(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-03
(45)【発行日】2024-06-11
(54)【発明の名称】両面研磨装置の研磨パッド貼り付け方法
(51)【国際特許分類】
B24B 37/12 20120101AFI20240604BHJP
B24B 37/20 20120101ALI20240604BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
B24B37/12 D
B24B37/20
H01L21/304 621A
H01L21/304 622F
(21)【出願番号】P 2020087641
(22)【出願日】2020-05-19
【審査請求日】2022-04-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000190149
【氏名又は名称】信越半導体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(74)【代理人】
【識別番号】100194881
【氏名又は名称】小林 俊弘
(72)【発明者】
【氏名】久富 渉生
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 拓也
【審査官】山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】特許第6170356(JP,B2)
【文献】特開2015-062987(JP,A)
【文献】特開2006-289522(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 37/12
B24B 37/20
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上定盤及び下定盤を有し、前記下定盤内側に設けられたサンギヤと前記下定盤外側に設けられたインターナルギヤとを有する両面研磨装置の研磨パッド貼り付け方法であって、
前記下定盤上に下定盤用研磨パッドを貼り付け後、前記下定盤の半径方向の中心部を通るようにリング状の仮貼り用板を前記下定盤用研磨パッド上に載置し、
前記仮貼り用板上に上定盤用研磨パッドを、該パッドの貼り付け面を前記上定盤と対向配置して前記両面研磨
装置へ荷重を掛けて前記仮貼り用板を上下定盤で挟み込み、前記仮貼り用板部分のみ圧着することで、前記上定盤用研磨パッド及び前記下定盤用研磨パッドの半径方向中心部分にリング状の貼り付け部を形成し、
該貼り付け部形成後、前記リング状の仮貼り用板を取り外し、研磨パッド貼り付け装置の圧着部を前記リング状の貼り付け部に配置して上下定盤で挟み込み、前記圧着部を上下同時に前記リング状の貼り付け部から前記半径方向に全幅にわたり動かすことで、前記上定盤と前記上定盤用研磨パッド間及び前記下定盤と前記下定盤用研磨パッド間のエアーを抜きながら前記上定盤用研磨パッド及び前記下定盤用研磨パッドをそれぞれ上下定盤に圧着し、圧着が完了した後、上下定盤を回転させ次の貼着する位置にて圧着部を前記リング状の貼り付け部に配置して上下定盤で挟み込む動作と、前記圧着部を上下同時に前記リング状の貼り付け部から前記半径方向に全幅にわたり動かす動作を繰り返して前記
上定盤用研磨パッド及び前記下定盤用研磨パッド
をそれぞれの全周方向に対し貼着を行うことを特徴とする両面研磨装置の研磨パッド貼り付け方法。
【請求項2】
前記研磨パッド貼り付け装置の前記圧着部を非回転のものとすることを特徴とする請求項1に記載の両面研磨装置の研磨パッド貼り付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両面研磨装置の研磨パッドを貼り付ける方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体回路線幅の微小化に伴い、その基板である半導体ウェーハに要求される平坦度はますます厳しくなってきている。このような中で、大直径ウェーハを研磨する際には、従来の片面研磨に代わって、より加工精度の優れた両面研磨方式が採用されている。
【0003】
