(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-04
(45)【発行日】2024-06-12
(54)【発明の名称】位置ずれの散乱計測による単一波長測定およびその改良のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/66 20060101AFI20240605BHJP
【FI】
H01L21/66 P
H01L21/66 Z
(21)【出願番号】P 2023516164
(86)(22)【出願日】2021-02-04
(86)【国際出願番号】 US2021016493
(87)【国際公開番号】W WO2022055543
(87)【国際公開日】2022-03-17
【審査請求日】2023-12-06
(32)【優先日】2020-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヤギル アロン
(72)【発明者】
【氏名】ラムホット ユヴァル
(72)【発明者】
【氏名】バチャール オハド
(72)【発明者】
【氏名】マヨ マーティン
(72)【発明者】
【氏名】ヤジブ タル
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルコヴィッチ ロイエ
【審査官】小池 英敏
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-537317(JP,A)
【文献】国際公開第2019/182637(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0316490(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0296075(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0155173(US,A1)
【文献】特開2015-038474(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
G01B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイスの異なる層間の位置ずれを測定する方法であって、前記方法は、
複数のパターン化半導体デバイスウェハ(PSDW)に関する瞳不正確性スケーラブル基底要素(PISBE)のセットを提供することと、
PSDW上の部位の単一の瞳画像を、前記部位の単一の測定を行うことによって生成することであって、前記PSDWは、前記複数のPSDWのうちの1つであり、前記単一の瞳画像は、複数の部位固有のピクセルを含む、生成することと、
前記PISBEのセットおよび前記複数の部位固有のピクセルを用いて、前記単一の瞳画像の部位固有の瞳不正確性スケーラブル基底要素スケーリングファクタ(PISBESF)のセットを計算することと、
前記PISBEのセットおよび前記部位固有のPISBESFのセットを用いて、部位固有の位置ずれ値(SSMV)を計算することと
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記PSDWにおける前記部位の前記測定は、散乱計測ベース位置ずれ測定ツールからの入射放射線の単一の波長を用いて前記部位を測定することを含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、前記PISBEのセットを前記提供することは、
対応する複数の基準測定から、複数の基準瞳画像を生成することであって、前記基準瞳画像はそれぞれ、複数の基準ピクセルを含み、前記複数の基準測定は、少なくとも、入射放射線の第1の波長を用いて行われた第1の基準測定と、入射放射線の第2の波長を用いて行われた第2の基準測定とを含む、生成することと、
前記基準瞳画像の対応する前記基準ピクセルに関連付けられた複数の基準ピクセル不正確性を特定することと、
前記基準ピクセル不正確性を用いて、前記PISBEのセットを計算することと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、前記PISBEのセットを前記計算することは、
前記基準ピクセル不正確性を用いて、代表的なピクセル不正確性のセットを計算することと、
前記基準ピクセル不正確性のセットと、対応する前記代表的なピクセル不正確性のセットとの間の変動のセットを計算することと、
前記変動のセットの主成分のセットに基づいて、前記PISBEのセットを計算することと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項3に記載の方法であって、前記部位固有のPISBESFのセットを前記計算することは、
PISBESFのセットの系統的部分(SPSP)のセットを提供することと、
前記SPSPに対応する部位固有の残余部分(SSRP)のセットを近似することと、
前記SPSPのセットと、対応する前記SSRPのセットとを合算することによって、前記部位固有のPISBESFのセットを計算することと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、前記SSMVは、
前記複数の部位固有のピクセルと、
前記PISBEのセットと、
基準PISBESFのセットと
の関数であることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、前記SSMVを前記計算することは、
第1の式を評価することであって、前記第1の式は、可変の位置ずれ値と、前記SSRPのセットとの関数である、評価することと、
第2の式を評価することであって、前記第2の式は、前記SSRPのセットの関数である、評価することと、
前記第1の式および前記第2の式を用いて、前記部位で用いるための、前記SSMVと、前記SSRPのセットの特定の値とを特定することと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、キープロセスインジケータ(KPI)を生成することを更に含み、前記KPIは、前記SSMVの信頼性のインジケーションを提供し、前記KPIを生成することは、
前記単一の瞳画像の前記対応する複数の部位固有のピクセルの複数のピクセル位置ずれ値を計算することと、
前記ピクセル位置ずれ値の各々について重み係数を計算することと、
前記SSMVからの前記ピクセル位置ずれ値の重み付き標準偏差として前記KPIを計算することと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、前記複数のピクセル位置ずれ値は、前記PISBEのセットおよび前記部位固有のPISBESFのセットの関数であることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項
3に記載の方法であって、前記基準測定は、基準パターン化半導体デバイスウェハ(RPSDW)を測定し、前記
基準パターン化半導体デバイスウェハ(RPSDW)および前記PSDWは、異なるウェハであることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項
3に記載の方法であって、前記基準測定は、基準パターン化半導体デバイスウェハ(RPSDW)を測定し、前記RPSDWおよび前記PSDWは、同じウェハであることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法であって、半導体デバイスウェハの製造プロセスにおいて、前記SSMVを用いることを更に含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
半導体デバイスの異なる層間の位置ずれを測定するためのシステムであって、前記システムは、
少なくとも1つの基準パターン化半導体デバイスウェハ(RPSDW)上の少なくとも1つの基準部位の少なくとも2つの測定を行い、それによって、前記少なくとも1つの基準部位の各々について少なくとも2つの基準出力信号を生成するように動作可能な基準散乱計測ベース位置ずれ測定ツール(SMMT)と、
前記基準出力信号を分析し、それによって、複数のパターン化半導体デバイスウェハ(PSDW)に関する瞳不正確性スケーラブル基底要素(PISBE)のセットを提供するように動作可能なRPSDW分析器と、
少なくとも1つのPSDW上の少なくとも1つの測定部位を測定し、それによって前記測定部位の単一の瞳画像を生成するように動作可能な部位固有のSMMTであって、前記PSDWは、前記複数のPSDWのうちの1つである、部位固有のSMMTと、
前記PISBEのセットを用いて前記単一の瞳画像を分析し、それによって、
