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特許7497611シート処理装置、画像形成装置及び画像形成システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-03
(45)【発行日】2024-06-11
(54)【発明の名称】シート処理装置、画像形成装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   B65H 37/04 20060101AFI20240604BHJP
   B29C 63/02 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
B65H37/04 Z
B29C63/02
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020087348
(22)【出願日】2020-05-19
(65)【公開番号】P2021181359
(43)【公開日】2021-11-25
【審査請求日】2023-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】森永拓哉
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-083686(JP,A)
【文献】特開2006-160429(JP,A)
【文献】特開平03-110131(JP,A)
【文献】特開2000-153954(JP,A)
【文献】特開平09-197865(JP,A)
【文献】特開平03-264465(JP,A)
【文献】特開2011-057366(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 37/00-37/06
B29C 63/00-63/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2枚のシートが重ねられ、その一部が接合された2枚重ねシートにシート状媒体を挟み込むシート処理装置であって、
前記シート状媒体を挟み込んだ前記シートを加熱及び加圧する熱加圧部材と、
前記熱加圧部材が配置された熱加圧搬送路と、
前記熱加圧部材が配置されていない非熱加圧搬送路と、
前記熱加圧搬送路又は前記非熱加圧搬送路に前記シートを分岐させる分岐手段と、
排出される前記シートを積載する積載手段と、を有し、
前記熱加圧搬送路から排出される熱加圧処理シートと、前記非熱加圧搬送路から排出される非熱加圧処理シートの両方が、共通の前記積載手段に積載されるシート処理装置において、
前記積載手段を昇降させるための昇降手段を有し、
前記積載手段は、前記シートが搬送される搬送路に合わせて前記昇降手段により昇降される、ことを特徴とするシート処理装置。
【請求項2】
2枚のシートが重ねられ、その一部が接合された2枚重ねシートにシート状媒体を挟み込むシート処理装置であって、
前記シート状媒体を挟み込んだ前記シートを加熱及び加圧する熱加圧部材と、
前記熱加圧部材が配置された熱加圧搬送路と、
前記熱加圧部材が配置されていない非熱加圧搬送路と、
前記熱加圧搬送路又は前記非熱加圧搬送路に前記シートを分岐させる分岐手段と、
排出される前記シートを積載する積載手段と、を有し、
前記熱加圧搬送路から排出される熱加圧処理シートと、前記非熱加圧搬送路から排出される非熱加圧処理シートの両方が、共通の前記積載手段に積載されるシート処理装置において、
前記積載手段上に前記シートを積載する積載位置を搬送方向と直交する方向に変えることができるシート仕分け機構を有し、
前記積載手段に排出される前記熱加圧処理シートと前記非熱加圧処理シートが、前記シート仕分け機構によって前記積載手段上で仕分けられる、ことを特徴とするシート処理装置。
【請求項3】
前記熱加圧搬送路が前記非熱加圧搬送路よりも上方に形成されている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のシート処理装置。
【請求項4】
前記熱加圧搬送路と前記非熱加圧搬送路が前記熱加圧部材の搬送方向下流で合流する、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のシート処理装置。
【請求項5】
前記熱加圧処理シートを前記積載手段に排出するための排出手段が前記熱加圧搬送路の搬送方向下流に設けられ、前記熱加圧部材から前記排出手段までの搬送路が略直線に構成されている、ことを特徴とする請求項4に記載のシート処理装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載のシート処理装置と、シート又はシート状媒体に画像形成を行う画像形成部とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
前記シート処理装置は画像形成装置に対して着脱可能に構成されることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
請求項1~5のいずれか一項に記載のシート処理装置と、画像形成装置とを有することを特徴とする画像形成システム。
【請求項9】
前記シート処理装置は画像形成装置に対して着脱可能に構成されることを特徴とする請求項8に記載の画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート処理装置、画像形成装置及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
2枚のシートが重ねられ、一辺が接合(接続)された2枚重ねシート(ラミネートシート又はラミネートフィルム)内に、中紙類(用紙、写真など)を挿入し、熱と圧力を加えて2枚重ねシートを接着するラミネート処理という技術が知られている。
【0003】