両面研磨装置において加工と共に、研磨パッドは摩耗や変形、研磨残差の堆積が起こることから、徐々に研磨能力が低下し、ウェーハ品質に影響を与えることが知られている。そのため、研磨能力が著しく低下する前に研磨パッドの交換作業が必要である。交換作業は使用し終わった古い研磨パッドを定盤から剥がし、清掃をしたのちに新しいパッドを貼着することにより行われる。
【0004】
従来技術において貼着作業は研磨装置に対して上定盤及び下定盤に研磨パッドを手作業でエアーが入らないように仮接着したあと、加圧ローラを上下の定盤間に半径方向に介在させてローラ本体を研磨パッドに全幅にわたり当接させると共に、上記ローラ軸の両端の係止部を下定盤の内外周側に設けられた係止受部にそれぞれ係止させ、上定盤で荷重を加えた状態にして上下の定盤を互いに逆向きに回転させることにより、上記ローラ本体を定盤の回転に追随させて従動回転させながら、該ローラ本体によって上記研磨パッドをパッド貼着面に圧着させることが一般的に行われている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の径方向に軸を持ち周方向にローラを回転させる方法で行うローラ加圧は、仕上げとしての圧着に限定され、予め手動で研磨パッドと定盤との間に空気が入らないようにエアー抜きをする必要がある。上記方法は、前処理のエアー抜きが十分に行われていないとエアーの逃げ場がなくなり、エアーだまりの原因となり得る。
図13に従来の研磨パッド貼り付け方法で、研磨パッドを貼り付けた下定盤の一例を示す。従来の研磨パッド貼り付け方法では、下定盤2と下定盤用研磨パッド5の間にエアだまり21が生じている。
【0007】
エアー抜き作業は上下含めた全面に対して行うため、両面研磨機のような定盤及び研磨パッドの径が大きいものは最も労力のかかる作業であり、その正確さは作業者の能力に依存する。
【0008】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、研磨パッド貼り付け装置を用いてエアー抜きと圧着を同時に行い、作業者の能力に依存せずに正確な貼り付けが可能な両面研磨装置の研磨パッド貼り付け方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、上定盤及び下定盤を有し、前記下定盤内側に設けられたサンギヤと前記下定盤外側に設けられたインターナルギヤとを有する両面研磨装置の研磨パッド貼り付け方法であって、
前記下定盤上に下定盤用研磨パッドを貼り付け後、前記下定盤の半径方向の中心部を通るようにリング状の仮貼り用板を前記下定盤用研磨パッド上に載置し、
前記仮貼り用板上に上定盤用研磨パッドを、該パッドの貼り付け面を前記上定盤と対向配置して前記両面研磨機へ荷重を掛けて前記仮貼り用板を上下定盤で挟み込み、前記仮貼り用板部分のみ圧着することで、前記上定盤用研磨パッド及び前記下定盤用研磨パッドの半径方向中心部分にリング状の貼り付け部を形成し、
該貼り付け部形成後、前記リング状の仮貼り用板を取り外し、研磨パッド貼り付け装置の圧着部を前記リング状の貼り付け部に配置して上下定盤で挟み込み、前記圧着部を上下同時に前記リング状の貼り付け部から前記半径方向に動かすことで、前記上定盤と前記上定盤用研磨パッド間及び前記下定盤と前記下定盤用研磨パッド間のエアーを抜きながら前記上定盤用研磨パッド及び前記下定盤用研磨パッドをそれぞれ上下定盤に圧着する両面研磨装置の研磨パッド貼り付け方法を提供する。
【0010】
このような両面研磨装置の研磨パッド貼り付け方法であれば、効率的に研磨パッドのエアー抜き作業と圧着を同時に行うことができる。また、作業者による能力ばらつきによる研磨パッドの貼着品質の差をなくすことができる。
【0011】
このとき、前記研磨パッド貼り付け装置の前記圧着部を非回転のものとすることが好ましい。
【0012】
