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特許7497537レベルセットアルゴリズムに基づく超解像リソグラフィのリバース光近接効果補正方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-31
(45)【発行日】2024-06-10
(54)【発明の名称】レベルセットアルゴリズムに基づく超解像リソグラフィのリバース光近接効果補正方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 1/36 20120101AFI20240603BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
G03F1/36
H01L21/30 502D
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2023579762
(86)(22)【出願日】2021-12-28
(86)【国際出願番号】 CN2021142023
(87)【国際公開番号】W WO2023115611
(87)【国際公開日】2023-06-29
【審査請求日】2023-12-26
(31)【優先権主張番号】202111594444.9
(32)【優先日】2021-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】510232360
【氏名又は名称】中国科学院光電技術研究所
【氏名又は名称原語表記】The Institute of Optics and Electronics, The Chinese Academy of Sciences
【住所又は居所原語表記】P.O.Box 350, Shuangliu, Chengdu, Sichuan 610209, P.R.China
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】羅先剛
(72)【発明者】
【氏名】孔維杰
(72)【発明者】
【氏名】劉相志
(72)【発明者】
【氏名】尹格
(72)【発明者】
【氏名】王長涛
【審査官】田中 秀直
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-21869(JP,A)
【文献】特表2010-539544(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第113495425(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110989300(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0333048(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 1/00-1/86
G03F 7/20
H01L 21/027
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
目標パターンに基づいて第1マスクデータを取得し、前記第1マスクデータに基づいてレベルセット関数を作成するステップS11と、
前記第1マスクデータと表面プラズモン超解像リソグラフィの条件とに基づいて順方向シミュレーションを行い、フォトレジストにおける電場分布と、マスクにおける第1構造ベクトル電場分布とを得るステップS12と、
前記フォトレジストにおける電場分布に基づいてフォトレジストパターンを取得し、前記フォトレジストパターンと前記目標パターンとの結像誤差を算出するステップS13と、
前記順方向シミュレーションを基に前記第1マスクデータに対して随伴シミュレーションを行い、第2構造ベクトル電場分布を得るステップS14と、
前記第1構造ベクトル電場分布と、前記第2構造ベクトル電場分布と、前記結像誤差とに基づいてレベルセット勾配を算出するステップS15と、
前記レベルセット勾配で前記レベルセット関数を進化させ、更新して第2マスクデータを取得し、所定条件を満たすマスクデータを取得するまで前記第2マスクデータを用いてステップS12~S16を繰り返して反復計算を行い、リバース光近接効果の補正を完了するステップS16と、を含む
ことを特徴とするレベルセットアルゴリズムに基づく超解像リソグラフィのリバース光近接効果補正方法。
【請求項2】
目標パターンに基づいて第1マスクデータを取得し、前記第1マスクデータに基づいてレベルセット関数を作成する前記ステップS11は、
目標パターンに基づいて初期マスクパターンを得るステップと、
前記初期マスクパターンに対してピクセル化処理を行い、第1マスクデータを得るステップと、
前記第1マスクデータに基づいて前記レベルセット関数を作成するステップと、を含む
ことを特徴とする請求項1に記載のレベルセットアルゴリズムに基づく超解像リソグラフィのリバース光近接効果補正方法。
【請求項3】
前記第1マスクデータに基づいて前記レベルセット関数を作成するステップは、以下の式を用いて前記レベルセット関数φ(x、y)を作成するステップを含み、


ただし、d(x、y)がマスクパターンのある点(x、y)からマスクパターンの境界線までの距離であり、x、yがある点の座標値であり、MがマスクパターンMの内部の領域であり、
がマスクパターンMの境界線であり、MがマスクパターンMの外部の領域であり、前記マスクパターンMが前記第1マスクデータに対応するマスクパターンである
ことを特徴とする請求項2に記載のレベルセットアルゴリズムに基づく超解像リソグラフィのリバース光近接効果補正方法。
【請求項4】
前記ステップS12における前記第1マスクデータと表面プラズモン超解像リソグラフィの条件とに基づいて順方向シミュレーションを行うステップは、
露光光源の励起源を用いて順方向シミュレーションを行うステップと、
前記フォトレジストにおける電場分布と、マスクにおける第1構造ベクトル電場分布とを算出するステップと、を含む
ことを特徴とする請求項1に記載のレベルセットアルゴリズムに基づく超解像リソグラフィのリバース光近接効果補正方法。
【請求項5】
前記ステップS13における前記フォトレジストパターンと前記目標パターンとの結像誤差を算出するステップは、
前記フォトレジストにおける電場分布に基づいて光強度分布を取得し、前記光強度分布に基づいてフォトレジストパターンを得るステップと、
前記フォトレジストパターンと前記目標パターンとの結像誤差を算出するステップと、
前記結像誤差が予め設定された誤差閾値未満であるか、現在の累積反復回数が予め設定された反復回数よりも大きいかを判断し、前記結像誤差が予め設定された閾値未満の場合、または現在の累積反復回数が予め設定された反復回数よりも大きい場合、現在のマスクデータを所定条件を満たすマスクデータとして、前記リバース光近接効果の補正を完了し、そうでない場合、引き続き前記反復計算を行うステップと、を含む
ことを特徴とする請求項1に記載のレベルセットアルゴリズムに基づく超解像リソグラフィのリバース光近接効果補正方法。
【請求項6】
前記ステップS13における前記フォトレジストパターンと前記目標パターンとの結像誤差を算出するステップは、以下の式を用いて結像誤差Fを算出するステップを含み、


ただし、Zが前記目標パターンであり、Zが前記フォトレジストパターンであり、
がL-2ノルムである
ことを特徴とする請求項1または5に記載のレベルセットアルゴリズムに基づく超解像リソグラフィのリバース光近接効果補正方法。
【請求項7】
前記結像誤差が予め設定された閾値未満の場合、または現在の累積反復回数が予め設定された反復回数よりも大きい場合、
現在のマスクデータを前記リバース光近接効果の補正が完了したマスクデータとして、最終的なマスクパターンを出力するステップを含む
ことを特徴とする請求項5に記載のレベルセットアルゴリズムに基づく超解像リソグラフィのリバース光近接効果補正方法。
【請求項8】
前記ステップS14における前記順方向シミュレーションを基に前記第1マスクデータに対して随伴シミュレーションを行うステップは、
前記フォトレジストにおける電場分布に基づいて前記随伴シミュレーションの随伴源を得るステップと、
前記随伴源に基づいて前記第1マスクデータに対して随伴シミュレーションを行い、第2構造ベクトル電場分布を得るステップと、を含む
ことを特徴とする請求項1に記載のレベルセットアルゴリズムに基づく超解像リソグラフィのリバース光近接効果補正方法。
【請求項9】
前記第1構造ベクトル電場分布と、前記第2構造ベクトル電場分布と、前記結像誤差とに基づいてレベルセット勾配を算出する前記ステップS15は、以下の式を用いて前記レベルセット勾配
を算出するステップを含み、


ただし、εとεがそれぞれマスクの基材の誘電率とマスクパターンの構造の充填材の誘電率であり、

がそれぞれ順方向シミュレーション及び随伴シミュレーションの電場の接線方向成分であり、

がそれぞれ順方向シミュレーション及び随伴シミュレーションの電気変位ベクトルの法線方向成分であり、
がマスクパターンMに対する結像誤差Fの勾配であり、前記マスクパターンMが前記第1マスクデータまたは前記現在のマスクデータに対応するマスクパターンである
ことを特徴とする請求項6に記載のレベルセットアルゴリズムに基づく超解像リソグラフィのリバース光近接効果補正方法。
【請求項10】
前記ステップS16における前記レベルセット勾配で前記レベルセット関数を進化させるステップは、以下の式を用いて前記レベルセット関数を進化させ、更新されたレベルセット関数を得るステップと、


