(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-04
(45)【発行日】2024-06-12
(54)【発明の名称】パッケージ
(51)【国際特許分類】
H01L 23/02 20060101AFI20240605BHJP
【FI】
H01L23/02 B
(21)【出願番号】P 2022569650
(86)(22)【出願日】2020-12-18
(86)【国際出願番号】 JP2020047347
(87)【国際公開番号】W WO2022130603
(87)【国際公開日】2022-06-23
【審査請求日】2023-04-18
(73)【特許権者】
【識別番号】391039896
【氏名又は名称】NGKエレクトロデバイス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100134991
【氏名又は名称】中尾 和樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148507
【氏名又は名称】喜多 弘行
(72)【発明者】
【氏名】間瀬 淳
【審査官】豊島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-216932(JP,A)
【文献】特開2019-129276(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/54
H01L23/00-23/04
H01L23/06-23/10
H01L23/16-23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品が実装されることになる実装面と、前記実装面上に位置するキャビティと、前記キャビティを封止するための蓋体が接着層を介して取り付けられることになる取付面と、を有するパッケージであって、
セラミックスからなり、前記実装面を有する底部と、
セラミックスからなり、前記底部上において前記実装面の外側で前記キャビティを囲み、前記取付面を有する枠部と、
前記キャビティ内と前記キャビティ外とをつなぐ配線部と、
を備え、
前記枠部の前記取付面は、前記キャビティ内と前記キャビティ外とにわたる少なくとも1つの断面視の各々において、前記キャビティに隣接する内端と、前記内端と反対の外端とを有しており、かつ、厚み方向において突出する凸形状を有しており、前記凸形状の最突出部に比して前記内端および前記外端の少なくともいずれかが10μm以上低められて
おり、
前記少なくとも1つの断面視は第1断面視および第2断面視を含み、
前記第1断面視においては、前記最突出部は第1高さ位置を有しており、前記第1高さ位置に比して前記内端および前記外端の少なくともいずれかが20μm以上低められており、
前記第2断面視においては、前記最突出部は第2高さ位置を有しており、前記第2高さ位置に比して前記内端および前記外端の少なくともいずれかが10μm以上20μm未満低められており、
前記第2断面視の前記第2高さ位置は、前記第1断面視の前記第1高さ位置よりも低い、パッケージ。
【請求項2】
前記取付面の前記凸形状の最突出部に比して、前記取付面の前記凸形状の前記外端が10μm以上低められている、請求項1に記載のパッケージ。
【請求項3】
前記取付面の前記凸形状の最突出部に比して、前記取付面の前記凸形状の前記内端および前記外端の各々が10μm以上低められている、請求項1に記載のパッケージ。
【請求項4】
前記取付面の前記凸形状の前記内端に比して、前記取付面の前記凸形状の前記外端が低められている、請求項1から3のいずれか1項に記載のパッケージ。
【請求項5】
前記取付面の前記凸形状の最突出部と、前記取付面の前記内端および前記外端の各々との間の前記厚み方向における距離は、100μm以内である、請求項1から4のいずれか1項に記載のパッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッケージに関し、特に、電子部品用のパッケージに関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラ、ビデオカメラ、その他の撮像装置には、電荷結合素子(CCD)または相補型・金属・酸化物・半導体(CMOS)などの固体撮像素子が広く用いられている。撮像装置の製造においては、通常、気密封止された固体撮像素子を有する撮像ユニット(例えば、「CMOS/CCDパッケージ」と称される電子部品)がまず準備され、そして撮像ユニットが撮像装置へ搭載される。当該ユニットは、典型的には、撮像素子と、撮像素子を収容するキャビティを有するセラミックパッケージと、当該キャビティを封止する蓋体とを有している。蓋体とパッケージとの間の固定は、多くの場合、蓋体を、パッケージの枠部が有する取付面へ接着層で接着することによって行われる。
