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特許7498782バックエンドオブライン用途のためのルテニウムライナおよびキャップ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-04
(45)【発行日】2024-06-12
(54)【発明の名称】バックエンドオブライン用途のためのルテニウムライナおよびキャップ
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/768 20060101AFI20240605BHJP
   H01L 23/522 20060101ALI20240605BHJP
   H01L 21/3205 20060101ALI20240605BHJP
   H01L 23/532 20060101ALI20240605BHJP
【FI】
H01L21/90 B
H01L21/88 R
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022542963
(86)(22)【出願日】2021-07-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-21
(86)【国際出願番号】 US2021042899
(87)【国際公開番号】W WO2022020679
(87)【国際公開日】2022-01-27
【審査請求日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】63/055,858
(32)【優先日】2020-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/383,361
(32)【優先日】2021-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100176418
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 嘉晃
(72)【発明者】
【氏名】シュ ウェンジン
(72)【発明者】
【氏名】チェン フェン
(72)【発明者】
【氏名】ハ テホン
(72)【発明者】
【氏名】タン シャンミン
(72)【発明者】
【氏名】チェン ル
(72)【発明者】
【氏名】ウー ジーユアン
【審査官】原島 啓一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0144107(US,A1)
【文献】特表2019-531604(JP,A)
【文献】特表2020-506540(JP,A)
【文献】特開2019-106538(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/768
H01L 21/3205-21/3213
H01L 23/522
H01L 23/532
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に沿って延在する第1の導電線と、
前記第1の導電線上の基板表面に形成された誘電体材料であって、表面構造が前記誘電体材料の表面に形成された上面を有し、前記表面構造が側壁およびビア底部を有し、前記ビア底部が前記第1の導電線の上面を含む、誘電体材料と、
前記誘電体材料の前記上面および前記側壁に形成されたバリア層と、
前記バリア層上に形成されたライナであって、前記第1の導電線の前記上面からある距離だけ離間されたライナ底面を有する、ライナと、
前記表面構造内の導電性充填物であって、第2の方向に沿って延在する第2の導電線を形成し、前記第1の導電線に接触する、導電性充填物と、
前記導電性充填物上にキャップ層と、
を備え
前記ライナが、前記バリア層と接触するルテニウム層と、前記ルテニウム層の前記バリア層とは反対側にあるコバルト層とを含み、
前記導電性充填物が銅を含み、
前記キャップ層が、前記導電性充填物と接触するルテニウム層と、前記ルテニウム層の前記導電性充填物とは反対側にあるコバルト層とを含む、電子デバイス。
【請求項2】
前記ライナが5Å~50Åの範囲の総厚さを有する、請求項に記載の電子デバイス。
【請求項3】
前記ルテニウム層の厚さが2.5Å~25Åの範囲であり、前記コバルト層の厚さが2.5Å~25Åの範囲である、請求項に記載の電子デバイス。
【請求項4】
前記ルテニウム層と前記コバルト層が0.95:1~1:0.95の範囲の厚さ比を有する、請求項に記載の電子デバイス。
【請求項5】
前記誘電体材料内の前記表面構造が、トレンチ部分およびビア部分を含み、前記トレンチ部分がトレンチ底部を有し、前記ビア部分が前記ビア底部を有する、請求項に記載の電子デバイス。
