(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-04
(45)【発行日】2024-06-12
(54)【発明の名称】調味組成物及び食品
(51)【国際特許分類】
A23L 27/00 20160101AFI20240605BHJP
A23L 27/10 20160101ALI20240605BHJP
A23L 25/00 20160101ALI20240605BHJP
【FI】
A23L27/00 D
A23L27/10 C
A23L25/00
(21)【出願番号】P 2019111236
(22)【出願日】2019-06-14
【審査請求日】2022-03-28
(73)【特許権者】
【識別番号】713011603
【氏名又は名称】ハウス食品株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100196405
【氏名又は名称】小松 邦光
(72)【発明者】
【氏名】柴田 いづみ
(72)【発明者】
【氏名】川波 克明
(72)【発明者】
【氏名】戚 丹
【審査官】戸来 幸男
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/047748(WO,A1)
【文献】特開2018-014957(JP,A)
【文献】>> Murraya koenigii - ナンヨウザンショウ,2009年10月01日,pp.1-2,retrieved on 2023.03.24, retrieved from the internet,http://www.eonet.ne.jp/~yoyo-ensoleile/herbarium/balcony/murraya_koenigii/murraya_koenig_jp.html
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 27/00-27/60
FSTA/CAplus/AGRICOLA/BIOSIS/
MEDLINE/EMBASE(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Google
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
種実類及び/又はナッツ類と、カレーリーフ及び/又はその抽出物と、焙煎フェヌグリークとを含む調味組成物
であって、
前記種実類及び前記ナッツ類の含有量に対する前記カレーリーフ及びその抽出物の含有量(生葉換算)の比が、質量比で1×10
-5
~0.2である、調味組成物。
【請求項2】
種実類及び/又はナッツ類と、カレーリーフ及び/又はその抽出物とを含む調味組成物であって、
前記カレーリーフ及びその抽出物の含有量(生葉換算)が、前記調味組成物の全質量に対して1×10
-5~0.2質量%である、調味組成物。
【請求項3】
フェヌグリークをさらに含む、請求項2に記載の調味組成物。
【請求項4】
前記種実類及び前記ナッツ類の含有量に対する前記カレーリーフ及びその抽出物の含有量(生葉換算)の比が、質量比で1×10
-5~0.2である、請求項
2又は3に記載の調味組成物。
【請求項5】
脱脂粉乳、白胡椒、ホエイパウダー、チーズ、及び酵母エキスからなる群から選択される少なくとも1種をさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の調味組成物。
【請求項6】
焙煎唐辛子、焙煎マスタードシード、焙煎クミン、焙煎キャラウェイ、焙煎アニス、焙煎セロリシード、焙煎コリアンダー、焙煎ターメリック、焙煎パプリカ、及び焙煎ガーリックからなる群から選択される少なくとも1種をさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の調味組成物。
【請求項7】
黒胡椒、花椒、山椒、及びキャラウェイからなる群から選択される少なくとも1種をさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の調味組成物。
【請求項8】
種実類及び/又はナッツ類と、カレーリーフ及び/又はその抽出物と、焙煎フェヌグリークとを含む食品