部位固有の瞳不正確性スケーラブル基底要素スケーリングファクタ(PISBESF)のセットと、
部位固有の位置ずれ値(SSMV)と、
を生成するように動作可能なPSDW分析器と
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項14】
請求項13に記載のシステムであって、前記部位固有のSMMTは、入射放射線の単一の波長を用いて、前記少なくとも1つのPSDW上の前記少なくとも1つの
測定部位を測定することを特徴とするシステム。
【請求項15】
請求項13に記載のシステムであって、前記基準SMMTは、
少なくとも、入射放射線の第1の波長と、入射放射線の第2の波長とを用いて、前記少なくとも1つの
基準パターン化半導体デバイスウェハ(RPSDW)上の前記少なくとも1つの
測定部位の各々を測定し、
前記入射放射線の第1の波長および前記入射放射線の第2の波長の各々から、単一の基準出力信号を生成する
ように動作可能であることを特徴とするシステム。
【請求項16】
請求項13に記載のシステムであって、前記RPSDWおよび前記PSDWは、異なるウェハであることを特徴とするシステム。
【請求項17】
請求項13に記載のシステムであって、前記RPSDWおよび前記PSDWは、同じウェハであることを特徴とするシステム。
【請求項18】
少なくとも1つの散乱計測ベース位置ずれ測定ツール(SMMT)と共に用いるためのシステムであって、前記少なくとも1つのSMMTは、少なくとも1つの基準パターン化半導体デバイスウェハ(RPSDW)上の少なくとも1つの部位および少なくとも1つのパターン化半導体デバイスウェハ(PSDW)上の少なくとも1つの部位を測定するように動作可能であり、前記システムは、
前記少なくとも1つのRPSDWの前記測定によって生成される複数の基準出力信号を分析し、それによって、前記少なくとも1つのPSDWに関する瞳不正確性スケーラブル基底要素(PISBE)のセットを提供するように動作可能なRPSDW分析器と、
前記PISBEのセットを用いて、前記PSDWの前記測定によって生成された単一の瞳画像を分析し、それによって、
部位固有の瞳不正確性スケーラブル基底要素スケーリングファクタ(PISBESF)のセットと、
部位固有の位置ずれ値(SSMV)と
を生成するように動作可能なPSDW分析器と
を備えることを特徴とする、システム。
【請求項19】
請求項18に記載のシステムであって、前記単一の瞳画像は、前記PSDWの入射放射線の単一の波長を用いた測定によって生成されることを特徴とするシステム。
【請求項20】
請求項18に記載のシステムであって、前記RPSDWおよび前記PSDWは、異なるウェハであることを特徴とするシステム。
【請求項21】
請求項18に記載のシステムであって、前記RPSDWおよび前記PSDWは、同じウェハであることを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、半導体デバイスの製造における位置ずれの測定に関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願の参照
2020年9月14日に出願された、「CALIBRATED MULTI SIGNAL SELF-ACCURACY METROLOGY」と題された米国仮特許出願第63/077,722号が参照され、この米国仮特許出願の開示は、本願に引用して援用され、その優先権が主張される。
本出願人の以下の特許および特許出願も参照され、これらは、本出願の主題に関連し、これらの開示は、本願に引用して援用される。
「REDUCING ALGORITHMIC INACCURACY IN SCATTEROMETRY OVERLAY METROLOGY」と題された米国特許第9,869,543号、
「ANALYZING ROOT CAUSES OF PROCESS VARIATION IN SCATTEROMETRY METROLOGY」と題された米国特許第10,203,200号、
「APPARATUS AND METHODS FOR DETECTING OVERLAY ERRORS USING SCATTEROMETRY」と題された欧州特許第1,570,232号、
「OVERLAY MEASUREMENT USING MULTIPLE WAVELENGTH」と題されたPCT特許出願第PCT/US2018/049295号、および、
「METHOD FOR MEASURING AND CORRECTING MISREGISTRATION BETWEEN LAYERS IN A SEMICONDUCTOR DEVICE, AND MISREGISTRATION TARGETS USEFUL THEREIN」と題されたPCT出願第PCT/US2019/030776号。
【0003】
半導体デバイスの製造における位置ずれの測定について、様々な方法およびシステムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2016/0313658号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、半導体デバイスの製造における位置ずれの測定のための改善された方法およびシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このため、本発明の好ましい実施形態によれば、半導体デバイスの異なる層間の位置ずれを測定する方法が提供され、この方法は、複数のパターン化半導体デバイスウェハ(PSDW)に関する瞳不正確性スケーラブル基底要素(PISBE)のセットを提供することと、PSDW上の部位の単一の瞳画像を、部位の単一の測定を行うことによって生成することであって、PSDWは、複数のPSDWのうちの1つであり、単一の瞳画像は、複数の部位固有のピクセルを含む、生成することと、PISBEのセットおよび複数の部位固有のピクセルを用いて、単一の瞳画像の部位固有の瞳不正確性スケーラブル基底要素スケーリングファクタ(PISBESF)のセットを計算することと、PISBEのセットおよび部位固有のPISBESFのセットを用いて、部位固有の位置ずれ値(SSMV)を計算することとを含む。
【0007】
本発明の好ましい実施形態によれば、PSDWにおける部位の測定は、入射放射線の単一の波長を用いて部位を測定することを含む。
【0008】
好ましくは、PISBEのセットを提供することは、対応する複数の基準測定から、複数の基準瞳画像を生成することであって、基準瞳画像はそれぞれ、複数の基準ピクセルを含み、複数の基準測定は、少なくとも、入射放射線の第1の波長を用いて行われた第1の基準測定と、入射放射線の第2の波長を用いて行われた第2の基準測定とを含むことと、基準瞳画像の対応する基準ピクセルに関連付けられた複数の基準ピクセル不正確性を特定することと、基準ピクセル不正確性を用いて、PISBEのセットを計算することとを含む。
【0009】
本発明の好ましい実施形態によれば、PISBEのセットを計算することは、基準ピクセル不正確性を用いて、代表的なピクセル不正確性のセットを計算することと、基準ピクセル不正確性のセットと、対応する代表的なピクセル不正確性のセットとの間の変動のセットを計算することと、変動のセットの主成分のセットに基づいて、PISBEのセットを計算することとを含む。
【0010】
好ましくは、部位固有のPISBESFのセットを計算することは、PISBESFのセットの系統的部分(SPSP)のセットを提供することと、SPSPに対応する部位固有の残余部分(SSRP)のセットを近似することと、SPSPのセットと、対応するSSRPのセットとを合算することによって、部位固有のPISBESFのセットを計算することとを含む。
【0011】
本発明の好ましい実施形態によれば、SSMVは、複数の部位固有のピクセルと、PISBEのセットと、基準PISBESFのセットとの関数である。
【0012】
好ましくは、SSMVを計算することは、第1の式を評価することであって、第1の式は、可変の位置ずれ値と、SSRPのセットとの関数であることと、第2の式を評価することであって、第2の式はSSRPのセットの関数であることと、第1の式および第2の式を用いて、部位での使用に特に適した、SSMVと、SSRPのセットの特定の値とを特定することとを含む。
【0013】
本発明の好ましい実施形態において、方法は、キープロセスインジケータ(KPI)を生成することも含み、KPIはSSMVの信頼性のインジケーションを提供する。
【0014】
好ましくは、KPIを生成することは、単一の瞳画像の対応する複数の部位固有のピクセルの複数のピクセル位置ずれ値を計算することと、ピクセル位置ずれ値の各々について重み係数を計算することと、SSMVからのピクセル位置ずれ値の重み付き標準偏差としてKPIを計算することとを含む。
