(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-03
(45)【発行日】2024-06-11
(54)【発明の名称】インラインチャンバメテロロジ-
(51)【国際特許分類】
H01L 21/205 20060101AFI20240604BHJP
H01L 21/66 20060101ALI20240604BHJP
C23C 16/52 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
H01L21/205
H01L21/66 N
H01L21/66 P
C23C16/52
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022102447
(22)【出願日】2022-06-27
(62)【分割の表示】P 2020553656の分割
【原出願日】2019-03-29
【審査請求日】2022-07-25
(31)【優先権主張番号】201841012373
(32)【優先日】2018-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(32)【優先日】2019-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ゴーシュ, アヴィシェク
(72)【発明者】
【氏名】ゴラディア, プレルナ ソンサリア
(72)【発明者】
【氏名】ヴィッサー, ロバート ジャン
【審査官】桑原 清
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-181138(JP,A)
【文献】特開平04-340404(JP,A)
【文献】特開平05-315266(JP,A)
【文献】特開平05-264468(JP,A)
【文献】特開2004-063974(JP,A)
【文献】特開2012-103071(JP,A)
【文献】特開2002-340672(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/205
H01L 21/66
C23C 16/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のビューポートおよび第2のビューポートを有する処理チャンバ本体と、
前記処理チャンバ本体内の基板支持体と、
前記第1のビューポートを通して、前記基板支持体上の
基板を照射するよう動作可能な電磁放射放出器と、
前記第2のビューポートを通して、前記基板から散乱した電磁放射を検出するよう動作可能な検出器と
、
前記電磁放射放出器からの電磁放射ビームを前記基板の表面に亘って走査するよう動作可能な第1のアクチュエータと、
前記電磁放射ビームの走査に応じて、前記基板から散乱した前記電磁放射ビームを受け取るように前記検出器を移動させるよう動作可能な第2のアクチュエータと、
を備える、基板を処理するための装置。
【請求項2】
前記電磁放射放出器からの電磁放射ビームは、前記第1のアクチュエータにより移動される光ファイバケーブルによって方向付けられる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1のアクチュエータは、前記電磁放射放出器からのビームを前記基板の表面上へと方向付けるよう動作可能なガルバノミラー
である、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記電磁放射放出器が、第1の波長を有するレーザ光の第1のパルスを生成するよう動作可能な第1のレーザ源と、第2の波長を有するレーザ光の第2のパルスを生成するよう動作可能な第2のレーザ源とを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記第1の波長は、1マイクロメートル以上4マイクロメートル以下であり、前記第2の波長は、750ナノメートル以上850ナノメートル以下である、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記検出器は、前記第1のパルスと、前記第2のパルスと、前記基板との間の相互作用によって生じる和周波発生(SFG:sum frequency generation)パルスの強度を測定するよう動作可能である、請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記第1の波長は、1マイクロメートル以上9マイクロメートル以下であり、前記第2の波長は、520ナノメートル以上900ナノメートル以下である、請求項4に記載の装置。
【請求項8】
前記第1の波長は、4マイクロメートル以上7マイクロメートル以下であり、前記第2の波長は、600ナノメートル以上900ナノメートル以下である、請求項4に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、概して、減圧処理システムおよび処理技術に関する。より詳細には、本開示の実施形態は、減圧処理システムにおける基板の直接的なインライン監視のための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板は、集積回路用のデバイス及び微小デバイスの製造を含む、広範な用途のために処理される。基板を処理するための1つの技術は、基板を減圧下でガスに曝露することと、基板の表面上に誘電材料または導電性金属などの材料を堆積させることを含む。例えば、エピタキシは、基板(例えば、シリコンウエハ)の表面上に、シリコンまたはゲルマニウムから成ることが多い高純度の薄膜を成長させるために使用されうる堆積プロセスである。材料は、処理流体(例えば、前駆体ガスとキャリアガスとの混合物)を、支持体上に配置された基板の表面と平行に、かつ当該表面に亘って流し、処理流体を(例えば、処理流体を高温に加熱することにより)分解し、基板の表面上へと処理流体からの材料を堆積させることによって、クロスフローチャンバ内で堆積されうる。
