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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-04
(45)【発行日】2024-06-12
(54)【発明の名称】VR映像生成装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/60 20230101AFI20240605BHJP
   G06T 5/50 20060101ALI20240605BHJP
【FI】
H04N23/60 500
G06T5/50
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020125755
(22)【出願日】2020-07-22
(65)【公開番号】P2022021886
(43)【公開日】2022-02-03
【審査請求日】2023-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100161148
【弁理士】
【氏名又は名称】福尾 誠
(72)【発明者】
【氏名】久富 健介
(72)【発明者】
【氏名】川喜田 裕之
(72)【発明者】
【氏名】新井田 利之
【審査官】櫃本 研太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-164782(JP,A)
【文献】特開2019-121858(JP,A)
【文献】国際公開第2018/117099(WO,A1)
【文献】特開2018ー109946(JP,A)
【文献】国際公開第2017/068928(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/003938(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/222-5/257、23/00、23/40-23/76、23/90-23/959
H04N 7/18
G06T 1/00-1/40,3/00-5/94、7/00-7/90
G03B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
VRカメラにより撮影されたVR映像と、2Dカメラにより前記VRカメラよりも狭い範囲を高い解像度で撮影された2D映像とを入力し、前記2D映像がマッピングされたVR映像を生成するVR映像生成装置であって、
同位置且つ同タイミングで撮影された前記VR映像及び前記2D映像を入力し、前記VR映像から前記VRカメラの姿勢を示す第1姿勢情報を生成し、前記2D映像から前記2Dカメラの姿勢を示す第2姿勢情報、及び前記2Dカメラのレンズの特性を示すレンズ特性情報を生成するキャリブレーション部と、
前記第1姿勢情報、前記第2姿勢情報、及び前記レンズ特性情報に基づいて、前記2D映像を前記VR映像にマッピングした合成映像を生成する映像合成部と、
前記合成映像の現フレームの撮影方向を第1フレームの撮影方向に一致させたVR映像を生成する回転補正部と、
を備える、VR映像生成装置。
【請求項2】
VRカメラにより撮影されたVR映像と、2Dカメラにより前記VRカメラよりも狭い範囲を高い解像度で撮影された2D映像とを入力し、前記2D映像がマッピングされたVR映像を生成するVR映像生成装置であって、
同位置且つ同タイミングで撮影された前記VR映像及び前記2D映像を入力し、前記VR映像から前記VRカメラの姿勢を示す第1姿勢情報を生成し、前記2D映像から前記2Dカメラの姿勢を示す第2姿勢情報、及び前記2Dカメラのレンズの特性を示すレンズ特性情報を生成するキャリブレーション部と、
前記第2姿勢情報及び前記レンズ特性情報から、前記2D映像の前フレーム及び現フレームの位置を合わせた上で、現フレームにおいて前フレームとの差分が閾値以下の領域を静止画像として抽出する静止領域抽出部と、
前記第1姿勢情報、前記第2姿勢情報、及び前記レンズ特性情報に基づいて、前記静止画像を順次前記VR映像にマッピングした合成映像を生成する映像合成部と、
前記合成映像の現フレームの撮影方向を第1フレームの撮影方向に一致させたVR映像を生成する回転補正部と、
を備える、VR映像生成装置。
【請求項3】
前記VRカメラ及び前記2Dカメラは、撮影時に接続部を介して固定される、請求項1又は2に記載のVR映像生成装置。
【請求項4】
VRカメラにより現在撮影された現在VR映像と、過去に生成された過去VR画像とを入力し、前記過去VR画像がマッピングされたVR映像を生成するVR映像生成装置であって、
前記過去VR画像は、2Dカメラにより前記VRカメラよりも狭い範囲を高い解像度で過去に撮影された2D映像をマッピングすることにより生成された画像であり、
前記現在VR映像及び前記過去VR画像を入力し、前記現在VR映像から前記VRカメラの姿勢を示す第1姿勢情報を生成し、前記過去VR画像から、該過去VR画像を撮影したと仮定した仮想的なVRカメラの姿勢を示す第3姿勢情報を生成するキャリブレーション部と、
前記第1姿勢情報及び前記第3姿勢情報に基づいて、前記現在VR映像を前記過去VR画像と撮影方向が一致するように補正した補正VR映像を生成する回転補正部と、
ユーザの指示に基づいて、ディスプレイに表示させる前記現在VR映像及び前記過去VR画像を切り替える表示切替部と、
を備える、VR映像生成装置。
【請求項5】
前記過去VR画像を生成する過去VR画像生成装置は、
