(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-03
(45)【発行日】2024-06-11
(54)【発明の名称】吐出容器
(51)【国際特許分類】
B65D 1/02 20060101AFI20240604BHJP
【FI】
B65D1/02 111
(21)【出願番号】P 2019511224
(86)(22)【出願日】2018-04-02
(86)【国際出願番号】 JP2018014073
(87)【国際公開番号】W WO2018186334
(87)【国際公開日】2018-10-11
【審査請求日】2021-03-23
【審判番号】
【審判請求日】2022-07-14
(31)【優先権主張番号】P 2017075276
(32)【優先日】2017-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017196194
(32)【優先日】2017-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004477
【氏名又は名称】キッコーマン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】505440295
【氏名又は名称】北海製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】中橋 隆宏
(72)【発明者】
【氏名】万年 夏之
(72)【発明者】
【氏名】桑垣 傳美
【合議体】
【審判長】神山 茂樹
【審判官】金丸 治之
【審判官】西堀 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-136704(JP,A)
【文献】特開2016-193743(JP,A)
【文献】特表2007-522049(JP,A)
【文献】特開2015-178215(JP,A)
【文献】特開2011-157411(JP,A)
【文献】特開2009-232718(JP,A)
【文献】特開2011-72293(JP,A)
【文献】特開2006-27701(JP,A)
【文献】特開2015-145249(JP,A)
【文献】特開2016-210181(JP,A)
【文献】特開平7-16915(JP,A)
【文献】特開2013-141420(JP,A)
【文献】特開2017-6034(JP,A)
【文献】特開2006-61065(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 1/02- 1/32
B65D 77/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二重の容器に内容物が充填される吐出容器であって、
内容物として液状食品が充填されるとともに該内容物の減少に伴いしぼみ変形する可撓性の内容器、および該内容器が内装されており、該内容器との間に外気を吸入するための吸気孔が形成された外容器を有する容器本体と、
内容物を吐出する吐出口が天面部に形成されており、該容器本体の口部に装着される吐出キャップと、
外部と前記吸気孔とを連通する外気導入孔と、を備え、
前記外容器および該外容器の内面に剥離可能に積層された単層の内容器がポリエチレンテレフタレート樹脂で構成されていて、
前記内容器の厚みが0.04~0.15mmの範囲内にあり、
前記内容器を構成するポリエチレンテレフタレート樹脂および前記外容器を構成するポリエチレンテレフタレート樹脂の一方または両方が、酸素吸収剤を含
み、
当該吐出容器は、前記内容器に溶存酸素を除去した蒸留水を満注充填し内口部を密封し、前記外容器と前記内容器との間の通気路を開放状態として20℃の温度に60日間保持した後の該蒸留水の溶存酸素量が3ppm以下となる程度に酸素を透過させるように構成されていて、
前記内容物がしょうゆ含有調味料である、吐出容器。
【請求項2】
前記内容器は、当該内容器を構成する樹脂の3~10質量%の範囲の酸素バリア剤を含有する、請求項
1に記載の吐出容器。
【請求項3】
前記酸素バリア剤は、ポリアミド系樹脂と脱酸素材とを含有するものである、請求項
2に記載の吐出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記特許文献1に記載されたような吐出容器が知られている。この吐出容器は、内容物が収容されるとともに内容物の減少に伴いしぼみ変形する内容器、および該内容器が内装されるとともに該内容器との間に外気を吸入する吸気孔が形成された外容器を有する容器本体と、該容器本体の口部に装着され、内容物を吐出する吐出口が形成された吐出キャップと、外部と吸気孔とを連通する外気導入孔と、を備えている。吐出キャップは、有頂筒状の本体筒部材と、該本体筒部材内に連通する注出筒と、本体筒部材内および注出筒内の連通およびその遮断を切り替える逆止弁と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の吐出容器は、その多くがPP(ポリプロピレン)製であることから、再利用(リサイクル)が困難なものであった。また、従来の吐出容器は、内容物の色をそのまま明瞭に見せる(美粧性)ことができないものであったし、かつ、内容物の香気を保持する性能(保香性)に劣る場合があることがわかってきた。
【0005】
そこで、本発明は、内容物の減少に伴い内容器が変形する容器であって、内容物の色をそのまま明瞭に見せることができる美粧性があり、再利用(リサイクル)可能であり、保香性に優れる吐出容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る吐出容器は、少なくとも二重の容器に内容物が充填される吐出容器であって、当該容器がポリエチレンテレフタレート樹脂で構成されている、というものである。
【0007】
また、本発明の別の一態様に係る吐出容器は、
内容物が充填されるとともに該内容物の減少に伴いしぼみ変形する可撓性の内容器、および該内容器が内装されており、該内容器との間に外気を吸入するための吸気孔が形成された外容器を有する容器本体と、
内容物を吐出する吐出口が天面部に形成されており、該容器本体の口部に装着される吐出キャップと、
外部と吸気孔とを連通する外気導入孔と、を備え、
内容器および外容器がポリエチレンテレフタレート樹脂で構成されている、というものである。
【0008】
上記態様の吐出容器は、いわゆるペット容器の一種であることから再利用することが可能であり、かつ、内容物の色をそのまま明瞭に見せることができる美粧性を有する。また、従来の吐出容器に比べ、内容物の香気を保持する性能つまり保香性が向上する。
【0009】
吐出容器において、内容器と外容器の一方または両方が、酸素吸収剤を含むポリエチレンテレフタレート樹脂で構成されていてもよい。
【0010】
吐出容器の内容物が液状食品であってもよい。
【0011】
吐出容器の内容物がしょうゆ含有調味料であってもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、内容物の減少に伴い内容器が変形する容器であって、内容物の色をそのまま明瞭に見せることができる美粧性があり、再利用(リサイクル)可能であり、保香性に優れる吐出容器を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】弁体部の一部に流通許容溝が形成された吐出容器の一部を拡大して示す縦断面図である。
【
図2】
図1における流通許容溝およびその周辺部をさらに拡大して示す図である。
【
図3】
図1とは異なる形態の弁体部の一部に流通許容溝が形成された吐出容器の一部を拡大して示す縦断面図である。
【
図4】
図3における流通許容溝およびその周辺部をさらに拡大して示す図である。
