信によって遠方起動表示信号が運転パネル420に送信されるので、配線を簡略化できる。つまり、例えば、制御部400は、外部から遠方起動信号が入力された場合、当該外部から入力された遠方起動表示信号を、第1の回路部104(
図8の矢印Y1)とCPU46の遠方起動信号判断部451(
図8の矢印Y2)とに入力する。第1の回路部104に入力された遠方起動表示信号は消火ポンプ10を運転すべく第1の接点信号として論理和回路100に出力される。一方、CPU46に入力された遠方起動表示信号は、通信部103を介して通信にて運転パネル420に送信し、運転パネル420は受信した当該遠方起動表示信号を表示する。このように、通信によって遠方起動表示信号が制御部400から運転パネル420に送信されるので、専用の配線を設ける場合に比して配線を簡略化できる。
【0069】
第2の回路部105は、試験運転用起動/停止手段114の一例である。第2の回路部105は、電子回路部46より出力される運転指令にてONまたはOFFされる第2の接点信号が出力される。
ポンプ駆動手段115の一例である論理和回路106は、第1の接点信号と第2の接点信号との論理和にて、駆動機に供給する電源(CP)を導通または遮断するリレーRCをセットまたはリセットする。
【0070】
運転パネル420は、記憶部、入出力ポート、及び演算部等を備えるCPU128を含む電子部品等で構成された電子回路部126を有する。また、運転パネル420は、運転方法設定手段123を含む設定手段120を有する。また、運転パネル420は、起動入力手段の一例である始動ボタン141、停止入力ボタン142の一例である停止入力手段142を有する。
【0071】
また、運転パネル420は、制御部400の通信部103と通信可能な通信部127を有する。この通信部127は、通信データを制御部400の通信部103に送受信するための通信ドライバである。この通信データには、各種設定、運転/停止状態、各種異常、ポンプ運転、ポンプ停止、試験運転中、遠方起動信号等の情報が含まれる。
また、運転パネル420は、表示部129を備える。この表示部129には、電子回路部126にて制御される液晶表示器、7セグメントLED、表示ランプ等が備えられ、電源の導通の有無、運転状態、停止状態、各種異常の有無(例えば電動機過電流の有無、呼水槽の減水など)、試験運転中の有無、遠方起動信号の有無が表示される。
【0072】
続いて、
図9を用いて本実施形態に係る消火ポンプ装置のポンプ停止方法の一例について説明する。上述したように、制御部400に入力される信号によって、運転中の消火ポンプ10の停止方法が異なる。
図9は本実施形態に係る消火ポンプ10の停止方法の一例を示すフローチャートである。
【0073】
(ステップS10)まず、作業者は、火災運転中か否か判断する。つまり、火災運転中か試験運転中かを判断する。
【0074】
(ステップS20)ステップS10で火災運転中と判断された場合、作業者は、遠方起動信号が点灯しているか否か判断する。つまり、外部から入力された遠方起動信号がON状態かOFF状態かを判断する。
【0075】
(ステップS30)ステップS20で、運転パネル420の遠方起動信号が点灯している場合(すなわち遠方起動信号がON状態の場合)、運転中の消火ポンプ10の停止方法は、以下に説明する停止方法1の遠方運転中の停止方法である。
【0076】
(ステップS40)ステップS20で、運転パネル420の遠方起動信号が点灯していない場合(すなわち遠方起動信号がOFF状態の場合)、運転中の消火ポンプ10の停止方法は、以下に説明する停止方法2の機側運転中の停止方法である。
【0077】
(ステップS50)ステップS10で火災運転中ではない(すなわち試験運転中)と判断された場合、運転中の消火ポンプ10の停止方法は、以下に説明する停止方法3の試験運転中の停止方法である。
このように、消火ポンプ10を停止する場合、作業者は、火災運転中且つ遠方起動信号がON状態の場合、遠方運転中の停止方法を実行し、火災運転中且つ遠方起動信号がOFF状態の場合、機側運転中の停止方法を実行し、試験運転中の場合、試験運転中の停止方法を実行する。
【0078】
(停止方法1:遠方起動表示信号のON状態の時の停止方法)
以下のステップにて運転中の消火ポンプ10は停止される。つまり、遠方起動信号表示手段122に遠方起動表示信号のON状態が表示(つまり、遠方起動信号表示手段122が点灯)されていれば、作業者は、運転中の消火ポンプ10を停止する方法として以下のステップが必要であることを認識できる。
ステップ1:端子T1に入力されている遠方起動表示信号をOFF状態とする。
ステップ2:停止ボタン142を押下する。
つまり、この場合、消火ポンプ10を停止させる条件として、停止ボタン142を押下する前に入力されている遠方起動表示信号をOFF状態とする必要がある。
【0079】
(停止方法2:遠方起動表示信号のOFF状態の時の停止方法)
以下のステップにて運転中の消火ポンプ10は停止される。つまり、遠方起動信号表示手段122に遠方起動表示信号のOFF状態が表示(つまり、遠方起動信号表示手段122が消灯)されていれば、作業者は、運転中の消火ポンプ10を以下のステップの方法で停止できることを認識できる。