従来のラミネート処理機では、フィルムに挟み込みたい中紙類(用紙、写真など)を挟み込む作業を1枚1枚人手で実施する必要があるが、フィルムの内側には接着材の層があるため滑りが悪く、手で剥離することが面倒なことと、剥離後に挟み込みたいシート類を正確な位置に挟みこむことが手間であった。また、1枚の準備ができ、処理機(ラミネータ)にセットすると、ラミネート処理には30~60秒の時間がかかるため、次の処理まで待つ必要があった。その結果、数十枚程度のラミネート処理をするだけで、長時間ラミネート処理装置から人が離れることができず、シートを挟み込む、セットしてラミネート処理する、待っている間にシートを挟み込む・・・という作業をユーザが繰り返す必要があり、時間と人手が必須になるという問題があった。また、それを回避しようとすれば、ロールフィルムを使った専用のラミネータ装置が必要であり、非常に高価(数十万円~数百万円)になるという問題があった。
【0004】
特許文献1は、一辺が接続されたラミネートシートにおいて、シート同士を剥離して、その間に中紙を挿入するラミネート装置を開示している。
【0005】
このようなラミネート装置において、生産性を考慮してラミネート処理をオフライン機でも実施しようとした場合、中紙挿入機構の下流に、定着機構を有する排紙先と定着機構を有しない排紙先、及び、その排紙先を切り替える機構を設けることで、中紙を挿入した状態のシートを定着せずに排紙することができる。だが、搬送経路や排紙機構を複数設ける必要があり、装置のコストアップと、装置が大型化するという問題が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、シート処理装置のコストダウン及び小型化を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、2枚のシートが重ねられ、その一部が接合された2枚重ねシートにシート状媒体を挟み込むシート処理装置であって、前記シート状媒体を挟み込んだ前記シートを加熱及び加圧する熱加圧部材と、前記熱加圧部材が配置された熱加圧搬送路と、前記熱加圧部材が配置されていない非熱加圧搬送路と、前記熱加圧搬送路又は前記非熱加圧搬送路に前記シートを分岐させる分岐手段と、排出される前記シートを積載する積載手段と、を有し、前記熱加圧搬送路から排出される熱加圧処理シートと、前記非熱加圧搬送路から排出される非熱加圧処理シートの両方が、共通の前記積載手段に積載されるシート処理装置において、前記積載手段を昇降させるための昇降手段を有し、前記積載手段は、前記シートが搬送される搬送路に合わせて前記昇降手段により昇降される、ことを特徴とするシート処理装置により解決される。
【発明の効果】
【0008】
熱加圧処理した熱加圧処理シートと、熱加圧処理していない非熱加圧処理シートを共通の積載手段に排出することで、シート処理装置のコストダウンと小型化が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係るシート処理装置の全体構成図である。
図2図1に示したシート処理装置の主要部分を示す構成図(その1)である。
図3】シート処理装置の主要部分を示す構成図(その2)である。
図4】シート処理装置の主要部分を示す構成図(その3)である。
図5】シート処理装置の主要部分を示す構成図(その4)である。
図6】シート処理装置の主要部分を示す構成図(その5)である。
図7】シート処理装置の主要部分を示す構成図(その6)である。
図8】シート処理装置の主要部分を示す構成図(その7)である。
図9】シート処理装置の主要部分を示す構成図(その8)である。
図10】シート処理装置の主要部分を示す構成図(その9)である。
図11】シート処理装置の主要部分を示す構成図(その10)である。
図12】シート処理装置の主要部分を示す構成図(その11)である。
図13】シート処理装置が備える剥離爪の模式図である。
図14】剥離爪の駆動構成の例を示す模式図である。
図15】剥離爪をシートSに挿入した状態を示す斜視図である。
図16図8における、剥離爪とシートSの状態を示す斜視図である。
図17図8における、剥離爪とシートSの状態を示す斜視図(その2)である。
図18】剥離した2枚のシートの案内経路についての変形例である。
図19】熱加圧搬送路128と非熱加圧搬送路126に搬送されたシートを示す概略側面図である。
図20】本発明の別な実施形態に係るシート処理装置の全体構成図である。
図21】本発明の別な実施形態に係るシート処理装置の全体構成図である。
図22図21に示すシート処理装置100の排紙部の斜視図である。
図23】排紙トレイ104を昇降させるための昇降手段を示す概略側面図である。
図24】排紙トレイ104にシートを排紙する際にシートを仕分けるシート仕分け機構を示す概略平面図である。
図25】シート仕分け機構によって仕分けされたシートの概略斜視図である。
図26】本発明の実施形態に係るシート処理装置を備える画像形成装置の一例を示す全体構成図である。
図27】シート給紙から中紙を挟みこみ、ラミネート処理完了までの一連の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明の一実施形態に係るシート処理装置の全体構成図である。本実施形態のシート処理装置100は、2枚重ねシート(以下、シートSという)を互いに剥離し、その剥離したシートS内にシート状媒体(以下、中紙Pという)を挿入して挟持させるものである。
【0011】
ここで、シートSとは、2枚のシートが重ねられ、その一部(又は一辺)が接合された2枚重ねシートである。2枚重ねシートとしては、例えば、片側を透明ポリエステルシートなどの透過性シートとし、反対側を透明又は不透明シートとして、それらの一辺で接合したものがある。また、2枚重ねシートには、ラミネートフィルムも含まれる。
【0012】
中紙Pは、それら2枚重ねシートに挿入されるシート状媒体の一例である。シート状媒体には、普通紙以外に、厚紙、はがき、封筒、薄紙、塗工紙(コート紙やアート紙など)、トレーシングペーパ、OHPシートなどが含まれる。
【0013】