【
図5】
図1に示す吐出容器の作用を説明する縦断面図である。
【
図6】
図1に示す吐出容器の作用を説明する縦断面図である。
【
図7】吐出容器を構成する連結体などの断面構造の一例を示す斜視図である。
【
図9】本発明の第2実施形態における合成樹脂製多重ボトル(吐出容器)の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る吐出容器について説明する。
【0015】
≪第1実施形態≫
吐出容器10は、内容物M(
図5参照)が収容されるとともに内容物Mの減少に伴いしぼみ変形する内容器11、および内容器11が内装されるとともに弾性変形可能な外容器12を備える容器本体13と、容器本体13の口部13aに装着され、内容物Mを吐出する吐出口14が形成された吐出キャップ15と、吐出キャップ15に着脱自在に配設されたオーバーキャップ16と、を備えている(
図1、
図8等参照)。
【0016】
吐出容器10の容器本体13は、口部13aと胴部13bとを有する。胴部13bは、肩部13c、ウエスト部13d、下胴部13e、底部13fを有している(
図8等参照)。
【0017】
容器本体13は、有底筒状に形成され、オーバーキャップ16は有頂筒状に形成され、オーバーキャップ16の被蓋状態において、これらの容器本体13およびオーバーキャップ16の各中心軸が共通軸上に配置されている。以下、この共通軸を容器軸Oといい、容器軸O方向に沿ってオーバーキャップ16側を上側、容器本体13の底部13f側を下側といい、また容器軸Oに直交する方向を径方向といい、容器軸Oを中心に周回する方向を周方向という。
【0018】
また、容器本体13は、内容器11が外容器12の内面に剥離可能に積層されたいわゆるデラミボトルとなっている。本実施形態では、内容器11、外容器12ともにポリエチレンテレフタレート樹脂製としている。これにより、本実施形態の吐出容器10は、廃棄されるしかなかったPP製等の従来の吐出容器とは異なり、使用後に再利用(リサイクル)することが可能であり、かつ、内容物Mの色をそのまま明瞭に見せることができる美粧性を有する。なお、吐出キャップ15がポリエチレンテレフタレート樹脂製でない場合は、回収工程のいずれかで必要に応じ当該吐出キャップ15が取り外された状態の容器本体13が再利用されることになる。
【0019】
また、内容器11、外容器12ともにポリエチレンテレフタレート樹脂製である本実施形態の吐出容器10は、下記の実施例にて説明するように、PP製等の従来の吐出容器と比べ、内容物の香気を保持する性能、つまりは保香性に優れる。
【0020】
なお、内容器11、外容器12ともにポリエチレンテレフタレート樹脂製としながらも内容物を効率的に吐出させるためには、内容器11の厚みを薄くする必要がある。本実施形態では、内容器11の厚みを、通常のPET容器の厚み(使用目的や部位によってPETボトル(容器)の厚さは違うが、例えば1LしょうゆPETボトルの場合、厚さはだいたい0.2~0.3mm厚)の2/3~1/6、好ましくは1/2~1/4程度以下、数値の例を挙げれば例えば0.03~0.2mm厚、好ましくは0.04~0.15mm厚さらに好ましくは0.05~0.10mm厚などにして、内容器11が外容器12の内面に剥離可能に積層され、かつ、内容物が充填されるとともに該内容物の減少に伴いしぼみ変形する可撓性を実現している。これにより、本実施形態では、再利用可能なPET製の吐出容器(PETデラミ容器)を実現している。
【0021】
また、上記のように内容器11の厚みを通常のPET容器の厚みの2/3~1/6、好ましくは1/2~1/4程度以下、数値として0.03~0.2mm厚、好ましくは0.04~0.15mm厚、さらに好ましくは0.05~0.10mm厚など可撓性を持たせるようにすると、当該内容器11に酸素透過性が生じ、酸素の透過を抑える機能(酸素バリア機能)が十分でなくなる傾向がある。この点を考慮し、本実施形態では、内容器11を、酸素吸収剤を含むポリエチレンテレフタレート樹脂で構成している。なお、外容器12を、酸素吸収剤を含むポリエチレンテレフタレート樹脂で構成してもよい。この場合、内容器11に代えて外容器12を、酸素吸収剤を含むポリエチレンテレフタレート樹脂で構成することができるし、内容器11と外容器12の両方を、酸素吸収剤を含むポリエチレンテレフタレート樹脂で構成することもできる。後者の場合は、より強力にバリア機能が発揮することができる。
【0022】
<酸素吸収剤について>
上記のように、ポリエチレンテレフタレート樹脂が、内容物Mの保存性を更に高める観点から、酸素吸収剤を含んでいてもよい。酸素吸収剤はポリエチレンテレフタレート樹脂の内部又は表面に配置できるものであれば特に限定されないが、例えば、特許第5161462号公報(国際公開第2005/083003号公報)において開示されているようなポリアミド材料及び脱酸素材料を有するもの(ポリアミド/遷移金属触媒系の酸素吸収剤ともいう)を使用することができる。その他の公知の無機系の酸素吸収剤(例えば、還元鉄と亜硫酸ナトリウム)や、有機系の酸素吸収剤(例えば、アスコルビン酸類、エチレン系不飽和炭化水素/遷移金属触媒系、シクロヘキセン側鎖含有ポリマー/遷移金属触媒系)も使用することができる。酸素吸収剤は樹脂中に練り込まれていることが好ましい。酸素吸収剤の種類や配合量は、当業者であれば、所望とするバリア機能などの効果に応じて適宜選択することができる。例えば、ポリアミド/遷移金属触媒系の酸素吸収剤をポリエチレンテレフタレート樹脂に対して0.1~20重量%、好ましくは1~10重量%、より好ましくは1~3重量%配合してもよい。
【0023】
ポリアミド材料は、芳香族ポリアミド又は脂肪族ポリアミドであり得る。ポリアミド材料ホモポリマー材料又はコポリマーアミド材料であり得る。芳香族ポリアミドは、ホモポリマーもコポリマーも好ましい。
【0024】
ポリアミド材料の好ましい種類は、MXナイロンである。MXナイロンは、m-キシリレンジアミン単独、又はm-キシリレンジアミン及びp-キシリレンジアミンを全体の30%より少ない量で含有し6~10の炭素原子を有するα,ω-脂肪族ジカルボン酸を含有するキシリレンジアミン混合物から得られる構造ユニットを、少なくとも70モル%で含有するポリマーである。
【0025】
MXポリマーの例には、ポリ-m-キシリレンアジパミド、ポリ-m-キシリレンセバカミド、のようなホモポリマー、m-キシリレン/p-キシリレンアジパミドコポリマー、m-キシリレン/p-キシリレンピペラミドコポリマー、及びm-キシリレン/p-キシリレンアゼラミドコポリマーなどのコポリマー、並びにこれらのホモポリマー又はコポリマー成分と、ヘキサメチレンジアミンのような脂肪族ジアミン、ピペラジンのような環状ジアミン、p-ビス(2-アミノエチル)ベンゼンのような芳香族ジアミン、テレフタル酸のような芳香族ジカルボン酸、ε-カプロラクタム、ω-アミノヘプタン酸のようなω-アミノカルボン酸、及びp-アミノ安息香酸のような芳香族アミノカルボン酸とのコポリマーが含まれる。任意には、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610及びナイロン11のようなポリマーをMXポリマーと併用してもよい。
【0026】
特に好ましい芳香族ポリアミドは、例えば、メタキシリレンジアミン(H2NCH2-m-C6H4-CH2NH2)とアジピン酸(HO2C(CH2)4CO2H)の重合によって形成されるポリマーであり、これは日本の三菱ガス化学がMXD6の表示で製造及び販売する製品である。MXD6の種々のグレード、例えば、グレード6001,6007,6021が利用できる。好ましい脂肪族ポリアミド材料は、ナイロン66である。他の適切なポリアミドには、GRIVORY(登録商標)(例えば、GRIVORY(登録商標) G16及びG21、これらは線状脂肪族ユニット及び環状の芳香族成分を有するコポリアミドであり、EMS-Chemie Inc.から入手可能である)と、VERSAMID(登録商標)(インク樹脂として典型的に使用される脂肪族ポリアミドであり、Cognis Corporationから入手可能である)とが含まれる。
