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特許7497906ポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)-カーボンナノチューブ複合体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-03
(45)【発行日】2024-06-11
(54)【発明の名称】ポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)-カーボンナノチューブ複合体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 3/205 20060101AFI20240604BHJP
   C08J 3/14 20060101ALI20240604BHJP
   C08L 67/02 20060101ALI20240604BHJP
   C08K 3/04 20060101ALI20240604BHJP
   C08J 5/04 20060101ALI20240604BHJP
   C01B 32/158 20170101ALN20240604BHJP
【FI】
C08J3/205 CFD
C08J3/14
C08L67/02
C08K3/04
C08J5/04
C01B32/158
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022549361
(86)(22)【出願日】2021-10-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-05
(86)【国際出願番号】 KR2021014501
(87)【国際公開番号】W WO2022092660
(87)【国際公開日】2022-05-05
【審査請求日】2022-08-16
(31)【優先権主張番号】10-2020-0139669
(32)【優先日】2020-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】スン・フン・ファン
(72)【発明者】
【氏名】ジェ・ヒョン・パク
(72)【発明者】
【氏名】ジョンミン・イ
(72)【発明者】
【氏名】スンテク・オ
【審査官】芦原 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-097133(JP,A)
【文献】特表2009-534509(JP,A)
【文献】特開2011-068773(JP,A)
【文献】Jessica P. Soares da Silva,Double Percolation of Melt-Mixed PS/PBAT Blends Loaded With Carbon Nanotube: Effect of Molding Temperature and the Non-covalent Functionalization of the Filler by Ionic Liquid,Frontiers in Materials,2019年08月09日,Volume 6 Article 191,P.1-P.11
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 3/00-3/28
C08K
C08L
C08J 5/04-5/10;5/24
C01B 32/00-32/991
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)ポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)およびカーボンナノチューブをクロロホルムに添加し混合する段階であって、前記ポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)の濃度が0.01~20mg/mLとなるように添加され、前記混合が1時間~48時間行われる、段階;
2)前記段階1の混合物に、アセトンを添加し混合する段階であって、前記クロロホルムに対して、アセトンを1~30体積%添加する、段階;および
3)前記段階2の生成物から沈殿物を回収する段階を含む、
ポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)-カーボンナノチューブ複合体の製造方法。
【請求項2】
前記段階1において、前記ポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)100重量部に対して、前記カーボンナノチューブを0.1~20重量部で添加する、
請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記カーボンナノチューブは、単一壁カーボンナノチューブ、または多重壁カーボンナノチューブである、
請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記段階2の混合は、前記アセトンを段階1の混合物に滴加した後、撹拌して行われる、
請求項1からのいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記段階3は、前記段階2の生成物をろ過して沈殿物を回収する、
請求項1からのいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項6】
前記段階3で回収した沈殿物を乾燥する段階を追加的に含む、
請求項1からのいずれか一項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、2020年10月26日付の韓国特許出願第10-2020-0139669号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、ポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)内にカーボンナノチューブが均一に分散したポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)-カーボンナノチューブ複合体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)は生分解性樹脂であって、軟質の包装材、農業用フィルムなどの原料として使用されているが、絶縁体に近いため、電気伝導性を必要とする電子産業では活用範囲が限定的である。