前記2D映像を入力し、前記2D映像から前記2Dカメラの姿勢を示す第2姿勢情報、及び前記2Dカメラのレンズの特性を示すレンズ特性情報を生成するキャリブレーション部と、
前記第2姿勢情報及び前記レンズ特性情報から、前記2D映像の前フレーム及び現フレームの位置を合わせた上で、現フレームにおいて前フレームとの差分が閾値以下の領域を静止画像として抽出する静止領域抽出部と、
前記第2姿勢情報及び前記レンズ特性情報に基づいて、前記静止画像を順次マッピングすることにより前記過去VR画像を生成する映像合成部と、
を備える、請求項4に記載のVR映像生成装置。
【請求項6】
コンピュータを、請求項1から5のいずれか一項に記載のVR映像生成装置として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、VR映像生成装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、報道やスポーツなどの鑑賞を目的とした実写動画のVR(Virtual Reality)が増加している。しかし、全天球のVR映像では、撮影解像度が十分でないために、ユーザが注目して見たいところの解像度が足りない場合がある。
【0003】
一方、HMD(Head Mounted Display)などの表示装置は高画質化が進み、高解像度で表示できるものが発表されている。それにあわせてVRカメラを高画質化すると、撮影装置が大型化する。また、VRの性質上、被写体の近くにカメラを置かないと十分な解像度で撮影することができず、近くで撮影する煩雑さが普及を妨げている。
【0004】
また、コンテンツによっては、注目箇所は全天球映像の一部であって、それ以外はその場の雰囲気を感じるために必要なことがある。
【0005】
これらの理由から、注目箇所を部分的に高解像度で表示させることができるVR映像生成装置が望まれている。例えば、特許文献1には、全天球画像(360度画像)に平面画像を重畳することで、画質が低い全天球画像を平面画像で補う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2018-109946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1には、静止画である全天球画像と平面画像とを統合する技術が開示されているものの、VR映像を生成する技術については具体的な開示がない。
【0008】
かかる事情に鑑みてなされた本発明の目的は、部分的に高解像度なVR映像を生成することが可能なVR映像生成装置及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施形態に係るVR映像生成装置は、VRカメラにより撮影されたVR映像と、2Dカメラにより前記VRカメラよりも狭い範囲を高い解像度で撮影された2D映像とを入力し、前記2D映像がマッピングされたVR映像を生成するVR映像生成装置であって、同位置且つ同タイミングで撮影された前記VR映像及び前記2D映像を入力し、前記VR映像から前記VRカメラの姿勢を示す第1姿勢情報を生成し、前記2D映像から前記2Dカメラの姿勢を示す第2姿勢情報、及び前記2Dカメラのレンズの特性を示すレンズ特性情報を生成するキャリブレーション部と、前記第1姿勢情報、前記第2姿勢情報、及び前記レンズ特性情報に基づいて、前記2D映像を前記VR映像にマッピングした合成映像を生成する映像合成部と、前記合成映像の現フレームの撮影方向を第1フレームの撮影方向に一致させたVR映像を生成する回転補正部と、を備える。
【0010】
また、一実施形態に係るVR映像生成装置は、VRカメラにより撮影されたVR映像と、2Dカメラにより前記VRカメラよりも狭い範囲を高い解像度で撮影された2D映像とを入力し、前記2D映像がマッピングされたVR映像を生成するVR映像生成装置であって、同位置且つ同タイミングで撮影された前記VR映像及び前記2D映像を入力し、前記VR映像から前記VRカメラの姿勢を示す第1姿勢情報を生成し、前記2D映像から前記2Dカメラの姿勢を示す第2姿勢情報、及び前記2Dカメラのレンズの特性を示すレンズ特性情報を生成するキャリブレーション部と、前記第2姿勢情報及び前記レンズ特性情報から、前記2D映像の前フレーム及び現フレームの位置を合わせた上で、現フレームにおいて前フレームとの差分が閾値以下の領域を静止画像として抽出する静止領域抽出部と、前記第1姿勢情報、前記第2姿勢情報、及び前記レンズ特性情報に基づいて、前記静止画像を順次前記VR映像にマッピングした合成映像を生成する映像合成部と、前記合成映像の現フレームの撮影方向を第1フレームの撮影方向に一致させたVR映像を生成する回転補正部と、を備える。
【0011】
さらに、一実施形態において、前記VRカメラ及び前記2Dカメラは、撮影時に接続部を介して固定されてもよい。
【0012】
また、一実施形態に係るVR映像生成装置は、VRカメラにより現在撮影された現在VR映像と、過去に生成された過去VR画像とを入力し、前記過去VR画像がマッピングされたVR映像を生成するVR映像生成装置であって、前記過去VR画像は、2Dカメラにより前記VRカメラよりも狭い範囲を高い解像度で過去に撮影された2D映像をマッピングすることにより生成された画像であり、前記現在VR映像及び前記過去VR画像を入力し、前記現在VR映像から前記VRカメラの姿勢を示す第1姿勢情報を生成し、前記過去VR画像から、該過去VR画像を撮影したと仮定した仮想的なVRカメラの姿勢を示す第3姿勢情報を生成するキャリブレーション部と、前記第1姿勢情報及び前記第3姿勢情報に基づいて、前記現在VR映像を前記過去VR画像と撮影方向が一致するように補正した補正VR映像を生成する回転補正部と、ユーザの指示に基づいて、ディスプレイに表示させる前記現在VR映像及び前記過去VR画像を切り替える表示切替部と、を備える。