【0003】
基板の処理中の様々な時間に、堆積された膜の品質が検査および/または測定されうる。基板を検査および/または測定するための以前から知られている技術は、処理チャンバから基板を取り出し、基板を検査および/または測定するための計器内に、基板を配置することを含む。処理チャンバから基板を取り出すと、結果的に、ガスが処理チャンバに入って、場合によっては、(基板または他の基板の)チャンバ内での処理が続けられる前に、真空ポンプによって処理チャンバを真空状態にする必要がある。
【0004】
処理チャンバのスループット、および製造される基板の品質を改善するために、処理システムの高真空環境から基板を取り除くことなく、処理システム内で処理が施される基板を検査および/または測定する手段が必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
基板を処理するための装置が提供される。装置は、概して、第1のビューポートおよび第2のビューポートを有する処理チャンバ本体と、処理チャンバ本体と接続された、処理流体を供給するための供給源と、処理チャンバ本体と接続された真空ポンプと、処理チャンバ本体内の基板支持体と、第1のビューポートを通して基板支持体上の基板を照射するよう動作可能な電磁放射放出器と、第2のビューポートを通して、基板から散乱した電磁放射を検出するよう動作可能な検出器と、を備える。
【0006】
基板を処理するためのシステムが提供される。本システムは、概して、
基板の通過を可能にするよう構成された第1のスリット弁開口、及び、基板の通過を可能とするよう構成された第2のスリット弁開口を有する処理チャンバと、
処理チャンバの第1のスリット弁開口を開閉するよう動作可能な第1のスリット弁であって、閉弁時に第1の気密シールを形成するよう動作可能な第1のスリット弁と、
処理チャンバの第2のスリット弁開口を開閉するよう動作可能な第2のスリット弁であって、閉弁時に第2の気密シールを形成するよう動作可能な第2のスリット弁と、
処理チャンバの第2のスリット弁開口と位置合わせされた移送スリット弁開口、ロードロックポート、及び、基板支持体を有するロードロックと、
収容されたプローブを有する機械的アーム部と
を備え、
機械的アーム部は、ロードロックポートを介してロードロックの内部にアクセスするよう動作可能であり、機械的アーム部は、基板支持体上の基板に接近するように、収容されたプローブ内の計器を動かすよう動作可能であり、収容されたプローブは、基板を照射するために電磁放射を放出するよう動作可能な放出器を有し、収容されたプローブは、基板から散乱した電磁放射を検出するよう動作可能な検出器を有する。
【0007】
本開示の態様の上記で列挙された特徴が詳細に理解されうるように、上記で簡単に要約された態様のより具体的な説明が、実施形態を参照することによって行うことが出来、実施形態の幾つかが添付の図面に示される。しかし、本開示は他の等しく有効な実施形態も許容しうることから、添付の図面は、本開示の典型的な実施形態のみを例示しており、従って、本開示の範囲を限定すると見なすべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】本開示の態様に係る減圧処理チャンバの断面図を示す。
【
図1B】本開示の態様に係る減圧処理チャンバの断面図を示す。
【
図2】本開示の或る特定の態様に係る例示の処理システムを示す。
【
図3】本開示の態様に係る例示のロードロックの概略的な等角図を示す。
【
図4】本開示の態様に係る処理チャンバの概略的な等角図を示す。
【
図5】本開示の態様に係る原子層堆積の監視を示す一式のグラフ500である。
【
図6】本開示の態様に係る、処理中に基板を測定するよう構成された例示の和周波発生(SFG:sum frequency generation)分光監視システムの概略図である。
【
図7】本開示の態様に係る例示の基板ハンドリングブレードの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
理解を容易にするために、可能な場合には、複数の図に共通する同一の要素を指し示すのに同一の参照番号を使用した。一実施形態で開示される要素は、具体的な記述がなくとも、他の実施形態で有益に利用できることが企図されている。
【0010】
処理システムの高真空環境から基板を取り除くことなく、処理システム内で処理が施される基板の層の厚さおよび層の均一性を測定し、および/または、基板を検査して欠陥を検出し、および/または、基板の層および層間の界面の化学的な特徴付けを行うための方法および装置が提供される。本方法および本装置は、処理チャンバ内または処理チャンバに接続されたロードロックチャンバ内の基板を測定および/または検査することによって、処理チャンバの真空を破らずに基板の測定および/または検査を可能にする。
【0011】
本明細書に開示される一実施形態は、処理システムに接続されたロードロックチャンバである。ロードロックチャンバは、基板上の粒子の属性または当該粒子の存在を検査および/または測定するために使用されうる1つ以上の計器を有する収容されたプローブを備えた、機械的アーム部を有する。基板は、処理チャンバから取り出してロードロック内に移動することが可能であり、そこで、1つ以上の計器が基板を検査および/または測定する。ロードロック内の圧力は、処理システムまたは処理チャンバの圧力と同様のレベルに維持され、処理チャンバの真空を破らずに基板の測定および検査が可能となる。
【0012】
他の実施形態では、複数のビューポートが処理チャンバ上に配置される。レーザ、X線放出器、および/または、電磁放射の他の放出器が、処理チャンバ内の第1のビューポートを通じて基板を照射することが可能であり、基板から散乱した放射線は、第2のビューポートを通じて処理チャンバから出て、処理チャンバの外部の計器によって検出、収集、および/または測定されうる。基板は、当該基板が処理チャンバ内にある間に、処理チャンバの真空を破ることなく検査および/または測定されうる。
