(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-03
(45)【発行日】2024-06-11
(54)【発明の名称】基板処理装置、装置起動方法、半導体装置の製造方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/02 20060101AFI20240604BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20240604BHJP
H01L 21/677 20060101ALN20240604BHJP
【FI】
H01L21/02 Z
G06Q50/10
H01L21/68 A
(21)【出願番号】P 2022063994
(22)【出願日】2022-04-07
【審査請求日】2023-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(72)【発明者】
【氏名】水口 靖裕
(72)【発明者】
【氏名】松田 恭平
(72)【発明者】
【氏名】布村 一朗
(72)【発明者】
【氏名】猪島 かおり
【審査官】庄司 一隆
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/098887(WO,A1)
【文献】特開2011-100968(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0082581(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-10/10
G06Q 30/00-30/08
G06Q 50/00-50/20
G06Q 50/26-99/00
G16Z 99/00
H01L 21/00-21/02
H01L 21/04-21/16
H01L 21/67-21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理可能な処理室と、
前記基板の処理を制御可能な主制御部と、
前記主制御部を起動する際の起動条件の実施有無判定に用いられる起動条件実施有無情報と、前記起動条件を管理する起動条件管理情報と、前記起動条件管理情報の状態を記憶することが可能な記憶部と、
前記起動条件管理情報が所定の条件を満たしたら、前記起動条件実施有無情報を有効にすることが可能な起動条件制御部と、
を備えた基板処理装置。
【請求項2】
前記起動条件実施有無情報は、前記主制御部が稼働停止しても、前記記憶部に維持される請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記基板処理装置は電気的に接続された管理装置に接続され、
前記起動条件管理情報は、前記主制御部が前記管理装置を認識した情報であり、
前記所定の条件は、前記認識した情報を初めて取得した場合である、
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項4】
更に、前記主制御部の稼働停止回数をカウントするカウント部を備え、
前記起動条件管理情報は、前記カウント部がカウントした稼働停止回数情報であり、
前記所定の条件は、あらかじめ定義された前記主制御部の稼働停止回数を超えた場合である
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記記憶部は、前記主制御部の指示に従い前記起動条件実施有無情報を更新して記憶することが可能な、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記起動条件制御部は前記管理装置との接続状態から起動条件の判定を行うことが可能な、請求項3に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記記憶部は、前記主制御部の稼働停止情報を記憶することが可能であり、
前記起動条件制御部は前記起動条件実施有無情報が有効である場合に、前記稼働停止情報と前記主制御部の起動情報から、前記主制御部の稼働停止からの経過時間を算出し、予め定義された経過時間の閾値である第1の閾値との比較を行った結果を前記主制御部に通知することが可能な、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記起動条件制御部は前記起動条件実施有無情報が無効である場合は前記主制御部の稼働継続を前記主制御部に通知することが可能な、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記主制御部は前記起動条件制御部からの通知から、パスワード認証が必要と判断した場合は、前記主制御部の操作を行う入力部にパスワード入力要求の指示を行うことが可能な、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記主制御部は装置の状態を表示可能な表示部を有し、前記表示部にパスワード要求の表示指示を行うことが可能な、請求項9に記載の基板処理装置。
【請求項11】
更に、前記主制御部は、パスワードの算出と、算出したパスワードである算出パスワードを出力することが可能なパスワード算出部を有し、前記パスワード算出部に前記算出パスワードの出力指示を行うことが可能な請求項
10に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記記憶部は、前記主制御部が可動中の場合にのみ前記算出パスワードを記憶することが可能な、請求項11に記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記起動条件制御部は前記入力部で入力された入力パスワードを受け付け、前記算出パスワードとの整合性を確認し、前記主制御部にパスワード認証結果を通知することが可能な、請求項11に記載の基板処理装置。
【請求項14】
前記起動条件制御部は前記入力パスワードと、前記算出パスワードの整合性が取れない場合の不整合回数をカウントし、前記不整合回数が予め定められた第2の閾値を超えた場合は前記主制御部に稼働不可を通知することが可能な、請求項13に記載の基板処理装置。
【請求項15】
前記主制御部は、前記パスワード認証結果を受け付け、稼働不可であった場合は、前記主制御部の稼働を停止する、請求項13に記載の基板処理装置。
【請求項16】
前記主制御部は、前記パスワード認証結果を受け付け、稼働不可であった場合は、前記表示部に稼働不可であるメッセージの表示を指示することが可能な、請求項13に記載の基板処理装置。
【請求項17】
装置を起動する際の認証情報として用いられる起動条件実施有無情報と、前記起動条件実施有無情報を有効にする条件を管理する起動条件管理情報とを記憶する工程と、
前記装置の稼働状態を監視する工程と、