ステップ1:停止ボタン142を押下する。
つまり、この場合、消火ポンプ10を停止させる条件として、停止ボタン142を押下するのみでよい。
【0080】
(停止方法3:試験運転中の停止方法)
以下のステップにて運転中の消火ポンプ10は停止される。つまり、試験運転表示手段121に試験運転中が表示(つまり、試験運転表示手段121が点灯)されていれば、作業者は、運転中の消火ポンプ10を以下のステップの方法で停止できることを認識できる。
ステップ1:操作スイッチ20aを停止の位置にする。
言い換えれば、ステップ1は、端子T1に入力されている試験運転用起動の信号をOFF状態とする。
【0081】
このように、運転中の消火ポンプ10は、遠方起動表示信号の有無(ON状態またはOFF状態)に伴って、停止方法が異なる。本実施形態で作業者は、遠方起動信号表示手段122を確認することによって、運転中の消火ポンプ10の停止方法が識別可能となる。これにより、作業者が、遠方起動表示信号のON状態に気付かずに、消火ポンプ10を停止しようと、作業員が停止ボタン142を何度も押下して破損してしまうのを抑制できる。
【0082】
また、制御部400は、演算部を備えた電子回路部であるCPU45を有し、制御部400と運転パネ420は、それぞれの演算部にて処理された情報を、通信可能な通信部を有し、遠方起動表示信号は、制御部400が備えるCPU45に入力され、CPU45は、当該入力された遠方起動表示信号を通信にて運転パネル420に送信し、運転パネル420は受信した当該遠方起動表示信号を表示する。これにより、信号線の配線を省略できる。また、CPU45が火災運転用起動/停止手段113(第1の回路部104)と絶縁されれば、火災下でCPU45が暴走してしまっても、火災運転用起動/停止手段113に、その影響が及ばない。
【0083】
また、制御部400は、CPU45より出力される運転指令にてONまたはOFFされる第2の接点信号が出力される試験運転用起動/停止手段114(第2の回路部105)と、第1の接点信号と第2の接点信号との論理和回路106にて、駆動機18に供給する電源CPを導通または遮断する。これにより、火災発生時には、停止ボタン142が入力されるまで試験運転に関わらず、消火ポンプ10を運転できる。
【0084】
更に、試験運転か否かを示す信号は、制御部400が備えるCPU45に入力され、CPU45は、当該入力された信号を通信にて運転パネル420に送信し、運転パネル420は受信した当該信号を試験運転表示手段121に表示する。
【0085】
ここで、消火ポンプ装置Sにおいて、停止ボタン142を入力しても消火ポンプ10が停止されない場合、以下の要因が考えられる。
(1)停止ボタン142の故障、信号線の断線等の運転パネル420または/および制御部400の異常。
(2)外部機器からの遠方起動表示信号の入力が継続している状態。
(3)操作スイッチ20aにて試験運転指令が入力された状態。
作業者は、(1)の場合、装置の異常であって、制御部400や運転パネル420を交換する等の処置が必要だが、(2)(3)は、正常な動きであるため、特に処置する必要がない。そのため、消火装置Sは、作業者が容易に(1)または(2)(3)を判断できるしくみが求められる。
【0086】
特に、(2)に記す「遠方起動表示信号」が、消火設備に設けられる火災検出器から出力される信号である場合、当該火災検出器の仕様によって出力される信号の仕様は様々であることが想定される。そのため、遠方起動表示信号が表示されない従来技術では、作業者は、運転パネル420の停止操作後に消火ポンプ10が停止しないと、遠方(例えば消火ポンプ10が設置されたフロアと異なるフロア)に設置された火災検知器の出力状態を確認しに行く必要があった。それに比して、本実施形態では、運転パネル420の遠方起動信号表示手段122の表示を確認すれば(1)運転パネル420(停止ボタン142)の異常か(2)遠方起動表示信号の入力による状態保持かの判断ができる。なぜならば、停止ボタン142の異常であれば、運転パネル420の遠方起動信号表示手段122が、消灯しているためである。つまり、運転表示手段152の点灯且つ試験運転表示手段121の消灯、且つ、遠方起動信号表示手段122の消灯の状態にて、作業者は、停止ボタン142を操作しても、消火ポンプ10が停止しない場合は、(1)運転パネル420(停止ボタン142)の異常と判断できる。
【0087】
また、本実施形態では、作業者が消火ポンプ10の運転と試験運転と遠方起動の状態を、同時に確認できるよう、停止ボタン142が設けられた運転パネル420上に、当該各状態を示す専用の表示手段(本実施形態ではLED)である運転表示手段152、試験運転表示手段121、遠方起動信号表示手段122を配置している。(
