(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-03
(45)【発行日】2024-06-11
(54)【発明の名称】撮像レンズおよびカメラ装置および移動体
(51)【国際特許分類】
G02B 13/04 20060101AFI20240604BHJP
G02B 13/18 20060101ALI20240604BHJP
H04N 23/55 20230101ALI20240604BHJP
【FI】
G02B13/04
G02B13/18
H04N23/55
(21)【出願番号】P 2020012657
(22)【出願日】2020-01-29
【審査請求日】2022-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100127111
【氏名又は名称】工藤 修一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 昭典
【審査官】岡田 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-197129(JP,A)
【文献】特開平09-026542(JP,A)
【文献】特表2006-513449(JP,A)
【文献】特開2010-266577(JP,A)
【文献】特開2011-013469(JP,A)
【文献】特開2011-053663(JP,A)
【文献】特開2019-132967(JP,A)
【文献】米国特許第09442277(US,B1)
【文献】特開2009-128654(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0002849(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00-17/08
G02B 21/02-21/04
G02B 25/00-25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単焦点で、120度以上の画角を有し、
物体側から像側へ向かって順に、負の屈折力の第1群、正の屈折力の第2群、開口絞り
、正の屈折力の第3群、正の屈折力の第4群を配してなり、
前記第1群は、2枚の負レンズで構成され、
前記第2群は、1枚の正レンズで構成され、
前記第3群は、2枚の正レンズと1枚の負レンズの3枚で構成され、該3枚のレンズの
うち少なくとも物体側の2枚が接合されており、
前記第4群は、非球面形状を有する1枚の正レンズで構成され、
前記第3群が物体側から像側へ向かって正レンズ、負レンズ、正レンズの3枚を接合して構成され、
第i群(i=1~4)のd線に対する焦点距離:fi、全系のd線に対する焦点距離:
fが、以下の条件:
(1) -2.7 ≦ f1/f ≦ -0.7
(2) 2.2 ≦ f2/f ≦ 6.6
(3) 3.9 ≦ f3/f ≦ 14.3
(4) 2.8 ≦ f4/f ≦ 11.0
満足する撮像レンズ。
【請求項2】
単焦点で、120度以上の画角を有し、
物体側から像側へ向かって順に、負の屈折力の第1群、正の屈折力の第2群、開口絞り
、正の屈折力の第3群、正の屈折力の第4群を配してなり、
前記第1群は、物体側から像側へ向かって、負レンズ、正レンズ、負レンズの3枚のレ
ンズを配して構成され、
前記第2群は、1枚の正レンズで構成され、
前記第3群は、2枚の正レンズと1枚の負レンズの3枚で構成され、該3枚のレンズの
うち少なくとも物体側の2枚が接合されており、
前記第4群は、非球面形状を有する1枚の正レンズで構成され、
第i群(i=1~4)のd線に対する焦点距離:fi、全系のd線に対する焦点距離:
fが、以下の条件:
(1) -2.7 ≦ f1/f ≦ -0.7
(2) 2.2 ≦ f2/f ≦ 6.6
(3) 3.9 ≦ f3/f ≦ 14.3
(4) 2.8 ≦ f4/f ≦ 11.0
満足する撮像レンズ。
【請求項3】
請求項1または2記載の撮像レンズであって、
第1群の最も物体側のレンズの物体側の面が凸面である撮像レンズ。
【請求項4】
請求項2記載の撮像レンズであって、
第1群の最も物体側の負レンズの物体側の面が凹面である撮像レンズ。
【請求項5】
請求項1ないし4の何れか1項に記載の撮像レンズであって、
第1群から第3群の各レンズは両面が球面である撮像レンズ。
【請求項6】
請求項
2または4の何れか1項に記載の撮像レンズであって、
第3群が物体側から像側へ向かって正レンズ、負レンズ、正レンズの3枚を接合して構
成されている撮像レンズ。
【請求項7】
請求項
2記載の撮像レンズであって、
第3群を構成する2枚の正レンズと1枚の負レンズのうち、物体側の2枚が正レンズと
負レンズの接合レンズであり、像側の1枚が独立した正レンズである撮像レンズ。
【請求項8】
請求項
2記載の撮像レンズであって、
第3群における正レンズと負レンズの接合レンズにおける前記正レンズが物体側に配さ
れ、第1群が、物体側から像側へ向かって、負レンズ、正レンズ、負レンズの3枚のレン
ズで構成されている撮像レンズ。
【請求項9】
請求項7記載の撮像レンズであって、
第3群における正レンズと負レンズの接合レンズにおける前記負レンズが物体側に配さ
れている撮像レンズ。
【請求項10】
請求項1ないし9の何れか1項に記載の撮像レンズであって、
前記の焦点距離:fが条件:
1.5mm ≦f< 22mm
を満足する撮像レンズ。
【請求項11】
請求項1ないし10の何れか1項に記載の撮像レンズを含むカメラ装置。
【請求項12】
