(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-03
(45)【発行日】2024-06-11
(54)【発明の名称】撮像素子、及び撮像装置
(51)【国際特許分類】
H04N 25/76 20230101AFI20240604BHJP
H04N 25/703 20230101ALI20240604BHJP
【FI】
H04N25/76
H04N25/703
(21)【出願番号】P 2022143608
(22)【出願日】2022-09-09
(62)【分割の表示】P 2020549478の分割
【原出願日】2019-09-27
【審査請求日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】P 2018185635
(32)【優先日】2018-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】安藤 良次
(72)【発明者】
【氏名】高木 徹
(72)【発明者】
【氏名】瀬尾 崇志
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 佳之
(72)【発明者】
【氏名】加藤 周太郎
【審査官】松永 隆志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/144181(WO,A1)
【文献】特開2007-180336(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/00-25/79
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を光電変換して電荷を生成する第1光電変換部、前記第1光電変換部で生成された電荷を蓄積する第1蓄積部、および前記第1蓄積部の電圧に基づく第1信号を出力する第1出力部、を有する第1画素と、
光を光電変換して電荷を生成する第2光電変換部、前記第2光電変換部で生成された電荷を蓄積する第2蓄積部、および前記第2蓄積部の電圧に基づく第2信号を出力する第2出力部、を有し、行方向において前記第1画素の隣に配置される第2画素と、
前記第1出力部と前記第2出力部とが接続され、前記第1信号および前記第2信号が出力される出力線と、
前記第1蓄積部の電圧を第1電圧に制御可能であり、前記第2蓄積部の電圧を前記第1電圧と異なる第2電圧または前記第1電圧に制御可能な制御部と、
を備える撮像素子。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像素子において、
前記制御部は、前記第1出力部が前記第1信号を出力する間、前記第2蓄積部を前記第2電圧に制御する、撮像素子。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の撮像素子において、
複数の前記第1画素を備え、
前記制御部は、複数の前記第1出力部が前記第1信号をそれぞれ出力する間、前記第2蓄積部の電圧を前記第2電圧に制御する、撮像素子。
【請求項4】
請求項3に記載の撮像素子において、
前記制御部は、複数の前記第1出力部が前記第1信号を同時に出力する間、前記第2蓄積部の電圧を前記第2電圧に制御する、撮像素子。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記制御部は、前記第1出力部が前記第1信号を出力しない間のうち少なくとも一部の間、前記第2蓄積部の電圧を前記第1電圧に制御する、撮像素子。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1蓄積部の電圧は、前記第1光電変換部で生成され、前記第1蓄積部に蓄積された電荷に基づく電圧である、撮像素子。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1蓄積部の電圧および前記第2蓄積部の電圧を前記第1電圧にするための第1配線と、
前記第2蓄積部の電圧を前記第2電圧にするための第2配線と、を備え、
前記制御部は、前記第1配線を介して前記第1蓄積部の電圧を制御し、前記第2配線を介して前記第2蓄積部の電圧を制御する撮像素子。
【請求項8】
請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記制御部は、前記第1蓄積部および前記第2蓄積部の少なくとも一方の電圧を、前記第1電圧または前記第2電圧に制御する、撮像素子。
【請求項9】
請求項8に記載の撮像素子において、
前記制御部は、前記第1出力部が前記第1信号を出力する間、前記第2蓄積部の電圧を前記第2電圧に制御し、前記第2出力部が前記第2信号を出力する間、前記第1蓄積部の電圧を前記第2電圧に制御する、撮像素子。
【請求項10】
請求項8または請求項9に記載の撮像素子において、
前記第1蓄積部の電圧は、前記第1光電変換部で生成され、前記第1蓄積部に蓄積された電荷に基づく電圧であり、
前記第2蓄積部の電圧は、前記第2光電変換部で生成され、前記第2蓄積部に蓄積された電荷に基づく電圧である、撮像素子。
【請求項11】
請求項8から請求項10までのいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1蓄積部および前記第2蓄積部の電圧を前記第1電圧にするための第1配線と、
前記第1蓄積部および前記第2蓄積部の電圧を前記第2電圧にするための第2配線と、
を備え、
前記制御部は、前記第1配線と前記第2配線とを介して、前記第1蓄積部および前記第2蓄積部の電圧を制御する撮像素子。
【請求項12】
請求項1から請求項10までのいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記制御部は、前記第2蓄積部の電圧を、前記第2電圧、または前記第1電圧および前記第2電圧と異なる第3電圧に制御する、撮像素子。
【請求項13】
請求項12に記載の撮像素子において、
前記制御部は、前記第2蓄積部の電圧を前記第2電圧に制御した後に、前記第2蓄積部の電圧を前記第3電圧に制御する、撮像素子。
【請求項14】
請求項12または請求項13に記載の撮像素子において、
前記第1出力部は、前記第2蓄積部の電圧が前記第2電圧である間に、前記第1信号の補正に用いられる信号を出力し、前記第2蓄積部の電圧が前記第3電圧である間に、前記第1信号を出力する、撮像素子。
【請求項15】
請求項12から請求項14までのいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第2蓄積部の電圧を前記第3電圧にするための第3配線を備え、
前記制御部は、前記第3配線を介して、前記第2蓄積部の電圧をそれぞれ制御する撮像素子。
【請求項16】
請求項1から請求項15までのいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記出力線に接続される複数の前記第1画素を備え、
前記第1画素は第1分光特性を有する第1フィルタを有し、
前記第1光電変換部は前記第1フィルタを透過した光を光電変換する、撮像素子。
【請求項17】
請求項1から請求項14までのいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1画素および前記第2画素の少なくとも一方は、焦点検出に用いる信号を出力する、撮像素子。
【請求項18】