【0027】
希釈剤ポリエステル及びポリアミド材料に加えて、プレブレンドは脱酸素材料を含んでいる。脱酸素材料は、プレブレンドの重量で、約20ppmから約2000ppm、好ましい約50ppmから約1500ppmで存在する。より好ましい実施形態では、プレブレンドの重量で、プレブレンドは好ましい約100ppmから約1000ppmで脱酸素材料を含有している。
【0028】
脱酸素材料は、例えば周期律表の第1、第2及び第3遷移系列から選択される金属、錯体又は塩であってもよい。
【0029】
脱酸素材料として使用可能な金属には、鉄、コバルト、銅、マンガン、亜鉛、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、及び白金が含まれる。脱酸素材料の例として、アルミニウム粉末、アルミニウムカーバイド、塩化アルミニウム、コバルト粉末、酸化コバルト、塩化コバルト、アンチモン粉末、酸化アンチモン、アンチモン三酢酸、塩化アンチモン III、塩化アンチモン V、鉄、電解鉄、酸化鉄、白金、アルミナ上の白金、パラジウム、アルミナ上のパラジウム、ルテニウム、ロジウム、銅、酸化銅、ニッケル、及び混合金属のナノ粒子(即ち、コバルト鉄オキサイドナノ粒子)も挙げられる。
【0030】
上記金属のうち、コバルト、鉄、ニッケル、銅、又はマンガン化合物は、好ましい脱酸素材料である。中でも、コバルト化合物は最も好ましい脱酸素材料である脱酸素材料は、金属の塩又は錯体として存在するのが典型的である。塩のアニオンは無機又は有機であり得る。アニオンの例には、ハライド特にクロライド、アセテート、ステアレート、及びオクトエートが含まれる。他の脱酸素材料には、臭化コバルト(II)及びコバルトカルボキシレートが含まれる。コバルトカルボキシレートは、コバルトSICCATOL(登録商標)として入手可能である。コバルトカルボキシレートは、C8~C10のコバルトカルボキシレートの溶液であり、コバルトの濃度(金属として)は、その溶液に対して約10重量%である。
【0031】
容器の最内層における脱酸素材料の配置や量は当業者が適宜決定することができる。
【0032】
容器本体13の口部13aは、上側に位置する上筒部17と、下側に位置し上筒部17よりも大径に形成された下筒部18と、を備える二段筒状に形成されている。
上筒部17のうち、外容器12で構成された部分(以下、外上筒部という)17aの外周面には雄ねじ部29が形成されている。また、外上筒部17aにおいて、雄ねじ部29より下側に位置する部分には、内容器11との間に外気が吸入される吸気孔19が形成されている。雄ねじ部29において吸気孔19の上側に位置する部分には、容器軸O方向に延在する連通溝20が形成されている。
【0033】
外上筒部17aの内周面は円筒面とされ、この内周面に、上筒部17のうち、内容器11で構成された部分(以下、内上筒部という)17bが積層されている。また、内上筒部17bの上端部は、径方向の外側に折り返されて外上筒部17aの開口端上に配置されている。
【0034】
吐出キャップ15は、容器本体13の口部13aを閉塞する中栓部材21と、該中栓部材21を覆うとともに吐出口14が形成された有頂筒状の本体筒部材23と、を備えている。
中栓部材21は、外周縁部が容器本体13の口部13aの開口端上に配置された栓本体47と、該栓本体47から立設された連通筒部22と、を備えている。
【0035】
栓本体47は、容器本体13の口部13a内に、該口部13aとの間に隙間をあけて配置された有底筒状の内筒部24と、内筒部24の上端から径方向の外側に向けて突設され、容器本体13の口部13aの開口端上に配置されたフランジ部25と、フランジ部25の外周縁から上方に向けて延設された外筒部26と、内筒部24を径方向の外側から囲繞するようにフランジ部25から下方に向けて延設され、容器本体13の口部13a内に液密に嵌合された中間筒部27と、を備えている。
【0036】
これらの内筒部24、フランジ部25、外筒部26および中間筒部27は、容器軸Oと同軸に配設されている。また外筒部26の下端部には、径方向に貫通し、かつ下方に向けて開口する外気流通孔28が形成されている。
【0037】
内筒部24の底壁部には、上記連通筒部22が配設されている。またこの底壁部には、内容器11内および連通筒部22内の双方に開口する貫通孔42が貫設されている。該貫通孔42は、容器軸Oと同軸に配置されるとともに連通筒部22の内径よりも小径であり、貫通孔42の容器軸O方向に沿った大きさは、連通筒部22の容器軸O方向に沿った大きさよりも小さくなっている。
【0038】
本体筒部材23は、容器軸Oと同軸に配置された有頂筒状に形成されている。
本体筒部材23の周壁部23aの内周面には、容器本体13の口部13aの雄ねじ部29に螺着された雌ねじ部30が形成されている。また周壁部23aのうち、雌ねじ部30が形成されたねじ部分よりも下側に位置する下端部内には、容器本体13の口部13aにおける下筒部18が気密状態で嵌合され、上記ねじ部分よりも上側に位置する上端部内には、中栓部材21の外筒部26が嵌合されている。
【0039】
本体筒部材23の天壁部23bは、周壁部23aの上端から径方向の内側に向けて延設された環状の下板部31と、下板部31の内径よりも小径とされ、下板部31よりも上方に配置された上板部32と、下板部31の内周縁と上板部32の外周縁とを連結する連結環部33と、を備えている。これらの下板部31、上板部32および連結環部33は、容器軸Oと同軸に配置されている。
【0040】
上板部32には、本体筒部材23内と外部とを連通する外気導入孔34を有する外気導入用突起34aが形成されている。また上板部32には、下方に向けて延設され、内径が中栓部材21の内筒部24の内径と同等とされた受け筒部35が形成されている。
さらに上板部32には、内部が上記吐出口14とされた吐出筒36が貫設されている。
【0041】
なお該吐出口14内には、オーバーキャップ16から下方に向けて延設された内シール筒部(シール部)37が嵌合されている。吐出口14の軸線方向は、容器軸O方向と一致している。
【0042】
ここで中栓部材21と本体筒部材23との間には、中栓部材21の連通筒部22に外嵌された筒状部材である外嵌筒部40が配設されている。該外嵌筒部40は、容器軸Oと同軸に配置されており、外嵌筒部40の下端部は、連通筒部22に外嵌されるとともに中栓部材21の内筒部24内に嵌合し、外嵌筒部40の上端部は、本体筒部材23の受け筒部35内に嵌合している。
【0043】
外嵌筒部40の容器軸O方向における中間部分には、径方向の外側に向けて突設された環状の空気弁部41が形成されている。空気弁部41は、受け筒部35と連結環部33との間の空間を下方から覆うように配設されている。空気弁部41は、弾性変形可能とされ、吸気孔19と外気導入孔34との連通およびその遮断を切り替える。
【0044】
また中栓部材21には、吐出口14と内容器11内とを連通する連通孔43が形成されている。連通孔43は、連通筒部22の内部により構成され、容器軸Oと同軸に配置されている。これにより、容器軸O方向と、連通孔43の軸線方向とは一致している。また図示の例では、連通孔43は、吐出口14よりも下側、つまり容器軸O方向に沿った内容器11の内側に位置している。さらに連通孔43の内容積は、吐出口14の内容積よりも大きくなっている。
【0045】