撮影用のカメラ装置、検査用カメラ装置、ステレオカメラ装置、車載カメラ装置、監視
用カメラ装置の何れかである、請求項11記載のカメラ装置。
【請求項13】
請求項11記載のカメラ装置を搭載した移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、撮像レンズおよびカメラ装置および移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像レンズを用いるカメラ装置は近来、撮影用のみならず、車載カメラ装置やステレオカメラ装置、検査用カメラ装置、監視用カメラ装置等、広範な種類のものが実用化されている。
これら広範な種類のカメラ装置に搭載される撮像レンズには、一般に、高解像度、大口径で明るいレンズであること、広画角であること、小型であること等が求められる。
【0003】
撮像レンズが結像する像をCCDやCMOS等の撮像素子で読取る方式のカメラ装置に用いられる撮像光学系として好適なものとして「レトロフォーカスタイプ」のものが知られている(特許文献1~5)。
レトロフォーカスタイプの撮像光学系は、物体側の前群に負のパワーのレンズ群、これに続く像側の後群に正のパワーのレンズ群を配置することにより、前群、後群ともに射出瞳を像面から離すことができ、軸外光線の受光面への入射角を小さくできるため、撮像素子への入射光を効率よく利用でき、また、バックフォーカスを大きくできるところから、撮像レンズと撮像素子との間に光学的ローパスフィルタや赤外カットフィルタ等のフィルタ類を配置するスペースの確保が容易である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は、120度以上の広い画角を有し、小型に構成でき、上記種々のカメラ装置への搭載に適したレトロフォーカスタイプの新規な撮像レンズの実現を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明の撮像レンズは、単焦点で、120度以上の画角を有し、物体側から像側へ向
かって順に、負の屈折力の第1群、正の屈折力の第2群、開口絞り、正の屈折力の第3群
、正の屈折力の第4群を配してなり、前記第1群は、2枚の負レンズで構成され、前記第
2群は、1枚の正レンズで構成され、前記第3群は、2枚の正レンズと1枚の負レンズの
3枚で構成され、該3枚のレンズのうち少なくとも物体側の2枚が接合されており、前記第3群が物体側から像側へ向かって正レンズ、負レンズ、正レンズの3枚を接合して構成され、前記第4群は、非球面形状を有する1枚の正レンズで構成され、第i群(i=1~4)のd線に対する焦点距離:fi、全系のd線に対する焦点距離:
fが、以下の条件:
(1) -2.7 ≦ f1/f ≦ -0.7
(2) 2.2 ≦ f2/f ≦ 6.6
(3) 3.9 ≦ f3/f ≦ 14.3
(4) 2.8 ≦ f4/f ≦ 11.0
満足する。
【発明の効果】
【0006】
この発明によれば、120度以上の広い画角を有し、小型に構成でき、上記種々のカメラ装置への搭載に適したレトロフォーカスタイプの新規な撮像レンズを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】実施例1の撮像レンズのデータおよび非球面データを示す図である。
【
図3】実施例1の撮像レンズの焦点距離と条件式のパラメータの値を示す図である。
【
図7】実施例2の撮像レンズのデータおよび非球面データを示す図である。
【
図8】実施例2の撮像レンズの焦点距離と条件式のパラメータの値を示す図である。
【
図9】実施例2の撮像レンズの球面収差および非点収差、歪曲収差を示す図である。
【
図12】実施例3の撮像レンズのデータおよび非球面データを示す図である。
【
図13】実施例3の撮像レンズの焦点距離と条件式のパラメータの値を示す図である。
【
図14】実施例3の撮像レンズの球面収差および非点収差、歪曲収差を示す図である。
【
図17】実施例4の撮像レンズのデータおよび非球面データを示す図である。
【
図18】実施例4の撮像レンズの焦点距離と条件式のパラメータの値を示す図である。
【
図19】実施例4の撮像レンズの球面収差および非点収差、歪曲収差を示す図である。
【
図22】実施例5の撮像レンズのデータおよび非球面データを示す図である。
【
図23】実施例5の撮像レンズの焦点距離と条件式のパラメータの値を示す図である。
【
図24】実施例5の撮像レンズの球面収差および非点収差、歪曲収差を示す図である。
【
図27】実施例6の撮像レンズのデータおよび非球面データを示す図である。
【
図28】実施例6の撮像レンズの焦点距離と条件式のパラメータの値を示す図である。
【
図29】実施例6の撮像レンズの球面収差および非点収差、歪曲収差を示す図である。
【
図32】実施例7の撮像レンズのデータおよび非球面データを示す図である。
【
図33】実施例7の撮像レンズの焦点距離と条件式のパラメータの値を示す図である。
【
図34】実施例7の撮像レンズの球面収差および非点収差、歪曲収差を示す図である。
【
図37】実施例8の撮像レンズのデータおよび非球面データを示す図である。
【
図38】実施例8の撮像レンズの焦点距離と条件式のパラメータの値を示す図である。
【
図39】実施例8の撮像レンズの球面収差および非点収差、歪曲収差を示す図である。
【
図42】実施例9の撮像レンズのデータおよび非球面データを示す図である。
【
図43】実施例9の撮像レンズの焦点距離と条件式のパラメータの値を示す図である。
【