【請求項6】
前記バリア層が前記トレンチ底部に形成されている、請求項に記載の電子デバイス。
【請求項7】
前記バリア層が共形層である、請求項に記載の電子デバイス。
【請求項8】
前記第2の導電線が、前記表面構造の前記ビア部分の前記ビア底部において前記第1の導電線に直接接触する、請求項に記載の電子デバイス。
【請求項9】
前記ライナが、前記第1の導電線の前記上面と前記ライナの底部エッジとの間に間隙が存在するように、前記第1の導電線に接触しない、請求項に記載の電子デバイス。
【請求項10】
誘電体材料内に形成された表面構造のビア部分にパッシベーション層を形成するステップであって、前記パッシベーション層が、第1の導電性材料の表面に形成され、側壁、前記表面構造のトレンチ部分の底部、および前記誘電体材料の上部に形成されたバリア層によって前記誘電体材料から分離され、前記第1の導電性材料が第1の方向に沿って延在する、ステップと、
前記バリア層上にライナを形成するステップであって、前記ライナが前記ビア部分の前記パッシベーション層に接触するライナ底面を有する、ステップと、
前記パッシベーション層を除去して、前記ライナの前記底面が1の導電線の上面からある距離だけ離間されたままにするステップと、
前記表面構造を導電性充填物で充填して、前記ビア部分にビアを、前記トレンチ部分に第2の導電線を形成するステップであって、前記第2の導電線が第2の方向に沿って延在し、前記ビアが前記ビア部分の前記第1の導電線に接触する、ステップと、
前記導電性充填物上にキャップ層を形成するステップと、
を含み、
前記ライナが、前記バリア層と接触するルテニウム層と、前記ルテニウム層の前記バリア層とは反対側にあるコバルト層とを含み、
前記導電性充填物が銅を含み、
前記キャップ層が、前記導電性充填物と接触するルテニウム層と、前記ルテニウム層の前記導電性充填物とは反対側にあるコバルト層とを含む、電子デバイスを形成する方法。
【請求項11】
前記ライナが、前記バリア層と接触するルテニウム層と、前記ルテニウム層の前記バリア層とは反対側にあるコバルト層とを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ルテニウム層が2.5Å~25Åの範囲の厚さを有し、前記コバルト層が2.5Å~25Åの範囲の厚さを有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ルテニウム層と前記コバルト層が0.95:1~1:0.95の範囲の厚さ比を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記導電性充填物上にキャップ層を形成するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記キャップ層が、前記導電性充填物と接触するルテニウム層と、前記ルテニウム層の前記導電性充填物とは反対側にあるコバルト層とを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記キャップ層の前記ルテニウム層が2.5Å~25Åの範囲の厚さを有し、前記キャップ層の前記コバルト層が2.5Å~25Åの範囲の厚さを有する、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、一般に、電子デバイスにおいて相互接続を形成するための方法に関する。詳細には、本開示の実施形態は、ライナおよびキャッピングのためにルテニウム含有二重層を使用する方法および電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体回路素子の微細化は、20nm以下の特徴サイズが商業規模で製造されるまでに至っている。限界寸法のサイズが縮小し続けるにつれて、回路素子間の間隙を充填するようなプロセスステップに対して新たな課題が生じる。素子間の幅が縮小し続けるにつれて、素子間の間隙は、多くの場合、より高くかつより狭くなり、間隙を充填することがより困難になり、コンタクトを堅牢にすることがより困難になる。
【0003】
20nmノードから3nmノードまで、コバルト(Co)ライナおよびCoキャッピングは、銅(Cu)間隙充填および信頼性を向上させる主要な材料であった。3nm以降のノードでは、コバルトライナ上の間隙充填は、いくつかの限界を示している。
【0004】