【0015】
好ましくは、複数のピクセル位置ずれ値は、PISBEのセットおよび部位固有のPISBESFのセットの関数である。
【0016】
本発明の好ましい実施形態によれば、基準測定は、基準パターン化半導体デバイスウェハ(RPSDW)を測定し、RPSDWおよびPSDWは異なるウェハである。
【0017】
代替的に、本発明の好ましい実施形態によれば、基準測定は、基準パターン化半導体デバイスウェハ(RPSDW)を測定し、RPSDWおよびPSDWは同じウェハである。
【0018】
本発明の好ましい実施形態によれば、方法は、半導体デバイスウェハの製造プロセスにおいてSSMVを用いることも含む。
【0019】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、半導体デバイスの異なる層間の位置ずれを測定するためのシステムも提供され、このシステムは、少なくとも1つの基準パターン化半導体デバイスウェハ(RPSDW)上の少なくとも1つの基準部位の少なくとも2つの測定を行い、それによって、少なくとも1つの基準部位の各々について少なくとも2つの基準出力信号を生成するように動作可能な基準散乱計測ベース位置ずれ測定ツール(SMMT)と、基準出力信号を分析し、それによって、複数のパターン化半導体デバイスウェハ(PSDW)に関する瞳不正確性スケーラブル基底要素(PISBE)のセットを提供するように動作可能なRPSDW分析器と、少なくとも1つのPSDW上の少なくとも1つの測定部位を測定し、それによって測定部位の単一の瞳画像を生成するように動作可能な部位固有のSMMTであって、PSDWは、複数のPSDWのうちの1つである、部位固有のSMMTと、PISBEのセットを用いて単一の瞳画像を分析し、それによって、部位固有の瞳不正確性スケーラブル基底要素スケーリングファクタ(PISBESF)のセットと、部位固有の位置ずれ値(SSMV)とを生成するように動作可能なPSDW分析器とを備える。
【0020】
本発明のまた別の好ましい実施形態によれば、少なくとも1つの散乱計測ベース位置ずれ測定ツール(SMMT)と共に用いるためのシステムが更に提供され、少なくとも1つのSMMTは、少なくとも1つの基準パターン化半導体デバイスウェハ(RPSDW)上の少なくとも1つの部位および少なくとも1つのパターン化半導体デバイスウェハ(PSDW)上の少なくとも1つの部位を測定するように動作可能であり、このシステムは、少なくとも1つのRPSDWの測定によって生成される複数の基準出力信号を分析し、それによって、少なくとも1つのPSDWに関する瞳不正確性スケーラブル基底要素(PISBE)のセットを提供するように動作可能なRPSDW分析器と、PISBEのセットを用いて、PSDWの測定によって生成された単一の瞳画像を分析し、それによって、部位固有の瞳不正確性スケーラブル基底要素スケーリングファクタ(PISBESF)のセットと、部位固有の位置ずれ値(SSMV)とを生成するように動作可能なPSDW分析器とを備える。
【0021】
本発明は、図面と併せて読むと、以下の詳細な説明からより完全に理解および認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の好ましい実施形態を示す簡略化されたフローチャートである。
【
図2】
図1の実施形態の一部分を示す簡略化されたフローチャートである。
【
図3】
図1および
図2の実施形態の一部分を示す簡略化されたフローチャートである。
【
図4】
図1~
図3の実施形態の一部分を示す簡略化されたフローチャートである。
【
図5A】
図1~
図4の実施形態で用いるためのシステムの好ましい実施形態の簡略化された概略図である。
【
図5B】
図1~
図4の実施形態で用いるためのシステムの別の好ましい実施形態の簡略化された概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1~
図5Bを参照して以下で説明されるシステムおよび方法は、好ましくは、半導体デバイスの異なる層間の位置ずれを測定するのに用いられ、半導体デバイスの製造プロセスの一部であることが理解される。
図1~
図5Bを参照して以下で説明されるシステムおよび方法によって計算される位置ずれ値は、好ましくは、半導体デバイスの製造中にリソグラフィ等の製造プロセスを調整し、製造されている半導体デバイスの様々な層間の位置ずれを改善させるのに用いられる。
【0024】
通常、複数のパターン化層を有する半導体デバイスの製造において、様々な層が、好ましくは10nm未満の許容範囲内、より好ましくは3nm未満の許容範囲内の厳密な空間的位置合わせ状態に維持されることが必要とされる。
【0025】
パターン化半導体デバイスウェハ(PSDW)上で形成される半導体デバイスの様々な層の空間的位置合わせを維持するために、通常、半導体デバイスの製造プロセス全体にわたって複数回、位置ずれが測定される。通常、位置ずれ測定ツールによって生成される位置ずれ測定からの出力信号は、PSDW上に形成される少なくとも2つの層間の位置ずれに起因した第1の部分と、測定不正確性等のノイズに起因した第2の部分とを含む。半導体デバイスの物理的位置ずれの良好な表現である位置ずれ値を計算するために、出力信号のいずれの部分が測定不正確性に起因するかを特定することが有利であり、それによって、その部分を、そこから位置ずれ値を計算する前に出力信号から除去することができる。
【0026】
以下で
図1~
図5Bを参照して説明される方法およびシステムは、散乱計測ベース位置ずれ測定ツール(SMMT)と共に用いるのに特に適している。SMMTとして適した一般的ツールは、米国カリフォルニア州ミルピタスのKLA Corporationから市販されているATL(商標)100である。SMMTによって行われる各測定が入射放射線の単一の波長を用いて行われることが特に本発明の特徴である。
【0027】
本明細書において用いられるとき、用語「放射線の単一の波長」または「入射放射線の単一の波長」は、厳密に単一の波長を有する放射線を指す必要がないことが理解される。むしろ、用語「放射線の単一の波長」または「入射放射線の単一の波長」は各々、挟帯域幅の波長によって特徴付けられる放射線、例えば、25nm未満、より好ましくは15nm未満、最も好ましくは10nm未満の帯域幅を有する放射線を指す。そのような放射線は、好ましくは、5μm~100μmのコヒーレンス長によって特徴付けられる。加えて、そのような放射線は、好ましくは、比較的少数の、好ましくは10個未満の空間モードを含む。
【0028】
図1~
図5Bを参照して以下で説明される方法およびシステムは、好ましくは、複数の、最も一般的には一対の周期的構造を測定するのに用いられ、この周期的構造は、互いに少なくとも部分的に重なり合い、PSDW上に形成される。そのような周期的構造は、通常、欧州特許第1,570,232号に記載の標的のうちの1つ等の標的の一部として形成される。本発明の1つの実施形態において、周期的構造は、PSDW上に形成される機能的半導体デバイスと別個であり、本発明の別の実施形態では、周期的構造は、PSDW上に形成された機能的半導体デバイスまたはその一部分に含まれる。欧州特許第1,570,232号により詳細に記載されているように、周期的構造は、完全な位置合わせ状態にあるとき、所定のオフセットf
0だけ互いからオフセットされている。
【0029】
米国特許第10,203,200号により詳細に記載されているように、SMMTによる周期的構造の各位置ずれ測定は、出力信号を生成し、これは通常、複数の、通常数千個のピクセルを含む瞳画像として表される。各ピクセルは、反射された放射線の特定の角度によって生成され、反射される放射線は、周期的構造のうちの少なくとも1つによる入射放射線の反射である。
【0030】
瞳画像は、好ましくは、周期的構造の瞳位置ずれ値を計算するのに用いられることが理解される。瞳の位置ずれは、複数のピクセル位置ずれ値を含み、ここで、各ピクセル位置ずれ値は、通常、ナノメートル単位の位置ずれ値を表す。
【0031】
通常、瞳画像内の各ピクセルは、ピクセル非対称性Kおよびピクセル感度Gによって特徴付けられる。或る波長λを有する入射放射線を用いて測定された任意の特定のピクセルについて、
【数1】
【0032】
【0033】
PCT特許出願第PCT/US2018/049295号において、より詳細に記載されているように、D1は、標的における周期的構造の第1のセットによって反射された放射線によって生成された瞳画像からの第1のピクセルと対応する第2のピクセルとの間のグレイレベル強度の差である。第1のピクセルおよび第2のピクセルは、それぞれ、周期的構造の第1のセットによって反射された放射線の+1回折次数および-1回折次数を表す。同様に、D2は、標的における周期的構造の第2のセットによって反射された放射線によって生成された瞳画像からの第3のピクセルと対応する第4のピクセルとの間のグレイレベル強度の差である。第3のピクセルおよび第4のピクセルは、それぞれ、周期的構造の第2のセットによって反射された放射線の+1回折次数および-1回折次数を表す。