【0013】
さらに、一実施形態において、前記過去VR画像を生成する過去VR画像生成装置は、前記2D映像を入力し、前記2D映像から前記2Dカメラの姿勢を示す第2姿勢情報、及び前記2Dカメラのレンズの特性を示すレンズ特性情報を生成するキャリブレーション部と、前記第2姿勢情報及び前記レンズ特性情報から、前記2D映像の前フレーム及び現フレームの位置を合わせた上で、現フレームにおいて前フレームとの差分が閾値以下の領域を静止画像として抽出する静止領域抽出部と、前記第2姿勢情報及び前記レンズ特性情報に基づいて、前記静止画像を順次マッピングすることにより前記過去VR画像を生成する映像合成部と、を備えてもよい。
【0014】
また、一実施形態係るプログラムは、コンピュータを、上記VR映像生成装置として機能させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、部分的に高解像度なVR映像を生成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1の実施形態に係るVR映像生成装置の構成例を示すブロック図である。
図2】接続部により一体化されたVRカメラ及び2Dカメラ一例を示す図である。
図3】第2の実施形態に係るVR映像生成装置の構成例を示すブロック図である。
図4】第3の実施形態に係るVR映像生成装置が入力する過去VR画像を生成する過去VR画像生成装置の構成例を示すブロック図である。
図5】第3の実施形態に係るVR映像生成装置の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態に係るVR映像生成装置について説明する。図1に、第1の実施形態に係るVR映像生成装置10を備えるVR映像生成システム1の構成例を示す。
【0019】
VR映像生成システム1は、VRカメラ31と、2Dカメラ32と、接続部33と、VR映像記憶部41と、2D映像記憶部42と、VR映像生成装置10と、特徴点位置情報記憶部21と、第1フレーム姿勢記憶部22と、を備える。なお、図1に記載の複数の記憶部は、適宜統合して、より少ない数の記憶部としてもよいが、説明の便宜上それぞれ分けて記載している。
【0020】
VRカメラ31は、複数のカメラを搭載しており、複数のカメラで撮影した映像をスティッチング(統合)してVR映像を生成する。そして、VRカメラ31は、生成したVR映像をVR映像記憶部41に出力する。VR映像は、例えば全天球映像であるが、360度未満の広視野映像であってもよい。
【0021】
2Dカメラ32は、VRカメラ31よりも狭い範囲を高い画素密度(解像度)で撮影するカメラである。2Dカメラ32は、レンズが取り付けられており、2次元の映像を撮影して、2D映像を2D映像記憶部42に出力する。レンズはズームレンズであってもよいし、単焦点レンズであってもよい。2Dカメラ32の画素数は必ずしもVRカメラ31より大きくなくてもよく、2Dカメラ32のほうが狭い範囲を撮影するため、VRカメラ31より画素密度が高くなる。
【0022】
VRカメラ31及び2Dカメラ32は、撮影時には、相対的な位置関係が変わらないように、接続部(例えば、バー)33を介して固定され、一体化される。図2に、接続部33により一体化されたVRカメラ31及び2Dカメラ32の一例を示す。VRカメラ31が固定された2Dカメラ32は、回転運動と並進運動を伴ってもよい。
【0023】
VR映像生成装置10は、VRカメラ31により撮影されたVR映像と、2Dカメラ32により撮影された2D映像とを入力し、2D映像がマッピングされたVR映像を生成する。VR映像生成装置10が出力するVR映像は、VR映像に高解像度の2D映像がマッピングされているため、部分的に高解像度なVR映像となっている。本明細書では、この部分的に高解像度なVR映像を、「部分高解像度VR映像」と称する。
【0024】
VR映像生成装置10は、収録映像を入力する場合には、VR映像記憶部41からVR映像を入力し、2D映像記憶部42から2D映像を入力する。また、VR映像生成装置10がカメラのライブ出力を入力する場合には、VR映像生成システム1はVR映像記憶部41及び2D映像記憶部42を備えている必要はなく、VR映像生成装置10はVRカメラ31から直接VR映像を入力し、2Dカメラ32から直接2D映像を入力する。
【0025】
VR映像生成装置10は、キャリブレーション部11と、映像合成部12と、回転補正部13と、を備える。VR映像生成装置10は、ワークステーションであってもよいし、ASIC(Application Specific Integrated Circuit),FPGA(field-programmable gate array)などによるハードウェアであってもよい。
【0026】
キャリブレーション部11は、同位置且つ同タイミングで撮影されたVR映像及び2D映像を入力する。同じタイミングで撮影するために、カチンコなどの音をベースにフレームを合わせてもよいし、タイムコードを用いてもよい。また、タイミングを厳密に合わせるために、同期信号をVRカメラ及び2Dカメラ32に入力してもよい。
