(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-03
(45)【発行日】2024-06-11
(54)【発明の名称】光電変換モジュール用の固定具
(51)【国際特許分類】
E04D 13/18 20180101AFI20240604BHJP
E04D 13/00 20060101ALI20240604BHJP
H02S 20/23 20140101ALI20240604BHJP
【FI】
E04D13/18 ETD
E04D13/00 K
H02S20/23 B
(21)【出願番号】P 2020090493
(22)【出願日】2020-05-25
【審査請求日】2023-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000183646
【氏名又は名称】出光興産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100187218
【氏名又は名称】堀 宏光
(72)【発明者】
【氏名】白井 哲之
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-059365(JP,A)
【文献】特開2014-224440(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0047827(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0310913(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 13/18
E04D 13/00
H02S 20/23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置面に形成された凸部を挟持可能であり、開状態と閉状態との間で移行可能な一対の脚部と、
前記一対の脚部を、前記開状態に向けて付勢する弾性部材と、
前記一対の脚部を、前記閉状態に向けて締結可能な締結部材と、
前記一対の脚部のうちの第1脚部に関して位置決めされた回転軸まわりに、前記一対の脚部のうちの第2脚部を回動可能にするヒンジ部と、
前記第2脚部に取り付けられ、前記ヒンジ部の前記回転軸に沿った軸を中心に前記第2脚部に関して回動可能に構成された柱状部材と、を有
し、
前記弾性部材は、前記ヒンジ部を一方向に回動させるよう付勢しており、
前記柱状部材は、前記締結部材を貫通させる第3貫通穴を有し、
前記第3貫通穴は、前記軸に直交する方向に前記柱状部材を貫通している、光電変換モジュール用の固定具。
【請求項2】
設置面に形成された凸部を挟持可能であり、開状態と閉状態との間で移行可能な一対の脚部と、
前記一対の脚部を、前記開状態に向けて付勢する弾性部材と、
前記一対の脚部を、前記閉状態に向けて締結可能な締結部材と、
前記一対の脚部のうちの第1脚部に関して位置決めされた回転軸まわりに、前記一対の脚部のうちの第2脚部を回動可能にするヒンジ部
と、を有し、
前記弾性部材は、前記ヒンジ部を一方向に回動させるよう付勢して
おり、
前記弾性部材は、前記ヒンジ部の前記回転軸まわりの回転方向において、前記第2脚部に関して前記第1脚部とは反対側に設けられており、
前記第2脚部は、前記弾性部材の収縮力によって、前記第1脚部とは反対側に向けて付勢されている、光電変換モジュール用の固定具。
【請求項3】
前記締結部材は、前記第1脚部に設けられた第1貫通穴と、前記第2脚部に設けられた第2貫通穴とを通っており、
前記第1貫通穴と前記第2貫通穴の少なくとも一方は、前記ヒンジ部の回転軸に直交する方向において、前記締結部材の径よりも大きい、請求項
1又は2に記載の固定具。
【請求項4】
前記弾性部材は、前記ヒンジ部の前記回転軸まわりの回転方向において、前記第1脚部と前記第2脚部との間に設けられており、
前記第2脚部は、前記弾性部材の伸長力によって、前記第1脚部とは反対側に向けて付勢されている、請求項
1に記載の固定具。
【請求項5】
前記弾性部材は、前記締結部材の芯の周囲に設けられている、請求項4に記載の固定具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換モジュール用の固定具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば住宅のような建造物の屋根等に設置される太陽電池モジュールのような光電変換モジュールが知られている。このような光電変換モジュールは、設置される屋根の種類に応じた適切な固定具によって設置面に固定される。