【0034】
標的内の周期的構造の第2のセットからの+1回折次数および-1回折次数の対応するピクセル間のグレイレベル強度の差である。
【0035】
以下で単一波長法(SWM)と呼ばれる、米国特許第9,869,543号において開示されている方法等の、SMMTを用いて周期的構造の位置ずれを測定するいくつかの方法は、通常、入射放射線の単一の波長を用いて周期的構造の1つの測定を行うことによって、周期的構造の位置ずれを生成する。そのような方法において、周期的構造の瞳位置ずれは、式3によって与えられる。
【数3】
【0036】
ここで、εSWLは、SWMによって計算される瞳位置ずれであり、f0は、周期的構造間の所定のオフセットであり、Kは瞳非対称性であり、Gは瞳感度である。
【0037】
以下で多波長法(MWM)と呼ばれる、PCT特許出願第PCT/US2018/049295号において開示されている方法等の、SMMTを用いて周期的構造の位置ずれを測定する他の方法は、通常、周期的構造の複数の測定を行うことによって、周期的構造の位置ずれを生成し、各測定は、入射放射線の異なる単一の波長を用いる。そのような方法において、周期的構造の瞳位置ずれは、式4によって与えられる。
【数4】
【0038】
ここで、ε
MWLは瞳位置ずれであり、f
0は周期的構造間の所定のオフセットであり、pおよびp’は、瞳画像内のピクセルのインデックスであり、角括弧〈〉は、MWM内で用いられる波長にわたって取られた平均を示す。PCT特許出願第PCT/US2018/049295号により完全に説明されているように、式4は、式5によって与えられるピクセル補正δA
MWLを適用することによって得られる。
【数5】
【0039】
ここで、Kpは、評価されているピクセルのピクセル非対称性であり、Gpは、評価されているピクセルのピクセル感度であり、εMWL(pix)は式4からの瞳位置ずれであり、f0は、周期的構造間の所定のオフセットであり、角括弧〈〉は、MWM内で用いられる波長にわたって取られた平均を示す。
【0040】
当該技術分野において既知であるように、SWMによって生成される瞳位置ずれは、MWMによって生成される瞳位置ずれのピクセル位置ずれ値の異なる値間の変動と比較して、そのピクセル位置ずれ値の異なる値間の変動が比較的大きい。しかしながら、ピクセルは反射角と相関し、周期的構造は、放射線の反射角に本質的に依拠しない単一の物理的位置ずれを有する。このため、SWMによって生成されるピクセル位置ずれ値間の変動は、望ましくないピクセル不正確性を含むノイズを示す。
【0041】
対照的に、MWMによって生成される瞳位置ずれは、瞳画像から少なくともいくらかのピクセル不正確性を除去することによって生成される。したがって、そのピクセル位置ずれ値の異なる値間の変動は、SWMによるピクセル位置ずれ値の異なる値間の変動と比較して、相対的に小さい。MWMによって生成されるピクセル位置ずれ値間の相対的に小さな変動は、それによって生成される瞳位置ずれが、通常、SWMによって生成される瞳位置ずれよりも、周期的構造間の位置ずれのより信頼性の高いインジケーションであることを示す。しかしながら、上記で論じたように、MWMは、入射放射線の複数の波長を用いて周期的構造の位置ずれを測定する。したがって、MWMは、周期的構造の複数の測定を行うことを必要とし、これは、製造スループットに影響を及ぼす時間のかかるプロセスであり、所与の時間量において製造することができる半導体デバイスの数が低減される。
【0042】
本発明は、ピクセル不正確性、瞳不正確性、ピクセル位置ずれ値および瞳位置ずれの特定のための改善した、相対的に高速のシステムおよび方法を提供しようとする。より詳細には、本発明は、好ましくは、通常、入射放射線の単一の波長を用いて周期的構造を1回測定する。本発明において、周期的構造のピクセル位置ずれ値は、各々式6によって与えられる。
【数6】
【0043】
ここで、ε(pix)は、評価されているピクセルのピクセル位置ずれ値であり、f
0は、周期的構造間の所定のオフセットであり、K(pix)は、評価されているピクセルのピクセル非対称性であり、G(pix)は、評価されているピクセルのピクセル感度であり、δA(pix)は、評価されているピクセルのピクセル不正確性である。
図1~
図4を参照して以下でより詳細に説明されるように、本発明は、以下の式7を用いてピクセル不正確性δA(pix)を測る(span)。
【数7】
【0044】
ここで、
【数8】
は代表的なピクセル不正確性であり、α
μは瞳不正確性スケーラブル基底要素スケーリングファクタ(PISBESF)であり、V
μ(pix)は、瞳不正確性スケーラブル基底要素(PISBE)V
μの、特定のピクセルに対応する要素である。μは、評価されているそれぞれのPISBEおよびPISBESFのインデックスであることが理解される。
【0045】
PISBEは、複数のパターン化半導体デバイスウェハ(PSDW)に関係する固有ベクトルであることが理解される。より詳細には、PISBEは、周期的構造の測定によって生成された瞳画像の瞳不正確性を再構成するための有用な基礎を形成する。
【0046】
PISBEは、瞳不正確性を測る固有ベクトルであるため、PISBEは、式7において行われるように、瞳不正確性を再構成するための有用な基礎を形成する。式7におけるように、好ましくは、PISBEの各々は、それに対応するPISBESFを乗算され、結果として得られる積が合算され、瞳不正確性の部位固有の部分が生成される。その後、瞳不正確性の部位固有の部分が代表的な瞳不正確性に加えられ、全体的な瞳不正確性が生成される。
【0047】
瞳画像がピクセルから形成され、瞳位置ずれがピクセル位置ずれ値から形成されるのと同じように、PISBE、代表的な瞳不正確性および瞳不正確性も各々ピクセルレベルデータから形成されることが理解される。したがって、PISBE、代表的な瞳不正確性および瞳不正確性の各々は、多くの場合、有利には行列として表され、ここで、各行列はピクセルごとに1つの要素を含む。
【0048】
当該技術分野において周知であるように、通常のPSDWは、同一であるように意図される多くの構造を有するように製造される。更に、特定の設計を有するPSDWは、通常、そのような設計を有する複数のPSDWを含むバッチの一部として製造され、特定の設計は、多くの場合、PSDWの複数のバッチを製造するのに用いられる。本発明によって生成されるPISBEは、式7によって評価される周期的構造、およびそれに類似した周期的構造の双方に有用であることが理解される。そのような類似の周期的構造は、式7によって評価されるのと同じPSDWの他の場所、単一のバッチの他のPSDW上、または更には、PSDWが式7によって評価されるPSDWと同じ特定の設計を用いて製造される限り、異なるバッチの他のPSDW上に形成することができる。
【0049】
ここで
図1を参照する。
図1は、方法300の好ましい実施形態を示す簡略化されたフローチャートである。上記で説明したように、方法300は、好ましくは、半導体デバイスの製造プロセスの一部である。方法300の示される部分は、通常、PSDW上の少なくとも2つの層の形成後に開始することが理解される。
【0050】
図1から分かるように、第1のステップ302において、瞳不正確性スケーラブル基底要素(PISBE)のセットが提供される。上記で説明したように、PISBEは、複数のPSDWに関係する固有ベクトルである。より詳細には、PISBEは、周期的構造の測定によって生成された瞳画像の瞳不正確性を再構成するための有用な基礎を形成する。
図2を参照して以下で更に説明されるように、ステップ
402において、複数の基準瞳が生成され、分析される。
【0051】
本発明の好ましい実施形態において、ステップ302は、1つ以上の基準パターン化半導体デバイスウェハ(RPSDW)について1回実行され、結果の単一のセットを生成し、ステップ302において生成された結果の単一のセットが、方法300を用いて処理される複数のPSDWについて用いられる。このため、本発明の好ましい実施形態において、ステップ302は1回実行されるのに対し、方法300の残りのステップは複数のPSDWについて実行される。
【0052】
次のステップ304において、PSDW上の部位の単一の瞳画像が生成される。本明細書において用いられるとき、用語「部位」は、周期的構造の位置ずれ測定に適したPSDWの一部分を指す。好ましくは、単一の瞳画像は、入射放射線の単一の波長を用いて、SMMTにより部位の単一の測定を行うことによって生成される。部位を測定することによって生成される瞳画像は、好ましくは、複数の、通常数千個の部位固有のピクセルを含む。