【0013】
本明細書では、基板から「散乱した」放射線とは、基板から反射され、基板から屈折させられ、照明の結果として基板から発せられ、および/または基板を透過する放射線を指している。
【0014】
半導体基板は、集積回路用のデバイス及び微小デバイスの製造を含む、広範な用途のために処理される。上述のように、基板を処理するための1つの技術は、基板を減圧下でガスに曝露することと、基板の表面上に誘電材料または導電性金属などの材料を堆積させることを含む。例えば、エピタキシは、基板(例えば、シリコンウエハ)の表面上に、シリコンまたは二酸化ケイ素から成ることが多い高純度の薄膜を成長させるために使用されうる堆積プロセスである。材料は、処理流体(例えば、前駆体ガスとキャリアガスとの混合物)を、支持体上に配置された基板の表面と平行に、かつ当該表面に亘って流し、処理流体を(例えば、処理流体を高温に加熱することにより)分解し、基板の表面上へと処理流体からの材料を堆積させることによって、クロスフローチャンバ内で堆積されうる。上記のエピタキシ技術に従って処理された基板が、以下により詳細に記載されるように、処理チャンバ内またはロードロック内で測定および/または検査されうる。
【0015】
開示される実施形態は、原子層堆積(ALD:atomic layer deposition)、化学基層堆積(CVD:chemical vapor deposition)、エッチング、プラズマ化学気相堆積(PECVD:plasma-enhanced chemical vapor deposition)、物理的気相堆積(PVD:physical vapor deposition)、誘電体堆積、ポリマー層堆積、および選択除去プロセス(SRP:selective removal process)を含むがこれらに限定されない基板を処理するための技術と共に使用されうる。
【0016】
図1Aは、本開示の態様に係る、構成要素が処理のためのポジションに置かれた例示的な処理チャンバ100の概略的な断面図を示している。図示の処理チャンバは、エピタキシャルチャンバである。処理チャンバ100は、1つ以上の基板を処理する(例えば、基板上にエピタキシャル堆積を行う)ために使用され、ここでは、基板108の上面上への材料の堆積が含まれる。処理チャンバ100は、加熱のための放射加熱ランプ102のアレイと、他の構成要素のうち、処理チャンバ100内に配置された基板支持体106(例えばサセプタ)の背面104と、を含む。いくつかの実施形態では、放射加熱ランプのアレイが、下部ドームの下方に示されるアレイに加えて、上部ドーム128の上方に配置される。基板支持体106は、図示のように中央開口を有さないディスク状の基板支持体106であってよく、またはリング状の基板支持体であってよい。
【0017】
図1Bは、
図1Aの線1B-1Bに沿って切り取られた処理チャンバ100の概略的な側面図を示している。ライナアセンブリ163および環状シールド167が、分かり易くするために省略されている。基板支持体は、
図1Aに示すようにディスク状の基板支持体106であってよく、または、
図1Bに示すように、ランプ102の熱放射への基板の曝露を容易にするために、基板の縁部から基板を支持するリング状の基板支持体107であってよい。
【0018】
図1Aおよび
図1Bを参照すると、基板支持体106又は107は、上方ドーム128と下方ドーム114との間の処理チャンバ100内に位置している。上側ドーム128と、下側ドーム114と、上側ドーム128と下側ドーム114の間に配置されるベースリング136とが、処理チャンバ100の内部領域を画定する。概して、上部ドーム128および下部ドーム114の中央部分は、石英などの光学的に透過性の材料から形成される。処理チャンバ100の内部領域は、大まかに、処理領域156とパージ領域158とに分けられる。
【0019】
基板108(縮尺どおりではない)は、ローディングポート103を通じて処理チャンバ100に運び込まれ、基板支持106上に配置されうる。ローディングポート103は、
図1Aでは基板支持体106に見えなくなっているが、
図1Bでは見ることができる。
【0020】
一実施形態によれば、基板支持体106は、
図1Aに示すように、基板支持体106を直接的に支持しうる中央シャフト132によって支持されている。他の実施形態によれば、中央シャフト132は、
図1Bに示すように、アーム部134によってディスク状の基板支持体107を支持する。
【0021】
一実施形態によれば、処理チャンバ100は、ランプヘッド145も備え、このランプヘッド145は、ランプ102のアレイを支持し、処理中および/または処理後にランプ102を冷却する。各ランプ102は、各ランプ102に電気を供給する電気分電盤(図示せず)に結合されている。
【0022】
一実施形態によれば、処理チャンバ100は、処理チャンバ100内および基板108の表面の温度を測定する1つ以上の光高温計118も含む。コントローラ(図示せず)が、配電盤からランプ102への配電を制御する。コントローラはまた、処理チャンバ100内の冷却流体の流れを制御する。コントローラは、配電盤からランプ102への電圧を変化させることによって、および冷却流体の流れを変化させることによって、処理チャンバ内の温度を制御する。
【0023】
リフレクタ122が上部ドーム128の上方に配置されており、基板108および上部ドーム128から発せられた赤外線を反射して処理チャンバ100内に戻す。リフレクタ122は、クランプリング130を用いて上部ドーム128に固定されている。リフレクタ122は、冷却流体源(図示せず)に接続された1つ以上の接続ポート126を有する。接続ポート126はリフレクタ内の1つ以上の通路(図示せず)に接続しており、冷却流体(例えば、水)がリフレクタ122内を循環することを可能とする。
