(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-31
(45)【発行日】2024-06-10
(54)【発明の名称】ノズル及び基板洗浄装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20240603BHJP
B05B 1/02 20060101ALI20240603BHJP
B05B 1/04 20060101ALI20240603BHJP
B08B 3/02 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
H01L21/304 643C
B05B1/02 101
B05B1/04
B08B3/02 A
(21)【出願番号】P 2020139153
(22)【出願日】2020-08-20
【審査請求日】2023-03-10
(31)【優先権主張番号】P 2019183439
(32)【優先日】2019-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230112025
【氏名又は名称】小林 英了
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【氏名又は名称】大野 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100106840
【氏名又は名称】森田 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100174137
【氏名又は名称】酒谷 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】中川 洋一
【審査官】堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-283772(JP,A)
【文献】特開2015-193105(JP,A)
【文献】特開平06-283492(JP,A)
【文献】特開2015-177015(JP,A)
【文献】特開2010-245404(JP,A)
【文献】特開2013-175681(JP,A)
【文献】特開2014-212237(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B08B 3/02
B05B 1/04
B05B 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板洗浄用の微小気泡を発生させるノズルであって、
長手方向に延びる中空の筐体と、
前記筐体内に設けられ、前記筐体内を複数の空間に区画する複数の板材と、
を備え、
前記筐体の上面または側面には、ガス溶解液が流入し且つ前記板材によって区画された空間のうち最も上の空間に連通する流入口が設けられており、
前記板材それぞれには、複数の貫通孔が設けられており、
前記筐体の下面には、前記板材によって区画された空間のうち最も下の空間に連通するスリットが設けられて
おり、
前記スリットは、前記筐体の長手方向に沿って設けられている
ノズル。
【請求項2】
前記板材は複数あり、
複数の板材のうち第1の板材より下方に設けられた第2の板材において、貫通孔の数が第1の板材の貫通孔の数より多いか、及び/または、貫通孔の大きさが第1の板材の貫通孔の大きさ以下である
請求項1に記載のノズル。
【請求項3】
前記筐体または前記ガス溶解液を加熱する加熱手段を備える
請求項1または2に記載のノズル。
【請求項4】
前記加熱手段は、前記筐体に設けられた電熱部材である
請求項3に記載のノズル。
【請求項5】
前記加熱手段は、赤外線を前記筐体に照射する赤外線照射器である
請求項3に記載のノズル。
【請求項6】
前記加熱手段は、前記筐体の内部を流通する所定の温度以上の媒体である
請求項3に記載のノズル。
【請求項7】
前記加熱手段は、前記筐体の表面を流通する所定温度以上の媒体である
請求項3に記載のノズル。
【請求項8】
基板洗浄用のノズルであって、
ガス溶解液が供給されるヘッダ管と、
前記ヘッダ管から供給されたガス溶解液から、微小気泡を含む液体を生成して吐出する
複数の微小気泡発生ノズルと、
スリットが設けられており、前記微小気泡発生ノズルから吐出された液体がスリットから排出される整流手段と、
を備え
、
前記複数の微小気泡発生ノズルは、長手方向に沿って並んでおり、
前記スリットは、前記長手方向に沿って設けられている
ノズル。
【請求項9】
請求項1から
8のいずれか一項に記載のノズルを備える
基板洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【関連出願との相互参照】
【0001】
本出願は、2019年10月4日に出願された日本国特許出願第2019-183439号の利益を主張するものであり、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【分野】
【0002】
本技術は、ノズル及び基板洗浄装置に関する。
【技術と要約】
【0003】
微小気泡(例えば、マイクロバブル)を発生させるノズルは、基板処理工程で利用されている。例えば、国際公開WO2011/052111では、四角形状の基板に対して、円筒形状の噴射ノズルをヘッダ本体に複数配列し、基板の移動方向に対して垂直に配置されており、噴射ノズルからオゾンマイクロバブル水を基板に吹き付けている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、噴射ノズルが等配列のため、噴射ノズル間で空白領域が生じ、微小気泡(例えば、マイクロバブル)を含む液を均一に吹き付け対象物(例えば基板)上へ吹き付けることが実現できないという問題がある。
【0005】
本技術は、上記問題に鑑みてなされたものであり、微小気泡を含む液を吹き付け対象物(例えば基板)へ吹きかける場合の均一性を向上させることを可能とするノズル及び基板洗浄装置を提供することが望まれる。