研磨パッド貼り付け装置の圧着部は回転しないものの方がエアーを押し出す力が強くなるため、圧着部を非回転のものとすることでより効率的にエアー抜き作業を行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明の両面研磨装置の研磨パッド貼り付け方法によれば、径方向中心部のみを強く貼り付け、その他の部分はエアーの逃げ場を残した状態で仮接着を行った後に、周方向に軸を持ち径方向に移動するローラを使用することにより、サンギヤ側およびインターナルギヤ側に最短距離にて圧着することで、効率的に研磨パッドのエアー抜き作業と圧着を同時に行うことができる。これにより、研磨パッドと定盤間のエアーだまりがなく、圧着のバラつきが少なくなることからウェーハ平坦度品質の向上につながる。また、研磨パッド貼り付け装置を用いて機械的に貼り付けを行うことで、作業者の負荷が低減し、作業者による能力ばらつきによる研磨パッドの貼着品質の差をなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の両面研磨装置の研磨パッド貼り付け方法を適用することができる両面研磨装置の一例の概略断面図である。
【
図2】本発明の両面研磨装置の研磨パッド貼り付け方法で用いることができる研磨パット貼り付け装置の一例を示す図である。
【
図3】両面研磨装置から研磨パッドを剥がした状態の一例を示す図である。
【
図4】両面研磨装置の下定盤に下定盤用研磨パッドを貼り付けた一例を示す図である。
【
図5】両面研磨装置の下定盤に下定盤用研磨パッドを貼り付けた後、リング状の仮貼り用板を載置した一例を示す図である。
【
図6】両面研磨装置にリング状の仮貼り用板を載置した後、上定盤用研磨パッドを貼り付け面を上にして上定盤と対向配置した一例を示す図である。
【
図7】両面研磨装置に上定盤用研磨パッドを対向配置した後、上定盤に荷重を掛けて仮貼り用板を上下定盤で挟み込み、仮貼り用板部分のみ圧着する一例を示した図である。
【
図8】仮貼り用板部分のみ圧着後、上定盤を引上げた一例を示した図である。
【
図9】上定盤を引上げた後、仮貼り用板を取り外した一例を示す図である。
【
図10】研磨パッド貼り付け装置を両面研磨装置の下定盤上に取り付けた際の平面図である。
【
図11】貼り付け部を形成後、研磨パッド貼り付け装置でエアーを抜きながら研磨パッドを同時にそれぞれ上下定盤に圧着する一例を示す図である。
【
図12】本発明の両面研磨装置の研磨パッド貼り付け方法で、研磨パッドを貼り付けた際の下定盤と下定盤用研磨パッドとの貼り付き形態の一例を示す図である。
【
図13】従来の研磨パッド貼り付け方法で研磨パッドを貼り付けた際の、下定盤と下定盤用研磨パッドの貼り付き形態の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0016】
上述のように、研磨パッド貼り付け装置を用いてエアー抜きと圧着を同時に行い、作業者の能力に依存せずに正確な貼り付けが可能な両面研磨装置の研磨パッド貼り付け方法が求められていた。
【0017】
本発明者らは、上記課題について鋭意検討を重ねた結果、半径方向中心部のみを強く貼り付け、その他の部分はエアーの逃げ場を残した状態で仮接着を行った後に、周方向に軸を持ち径方向に移動するローラを使用することにより、サンギヤ側およびインターナルギヤ側に最短距離にて圧着することで、効率的に研磨パッドのエアー抜き作業と圧着を同時に行うことができ、また研磨パッド貼り付け装置を用いて機械的に貼り付けを行うことで、作業者の負荷が低減し、作業者による能力ばらつきによる研磨パッドの貼着品質の差をなくすことができることを見出し、本発明を完成した。
【0018】
即ち、本発明は、上定盤及び下定盤を有し、前記下定盤内側に設けられたサンギヤと前記下定盤外側に設けられたインターナルギヤとを有する両面研磨装置の研磨パッド貼り付け方法であって、
前記下定盤上に下定盤用研磨パッドを貼り付け後、前記下定盤の半径方向の中心部を通るようにリング状の仮貼り用板を前記下定盤用研磨パッド上に載置し、
前記仮貼り用板上に上定盤用研磨パッドを、該パッドの貼り付け面を前記上定盤と対向配置して前記両面研磨機へ荷重を掛けて前記仮貼り用板を上下定盤で挟み込み、前記仮貼り用板部分のみ圧着することで、前記上定盤用研磨パッド及び前記下定盤用研磨パッドの半径方向中心部分にリング状の貼り付け部を形成し、
該貼り付け部形成後、前記リング状の仮貼り用板を取り外し、研磨パッド貼り付け装置の圧着部を前記リング状の貼り付け部に配置して上下定盤で挟み込み、前記圧着部を上下同時に前記リング状の貼り付け部から前記半径方向に動かすことで、前記上定盤と前記上定盤用研磨パッド間及び前記下定盤と前記下定盤用研磨パッド間のエアーを抜きながら前記上定盤用研磨パッド及び前記下定盤用研磨パッドをそれぞれ上下定盤に圧着する両面研磨装置の研磨パッド貼り付け方法である。