【0027】
キャリブレーション部11は、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)技術を用いて、VR映像からVRカメラ31の姿勢を求め、VRカメラ31の姿勢を示す第1姿勢情報を生成する。そして、キャリブレーション部11は、VR映像及び第1姿勢情報を映像合成部12に出力する。SLAM技術としては、例えばOpenVSLAMなどのツールが挙げられる。第1姿勢情報には、位置OVR及び方向(回転行列RVR)が含まれる。
【0028】
また、キャリブレーション部11は、SLAM技術を用いて、2D映像から2Dカメラ32の姿勢及び2Dカメラ32のレンズの特性を求め、2Dカメラ32の姿勢を示す第2姿勢情報、及び2Dカメラ32のレンズの特性を示すレンズ特性情報を生成する。そして、キャリブレーション部11は、2D映像、第2姿勢情報、及びレンズ特性情報を映像合成部12に出力する。第2姿勢情報には、位置O2D、並進ベクトルT2D、及び方向(回転行列R2D)が含まれる。レンズ特性情報には、歪係数κ1,κ2、カメラの焦点距離F、及び撮像センサの中心位置Cu,Cvが含まれる。キャリブレーション部11は、VRカメラ31及び2Dカメラ32の姿勢を、同じ座標系で取得する。
【0029】
また、キャリブレーション部11は、キャリブレーション処理を行う際に抽出した2D映像及びVR映像の特徴点の位置を示す特徴点位置情報を生成し、特徴点位置情報記憶部21に記憶させる。特徴点は、SIFT(Scale-Invariant Feature Transform)、ORB(Oriented FAST and Rotated BRIEF)などの既存の技術により、抽出することができる。
【0030】
さらに、キャリブレーション部11は、第1フレームにおけるVRカメラ31の姿勢を示す第1フレーム姿勢情報を、第1フレーム姿勢記憶部22に記憶させる。また、キャリブレーション部11は、前フレームのVRカメラ31に対する2Dカメラ32の方向情報を保存しておき、その周辺のみに対して特徴点を抽出し、マッチングの探索範囲を限定することで、キャリブレーションの処理時間の短縮と精度向上を図ることができる。
【0031】
映像合成部12は、VR映像及び2D映像とともに、第1姿勢情報、第2姿勢情報、及びレンズ特性情報を入力し、該3つの情報に基づいて、2D映像をVR映像にマッピング(上書き)した合成映像を生成する。そして、映像合成部12は、第1姿勢情報及び合成映像を回転補正部13に出力する。例えば、映像合成部12は、プログラムにより、第1姿勢情報、第2姿勢情報、及びレンズ特性情報を反映した仮想的な投射機を仮想空間に設置し、該投射機により投射して、球体内側表面上のテクスチャを上書きすることにより合成映像を生成する。
【0032】
あるいは、映像合成部12は、球体上の画素の位置W=(X,Y,Z)から、次式(1)を用いて2D映像の該当の画素の座標(u,v)を求めて、そのRGB値を球体内側表面上のテクスチャのRGB値に置き換えることにより合成映像を生成する。zは光学主点から撮像面までの距離であり、R2Dは回転行列であり、T2Dは並進ベクトルである。Aはカメラパラメータであり、次式(2)で表される。aは画像のアスペクト比(縦/横)である。Cu,Cvは撮像センサの中心位置である。
【0033】
【数1】
【0034】
この映像合成部12の処理により、回転運動に合わせて、2D映像がマッピングされる位置が移動し、2Dカメラ32のズーム操作に合わせてマッピングするエリアが拡大縮小される。
【0035】
また、映像合成部12は、球体内側上のVR映像と2D映像との境界を滑らかにするために、2Dカメラ32の四辺近傍の映像をVR映像とブレンドしてもよい。
【0036】
回転補正部13は、映像合成部12から第1姿勢情報及び合成映像を入力するとともに、特徴点位置情報記憶部21から特徴点位置情報を読み込み、第1フレーム姿勢記憶部22から第1フレームにおけるVRカメラ31の姿勢情報を読み込む。回転補正部13は、これらの情報から、合成映像の第1フレームと現フレームとの回転差分Rdを算出し、現フレームに対して回転差分Rdの逆行列を乗じ、合成映像の現フレームの撮影方向を第1フレームの撮影方向に一致させる。そして、回転補正部13は、球体の映像を正距投影方式の2D映像に変換する。回転補正部13は、上記処理を次以降のフレームについても繰り返し実施することで、部分高解像度VR映像を生成する。
【0037】
回転補正部13による処理を行わない場合、VRカメラ31が搭載された2Dカメラ32を回転して撮影すると、2Dカメラ32の中心が常に表示側の中央になって、VR映像が回転してしまう。結果的に、ユーザの頭部運動と関係なく映像が回転するため、ユーザに不快感を生じさせるおそれがある。そこで、回転補正部13の処理を行うことにより、VR映像の方向を固定した状態で、相対的に2D映像側が動く映像を生成することができる。回転補正部13の処理により、2Dカメラ32のズーム動作に伴って拡大・縮小する形で表示させることも可能となる。
【0038】
上述したように、VR映像生成装置10は、VRカメラよりも高解像度の2Dカメラにより撮影された2D映像をVR映像にマッピングする。そのため本実施形態によれば、注目すべき被写体を高画質で表示させることができる。換言すれば、全天球映像のうち、2Dカメラで撮影している領域は、全天球のうちでも注目すべき領域と重なることが多く、その部分を高解像度化して表示させることができる。また、撮影時の製作者の意図を高解像度部分に集約することができ、映像制作側の制作意図や視線誘導をユーザに無理なく伝えることができる。