請求項1から請求項17までのいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1画素および前記第2画素を有する撮像部と積層され、前記出力線から前記第1信号および前記第2信号を読み出す読出部を備える、撮像素子。
【請求項19】
請求項1から請求項
18までのいずれか一項に記載の撮像素子と、
前記第1信号に基づいて画像データを生成する生成部と、を備える撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像素子、及び撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画素の一部を、撮像レンズにより形成される像の焦点を検出する素子として使用する撮像素子が知られている(例えば特許文献1)。焦点検出に用いられる画素と撮像に用いられる画素とでは出力される信号の値が異なる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
本発明の第1の態様によると、撮像素子は、光を光電変換して電荷を生成する第1光電変換部、前記第1光電変換部で生成された電荷を蓄積する第1蓄積部、および前記第1蓄積部の電圧に基づく第1信号を出力する第1出力部、を有する第1画素と、光を光電変換して電荷を生成する第2光電変換部、前記第2光電変換部で生成された電荷を蓄積する第2蓄積部、および前記第2蓄積部の電圧に基づく第2信号を出力する第2出力部、を有し、行方向において前記第1画素の隣に配置される第2画素と、前記第1出力部と前記第2出力部とが接続され、前記第1信号および前記第2信号が出力される出力線と、前記第1蓄積部の電圧を第1電圧に制御可能であり、前記第2蓄積部の電圧を前記第1電圧と異なる第2電圧または前記第1電圧に制御可能な制御部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図2】撮像素子を撮像面側から見た平面図。
図2(a)は撮像素子の全体図であり、
図2(b)はその一部を拡大した図。
【
図3】撮像素子の画素の一部および読み出し回路の回路図。
【
図5】撮像素子の動作例を示すタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0006】
(撮像装置の実施形態)
図1は、第1の実施の形態に係る撮像素子を用いた撮像装置の構成を模式的に示す断面図である。撮像装置1は、撮像光学系2、撮像素子3、制御部4、レンズ移動部5、および表示部6を備える。
【0007】
撮像光学系2は、撮像素子3の撮像面に被写体像を結像させる。撮像光学系2は、レンズ2a、フォーカシングレンズ2b、およびレンズ2cから成る。フォーカシングレンズ2bは、撮像光学系2の焦点調節を行うためのレンズである。フォーカシングレンズ2bは、光軸Z方向に移動可能に構成されている。
【0008】
レンズ移動部5は、不図示のアクチュエータを有する。レンズ移動部5は、このアクチュエータにより、フォーカシングレンズ2bを光軸Z方向に移動させる。撮像素子3は、被写体像を撮像して信号を出力する。撮像素子3は、撮像画素とAF画素(焦点検出画素)とを有する。撮像画素は、画像生成に用いる信号(画像信号)を出力する。AF画素は、焦点検出に用いる信号(焦点検出信号)を出力する。制御部4は、撮像素子3等の各部を制御する。制御部4は、撮像素子3により出力された画像信号に画像処理等を施して画像データを生成する。制御部4は、不図示の記録媒体に画像データを記録したり、表示部6に画像データに基づく画像を表示したりする。制御部4は、画像信号に基づいて画像を生成する生成部と解釈することもできる。表示部6は、例えば液晶パネル等の表示部材を有する表示装置である。
【0009】
また、制御部4は、公知の位相差検出方式により、撮像光学系2の自動焦点調節(AF)に必要な焦点検出処理を行う。具体的に、制御部4は、撮像光学系2による像が撮像素子3の撮像面上に結像するためのフォーカシングレンズ2bの合焦位置を検出する。制御部4は、撮像素子3から出力される一対の焦点検出信号に基づき、第1及び第2の像の像ズレ量を検出する。制御部4は、検出した像ズレ量に基づいて、フォーカシングレンズ2bの現在の位置と合焦位置とのずれ量(デフォーカス量)を算出する。フォーカシングレンズ2bがデフォーカス量に応じて駆動されることにより、焦点調節が自動で行われる。
【0010】
(撮像素子の実施形態)
図2(a)は、本発明の実施形態の撮像素子3を撮像面側から、すなわち
図1の-Z側から見た図である。撮像素子3は、
図2のx方向およびy方向に配列される複数の画素30を有している。
図2では一部を省略して描いているが、画素30は、x方向およびy方向にそれぞれ例えば1000個以上に渡って多数配列されていてもよい。
複数の画素30が配列された領域(撮像領域)の、図中の左端には水平制御部HCが設けられ、図中の上端には垂直制御部VCが設けられている。水平制御部HCと垂直制御部VCを合わせて、制御部CUとも呼ぶ。
【0011】
(画素ブロックの構成)
撮像素子3は、複数の画素ブロックBCを有する。
図2では、1つの画素ブロックBCは、破線で示した境界線BBにより囲まれる領域に、x方向およびy方向に配列された複数の画素30を有する。境界線BBで囲まれた領域は1つの画素ブロックBCを構成する。各画素ブロックBCのそれぞれの中の複数の画素30は、後述するようにそれぞれの出力部が1つの出力線に接続され、各画素30が1つの読出部に接続されている。なお、画素ブロックBCのそれぞれの中の複数の画素30は、複数の出力線に接続され、複数の読出部に接続されていてもよい。
図2では、説明を容易にするために1つの画素ブロックBCに相当する部分にハッチング付している。ただし、破線で示した各境界線BBにより囲まれる各領域がそれぞれ画素ブロックBCである。複数の画素30は分割されて、複数の画素ブロックBCの中に配列されている。
【0012】
図2に示した例の場合、x方向に4個およびy方向に4個配列される計16個の画素30が、1つの画素ブロックBCを構成している。1つの画素ブロックBC内のx方向およびy方向の画素の配列数は、4個に限られるものではなく、6個や8個等の他の数であってもよい。x方向とy方向で配列数が異なっていてもよい。
また、画素ブロックBCの外郭形状は
図2に示した長方形に限られるものではなく、複数の画素30を包含する任意の形状であってもよい。この場合、境界線BBの形状は単純な直線ではなく、複数の直線が折れ曲がって接続された形状になる。
【0013】
図2(b)は、
図2(a)に示した画素ブロックBCのうち、x方向に隣接する2つの画素ブロックBC1および画素ブロックBC2を拡大して示す図である。
図2(b)に示したとおり、複数の画素30には、例えばR(赤)、G(緑)、B(青)の異なる分光特性を有する3つのカラーフィルタ(色フィルタ)のいずれかが設けられる。Rのカラーフィルタは主に赤色の波長域の光を透過し、Gのカラーフィルタは主に緑色の波長域の光を透過し、Bのカラーフィルタは主に青色の波長域の光を透過する。画素は、配置されたカラーフィルタによって異なる分光特性を有する。画素30には、赤(R)の光に感度を有する画素(以下、R画素Rと称する)と、緑(G)の光に感度を有する画素(以下、G画素Gと称する)と、青(B)の光に感度を有す画素(以下、B画素Bと称する)とがある。これらの画素30は、いわゆるベイヤー配列で配列されている。G画素GbはB画素Bと同じy方向に配置されたG画素であり、G画素GrはR画素Rと同じy方向に配置されたG画素である。