ルテニウム(Ru)ライナ上の銅リフローは、小さな構造に対する潜在的な拡張性を示している。しかしながら、ルテニウムを使用するには信頼性の問題がある。例えば、相互接続の銅腐食が観察されており、その結果、デバイス寿命が短くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、電子デバイスにおいて改善された相互接続形成のための方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の1つまたは複数の実施形態は、電子デバイスを対象とする。第1の導電線は、第1の方向に沿って延在する。誘電体材料は、第1の導電線上の基板表面に形成される。誘電体材料は、表面構造が誘電体材料の表面に形成された上面を有する。表面構造は、側壁およびビア底部を有する。ビア底部は、第1の導電線の上面を含む。誘電体材料の上面および側壁にバリア層が形成される。バリア層上にライナが形成される。ライナは、第1の導電線の上面からある距離だけ離間されたライナ底面を有する。導電性充填物が表面構造内にある。導電性充填物は、第2の方向に沿って延在する第2の導電線を形成し、第1の導電線に接触する。
【0007】
本開示のさらなる実施形態は、電子デバイスを形成する方法に関する。パッシベーション層は、誘電体材料内に形成された表面構造のビア部分に形成される。パッシベーション層は、第1の導電材料の表面に形成され、側壁、表面構造のトレンチ部分の底部、および誘電体材料の上部に形成されたバリア層によって誘電体材料から分離されている。第1の導電材料は、第1の方向に沿って延在する。バリア層上にライナが形成される。ライナは、ビア部分においてパッシベーション層に接触するライナ底面を有する。パッシベーション層を除去して、ライナの底面が第1の導電線の上面からある距離だけ離間されたままにする。表面構造に導電性充填物を充填して、ビア部分にビアを形成し、トレンチ部分に第2の導電線を形成する。第2の導電線は、第2の方向に沿って延在する。ビアは、ビア部分において第1の導電線に接触する。キャップ層が導電性充填物上に形成される。
【0008】
本開示の上記で列挙された特徴を詳細に理解することができるように、実施形態を参照することによって、上記で簡潔に要約された本開示のより具体的な説明を行うことができ、その実施形態の一部が添付の図面に示される。しかしながら、添付の図面は、本開示の典型的な実施形態のみを示しており、したがって、本開示は他の等しく有効な実施形態を許容し得るため、その範囲を限定するものと見なされるべきではないことに留意されたい。本明細書に記載される実施形態は、同様の参照符号が同様の要素を示す添付図面の図において、限定ではなく例として示される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の1つまたは複数の実施形態に従って形成されている電子デバイスの部分断面図である。
図2】本開示の1つまたは複数の実施形態に従って形成されている電子デバイスの部分断面図である。
図3A】本開示の1つまたは複数の実施形態に従って形成されている電子デバイスの部分断面図である。
図3B図3Aの領域3の拡大図である。
図4A】本開示の1つまたは複数の実施形態に従って形成されている電子デバイスの部分断面図である。
図4B図4Aの領域3の拡大図である。
図5A】本開示の1つまたは複数の実施形態に従って形成されている電子デバイスの部分断面図である。
図5B図5Aの領域3の拡大図である。
図6A】本開示の1つまたは複数の実施形態に従って形成されている電子デバイスの部分断面図である。
図6B図6Aの領域6の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示のいくつかの例示的な実施形態を説明する前に、本開示は、以下の説明に記載される構成またはプロセスステップの詳細に限定されないことを理解されたい。本開示は、他の実施形態が可能であり、様々な仕方で実施および実行することができる。
【0011】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、「基板」という用語は、プロセスが作用する表面または表面の一部を指す。また、当業者であれば、基板への言及は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、基板の一部のみを指すこともできることを理解するであろう。加えて、基板上に堆積させることへの言及は、ベアの基板、および1つまたは複数の膜あるいは特徴が堆積または形成された基板の両方を意味することができる。
【0012】