【0006】
一実施の形態のノズルは、微小気泡を発生させるノズルであって、中空の筐体と、前記筐体内に設けられ、前記筐体内を複数の空間に区画する複数の板材と、を備え、前記筐体の上面または側面には、ガス溶解液が流入し且つ前記板材によって区画された空間のうち最も上の空間に連通する流入口が設けられており、前記板材それぞれには、複数の貫通孔が設けられており、前記筐体の下面には、前記板材によって区画された空間のうち最も下の空間に連通するスリットが設けられている。
【0007】
一実施の形態の基板洗浄装置は上記に記載のノズルを備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】第1の実施形態に係る基板洗浄装置の概略構成図である。
【
図1B】第1の実施形態に係るノズルの概略斜視図である。
【
図2A】配管4を外した場合のノズル1の概略斜視図である。
【
図2D】第1の実施形態の第1の変形例に係る縦断面図である。
【
図2E】第1の実施形態の第2の変形例に係る縦断面図である。
【
図2F】スペーサ184b、194bが別体の場合において、第1の実施形態の第2の変形例に係るノズル1a2の一部の組み立て工程を示す模式図である。
【
図2G】スペーサ184b、194bが一体物の場合において、第1の実施形態の第2の変形例に係るノズル1a2の一部の組み立て工程を示す模式図である。
【
図3D】スリット16の実現方法の別の例を説明するための図である。
【
図4A】第1の実施形態に係るノズルから液体が吐出される様子を示す模式図である。
【
図5】第1の実施形態に係るノズルから基板に微小気泡を含む液体を吐き出される様子を示す模式図である。
【
図6】第1の実施形態に係るノズルから基板に微小気泡を含む液体を吐き出される様子を示す模式図である。
【
図7A】変形例1に係る板材21bの平面図である。
【
図7B】変形例1に係る板材22bの平面図である。
【
図7C】変形例1に係る板材23bの平面図である。
【
図8A】変形例2に係る板材21cの平面図である。
【
図8B】変形例2に係る板材22cの平面図である。
【
図8C】変形例2に係る板材23cの平面図である。
【
図9A】第2の実施形態に係るノズルの概略斜視図である。
【
図10】第3の実施形態に係るノズルの概略斜視図である。
【
図11A】第4の実施形態に係るノズルの概略斜視図である。
【
図12A】第5の実施形態に係るノズルの概略斜視図である。
【
図13A】第6の実施形態に係るノズルの概略斜視図である。
【
図13B】第6の実施形態の変形例に係るノズルの概略斜視図である。
【
図14】第1の比較例に係るノズルの概略斜視図と基板上への吹き付けパターンを示す図である。
【
図15】第2の比較例に係るノズルの概略斜視図である。
【
図16】第3の比較例に係るノズルの概略斜視図である。
【
図17】第4の比較例に係るノズルの概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、各実施形態について、図面を参照しながら説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0010】
一実施の形態の第1の態様に係るノズルは、微小気泡を発生させるノズルであって、中空の筐体と、前記筐体内に設けられ、前記筐体内を複数の空間に区画する複数の板材と、を備え、前記筐体の上面または側面には、ガス溶解液が流入し且つ前記板材によって区画された空間のうち最も上の空間に連通する流入口が設けられており、前記板材それぞれには、複数の貫通孔が設けられており、前記筐体の下面には、前記板材によって区画された空間のうち最も下の空間に連通するスリットが設けられている。
【0011】
この構成によれば、板材を通ることによって気液分離した液とガス気泡が板材それぞれを通過する過程で、その気泡サイズが微小化され、板材によって区画された空間のうち最も下の空間に到達する際には、微小気泡を含む液体が生成される。この微小気泡を含む液体がスリットを介して吐き出される。よって、微小気泡を含む液体を吹き付け対象物(例えば基板)へ吹きかける場合の均一性を向上させることができる。
【0012】
一実施の形態の第2の態様に係るノズルは、第1の態様に係るノズルであって、前記板材は複数あり、複数の板材のうち第1の板材より下方に設けられた第2の板材において、貫通孔の数が第1の板材の貫通孔の数より多いか、及び/または、貫通孔の大きさが第1の板材の貫通孔の大きさ以下である。
【0013】
この構成によれば、気泡サイズを微小化することができる。
【0014】
一実施の形態の第3の態様に係るノズルは、第1または2の態様に係るノズルであって、前記筐体または前記ガス溶解液を加熱する加熱手段を備える。
【0015】
この構成によれば、吹き付け対象物(例えば基板)に吹き付けられる直前の液体を加熱することでガス溶解度を意図的に下げ、気泡の発生を促進する。またこの構成によれば、ノズルに供給される直前のガス溶解液は例えば常温であり、濃度管理は容易である。また、ノズルを通過し、昇温後の液体を吹き付け対象物(例えば基板)に吹き付けるために、昇温されたガス溶解液を高い圧力にて保持しておく必要がなくなる。
【0016】
一実施の形態の第4の態様に係るノズルは、第3の態様に係るノズルであって、前記加熱手段は、前記筐体に設けられた電熱部材である。
【0017】
この構成によれば、電熱部材によって筐体もしくはノズルを通過する液体を加熱することができる。
【0018】
一実施の形態の第5の態様に係るノズルは、第3の態様に係るノズルであって、前記加熱手段は、赤外線を前記筐体に照射する赤外線照射器である。
【0019】
この構成によれば、赤外線によって筐体が加熱されることによって、ノズルを通過する液体を加熱することができる。
【0020】
一実施の形態の第6の態様に係るノズルは、第3の態様に係るノズルであって、前記加熱手段は、前記筐体の内部を流通する所定の温度以上の媒体である。
【0021】
この構成によれば、所定の温度以上の媒体が筐体の内部を通ることによって、筐体が加熱されることによって、ノズルを通過する液体を加熱することができる。