【0014】
画素ブロックBC1は、ベイヤー配列で配列された、各4個のG画素Gb、G画素Gr、R画素R、B画素Bを有する。これらの画素30は、いずれも撮像素子3の撮像面に形成された光学像の撮像のために使用される撮像画素Gb、Gr、R、B(以下、総称して撮像画素30cとも呼ぶ)である。
【0015】
画素ブロックBC2は、その内部の画素30の配列は画素ブロックBC1とほぼ同様であるが、画素ブロックBC1ではB画素Bが配置されている箇所の一部の画素が、上述の撮像画素30cとは異なる特殊画素Z1およびZ2(総称して、特殊画素ZZとも呼ぶ)に置き換わっている。
【0016】
特殊画素ZZは、例えば、AF画素であり、その構成については後述する。
特殊画素ZZは、AF画素に限らず、感度が上述の撮像画素30cのいずれとも異なる画素であってもよい。また、分光特性が上述の撮像画素30cのいずれとも異なるカラーフィルタを有する画素であってもよい。
【0017】
画素ブロックBC2は、複数の画素30として特殊画素ZZを少なくとも1つ含み、撮像画素30cを複数有する。
複数の画素ブロックBCのうち少なくとも1つの画素ブロックBCは、画素ブロックBC2のように少なくとも1つの特殊画素ZZと複数の撮像画素30cで構成される。撮像素子3の複数の画素ブロックBCが全て特殊画素ZZを含む画素ブロックBC2で構成されていてもよい。撮像素子3の複数の画素ブロックBCのうち少なくとも一つが特殊画素ZZを含む画素ブロックBC2、他の画素ブロックBCが全て撮像画素30cで構成される画素ブロックBCであってもよい。
【0018】
図2(a)に示した垂直制御部VCからは、各画素30に設けられた後述する選択部TV(
図3に図示)に接続されている垂直選択線VS1~VS8(総称して、垂直選択線VSとも呼ぶ)がy方向に延びている。水平制御部HCからは、各撮像画素30cに設けられた後述する選択部TH2(
図3に図示)に接続されている水平選択線HS1~HS4(総称して、水平選択線HSとも呼ぶ)がx方向に延びている。水平制御部HCからは、各特殊画素Z1およびZ2の後述する選択部に接続されている特殊水平選択線ZSもx方向に延びている。
水平制御部HCからは、各画素30の後述するリセット部に接続されているリセット電圧線HR1~HR4(総称して、リセット電圧線HRとも呼ぶ)がx方向に延びている。
【0019】
図2(b)に示したとおり、垂直選択線VS1~VS8のそれぞれは、y方向に並ぶ複数の画素30で共用されており、水平選択線HS1~HS4のそれぞれは、x方向に並ぶ複数の撮像画素30cで共用されている。特殊水平選択線ZSは、x方向に並ぶ複数の特殊画素ZZで共用されている。リセット電圧線HR1~HR4のそれぞれは、x方向に並ぶ複数の画素30で共用されている。
【0020】
図3は、
図2(b)に示した画素ブロックBC2内の右下にある、2点鎖線で囲った領域PB内の4つの画素30(縦方向に2個、横方向に2個配列)について、その電気回路の概要を示す図である。この4つの画素30は、
図2(b)の領域PB内に示したとおり、左上がG画素Gb、右上が特殊画素Z2、左下がR画素R、右下がG画素Grである。
4つの画素(Gb,Z2,R,Gr)は、いずれも基本的には4トランジスタ型のCMOS型撮像素子であるが、後述するとおり、いわゆる選択トランジスタの構成が通常の4トランジスタ型のCMOS型撮像素子とは異なっている。
【0021】
各画素(Gb,Z2,R,Gr)において、光電変換部であるフォトダイオードPDは入射光を光電変換して電荷を生成し、生成した電荷を一時的に蓄積する。転送トランジスタTXは、不図示の転送制御線よりそのゲートに送られる転送信号に基づいて、フォトダイオードPDに蓄積された電荷を、容量CCが形成されるフローティングデフュージョン(FD)領域FDに転送する。増幅トランジスタTAは、転送された電荷によりFD領域FDに生じた電圧がそのゲートに印加されることにより、フォトダイオードPDで生成された電荷に応じた信号を出力する。
【0022】
増幅トランジスタTAの入力側(ドレイン)には、電源電圧VDDが印加されている。FD領域FDを所定の電圧にリセットするためのリセットトランジスタTRが設けられている。リセットトランジスタTRの入力側(ドレイン)は、リセット電圧線HR3またはHR4に接続され、水平制御部HCからリセット電圧線HRを介して後述する所定の電圧が供給される。
【0023】
各画素(Gb,Z2,R,Gr)の増幅トランジスタTAの出力側(ソース側)は、垂直選択トランジスタTVの入力側に接続されている。垂直選択トランジスタTVのゲートには、垂直選択線VS7またはVS8が接続されており、
図2(a)に示した垂直制御部VCから送られてくる制御信号により、垂直選択トランジスタTVが導通または非導通となるように制御される。
【0024】
撮像画素(Gb,R,Gr)の垂直選択トランジスタTVの出力側は、水平選択トランジスタTH1の入力側に接続されている。すなわち、垂直選択トランジスタTVと水平選択トランジスタTH1は、直列に配置されている。水平選択トランジスタTH1のゲートは、水平選択線HS3またはHS4に接続されており、
図2(a)に示した水平制御部HCから送られてくる制御信号により、水平選択トランジスタTH1が導通または非導通となる。
実施形態の撮像素子3の撮像画素(Gb,R,Gr)において、増幅トランジスタTA、垂直選択トランジスタTV、および水平選択トランジスタTH1を一体として、あるいはそのいずれかを、出力部と解釈することができる。
【0025】
一方、特殊画素Z2においては、垂直選択トランジスタTVの出力側は、特殊水平選択トランジスタTH2の入力側に接続されている。特殊水平選択トランジスタTH2のゲートは、特殊水平選択線ZSに接続されており、
図2(a)に示した水平制御部HCから送られてくる制御信号により、特殊水平選択トランジスタTH2が導通または非導通となる。
実施形態の撮像素子3の特殊画素Z2の増幅トランジスタTA、垂直選択トランジスタTV、および特殊水平選択トランジスタTH2を一体として、あるいはそのいずれかを、出力部と解釈することができる。
【0026】
画素ブロックBC2内の撮像画素(Gb,R,Gr)の水平選択トランジスタTH1の出力部、および画素ブロックBC2内の特殊画素Z2内の特殊水平選択トランジスタTH2の出力部は、いずれも1つの出力線RWに接続されている。そして、出力線RWは、画素30の信号を読み出す読出部に接続されている。読出部は、例えば、画素30から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するAD変換部ADCを有する。また出力線RWは、各画素30に電流を供給する電流源CSと接続されている。
【0027】
制御部CUは、垂直選択線VSおよび水平選択線HSへの制御信号の電圧を制御することにより、画素ブロックBC2内の任意の1つ以上の画素(Gb,Z2,R,Gr)の信号(増幅トランジスタTAの出力)を出力線RWに出力させる。読出部は、画素ブロックBC2内の画素(Gb,Z2,R,Gr)の信号を読み出す。
【0028】
図4は、水平制御部HCに含まれる回路図である。
図4には、水平制御部HCに含まれる回路の一部と、複数の画素30の一部と、上述の画素ブロックBC1,BC2内の画素30に接続される水平選択線HSの一部、特殊水平選択線ZS、およびリセット電圧線HRの一部が示されている。