【0003】
特許文献1は、屋根の立馳のような凸部に取り付けられた固定具により、太陽電池モジュールを設置することを開示している。この固定具は、設置面に形成された凸部を挟み込む一対の土台部と、パネル状部材を保持する柱状部材の一端を支持する支持部と、を有する。一対の土台部は、ボルトのような締結部材によって互いに締結されることによって、設置面の凸部を強く挟み込んでいる。これにより、固定具は、設置面上に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された固定具を設置面の凸部に取り付ける場合、使用者は、一対の土台部を互いに締結する締結部材を緩めた状態で、一対の土台部どうしの距離を手で広げつつ、一対の土台部どうしの間に設置面の凸部が位置するよう、固定具を配置する必要がある。
【0006】
固定具の設置作業は、屋根のような足場の不安定な設置面上で行われる。そのため、より簡単に設置することができる固定具が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様に係る光電変換モジュール用の固定具は、設置面に形成された凸部を挟持可能であり、開状態と閉状態との間で移行可能な一対の脚部と、前記一対の脚部を、前記開状態に向けて付勢する弾性部材と、前記一対の脚部を、前記閉状態に向けて締結可能な締結部材と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
上記態様によれば、より簡単に固定具を設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態における光電変換モジュール構造体を示す模式的斜視図である。
【
図3】一方の光電変換モジュールを取り外した閉状態における固定具及びその付近の斜視図である。
【
図4】
図3の4A方向から見た閉状態における固定具及びその付近の側面図である。
【
図5】一方の光電変換モジュールを取り外した開状態における固定具及びその付近の側面図である。
【
図6】固定具を構成する締め具の縦方向から見た側面図である。
【
図7】第2実施形態における閉状態における固定具及びその付近の側面図である。
【
図8】第2実施形態における開状態における固定具及びその付近の側面図である。
【
図9】第2実施形態における固定具の第2脚部に設けられた柱状部材の斜視図である。
【
図10】4つ重ねた状態の光電変換モジュール構造体の側面図である。
【
図11】4つ重ねた状態の光電変換モジュール構造体の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。以下の図面において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることがあることに留意すべきである。
【0011】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態における光電変換モジュール構造体を示す模式的斜視図である。
図2は、
図1の領域2Rの拡大斜視図である。光電変換モジュール構造体は、光電変換モジュール10を設置面に取り付けるための固定具100と、固定具100に取り付けられた光電変換モジュール10と、を含む。
【0012】
光電変換モジュール10は、例えば、光エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽電池モジュールであってよい。光電変換モジュール10は、光電変換パネル12及びフレーム14を有していてよい。フレーム14は光電変換パネル12の周囲に設けられている。
【0013】
以下では、図のX方向を横方向と称し、図のY方向を縦方向と称することがある。また、図のZ方向は、設置面50又は光電変換パネル12に概ね直交する方向に相当する。以下では、図のZ方向を高さ方向と称することがある。
【0014】
光電変換モジュール10は、建造物の屋根のような屋外の設置面50に設置されていてよい。本実施形態では、設置面50は、縦方向に延びた複数の凸部52を有しており、複数の凸部52は横方向に間隔をあけて並んで配置されている。このような設置面50として、例えば立馳を有する折板屋根が挙げられる。この場合、凸部52は立馳に相当する。
【0015】
図1では、複数の光電変換モジュール10が横方向に並んで配置されている。