ただし、
となり、αがレベルセット勾配であり、
前記更新されたレベルセット関数に基づいて、現在のマスクデータを更新して前記第2マスクデータを得るステップと、
前記第2マスクデータを用いて前記ステップS12~S16を繰り返して反復計算を行うステップと、を含み、
ステップS16で使用されるレベルセット関数は、前回の反復からの前記更新されたレベルセット関数である、
ことを特徴とする請求項9に記載のレベルセットアルゴリズムに基づく超解像リソグラフィのリバース光近接効果補正方法。
【請求項11】
目標パターンに基づいて第1マスクデータを取得し、前記第1マスクデータに基づいてレベルセット関数を作成するステップS21と、
前記第1マスクデータと表面プラズモン超解像リソグラフィの条件とに基づいて順方向シミュレーションを行い、フォトレジストにおける電場分布と、マスクにおける第1構造ベクトル電場分布とを得るステップS22と、
前記フォトレジストにおける電場分布に基づいてフォトレジストパターンを取得し、前記フォトレジストパターンと前記目標パターンとの結像誤差を算出するステップS23と、
前記順方向シミュレーションを基に前記第1マスクデータに対して随伴シミュレーションを行い、第2構造ベクトル電場分布を得るステップS24と、
前記第1構造ベクトル電場分布と、前記第2構造ベクトル電場分布と、前記結像誤差とに基づいてレベルセット勾配を算出するステップS25と、
前記レベルセット勾配で前記レベルセット関数を進化させ、更新して第2マスクデータを取得し、所定条件を満たすマスクデータを取得するまで前記第2マスクデータを用いてステップS22~S26を繰り返して反復計算を行い、リバース光近接効果の補正を完了し、最終的なマスクパターンを出力するステップS26と、
前記最終的なマスクパターンに基づいて表面プラズモン超解像リソグラフィを行うステップS27と、を含む
ことを特徴とする表面プラズモン超解像リソグラフィ方法。
【請求項12】
目標パターンに基づいて第1マスクデータを取得し、前記第1マスクデータに基づいてレベルセット関数を作成するレベルセット関数処理モジュールと、
前記第1マスクデータと表面プラズモン超解像リソグラフィの条件とに基づいて順方向シミュレーションを行い、フォトレジストにおける電場分布と、マスクにおける第1構造ベクトル電場分布とを得る順方向シミュレーションモジュールと、
前記フォトレジストにおける電場分布に基づいてフォトレジストパターンを取得し、前記フォトレジストパターンと前記目標パターンとの結像誤差を算出する誤差計算モジュールと、
前記順方向シミュレーションを基に前記第1マスクデータに対して随伴シミュレーションを行い、第2構造ベクトル電場分布を得る随伴シミュレーションモジュールと、
前記第1構造ベクトル電場分布と、前記第2構造ベクトル電場分布と、前記結像誤差とに基づいてレベルセット勾配を算出するレベルセット勾配計算モジュールと、
前記レベルセット勾配で前記レベルセット関数を進化させ、更新して第2マスクデータを取得し、所定条件を満たすマスクデータを取得するまで前記第2マスクデータを用いて反復計算を行い、リバース光近接効果の補正を完了する進化モジュールと、を含む
ことを特徴とするレベルセットアルゴリズムに基づく超解像リソグラフィのリバース光近接効果補正システム。
【請求項13】
プロセッサと、コンピュータ実行可能なプログラムを記憶しているメモリと、を含み、
前記プログラムが前記プロセッサに実行されると、前記プロセッサは、請求項1~10のいずれか一項に記載のレベルセットアルゴリズムに基づく超解像リソグラフィのリバース光近接効果補正方法を実行する
電子機器。
【請求項14】
プロセッサに実行されると、請求項1~10のいずれか一項に記載のレベルセットアルゴリズムに基づく超解像リソグラフィのリバース光近接効果補正方法を実現するコンピュータプログラムを記憶している
ことを特徴とするコンピュータ読取可能な記憶媒体。
【請求項15】
プロセッサに実行されると、請求項1~10のいずれか一項に記載のレベルセットアルゴリズムに基づく超解像リソグラフィのリバース光近接効果補正方法を実現するコンピュータプログラムを含む
コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、集積回路の技術分野に関し、具体的にレベルセットアルゴリズムに基づく超解像リソグラフィのリバース光近接効果補正(Optical Proximity Correction、OPC)方法、システム、電子機器、コンピュータ読取可能な記憶媒体、プログラム製品及び表面プラズモン超解像リソグラフィ方法に関する。
【0002】
関係出願の相互参照
本開示は、2021年12月23日に提出された出願番号が202111594444.9である中国出願に基づいて優先権を主張し、その全ての内容は、参照として本開示に取り込まれる。
【背景技術】
【0003】
超大規模集積回路のフィーチャサイズがますます小さくなるにつれて、マイクロ/ナノ製造技術の解像力に対する要求も高まっている。従来のDUV投影リソグラフィ技術における結像リソグラフィの解像力は65nmに達し、液浸によるリソグラフィの解像力は38nmにも達する。結像リソグラフィの解像力をさらに向上させるために、結像対物レンズの開口数を向上させること以外は、露光光源の波長を短くするしかない。現在、露光波長13.5nmのEUVリソグラフィ技術は、リソグラフィ技術の主流となっており、結像リソグラフィの解像力が16nmになったが、高価で複雑なEUV光源のため、コストが高く、大規模な普及が難しい。DUVリソグラフィ技術及びEUVリソグラフィ技術は、回折限界のため、リソグラフィの解像力が半波長オーダーになるのが限界である。よって従来のリソグラフィ技術である波長を短くしてリソグラフィの解像力を向上させることは難い。
【0004】
表面プラズモン(Surface Plasmon、SP)超解像リソグラフィ技術は、負の屈折率を持つスーパーレンズを用いてナノスケールのリソグラフィの解像力を実現し、半波長よりもはるかに小さいリソグラフィの解像力を長波長で実現できるため、従来の解像力の回折限界を突破し、長波長光源下の解像度向上の可能性を大幅に高めた。これは、現在の光リソグラフィの発展における技術的な困難を克服し、低コスト、高効率、大面積のナノリソグラフィ方法を確立することができるだけでなく、集積回路産業の発展を促進し、マイクロ/ナノ加工技術に対する現代科学技術の要求を満たすためにも重要である。
【0005】
集積回路のフィーチャサイズがリソグラフィの結像システムの回折限界に近いかそれよりも小さい場合、パターンの露光転写を行った後、例えばライン端部が後退したり、コーナ部が丸く形成されたり、線幅が変動したりする深刻な光近接効果(Optical Proximity Effects、OPE)が発生し、最終的に集積回路の機能や特性に影響を与え、製品が設計要件を満たせなくなり、チップの歩留まりが低下してしまう。そのため、光近接効果を軽減するために、様々な解像度向上技術(Resolution Enhancement Techniques、RET)が提案された。そのうち、逆リソグラフィ技術(Inverse Lithography Technology, ILT)は、設計の自由度が高いことから、光近接効果補正に広く用いられている。主にリソグラフィシステムの結像に関する数学モデルを構築し、マスクの形状を変化させることにより、出力されるパターンの歪みを補正する。表面プラズモン超解像リソグラフィは、結像過程において高空間周波数のエバネッセント波の変調を伴うため、近似によって正確な結像モデルを得ることが困難である。よって、結像モデルの解析を基にする従来のリバースOPC方法を表面プラズモン超解像リソグラフィに適用することは困難である。
【0006】
逆リソグラフィ技術(インバースリソグラフィ技術とも呼ばれる)がピクセルに基づくものであるため、マスク最適化の自由度を大幅に高める一方、計算量及び計算時間も大幅に増加する。したがって、露光転写パターンと目標パターンとの誤差要件を満たす効率的で高速かつ低コストのリバースOPC技術が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記問題に鑑みて、本開示は、従来のリバースOPC方法を表面プラズモン超解像リソグラフィに適用し難く、逆リソグラフィ技術の計算量が大きいなどの技術的課題を解決できる、レベルセットアルゴリズムに基づく超解像リソグラフィのリバース光近接効果補正方法、システム、電子機器、コンピュータ読取可能な記憶媒体、プログラム製品及び表面プラズモン超解像リソグラフィ方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様によるレベルセットアルゴリズムに基づく超解像リソグラフィのリバース光近接効果補正方法は、目標パターンに基づいて第1マスクデータを取得し、第1マスクデータに基づいてレベルセット関数を作成するステップS11と、第1マスクデータと表面プラズモン超解像リソグラフィの条件とに基づいて順方向シミュレーションを行い、フォトレジストにおける電場分布と、マスクにおける第1構造ベクトル電場分布とを得るステップS12と、フォトレジストにおける電場分布に基づいてフォトレジストパターンを取得し、フォトレジストパターンと目標パターンとの結像誤差を算出するステップS13と、順方向シミュレーションを基に第1マスクデータに対して随伴シミュレーションを行い、第2構造ベクトル電場分布を得るステップS14と、第1構造ベクトル電場分布と、第2構造ベクトル電場分布と、結像誤差とに基づいてレベルセット勾配を算出するステップS15と、レベルセット勾配でレベルセット関数を進化させ、更新して第2マスクデータを取得し、所定条件を満たすマスクデータを取得するまで第2マスクデータを用いてステップS12~S16を繰り返して反復計算を行い、リバース光近接効果の補正を完了するステップS16と、を含む。
【0009】
さらに、目標パターンに基づいて第1マスクデータを取得し、第1マスクデータに基づいてレベルセット関数を作成するステップS11は、目標パターンに基づいて初期マスクパターンを得るステップと、初期マスクパターンに対してピクセル化処理を行い、第1マスクデータを得るステップと、第1マスクデータに基づいてレベルセット関数を作成するステップと、を含む。
【0010】
さらに、第1マスクデータに基づいてレベルセット関数を作成するステップは、以下の式を用いてレベルセット関数
を作成するステップを含み、

ただし、d(x、y)がマスクパターンMのある点(x、y)からマスクパターンの境界線までの距離であり、x、yがある点の座標値であり、MがマスクパターンMの内部の領域であり、
がマスクパターンMの境界線であり、MがマスクパターンMの外部の領域であり、マスクパターンMが第1マスクデータに対応するマスクパターンである。
【0011】
さらに、ステップS12における第1マスクデータと表面プラズモン超解像リソグラフィの条件とに基づいて順方向シミュレーションを行うステップは、露光光源の励起源を用いて順方向シミュレーションを行うステップと、フォトレジストにおける電場分布と、マスクにおける第1構造ベクトル電場分布とを算出するステップと、を含む。
【0012】
さらに、ステップS13におけるフォトレジストパターンと目標パターンとの結像誤差を算出するステップは、フォトレジストにおける電場分布に基づいて光強度分布を取得し、光強度分布に基づいてフォトレジストパターンを得るステップと、フォトレジストパターンと目標パターンとの結像誤差を算出するステップと、結像誤差が予め設定された誤差閾値未満であるか、現在の累積反復回数が予め設定された反復回数よりも大きいかを判断し、結像誤差が予め設定された閾値未満の場合、または現在の累積反復回数が予め設定された反復回数よりも大きい場合、現在のマスクデータを所定条件を満たすマスクデータとして、リバース光近接効果の補正を完了し、そうでない場合、引き続き反復計算を行うステップと、を含む。
【0013】
さらに、ステップS13におけるフォトレジストパターンと目標パターンとの結像誤差を算出するステップは、以下の式を用いて結像誤差Fを算出するステップを含み、