図44】実施例9の撮像レンズの球面収差および非点収差、歪曲収差を示す図である。
【
図47】実施例10の撮像レンズのデータおよび非球面データを示す図である。
【
図48】実施例10の撮像レンズの焦点距離と条件式のパラメータの値を示す図である。
【
図49】実施例10の撮像レンズの球面収差および非点収差、歪曲収差を示す図である。
【
図50】実施例10の撮像レンズの横収差図である。
【
図51】カメラ装置の1例としての検査装置の1実施例を説明するための図である。
【
図52】カメラ装置の1例としてのステレオカメラ装置の1実施例を説明するための図である。
【
図53】カメラ装置の1例としての車載カメラ装置の1実施例を説明するための図である。
【
図54】車載カメラ装置を搭載した移動体の1例としての自動車を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図を参照して説明する。
図1に、撮像レンズの実施の1形態を示す。
図1に示す例は、後述する実施例1の撮像レンズに対応している。図の左方が物体側で、右方が像側である。
図1の撮像レンズは、物体側から像側へ向かって順に、第1群、第2群、開口絞り、第3群、第4群を配してなる。
以下において、撮像レンズを構成するレンズに符号を付する場合の規則として、物体側から順次、符号:L1、L2、・・、Lj・・とし、物体側から数えて「j番目のレンズ」をLjで示すものとする。
「第1群」は、物体側からレンズL1、L2を配してなり、「第2群」は、1枚のレンズL3で構成され、「開口絞り」のすぐ像側にある「第3群」は、3枚のレンズL4、L5、L6により構成され、最も像側に配される「第4群」は、1枚のレンズL7により構成されている。
【0009】
第i群(i=1~4)を構成するレンズにつき説明すると、以下の通りである。
第1群は、少なくとも負レンズを2枚有する。
第2群は、1枚の正レンズで構成される。
第3群は、2枚の正レンズと1枚の負レンズの3枚で構成され、該3枚のレンズのうち少なくとも2枚が接合されている。
第4群は、非球面形状を有する1枚の正レンズで構成される。
従って、第2群および第4群は何れも「1枚の正レンズ」で構成され、第3群は、正レンズ2枚と負レンズ1枚で構成される。
第1群は、少なくとも2枚の負レンズを有して構成され、2枚の負レンズで構成されることも、物体側から像側へ向かって、負レンズ、正レンズ、負レンズの3枚のレンズを配して構成されることもできる。
【0010】
撮像レンズを小型に構成する観点からすると、第1群を構成するレンズ枚数は、2枚もしくは3枚が好ましい。2枚のレンズで構成する場合、2枚のレンズは共に負レンズであるが、3枚のレンズで構成する場合は2枚の負レンズと1枚の正レンズで構成することが好ましい。
即ち、 第1群を「2枚の負レンズと1枚の正レンズ」で構成する場合、これらは物体側から像側へ向かって、負レンズ、正レンズ、負レンズの順に配する。
第1群の最も物体側に負レンズを配する場合、この負レンズの物体側の面は、凸面とすることも凹面とすることもできる。
第3群は、上述のように、2枚の正レンズと1枚の負レンズの3枚で構成され、該3枚のレンズのうち少なくとも物体側の2枚が接合される。
即ち、第3群は「3枚のレンズを接合一体化」した構成とすることができ、また、「物体側の2枚のレンズを接合したものと、独立した像側の1枚のレンズ」による構成が可能である。
第3群を構成する「2枚の正レンズと1枚の負レンズ」の配列には物体側から「正・正・負」、「正・負・正」、「負・正・正」の3通りが可能であるが、これらのうちで「正・負・正」、「負・正・正」の配列は好ましい配列である。特に、3枚のレンズを接合一体化する場合は「正・負・正」の配列は好ましい。
第3群の3枚のレンズのうち、2枚を接合し、他の1枚を独立させる場合、2枚接合レンズのレンズ配列は物体側から「正・正」、「正・負」、「負・正」の3通りが可能であるが、これらの中で「正・負」、「負・正」は好ましい配列である。
これらの場合、2枚接合レンズと「独立した1枚のレンズ」とは、そのいずれを物体側にしてもよいが、物体側に「正・負」または「負・正」の接合レンズを配し、像側に負レンズを配する配置は好適な配置である。
【0011】
この発明の撮像レンズは、前述の如く、第i群(i=1~4)のd線に対する焦点距離:fi、全系のd線に対する焦点距離:fが、条件:
(1) -2.7 ≦ f1/f ≦ -0.7
(2) 2.2 ≦ f2/f ≦ 6.6
(3) 3.9 ≦ f3/f ≦ 14.3
(4) 2.8 ≦ f4/f ≦ 11.0
満足する。
これらの条件は、第1群ないし第4群の屈折力の範囲を規制するものである。
即ち、「第1群の負の屈折力」と「第2ないし第4群の正の屈折力」とを条件(1)ないし(4)で規制することにより、これらの屈折力のバランスをとり、120度以上の広い画角とレトロフォーカスタイプの優れた性能を実現するのである。
【0012】
条件(1)は、第1群の負の屈折力を規制する条件である。
条件(1)のパラメータが下限を超えると、第1群の負の屈折力が「絶対値で小さく」なり、レトロフォーカスタイプの長所を生かすことが難しい。
条件(1)のパラメータが上限を超えると、第1群の負の屈折力が強くなり、広角化には有利であるが、各種収差、特に球面収差の補正が困難になる。
条件(2)は、第2群の正の屈折力を規制する条件である。
条件(2)のパラメータが下限を超えると第2群の正の屈折力が過大となり、上限を超えると過小となり、何れの場合も、条件(1)を満足する「第1群の負の屈折力」とのバランスが崩れて各種収差、特に球面収差の補正が困難となる。