【0053】
その後、次のステップ306において、ステップ304において生成された単一の瞳画像について、部位固有の瞳不正確性スケーラブル基底要素スケーリングファクタ(PISBESF)および部位固有の位置ずれ値(SSMV)のセットが計算される。
【0054】
ステップ302において提供されたPISBEのセットと、ステップ304において生成された単一の瞳画像の部位固有のピクセルからのデータとを用いて、部位固有のPISBESFが計算される。SSMVは、好ましくは、ステップ302において提供されたPISBEのセットと、ステップ306においてSSMVと共に計算される部位固有のPISBESFのセットとを用いて計算される。ステップ306は、
図3を参照して以下で更に説明される。
【0055】
好ましくは、次のステップ308において、キープロセスインジケータ(KPI)が生成される。通常、瞳3σ(P3S)値として具現化されるKPIは、ステップ306において計算されるSSMVの信頼性のインジケーション、好ましくは量的インジケーションを提供する。ステップ308は、
図4を参照して以下で更に説明される。
【0056】
次のステップ322において、308において生成されたKPIが評価される。本発明の1つの実施形態において、KPIが所定の許容範囲内にない場合、方法300はステップ304に戻り、部位の別の単一の瞳画像が生成される。本発明の他の実施形態において、KPIが所定の許容範囲内にない場合、方法300はステップ304に戻り、PSDW上の異なる部位の単一の瞳画像が生成される。本発明の更に別の実施形態において、KPIが所定の許容範囲内にない場合、方法300が終了する。
【0057】
KPIが所定の許容範囲内にある場合、次のステップ324において、ステップ306において生成されたSSMVが、半導体デバイスウェハの製造プロセスにおける使用について評価される。ステップ306において生成されたSSMVが所定の許容範囲内にない場合、次のステップ326において、ステップ306において生成されたSSMVを用いて、調整された製造パラメータのセットを生成する。好ましくは、調整された製造パラメータのセットを用いて、PSDWの少なくとも1つの層を製造し、それによって、その層間の位置ずれを改善し、次のステップ328において、PSDWの製造プロセスが継続する。
【0058】
しかしながら、ステップ324において、ステップ306において生成されたSSMVが所定の許容範囲内にあることが分かった場合、ステップ328において、PSDWの製造プロセスは、方法300に起因した製造パラメータに対する調節なしで継続する。
【0059】
ここで
図2を参照する。
図2は、方法300のステップ302を示す簡略化されたフローチャートである。
図2から分かるように、第1のステップ402において、複数の基準出力信号が対応する複数の基準測定から生成される。好ましくは、基準出力信号は、SMMTによって生成され、基準瞳画像として表される。基準瞳画像の各々が、好ましくは複数の基準ピクセルを含む。
【0060】
好ましくは、ステップ302において行われる基準測定は、1つ以上のRPSDWを測定する。本発明の1つの実施形態において、ステップ302において測定される少なくとも1つのRPSDWおよびステップ304において測定されるPSDWは異なるウェハである。本発明の別の実施形態において、ステップ302において測定される少なくとも1つのRPSDWおよびステップ304において測定されるPSDWは同じウェハである。しかしながら、ステップ302において測定される少なくとも1つのRPSDWおよびステップ304において測定されるPSDWは、好ましくは単一の設計を共有する。本発明の1つの実施形態において、ステップ302において測定される少なくとも1つのRPSDWおよびステップ304において測定されるPSDWは、PSDWの単一のバッチで製造される。
【0061】
本発明の1つの実施形態において、ステップ304において用いられるSMMTは、ステップ402において用いられるのと同じSMMTである。本発明の別の実施形態において、ステップ304およびステップ402において異なるSMMTが用いられる。
【0062】
本発明の1つの実施形態において、複数の基準測定は、少なくとも、入射放射線の第1の単一の波長を用いて行われた単一の基準部位の第1の基準測定と、入射放射線の第2の単一の波長を用いて行われた単一の基準部位の第2の基準測定とを含む。本発明のいくつかの実施形態において、単一の基準部位の追加の基準測定が行われ、各追加の測定は、入射放射線の追加の単一の波長を用いて行われる。
【0063】
本発明の代替的な実施形態において、複数の基準測定は複数の基準部位の複数の基準測定を含む。好ましくは、複数の基準部位の各々が少なくとも2つの基準測定を用いて測定される。少なくとも2つの基準測定は、それぞれ、入射放射線の単一の波長を用いて行われ、単一の基準部位の各基準測定において用いられる入射放射線の単一の波長は互いに異なる。基準瞳画像が生成される基準部位の総数は、本明細書においてNsitesと呼ばれる。
【0064】
本発明の好ましい実施形態において、基準測定は、基準部位の各々において入射放射線の2~7個の波長を用いて50~400個の基準部位について行われる。
【0065】
次のステップ404において、複数の基準ピクセル不正確性δAref(pix)が特定される。複数の基準ピクセル不正確性δAref(pix)が、ピクセルの非対称性に寄与するが、部位の位置ずれ以外の測定ノイズを示す部分である。当該技術分野において既知であるように、中でも、瞳画像データを電子ビーム顕微鏡によって生成されたデータと比較することと、瞳データをPCT出願第PCT/US2019/030776号に記載されているプロセス等の校正プロセスによって生成されるデータと比較することとを含む、複数の基準ピクセル不正確性δAref(pix)に属する瞳画像の部分を特定する多くの方法が存在する。基準ピクセル不正確性δAref(pix)は、ステップ402において生成された基準瞳画像の対応する基準ピクセルに関連付けられていることが理解される。その後、次のステップ406において、基準ピクセル不正確性δAref(pix)を用いてPISBEのセットが計算される。
【0066】
図2に示すように、ステップ406は複数のサブステップを含む。第1のサブステップ422において、代表的なピクセル不正確性
【数9】
のセットが、ステップ404において特定された基準ピクセル不正確性δA
ref(pix)を用いて計算される。ステップ406において用いられる計算は式8によって与えられ、式8は、瞳画像内の各ピクセルについて代表的なピクセル不正確性
【数10】
のセットを計算する。
【数11】
【0067】
ここで、Nsitesは、ステップ402において基準瞳画像が生成された基準部位の総数であり、δAref(pix,site)は、評価されているピクセルの基準部位の基準ピクセル不正確性である。
【0068】
式8は、ステップ404において特定された基準ピクセル不正確性δA
ref(pix)の数学的平均を計算し、各代表的なピクセル正確性
【数12】
の値としてこの数学的平均を用いることが理解される。しかしながら、基準ピクセル不正確性δA
ref(pix)の他の適切な操作を用いて各代表的なピクセル不正確性
【数13】
の値を生成することもできることが理解される。例えば、ステップ404において特定された基準ピクセル不正確性δA
ref(pix)の中央値または最頻値を、各代表的なピクセル不正確性
【数14】
の値として用いることができる。更なる例として、ステップ404において特定された基準ピクセル不正確性δA
ref(pix)の加重平均、加重中央値または加重最頻値を、各代表的なピクセル不正確性
【数15】
の値として用いることができる。
【0069】
代表的なピクセル不正確性
【数16】
のセットが複数のPSDW上の複数の部位に関係することが本発明の特定の特徴である。より詳細には、代表的なピクセル不正確性
【数17】
のセットは、周期的構造の測定によって生成された瞳画像の瞳不正確性の再構成に有用である。
【0070】
次のサブステップ424において、基準ピクセル不正確性δA
ref(pix)のセットと、対応する代表的なピクセル不正確性
【数18】
のセットとの間の変動δA
var(pix)のセットが式9を用いて計算される。
【数19】
【0071】
その後、次のサブステップ426において、変動δAvar(pix)の主成分のセットが、主成分分析を用いて計算される。
【0072】
次のサブステップ428において、変動のセットの主成分のセットに基づいてPISBEのセットが計算される。式10におけるように、変動δA
var(pix)を、PISBEすなわちV
μのセットと、対応する基準PISBESFすなわちα