であって、
前記種実類及び前記ナッツ類の含有量に対する前記カレーリーフ及びその抽出物の含有量(生葉換算)の比が、質量比で1×10
-5
~0.2である、食品。
【請求項9】
種実類及び/又はナッツ類と、カレーリーフ及び/又はその抽出物とを含む食品であって、
前記カレーリーフ及びその抽出物の含有量(生葉換算)が、前記食品の全質量に対して1×10
-6~0.02質量%である、食品。
【請求項10】
フェヌグリークをさらに含む、請求項9に記載の食品。
【請求項11】
前記種実類及び前記ナッツ類の含有量に対する前記カレーリーフ及びその抽出物の含有量(生葉換算)の比が、質量比で1×10
-5~0.2である、請求項
9又は10に記載の食品。
【請求項12】
脱脂粉乳、白胡椒、ホエイパウダー、チーズ、及び酵母エキスからなる群から選択される少なくとも1種をさらに含む、請求項8~11のいずれか一項に記載の食品。
【請求項13】
焙煎唐辛子、焙煎マスタードシード、焙煎クミン、焙煎キャラウェイ、焙煎アニス、焙煎セロリシード、焙煎コリアンダー、焙煎ターメリック、焙煎パプリカ、及び焙煎ガーリックからなる群から選択される少なくとも1種をさらに含む、請求項8~12のいずれか一項に記載の食品。
【請求項14】
黒胡椒、花椒、山椒、及びキャラウェイからなる群から選択される少なくとも1種をさらに含む、請求項8~13のいずれか一項に記載の食品。
【請求項15】
種実類及び/又はナッツ類を含む食品において、前記種実類及び/又は前記ナッツ類の風味を増強する方法であって、
カレーリーフ及び/又はその抽出物
を、前記種実類及び前記ナッツ類の含有量に対する前記カレーリーフ及びその抽出物の含有量(生葉換算)の比が質量比で1×10
-5
~0.2となるように前記食品に添加する工程、及び、
焙煎フェヌグリーク
を前記食品に添加する工程
を含む方法。
【請求項16】
種実類及び/又はナッツ類を含む食品において、前記種実類及び/又は前記ナッツ類の風味を増強する方法であって、カレーリーフ及び/又はその抽出物を、その含有量(生葉換算)が前記食品の全質量に対して1×10
-6~0.02質量%となるように前記食品に添加する工程を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調味組成物及び食品に関しており、特に特定の原料の風味が増強されている調味組成物及び当該風味が増強されている食品に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の調味料を予め配合し、炒め物などの目的の惣菜を調理するために使用される合わせ調味料(メニュー用調味料)は、種々の惣菜を簡便に調理することを可能とするものであり、家庭で広く利用されている。また、カレーリーフは、南インドやスリランカなどでよく利用されているハーブであり、特許文献1には、カレーリーフの親水性溶媒抽出物が、塩味増強作用を有する旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ある種のメニュー用調味料には、風味付けのために胡麻やピーナッツなどの種実類又はナッツ類が添加されていることがあるが、これらはアレルゲンとなり得るものであるため、種実類及び/又はナッツ類の使用量を少なくすることが求められている。そこで、本発明は、たとえ種実類及び/又はナッツ類の使用量が少なかったとしても、その風味を十分に感じることができるように、種実類及び/又はナッツ類の風味が増強された調味組成物又は食品を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、カレーリーフ又はその抽出物が種実類及び/又はナッツ類の風味を増強できることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、以下に示す調味組成物、食品、風味増強剤、及び風味を増強する方法を提供するものである。
〔1〕種実類及び/又はナッツ類と、カレーリーフ及び/又はその抽出物とを含む調味組成物。
〔2〕前記種実類及び前記ナッツ類の含有量に対する前記カレーリーフ及びその抽出物の含有量(生葉換算)の比が、質量比で1×10-5~0.2である、前記〔1〕に記載の調味組成物。