条件(3)は、第3群の正の屈折力を規制する条件である。
条件(3)のパラメータが下限を超えると第3群の正の屈折力が過大となり、上限を超えると過小となり、何れの場合も、条件(1)を満足する第1群の負の屈折力、条件(2)を満足する第2群の正の屈折力とのバランスが崩れて各種収差、特にコマ収差の補正が困難となる。
条件(4)は、第4群の正の屈折力を規制する条件である。
条件(4)のパラメータが下限を超えると第4群の正の屈折力が過大となり、上限を超えると過小となり、何れの場合も、条件(1)を満足する第1群の負の屈折力、条件(2)を満足する第2群および条件(3)を満足する第3群の「正の屈折力」とのバランスが崩れて各種収差、特に歪曲収差の補正が困難となる。
【0013】
なお、この発明の撮像レンズの全系の焦点距離:fは、撮像レンズの仕様に応じて、適宜に設定可能であるが、撮像レンズを、車載カメラ装置やステレオカメラ装置、検査用カメラ装置、監視用カメラ装置等に用いる場合を考慮すると、過大な焦点距離は「Fナンバを小さくしようとすると、第1群のレンズ径の増大」をもたらし、撮像レンズひいてはカメラ装置の大型化を招来するし、過小な焦点距離は「撮像レンズの小型化」には有利であるが各種収差の補正が困難となりやすい。
【0014】
このような観点から、全系のd線に対する焦点距離:fは、条件:
1.5mm ≦ f < 22mm
を満足することが好ましい。
この発明の撮像レンズを構成する各レンズは「何れも球面レンズで構成」できるが、1枚以上のレンズを非球面レンズとして構成することもできる。
非球面を採用するレンズは、非球面の収差補正機能を考慮すると、最も像側に近い第4群の正レンズが適している。第4群に非球面を採用すると、第1~第3群で発生する各種の収差の補正を良好に行うことができる。特に、第4群の正レンズの両面を非球面とすることにより良好な収差補正が可能となる。
【0015】
再び、
図1を参照すると、
図1に示された撮像レンズの第1群は、物体側から負レンズL1、負レンズL2を配して構成され、負レンズL1は凸面を物体側に向けた負メニスカスレンズ、負レンズL2は両凹レンズである。
第2群を構成する1枚の正レンズL3は「肉厚の両凸レンズ」である。
第3群は、物体側から順に、正レンズL4、負レンズL5、正レンズL6を接合一体化してなり、正レンズL4は肉厚の両凸レンズ、負レンズL5は両凹レンズ、正レンズL6は肉厚の両凸レンズである。
第4群は1枚の正レンズL7により構成され、このレンズは「物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズ形状」であり、その両面が非球面である。
なお、
図1における符号Fは、赤外線除去フィルタや各種のカラーフィルタを、これらと「光学的に等価な1枚の透明平行平板」として示したものである。
また、
図1の撮像レンズは、像を撮像素子(エリアセンサ)の受光面上に結像する場合が想定され、像が結像する像面Imは、撮像素子の受光面に合致する。符号Gは、撮像素子の受光面を保護するカバーガラスを示す。
以下、撮像レンズの具体的な実施例を10例(実施例1ないし実施例10)示す。
なお、実施例1ないし10は何れも、物体像を撮像素子で読取り、歪曲収差を「電子的な演算により補正する場合」を想定している。
【実施例】
【0016】
「実施例1」
実施例1は、
図1に示した実施の形態の撮像レンズであり、そのレンズ構成は上に説明した通りのものである。
実施例1のデータを
図2に示す。
図2(a)において、「面番号」は、物体の側から数えた面の番号であり「開口絞りの面(面番号7)」を含んでいる。「面タイプ」は各面番号の面のタイプであり「球」とあるのは「球面」で、曲率半径が無限である「平面」を含んでいる。「非球面」は、以下の式により形状を特定される面である。
即ち、非球面量:Zを、近軸曲率半径:R、光軸からの距離:h、コーニック定数:K、4、6、8、10次の非球面係数をE
4、E
6、E
8、E
10として、周知の次式:
Z=(h
2/R)/[1+√(1―(1+K)(h/R)
2]
+E4・h
4+E6・h
6+E8・h
8+E10・h
10
で表す。
図2(b)は、非球面(第4群のレンズL7の両面)のデータである。なお、図中において例えば「5.69E-04」とあるのは「5.69×10
-4」を意味している。
【0017】
図3(a)に、実施例1の各レンズL1ないしL7、第1ないし第4群及び全系のd線に対する焦点距離(fd)、(b)に実施例1の条件(1)ないし(4)のパラメータの値を示す。
【0018】
図4には、実施例1の撮像レンズの縦収差を示す。図の左図は球面収差、中図は非点収差、右図は歪曲収差(右図)である。
球面収差および非点収差は極めて良好に補正されている。歪曲収差は若干大きいが、電子的な補正が十分に可能なレベルである。
【0019】
図5には、実施例1の撮像レンズの横収差を示す。横収差も極めて良好に補正されている。
【0020】
「実施例2」
実施例2の撮像レンズの構成を
図6に示す。繁雑を避けるため、混同の恐れが無いと思われるものについては
図1におけると同符号を用い、レンズに関しては前述の規則(物体側から数えて「j番目のレンズ」をLjで示す。)に従っている。
【0021】
第1群は、負レンズL1、正レンズL2、負レンズL3の3枚で構成されている。
負レンズL1は両凹レンズで、従って、物体側の面も凹面である。正レンズL2は「凸面を像側に向けた正メニスカスレンズ」、負レンズL3は凹面を物体側に向けた「肉厚の負メニスカスレンズ」である。