前記起動条件管理情報を参照し、前記起動条件管理情報に管理されている条件を満たした場合に、前記起動条件実施有無情報を有効にする工程と、
を有する装置起動方法。
【請求項18】
前記装置起動時、前記起動条件実施有無情報と装置稼働停止からの経過時間によりパスワード要求有無の判定を行う工程を有する、請求項17に記載の装置起動方法。
【請求項19】
請求項17に記載の工程と、
基板の処理を行う工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項20】
請求項17に記載の工程をコンピュータにより実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置、装置起動方法、半導体装置の製造方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程で用いられる基板処理装置として、例えば、SEMI規格に基づいて複数の基板処理装置を接続管理する管理装置と基板処理装置で通信の開始を行う時、基板処理装置で認識していない管理装置と接続する場合は、パスワードによる認証を行う方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。管理装置との接続時にパスワードによる認証を行うことで、基板処理装置の管理が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、基板処理装置を新たな管理装置に接続する場合は、基板処理装置の設定が、新たな管理装置に対応していないことが懸念され、また、不慣れで経験の少ない作業員が誤った操作を行うことにより基板処理装置を効率よくセットアップできないことが考えられる。
【0005】
本開示は、基板処理装置と新たな管理装置との接続を行う場合の、不慣れな作業員が誤った操作を行うことを防止し、基板処理装置のセットアップを効率よく実施可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(請求項1に合わせて修正)
本開示の一態様によれば、
基板を処理可能な処理室と、
前記基板の処理を制御可能な主制御部と、
前記主制御部を起動する際の起動条件の実施有無判定に用いられる起動条件実施有無情報と、前記起動条件を管理する起動条件管理情報と、前記起動条件管理情報の状態を記憶することが可能な記憶部と、
前記起動条件管理情報が所定の条件を満たしたら、前記起動条件実施有無情報を有効にすることが可能な起動条件制御部と、
を備える技術が提供される。
【発明の効果】
【0007】
(目的と同内容に修正)
本開示に係る技術によれば、基板処理装置のセットアップ時の誤操作を防止することにより、効率の良いセットアップを行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の一実施形態に係る基板処理装置を含む概略構成図である。
【
図2】本開示の一実施形態に係る基板処理装置の斜透視図である。
【
図3】本開示の一実施形態に係る基板処理装置の側面透視図である。
【
図4】本開示の一実施形態に係る基板処理装置の処理炉の縦断面図である。
【
図5】本開示の一実施形態に係る基板処理装置が備える主制御部のブロック構成図である。
【
図6】本開示の一実施形態に係る起動条件実施確認フローの各工程を説明した説明図である。
【
図7】本開示の一実施形態に係る起動条件実施確認工程のフロー図である。
【
図8】本開示の一実施形態に係る経過時間確認工程のフロー図である。
【
図9】本開示の一実施形態に係るパスワード確認工程のフロー図である。
【
図10】本開示の一実施形態に係る主制御部稼働停止工程のフロー図である。
【
図11】本開示の一実施形態に係る起動条件実施確認情報設定フローの各工程を説明した説明図である。
【
図12】本開示の一実施形態に係る稼働停止回数確認工程のフロー図である。
【
図13】本開示の一実施形態に係る管理装置接続確認工程のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に本開示の実施の形態について説明する。
【0010】
<第一実施形態>
まず、本開示の第一実施形態を図面に即して説明する。
【0011】
基板処理装置を含むシステムの構成
図1を用いて、本開示の一実施形態に係る基板処理装置を含むシステムの構成について説明する。
図1は、本開示の一実施形態に係る基板処理装置を含むシステムの概略構成図である。
【0012】
図1に示すように、少なくとも一台の基板処理装置100と、この基板処理装置100の基板の制御が可能なように接続される管理装置600と、を備えている。基板処理装置100は、処理手順及び処理条件が定義されたレシピに基づく処理プロセスを実行するように構成されている。基板処理装置100と管理装置600との間は、例えば構内回線(LAN)や広域回線(WAN)等のネットワーク400により接続されている。
【0013】
(2)基板処理装置の構成
続いて、本実施形態に係る基板処理装置100の構成について、
図2,
図3を参照しながら説明する。
図2は、本開示の一実施形態に係る基板処理装置の斜透視図である。
図3は、本開示の一実施形態に係る基板処理装置の側面透視図である。なお、本実施形態にかかる基板処理装置100は、例えばウエハ等の基板に酸化、拡散処理、CVD処理などを行なう縦型の装置として構成されている。
【0014】
図2、
図3に示すように、本実施形態に係る基板処理装置100は、耐圧容器として構成された筐体111を備えている。筐体111の正面壁111aの正面前方部には、メンテナンス可能なように設けられた開口部としての正面メンテナンス口103が開設されている。正面メンテナンス口103には、正面メンテナンス口103を開閉する立ち入り機構として一対の正面メンテナンス扉104が設けられている。シリコン等のウエハ(基板)200を収納したポッド(基板収容器)110が、筐体111内外へウエハ200を搬送するキャリアとして使用される。
【0015】
筐体111の正面壁111aには、ポッド搬入搬出口(基板収容器搬入搬出口)112が、筐体111内外を連通するように開設されている。ポッド搬入搬出口112は、フロントシャッタ(基板収容器搬入搬出口開閉機構)113によって開閉されるようになっている。ポッド搬入搬出口112の正面前方側には、載置部としてロードポート(基板収容器受渡し台)114が設置されている。ロードポート114上には、ポッド110を載置されると共に位置合わせされるように構成されている。ポッド110は、OHT(Overhead Hoist Transport)等の工程内搬送装置(図示せず)によってロードポート114上に搬送されるように構成されている。
【0016】