そして本実施形態では、連通孔43内には、容器軸O方向に沿って摺動可能に嵌合され、容器軸O方向に沿って弾性変位して当該連通孔43を開閉する弁体部44が配設されている。
弁体部44は、容器軸Oと同軸に配置された有底筒状に形成され、その周縁上端部は径方向外方に突出する環状のフランジ部44aとされており、弁体部44(フランジ部44a)が連通筒部22の上端開口面上に当接し、貫通孔42と連通孔43との連通を遮断している。
また、弁体部44の中央部には、内シール筒部37の下端部37aが当接する突出部44bが形成されている(
図1参照)。
【0046】
また弁体部44の周縁上端は、連通筒部22の上端よりも上側に位置しており、弁体部44の周縁上端には、弁体部44と外嵌筒部40とを連結する弾性連結片45の一端が連結されている。弾性連結片45は、周方向に間隔をあけて複数、図示の例では3つ設けられており、各弾性連結片45は、周方向に沿って湾曲して延在している。また弾性連結片45の両端部の容器軸O方向の位置は同等となっている。
なお弁体部44、外嵌筒部40、弾性連結片45および空気弁部41は一体に成形されている。
【0047】
弾性連結片45は、弾性変形することによって、弁体部44が容器軸O方向に沿って変位することを許容する(なお、本明細書では、このように弾性連結片45が弾性変形しつつ弁体部44が変位することを弾性変位と表現している)。弾性連結片45が本実施形態のごとく複数(図示の例では3つ)である場合、これら弾性連結片45は周方向に等間隔に配置されていることが好ましい。このように弾性連結片45が等間隔に配置されていれば、弾性変位するときの弁体部44が、容器軸Oに垂直な面に対して傾斜した状態(こじれた状態)とならないようにして当該弁体部44の円滑な変位を補助することができる(
図7参照)。
【0048】
弁体部44が弾性変位する際、弾性連結片45は、一部に撚(ひね)りが加えられて弾性変形しながら全体として傾斜した状態となる(
図7参照)。このとき、弾性連結片45自体は一部が捻(ねじ)られた状態となり、尚かつ状態に応じて全体が伸長した状態となり、当該弾性連結片45の弾性復元力が、弁体部44を変位前の位置へ復元変位(復帰)させる力として作用する。なお、弾性変位あるいは復元変位する際、弁体部44が容器軸Oを中心として周方向(時計回り又は反時計回り)に回転しても差し支えない。
【0049】
また、本実施形態の弾性連結片45は、上述したように周方向に沿って湾曲して延在しており、弁体部44の初期状態または容器軸O方向に沿って内容器11の内側に向けて復元変位した状態において、当該弁体部44と外嵌筒部40との間(本実施形態では、弁体部44のフランジ部44aと外嵌筒部40の内周面との間)の狭い隙間に簡潔に収容された状態となる。
【0050】
また、本実施形態のごとくオーバーキャップ16を備える吐出容器10にあっては、オーバーキャップ16を閉じて被蓋状態とする際に内容物Mが溢れるのを回避するための構造を備えていることも好ましい。以下、このような構造について具体例を挙げて説明する。
【0051】
図1に示す吐出容器10においては、連通筒部22の環状の上端面が、弁体部44の周縁上端部に設けられた環状のフランジ部44aと当接して該弁体部44を受ける弁座(弁押さえ)22aとして機能する。このとき、弁体部44の底面は、栓本体47において連通筒部22よりも径方向の内側に位置する部分に当接しても当接しなくてもよい。また、弁体部44のうち弁座22aと接触する部位の一部には、内容物Mの流通を許容する流通許容溝44cが形成されている(
図2参照)。流通許容溝44cは、弁体部44が弁座22aに着座した後、内空間46に残留した内容物Mを内容器11内に戻し、且つその最終段階において、表面張力により該内容物Mが該流通許容溝44cを閉塞(空気の流通を阻止)する大きさに設定することが好ましい。尚、少なくとも内空間46に残留した内容物の一部が、上記流通許容溝44cによって内容器に戻されるように構成すればよい。
流通許容溝44cの具体的な形状や個数は特に限定されない。
【0052】
流通許容溝44cの他の例を説明する。
図3、
図4に示す吐出容器10においては、平面視略円形の平板状の弁体部44が採用されている。この弁体部44のうち弁座22aと接触する部位の一部には、内容物Mの流通を許容する流通許容溝44cが形成されている(
図3、
図4参照)。この流通許容溝44cもまた、弁体部44が弁座22aに着座した後、内空間46に残留した内容物Mを内容器11内に戻し、且つその最終段階において、表面張力により該内容物Mが該流通許容溝44cを閉塞(空気の流通を阻止)する大きさに設定されることが好ましい。この流通許容溝44cは、弁体部44の裏面において、径方向の外縁から外縁まで直線状に、例えば、直径と等しい長さとなるように設けてもよいし、外縁から当該裏面の中央部分の任意位置までの長さとしてもよい。
【0053】
一般に、吐出口に内容物Mが残留している場合には、再度使用するときや保管時に衝撃が加わったとき等に、この残留した内容物Mの漏出や飛散により、周囲を汚してしまうおそれがある。さらに、オーバーキャップ16を閉じて被蓋状態とする際、上記内空間46に内容物Mが残留している場合には、吐出口14に入り込んで嵌合しようとする内シール筒部37により、内容物Mを押し出す作用が生じうる。しかし、
図1等に示す吐出容器において、吐出口14の付近や内空間46に溜まっていた内容物Mは、流通許容溝44cを流通し、貫通孔42を通って内容器11に戻ることができる。したがって、オーバーキャップ16を閉じて被蓋状態とする際、内容物Mが溢れてオーバーキャップ16の内側や吐出キャップ15の表面が汚れるのを回避することができる。
【0054】
なお、ここでは、弁体部44のみに流通許容溝44cを設けた構成を具体的に示したが、この他、特に図示はしないが、これに加えて弁座22aにも流通許容溝を設けることができる。
【0055】
次に、以上のように構成された吐出容器10の作用について説明する。
当該吐出容器10から内容物Mを吐出するときには、まず、吐出キャップ15からオーバーキャップ16を外す。その後、吐出口14が下方を向くように吐出容器10を傾けて吐出姿勢にした状態で(
図5参照)、吐出容器10を径方向の内側に押し込んでスクイズ変形(弾性変形)させ、内容器11を外容器12とともに変形させ減容させる。
【0056】
すると、内容器11内の圧力が上昇し、内容器11内の内容物Mが貫通孔42を通して弁体部44を押圧することとなり、弾性連結片45が弾性変形させられて弁体部44が容器軸O方向に沿って内容器11の外側に向けて弾性変位させられて、連通孔43が開放される。これにより、内容器11内の内容物Mが、貫通孔42、連通孔43、外嵌筒部40内および吐出口14を通して外部に吐出される(
図5参照)。
【0057】
その後、吐出容器10の押し込みを停止したり解除したりすることで、内容器11内の内容物Mによる弁体部44への押圧力を弱めると、弾性連結片45の弾性復元力により、弁体部44が、容器軸O方向に沿って内容器11の内側に向けて復元変位させられる。
【0058】
このとき
図6に示すように、弁体部44が、連通孔43内に進入すると、弁体部44の外周面が連通孔43の内周面に摺接して連通孔43が閉塞される。これにより、本体筒部材23と中栓部材21との間に、内容器11に戻されなかった内容物Mが残存する内空間46が形成される。この内空間46は、吐出口14に連通するとともに弁体部44を画壁の一部とし、該弁体部44により連通孔43との連通が遮断されている。
【0059】
そして、このように内空間46が形成された後、該弁体部44が復元変位を継続して連通孔43内を容器軸O方向に沿って摺動すると、弁体部44の復元変位に伴って内空間46の内容積が増大することとなる。これにより、吐出口14内の内容物Mを内空間46内に引き込むことが可能になり、吐出口14内に外部から空気Aを吸引することができる。