図1に示すように、シート処理装置100は、シートSを積載する第1積載手段であるシートトレイ102と、シートトレイ102からシートSを給送するピックアップローラ105と、搬送ローラ対107とを備える。またシート処理装置100は、中紙Pを積載する第2積載手段である給紙トレイ103と、給紙トレイ103から中紙Pを給送するピックアップローラ106とを備える。
【0014】
搬送ローラ対107の搬送方向下流には、シートSの搬送位置を検出する搬送センサC1が設けられ、ピックアップローラ106の搬送方向下流には、中紙Pの搬送位置を検出する搬送センサC2が設けられている。
【0015】
またシート処理装置100は、搬送ローラ対107及びピックアップローラ106の下流に、第1搬送手段である入口ローラ対108と、回転部材としての巻付けローラ109と、第2搬送手段である出口ローラ対113と、排出されるシートSを積載する積載手段である排紙トレイ104などを備える。巻付けローラ109と出口ローラ対113の間に、シートSの幅方向に移動可能に設けられた剥離爪116を備える。
【0016】
入口ローラ対108の搬送方向下流には、シートS及び中紙Pの搬送位置を検出する搬送センサC3が設けられ、巻付けローラ109の搬送方向下流には、シートSの状態を検出する異常状態検出センサC4が設けられている。そして、出口ローラ対113の搬送方向下流には、シートSの搬送位置を検出する搬送センサC5が設けられている。
【0017】
なお、ピックアップローラ105、搬送ローラ対107、入口ローラ対108、及び巻付けローラ109は、第1給送手段の一例であり、ピックアップローラ106、入口ローラ対108、及び巻付けローラ109は第2給送手段の一例である。
【0018】
また、シート処理装置100は、シート状媒体である中紙Pを挟み込んだシートSを加熱及び加圧する熱加圧部材である熱加圧ローラ120と、熱加圧ローラ120が配置された熱加圧搬送路128と、熱加圧ローラ120が配置されていない非熱加圧搬送路126と、熱加圧搬送路128又は非熱加圧搬送路126にシートSを分岐させる分岐手段である分岐爪118と、排出されるシートSを積載する積載手段である排紙トレイ104とを有する。
【0019】
熱加圧ローラ120が設けられた熱加圧搬送路128を搬送され、そこから排出されるシートS(以下、適宜「熱加圧処理シート」という)と、熱加圧ローラ120が設けられていない非熱加圧搬送路126を搬送され、そこから排出されるシートS(以下、適宜「非熱加圧処理シート」という)の両方が、共通の排紙トレイ104に排紙・積載される。これにより、1つの排紙トレイ104のみを設置すれば済むため、シート処理装置100のコストダウン及び小型化が実現される。
【0020】
シートSの搬送経路を切り替える分岐爪118は、搬送センサC5の搬送方向下流に配置され、その下流には熱加圧搬送路128及び非熱加圧搬送路126が形成されている。熱加圧搬送路128には、熱加圧ローラ120と、その下流であって排紙口の近傍に設けられた排出ローラ121とが配置されている。非熱加圧搬送路126には、シートSを搬送する搬送ローラ124と、その下流であって排紙口の近傍に設けられた排出ローラ123とが配置されている。
【0021】
シート処理装置100の外装部には、シート処理装置100における情報表示や、操作入力の受付を行う表示操作手段である操作パネル10が設置されている。また、この操作パネル10は、ユーザに知覚信号を発する報知手段としての役割を兼ねる。なお、代替として、操作パネル10以外の報知手段を、シート処理装置100に別途設ける構成としてもよい。
【0022】
本実施形態のシート処理装置100は、シートSと中紙Pを別々のトレイに積載し、シートSを搬送しながら、2枚のシートに剥離・開口し、その開口内に中紙Pを挿入する。そして、中紙Pが挿入されたシートSを熱加圧搬送路128又は非熱加圧搬送路126に搬送し、排紙トレイ104に排出・積載する。
【0023】
よって、このシート処理装置100は、シートSの給紙、剥離、中紙Pの挿入、及び熱加圧によるラミネート処理までの一連の動作を1台で実施できる構成である。この一連の動作を、人手を要さずに自動で実施でき、従来技術よりも利便性を向上できる。
【0024】
図2は、図1に示したシート処理装置の主要部分を示す構成図(その1)である。図2に示すように、入口ローラ対108及び出口ローラ対113は、それぞれ、例えば対となった2つのローラであり、駆動手段(モータなど)により回転駆動される。入口ローラ対108は一方向に回転駆動され、出口ローラ対113は正逆方向に回転駆動されることで、シートS及び中紙Pを挟持して搬送する。
【0025】
入口ローラ対108は、シートS及び中紙Pを出口ローラ対113に向けて搬送する。この搬送方向を正搬送方向(矢印A方向)と呼ぶ。
【0026】
一方、出口ローラ対113は、その回転を正逆の両方向に切り替え可能である。挟持したシートSを正搬送方向である排紙トレイ104(図1参照)に向けて搬送できるとともに、その逆方向(引き戻す方向)となる巻付けローラ109に向けてシートSを搬送することもできる。この巻付けローラ109に向けて搬送する方向(正搬送方向に対し、逆方向)を、逆搬送方向(矢印B方向)と呼ぶ。
【0027】
また、シート処理装置100は、これら入口ローラ対108と出口ローラ対113との間に、回転部材である巻付けローラ109と、剥離爪116とを備える。巻付けローラ109は、駆動手段(モータなど)により正逆方向に回転駆動され、その回転を両方向(時計回り/反時計回り)に切り替え可能である。
【0028】
巻付けローラ109は、ローラ部材111と、ローラ部材111に設けられ、シートSを把持する可動の把持手段110とを有する。可動の把持手段110は、ローラ部材111とともにシートSの先端を把持することを特徴とする。この把持手段110は、ローラ部材111の外周に一体に成形してもよいし、別部品として構成してもよい。
【0029】
続いて、図1図12を用いて、シート処理装置100の一連の動作、すなわちシートSの剥離から中紙Pの挿入までの動作を説明する。なお、図3図12において、図1、2と同一物には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0030】