μ_refのセットとの関数として表すことができることが本発明の特定の特徴である。
【数20】
【0073】
ここで、μは、評価されている基準PISBESFすなわちαμ_refおよびPISBEすなわちVμのインデックスである。以下で式11を参照して論じられるように、本発明は、基準ピクセル不正確性δAref(pix)の計算的に有利な表現を提供しようとする。したがって、計算されなくてはならない項目数を低減するために、PISBEすなわちVμの全てではないがいくつかの要素Vμ(pix)が式10において用いられる。
【0074】
式7と同じ形式を有する以下の式11は、式9および式10の組み合わせと代数的に等価である。
【数21】
【0075】
ここで、δAref_calc(pix)は、評価されているピクセルについて計算される基準ピクセル不正確性であり、同じVμ(pix)が式10および式11の双方において用いられる。式11における基準ピクセル不正確性δAref_calc(pix)のセットの表現は、PISBEすなわちVμを用いた基準ピクセル不正確性δAref(pix)のセットを表すことが理解される。
【0076】
換言すれば、式11において、基準ピクセル不正確性δAref(pix)のセットにおける各ピクセルについて独立して計上するのではなく、基準ピクセル不正確性δAref(pix)のセットは、PISBEすなわちVμの基底を用いて表される、計算された基準ピクセル不正確性δAref_calc(pix)のセットと置き換えられる。通常、数千個のピクセルと、100個未満、より一般的には50個未満のPISBEすなわちVμとが存在するため、式11における計算された基準ピクセル不正確性δAref_calc(pix)のセットの表現は、基準ピクセル不正確性、δAref(pix)のセットにおける各ピクセルについて独立して計上することと比較して、計算的に有利である。
【0077】
このため、サブステップ428において、方法300は、計算された基準ピクセル不正確性δA
ref_calc(pix)のセットを生成するために、PISBEすなわちV
μのセットおよび代表的なピクセル不正確性
【数22】
のセットと共に用いるように動作可能な基準PISBESFすなわちα
μ_refのセットを提供する。好ましくは、計算された基準ピクセル不正確性δA
ref_calc(pix)のセットと、基準ピクセル不正確性δA
ref(pix)のセットとの間の複数の対応する差は、所定の許容範囲内にある。
【0078】
式12におけるように、基準PISBESFすなわちα
μ_refのセットは、PISBESFのセットの対応する系統的部分(SPSP)
【数23】
のセットと、基準PISBESFのセットの対応する残余部分
【数24】
のセットとの和として表すことができる。
【数25】
【0079】
基準PISBESFのセットの残余部分
【数26】
のセットは、基準PISBESFすなわちα
μ_refのセットの、SPSP
【数27】
のセットに含まれない部分を含むことが理解される。基準PISBESFの残余部分
【数28】
のセットは、基準PISBESFの残余部分
【数29】
のセットが特定される基準PISBESFすなわちα
μ_refのセットに対応する基準部位に固有である。しかしながら、SPSP
【数30】
のセットが、複数のPSDW上の複数の部位に関係することが本発明の特定の特徴である。より詳細には、SPSP
【数31】
のセットは、周期的構造の測定によって生成される瞳画像についての瞳不正確性の再構成に有用である。
【0080】
本発明の好ましい実施形態において、基準PISBESFの残余部分
【数32】
のセットの分布は、多変量ガウス分布として近似される。これはゼロの平均を有し、式13において定義される共分散行列Σ
βγによって特徴付けられる。
【数33】
【0081】
ここで、βおよびγはそれぞれ、基準PISBESFの残余部分
【数34】
のセットのインデックスであり、式13における括弧は、式13が、基準部位の各々について計算される、基準PISBESFの残余部分
【数35】
のセットの要素の平均を取ることを示す。
【0082】
当該技術分野において既知であるように、共分散行列Σ
βγは、基準PISBESFの残余部分
【数36】
のセットの要素
【数37】
および
【数38】
の各対間の共分散を定量化する正方行列である。このため、共分散行列Σ
βγは、
【数39】
および
【数40】
の共同変動性(joint variability)の尺度である。
【0083】
式14に示すように、サブステップ428において、SPSP
【数41】
のセットが、基準PISBESFすなわちα
μ_refのセットをモデル化し、このモデルを以下となるように関数gに当てはめることによって提供される。
【数42】
【0084】
ここで、c2txおよびc2tyは、PSDW内のピクセルのそれぞれのx座標およびy座標であり、fieldXおよびfieldYは、フィールド内のピクセルのそれぞれのx座標およびy座標である。当該技術分野において既知であるように、通常のPSDWは、ダイ等のフィールドに分割され、PSDW上の各フィールドは、通常、PSDW上の他のフィールドの大部分または全てと概ね同一であるように意図される。
【0085】
関数gは、任意の適切な関数とすることができ、最も一般的には、形式WnFmの多項式であり、ここで、nは、PSDW上のロケーション、c2txおよびc2tyに関連付けられた多項式次数であり、mは、フィールド内のロケーションfieldXおよびfieldYに関連付けられた多項式次数である。関数gは、通常、線形回帰を用いて計算される多項式係数を含む。
【0086】
基準PISBESFすなわちαμ_refのセット内の要素は、互いに相関しておらず、このため、基準PISBESFすなわちαμ_refのセット内の各基準PISBESFすなわちαi_refのためのモデルは、別個に当てはめることができることが理解される。
【0087】
SPSP
【数43】
のセットは、単一のPSDW上の様々な部位間の相関を示す。例えば、特定のPSDW上の第1の部位が比較的大きな値を有するピクセル不正確性δA(pix)によって特徴付けられる場合、そのPSDW上の第2の部位も、比較的大きな値を有するピクセル不正確性δA(pix)によって特徴付けられる可能性が高い。別の例として、特定のPSDW上の第1の部位が比較的小さな値を有するピクセル不正確性δA(pix)によって特徴付けられる場合、そのPSDW上の第2の部位も、比較的小さな値を有するピクセル不正確性δA(pix)によって特徴付けられる可能性が高い。
【0088】
単一の瞳画像の個々のピクセル間の相関は、ピクセル不正確性δA(pix)の瞳表現における冗長性を示す。PISBEすなわちVμのセットは、この冗長性を利用して、ピクセル不正確性δA(pix)の計算的に有利な表現を提供する。
【0089】
次のステップ432において、瞳位置ずれの値εMWLを生成する式4と、各ピクセル位置ずれ値ε(pix)の値を生成する式6との双方を用いて基準部位ごとに位置ずれが計算される。
【0090】
次のステップ434において、式15を最小にする正則化パラメータζが計算される。
【数44】
【0091】
ここで、Σsitesは、式が各基準部位にわたって合算されることを示し、εは、ステップ432において生成されたピクセル位置ずれ値ε(pix)に基づく瞳位置ずれ値である。
【0092】
ここで、
図3を参照する。
図3は、ステップ304において生成された単一の瞳画像について、部位固有のPISBESFすなわちα
μのセット、およびSSMVすなわちεが計算される方法300のステップ306を示すフローチャートである。第1のステップ442において、ステップ306において生成された部位固有のPISBESFすなわちα
μのセットが、式12の部位固有の表現である式16を満たすように設定される。
【数45】
【0093】
ここで、
【数46】
は、サブステップ428において生成されたSPSPのセットであり、
【数47】
は、部位固有のPISBESFすなわちα
μのセットの対応する部位固有の残余部分(SSRP)のセットである。このため、式16を評価することによって、部位固有のPISBESFすなわちα
μのセットが、SPSP
【数48】
のセットおよび対応するSSRP、
【数49】
のセットを合算することによって計算される。
【0094】
次のステップ444において、SSMVすなわちε、および部位固有のPISBESFすなわちα
μのセットが、好ましくは、ベイズ理論の表現である式17が、SSMVすなわちε、およびSSRP、
【数50】
のセットの異なる値についてどのように変化するかを評価することによって共に計算される。
【数51】
【0095】
ここで、Gは、ステップ304において生成された瞳画像の瞳感度であり、Kは、ステップ340において生成された瞳画像の瞳非対称性である。加えて、