筐体111内の前後方向の略中央部における上部には、回転式ポッド棚(基板収容器載置棚)105が設置されている。回転式ポッド棚105上には、複数個のポッド110が保管されるように構成されている。回転式ポッド棚105は、垂直に立設されて水平面内で間欠的に回転される支柱116と、支柱116に上中下段の各位置において放射状に支持された複数枚の棚板(基板収容器載置台)117と、を備えている。複数枚の棚板117は、ポッド110を複数個それぞれ載置した状態で保持するように構成されている。
【0017】
筐体111内におけるロードポート114と回転式ポッド棚105との間には、ポッド搬送装置(基板収容器搬送装置)118が設置されている。ポッド搬送装置118は、ポッド110を保持したまま昇降可能なポッドエレベータ(基板収容器昇降機構)118aと、搬送機構としてのポッド搬送機構(基板収容器搬送機構)118bとで構成されている。ポッド搬送装置118は、ポッドエレベータ118aとポッド搬送機構118bとの連続動作により、ロードポート114、回転式ポッド棚105、ポッドオープナ(基板収容器蓋体開閉機構)121との間で、ポッド110を相互に搬送するように構成されている。
【0018】
筐体111内の下部には、サブ筐体119が筐体111内の前後方向の略中央部から後端にわたって設けられている。サブ筐体119の正面壁119aには、ウエハ200をサブ筐体119内外に搬送する一対のウエハ搬入搬出口(基板搬入搬出口)120が、垂直方向に上下二段に並べられて設けられている。上下段のウエハ搬入搬出口120には、ポッドオープナ121がそれぞれ設置されている。
【0019】
各ポッドオープナ121は、ポッド110を載置する一対の載置台122と、ポッド110のキャップ(蓋体)を着脱するキャップ着脱機構(蓋体着脱機構)123とを備えている。ポッドオープナ121は、載置台122上に載置されたポッド110のキャップをキャップ着脱機構123によって着脱することにより、ポッド110のウエハ出し入れ口を開閉するように構成されている。
【0020】
サブ筐体119内には、ポッド搬送装置118や回転式ポッド棚105等が設置された空間から流体的に隔絶された移載室124が構成されている。移載室124の前側領域にはウエハ移載機構(基板移載機構)125が設置されている。ウエハ移載機構125は、ウエハ200を水平方向に回転ないし直動可能なウエハ移載装置(基板移載装置)125aと、ウエハ移載装置125aを昇降させるウエハ移載装置エレベータ(基板移載装置昇降機構)125bとで構成されている。
図2に示すように、ウエハ移載装置エレベータ125bは、サブ筐体119の移載室124の前方領域右端部と筐体111右側の端部との間に設置されている。ウエハ移載装置125aは、ウエハ200の載置部としてのツイーザ(基板保持体)125cを備えている。これらウエハ移載装置エレベータ125b及びウエハ移載装置125aの連続動作により、ウエハ200をボート(基板保持具)217に対して装填(チャージング)及び脱装(ディスチャージング)することが可能に構成されている。
【0021】
移載室124の後側領域には、ボート217を収容して待機させる待機部126が構成されている。待機部126の上方には、処理炉202が設けられている。処理炉202の下端部は、炉口シャッタ(炉口開閉機構)147により開閉されるように構成されている。
【0022】
図2に示すように、サブ筐体119の待機部126右端部と筐体111右側端部との間には、ボート217を昇降させるボートエレベータ(基板保持具昇降機構)115が設置されている。ボートエレベータ115の昇降台には、連結具としてのアーム128が連結されている。アーム128には、蓋体としてのシールキャップ219が水平に据え付けられている。シールキャップ219は、ボート217を垂直に支持し、処理炉202の下端部を閉塞可能なように構成されている。
【0023】
主に、回転式ポッド棚105,ボートエレベータ115,ポッド搬送装置(基板収容器搬送装置)118,ウエハ移載機構(基板移載機構)125,ボート217及び後述の回転機構254により、本実施形態に係る基板搬送系が構成されている。これら回転式ポッド棚105,ボートエレベータ115,ポッド搬送装置(基板収容器搬送装置)118,ウエハ移載機構(基板移載機構)125,ボート217及び回転機構254は、後述のサブコントローラとしての搬送コントローラ11に電気的に接続されている。
【0024】
ボート217は複数本の保持部材を備えている。ボート217は、複数枚(例えば、50枚~125枚程度)のウエハ200を、その中心を揃えて垂直方向に整列させた状態でそれぞれ水平に保持するように構成されている。
【0025】
図2に示すように、移載室124のウエハ移載装置エレベータ125b側及びボートエレベータ115側と反対側である左側端部には、クリーンユニット134が設置されている。クリーンユニット134は、清浄化した雰囲気もしくは不活性ガスであるクリーンエア133を供給するよう供給ファン及び防塵フィルタで構成されている。ウエハ移載装置125aとクリーンユニット134との間には、ウエハの円周方向の位置を整合させる基板整合装置としてのノッチ合わせ装置(図示せず)が設置されている。
【0026】
クリーンユニット134から吹き出されたクリーンエア133は、図示しないノッチ合わせ装置、ウエハ移載装置125a、待機部126にあるボート217の周囲を流通した後、図示しないダクトにより吸い込まれて筐体111の外部に排気されるか、もしくはクリーンユニット134の吸い込み側である一次側(供給側)にまで循環されてクリーンユニット134によって移載室124内に再び吹き出されるように構成されている。
【0027】
なお、筐体111,サブ筐体119の外周には基板処理装置100内への立ち入り機構として図示しない複数の装置カバーが取り付けられている。これら装置カバーは、メンテナンス作業時に取り外して保守員が基板処理装置100内に立ち入り可能となっている。これら装置カバーと相対する筐体111,サブ筐体119の端部には、立ち入りセンサとしてのドアスイッチ130が設けられている。また、正面メンテナンス扉104と相対する筐体111の端部にも立ち入りセンサとしてドアスイッチ130が設けられている。また、ロードポート114上には、ポッド110の載置を検知する基板検知センサ140が設けられている。これらドアスイッチ130及び基板検知センサ140等のスイッチ,センサ類15は、後述の基板処理装置用コントローラ240に電気的に接続されている。
【0028】
(3)基板処理装置の動作
次に、本実施形態にかかる基板処理装置100の動作について、
図2,
図3を参照しながら説明する。
【0029】
図2、
図3に示すように、ポッド110が工程内搬送装置(図示せず)によってロードポート114に供給されると、基板検知センサ140によりポッド110が検知され、ポッド搬入搬出口112がフロントシャッタ113によって開放される。そして、ロードポート114の上のポッド110が、ポッド搬送装置118によってポッド搬入搬出口112から筐体111内部へと搬入される。