【0024】
一実施形態によれば、処理チャンバ100は、処理流体供給源172に接続された処理流体入口174を含む。処理流体入口174は、処理流体(例えば、トリメチルアルミニウム(TMA)またはシラン(SiH4))を、おおまかに基板108の表面全体に導くよう構成される。処理チャンバはまた、処理流体入口174の反対側の処理チャンバ100の側面に位置する処理流体出口178を含む。処理流体出口178は、真空ポンプ180に連結されている。
【0025】
一実施形態によれば、処理チャンバ100は、ベースリング136の側壁に形成されたパージガス入口164を含む。パージガス源162が、パージガス入口164にパージガスを供給する。処理チャンバ100が環状シールド167を備える場合に、環状シールド167は、処理流体入口174とパージガス入口164との間に配置される。例示の目的で、処理流体入口174、パージガス入口164、および処理流体出口178が示されており、基板108上への材料の均一な堆積を促進するために、その位置、サイズ、流体入口および流体出口の数等が調節されうる。
【0026】
基板支持体は、処理チャンバ100内での基板の処理を可能にするポジションで示されている。中央シャフト132、基板支持体106または107、及びアーム部134は、アクチュエータ(図示せず)によって下降させられうる。複数のリフトピン105が、基板支持体106又は107を貫通している。処理ポジションより下のローディングポジションまで基板支持体を下げることにより、リフトピン105が下部ドーム114に接触し、基板支持体106の穴を通過して、基板支持体106から基板108を持ち上げることが可能となる。次いで、ロボット(
図1には図示せず、
図2のロボット208を参照)が処理チャンバ100に入って、ローディングポート103を通じて基板108と係合して取り出す。基板108を取り出したロボットまたは他のロボットが、ローディングポート103を通って処理チャンバに入って、未処理の基板を基板支持体106上に配置する。次いで、基板支持体106が、アクチュエータによって処理ポジションまで上げられ、未処理の基板が処理のためのポジションに配置される。
【0027】
一実施形態によれば、処理チャンバ100内での基板108の処理は、ローディングポート103を通して基板を挿入することと、基板108を基板支持体106または107上に配置することと、基板支持体106または107および基板108を処理ポジションまで上げることと、ランプ102を用いて基板108を加熱することと、基板108全体に処理流体173を流すことと、及び、基板108を回転させることを含む。場合によっては、基板は処理中に上げまたは下げられうる。
【0028】
本開示のいくつかの態様によれば、処理チャンバ100内のエピタキシャル処理は、処理チャンバ100内の圧力が大気圧よりも低いように制御することを含む。一実施形態によれば、処理チャンバ100内の圧力は、約10torr~80torrに下げられる。他の実施形態によれば、処理チャンバ100内の圧力は、約80torr~300torrに低減される。一実施形態によれば、真空ポンプ180が、処理前及び/又は処理中に処理チャンバ100の圧力を下げるために作動される。
【0029】
処理流体173は、1つ以上の処理流体入口174から処理チャンバ100内に導入され、1つ以上の処理流体出口178を通って処理チャンバ100から出る。処理流体173は、例えば、熱分解または他の反応によって、基板108上に1つ以上の材料を堆積させる。基板108上に材料を堆積させた後で、反応から流出物(すなわち、排ガス)166、175が形成される。流出物166、175は、処理流体出口178を通って処理チャンバ100を出る。
【0030】
基板108の処理が完了すると、処理チャンバ100は、パージガス入口164を通してパージガス165(例えば、水素または窒素)が導入されることによって、処理流体173および流出物166、175がパージされる。パージガス165は、パージガス入口164の代わりに、またはパージガス入口164に加えて、処理流体入口174を通して導入されうる。パージガス165は、処理流体出口178を通って処理チャンバを出る。
【0031】
例示的なインラインチャンバメトロロジー
本開示の実施形態では、基板は、処理チャンバの真空を破ることなく、処理チャンバ内で処理され、検査および/または測定されうる。一実施形態では、ロードロックチャンバが、弁を介して処理チャンバと接続される。ロードロックは、基板を検査および/または測定するために使用されうる1つ以上の計器を有する収容されたプローブを備えた、機械的アーム部を有する。基板は、処理チャンバから取り出され、弁を通過してロードロックの中へと入れることが可能であり、そこで、1つ以上の計器が基板を検査および/または測定する。ロードロック内の圧力は、処理チャンバの圧力と同様のレベルに維持され、または当該レベルまで下げられており、処理チャンバの真空を破ることなく、基板の測定および検査が可能となる。その後、基板は、追加の処理のために処理チャンバに戻されてよく、追加の処理のパラメータ(例えば、温度またはガス流量)は、ロードロックで行われた測定および検査に基づいて決定される。
【0032】
本開示の態様に係るロードロックと共に利用されうる測定技術および検査技術には、共焦点蛍光顕微鏡法および画像化、赤外線、紫外線、および可視線の反射(エリプソメトリを含む)、ラマン散乱、先端増強ラマン散乱、表面プラズモンポラリトン増強ラマン散乱、第2高調波、和周波分光法、原子間力顕微鏡法(AFM:atomic force microscopy)、走査トンネル顕微鏡法(STM:scanning tunneling microscopy)、テラヘルツ波走査またはミリ波走査、および、X線蛍光(XRF:x-ray fluorescence)が含まれる。
【0033】
