(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-04
(45)【発行日】2024-06-12
(54)【発明の名称】ダイボンディング装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/60 20060101AFI20240605BHJP
【FI】
H01L21/60 311T
(21)【出願番号】P 2020152653
(22)【出願日】2020-09-11
【審査請求日】2023-06-05
(73)【特許権者】
【識別番号】515085901
【氏名又は名称】ファスフォードテクノロジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】酒井 一信
【審査官】正山 旭
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-288796(JP,A)
【文献】特開2015-142006(JP,A)
【文献】特開2020-136361(JP,A)
【文献】特開2017-050565(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0185157(US,A1)
【文献】特開2003-282640(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0177633(US,A1)
【文献】特開2015-177038(JP,A)
【文献】特開2001-358179(JP,A)
【文献】特開2017-183378(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイ供給部からダイをピックアップして反転するピックアップフリップヘッドと、
前記ピックアップフリップヘッドがピックアップした前記ダイをピックアップするトランスファヘッドと、
前記トランスファヘッドがピックアップした前記ダイが載置される第一中間ステージおよび第二中間ステージと、
前記第一中間ステージまたは前記第二中間ステージに載置された前記ダイをピックアップして基板に載置するボンドヘッドと、
前記ピックアップフリップヘッド、前記トランスファヘッド、前記第一中間ステージ、前記第二中間ステージおよび前記ボンドヘッドの動作を制御する制御装置と、
を備え、
前記第一中間ステージおよび前記第二中間ステージは、少なくとも、前記トランスファヘッドによりダイが載置される位置と前記ボンドヘッドによりダイがピックアップされる位置との間を移動可能であり、
前記第一中間ステージは前記ダイを吸着可能であり、
前記第二中間ステージは、前記ダイのバンプに転写するためのフラックスが成膜される収容部を有するダイボンディング装置。
【請求項2】
請求項1のダイボンディング装置において、
前記制御装置は、
前記トランスファヘッドがピックアップした前記ダイを前記第一中間ステージに載置し、
前記第一中間ステージを前記ボンドヘッドがダイをピックアップする位置に移動し、
前記第一中間ステージに載置されたダイをピックアップした前記ボンドヘッドを前記第二中間ステージに移動して前記ダイのバンプを前記収容部の前記フラックスに浸漬するよう構成されるダイボンディング装置。
【請求項3】
請求項2のダイボンディング装置において、
さらに、前記ボンドヘッドがピックアップしたダイを下方から撮像するアンダビジョンカメラを備え、
前記制御装置は、
前記第一中間ステージの上からダイをピックアップした前記ボンドヘッドを前記アンダビジョンカメラの上に移動して前記ダイを撮像し、
前記アンダビジョンカメラの上方から前記第二中間ステージに移動して前記ダイのバンプを前記収容部の前記フラックスに浸漬するよう構成されるダイボンディング装置。
【請求項4】
請求項1のダイボンディング装置において、
前記制御装置は、
前記トランスファヘッドがピックアップした前記ダイのバンプを前記第二中間ステージの前記収容部の前記フラックスに浸漬し、
前記第二中間ステージを前記ボンドヘッドがダイをピックアップする位置に移動し、
前記ボンドヘッドにより前記第二中間ステージの前記収容部内でフラックスが転写されたダイをピックアップするよう構成されるダイボンディング装置。
【請求項5】
請求項1のダイボンディング装置において、
前記第二中間ステージは、前記収容部を有しない第三中間ステージに交換が可能であるダイボンディング装置。
【請求項6】
請求項5のダイボンディング装置において、
前記制御装置は、
前記トランスファヘッドがピックアップした前記ダイを前記第一中間ステージまたは前記第三中間ステージに交互に載置し、
前記第一中間ステージまたは前記第三中間ステージを前記ボンドヘッドがダイをピックアップする位置に交互に移動し、
前記ボンドヘッドにより前記第一中間ステージまたは前記第三中間ステージに載置されたダイを交互にピックアップするよう構成されるダイボンディング装置。
【請求項7】
請求項5のダイボンディング装置において、
前記第一中間ステージは、前記トランスファヘッドがピックアップした前記ダイが裏面を上にして載置され、載置された前記ダイを反転して表面を上にして保持する反転機能および反転しないで裏面を上にして保持する非反転機能の両方を備え、
前記制御装置は、
前記トランスファヘッドがピックアップした前記ダイを前記第一中間ステージに載置し、
前記第一中間ステージを反転して前記第一中間ステージに保持しているダイを前記第三中間ステージに載置し、
前記第二中間ステージを前記ボンドヘッドがダイをピックアップする位置に移動し、
前記ボンドヘッドにより前記第二中間ステージに載置されたダイをピックアップするよう構成されるダイボンディング装置。
【請求項8】
請求項1から4の何れか1項のダイボンディング装置において、
前記第二中間ステージは、前記収容部を有するプレートと、前記プレートの上方に設けられ、フラックスが充填されるスキージと、を備え、
前記制御装置は、前記スキージを固定すると共に、前記プレートを移動することにより、前記収容部の前記フラックスを成膜するよう構成されるダイボンディング装置。
【請求項9】
請求項1から4の何れか1項のダイボンディング装置において、
前記制御装置は、
前記第二中間ステージにおいてフラックスが転写されたダイをピックアップした前記ボンドヘッドをアンダビジョンカメラの上に移動して前記ダイを撮像するよう構成されるダイボンディング装置。
【請求項10】
請求項1から4の何れか1項のダイボンディング装置において、
前記ボンドヘッドを複数備え、
前記第二中間ステージは前記収容部を複数備え、
前記制御装置は、
複数の前記ボンドヘッドのそれぞれにより複数の前記収容部のそれぞれからフラックスが転写されたダイをピックアップするよう構成されるダイボンディング装置。
【請求項11】
請求項1から4の何れか1項のダイボンディング装置において、さらに、
前記基板が固定されるボンドステージと、
前記ボンドステージの上を跨るように第一方向に伸びてその両端がそれぞれ第二方向に沿って移動自在に支持されるビームと、を備え、
前記ボンドヘッドは前記第一方向に沿って移動自在に前記ビームに支持されるよう構成されるダイボンディング装置。
【請求項12】
請求項11のダイボンディング装置において、
前記第一中間ステージ、前記第二中間ステージは前記第一方向に沿って自在に移動可能であるダイボンディング装置。
【請求項13】
請求項12のダイボンディング装置において、
前記トランスファヘッドは前記第二方向に沿って前記ピックアップフリップヘッドからダイをピックアップする位置と前記第二中間ステージとの間を移動可能であるダイボンディング装置。
【請求項14】
請求項11のダイボンディング装置において、
さらに、前記ボンドヘッドよりも高い位置に固定した基板認識カメラを備え、
前記基板は前記第一方向および前記第二方向に沿って移動可能であるダイボンディング装置。
【請求項15】
請求項11のダイボンディング装置において、
前記ビーム、前記ピックアップフリップヘッド、前記トランスファヘッド、前記第一中間ステージおよび前記第二中間ステージをそれぞれ二つ備えるダイボンディング装置。
【請求項16】
ダイ供給部からダイをピックアップして反転するピックアップフリップヘッドと、前記ピックアップフリップヘッドがピックアップした前記ダイをピックアップするトランスファヘッドと、前記トランスファヘッドがピックアップした前記ダイが載置される第一中間ステージおよび第二中間ステージと、前記第一中間ステージまたは前記第二中間ステージに載置された前記ダイをピックアップして基板に載置するボンドヘッドと、を備え、前記第一中間ステージおよび前記第二中間ステージは、少なくとも、前記トランスファヘッドによりダイが載置される位置と前記ボンドヘッドによりダイがピックアップされる位置との間を移動可能であり、