図1に示す例に限定されず、光電変換モジュール10は、縦方向に沿って並んでいてもよい。また、1つの光電変換モジュール10のみが設置面50に設置されていてもよい。
【0016】
各々の固定具100は、光電変換モジュール10の端部、具体的にはフレーム14を支持している。また、複数の固定具100のうちのいくつかは、互いに隣接する光電変換モジュール10どうしの間に位置し、両方の光電変換モジュール10を支持していてよい。各々の光電変換モジュール10は、一辺に設けられた複数の固定具100と、当該一辺とは反対側の一辺に設けられた複数の固定具100によって、設置面50に固定されていてよい。
【0017】
次に、各々の固定具100と固定具による光電変換モジュール10の支持構造の詳細について説明する。
図3は、
図2に示す状態から一方の光電変換モジュールを取り外した閉状態における固定具及びその付近の斜視図である。
図4は、
図3の4A方向から見た閉状態における固定具及びその付近の側面図である。
図5は、一方の光電変換モジュールを取り外した開状態における固定具及びその付近の側面図である。
【0018】
固定具100は、一対の脚部110,120と、弾性部材200と、締結部材250と、を有している。一対の脚部110,120は、設置面50に形成された凸部52を挟持可能に構成されている。
【0019】
一対の脚部のうちの第1脚部110は、設置面50に当接する第1底部112と、第1底部112から高さ方向に延びた第1側部114と、を有していてよい(
図3~
図5参照)。第1底部112は、第1側部114の下端から設置面の凸部52の方に向かって延びていてよい。
【0020】
一対の脚部のうちの第2脚部120は、設置面50に当接する第2底部122と、第2底部122から高さ方向に延びた第2側部124と、を有していてよい(
図3~
図5参照)。第2底部122は、第2側部124の下端から設置面の凸部52の方に向かって延びていてよい。
【0021】
第1脚部110の第1底部112と第2脚部120の第2底部122は、設置面50の凸部52を介して互いに対向している。具体的には、第1脚部110の第1底部112と第2脚部120の第2底部122は、固定具100の閉状態において、設置面50の凸部52を挟み込んでいる(
図4参照)。
【0022】
一対の脚部110,120は、開状態と閉状態との間で移行可能に構成されている。開状態は、第1脚部110と第2脚部120との間の距離が相対的に広く、第1脚部110と第2脚部120との間に設置面50の凸部52を入れたり出したりすることが可能な状態を意味する。本実施形態では、
図5が開状態を示している。
【0023】
閉状態は、第1脚部110と第2脚部120との間の距離が相対的に狭く、第1脚部110と第2脚部120との間に設置面50の凸部52を入れたり出したりすることができない状態を意味する。したがって、第1脚部110と第2脚部120が閉状態において凸部52を挟んでいれば、固定具100は、設置面50に固定されて外れない。本実施形態では、
図3及び
図4が閉状態を示している。
【0024】
弾性部材200は、一対の脚部110,120を開状態に向けて付勢するよう構成されている。本実施形態では、弾性部材200は、第2脚部120の第2底部122を第1脚部110の第1底部112から離す方向に付勢している。弾性部材200は、例えばつるまきばねのように、ばね弾性を有する部材であってよい。
【0025】
締結部材250は、一対の脚部110,120を閉状態に向けて締結可能に構成されている。第1脚部110は、締結部材250を通す第1貫通穴115を有している。第2脚部120は、第1脚部110の第1貫通穴115が形成された壁部に面する壁部に、締結部材250を通す第2貫通穴125を有する。
【0026】
締結部材250が強く締められた状態では、第2脚部120の第2底部122が、第1脚部110の第1底部112方へ移動するため、一対の脚部110,120が閉状態となる。締結部材250が緩められた状態では、弾性部材200の付勢力により、第2脚部120の第2底部122が、第1脚部110の第1底部112から離れる方へ移動するため、一対の脚部110,120が開状態となる。
【0027】
本実施形態では、一対の脚部110,120は、締結部材250が緩められた状態で、開状態を維持する。したがって、使用者は、一対の脚部110,120どうしの間に凸部52を入れる際に、自らの手で一対の脚部110,120を広げる必要がない。そのため、固定具100をより簡単に設置面50の凸部52に設置することができる。
【0028】