他の実施形態では、複数のビューポートがプロセスチャンバ上に配置される。レーザ、X線放出器、および/または、電磁放射の他の放出器が、第1のビューポートを通って処理チャンバ内の基板上に照射することが可能であり、基板から散乱した(例えば、反射されまたは屈折させられた)放射線は、第2のビューポートを通って処理チャンバから出て、処理チャンバの外部の計器によって検出、収集、および/または測定されうる。基板は、基板が処理チャンバ内にある間に、処理チャンバの真空を破ることなく検査および/または測定されうる。
【0034】
本開示の態様に従って、処理チャンバ上に配置されたビューポートと共に利用されうる測定技術および検査技術には、共焦点蛍光顕微鏡法および画像化、赤外線、紫外線、および可視線の反射(エリプソメトリを含む)、ラマン散乱、第2高調波、和周波分光法、テラヘルツ波走査またはミリ波走査、および、X線蛍光(XRF)が含まれる。
【0035】
図2は、本開示の一実施形態に係る例示的な処理システム200を示す上面図である。処理システム200は、ロードロックチャンバ204と、移送チャンバ206と、移送チャンバ206内のハンドリング(例えば、ツールおよび材料ハンドリングまたは基板ハンドリング)ロボット208と、第1のCVD処理チャンバ210と、第2のCVD処理チャンバ212と、制御ステーション214と、ALD処理チャンバ216と、マスクチャンバ218とを含む。第1のCVD処理チャンバ210、第2のCVD処理チャンバ212、ALD処理チャンバ216、および各チャンバに関連するハードウェアは、好ましくは、例えば、アルミニウム、陽極酸化アルミニウム、ニッケルめっきアルミニウム、ステンレス鋼、石英、ならびに、それらの組み合わせおよび合金といった、1つ以上のプロセス適合性材料から形成される。第1のCVD処理チャンバ210、第2のCVD処理チャンバ212、およびALD処理チャンバ216は、コーティングされる基板の形状および他の処理要件によって必要とされるように、円形、矩形、または別の形状であってよい。
【0036】
移送チャンバ206は、ロードロックチャンバ204、第1のCVD処理チャンバ210、第2のCVD処理チャンバ212、ALD処理チャンバ216、およびマスクチャンバ218に隣接する側壁に設けられたスリット弁開口221、223、225、227、229を含む。ハンドリングロボット208は、基板ハンドリングブレード209および/または1つ以上の他のツールを、スリット弁開口221、223、225、227、229のそれぞれを通して、隣接するチャンバ内に挿入することが可能であるよう配置および構成される。すなわち、ハンドリングロボットは、他のチャンバのそれぞれに隣接する移送チャンバ206の壁部にあるスリット弁開口221、223、225、227、229を介して、ロードロックチャンバ204、第1のCVD処理チャンバ210、第2のCVD処理チャンバ212、ALD処理チャンバ216、およびマスクチャンバ218に、ツールを挿入することが可能である。本明細書では「ブレード」とも呼ばれる基板ハンドリングブレードには、本開示の態様によれば、基板監視装置が具備されうる。このようなブレードの一例を、以下で
図7を参照して説明する。基板、ツール、または他の物品が隣接するチャンバの1つに挿入されまたは隣接するチャンバの1つから取り除かれるときに、スリット弁開口221、223、225、227、229は、隣接するチャンバの内部へのアクセスを可能にするために、スリット弁220、222、224、226、228によって選択的に開閉される。
【0037】
移送チャンバ206、ロードロックチャンバ204、第1のCVD処理チャンバ210、第2のCVD処理チャンバ212、ALD処理チャンバ216、およびマスクチャンバ218は、真空システム(例えば、真空ポンプ)と流体連通する1つ以上の開孔(図示せず)を含む。上記開孔は、種々のチャンバ内のガスの出口を提供する。いくつかの実施形態では、チャンバはそれぞれ、別個の独立した真空システムに接続される。さらに別の実施形態では、チャンバのいくつかは真空システムを共有するが、他のチャンバは別個の独立した真空システムを有する。真空システムは、種々のチャンバを通るガスの流れを調節するために、真空ポンプ(図示せず)およびスロットル弁(図示せず)を含みうる。
【0038】
本開示の態様によれば、第1のCVD処理チャンバ210は、弁215を介してロードロック211と接続されうる。ロードロック211は、基板を検査および/または測定するために使用されうる1つ以上の計器を有する収容されたプローブを備えた、機械的アーム部を有しうる(
図3を参照)。基板は、第1のCVD処理チャンバ210から取り出され、弁215を通ってロードロック211内に入り、そこで、1つ以上の計器が基板を検査および/または測定することが可能である。計器は、共焦点蛍光顕微鏡または撮像システム、1つ以上の赤外線レーザ、紫外線レーザ、および/または可視光レーザ、1つ以上の電荷結合素子(CCD:charge-coupled device)検出器、1つ以上のテルル化カドミウム水銀(MCT:mercury cadmium telluride)検出器、1つ以上のヒ化インジウムガリウム(InGaAs:indium gallium arsenide)検出器、先端強化ラマン散乱用の先端を有する機械的プローブ、原子間力顕微鏡プローブ、走査トンネル顕微鏡プローブ、テラヘルツ波またはミリ波トランシーバアンテナ、ならびに、X線放出器およびX線検出器、のうちの1つ以上を含んでよい。機械的アーム部、収容されたプローブ、および計器については、以下で
図3を参照しながら、より詳細に説明する。ロードロック211内の圧力を、第1のCVD処理チャンバ210の圧力と同様のレベルに下げまたは当該圧力に維持することが可能であり、第1のCVD処理チャンバ210の真空を破ることなく、基板の測定および検査が可能となる。
【0039】