前記第一中間ステージは前記ダイを吸着可能であり、前記第二中間ステージは、前記ダイのバンプに転写するためのフラックスが成膜される収容部を有するダイボンディング装置に前記基板を供給する工程と、
前記第一中間ステージまたは前記ピックアップフリップヘッドから前記ダイをピックアップして前記第二中間ステージに載置すると共に、前記フラックスに前記バンプを浸漬するフラックス転写工程と、
前記バンプに前記フラックスが転写された前記ダイを前記第二中間ステージからピックアップして前記基板に載置するボンディング工程と、
を含む半導体装置の製造方法。
【請求項17】
請求項16の半導体装置の製造方法において、
さらに、前記ボンディング工程と並行して、前記収容部にフラックスを成膜するフラックス成膜工程を含む半導体装置の製造方法。
【請求項18】
請求項17の半導体装置の製造方法において、
さらに、前記第二中間ステージからピックアップした前記フラックスが転写された前記ダイの下面を撮像する工程を含む半導体装置の製造方法。
【請求項19】
請求項17の半導体装置の製造方法において、さらに、
前記ピックアップフリップヘッドから前記ダイをピックアップして前記第一中間ステージに載置する工程と、
前記第一中間ステージからピックアップした前記ダイの下面を撮像する工程と、
前記第二中間ステージからピックアップした前記フラックスが転写された前記ダイの下面を撮像する工程と、
を含む半導体装置の製造方法。
【請求項20】
請求項17の半導体装置の製造方法において、
前記フラックス転写工程において、前記ダイが前記収容部に載置された後、前記ボンディング工程において前記フラックスが転写された前記ダイをピックアップする位置に前記第二中間ステージを移動する半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はダイボンディング装置に関し、例えばフラックス転写を行うダイボンディング装置に適用可能である。
【背景技術】
【0002】
ダイと呼ばれる半導体チップを、例えば、配線基板やリードフレームなど(以下、総称して基板という。)の表面に搭載するダイボンディング装置においては、コレット等の吸着ノズルを用いてダイを基板上に搬送し、押付力を付与すると共に、接合材を加熱することによりダイの表面を上(フェースアップ)にして基板に装着する装置がある。また、ダイボンディング装置の中には、ピックアップしたダイを裏返し(フリップ)表面を下(フェースダウン)にして基板に装着する装置がある。また、ダイの表面に設けられた突起状の接続電極であるバンプにフラックスを塗布して基板に装着される場合がある。ここで、フラックスは半田付け促進剤であり、異物や酸化膜を取り除く浄化作用、接合部の酸化を防止する酸化防止作用および溶けた半田が丸くなるのを抑える表面張力低下作用がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、フェースダウンのボンディングにおいては、フラックスを塗布する場合としない場合がある。また、より高精度化の要求またはより高速化の要求等、ダイボンディング装置において求められる機能が使用者により異なる。
【0005】
本開示の課題は、汎用性がより高いダイボンディング装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
すなわち、ダイボンディング装置は、ダイ供給部からダイをピックアップして反転するピックアップフリップヘッドと、ピックアップフリップヘッドがピックアップしたダイをピックアップするトランスファヘッドと、トランスファヘッドがピックアップしたダイが載置される第一中間ステージおよび第二中間ステージと、第一中間ステージまたは第二中間ステージに載置された前記ダイをピックアップして基板に載置するボンドヘッドと、を備える。第一中間ステージおよび第二中間ステージは、少なくとも、トランスファヘッドによりダイが載置される位置とボンドヘッドによりダイがピックアップされる位置との間を移動可能である。第二中間ステージは、ダイのバンプに転写するためのフラックスが成膜される収容部を有する。
【発明の効果】
【0007】
上記ダイボンディング装置によれば、汎用性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態におけるフリップチップボンダの主要部の概略を示す斜視図である。
【
図2】
図1において矢印A方向から見たときに、ピックアップフリップヘッドおよびトランスファヘッドの動作を説明する図である。
【
図3】
図1において矢印B方向から見たときに、中間ステージおよびボンドヘッドの動作を説明する図である。
【
図4】
図1のダイ供給部の主要部を示す概略断面図である。
【
図5】
図1に示す第二中間ステージのディッピング機構を第二中間ステージの移動方向に対して垂直な方向から見た側面図である。
【
図7】
図1に示すフリップチップボンダにおける第一フェースダウンボンディング方法を説明する斜視図である。
【
図8】
図5に示すフリップチップボンダで実施される第一フェースダウンボンディング方法を示すフローチャートである。
【
図9】第一フェースダウンボンディング方法を説明するための図である。
【
図10】第一フェースダウンボンディング方法を説明するための図である。
【
図11】第一フェースダウンボンディング方法を説明するための図である。
【
図12】第一フェースダウンボンディング方法を説明するための図である。
【
図13】第一フェースダウンボンディング方法を説明するための図である。
【
図14】
図1に示すフリップチップボンダにおける第二フェースダウンボンディング方法の動作を説明する斜視図である。
【
図15】
図14に示すフリップチップボンダで実施される第二フェースダウンボンディング方法を示すフローチャートである。
【
図16】第二フェースダウンボンディング方法を説明するための図である。
【
図17】第二フェースダウンボンディング方法を説明するための図である。
【
図18】
図1に示すフリップチップボンダにおける第三フェースダウンボンディング方法の動作を説明する斜視図である。
【
図19】
図18に示すフリップチップボンダで実施される第三フェースダウンボンディング方法を示すフローチャートである。
【
図20】第三フェースダウンボンディング方法を説明するための図である。
【
図21】第三フェースダウンボンディング方法を説明するための図である。
【
図22】第三フェースダウンボンディング方法を説明するための図である。
【
図23】
図1に示すフリップチップボンダにおける第四フェースダウンボンディング方法を説明する斜視図である。
【
図24】
図23に示すフリップチップボンダで実施される第四フェースダウンボンディング方法を示すフローチャートである。
【
図25】
図1に示すフリップチップボンダにおけるフェースアップボンディングの動作を説明する斜視図である。
【
図26】
図25に示すフリップチップボンダで実施されるフェースアップボンディング方法を示すフローチャートである。
【
図27】第一変形例におけるフリップチップボンダの主要部の概略を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について、図面を用いて説明する。ただし、以下の説明において、同一構成要素には同一符号を付し繰り返しの説明を省略することがある。なお、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。
【0010】
ダイボンディング装置としてのフリップチップボンダについて説明する。なお、実施形態におけるフリップチップボンダは、例えばチップ面積を超える広い領域に再配線層を形成するパッケージであるファンアウト型パネルレベルパッケージ(Fan Out Panel Level Package:FOPLP)等の製造に用いられる。
【0011】
(フリップチップボンダの構成)
図1は実施形態におけるフリップチップボンダの概略構成を示す斜視図である。
図2は
図1において矢印A方向から見たときに、ピックアップフリップヘッドおよびトランスファヘッドの動作を説明する図である。
図3は
図1において矢印B方向から見たときに、中間ステージおよびボンドヘッドの動作を説明する図である。
図4は
図1に示すダイ供給部の主要部を示す概略断面図である。
【0012】
図1に示すように、フリップチップボンダ10は、大別して、ダイ供給部1と、ピックアップ部2と、中間ステージ部3と、ボンディング部4と、各部の動作を監視し制御する制御装置7と、を備える。フリップチップボンダ10は、ダイDの表面(バンプ面)を下にして基板に載置するフェースダウンボンディングおよびダイDの表面を上にして基板に載置するフェースアップボンディングの両方を行うことが可能である。このため、中間ステージ部3に設けられる二つの中間ステージを用いてダイDを反転する機構を備える。また、フェースダウンボンディングをする場合は、二つの中間ステージのうちの一つをバンプにフラックスを塗布するディッピング機構を備えるステージに変更可能である。