【0004】
ポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)に電気伝導性を付与するためには、導電性無機素材、例えば、copper powder、carbon blackなどの粒子をポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)に分散させる方法が知られている。その中でも、カーボンナノチューブは、他の導電性無機素材に比べて少量でも高い電気伝導度を付与できるため、ポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)にカーボンナノチューブを分散させようとする試みがあった。
【0005】
しかし、カーボンナノチューブ間のファンデルワールス現象によってカーボンナノチューブが互いにかたまろうとする傾向があり、また、ポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)の高い粘度によって、ポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)にカーボンナノチューブを分散させると、カーボンナノチューブが互いにかたまる現象が発生し、これによって、ポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)に電気伝導性を付与するのに限界がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)内にカーボンナノチューブが均一に分散したポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)-カーボンナノチューブ複合体の製造方法を提供する。
【0007】
また、本発明は、前記製造方法により製造されたポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)-カーボンナノチューブ複合体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明は、下記の段階を含むポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)-カーボンナノチューブ複合体の製造方法を提供する:
1)ポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)およびカーボンナノチューブをクロロホルムに添加し混合する段階;
2)前記段階1の混合物に、アセトンを添加し混合する段階;および
3)前記段階2の生成物から沈殿物を回収する段階。
【0009】
本発明では、従来のポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)とカーボンナノチューブとを溶融混合する代わりに、後述のように溶媒ベースの混合方法を使用することによって、ポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)内にカーボンナノチューブを効果的に分散させることができ、これによって、電気抵抗を低くし、機械的物性を向上させることができる。
【0010】
以下、各段階別に本発明を詳しく説明する。
【0011】
(段階1)
本発明の段階1は、ポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)とカーボンナノチューブとを、溶媒のクロロホルムに添加し混合する段階である。
【0012】
クロロホルムは、ポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)を溶解できる溶媒であり、ポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)をクロロホルムに溶解させることによって、従来のポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)が溶融した状態でカーボンナノチューブを添加することに比べて、カーボンナノチューブの分散をさらに容易にする。
【0013】
特に、ポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)が溶融した状態では粘度が高いため、カーボンナノチューブの分散が難しいが、本発明では、ポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)を溶解させた溶液にカーボンナノチューブを分散させて均一な分散を誘導することができる。
【0014】
好ましくは、前記ポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)の濃度が0.01~20mg/mLとなるように添加する。前記濃度は、クロロホルム溶媒に対するもので、前記濃度が0.01mg/mL未満の場合には、濃度が低すぎてクロロホルムの使用量が多くならなければならない問題があり、前記濃度が20mg/mL超過の場合には、溶液の粘度が高まったり、ポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)がすべて溶解しない恐れがある。
【0015】
より好ましくは、前記ポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)の濃度が0.02mg/mL以上、0.03mg/mL以上、または0.04mg/mL以上であり、15mg/mL以下、14mg/mL以下、13mg/mL以下、または12mg/mL以下である。
【0016】
前記カーボンナノチューブは、本発明において、ポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)に電気伝導性を付与するために使用される。好ましくは、前記ポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)100重量部に対して、前記カーボンナノチューブを0.1~20重量部で添加する。前記含有量が0.1重量部未満の場合には、電気伝導性を付与する効果がわずかであり、前記含有量が20重量部を超える場合には、機械的物性を含むポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)の他の基本物性に悪影響を及ぼすことがある。