【0060】
ここで、弁体部44により連通孔43が閉塞された状態で容器本体13の押圧を解除すると、内容器11が減容変形したまま外容器12が復元変形しようとする。このとき、内容器11と外容器12との間に負圧が発生し、この負圧が、吸気孔19を通して空気弁部41に作用することにより、空気弁部41が開状態となる。すると、外気導入孔34、外気流通孔28、連通溝20および吸気孔19を通して外容器12と内容器11との間に外気が吸入される。そして、外容器12と内容器11との間の内圧が大気圧まで上昇すると、空気弁部41が復元変形して吸気孔19と外部とを遮断する。これにより、内容物Mの吐出後に内容器11の減容形状が保持される。
【0061】
また、弁体部44が弁座22aに着座して閉塞状態となった時点で内空間46に内容物Mが残留したとしても、当該残留した内容物Mは、流通許容溝44cおよび弁体部44の外周面と連通筒部22の内周面との隙間を通って内容器11内に戻ることができる。さらには、その最終段階において、表面張力により内容物Mが流通許容溝44cを閉塞して空気の流通を阻止する。
【0062】
この状態から、再び容器本体13の外容器12をスクイズ変形させると、空気弁部41は遮断状態とされていることから外容器12と内容器11との間の内圧が正圧となり、この正圧によって内容器11が減容変形され、前述の作用により内容物Mが吐出される。
【0063】
なお、内容物Mを吐出した後、弁体部44により連通孔43が閉塞される前に、吐出容器10の押し込みを停止するだけでなく解除もした場合、内容器11が外容器12に追従して復元変形しようとする。すると、内容器11内の圧力が低下し負圧が生じることとなり、この負圧が弁体部44に作用することで、弁体部44が、容器軸O方向に沿って内容器11の内側に向けて円滑に復元変位させられることとなる。
【0064】
ここまで説明したとおり、本実施形態の吐出容器10は、内容器11、外容器12ともにポリエチレンテレフタレート樹脂製であることから、内容物Mの色をそのまま明瞭に見せることができる美粧性を有し、使用後に再利用(リサイクル)することが可能である。また、本実施形態の吐出容器10は、PP製等の従来の吐出容器と比べ、保香性(内容物の香気を保持する性能)に優れる。
【0065】
また、本実施形態に係る吐出容器10によれば、内容物Mの吐出後、吐出口14内の内容物Mを内空間46内に引き込んで、吐出口14内に外部から空気Aを吸引することができるので、内容器11に戻されなかった内容物Mが吐出口14内に残存するのを抑えることが可能になる。これにより、内容物Mの吐出後、内容物Mが吐出口14から漏出するのを抑制することができる。
【0066】
また、貫通孔42が、連通孔43よりも小径なので、弁体部44が、意図せずに上記軸線方向に沿った内容器11の内側に変位しようとしても、弁体部44が、栓本体47において連通筒部22よりも径方向の内側に位置する部分に当接することとなり、弁体部44の前述の変位を規制することができる。
【0067】
また、オーバーキャップ16に内シール筒部37が設けられているので、オーバーキャップ16を閉じた状態で吐出口14から内容物Mが不意に漏出するのを抑制することができる。
また前述のように、内容物Mの吐出後、内容器11に戻されなかった内容物Mが吐出口14内に残存し難くなっているので、内容物Mの吐出後にオーバーキャップ16を吐出キャップ15に装着させ、内シール筒部37を吐出口14内に嵌合させたときに、内シール筒部37により内容物Mが吐出口14から外部に押し出されたり、内シール筒部37に内容物Mが付着したりするのを抑制することができる。
【0068】
なお、本発明の技術的範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0069】
例えば、上記実施形態では、空気弁部がある吐出容器10を説明したが、空気弁部を備えない吐出容器に本発明を適用することも可能である。すなわち、例えば空気弁部がなく極端に細い外気導入孔を備える二重構造の吐出容器において、容器本体13を構成する内容器11および外容器12の一部あるいは全部をポリエチレンテレフタレート樹脂で構成してもよい。
【0070】
また、上記実施形態では特に言及しなかったが、上記のごとき吐出容器10は、内容物Mが、液状食品をはじめとする各種液状物である場合に適用することができる。液状食品の具体例としては、しょうゆ、しょうゆ加工品などのしょうゆ含有調味料、あるいはその他の調味料などを挙げることができる。
【実施例1】
【0071】
ポリエチレンテレフタレート樹脂製の容器本体13を試作し、これらにおける内容器11、外容器12の実際の厚みを測定した。測定は、以下の機器、測定方法等に基づいて実施した。
機器:OLYMPUS Magna-Mike 8600
測定金属玉:1/16 IN
測定方法:特に詳しい図示はしていないが肩部には縦方向に4本のリブ(突起)があり、その延長線上4か所について、容器本体13の底部13fから高さ30mmごとに内容器11と外容器12の厚さ(肉厚)を測定した。上記測定により得られた内容器11と外容器12の厚さは、それぞれ以下に示すとおりとなった。なお、単位は[mm]であり、<1>~<4>は、肩部リブの延長線上4か所の各か所を表している。なお、金型の合わせ目(「パーティングライン」)がこの4本のうちの2本のリブ上にあり、残りのリブは、パーティングラインから90°離れた位置にある。一般的にはパーティングラインを目印にして容器の厚さの測定が行われる。
【0072】
[内容器の厚さ]
底部からの距離150mmの位置において、<1>0.057、<2>0.075、<3>0.078、<4>0.08
底部からの距離120mmの位置において、<1>0.074、<2>0.087、<3>0.099、<4>0.077
底部からの距離 90mmの位置において、<1>0.067、<2>0.096、<3>0.116、<4>0.073
底部からの距離 60mmの位置において、<1>0.066、<2>0.09、 <3>0.115、<4>0.057
底部からの距離 30mmの位置において、<1>0.081、<2>0.099、<3>0.123、<4>0.079
【0073】
また、内容器の各位置における厚さの平均値と標準偏差は以下のとおりとなった。
底部からの距離150mmの位置において、平均値0.073、標準偏差0.010536
底部からの距離120mmの位置において、平均値0.084、標準偏差0.011295
底部からの距離 90mmの位置において、平均値0.088、標準偏差0.022465
底部からの距離 60mmの位置において、平均値0.082、標準偏差0.026038
底部からの距離 30mmの位置において、平均値0.096、標準偏差0.020421
【0074】
[外容器の厚さ]
底部からの距離150mmの位置において、<1>0.253、<2>0.246、<3>0.255、<4>0.263
底部からの距離120mmの位置において、<1>0.276、<2>0.256、<3>0.286、<4>0.252
底部からの距離 90mmの位置において、<1>0.278、<2>0.261、<3>0.297、<4>0.265
底部からの距離 60mmの位置において、<1>0.245、<2>0.246、<3>0.267、<4>0.343
底部からの距離 30mmの位置において、<1>0.275、<2>0.27、 <3>0.266、<4>0.31
【0075】
また、外容器の各位置における厚さの平均値と標準偏差は以下のとおりとなった。
底部からの距離150mmの位置において、平均値0.254、標準偏差0.006994
底部からの距離120mmの位置において、平均値0.268、標準偏差0.016197