【0013】
(ダイ供給部)
ダイ供給部1は、ワークの一例である基板Pに実装するダイDを供給する。
図4に示すように、ダイ供給部1は、分割されたウエハ11を保持するウエハ保持台12と、ウエハ11からダイDを突き上げる突上げユニット13と、を備える。ウエハ保持台12は、
図1に示す駆動機構としてのウエハ保持台テーブル19によってXY方向に移動し、ピックアップするダイDを突上げユニット13の位置に移動させる。ウエハリング14が収納されたウエハカセット(不図示)はフリップチップボンダ10の外部から供給される。ウエハリング14は、ウエハ11が固定され、ウエハ保持台12に取り付け可能な治具である。
【0014】
図4に示すように、ウエハ保持台12は、ウエハリング14を保持するエキスパンドリング15と、ウエハリング14に保持され複数のダイDが粘着されたダイシングテープ16を水平に位置決めする支持リング17と、ダイDを上方に突き上げるための突上げユニット13と、を有する。所定のダイDをピックアップするために、突上げユニット13は、図示しない駆動機構によって上下方向に移動するよう構成されている。
【0015】
ダイシングテープ16上ではダイDの表面は上を向いており、フェースダウンボンディングを行うダイDの表面には、
図4に示すように、例えばバンプDbが設けられている。なお、バンプDbは例えば球状でダイDの表面に離散して複数設けられる。
【0016】
(ピックアップ部)
ピックアップ部2は、ダイDをピックアップして反転するピックアップフリップヘッド21と、ウエハ認識カメラ24と、トランスファヘッド25と、トランスファヘッド25を昇降およびX軸方向に沿って移動させる駆動部27と、を備える。
【0017】
ピックアップフリップヘッド21は、図示しない駆動部により、昇降、回転、反転及びX軸方向に沿って移動する。ピックアップフリップヘッド21はY軸方向に沿う回転軸を中心にXZ面内を回転してピックアップしたダイDを反転する。
図2に示すように、ピックアップフリップヘッド21はダイDを先端に吸着保持するコレット22を有し、トランスファヘッド25はダイDを先端に吸着保持するコレット26を有する。ウエハ認識カメラ24はピックアップされるダイDの真上に設けられる。このような構成によって、ピックアップフリップヘッド21は、ウエハ認識カメラ24の撮像データに基づいてダイDをピックアップし、ピックアップフリップヘッド21を180度回転することによりダイDを反転させて裏面を上に向け、ダイDをトランスファヘッド25に渡す姿勢にする。
【0018】
トランスファヘッド25は、反転したダイDをピックアップフリップヘッド21から受けとり、駆動部27により、X軸方向に沿って移動して中間ステージ部3に載置するよう構成されている。
【0019】
(中間ステージ部)
中間ステージ部3は、ダイDが一時的に載置される第一中間ステージ31_1、第二中間ステージ31_2または第三中間ステージ31_3と、アンダビジョンカメラ34と、を備える。第一中間ステージ31_1、第二中間ステージ31_2および第三中間ステージ31_3は図示しない駆動部によりY軸方向に沿って移動可能である。また、第一中間ステージ31_1はダイDを吸着してY軸方向に沿う回転軸を中心にXZ面内を回転して反転し、第三中間ステージ31_3の上に載置可能である。すなわち、第一中間ステージ31_1および第三中間ステージ31_3によりダイDを反転する機構を構成している。また、第二中間ステージ31_2は後述するディッピング機構を備えている。
【0020】
図3に示すように、第一中間ステージ31_1、第二中間ステージ31_2および第三中間ステージ31_3は、Y軸方向において、トランスファヘッド25とのダイDの受け渡し位置である第一位置P1、第二中間ステージ31_2における後述するフラックス成膜位置である第二位置P2およびボンドヘッド41とのダイDの受け渡し位置である第三位置P3を移動可能である。なお、第二位置P2は、第一中間ステージ31_1と第三中間ステージ31_3とのダイDの受渡し位置でもある。アンダビジョンカメラ34はボンドヘッド41によって保持されているダイDの下面を撮像する。ここで、ダイDの下面は、フェースアップボンディングの場合はダイDの裏面側であり、フェースダウンボンディングの場合はダイDの表面側である。
【0021】
(ボンディング部)
ボンディング部4は、第一中間ステージ31_1、第二中間ステージ31_2または第三中間ステージ31_3からダイDをピックアップし、搬送されてくる基板P上にボンディングする。ボンディング部4はボンドヘッド41と、ボンドヘッド41をZ軸方向に沿って移動させるボンドヘッドテーブル45と、ボンドヘッドテーブル45をY軸方向に沿って移動させるガントリテーブル(Yビーム)43と、ガントリテーブル43をX軸方向に沿って移動させる一対のXビーム(不図示)と、基板Pの位置認識マーク(図示せず)を撮像し、ボンディング位置を認識するボンドカメラ44と、を備える。ガントリテーブル43はボンドステージBS(
図3参照)上を跨るようにY軸方向に沿って伸びてその両端がそれぞれX軸方向に沿って移動自在に一対のXビームに支持されている。ダイDが基板Pにボンディングされる際、基板PはボンドステージBSに吸着固定されている。ボンドカメラ44はボンドヘッドテーブル45に設けられている。
図3に示すように、ボンドヘッド41はダイDを先端に吸着保持するコレット42を有する。
【0022】
このような構成によって、ボンドヘッド41は、第一中間ステージ31_1、第二中間ステージ31_2または第三中間ステージ31_3からダイDをピックアップし、アンダビジョンカメラ34およびボンドカメラ44でボンドヘッド41がダイDを保持する位置を撮像する。この撮像データに基づいてボンディング位置決め補正位置を算出し、ボンドヘッド41を移動して基板PにダイDをボンディングする。
【0023】
図示しないが、フリップチップボンダ10は、基板PをX軸方向に沿って移動させる一組の平行に設けられた搬送レールと、フリップチップボンダ10の外部から搬入される基板Pを搬送レーンに供給する基板供給部と、ダイDが載置された基板Pをフリップチップボンダ10の外部に搬出する基板搬出部と、を備える。このような構成によって、基板供給部から基板Pを供給し、搬送レールに沿ってボンディング位置まで移動し、ボンディング後、基板搬出部まで移動して、基板搬出部に基板Pを渡す。基板PにダイDをボンディング中に、基板供給部は新たな基板Pを供給し、搬送レール上で待機する。
【0024】
制御装置7は、フリップチップボンダ10の各部の動作を監視し制御するプログラム(ソフトウェア)やデータを格納する記憶装置(メモリ)と、メモリに格納されたプログラムを実行する中央処理装置(CPU)と、を備える。
【0025】
(ディッピング機構)
第二中間ステージ31_2に設けられるディッピング機構の構成と動作について
図5および
図6を用いて説明する。
図5は第二中間ステージのディッピング機構の概略を説明する側面図である。
図6は
図5に示すC-C線における断面図である。
【0026】
ダイDのバンプDbにフラックスを塗布するディッピングは、ダイDのバンプDbをフラックスが収納されている凹状の空洞に浸漬して行う。これをフラックス転写という。また、塗布によって失われる空洞のフラックスを補充する。これをフラックス成膜という。これらのフラックス転写およびフラックス成膜を行う機構をディッピング機構という。
【0027】
第二中間ステージ31_2に設けられるディッピング機構8の基本的な構成は特開2015-177038号公報に記載される構成と同様である。
図5に示すように、ディッピング機構8は、スキージ81と、少なくとも1つの凹部で形成されたフラックスFの収容部82dが組み込まれているプレート82pと、を備える。プレート82pはスキージ81の下をY軸方向に沿って移動することが可能である。プレート82pが移動することにより収容部82dにはスキージ81からフラックスFが供給されて均質に成膜される。収容部82dに供給されるフラックスFは、フラックス単体だけではなく、柔軟性があってフラックスと親和性のある物質、例えば、シリコーンを主原料とする非常にやわらかいゲル状素材にフラックスを混在させたものであってもよい。
【0028】
スキージ81は、フラックスFが均一に充填され、底部に設けられた開放口から収容部82dにフラックスFを均一に補充する。スキージ81の底部の開放口は、収容部82dのX軸方向の幅以上の長辺を有する。スキージ81のその下方にY軸方向に沿って延伸するガイドスライダ81sを備える。