【0019】
以下、図面を参照して説明する。
【0020】
両面研磨装置は遊星歯車式の両面研磨装置と揺動式の両面研磨装置がある。遊星歯車式の両面研磨装置は上下定盤を有し、上定盤は上下動が可能で上定盤を下定盤に押し付けることで上下定盤間に挟まれたウェーハに対して荷重を加えることができる。
図1に本発明の両面研磨装置の研磨パッド貼り付け方法を適用することができる両面研磨装置の一例の概略断面図を示す。両面研磨装置10は、上定盤1と下定盤2を有する。また、両面研磨装置10は、下定盤2の内側に設けられたサンギヤ4と下定盤2の外側に設けられたインターナルギヤ3とを有している。
【0021】
また、本発明の両面研磨装置の研磨パッド貼り付け方法において用いることができる研磨パッド貼り付け装置の一例を
図2に示す。研磨パッド貼り付け装置20は、圧着部12、エアバッグ13、サンギ
ヤ固定箇所14、インターナルギ
ヤ固定箇所15を有する。
【0022】
研磨パッド貼り付け装置20は、サンギヤ4とインターナルギヤ3の上に設置される。圧着部12の可動範囲は半径方向全幅にわたり径方向に移動可能である。圧着部12のエアバッグ13の加圧及び圧着部12の移動は研磨パッド貼り付け装置20に外部から供給されるエアーを用いて行うことができるが、エアーによる制御に限定されない。圧着部12は回転しないものの方がエアーを押し出す力が強くなるため、回転しないものが望ましい。即ち、圧着部を非回転のものとすることが好ましい。
【0023】
圧着部12にローラのような回転するものを用いた場合は、エアーを乗り上げて移動しないだけの十分な圧力をかける必要がある。圧力の調整及び圧着部の移動は独立して調整することができ、任意の位置と圧力にて圧着させることが可能である。
【0024】
両面研磨装置の研磨パッド交換作業は、
図3に一例を示すように、使用し終わった古い研磨パッドを上下定盤から剥がし、上下定盤を清掃したのちに新しいパッドを貼着することにより行われる。
【0025】
まず
図4に示すように下定盤用研磨パッド5を手で軽く下定盤2に貼り付けた後に、
図5に示すように下定盤2の半径方向中心部を通るようにリング状の仮貼り用板6を載せる。リング状の仮貼り用板6は、下定盤2の半径方向中心部を通るように載置でき、かつ後述するリング状の貼り付け部8を形成後にエアーの逃げ場を残せれば、大きさや厚みは特に限定されず、例えば、幅5cm、厚さ1mmのリングを用いることができる。
【0026】
次に
図6に示すように、リング状の仮貼り用板6上に上定盤研磨パッド7を剥離紙からはがした状態で粘着面を上定盤1に対向するように上向きにして置き、
図7に示すように上定盤1を下降させて両面研磨機の荷重をかけ、リング状の仮貼り用板6を上定盤1と下定盤2で挟み込む。これにより、リング状の仮貼り用板6の部分のみに荷重がかかり、上下研磨パッドの半径方向中心部にリング状の仮貼り用板6の部分だけ上下定盤に強く貼りついたリング状の貼り付け部8が形成される。
【0027】
貼り付け部形成後、
図8に示すように上定盤1を引上げ、
図9に示すようにリング状の仮貼り用板6を取り外し、上定盤研磨パッド7の貼り付け部8以外を手で軽く貼り付ける。
【0028】
図10のように研磨パッド貼り付け装置20を、サンギヤ4とインターナルギヤ3の上に載せ、サンギ
ヤ固定箇所14とインターナルギ
ヤ固定箇所15を固定する。上下定盤を回し、貼着を行う範囲を研磨パッド貼り付け装置の位置まで移動させる。そして、圧着部12がリング状の貼り付け部8の位置になるように配置して、上下定盤で挟み込み圧力をかける。
【0029】
また、
図11に研磨パッド貼り付け装置でエアーを抜きながら研磨パッドを上下同時にそれぞれ上下定盤に圧着する一例を示す。強く貼りついたリング状の貼り付け部8から内側A(サンギヤ4側)へ、内側Aから外側B(インターナルギ
ヤ3側)へといった順番で上下同時に圧着部12を研磨パッド5、7に加圧し押し当てる。このとき、上定盤1が上下方向や周方向に動かないように上定盤1をロックし動かないように固定することが望ましい。
【0030】