【0030】
筐体111内部へと搬入されたポッド110は、ポッド搬送装置118によって回転式ポッド棚105の棚板117上へ自動的に搬送されて一時的に保管される。その後、ポッド110は、棚板117上から一方のポッドオープナ121の載置台122上に移載される。なお、筐体111内部へと搬入されたポッド110は、ポッド搬送装置118によって直接ポッドオープナ121の載置台122上に移載されてもよい。この際、ポッドオープナ121のウエハ搬入搬出口120はキャップ着脱機構123によって閉じられており、移載室124内にはクリーンエア133が流通され、充満されている。例えば、移載室124内にクリーンエア133として窒素ガスが充満することにより、移載室124内の酸素濃度が例えば20ppm以下となり、大気雰囲気である筐体111内の酸素濃度よりも遥かに低くなるように設定されている。
【0031】
載置台122上に載置されたポッド110は、その開口側端面がサブ筐体119の正面壁119aにおけるウエハ搬入搬出口120の開口縁辺部に押し付けられるとともに、そのキャップがキャップ着脱機構123によって取り外され、ウエハ出し入れ口が開放される。その後、ウエハ200は、ウエハ移載装置125aのツイーザ125cによってウエハ出し入れ口を通じてポッド110内からピックアップされ、ノッチ合わせ装置にて方位が整合された後、移載室124の後方にある待機部126内へ搬入され、ボート217内に装填(チャージング)される。ボート217内にウエハ200を装填したウエハ移載装置125aは、ポッド110に戻り、次のウエハ200をボート217内に装填する。
【0032】
この一方(上段または下段)のポッドオープナ121におけるウエハ移載機構125によるウエハ200のボート217への装填作業中に、他方(下段または上段)のポッドオープナ121の載置台122上には、別のポッド110が回転式ポッド棚105上からポッド搬送装置118によって搬送されて移載され、ポッドオープナ121によるポッド110の開放作業が同時進行される。
【0033】
予め指定された枚数のウエハ200がボート217内に装填されると、炉口シャッタ147によって閉じられていた処理炉202の下端部が、炉口シャッタ147によって開放される。続いて、ウエハ200群を保持したボート217は、シールキャップ219がボートエレベータ115によって上昇されることにより処理炉202内へ搬入(ローディング)されていく。
【0034】
ローディング後は、処理炉202内にてウエハ200に任意の処理が実施される。処理後は、ノッチ合わせ装置135でのウエハの整合工程を除き、上述の手順とほぼ逆の手順で、処理後のウエハ200を格納したボート217が処理室201内より搬出され、処理後のウエハ200を格納したポッド110が筐体111外へと搬出される。
【0035】
(4)処理炉の構成
続いて、本実施形態にかかる処理炉202の構成について、
図4を用いて説明する。
図4は、本開示の一実施形態にかかる基板処理装置100の処理炉202の縦断面図である。
【0036】
図4に示すように、処理炉202は、反応管としてのプロセスチューブ203を備えている。プロセスチューブ203は、内部反応管としてのインナーチューブ204と、その外側に設けられた外部反応管としてのアウターチューブ205と、を備えている。インナーチューブ204は、例えば石英(SiO2)または炭化シリコン(SiC)等の耐熱性材料により構成されている。インナーチューブ204は、上端及び下端が開口した円筒形状に形成されている。インナーチューブ204内の筒中空部には、基板としてのウエハ200を処理する処理室201が形成されている。処理室201内は、後述するボート217を収容可能なように構成されている。アウターチューブ205は、インナーチューブ204と同心円状に設けられている。アウターチューブ205は、内径がインナーチューブ204の外径よりも大きく、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されている。アウターチューブ205は、例えば石英または炭化シリコン等の耐熱性材料により構成されている。
【0037】
プロセスチューブ203の外側には、プロセスチューブ203の側壁面を囲うように、加熱機構としてのヒータ206が設けられている。ヒータ206は円筒形状に構成されている。ヒータ206は、保持板としてのヒータベース251に支持されることにより垂直に据え付けられている。
【0038】
アウターチューブ205の下方には、アウターチューブ205と同心円状になるように、マニホールド209が配設されている。マニホールド209は、例えばステンレス等により構成されている。マニホールド209は、上端及び下端が開口した円筒形状に形成されている。マニホールド209は、インナーチューブ204の下端部とアウターチューブ205の下端部とにそれぞれ係合している。マニホールド209は、インナーチューブ204の下端部とアウターチューブ205の下端部とを支持するように設けられている。なお、マニホールド209とアウターチューブ205との間には、シール部材としてのOリング220aが設けられている。マニホールド209がヒータベース251に支持されることにより、プロセスチューブ203は垂直に据え付けられた状態となっている。プロセスチューブ203とマニホールド209とにより反応容器が形成される。
【0039】
後述するシールキャップ219には、ガス導入部としての処理ガスノズル230a及びパージガスノズル230bが処理室201内に連通するように接続されている。処理ガスノズル230aには、処理ガス供給管232aが接続されている。処理ガス供給管232の上流側(処理ガスノズル230aとの接続側と反対側)には、ガス流量制御器としてのMFC(マスフローコントローラ)241aを介して、図示しない処理ガス供給源等が接続されている。また、パージガスノズル230bには、パージガス供給管232bが接続されている。パージガス供給管232bの上流側(パージガスノズル230bとの接続側と反対側)には、ガス流量制御器としてのMFC(マスフローコントローラ)241bを介して、図示しないパージガス供給源等が接続されている。
【0040】
主に、処理ガス供給源(図示しない)、MFC241a、処理ガス供給管232a及び処理ガスノズル230aにより、本実施形態に係る処理ガス供給系が構成されている。主に、パージガス供給源(図示しない)、MFC241b、パージガス供給管232b及びパージガスノズル230bにより、本実施形態に係るパージガス供給系が構成されている。主に、処理ガス供給系及びパージガス供給系により、本実施形態に係るガス供給系が構成されている。MFC241a,241bには、後述のサブコントローラとしてのガス供給コントローラ14が電気的に接続されている。
【0041】