【数52】
は、瞳感度Gの特定の値および瞳非対称性Kの特定の値を有する瞳画像を所与として、特定のSSMV、すなわちε、およびSSRP、
【数53】
の特定のセットがその瞳画像に関連付けられる確率である。同様に、
【数54】
は、SSMVの特定の値、すなわちε、およびSSRP、
【数55】
のセットの値の特定のセットを所与として、瞳感度Gの特定の値および瞳非対称性Kの特定の値を有する特定の瞳画像が、SSMVすなわちεおよびSSRP、
【数56】
のセットの特定の所与のそれぞれの値に関連付けられる確率である。式17における次の項
【数57】
は、SSRP、
【数58】
の特定のセットが任意の瞳画像に関連付けられる確率であり、P(G,K)は、瞳感度Gの特定の値、瞳非対称性Kの特定の値が任意の瞳画像に関連付けられる確率である。
【0096】
式11の評価中、SPSP、
【数59】
に対応するSSRP、
【数60】
が近似されることが理解される。
【0097】
式12および式13を参照して上記で説明したように、PISBESFの残余部分
【数61】
のセットの分布は、好ましくは、多変量ガウス分布として近似されるため、
【数62】
の値は、式18において与えられる指数式に比例する。
【数63】
【0098】
ここで、σは、ステップ304において生成された瞳画像のノイズの標準偏差であり、K
iは、評価されているピクセルのピクセル非対称性であり、
【数64】
は、PISBEすなわちV
μのi番目の要素であり、G
iは、評価されているピクセルのピクセル感度である。K
iおよびG
iの双方が、ステップ304において生成された瞳画像の値であることが理解される。
【0099】
同様に、
図2を参照して上記で説明したように、
【数65】
の値は、サブステップ428において得られたPISBESFの残余部分
【数66】
のセットの分布から推論される。より詳細には、
【数67】
の値は、式19において与えられる指数式に比例する。
【数68】
【0100】
ここで、jおよびkは、それぞれ、SSRP、
【数69】
のセットのインデックスであり、
【数70】
は、共分散行列Σ
βγの反転の要素である。
【0101】
P(G,K)の値はSSMVすなわちε、およびSSRP、
【数71】
のセットのいずれにも依拠しないため、P(G,K)は、式17がSSMVすなわちε、およびSSRP、
【数72】
のセットの異なる値についてどのように変化するかに影響を及ぼさない未知の定数とみなされる。したがって、式17がステップ306において評価されるとき、P(G,K)の実際の値は、通常、検討されない。
【0102】
以下の式20は、式7および式16の組み合わせと代数的に等価である。式20は、ピクセル不正確性δA(pix)のセットと、SSRP、
【数73】
のセットとの間の関係を明示的に与える。
【数74】
【0103】
図2を参照して上記で論じたように、代表的なピクセル不正確性
【数75】
のセット、SPSP、
【数76】
のセット、およびPISBEすなわちV
μの各要素V
μ(pix)は、全て、ステップ302において基準部位について計算される。上記で説明したように、代表的なピクセル不正確性
【数77】
のセット、SPSP、
【数78】
のセット、およびPISBEすなわちV
μの各要素V
μ(pix)についてステップ302において計算された値は、全て、複数のPSDWに関係することが本発明の特定の特徴である。より詳細には、代表的なピクセル不正確性
【数79】
のセット、SPSP、
【数80】
のセット、およびPISBEすなわちV
μの各要素V
μ(pix)についてステップ302において計算された値は全て、式20において用いるのに適している。このため、ステップ306において、ピクセル不正確性δA(pix)のセットを得るために方法300が計算しなくてはならない唯一の値は、SSRP、
【数81】
のセットの値である。
【0104】
したがって、ステップ306の目標は、特にステップ304において生成された瞳画像と共に用いるのに適した、SSMVすなわちε、およびピクセル不正確性δA(pix)のセットの値を計算することであるが、次のステップ446は、式21の右辺においてピクセル不正確性δAの代わりに用いられるSSMVすなわちε、およびSSRP、
【数82】
のセットの値を計算する。
【数83】
【0105】
式22は、式17、式18、式19および式21の重み付き組み合わせと代数的に等価である。
【数84】
【0106】
ここで、Cは、上記で説明したような未知の定数値P(G,K)の逆数であり、ζは、式17の
【数85】
に対し、式19の
【数86】
に与えられる重みを決定するために式22において導入される、式15からの正則化パラメータである。
【0107】
SSMVすなわちεおよびSSRP、
【数87】
のセットの同じ結果が、式22および式23の双方によって返される。
【0108】
【0109】
第1の式
【数89】
は、SSMVすなわちε、およびSSRP、
【数90】
のセットの可変位置ずれ値の関数であることが理解される。同様に、第2の式、
【数91】
は、SSRP、
【数92】
のセットの関数である。
【0110】
式23を満たすSSMVすなわちε、およびSSRP、
【数93】
【数94】
【0111】
式24aおよび式24bの評価は、式23の第1の式および第2の式を用いて、ステップ304において測定された部位での使用に特に適した、特定の位置ずれ値と、SSRP、
【数95】
のセットの特定の値とを特定することが理解される。式23は、
【数96】
およびεの双方の観点において二次多項式であるため、式24aおよび式24bの各々が、ゼロに等しい一次方程式である。方法300は、好ましくは、式24aおよび式24bの連立方程式を解き、それによって式25を生成する。
【数97】
【0112】
Iは単位行列である。PISBEすなわちVμのセットにおける下付き文字μは、PISBEすなわちVμのセットにおけるPISBEすなわちVμの数に対応するインデックスであることが理解される。明確にするために、式25において、インデックスβおよびγがインデックスμの代わりに用いられる。式25によって返されたSSMVすなわちεの値は、評価式24aおよび式24bによって特定された特定の位置ずれであり、好ましくは、ステップ304において測定された部位について、SSMVすなわちεとして特定される。
【0113】
式25によって返されたSSMVすなわちεの値は、ステップ304において生成された複数の部位固有のピクセルの、特に、その非対称性Kおよび感度Gの関数であることが更に理解される。式25によって返されたSSMVすなわちεの値は、PISBEすなわちV
μのセットおよび共分散行列Σ
βγの関数でもある。式13に実証されるように、共分散行列Σ
βγは、基準PISBESFすなわちα
μ_refのセット、より詳細には、基準PISBESFの残余部分
【数98】
のセットの関数である。このため、式25によって返されたSSMVすなわちεの値も、基準PISBESFすなわちα
μ_refのセット、より詳細には、基準PISBESFの残余部分
【数99】
のセットの関数である。
【0114】
ここで
図4を参照する。
図4は、KPI、好ましくは3PS値が生成される、方法300のステップ308を示すフローチャートである。
図4から分かるように、第1のステップ448において、部位固有のPISBESFすなわちα
μのセットが提供される。部位固有のPISBESFすなわちα
μのセットが式26において定義される。
【数100】
【0115】
ここで、代表的なピクセル不正確性
【数101】
のセットの値は、ステップ302において計算されたその値であり、式26の右辺における全ての他の項の値は、式25におけるものと同じそれぞれの値である。部位固有のPISBESFすなわちα
μのセットおよびPISBEすなわちV
μのセットにおける下付き文字μは、PISBESFすなわちα
μおよびPISBEすなわちV
μのセットにおけるPISBESFα
μの数およびPISBEすなわちV
μの数に対応するインデックスであることが理解される。明確にするために、式26において、インデックスβおよびγがインデックスμの代わりに用いられる。
【0116】
次のステップ452において、ステップ304において生成された単一の瞳画像の対応する複数の部位固有のピクセルの複数のピクセル位置ずれ値ε(pix)が、式6および式7の組み合わせに代数的に等価な式27を用いて生成される。
【数102】
【0117】
複数のピクセル位置ずれ値ε(pix)は、中でも、PISBEすなわちVμのセット、部位固有のPISBESFすなわちαμのセットの関数であることが理解される。
【0118】