〔3〕前記カレーリーフ及びその抽出物の含有量(生葉換算)が、前記調味組成物の全質量に対して1×10-5~0.2質量%である、前記〔1〕又は〔2〕に記載の調味組成物。
〔4〕フェヌグリークをさらに含む、前記〔1〕~〔3〕のいずれか一項に記載の調味組成物。
〔5〕脱脂粉乳、白胡椒、ホエイパウダー、チーズ、及び酵母エキスからなる群から選択される少なくとも1種をさらに含む、前記〔1〕~〔4〕のいずれか一項に記載の調味組成物。
〔6〕焙煎唐辛子、焙煎マスタードシード、焙煎クミン、焙煎キャラウェイ、焙煎アニス、焙煎セロリシード、焙煎コリアンダー、焙煎ターメリック、焙煎パプリカ、及び焙煎ガーリックからなる群から選択される少なくとも1種をさらに含む、前記〔1〕~〔5〕のいずれか一項に記載の調味組成物。
〔7〕黒胡椒、花椒、山椒、及びキャラウェイからなる群から選択される少なくとも1種をさらに含む、前記〔1〕~〔6〕のいずれか一項に記載の調味組成物。
〔8〕種実類及び/又はナッツ類と、カレーリーフ及び/又はその抽出物とを含む食品。
〔9〕前記種実類及び前記ナッツ類の含有量(生葉換算)に対する前記カレーリーフ及びその抽出物の含有量(生葉換算)の比が、質量比で1×10-5~0.2である、前記〔8〕に記載の食品。
〔10〕前記カレーリーフ及びその抽出物の含有量(生葉換算)が、前記食品の全質量に対して1×10-6~0.02質量%である、前記〔8〕又は〔9〕に記載の食品。
〔11〕フェヌグリークをさらに含む、前記〔8〕~〔10〕のいずれか一項に記載の食品。
〔12〕脱脂粉乳、白胡椒、ホエイパウダー、チーズ、及び酵母エキスからなる群から選択される少なくとも1種をさらに含む、前記〔8〕~〔11〕のいずれか一項に記載の食品。
〔13〕焙煎唐辛子、焙煎マスタードシード、焙煎クミン、焙煎キャラウェイ、焙煎アニス、焙煎セロリシード、焙煎コリアンダー、焙煎ターメリック、焙煎パプリカ、及び焙煎ガーリックからなる群から選択される少なくとも1種をさらに含む、前記〔8〕~〔12〕のいずれか一項に記載の食品。
〔14〕黒胡椒、花椒、山椒、及びキャラウェイからなる群から選択される少なくとも1種をさらに含む、前記〔8〕~〔13〕のいずれか一項に記載の食品。
〔15〕カレーリーフ及び/又はその抽出物を含む、種実類及び/又はナッツ類の風味増強剤。
〔16〕種実類及び/又はナッツ類を含む食品において、前記種実類及び/又は前記ナッツ類の風味を増強する方法であって、カレーリーフ及び/又はその抽出物を前記食品に添加する工程を含む方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明に従えば、種実類及び/又はナッツ類の風味を有する調味組成物又は食品に、カレーリーフ及び/又はその抽出物を併せて配合することにより、種実類及び/又はナッツ類の風味を増強することができる。したがって、調味組成物又は食品において種実類及び/又はナッツ類の使用量を抑えることが可能となり、例えば、アレルゲンが低減された調味組成物又は食品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明は、種実類及び/又はナッツ類と、カレーリーフ及び/又はその抽出物とを含む調味組成物に関している。本明細書に記載の「調味組成物」とは、調理中の食材に又はできあがった料理に味や香りなどを付与するための組成物のことをいう。前記調味組成物は、例えば、炒め物や煮物などの種々の調理品を作製するためのメニュー用調味料、鍋や麺用のスープの素、並びに、カレー、シチュー、ハヤシライスソース、ハッシュドビーフ、及びその他各種ソースを調理するためのルウなどとして使用することができる。
【0008】
本明細書に記載の「種実類」とは、硬い皮や殻に包まれた食用の果実及び種子の総称であり、本明細書に記載の「ナッツ類」とは、前記種実類のうちの木の実と一般にナッツと認識されている一部の豆類との総称である。前記種実類及び/又は前記ナッツ類としては、当技術分野で使用されるものを特に制限されることなく採用することができるが、例えば、前記種実類及び/又は前記ナッツ類は、胡麻、ピーナッツ、アーモンド、クルミ、カシューナッツ、及びペカンナッツからなる群から選択される少なくとも1種であってもよい。前記種実類及び前記ナッツ類の含有量は、特に限定されず、前記調味組成物を用いて作製する食品の種類に応じて、適宜調整することができる。