マニホールド209には、処理室201内の雰囲気を排気する排気管231が設けられている。排気管231は、インナーチューブ204とアウターチューブ205との隙間によって形成される筒状空間250の下端部に配置されている。排気管231は、筒状空間250に連通している。排気管231の下流側(マニホールド209との接続側と反対側)には、圧力検知器としての圧力センサ245、例えばAPC(Auto Pressure Contoroller)として構成された圧力調整装置242、真空ポンプ等の真空排気装置246が上流側から順に接続されている。主に、排気管231、圧力センサ245、圧力調整装置242により、本実施形態に係るガス排気系が構成されている。圧力調整装置242及び圧力センサ245には、後述のサブコントローラとしての圧力コントローラ13が電気的に接続されている。なお、真空排気装置246をガス排気系に含めてもよい。
【0042】
マニホールド209の下方には、マニホールド209の下端開口を気密に閉塞可能な炉口蓋体としてのシールキャップ219が設けられている。シールキャップ219は、マニホールド209の下端に垂直方向下側から当接されるようになっている。シールキャップ219は、例えばステンレス等の金属により構成されている。シールキャップ219は、円盤状に形成されている。シールキャップ219の上面には、マニホールド209の下端と当接するシール部材としてのOリング220bが設けられている。
【0043】
シールキャップ219の中心部付近であって処理室201と反対側には、ボートを回転させる回転機構254が設置されている。回転機構254の回転軸255は、シールキャップ219を貫通してボート217を下方から支持している。回転機構254は、ボート217を回転させることでウエハ200を回転させることが可能に構成されている。
【0044】
シールキャップ219は、プロセスチューブ203の外部に垂直に設備された基板保持具昇降機構としてのボートエレベータ115によって、垂直方向に昇降されるように構成されている。シールキャップ219を昇降させることにより、ボート217を処理室201内外へ搬送することが可能に構成されている。回転機構254及びボートエレベータ115には、後述のサブコントローラとしての搬送コントローラ11が電気的に接続されている。
【0045】
上述したように、基板保持具としてのボート217は、複数枚のウエハ200を水平姿勢でかつ互いに中心を揃えた状態で整列させて多段に保持するように構成されている。ボート217は、例えば石英や炭化珪素等の耐熱性材料により構成されている。ボート217の下部には、断熱部材としての断熱板216が水平姿勢で多段に複数枚配置されている。断熱板216は、円板形状に形成されている。断熱板216は、例えば石英や炭化珪素等の耐熱性材料により構成されている。断熱板216は、ヒータ206からの熱をマニホールド209側に伝えにくくするように構成されている。
【0046】
プロセスチューブ203内には、温度検知器としての温度センサ263が設置されている。主に、ヒータ206及び温度センサ263により、本実施形態に係る加熱機構が構成されている。これらヒータ206と温度センサ263とには、後述のサブコントローラとしての温度コントローラ12が電気的に接続されている。
【0047】
主に、ガス排気系、ガス供給系、加熱機構により、本実施形態に係る基板処理系が構成されている。
【0048】
(5)処理炉の動作
続いて、半導体デバイスの製造工程の一工程として、上記構成に係る処理炉202を用いてCVD法によりウエハ200上に薄膜を形成する方法について、
図4を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、基板処理装置100を構成する各部の動作は基板処理装置用コントローラ240により制御される。
【0049】
複数枚のウエハ200がボート217に装填(ウエハチャージ)されると、
図4に示すように、複数枚のウエハ200を保持したボート217は、ボートエレベータ115によって持ち上げられて処理室201内に搬入(ボートローディング)される。この状態で、シールキャップ219はOリング220bを介してマニホールド209の下端をシールした状態となる。
【0050】
処理室201内が所望の圧力(真空度)となるように、真空排気装置246によって真空排気される。この際、圧力センサ245が測定した圧力値に基づき、圧力調整装置242(の弁の開度)がフィードバック制御される。また、処理室201内が所望の温度となるように、ヒータ206によって加熱される。この際、温度センサ263が検知した温度値に基づき、ヒータ206への通電量がフィードバック制御される。続いて、回転機構254により、ボート217及びウエハ200が回転させられる。
【0051】
次いで、処理ガス供給源から供給されてMFC241aにて所望の流量となるように制御された処理ガスは、ガス供給管232a内を流通してノズル230aから処理室201内に導入される。導入された処理ガスは処理室201内を上昇し、インナーチューブ204の上端開口から筒状空間250内に流出して排気管231から排気される。ガスは、処理室201内を通過する際にウエハ200の表面と接触し、この際に熱CVD反応によってウエハ200の表面上に薄膜が堆積(デポジション)される。
【0052】
予め設定された処理時間が経過すると、パージガス供給源から供給されてMFC241bにて所望の流量となるように制御されたパージガスが処理室201内に供給され、処理室201内が不活性ガスに置換されるとともに、処理室201内の圧力が常圧に復帰される。
【0053】
その後、ボートエレベータ115によりシールキャップ219が下降されてマニホールド209の下端が開口されるとともに、処理済のウエハ200を保持するボート217がマニホールド209の下端からプロセスチューブ203の外部へと搬出(ボートアンローディング)される。その後、処理済のウエハ200はボート217より取り出され、ポッド110内へ格納される(ウエハディスチャージ)。
【0054】
(6)基板処理装置用コントローラの構成(主制御部)
以下、
図5を参照して、基板処理装置用コントローラとしての制御装置(以後、主制御部ともいう)240について説明する。
【0055】
主制御部240は、主に演算制御部としてのCPU(Central Processing Unit)25と、処理コントローラの制御を行うプロセス制御部20と、搬送コントローラ11の制御を行う搬送制御部27と、管理装置600との通信を行う送受信モジュール42と、RAMやROMなどのメモリやHDD等からなる記憶部28と、マウスやキーボード等の入力部29及びモニタ等の表示部31と、主制御部240を起動時する際の起動条件の実施有無判定に用いられる起動条件実施有無情報72の制御を行う起動条件制御部40と、起動条件制御部40でパスワード認証が必要と判断された場合のパスワードを算出するパスワード算出部41と、主制御部240の稼働停止回数のカウントやパスワード入力時の不整合回数をカウントするカウント部43から構成されている。尚、CPU25と、記憶部28と、入力部29と、表示部31と、起動条件制御部40と、パスワード算出部41と、カウント部43と、時計機能(図示せず)とで各データを設定可能な操作部が構成される。