底部からの距離 90mmの位置において、平均値0.275、標準偏差0.016215
底部からの距離 60mmの位置において、平均値0.275、標準偏差0.046292
底部からの距離 30mmの位置において、平均値0.280、標準偏差0.020172
【0076】
また、上記測定結果から得られた、内容器11、外容器12それぞれの肉厚分布は以下に示すとおりとなった。
【0077】
[内容器の肉厚分布]
底部からの距離150mmの位置において、厚さ0.0725
底部からの距離120mmの位置において、厚さ0.08425
底部からの距離 90mmの位置において、厚さ0.088
底部からの距離 60mmの位置において、厚さ0.082
底部からの距離 30mmの位置において、厚さ0.0955
【0078】
[外容器の肉厚分布]
底部からの距離150mmの位置において、厚さ0.25425
底部からの距離120mmの位置において、厚さ0.2675
底部からの距離 90mmの位置において、厚さ0.27525
底部からの距離 60mmの位置において、厚さ0.27525
底部からの距離 30mmの位置において、厚さ0.28025
【0079】
≪第2実施形態≫
図9及び
図10に示すように、本実施形態の吐出容器(以下、「合成樹脂製多重ボトル」ともいう)101は、押圧による変形に対して原形復帰可能な外殻ボトル102と、外殻ボトル102の内側に収容され押圧により変形する内容器体103とからなる。合成樹脂製多重ボトル101は、例えば300~1000ミリリットルの内容物を収容する容器として用いられる。
【0080】
合成樹脂製多重ボトル101を形成する合成樹脂としては、芳香族系多価カルボン酸と脂肪族系多価アルコールとからなるポリエステルを主体とする合成樹脂を挙げることができ、エチレンテレフタレート鎖主体のポリエチレンテレフタレート樹脂が特に適しているがそれに限定されない。また、上記ポリエステルを主体とする合成樹脂は分子量が大きくなるほど靱性が高くなるので、合成樹脂製多重ボトル101を形成する合成樹脂としては、少なくとも0.7以上の固有粘度を有する樹脂が適している。また、内容物に直接接しない外殻ボトル102には、飲料食品用合成樹脂製ボトルとして用いられていた樹脂のリサイクル合成樹脂を用いることができ、環境負荷のより低減した合成樹脂製多重ボトル101とすることができる。
【0081】
外殻ボトル102は、円筒状の外口部104と、外口部104の下端部から次第に拡径する肩部105と、肩部105に連接する胴部106と、胴部106に連接し、次第に縮径する底部107とを備えている。外殻ボトル102は底部107の内周側に外殻ボトル102の内側に膨出して合成樹脂製多重ボトル101に自立性を付与する底面凹入部108を備えており、底部107と底面凹入部108との間が接地部109となっている。
【0082】
外口部104は外周面に雄ねじ部110と、サポートリング111とを備え、肩部105は外口部104に接する部分が第1の四角錐状部112となっており、第1の四角錐状部112の下方に第1の四角錐状部112から胴部106に向かって次第に拡径するとともに四角錐の角が滑らかになる胴部上部113を備えている。
【0083】
胴部106は、胴部上部113に連接し、拡径から非拡径に転じる第1の部位106aと、第1の部位106aの下部に連接し所定の長さに亘って同一直径を備える第1の直胴部106bと、第1の直胴部106bに連接する筒状胴部106cと、筒状胴部106cに連接し所定の長さに亘って同一直径を備える第2の直胴部106dと、第2の直胴部106dが底部107に連接し、縮径に転じる前の非縮径の部位106eとを備えている。
【0084】
筒状胴部106cは、軸に直交する断面が円形状であり、段差部106fを介して第1の直胴部106bに連接する一方、段差部106gを介して第2の直胴部106dに連接している。段差部106fは第1の直胴部106bから筒状胴部106cに向かって次第に縮径しており、段差部106gは第2の直胴部106dから筒状胴部106cに向かって次第に縮径している。
【0085】
また、筒状胴部106cは、段差部106fの下端部から中央部に向かって次第に縮径し、中央部から段差部106gの上端部に向かって次第に拡径する鼓状となっている。また、筒状胴部106cは軸方向に沿って複数のリブ114を備えている。
【0086】
底部107は、接地部109に接する部分が第2の四角錐状部115となっており、第2の四角錐状部115の上方に、第2の四角錐状部115から第2の直胴部106dに向かって次第に拡径するとともに四角錐の角が滑らかになる胴部下部116を備えている。
【0087】
また、第1、第2の四角錐状部112、115はそれぞれ軸に直交する断面が四角形状であってその頂点にはRが付されており、該頂点に稜線112a、115aを備えている。ここで、稜線115aは稜線112aの延長上に連なっている。
【0088】
一方、内容器体103は、外口部104の内周側に配設される円筒状の内口部117と、内口部117に連接し、外殻ボトル102の肩部105、胴部106、底部107、底面凹入部108、接地部109の内面形状に沿う形状の内容器体本体118とを備えている。内口部117は、上部に外口部104の上端よりも上方に延出された延出部119と、延出部119から径方向外方に張り出す鍔部120とを備えており、鍔部120により外口部104の上端縁に係止されている。
【0089】
また、内口部117は、外周面に縦溝121を備えている。縦溝121は鍔部120の下面に形成された横溝122に連接されており、横溝122は鍔部120の外周縁で外部に開放されている。この結果、縦溝121及び横溝122により、外殻ボトル102と内容器体103との間に外気を導入する通気路123が形成されている。
【0090】
本実施形態の合成樹脂製多重ボトル101は、使用時には内容器体103に図示しない内容物が収容される一方、外口部104と内口部117とからなる容器口部には図示しない逆止弁付き注出キャップが装着されている。合成樹脂製多重ボトル101は、上記内容物を注出するときには、外口部104及び内口部117を下方に向けて傾け、外殻ボトル102の筒状胴部106cを把持して押圧する。このようにすると、内容器体本体118が表面積を減少させることなく折り畳まれて減容変形することにより、上記内容物が内口部117から上記逆止弁を介して注出される。
【0091】
次に、外殻ボトル102の筒状胴部106cの押圧を解除すると、外殻ボトル102と内容器体本体118との間に通気路123から外気が導入され、外気圧により外殻ボトル102は原形に復帰するが内容器体本体118は上記逆止弁の作用により減容変形したままの状態が維持される。この結果、外気が内口部117から内容器体本体118の内部に侵入することが防止される。
【0092】
一方、外殻ボトル102と内容器体本体118との間には外気が導入されるので、該外気中の酸素等が内容器体本体118を透過して内部に侵入することが懸念される。
【0093】
そこで、本実施形態の合成樹脂製多重ボトル101において、内容器体103は、内容器体103を構成する樹脂中に3~8質量%の酸素バリア剤を含有しており、溶存酸素を除去した蒸留水を満注充填し内口部117を密封し、該外殻ボトルと内容器体との間の通気路を開放状態として20℃の温度に60日間保持した後の該蒸留水の溶存酸素量が3ppm以下となる酸素透過性を備えている。
【0094】
この結果、合成樹脂製多重ボトル101は、内容器体本体118を透過して内部に侵入する外気中の酸素を低減することができ、内容器体本体118内に収容されている醤油を含む液体調味料からなる内容物が外気中の酸素等により変質することを確実に防止することができる。
【0095】