【0029】
プレート82pに設けられた収容部82dは、凹状の形状を有する。トランスファヘッド25またはボンドヘッド41は、収容部82dに降下し、ダイDのバンプDbを浸漬させてフラックスを転写する。収容部82dの深さは、バンプDbの厚さ(tb)のおよそ1/2から2/3の深さを有する。例えば、tb=60μmならば、収容部82dの深さはおよそ30μmから40μmとなる。
【0030】
プレート82pは下方にプレート82kを備え、プレート82kは上面にY軸方向に沿って延伸するガイドレール82gを備える。ガイドレール82gはガイドスライダ81sの下を移動可能であり、プレート82pはスキージ81の下をY軸方向に沿って移動することが可能である。例えば、スキージ81をスキージロック83で固定し、プレート82pを移動することにより、収容部82dにフラックスを成膜することができる。
【0031】
トランスファヘッド25またはボンドヘッド41によりバンプDbが設けられたダイDが収容部82d内に浸漬されると、すべてのバンプDbにはんだ付け用フラックスFが均一に塗布される。その後、ボンドヘッド41によりバンプDbにフラックスが転写されたダイDが収容部82dからピックアップまたは引き上げられる。
【0032】
第二中間ステージ31_2によるフラックス成膜動作について以下説明する。まず、第二中間ステージ31_2はフラックス成膜位置に移動し、図示しない駆動部によりスキージロック83が下降してスキージ81を固定する。
【0033】
次に、第二中間ステージ31_2はY軸方向に沿って図の左から右に移動する。これにより、スキージ81に設けられたガイドスライダ81sの下をプレート82kに設けられたガイドレール82gがY軸方向に沿って移動し、スキージ81がプレート82pに対して相対的にY軸方向に沿ってプレート82pの右端から左端に移動する。その結果、スキージ81内のフラックスFはプレート82pの収容部82d内に供給される。次に、第二中間ステージ31_2はY軸方向に沿って図の右から左に移動させて、スキージ81がプレート82pに対して相対的にY軸方向に沿ってプレート82pの左端から右端に移動する。その結果、スキージ81内のフラックスFはプレート82pの収容部82d内に供給される。この第二中間ステージ31_2の往復動作により、プレート82pの収容部82d内にフラックスが成膜される。
【0034】
最後に、スキージロック83が上昇してスキージ81の固定が解除される。
【0035】
(フェースダウンボンディング方法)
実施形態におけるフリップチップボンダ10においては、下記に例示した複数のフェースダウンボンディング方法の実施が可能である。
【0036】
(1)第一フェースダウンボンディング方法
このボンディング方法は、第一中間ステージ31_1とフラックス転写ステージとしての第二中間ステージ31_2とが使用され、ボンドヘッド41によりフラックスにダイを浸漬してフラックス転写が行われる。
【0037】
(2)第二フェースダウンボンディング方法
このボンディング方法は、第一フェースダウンボンディング方法において、フラックス転写の前後においてダイが撮像され、転写ずれが確認される。
【0038】
(3)第三フェースダウンボンディング方法
このボンディング方法は、第一中間ステージ31_1とフラックス転写ステージとしての第二中間ステージ31_2とが使用され、トランスファヘッド25によりフラックスにダイを浸漬してフラックス転写が行われる。
【0039】
(4)第四フェースダウンボンディング方法
このボンディング方法は、フラックス転写を行わないボンディング方法であり、第二中間ステージ31_2がディッピング機構を有しない第三中間ステージ31_3に交換され、ピックアップしたダイDを第一中間ステージ31_1と第三中間ステージ31_3に交互に載置される。
【0040】
(第一フェースダウンボンディング方法)
まず、第一フェースダウンボンディング方法について
図7から
図13、
図2および
図4を用いて説明する。
図7は
図1に示すフリップチップボンダにおける第一フェースダウンボンディング方法の動作を説明する斜視図である。
図8は
図5に示すフリップチップボンダで実施される第一フェースダウンボンディング方法を示すフローチャートである。
図9から
図13は第一フェースダウンボンディング方法を説明するための図であり、
図7に示すフリップチップボンダを矢印Bおよび矢印Aの両方から見たときを一つの図で表した模式図である。
図9から
図13においては、
図3に示すコレット26,42の図示を省略している。
【0041】
第一フェースダウンボンディング方法では、
図7に示すように、第一中間ステージ31_1およびフラックス転写ステージとしての第二中間ステージ31_2を使用する。ここで、第二中間ステージ31_2は、Y軸方向において、トランスファヘッド25とのダイDの受け渡し位置である第一位置P1およびボンドヘッド41とのダイDの受け渡し位置である第三位置P3を移動可能である。なお、第三位置P3に対して第一位置P1よりも離れた第二位置P2において、第二中間ステージ31_2はフラックス成膜を行う。
【0042】
実施形態における半導体装置の製造方法のダイボンディング工程では、まず、
図4に示すウエハ11から分割されたダイDが貼付されたダイシングテープ16を保持したウエハリング14をフリップチップボンダ10に搬入する。制御装置7は、ウエハ11を保持しているウエハリング14をダイ供給部1のウエハ保持台12に載置する。また、基板Pを準備し、フリップチップボンダ10に搬入する。
【0043】
(ステップS1:ウエハダイ認識)
制御装置7は、ウエハ保持台テーブル19によりウエハ保持台12をダイDのピックアップが行われる基準位置まで移動する。次いで、制御装置7は、ウエハ認識カメラ24によってピックアップ対象のダイDを撮像し、撮像して取得した画像から、ウエハ11の配置位置がその基準位置と正確に一致するように微調整(アライメント)を行う。すなわち、制御装置7はウエハ保持台テーブル19によりピックアップするダイDが突上げユニット13の真上に位置するように
図4に示すウエハ保持台12を移動し、剥離対象ダイを突上げユニット13とコレット22に位置決めする。
【0044】
(ステップS2:ウエハダイピックアップ)
図2に示すように、制御装置7はダイシングテープ16の裏面に突上げユニット13の上面が接触するように突上げユニット13を上方に移動する。このとき、制御装置7は、ダイシングテープ16を突上げユニット13の上面に吸着する。制御装置7は、コレット22を真空引きしながら下降させ、剥離対象のダイDの上に着地させ、ダイDを吸着する。制御装置7はコレット22を上昇させ、ダイDをダイシングテープ16から剥離する。これにより、ダイDはピックアップフリップヘッド21によりピックアップされる。
【0045】
(ステップS3:ピックアップフリップヘッド移動)
制御装置7はピックアップフリップヘッド21をピックアップ位置から反転位置に移動する。
【0046】
(ステップS4:ピックアップフリップヘッド反転)
図2に示すように、制御装置7はピックアップフリップヘッド21を180度回転させ、ダイDのバンプDbが形成されている面(表面)を反転させて下方に向け、ダイDをトランスファヘッド25に渡す姿勢にする。
【0047】
(ステップS5:トランスファヘッド受渡し)
図2に示すように、制御装置7はコレット26を真空引きしながら下降させ、ピックアップフリップヘッド21が保持しているダイDの上に着地させ、ダイDを吸着する。ピックアップフリップヘッド21のコレット22による吸着を解除すると共に、トランスファヘッド25のコレット26を上昇させてダイDをピックアップする。これにより、ダイDのトランスファヘッド25への受渡しが行われる。
【0048】
(ステップS6:ピックアップフリップヘッド反転)
図2に示すように、制御装置7は、ピックアップフリップヘッド21を反転し、コレット22の吸着面を下方に向ける。
【0049】
(ステップS7:トランスファヘッド移動)
図2に示すように、ステップS6の前または並行して、制御装置7は駆動部27によりトランスファヘッド25をX軸方向に沿ってピックアップフリップヘッド21とのダイDの受渡し位置から第一中間ステージ31_1の上に移動する。ここで、
図7に示すように、第一中間ステージ31_1は、Y軸方向において、第一位置P1に位置する。
【0050】
(ステップS8:第一中間ステージダイ載置)
図2および10(a)に示すように、制御装置7はトランスファヘッド25を下降させてトランスファヘッド25に保持しているダイDを第一中間ステージ31_1に載置する。
【0051】
(ステップS9:トランスファヘッド移動)
図2に示すように、制御装置7はトランスファヘッド25を上昇させてトランスファヘッド25をX軸方向に沿って第一中間ステージ31_1の上方からピックアップフリップヘッド21とのダイDの受渡し位置に移動する。