図1において、シートトレイ102上のシートSは、2枚のシートの接合された一部が、ピックアップローラ105の給送方向(搬送方向)の下流側に位置するように積載される。そして、シート処理装置100は、シートトレイ102上のシートSをピックアップローラ105にてピックし、搬送ローラ対107により入口ローラ対108に向けて搬送する。
【0031】
次いで、図2に示すように、入口ローラ対108により、シートSを巻付けローラ109に向けて搬送する。ここでシート処理装置100は、シートSの4辺中の一辺である端部が接合された側を正搬送方向(矢印A方向)の下流側として搬送する。
【0032】
続いて図3に示すように、シート処理装置100は、正搬送方向におけるシートSの後端部が巻付けローラ109を通過した時点で、その搬送を一時停止する。なお、これら動作は、搬送センサC3によるシートSの先端検出をトリガとし、搬送センサC3から指定量搬送することで実施される。
【0033】
次に、図4に示すように、シート処理装置100は、把持手段110を開口するとともに、出口ローラ対113の回転方向を反転し、把持手段110の開口部に向けて、シートSを逆搬送方向(矢印B方向)に搬送する。
【0034】
続いて、図5に示すように、シート処理装置100は、シートSの端部を開口した把持手段110に挿入した時点で搬送を停止し、把持手段110を閉じてシートSの端部を把持する。具体的には、把持手段110は、巻付けローラ109の受け部115との間でシートSの端部に対して垂直方向からシートSを挟み込んで把持するように構成されている。受け部115は、把持手段110に対向可能に形成されている。なお、これら動作は、シートSを指定量搬送することで実施される。
【0035】
ここで、本実施形態では、把持手段110と受け部115のうちの少なくとも一方が、ゴム、スプリング、板バネなどの弾性材料で形成されている。これにより、把持手段110と受け部115の双方を金属材料や樹脂材料などの剛体で形成する場合に比べて、シートSに対する把持力を高めることができるとともに、シートSの表面に傷をつけにくくなる。特に、把持手段110と受け部115の双方を弾性材料で形成した場合には、そのような効果が発揮されやすくなる。
【0036】
次いで、図6に示すように、シート処理装置100は巻付けローラ109を反時計回りに回転し、シートSを巻付けローラ109に巻き付ける。ここでシートSは、2枚のシートの接合されていない側から巻付けローラ109に巻き付けられる。
【0037】
巻付けローラ109は、制御部によって制御される駆動モータの駆動によって、回転軸112を中心に正逆方向に回転可能に構成されている。
【0038】
図7に示すように、シートSを巻付けローラ109に巻き付けると、2枚重ねシートの巻き付け周長差(巻き付け量の差)によって内周側のシートが余り、シートSの接合した端に向けて弛みが生じる。その結果、2枚のシート間に空間が生じる。この生じた空間に剥離爪116をシートSの両側から挿入することで、2枚のシート間の空間を確実に維持することができる。なお、これら動作は、搬送センサC5によるシートSの先端検出をトリガとし、搬送センサC5から指定量搬送することで実施される。
【0039】
ここで、剥離爪116について補足説明する。
【0040】
図13はシート処理装置が備える剥離爪の模式図であり、図14は剥離爪の駆動構成の例を示す模式図である。また、図15は剥離爪をシートSに挿入した状態を示す斜視図である。
【0041】
図13に示すように、剥離爪116は、搬送方向上流側から見て、高さ方向の寸法が幅方向中央から後端に向けて徐々に大きくなっている。また、高さ方向から見て、搬送方向の寸法は、先端から中央に向けて徐々に大きくなっている。そして、幅方向から見て、剥離爪116は、十時型の形状となっている。
【0042】
また、図14に示すように、本実施形態では、2つの剥離爪116を互いに対向させて配置し、それぞれを(a)ベルト駆動、又は(b)ラック&ピニオンなどにより接近/離間する構成としている。
【0043】
本実施形態の剥離爪116は、上記形状を有し、シートSの幅方向に移動可能な構成であるため、図15に示すようにシートSに生じた空間にスムーズに挿入できる。
【0044】
シート処理装置100の一連の動作説明に戻る。シート処理装置100は、シートSに生じた空間に剥離爪116を挿入した状態で(図7参照)、巻付けローラ109を時計回りに回転し、図8に示すように、シートSの剥離した空間をシートSの正搬送方向(矢印A方向)における後端部まで移動させる。そして、指定量移動した時点で把持手段110を開放し、シートSの後端を上下に分離した状態とする。
【0045】
この状態で、シート処理装置100はシートSの搬送を一時停止し、今度は剥離爪116をシート幅方向へ更に移動することで、シートSの後端の全域を剥離する。なお、これら動作は、搬送センサC5によるシートSの先端検出をトリガとし、搬送センサC5から指定量搬送することで実施される。
【0046】
図16は、図8における、剥離爪116とシートSの状態を示す斜視図である。剥離爪116は、剥離したシートSをそれぞれ異なる方向へと案内する分岐爪の形状(機能)も有するため(図13参照)、シートSの2枚のシートは、それぞれ別の経路に搬送可能な姿勢となる。
【0047】
また、剥離爪116は幅方向に移動可能な構成(図14参照)であるため、図17に示すように、シートSの姿勢を支えるのに適した位置に配置できる。したがって、シートSのサイズや腰の強さが変わっても、シートSを所望の分岐方向へ案内できる。これは、搬送路幅全域に亘るシート分岐用部材、及び分岐爪の駆動装置が不要になるため、従来と比較して低コストにできる。
【0048】
続いて図9に示すように、シート処理装置100は、シートSの後端の全域を剥離した状態から、今度は出口ローラ対113を反時計回りに回転し、シートSを逆搬送方向(矢印B方向)に搬送する。すなわち、シートSの剥離された2枚のシートは、剥離爪116によりそれぞれ上下方向に案内され、2枚のシート全体が互いに剥離される。