【0056】
CPU25は、主制御部240の中枢を構成し、図示しないROMに記憶された制御プログラムを実行し、表示部31からの指示に従って、レシピ記憶部50も構成する記憶部28に記憶されているレシピ(例えば、基板処理レシピとしてのプロセス用レシピ等)を実行する。ROMは、EEPROM、フラッシュメモリ、ハードディスクなどから構成され、CPU25の動作プログラム等を記憶する記録媒体である。
メモリ(RAM)は、CPU25のワークエリア(一時記憶部)などとして機能する。
【0057】
ここで、基板処理レシピは、ウエハ200を処理する処理条件や処理手順等が定義されたレシピである。また、レシピファイルには、搬送コントローラ11、温度コントローラ12、圧力コントローラ13、ガス供給コントローラ14等に送信する設定値(制御値)や送信タイミング等が、基板処理のステップ毎に設定されている。
【0058】
また、本開示の実施の形態にかかる主制御部240は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。例えば、汎用コンピュータに、上述の処理を実行するための制御プログラムを含む各種プログラムを格納した外部記録媒体(フレキシブルディスク、CD-ROM、USB、外付けHDD等)からこれら各種プログラ
ムをインストールすることにより、例えば、上述の処理を実行する主制御部240を構成することができる。
【0059】
そして、これらの各種プログラムを供給するための手段は任意である。上述のように所定の記録媒体を介して供給できる他、例えば、通信回線、通信ネットワーク、通信システムなどを介して供給してもよい。この場合、例えば、通信ネットワークの掲示板に当該プログラムを掲示し、ネットワークを介して搬送波に重畳して提供してもよい。そして、このように提供されたプログラムを起動し、OSの制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、上述の処理を実行することができる。
【0060】
前記処理制御部20は、前記処理炉201内にローディングされたウエハ200に対し、所定の処理がなされる様、前記処理炉201内の温度や圧力、該処理炉201内に導入される処理ガスの流量等を制御する機能を有している。
【0061】
前記搬送制御部27は、図示しない駆動モータを介して前記ポッド搬送装置105、前記ウエハ移載機構125、前記ボートエレベータ115等の搬送機構の駆動を制御する機能を有している。
【0062】
前記記憶部28には、各種データ等が格納されるデータ格納領域32と、各種プログラムが格納されるプログラム格納領域33が形成されている。
【0063】
データ格納領域32は、前記レシピファイルに関連する各種パラメータが格納される。また、前記ポッド110を前記筐体111内に搬入する際、又前記ポッド110を前記筐体111外に搬出する際の、I/Oステージとしての載置台114上の受渡し位置の情報や、受渡し位置にキャリアローダとしての前記ポッド搬送装置118を移動させる際の動作順序、受渡し位置からキャリアローダ118を移動させる際の動作順序等の情報が格納されている。また、ポッド110毎に識別する情報であるキャリアIDやポッド110内のウエハ200の種別情報を少なくとも含むキャリア情報が前記データ格納領域32に格納される様になっている。
【0064】
また、本実施の形態において、データ格納領域32には、後述する経過時間の閾値情報(第1の閾値情報ともいう)60と、パスワード不整合回数の閾値情報(第2の閾値情報ともいう)61と、起動条件実施有無情報72の設定条件の一つである、主制御部240の稼働停止回数の閾値情報(第3の閾値情報ともいう)62とが格納されるようになっている。
【0065】
さらに、本実施の形態において、データ格納領域32には、主制御部240の起動に係る情報として、起動条件管理情報52が格納されており、起動条件管理情報52には管理装置600との接続状態を記憶する管理装置接続状態70と、主制御部240の稼働停止回数を記録した稼働停止回数71、主制御部240の起動を行う際の認証情報として用いられる起動条件実施有無情報72と、前回の主制御部240が稼働停止を行った日時を有する稼働停止情報73が記憶される。
【0066】
さらに、本実施の形態において、記憶部28は、パスワード算出部が算出した算出パスワードと、主制御部240の起動時にパスワード認証が必要となった場合に入力パスワードの不整合だった回数をカウントするパスワード不整合回数を一時的に記憶することができる。なお、入力パスワードの不整合だった回数のカウントはカウント部が行う。
【0067】
プログラム格納領域33には、上述の基板処理レシピ等の他、前記カセット3の搬入、搬出を行う為に必要な各種プログラムや基板が無い状態の炉内を洗浄するためのレシピ等が格納されている。また、例えば、後述する主制御部起動時の認証判定を行うソフトウェアプログラムが格納可能に構成されている。また、後述する、主制御部起動時にパスワードの認証が必要となった場合のパスワードを算出するソフトウェアプログラムが格納可能に構成されている。
【0068】
主制御部240の表示部31には、タッチパネルが設けられている。タッチパネルは、上述の基板搬送系、基板処理系への操作コマンドの入力を受け付ける操作画面を表示するように構成されている。かかる操作画面は、基板搬送系や基板処理系の状態を確認したり、基板搬送系や基板処理系への動作指示を入力したりするための各種表示欄及び操作ボタ
ンを備えている。なお、操作部は、パソコンやモバイル等の操作端末(端末装置)のように、少なくとも表示部31と入力部29を含む構成であればよい。
【0069】
搬送コントローラ11は、基板搬送系を構成する回転式ポッド棚105,ボートエレベータ115、ポッド搬送装置(基板収容器搬送装置)118、ウエハ移載機構(基板移載機構)125、ボート217及び回転機構254の搬送動作をそれぞれ制御するように構成されている。また、図示しないが基板搬送系を構成する回転式ポッド棚105,ボートエレベータ115,ポッド搬送装置(基板収容器搬送装置)118,ウエハ移載機構(基板移載機構)125,ボート217及び回転機構254には、それぞれセンサが内蔵されている。搬送コントローラ11は、これらのセンサがそれぞれ所定の値や異常な値等を示した際に、主制御部240にその旨の通知を行うように構成されている。
【0070】