本明細書で使用されるような「基板」は、製造プロセス中に膜処理が行われる任意の基板または基板上に形成される材料の表面を指す。例えば、処理を行うことができる基板表面は、用途に応じて、シリコン、酸化ケイ素、ストレインドシリコン、シリコンオンインシュレータ(SOI)、炭素ドープ酸化ケイ素、アモルファスシリコン、ドープされたシリコン、ゲルマニウム、ガリウム砒素、ガラス、サファイアなどの材料、ならびに金属、金属窒化物、金属合金、および他の導電性材料などの任意の他の材料を含む。基板には、半導体ウエハが含まれるが、これに限定されない。基板を、前処理プロセスに曝して、基板表面を研磨、エッチング、還元、酸化、水酸化、アニール、UV硬化、電子ビーム硬化、および/またはベークすることができる。基板自体の表面に直接膜処理を行うことに加えて、本開示では、開示される膜処理ステップのいずれかを、以下でより詳細に開示されるように、基板上に形成された下層上で行うこともでき、用語「基板表面」は、文脈が示すように、そのような下層を含むことが意図されている。したがって、例えば、膜/層または部分的な膜/層を基板表面に堆積させた場合、新たに堆積させた膜/層の露出面が基板表面になる。
【0013】
ライナとしてのルテニウム(Ru)は、少なくとも信頼性、ライン抵抗Rs、銅腐食、化学機械平坦化(CMP)および他の集積化問題のために、以前はN3(3nmノード)に使用することができなかった。一部の実施形態は、N2ノードにおいて、任意でRu(ドープされたRu、ボトムレスRu)ライナおよび/またはRu(ドープされたRu)キャッピングとともに、ルテニウムを使用して、プロセス集積化問題を軽減する。一部の実施形態は、ボトムレスルテニウムライナを使用して、銅腐食を防止し、ビア抵抗を低減する。一部の実施形態のボトムレスライナは、銅表面上の誘電体表面にルテニウムを選択的に堆積させることによって堆積させる。
【0014】
本開示の1つまたは複数の実施形態は、先進ノード用途におけるライナおよびキャッピング層としてコバルトをルテニウムに置き換えることを可能にする。一部の実施形態は、より大きなノードデバイスからのルテニウムの適用を制限する信頼性の問題を解決する。本開示の一部の実施形態は、間隙充填拡張性のためのライナとしてのルテニウムを可能にし、信頼性のためのキャッピング層としてのルテニウムを可能にし、ビアコンタクト抵抗(Rc)を低減し、および/または銅腐食を防止もしくは遅らせるための全体的な統合スキームを提供する。
【0015】
ルテニウムライナまたはドープされたルテニウムライナの一部の実施形態は、物理的気相堆積(PVD)銅リフローを先進ノードのための間隙充填解決策として拡張する。一部の実施形態は、デバイスの信頼性を改善するために、ルテニウムまたはドープされたルテニウムキャッピングを提供する。一部の実施形態は、界面活性剤支援ルテニウムプロセスを組み込み、構造の底部にルテニウムがないデバイスを達成し、腐食を防止し、ビア抵抗を改善する。
【0016】
図1図6Bは、本開示の1つまたは複数の実施形態による方法の異なる段階中の電子デバイス100を示す。図で使用される様々な塗りつぶしパターンは、構成要素を区別しやすくするためのものであり、任意の特定の材料を指すものとして解釈されるべきではない。
【0017】
図1を参照すると、第1の導電線120が基板110上に形成され、第1の方向に沿って延在する。第1の方向は、X軸方向と呼ばれることもある。例えば、一部の実施形態の第1の導電線120は、X軸方向に沿った長さ、Y軸方向に沿った幅、およびZ軸方向に沿って測定された厚さを有する。図は、X-Z平面を示し、Y軸は図のページに垂直に延在する。X軸、Y軸、およびZ軸の使用は、重力に対する任意の特定の配向を暗示するもの解釈されるべきではない。
【0018】
図示される実施形態では、様々なスペーサ層112、114、116、118が示されている。これらの様々なスペーサ層は、任意であり、一部の実施形態では、層のいずれかまたはすべてが省略される。「スペーサ層」という用語の使用は、図示された層に対する任意の特定の機能または目的を暗示することは意図されていない。スペーサ層112、114、116、118は、任意の適切な目的を有する任意の適切な材料とすることができる。例えば、スペーサ層は、誘電体、拡散バリア、接着促進剤、または当業者に知られている任意の他の層を含むことができる。一部の実施形態では、スペーサ層114は、誘電体材料を含み、スペーサ層112、116は、第1の導電線120と基板110との間の直接接触を防止するためのバリアまたはライナ材料を含む。
【0019】
一部の実施形態では、第1の導電線120を形成することは、導電性材料の層でトレンチを充填することを含む。1つまたは複数の実施形態では、ベース層(図示せず)を最初にトレンチの内部側壁および底部に堆積させ、次いで導電層をベース層(例えばスペーサ層112)上に堆積させる。1つまたは複数の実施形態では、ベース層は、導電性バリア層(図示せず)上に堆積させた導電性シード層(図示せず)を含む。シード層は、銅(Cu)を含むことができ、導電性バリア層は、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)などの金属を含むことができる。導電性バリア層を使用して、シード層から第1の絶縁層104への導電性材料、例えば、銅またはコバルトの拡散を防止することができる。加えて、導電性バリア層を使用して、シード層(例えば、銅)に対する接着性を提供することができる。
