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  • 特許-発光組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-05
(45)【発行日】2024-06-13
(54)【発明の名称】発光組成物
(51)【国際特許分類】
   C09K 11/06 20060101AFI20240606BHJP
   C08G 61/00 20060101ALI20240606BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20240606BHJP
   C08L 65/00 20060101ALI20240606BHJP
【FI】
C09K11/06 680
C08G61/00
C08K3/36
C08L65/00
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021575033
(86)(22)【出願日】2020-07-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-05
(86)【国際出願番号】 GB2020051612
(87)【国際公開番号】W WO2021001663
(87)【国際公開日】2021-01-07
【審査請求日】2023-05-01
(31)【優先権主張番号】1909585.0
(32)【優先日】2019-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2004726.2
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100172683
【弁理士】
【氏名又は名称】綾 聡平
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】カムテカー,キーラン
(72)【発明者】
【氏名】イスラム,ナズルル
【審査官】福山 駿
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-509335(JP,A)
【文献】特開2012-216811(JP,A)
【文献】特表2002-539287(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 11/00-11/89
C08G 61/00
C08K 3/36
C08L 65/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1~8 アルコールおよび水から選択される少なくとも1つの溶媒を含む溶媒中に溶解した発光ポリマーを含む溶液であって、
前記発光ポリマーが、
式Arの繰り返し単位(ここで、Arが、非置換であるか、または1つ以上の置換基で置換されるアリーレン繰り返し単位であると、
発光繰り返し単位と、
式(I)の繰り返し単位と、を含み、
【化1】
式中、ArおよびArは、各々独立して、非置換であるか、または1つ以上の置換基で置換されるC6~20アリーレン基または5~20員ヘテロアリーレン基を表し、CBは、ArとArとの間の共役経路を提供しない共役切断基を表し、
前記ポリマーが、少なくとも0.1mg/mlの20℃での水またはC1~8アルコールへの溶解度を有する、溶液
【請求項2】
CBが、ArおよびArを分離する少なくとも1つのsp混成炭素原子を含む、請求項1に記載の溶液
【請求項3】
CBが、C1~20分岐状または直鎖状のアルキレン基であり、1つ以上のH原子が、Fで置換され得、前記アルキレン基の1つ以上の非隣接C原子が、O、S、CO、COO、またはSi(Rで置換され得、式中、各発生におけるRは、独立して、C1~20ヒドロカルビル基である、請求項1または2に記載の溶液
【請求項4】
ArおよびArが、各々独立して、非置換であるか、または1つ以上の置換基で置換されるフェニレンである、請求項1~3のいずれか一項に記載の溶液
【請求項5】
前記ポリマーの少なくとも1つの繰り返し単位が、少なくとも1つの水またはC1~8アルコール可溶性置換基で置換される、請求項1~4のいずれか一項に記載の溶液
【請求項6】
前記または各水またはC1~8アルコール可溶性置換基が、イオン性基を含む、請求項5に記載の溶液
【請求項7】
Arが、1つ以上の水またはC1~8アルコール可溶性置換基で置換される、請求項5または6に記載の溶液
【請求項8】
前記発光繰り返し単位が、ヘテロアリーレン基を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の溶液
【請求項9】