第2群は、凸面を像側に向けた1枚の正メニスカスレンズ(正レンズ)L4で構成されている。
開口絞りの像側の第3群は、物体側から順に、両凸レンズ(正レンズ)L5、両凹レンズ(負レンズ)L6、肉厚の両凸レンズL7の3枚を接合一体化してなる。
第4群は、1枚の正レンズL8からなり、この正レンズL8は両面とも非球面である。
【0022】
実施例2のデータを、
図2(a)に倣って
図7(a)に、非球面データを
図2(b)に倣って
図7(b)に示す。
図8(a)に実施例2の各レンズL1ないしL8、第1ないし第4群及び全系のd線に対する焦点距離、(b)に実施例2の条件(1)ないし(4)のパラメータの値を示す。
【0023】
図9には、実施例2の撮像レンズの縦収差を
図4に倣って示す。
球面収差および非点収差は極めて良好に補正されている。歪曲収差は若干大きいが、電子的な補正が十分に可能なレベルである。
図10には、実施例2の撮像レンズの横収差を示す。横収差も極めて良好に補正されている。
【0024】
「実施例3」
実施例3の撮像レンズの構成を
図11に示す。繁雑を避けるため、混同の恐れが無いと思われるものについては
図1におけると同符号を用い、レンズに関しては前述の規則(物体側から数えて「j番目のレンズ」をLjで示す。)に従っている。
第1群は、負レンズL1、正レンズL2、負レンズL3の3枚で構成されている。
負レンズL1は「凸面を物体側に向けた負メニスカスレンズ」、正レンズL2は「凸面を像側に向けた正メニスカスレンズ」、負レンズL3は「肉厚の両凹レンズ」である。
第2群は、肉厚の両凸レンズ(正レンズ)L4で構成されている。
開口絞りの像側の第3群は、物体側から順に、両凸レンズ(正レンズ)L5、凹メニスカスレンズL6を接合した接合レンズと、その像側に独立して配されたレンズL7による3枚のレンズからなり、レンズL7は凸面を物体側に向けた肉厚の正メニスカスレンズである。
【0025】
第4群は、1枚の正レンズL8からなり、正レンズL8は両面とも非球面である。
実施例3のデータを、
図2(a)に倣って
図12(a)に示し、非球面データを
図2(b)に倣って
図12(b)に示す。
図13(a)に実施例3の各レンズL1ないしL8、第1ないし第4群及び全系のd線に対する焦点距離、(b)に実施例3の条件(1)ないし(4)のパラメータの値を示す。
【0026】
図14には、実施例3の撮像レンズの縦収差を
図4に倣って示す。
球面収差および非点収差は極めて良好に補正されている。歪曲収差は若干大きいが、電子的な補正が十分に可能なレベルである。
図15には、実施例3の撮像レンズの横収差を示す。横収差も極めて良好に補正されている。
【0027】
「実施例4」
実施例4の撮像レンズの構成を
図16に示す。繁雑を避けるため、混同の恐れが無いと思われるものについては
図1におけると同符号を用い、レンズに関しては前述の規則(物体側から数えて「j番目のレンズ」をLjで示す。)に従っている。
第1群は、負レンズL1、負レンズL2の2枚で構成されている。
負レンズL1は「凸面を物体側に向けた負メニスカスレンズ」、負レンズL2は「凸面を像側に向けた負メニスカスレンズ」である。
第2群は、1枚の正レンズ3により構成され、正レンズL3は「凸面を像側に向けた肉厚の正メニスカスレンズ」である。
開口絞りの像側の第3群は、物体側から順に、肉厚の両凹レンズL4、両凸レンズL5の2枚を接合した接合レンズと、その像側に独立して配された正レンズL6による3枚のレンズからなり、レンズL6は「凸面を物体側に向けた正メニスカスレンズ」である。
第4群は、1枚の正レンズL7からなり、正レンズL7は両面とも非球面である。
【0028】
実施例4のデータを、
図2(a)に倣って
図17(a)に示し、非球面データを
図17(b)に示す。
図18(a)に実施例4の各レンズL1ないしL7、第1ないし第4群及び全系のd線に対する焦点距離、(b)に実施例4の条件(1)ないし(4)のパラメータの値を示す。
【0029】
図19には、実施例4の撮像レンズの縦収差を
図4に倣って示す。
球面収差および非点収差は極めて良好に補正されている。歪曲収差は若干大きいが、電子的な補正が十分に可能なレベルである。
図20には、実施例4の撮像レンズの横収差を示す。横収差も極めて良好に補正されている。
【0030】
「実施例5」
実施例5の撮像レンズの構成を
図21に示す。繁雑を避けるため、混同の恐れが無いと思われるものについては
図1におけると同符号を用い、レンズに関しては前述の規則(物体側から数えて「j番目のレンズ」をLjで示す。)に従っている。
第1群は、負レンズL1、負レンズL2の2枚で構成されている。
負レンズL1は「凸面を物体側に向けた負メニスカスレンズ」、負レンズL2は「凸面を像側に向けた肉厚の負メニスカスレンズ」である。
第2群は、1枚の正レンズ3により構成され、正レンズL3は「凸面を物体側に向けた肉厚の正メニスカスレンズ」である。
開口絞りの像側の第3群は、物体側から順に、肉厚の両凸レンズL4、両凹レンズL5肉厚の両凸レンズL6の3枚を接合した接合レンズである。
第4群は、1枚の正レンズL7からなり、正レンズL7は両面とも非球面である。
【0031】
実施例5のデータを、
図2(a)に倣って
図22(a)に示し、非球面データを
図22(b)に示す。
図23(a)に実施例5の各レンズL1ないしL7、第1ないし第4群及び全系のd線に対する焦点距離、(b)に実施例5の条件(1)ないし(4)のパラメータの値を示す。
【0032】
図24には、実施例5の撮像レンズの縦収差を
図4に倣って示す。