【0049】
そして、シート処理装置100はシートSの搬送を一時停止し、シートSの接合部を出口ローラ対113にて把持(ニップ)した状態とする。したがって、シートSは接合された一辺を端として、大きく開口することになる。
【0050】
なお、これら動作は、搬送センサC5によるシートSの先端検出をトリガとし、搬送センサC5から指定量搬送することで実施される。
【0051】
(変形例)
図18は、剥離した2枚のシートの案内経路についての変形例である。先の図9では、(a)シートSの接合部から上下シートとも同方向に案内する経路を示した。これ以外にも、(b)逆S字を描いて案内する経路や、(c)S字を描いて案内する経路など、上下シートをそれぞれ反対方向に案内してもよい。
【0052】
次いで、図10に示すように、シート処理装置100は、入口ローラ対108を回転し、給紙トレイ103(図1参照)から搬送された中紙Pを出口ローラ対113に向けて正搬送方向(矢印A方向)に搬送する。
【0053】
続いて、図11に示すように、シート処理装置100は、出口ローラ対113を回転してシートSと中紙Pを合流させ、開口したシートS内に中紙Pを挿入する。
【0054】
次いで、図12(a)に示すように、シート処理装置100は、出口ローラ対113により、中紙Pが挿入されたシートSを正搬送方向(矢印方向)に搬送することで、シートSの2枚のシートを再度重ね、開口を閉じる。そして、定着処理を実施しない場合は、図12(a)に示すように分岐爪118を駆動させて、中紙Pが挟み込まれたシートSを、出口ローラ対113、又はそれ以降に配置されたローラなど(不図示)により、非熱加圧搬送路126へと搬送し、排紙トレイ104に排出・積載する(図1参照)。
【0055】
定着処理を実施する場合は、図12(b)に示すように分岐爪118を駆動させて経路を切り替え、中紙Pが挟み込まれたシートSを熱加圧装置に通じる熱加圧搬送路128へ搬送する。
【0056】
このように本実施形態のシート処理装置100は、シートSを大きく開口し、その中に中紙Pを挿入・挟持させることができる。したがって、例えば、バキューム装置を用いる特許文献1のラミネート装置に比べ単純な構成であり、装置全体を簡略化、小型化できる。
【0057】
また、本実施形態のシート処理装置100は、図1で示したように、シートSと中紙Pを別々のトレイに積載し、それぞれ別々に搬送できる。このため、シートSと中紙Pを予め決められた順番に積載する必要がなく、利便性を向上できる。なお、本実施形態では、トレイ102にシートSを積載し、トレイ103に中紙Pを積載するようにしたが、これに限定されない。トレイ102に中紙Pを積載し、トレイ103にシートSを積載してもよい。
【0058】
図19は、熱加圧搬送路128と非熱加圧搬送路126に搬送されたシートを示す概略側面図である。
図示のように、熱加圧搬送路128は非熱加圧搬送路126よりも上方に形成されている。これにより、非熱加圧搬送路126と排紙トレイ104が近くなり、スタック時に乱れやすい非熱加圧処理シートのスタック品質が安定する(図19(b)参照)。また、熱加圧ローラ120に蓄えられた熱は上方へ発散するため、熱加圧搬送路128をより上方に形成することで、非熱加圧搬送路126を搬送される非熱加圧処理シートが熱の影響を受けにくい。
【0059】
熱加圧搬送路128に搬送された熱加圧処理シートは、排紙口の近傍に配置された排出ローラ121で搬送されて排紙トレイ104に排紙される(図19(a)参照)。一方、非熱加圧搬送路126に搬送された非熱加圧処理シートは、排紙口の近傍に配置された排出ローラ123で搬送されて、熱加圧搬送路128に搬送されたシートSと同じ排紙トレイ104に排紙される(図19(b)参照)。
【0060】
定着処理の要否は、操作パネル10やパーソナルコンピュータから印刷設定を行うプリンタードライバーなどから、「全てラミネート処理する」や「奇数枚目をラミネート処理する」などの選択をすることで指定すればよい。
【0061】
図20は、本発明の別な実施形態に係るシート処理装置の全体構成図である。
図1のシート処理装置と比べて、本実施形態に係るシート処理装置100は排出ローラ123を有さず、非熱加圧搬送路126と熱加圧搬送路128は熱加圧ローラ120のシート搬送方向下流であって排出ローラ121の上流で合流している。したがって、シート搬送路は、分岐爪118の配置された箇所で非熱加圧搬送路126と熱加圧搬送路128に分岐した後、排出ローラ121の手前で再度合流しているため、シートSは中紙Pの挿入処理後、排紙口の直下に配置された同一の排紙トレイ104に排紙される。どちらの搬送路から排紙されるシートも同じようにスタックされるため、スタック品質が安定する。
【0062】
また、熱加圧処理シートを排紙トレイ104に排出するための排出手段としての排出ローラ121が熱加圧搬送路128の下流に設けられ、熱加圧ローラ120から排出ローラ121までのシート搬送路が略直線に構成されている。これにより、シートの熱が冷める前にシートを湾曲させると、シートが湾曲した形状で固まってしまう恐れがあるところ、熱加圧ローラ120後のシート搬送路が直線に構成されていることでその恐れを抑制できる。
【0063】
図1のシート処理装置では、上方に位置する熱加圧搬送路128から排紙する場合、排紙トレイ104までの距離が大きく、スタックされるシートが乱れる可能性があったが、本実施形態に係るシート処理装置100によれば、どちらの搬送路から排紙する場合でも、安定したスタック性を確保することができる。
【0064】
図21は、本発明の別な実施形態に係るシート処理装置の全体構成図である。
本実施形態に係るシート処理装置100では、図1のシート処理装置と同様に、シート搬送路は、分岐爪118の配置された箇所で非熱加圧搬送路126と熱加圧搬送路128に分岐しているため、そのまま排紙トレイ104に排紙されるが、排紙トレイ104が上下に昇降可能に構成されている。これにより、どちらの搬送路から排紙する場合でも、排紙トレイ104までの距離が大きくならず、安定したスタック性を確保することができる。