【0022】
一実施の形態の第7の態様に係るノズルは、第3の態様に係るノズルであって、前記加熱手段は、前記筐体の表面を流通する所定温度以上の媒体である。
【0023】
この構成によれば、筐体の表面を加熱することができ、ノズルを通過する液体を加熱することができる。
【0024】
一実施の形態の第8の態様に係るノズルは、第1から7のいずれかの態様に係るノズルであって、前記スリットは、前記筐体の長手方向に沿って設けられている。
【0025】
この構成によれば、一列に均一に、微小気泡を含む液体を吹き付け対象物(例えば基板)へ吹きかけることができる。
【0026】
一実施の形態の第9の態様に係るノズルは、ガス溶解液が供給されるヘッダ管と、前記ヘッダ管から供給されたガス溶解液から、微小気泡を含む液体を生成して吐出する複数の微小気泡発生ノズルと、スリットが設けられており、前記微小気泡発生ノズルから吐出された液体がスリットから排出される整流手段と、を備える。
【0027】
この構成によれば、微小気泡を含む液体を整流して均一に排出するので、微小気泡を含む液体を吹き付け対象物(例えば基板)へ吹きかける場合の均一性を向上させることができる。
【0028】
一実施の形態の第10の態様に係る基板洗浄装置は、第1から9のいずれかの態様に係るノズルを備える。
【0029】
この構成によれば、板材を通ることによって気液分離した液とガス気泡が板材それぞれを通過する過程で、その気泡サイズが微小化され、板材によって区画された空間のうち最も下の空間に到達する際には、微小気泡を含む液体が生成される。この微小気泡を含む液体がスリットを介して吐き出される。よって、微小気泡を含む液体を基板へ吹きかける場合の均一性を向上させることができる。
【0030】
本技術の実施形態の理解を促進するために、まず比較例について説明する。
<第1の比較例>
図14は、第1の比較例に係るノズルの概略斜視図と基板上への吹き付けパターンを示す図である。
図14の上側の図が、第1の比較例に係るノズルの概略斜視図であり、
図14の下側の図が、基板上への吹き付けパターンを示す図である。
図14に示すように第1の比較例に係るノズル100は、円筒形状の複数のマイクロバブル発生ノズル102をヘッダ管101に配列させたものである。マイクロバブル発生ノズル102は、マイクロバブルを発生させるノズルであり、吹き出し領域S11で示すように、マイクロバブルを含む液を吹き出す。
【0031】
この場合、
図14の下側の基板上への吹き付けパターンP2に示すように、基板W3上に、マイクロバブルを含む液が噴射されない領域が生じてしまう問題がある。また、吹き付けのムラができてしまう問題もある。
【0032】
<第2の比較例>
図15は、第2の比較例に係るノズルの概略斜視図である。
図15に示すように、第2の比較例に係るノズル110は、マイクロバブルを発生させるマイクロバブル発生ノズル111と、マイクロバブル発生ノズル111の一端と連通する液供給口を有するヘッダ管112とを備える。ヘッダ管112の下面にはスリット(図示せず)が設けられている。これにより、このヘッダ管112の下面に設けられたスリットから、吹き出し領域S12で示すように、マイクロバブルを含む液が排出される。
【0033】
このヘッダ管112の下面に設けられたスリットにマイクロバブルを含む液が到達するまでの間に、マイクロバブルの一部が消滅してしまう。これにより、
図15の領域R2では領域R1に比べて、マイクロバブルの密度が低くなり、スリットから吐出される液に含まれるマイクロバブルにムラが生じるという問題がある。
【0034】
<第3の比較例>
図16は、第3の比較例に係るノズルの概略斜視図である。
図16に示すように、第3の比較例に係るノズル120は、マイクロバブル発生ノズル121と、マイクロバブル発生ノズル121を支持するアーム部材122と、当該アーム部材122が連結されている支柱123とを備える。アーム部材122は、矢印A4に示すように、揺動可能である。
図16の吹き出し領域S13に示すように、マイクロバブル発生ノズル121から、マイクロバブルを含む液が吹き出される。基板W4は、矢印A5の向きに回転する。
【0035】
ノズル吐出液の吹き付け領域の直径が、基板W4の半径より小さいため、基板W4の全域に対して吹き付けを行うためには、アーム部材122を揺動させて基板W4全域に行き渡らせる必要があり、時間がかかるという問題がある。
【0036】
<第4の比較例>
図17は、第4の比較例に係るノズルの概略斜視図である。
図17に示すように、第4の比較例に係るノズル130は、四つのマイクロバブル発生ノズル131と、当該四つのマイクロバブル発生ノズル131が固定されたアーム部材132と、アーム部材132の一端が連結された支柱133とを備える。基板W5は矢印A6の方向に直線状に搬送されていく。この基板W5に対して吹き付けを行う場合には、例えば、アーム部材132の長軸方向(X方向)において、隣り合うマイクロバブル発生ノズル131の中間の位置に相当する基板W5の位置(例えば、破線L1~L3の位置)には吹き付けのムラが出来てしまうという問題がある。
【0037】
これらの問題に対して、各実施形態では、微小気泡を含む液をカーテン状に吹き付け対象物に均一に吹きかけることを実現する。以降の各実施形態において、吹き付け対象物は一例として基板であるものとして説明する。
【0038】
また以降の各実施形態において、微小気泡とは、数mmまでの径の気泡のことを言い、マイクロバブル、ナノバブルも含まれる。
【0039】
<第1の実施形態>
図1Aは、第1の実施形態に係る基板洗浄装置の概略構成図である。
図1Aに示すように、第1の実施形態に係る基板洗浄装置10は、気体(例えばオゾン)が溶解したガス溶解液体を生成する生成器8と、微小気泡を発生させるノズル1と、一端が生成器8と連通しており且つ他端がノズル1と連通している配管4と、基板(図示せず)を下から支持する支持部材9とを備える。生成器8で生成されたガス溶解液は、配管4を通って、ノズル1に供給され、ノズル1から微小気泡を含む液体が排出される。これにより、支持部材9に支持された基板に、微小気泡を含む液体が吹き付けられる。配管4上、もしくは配管4に接続される生成器8の内部の配管には液体の流れを制御するエア駆動弁が取り付けられているが、説明を簡単にするため図示しない。