【0029】
それぞれの水平選択線HSは、水平制御部HCにおいて選択線切替スイッチSS1~SS4(総称して、選択線切替スイッチSSとも言う)に接続されている。選択線切替スイッチSSにより、それぞれの水平選択線HSは、例えば電源電圧VDD等の高電圧が供給されている高電圧線SHか、例えば接地電圧GND等の低電圧が供給されている低電圧線SLかのいずれかに、切替可能に接続される。
【0030】
例えば、水平選択線HS1が、高電圧線SHに接続された場合、水平選択線HS1が接続される画素30内の水平選択トランジスタTH1は導通状態となる。水平選択線HS1が、低電圧線SLに接続された場合、その水平選択トランジスタTH1は非導通状態となる。
特殊水平選択線ZSは、水平制御部HCにおいて特殊切替スイッチSZに接続されている。特殊切替スイッチSZにより、特殊水平選択線ZSは、高電圧線SHか低電圧線SLかのいずれかに、切替可能に接続される。例えば、特殊水平選択線ZSが、高電圧線SHに接続された場合、特殊水平選択線ZSが接続される画素30内の水平選択トランジスタTH2は導通状態となる。特殊水平選択線ZSが、低電圧線SLに接続された場合、その水平選択トランジスタTH2は非導通状態となる。
【0031】
一方、それぞれのリセット電圧線HRは、水平制御部HCにおいてリセット線切替スイッチSR1~SR4(総称して、リセット線切替スイッチSRとも言う)に接続されている。リセット線切替スイッチSRにより、それぞれのリセット電圧線HRは、例えば電源電圧VDD等の第1電圧が供給されている第1電圧線RR1、第1電圧より基板電圧に近い第2電圧が供給されている第2電圧線RR2、または第2電圧より基板電圧に近い第3電圧が供給されている第3電圧線RR3のいずれかに、切替可能に接続される。
【0032】
水平制御部HCにより、各画素30内のリセットトランジスタTRの入力側には、リセット電圧線HRを介して、第1電圧、第2電圧、または第3電圧のいずれかが印加される。
選択線切替スイッチSS、特殊切替スイッチSZ、リセット線切替スイッチSRは、いずれも、半導体スイッチ、たとえばMOSトランジスタ回路で構成することができる。
【0033】
図示は省略するが、垂直制御部VC内にも、
図4に示した水平制御部HCと同様に、各垂直選択線VSに印加する電圧を切替える切替スイッチが配置されている。
これらの各スイッチの切替え、すなわち垂直選択線VS、水平選択線HS、特殊水平選択線ZS、およびリセット電圧線HRのそれぞれにどのような電圧の信号を送るかは、制御部CU内の制御回路により制御することができる。
なお、制御部CUは、撮像素子が実装される各種装置、機器からの指示に基づき切替スイッチを移動制御することもできる。
【0034】
図示は省略するが、
図3に示した各画素30内の転送トランジスタTXのゲート、およびリセットトランジスタTRのゲートには、従来のCMOS型撮像素子と同様に、水平選択線HSまたは垂直選択線VSと同様の不図示の制御線が接続されている。そして、制御部CUは、この制御線によりx方向に1行またはy方向に1列に並ぶ画素30毎に転送トランジスタTX、およびリセットトランジスタTRの導通状態を制御することができる。
【0035】
あるいは、転送トランジスタTXおよびリセットトランジスタTRの制御を、画素30毎に行う構成としてもよい。このためには、例えば、それぞれの制御線についても水平方向および垂直方向の2方向の制御線からなる構成とし、転送トランジスタTXおよびリセットトランジスタTRのそれぞれを直列で配置された2つのトランジスタで構成する。そして、2つのトランジスタのゲートのそれぞれに、水平方向の制御線および垂直方向の制御線のいずれかを接続すればよい。
【0036】
本実施形態の撮像素子3においては、後述するように1つの読出部に接続されている1つの画素ブロックBC内の任意の数の画素30の信号を、出力線RWおよび読出部を介して、合算して読み出すこと(ビニング読出し)ができる。
ビニング読出しにより、撮像素子3を、例えば撮像素子の総画素数よりも少ない画素数の画像データを出力する低解像度モードでの使用に、容易に適用することができる。ビニング読出しでは、1つの画素ブロックBC内の2つ以上の画素30を、読出部により合算して読み出すことにより各画素30の信号に混入するノイズが平滑化されるため、よりノイズの少ない画像を得ることができる。
【0037】
読出部により読み出し時に合算される複数の画素30は、同色の画素であることが好ましい。よって、垂直制御部VCおよび水平制御部HCは、垂直選択線VSおよび水平選択線HSへの制御信号の電圧を制御して、1つの画素ブロックBC内の2つ以上の同色の画素30を選択し、それらの信号(増幅トランジスタTAの出力)を、出力線RWに出力させる。
【0038】
(読出し画素とクリップ動作画素の動作)
信号を読み出す際に、読出部の入力側における信号の電圧が所定の値を下回った場合のように読出部に異常値が出力される場合、画素ブロックBC内の出力線RWに繋がる電流源CSや読出部に過剰な電流が流れる等により、電流源CSや読出部が損傷する恐れがある。
これを防止するために、本実施形態の撮像素子3では、以下のようにして過剰な電流を抑制することができる。すなわち、1つの画素ブロックBC内の任意の1つ以上の読出し画素の読み出し時に、1つの画素ブロックBC内の他の任意の画素30をクリップ動作画素とし、読出し画素とクリップ動作画素の信号を合算して読み出すことにより、過剰な電流を抑制することができる。
【0039】
クリップ動作画素と合算して読出すことにより、合算された読出し信号の電圧の下限値は、クリップ動作画素からの信号による値にクリップされ、その値を下回ることを防止できるので、読出部や電流源CSが損傷する恐れを解消することができる。
クリップ動作画素は、クリップのための一定の信号を出力するだけの画素として機能するで、読出し画素と同色の画素である必要はない。
【0040】
以下、本実施形態の撮像素子3における撮像時等の光量信号の読出し動作について説明する。そして、まずは一例として、読出し画素が
図3中の左上に配置されるG画素(撮像画素)Gbであり、クリップ動作画素が
図3中の左下に配置されるR画素(撮像画素)Rであるとして説明する。ただし、後述するように、読出し画素およびクリップ動作画素として他の任意の画素30を選んでもよい。
【0041】
撮像または焦点検出等のための露光動作に先立って、水平制御部HCを含む制御部CUはリセット線切替スイッチSRを制御して、各リセット電圧線HRを第1電圧が供給されている第1電圧線RR1に接続する。そして、制御部CUは、各画素30のリセットトランジスタTRおよび転送トランジスタTXを導通状態として、FD領域およびフォトダイオードPDを上述の第1電圧にリセットする。
【0042】
その後、制御部CUは転送トランジスタTXを非導通とし、撮像素子3上のフォトダイオードPDに対して撮像または焦点検出等のための露光が行われる。
露光後に、露光によりフォトダイオードPDに生じた電荷に基づく信号を、いわゆる相関二重サンプリングを用いて読み出す。制御部CUは、水平選択線HS3、水平選択線HS4、および垂直選択線VS7にハイレベルの電圧を印加し、読出し画素Gbとクリップ動作画素Rのそれぞれの垂直選択トランジスタTVおよび水平選択トランジスタTH1を導通状態とする。これにより、読出し画素Gbとクリップ動作画素Rのそれぞれの増幅トランジスタTAの出力は、出力線RWに出力され、合算されることとなる。