次に、一対の脚部110,120の開閉に関するより具体的な構造の一例について説明する。本実施形態において、第2脚部120は、第1脚部110の方に向かって延びた突出部126と、突出部126から上方に向かって延びた壁部128と、を有していてよい。壁部128は、第1脚部110の第1側部114に面している。
【0029】
第1貫通穴115は、第1脚部110の第1側部114に設けられており、第2貫通穴125は、第2脚部120の壁部128に設けられている。締結部材250は、例えばボルト252とナット254を含んでいてよい。図示した形態では、ボルト252の頭部が第1脚部110の、第2脚部120と反対側に位置し、ナット254が、第2脚部120の壁部128の、第1脚部110と反対側に位置している。この代わりに、ボルト252の頭部とナット254の位置は、図示した形態と逆であってもよい。
【0030】
また、固定具100は、第1脚部110に関して位置決めされた回転軸132まわりに第2脚部120を回動可能にするヒンジ部130を有していてよい(
図4及び
図5)。具体的には、ヒンジ部130は、第1板部134と、第2板部136と、第1板部134と第2板部136を回転可能に連結する回転軸132と、を有していてよい。回転軸132は、縦方向に沿って延びていてよい。
【0031】
第1板部134は、第1脚部110のうち、第1側部114の上端から光電変換パネル12に略平行な方向に延びた上部116に固定されている。一方、第2板部136は、第2脚部120に固定されている。図示した例では、第2板部136は、第2脚部120の連結部127に固定されている。連結部127は、第2脚部120の突出部126に固定されており、突出部126から第1脚部110の上部116に向かって延びている。ヒンジ部130の第2板部136は、連結部127のうち、突出部126から第1脚部110の上部116に向かって延びた部分に固定されている。
【0032】
上記構造により、ヒンジ部130の回転軸132は、第1脚部110に関して位置決めされている。第2板部136が、ヒンジ部130の回転軸132まわりに第1板部134に関して回転することによって、第2脚部120が、第1脚部110に近づいたり遠ざかったりする。
【0033】
弾性部材200は、ヒンジ部130を一方向に回動させるよう付勢している。本実施形態において、弾性部材200は、ヒンジ部130の回転軸132まわりの回転方向において、第2脚部120に関して第1脚部110とは反対側に設けられていてよい。図示した形態では、弾性部材200は、第1脚部110の上部116のうちの第2脚部120の上方まで延びた部分と、第2脚部120の第2側部124との間にかけ渡されている。さらに、弾性部材200は、閉状態において、自然長よりも伸長された状態となっている。これにより、第2脚部120は、弾性部材200の収縮力によって、第1脚部110とは反対側に向けて付勢されている。
【0034】
本実施形態では、弾性部材200は、第2脚部120の第2底部122が、第1脚部110の第1底部112から離れる方向にヒンジ部130を付勢している。一方、締結部材250を締め付けることによって、第2脚部120の第2底部122は、弾性部材200の付勢力に抗って、第1脚部110の第1底部112に近づく方向に移動する。
【0035】
このように、使用者は、締結部材250を締めたり緩めたりするだけで、一対の脚部110,120を開状態と閉状態との間で移行させることができる。
【0036】
第1貫通穴115と第2貫通穴125の少なくとも一方は、ヒンジ部130の回転軸132に直交する方向において、締結部材250の径よりも大きいことが好ましい。図示した形態では、第2貫通穴125の高さ方向における長さが、締結部材250のボルト252の芯の径よりも長くなっている。これにより、開状態において第2脚部120の壁部128が下方に移動し易くなる。したがって、開状態において、第2脚部120の第2底部122が、第1脚部110の第1底部112から離れる方向に弾性力により移動し易くなる。
【0037】
本実施形態において、第1脚部110の上部は、光電変換パネル12に概ね平行な方向に延びており、光電変換モジュール10を積載可能な一対の積載部310を構成していてよい。横方向に互いに隣接した光電変換モジュール10のフレーム14が、横方向に並んだ一対の積載部310上に配置されている。
【0038】