【0009】
本明細書に記載の「カレーリーフ」とは、オオバゲッキツ又はナンヨウザンショウなどと呼ばれるミカン科の樹木の葉であり、特に南インドやスリランカでハーブとして利用されている。本発明の調味組成物においては、前記カレーリーフは、葉のまま又は粉砕物の形態で使用してもいいし、前記カレーリーフから常法により調製した抽出物又はそれを含む香料の形態で使用してもよい。前記抽出物は、特に限定されないが、例えば、パーム油などの植物油若しくは牛脂などの動物性油脂などの油脂、水若しくはアルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、及びイソプロパノールなどの低級アルコール)などの親水性溶媒、又はそれらの組合せを用いて、単独の溶媒による抽出又は複数の溶媒による連続的な抽出により調製してもよく、具体的には、カレーリーフの油脂抽出物をさらにエタノールで抽出して調製した抽出物又はそれを含む香料が、本発明の調味組成物に好適に用いられ得る。
【0010】
前記調味組成物において、前記種実類及び前記ナッツ類の含有量に対する前記カレーリーフ及びその抽出物の含有量(生葉換算)の比は、特に限定されないが、例えば、質量比で約1×10-5以上であってもよく、好ましくは約1×10-4以上であり、あるいは、約0.2以下であってもよく、好ましくは約0.1以下又は約0.05以下、さらに好ましくは約0.01以下又は約0.005以下である。また、前記カレーリーフ及びその抽出物の含有量(生葉換算)は、本発明の調味組成物の全質量に対して約1×10-5~約0.2質量%であってもよく、好ましくは約1×10-4~約0.1質量%であってもよく、さらに好ましくは約1×10-4~約0.05質量%である。このような範囲の量で前記カレーリーフ又はその抽出物が配合されると、カレーリーフ自体の特徴香はほとんど感じられないにもかかわらず、前記種実類及び前記ナッツ類の香ばしい風味、特に口に入れたときに最初に感じる味(先味)が良好に増強される。
【0011】
本発明の調味組成物は、フェヌグリークをさらに含んでもよい。前記フェヌグリークは、特に限定されないが、例えば、フェヌグリーク粉末又は焙煎フェヌグリーク粉末などとして配合してもよい。前記フェヌグリークは、前記種実類及び前記ナッツ類の後味に渋みを付与することで、その風味を増強することができる。特に、焙煎処理を施したフェヌグリークでは、フェヌグリーク自体の雑味が低減されているため、より好適に使用することができる。
【0012】
本発明の調味組成物は、脱脂粉乳、白胡椒、ホエイパウダー、チーズ、及び酵母エキスからなる群から選択される少なくとも1種をさらに含んでもよい。これらの原料は、前記種実類及び前記ナッツ類の乳感を増強することができる。
【0013】
本発明の調味組成物は、焙煎唐辛子、焙煎マスタードシード、焙煎クミン、焙煎キャラウェイ、焙煎アニス、焙煎セロリシード、焙煎コリアンダー、焙煎ターメリック、焙煎パプリカ、及び焙煎ガーリックからなる群から選択される少なくとも1種をさらに含んでもよい。これらの原料は、前記種実類及び前記ナッツ類の香ばしい風味を増強し、特に先味に続いて感じる味(中味)を増強することができる。
【0014】
本発明の調味組成物は、黒胡椒、花椒、山椒、及びキャラウェイからなる群から選択される少なくとも1種をさらに含んでもよい。これらの原料は、前記種実類及び前記ナッツ類の香ばしい風味を増強し、特に先味を増強することができる。
【0015】
本発明の調味組成物は、これを使用して調製する食品に応じて、追加の調味料及び/又は追加の香辛料をさらに含んでもよい。また、前記調味組成物は、本発明の目的を損なわない限り、当技術分野で通常使用される任意の食品原料(例えば、澱粉質原料、又は油脂など)又は任意の添加剤(例えば、乳化剤、酸味料、甘味料、又は増粘剤など)をさらに含んでもいいし、前記種実類及び/又は前記ナッツ類の風味を増強するのに有効な他の添加剤をさらに含んでもよい。そして、前記調味組成物は、当技術分野で通常使用される任意の方法により製造することができる。
【0016】