【0043】
以下、
図5に示したタイミングチャートも参照して説明する。
図5に示すタイミングチャートにおいて、横軸は時刻を示しており、TXおよびTRは、各画素30の転送トランジスタTXおよびリセットトランジスタTRのゲートに入力される制御信号の電圧を示している。一例として、各画素30内の各トランジスタをnMOS型としているので、
図5において、制御信号がハイレベル(例えば電源電圧)の場合に制御信号が入力されるトランジスタが導通状態となり、制御信号がローレベル(例えば接地電圧)の場合に制御信号が入力されるトランジスタが非導通状態となる。
図5の、HR電圧は、各画素30に接続されるリセット電圧線HRに供給される電圧を示し、FD電圧は、各画素30のFD領域の電圧を示している。
【0044】
読出しの開始時の時刻t0においては、制御部CUは、読出し画素Gbおよびクリップ動作画素Rの、いずれの転送トランジスタTXおよびリセットトランジスタTRのゲートにも、ローレベルの制御信号を供給している。そして、制御部CUは、読出し画素Gbおよびクリップ動作画素Rのリセット電圧線HRには第1電圧VC1を供給している。
なお、読出し画素Gbおよびクリップ動作画素RのFD領域FDは、前述のリセット動作において第1電圧にリセットされているが、その後ノイズ等の影響により、時刻t0におけるFD領域FDの電圧は不確定である。
【0045】
続いて、制御部CUは、時刻t1から時刻t2の間、読出し画素GbのリセットトランジスタTRのゲートにハイレベルの電圧を印加し、読出し画素GbのFD領域FDを第1電圧VC1にリセットする。この結果、読出し画素Gb内の増幅トランジスタTAのゲートには第1電圧VC1が印加され、増幅トランジスタTAはこれに基づく増幅信号、すなわちフォトダイオードPDに蓄積された電荷が反映されない、いわゆるダーク信号を出力する。この出力が、垂直選択トランジスタTVおよび水平選択トランジスタTH1を介して出力線RWに出力される。
【0046】
一方、クリップ動作画素Rに対しては、制御部CUは、時刻t1以降、リセットトランジスタTRのゲートにハイレベル信号を印加し、クリップ動作画素Rに接続されるリセット電圧線HRには第2電圧VC2を供給する。この結果、クリップ動作画素RのFD領域FDは第2電圧VC2にリセットされる。従って、クリップ動作画素R内の増幅トランジスタTAのゲートには第2電圧VC2が印加され、増幅トランジスタTAはこれに基づく増幅信号を出力する。この出力が、垂直選択トランジスタTVおよび水平選択トランジスタTH1を介して出力線RWに出力される。
【0047】
本実施形態の撮像素子3では、読出し画素Gbの信号とクリップ動作画素Rの信号は、いわゆるソースビニングとして合算される。従って、最終的に読出部から読み出される信号の電圧は、合算前の両信号が仮に別々に読出部から読み出された場合の電圧信号のうちの、高い方の電圧とほぼ一致する。
従って、クリップ動作画素RのリセットトランジスタTRに印加する第2電圧VC2は以下のように設定される。すなわち、仮にクリップ動作画素Rのみが接続されたときの読出部の出力電圧値が、仮にダーク信号を出力する読出し画素Grのみが接続されたときの読出部の出力電圧値の想定値を上回らない値となるように、第2電圧VC2は設定される。
【0048】
具体的には、各画素30の増幅トランジスタTAはnMOS型なので、第2電圧VC2は、第1電圧VC1よりも低い(接地電圧に近い)電圧に設定する。ただし、あまり低い電圧であると、出力信号をクリップする機能が失われるので、接地電圧を基準として第1電圧VC1の2~6割程度の電圧とするのがよい。
制御部CUは、読出部に信号の読出しを指令し、この状態で読出部の入力部に加わる電圧がAD変換され、ダークサンプリングが行われる。
【0049】
次に、制御部CUは、時刻t3から時刻t4の間、読出し画素Gbの転送トランジスタTXのゲートにハイレベルの電圧を印加して、光電変換によって生じたフォトダイオードPD内の電荷を、FD領域に転送する。一方、時刻t3において、クリップ動作画素Rに接続されるリセット電圧線HRに供給する電圧を第3電圧VC3に変更する。この結果、クリップ動作画素RのFD領域FDは第3電圧VC3にリセットされる。
【0050】
時刻t4に、制御部CUは読出部に信号の読出しを指令し、この状態で読出部の入力部に加わる電圧がAD変換され、シグナルサンプリングが行われる。
第3電圧VC3も以下のように設定される。すなわち、仮にクリップ動作画素Rのみが接続された読出部の出力電圧値が、仮に読出し画素Grのみが接続された読出部の出力電圧の想定値を上回らない値となるように、第3電圧VC3は設定される。
【0051】
具体的には、第3電圧VC3は、第2電圧VC2より低く、接地電圧を基準として第2電圧VC2の3~7割程度の電圧とするのがよい。
なお、各画素30内の増幅トランジスタTAがpMOS型である場合、上記の第1電圧、第2電圧、および第3電圧の高低関係は逆転する。
【0052】
読出部は、上記のシグナルサンプリングとダークサンプリングの結果から、その差分を算出して、読出し画素Gbからの光量信号の読出し結果として出力する。よって、ダークサンプリングによる読出し信号は、シグナルサンプリングによる読出し信号を補正するための補正信号と解釈することができる。
各画素ブロックBC内の読出部で読み出された出力は、不図示の出力制御回路を経て、撮像素子3から出力される。
【0053】
(読出し画素とクリップ動作画素の選択)
次に、制御部CUが垂直選択線VS、水平選択線HS、および特殊水平選択線ZSの信号レベルを制御することにより行われる読出し画素およびクリップ動作画素の選択動作について、
図2(b)および
図3を参照して説明する。
【0054】
始めに、
図2(b)に示す画素ブロックBC2内において、全てのG画素Gbを読み出し画素とし、画素ブロックBC2内の最下段に配置される水平選択線HS4に接続される2つのR画素Rをクリップ動作画素として選択する場合について説明する。
この場合、制御部CUは、4つのG画素Gbおよび2つのR画素Rに接続されている垂直選択線VS5、VS7に、垂直選択トランジスタTVを導通させるハイレベルの電圧を供給し、これらの画素に接続されている水平選択線HS1、HS3、HS4に、水平選択トランジスタTH1を導通させるハイレベルの電圧を供給する。
【0055】
一方、これらの画素に接続されていない、水平選択線HS2、特殊水平選択線ZS、および垂直選択線VS6、VS8には、ローレベルの電圧を供給する。
これにより、各画素ブロックBC2内の画素30のうち、読出し画素である4つのG画素Gbと水平選択線HS4に接続される2つのR画素Rからの信号のみを、出力線RWに接続し、読出部により読み出すことができる。
【0056】
すなわち、上述した相関2重サンプリングによる読出しにおいて、4つのG画素Gbを読出し画素として、水平選択線HS4に接続される2つのR画素Rをクリップ動作画素として、読出しを行えばよい。
具体的には、4つのG画素Gbのリセット部に接続されるリセット電圧線HR1、HR3には、常に第1電圧VC1を印加し、リセットトランジスタTRおよび転送トランジスタTXには、
図5に示した所定のタイミング(読出し画素の所定のタイミング)でハイレベルの電圧を印加する。
【0057】
水平選択線HS4に接続される2つのR画素Rのリセット部に接続されるリセット電圧線HR4には、