球面収差および非点収差は極めて良好に補正されている。歪曲収差は若干大きいが、電子的な補正が十分に可能なレベルである。
図25には、実施例5の撮像レンズの横収差を示す。横収差も極めて良好に補正されている。
【0033】
「実施例6」
実施例6の撮像レンズの構成を
図26に示す。繁雑を避けるため、混同の恐れが無いと思われるものについては
図1におけると同符号を用い、レンズに関しては前述の規則(物体側から数えて「j番目のレンズ」をLjで示す。)に従っている。
第1群は、負レンズL1、負レンズL2の2枚で構成されている。
負レンズL1は「凸面を物体側に向けた負メニスカスレンズ」、負レンズL2は「両凹レンズ」である。
【0034】
第2群は、1枚の正レンズ3により構成され、正レンズL3は「肉厚の両凸レンズ」である。
開口絞りの像側の第3群は、物体側から順に、肉厚の両凸レンズL4、両凹レンズL5および肉厚の両凸レンズL6の3枚を接合してなる接合レンズである。
第4群は、1枚の正レンズL7からなり、正レンズL7は両面とも非球面である。
【0035】
実施例6のデータを、
図2(a)に倣って
図27(a)に示し、非球面データを
図27(b)に示す。
図28(a)に実施例6の各レンズL1ないしL7、第1ないし第4群及び全系のd線に対する焦点距離、(b)に実施例6の条件(1)ないし(4)のパラメータの値を示す。
【0036】
図29には、実施例6の撮像レンズの縦収差を
図4に倣って示す。
球面収差および非点収差は極めて良好に補正されている。歪曲収差は若干大きいが、電子的な補正が十分に可能なレベルである。
図30には、実施例6の撮像レンズの横収差を示す。横収差も極めて良好に補正されている。
【0037】
「実施例7」
実施例7の撮像レンズの構成を
図31に示す。繁雑を避けるため、混同の恐れが無いと思われるものについては
図1におけると同符号を用い、レンズに関しては前述の規則(物体側から数えて「j番目のレンズ」をLjで示す。)に従っている。
第1群は、負レンズL1、負レンズL2の2枚で構成されている。
負レンズL1は「凸面を物体側に向けた負メニスカスレンズ」、負レンズL2は「両凹レンズ」である。
第2群は、1枚の正レンズ3で構成され、正レンズL3は「両凸レンズ」である。
開口絞りの像側の第3群は、物体側から順に、肉厚の両凸レンズL4、両凹レンズL5および肉厚の両凸レンズL6の3枚を接合してなる接合レンズである。
第4群は、1枚の正レンズL7からなり、正レンズL7は、両凸形状であるが両面とも非球面である。
【0038】
実施例7のデータを、
図2(a)に倣って
図32(a)に示し、非球面データを
図32(b)に示す。
図33(a)に実施例7の各レンズL1ないしL7、第1ないし第4群及び全系のd線に対する焦点距離、(b)に実施例7の条件(1)ないし(4)のパラメータの値を示す。
【0039】
図34には、実施例7の撮像レンズの縦収差を
図4に倣って示す。
球面収差および非点収差は極めて良好に補正されている。歪曲収差は若干大きいが、電子的な補正が十分に可能なレベルである。
図35には、実施例7の撮像レンズの横収差を示す。横収差も極めて良好に補正されている。
【0040】
「実施例8」
実施例8の撮像レンズの構成を
図36に示す。繁雑を避けるため、混同の恐れが無いと思われるものについては
図1におけると同符号を用い、レンズに関しては前述の規則(物体側から数えて「j番目のレンズ」をLjで示す。)に従っている。
第1群は、負レンズL1、負レンズL2の2枚で構成されている。
負レンズL1は「凸面を物体側に向けた負メニスカスレンズ」、負レンズL2は「両凹レンズ」である。
第2群は、1枚の正レンズ3で構成され、正レンズL3は「像側に凸面を向けた肉厚の正メニスカスレンズ」である。
開口絞りの像側の第3群は、物体側から順に、肉厚の両凸レンズL4、両凹レンズL5および肉厚の両凸レンズL6の3枚を接合してなる接合レンズである。
第4群は、1枚の正レンズL7からなり、正レンズL7は両面とも非球面である。
【0041】
実施例8のデータを、
図2(a)に倣って
図37(a)に示し、非球面データを
図37(b)に示す。
図38(a)に実施例8の各レンズL1ないしL7、第1ないし第4群及び全系のd線に対する焦点距離、(b)に実施例8の条件(1)ないし(4)のパラメータの値を示す。
【0042】
図39には、実施例8の撮像レンズの縦収差を
図4に倣って示す。
球面収差および非点収差は極めて良好に補正されている。歪曲収差は若干大きいが、電子的な補正が十分に可能なレベルである。
図40には、実施例8の撮像レンズの横収差を示す。横収差も極めて良好に補正されている。
【0043】
「実施例9」
実施例9の撮像レンズの構成を
図41に示す。繁雑を避けるため、混同の恐れが無いと思われるものについては
図1におけると同符号を用い、レンズに関しては前述の規則(物体側から数えて「j番目のレンズ」をLjで示す。)に従っている。
第1群は、負レンズL1、負レンズL2の2枚で構成されている。
負レンズL1は「凸面を物体側に向けた負メニスカスレンズ」、負レンズL2は「両凹レンズ」である。
第2群は、1枚の正レンズ3で構成され、正レンズL3は「両凸レンズ」である。
開口絞りの像側の第3群は、物体側から順に、両凸レンズL4、両凹レンズL5および肉厚の両凸レンズL6の3枚を接合してなる接合レンズである。
第4群は、1枚の正レンズL7からなり、正レンズL7は両面とも非球面である。
【0044】
実施例9のデータを、
図2(a)に倣って
図42(a)に示し、非球面データを
図42(b)に示す。