【0003】
近年、より大きな撮像素子が用いられることがある一方で、撮像ユニット(CMOS/CCDパッケージ)の大きさをより小さくすることが求められている。撮像ユニットの大きさは、蓋体が接着される取付面の幅を小さくすることによって小さくすることができる。しかしながらこの方法は、蓋体の接着強度の低下につながりやすい。そこで、取付面の幅を小さくしつつも、十分に高い接着強度を確保する技術が望まれている。
【0004】
特開2018-166201号公報(特許文献1)は撮像装置用基板を開示している。撮像装置用基板は、セラミック配線基板(パッケージ)と、金属からなる枠状部材とを有している。セラミック配線基板は、上面に撮像素子の搭載領域を有し平面視で矩形状の基体部と、該基体部上に設けられて前記搭載領域を囲む、平面視で矩形状の枠体部(枠部)と、を含む。枠状部材は、枠体部の上面に接合部材を介して接合されており、セラミック配線基板の側面よりも外側に突出する突出部を有している。該枠状部材の上面は、枠体部の上面からの高さが、枠体部の辺の中央部における高さより枠体部の角部における高さの方が低い。上記公報が主張するところによれば、枠状部材の上面は、枠体部の上面からの高さが、枠体部の辺の中央部における高さより枠体部の角部における高さの方が低いことから、枠状部材の上面に接合材(接着層)を介して蓋体を接合した際に、蓋体の角部に位置する接合材の厚みが他の部分より厚いものとなり、蓋体の接合強度が高いものとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記公報の技術によれば、接着層の厚みを枠部の角部において局所的に大きくすることによって、枠部の角部の近傍において接着強度を高められるかもしれない。しかしながら、角部から離れた位置においては接着強度を高めることができない。さらに、通常の構成への追加部材として、金属からなる枠状部材を必要とするので、パッケージの製造コストが顕著に増大する。
【0007】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、特段の追加部材を用いることなく、枠部と蓋体とを接着する接着層の接着強度を高めることができる、パッケージを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に従うパッケージは、電子部品が実装されることになる実装面と、実装面上に位置するキャビティと、キャビティを封止するための蓋体が接着層を介して取り付けられることになる取付面と、を有している。パッケージは、底部と、枠部と、配線部とを有している。底部は、セラミックスからなり、実装面を有している。枠部は、セラミックスからなり、底部上において実装面の外側でキャビティを囲んでおり、取付面を有している。配線部はキャビティ内とキャビティ外とをつないでいる。枠部の取付面は、キャビティ内とキャビティ外とにわたる少なくとも1つの断面視の各々において、キャビティに隣接する内端と、内端と反対の外端とを有しており、かつ、厚み方向において突出する凸形状を有している。凸形状の最突出部に比して内端および外端の少なくともいずれかが10μm以上低められている。
【0009】
取付面の凸形状の最突出部に比して、取付面の凸形状の外端が10μm以上低められていてよい。取付面の凸形状の最突出部に比して、取付面の凸形状の内端および外端の各々が10μm以上低められていてよい。取付面の凸形状の内端に比して、取付面の凸形状の外端が低められていてよい。取付面の凸形状の最突出部と、取付面の内端および外端の各々との間の厚み方向における距離は、100μm以内であってよい。
【0010】