図5に示した所定のタイミング(クリップ動作画素の所定のタイミング)で第1電圧VC1、第2電圧VC2、第3電圧VC3を順次印加する。また、水平選択線HS4に接続される2つのR画素RのリセットトランジスタTRには、所定のタイミングでハイレベルの電圧を印加する。
これにより、画素ブロックBC2内において、2つのR画素Rをクリップ動作画素とし、4つのG画素Gbを読み出し画素として、ビニング読出しを行うことができる。
【0058】
上述の読出し動作において、水平選択線HS1にはローレベルの電圧を印加することで、画素ブロックBC2内の、水平選択線HS3と接続している2つのG画素Gbを読み出し画素とし、2つのR画素Rをクリップ動作画素として、ビニング読出しを行うこともできる。
また、垂直選択線VS5にもローレベルの電圧を印加することで、画素ブロックBC2内の、水平選択線HS3と垂直選択線VS7に接続している1つのG画素Gbを読み出し画素とし、1つのR画素Rをクリップ動作画素として、ビニング読出しを行うこともできる。
【0059】
読出し画素とクリップ動作画素を同色の画素から選択することもできる。
例えば、画素ブロックBC2内で、垂直選択線VS5にのみハイレベルの電圧を印加し、他の垂直選択線VSにはローレベルの電圧を印加し、水平選択線HS1、HS3にハイレベルの電圧を印加し、水平選択線HS2、HS4にはローレベルの電圧を印加する。
これにより、垂直選択線VS5と接続されている2つのG画素Gbの信号のみを、出力線RWに接続することができる。これは、一方のG画素Gbを読出し画素、他方のG画素Gbをクリップ動作画素とする一例であり、水平制御部HCは、次のようにリセット電圧線HRおよび水平選択線HSに供給する信号レベルを制御する。
【0060】
図5のタイミングチャートに従って、リセット電圧線HR1に常に第1電圧VC1を供給する。一方、リセット電圧線HR3にはタイミングに応じて、第1電圧VC1、第2電圧VC2、第3電圧VC3を順次供給し、リセットトランジスタTRおよび転送トランジスタTXのゲートには、タイミングに応じて適宜ハイレベルの電圧を供給する。これにより、リセット電圧線HR1に接続されるG画素Gbを読出し画素として、リセット電圧線HR3に接続されるG画素Gbをクリップ動作画素として、読出しを行うことができる。
【0061】
上述の読出しの例では、G画素Gbを読出し画素とした例について説明したが、G画素GrやR画素R、B画素Bまたは特殊画素ZZを、読出し画素とすることも、同様にできる。
その場合、クリップ動作画素としても、同様に、読出し画素と同色の画素を使用することもでき、あるいは読出し画素と異なる色の画素を使用することもできる。
【0062】
読出し画素またはクリップ動作画素として特殊画素ZZを使用する場合、特殊画素ZZの信号を出力線RWに出力するために、上述の水平選択線HSに代えて、特殊画素ZZに接続されている特殊水平選択線ZSにハイレベルの電圧を印加する。
図2(b)に示す画素ブロックBC2においては、青色光に対して感度の高いB画素Bの一部が特殊画素Z1、Z2で置き換わっているが、画素ブロックBC2におけるB画素Bからの読み出し動作も、上述のG画素Grからの読み出し動作とほぼ同様に行うことができる。
【0063】
例えば、2つのB画素Bを読出し画素とし、2つの特殊画素Z1、Z2をクリップ動作画素として信号を読み出す際には、水平選択線HS1、特殊水平選択線ZS、および垂直選択線VS6、垂直選択線VS8にハイレベルの電圧を加える。そして、他の水平選択線HSおよび垂直選択線VSには、ローレベルの電圧を加える。
【0064】
これにより、2つのB画素Bと2つの特殊画素Z1、Z2の信号のみを、出力線RWに接続することができる。そして、上述の例と同様に、2つのB画素Bが読出し画素に、2つの特殊画素Z1、Z2がクリップ動作画素となるようにリセット電圧線HR等に所定の電圧を印加して、上述の相関2重サンプリングを行えばよい。
【0065】
この場合に、特殊水平選択線ZSに代えて、水平選択線HS2にハイレベルの電圧を印加するとともに、リセット電圧線HR2に
図5に示したタイミングに応じて所定の電圧を印加することにより、水平選択線HS2に接続される2つのG画素Grをクリップ動作画素として使用することもできる。
【0066】
なお、特殊水平選択線ZSと並行して配置される水平選択線HS3は、特殊画素Z1、Z2内の特殊水平選択トランジスタTH2と接続されていない。従って、画素ブロックBC2内のB画素Bの信号の読み出しに際し、水平制御部HCが水平選択線HS3にどのような信号を送っても、B画素Bから読出す信号に、特殊画素Z1、Z2からの信号が混入することはない。
ただし、水平選択線HS3は、画素ブロックBC2とx方向に隣接する画素ブロックBC1等の他の画素ブロックBCにおいても共用されているので、水平選択線HS3に加える信号は、他の画素ブロックBCでの読み出しに適した信号を加えることが好ましい。
【0067】
以上と同様に、特殊画素ZZを読出し画素とし、他の撮像画素30cをクリップ動作画素として、特殊画素ZZの信号を読み出すこともできる。
一例として、領域PB内の特殊画素Z2を読出し画素、領域PB内のG画素Grをクリップ動作画素として読み出す場合は、垂直選択線VS8、水平選択線HS4、および特殊水平選択線ZSにハイレベルの電圧を印加する。そして、他の垂直選択線VSおよび水平選択線HSにはローレベルの電圧を印加する。
【0068】
これにより、領域PB内の特殊画素Z2と領域PB内のG画素Grの信号のみを、出力線RWに接続することができる。
そして、以上の例と同様に、領域PB内の特殊画素Z2が読出し画素に、領域PB内のG画素Grがクリップ動作画素となるようにリセット電圧線HR等に所定の電圧を印加して、上述の相関2重サンプリングを行えばよい。
【0069】
以上、画素ブロックBC2内の画素30の信号の読み出しについて説明したが、これは他の画素ブロックBCにおいても同様である。各画素ブロックBCの各画素30の信号は、各画素ブロックBCにそれぞれ設けられている出力線RWに出力され、読出部により読み出される。なお、画素ブロックBC2以外の画素ブロックの読み出しにおいても、垂直選択線VS、水平選択線HS、および特殊水平選択線ZSは、複数の画素ブロックBCで共有されていてよい。例えば、水平選択線HS1~HS4は、画素ブロックBC1の様に、画素ブロックBC2に対してx方向に並ぶ他の画素ブロックBCの各画素30にも接続されていてもよい。また、垂直選択線VS5~VS8は、画素ブロックBC2に対してy方向に並ぶ他の画素ブロックBCの各画素30に接続されていてもよい。
【0070】
なお、特殊画素ZZと撮像画素(Gb、Gr、R、B)との各信号を読み出す順序は、任意である。例えば、制御部CUは、垂直選択線VSおよび水平選択線HSを介して、始めに特殊画素ZZを選択し、読出部はその出力信号を読み出し、その後に撮像画素(Gb、Gr、R、B)を選択し、読出部はその出力信号を読み出す。
【0071】
画素ブロックBC内の特殊画素ZZの画素数(Z1およびZ2の2個)は撮像画素30cの画素数(Gb、Gr、R、Bを合わせて14個)よりも少ないので、特殊画素ZZの信号の読み出しに要する時間は撮像画素の信号の読み出しに要する時間よりも短い。つまり、特殊画素ZZの信号の読み出しは、撮像画素30cの信号の読み出しよりも高速に行える。例えば、特殊画素ZZがAF画素である場合、特殊画素ZZの信号の読み出しが、撮像画素(Gb、Gr、R、B)の信号の読み出しよりも先に行われることで、制御部4は焦点検出を高速に行うことができる。