固定具100は、積載部310上に積載された光電変換モジュール10の端部、具体的にはフレーム14を、積載部310に向けて押圧する締め具400を有していてよい。締め具400は、第1脚部110の上部に当接する底部410と、底部410から高さ方向に立設する一対の立設部420と、立設部420から横方向に突出したフランジ部430,432と、を有していてよい。
【0039】
フランジ部430,432は、積載部310に対向している。光電変換モジュール10の端部、具体的にはフレーム14は、積載部310とフランジ部430,432との間に挟まれている。このように、本実施形態において、一対の積載部310と締め具400は、光電変換モジュール10が取り付けられる一対の取付部を構成する。
【0040】
締め具400は、例えば締結部材440によって第1脚部110の上部に締結されていてよい。締め具400の底部410は、締結部材440を通す不図示の貫通穴を有していてよい。この貫通穴は、横方向において締結部材440の径よりも長くて良い。この場合、横方向における締め具400の位置を微調節することができる。
【0041】
図6は、固定具100を構成する締め具400の縦方向から見た側面図である。前述したように、締め具400は、一対のフランジ部430,432を有する。一対のフランジ部のうちの第1フランジ部430は、第2脚部120の第2底部122の上方に位置していてよい。一対のフランジ部のうちの第2フランジ部432は、第1脚部110の第1底部112の上方に位置していてよい。
【0042】
締め具400の底部410の下面から第1フランジ部430の下面までの高さH1は、光電変換モジュール10のフレーム14の高さよりも小さいことが好ましい。ここで、フレーム14の高さは、フレーム14が締め具400で押圧されていない状態におけるフレーム14の下端から上端までの高さに相当する(以下、同様。)。これにより、締め具400が第1脚部110の上部に締結されたときに、光電変換モジュール10のフレーム14は、第1フランジ部430と積載部310とによって強く挟まれる。例えば、締め具400の底部410の下面から第1フランジ部430の下面までの高さH1は、フレーム14の高さよりも、例えば0.5mm~5mm程度小さくてよい。
【0043】
一方、締め具400の底部410の下面から第2フランジ部432の下面までの高さH2は、光電変換モジュール10のフレーム14の高さよりも大きいことが好ましい。これにより、締め具400が第1脚部110の上部に締結された後に、光電変換モジュール10のフレーム14を、第2フランジ部432と積載部310との間に挿入することができる。例えば、締め具400の底部410の下面から第2フランジ部432の下面までの高さH2は、フレーム14の高さよりも、例えば0.5mm~5mm程度大きくてよい。
【0044】
前述した締め具400の場合、第1フランジ部430と積載部310との間に光電変換モジュール10を取り付け、かつ第2フランジ部432と積載部310との間に光電変換モジュール10を取り付けていない状態で、固定具100を設置面50の凸部52に取り付けることができる。それから、固定具100を設置面50の凸部52に取り付けた後に、必要に応じて別の光電変換モジュール10の端部を第2フランジ部432と積載部310との間に挿入すればよい。この作業を繰り返すことにより、複数の光電変換モジュール10を横方向に並べて設置することができる。
【0045】
前述した締結部材250は、一対の取付部、すなわち積載部430のうちの一方の側から操作可能に構成されていることが好ましい。本実施形態では、締結部材250のボルト252の頭部が、第1脚部110の外側に位置する。したがって、光電変換モジュール10が第1フランジ部430と積載部310との間に取り付けられた状態であっても、使用者は、容易に締結部材250を操作することができる。
【0046】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る光電変換モジュール構造体及び固定具について説明する。
図7は、第2実施形態における閉状態における固定具及びその付近の側面図である。
図8は、第2実施形態における開状態における固定具及びその付近の側面図である。
図9は、第2実施形態における固定具の第2脚部に設けられた柱状部材の斜視図である。
【0047】
第2実施形態において、第1実施形態と同様又は類似の構成要素については同じ符号が付されていることに留意されたい。また、第1実施形態と同様又は類似の構成要素については、その説明を省略することがあることに留意されたい。
【0048】
第2実施形態では、第1脚部110及び第2脚部120の構成は、概ね第1実施形態におけるものとほぼ同様である。第2実施形態では、第1脚部110の第1側部114の形状が、第1実施形態と異なっている。