少なくとも1つの断面視は第1断面視および第2断面視を含んでよい。第1断面視においては、最突出部は第1高さ位置を有しており、第1高さ位置に比して内端および外端の少なくともいずれかが20μm以上低められている。第2断面視においては、最突出部は第2高さ位置を有しており、第2高さ位置に比して内端および外端の少なくともいずれかが10μm以上20μm未満低められている。第2断面視の第2高さ位置は、第1断面視の第1高さ位置よりも低い。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、枠部の取付面は、キャビティ内とキャビティ外とにわたる断面視において、最突出部に比して内端および外端の少なくともいずれかが10μm以上低められている凸形状を有している。このように低められている領域に接着層が溜まることによって、当該断面視において、接着層の厚みを、特段の追加部材を用いることなく、十分に確保しやすくなる。よって、枠部と蓋体とを接着する接着層の接着強度を高めることができる。
【0012】
凸形状の最突出部に比して凸形状の外端が10μm以上低められていてよい。これにより、接着層の厚みを、凸形状の外端において、より十分に確保しやすくなる。よって、パッケージの外部からの力が凸形状の外端近傍へ作用することに起因して枠部と蓋体との間の剥離が進行し始めることを抑制することができる。
【0013】
凸形状の最突出部に比して凸形状の内端および外端の各々が10μm以上低められていてよい。これにより、接着層の厚みを、凸形状の内端および外端の両方において、より十分に確保しやすくなる。よって、枠部と蓋体との間の剥離が接着層の端から進行し始めることを抑制することができる。
【0014】
凸形状の内端に比して凸形状の外端が低められていてよい。これにより、ある程度接着層の量を抑えつつ、パッケージの外部からの力が凸形状の外端近傍へ作用することに起因して枠部と蓋体との間の剥離が進行し始めることを抑制することができる。
【0015】
凸形状の最突出部と、内端および外端の各々との間の厚み方向における距離は、100μm以内であってよい。これにより、ある程度接着層の量を抑えつつ、接着層を凸形状の内端および外端の両方に行き渡らせることができる。
【0016】
この発明の目的、特徴、態様、および利点は、以下の詳細な説明と添付図面とによって、より明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施の形態における電子装置の構成を概略的に示す断面図である。
【
図2】
図1のパッケージの構成を概略的に示す断面図である。
【
図3】
図2の枠部の構成を概略的に示す平面図である。
【
図4】
図3の線IV-IVに沿う、枠部の部分断面図である。
【
図8】変形例の枠部の構成を概略的に示す平面図である。
【
図9】
図8の線IXa-IXaおよび
線IXb-IXbの各々に沿う、枠部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。
【0019】
図1および
図2のそれぞれは、本実施の形態における電子装置900の構成と、電子装置900の製造のために用いられるパッケージ800の構成とを概略的に示す断面図である。
【0020】
パッケージ800(
図2)は、電子部品902(
図1)が実装されることになる実装面SMと、実装面SM上に位置するキャビティCVと、キャビティCVを封止するための蓋体906が接着層907を介して取り付けられることになる取付面SFと、を有している。パッケージ800は、基部810と、配線部820とを有している。基部810は、実装面SMを有する底部811と、底部811上において実装面SMの外側でキャビティCVを囲む枠部812とを含む。枠部812は取付面SFを有している。
【0021】
基部810に含まれる底部811および枠部812の各々は、セラミックスからなる。このセラミックスは、基部810が絶縁部材として機能することができるように、実質的に絶縁体からなる。この機能が確保できる限りにおいてセラミックスは、必ずしも全体が完全に絶縁体からなる必要はなく、例えば、体積的に大多数の割合を占める絶縁体粒の中に、微量の非絶縁体粒が分散されていてもよい。
【0022】
実装面SMは、10mm以上の長辺を有する長方形を包含する大きさを有する実装面SMを有していることが好ましい。例えば、実装面SMは、10mm以上の長辺を有する長方形である。実装面SMは、10mm以上の辺を有する正方形を包含する大きさを有する実装面SMを有していてもよい。なお正方形は、幾何学における定義上、長方形の一種である。
【0023】