【0052】
(ステップS10:第一中間ステージ位置移動)
図11(a)に示すように、ステップS9の後または並行して、制御装置7は第一中間ステージ31_1をY軸方向に沿って第一位置P1から第三位置P3に移動する。
【0053】
(ステップS11:第一中間ステージダイ位置認識)
図13(a)に示すように、ステップS10の後、制御装置7は、ボンドヘッド41を第三位置P3に移動する前に、第一中間ステージ31_1に載置されているダイDをボンドカメラ44により撮像してダイDの位置を認識する。この状態では、第二中間ステージ31_2はフラックス成膜済みである。また、トランスファヘッド25は、次のダイDを保持して第一位置P1において待機している。第一中間ステージ31_1は第三位置P3で待機している。
【0054】
(ステップS12:ボンドヘッド受渡し)
図13(b)に示すように、制御装置7はボンドヘッドテーブル45によりボンドヘッド41を下降させて、ボンドヘッド41のコレットによりダイDを吸着する。そして、
図9(a)に示すように、制御装置7はボンドヘッドテーブル45によりボンドヘッド41を上昇させて第一中間ステージ31_1からダイDをピックアップする。これにより、ダイDのボンドヘッド41への受渡しが行われる。この状態では、第二中間ステージ31_2はフラックス転写位置である第二位置P2に位置し、第二中間ステージ31_2の収容部82dには成膜されたフラックスが格納されている。また、トランスファヘッド25はダイDを保持して、第一中間ステージ31_1が戻るのを待っている。
【0055】
(ステップS13:第一中間ステージ位置移動)
図9(b)に示すように、制御装置7は第一中間ステージ31_1をY軸方向に沿って第三位置P3から第一位置P1に移動する。
【0056】
(ステップS14:ボンドヘッド移動)
図9(b)に示すように、ステップS13と並行して、制御装置7は、Yビーム43によりボンドヘッド41のコレット42が保持しているダイDを第三位置P3に位置する第二中間ステージ31_2の上方に移動する。この状態では、第二中間ステージ31_2の収容部82dには成膜されたフラックスが格納されている。また、トランスファヘッド25はダイDを保持して、第一中間ステージ31_1が戻るのを待っている。第一中間ステージ31_1はトランスファヘッド25とのダイDの受渡し位置である第一位置P1に移動している(ステップS13)。
【0057】
(ステップS21:第二中間ステージ位置移動)
制御装置7は第二中間ステージ31_2をY軸方向に沿って第三位置P3に移動して待機する。
【0058】
(ステップS22:フラックス転写)
図10(a)および
図10(b)に示すように、制御装置7はボンドヘッドテーブル45によりボンドヘッド41を下降させてボンドヘッド41が保持しているダイDのバンプDbを第二中間ステージ31_2の収容部82dに成膜されているフラックスFに浸漬する。これにより、ダイDのバンプDbにフラックスが転写される。この状態では、トランスファヘッド25はダイDを保持して、第一中間ステージ31_1に載置している(ステップS8)。
【0059】
(ステップS23:ボンドヘッド移動)
図11(a)に示すように、制御装置7は、ボンドヘッドテーブル45によりボンドヘッド41を上昇させた後、XビームおよびYビーム43によりボンドヘッド41のコレット42が保持しているダイDをアンダビジョンカメラ34の上方に移動する。この状態では、第二中間ステージ31_2はフラックス成膜動作をしている(ステップS25)。また、トランスファヘッド25は、ピックアップフリップヘッド21からの次のダイDを待っている。第一中間ステージ31_1は第三位置P3に移動している(ステップS10)。
【0060】
(ステップS24:第二中間ステージ位置移動)
ステップS23の後または並行して、制御装置7は第二中間ステージ31_2をY軸方向に沿って第三位置P3から第二位置P2に移動する。ここで、第二中間ステージ31_2は第二位置P2において成膜するが、第三位置P3と第一位置P1との間、または移動しないで第三位置P3において成膜してもよい。
【0061】
(ステップS25:フラックス成膜)
図11(a)および
図11(b)に示すように、制御装置7は、第二位置P2において、スキージロック83を下降してスキージ81を固定すると共に、第二中間ステージ31_2(プレート82p)を移動することにより、プレート82pの収容部82dにスキージ81からフラックスFを供給し、フラックスを成膜させる。
【0062】
(ステップS15:ピックアップダイ位置認識)
図11(a)に示すように、制御装置7は、ボンドヘッド41のコレット42が保持しているダイDをアンダビジョンカメラ34により撮像してダイDの位置を認識する。
【0063】
(ステップS16:ボンドヘッド移動)
図11(b)に示すように、制御装置7は、XビームおよびYビーム43によりボンドヘッド41のコレット42が保持しているダイDをアンダビジョンカメラ34の上方から基板Pの上方に移動する。この状態では、第三中間ステージ31_3はフラックス成膜動作をしている(ステップS25)。また、トランスファヘッド25は、ピックアップフリップヘッド21からの次のダイDをピックアップして第一位置P1へ移動する。第一中間ステージ31_1は第三位置P3で待機している。
【0064】
(ステップS17:ボンド)
図12(a)に示すように、制御装置7は、ボンドヘッドテーブル45によりボンドヘッド41を下降させて、ボンドヘッド41のコレット42が保持しているダイDを基板Pの上にボンドする。この状態では、第三中間ステージ31_3はフラックス成膜済みである。また、トランスファヘッド25は、次のダイDを保持して第一位置P1において待機している。第一中間ステージ31_1は第三位置P3で待機している。
【0065】
(ステップS18:ボンドヘッド移動)
制御装置7は、
図12(b)に示すように、ボンドヘッドテーブル45によりボンドヘッド41を上降させた後、XビームおよびYビーム43によりボンドヘッド41(ボンドカメラ44)を基板Pの上方の外観検査位置に移動する。
【0066】
(ステップS19:ボンド外観検査)
制御装置7はボンドカメラ44により基板Pの上にボンディングされたダイDを撮像して外観を検査する。
【0067】
(ステップS20:ボンドヘッド移動)
図13(a)に示すように、制御装置7はXビームおよびYビーム43によりボンドヘッド41を基板Pの上方の外観検査位置から第三位置P3に移動する。この状態では、第二中間ステージ31_2はフラックス成膜済みである。また、トランスファヘッド25は、次のダイDを保持して第一位置P1において待機している。第一中間ステージ31_1は第三位置P3で待機している。
【0068】
また、基板PへのすべてのダイDのボンディングが終了した場合、ステップS19の後に、制御装置7は基板搬出部で搬送レールからダイDがボンディングされた基板Pを取り出す。フリップチップボンダ10から基板Pを搬出する。
【0069】
その後、基板Pの上に配置された複数のダイ(半導体チップ)を封止樹脂で一括封止することにより、複数の半導体チップと複数の半導体チップを覆う封止樹脂とを備える封止体を形成した後、封止体から基板Pを剥離し、次いで封止体の基板Pが貼り付けられていた面上に再配線層を形成してFOPLPを製造する。
【0070】
第一フェースダウンボンディング方法では、フラックス転写ステージとして第二中間ステージ31_2を使用することにより、ダイDのバンプDbにフラックスを転写することが可能である。また、フラックス成膜とボンディング動作を並行して行うことが可能である。また、スキージロック83によりスキージ81を固定すると共に、第二中間ステージ31_2を移動することにより、フラックス成膜が可能であり、スキージ81の駆動部が不要となる。
【0071】
(第二フェースダウンボンディング方法)
第二フェースダウンボンディング方法について
図14および
図15を用いて説明する。
図14は
図1に示すフリップチップボンダにおける第二フェースダウンボンディング方法の動作を説明する斜視図である。
図15は
図14に示すフリップチップボンダで実施される第二フェースダウンボンディング方法を示すフローチャートである。
【0072】
第二フェースダウンボンディング方法では、
図14および
図15に示すように、ボンドヘッド41に保持されたダイDのバンプDbへのフラックス転写の前後において、アンダビジョンカメラ34によりダイDのバンプDbを撮像して転写状態を確認する。
【0073】
第二フェースダウンボンディング方法のステップS1~S13,S15~S25は
図8に示す第一フェースダウンボンディング方法と同様であり、