【0049】
具体的には、第1側部114は、縦方向から見たときに、第1底部112から立設した第1部分114aと、第1部分114aから第2脚部120の方へ向かって延びる第2部分114bと、第2部分114bの、第2脚部120の方の端から上方に立設した第3部分114cと、を有する。第1貫通穴115は、第1側部114の第3部分114cに形成されている。
【0050】
また、第1実施形態とほぼ同様に、第2脚部120が、第1脚部110に関して位置決めされた回転軸132を有するヒンジ部130を介して、第1脚部110の上部116に連結されている。ヒンジ部130の具体的な構造については、第1実施形態と同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0051】
本実施形態において、固定具100は、第2脚部120に取り付けられた柱状部材280を有していてよい。柱状部材280は、略柱状の形状を有しており、締結部材250を貫通させる第3貫通穴282を有していてよい。締結部材250がボルト252である場合、柱状部材280は、ボルト252に結合するナットに相当する。
【0052】
本実施形態では、弾性部材200は、ヒンジ部130の回転軸132まわりの回転方向において、第1脚部110と第2脚部120との間に設けられている。より具体的には、弾性部材200は、第1脚部110の第1側部114と、第2脚部120に取り付けられた柱状部材280と、の間に位置していてよい。
【0053】
好ましくは、弾性部材200は、締結部材250の芯の周囲に設けられている。例えば、弾性部材200がつるまきばねであれば、弾性部材200を締結部材250の芯の周囲に容易に設置できる。
【0054】
弾性部材200は、閉状態において自然長よりも圧縮されている。これにより、第2脚部120は、弾性部材200の伸長力によって、第1脚部110とは反対側に向けて付勢されている。
【0055】
本実施形態において、弾性部材200は、第2脚部120の第2底部122が、第1脚部110の第1底部112から離れる方向にヒンジ部130を付勢する。一方、締結部材250を締め付けることによって、第2脚部120の第2底部122は、弾性部材200の付勢力に抗って、第1脚部110の第1底部112に近づく方向に移動する。このように、一対の脚部110,120は、第1実施形態と同様に、締結部材250によって開状態と閉状態との間で移行可能に構成される。
【0056】
第3貫通穴282を有する柱状部材280は、ヒンジ部130の回転軸132に沿った軸を中心に第2脚部120に関して回動可能に構成されていることが好ましい。図示した形態では、柱状部材280の外形は、略円柱状の形状を有する。第2脚部120は、略円柱状の形状の柱状部材280を受け入れる略円柱状の空洞部を形成するC字型の壁部129を有していてよい。これにより、柱状部材280は、C字型の壁部129内に取り付けられており、回転軸132に沿った軸を中心に第2脚部120に関して回動可能に構成される。
【0057】
柱状部材280の第3貫通穴282は、ヒンジ部130の回転軸132に沿った軸に直交する方向に柱状部材280を貫通している。また、C字型の壁部129に第2貫通穴125が形成されている。これにより、締結部材250は、第1脚部110の第1貫通穴115と、第2脚部120の第2貫通穴125と、柱状部材280の第3貫通穴282とを貫通する。
【0058】
ここで、第3貫通穴282を有する柱状部材280は、前述したように、ヒンジ部130の回転軸132に沿った軸を中心に第2脚部120に関して回動可能に構成されていることが好ましい。これにより、第2脚部120がヒンジ部130の回転軸132まわりに回動したとしても、第2脚部120に関する柱状部材280の回転のため、締結部材250を貫通させる第3貫通穴282が横方向に維持される。したがって、第2脚部120を、回転軸132まわりにスムーズに回動させ易くすることができる。
【0059】
また、第2脚部120が回転軸132まわりにスムーズに回動させ易くするため、第1実施形態と同様に、第2貫通穴125がヒンジ部130の回転軸132に直交する方向において、締結部材250の径よりも大きいことが好ましい。
【0060】
第2実施形態において、固定具100は、互いに隣接する光電変換モジュール10が取り付け可能な一対の取付部300を有する。一対の取付部300のうちの第1取付部320は、例えばビスのような締結部材322により光電変換モジュール10のフレーム14に取り付け可能に構成されている。