枠部812は、底部811上において、実装面SMの外側に、キャビティCVを囲むように設けられている。枠部812は、取付面SFとしてセラミックスの焼成面を有していてよい。ここで「焼成」(アズファイアード:as-fired)の文言は、焼結したままの、表面加工を行わない状態のことを意味する。よって「焼成面」は、「焼成」(アズファイアード:as-fired)の状態を有する面のことである。言い換えれば、「焼成面」は、焼結後のセラミックス製品の外面(external surface of a ceramic product after sintering)のことを意味する。よって、研磨された表面は焼成面ではない。なお、枠部812の取付面SFは、焼成面に限定されるわけではなく、例えば研磨面であってよい。
【0024】
配線部820は、キャビティCV内と、キャビティCV外とをつないでいる。言い換えれば、配線部820は、キャビティCVから延びて基部810を貫通している。具体的には、配線部820は、キャビティCVの外側に設けられた外部電極端子821と、基部810を貫通する内部配線822と、キャビティCVに面する内部電極端子823とを有している。内部配線822は、内部電極層およびビア配線の少なくともいずれかによって構成され得る。配線部820の材料は、配線部820が配線部材として機能することができるように、実質的に導体からなる。この機能が確保できる限りにおいては、この材料は、必ずしも全体が完全に導体からなる必要はなく、例えば、体積的に主な割合を占める導体領域の中に絶縁体領域が分散されていてもよい。
【0025】
電子部品902(
図1)は、内部電極端子823上に接合層901によって接合されている。これにより電子部品902は、接合層901および内部電極端子823を介して実装面SM上に実装されている。電子部品902は、10mm以上の長辺を有する長方形を包含する大きさを有していてよく、例えば、10mm以上の辺を有する正方形を包含する大きさを有している。電子部品902は固体撮像素子であってよい。固体撮像素子は、例えば、CMOSイメージセンサである。一眼レフ、一部の監視用カメラ、および産業用カメラ等に求められるような大きな撮像部を有する固体撮像素子としては、一般に、CMOSイメージセンサが特に優れている。固体撮像素子の平面形状は、10mm以上の長辺を有する長方形であってよく、10mm以上の辺を有する略正方形であってもよい。ただし、電子部品902のサイズおよび種類は、特に限定されるものではない。
【0026】
蓋体906は、枠部812の取付面SF上に接着層907を介して取り付けられている。これにより、パッケージ800のキャビティCVが封止されている。接着層907は、例えば、樹脂接着剤からなる。接着層907は、取付面SFおよび蓋体906の各々に直接接していてよい。電子部品902が固体撮像素子である場合、蓋体906の少なくとも一部は、撮像される光に関して実質的に透明であり、典型的には蓋体906の全体が、撮像される光に関して実質的に透明である。
【0027】
図3は、枠部812(
図2)の構成を概略的に示す平面図である。
図4は、
図3の線IV-IVに沿う、枠部812の部分断面図である。
【0028】
枠部812は、キャビティCV内とキャビティCV外とにわたる断面視(
図4)において、取付面SFと、キャビティCV(
図2)に面する内面SIと、キャビティCV外に位置する外面SOと、を有している。当該断面視において、取付面SFは、キャビティCVに隣接する内端EIと、内端EIと反対の外端EOとを有している。また当該断面視において、取付面SFは、厚み方向において突出する凸形状を有している。
図4においては、取付面SFは、縦方向において上方へ突出する凸形状を有している。
【0029】
凸形状の最突出部PPに比して、内端EIおよび外端EOの少なくともいずれかは、10μm以上低められている。
図4においては、凸形状の最突出部PPの高さ位置PTに比して、内端EIおよび外端EOの少なくともいずれかは、縦方向において10μm以上、下方へ離されている。なお、高さ位置PTは、最突出部PPを含む水平線に対応した位置を表し、当該水平線は、パッケージ800の水平面に平行な直線である。パッケージ800の水平面は、取付面SF(
図3)の近似平面である。当該近似平面は、例えば、
図3の破線LCに沿って測定された、取付面SFの表面プロファイルへ、平面をフィッテイングすることによって算出されてよい。破線LCは、枠部812の、幅方向における中心線であってよい。また、表面プロファイルの測定は、光学的に行われてよい。