ただし、Zが目標パターンであり、Zがフォトレジストパターンであり、
がL-2ノルムである。
【0014】
さらに、結像誤差が予め設定された閾値未満の場合、または現在の累積反復回数が予め設定された反復回数よりも大きい場合、現在のマスクデータをリバース光近接効果の補正が完了したマスクデータとして、最終的なマスクパターンを出力するステップを含む。
【0015】
さらに、ステップS14における順方向シミュレーションを基に第1マスクデータに対して随伴シミュレーションを行うステップは、フォトレジストにおける電場分布に基づいて随伴シミュレーションの随伴源を得るステップと、随伴源に基づいて第1マスクデータに対して随伴シミュレーションを行い、第2構造ベクトル電場分布を得るステップと、を含む。
【0016】
さらに、第1構造ベクトル電場分布と、第2構造ベクトル電場分布と、結像誤差とに基づいてレベルセット勾配を算出するステップS15は、以下の式を用いてレベルセット勾配
を算出するステップを含み、


ただし、εとεがそれぞれマスクの基材の誘電率とマスクパターンの構造の充填材の誘電率であり、

がそれぞれ順方向シミュレーション及び随伴シミュレーションの電場の接線方向成分であり、

がそれぞれ順方向シミュレーション及び随伴シミュレーションの電気変位ベクトルの法線方向成分であり、
がマスクパターンMに対する結像誤差Fの勾配であり、マスクパターンMが第1マスクデータまたは現在のマスクデータに対応するマスクパターンである。
【0017】
さらに、ステップS16におけるレベルセット勾配でレベルセット関数を進化させるステップは、以下の式を用いてレベルセット関数を進化させ、更新されたレベルセット関数を得るステップと、