【0020】
第1の導電線120は、当業者に知られている任意の適切なプロセスによって形成することができる。例えば、一部の実施形態では、第1の導電線120は、電気めっきプロセス、選択的堆積、電気分解、化学気相堆積(CVD)、物理的気相堆積(PVD)、分子線エピタキシ(MBE)、原子層堆積(ALD)、スピンオン技術、またはマイクロ電子デバイス製造の当業者に知られている他の堆積技術のうちの1つまたは複数によって形成される。
【0021】
第1の導電線120は、当業者に知られている任意の適切な導電性材料とすることができる。1つまたは複数の実施形態では、第1の導電線120は、金属、例えば、銅(Cu)、ルテニウム(Ru)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、ニオブ(Nb)、ニッケルシリコン(NiSi)、三元化合物(例えば、LaRu2As2)、またはそれらの任意の組合せを含む。
【0022】
第1の導電線120は、任意の適切な厚さ(図1のZ軸に沿って測定される)を有することができる。一部の実施形態では、第1の導電線120は、15nm~1000nmの範囲、または20nm~200nmの範囲の厚さを有する。非限定的な一例では、第1の導電線120の幅(ページの平面に垂直に延びる図1のy軸に沿って測定される)は、5nm~500nmの範囲内にある。非限定的な一例では、隣接する第1の導電線120間の間隔(ピッチ)は、2nm~500nmの範囲内、または50nm~50nmの範囲内にある。
【0023】
誘電体材料130は、第1の導電線120上の基板表面(第1の導電線122上面)に形成されている。このように使用される場合、基板表面は、誘電体材料130が上に形成される材料の露出表面である。例えば、一部の実施形態の第1の導電線120は、基板110の表面に形成され、誘電体材料130が形成される新しい基板表面を形成する。
【0024】
一部の実施形態では、誘電体材料130は、表面構造140を有する上面132を有する。表面構造140は、誘電体材料130の上面132に形成される。一部の実施形態では、表面構造140は、側壁141、ビア部分142、およびトレンチ部分146を含む。一部の実施形態のビア部分142は、ビア底部143、および側壁141に対向するビア側壁144を含む。一部の実施形態において、ビア底部143は、第1の導電線120の上面122を含む。
【0025】
一部の実施形態のトレンチ部分146は、図示されるように、ビア側壁144を側壁141と接続して階段状構造を形成するトレンチ底部147を含む。一部の実施形態では、表面構造140は、階段状構造のない均一な形状のビアまたはトレンチを含む。
【0026】
誘電体材料130は、隣接するデバイスを絶縁し、リークを防止するのに適した任意の材料とすることができる。1つまたは複数の実施形態において、誘電体材料130は、酸化物層、例えば、二酸化ケイ素、または電子デバイス設計によって決定される任意の他の電気絶縁層である。1つまたは複数の実施形態において、誘電体材料130は、層間誘電体(ILD)を含む。1つまたは複数の実施形態において、誘電体材料130は、例えば、二酸化ケイ素、酸化ケイ素、炭素がドープされた酸化物(「CDO」)、例えば、炭素がドープされた二酸化ケイ素、多孔性二酸化ケイ素(SiO2)、窒化ケイ素(SiN)、またはそれらの任意の組合せなどの材料を含むがこれらに限定されない低誘電率誘電体である。「酸化ケイ素」という用語は、誘電体材料130を説明するために使用されることがあるが、当業者は、本開示が特定の化学量論に限定されないことを認識するであろう。例えば、用語「酸化ケイ素」および「二酸化ケイ素」は両方とも、任意の適切な化学量論比でケイ素原子および酸素原子を有する材料を説明するために使用されることがある。同じことが、本開示に列挙される他の材料、例えば、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムなどにも当てはまる。
【0027】
1つまたは複数の実施形態では、誘電体材料130は、5未満の誘電率値を有する誘電体材料を含む。1つまたは複数の実施形態において、誘電体材料130は、約2~約4の誘電率値を有する誘電体材料を含む。少なくとも一部の実施形態において、誘電体材料130は、酸化物、炭素がドープされた酸化物、ブラックダイアモンド(登録商標)、多孔性二酸化ケイ素、炭化物、酸素炭化物、窒化物、酸素窒化物、酸素炭素窒化物、ポリマ、リンケイ酸ガラス、フルオロケイ酸(SiOF)ガラス、有機ケイ酸ガラス(SiOCH)、フルオロケイ酸ガラス(FSG)、多孔性低誘電率、またはそれらの任意の組合せ、電子デバイス設計によって決定される他の電気絶縁層、あるいはそれらの任意の組合せを含む。少なくとも一部の実施形態では、誘電体材料130は、ポリイミド、エポキシ、ベンゾシクロブテン(BCB)などの感光性材料、およびWPRシリーズ材料、またはスピンオンガラスを含むことができる。