図7参照)これにより、作業者は、停止ボタン142の操作から上述の判断までの作業の流れを、よりスムーズに行うことができる。なお、本実施形態では、運転パネル420上に、当該各状態を示す専用の表示手段(本実施形態ではLED)である運転表示手段132、試験運転表示手段121、遠方起動信号表示手段122を同時に視認できる位置に配置している。一実施形態では、試験運転表示手段121、遠方起動信号表示手段122に代えて、または加えて、運転パネル420に設けられた液晶表示器、7セグメントLEDに試験運転、遠方起動信号が選択的に表示されてもよい。
【0088】
図10は、消火ポンプ装置の状態を表示可能な外部表示器の表示内容を示す図である。上述した停止方法1~3は、消火ポンプ装置Sの状態を表示可能な外部表示器300にて表示されるとよい。なお、
図10は、停止方法を文字で説明しているが、表示器42や端子T1、T2を模したグラフィックや写真などを用いてもよい。
図10の(A)(B)(C)は、それぞれ上述の停止方法1、2、3を示す内容であればよい。また、
図10の(A)(B)(C)では、『遠方運転中』『機側運転中』『試験運転中』といった表示を、停止方法1、2、3と併せて表示している。これにより作業者は、消火ポンプ10の運転状況も同時に確認でき、作業性が向上する、といった効果も奏することができる。なお、本実施形態では、『遠方運転中』『機側運転中』『試験運転中』を文字情報として示したが、一実施形態として、
図7の運転パネル42に示す運転表示手段152、遠方起動信号表示手段122および試験運転表示手段121を模したグラフィック等にて表示してもよい。運転パネル42と表示に統一することで、作業者は、誤認することなく停止方法を認識できる。
【0089】
制御部40、400は、消火ポンプ10の運転中に、遠方起動信号の信号入力の有無、または/および試験運転中か否かの情報に伴って選択されるポンプの停止方法1から3を表示可能な外部表示器300と、無線または有線通信にて接続可能である。そして、制御部40、400は、外部表示器300に、遠方起動信号の状態、試験運転中か否か、前記ポンプの停止方法のうち少なくともひとつを外部表示器300に送信する。外部表示器300は、受信したデータに基づいて、該当する停止方法の画面(A)~(C)の中から何れかを、予め記憶された画面の中から選択もしくは新規に画面を作成して表示する。
【0090】
なお、本実施形態では、演算部を有する制御部40、400、運転パネル42、420および/または、外部表示器300のうち何れでも遠方起動信号の信号入力の有無、または/および試験運転中か否かの情報に基づいて、停止方法1から3の選択を行うことができる。つまり、演算部を有する制御部40、400、運転パネル42、420および/または、外部表示器300のうち何れかで、
図9に示すフローチャートを実行する制御プログラムを備え、当該制御プログラムは、消火ポンプ10の運転中に常時または定期的(例えば、数msec毎に)実行される。このように係る消火ポンプ装置Sは、各種状態にて異なる停止方法を解り易く示すことができるので、作業者の利便性を向上させることができる。なお、一実施形態として、該当する停止方法1から3のうち、何れかを運転パネル42、420に表示してもよい。
【0091】
以上、本実施形態に係る消火ポンプ装置Sは、制御部40、400と当該制御部40、400と信号のやり取りが可能な運転パネル42を備える消火ポンプ装置である。運転パネル42は、当該運転パネルの操作によってポンプを運転/停止する機側起動を優先すべく、切り替える操作を受け付け、当該受け付けた操作に応じた設定信号を出力する運転方法設定手段123と、起動または停止の操作を当該使用者から受け付け、受け付けた操作に応じた起動/停止指令を出力する起動/停止入力手段124と、を有する。
制御部40、400は、運転方法設定手段123から出力された設定信号に応じて、機側起動と遠方起動かを判断する運転方法判断手段130と、機側起動と判断された場合、起動/停止入力手段124から出力された起動/停止指令に従って、ポンプを起動または停止する試験運転用起動/停止手段114と、を有する。
【0092】
この構成によれば、遠方起動に設定されている場合であっても、現場で使用者(例えば、点検員)が、運転方法設定手段123に機側起動に切り替える操作をすれば、機側起動を優先することができる。そして、その後の、起動/停止入力手段124を介して、使用者(例えば、点検員)が停止を入力すれば、他の起動方法にて運転中のポンプを停止することができるので、他の起動方法にて運転されている場合であっても機側にてポンプを停止することができる。
【0093】
以上、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0094】
40、400 制御部
42、420 運転パネル(表示部)
111 起動/停止判断手段
130 機側/遠方判断手段
112 異常判断手段
113 火災運転用起動/停止手段
114 試験運転用起動/停止手段
115 ポンプ駆動手段
121 試験運転表示手段
122 遠方起動信号表示手段
123 運転方法設定手段
124 起動/停止入力手段
125 タイマー
141 始動ボタン
142 停止ボタン
CN18 端子
CN19 端子
CP 商用電源
CT1 電流検出器
CT2 電流検出器
P ポンプ
M 駆動用電動機
S ポンプユニット
T1、T2 端子