【0017】
より好ましくは、前記ポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)100重量部に対して、前記カーボンナノチューブを0.2重量部以上、0.3重量部以上、0.4重量部以上、0.5重量部以上、または0.6重量部以上添加し、19重量部以下、18重量部以下、17重量部以下、16重量部以下、または15重量部以下で添加する。
【0018】
一方、前記カーボンナノチューブは、電気伝導性を付与できれば特に制限されず、一例として、単一壁カーボンナノチューブ(SWCNT;Single-Walled Carbon Nanotubes)、または多重壁カーボンナノチューブ(MWCNT;Multi-Walled Carbon Nanotubes)が挙げられ、電気伝導性を付与する観点から多重壁カーボンナノチューブが好ましい。
【0019】
一方、前記ポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)の重量平均分子量は、100,000~150,000(g/mol)が好ましい。
【0020】
前記段階1の混合は、1時間~48時間行うことが好ましい。前記混合は、クロロホルムに含まれているポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)とカーボンナノチューブとが均一に混合されるようにするためのもので、結果的に、ポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)内にカーボンナノチューブが均一に分散するようにする。前記混合時間が1時間未満の場合には、十分な混合が行われない恐れがあり、前記混合時間が48時間超過の場合には、実質的に均一性が増加しない。
【0021】
より好ましくは、前記段階1の混合は、5時間以上、6時間以上、7時間以上、8時間以上、9時間以上、または10時間以上であり、44時間以下、40時間以下、または36時間以下である。
【0022】
一方、前記段階1は、10℃~50℃で行うことができ、好ましくは、20℃~30℃で行う。また、前記段階1は、0.5気圧~1.5気圧で行うことができ、より好ましくは、0.8~1.2気圧で行う。
【0023】
(段階2)
本発明の段階2は、前記段階1の混合物に、アセトンを添加し混合する段階である。
前記アセトンは、反溶溶媒(anti-solvent)として使用されるもので、前記段階1の混合物に添加されることによって、ポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)とカーボンナノチューブの沈殿を誘導する。この時、ポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)とカーボンナノチューブとは均一に混合された状態で沈殿が行われるため、結果的に、ポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)内にカーボンナノチューブが均一に分散した状態で沈殿が行われる。
【0024】
好ましくは、前記クロロホルムに対して、前記アセトンを1~30体積%添加する。前記アセトンの添加量が1体積%未満であれば、沈殿が効果的に起こらず、前記アセトンの添加量が30体積%超過であれば、沈殿効果が実質的に増加しない。
【0025】
より好ましくは、前記クロロホルムに対して、前記アセトンを2体積%以上、3体積%以上、4体積%以上、または5体積%以上かつ、30体積%以下、29体積%以下、28体積%以下、27体積%以下、または26体積%以下で添加する。
【0026】
前記段階2の混合は、前記反溶媒を段階1の混合物に滴加した後、撹拌して行われてもよいし、前記反溶媒を投入した後、1分~1時間混合することが好ましい。
【0027】
一方、前記段階2は、10℃~50℃で行うことができ、好ましくは、20℃~30℃で行う。また、前記段階1は、0.5気圧~1.5気圧で行うことができ、より好ましくは、0.8~1.2気圧で行う。
【0028】
(段階3)
本発明の段階3は、前記段階2の生成物から沈殿物を回収する段階であって、前記沈殿物は、本発明で製造しようとするポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)-カーボンナノチューブ複合体を主成分として含むもので、先に使用した溶媒からこれを分離および回収する段階である。
【0029】
好ましくは、前記段階3は、前記段階2の生成物をろ過して沈殿物を回収することが好ましい。また、先に使用した溶媒を効果的に除去するために、前記ろ過は、真空ろ過であることが好ましい。
【0030】
また、必要に応じて、前記段階3で回収した沈殿物を乾燥する段階を追加的に含むことができる。前記回収した沈殿物には溶媒が一部含まれていることがあるため、乾燥により溶媒を除去する。前記乾燥の条件は、溶媒を蒸発させながらポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)-カーボンナノチューブ複合体の物性に影響を与えない条件であれば、特に制限されない。
【0031】
(ポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)-カーボンナノチューブ複合体)
上述した本発明により製造されたポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)-カーボンナノチューブ複合体は、ポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)内にカーボンナノチューブが均一に分散しており、これによって電気伝導性が発現する。
【0032】
後述する実施例および比較例のように、同一の含有量のポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)とカーボンナノチューブを用いてポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)-カーボンナノチューブ複合体を製造しても、従来の溶融方法に比べて本発明による製造方法で製造した時、電気伝導性が顕著に向上する。
【0033】