上記酸素バリア剤は、ポリアミド系樹脂と脱酸素材とを含有するものが好ましい。上記ポリアミド系樹脂としては、例えば、m-キシリレンジアミンモノマー単位、p-キシリレンジアミンモノマー単位、又はこれらの混合物を含むポリマーを含有する樹脂を挙げることができる。また、上記脱酸素剤としては、コバルト、鉄、ニッケル、銅、マンガン及びこれらの混合物、又はこれらの塩若しくは錯体からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を挙げることができる。上記酸素バリア剤として、例えば、ヴァルスパー・ソーシング・インコーポレーテッド社製valOR(商品名)を挙げることができる。
【0096】
本実施形態の合成樹脂製多重ボトル101は、例えば、芳香族系多価カルボン酸と脂肪族系多価アルコールとからなるポリエステルを主体とする合成樹脂組成物の射出成形により得られた外プリフォームの内周側に、上記酸素バリア剤を3質量%以上、好ましくは3~10質量%の範囲で含有する上記ポリエステルを主体とする合成樹脂組成物の射出成形により得られた内プリフォームを配置して、該外プリフォームと該内プリフォームとを同時にブロー成形することにより製造することができる。
【0097】
さて、従来、押圧による変形に対して原形復帰可能な外殻ボトルの内部に、押圧による減容により変形する(以下、「減容変形」ということがある)内容器体を配置し、該外殻ボトルと該内容器体との間に外気が導入されるようにした合成樹脂製多重ボトルが知られている(例えば、特開2017-065712号公報参照)。
【0098】
上記合成樹脂製多重ボトルは、外殻ボトルの胴部を押圧することにより、内容器体を減容変形させて内容器体に収容されている内容物を口部から注出する一方、押圧が解除されると別途設けられた逆止弁等の作用により外殻ボトルと内容器体との間に外気が導入される。この結果、外気圧により外殻ボトルが原形復帰する一方、上記内容器体は減容変形された状態が維持される。このようにするときには、上記口部から内容器体の内部に外気が侵入することが無いので、内容器体内に収容されている内容物が外気中の酸素等により変質することを防止することができると考えられる。
【0099】
しかしながら、上記文献に記載の上記合成樹脂製多重ボトルでは、押圧が解除された際に外殻ボトルと内容器体との間に導入される外気中の酸素等が該内容器体を透過して内部に侵入し、上記内容物を変質させる虞があるという不都合がある。
【0100】
かかる、合成樹脂製多重ボトルとしては、多重容器として、外殻ボトルと内容器体がポリエチレン製のものが実用化されている。しかし、ポリエチレン製多重容器は透明性が劣り、中身が見づらいという問題があり、更には、醤油或いは醤油を含んだ液体調味料等においては、長期保存時における侵入酸素による色調、香味等の変質劣化の抑制対策として、多重容器の酸素バリア性のさらなる改善が求められている。そのためポリエチレン樹脂製多重ボトルに代わるものとして、樹脂の酸素バリア性、透明性がポリエチレン樹脂に比べ優れたPET樹脂を外殻ボトルと内容器体に用いたポリエステル樹脂製多重ボトルが検討されている。
【0101】
しかし、ポリエステル樹脂製多重ボトルにおいても、長期間の保存での内容物の香味等を保持し、変色を抑制し、優れた保存安定性を得るためには、内容器体の口部から侵入する外気を遮断し、口部からの酸素の侵入を防止しても、押圧が解除された際に外殻ボトルと内容器体との間に導入される外気中の酸素等が該内容器体を透過して内部に侵入し、上記内容物を変質させる虞があるという不都合への対策が不十分であると、上記のような問題があり、多重容器としては、より一層酸素バリア性を高めたポリエステル樹脂製多重ボトルが求められている。
【0102】
このような現状の課題に対し、本実施形態の合成樹脂製多重ボトル101は、上記外殻ボトル102の胴部を押圧して変形させることにより上記内容器体103を減容変形させ、該内容器体103に収容されている内容物を上記内口部117から注出する。その後、上記外殻ボトル102の押圧を解除すると、上記通気路123から該外殻ボトル102と上記内容器体103との間に外気が導入され、外気圧により該外殻ボトル102が原形復帰する一方、該内容器体103は減容変形された状態が維持される。従って、本実施形態の合成樹脂製多重ボトル101では、上記内口部117から上記内容器体103の内部に外気が侵入することを防止できる。
【0103】
本実施形態の外殻ボトル102及び内容器体103の構成においては、ポリエステル樹脂にブレンド使用することができ、酸素を遮断し、捕捉することができる酸素バリア剤としてアクティブバリア剤、或いはパッシブバリア材として公知の酸素バリア剤を用いることができる。特に、本実施形態においては、内容物を収容する内容器体103を構成するポリエステル樹脂中にポリアミド系樹脂と酸素捕捉剤を併用使用することが適しており、その使用量は内容物の要求品質に応じて適切に設定することが必要である。本実施形態の合成樹脂製多重ボトル101に醤油を含んだ液体調味料からなる内容物を収容する場合、該合成樹脂製多重ボトル101は、該内容器体103に溶存酸素を除去した蒸留水を満注充填し、該内口部117を密封し、該外殻ボトル102と内容器体103との間の通気路123を開放状態として20℃の温度に60日間保存した後の該蒸留水の溶存酸素量が3ppm以下となる酸素透過性を備えるように、内容器体103を形成する樹脂中に酸素バリア剤を適切にブレンドすることが適している。
【0104】
また、本実施形態の合成樹脂製多重ボトル101は、上記内容器体103に溶存酸素を除去した蒸留水を満注充填し上記内口部117を密封し、該外殻ボトル102と内容器体103との間の通気路123を開放状態として20℃の温度に60日間保持した後の該蒸留水の溶存酸素量が3ppm以下となる酸素透過性を備えている。従って、上記外殻ボトル102の押圧が解除された際に、上記通気路123から該外殻ボトル102と上記内容器体103との間に外気が導入されても、外気中の酸素等が該合成樹脂製多重ボトル101の内容器体103の内部に侵入することを低減することができる。
【0105】
本実施形態の合成樹脂製多重ボトル101においては、該外殻ボトル102と該内容器体103との間の上記通気路123を開放状態とした通常の使用状態と、該外殻ボトルなしの内容器体のみでの使用状態とで、内容器体103内の溶存酸素濃度を比較した結果、多重ボトルでの使用状態の方が長期にわたり溶存酸素濃度を低く保持することができることを知得した。
【0106】
この結果、本実施形態の合成樹脂製多重ボトル101によれば、多重ボトルで使用することにより、上記内容器体103内に収容されている醤油を含んだ液体調味料からなる内容物が外気中の酸素等により変質することをより確実に防止することができる。
【0107】
本実施形態の合成樹脂製多重ボトル101は、酸素透過性が、上記蒸留水の溶存酸素量が3ppmを超えるものであるときには、該内容器体103の内部に収容した液体調味料の酸素による色調変化等の変質を十分に低減、防止することができない。
【0108】
本実施形態の合成樹脂製多重ボトル101は、上記酸素透過性を備えるために、上記内容器体103を構成する樹脂中に3質量%以上、好ましくは3~10質量%の範囲で酸素バリア剤を含有することが適している。
【0109】
上記内容器体103を構成する樹脂中に含有する上記酸素バリア剤が3質量%未満であるときには、該合成樹脂製多重ボトル101の内容器体103の内部への外気中の酸素の侵入を十分に低減することができない。また、上記内容器体103を構成する樹脂中に含有する上記酸素バリア剤が10質量%を超えても酸素バリア性はあまり変わらない。
【0110】