【0039】
また、従来のように、VRカメラ及び2Dカメラを別々に設置して撮影した場合、フレームごとにVRカメラ及び2Dカメラのカメラパラメータを求める必要があるため、撮影時の負担が大きくなる。この点、本実施形態では、VRカメラ31及び2Dカメラ32を接続部33で固定するなどの方法により、同位置で撮影を行う。そのため本実施形態によれば、撮影ポジションが1か所で済み、新たなVRカメラの設営は不要となり、従来の撮影フローから大きく変わらないため、撮影時の負担増加を抑制することができる。また、フレームごとにVRカメラ31及び2Dカメラ32のカメラパラメータ(カメラ位置及び姿勢、並びにレンズ特性)を求める必要がなく、2Dカメラ32のレンズ特性のパラメータのみを求めればよく、高速化が図れる。
【0040】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係るVR映像生成装置について説明する。
【0041】
図3に、第2の実施形態に係るVR映像生成装置10aを備えるVR映像生成システム2の構成例を示す。VR映像生成システム2は、VRカメラ31と、2Dカメラ32と、接続部33と、VR映像記憶部41と、2D映像記憶部42と、VR映像生成装置10aと、特徴点位置情報記憶部21と、第1フレーム姿勢記憶部22と、を備える。なお、図3に記載の複数の記憶部は、適宜統合して、より少ない数の記憶部としてもよいが、説明の便宜上それぞれ分けて記載している。第1の実施形態と同一の構成については、同一の参照番号を付して適宜説明を省略する。
【0042】
VR映像生成装置10aは、キャリブレーション部11aと、映像合成部12aと、回転補正部13aと、静止領域抽出部14と、を備える。VR映像生成装置10aは、第1の実施形態のVR映像生成装置10と比較して、更に静止領域抽出部14を備える点が相違する。VR映像生成装置10aは、ワークステーションであってもよいし、ASIC,FPGAなどによるハードウェアであってもよい。
【0043】
キャリブレーション部11aは、第1の実施形態のキャリブレーション部11と同様に、VRカメラ31の姿勢示す第1姿勢情報、2Dカメラ32の姿勢を示す第2姿勢情報、2Dカメラ32のレンズの特性を示すレンズ特性情報、及び特徴点位置情報を生成する。そして、キャリブレーション部11aは、VR映像及び第1姿勢情報を映像合成部12aに出力し、2D映像、第2姿勢情報、及びレンズ特性情報を静止領域抽出部14に出力し、特徴点情報を特徴点位置情報記憶部21に記憶させる。
【0044】
静止領域抽出部14は、第2姿勢情報及びレンズ特性情報から、2D映像の前フレーム及び現フレームの位置を合わせた上で、現フレームにおいて前フレームとの差分が閾値以下の領域(動きのない領域)を静止画像として抽出し、第2姿勢情報及びレンズ特性情報とともに映像合成部12aに出力する。
【0045】
また、静止領域抽出部14は、2D映像の現フレームの画像、姿勢情報、及びレンズ特性情報を前フレーム情報として、前フレーム情報記憶部23に記憶させる。なお、第1フレームについては、前フレームがないのでこの処理を行わない。
【0046】
映像合成部12aは、VR映像、第1姿勢情報(位置と回転)、2D映像、第2姿勢情報、及びレンズ特性情報を入力する。映像合成部12aは、静止画像を順次マッピングして上書きしたマッピングVR画像を生成し、マッピングVR画像記憶部24に記憶させる。すなわち、映像合成部12aは、マッピングVR画像記憶部24からこれまでにマッピングされたマッピングVR画像を読み込み、入力された第2姿勢情報、及びレンズ特性情報をもとに、静止画像をマッピングVR画像にマッピングし、マッピングVR画像記憶部24に再度書き込む。そして、映像合成部12aは、キャリブレーション部11から入力したVR映像に、マッピングVR画像を合成(上書き)した合成映像を生成し、合成映像及び第1姿勢情報を回転補正部13aに出力する。なお、映像合成部12aは、すでに一度上書きしたところは、2回目からは上書きせずに、各画素において保存しておき、それを時間経過において、順次繰り返し再生、又は順再生と逆再生の混合により、動画化することも可能である。つまり、ある画素に対して、複数マッピングされる場合には、そのマッピングされたRGB値を順次再生すると、簡易的に動画化することができる。ただし、順番に再生していき、最後までいったら初めに戻って再生をし直すと、頭出しによるショック(非連続性)が発生するので、最後まで再生したら逆再生(巻き戻し再生)し、頭まで再生したらまた順再生するというようにすると、ショックのない連続的な動画を再生することができる。
【0047】
回転補正部13aは、第1の実施形態と同様にして部分高解像度VR映像を生成し、外部に出力する。
【0048】
本実施形態においては、VRカメラ31を搭載した2Dカメラ32は、回転運動だけを行い、大きな並進運動を伴わないことを前提とする。並進運動を伴うと2D映像が幾何変換されるため、現フレーム以外のフレームから抽出した静止画像が現フレームのVR映像にマッチングしなくなるためである。
【0049】
第1の実施形態では、高解像度化される領域は、2Dカメラ32で撮影した領域に限定される。一方、本実施形態では、2D映像から静止領域を抽出する処理を加えているため、現フレーム以外のフレームから静止領域をVR映像にマッピングすることで、現フレームにおいて2Dカメラ32が撮影していない領域も高解像度化することができる。