【0030】
本実施の形態においては、凸形状の最突出部PPに比して凸形状の外端EOが10μm以上低められている。そしてさらに、凸形状の最突出部PPに比して凸形状の内端EIも10μm以上低められている。つまり、凸形状の最突出部PPに比して、凸形状の内端EIおよび外端EOの各々が10μm以上低められている。
【0031】
凸形状の最突出部PPと、内端EIおよび外端EOの各々との間の厚み方向(
図4における縦方向)における距離は、100μm以内である。
図4においては、凸形状の最突出部PPの高さ位置PTと、内端EIおよび外端EOの各々との間の縦方向における距離が、100μm以内である。
【0032】
なお本実施の形態においては配線部820(
図2)が底部811を貫通しているが、変形例として、電子部品902へボンディングワイヤによって接続されることになる配線部が設けられてもよい。その場合、内面SIの、取付面SFから十分に離れた位置(具体的には、最突出部PPの高さ位置PT(
図4)から厚み方向において下方へ、100μm超、離された位置)に、ボンディングワイヤが接合される電極パッドを支持するための段形状が設けられていてよい。また、変形例として、底部811と枠部812との間を貫通する配線部、または、枠部812を貫通する配線部が設けられてもよく、例えば、配線部はリードフレームであってもよい。
【0033】
本実施の形態によれば、枠部812の取付面SFは、キャビティCV内とキャビティCV外とにわたる断面視において、最突出部PPに比して内端EIおよび外端EOの少なくともいずれかが10μm以上低められている凸形状を有している。このように低められている領域に接着層907(
図1)が溜まることによって、当該断面視において、接着層907の厚みを、特段の追加部材を用いることなく、十分に確保しやすくなる。よって、枠部812と蓋体906とを接着する接着層907の接着強度を高めることができる。
【0034】
凸形状の最突出部PPに比して凸形状の外端EOが10μm以上低められていてよい。これにより、接着層907の厚みを、凸形状の外端EOにおいて、より十分に確保しやすくなる。よって、パッケージ800の外部からの力が凸形状の外端EO近傍へ作用することに起因して枠部812と蓋体906との間の剥離が進行し始めることを抑制することができる。
【0035】
凸形状の最突出部PPに比して、凸形状の内端EIおよび外端EOの各々が10μm以上低められていてよい。これにより、接着層907の厚みを、凸形状の内端EIおよび外端EOの両方において、より十分に確保しやすくなる。よって、枠部812と蓋体906との間の剥離が接着層907の端から進行し始めることを抑制することができる。
【0036】
凸形状の最突出部PPと、内端EIおよび外端EOの各々との間の厚み方向における距離は、100μm以内であることが好ましい。これにより、ある程度接着層907の量を抑えつつ、接着層907を凸形状の内端EIおよび外端EOの両方に行き渡らせることができる。
【0037】
図5は、枠部812(
図4)の第1変形例としての枠部812aである。枠部812aにおいては、最突出部PPは、キャビティCV内とキャビティCV外とにわたる断面視(
図5)において、平坦部を有している。これにより、枠部812aの取付面SFは、蓋体906(
図1)を、より安定的に支持することができる。
【0038】
図6は、枠部812(
図4)の第2変形例としての枠部812bである。枠部812bの、キャビティCV内とキャビティCV外とにわたる断面視(
図6)において、取付面SFの凸形状の内端EIに比して、取付面SFの凸形状の外端EOが低められている。これにより、ある程度接着層907の量を抑えつつも、パッケージ800の外部からの力が凸形状の外端EO近傍へ作用することに起因して枠部812と蓋体906との間の剥離が進行し始めることを抑制することができる。
【0039】
図7は、枠部812(
図4)の第3変形例としての枠部812cである。本変形例においては、凸形状の最突出部PPに比して(言い換えれば、高さ位置PTに比して)、凸形状の外端EOが10μm以上低められており、一方で、内端EIは実質的に低められていない。なお本変形例においては、枠部812の、外端EOよりも高い部分を、枠部812cが凸形状を有する部分とみなす。他の変形例として、凸形状の最突出部PPに比して(高さ位置PTに比して)、凸形状の内端EIが10μm以上低められており、一方で、外端EOが実質的に低められていなくてもよい。