【0040】
図1Bは、第1の実施形態に係るノズルの概略斜視図である。
図1Bに示すように、第1の実施形態に係るノズル1は、一例として、端面11において、配管4と連結されており、アーム部材2と連結している。アーム部材2は、支柱3に連結しており、ノズル1はアーム部材2を介して支柱3に固定されている。
【0041】
図2Aは、配管4を外した場合のノズル1の概略斜視図である。
図2Aに示すように、ノズル1の端面11には、ガス溶解液が流入する流入口15が設けられている。
【0042】
図2Bは、
図2Aの矢印A1の矢視図である。
図2Bに示すように、下面14には、スリット16が設けられており、スリット16から微小気泡を含む液体が排出される。すなわちスリットは、微小気泡を含む液体が排出される開口である。スリット16は例えば、筐体17の長手方向に沿って設けられている。
【0043】
図2Cは、
図2Aの縦断面Bの断面図である。
図2Cに示すように、ノズル1は、中空の筐体17と、筐体17内に設けられ中空を二つの空間SP1、SP2に区画する板材21、筐体17内に設けられ中空を二つの空間SP2、SP3に区画する板材22、筐体17内に設けられ中空を二つの空間SP3、SP4に区画する板材23を備える。板材21~23は、いずれも複数の貫通孔が設けられている。筐体17は例えば、支持部材175の上に天板部材171が固定されることによって形成されている。この固定は、ボルトを介して連結、もしくは支持部材175を設置した後に支持部材175に対して天板部材171を接着、溶接などすることによって実現される。
【0044】
本実施形態で微小気泡が発生する原理の概要は、気体が十分に溶解している高い圧力の気体溶解液の圧力を、一気に解放することによって溶解しているガスが微小気泡として出てくるというものである。すなわち、溶解ガスを一定圧力下で過飽和させた液体を大気開放させたときに、過飽和分のガス成分が液体中から微小気泡となって発生するというものである。ノズル1内に設置されている板材21(オリフィス部ともいう)を気体溶解液が通過することでこの現象が生じる。オリフィス部の次段に設置されている板材22、23(メッシュ板ともいう)の役目は、析出された微小気泡がメッシュ板に衝突することにより微細化することである。
【0045】
ここで、それぞれの空間SP1~SP4の持つ役割(特徴)について説明する。空間SP1は、ガス溶解液が流入する空間であり、最も圧力が高い。空間SP2において、板材21に設けられた複数の貫通孔を通ることによって、一気に圧力解放され微小気泡が発生する。空間SP3において、微小気泡がさらに微細化される。空間SP4に到達した微小気泡を含む液体は整流されてスリット16から主に圧力により噴射される。板材21~23に設けられた貫通孔(スリット)を通ると圧力が下がるので、空間SP2、SP3、SP4と進む毎に、段階的に圧力が下がる。
【0046】
空間SP1~SP4の高さ寸法(
図2CのY方向の長さ)は0.5mm~20mmが望ましい。
図2Cのように、ノズル内に段差がある場合、例えば、空間SP1~SP4のうちの一つの空間の断面積(例えば、XZ面の断面積すなわち横断面の面積)を基準として、下に隣接する空間の断面積(例えば、XZ面の断面積すなわち横断面の面積)が0.1~1.0の面積比を持つ相似形の形状であることが好ましい。
スリットの幅(
図2CのX方向の長さ)は0.01mm~2mmが望ましい。
【0047】
筐体17の内側面には段差172が設けられている。この段差172の上に板材21が配置されている。ノズル1は、筐体17の天板部材171と板材21との間に設けられたスペーサ181、191を備える。天板部材171が支持部材175に固定されることにより、天板部材171によりスペーサ181、191が板材21を支持部材175の段差172に押し当てて板材21を筐体17の内側に固定している。
【0048】
更に筐体17の内側面には段差173が設けられている。この段差173の上に板材22が配置されている。ノズル1は、板材21と板材22の間に設けられたスペーサ182、192を備える。板材21により、スペーサ182、192が板材22を支持部材175の段差173に押し当てて板材22を固定をしている。
【0049】
更に筐体17の内側面には段差174が設けられている。この段差174の上にスペーサ184、194が設けられている。そして、このスペーサ184、194の上に板材23が設けられている。ノズル1は、板材22と板材23の間に設けられたスペーサ183、193を備える。板材22により、スペーサ183、193が板材23を押し当て更にこの板材23がスペーサ184、194を支持部材175の段差174に押し当てることによって、板材23を筐体17の内側に固定している。すなわち、スペーサ184とスペーサ194は板材23に押されており、板材23はスペーサ183とスペーサ193に押されており、スペーサ183とスペーサ193は板材22に押されており、板材22はスペーサ182とスペーサ192に押されており、スペーサ182とスペーサ192は板材21に押されており、板材21はスペーサ181とスペーサ191に押されており、スペーサ181とスペーサ191は天板部材171に押されている。このように、板材21~23それぞれはスペーサ181~184、191~194により抑え付けられており、その位置がずれることがないようにされている。
【0050】
ここで、スペーサ181、191は別体であっても、一体物であってもよい。同様にスペーサ182、192は別体であっても、一体物であってもよい。同様にスペーサ183、193は別体であっても、一体物であってもよい。同様にスペーサ184、194は別体であっても、一体物であってもよい。別体の場合は棒状で、一体物の場合には四角の枠状であってもよい。一体物の方が、別体よりもノズルの組み立てが容易であるので、より好ましい。