上記の圧着例は、リング状の貼り付け部8から内側Aへ、内側Aから外側Bへ動かす例であるが、リング状の貼り付け部8から外側Bへ、外側Bから内側Aへの順に動かして、エアーを抜きながら研磨パッドを上下同時にそれぞれ上下定盤に圧着してもよい。
【0031】
このようにして、リング状の貼り付け部8から半径方向に動かすことで、上定盤1と上定盤用研磨パッド7間、及び下定盤2と下定盤用研磨パッド5間のエアーを抜きながら、上定盤用研磨パッド7を上定盤1、下定盤用研磨パッド5を下定盤2にそれぞれに圧着する。
【0032】
圧着が完了した後、上下定盤を回転させ次の貼着する位置にて同様の動作を行う。この動作を繰り返して研磨パッドの全周方向に対し貼着を行う。
【0033】
これらの動作は両面研磨装置と研磨パッド貼り付け装置を連動させて自動で動かすことで、作業者による操作はなく行われる。これにより、効率的に研磨パッドのエアー抜き作業と圧着を同時に行うことができ、作業者による能力ばらつきによる研磨パッドの貼着品質の差をなくすことができる。
【0034】
本発明の両面研磨装置の研磨パッド貼り付け方法で研磨パッドの貼り付けを行った一例の下定盤2と下定盤用研磨パッド5の貼り付け形態を
図12に示す。本発明の貼り付け方法であれば、
図12に示すように、下定盤2と下定盤用研磨パッド5の間にエアだまりが生じることなく研磨パッドを貼り付けることができる。
【実施例】
【0035】
以下、実施例を挙げて本発明について詳細に説明するが、これは本発明を限定するものではない。
【0036】
(実施例)
使用済み研磨パッドを剥がした後、十分に清掃し乾燥させた両面研磨装置において研磨布の貼り付け試験を行った。
【0037】
下定盤用研磨布(研磨パッド)を剥離紙から剥がしながら、丁寧に下定盤に軽く貼り付けた後に、研磨布の半径方向中心部を通るように幅5cm、厚さ1mmのリング状の仮貼り用板を載せた。
【0038】
その上に上定盤研磨パッドを剥離紙からはがした状態で粘着面を上向きにして置き、スラリー供給用の穴位置を合わせたのち、上定盤を100gf/cm2にて両面研磨機の設定荷重で押し付け、リング状の貼り付け部(中心部)を上下定盤に形成した。
【0039】
貼り付け部形成後、上定盤を上げると上定盤研磨パッドのリング状の貼り付け部のみが両面研磨装置の上定盤に貼り付いているため、上定盤研磨パッドの貼り付け部以外を手で軽く貼り付けた。
【0040】
リング状の仮貼り用板を取り外した後、研磨パッド貼り付け装置をサンギヤとインターナルギヤに固定させ、圧着部のエアバッグ圧力を0.10MPaに設定し、圧着部には回転しないローラを用いてエアー抜きと全面貼り付け作業を同時に行った。
【0041】
研磨パッドの貼り付きを確認したところ、研磨パッド全貼着領域で上下定盤と上下定盤研磨パッドの間にエアーだまりは見当たらず、十分に圧着がされていることが確認された。
【0042】
以上のとおり、本発明の実施例によれば、エアー抜きと圧着を同時に行い、作業者の能力に依存せずに正確な貼り付けができた。
【0043】
(比較例)
比較例として手動でのエアー抜き作業を行った。上定盤を最上面に移動させ、定盤の間に体を入れ、研磨パッドを剥離紙から剥がしながらヘラを使ってエアーを外側に追い出しながら、研磨パッドの圧着を行った。
【0044】
比較例においても、研磨パッド全貼着領域でエアーだまりは見当たらず、十分に圧着がされていることが確認された。しかし、手動でのエアー抜き作業は力がいる作業であり、エアーだまりの有無を確認しながら行うため、かなりの時間と大変な労力がかかった。
【0045】
以上のように、本発明の両面研磨装置の研磨パッド貼り付け方法の実施例であれば、自動で機械的にエアー抜きと圧着を同時に行うことで、作業者の能力に依存せずに正確な貼り付けを短時間で容易に行うことができる。
【0046】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0047】
1…上定盤、 2…下定盤、 3…インターナルギヤ、 4…サンギヤ、 5…下定盤用研磨パッド、 6…リング状の仮貼り用板、 7…上定盤用研磨パッド、 8…リング状の貼り付け部、 10…両面研磨装置、 12…圧着部、 13…エアバッグ、 14…サンギヤ固定箇所、 15…インターナルギヤ固定箇所、 20…研磨パッド貼り付け装置、 21…エアだまり、 A…内側(サンギヤ側)、 B…外側(インターナルギヤ側)。