ただし、
となり、αがレベルセット勾配であり、更新されたレベルセット関数に基づいて、現在のマスクデータを更新して第2マスクデータを得るステップと、第2マスクデータを用いてステップS12~S16を繰り返して反復計算を行うステップと、を含み、ステップS16で使用されるレベルセット関数は、前回の反復からの更新されたレベルセット関数である。
【0018】
本開示の別の態様による表面プラズモン超解像リソグラフィ方法は、目標パターンに基づいて第1マスクデータを取得し、第1マスクデータに基づいてレベルセット関数を作成するステップS21と、第1マスクデータと表面プラズモン超解像リソグラフィの条件とに基づいて順方向シミュレーションを行い、フォトレジストにおける電場分布と、マスクにおける第1構造ベクトル電場分布とを得るステップS22と、フォトレジストにおける電場分布に基づいてフォトレジストパターンを取得し、フォトレジストパターンと目標パターンとの結像誤差を算出するステップS23と、順方向シミュレーションを基に第1マスクデータに対して随伴シミュレーションを行い、第2構造ベクトル電場分布を得るステップS24と、第1構造ベクトル電場分布と、第2構造ベクトル電場分布と、結像誤差とに基づいてレベルセット勾配を算出するステップS25と、レベルセット勾配でレベルセット関数を進化させ、更新して第2マスクデータを取得し、所定条件を満たすマスクデータを取得するまで第2マスクデータを用いてステップS22~S26を繰り返して反復計算を行い、リバース光近接効果の補正を完了し、最終的なマスクパターンを出力するステップS26と、最終的なマスクパターンに基づいて表面プラズモン超解像リソグラフィを行うステップS27と、を含む。
【0019】
本開示の別の態様によるレベルセットアルゴリズムに基づく超解像リソグラフィのリバース光近接効果補正システムは、目標パターンに基づいて第1マスクデータを取得し、第1マスクデータに基づいてレベルセット関数を作成するレベルセット関数処理モジュールと、第1マスクデータと表面プラズモン超解像リソグラフィの条件とに基づいて順方向シミュレーションを行い、フォトレジストにおける電場分布と、マスクにおける第1構造ベクトル電場分布とを得る順方向シミュレーションモジュールと、フォトレジストにおける電場分布に基づいてフォトレジストパターンを取得し、フォトレジストパターンと目標パターンとの結像誤差を算出する誤差計算モジュールと、順方向シミュレーションを基に第1マスクデータに対して随伴シミュレーションを行い、第2構造ベクトル電場分布を得る随伴シミュレーションモジュールと、第1構造ベクトル電場分布と、第2構造ベクトル電場分布と、結像誤差とに基づいてレベルセット勾配を算出するレベルセット勾配計算モジュールと、レベルセット勾配でレベルセット関数を進化させ、更新して第2マスクデータを取得し、所定条件を満たすマスクデータを取得するまで第2マスクデータを用いて反復計算を行い、リバース光近接効果の補正を完了する進化モジュールと、を含む。
【0020】
本開示の別の態様による電子機器は、メモリと、プロセッサと、プロセッサにより実行でき、メモリに記憶されるコンピュータプログラムと、を含み、コンピュータプログラムがプロセッサに実行されると、プロセッサは、上記のレベルセットアルゴリズムに基づく超解像リソグラフィのリバース光近接効果補正方法を実行する。
【0021】
本開示の別の態様によるコンピュータ読取可能な記憶媒体は、プロセッサに実行されると、上記のレベルセットアルゴリズムに基づく超解像リソグラフィのリバース光近接効果補正方法を実現するコンピュータプログラムを記憶している。
【0022】
本開示の別の態様によるコンピュータプログラム製品は、プロセッサに実行されると、上記のレベルセットアルゴリズムに基づく超解像リソグラフィのリバース光近接効果補正方法を実現するコンピュータプログラムを含む。
【発明の効果】
【0023】
本開示によるレベルセットアルゴリズムに基づく超解像リソグラフィのリバース光近接効果補正方法、システム、電子機器、コンピュータ読取可能な記憶媒体、プログラム製品及び表面プラズモン超解像リソグラフィ方法は、順方向シミュレーションと随伴シミュレーションによってマスク領域におけるレベルセット勾配の更新情報を取得し、この更新情報に基づいてレベルセット関数を進化させ、更新されたマスクデータを取得し、数回の反復計算で、低歪のフォトレジストパターンに対応するマスクパターンを得ることができる。マスクの最適化過程において、レベルセットアルゴリズムを用いて、マスク構造の光学パラメータの三次元分布の代わりにマスクの境界線のみを変化させるので、計算量と演算時間が大幅に低減され、高速なリバース光近接効果補正を実現することができる。レベルセットアルゴリズムにおいて、マスクの境界線の変位勾配が、順方向シミュレーションと随伴シミュレーションによって得られる構造ベクトル電場分布から求められるため、リバースOPCのリソグラフィ結像モデルの解析への重大な依存から解放される。
本開示及びその利点をより完全に理解するために、以下の図面の説明を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本開示の実施例によるレベルセットアルゴリズムに基づく超解像リソグラフィのリバース光近接効果補正方法の適用シーンの模式図を模式的に示す。
図2】本開示の実施例によるレベルセットアルゴリズムに基づく超解像リソグラフィのリバース光近接効果補正方法のフローチャートを模式的に示す。
図3】本開示の実施例による目標パターンに基づいて第1マスクデータを取得し、第1マスクデータに基づいてレベルセット関数を作成する方法のフローチャートを模式的に示す。
図4】本開示の実施例による第1マスクデータと表面プラズモン超解像リソグラフィの条件とに基づいて順方向シミュレーションを行う方法のフローチャートを模式的に示す。
図5】本開示の実施例によるフォトレジストパターンと目標パターンとの結像誤差を計算する方法のフローチャートを模式的に示す。
図6】本開示の実施例による順方向シミュレーションを基に第1マスクデータに対して随伴シミュレーションを行う方法のフローチャートを模式的に示す。
図7】本開示の実施例によるレベルセット勾配でレベルセット関数を進化させる方法のフローチャートを模式的に示す。
図8】本開示の実施例による表面プラズモン超解像リソグラフィ方法のフローチャートを模式的に示す。
図9】本開示の一具体的な実施例によるレベルセットアルゴリズムに基づく超解像リバースOPC方法のフローチャートを模式的に示す。
図10】本開示の一具体的な実施例による最適化過程におけるマスクパターンの反復処理による変化図を模式的に示す。
図11】本開示の一具体的な実施例による初期マスクとそれに対応するフォトレジストのパターンの模式図を模式的に示す。
図12】本開示の一具体的な実施例による最適化されたマスクとそれに対応するフォトレジストのパターンの模式図を模式的に示す。
図13】本開示の一具体的な実施例によるパターン誤差関数値の収束曲線図を模式的に示す。
図14】本開示の一具体的な実施例による一部のゲート回路図及び金属層回路図の最適化前後のマスクとそれに対応するフォトレジストのパターンの模式図を模式的に示す。
図15】本開示の実施例によるレベルセットアルゴリズムに基づく超解像リソグラフィのリバース光近接効果補正システムのブロック図を模式的に示す。
図16】本開示の実施例による上記のような方法を実現する電子機器のブロック図を模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら本開示の実施例を説明する。これらの説明は例示的なものにすぎず、本開示の範囲を限定するものではない。以下の詳細な説明では、説明を簡単にし本開示の実施例を完全に理解させるために、詳細な内容が多く記載されている。しかし、これらの詳細な内容がなくても1つまたは複数の実施例が実施可能であることも明らかである。なお、以下の説明では、本開示の記載を混同しないように、公知の構造および技術についての説明を省略する。
【0026】
本願明細書で使用される用語は、具体的な実施例を説明するためのものにすぎず、本開示を制限するものではない。本願明細書で使用される「有する」、「含む」といった用語などは、特徴、ステップ、操作及び/又は部品が存在することを表すものであり、1つまたは複数のその他の特徴、ステップ、操作又は部品の存在又は追加を排除することが意図されない。
【0027】
特に断りがない限り、本願明細書で使用されるすべての用語(技術的用語と科学的用語を含む)は、当業者が通常認識している意味を有する。なお、本願明細書で使用される用語は、本明細書の上下の全ての記載において同じ意味を持ち、理想又は過剰に解釈すべきではない。
【0028】
図面において、いくつかのブロック図及び/又はフローチャートを示している。ブロック図及び/又はフローチャートにおけるいくつかのもの又はこれらの組み合わせは、コンピュータプログラム命令により実現することができる。これらのコンピュータプログラム命令を、汎用コンピュータ、専用コンピュータ又はその他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサに適用し、上記プロセッサによって実行される場合、これらのブロック図及び/又はフローチャートに記載される機能/操作を実現するための装置を構成することができる。本開示の技術は、ハードウェア及び/又はソフトウェア(ファームウェア、マイクロコードなどを含む)により実現されてもよい。また、本開示の技術は、命令を記憶しているコンピュータ読取可能な記憶媒体を有するコンピュータプログラム製品によって実現可能である。このコンピュータプログラム製品は、命令実行システムで使用されても、命令実行システムと組み合わせて使用されてもよい。
【0029】
本開示において、説明の便宜上、目標パターン、初期マスクパターン、マスクパターン及び最終的なマスクパターンのみをパターンと称し、リバース光近接効果補正における計算過程及び結像過程で得られる結果がいずれもデータと称する。また、これらのデータに基づいて、いずれも対応するパターンを出力することができる。
【0030】
図1は、本開示の実施例によるレベルセットアルゴリズムに基づく超解像リソグラフィのリバース光近接効果補正方法を適用できる適用シーンの模式図を模式的に示す。また、図1に示すのは、当業者に本開示の技術内容を理解させるための、本開示の実施例を適用可能な適用シーンの例にすぎず、本開示の実施例が他の機器、システム、環境、シーンに適用できないことを意図しない。
【0031】
図1に示すように、本開示の実施例に係る表面プラズモン超解像リソグラフィの構造は、マスク(石英+Cr)と、エアギャップ(Air)と、金属層(Ag)と、フォトレジスト(Pr)と、金属反射層(Ag)と、基板(SiO)とを含むものであってもよい。また、表面プラズモン超解像リソグラフィの構造は、マスクと、多層膜構造と、エアギャップと、フォトレジストと、基板とを含むものであってもよいし、マスクと、多層膜構造と、エアギャップと、金属透過層と、フォトレジストと、基板とを含むものであってもよいし、マスクと、多層膜構造と、エアギャップと、フォトレジストと、金属反射層と、基板とを含むものであってもよいし、マスクと、多層膜構造と、エアギャップと、金属透過層と、フォトレジストと、金属反射層と、基板とを含むものであってもよい。本開示は、表面プラズモン超解像リソグラフィシステムに対し優れた適用性を有する。
【0032】
従来技術の問題点に鑑みて、本開示は、マスクパターンの輪郭をゼロレベルセットで表現し、マスクパターンの輪郭を変化させることによってフォトレジストにおける光場の強度分布を変調するレベルセットアルゴリズムを用いる。これによって、マスクデータへの2値化最適化処理を必要とせず、且つ結像モデルの解析も不要であるので、リソグラフィパターンの忠実度及びリバースOPCの効率を大幅に向上させる。
【0033】
図2は、本開示の実施例によるレベルセットアルゴリズムに基づく超解像リソグラフィのリバース光近接効果補正方法のフローチャートを模式的に示す。
【0034】
図2に示すように、このレベルセットアルゴリズムに基づく超解像リソグラフィのリバース光近接効果補正方法は、以下のステップを含む。
【0035】
ステップS11は、目標パターンに基づいて第1マスクデータを取得し、第1マスクデータに基づいてレベルセット関数を作成する。
【0036】
第1マスクデータは、目標パターンに基づいて得られる初期マスクデータであり、ステップS11のみで入力される。ステップS12からS15まで言及される第1マスクデータは、いずれも反復過程における現在のマスクデータである。マスクパターン最適化の過程は、マスクパターンの境界線を進化させていく過程とみなすことができるため、マスクパターンをレベルセット関数で表現し、マスクパターンの境界線をゼロレベルセットで表現する。
【0037】
レベルセットアルゴリズムは、界面追跡と形状モデリングのための数値技術であり、境界線の変化を高次関数で表現し、高い自由度と柔軟性を有する。本開示に係るレベルセットアルゴリズムに基づくリバースOPC技術は、マスクの境界線の形状を変化させることによってフォトレジストにおける光場の強度分布を変調する。これによって、連続するマスクデータへの2値化最適化処理を必要とせず、且つ結像モデルの解析も不要であるので、リソグラフィパターンの忠実度及びリバースOPCの効率を大幅に向上させる。
【0038】
ステップS12は、第1マスクデータと表面プラズモン超解像リソグラフィの条件とに基づいて順方向シミュレーションを行い、フォトレジストにおける電場分布と、マスクにおける第1構造ベクトル電場分布とを得る。
【0039】
順方向シミュレーションは、露光光源の励起源による照明下で、表面プラズモン超解像リソグラフィの構造条件に基づいて、第1マスクデータに対応するパターンであるマスクパターンを結像し、フォトレジストにおける空間像の電場分布を取得し、マスクパターンが位置する三次元構造領域を表すマスク領域で第1構造ベクトル電場分布を得ることである。
【0040】
表面プラズモン超解像リソグラフィの構造は、例えば、マスク(石英+Cr)と、エアギャップ(Air)と、金属層(Ag)と、フォトレジスト(Pr)と、金属反射層(Ag)と、基板(SiO)とを含む図1に示すものである。
【0041】
ステップS13は、フォトレジストにおける電場分布に基づいてフォトレジストパターンを取得し、フォトレジストパターンと目標パターンとの結像誤差を算出する。
【0042】
フォトレジストにおける電場分布に基づき、フォトレジストモデルを用いてフォトレジストパターンを出力し、このフォトレジストパターンと目標パターンとのパターン誤差関数値である結像誤差を算出する。
【0043】
ステップS14は、順方向シミュレーションを基に第1マスクデータに対して随伴シミュレーションを行い、第2構造ベクトル電場分布を得る。
【0044】
随伴シミュレーションは、順方向シミュレーションを基に、フォトレジストにおける結像モニタを特定の随伴源に置き換えることである。この随伴源について、所望の出力フィールドの共役フィールドを逆方向に伝送させると理解できる。これによって、マスク領域における第2構造ベクトル電場をモニタリングする。ステップS12、S14において、順方向シミュレーション及び随伴シミュレーションは、時間領域差分法(FDTD)、厳密結合波法(RCWA)、有限要素法(FEM)などの方法を用いて計算することができる。
【0045】
ステップS15は、第1構造ベクトル電場分布と、第2構造ベクトル電場分布と、結像誤差とに基づいてレベルセット勾配を算出する。
【0046】
ステップS12で得られた順方向シミュレーションの第1構造ベクトル電場とステップS13で得られた随伴シミュレーションの第2構造ベクトル電場とを結合し、電場が境界線の接線方向で連続であり、且つ電気変位ベクトルが境界線の法線方向で連続であるというマクスウェルの境界条件に従って、マスクパターンに対する結像誤差の勾配であるレベルセット勾配を算出する。
【0047】
ステップS16は、レベルセット勾配でレベルセット関数を進化させ、更新して第2マスクデータを取得し、所定条件を満たすマスクデータを取得するまでこの第2マスクデータを用いてステップS12~S16を繰り返して反復計算を行い、リバース光近接効果の補正を完了する。
【0048】
ステップS15で得られたレベルセット勾配に基づいてレベルセット関数を進化させ、進化されたレベルセット関数を基にマスクデータを更新する。ステップS13における結像誤差が設計指標を満たす、または反復回数が最大反復回数に達するまで、ステップS12~S16を繰り返す。典型的な回路パターンの場合、本開示では、30~50回の反復だけでパターン誤差関数値を最適値に進化させることができる。
【0049】
本開示によるレベルセットアルゴリズムに基づく表面プラズモン超解像リソグラフィのリバースOPC方法は、グリーン関数の互換性を基に、2回のシミュレーションだけでマスク領域におけるレベルセット勾配の更新情報を得ることができる。マスクの境界線の形状を変化させることによってフォトレジストにおける光場の強度分布を変調することで、リソグラフィパターンの忠実度を向上させる。レベルセットアルゴリズムに基づくリバースOPC技術は、マスクの境界線を変化させ、連続するマスクへの2値化最適化処理を必要とせず、数回の反復による最適化だけでOPCの要件を満たすことができるため、計算量と演算時間が大幅に低減され、最適化の速度が向上する。
【0050】
図3は、本開示の実施例によるステップS11の目標パターンに基づいて第1マスクデータを取得し、第1マスクデータに基づいてレベルセット関数を作成する方法のフローチャートを模式的に示す。
【0051】
図3に示すように、目標パターンに基づいて第1マスクデータを取得し、第1マスクデータに基づいてレベルセット関数を作成する方法は、以下のステップを含む。
【0052】
ステップS111は、目標パターンに基づいて初期マスクパターンを得る。
【0053】
ステップS112は、初期マスクパターンに対してピクセル化処理を行い、第1マスクデータを得る。
【0054】
ステップS113は、第1マスクデータに基づいてレベルセット関数を作成する。
【0055】
初期マスクパターンとして目標パターンを入力し、初期マスクパターンに対してピクセル化処理を行う。各ピクセルの値を0または1とし、ただし、0が不透明なマスク、1が透明なマスクを表す。即ち、初期マスクパターンを2値化された行列に変換する。第1マスクデータが2値化されたマスクの行列データとなり、この第1マスクデータに基づいてレベルセット関数を作成する。ただし、望ましい最終的な結像図像が目標パターンである。
【0056】
上記実施例において、第1マスクデータに基づいてレベルセット関数を作成するステップは、以下の式を用いてレベルセット関数
を作成するステップを含む。