【0065】
図22は、図21に示すシート処理装置100の排紙部の斜視図である。
図22(a)に示すように、シートSが非熱加圧搬送路126を搬送される場合は、排紙トレイ104は下方位置に移動して非熱加圧処理シートを受け止め、図22(b)に示すように、シートSが熱加圧搬送路128を搬送される場合は、排紙トレイ104は上方位置に移動して熱加圧処理シートを受け止める。
【0066】
図23は、排紙トレイ104を昇降させるための昇降手段を示す概略側面図である。
図22のように排紙トレイ104が上下に昇降する場合、そのままでは排出ローラ121,123と排紙トレイ104が干渉してしまう。そこでシート処理装置100は、排紙トレイ104を昇降させるための昇降手段を有し、排紙トレイ104は、シートSが搬送される搬送路に合わせて昇降手段により昇降される。これにより、どちらの搬送路から排紙されるシートSも同じようにスタックされ、スタック品質が安定する。
【0067】
図23に示すように、排紙トレイ104を昇降させる昇降手段は、排紙トレイ104を上下左右に案内するガイドレール140と、排紙トレイ104に接続して排紙トレイ104を牽引するベルトやワイヤーなどによる牽引部材150を有する。ガイドレール140は垂直方向に延びる本体と、そこから斜めに延在する先端部分を有する。このガイドレール140より、排紙トレイ104が上下方向だけでなくシート搬送方向にも移動できるため、排紙トレイ104の昇降時に排出ローラ121,123を避けることができる。図中、排紙トレイ104aはガイドレール140の上方先端部分に係合して上方位置にあり、排紙トレイ104cはガイドレール140の下方先端部分に係合して下方位置にあり、排紙トレイ104bはガイドレール140の本体内にあり、上方位置と下方位置の間にある。排紙トレイ104aの上方位置はセンサ141aにより検知され、排紙トレイ104cの下方位置はセンサ141bにより検知される。
【0068】
図24は、排紙トレイ104にシートを排紙する際にシートを仕分けるシート仕分け機構を示す概略平面図である。
シート処理装置100は、排紙トレイ104上にシートSを積載する積載位置をシート搬送方向と直交する方向に変えることができるシート仕分け機構130を有し、排紙トレイ104に排出される熱加圧処理シートと非熱加圧処理シートが、シート仕分け機構130によって排紙トレイ104上で仕分けられる。このようにして熱加圧処理シートと非熱加圧処理シートを仕分けることで、非熱加圧処理シートのみを他の処理装置で処理する際にシートの取り扱いが容易になる。
【0069】
具体的には、図示のようなシート仕分け機構130が例えば排出ローラ121に設置される。シート仕分け機構130は、シフトカム132と、シフトリンク134と、シフトカムスタッド136と、シフトHPセンサ138とを有する。シフトカム132が回転することで、シフトリンク134がシフトカムスタッド136の移動に追従するため、排出ローラ121がシート搬送方向と垂直な方向に移動し、シートSをシフト動作させることで排紙トレイ上のシートを仕分けることができる。図24(a)に示すシート仕分け機構130のホームポジションから見て、図24(b)では排出ローラ121は右に移動し、シートSをより右側に排紙し、図24(c)では排出ローラ121は左に移動し、シートSをより左側に排紙する。
【0070】
図25は、シート仕分け機構によって仕分けされたシートの概略斜視図である。
図24に示すシート仕分け機構130によってシフトしながら排紙されたシートSは、図25のように、排紙トレイ104上で分かれて積載されるため、熱加圧処理された熱加圧処理シートと熱加圧処理されていない非熱加圧処理シートを見分けることが容易になる。
なお、シート仕分け機構としては、排紙トレイ104がシート搬送方向と垂直な方向に移動可能な手段や、排紙口にシートSを寄せる機構であってもよい。
【0071】
図26は、本発明に係るシート処理装置を備える画像形成装置の一例を示す全体構成図である。この画像形成装置300は、ラミネート処理装置部として、内部にシート処理装置200aと、シート又はシート状媒体に画像形成を行う画像形成部とを備える。
【0072】
ここで、シート処理装置200aは、シートS又は中紙Pを積載するシートトレイ102を備えるとともに、シートS及び/又は中紙Pを画像形成装置300から給紙可能な構成である。したがって、画像形成装置300(例えば、プリンタ、コピー機など)により、シートS又は中紙Pに画像をインラインで挿入できる。
【0073】
なお、ラミネート処理が不要な際は、シート処理装置200aを画像形成装置300から外してもよい。また、その外したシート処理装置200aに、中紙Pを積載する給紙トレイ103と、給紙トレイ103から中紙Pを給送するピックアップローラ106とを装着し、図1に示すものと同様なラミネート処理機単体として利用できるとしてもよい。
【0074】
画像形成装置本体300の構成を具体的に説明する。図26に示すように、画像形成装置本体300内には、中間転写装置150が設けられている。中間転写装置150は、複数のローラに掛けまわしてエンドレスの中間転写ベルト152をほぼ水平に張り渡し、反時計まわりに走行する。
【0075】
中間転写装置150の下には、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの作像装置154c、154m、154y、154kが、中間転写ベルト152の張り渡し方向に沿って四連タンデム式に並べて設けられている。各作像装置154は、図中時計まわりに回転するドラム状の像担持体のまわりに帯電装置、現像装置、転写装置、クリーニング装置などを設置して構成される。各作像装置154の下には、露光装置156が設けられている。
【0076】