図43(a)に実施例9の各レンズL1ないしL7、第1ないし第4群及び全系のd線に対する焦点距離、(b)に実施例9の条件(1)ないし(4)のパラメータの値を示す。
【0045】
図44には、実施例9の撮像レンズの縦収差を
図4に倣って示す。
球面収差および非点収差は極めて良好に補正されている。歪曲収差は若干大きいが、電子的な補正が十分に可能なレベルである。
図45には、実施例9の撮像レンズの横収差を示す。横収差も極めて良好に補正されている。
【0046】
「実施例10」
実施例10の撮像レンズの構成を
図46に示す。繁雑を避けるため、混同の恐れが無いと思われるものについては
図1におけると同符号を用い、レンズに関しては前述の規則(物体側から数えて「j番目のレンズ」をLjで示す。)に従っている。
第1群は、負レンズL1、負レンズL2の2枚で構成されている。
負レンズL1は「凸面を物体側に向けた負メニスカスレンズ」、負レンズL2は「両凹レンズ」である。
第2群は、1枚の正レンズ3で構成されており、正レンズL3は「肉厚の両凸レンズ」である。
開口絞りの像側の第3群は、物体側から順に、両凸レンズL4、両凹レンズL5および肉厚の両凸レンズL6の3枚を接合してなる接合レンズである。
第4群は、1枚の正レンズL7からなり、正レンズL7は両面とも非球面である。
【0047】
実施例10のデータを、
図2(a)に倣って
図47(a)に示し、非球面データを
図47(b)に示す。
図48(a)に実施例10の各レンズL1ないしL7、第1ないし第4群及び全系のd線に対する焦点距離、(b)に実施例10の条件(1)ないし(4)のパラメータの値を示す。
図49には、実施例10の撮像レンズの縦収差を
図4に倣って示す。
球面収差および非点収差は極めて良好に補正されている。歪曲収差は若干大きいが、電子的な補正が十分に可能なレベルである。
図50には、実施例10の撮像レンズの横収差を示す。横収差も極めて良好に補正されている。
【0048】
以上、撮像レンズの具体的な実施例を10例挙げた。
前述の如く、実施例1ないし10は、物体像を撮像素子で読取り、歪曲収差を「電子的な演算により補正する場合」を想定している。球面収差・非点収差とともに横収差も十分に補正されており、歪曲収差も電子的な補正が十分に可能な範囲である。球面収差・非点収差・横収差が十分に補正されているので、撮像素子による高解像度の読取りが可能であり、1メガ画素の撮像装置による読取りも十分に可能である。
【0049】
また、実施例1ないし10の撮像レンズは何れも、FNo.=2.0であり十分な明るさを有しており、高速の画像読取りが可能である。いずれの実施例も120度以上の広画角であり、特に画角:150度の「実施例2」を除けば、他の実施例は190度と言う極めて広い画角を有している。
実施例2の撮像レンズの画角:150度が、他の実施例の画角:190度に比して小さいのは、実施例2の撮像レンズでは第1群のレンズL1の物体側の面が凹面であることによる。画角を大きくする観点からすると、第1レンズ群のレンズL1の物体側面は凸面であることが好ましいが、実施例2のように物体側の面を凹面としても、150度という広画角を実現でき、12度以上の画角を実現するのに、レンズL1の物体側面は凹面としても構成できることは明らかである。
【0050】
この発明のカメラ装置は、上述した撮像レンズを含むカメラ装置であり、通常の撮影用のカメラ装置として実施出来ることは勿論であるが、他に、検査用カメラ装置、ステレオカメラ装置、車載カメラ装置、監視用カメラ装置等として実施できる。
以下には、このようなカメラ装置の例として、検査用カメラ装置、ステレオカメラ装置、車載カメラ装置の実施の形態例を説明する。
【0051】
図51を参照して「検査用カメラ装置の実施の1形態を説明する。
以下に説明する検査装置は、所謂「製品検査」を行うための検査装置である。
製品検査には種々の検査や検査項目があり得るが、簡単のために多数個が製造される製品の「傷の有無」を検査する場合を例にとって説明する。
図51(a)において、符号20は「撮像部」、符号23は「検査プロセス実行部」を示し、符号24は「表示部」を示す。また、符号「W」は「製品」、符号26は「製品搬送ベルト」を示している。
撮像部20は、撮像光学系21と画像処理部22とを有する。
検査対象としての製品Wは、製品搬送ベルト26上に等間隔に置かれ、搬送ベルト26により矢印方向(図の右方)へ等速的に搬送される。
撮像光学系21は、結像対象である製品Wの像を結像するものであり、この発明の撮像レンズが用いられる。具体的には上述の実施例1ないし10の何れかの撮像レンズを用いることができる。以下、撮像光学系21を撮像レンズ21と称する。
製品検査は、
図51(b)に示す「準備工程」、「検査工程」、「結果表示工程」の各工程に從って行われる。これらの工程のうち、「検査工程と結果表示工程」が「検査プロセス」である。
【0052】
「準備工程」では、検査条件を設定する。
即ち、搬送ベルト26により搬送される製品Wの大きさや形状、傷の有無を検査する部位等に応じて、撮像レンズ21の撮影位置、撮影態位(結像レンズの向きや撮影対象との距離、即ち、物体距離)を定める。
そして、有無を検出すべき「傷」の位置や大きさに応じて、撮像レンズ21をフォーカシングする。撮像レンズ21は「フォーカシング機能」を持ち、検査項目(説明中の例では傷の有無)に応じて、適切に設定された物体距離に合わせてフォーカシングを行うことができる。
【0053】
一方において、「傷のないことが確認されているモデル製品」を搬送ベルト上の検査位置に置いて、これを撮像レンズ21により撮影する。