ただし、d(x、y)がマスクパターンのある点(x、y)からマスクパターンの境界線までの距離であり、x、yがある点の座標値であり、MがマスクパターンMの内部の領域であり、
がマスクパターンMの境界線であり、MがマスクパターンMの外部の領域であり、マスクパターンMが第1マスクデータに対応するマスクパターンである。
【0057】
マスクの最適化過程は、そのパターン境界線のトポロジ構造を進化させる過程とみなすことができるため、レベルセット関数でマスクパターンを表現する。
【0058】
図4は、本開示の実施例によるステップS12の第1マスクデータと表面プラズモン超解像リソグラフィの条件とに基づいて順方向シミュレーションを行う方法のフローチャートを模式的に示す。
【0059】
図4に示すように、第1マスクデータと表面プラズモン超解像リソグラフィの条件とに基づいて順方向シミュレーションを行う方法は、以下のステップを含む。
【0060】
ステップS121は、露光光源の励起源を用いて順方向シミュレーションを行う。
【0061】
ステップS122は、フォトレジストにおける電場分布と、マスクにおける第1構造ベクトル電場分布とを算出する。
【0062】
本開示は、任意の集積回路のマスクパターンの最適化に適用可能である。複雑な回路パターンについて、順方向シミュレーションの励起源として無偏光光源を用いて、2つのインコヒーレントな横方向磁気(TM)偏光平面波と横方向電気(TE)偏光平面波との重ね合わせに近似させる必要がある。露光光源の励起源による照明下で、表面プラズモン超解像リソグラフィシステムによってマスクパターンを結像し、フォトレジストにおける空間像の電場分布を取得し、マスク領域で第1構造ベクトル電場分布を得る過程は、順方向シミュレーションである。具体的に、電場分布は、例えば、時間領域差分法を用いて計算することができる。
【0063】
図5は、本開示の実施例によるステップS13のフォトレジストパターンと目標パターンとの結像誤差を算出する方法のフローチャートを模式的に示す。
【0064】
図5に示すように、フォトレジストパターンと目標パターンとの結像誤差を算出する方法は、以下のステップを含む。
【0065】
ステップS131は、フォトレジストにおける電場分布に基づいて光強度分布を取得し、光強度分布に基づいてフォトレジストパターンを得る。
【0066】
ステップS132は、フォトレジストパターンと目標パターンとの結像誤差を算出する。
【0067】
ステップS133は、結像誤差が予め設定された誤差閾値未満であるか、現在の累積反復回数が予め設定された反復回数よりも大きいかを判断し、結像誤差が予め設定された閾値未満の場合、または現在の累積反復回数が予め設定された反復回数よりも大きい場合、現在のマスクデータを所定条件を満たすマスクデータとして、リバース光近接効果の補正を完了し、そうでない場合、引き続き反復計算を行う。
【0068】
2つのインコヒーレントな横方向磁気(TM)偏光平面波と横方向電気(TE)偏光平面波との重ね合わせに近似させる順方向シミュレーションの励起源を用いる場合、フォトレジスト層における空間像の光強度が
である。フォトレジストモデルによって2値化された露光転写パターンを取得し、フォトレジストパターンを出力し、この出力されたフォトレジストパターンと目標パターンとの結像誤差を算出する。
【0069】
結像誤差が予め設定された誤差閾値以内であるか、または反復回数が予め設定された反復回数より大きいかを判断する。パターン誤差関数値が誤差閾値未満の場合、または反復回数が予め設定された反復回数よりも大きい場合は、現在のマスクデータを所定条件を満たすマスクデータとして、リバース光近接効果の補正を完了し、そうでない場合はステップS14に進み、引き続き反復計算を行う。
【0070】
上記実施例において、ステップS13におけるフォトレジストパターンと目標パターンとの結像誤差を算出するステップは、以下の式を用いて結像誤差Fを算出するステップを含む。


ただし、Zが目標パターンであり、Zがフォトレジストパターンであり、
がL-2ノルムである。
【0071】
結像誤差Fは、目標パターンと、現在のマスクパターンに対応して出力されたフォトレジストパターンとの差のL-2ノルムの2乗と定義される。本開示では、結像誤差を用いてマスクの結像品質を評価する。その大きさは、マスクパターンの形状、マスクのサイズ、ピクセルの大きさなどのパラメータと密接に関係する。結像誤差の値が小さいほど、マスクの結像品質が良好である。例えば、本開示における結像誤差の閾値を10とすることができる。もちろん、本開示では、他の誤差計算方法を用いてもよく、上記の方法に限定されない。
【0072】
上記実施例において、結像誤差が予め設定された閾値未満の場合、または現在の累積反復回数が予め設定された反復回数よりも大きい場合、現在のマスクデータをリバース光近接効果の補正が完了したマスクデータとして、最終的なマスクパターンを出力するステップを含む。
【0073】
結像誤差が予め設定された閾値未満の場合、または現在の累積反復回数が予め設定された反復回数よりも大きい場合、現在のマスクデータが最適化されたマスクデータとなり、リバース光近接効果補正のステップを完了し、現在のマスクデータに基づいて最終的なマスクパターンを出力する。
【0074】
図6は、本開示の実施例によるステップS14の順方向シミュレーションを基に第1マスクデータに対して随伴シミュレーションを行う方法のフローチャートを模式的に示す。
【0075】
図6に示すように、順方向シミュレーションを基に第1マスクデータに対して随伴シミュレーションを行う方法は、以下のステップを含む。
【0076】
ステップS141は、フォトレジストにおける電場分布に基づいて随伴シミュレーションの随伴源を得る。
【0077】
ステップS142は、随伴源に基づいて第1マスクデータに対して随伴シミュレーションを行い、第2構造ベクトル電場分布を得る。
【0078】
順方向シミュレーションされたフォトレジストにおける電場分布に基づき、TE偏光とTM偏光での随伴源である

を取得し、ただし、*が複素共役を表す。この随伴源を用いて上記の表面プラズモン超解像リソグラフィシステムにより、マスクパターンに対して随伴シミュレーションを行い、マスク領域における第2構造ベクトル電場分布をモニタリングして取得する。
【0079】
上記実施例において、第1構造ベクトル電場分布と、第2構造ベクトル電場分布と、結像誤差とに基づいてレベルセット勾配を算出するステップS15は、以下の式を用いてレベルセット勾配
を算出するステップを含む。
【0080】


ただし、εとεがそれぞれマスクの基材の誘電率とマスクパターンの構造の充填材の誘電率であり、

がそれぞれ順方向シミュレーション及び随伴シミュレーションの電場の接線方向成分であり、

がそれぞれ順方向シミュレーション及び随伴シミュレーションの電気変位ベクトルの法線方向成分であり、
がマスクパターンMに対する結像誤差Fの勾配であり、マスクパターンMが第1マスクデータまたは現在のマスクデータに対応するマスクパターンである。
【0081】
ステップS12における順方向シミュレーションによる第1構造ベクトル電場とステップS14における随伴シミュレーションによる第2構造ベクトル電場を結合して、電場が境界線の接線方向で連続であり、且つ電気変位ベクトルが境界線の法線方向で連続であるというマクスウェルの境界条件に従って、マスクパターンMに対する結像誤差関数Fの勾配であるレベルセット勾配を算出する。
【0082】
図7は、本開示の実施例によるステップS16のレベルセット勾配でレベルセット関数を進化させる方法のフローチャートを模式的に示す。
【0083】
図7に示すように、ステップS16のレベルセット勾配でレベルセット関数を進化させる方法は、以下のステップを含む。
【0084】
ステップS161は、以下の式を用いてレベルセット関数を計算し進化させ、更新されたレベルセット関数を得る。