露光装置156の下には、給紙装置158が設けられている。給紙装置158は、シートSを収納する第1給紙カセット160と、中紙Pを収納する第2給紙カセット162とを備える。なお、第1給紙カセット160は、2枚重ねシートを積載する第3積載手段の一例であり、第2給紙カセット162は、シート状媒体を積載する第4積載手段の一例である。
【0077】
第1給紙カセット160の右上には、第1給紙カセット160内のシートSを一枚ずつ繰り出して用紙搬送路164に入れる第1給紙コロ166が設けられている。また、第2給紙カセット162の右上には、給紙カセット内の中紙Pを一枚ずつ繰り出して用紙搬送路164に入れる第2給紙コロ168が設けられている。
【0078】
用紙搬送路164は、画像形成装置本体300内の右側に下方から上方に向けて形成され、画像形成装置本体300内のシート処理装置200aへと通ずる。用紙搬送路164には、搬送ローラ170、中間転写ベルト152と対向して二次転写装置174、定着装置176、一対の排紙ローラよりなる排紙装置178などが順に設けられている。
【0079】
なお、第1給紙コロ166、搬送ローラ170及び用紙搬送路164は、第1給紙カセット160(第3積載手段)から2枚重ねシートを給送する第3給送手段の一例である。また、第2給紙コロ168、搬送ローラ170及び用紙搬送路164は、第2給紙カセット162(第4積載手段)からシート状媒体を給送する第4給送手段の一例である。さらに、中間転写装置150、及び定着装置176などは、2枚重ねシート又はシート状媒体に画像を形成する画像形成部の一例である。
【0080】
続いて、本実施形態の画像形成装置300において、シートSに画像形成をした後、ラミネート処理を行う動作について説明する。
【0081】
シートSに画像を形成する際、はじめに、画像読取装置188で原稿画像を読み取り、露光装置156で書き込みを行う。次いで、各作像装置154c、154m、154y、154kのそれぞれの像担持体上に各色トナー画像を形成し、そのトナー像を一次転写装置180c、180m、180y、180kで順次転写して中間転写ベルト152上にカラー画像を形成する。
【0082】
一方、画像形成装置300は、第1給紙コロ166を回転してシートSを繰り出して用紙搬送路164に入れる。そして、用紙搬送路164を通して搬送ローラ170で搬送してタイミングを取って二次転写位置へと送り込み、上記したように中間転写ベルト152上に形成したカラー画像が二次転写装置174でシートSに転写される。
【0083】
画像転写後のシートSは、定着装置176で画像定着後、排紙装置178でシート処理装置200aに送られる。
【0084】
また、画像形成装置300は、第2給紙コロ168を回転して中紙Pを繰り出して用紙搬送路164に入れ、排紙装置178でシート処理装置200aに送る。
【0085】
このようにして、画像形成されたシートSと、中紙Pをシート処理装置200aに送ることで、ラミネート処理が行われる。ラミネート処理の詳細は、上記したので省略する。
【0086】
本実施形態の画像形成装置300は、上記した構成であるので、中紙Pに画像形成をした後に、シート処理装置200aによりラミネート処理を行うこともできる。また、中紙PとシートSに画像形成した後に、ラミネート処理を行うこともできる。
【0087】
また、図26に示した画像形成装置300では、シート処理装置100を着脱可能な構成としてもよい。シート処理装置100が着脱可能に構成されることで、利便性が向上する。
【0088】
また、画像形成システムとして、画像形成装置と、前記画像形成装置に着脱可能に接続されたシート処理装置100、又はシート処理装置200を備えるシステムを構成してもよい。シート処理装置100が着脱可能に構成されることで、利便性が向上する。さらにまた、給紙装置(スタッカ)、及び/又はくるみ製本装置などを備えるシステムを構成してもよい。なお、シートSを定着装置176の間を通す場合、そのシートSは、定着温度では接着されず、それよりも高温の熱を与えることにより接着されるものである。
【0089】
さらに、画像形成装置300は、シートSと中紙に画像を形成する方式として、電子写真方式を用いているがこれに限定されるものでなく、インクジェット方式や孔版印刷方式などの公知の画像形成方式を用いてもよい。
【0090】
図27は、シート給紙から中紙を挟みこみ、ラミネート処理を実行して又は実行せずに排紙するまでの一連の動作を説明するフローチャートである。フローチャートに対応する図面の番号を示しながら説明する。
【0091】
まず、ステップS11において、シート処理装置100は、シートSの給紙を開始する(図1参照)。次いで、ステップS12において、搬送センサC3にシートSの先端が到着したか判定する(図2参照)。ステップS13にて、シート処理装置100は、シートSを搬送センサC3から指定量搬送したことを判定すると、その搬送を一時停止する(図3参照)。続いて、ステップS14にて、把持手段110を開口するとともに、ステップS15においてシートSを逆搬送方向に搬送する(図4参照)。
【0092】
ステップS16において、シート処理装置100は、シートSを指定量搬送したことを判定すると、ステップS17にてシートSの搬送を一時停止する。そして、ステップS18において、把持手段110を閉じ、シートSの端部を把持する(図5参照)。
【0093】
続いてステップS19において、シート処理装置100は巻付けローラ109を反時計回りに回転し、シートSを巻付けローラ109に巻き付ける(図6参照)。次いで、ステップS20において、搬送センサC5にシートSの先端が到着したか判定する。ステップS21にて、シート処理装置100は、シートSを搬送センサC5から指定量搬送したことを判定すると、ステップS22において、異常状態検出センサC4を用いてシートSの状態を検出する。
【0094】
この異常状態検出センサC4は、シートSの2枚のシート間に生じた空間の寸法が、所定の閾値を超えているかを検出する異常検出手段である。ステップS23において、シート処理装置100は、異常状態検出センサC4の検出結果から、シートSの状態が正常(空間の寸法が、所定の閾値以上)であると判定した場合、ステップS24aに移行する。