撮影は、画像処理部22に配置されたCCD等の撮像素子(以下、撮像素子22と言う。)による撮像で行われ、撮像素子22により撮像された画像は「画像情報」とされ、デジタルデータ化する画像処理が行われる。
【0054】
画像処理されたデジタルデータは、検査プロセス実行部23に送られ、検査プロセス実行部23は、前記デジタルデータを「モデルデータ」として記憶する。
「検査工程」では、製品Wが、搬送ベルト26上に「モデル製品と同一態位」に置かれ、搬送ベルト26により順次搬送される。そして、搬送される個々の製品Wが「検査位置」を通過する際に、撮像レンズ21による撮影が行われ、画像処理部22でデジタルデータ化されて、検査プロセス実行部23に送られる。
検査プロセス実行部23は「コンピュータやCPU」として構成され、画像処理部22を制御し、画像処理部22を介して、撮像レンズ21による撮影やフォーカシングを制御する。
検査プロセス実行部23は、画像処理部22でデジタルデータ化された「製品Wの画像のデータ」を受けると、該画像データと、前記「記憶したモデルデータ」のマッチングを行う。
撮影された製品Wに「傷」がある場合は、画像データとモデルデータとが合致しないので、この場合には、当該製品は「不良品」と判定する。
製品Wに傷が無い場合には、該製品の画像データとモデルデータが合致するので、この場合は、当該製品が「良品」であると判定する。
「結果表示工程」は、検査プロセス実行部23による個々の製品の「良品、不良品」の判定結果を、表示部24に表示する工程である。
なお、装置の構成上は、検査プロセス実行部23と表示部24とが「検査プロセス実行手段」を構成する。
【0055】
次に、
図52を参照して、ステレオカメラ装置尾実施の形態を説明する。
ステレオカメラ装置は、距離測定に用いられるものが、すでに知られており、従って、以下の説明は概略である。
図52において、符号11A、11Bは撮像光学系であり、同一仕様のものである。
撮像光学系11A、11Bとしては、請求項1ないし請求項10の何れか1項に記載の撮像レンズ、具体的には、実施例1ないし10の適宜のものを用いることができ、以下において、撮像レンズ11A、11Bと称する。
符号12A、12Bは撮像素子で、例えばCCDセンサやCMOSセンサを用いることができる。
撮像レンズ11A、11Bは、光軸AXAと光軸AXBとを互いに平行にして、所定の距離:D(基線長という。)を隔して配置されている。
撮像レンズ11Aは、物体Obの像を撮像素子12Aの受光面に結像させる。
撮像レンズ11Bは、物体Obの像を撮像素子12Bの受光面に結像させる。
撮像素子12A、12Bは、撮像レンズ11A、11Bにより結像した画像を撮影画像のデータとして制御演算部13に入力させる。
【0056】
コンピュータやCPUとして構成された制御演算部13は、撮像素子12A、12Bから入力される画像情報をデジタル情報化する。
そして、デジタル情報化された画像情報に基づき、物体Obまでの距離を演算により算出する。
即ち、制御演算部13では、各撮像素子12A、12Bに結像する物体Obの像位置に基づき、像位置間の距離:D+Δを求める。
【0057】
撮像レンズの焦点距離:f、基線長:Dを用いると、上記の如く求められた「D+Δ」により、物体Obまでの距離:dは、次式:
d=f{1+(D/Δ)}
により算出される。これが、ステレオカメラ装置による距離測定である。
【0058】
図53は、車載カメラ装置の実施の1形態を概略図として示す図である。
図53において、符号120は撮像系、符号13Cは制御演算部を示す。
撮像系120は、撮像光学系11Cと撮像素子12Cとを有する。
撮像系120と制御演算部13Cとは「車載カメラ装置」を構成し、図示されない車両に搭載され、例えば、車両外の画像情報を取得して、デジタル情報化する。デジタル情報化された画像情報は、自動ブレーキ等の「運転の補助情報」に用いることができる。
撮像光学系11Cとしては、請求項1ないし請求項10の何れか1項に記載の撮像レンズ、具体的には、実施例1ないし5の適宜のものを用いることができる。
【0059】
なお、
図53における撮像系120と制御演算部13Cの部分を、
図52のステレオカメラ装置に変えることができる。
【0060】
即ち、
図52に示すステレオカメラ装置は、これを車載カメラ装置として車両に搭載することができる。
【0061】
図54は、
図53に即して説明した「車載カメラ」を、車載カメラ14Aとして搭載した「移動体」としての自動車AUを示している。
【0062】
撮像装置を用いるカメラ装置を搭載する移動体は、自動車に限らず、飛行機や列車等の車両やドローン等の飛翔体等としても実施できる。
【0063】
以上、発明の好ましい実施の形態について説明したが、この発明は上述した特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
この発明の実施の形態に記載された効果は、発明から生じる好適な効果を列挙したに過ぎず、発明による効果は「実施の形態に記載されたもの」に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0064】
L1~L7、L8 物体側から数えて第j(j=1~7、8)番目のレンズ
F 赤外線フィルタ等の各種フィルタ
G 撮像素子のカバーガラス
Im 撮像レンズの像面
【先行技術文献】
【特許文献】
【0065】
【文献】特許第6372744号公報
【文献】特許第6459521号公報
【文献】特開2015-118152号公報
【文献】特開2018-077291号公報
【文献】特開2019-020505号公報