同様に、第2のCVD処理チャンバ212は、弁218を介してロードロック213に接続され、ALD処理チャンバ216は、弁219を介してロードロック217と接続されうる。ロードロック213および217の各々は、基板を検査および/または測定するために使用されうる1つ以上の計器を有する、収容されたプローブを有する機械的アーム部を有しうる(
図3を参照)。上述のように、基板は、第2のCVD処理チャンバ212の真空を破ることなく、第2のCVD処理チャンバ212から取り除かれて、弁218を通ってロードロック213内に入りうる。また上記のように、基板は、ALD処理チャンバ216の真空を破ることなく、ALD処理チャンバ216から取り出されて、弁219を通ってロードロック217内に入りうる。ロードロック213または217内に入ると、プローブの計器が、第2のCVD処理チャンバ212またはALD処理チャンバ216の真空を破ることなく、基板を測定および/または検査しうる。
【0040】
図3は、本開示の態様に係る例示的なロードロック300の概略的な等角図を示している。ロードロック300は、
図2に示したロードロック211、213、217の一例でありうる。収容されたプローブ304を備えた機械的アーム部302が、ロードロックポート308を介して基板306にアクセスしうる。基板306は、ロードロック内の基板支持体310(例えば、基板支持ブレードまたはペデスタル)上に置かれうる。プローブは、レーザ源または他の放出器から基板へと、電磁放射(例えば、赤外線レーザ光、紫外線レーザ光、可視レーザ光、ミリ波、またはX線)を搬送するための光ファイバケーブルまたは金属ケーブルを含みうる。追加的にまたは代替的に、プローブは、1つ以上のレーザ源、テラヘルツ波またはミリ波トランシーバアンテナ、およびX線放出器を含んでよい。プローブはまた、1つ以上の電荷結合素子(CCD)検出器、テルル化カドミウム水銀(MCT)検出器、ヒ化インジウムガリウム(InGaAs)検出器、先端強化ラマン散乱用の先端を有する機械的プローブ、原子間力顕微鏡プローブ、走査トンネル顕微鏡プローブ、X線検出器、および/または、基板を測定および/または検査するための他の種類の計器を含んでもよい。また、ロードロック300は、ロードロック300からガス(例えば、処理チャンバからロードロックに入りうる処理流体)を抜くための1つ以上のターボ真空ポートを含んでもよい。
【0041】
機械的アーム部302は、プローブ304を基板に接近させることが可能であるため、近視野検査技術および遠視野検査技術の双方が、ロードロック300内で行われるのに適している。
【0042】
本開示の態様によれば、プローブ304は真空に曝露されたときに、限られたガス放出しか行わない材料(例えば、石英)に収容(封入)することが可能であり、プローブの材料(例えば、光ファイバストランド)からのガス放出からの、基板の汚染が防止される。基板に接近しまたは接触していることを必要とする計器(例えば、先端強化ラマン散乱のための機械的プローブ先端、原子間力顕微鏡、または走査トンネル顕微鏡)は、真空に曝露されたときに、限られたガス放出しか行わない材料に収容されなくてよい。代わりに、基板に近接しまたは接触することを必要とする計器は、真空に暴露されたときに限られたガス放出を経験する材料(例えば、鋼)で構築されうる。
【0043】
図4は、本開示の態様に係る、複数のビューポート402および404を有する処理チャンバ400(例えば、ALDチャンバ)の概略的な等角図を示している。ビューポートは、電磁放射424および426(例えば、赤外光、紫外光、可視光、X線、および/またはミリ波放射)に対して半透過性の石英または他の材料から作製されうる。第1のビューポート402は、電磁放射による基板406の照射が、大きなグレージング角度(すなわち、基板の上面に対して垂直から測定される角度)で行われることを可能とするよう配置されうる。第2のビューポート404は、検出器430が、大きなグレージング角度と類似した角度で、基板から散乱した電磁放射432を受け取りおよび/または検出することを可能とするよう配置されうる。処理チャンバ400は、
図1Aおよび
図1Bに示す処理チャンバ100を代表するものでありうる。処理チャンバは、1つ以上の処理流体入口474を介して処理流体供給源472に接続されてよく、真空ポンプ480に接続された処理流体出口478を含んでよい。基板406は、ロードロック内の基板支持体410(例えば、基板支持ブレードまたはペデスタル)上に置かれうる。基板支持体410は、処理チャンバの性能にとって望ましい場合には、加熱されうる。
【0044】
電磁放射ビーム424、426の1つ以上のレーザ(例えば、赤外線レーザ、紫外線レーザ、可視光レーザ、若しくはX線レーザ)420、422、または他の放出器が、ビューポート402を通じて基板406を照射しうる。図示のように、レーザは、800ナノメートル(nm)の波長を有するフェムト秒・ピコ秒(fs-ps)パルス可視レーザと、1~4マイクロメートル(μm)の範囲の波長を有するfs-psパルス中赤外(mid-IR)レーザと、を含みうるが、本開示はこのようには限定されず、他の波長の放出器が使用されうる。レーザまたは他の放出器は、放出器によって放出された電磁放射が一貫した角度で基板を照射するように、ロードロックに取り付けられうる。基板の測定中および検査中に、制御された再現可能なやり方で、放射線に基板の表面に亘ってラスタ走査させるように、レーザおよび他の放出器の取り付けが1つ以上のアクチュエータ(図示せず)を用いて移動されうる。1つ以上のミラー442Aおよび442B、半波長板444Aおよび444B、偏光子446Aおよび446B、ならびにレンズ(例えば、焦点レンズ)448Aおよび448Bは、放射線に基板の表面に亘ってラスタ走査させるように、アクチュエータ(図示せず)によって移動されうる。追加的に又は代替的に、放出器からの電磁放射は、光ファイバケーブル又は他の導管によって方向付けられてよく、ケーブルおよび/または導管は、放射線に基板の表面に亘ってラスタ走査させるために、アクチュエータによって移動される。