前記発光繰り返し単位が、アミン基を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の溶液
【請求項10】
Arが、C~C14アリーレン繰り返し単位である、請求項1~9のいずれか一項に記載の溶液
【請求項11】
Arが、式(IIb-1)の繰り返し単位であり、
【化2】
式中、Spは、スペーサー基であり、各発生におけるRは、独立して、極性基であり、各nは、独立して、少なくとも1であり、各Rは、独立して、非極性置換基であり、pは、0または正の整数である、請求項10に記載の溶液
【請求項12】
ArおよびArのうちの少なくとも1つが、式-(Sp)m-(R)nの基で置換され、式中、各発生におけるRは、独立して、非イオン性極性基およびイオン性基から選択される極性基であり、Spは、スペーサー基であり、mは、0または1であり、mが0の場合、nは、1であり、mが1の場合、nは、少なくとも1である、請求項1~11のいずれか一項に記載の溶液
【請求項13】
前記発光ポリマーが、前記発光ポリマーおよび前記発光ポリマーに結合し、標的材料に結合するように構成された結合基を含むルミネッセントマーカーの一部である、請求項1~12のいずれか一項に記載の溶液
【請求項14】
前記発光ポリマーが、前記発光ポリマーおよび前記発光ポリマーに結合した官能基を含むルミネッセントマーカー前駆体の一部である、請求項1~13のいずれか一項に記載の溶液
【請求項15】
前記官能基が、ビオチンである、請求項14に記載の溶液
【請求項16】
前記溶液中の前記発光ポリマーの濃度が、少なくとも0.1mg/mlである、請求項1~15のいずれか一項に記載の溶液。
【請求項17】
請求項1~12のいずれか一項に記載の発光ポリマー、およびシリカマトリックス材料を含む複合粒子の形成方法であって、請求項1~16のいずれか一項に記載の溶液中でシリカモノマーを重合させることを含む、方法
【請求項18】
前記複合粒子が、標的材料に結合するように構成された結合基を含む、請求項17に記載の方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、発光ポリマー、特に共役発光ポリマーを含む発光組成物、それらを含有する複合粒子、およびルミネッセントマーカーとしてのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ポリマーは、標識または検出試薬として開示されている。
【0003】
J.Mater.Chem.,2013,vol.1,pp 3297-3304,Behrendt et al.は、LEPがシリカに共有結合しているシリカ-LEPナノ粒子を記載している。発光ポリマーは、ポリマー骨格からのアルコキシシラン基ペンダントを有し、ナノ粒子の形成中にシリカモノマーと反応する。
【0004】
Nanoscale,2013,vol.5,pp 8593-8601,Geng et al.は、LEPが、ペンダント非極性アルキル側鎖を有し、ナノ粒子が、「SiO@CP@SiO」構造を有する、シリカ共役ポリマー(CP)ナノ粒子を記載している。
【0005】
Chem.Mater.,2014,vol.26,pp 1874-1880,Geng et al.は、ポリ(9,9-ジヘキシルフルオレン-alt-2,1,3-ベンゾチアジアゾール)(PFBT)が充填されたナノ粒子を開示している。
【発明の概要】
【0006】
本開示のいくつかの実施形態によれば、発光基およびポリマーを含む発光組成物が提供される。ポリマーは、アリーレン繰り返し単位および共役切断繰り返し単位を含有する。
【0007】
任意選択的に、アリーレン繰り返し単位は、式Arを有し、Arは、非置換であるか、または1つ以上の置換基で置換されるアリーレン繰り返し単位である。
任意選択的に、共役切断繰り返し単位は、式(I)の繰り返し単位であり、
【化1】
式中、ArおよびArは、各々独立して、非置換であるか、または1つ以上の置換基で置換されるC6~20アリーレン基または5~20員ヘテロアリーレン基を表し、CBは、ArとArとの間の共役経路を提供しない共役切断基を表す。
【0008】
任意選択的に、ポリマーは、少なくとも0.1mg/mlの20℃での水またはC1~8アルコールへの溶解度を有する。
【0009】
任意選択的に、CBは、ArおよびArを分離する少なくとも1つのsp混成炭素原子を含有する。
【0010】
任意選択的に、CBは、C1~20分岐状または直鎖状のアルキレン基であり、1つ以上のH原子は、Fで置換され得、アルキレン基の1つ以上の非隣接C原子は、O、S、CO、COO、またはSi(Rで置換され得、式中、各発生におけるRは、独立して、C1~20ヒドロカルビル基である。
【0011】