好ましくは、前記ポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)-カーボンナノチューブ複合体の電気抵抗は、1,000~1,000,000Ωである。前記電気抵抗は、Hot-pressで作製された試験片の両端部分にcopper tapeを付着させて電極を形成、電圧1Vの条件でAgilent社のLCR meterを活用して電気抵抗を測定することができる。
【0034】
後述する実施例および比較例のように、カーボンナノチューブが含まれていないポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)の電気抵抗に比べて顕著に電気抵抗が低くなり、また、同一の含有量のカーボンナノチューブを溶融混合する方式で製造する場合に比べても電気抵抗が顕著に低くなることを確認することができる。
【0035】
また、本発明によるポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)-カーボンナノチューブ複合体は、機械的強度にも優れている。
【0036】
好ましくは、前記ポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)-カーボンナノチューブ複合体のASTM D638による引張強度(tensile strength)は、10MPa~50MPaである。
【0037】
また、好ましくは、前記ポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)-カーボンナノチューブ複合体のASTM D638による破断伸び率(elongation at break)は、50%~300%である。
【0038】
さらに、好ましくは、前記ポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)-カーボンナノチューブ複合体のASTM D2240によるショアD硬度(shore D hardness)は、10~50である。
【発明の効果】
【0039】
上述した本発明のポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)-カーボンナノチューブ複合体の製造方法は、ポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)内にカーボンナノチューブを均一に分散させることが可能で、電気抵抗を低くするだけでなく、機械的物性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の実施形態を下記の実施例でより詳細に説明する。ただし、下記の実施例は本発明の実施形態を例示するものに過ぎず、本発明の内容が下記の実施例によって限定されるものではない。
【実施例
【0041】
実施例1
ポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)(BASF Ecoflex C1200)5gをクロロホルム100mLに添加し、撹拌して溶解させた。前記溶液にMWCNT(株式会社LG化学、CP Grade)0.25gを添加し、24時間撹拌して分散させた。次に、前記溶液を撹拌すると同時に、アセトン10mLをドロップ方式(dropwise)で投入して沈殿が生じるようにした。アセトンの投入が完了した後、20分間追加混合して完全な沈殿が行われるようにした。沈殿した凝集物をvacuum filtrationで溶媒を除去し、沈殿した凝集物を真空オーブンにて24時間乾燥させて、ポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)-カーボンナノチューブ複合体を製造した。
【0042】
実施例2
MWCNTを0.75g用いたことを除けば、前記実施例1と同様の方法でポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)-カーボンナノチューブ複合体を製造した
【0043】
比較例1
実施例1で用いたポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)(BASF Ecoflex C1200)を比較例1として用いた。
【0044】
比較例2
ポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)(BASF Ecoflex C1200)5gをガラス硝子に投入し、窒素ガスでパージング下、160℃に加熱して溶融させた。これにMWCNT(株式会社LG化学、CP Grade)0.25gを添加し、160℃を維持しながら5時間撹拌した。次に、前記混合物をテフロンフィルム上に吐出して冷却して、ポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)-カーボンナノチューブ複合体を製造した。
【0045】
実験例
前記実施例および比較例で製造した複合体をそれぞれhot-pressで150℃および5分の条件で圧縮して、65*70*2mm(横*縦*厚さ)の電気抵抗測定用試験片を製造し、前記試験片に対して以下の物性を測定した。
【0046】
(1)引張強度(tensile strength)および破断伸び率(elongation at break):ASTM D638により測定
(2)電気抵抗:Copper tapeを試験片の両末端に付着させ、Agilent LCR meterで1Vの電圧を加えて電気抵抗測定
(3)ショアD硬度(shore D hardness):ASTM D2240により測定
【0047】
前記の結果を下記表1に示した。
【0048】
【表1】
【0049】
前記表1に示されているように、本発明による実施例の複合体は、カーボンナノチューブがなかったり(比較例1)、または溶融したPBATでカーボンナノチューブを分散させた場合(比較例2)に比べて、電気抵抗が顕著に低くなることを確認することができた。これによって、本発明による製造方法で複合体を製造する場合、PBAT内にカーボンナノチューブがより均一に分散することを確認することができた。
【0050】
また、本発明による実施例の複合体は、溶融したPBATでカーボンナノチューブを分散させた場合(比較例2)に比べて、機械的強度も改善されており、これも本発明による製造方法で複合体を製造する場合、PBAT内にカーボンナノチューブがより均一に分散することに起因するものであることを確認することができた。