【0051】
図2Cに示すように、流入口15は、板材21によって区画された空間SP1、SP2のうち上の空間SP1に連通する。なお、この流入口15は、上面12に設けられていてもよいし、端面11に対応する端面13に設けられていてもよい。すなわち、筐体17の上面または側面には、ガス溶解液が流入し且つ板材21~23によって区画された空間SP1~SP4のうち最も上の空間SP1に連通する流入口が設けられている。上面12からガス溶解液を供給する場合には、供給口は1つではなく、供給口の位置が等配置になるような複数でもよい。また端面11、端面13から同時に供給をしてもよい。
【0052】
供給される際のガス溶解液の圧力は0~1.0MPaが好ましい。ガス溶解液はまず空間SP1に導入される。
なお、ノズル1の縦断面が
図2Cのように台形である必要はなく、ノズル1内部構造はそのままに、ノズル1の筐体17の縦断面だけ長方形でもあってもよい。内部に板材を収納できる形状であれば、縦断面形状は問わない。
図2Dは、第1の実施形態の第1の変形例に係る縦断面図である。
図2Dに示すように、第1の実施形態の第1の変形例に係るノズル1a1は、
図2Cのノズル1と同様に、支持部材175aの縦断面が階段状に下面にいくに従って(すなわち-Y方向に)先細りする点を共通しているが、筐体17aの縦断面を長方形に変更したものである。
【0053】
図2Dに示すように、ノズル1a1の支持部材175aの内側の底面176にはスペーサが設けられていない点が、
図2Cのノズル1とは異なっている。支持部材175aの具体的な構造は以下の通りである。筐体17aの支持部材175aの内側の段差174aに板材23aが設置されている。板材23aの上にスペーサ183a、193aが設けられている。スペーサ183a、193aの上端の高さと段差173aの高さが同じであり、このスペーサ183a、193aと段差173aの上に板材22aが設けられている。この板材22aの上にスペーサ182a、192aが設けられている。同様に、スペーサ182a、192aの上端の高さと段差172aの高さが同じであり、このスペーサ182a、192aと段差172aの上に板材21aが設けられている。この板材21aの上にスペーサ181a、191aが設けられている。スペーサ181a、191aの上端の高さと支持部材175aの上端の高さが同じであり、このスペーサ181a、191aと支持部材175aの上に天板部材171aが設けられている。また支持部材175aの底面にはスリット16aが設けられている。
【0054】
ここで、スペーサ181a、191aは別体であっても、一体物であってもよい。同様にスペーサ182a、192aは別体であっても、一体物であってもよい。同様にスペーサ183a、193aは別体であっても、一体物であってもよい。同様にスペーサ184a、194aは別体であっても、一体物であってもよい。別体の場合は棒状で、一体物の場合には四角の枠状であってもよい。一体物の方が、別体よりもノズルの組み立てが容易であるので、より好ましい。
【0055】
なお、
図2Cにおいて、ノズル1の支持部材175の縦断面は下面にいくに従って(すなわち-Y方向に)先細り(支持部材175の縦断面が階段構造)となっているが、支持部材175のX方向の幅は、Y方向に略一定であってもよい。但し、
図2Cのようにノズルの縦断面形状が下面にいくに従って先細りの方が、板材21、22、23を段に乗せることで、固定が容易になるため、より好ましい。スペーサの高さを正確にすれば、
図2Eに示すように、階段構造はなくしてもよい。
【0056】
図2Eは、第1の実施形態の第2の変形例に係る縦断面図である。
図2Eに示すように、ノズル1a2は、筐体17bの支持部材175bの内側の底面にスペーサ184b、194bが設けられており、このスペーサ184b、194bの上に板材23bが設けられている。更に板材23bの上に、スペーサ183b、193bが設けられており、このスペーサ183b、193bの上に板材22bが設けられている。更に板材22bの上に、スペーサ182b、192bが設けられており、このスペーサ182b、192bの上に板材21bが設けられている。更に板材21bの上に、スペーサ181b、191bが設けられており、このスペーサ181b、191bの上に天板部材171bが設けられている。また支持部材175bの底面にはスリット16bが設けられている。
【0057】
ここで、スペーサ181b、191bは別体であっても、一体物であってもよい。同様にスペーサ182b、192bは別体であっても、一体物であってもよい。同様にスペーサ183b、193bは別体であっても、一体物であってもよい。同様にスペーサ184b、194bは別体であっても、一体物であってもよい。別体の場合は棒状で、一体物の場合には四角の枠状であってもよい。一体物の方が、別体よりもノズルの組み立てが容易であるので、より好ましい。
【0058】
図2Fは、スペーサ184b、194bが別体の場合において、第1の実施形態の第2の変形例に係るノズル1a2の一部の組み立て工程を示す模式図である。
図2Fに示すように、支持部材175bの内側の底面に、棒状のスペーサ184b、194bを配置し、その後に、スペーサ184b、194bの上に板材23bを配置する。
【0059】
図2Gは、スペーサ184b、194bが一体物の場合において、第1の実施形態の第2の変形例に係るノズル1a2の一部の組み立て工程を示す模式図である。
図2Gに示すように、スペーサ184b、194bは、四角枠の形状を有するスペーサの側面部分を構成する。
図2Gに示すように、支持部材175bの内側の底面に、スペーサ184b、194bを有する四角枠のスペーサを配置し、その後に、このスペーサの上に板材23bを配置する。
【0060】
図3Aは、板材21の平面図の一例である。
図3Bは、板材22の平面図の一例である。
図3Cは、板材23の平面図の一例である。
図3Aに示すように、板材21には一例として、複数の微小径の貫通孔H1(例えば、最大で直径2.0mm程度)が設けられている。