ある態様では、本発明は、前記種実類及び/又は前記ナッツ類と、前記カレーリーフ及び/又はその抽出物とを含む食品にも関している。前記食品の具体的な態様は、特に制限されず、例えば、炒め物や煮物などの惣菜、鍋用スープ、麺用スープ、カレー、シチュー、ハヤシライスソース、ハッシュドビーフ、ドレッシング、ふりかけ、タレ類、スナック・菓子類、及びデザート類などであってもよい。
【0017】
前記食品において、前記種実類及び前記ナッツ類の含有量に対する前記カレーリーフ及びその抽出物の含有量(生葉換算)の比は、特に限定されないが、例えば、質量比で約1×10-5以上であってもよく、好ましくは約1×10-4以上であり、あるいは、約0.2以下であってもよく、好ましくは約0.1以下又は約0.05以下、さらに好ましくは約0.01以下又は約0.005以下である。また、前記カレーリーフ及びその抽出物の含有量(生葉換算)は、前記食品の全質量に対して約1×10-6~約0.02質量%であってもよく、好ましくは約1×10-5~約0.01質量%であってもよく、さらに好ましくは約1×10-5~約0.005質量%である。このような範囲の量で前記カレーリーフ又はその抽出物が配合されると、カレーリーフ自体の特徴香はほとんど感じられないにもかかわらず、前記種実類及び前記ナッツ類の香ばしい風味、特に先味が良好に増強される。
【0018】
本発明の食品は、フェヌグリークをさらに含んでもよい。前記フェヌグリークは、特に限定されないが、例えば、フェヌグリーク粉末又は焙煎フェヌグリーク粉末などとして配合してもよい。前記フェヌグリークは、前記種実類及び前記ナッツ類の後味に渋みを付与することで、その風味を増強することができる。特に焙煎処理を施したフェヌグリークでは、フェヌグリーク自体の雑味が低減されているため、より好適に使用することができる。
【0019】
本発明の食品は、脱脂粉乳、白胡椒、ホエイパウダー、チーズ、及び酵母エキスからなる群から選択される少なくとも1種をさらに含んでもよい。これらの原料は、前記種実類及び前記ナッツ類の乳感を増強することができる。
【0020】
本発明の食品は、焙煎唐辛子、焙煎マスタードシード、焙煎クミン、焙煎キャラウェイ、焙煎アニス、焙煎セロリシード、焙煎コリアンダー、焙煎ターメリック、焙煎パプリカ、及び焙煎ガーリックからなる群から選択される少なくとも1種をさらに含んでもよい。これらの原料は、前記種実類及び前記ナッツ類の香ばしい風味を増強し、特に先味に続いて感じる味(中味)を増強することができる。
【0021】
本発明の食品は、黒胡椒、花椒、山椒、及びキャラウェイからなる群から選択される少なくとも1種をさらに含んでもよい。これらの原料は、前記種実類及び前記ナッツ類の香ばしい風味を増強し、特に先味を増強することができる。
【0022】
本発明の食品は、その種類に応じて、追加の調味料及び/又は追加の香辛料をさらに含んでもよい。また、前記食品は、本発明の目的を損なわない限り、当技術分野で通常使用される任意の食品原料又は任意の添加剤をさらに含んでもいいし、前記種実類及び/又は前記ナッツ類の風味を増強するのに有効な他の添加剤をさらに含んでもよい。そして、前記食品は、当技術分野で通常使用される任意の方法により製造することができる。
【0023】
ある態様では、本発明は、前記カレーリーフ及び/又はその抽出物を含む、前記種実類及び/又は前記ナッツ類の風味増強剤にも関している。また別の態様では、本発明は、前記種実類及び/又は前記ナッツ類を含む食品において、前記種実類及び/又は前記ナッツ類の風味を増強する方法であって、前記カレーリーフ及び/又はその抽出物を前記食品に添加する工程を含む方法にも関している。
【0024】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0025】
〔試験例1〕
表1に記載の量の牛脂豚脂混合油及び小麦粉を使用して、常法により小麦粉ルウを調製した。そして、これら以外の原料を表1に記載の量で前記小麦粉ルウと適宜混合し、100℃になるまで加熱撹拌した。その後、60℃になるまで冷却し、これを容器に充填して冷却固化することによって、実施例1~3及び比較例1の調味組成物(ブロック状の固形ルウ)を調製した。なお、カレーリーフ粉砕物は、カレーリーフの生葉をミキサーにより撹拌して粉砕したものである。官能試験においては、調製した各調味組成物50gを90℃のお湯300gに溶き、再加熱して、その風味を5人のパネルが以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