SWMおよびMWMを参照して上記で論じたように、ピクセル位置ずれ値ε(pix)のうちの異なるもの間の変動は、ピクセル位置ずれ値ε(pix)を含むSSMVの不確実性のインジケーションである。したがって、次のステップ454において、KPIが生成される。好ましくは、ステップ454において生成されるKPIは、式28において定義されるP3Sである。
【数103】
【0119】
ここで、εは式25からのSSMVであり、w(pix)はピクセル位置ずれ値ε(pix)の重み係数である。重み係数w(pix)は、部位固有のピクセルの各々におけるピクセル位置ずれ値ε(pix)の信頼度を示す。式28において定義されたP3Sは、SSMVすなわちεからのピクセル位置ずれ値ε(pix)の重み付き標準偏差であることが理解される。
【0120】
本発明の好ましい実施形態において、部位固有のピクセルの各々の重み係数w(pix)は、式29におけるように、評価されているピクセルのピクセル感度G(pix)の関数である。
【数104】
【0121】
ここで、それぞれ、
図1~
図4の方法300と共に用いるためのそれぞれのシステム500および550の好ましい実施形態の第1および第2の簡略化された概略図である
図5Aおよび
図5Bを参照する。理解を容易にするために、
図1Aおよび
図1Bは縮尺通りに描かれていないことが理解される。システム500および550の各々は、RPSDWとすることができるPSDW上に形成された半導体デバイスの様々な層間の位置ずれを測定するように動作可能であることが理解される。
【0122】
図5Aおよび
図5Bから分かるように、システム500およびシステム550の各々は、好ましくは、少なくとも入射放射線の第1の波長および入射放射線の第2の波長を用いて1つ以上のRPSDW上の少なくとも1つの基準部位の少なくとも2つの測定を行う基準SMMT562を含み、測定される基準部位ごとに、入射放射線の第1の波長および入射放射線の第2の波長の各々から、単一の基準出力信号を生成する。上記で
図2のステップ402を参照して説明したように、SMMT562によって生成される基準出力信号は、好ましくは複数の瞳画像として表され、その各々が、好ましくは複数の基準ピクセルを含む。
【0123】
本発明の好ましい実施形態において、SMMT562は、基準部位の各々において入射放射線の2~7個の波長を用いて50~400個の基準部位を測定する。
【0124】
加えて、システム500およびシステム550は、好ましくはそれぞれ、RPSDW分析器564を含む。RPSDW分析器564は、基準SMMT562によって生成された基準出力信号を分析し、それによって基準出力データを生成する。RPSDW分析器によって生成される基準出力データは、好ましくは、中でも、PISBEすなわちV
μのセット、代表的な瞳不正確性
【数105】
、基準PISBESFすなわちα
μ_refのセット、SPSPすなわち
【数106】
のセット、共分散行列Σ
βγおよび正則化パラメータζを含む。
図1を参照して上記で説明したように、PISBEは、複数のPSDWに関係する固有ベクトルである。
【0125】
システム500およびシステム550の各々は、好ましくは、部位固有のSMMT572を更に含み、部位固有のSMMT572は、PSDWの各々における少なくとも1つの測定部位を測定し、測定部位の少なくとも1つの部位固有の出力信号を生成する。
図1のステップ304を参照して上記で説明した部位固有の出力信号は、好ましくは、測定部位の単一の瞳画像である。
【0126】
好ましくは、システム500およびシステム550はそれぞれ、PSDW分析器574も含む。PSDW分析器574は、部位固有のSMMT572によって生成された単一の瞳画像を分析し、それによって、中でも、部位固有のPISBESFすなわちα
μのセット、SSMVすなわちε、ピクセル位置ずれ値ε(pix)、およびKPI、P3Sを生成する。上記で
図1および
図4のステップ308を参照して説明したように、KPIは、通常、P3S値として具現化され、SSMVの信頼性のインジケーション、好ましくは量的インジケーションを提供する。PSDW分析器574は、好ましくは、RPSDW分析器564によって生成され、それによって提供された、中でもPISBEのセットV
μを含む基準出力データを用いて単一の瞳画像を分析する。
【0127】
基準SMMT562および部位固有のSMMT572の双方として適した一般的ツールは、米国カリフォルニア州ミルピタスのKLA Corporationから市販されているATL(商標)100である。SMMTによって行われる全ての測定が入射放射線の単一の波長を用いて行われることが特に本発明の特徴である。
【0128】
図5Aに示すシステム500は、システム500が基準SMMT562および部位固有のSMMT572を含むのに対し、システム550は基準SMMT562および部位固有のSMMT572を含まないという点で、
図5Bに示すシステム550と異なることが理解される。本発明の更なる実施形態(図示せず)において、基準SMMT562および部位固有のSMMT572のうちの1つのみがシステムに含まれる。
【0129】
図2を参照して上記で説明したように、基準SMMTによって測定される少なくとも1つのRPSDWおよび部位固有のSMMTによって測定されるPSDWは異なるウェハとすることができることが更に理解される。代替的に、基準SMMTによって測定される少なくとも1つのRPSDWは、部位固有のSMMTによって測定されるPSDWのうちの1つとすることができる。好ましくは、本発明の全ての実施形態において、基準SMMTによって測定される少なくとも1つのRPSDWおよび部位固有のSMMTによって測定されるPSDWは、単一の設計を共有する。本発明の実施形態において、基準SMMTによって測定される少なくとも1つのRPSDWおよび部位固有のSMMTによって測定されるPSDWは、PSDWの単一のバッチで製造される。
【0130】
好ましくは、基準SMMT562は
図2のステップ402を実行する。同様に、RPSDW分析器564は、好ましくは、
図2のステップ404と、サブステップ422、424、426および428を含むステップ406と、ステップ432と、ステップ434とを実行する。部位固有のSMMT572は、好ましくは
図1のステップ304を実行する。PSDW分析器574は、好ましくは、ステップ442、444および446を含むステップ306と、ステップ448、452および454を含むステップ308とを実行する。加えて、本発明のいくつかの実施形態において、PSDW分析器574は、
図1のステップ322および324のうちの少なくとも1つを実行する。
【0131】
システム500および550ならびにその中のサブシステムは、パーソナルコンピュータシステム、イメージコンピュータ、メインフレームコンピュータシステム、ワークステーション、ネットワーク機器、インターネット機器または他のデバイスを含むことができる。サブシステムまたはシステムは、パラレルプロセッサ等、当該技術分野において既知の任意の適切なプロセッサを含むこともできる。加えて、サブシステムまたはシステムは、スタンドアロンかネットワーク接続ツールかを問わず、高速処理プラットフォームおよびソフトウェアを含むことができる。
【0132】
いくつかの実施形態では、システム500および550およびその中のサブシステム、ならびに本明細書に開示された方法の様々なステップ、機能、および/または動作は、以下の電子回路、論理ゲート、マルチプレクサ、プログラマブルロジックデバイス、ASIC、アナログもしくはデジタル制御/スイッチ、マイクロコントローラ、またはコンピューティングシステムのうちの1つ以上によって実行される。本明細書に記載されているような方法を実施するプログラム命令は、キャリア媒体上で送信されるか、またはキャリア媒体に記憶されてもよい。キャリア媒体は、リードオンリーメモリ、ランダムアクセスメモリ、磁気ディスクまたは光ディスク、不揮発性メモリ、ソリッドステートメモリ、磁気テープ等の記憶媒体を含むことができる。キャリア媒体は、配線、ケーブル、または無線伝送リンクなどの伝送媒体を含むことができる。例えば、本開示全体を通して説明される様々なステップは、単一のプロセッサ(またはコンピュータシステム)によって実行されてもよいし、代替的に、複数のプロセッサ(または複数のコンピュータシステム)によって実行されてもよい。更に、システム500および550の異なるサブシステムは、1つ以上のコンピューティングシステムまたは論理システムを含むことができる。したがって、上記の説明は、本開示への限定ではなく単なる例として解釈されるべきである。
【0133】
当業者には、本発明が、上記で具体的に示され、説明されたものに限定されないことが理解されよう。本発明の範囲は、上記で説明した様々な特徴の組み合わせおよび部分的組み合わせの双方、ならびにそれらの変形を含み、それらの全てが先行技術には存在しない。