また、本実施形態の合成樹脂製多重ボトル101において、上記酸素バリア剤は、ポリアミド系樹脂と脱酸素材とを含有することが好ましい。上記酸素バリア剤は、上記ポリアミド系樹脂が酸素の侵入通過を遮蔽し、或いは上記脱酸素材が侵入した酸素と結合することにより、上記内容器体103の内部への外気中の酸素の侵入を防止することができる。
【0111】
本実施形態においては、合成樹脂製多重ボトルをポリエステル樹脂製とすることにより、上記酸素バリア剤が内容器体103を構成するポリエステル樹脂中に均一分散しやすく、ポリエステル樹脂の酸素バリア性と相まって、優れた酸素バリア効果を発揮する。
【0112】
次に、本発明の実施例及び比較例を示す。
【実施例2】
【0113】
〔実施例2-1〕
本実施例では、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の射出成形により得られた外プリフォームの内周側に、ヴァルスパー・ソーシング・インコーポレーテッド社製酸素バリア剤(商品名:valOR A115J)を3質量%含有するポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の射出成形により得られた内プリフォームを配置して、該外プリフォームと該内プリフォームとを同時にブロー成形することにより、
図9及び
図10に示す形状を備え、内容量500ミリリットルの合成樹脂製多重ボトル101を製造した。本実施例で得られた合成樹脂製多重ボトル101の内容器体103は、内容器体103を構成する樹脂に対し3質量%の上記酸素バリア剤を含有している。
【0114】
次に、本実施例で得られた合成樹脂製多重ボトル101の通気路123を開放状態とし、内容器体本体118の内面に酸素濃度測定センサーチップを貼付して、内容器体103に蒸留水を満注充填した。次に、上記蒸留水に溶存している酸素を不活性ガスで置換して除去し、内口部117をヒートシール用アルミニウム箔で密封した状態で、20℃の温度に60日間保持した後、酸素透過性の指標としての該蒸留水の溶存酸素濃度を事前に取り付けたセンサーチップにより測定し溶存酸素量とした。本測定はプレセンス株式会社製酸素濃度測定装置(商品名:Fibox3-Trace)により行った。
結果を表1に示す。
【0115】
次に、本実施例で得られた合成樹脂製多重ボトル101の通気路123を開放状態とし、内容器体103に醤油(キッコーマン株式会社製)を満注充填し、内口部117をヒートシール用アルミニウム箔で密封した状態で、20℃の温度に60日間保持した後、内容物の色調安定性を目視で評価した。結果を併せて表1に示す。
【0116】
〔実施例2-2〕
本実施例では、実施例1で用いた酸素バリア剤を5質量%含有するポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の射出成形により得られた内プリフォームを用いたことを除いて実施例1と全く同一にして、
図9及び
図10に示す形状を備え、内容量500ミリリットルの合成樹脂製多重ボトル101を製造した。本実施例で得られた合成樹脂製多重ボトル101の内容器体103は、5質量%の上記酸素バリア剤を含有している。
【0117】
次に、本実施例で得られた合成樹脂製多重ボトル101を用いたことを除いて実施例1と全く同一にして、酸素透過性の指標としての蒸留水の溶存酸素濃度を測定する一方、実施例1と全く同一にして、内容物の色調安定性を目視で評価した。結果を表1に示す。
【0118】
〔実施例2-3〕
本実施例では、実施例1で用いた酸素バリア剤を7質量%含有するポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の射出成形により得られた内プリフォームを用いたことを除いて実施例1と全く同一にして、
図9及び
図10に示す形状を備え、内容量500ミリリットルの合成樹脂製多重ボトル101を製造した。本実施例で得られた合成樹脂製多重ボトル101の内容器体103は、7質量%の上記酸素バリア剤を含有している。
【0119】
次に、本実施例で得られた合成樹脂製多重ボトル101を用いたことを除いて実施例1と全く同一にして、酸素透過性の指標としての蒸留水の溶存酸素濃度を測定する一方、実施例1と全く同一にして、内容物の色調安定性を目視で評価した。結果を表1に示す。
【0120】
〔実施例2-4〕
本実施例では、実施例1で用いた酸素バリア剤を8質量%含有するポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の射出成形により得られた内プリフォームを用いたことを除いて実施例1と全く同一にして、
図9及び
図10に示す形状を備え、内容量500ミリリットルの合成樹脂製多重ボトル101を製造した。本実施例で得られた合成樹脂製多重ボトル101の内容器体103は、8質量%の上記酸素バリア剤を含有している。
【0121】
次に、本実施例で得られた合成樹脂製多重ボトル101を用いたことを除いて実施例1と全く同一にして、酸素透過性の指標としての蒸留水の溶存酸素濃度を測定する一方、実施例1と全く同一にして、内容物の色調安定性を目視で評価した。結果を表1に示す。
【0122】
〔実施例2-5〕
本実施例では、実施例1で用いた酸素バリア剤を10質量%含有するポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の射出成形により得られた内プリフォームを用いたことを除いて実施例1と全く同一にして、
図9及び
図10に示す形状を備え、内容量500ミリリットルの合成樹脂製多重ボトル101を製造した。本実施例で得られた合成樹脂製多重ボトル101の内容器体103は、10質量%の上記酸素バリア剤を含有している。本実施例で得られた合成樹脂製多重ボトル101は、内容器体103の透明性がわずかに低下する傾向が見られた。
【0123】
次に、本実施例で得られた合成樹脂製多重ボトル101を用いたことを除いて実施例1と全く同一にして、酸素透過性の指標としての蒸留水の溶存酸素濃度を測定する一方、実施例1と全く同一にして、内容物の色調安定性を目視で評価した。結果を表1に示す。
【0124】
〔比較例〕
本比較例では、実施例1で用いた酸素バリア剤を全く含有しないポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の射出成形により得られた内プリフォームを用いたことを除いて実施例1と全く同一にして、
図9及び
図10に示す形状を備え、内容量500ミリリットルの合成樹脂製多重ボトル101を製造した。本比較例で得られた合成樹脂製多重ボトル101の内容器体103は、上記酸素バリア剤を全く含有していない。
【0125】
次に、本比較例で得られた合成樹脂製多重ボトル101を用いたことを除いて実施例1と全く同一にして、酸素透過性の指標としての蒸留水の溶存酸素濃度を測定する一方、実施例1と全く同一にして、内容物の色調安定性を目視で評価した。結果を表1に示す。
【0126】
【0127】
表1から、溶存酸素を除去した蒸留水を満注充填し内口部117を密封して20℃の温度に60日間保持した後の該蒸留水の溶存酸素量が3ppm以下となる酸素透過性を備える実施例1~4の合成樹脂製多重ボトル101によれば、該蒸留水の溶存酸素量が3ppmを超え、7.0ppm以上となる酸素透過性を備える比較例の合成樹脂製多重ボトル101に比較して、内容物の色調安定性に優れており、内容物の変質の防止について優れた効果を得ることができることが明らかである。
【符号の説明】
【0128】
10…吐出容器、11…内容器、12…外容器、13…容器本体、13a…口部、14…吐出口、15…吐出キャップ、19…吸気孔、34…外気導入孔、101…合成樹脂製多重ボトル(吐出容器)、102…外殻ボトル、103…内容器体(内容器)、104…外口部、105…肩部、106…胴部、107…底部、117…内口部、118…内容器体本体、123…通気路、M…内容物。