【0045】
基板を照射した結果基板から散乱した(例えば、反射されまたは屈折させられた)電磁放射432は、ビューポート404を介して処理チャンバ400から出うる。1つ以上の開孔450、コリメータ452、偏光子454、ミラー456、フィルタ458、およびレンズ460によって、電磁放射432が、1つ以上の電荷結合素子(CCD)検出器430、テルル化カドミウム水銀(MCT)検出器、ヒ化インジウムガリウム(InGaAs)検出器、分光計、および、基板を測定および/または検査するための他の種類の計器へと方向付けられうる。CCD検出器、MCT検出器、InGaAs検出器、分光計、および他の計器は、ビューポート404を出た電磁放射432を検出および/または測定して、基板に関する測定値および他のデータを決定することが可能である。検出器または他の計器は、基板から散乱した電磁放射が、一貫した角度で測定または検出されるように、ロードロックに取り付けられうる。検出器および他の計器の取り付けは、当該検出器および他の計器が、基板の測定中および検査中に放出器が基板に亘ってラスタ走査させられたことに応じて、基板から散乱した放射線を受け取るよう、1つ以上のアクチュエータ(図示せず)によって移動させられうる。追加的にまたは代替的に、開孔450、コリメータ452、偏光子454、ミラー456、フィルタ458、およびレンズ460は、電磁放射432を検出器および/または計器に向かって方向付けるために、アクチュエータを介して移動させられてよい。
【0046】
基板支持体410は、基板の測定および検査の一部として、処理チャンバ内を移動してよい。例えば、基板支持体410は、ビューポート402を介して入射する1つ以上のビーム424、426が基板の表面に亘って走査(例えば、ラスタ走査)されるように、処理チャンバ400内で基板を動かしうる。追加的に又は代替的に、走査ガルバノミラーが、放出器からのビームを基板の表面に亘って走査するために利用されうる。ガルバノミラーは、処理チャンバ400内に配置されてよく、または処理チャンバ400の外部に位置してよい。
【0047】
図4に示される実施形態は、基板406の上面を走査するビームを示すが、本開示は、このようには限定されない。本開示の態様によれば、基板支持体410は、切り取られた部分を有しまたはビームに対して半透過性であってよく(例えば、プリズム)、ビューポート402および404は、ビームが基板の下面を走査することを可能とするよう配置されてよい。
【0048】
本開示の態様によれば、第2高調波発生(SHG:second harmonic generation)および和周波発生(SFG:sum frequency generation)分光法が、ALD、CVD、PECVD、PVD、誘電体堆積、ポリマー層堆積、およびSRPを介して堆積される表面といった処理表面を監視するために利用されうる。SFG分光法は、材料の二次分子超分極率を精査し、非中心対称媒体中のどのモードが活性であるかを示す。SFGおよびSHGは、2次非線形光学プロセスであり、ここでは、2つの入射光子が、媒体表面または界面で空間的および時間的に重なり合ったときに、互いに、および表面と相互作用して、上記2つの入射光子の周波数の和の周波数を有する1つの光子を生成する。入射光子が両方とも同じ光源から来る(したがって同じ周波数である)ときは、結果として生じるプロセスが、第2高調波発生(SHG)と呼ばれる。両方の入射光子が異なる周波数であるときには、結果的に生じる光学プロセスは、和周波発生(SFG)と呼ばれる。これらの2次光学プロセスは、光子エネルギーと運動量の保存に従う。光子運動量の保存は、プロセスに高度に方向性を持たせ、従って、SFGまたはSHG光子は、入射光子、または他の非線形光学プロセスからの他の光子から、空間的に分離されうる。2次超分極性が非中心対称媒体においてのみ、例えば界面、表面においてのみ活性であり、または、対称中心を有さない分子についてさえも活性であるため、SFGおよびSHGは、表面感度が高いプロセスでもある(例えば、Nature 337(6207)、519~525頁、1989年を参照)。例えば、SFG分光法は、以下の
図5を参照して説明するように、白金-水素結合に関連する特定の波数の強度を測定することによって、白金上の水素(H
2)の原子層堆積を監視するために利用されうる。SFG分光法は、AlO
x結合に関連する特定の波数の強さを測定することによって、シリコン基板上の酸化アルミニウム/酸化ケイ素(AlO
x/SiO
x)の原子層堆積を監視するためにも利用されうる(例えば、E.Kessels他著、Journal of Vacuum Science & Technology A35、05C313(2017年)、https://doi.org/10.1116.4993597)で入手可)。
【0049】
図5は、異なる流量の水素に白金が曝露され、白金の表面の和周波発生測定が行われるALDプロセスにおける、白金上への水素の原子層堆積の監視を示す曲線を示したグラフ500である。曲線510は、白金を最高流量で水素に曝露した後の一組の波数(cm
-1単位で測定)についての一組のSFG強度(s
-1単位で測定)を示す。白金を最高流量で水素に曝露した後に、SFG分光法は、点512に示すように、波数2020cm
-1の比較的高い強度(すなわち、1.1を超える)を示している。白金をより低い流量で水素に曝露した後に、SFG分光法は、点514に示すように、波数2020cm
-1のより低い強度(すなわち、約0.95)を示している。続いてより低い流量での、白金の水素への第3、第4、第5、および第6の曝露のそれぞれの後で、SFG分光法は、点516、518、および520に示すように、波数2020cm
-1のさらに低い強度(すなわち、0.90未満)を示す。白金を最低流量で水素に曝露した後で、SFG分光法は、点522に示すように、波数2020cm