【0050】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係るVR映像生成装置について説明する。
【0051】
図4及び図5に、第3の実施形態に係るVR映像生成装置10bを備えるVR映像生成システム3の構成例を示す。本実施形態では、図4に示す過去VR画像生成装置50により過去VR画像を生成した後に、図5に示すVR映像生成装置10bにより過去VR画像を用いて部分高解像度VR映像を生成する。
【0052】
VR映像生成システム3は、2Dカメラ32と、2D映像記憶部42と、過去VR画像生成装置50と、特徴点位置情報記憶部61と、前フレーム情報記憶部62と、マッピングVR画像記憶部63と、過去VR画像記憶部64と、VRカメラ31と、VR映像記憶部41と、VR映像生成装置10bと、入力I/F81と、ヘッドマウントディスプレイ82と、頭部方向検出センサ83と、を備える。なお、図4,5に記載の複数の記憶部は、適宜統合して、より少ない数の記憶部としてもよいが、説明の便宜上それぞれ分けて記載している。第1の実施形態と同一の構成については、同一の参照番号を付して適宜説明を省略する。
【0053】
まず、図4を参照して、過去VR画像生成装置50について説明する。2Dカメラ32は、ズームレンズ又は単焦点レンズが取り付けられている。2Dカメラ32は、さまざまな方向に向けて撮影した2D映像を2D映像記憶部42に記憶させる。本実施形態では、2Dカメラ32は、回転運動のみを伴い、大きな並進運動を伴っていないことを前提とする。
【0054】
過去VR画像生成装置50は、2D映像記憶部42から、さまざまな方向に向けて撮影された2D映像を入力し、静止領域を抽出した上でスティッチングしてVR画像を生成する。
【0055】
過去VR画像生成装置50は、キャリブレーション部51と、静止領域抽出部52と、映像合成部53と、を備える。過去VR画像生成装置50は、ワークステーションであってもよいし、ASIC,FPGAなどによるハードウェアであってもよい。
【0056】
キャリブレーション部51は、2D映像記憶部42から2D映像を入力する。キャリブレーション部51は、SLAM技術を用いて、2D映像から2Dカメラ32の姿勢を示す第2姿勢情報、及び2Dカメラ32のレンズの特性を示すレンズ特性情報を生成し、2D映像、第2姿勢情報、及びレンズ特性情報を静止領域抽出部52に出力する。また、キャリブレーション部51は、キャリブレーション処理を行う際に抽出した特徴点の位置を特徴点位置情報記憶部61に記憶させる。本実施形態の場合、映像合成部53においてフレームごとに画像をマッピングしていくが、特徴点位置情はフレーム間の画像の相対位置を出すために用いられる。なお、映像(画像群)が一括で入力される場合には、フレームの位置関係が分かるので、特徴点位置情は不要になる。
【0057】
静止領域抽出部52は、2D映像、第2姿勢情報、及びレンズ特性情報を入力するとともに、1つ前のフレームの2D映像、第2姿勢情報、及びレンズ特性情報を前フレーム情報記憶部62に出力する。静止領域抽出部52は、新たなフレームの2D映像、第2姿勢情報及びレンズ特性情報を入力すると、前フレーム情報記憶部62から、前フレームの2D映像、第2姿勢情報、及びレンズ特性情報を読み込む。静止領域抽出部52は、第2姿勢情報及びレンズ特性情報から、2D映像の前フレーム及び現フレームの位置を合わせた上で、現フレームにおいて前フレームとの差分が閾値以下の領域を静止画像として抽出し、カメラ姿勢情報及びレンズ特性情報とともに映像合成部53に出力する。なお、第1フレームに対しては前フレームがないので、この処理は行わない。
【0058】
映像合成部53は、マッピングVR画像記憶部63から、前フレームまでのマッピングVR画像を読み込む。映像合成部53は、静止領域抽出部52から、静止画像、第2姿勢情報、及びレンズ特性情報を入力し、第2姿勢情報及びレンズ特性情報に基づいて、静止画像を順次マッピングすることにより過去VR画像を生成する。具体的には、映像合成部53は、マッピングVR画像記憶部63から読み込んだマッピングVR画像に静止画像をマッピング(上書き)する。映像合成部53は、すべてのフレームについて処理を終えたら、最終的なマッピングVR画像を過去VR画像として過去VR画像記憶部64に記憶させる。すでに一度上書きしたところは、2回目からは上書きせずに、各画素において保存しておき、それを時間経過において、順次繰り返し再生、又は順再生と逆再生の混合により動画化することも可能である。
【0059】
次に、図5を参照して、VR映像生成装置10bについて説明する。VR映像生成装置10bは、VRカメラ31により現在撮影された現在VR映像と、過去に生成された過去VR画像とを入力し、過去VR画像がマッピングされたVR映像を生成する。
【0060】
VRカメラ31は、複数のカメラが搭載されており、該複数のカメラで同じタイミングで撮影した映像をスティッチング(統合)したVR映像を生成し、VR映像記憶部41に出力する。VRカメラ31による撮影は、2Dカメラ32と同じ位置で撮影することを前提とする。
【0061】
VR映像生成装置10bは、キャリブレーション部11bと、回転補正部13bと、表示切替部15と、を備える。VR映像生成装置10bは、ワークステーションであってもよいし、ASIC,FPGAなどによるハードウェアであってもよい。