ただし、
となり、αがレベルセット勾配である。
【0085】
ステップS162は、更新されたレベルセット関数に基づいて、現在のマスクデータを更新して第2マスクデータを得る。
【0086】
ステップS163は、現在のマスクデータとして第2マスクデータを用いてS12~S16を繰り返して反復計算を行う。ステップS16で使用されるレベルセット関数は、前回の反復からの更新されたレベルセット関数である。
【0087】
上記レベルセット進化式に基づいてレベルセット関数を更新し、更新されたレベルセット関数に基づき、更新された2値化されたマスク行列データである第2マスクデータを得る。レベルセット関数
の場合はマスクパターン領域(ピクセル値が1である)を表し、
の場合は不透明領域(ピクセル値が0である)を表す。
【0088】
本開示は、表面プラズモン超解像リソグラフィのリバース光近接効果補正に適用できるように、レベルセットアルゴリズムを用いてマスクパターンの境界線のピクセル化のための進化を行うことで、フォトレジスト層で目標パターンに近いナノスケールの集積回路の露光パターンを取得する。
【0089】
具体的に、マスクパターンの境界線をゼロレベルセットで表現し、順方向シミュレーションと随伴シミュレーションとを用いてレベルセット勾配(即ち、マスクパターンの境界線変化の勾配)を算出することは、トポロジ最適化に基づくリバースOPC方法に比べて、マスクへのぼかし処理及び2値化処理を必要とせず、最適化の速度が大幅に向上し、OPC後に得られたマスクの複雑さも大幅に低減される。さらに、上記のように得られた最適化されたマスクデータに基づいて最終的なマスクパターンを出力し、表面プラズモン超解像リソグラフィの方法に使用することができる。
【0090】
図8は、本開示の実施例による表面プラズモン超解像リソグラフィ方法のフローチャートを模式的に示す。この表面プラズモン超解像リソグラフィ方法は、以下のステップを含む。
【0091】
ステップS21:目標パターンに基づいて第1マスクデータを取得し、第1マスクデータに基づいてレベルセット関数を作成する。
【0092】
ステップS22:第1マスクデータと表面プラズモン超解像リソグラフィの条件とに基づいて順方向シミュレーションを行い、フォトレジストにおける電場分布と、マスクにおける第1構造ベクトル電場分布とを得る。
【0093】
ステップS23:フォトレジストにおける電場分布に基づいてフォトレジストパターンを取得し、フォトレジストパターンと目標パターンとの結像誤差を算出する。
【0094】
ステップS24:順方向シミュレーションを基に第1マスクデータに対して随伴シミュレーションを行い、第2構造ベクトル電場分布を得る。
【0095】
ステップS25:第1構造ベクトル電場分布と、第2構造ベクトル電場分布と、結像誤差とに基づいてレベルセット勾配を算出する。
【0096】
ステップS26:レベルセット勾配でレベルセット関数を進化させ、更新して第2マスクデータを取得し、所定条件を満たすマスクデータを取得するまでこの第2マスクデータを用いてステップS22~S26を繰り返して反復計算を行い、リバース光近接効果の補正を完了し、最終的なマスクパターンを出力する。
【0097】
ステップS27:最終的なマスクパターンに基づいて表面プラズモン超解像リソグラフィを行う。
【0098】
つまり、上記のレベルセットアルゴリズムに基づく超解像リソグラフィのリバース光近接効果補正方法を基に、最終的なマスクパターンを出力し、この最終的なマスクパターンに基づいてリソグラフィを行う。
【0099】
本開示は、マスクパターンをピクセル化されたグリッドに分割し、各ピクセルの値を0または1とし、ただし、0が不透明なマスク、1が透明なマスクを表す。透明なマスクの領域の境界線を最適化のパラメータとし、レベルセットに基づいて境界線の最適化を行い、最終的なマスクパターンを決定する。グリーン関数の互換性に基づいて、順方向シミュレーションと随伴シミュレーションとによってマスク領域におけるレベルセット勾配の更新情報を取得し、マスクの境界線の形状を変化させることによってフォトレジストにおける光場の強度分布を変調することで、フォトレジストパターンの輪郭を調整し、露光パターンの忠実度を向上させる。ステップS21~S26が上記のステップS11~S16に対応するため、ここで説明を省略する。
【0100】
以下、本開示の各ステップを、一具体的な実施例でさらに説明し、図9はこの方法の完全なフローチャートを示す。
【0101】
具体的に、本開示に係る方法は、以下のステップを含む。
【0102】
ステップS01:目標パターンZ(x,y)を決定し、そして目標パターンを初期マスクパターンM(x,y)とする。計算しやすくするために、マスクをm×n個のピクセル化されたグリッドに分割し、第1マスクデータを得る。上記のステップS111~S112に相当する。
【0103】
ステップS02:露光光源による照明下で、表面プラズモン超解像リソグラフィシステムによってマスクパターンを結像し、第1マスクデータに基づいてフォトレジスト層における空間像の電場分布E(x,y)及び光強度分布I(x,y)を得るとともに、マスク領域における第1構造ベクトル電場分布E(x’、y’)を得る。上記のステップS12に相当する。
【0104】
本開示は、任意の集積回路のマスクパターンの最適化に適用可能である。複雑な回路パターンについて、順方向シミュレーションの励起源として無偏光光源を用いて、2つのインコヒーレントな横方向磁気(TM)偏光平面波と横方向電気(TE)偏光平面波との重ね合わせに近似させる必要がある。よって、フォトレジスト層における空間像の光強度は
となる。
【0105】
ステップS03:フォトレジストモデルによって2値化された露光転写パターンを取得し、フォトレジストパターンを出力し、この出力されたフォトレジストパターンと目標パターンとの結像誤差を算出する。上記のステップS131~S132に相当する。
【0106】
本開示は、あらゆるフォトレジストモデルに適用し、フォトレジストにおける空間像の光強度分布が入力され、露光現像されたフォトレジストパターンが出力される。ここで、定常閾値モデルを用いてSigmod関数で近似させ、離散的な定常閾値モデルを連続的なものに変換し、その後の最適化のステップを容易にする。よって、フォトレジストモデルは、
となり、ただし、aがフォトレジスト因子であり、trがフォトレジストの感光閾値である。そして出力されるフォトレジストパターンは、Z(x,y)=Sig(I(x,y))となる。
【0107】
ステップS04:本開示は、マスクパターンの結像品質を評価するためにパターン誤差関数を採用する。その定義は、目標パターンと、マスクから出力されたフォトレジストパターンとの差のL-2ノルムの2乗、即ち
である。ただし、Zが目標パターンであり、Zが現在のマスクパターンに対応して出力されたフォトレジストパターンであり、Fが結像誤差であり、
がL-2ノルムである。上記のステップS133に相当する。
【0108】
現在の算出された結像誤差が予め設定された誤差閾値未満の場合、または現在の累積反復回数が予め設定された反復回数よりも大きい場合は、ステップS09に進み、そうでない場合はステップS05に進む。
【0109】
ステップS05:順方向シミュレーションを基に、マスクパターンM(x,y)(第1マスクデータに対応する)に対して随伴シミュレーションを行い、随伴シミュレーションによる第2構造ベクトル電場を得る。随伴シミュレーションの随伴源について、所望の出力フィールドの共役フィールドを逆方向に伝送させると理解できる。そして、フォトレジストの結像モニタを随伴源に置き換える。上記のステップS14に相当する。
【0110】
順方向シミュレーションされた空間像の電場分布に基づき、TE偏光とTM偏光での随伴源である

を取得し、ただし、*が複素共役を表す。随伴シミュレーションではFDTDによる厳密な電磁気の計算を行い、マスク領域における第2構造ベクトル電場分布
をモニタリングして取得する。
【0111】
ステップS06:マスクの最適化過程は、そのパターン境界線のトポロジ構造を進化させる過程とみなすことができ、最適化されたマスクパターンM及びレベルセット関数φが以下のとおりである。


d(x、y)がマスクパターンのある点(x、y)からマスクパターンの境界線までの距離であり、MがマスクパターンMの内部の領域であり、
がマスクパターンMの境界線であり、MがマスクパターンMの外部の領域であり、マスクパターンMが初期マスクパターンである。上記のステップS113に相当する。
【0112】
ステップS07:ステップS02における順方向シミュレーションによる第1構造ベクトル電場E(x’,y’)とステップS05における随伴シミュレーションによる第2構造ベクトル電場
を結合して、電場が境界線の接線方向で連続であり、且つ電気変位ベクトルが境界線の法線方向で連続であるというマクスウェルの境界条件に従って、マスクパターンMに対する結像誤差Fの勾配であるレベルセット勾配を算出する。