図15においてステップS1~S10の図示を省略している。ただし、ステップS14はステップS14aに変更になり、ステップS14aとステップ22との間にステップS26およびステップS27が追加されている。以下、第一フェースダウンボンディング方法と異なる点を中心に
図16および
図17を用いて説明する。
図16および
図17は第二フェースダウンボンディング方法を説明するための図であり、
図14に示すフリップチップボンダを矢印Bおよび矢印Aの両方から見たときを一つの図で表した模式図である。
図16および
図17においては、
図3に示すコレット26,42の図示を省略している。
【0074】
(ステップS12:ボンドヘッド受渡し)
第一フェースダウンボンディング方法のステップS12と同様に、制御装置7はボンドヘッドテーブル45によりボンドヘッド41を下降させて、ボンドヘッド41のコレットによりダイDを吸着する。そして、
図16(a)に示すように、制御装置7はボンドヘッドテーブル45によりボンドヘッド41を上昇させてダイDを第一中間ステージ31_1からピックアップする。これにより、ダイDのボンドヘッド41への受渡しが行われる。この状態では、第二中間ステージ31_2はフラックス成膜済みであり、第三位置P3で待機している。また、トランスファヘッド25は第一位置P1においてダイDを保持して、第一中間ステージ31_1が戻るのを待っている。
【0075】
(ステップS13:第一中間ステージ位置移動)
図16(b)に示すように、制御装置7は第一中間ステージ31_1をY軸方向に沿って第三位置P3から第一位置P1に移動する。この状態では、第二中間ステージ31_2は第三位置P3で待機している。また、トランスファヘッド25は第一位置P1において待機している。
【0076】
(ステップS14a:ボンドヘッド移動)
図16(b)に示すように、ステップS13と並行して、制御装置7はボンドヘッドテーブル45によりボンドヘッド41を上降させて、XビームおよびYビーム43によりボンドヘッド41のコレット42が保持しているダイDをアンダビジョンカメラ34の上方に移動する。
【0077】
(ステップS26:ピックアップダイ位置認識)
図16(b)に示すように、制御装置7は、ボンドヘッド41のコレット42が保持しているダイDをアンダビジョンカメラ34により撮像してダイDの位置を認識する。この状態では、第二中間ステージ31_2は第三位置P3で待機している。また、トランスファヘッド25は第一位置P1において待機している。
【0078】
(ステップS27:ボンドヘッド移動)
図17(a)に示すように、制御装置7は、XビームおよびYビーム43によりボンドヘッド41のコレット42が保持しているダイDをアンダビジョンカメラ34の上方から第三位置P3に移動する。この状態では、第二中間ステージ31_2は第三位置P3に位置し、収容部82dには成膜されたフラックスが格納されている。また、トランスファヘッド25はダイDを保持して、第一中間ステージ31_1に載置している。
【0079】
(ステップS22:フラックス転写)
図17(b)に示すように、制御装置7はボンドヘッドテーブル45によりボンドヘッド41を下降させて、ボンドヘッド41が保持しているダイDのバンプDbを第二中間ステージ31_2の収容部82dに成膜されているフラックスFに浸漬する。これにより、ダイDのバンプDbにフラックスが転写される。この状態では、トランスファヘッド25は第一中間ステージ31_1上を上昇している。
【0080】
第二フェースダウンボンディング方法では、ステップS26およびステップS15においてフラックス転写の前後におけるダイDのバンプ面を撮像することにより、フラックスの転写ずれを確認することが可能である。
【0081】
(第三フェースダウンボンディング方法)
次に、第三フェースダウンボンディング方法の動作について
図18から
図22を用いて説明する。
図18は
図1に示すフリップチップボンダにおける第三フェースダウンボンディング方法の動作を説明する斜視図である。
図19は
図18に示すフリップチップボンダで実施される第三フェースダウンボンディング方法を示すフローチャートである。
【0082】
第三フェースダウンボンディング方法では、
図18に示すように、トランスファヘッド25によってダイDが第二中間ステージ31_2の収容部82d内のフラックスに浸漬する。ここで、第二中間ステージ31_2は、Y軸方向において、トランスファヘッド25とのダイDの受け渡し位置である第一位置P1およびボンドヘッド41とのダイDの受け渡し位置である第三位置P3を移動可能である。また、第一フェースダウンボンディング方法と同様に、第二位置P2において、第二中間ステージ31_2は、フラックス成膜を行う。なお、フラックス成膜位置は第二位置P2以外の位置であってもよく、例えば、第一位置P1または第三位置P3であってもよい。
【0083】
図19に示す第三フェースダウンボンディング方法のステップS1~S6,S15~S19は
図8に示す第一フェースダウンボンディング方法と同様である。以下、
図8に示す第一フェースダウンボンディング方法と異なる点を中心に
図20から
図22を用いて説明する。
図20から
図22は第三フェースダウンボンディング方法を説明するための図であり、
図18に示すフリップチップボンダを矢印Bおよび矢印Aの両方から見たときを一つの図で表した模式図である。
図20から
図22においては、
図3に示すコレット26,42の図示を省略している。
【0084】
(ステップS7b:トランスファヘッド移動)
図20(b)に示すように、ステップS6の前または並行して、制御装置7は駆動部27によりトランスファヘッド25をX軸方向に沿ってピックアップフリップヘッド21とのダイDの受渡し位置である第零位置P0から第二中間ステージ31_2の上方に移動する。ここで、第二中間ステージ31_2は、Y軸方向において、第一位置P1に位置する。
【0085】
(ステップS8b:第二中間ステージダイ載置およびフラックス転写)
図21(a)に示すように、制御装置7はトランスファヘッド25を下降させてトランスファヘッド25に保持しているダイDを第二中間ステージ31_2に設けられている収容部82dに載置する。これにより、ダイDのバンプDbが収容部82dに成膜されているフラックスFに浸漬されて、フラックスが転写される。この状態で、ボンドヘッド41はダイDを基板Pに載置する。
【0086】
(ステップS9b:トランスファヘッド移動)
図22(a)に示すように、制御装置7はトランスファヘッド25を上昇させてトランスファヘッド25をX軸方向に沿って第零位置P0に移動する。この状態で、XビームおよびYビーム43によりボンドヘッド41を第三位置P3に移動する。第二中間ステージ31_2は第三位置P3で待機している。
【0087】
(ステップS10b:第二中間ステージ位置移動)
図21(b)に示すように、ステップS9の後または並行して、制御装置7は第二中間ステージ31_2をY軸方向に沿って第一位置P1から第三位置P3に移動する。このとき、ダイDは収容部82dのフラックスに浸漬されている。
【0088】
(ステップS11b:第二中間ステージダイ位置認識)
ステップS10bの後、制御装置7は、ボンドヘッド41を第三位置P3に移動する前に、第二中間ステージ31_2に載置されているダイDをボンドカメラ44により撮像してダイDの位置を認識する。制御装置7は、認識結果に基づいてボンドヘッド41によりダイDの位置を補正する場合もある。
【0089】
(ステップS12b:ボンドヘッド受渡し)
図22(b)に示すように、制御装置7はボンドヘッドテーブル45によりボンドヘッド41を下降させてボンドヘッド41のコレットによりバンプDbにフラックスFが転写されたダイDを吸着する。そして、制御装置7はボンドヘッドテーブル45によりボンドヘッド41を上昇させてダイDを第二中間ステージ31_2からピックアップする。これにより、ダイDの受渡しが行われる。この状態で、制御装置7はトランスファヘッド25によりピックアップフリップヘッド21からダイDをピックアップする。
【0090】
(ステップS24b:第二中間ステージ位置移動)
図20(a)に示すように、ステップS14bの後または並行して、制御装置7は第二中間ステージ31_2をY軸方向に沿って第三位置P3から第二位置P2に移動する。ここで、第二中間ステージ31_2は第二位置P2に位置するが、第三位置P3と第一位置P1との間または移動しないで、第三位置P3に位置してもよい。
【0091】
(ステップS25b:フラックス成膜)
図20(b)および
図20(a)に示すように、制御装置7はスキージロック83を下降してスキージ81を固定すると共に、第二中間ステージ31_2(プレート82p)を移動することにより、プレート82pの収容部82dにスキージ81からフラックスFを供給し、フラックスを成膜させる。この状態で、制御装置7は、XビームおよびYビーム43によりボンドヘッド41を第三位置P3から基板Pの上方に移動する。また、駆動部27によりトランスファヘッド25を第一位置P1に移動する。