本明細書の任意の場所に記載されるようなヒドロカルビル基は、任意選択的に、C1~20アルキル、非置換フェニル、および1つ以上のC1~20アルキル基で置換されたフェニルから選択される
【0012】
任意選択的に、ArおよびArは、各々独立して、非置換であるか、または1つ以上の置換基で置換されるフェニレン、および以下に記載されるような式(IIb-1)のフルオレンから選択される。
【0013】
任意選択的に、ポリマーの少なくとも1つの繰り返し単位は、少なくとも1つの水またはC1~8アルコール可溶性置換基で置換される。
【0014】
任意選択的に、このまたは各水またはC1~8アルコール可溶性置換基は、イオン性基を含む。
【0015】
任意選択的に、Arは、1つ以上の水またはC1~8アルコール可溶性置換基で置換される。
【0016】
いくつかの実施形態では、発光基は、ポリマーと混合された発光材料である。
【0017】
いくつかの実施形態では、ポリマーは、それに結合した発光基を含む発光ポリマーである。任意選択的に、これらの実施形態によれば、発光基は、発光ポリマーの発光繰り返し単位である。
【0018】
いくつかの実施形態では、発光繰り返し単位は、ヘテロアリーレン基を含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、発光繰り返し単位は、アミン基を含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、発光繰り返し単位は、発光基で置換されたアリーレン繰り返し単位を含む。
【0021】
任意選択的に、Arは、C~C14アリーレン繰り返し単位である。
【0022】
任意選択的に、Arは、式(IIb-1)の繰り返し単位であり、
【化2】

式中、Spは、スペーサー基であり、各発生におけるRは、独立して、極性基であり、各nは、独立して、少なくとも1であり、各Rは、独立して、非極性置換基であり、pは、0または正の整数である。
【0023】
任意選択的に、ArおよびArのうちの少なくとも1つは、式-(Sp)m-(R)nの基で置換され、式中、各発生におけるRは、独立して、非イオン性極性基およびイオン性基から選択される極性基であり、Spは、スペーサー基であり、mは、0または1であり、mが0の場合、nは、1であり、mが1の場合、nは、少なくとも1である。いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載される発光組成物、および標的材料に結合するように構成された結合基を含むルミネッセントマーカーを提供する。
【0024】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載される発光組成物および官能基を含むルミネッセントマーカー前駆体を提供する。いくつかの実施形態では、官能基は、ビオチンである。
【0025】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載されるようなルミネッセントマーカーを形成する方法を提供し、本方法は、本明細書に記載されるようなルミネッセントマーカー前駆体の官能基を、結合基を形成するための材料と反応させることを含む。
【0026】
本開示のいくつかの実施形態によれば、溶媒中に溶解した発光組成物を含有する溶液が提供される。溶媒は、C1~8アルコールおよび水のうちの1つ以上から選択され得る。任意選択的に、溶液は、C1~8アルコールおよび水のうちの1つ以上に加えて、1つ以上の他の溶媒を含有し得る。溶液は、1つ以上の溶媒および発光ポリマーからなり得るか、または溶液中に溶解もしくは分散した1つ以上の材料を含有し得る。
【0027】
任意選択的に、溶液中のポリマーの濃度は、少なくとも0.1mg/ml、0.2mg/ml、0.5mg/ml、または1mg/mlである。
【0028】
本開示のいくつかの実施形態によれば、先行請求項のいずれか一項に記載の発光組成物およびマトリックス材料を含む複合粒子が提供される。
【0029】
任意選択的に、複合粒子は、標的材料に結合するように構成された結合基で置換される。
【0030】
任意選択的に、マトリックス材料は、シリカである。
【0031】
任意選択的に、複合粒子は、標的材料に結合するように構成された結合基を含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、液体中に分散した、本明細書に記載されるような複合粒子を含む分散液が提供される。
【0033】
いくつかの実施形態では、試料中の標的分析物を検出する方法が提供され、本方法は、結合基で置換された本明細書に記載されるようなルミネッセントマーカー、または本明細書に記載されるような複合粒子を、試料と接触させることを含む。