圧力コントローラ13は、圧力センサ245により検知された圧力値に基づいて、処理室201内の圧力が所望のタイミングにて所望の圧力となるように、圧力調整装置242を制御すると共に、圧力センサ245が所定の値や異常な値等を示した際に、主制御部240にその旨の通知を行うように構成されている。
【0071】
ガス供給コントローラ14は、処理ガス供給管232a,パージガス供給管232bからのガスの供給や停止を、ガスバルブ(図示せず)を開閉させることにより制御するように構成されている。また、ガス供給コントローラ14は、処理室201内に供給するガスの流量が所望のタイミングにて所望の流量となるように、MFC241a,241bを制御するように構成されている。ガス供給コントローラ14は、ガスバルブ(図示せず)やMFC241a,241bの備えるセンサ(図示せず)が所定の値や異常な値等を示した際に、主制御部240にその旨の通知を行うように構成されている。
【0072】
(本発明の好ましい実施形態)次に、主制御部の起動条件の判定に係る実施形態を
図6、
図7、
図8及び
図9等を用いて、また、主制御部240の稼働停止に係る実施形態を
図10等を用いて、また、起動条件実施有無情報72の設定に係る実施形態を
図11、
図12及び
図13等を用いて説明する。
【0073】
図6は主制御部を起動する際の起動条件の実施を行う動作を示し、例えば、起動条件の実施が必要であるか否かを判定する起動条件実施確認工程(S100)と、起動条件実施確認工程(S100)で起動条件の実施が必要であると判断した場合に制御部240の直近の稼働停止時間からの経過時間を確認する経過時間確認工程(S110)と、さらにパスワード入力による認証が必要となった場合に実施するパスワード確認工程(S120)より構成される。
【0074】
起動条件確認工程(S100)
次に、起動条件確認工程S100を説明する。起動条件情報確認工程S100では、主制御部240が起動されると、CPU25は起動条件制御部40に起動条件実施確認の指示を行う。起動条件制御部40はCPU25からの起動条件実施確認の指示に従い、
図7に示す起動条件確認動作を行う。起動条件制御部40は記憶部28のデータ格納領域32に記憶されている起動条件実施有無情報72の設定状態を取得(S1000)し、取得した起動条件実施有無情報72を確認する(S1010)。起動条件実施有無情報72が有効に設定されている場合は認証が必要であると確認(S1011)し、また、起動条件実施有無情報72が無効に設定されている場合は起動条件の実施が不要であると確認(S1012)し、起動条件確認結果として確認した結果をCPU25に返す。
【0075】
CPU25は起動条件制御部40からの確認結果に基づき、起動条件の実施が必要であると判断した場合は起動条件制御部40に対し経過時間確認の指示を行う。
【0076】
また、CPU25は起動条件制御部40からの起動条件確認結果に基づき、起動条件の実施が必要でないと判断した場合は、次に続く経過時間確認工程(S110)及びパスワード確認工程(S120)を行わず、主制御部240の起動を継続してもよい。
【0077】
経過時間確認工程(S110)
次に、経過時間確認工程S110を説明する。起動条件制御部40はCPU25の経過時間確認の指示に従い、
図8に示す経過時間確認動作を行う。起動条件制御部40は記憶部25のデータ格納領域32に記憶している稼働停止情報72を取得(S1100)し、さらに主制御部が有する時計機能より主制御部240の起動情報を取得(S1110)し、稼働停止情報72と起動情報から前回稼働停止からの経過時間を算出(S1120)する。
【0078】
次に、起動条件制御部40は、記憶部25のパラメータ記憶部51に記憶している第1の閾値を取得し、(S1120)で算出した経過時間との比較を行う(S1130)。(S1130)で比較を行った結果、(S1120)で算出した経過時間が第1の閾値60を超えている場合は、パスワード認証が必要であると確認し(S1140)、また、(S1120)で算出した経過時間が第1の閾値60に等しい、あるいは第1の引数60より小さいと判断した場合は、パスワード認証は不要であると確認し(S1150)、その経過時間確認結果として確認した結果をCPU25に返す。
【0079】
CPU25は起動条件制御部40からの経過時間確認結果に基づき、パスワード認証が必要であると判断した場合は起動条件制御部40に対しパスワード確認の指示を行う。
【0080】
また、CPU25は起動条件制御部40からの確認結果に基づき、パスワード認証が必要でないと判断した場合は、次に続くパスワード確認工程(S120)を行わず、主制御部240の起動を継続してもよい。
【0081】
CPU25は起動条件制御部40からの経過時間確認結果に基づき、パスワード認証が必要であると判断した場合はパスワード算出部41に対しパスワード算出の指示を行う。パスワード算出部41はCPU25のパスワード算出の指示を受け付けると、当日のみ有効なパスワードを算出し、算出パスワード82として、記憶部28のデータ格納領域に記憶する。
【0082】
算出パスワード82はパスワード確認工程(S120)の間のみ有効であればよく、
パスワード確認工程(S120)を終了した場合に、記憶部28のデータ格納領域32から削除しても良い。
【0083】
CPU25は起動条件制御部40からの経過時間確認結果に基づき、パスワード認証が必要であると判断した場合は入力部29に対しパスワード入力要求の指示を行う。また表示部31に対してパスワード要求表示の指示を行う。入力部29はパスワードの入力を受け付けると、CPU25にパスワード入力要求の指示応答として入力パスワード返す。CPU25は入力部29から受け取った入力パスワードを起動条件制御部40に渡す。
【0084】
パスワード確認工程(S120)
次に、パスワード確認工程S120を説明する。起動条件制御部40はCPU25のパスワード確認の指示に従い、
図9に示すパスワード確認動作を行う。起動条件制御部40はCPU25より入力パスワードを取得(S1200)すると、記憶部25のデータ格納領域32に記憶している算出パスワード82を取得(S1210)し、入力パスワードと算出パスワード82の比較を行う(S1220)。
【0085】
次に、起動条件制御部40は(S1220)の結果、整合性ありと判断した場合は、パスワード認証結果をOKと設定(S1250)し、CPU25に判定結果を返す。
【0086】
起動条件制御部40は(S1220)の結果、整合性なしと判断した場合は、カウント部43により、記憶部28のデータ格納領域32に記憶しているパスワード不整合回数83を1つ加算する(S1230)。
【0087】
次に、起動条件制御部40はパスワード不整合回数83と、記憶部28のパラメータ格納領域に記憶されている第2の閾値61)と比較(S1240)し、第2の閾値61を超えたと判断した場合はパスワード認証結果をNGと設定(S1260)し、CPU25に判定結果を返す。
【0088】