【0092】
(ステップS13b:第二中間ステージ位置移動)
制御装置7は第二中間ステージ31_2をY軸方向に沿って第二位置P2から第一位置P1に移動させる。
【0093】
(ステップS14b:ボンドヘッド移動)
ステップS24bと並行して、制御装置7はボンドヘッドテーブル45によりボンドヘッド41を上降させて、XビームおよびYビーム43によりボンドヘッド41のコレット42が保持しているダイDを第二中間ステージ31_2上からアンダビジョンカメラ34上に移動する。
【0094】
(ステップS20b:ボンドヘッド移動)
図22(a)に示すように、制御装置7はボンドヘッドテーブル45によりボンドヘッド41を上降させて、XビームおよびYビーム43によりボンドヘッド41を基板Pの上方の外観検査位置から第三位置P3に位置する第二中間ステージ31_2の上に移動する。この状態では、第二中間ステージ31_2はフラックス成膜済みである。また、トランスファヘッド25は、次のダイDをピックアップするため第一位置P1から第零位置P0に移動している。
【0095】
第三フェースダウンボンディング方法では、フラックス転写機能を備え第二中間ステージ31_2にトランスファヘッド25により直接ダイDを載置する。これにより、フラックス転写をトランスファヘッド25からボンドヘッド41にダイDを引き渡す動作の一連のピックアップ動作中に行うことができる。この結果、
図19に示すように、
図8に示すボンドヘッド41を第二中間ステージ31_2の浸漬する特別の動作(ステップS22,S23)が不要となる。これにより、第一フェースダウンボンディング方法および第二フェースダウンボンディング方法よりもタクトタイムを向上でき、生産性を高くすることができる。
【0096】
(第四フェースダウンボンディング方法)
第四フェースダウンボンディング方法の動作について
図23および
図24を用いて説明する。
図23は
図1に示すフリップチップボンダにおける第四フェースダウンボンディング方法の動作を説明する斜視図である。
図24は
図23に示すフリップチップボンダで実施される第四フェースダウンボンディング方法を示すフローチャートである。
【0097】
図23に示すように、ディッピング機構を有する第二中間ステージ31_2からディッピング機構を有しない第三中間ステージ31_3に交換する。
図24に示す第四フェースダウンボンディング方法のステップS1~S6,S15~S20は
図8に示す第一フェースダウンボンディング方法と同様である。
図24に示す第四フェースダウンボンディング方法では、
図8に示すステップS21~S25はない。以下、
図8に示す第一フェースダウンボンディング方法と異なる点を中心に説明する。
【0098】
(ステップS7c:トランスファヘッド移動)
ステップS6の前または並行して、制御装置7は駆動部27によりトランスファヘッド25をX軸方向に沿ってピックアップフリップヘッド21とのダイDの受渡し位置から第一中間ステージ31_1または第三中間ステージ31_3の上に移動する。ここで、第一中間ステージ31_1または第三中間ステージ31_3は、Y軸方向において、第一位置P1に位置する。
【0099】
(ステップS8c:中間ステージダイ載置)
制御装置7はトランスファヘッド25を下降させてトランスファヘッド25に保持しているダイDを第一中間ステージ31_1または第三中間ステージ31_3の上に載置する。
【0100】
(ステップS9c:トランスファヘッド移動)
制御装置7はトランスファヘッド25を上昇させてトランスファヘッド25をX軸方向に沿って第一中間ステージ31_1または第三中間ステージ31_3の上方からピックアップフリップヘッド21とのダイDの受渡し位置に移動する。
【0101】
(ステップS10c:中間ステージ位置移動)
ステップS9aの後または並行して、制御装置7は第一中間ステージ31_1または第三中間ステージ31_3をY軸方向に沿って第一位置P1から第三位置P3に移動する。
【0102】
(ステップS11c:中間ステージダイ位置認識)
ステップS10aの後、制御装置7は、ボンドヘッド41を第三位置P3に移動する前に、第一中間ステージ31_1または第三中間ステージ31_3に載置されているダイDをボンドカメラ44により撮像してダイDの位置を認識する。
【0103】
(ステップS12c:ボンドヘッド受渡し)
制御装置7はボンドヘッドテーブル45によりボンドヘッド41を下降させてボンドヘッド41のコレットによりダイDを吸着する。そして、制御装置7はボンドヘッドテーブル45によりボンドヘッド41を上昇させてダイDを第一中間ステージ31_1または第三中間ステージ31_3からピックアップする。これにより、ダイDのボンドヘッド41への受渡しが行われる。
【0104】
(ステップS13c:中間ステージ位置移動)
ステップS14cの後または並行して、制御装置7は第一中間ステージ31_1または第三中間ステージ31_3をY軸方向に沿って第三位置P3から第一位置P1に移動する。
【0105】
(ステップS14c:ボンドヘッド移動)
ステップS13cと並行して、制御装置7は、ボンドヘッドテーブル45によりボンドヘッド41を上降させてXビームおよびYビーム43によりボンドヘッド41のコレット42が保持しているダイDを第一中間ステージ31_1または第三中間ステージ31_3の上方からアンダビジョンカメラ34の上方に移動する。
【0106】
第四フェースダウンボンディング方法では、ピックアップされたダイDは第一中間ステージ31_1と第三中間ステージ31_3に交互に載置され、第一中間ステージ31_1と第三中間ステージ31_3に載置されたダイDは交互にボンドヘッド41によりピックアップされる。これにより、中間ステージが一つの場合よりも高速なボンディングが可能となる。
【0107】
(フェースアップボンディングの動作)
次に、実施形態におけるフリップチップボンダ10において実施されるフェースアップボンディング方法について
図25および
図26を用いて説明する。
図25は
図1に示すフリップチップボンダにおけるフェースアップボンディングの動作を説明する斜視図である。
図26は
図25に示すフリップチップボンダで実施されるフェースアップボンディング方法を示すフローチャートである。
【0108】
フェースアップボンディングでは、第四フェースダウンボンディング方法と同様に、
図25に示すように、ディッピング機能を有する第二中間ステージ31_2からディッピング機能を有しない第三中間ステージ31_3に交換する。
図26に示すフェースアップボンディング方法のステップS1~S6,S15~S20は
図24に示す第四フェースダウンボンディング方法と同様である。以下、
図24に示す第四フェースダウンボンディング方法と異なる点を中心に説明する。
【0109】
(ステップS7d:トランスファヘッド移動)
ステップS6の前または並行して、制御装置7は駆動部27によりトランスファヘッド25をX軸方向に沿ってピックアップフリップヘッド21とのダイDの受渡し位置から第一中間ステージ31_1の上方に移動する。ここで、第一中間ステージ31_1は、Y軸方向において、第一位置P1に位置する。
【0110】
(ステップS8d:第一中間ステージダイ載置)
制御装置7はトランスファヘッド25を下降させてトランスファヘッド25に保持しているダイDを第一中間ステージ31_1の上に載置して、第一中間ステージ31_1により吸着する。
【0111】
(ステップS9d:トランスファヘッド移動)
制御装置7はトランスファヘッド25を上昇させてトランスファヘッド25をX軸方向に沿って第一中間ステージ31_1の上方からピックアップフリップヘッド21とのダイDの受渡し位置に移動する。
【0112】
(ステップS31:第一中間ステージ位置移動)
ステップS9dの後または並行して、制御装置7は第一中間ステージ31_1をY軸方向に沿って第三中間ステージ31_3とのダイDの受渡し位置である第二位置P2に移動する。ここで、第二位置P2は、後述する第三位置P3に対して第一位置P1よりも離れた位置である。
【0113】
(ステップS32:第一中間ステージ反転受渡し)
制御装置7は、第二位置P2において、第一中間ステージ31_1を反転させてダイDの表面を上に向けて第三中間ステージ31_3の上にダイDを載置する。これにより、ダイDの第二中間ステージ31_2への受渡しが行われる。
【0114】
(ステップS33:第一中間ステージ位置移動)
制御装置7は第一中間ステージ31_1を回転して元の状態に戻し、第一中間ステージ31_1をY軸方向に沿って第二位置P2から第一位置P1に移動する。
【0115】