また、1つの画素ブロックBCに、2つの読出部を設けてもよい。1つの出力線RWに2つの読出部を接続させることで、2つの読出部それぞれが特殊画素ZZの信号と撮像画素(Gb、Gr、R、B)の信号とを読み出すようにしてもよい。これにより、読出部は、特殊画素ZZの信号と撮像画素(Gb、Gr、R、B)の信号とをそれぞれ最適の読出しゲイン等の条件で読み出すことができる。
【0072】
以上で説明した読出し画素とクリップ動作画素とのビニング読出しにおいては、クリップ動作画素内の転送トランジスタTXのゲートにはハイレベルの信号(転送信号)が印加されない。よって、クリップ動作画素として使用した画素の中のフォトダイオードPDには、露光により発生した電荷(光電信号)が保存されている。
従って、以上で説明した読出し画素とクリップ動作画素の組合せによる読出しが終了した後に、クリップ動作画素として使用した画素の少なくとも一つを読出し画素として、その信号を読み出すことができる。
【0073】
以上の実施形態において、クリップ動作画素のリセット部(リセットトランジスタTR)に印加される電圧は、第1電圧VC1と第2電圧VC2の2通りであってもよい。また、これに対応して、水平制御部HC内のリセット線切替スイッチSRによりリセット電圧線HRに接続される電圧源は、第1電圧線RR1、第1電圧より基板電圧に近い第2電圧が供給されている第2電圧線RR2の2つであってもよい。
【0074】
この場合、
図5に示したクリップ動作画素の場合のHR電圧(クリップ動作画素に接続されるリセット電圧線HRに供給される電圧)は、時刻t0から時刻t1までが第1電圧VC1で、時刻t1以降は第2電圧VC2とすればよい。
この場合、第2電圧VC2は、接地電圧を基準として第1電圧VC1の2~4割程度の電圧とすればよい。
【0075】
以上の実施形態において、ソースビニング読出しにより合算して読み出される画素30のうちの、読出し画素については第1画素と解釈することができる。一方の、クリップ動作画素については第2画素と解釈することができる。
また、各画素30のFD領域FDは、フォトダイオードPDで光電変換された電荷が転送されここに蓄積されるので、蓄積部と解釈することもできる。そして、読出し画素(第1画素)のFD領域FDは第1蓄積部と解釈することもでき、クリップ動作画素(第2画素)のFD領域FDは第2蓄積部と解釈することもできる。
【0076】
また、以上の実施形態において、クリップ動作画素を使用せず、ソースビニングにより合算して読み出される画素30を複数の読出し画素のみとしてもよい。これは、上述の読出し例においてクリップ動作画素として使用している画素を選択しないことにより、実現できる。具体的には、相関2重サンプリング時に、クリップ動作画素を垂直選択線VS、水平選択線HS、および特殊水平選択線ZSで選択せず、または、クリップ動作画素に所定のタイミングで各種のリセット電圧やリセットトランジスタTRを制御する信号を送らなければよい。
【0077】
この場合、合算して読み出される複数の画素30のうちの任意の1つ以上を第1画素、第1画素以外の画素のうちの1つ以上を第2の画素と解釈することができる。そして、フォトダイオードPDで発生した電荷が転送された第1画素のFD領域FDに生じる電圧を第1電圧、フォトダイオードPDで発生した電荷が転送された第2画素のFD領域FDに生じる電圧を第2電圧と解釈することもできる。
【0078】
図6は、本実施形態の撮像素子3の画素30部分の断面を示す図である。なお
図6では、撮像素子3の全体のうち、一部の断面のみを示している。
図6中に示したz方向およびz方向は、
図1中に示した各方向と同じである。撮像素子3は、いわゆる裏面照射型の撮像素子である。撮像素子3は、紙面上方向から入射した光を光電変換する。撮像素子3は、第1半導体基板7と、第2半導体基板8とを備える。
【0079】
上述のとおり、撮像素子3は複数の画素30を有している。1つの画素30は、第1半導体基板7に設けられた画素上部30xと、第2半導体基板8に設けられた画素下部30yとを含む。1つの画素上部30xには、1つのマイクロレンズ74、1つのカラーフィルタ73、1つのフォトダイオードPDの受光部31等が含まれる。
【0080】
第1半導体基板7は、画素上部30xに含まれるフォトダイオードPDの受光部31を含む受光層71と、転送トランジスタTX、増幅トランジスタTA等のトランジスタが形成されている配線層72とを備える。受光層71は、第1半導体基板7の配線層72とは反対側(裏面側)に配置される。受光層71には、複数の受光部31が二次元状に配置されている。
画素上部30xは、入射光を光電変換する部分である受光部31を含むので、撮像部と解釈することもできる。
第2半導体基板8には、画素下部30yに含まれる垂直選択トランジスタTV、水平選択トランジスタTH1、特殊水平選択トランジスタTH2、垂直選択線VS、水平選択線HS、特殊水平選択線ZSと、読出部および電流源CSなどが配置されている。
【0081】
配線層72の表面には複数のバンプ75が配置される。第2半導体基板8の、配線層72に対向する面には、複数のバンプ75に対応する複数のバンプ76が配置される。複数のバンプ75と複数のバンプ76とは互いに接合されている。複数のバンプ75と複数のバンプ76とを介して、第1半導体基板7と第2半導体基板8とが電気的に接続されており、すなわち第1半導体基板7と第2半導体基板8とは積層されている。
なお、複数の画素30からの信号を読み出す読出部は、第2半導体基板8に配置されているため、第1半導体基板7に配置されている撮像部に積層されていると解釈することもできる。
【0082】
なお、上述した第1半導体基板7および第2半導体基板8にそれぞれ配置される回路要素の構成は一例であって、そのうちのいくつかの構成物は、第1半導体基板7および第2半導体基板8のどちらに配置してもよい。
フォトダイオードPDの受光部31を含む受光層71と、転送トランジスタTX、増幅トランジスタTA、および垂直選択トランジスタTV、水平選択トランジスタTH2、水平選択トランジスタTH1、特殊水平選択トランジスタTH2、水平選択線HS3,HS4、特殊水平選択線ZSを第1半導体基板7に形成し、読出部および電流源CSを第2半導体基板8に配置してもよい。
垂直制御部VCおよび水平制御部HCは、第1半導体基板7および第2半導体基板8のどちらに配置してもよい。
ただし、第1半導体基板7に多くの回路要素を配置すると、第1半導体基板7に受光部31を配置する面積または体積が十分に確保できなくなるので、読出部および電流源CSは、第2半導体基板8に配置することが好ましい。
【0083】
各画素30のカラーフィルタ73には、各画素の分光感度特性に合わせたカラーフィルタが配置されている。
また、画素30のうち特殊画素ZZにも、カラーフィルタ73が配置される。特殊画素ZZがAF画素である場合、Gのカラーフィルタがカラーフィルタ73として設けられる。なお、特殊画素ZZに設けられるカラーフィルタ73は、入射光の全波長域を透過するフィルタであってもよい。また、特殊画素ZZに設けられるカラーフィルタ73は、撮像画素30cに配置されるカラーフィルタ73のいずれとも、分光特性が異なるカラーフィルタ73であってもよい。
【0084】
特殊画素ZZが、赤外光を受光するための画素である場合、カラーフィルタ73は、赤外光の透過率が高く可視光の透過率が低いものとなる。また、特殊画素ZZが、可視光を受光するための画素である場合、カラーフィルタ73は、可視光の全波長域について透過率の高いものとなる。