ただし、εとεがそれぞれマスクの基材の誘電率とマスクパターンの構造の充填材の誘電率であり、

がそれぞれ順方向シミュレーション及び随伴シミュレーションの電場の接線方向成分であり、

がそれぞれ順方向シミュレーション及び随伴シミュレーションの電気変位ベクトルの法線方向成分である。上記のステップS15に相当する。
【0113】
ステップS08:レベルセット進化式
に基づいてレベルセットを更新し、ただし、αがステップS07で得られたレベルセット勾配、即ち
であり、マスクパターンMが初期マスクパターンまたは現在のマスクデータに対応するマスクパターンである。有限差分法を用いて数値を求めるため、時間のステップサイズの選択に注意を払う必要である。グリッド間隔hが与えられたときに、CFL(Courant-Friedrichs-Levy)条件、即ち
を満足することで、レベルセット進化の安定性と収束性を確保する。そして、第1マスクデータを更新し、結像性能が、結像誤差が予め設定された閾値未満であるか、または現在の累積反復回数が予め設定された反復回数よりも大きいかというステップS04の条件を満たすまで、更新されたマスクデータ(即ち第2マスクデータ)を用いてステップS02~S08を繰り返し、ただし、ステップS08で使用されるレベルセット関数が、前回の反復からの更新されたレベルセット関数である。
【0114】
ステップS09:所定条件を満たすマスクデータを取得した後、リバース光近接効果の補正を完了し、レベルセット最適化された現在のマスクデータに対応するマスクパターンと、対応するフォトレジストパターンとを出力する。
【0115】
以下、具体的な実施例を説明する。
【0116】
実施例1
図1に示すように、本実施例に係る表面プラズモン超解像リソグラフィシステムは、マスク(石英+Cr)と、エアギャップ(Air)と、金属透過層(Ag)と、フォトレジスト(Pr)と、金属反射層(Ag)と、基板(SiO)とを含む。本実施例において、マスクの厚さを40nm、エアギャップを40nm、金属透過層を20nm、金属反射層を30nm、フォトレジストの厚さを50nmとする。
【0117】
随伴アルゴリズムに基づいてレベルセットの勾配を取得し、繰り返して反復する(ステップS02~S08)ことで、レベルセットが進化され、マスクも更新され、最終的に最適化されたマスクパターンを得る。図10に示すように、1001~1006は、反復回数20回ごとのマスクパターンである。
【0118】
本開示の性能を評価するために、初期マスクパターン及び本開示に係る方法に基づく最適化されたマスクパターンに対し、結像結果をそれぞれ比較した。
【0119】
図11は、本開示に係る方法による最適化前の結像結果である。1101は初期マスクパターン即ち目標パターンである。白色領域は透明な部分を示し、黒色は非透明なマスク部分を示し、キーフィーチャサイズが100nmである。1102は、初期マスクパターンが表面プラズモン超解像リソグラフィシステムにより処理された後のフォトレジストにおける光強度分布である。1103は、初期マスクパターンに基づいて出力されたフォトレジストパターンであり、フォトレジストの閾値が0.25である。図12は、本開示に係る方法による最適化後の結像結果である。1201は本開示に係る方法による最適化後のマスクパターンである。1202は、最適化されたマスクパターンが表面プラズモン超解像リソグラフィシステムにより処理された後のフォトレジストにおける光強度分布である。1203は、最適化されたマスクパターンに基づいて出力されたフォトレジストパターンであり、フォトレジストの閾値が0.25である。最適化前のフォトレジストパターンに、回路性能に影響する架橋現象があったが、レベルセットリバースOPCにより出力されたフォトレジストパターンは目標パターンにより近い。さらに、パターン誤差関数値も計算した。本開示に係る方法によって1101のマスクパターンを最適化すると、パターン誤差関数値が661から78に低減した。
【0120】
本実施例において、図13は、本開示に係る方法を用いて1101のマスクパターンを最適化するパターン誤差関数値の収束曲線である。本開示に係る方法では、パターン誤差関数値は、反復回数30回までに最適値に収束することができ、反復回数が増加するにつれて小さな範囲で変動する。そのため、本開示に係る方法によって、わずか数十回の最適化で望ましい最適化結果を取得でき、最適化効率が大幅に向上する。
【0121】
図11図12を比べると、本開示に係る方法は、表面プラズモン超解像リソグラフィシステムにおける光近接効果に対して優れた補正効果を有する。本実施例ではFDTDによる厳密な電磁気の計算を用いて、リソグラフィシステムにおける構造間の結合影響も考慮しているので、表面プラズモン超解像リソグラフィのリバースOPCに対してより完全な技術を提供できる。
【0122】
実施例2
本開示に係る方法による実際の回路パターンへの補正効果をさらに検証する。超解像リソグラフィシステムは、図1に示すものであり、マスクパターンが一部のゲート回路図及び金属層回路図であり、キーフィーチャサイズが100nmである。図14は、本開示に係る方法による最適化前後の結像結果を示す。1401は、一部のゲート回路図の初期マスクパターンである。1402は、1401に基づいて出力されたフォトレジストパターンである。1403は、本開示に係る方法による最適化後のマスクパターンである。1404は、1403に基づいて出力されたフォトレジストパターンである。最適化を50回反復した後、随伴アルゴリズムに基づくレベルセットリバースOPCによって、パターン誤差関数値を3333から180に低減した。
【0123】
1405は、一部の金属層回路図の初期マスクパターンである。1406は、1405に基づいて出力されたフォトレジストパターンである。1407は、本開示に係る方法による最適化後のマスクパターンである。1408は、1407に基づいて出力されたフォトレジストパターンである。最適化を50回反復した後、レベルセットアルゴリズムに基づくリバースOPCによって、パターン誤差関数値を2461から174に低減した。本開示に係るレベルセットアルゴリズムに基づく表面プラズモン超解像リソグラフィのリバースOPC方法は、複雑な回路パターンの光近接効果に対しても同様に優れた補正効果を有する。
【0124】
図15は、本開示の実施例によるレベルセットアルゴリズムに基づく超解像リソグラフィのリバース光近接効果補正システムのブロック図を模式的に示す。
【0125】
図15に示すように、図15は、本開示の実施例によるレベルセットアルゴリズムに基づく超解像リソグラフィのリバース光近接効果補正システムのブロック図を模式的に示す。1500は、レベルセット関数処理モジュール1510と、順方向シミュレーションモジュール1520と、誤差計算モジュール1530と、随伴シミュレーションモジュール1540と、レベルセット勾配計算モジュール1550と、進化モジュール1560とを含む。
【0126】
レベルセット関数処理モジュール1510は、目標パターンに基づいて第1マスクデータを取得し、第1マスクデータに基づいてレベルセット関数を作成する。本開示の実施例によれば、レベルセット関数処理モジュール1510は、例えば、図2で説明されたステップS11を実行するためのものであるため、ここで説明を省略する。
【0127】
順方向シミュレーションモジュール1520は、第1マスクデータと表面プラズモン超解像リソグラフィの条件とに基づいて順方向シミュレーションを行い、フォトレジストにおける電場分布と、マスクにおける第1構造ベクトル電場分布とを得る。本開示の実施例によれば、順方向シミュレーションモジュール1520は、例えば、図2で説明されたステップS12を実行するためのものであるため、ここで説明を省略する。
【0128】
誤差計算モジュール1530は、フォトレジストにおける電場分布に基づいてフォトレジストパターンを取得し、フォトレジストパターンと目標パターンとの結像誤差を算出する。本開示の実施例によれば、誤差計算モジュール1530は、例えば、図2で説明されたステップS13を実行するためのものであるため、ここで説明を省略する。
【0129】
随伴シミュレーションモジュール1540は、順方向シミュレーションを基に第1マスクデータに対して随伴シミュレーションを行い、第2構造ベクトル電場分布を得る。本開示の実施例によれば、随伴シミュレーションモジュール1540は、例えば、図2で説明されたステップS14を実行するためのものであるため、ここで説明を省略する。
【0130】
レベルセット勾配計算モジュール1550は、第1構造ベクトル電場分布と、第2構造ベクトル電場分布と、結像誤差とに基づいてレベルセット勾配を算出する。本開示の実施例によれば、レベルセット勾配計算モジュール1550は、例えば、図2で説明されたステップS15を実行するためのものであるため、ここで説明を省略する。
【0131】
進化モジュール1560は、レベルセット勾配でレベルセット関数を進化させ、更新して第2マスクデータを取得し、所定条件を満たすマスクデータを取得するまで第2マスクデータを用いて反復計算を行い、リバース光近接効果の補正を完了する。本開示の実施例によれば、進化モジュール1560は、例えば、図2で説明されたステップS16を実行するためのものであるため、ここで説明を省略する。
【0132】
なお、本開示の実施例によるモジュール、サブモジュール、ユニット、サブユニットのうちの任意の複数、又はそのうちの任意の複数の少なくとも一部の機能は、1つのモジュールで実現可能である。本開示の実施例によるモジュール、サブモジュール、ユニット、サブユニットのいずれか1つまたは複数は、複数のモジュールに分けて実現可能である。本開示の実施例によるモジュール、サブモジュール、ユニット、サブユニットのいずれか1つまたは複数は、少なくとも部分的に、例えばフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)、システムオンチップ、システムオンボード、システムオンパッケージ、特定用途向け集積回路(ASIC)のようなハードウェア回路として実現されてもよいし、回路を統合またはパッケージ化する他の合理的な方式によるハードウェアまたはファームウェアで実現されてもよいし、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェアの3つの実現方法のいずれか1つまたは複数の適切な組み合わせで実現されてもよい。また、本開示の実施例によるモジュール、サブモジュール、ユニット、サブユニットのいずれか1つまたは複数は、少なくとも部分的に、実行されると対応する機能を実現できるコンピュータプログラムモジュールとして実現されてもよい。
【0133】
例えば、レベルセット関数処理モジュール1510、順方向シミュレーションモジュール1520、誤差計算モジュール1530、随伴シミュレーションモジュール1540、レベルセット勾配計算モジュール1550、進化モジュール1560のうちの任意の複数は、1つのモジュールに統合されて実現してもよいし、そのうちのいずれか1つのモジュールは複数のモジュールに分けられてもよい。また、これらのモジュールの1つまたは複数のモジュールの少なくとも一部の機能は、他のモジュールの少なくとも一部の機能と結合し、1つのモジュールで実現可能である。本開示の実施例によれば、レベルセット関数処理モジュール1510、順方向シミュレーションモジュール1520、誤差計算モジュール1530、随伴シミュレーションモジュール1540、レベルセット勾配計算モジュール1550、進化モジュール1560の少なくとも1つは、少なくとも部分的に、例えばフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)、システムオンチップ、システムオンボード、システムオンパッケージ、特定用途向け集積回路(ASIC)のようなハードウェア回路として実現されてもよいし、回路を統合またはパッケージ化する他の合理的な方式によるハードウェアまたはファームウェアで実現されてもよいし、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェアの3つの実現方法のいずれか1つまたは複数の適切な組み合わせで実現されてもよい。また、レベルセット関数処理モジュール1510、順方向シミュレーションモジュール1520、誤差計算モジュール1530、随伴シミュレーションモジュール1540、レベルセット勾配計算モジュール1550、進化モジュール1560の少なくとも1つは、少なくとも部分的に、実行されると対応する機能を実現できるコンピュータプログラムモジュールとして実現されてもよい。