起動条件制御部40はパスワード不整合回数83と、記憶部28のパラメータ格納領域に記憶されている第2の閾値61)と比較(S1240)し、第2の閾値61に等しいあるいは第2の閾値61より少ないと判断した場合はパスワード認証結果をリトライと設定(S1270)し、CPU25に判定結果を返す。
【0089】
CPU25は起動条件管理40からのパスワード認証結果を判定し、OKであれば主制御部の起動を継続する。
【0090】
CPU25は起動条件管理40からのパスワード認証結果を判定し、NGであれば表示部31に起動できないメッセージを表示するよう、指示を行い、その後、
図10に示す主制御部240の稼働停止動作を行う。
【0091】
CPU25は起動条件管理40からのパスワード認証結果を判定し、リトライであれば再度入力部29にパスワード入力要求と表示部31にパスワード表示要求の指示を行い、パスワード確認工程(S120)を繰り返す。
【0092】
次に主制御部240の稼働停止を行う場合の稼働停止情報更新工程について説明する。稼働停止更新工程では、CPU25が主制御部240の稼働停止を検知した場合に、起動条件制御部40に稼働停止通知を行い、起動条件制御部40が
図10に示す動作を行う。
【0093】
(S1300)
起動条件制御部40は、例えば、稼働停止状態が正常状態または異常状態であるか否かを判定する稼働停止状態(S1300)判定を行う。ここで正常状態とは例えば正規の手順により主制御部240の稼働停止を行う場合であり、異常状態とは例えば突然の電源断や強制電源オフや起動条件実施時の失敗による強制終了等を示す場合である。
【0094】
起動条件制御部40は、稼働停止状態(S1300)判定で異常状態と判定された場合は何もしないでCPU25に主制御部240の稼働停止継続の通知を行う。
【0095】
(S1310)
稼働停止状態(S1300)判定で正常と判断された場合、 起動条件制御部40は、主制御部240が有する時計機能により主制御部240の稼働停止日時情報を取得し、記憶部28の稼働停止情報73に格納する。
【0096】
(S1320)
次に起動条件制御部40は、記憶部28に記憶されている起動条件実施有無情報72を取得し、起動条件実施有無情報72の有効あるいは無効を確認し、有効であれば、何もしないでCPU25に主制御部240の可動継続の通知を行う。
【0097】
(S1330)
起動条件実施有無情報72が無効あった場合は、カウンタ部43により、記憶部28の稼働停止回数を示す稼働停止回数71を1つ加算し、CPU25に主制御部240の稼働停止継続の通知を行う。
【0098】
図11は主制御部240を起動した場合の認証判定を行う起動条件実施有無情報72の設定動作を示し、例えば、起動条件実施有無情報72の設定が必要であるか否かを判定する起動条件実施有無情報確認工程(S200)と、記憶部28に記憶している稼働停止回数71より起動条件実施有無情報72の設定判定を行う稼働停止回数確認工程(S210)と、記憶部に記憶された管理装置接続状態70から起動条件実施有無情報72の設定判定を行う管理情報接続確認工程(S220)より構成される。
【0099】
起動条件実施有無情報確認工程(S200)
次に、起動条件実施有無情報確認工程S200を説明する。起動条件実施有無情報確認工程S200では、CPU25の指示に従い、起動条件制御部40が記憶部28に記憶された起動条件実施有無情報72の設定状態を取得し、取得した起動条件実施有無情報72を確認する。起動条件実施有無情報72が有効に設定されている場合は何もしないで、CPU25に応答を返す。起動条件実施有無情報72が無効に設定されている場合は稼働停止回数確認工程(S210)を実施する。
【0100】
稼働停止回数確認工程(S210)
次に、稼働停止回数確認工程S210を説明する。稼働停止回数確認工程S210は
図12に示す稼働停止確認動作を行う。記憶部28に記憶された稼働停止回数71を取得(S2000)し、記憶部28のパラメータ記憶部51に記憶された第3の閾値情報62を取得して、稼働停止回数71と比較を行う(S210)。
【0101】
稼働停止回数71が第3の閾値情報62に等しい、あるいは満たない場合は何もしないで本動作を終了する。
【0102】
稼働停止回数71が第3の閾値情報62を超えた場合は、起動条件実施有無情報72の設定状態を有効に設定(S2020)し、記憶部28に記憶させ、処理を抜ける。
【0103】
管理装置接続確認工程(S220)
次に、管理装置接続確認工程S220を説明する。稼働停止回数確認工程S210で、起動条件実施有無情報72を有効に設定していない場合に本工程を行う。管理装置接続確認工程S220は
図13に示す管理装置接続確認動作を行う。記憶部28に記憶された管理装置接続状態70を取得(S2100)し、管理装置600の接続状態を確認する(S2100)。
【0104】
管理装置600が未接続状態であれば、何もしないで管理装置接続確認工程S220を終了し、管理装置600が接続状態であれば、起動条件実施有無情報72の設定状態を有効に設定(S2130)し、記憶部28に記憶させ、処理を抜ける。
【0105】
本実施の形態において、起動条件実施有無情報72の設定を行うことにより、例えば新規装置の管理装置600との接続前でのセットアップ時期にて不要なパスワード認証の対応を行うことがないため、セットアップ工程に係る作業効率の低下を防止することができる。
【0106】
また、さらに、本実施の形態において、起動条件実施有無情報72の設定を行うことにより、不慣れな作業員による誤操作によるセットアップ工程での作業ロスを防止し、セットアップ工程に係る作業効率の低下を防止することができる。
【0107】
<他の実施形態>
以上、本開示の第一実施形態、第二実施形態を説明したが、本開示は上述の各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0108】
上述の態様では、一度に複数枚の基板を処理するバッチ式の基板処理装置1を用いて膜を形成する例について説明した。本開示は上述の態様に限定されず、例えば、一度に1枚または数枚の基板を処理する枚葉式の基板処理装置を用いて膜を形成する場合にも、好適に適用することができる。枚葉式の基板処理装置を用いた場合でも装置コントローラ起動時のパスワード認証により、起動を制限し、装置セットアップ不完全な状態での起動を防止することができる。。また、上述の態様では、ホットウォール型の処理炉を有する基板処理装置を用いて膜を形成する例について説明した。本開示は上述の態様に限定されず、コールドウォール型の処理炉を有する基板処理装置を用いて膜を形成する場合にも、好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0109】
100・・・基板処理装置
200・・・基板
240・・・基板処理装置用コントローラ(主制御部)
600・・・管理装置