【0085】
なお、特殊画素ZZのカラーフィルタ73の平均透過率を、撮像画素30cのカラーフィルタ73の平均透過率と異ならせること等により、特殊画素ZZの感度を、撮像画素30cの感度と異ならせてもよい。ここで、平均透過率とは、受光部31が光電変換する光の全波長に対する透過率の平均をいう。
特殊画素ZZの感度は、特殊画素ZZの受光部31の面積を撮像画素30cの受光部31の面積と異ならせる、または受光部31へのイオン注入の条件を異ならせることによって、撮像画素30cの感度と異ならせてもよい。
【0086】
図7は、特殊画素ZZがAF画素である場合の一例を示す図である。
図7では、
図6に示した撮像素子3の断面図から第2半導体基板8を省略している。
特殊画素Z1は、カラーフィルタ73と第1半導体基板7の境界部に、受光部31の右側を遮光する遮光部75Rが設けられる。一方、特殊画素Z2は、その境界部に、受光部31の左側を遮光する遮光部75Lが設けられる。
【0087】
特殊画素Z1に入射する光のうち、撮像素子3の入射面に垂直な方向PLに対して-x方向に傾いて入射する光LLは、遮光部75Rに遮光される。一方、特殊画素Z2に入射する光のうち、撮像素子3の入射面に垂直な方向PLに対して+x方向に傾いて入射する光LRは、遮光部75Lに遮光される。
この結果、特殊画素Z1およびZ2は、それぞれ異なる入射方向から入射する光に対する感度が低下し、逆に言えば、それぞれ異なる入射方向から入射する光に対する感度が相対的に高くなる。
【0088】
この撮像素子3を、
図1の撮像装置に適用すれば、特殊画素Z1およびZ2は、撮像光学系2の瞳面でそれぞれ異なる位置を通る光に対する感度が高い素子となるため、像面位相差合焦検出のための画素として機能する。
なお、遮光部75R、75Lを設ける位置は、上述のカラーフィルタ73と第1半導体基板7の境界部に限られるわけではなく、マイクロレンズ74から第1半導体基板7までの間のどこかに設ければよい。
【0089】
以上の撮像素子の実施形態において、各画素30の配列は、必ずしもベイヤー配列に限られるものではない。また、水平選択線HS、特殊水平選択線ZSは、撮像素子3の長辺方向ではなく短辺方向に延びていてもよく、垂直選択線VSは、撮像素子3の短辺方向ではなく長辺方向に延びていてもよい。
また、各画素30の信号の出力を制御する水平選択線HS、特殊水平選択線ZS、および垂直選択線VSは、必ずしも水平方向(x方向)および垂直方向(y方向)に延在するものでなくてもよい。そして、水平選択線HS、特殊水平選択線ZS、および垂直選択線VSは、複数の画素30で共有されていなくてもよい。
【0090】
なお、特殊画素ZZからの信号の出力は、遮光部75R、75Lが設けられる等により、撮像画素30cからの信号の出力よりも小さな値となる場合が多い。そこで、特殊画素ZZには、その内部に、信号の出力を例えば2倍程度に増大させる増幅回路を組み込んでもよい。あるいは、特殊画素ZZからの出力信号にオフセットを加えることで、その値を増加させても良い。
【0091】
なお、上述の実施形態においては、各画素ブロックBC内の撮像画素30c、およびB画素Bの総数は、その画素ブロックBC内に特殊画素ZZが含まれるか否かにより変動する。従って、上述のビニング読出しを行う場合には、画素ブロックBCの加算信号の大きさも、その画素ブロックBCが特殊画素ZZを含むか否かより変動する恐れがある。
【0092】
そこで、この加算信号の変動を防止するために、特殊画素ZZを含む画素ブロックBCの加算信号を、画素ブロックBCに含まれる特殊画素ZZの数に応じて増減させる補正回路を設けても良い。この補正回路は、画素ブロックBC内に設けても良く、画素ブロックBC以外の撮像素子3内に設けても良い。あるいは、撮像素子3内に補正回路を設ける代わりに、制御部4においてこの補正を行っても良い。
【0093】
例えば、図(b)に示した例においては、画素ブロックBC1には特殊画素ZZは含まれず、G画素Gb、G画素Gr、B画素B、R画素Rがそれぞれ4個ずつ含まれている。一方、画素ブロックBC2には2個の特殊画素ZZ(Z1、Z2)が含まれ、G画素Gb、G画素Gr、R画素Rはそれぞれ4個ずつ含まれているが、B画素Bは2個しか含まれていない。従って、画素ブロックBC2においてB画素Bのビニング読出しを行う場合には、加算信号を(4/2)倍する。これにより、B画素Bをビニング読出した際の加算信号を、画素ブロックBC1と画素ブロックBC2とでほぼ等しくすることができる。
【0094】
(撮像素子の実施形態の効果)
(1)以上の実施形態の撮像素子3は、第1画素および第2画素を有している。そして、第1画素は、光を光電変換して電荷を生成するフォトダイオード(第1光電変換部)PD、フォトダイオードPDで生成された電荷を蓄積するFD領域(第1蓄積部)FD、およびFD領域FDの電圧に基づく第1信号を出力する選択トランジスタ(第1出力部)TH1を有し、第2画素は、光を光電変換して電荷を生成するフォトダイオード(第2光電変換部)PD、フォトダイオードPDで生成された電荷を蓄積するFD領域(第2蓄積部)FD、およびFD領域FDの電圧に基づく第2信号を出力する選択トランジスタ(第2出力部)TH1もしくはTH2を有している。以上の実施形態の撮像素子3は、さらに、第1画素の選択トランジスタTH1と第2画素の選択トランジスタTH1もしくはTH2とが接続され、第1信号および第2信号が出力される出力線RWと、第1画素のFD領域FDの電圧を第1電圧に制御し、第2画素のFD領域FDの電圧を第1電圧と異なる第2電圧または第1電圧に制御可能な制御部CUとを備えている。
このような構成としたので、出力線RWに接続された複数の画素のうち、任意の1つまたは複数の画素30の出力を選択して、出力線RWに出力させることができるという効果を有している。
【0095】
(2)さらに、制御部CUは、第1出力部が第1信号を出力する間、第2蓄積部を第2電圧に制御することもできる。これにより、第1信号が所定の範囲を超える異常値である場合にも、電流源ISに過剰な電流が生じることを防止でき、撮像素子3の破損を防止することができる。
【0096】
上記では、種々の実施形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。また、各実施形態および変形例は、それぞれ単独で適用してもよいし、組み合わせて用いてもよい。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【0097】
次の優先権基礎出願の開示内容は引用文としてここに組み込まれる。
日本国特願2018-185635号(2018年9月28日出願)
【符号の説明】
【0098】
1:撮像装置、2:撮像レンズ、3:撮像素子、4:制御部(生成部)、5:レンズ移動部、7:第1半導体基板、8:第2半導体基板、BC,BC1,BC2:画素ブロック、HC:水平制御部、VC:垂直制御部、CU:制御部、画素30、Gr,Gb:G画素、R:R画素、B:B画素、Z1,Z2:特殊画素、VS,VS1~HS8:垂直選択線、HS,HS1~HS4:水平選択線、ZS:特殊水平選択線、HR,HR1~HR4:リセット電圧線、PD:フォトダイオード、TX:転送トランジスタ、TR:リセットトランジスタ、TA:増幅トランジスタ、TV:垂直選択トランジスタ、TH1:水平選択トランジスタ、TH2:特殊水平選択トランジスタ、RW:読み出し線、ADC:読出部、31:感光部、73:カラーフィルタ