図3Aでは、一例としてこれらの貫通孔H1が等間隔で設けられている。ここでは一例として、貫通孔H2と貫通孔H3の数は略同じで、貫通孔H2と貫通孔H3の大きさは略同一である。貫通孔の軸の角度と板材21、22、23の平面がなす角度は直角でも良いし、直角以外の一定の角度を有してもよい。
【0061】
ガス溶解液は板材21に加工されている貫通孔H1を通過して空間SP2に移動する。ガス溶解液が空間SP2に移動することで供給時のガス溶解液の圧力が解放され、溶解していたガスが発生する。これにより、空間SP2において、ガス溶解液は、気液分離される。空間SP2における液体及びガス(気泡)は、板材22を通過して空間SP3に移動する。板材22には複数の微小径の貫通孔H2(例えば最大で直径2.0mm程度)が設けられている。このため、気泡がこの板材22を通過する過程で、その気泡サイズが微小化する。
【0062】
同様に、空間SP3に到達した液体及びガス(気泡)は、板材23を通過して空間SP4に移動する。板材23には複数の微小径の貫通孔H3(例えば最大で直径2.0mm程度)が設けられている。このため、気泡がこの板材23を通過する過程で、その気泡サイズが微小化する。
【0063】
その結果、空間SP2で気液分離した液とガス気泡が板材22、23それぞれを通過する過程で、その気泡サイズが微小化され空間SP4に到達する際には、微小気泡(例えば、ナノ~マイクロサイズに微小化したバブル)を含む液が生成される。筐体17の下面には、板材21~23によって区画された空間SP1~SP4のうち最も下の空間SP4に連通するスリット16が設けられている。スリット16は、所望のスリットを刃物、ワイヤなどで加工されることによって形成されてもよい。なお、本実施形態では、スリット16は、筐体17の外側の下面に対して直角に設けたが、これに限らず、筐体17の外側の下面に対して直角以外の一定の角度を有してもよく、すなわち筐体17の外側の下面に対して斜めにスリット16が設けられていてもよい。
【0064】
図3Dは、スリット16の実現方法の別の例を説明するための図である。
図3Dは、支持部材175の下面側の一例を示す斜視図である。
図3Dに示すように、スリット16の形状に切り欠きを設けた第1の部分173と第2の部分174とを予め用意し、第1の部分173と第2の部分174とを接着、溶接、ボルト類で締結することによって、支持部材175を形成してもよい。これにより、所望のスリット幅を実現することができる。
【0065】
図4Aは、第1の実施形態に係るノズルから液体が吐出される様子を示す模式図である。
図4Bは、基板に吐出された液体のパターンである。空間SP4に到達した微小気泡を含む液体はスリット16を通過し、
図4Aの液S1に示すように、一列の帯状に吐出される。これにより、
図4BのパターンP1に示すように、基板Wに一列に均一に、微小気泡を含む液体が吹きかけられる。
【0066】
この構成によって、微小気泡を含む液体を、吹き付け対象物の一例である基板上にムラを作ることなく、一列に均一に吹き付けることが可能になる。また、微小気泡を含む液体を、ノズル内で一列に均一に生成させることが可能となるので、微小気泡の数量分布が、一列内の位置に依存することも解消される。
【0067】
図5は、第1の実施形態に係るノズルから基板に微小気泡を含む液体を吐き出される様子を示す模式図である。
図5に示すように、矢印A2の方向に回転する基板W1に対して、吐き出された液体S2が示すように、ノズル1から一列に微小気泡を含む液体が吐き出される。ノズル1から吐き出される一列の範囲は、基板W1の中心から基板W1の外縁までを含む範囲である。これにより、基板W1が回転することによって、基板W1の全面に均一に微小気泡を含む液体を吹きかけることができる。このように、ノズル1を取り付けたアーム部材2を揺動させることなく、基板W1全体に均一に、微小気泡を含む液体を吹き付けることができる。なお、ノズル1から吐き出される一列の範囲は、上記に限らず、基板W1の中心から基板W1の外縁を超える位置までを含む範囲であってもよい。
【0068】
図6は、第1の実施形態に係るノズルから基板に微小気泡を含む液体を吐き出される様子を示す模式図である。
図6に示すように、矢印A3の方向に直線状に基板W2が移動するのに対して、吐き出された液体S3が示すように、ノズル1から一列に微小気泡を含む液体が吐き出される。ノズル1から吐き出される一列の範囲は、基板W2の移動方向に対して略垂直な方向における基板W2の幅を含む範囲である。これにより、基板全体に均一に、微小気泡を含む液体を吹き付けることができる。
【0069】
なお、生成される微小気泡の分布と気泡の径を所望のものにするために、板材21~23に設ける穴形状(丸、長穴、四角、三角)、およびそのサイズ、加工の配列は適宜変更してもよい。さらには、板材21~23の配置数量及び/または空間SP1~SP4の数を増減してもよい。
【0070】
<変形例1>
図7Aは、変形例1に係る板材21bの平面図である。
図7Bは、変形例1に係る板材22bの平面図である。
図7Cは、変形例1に係る板材23bの平面図である。
なお、
図7Aに示すように、変形例1に係る板材21bは、貫通孔H1b(例えば、幅2.0mm程度までのスリット)が一定間隔で設けられていてもよい。
図7Bに示すように、変形例1に係る板材22bは、板材21bの貫通孔H1bより小さい貫通孔が複数設けられていてもよい。また、
図7Bに示すように、変形例1に係る板材22bの貫通孔H2bの数は、板材21bの貫通孔H1bの数より多い。
図7Cに示すように、変形例1に係る板材23bは、板材21bのスリットより小さいスリットが複数設けられていてもよい。また、
図7Cに示すように、変形例1に係る板材23bの貫通孔H3bの数は、板材21bの貫通孔H1bの数より多い。ここでは一例として、貫通孔H2bと貫通孔H3bの数は略同じで、貫通孔H2bと貫通孔H3bの大きさは略同一である。
【0071】
<変形例2>