【0062】
キャリブレーション部11bは、VRカメラ31で撮影された現在のVR映像(現在VR映像)、及び過去VR画像生成装置50により生成された過去VR画像を入力する。キャリブレーション部11bは、SLAM技術を用いて、現在VR映像からVRカメラ31の姿勢を求め、VRカメラ31の姿勢を示す第1姿勢情報を生成する。また、キャリブレーション部11bは、SLAM技術を用いて、過去VR画像から、該過去VR画像を撮影したと仮定した仮想的なVRカメラの姿勢を求め、仮想的なVRカメラの姿勢を示す第3姿勢情報を生成する。そして、キャリブレーション部11bは、現在VR映像、過去VR画像、第1姿勢情報、及び第3姿勢情報を、回転補正部13bに出力する。
【0063】
回転補正部13bは、キャリブレーション部11bから、現在VR映像、過去VR画像、第1姿勢情報、及び第3姿勢情報を入力する。回転補正部13bは、第1姿勢情報及び第3姿勢情報に基づいて、過去VR画像から見た現在VR映像の回転差分Rdを算出する。そして、回転補正部13bは、現在VR映像に回転差分Rdの逆補正Rd -1を施し、現在VR映像を過去VR画像と撮影方向が一致するように補正して補正VR映像を生成する。そして、回転補正部13bは、補正VR映像及び過去VR画像を、表示切替部15に出力する。
【0064】
ヘッドマウントディスプレイ(HMD)82は、右目用及び左目用に表示する2枚のディスプレイと、それぞれ用に2枚の凸レンズで構成された装置であり、ユーザの頭に固定される表示デバイスである。2枚のディスプレイの代わりに、1枚のディスプレイを左右に分割して構成してもよい。
【0065】
頭部方向検出センサ83は、HMD82に取り付けられ、HMD82を装着したユーザの頭部の正面方向を検出するためのセンサである。頭部の正面方向の検出方法には、加速度センサや周囲に配置されたカメラからHMD82上のマーカを検出して求める方法や、HMDに82に設置されたカメラから外の映像を取得して検出する方法などがある。
【0066】
入力I/F81は、ユーザからVR映像生成装置10bに対する指示を受け付けるインターフェースであり、具体的には上下左右方向に移動可能なレバーや、ボタンなどである。入力I/F81は、レバーの上下左右の方向、レバーの位置、ボタンのオン/オフ状態など、ユーザの指示を示す制御信号を表示切替部15に出力する。
【0067】
表示切替部15は、球面の中心部分に左目用と右目用の映像をレンダリングする2つの仮想カメラを瞳間隔分離して設置して、頭部方向検出センサ83により検出された頭部方向に該当する方向の映像をレンダリングする。
【0068】
表示切替部15は、入力I/F81から入力された制御信号(すなわち、ユーザの指示)に基づいてHMD82に表示させる現在VR映像及び過去VR画像を切り替える。過去VR画像はVRカメラ31よりも解像度の高い2Dカメラ32で撮影された画像であるため、表示切替部15がHMD82に表示させる映像は部分高解像度VR映像となる。なお、表示切替部15は、第1フレームで入力された過去VR画像を図示しない記憶部に記憶しておき、第2フレーム以降は該記憶部から読み込むようにしてもよい。
【0069】
表示切替部15は、例えば同一の球面を仮想空間内に重ねて配置し、現在VR映像を一方の球面の内側にマッピングし、過去VR画像を他方の球面の内側にマッピングする。表示切替部15は、現在VR映像及び過去VR画像をそれぞれ可視状態及び不可視状態に切替え可能であり、初期状態では全天球の半分を現在VR映像、残り半分を過去VR画像としてもよい。例えば、ユーザは全天球を回転させることで見たい領域を選択することができ、この場合には、表示切替部15は、入力I/F81から入力された回転指示に基づいて全天球を回転させる。
【0070】
他の表示切替方法として、表示切替部15は、全天球において現在VR映像を可視状態にしておき、入力I/F81からレバーの位置とボタンのオン制御を受けて、該当方向の球体の領域について、過去VR画像及び現在VR映像の可視・不可視状態を反転することで、ユーザの感覚として、はけでなぞった領域だけ過去VR画像が見えるように、表示切替を行ってもよい。その他、表示切替部15は、初めに全天球において現在VR映像を可視状態にしておき、入力I/F81から入力されたボタンのオン/オフ制御に従って、オン状態のときに現在VR映像を可視状態とし、オフ状態のときに過去VR画像を可視状態とすることで、全天球において現在VR映像及び過去VR画像の表示切替を行ってもよい。
【0071】
また、表示切替部15は、入力I/F81の特定のボタンを押されたことを検知すると、双眼鏡で覗いたように、視線方向の映像を拡大して出力する機能を備えていてもよい。視線方向の映像が高解像度化されていれば、ユーザは臨場感を持って視聴することができる。
【0072】
本実施形態によれば、HMD82を装着したユーザが入力I/F81を操作し、現在VR映像と、過去に同じ撮影位置で撮影された過去VR画像とを切り替え表示することができる。これにより、例えば、同じ視点の過去と現在の景色の違いを比較表示することができる。第2の実施形態では、VR映像生成装置10aは2D映像を順次上書きしていくので逐次高精細領域が拡大する形となるが、本実施形態では、VR映像生成装置10bは最初から2Dカメラ32で撮影されたすべての領域において高精細なVR映像を生成することができる。
【0073】
<プログラム>