【0034】
任意選択的に、発光マーカーを含む試料は、ポリマーの吸収波長で光を照射され、発光マーカーからの発光が検出される。
【0035】
任意選択的に、発光マーカーに結合した標的分析物は、発光マーカーに結合していない標的分析物から分離されて、試料の第1および第2の部分をそれぞれ与える。
【0036】
任意選択的に、試料の第1の部分は、ポリマーの吸収波長で光を照射される。
【0037】
任意選択的に、試料の第1の部分は、ポリマーの吸収波長での光を含む少なくとも2つの異なる波長の光を照射される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
開示される技術および添付の図は、開示される技術のいくつかの実施態様を記載する。
【0039】
図1】いくつかの実施形態による、2つの比較発光ポリマーおよび発光ポリマーの吸収スペクトルのグラフである。
【0040】
図面は、縮尺通りに描かれておらず、様々な視点および斜視図を有する。図面は、いくつかの実施態様および実施例である。加えて、いくつかの構成要素および/または操作は、開示される技術のいくつかの実施形態の考察の目的のために、異なるブロックに分離され得るか、または単一のブロックに組み合わされ得る。さらに、本技術は、様々な変更や代替形式に対応可能であるが、具体的な実施形態は、例として図面に示されており、以下に詳細に記載される。しかしながら、意図は、記載される特定の実施態様に本技術を限定することではない。対照的に、本技術は、添付の特許請求の範囲によって定義されるような技術の範囲内に入るすべての変更物、同等物、および代替物を包含することが意図される。
【発明を実施するための形態】
【0041】
文脈上明らかに別段の要求がない限り、本明細書および特許請求の範囲を通して、「含む(comprise)」、「含む(comprising)」などの単語は、排他的または網羅的な意味とは対照的に、包括的な意味、すなわち、「含むが、これらに限定されない」という意味で解釈されるべきである。本明細書で使用される場合、「接続された」、「結合された」という用語、またはその任意の変形は、2つ以上の要素間の直接的または間接的な任意の接続または結合を意味し、要素間の結合または接続は、物理的、論理的、電磁的、またはこれらの組み合わせであり得る。加えて、「本明細書」、「上記」、「下記」という単語、および同様の意味の単語は、本出願で使用される場合、本出願全体を指し、本出願の任意の特定の部分を指すものではない。文脈が許容する場合、「発明を実施するための形態」の中で単数または複数を使用する単語は、それぞれ複数または単数も含み得る。「または」という単語は、2つ以上の項目のリストに関連して、リスト内のいずれかの項目、リスト内のすべての項目、およびリスト内の項目の任意の組み合わせ、という単語の解釈のすべてを包含する。原子への言及は、特に明記しない限り、その原子の任意の同位体を含む。
【0042】
本明細書に提供される技術の教示は、必ずしも以下に記載されるシステムではなく、他のシステムに適用され得る。以下に記載される様々な実施例の要素および行為は、組み合わされて、技術のさらなる実施態様を提供し得る。本技術のいくつかの代替の実施態様は、以下に記述されるこれらの実施態様に追加の要素を含み得るだけでなく、より少ない要素も含み得る。
【0043】
これらおよび他の変更は、以下の詳細な記載を考慮して、本技術に対して行われ得る。本明細書では、本技術の特定の実施例を記載し、企図される最良のモードを記載するが、記載がどれほど詳細に表示されても、本技術は多くの方法で実施され得る。システムの詳細は、その具体的な実施態様において、著しく異なり得るが、依然として、本明細書に開示される技術によって包含される。上記のように、本技術の特定の特徴または態様を記載する場合に使用される特定の用語は、その用語に関連付けられた本技術の任意の具体的な特性、特徴、または態様に制限されるように、その用語が本明細書で再定義されることを意味するものと解釈されるべきではない。概して、以下の特許請求の範囲で使用される用語は、「発明を実施するための形態」の項でそのような用語を明示的に定義しない限り、本技術を本明細書に開示された具体的な実施例に限定するものと解釈されるべきではない。したがって、本技術の実際の範囲は、開示された実施例だけでなく、特許請求の範囲下の技術の実践または実施態様のすべての同等の方法も包含する。
【0044】
特許請求の範囲の数を低減するために、本技術の特定の態様は、特定の特許請求の範囲の形態で以下に提示されるが、出願人は、任意の数の特許請求の範囲の形態における本技術の様々な態様を企図する。例えば、本技術のいくつかの態様は、コンピュータ可読媒体の特許請求の範囲として列挙され得るが、他の態様は、同様に、コンピュータ可読媒体の特許請求の範囲として具体化され得るか、または他の形態、例えば、ミーンズ・プラス・ファンクションの特許請求の範囲において具体化され得る。