図8Aに示すように、変形例2に係る板材21cは、スリット(例えば、幅2.0mm程度までのスリット)が連続で設けられていてもよい。
図8Bに示すように、変形例2に係る板材22cは、板材21cの貫通孔H1cより小さい貫通孔H2cが複数設けられていてもよい。また、
図8Bに示すように、変形例2に係る板材22cの貫通孔H2cの数は、板材21cの貫通孔H1cの数より多い。
図8Cに示すように、変形例2に係る板材23cは、板材21cの貫通孔より小さい貫通孔が複数設けられていてもよい。また、
図8Cに示すように、変形例2に係る板材23cの貫通孔H3cの数は、板材21cの貫通孔H1cの数より多い。ここでは一例として、貫通孔H2cと貫通孔H3cの数は略同じで、貫通孔H2cと貫通孔H3cの大きさは略同一である。
【0072】
このように、複数の板材のうち第1の板材(例えば板材21)より下方に設けられた第2の板材(例えば板材22)において、貫通孔の数が第1の板材(例えば板材21)の貫通孔より多いか、及び/または、貫通孔の大きさが第1の板材(例えば板材21)の貫通孔(例えば板材22)の大きさ以下である。この構成によれば、気泡サイズを微小化することができる。
【0073】
以上、第1の実施形態に係るノズルは、微小気泡を発生させるノズル1であって、中空の筐体17と、筐体17内に設けられ、当該筐体内を複数の空間に区画する複数の板材21~23と、を備える。筐体17の上面または側面には、ガス溶解液が流入し且つ板材21~23によって区画された空間のうち最も上の空間SP1に連通する流入口が設けられており、板材21~23それぞれには、複数の貫通孔が設けられており、筐体17の下面には、板材21~23によって区画された空間のうち最も下の空間SP4に連通するスリット16が設けられている。
【0074】
この構成により、板材21を通ることによって気液分離した液とガス気泡が板材22または23それぞれを通過する過程で、その気泡サイズが微小化され、板材によって区画された空間のうち最も下の空間SP4に到達する際には、微小気泡を含む液体が生成される。この微小気泡を含む液体がスリット16を介して吐き出される。よって、微小気泡を含む液体を基板へ吹きかける場合の均一性を向上させることができる。
なお、本実施形態において、複数の板材21~23は筐体の下面に略平行に設けられたが、これに限らず、筐体の下面に対して平行ではない角度が設けられていてもよい。また、本実施形態において、複数の板材21~23同士は、略平行に設けられたが、これに限らず、平行ではない角度が設けられていてもよい。
【0075】
続いて第2~第5の実施形態について説明する。第2~第5の実施形態において、第1の実施形態に比べて、ノズルが、筐体17またはガス溶解液を加熱する加熱手段を備える点が異なっている。これにより、基板に吹き付けられる直前の液体を加熱することでガス溶解度を意図的に下げ、気泡の発生を促進する。またこの構成によれば、ノズルに供給される直前のガス溶解液(例えば、オゾン水)は例えば常温であり、濃度管理は容易である。また、ノズルを通過し、昇温後の液体を基板に吹き付けるために、昇温されたガス溶解液を高い圧力にて保持しておく必要がなくなる。
【0076】
第2~第5の実施形態において、加熱手段の態様が互いに異なっている。その詳細について以下説明する。
【0077】
<第2の実施形態>
まず、第2の実施形態について説明する。
図9Aは、第2の実施形態に係るノズルの概略斜視図である。
図9Bは、
図9Aの縦断面Cの断面図である。
図9Aの第2の実施形態に係るノズル1bは、
図2Aの第1の実施形態に係るノズル1に比べて、電熱部材41に電気を供給するための配線5が追加されたものになっている。
図2A及び
図2Bと同様の構成についても同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0078】
第2の実施形態において、
図9Bに示すように、加熱手段は、筐体17bに設けられた電熱部材(例えば電熱線)41であり、ここでは一例として筐体17bの内部に設けられている。電熱部材41は、配線5と接続されており、配線5によって供給された電流によって加熱する。電熱部材41によって筐体17が加熱されることによって、ノズル1bを通過する液体を加熱することができる。
【0079】
なお、電熱部材41は、筐体17の表面に設けられていてもよいし、筐体17の内表面に設けられて、ガス溶解液を直接加熱してもよい。
【0080】
<第3の実施形態>
続いて第3の実施形態について説明する。
図10は、第3の実施形態に係るノズルの概略斜視図である。
図10の第3の実施形態に係るノズル1cは、
図2Aの第1の実施形態に係るノズル1に比べて、赤外線照射器51及び赤外線照射器51を支柱3に固定するアーム部材52が追加されたものになっている。
図2Aと同様の構成についても同一の符号を付し、その説明を省略する。第3の実施形態において、
図10に示すように、加熱手段は、筐体17に対向する面から赤外線を照射することによって、赤外線を筐体17に照射する赤外線照射器51である。これにより、赤外線によって筐体17が加熱されることによって、ノズル1cを通過する液体を加熱することができる。
図10内では赤外線照射器は1つを図示しているが、筐体17のノズルを挟んで対面側にもう一つを設置し、ノズルの両面から加熱をしてもよい。さらには、液供給を側面11、12から行う場合には筐体17の上方に赤外線照射器を設置して、3方向からの加熱をしてもよい。
【0081】
<第4の実施形態>
続いて第4の実施形態について説明する。
図11Aは、第4の実施形態に係るノズルの概略斜視図である。
図11Bは、
図11Aの縦断面Dの断面図である。
図11Aの第4の実施形態に係るノズル1dは、
図2Aの第1の実施形態に係るノズル1に比べて、所定の温度以上の媒体をノズル1dの内部に流通させるための配管6が追加されたものになっている。
図2A及び
図2Bと同様の構成についても同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0082】