上記のVR映像生成装置10,10a,10bとして機能させるために、プログラム命令を実行可能なコンピュータを用いることも可能である。コンピュータは、VR映像生成装置10,10a,10bの各機能を実現する処理内容を記述したプログラムを該コンピュータの記憶部に格納しておき、該コンピュータのプロセッサによってこのプログラムを読み出して実行する。これらの処理内容の一部はハードウェアで実現されてもよい。ここで、コンピュータは、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、ワークステーション、PC(Personal Computer)、電子ノートパッドなどであってもよい。プログラム命令は、必要なタスクを実行するためのプログラムコード、コードセグメントなどであってもよい。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)などであってもよい。
【0074】
VR映像生成装置10として機能させるためのプログラムは、例えば、同位置且つ同タイミングで撮影されたVR映像及び2D映像を入力し、VR映像からVRカメラの姿勢を示す第1姿勢情報を生成し、2D映像から2Dカメラの姿勢を示す第2姿勢情報、及び2Dカメラのレンズの特性を示すレンズ特性情報を生成するステップと、第1姿勢情報、第2姿勢情報、及びレンズ特性情報に基づいて、2D映像をVR映像にマッピングした合成映像を生成するステップと、合成映像の現フレームの撮影方向を第1フレームの撮影方向に一致させたVR映像を生成するステップと、をコンピュータに実行させる。
【0075】
VR映像生成装置10aとして機能させるためのプログラムは、例えば、同位置且つ同タイミングで撮影されたVR映像及び2D映像を入力し、VR映像からVRカメラの姿勢を示す第1姿勢情報を生成し、2D映像から2Dカメラの姿勢を示す第2姿勢情報、及び2Dカメラのレンズの特性を示すレンズ特性情報を生成するステップと、第2姿勢情報及びレンズ特性情報から、2D映像の前フレーム及び現フレームの位置を合わせた上で、現フレームにおいて前フレームとの差分が閾値以下の領域を静止画像として抽出するステップと、第1姿勢情報、第2姿勢情報、及びレンズ特性情報に基づいて、静止画像を順次VR映像にマッピングした合成映像を生成するステップと、合成映像の現フレームの撮影方向を第1フレームの撮影方向に一致させたVR映像を生成するステップと、をコンピュータに実行させる。
【0076】
VR映像生成装置10bとして機能させるためのプログラムは、例えば、現在VR映像及び過去VR画像を入力し、現在VR映像からVRカメラの姿勢を示す第1姿勢情報を生成し、過去VR画像から2Dカメラの姿勢を示す第2姿勢情報を生成するステップと、現在VR映像を過去VR画像と撮影方向が一致するように補正した補正VR映像を生成するステップと、ユーザの指示に基づいて、ディスプレイに表示させる現在VR映像及び過去VR画像を切り替えるステップと、をコンピュータに実行させる。
【0077】
また、このプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されていてもよい。このような記録媒体を用いれば、プログラムをコンピュータにインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録された記録媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROM、DVD-ROMなどの記録媒体であってもよい。また、このプログラムは、ネットワークを介したダウンロードによって提供することもできる。
【0078】
上述の実施形態は代表的な例として説明したが、本発明の趣旨及び範囲内で、多くの変更及び置換ができることは当業者に明らかである。したがって、本発明は、上述の実施形態によって制限するものと解するべきではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形又は変更が可能である。例えば、実施形態の構成図に記載の複数の構成ブロックを1つに組み合わせたり、あるいは1つの構成ブロックを分割したりすることが可能である。
【0079】
また、第1の実施形態に係るVR映像生成装置10、及び第2の実施形態に係るVR映像生成装置10aにおいても、第3の実施形態と同様に、入力I/F81から制御信号を入力し、制御信号に基づいて2Dカメラ32で撮影した高解像度領域を拡大し、HMD82に表示する機能を備えていてもよい。これにより、使用中のHMD82の解像度が十分でない場合でも、ユーザは高解像度化された映像を、臨場感を持って視聴することができる。
【符号の説明】
【0080】
1,2,3 VR映像生成システム
10,10a,10b VR映像生成装置
11,11a,11b キャリブレーション部
12,12a,12b 映像合成部
13 回転補正部
14 静止領域抽出部
15 表示切替部
21 特徴点位置情報記憶部
22 第1フレーム姿勢記憶部
23 前フレーム情報記憶部
24 マッピングVR画像記憶部
31 VRカメラ
32 2Dカメラ
33 接続部
41 VR映像記憶部
42 2D映像記憶部
50 過去VR画像生成装置
51 キャリブレーション部
52 静止領域抽出部
53 映像合成部
61 特徴点位置情報記憶部
62 前フレーム情報記憶部
63 マッピングVR画像記憶部
64 過去VR画像記憶部
81 入力I/F
82 ヘッドマウントディスプレイ
83 頭部方向検出センサ
図1
図2
図3
図4
図5