【0095】
一方、ステップS23において、シートSの状態が異常(空間の寸法が、所定の閾値より下)であると判定した場合、ステップS24bに移行し、シート処理装置100は異常を通知し、シート処理を停止する。
【0096】
ステップS24aに移行した場合、シート処理装置100は、生じた空間に剥離爪116をシートSの両側から挿入する(図7参照)。次に、ステップS25において、シート処理装置100は、剥離爪116をシートSの両側から挿入した状態で、巻付けローラ109を今度は時計回りに回転し、シートSを正搬送方向に搬送する。
【0097】
次いで、ステップS26において、搬送センサC5にシートSの先端が到着したか判定する。ステップS27にて、シート処理装置100は、シートSを搬送センサC5から指定量搬送したことを判定すると、ステップS28において、把持手段110を開口する。
【0098】
次いで、ステップS29において、シート処理装置100はシートSの搬送を一時停止し、ステップS30にて、剥離爪116をシート幅方向へ更に移動する(図8参照)。これにより、シートSの後端を上下に分離した状態とする。
【0099】
ステップS31において、シート処理装置100はシートSを逆搬送方向に搬送する。次いで、ステップS32において、搬送センサC5にシートSの先端が到着したか判定する。ステップS33にて、シート処理装置100は、シートSを搬送センサC5から指定量搬送したことを判定すると、ステップS34にて、その搬送を一時停止する(図9参照)。これにより、シートSの剥離が完了する。
【0100】
続いて、ステップS35において、シート処理装置100は、シートSに挿入する中紙Pに画像形成を行う(インライン)か否か判定する。インラインの場合、ステップS36に移行し、シート処理装置100は、画像形成装置に印刷ジョブを開始させ、中紙Pに画像を形成する。次いで、ステップS37に移行する。
【0101】
一方、ステップS35において、インラインでない場合はステップS37に移行する。
【0102】
ステップS37において、シート処理装置100は、中紙Pを正搬送方向に搬送し、開口したシートS内に中紙Pを挿入する(図10、11参照)。
【0103】
次いで、ステップS38において、シート処理装置100は、定着処理の実行の有無を判定し、操作パネル10やプリンタードライバーでシートS毎に指定された定着処理の有無によって以降の処理を分ける。
【0104】
定着処理を行わない場合、ステップS39に移行し、シート処理装置100は、シート仕分け機構130を有するか否か判定する。シート仕分け機構130を有する場合、ステップS40に移行し、シート処理装置100は、シート仕分け機構130を非熱加圧処理シート積載位置(図24参照)に移動させる。次いで、ステップS41に移行し、シート処理装置100は、排紙トレイ104が昇降機能を有するか否か判定する。ステップS39にてシート仕分け機構130を有しない場合も、ステップS41に移行する。排紙トレイ104が昇降機能を有する場合、ステップS42に移行し、シート処理装置100は、非定着経路である非熱加圧搬送路126の排紙口に排紙トレイ104を移動させ、ステップS43において排紙トレイ104にシートSを排出する。ステップS41にて排紙トレイ104が昇降機能を有しない場合も、シート処理装置100は、ステップS43に移行して排紙トレイ104にシートSを排出する。
【0105】
次いで、ステップS44において、シート処理装置100は、分岐爪118にて経路を切り替える。ステップS45において、中紙Pを挟持したシートSを熱加圧装置(定着Md)へ搬送し、熱と圧力を加えることで、ラミネート処理が完了する(図12(b)参照)。
【0106】
次いで、ステップS46において、シート処理装置100は、シート仕分け機構130を有するか否か判定する。シート仕分け機構130を有する場合、ステップS47に移行し、シート処理装置100は、シート仕分け機構130を熱加圧処理シート積載位置(図24参照)に移動させる。次いで、ステップS48に移行し、シート処理装置100は、排紙トレイ104が昇降機能を有するか否か判定する。ステップS47にてシート仕分け機構130を有しない場合も、ステップS48に移行する。排紙トレイ104が昇降機能を有する場合、ステップS49に移行し、シート処理装置100は、定着経路である熱加圧搬送路128の排紙口に排紙トレイ104を移動させ、ステップS43において排紙トレイ104にシートSを排出する。ステップS48にて排紙トレイ104が昇降機能を有しない場合も、シート処理装置100は、ステップS43に移行して排紙トレイ104にシートSを排出する。
【0107】
以上説明したように、本発明によれば、2枚のシートが重ねられ、その一部が接合された2枚重ねシートSにシート状媒体Pを挟み込むシート処理装置100において、シートの複数の排出先を1つの排紙トレイ104で共有することで、装置のコストダウンと小型化が実現される。
【符号の説明】
【0108】
100 シート処理装置
104 排紙トレイ(積載手段)
118 分岐爪(分岐手段)
120 熱加圧ローラ(熱加圧部材)
126 非熱加圧搬送路
128 熱加圧搬送路
P 中紙(シート状媒体)
S シート
【先行技術文献】
【特許文献】
【0109】
【文献】特開2006-160429号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図13
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図15
図16
図17
図18
図19
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図21
図22
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図24
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図26
図27