【0061】
具体的一例では、光電変換モジュール10のフレーム14は、縦方向から見て、略S字型の形状を有しており、光電変換パネル12の端部がフレーム14の上部のパネル受け入れ部14aに受け入れられている。また、フレーム14の下部は、光電変換パネル12とは反対側から固定具100の一部を受け入れ可能な略C字型の受け入れ部14bを構成している。
【0062】
固定具100の一部、具体的には、第1脚部110の上部116の一端部116eが、フレーム14の受け入れ部14b内に受け入れられている。第1脚部110の上部116の一端部116eは、受け入れ部14bのところで締結部材322によりフレーム14に取り付けられる。
【0063】
一対の取付部300のうちの第2取付部330は、第1脚部110の一部として第1脚部110と一体不可分に構成されていてよい。具体的には、第1脚部110の第1側部114の第2部分114bから横方向に一対の突出部332,334が突出している。
【0064】
一対の突出部332,334は、光電変換モジュール10のフレーム14を受け入れる受け入れ部を構成している。具体的には、一対の突出部のうちの第1突出部332は、光電変換モジュール10のフレーム14を下から支えている。また、一対の突出部のうちの第2突出部334は、第1突出部332上に置かれた光電変換モジュール10のフレーム14の上部を覆っている。光電変換モジュール10のフレーム14は、一対の突出部332,334により構成された受け入れ部内にはめ込み可能に構成されていてよい。
【0065】
第2実施形態における固定具100では、第1実施形態で説明したような締め具400は不要である。
【0066】
次に、設置前における第2実施形態における光電変換モジュール構造体の保管方法の一例について説明する。光電変換モジュール構造体は、保管時において、保管スペースの観点から、互いに重ねられていることが好ましい。
図10は、4つ重ねた状態の光電変換モジュール構造体の側面図である。
図11は、4つ重ねた状態の光電変換モジュール構造体の上面図である。
【0067】
各々の光電変換モジュール構造体は、1つの光電変換モジュール10と、1つの光電変換モジュール10の一辺のみに取り付けられた前述した固定具100と、を有していてよい。具体的には、保管中の各々の光電変換モジュール構造体では、固定具100は、前述した第1取付部320のところで、例えばビスのような締結部材322により光電変換モジュール10のフレーム14に取り付けられている。
【0068】
固定具100は、光電変換パネル12に直交する方向から見て、フレーム14との第1取付部320を除き光電変換モジュール10よりも外側に位置するよう構成されていることが好ましい。これにより、複数の光電変換モジュール構造体が重ねられたときに、固定具100が、別の光電変換モジュール10に干渉してしまうことを抑制できる。
【0069】
図10及び
図11は、4つ重ねた状態の光電変換モジュール構造体を示している。ここで、
図10及び
図11では、便宜上、最上段の光電変換モジュール構造体の固定具に、符号「100a」が付されている。同様に、上から2段目の光電変換モジュール構造体の固定具に、符号「100b」が付されている。また、3段目の光電変換モジュール構造体の固定具に、符号「100c」が付されている。さらに、4段目の光電変換モジュール構造体の固定具に、符号「100d」が付されている。以下では、各段の光電変換モジュール構造体の固定具を識別するため、100a~100dの符号が使用されることがある。
【0070】
図10及び
図11に示す例では、最上段の光電変換モジュール構造体は、紙面左側のフレーム14に取り付けられた2つの固定具100aを有する。上から2段目の光電変換モジュール構造体は、紙面右側のフレーム14に取り付けられた2つの固定具100bを有する。ここで、最上段の光電変換モジュール構造体に設けられた固定具100aは、前述したように2段目の光電変換モジュール10に当接しない。したがって、最上段の光電変換モジュール構造体は、2段目の光電変換モジュール構造体の光電変換モジュール10のフレーム14上に置かれる。
【0071】
同様に、3段目の光電変換モジュール構造体は、紙面左側のフレーム14に取り付けられた2つの固定具100cを有する。ただし、3段目の光電変換モジュール構造体の固定具100cは、光電変換パネル12に直交する方向から見て、最上段の光電変換モジュール構造体の固定具100aの位置からずれて配置されている。これにより、3段目の光電変換モジュール構造体の固定具100cが、最上段の光電変換モジュール構造体の固定具100aに干渉することを防止できる。