【0028】
1つまたは複数の実施形態において、誘電体材料130は、基板110上の1つの金属線を他の金属線から分離するための低誘電率層間誘電体である。1つまたは複数の実施形態において、誘電体材料130の厚さは、約10ナノメートル(nm)~約2ミクロン(μm)のおおよその範囲内にある。
【0029】
1つまたは複数の実施形態において、誘電体材料130は、限定はされないが、プラズマ化学気相堆積(「PECVD」)、物理的気相堆積(「PVD」)、分子線エピタキシ(「MBE」)、有機金属化学気相堆積(「MOCVD」)、原子層堆積(「ALD」)、スピンオン、またはマイクロ電子デバイス製造の当業者に知られている他の絶縁堆積技術などの堆積技術のうちの1つを使用して堆積または形成される。
【0030】
一部の実施形態において、表面構造140は、当業者に知られている任意の適切な技術によって形成される。一部の実施形態では、誘電体材料130は、マイクロ電子デバイス製造の当業者に知られている1つまたは複数のパターニングおよびエッチング技術を使用して表面構造140を形成するために、ハードマスクを使用してパターニングおよびエッチングされる。
【0031】
バリア層150は、誘電体層130の上面132および表面構造140の側壁141に形成されている。一部の実施形態において、バリア層150は、図1に示されるように、誘電体材料130の側壁141および上面132に加えて、ビア側壁144およびトレンチ底部147に形成されている。一部の実施形態において、バリア層150は、側壁141、上面132、ビア側壁144、およびトレンチ底部147に共形に形成されている。
【0032】
バリア層150は、当業者に知られている任意の適切な技術によって形成される、当業者に知られている任意の適切な材料を含むことができる。1つまたは複数の実施形態において、バリア層150は、窒化チタン(TiN)、窒化タンタル(TaN)などのうちの1つまたは複数を含む。一部の実施形態では、バリア層は、原子層堆積によって堆積させる。
【0033】
一部の実施形態では、バリア層150は、第1の導電線120上の誘電体材料130上に選択的に堆積させる。例えば、図示されるように、バリア層150は、誘電体材料130と接触して形成されているが、第1の導電線120上で核生成しないか、または比較的長い核生成遅延を受ける。
【0034】
図2を参照すると、パッシベーション層160が、表面構造140を介して第1の導電線120の露出した上面122に形成されている。パッシベーション層160は、当業者に知られている任意の適切な材料とすることができ、任意の適切な技術によって堆積させることができる。一部の実施形態において、パッシベーション層160は、バリア層150の上の第1の導電線120上に選択的に堆積させる。パッシベーション層160は、その後のライナ170の形成から第1の導電線120を保護する任意の材料とすることができる。一部の実施形態のパッシベーション層160は、5Å~1000Åの範囲、または1nm~50nmの範囲の厚さを有する。
【0035】
別の言い方をすれば、一部の実施形態では、パッシベーション層160は、誘電体材料130に形成された表面構造140のビア部分142に形成されている。パッシベーション層160は、第1の導電性材料120の表面に形成され、表面構造140のトレンチ部分146の側壁141、ビア側壁144および底部、ならびに誘電体材料130の上面132に形成されたバリア層150によって誘電体材料130から分離されている。
【0036】
図3Aおよび図3Bに示される拡大領域3を参照すると、ライナ170がバリア層150上に形成されている。一部の実施形態のライナ170は、バリア層150上に共形に形成される。一部の実施形態では、ライナ170は、パッシベーション層160の上のバリア層150上に選択的に形成される。図は、パッシベーション層160に接触するライナ170を示すが、当業者は、ライナ170がパッシベーション層160上で核生成せず、ライナ170とパッシベーション層160との間の接触が物理的であり、化学的ではないことを認識するであろう。
【0037】
パッシベーション層160が第1の導電線120上にあるため、ライナ170は、ライナ底面172が第1の導電線120の上面122からある距離だけ離間されて形成されている。第1の導電線120の上面122とライナ170のライナ底面172との間の距離は、パッシベーション層160の厚さによって規定される。
【0038】