(胡麻の風味)
◎◎:胡麻の風味が極めて強い(実施例3)
◎:「◎◎」ほどではないが胡麻の風味が強い
○:「×」よりも胡麻の風味が強まっている
×:胡麻の風味が弱い(比較例1)
【0026】
【0027】
胡麻ペーストを含みカレーリーフ粉砕物が含まれていない比較例1の調味組成物では、胡麻の風味がほとんど感じられなかったが、カレーリーフ粉砕物を併せて含む実施例1~3の調味組成物では、胡麻の風味が強まっていた。具体的には、実施例1の調味組成物では、胡麻に特有の先味が強まって感じられ、カレーリーフ粉砕物に加えて焙煎フェヌグリーク粉末を含む実施例2の調味組成物では、胡麻に特有の後味に渋みが加わり、胡麻の風味に厚みが感じられた。そして、カレーリーフ粉砕物及び焙煎フェヌグリーク粉末に加えて焙煎ガーリック粉末及び黒胡椒を含む実施例3の調味組成物では、胡麻の香ばしさや胡麻に特有の中味も増強され、胡麻の風味全体が非常に強まって感じられた。なお、実施例1~3の調味組成物では、カレーリーフの特徴香は感じられなかった。
【0028】
〔試験例2〕
アーモンドバター(株式会社サンクゼール製)、クルミバター(株式会社サンクゼール製)、又はピーナッツバター(株式会社サンクゼール製)と、カレーリーフ粉砕物と、焙煎フェヌグリーク粉末と、90℃のお湯とを、表2~4に記載の割合で混合した。そして、各試料の風味を、5人のパネルが以下の基準で評価した。結果を表2~4に示す。
(風味)
◎:ナッツ類の風味が非常に強い
○:「◎」ほどではないがナッツ類の風味が強まっている
×:ナッツ類の風味が弱い
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
アーモンドバター、クルミバター、及びピーナッツバターのいずれに関しても、これを単独でお湯に溶いた場合には、使用量が少なかったため、各ナッツ類の風味はあまり感じられなかったが(試料1、4、及び7)、これらのナッツ類にカレーリーフ粉砕物を添加すると、各ナッツ類の風味が強く感じられるようになった(試料2、3、5、6、8、及び9)。特に、カレーリーフ粉砕物に加えて焙煎フェヌグリーク粉末も添加すると、各ナッツ類の風味がさらに増強された(試料3、6、及び9)。なお、カレーリーフ粉砕物が添加された試料では、カレーリーフの特徴香は感じられなかった。
【0033】
〔試験例3〕
実施例1のカレーリーフ粉砕物に代えて、カレーリーフの油脂抽出物をさらにエタノールで抽出して調製した抽出物を含むカレーリーフ香料を0.01質量部使用し、かつデキストリンの量を減らして全体の質量を100質量部に調整した以外は、試験例1に記載の方法に従って調味組成物(ブロック状の固形ルウ)を調製した。そして、このカレーリーフ香料を含む調味組成物がもたらす風味を、試験例1に記載の方法で評価したところ、比較例1の調味組成物よりも胡麻の風味が強く感じられた(評価:○)。
【0034】
また、上記カレーリーフ香料又はカレーリーフ粉砕物と、胡麻ペーストと、90℃のお湯とを、表5に記載の割合で混合した。そして、各試料の風味を、試験例2に記載の方法に従って評価した。結果を表5に示す。
【0035】
【0036】
胡麻ペーストを単独でお湯に溶いた場合には、使用量が少なかったため、その風味はあまり感じられなかったが(試料10)、そこへカレーリーフ香料又はカレーリーフ粉砕物を添加すると、いずれの場合においても同様に胡麻の風味が強く感じられるようになった(試料11及び12)。なお、カレーリーフの特徴香は感じられなかった。
【0037】
以上より、種実類及び/又はナッツ類を含む調味組成物又は食品に、カレーリーフ及び/又はその抽出物を併せて配合すると、種実類及び/又はナッツ類の風味が増強されることが分かった。したがって、調味組成物又は食品において種実類及び/又はナッツ類の使用量を抑えることが可能となり、例えば、アレルゲンが低減された調味組成物又は食品を提供することができる。