【0134】
図16は、本開示の実施例による上記のような方法を実現する電子機器のブロック図を模式的に示す。図16に示す電子機器は一例にすぎず、本開示の実施例の機能と使用範囲を限定するものではない。
【0135】
図16に示すように、本実施例で説明された電子機器1600は、プロセッサ1601を含む。このプロセッサ1601は、リードオンリーメモリ(ROM)1602に記憶されているプログラム、または記憶手段1608からランダムアクセスメモリ(RAM)1603にロードされているプログラムに基づいてさまざまな適合な動作処理を実行することができる。プロセッサ1601は、例えば、汎用マイクロプロセッサ(例えばCPU)、命令セットプロセッサ及び/または関連チップセット及び/または専用マイクロプロセッサ(例えば、特定用途向け集積回路(ASIC))などを含んでもよい。プロセッサ1601は、キャッシュ用途のオンボードメモリをさらに含んでもよい。プロセッサ1601は、本開示の実施例によるプロセスの異なる動作を実行するための1つまたは複数の処理ユニットを含んでもよい。
【0136】
RAM1603は、システム1600の動作に必要なさまざまなプログラム及びデータを記憶している。プロセッサ1601、ROM1602、RAM1603は、バス1604を介して互いに接続されている。プロセッサ1601は、ROM1602及び/またはRAM1603におけるプログラムを実行することで本開示の実施例による方法のさまざまな動作を実行する。なお、プログラムは、ROM1602及びRAM1603以外の1つまたは複数のメモリに記憶されてもよい。プロセッサ1601は、1つまたは複数のメモリに記憶されているプログラムを実行することで本開示の実施例による方法のさまざまな動作を実行してもよい。
【0137】
本開示の実施例によれば、電子機器1600は、バス1604にも接続されている入力/出力(I/O)インターフェース1605を含んでもよい。システム1600は、I/Oインターフェース1605に接続されている、キーボードや、マウスなどを含む入力手段1606と、陰極線管(CRT)や、液晶ディスプレイ(LCD)などのディスプレイ、及びスピーカーなどを含む出力手段1607と、ハードディスクなどを含む記憶手段1608と、LANカードや、モデムなどのネットワークインタフェースカードを含む通信手段1609と、のうちの1つまたは複数を含んでもよい。通信手段1609は、インターネットなどのネットワークを通じて通信処理を行う。ドライブ1610も、必要に応じてI/Oインターフェース1605に接続される。磁気ディスクや、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリなどのリムーバブル媒体1611は、必要に応じてドライブ1610と接続される。これによって、リムーバブル媒体1611から読み出されたコンピュータプログラムを記憶手段1608にインストールすることができる。
【0138】
本開示の実施例によれば、本開示の実施例によるプロセスは、コンピュータソフトウェアプログラムとして実現され得る。例えば、本開示の実施例は、コンピュータ読取可能な記憶媒体に記憶されたコンピュータプログラムを含むコンピュータプログラム製品を有し、このコンピュータプログラムは、フローチャートに示す方法を実行するためのプログラムコードを含む。このような実施例において、このコンピュータプログラムは、通信手段1609を通じてネットワークからダウンロードされ、インストールされてもよく、及び/またはリムーバブル媒体1611からインストールされてもよい。このコンピュータプログラムがプロセッサ1601に実行されると、本開示の実施例に係るシステムに限定される上記機能を実行する。本開示の実施例によれば、上記で説明されたシステム、機器、装置、モジュール、ユニットなどは、コンピュータプログラムモジュールによって実現可能である。
【0139】
本開示の実施例は、コンピュータ読取可能な記憶媒体をさらに提供し、このコンピュータ読取可能な記憶媒体は、上記実施例で説明された機器/装置/システムに含まれてもよく、これらの機器/装置/システムに含まれずに独立した存在としてもよい。上記コンピュータ読取可能な記憶媒体は、実行されると本開示の実施例によるレベルセットアルゴリズムに基づく超解像リソグラフィのリバース光近接効果補正方法を実現する1つまたは複数のプログラムを記憶している。
【0140】
本開示の実施例によれば、コンピュータ読取可能な記憶媒体は、不揮発性コンピュータ読取可能な記憶媒体であってもよい。例えば、ポータブルコンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、ポータブルコンパクトディスクリードオンリーメモリ(CD-ROM)、光記憶装置、磁気記憶装置又はそれらの任意の適切な組合せを含むが、これらに限定されない。本開示の実施例において、コンピュータ読取可能な記憶媒体は、命令実行システム、装置または機器に使用され、またはそれらに結合して使用されるプログラムを格納または記憶する有形的な媒体であってもよい。例えば、本開示の実施例によれば、コンピュータ読取可能な記憶媒体は、上記のROM1602及び/またはRAM1603及び/またはROM1602及びRAM1603以外の1つまたは複数のメモリを含んでもよい。
【0141】
本開示の実施例は、コンピュータプログラム製品をさらに含み、このコンピュータプログラム製品は、フローチャートに示す方法を実行するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラムを含む。コンピュータプログラム製品がコンピュータシステムで実行されると、このプログラムコードは、コンピュータシステムに本開示の実施例によるレベルセットアルゴリズムに基づく超解像リソグラフィのリバース光近接効果補正方法を実現させる。
【0142】
このコンピュータプログラムがプロセッサ1601に実行されると、本開示の実施例に係るシステム/装置に限定される上記機能を実行する。本開示の実施例によれば、上記で説明されたシステム、装置、モジュール、ユニットなどは、コンピュータプログラムモジュールによって実現可能である。
【0143】
一実施例において、このコンピュータプログラムは、光記憶装置、磁気記憶装置などの有形的な記憶媒体に記憶されてもよい。別の一実施例において、このコンピュータプログラムは、信号としてネットワークで伝送され、配信されてもよく、通信手段1609を通じてダウンロードされ、インストールされてもよく、及び/またはリムーバブル媒体1611からインストールされてもよい。このコンピュータプログラムに含まれるプログラムコードは、任意の適切なネットワークで伝送されてもよい。ワイヤレス、有線など、または上記の任意の適切な組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0144】
このような実施例において、このコンピュータプログラムは、通信手段1609を通じてネットワークからダウンロードされ、インストールされてもよく、及び/またはリムーバブル媒体1611からインストールされてもよい。このコンピュータプログラムがプロセッサ1601に実行されると、本開示の実施例に係るシステムに限定される上記機能を実行する。本開示の実施例によれば、上記で説明されたシステム、機器、装置、モジュール、ユニットなどは、コンピュータプログラムモジュールによって実現可能である。
【0145】
本開示の実施例によれば、本開示の実施例を実行するためのコンピュータプログラムのプログラムコードは、1つまたは複数のプログラミング言語の如何なる組み合わせで開発してもよい。具体的に、これらのコンピュータプログラムは、アドバンストプロセス及び/またはオブジェクト指向プログラミング言語及び/またはアセンブリ/マシン言語で実現されてもよい。プログラミング言語は、例えばJava、C++、python、Cプログラミング言語または類似なプログラミング言語を含むが、これらに限定されない。プログラムコードは、完全にユーザのコンピュータで実行してもよいし、部分的にユーザのコンピュータで実行してもよいし、部分的にリモートコンピュータで実行してもよいし、完全にリモートコンピュータまたはサーバで実行してもよい。リモートコンピュータの場合、リモートコンピュータは、例えば地域ネットワーク(LAN)または広域ネットワーク(WAN)などの如何なるネットワークを介してユーザのコンピュータに接続されてもよいし、例えばインターネットのプロバイダが提供したインターネットを介して外部コンピュータに接続されてもよい。
【0146】
また、本開示の各実施例における各機能モジュールは、1つの処理モジュールに統合してもよく、独立した物理的な存在としてもよく、2つ以上のモジュールを1つのモジュールに統合させてもよい。上記の集積したモジュールは、ハードウェアの方式で実現してもよく、ソフトウェアによる機能モジュールの方式で実現してもよい。集積したモジュールは、ソフトウェア機能モジュールの形式で実現され、独立した製品として販売されたり使用されたりする場合、コンピュータ読取可能な記憶媒体に記憶されることが可能である。このような理解から、本開示の技術案のそのもの、或いは従来技術に寄与できる部分、或いはこの技術案の全部または一部は、ソフトウェア製品の形式で実現できる。
【0147】
図面におけるフローチャートとブロック図が、本開示の各実施例によるシステム、方法及びコンピュータプログラム製品に基づく実現可能なアーキテクチャ、機能及び操作を示した。ここで、フローチャートまたはブロック図における各ブロックは、所定の論理機能を実現するための1つまたは複数の実行可能な命令が含まれている、1つのモジュール、プログラムセグメントまたはコードの一部を表すことが可能である。そして、置き換え可能な実現方式において、ブロックに記載された機能の実現が図面に示した順序と異なってもよい。例えば、2つの連続するブロックは、実際にほぼ並行に実行してもよく、場合によって逆の順序で実行してもよい。これは、必要な機能によって決められる。そして、ブロック図及び/またはフローチャートにおける各ブロックと、ブロック図及び/またはフローチャートにおけるブロックとの組み合わせは、所定の機能または動作を実行する専用の、ハードウェアに基づくシステムにより実現されてもよく、専用のハードウェアとコンピュータ命令との組み合わせにより実現されてもよい。
【0148】
当業者であればわかるように、本開示の各実施例及び/または特許請求の範囲に記載されている特徴は、本開示に明示されなくてもさまざまな組み合わせ及び/または結合を行ってもよい。特に、本開示の精神と範囲を逸脱しない限り、本開示の各実施例及び/または特許請求の範囲に記載されている特徴は、さまざまな組み合わせ及び/または結合を行ってもよい。これらのすべての組み合わせ及び/または結合は、いずれも本開示の範囲に属する。
【0149】
本開示の特定の例示的な実施例を参照しながら本開示を説明したが、当業者にとって、付する特許請求の範囲及びその均等範囲によって限定される本開示の精神と範囲を逸脱しない限り、本開示の形態および詳細において様々な変更が可能である。そのため、本開示の範囲は、上記実施例に限定されるべきではなく、付する特許請求の範囲のみならず、その均等範囲によっても限定されるべきである。
【要約】
レベルセットアルゴリズムに基づく超解像リソグラフィのリバース光近接効果補正方法は、目標パターンに基づいて第1マスクデータを取得し、レベルセット関数を作成するステップ(S11)と、順方向シミュレーションを行い、フォトレジストにおける電場分布と、マスクにおける第1構造ベクトル電場分布とを得るステップ(S12)と、フォトレジストにおける電場分布に基づいてフォトレジストパターンを取得し、フォトレジストパターンと目標パターンとの結像誤差を算出するステップ(S13)と、随伴シミュレーションを行い、第2構造ベクトル電場分布を得るステップ(S14)と、第1構造ベクトル電場分布と、第2構造ベクトル電場分布と、結像誤差とに基づいてレベルセット勾配を算出するステップ(S15)と、レベルセット勾配でレベルセット関数を進化させ、更新して第2マスクデータを取得し、所定条件を満たすマスクデータを取得するまで第2マスクデータを用いて反復計算を行い、リバース光近接効果の補正を完了するステップ(S16)と、を含む。表面プラズモン超解像リソグラフィ方法、リバース光近接効果補正システムをさらに提供する。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16