第4の実施形態において、加熱手段は、筐体17dの内部に流通する所定の温度以上の媒体(例えば、液体または気体)である。
図11Bに示すように、筐体17dの内部に空洞61が設けられており、所定の温度以上の媒体がこの空洞61を通ることによって、筐体17dが加熱されることによって、ノズル1dを通過する液体を加熱することができる。
【0083】
<第5の実施形態>
続いて第5の実施形態について説明する。
図12Aは、第5の実施形態に係るノズルの概略斜視図である。
図12Bは、
図12Aの縦断面Eの断面図である。
図12Aの第5の実施形態に係るノズル1eは、
図2Aの第1の実施形態に係るノズル1に比べて、所定の温度以上の媒体をノズル1eに供給するための配管7が追加されたものになっている。
図2A及び
図2Bと同様の構成についても同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0084】
第5の実施形態において、加熱手段は、筐体17の表面を流通する所定温度以上の媒体(例えば、液体または気体)である。
図12Bに示すように、筐体17は、例えば一部が流路形成部材71に覆われており、配管7が、この流路形成部材71と筐体17の間の空間72に連通している。これにより、この流路形成部材71と筐体17の間の空間72に所定温度以上の媒体が供給されるので、筐体17の表面を加熱することができ、ノズル1eを通過する液体を加熱することができる。
【0085】
<第6の実施形態>
続いて第6の実施形態について説明する。
図13Aは、第6の実施形態に係るノズルの概略斜視図である。
図2Aの第1の実施形態に係るノズル1に比べて、第6の実施形態に係るノズル1fは、ガス溶解液が供給されるヘッダ管81、ヘッダ管81に設けられた複数の微小気泡発生ノズル82、及び整流手段86を備える。ヘッダ管81は、
図1Bの配管4に連通しており、配管4を通って、ヘッダ管81にガス溶解液が供給される。複数の微小気泡発生ノズル82は、
図13Aの吐出領域84が示すように、ヘッダ管81から供給されたガス溶解液から、微小気泡を含む液体を生成して吐出する。整流手段86には、下面にスリット85が設けられており、微小気泡発生ノズル82から吐出された液体が、
図13Aの吐出領域87が示すように、スリット85から排出される。ここで整流手段86は、上面の全体が開口されており、下面にスリットが設けられた構造を有する。すなわち、整流手段86は、器の形状を有し、下面にスリット85が設けられている。スリット85は、整流手段86の長手方向に沿って設けられている。これにより、吐出する液体を一列に整流することができる。
【0086】
以上、第6の実施形態に係るノズル1fは、ガス溶解液が供給されるヘッダ管81と、ヘッダ管81から供給されたガス溶解液から、微小気泡を含む液体を生成して吐出する複数の微小気泡発生ノズル82と、スリット85が設けられており、微小気泡発生ノズル82から吐出された液体がスリット85から排出される整流手段86と、を備える。
【0087】
この構成により、微小気泡を含む液体を整流して均一に排出するので、微小気泡を含む液体を基板へ吹きかける場合の均一性を向上させることができる。
【0088】
<第6の実施形態の変形例>
図13Bは、第6の実施形態の変形例に係るノズルの概略斜視図である。
図13Bに示すように、整流手段86gは、ヘッダ管81と複数の微小気泡発生ノズル82を覆う筐体であってもよい。整流手段86gの端面には開口83が設けられており、この開口83にヘッダ管81の端面の流入口が合うようにヘッダ管81が固定されている。ヘッダ管81は、
図1Bの配管4に連通しており、配管4を通って、ヘッダ管81にガス溶解液が供給される。
図13Bの吐出領域86が示すように、ヘッダ管81から供給されたガス溶解液から、微小気泡を含む液体を生成して吐出する。整流手段86gには、下面にスリット8
5が設けられており、微小気泡発生ノズル82から吐出された液体が、
図13Bの吐出領域87が示すように、スリット85から排出される。
【0089】
この場合、整流手段86gの上面は開口になっていてもなっていなくてもよい。整流手段86gの上面が閉じられていれば、筐体17g外に、液体の一部が飛び散ることを防止することができる。さらに整流手段86gの上面が開口でないときは、開口83に取りつく微小気泡発生ノズル82の向きが鉛直上方になるようにしてもよい。この場合、微小気泡発生ノズル82を通過した直後にスリット85を通過すると、均一なカーテン状に整流しきれない可能性があるので、少し液体がたまるように調整した方がノズルからのふきつけの影響を受けにくいので好ましい。
【0090】
以上、本技術は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0091】
1、1a1、1a2、1b、1c、1d、1e、1f ノズル
10 基板洗浄装置
100 ノズル
101 ヘッダ管
102 マイクロバブル発生ノズル
110 ノズル
111 マイクロバブル発生ノズル
112 ヘッダ管
120 ノズル
121 マイクロバブル発生ノズル
122 アーム部材
123 支柱
130 ノズル
131 マイクロバブル発生ノズル
132 アーム部材
133 支柱
15 流入口
16 スリット
17、17a、17b、17d、17g 筐体
171、171a、171b 天板部材
175、175a、175b 支持部材
181、182、183、184、181a、182a、183a、184a、181b
、182b、183b、184b スペーサ
191、192、193、194、191a、192a、193a、194a、191b
、192b、193b、194b スペーサ
2 アーム部材
21、21a、21b、21c 板材
22、22a、22b、22c 板材
23、23a、23b、23c 板材
3 支柱
4 配管
41 電熱部材
5 配線
51 赤外線照射器
52 アーム部材
6 配管
7 配管
71 流路形成部材
8 生成器
81 ヘッダ管
82 微小気泡発生ノズル
83 開口
85 スリット
86 整流手段
86g 整流手段
9 支持部材