【0072】
4段目の光電変換モジュール構造体は、紙面右側のフレーム14に取り付けられた2つの固定具100dを有する。ただし、4段目の光電変換モジュール構造体の固定具100dは、光電変換パネル12に直交する方向から見て、2段目の光電変換モジュール構造体の固定具100bの位置からずれて配置されている。これにより、4段目の光電変換モジュール構造体の固定具100dが、2段目の光電変換モジュール構造体の固定具100bに干渉することを防止できる。
【0073】
前述したように、各々の光電変換モジュール10に取り付けられた固定具100の位置を変えることで、互いに異なる光電変換モジュール10の固定具100を互いに干渉させることなく、複数の光電変換モジュール構造体を重ねることができる。これにより、光電変換モジュール構造体を高さ方向に密に重ねることができる。
【0074】
図10及び
図11に示す例において、最上段の光電変換モジュール構造体の上に更なる光電変換モジュール構造体を積載する場合、当該更なる光電変換モジュール構造体に設けられた固定具100は、光電変換パネル12に直交する方向から見て、4段目の光電変換モジュール構造体の固定具100dの位置と同じ位置に配置されていてよい。固定具100の高さがフレーム14の高さの4倍以内であれば、当該更なる光電変換モジュール構造体の固定具100は、4段目の光電変換モジュール構造体の固定具100dと干渉しない。このように、光電変換モジュール構造体の固定具100の位置は、固定具100の高さ方向の大きさ次第では、別の段の光電変換モジュール構造体の固定具100の位置と重複していてもよい。
【0075】
前述した光電変換モジュール構造体を設置面に取り付ける場合、まず、光電変換モジュール10に第1取付部320のところで予め取り付けられた固定具100を設置面50の凸部52に取り付ける。それから、固定具100の第2取付部330のところに、別の光電変換モジュール構造体の光電変換モジュール10のフレーム14をはめ込む。それから、当該別の光電変換モジュール構造体の光電変換モジュール10に予め取り付けられた固定具100を設置面50の凸部52に取り付ける。この作業を繰り返すことにより、複数の光電変換モジュール10を横方向に並べて設置することができる。
【0076】
上述したように、実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替の実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【0077】
例えば、上述した複数の実施形態で説明した各構造又は特徴は、可能な限り、他の実施形態に適用可能、又は他の実施形態で説明した各構造又は特徴と交換可能である。
【0078】
また、上記実施形態では、第2脚部120がヒンジ部130の回転軸132まわりに回転することで、一対の脚部110,120は、開状態と閉状態との間を移行可能に構成されている。この代わりに、可能であれば、第1脚部110が回転軸まわりに回転することで、一対の脚部110,120が、開状態と閉状態との間を移行可能に構成されていてもよい。さらに、第1脚部110又は第2脚部120が、回転ではなくスライド移動することによって、一対の脚部110,120が、開状態と閉状態との間を移行可能に構成されていてもよい。このようなスライド移動は、例えば、
図4に示す第2脚部120の上端に、第1脚部110の上部の下面に対して第2脚部120を横方向にスライド可能にさせるレールを設置することで実現可能である。
【0079】
また、第2実施形態において、固定具100を干渉させることなく光電変換モジュール構造体を重ねて保管する方法を説明した。この方法は、第1実施形態における固定具を備えた光電変換モジュール構造体でも同様に適用することができることに留意されたい。
【0080】
また、第1実施形態において、弾性部材200の位置を、締結部材250の周囲の位置の変更することも可能である。この場合、弾性部材200は、閉状態において自然長よりも圧縮されていてよい。
【符号の説明】
【0081】
10 光電変換モジュール
50 設置面
52 凸部
100 固定具
110 第1脚部
115 第1貫通穴
120 第2脚部
125 第2貫通穴
130 ヒンジ部
132 回転軸
200 弾性部材
250 締結部材
280 柱状部材
282 第3貫通穴
400 締め具