【0040】
なお、上記においては、長方形状の枠部812の一辺(具体的には長辺)に交差する線IV-IV(
図3)に沿う断面視における、取付面SFの凸形状について説明した。これと共に、またはこれに代わって、長方形状の枠部812の他辺(具体的には短辺)に交差する線A-A(
図3)に沿う断面視において、本実施の形態またはその変形例において説明された凸形状が形成されていてもよい。両方に凸形状が設けられる場合、線IV-IVに沿う断面視における凸形状と、線A-Aに沿う断面視における凸形状とは、必ずしも同じ形状である必要はない。上記の長方形状として、長方形状の一種である正方形状が用いられてもよい。より好ましくは、枠部812の取付面SFは、キャビティCV内とキャビティCV外とにわたるいかなる断面視においても、本実施の形態またはその変形例において説明された凸形状を有している。その場合、枠部812の全周にわたって接着強度を高めることができる。
【0041】
図8は、上記観点での枠部812(
図3)の変形例としての枠部812Vの構成を概略的に示す平面図である。
図9は、線IXa-IXa(
図8)に沿う第1断面視VCaと、線IXb-IXb(
図8)に沿う第2断面視VCbとを示す図である。第1断面視VCaにおいては、最突出部PPaは第1高さ位置PTaを有している。第1高さ位置PTaに比して内端EIaおよび外端EOaの少なくともいずれかが20μm以上低められている。第2断面視VCbにおいては、最突出部PPbは第2高さ位置PTbを有している。第2高さ位置PTbに比して内端EIbおよび外端EObの少なくともいずれかが10μm以上20μm未満低められている。第2断面視VCbの第2高さ位置PTbは、第1断面視VCaの第1高さPTaよりも低い。
【0042】
上記変形例によれば、接着層907(
図1参照)を介して枠部812Vと蓋体906とが接合される工程において、厚み方向における枠部812Vと蓋体906との相対的位置は、主に、最突出部PPaの高さ位置PTaと、接着層907の特性(例えば、硬化前の接着層907の粘性、および、接着層907中のフィラーの大きさ、等)とによって規定される。よって、最突出部PPaと蓋体906との間の間隔に比して、最突出部PPaよりも低められている最突出部PPbと蓋体906との間の間隔の方が大きくなる。よって、最突出部PPbと蓋体906との間に多くの接着層907が溜まる。よって、最突出部PPbが位置する第2断面視VCbにおける接着強度を高めることができる。
【0043】
ここで、第1断面視VCaにおいては第1高さ位置PTaに比して内端EIaおよび外端EOaの少なくともいずれかが20μm以上低められている一方で、第2断面視VCbにおいては第2高さ位置PTbに比して内端EIbおよび外端EObの少なくともいずれかが10μm以上20μm未満しか低められていない。これにより、第2断面視VCbにおいて取付面SFが過度に低い部分を有してしまうことが避けられる。
【0044】
なお、枠部812V(
図8)は、おおよそ、長方形の辺SDに沿って延在していてよい。当該長方形は、第1方向(
図8における横方向)に沿った1対の第1辺と、第2方向(
図8における縦方向)に沿った1対の第2辺とを有している。例えば、第1断面視VC
aは第1辺についてのものであり、かつ、第2断面視VC
bは第2辺についてのものである。より具体的には、第1断面視VC
aは第1辺の中点を通る視野であってよく、また、第2断面視VC
bは第2辺の中点を通る視野であってよい。第1辺の長さと第2辺の長さとは互いに相違していてよく、例えば、第1辺は第2辺よりも長い。
【0045】
上述した実施の形態および変形例は、互いに自由に組み合わされてよい。
【0046】
この発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての態様において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0047】
800 :パッケージ
810 :基部
811 :底部
812,812a~812c,812V:枠部
900:電子装置
902:電子部品
906:蓋体
907:接着層
CV:キャビティ
EI,EIa,EIb:内端
EO,EOa,EOb:外端
PP,PPa,PPb:最突出部
SF:取付面