図3Bに示される領域3の拡大図を参照すると、一部の実施形態のライナ170は、第1のライナ層および第2のライナ層を含む。第1のライナ層は、第1のライナ底面172aを有し、第2のライナ層は、第2のライナ底面172bを有し、ライナ底面のそれぞれは、第1の導電線120の上面122からある距離だけ離間されている。
【0039】
一部の実施形態では、ライナ170は、バリア層150と接触するルテニウム層174と、ルテニウム層174のバリア層150とは反対側にあるコバルト層177とを含む。別の言い方をすれば、一部の実施形態では、ライナ170は、バリア層150と直接接触するルテニウム層174と、ルテニウム層174によってバリア層150から分離された、ルテニウム層174と接触するコバルト層177とを含む。
【0040】
一部の実施形態では、ライナ170は、5Å~50Åの範囲の総厚さ(すなわち、すべての層の厚さの合計)を有する。ライナ170の厚さは、表面構造140の側壁141、ビア側壁144、およびトレンチ底部147に沿って測定される。一部の実施形態では、ルテニウム層174は、2.5Å~25Åの範囲、または5Å~20Åの範囲、または10Å~15Åの範囲の厚さを有する。一部の実施形態では、コバルト層177は、2.5Å~25Åの範囲、または5Å~20Åの範囲、または10Å~15Åの範囲の厚さを有する。一部の実施形態では、ルテニウム層174とコバルト層177は、ほぼ同じ厚さを有する。一部の実施形態では、ルテニウム層174とコバルト層177は、0.95:1~1:0.95の範囲の厚さ比を有する。一部の実施形態では、ルテニウム:コバルトの厚さ比は、約1:1である。一部の実施形態では、ルテニウム層およびコバルト層のそれぞれは、約10Åの厚さである。
【0041】
一部の実施形態では、ライナ170は、ルテニウムとコバルトの二元層を含み、ルテニウムがバリア層150に接触する。ルテニウムは、ルテニウム金属またはドープされたルテニウムとすることができる。適切なドーパントとしては、酸素、窒素、ホウ素、炭素、銅、タングステン、モリブデン、アルミニウム、またはマンガンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
ライナ170は、当業者に知られている任意の適切な技術によって堆積させることができる。一部の実施形態では、ライナ170またはライナの個々の層は、原子層堆積によって堆積させる。
【0043】
一部の実施形態では、ライナ170の形成後、図4Aおよび図4Bに示すように、パッシベーション層160が除去される。パッシベーション層160を除去すると、ライナ底面172が第1の導電線120の上面122からある距離だけ離間されるように、間隙180が残る。間隙180の距離または厚さは、パッシベーション層160の厚さと実質的に同じ(すなわち、±10%以内)である。パッシベーション層160は、使用される材料に応じて任意の適切な技術によって除去することができる。一部の実施形態において、パッシベーション層160は、他の表面材料にあまり影響を及ぼさない選択的エッチングプロセスによって除去される。
【0044】
図4Bに示すように、一部の実施形態では、パッシベーション層160を除去することにより、間隙180内の第1のライナ底面172aおよび第2のライナ底面172bが露出する。別の言い方をすれば、一部の実施形態では、ライナ170は、第1の導電線120の上面122とライナ170の底部エッジとの間に間隙180が存在するように、第1の導電線120に接触しない。
【0045】
図5Aおよび図5Bを参照すると、パッシベーション層160を除去した後、導電性充填物185を表面構造140内に堆積させる。導電性充填物185は、第2の方向に沿って延在する第2の導電線181を形成する。導電性充填物185(第2の導電線181)は、表面構造140のビア部分142のビア底部143において第1の導電線120と直接接触する。
【0046】
導電性充填物185は、任意の適切な材料であってもよく、当業者に知られている任意の適切な技術によって堆積させることができる。一部の実施形態では、第2の導電線181を形成する導電性充填物185は、銅を含むか、または本質的に銅からなる。このように使用される場合、「本質的に~からなる」という用語は、膜が95%、98%、99%、または99.5%以上の記載された材料を含むことを意味する。
【0047】
導電性充填物185は、当業者に知られている任意の適切な技術によって形成することができる。一部の実施形態において、導電性充填物185は、物理的気相堆積によって堆積させる。1つまたは複数の実施形態において、第2の導電性材料220は、金属膜または金属含有膜を含む。導電性充填物185に適した金属膜としては、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、銅(Cu)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、アルミニウム(Al)、スズ(Sn)、クロム(Cr)、ランタン(La)、あるいはそれらの任意の組合せのうちの1つまたは複数を含む膜が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、第2の導電線を形成する導電性充填物185は、銅(Cu)を含む。