-1の最低強度(すなわち、0.38)を示している。
【0050】
本開示の態様によれば、SFG分光法の技術は、表面および界面に非常に特化しており、従って、SFG分光法からのデータの解析では、典型的に、測定された信号からバックグラウンド信号を減算する必要がない。
【0051】
図6は、本開示の態様に係る、ALD処理中に基板670(例えば、白金)を監視するよう構成された例示的なSFG分光システム600の概略図である(例えば、ACS Catalysis、2014年,4(6)、1964~1971頁を参照)。例示的なALD処理チャンバ680では、水素が位置682でチャンバ内に流れ込み、さらに基板上を流れ、これにより水素の解離が引き起こされて、基板上に層が形成される。質量分析計(MS:mass spectrometer)が、基板上に堆積した水素の量に関するデータを収集するために、チャンバを出るガスを監視する。加熱ロッド684およびピストン686が、ALDチャンバ内の温度および圧力を制御する。例示的なSFG分光システムでは、可変波長レーザシステム(すなわち、1つ以上の電磁放射放出器)602が、赤外線範囲(すなわち1~9マイクロメートル、例えば、4~7マイクロメートルまたは5~6マイクロメートル)の波長を有するレーザ光604の第1のパルスと、可視範囲(すなわち520~900ナノメートル、例えば、600~900ナノメートル、750~850ナノメートル、または800ナノメートル)の波長を有するレーザ光606の第2のパルスと、を生成する。次いで、レーザ光の第1のパルスが、第1のパルスの周波数を所望の周波数に微調整する種々のフィルタ608を通過する。次いで、第1のパルスは、レンズ610によって照準されて、第1のビューポート652に入射して、処理チャンバの中に入る。第2のパルスは、フィルタ616を通過して、第2のパルスの周波数が微調整される。レンズ620が、第2のパルスを第1のビューポート652を通して処理チャンバ内へと向ける。第1のパルスおよび第2のパルスは、プリズム612を介して照準されて、基板670を照射してもよい。第1のパルスおよび第2のパルスは、それらが基板を照射するときに相互作用して、第2高調波パルス630を生成する。第2高調波パルスは、第2ビューポート654を介して処理チャンバから出るために、プリズム612を介して照準されうる。レンズ640およびフィルタ642が、第2高調波パルスを方向付け、第1のパルスおよび第2のパルスの反射をフィルタで除去することができ、これにより、光電子増倍管632(PMT:photomultiplier tube)が、第2高調波パルスを収集することが可能である。PMTは、第2高調波パルスに関する情報をボックスカー積分器634に供給する。最後に、ボックスカー積分器が、解釈のためにコンピュータ636に信号を供給する。
【0052】
本開示の態様によれば、第1のビューポート652および第2のビューポート654は、フッ化マグネシウム(MgF2)またはフッ化カルシウム(CaF2)から形成されうる。というのは、これらの材料は、赤外線範囲の波長を有する第1のパルスと、可視範囲の波長を有する第2のパルスと、の両方の透過を可能とするからである。
【0053】
図7は、本開示の態様に係る例示的な基板ハンドリングブレード700の概略図である。例示的な基板ハンドリングブレードは、基板支持ブレード702と、計器支持アーム部704と、を含みうる。計器支持アーム部は、レーザ源706(例えば、1つ以上の電磁放射放出器、レーザ、または、遠隔レーザからレーザ光を搬送する光ファイバケーブルといったレーザ光の他の源)および分光計708を支持しうる。
図6に示すように、レーザ源は、異なる波長を有するレーザ光710、712の2つのパルスを送出しうる。
図6に示すように、レーザ源は、レーザ光のパルスを基板ハンドリングブレード上の基板に向けるために、1つ以上のミラー、フィルタ、エタロン、およびレンズを含みうる。分光計はまた、第1のパルスおよび第2のパルスの反射720および722を両方とも遮断し、第2高調波パルス724を分光計内の検出器に向けるために、1つ以上の絞り、フィルタ、レンズ、および偏光子を含みうる。
【0054】
本開示の態様によれば、計器支持アーム部704および基板ハンドリングブレード702は、処理チャンバ(例えば、
図1に示す処理チャンバ100)内へと一緒に移動しうる。追加的にまたは代替的に、計器支持アーム部は、基板ハンドリングブレードが処理チャンバに入るときには、基板ハンドリングブレードとは独立して動きうる(例えば、遠ざかるように回転しうる)。
【0055】
本開示の態様では、レーザ源706および/または分光計708といった計器支持アーム部704上の計器は、基板ハンドリングブレードが移送チャンバ(例えば、
図2に示す移送チャンバ206)内にある間に、基板ハンドリングブレードによって支持される基板の監視を行うことが可能であり、処理システム内の真空を破る必要なく、基板の監視および/または検査が可能となる。
【0056】
本開示の態様によれば、分光計は、相補型金属酸化膜半導体(CMOS:complimentary metal-oxide-semiconductor)分光計、またはフォトニック結晶ファイバ(PCF:photonic crystal fiber)ベースの分光計でありうる。
【0057】
前述の検討のより良い理解を提供するために、上記の非限定的な例が提供される。実施例は、特定の実施形態を対象としうるが、実施例は、いかなる特定の点においても本開示を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0058】
以上の記述は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく、本開示の他の実施形態及びさらなる実施形態を考案されうる。本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。