(ステップS10d:第三中間ステージ位置移動)
ステップS33の後または並行して、制御装置7は第三中間ステージ31_3をY軸方向に沿って第二位置P2からボンドヘッド41とのダイDの受渡し位置である第三位置P3に移動する。
【0116】
(ステップS11d:第三中間ステージダイ位置認識)
ステップS10dの後、制御装置7は、ボンドヘッド41を第三位置P3に移動する前に、第三中間ステージ31_3に載置されているダイDをボンドカメラ44により撮像してダイDの位置を認識する。
【0117】
(ステップS12d:ボンドヘッド受渡し)
制御装置7はボンドヘッドテーブル45によりボンドヘッド41を下降させてボンドヘッド41のコレットによりダイDを吸着する。そして、制御装置7はボンドヘッド41を上昇させてダイDを第三中間ステージ31_3からピックアップする。これにより、ダイDのボンドヘッド41への受渡しが行われる。
【0118】
(ステップS13d:第三中間ステージ位置移動)
ステップS15dの後または並行して、制御装置7は第三中間ステージ31_3をY軸方向に沿って第三位置P3から第二位置P2に移動する。
【0119】
(ステップS14d:ボンドヘッド移動)
ステップS13dと並行して、制御装置7は、ボンドヘッドテーブル45によりボンドヘッド41を上降させてXビームおよびYビーム43によりボンドヘッド41のコレット42が保持しているダイDを第三中間ステージ31_3の上方からアンダビジョンカメラ34の上方に移動する。
【0120】
フェースアップボンディング方法では、反転機能を備える第一中間ステージ31_1と第三中間ステージ31_3とを使用することにより、ピックアップフリップヘッド21等のフェースダウンボンディング方法に使用するユニットを使用することが可能である。
【0121】
<変形例>
以下、実施形態の代表的な変形例について、幾つか例示する。以下の変形例の説明において、上述の実施形態にて説明されているものと同様の構成および機能を有する部分に対しては、上述の実施形態と同様の符号が用いられ得るものとする。そして、かかる部分の説明については、技術的に矛盾しない範囲内において、上述の実施形態における説明が適宜援用され得るものとする。また、上述の実施形態の一部、および、複数の変形例の全部または一部が、技術的に矛盾しない範囲内において、適宜、複合的に適用され得る。
【0122】
(第一変形例)
第一変形例におけるフリップチップボンダについて
図27を用いて説明する。
図27は第一変形例におけるフリップチップボンダの主要部の概略を示す斜視図である。
【0123】
第一変形例におけるフリップチップボンダは、基板PをX軸方向およびY軸方向に沿って移動可能とすると共に、ボンドヘッド41(Yビーム43)よりも高い位置に固定した基板認識カメラ46を設ける。制御装置7は基板認識カメラ46により基板Pの位置およびボンド位置を認識してそれらの位置を補正するよう構成される。制御装置7は基板Pを移動させ基板Pの位置を補正し、ボンドヘッド41を移動させてボンド位置の補正を行う。なお、ボンドカメラ44は第一中間ステージ31_1、第二中間ステージ31_2または第三中間ステージ31_3におけるダイDの位置を認識するのに用いられる(ステップS11,S11a,S11b,S11d)。これにより、フェースアップボンディングおよびフェースダウンボンディングにおけるボンド外観検査(ステップS19)のためのボンドヘッド移動(ステップS18)が不要になる。
【0124】
(第二変形例)
実施形態では、ピックアップ部2、中間ステージ部3およびボンディング部4がそれぞれ一つを備える。第二変形例におけるフリップチップボンダ10はピックアップ部2、中間ステージ部3およびボンディング部4をそれぞれ二つ備える。第二変形例におけるフリップチップボンダについて実施形態におけるフリップチップボンダを示す
図1を用いて説明する。
【0125】
第二変形例におけるフリップチップボンダ10は、大別して、ダイ供給部1と、ピックアップ部2と、第二ピックアップ部と、中間ステージ部3と、第二中間ステージ部と、ボンディング部4と、第二ボンディング部と、各部の動作を監視し制御する制御装置7と、を備える。第二ピックアップ部、第二中間ステージ部および第二ボンディング部は、それぞれピックアップされるダイDを通りY軸方向に伸びる線に対してピックアップ部2、中間ステージ部3およびボンディング部4と鏡面対象に配置され、同様に構成され、同様に動作する。
【0126】
ここで、中間ステージ部3が有するアンダビジョンカメラ34は第二中間ステージ部と共用してアンダビジョンカメラを一つにしてもよい。
【0127】
(第三変形例)
実施形態では、Yビーム43は一つのボンドヘッド41を備えている。第三変形例におけるフリップチップボンダ10は複数のボンドヘッドを備える。第三変形例におけるフリップチップボンダについて実施形態におけるフリップチップボンダを示す
図1、9、第三中間ステージ31_3を示す
図10およびボンディング方法を示す
図8、15、19、24、26を用いて説明する。
【0128】
第三変形例におけるフリップチップボンダ10では、例えば、四つのボンドヘッドがボンドヘッドテーブル45に設けられる。また、第一中間ステージ31_1、第二中間ステージ31_2および第三中間ステージ31_3には、ボンドヘッドと同数である四個のダイDが載置可能である。第三中間ステージ31_3はボンドヘッドと同数である四つの収容部82dを有する。第三変形例におけるフリップチップボンダ10のボンディング方法は、基本的には、実施形態と同様であるが、下記の工程が異なる。
【0129】
ウエハダイ認識(ステップS1)からピックアップフリップヘッド反転(ステップS6)、トランスファヘッド移動(ステップS7,S7a,S7b,S7d)、中間ステージダイ載置(ステップS8,S8a,S8b,S8d)およびトランスファヘッド移動(ステップS9,S9a,S9b,S9d)をボンドヘッドの数と同じである四回繰り返した後、中間ステージ位置移動(ステップS10,S10a,S10b,S10d)を行う。また、中間ステージダイ位置認識(ステップS11,S11a,S11b,S11d)、ピックアップダイ位置認識(ステップS15、S26)およびボンド外観検査(ステップS19)はボンドヘッドと同数である四つのダイDを一個ずつカメラで認識する。
【0130】
(第四変形例)
実施形態では、第二中間ステージ31_2のスキージ81は固定された状態でフラックス成膜を行う。第四変形例におけるフリップチップボンダ10の第二中間ステージ31_2ではスキージ81を移動してフラックス成膜を行う。第三変形例におけるフリップチップボンダについて実施形態における第二中間ステージ31_2を示す
図10を用いて説明する。
【0131】
第四変形例におけるディッピング機構8は、特開2015-177038号公報に記載されるように、プレート82kに設けられたガイドレール82g上をY軸方向に沿ってスキージ81を移動させる駆動部を有する。ここで、第四変形例におけるディッピング機構8は実施形態におけるスキージロック83を備えていない。
【0132】
以上、本開示者によってなされた開示を実施形態に基づき具体的に説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々変更可能であることはいうまでもない。
【0133】
例えば、実施形態では、第一中間ステージ31_1が反転機能を備える例を説明したが、反転機構はなくてもよい。すなわち、フリップチップボンダ10にフェースアップボンディング機能がなくてもよい。
【0134】
また、実施形態では、第二中間ステージにディッピング機構を備える例を説明したが、それに限定されるものではなく、例えばフラックス成膜時間に応じてさらにディッピング機構を備える複数の中間ステージを設けるようにしてもよい。これにより、フラックス成膜時間がピックアップ時間よりかなり長い場合でも、ディッピング機構を備える中間ステージが一つの場合よりも高速なボンディングが可能となる。
【0135】
また、実施形態および第四変形例では、ディッピング機構8は特開2015-177038号公報に記載される構成と同様とする例を説明したが、これらに限定されるものではなく、プレートがスキージに対して相対的に摺動する構成であればよい。
【0136】
また、実施形態では、FOPLPの製造に用いるフリップチップボンダの例に説明したが、ファンアウト型ウエハレベルパッケージ(Fan Out Wafer Level Package:FOWLP)にも適用できる。
【符号の説明】
【0137】
1・・・ダイ供給部
21・・・ピックアップフリップヘッド
25・・・トランスファヘッド
31_1・・・第一中間ステージ
31_2・・・第二中間ステージ
82d・・・収容部
41・・・ボンドヘッド
D・・・ダイ
P・・・基板