【0048】
1つまたは複数の実施形態では、導電性充填物185は、ALD、CVD、PVD、MBE、MOCVD、スピンオン、またはマイクロ電子デバイス製造の当業者に知られている他のライナ堆積技術などであるがこれらに限定されない堆積技術のうちの1つを使用して堆積させる。
【0049】
図6Aおよび図6Bを参照すると、一部の実施形態では、キャップ層190が、第2の導電線181を形成する導電性充填物185上に形成されている。図6Bは、図6Aの領域6の拡大図を示す。一部の実施形態では、第2の導電線181の上面182に形成されたキャップ層190は、第1のキャッピング層および第2のキャッピング層を含む。一部の実施形態では、キャップ層190は、第2の導電線181を形成する導電性充填物185と接触するルテニウム層192と、ルテニウム層192の、第2の導電線181である導電性充填物185とは反対側にあるコバルト層194とを含む。
【0050】
別の言い方をすれば、一部の実施形態では、キャッピング層190は、第2の導電線181と直接接触するルテニウム層192と、ルテニウム層192によって第2の導電線181から分離された、ルテニウム層192と接触するコバルト層194とを含む。
【0051】
一部の実施形態では、キャッピング層190は、5Å~50Åの範囲の総厚さ(すなわち、すべての層の厚さの合計)を有する。一部の実施形態では、ルテニウム層192は、2.5Å~25Åの範囲、または5Å~20Åの範囲、または10Å~15Åの範囲の厚さを有する。一部の実施形態では、コバルト層194は、2.5Å~25Åの範囲、または5Å~20Åの範囲、または10Å~15Åの範囲の厚さを有する。一部の実施形態では、ルテニウム層192とコバルト層194は、ほぼ同じ厚さを有する。一部の実施形態では、ルテニウム層192とコバルト層194は、0.95:1~1:0.95の範囲の厚さ比を有する。一部の実施形態では、ルテニウム:コバルトの厚さ比は、約1:1である。一部の実施形態では、ルテニウム層およびコバルト層のそれぞれは、約10Åの厚さである。
【0052】
キャッピング層190は、当業者に知られている任意の適切な技術によって堆積させることができる。一部の実施形態では、キャッピング層190または個々の層は、原子層堆積によって堆積させる。一部の実施形態において、キャッピング層190は、第2の導電線181の上面182に選択的に形成される。
【0053】
一部の実施形態では、選択的二元キャップ層およびルテニウムライナの使用により、エレクトロマイグレーション故障時間が(50%レベルで)2.5倍超増加した。キャップ層に最初にRu、次にCoを有することで、最初にCo、次にRuの場合よりも50%の故障率が2倍超増加した。二元キャップ層に加えて二元ライナを使用すると、故障時間がさらに増加した。
【0054】
本明細書全体を通して、「一実施形態」、「特定の実施形態」、「1つまたは複数の実施形態」、あるいは「実施形態」への言及は、実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造、材料、または特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体の様々な箇所における「1つまたは複数の実施形態において」、「特定の実施形態において」、「一実施形態において」または「ある実施形態において」などの語句の出現は、必ずしも本開示の同じ実施形態を指しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、材料、または特性は、1つまたは複数の実施形態において任意の適切なやり方で組み合わせることができる。
【0055】
本明細書の開示は、特定の実施形態を参照して説明されてきたが、当業者であれば、説明された実施形態は、本開示の原理と応用を例示するものに過ぎないことを理解するであろう。本開示の精神および範囲から逸脱することなく、本開示の方法および装置に様々な修正および変形を行うことができることは、当業者には明らかであろう。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物の範囲内にある修正形態および変形形態を含むことができる。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B