【0045】
以下の記載では、説明の目的で、開示された技術の実施態様の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が記載される。しかしながら、当業者には、開示された技術の実施形態は、これらの具体的な詳細のいくつかがなくても実施され得ることは明らかであろう。
【0046】
本明細書に記載されるような発光組成物は、ポリマーおよび発光基を含有する。
【0047】
ポリマーおよび発光基の「組成物」とは、発光基がポリマーと混合されるか、またはポリマーに結合しているポリマーを意味する。
【0048】
いくつかの実施形態では、発光基は、ポリマーと混合された発光材料である。
【0049】
いくつかの実施形態では、発光基はポリマーに結合、例えば、ポリマーに共有結合している。これらの実施形態によれば、ポリマーは、共役発光ポリマーである。本明細書に記載されるような共役発光ポリマーは、アリーレンホスト繰り返し単位、発光基、および共役切断繰り返し単位を含有し得る。
【0050】
「共役ポリマー」、例えば、共役発光ポリマーとは、ポリマー骨格中の隣接繰り返し単位に直接共役している繰り返し単位を含有する骨格を有するポリマーを意味する。ポリマー骨格は、少なくとも共役切断繰り返し単位から生じる共役の中断に起因して、その全長に沿って共役されていないことが理解されよう。
【0051】
発光基がポリマーに結合している場合、発光基は、発光ポリマー骨格中の繰り返し単位、ポリマー骨格からの発光基ペンダント、またはポリマーの発光末端基であり得る。発光基がポリマー骨格からのペンダントである場合、それは、ポリマー骨格中のアリーレン繰り返し単位に結合し得る。発光基は、アリーレン繰り返し単位に直接結合し得るか、またはスペーサー基によってそれから離間し得る。
【0052】
発光基は、アリーレンホスト繰り返し単位よりも小さいHOMO-LUMO(最高占有分子軌道-最低非占有分子軌道)バンドギャップを有し得る。使用時に、励起エネルギー(例えば、電磁放射)は、アリーレンホスト繰り返し単位によって吸収され得、発光基に伝達され得る。一重項励起子は、蛍光性発光基に伝達されて、蛍光を生成し得る。三重項励起子は、燐光性発光基に伝達されて、燐光を生成し得る。
【0053】
発光基がポリマーと混合された発光材料である場合、単独のポリマーは、発光可能であり得る。そのような混合物のポリマーは、(発光材料から発せられる光に加えて)いくらかの光を発し得るか、光を発し得ない。
【0054】
発光材料が粒子中のポリマーと混合される場合、ポリマーと発光材料との近接性は、ポリマーから発光材料へのエネルギーの伝達を促進し得る。
【0055】
発光材料およびポリマーが溶解している場合、発光材料とポリマーとの間に静電相互作用が存在し得る。任意選択的に、ポリマーの繰り返し単位の1つ以上は、アニオン性置換基またはカチオン性置換基のうちの一方で置換され、発光材料は、アニオン性置換基およびカチオン性置換基のうちの他方を含有する。イオン性置換基は、本明細書に記載されるように、イオン性極性基Rから選択され得る。
【0056】
ポリマーは、少なくとも0.1mg/ml、任意選択的に少なくとも0.5mg/ml、または少なくとも1mg/mlの、20℃での水またはC1~8アルコールへの溶解度を有し得る。
【0057】
ポリマーは、少なくとも0.1mg/ml、任意選択的に少なくとも0.5mg/mlまたは少なくとも1mg/mlの、20℃でのC1~4アルコール、好ましくはメタノールへの溶解度を有し得る。
【0058】
溶解度は、以下の方法によって測定され得る。
固体ポリマーを、ガラスバイアルに秤量する。必要量の極性溶媒(例えば、メタノール)を添加し、続いて小さなマグネチックスターラーを加える。次いで、バイアルにしっかりとキャップをし、60℃で予熱したホットプレート上に置き30分間撹拌する。ポリマー溶液を、使用前に室温に冷却させる。ポリマー溶液は、ポリマー含有バイアルを室温で30分間超音波処理することによっても調製され得る。ポリマーの溶解度を、白色および365nm UV光下で、目視観察により試験した。
【0059】
本発明者らは、共役切断繰り返し単位を共役ポリマーに導入することによって、広範囲の吸収ピーク、例えば、ポリマー骨格中のホストアリーレン繰り返し単位の互いへの共役から生じる吸収ピークの形成が防止され得ることを見出した。これによって、有意に異なる発光強度で、100nm以内しか離れていない2つ以上の異なる波長で、ポリマーの励起が可能になり得る。
【0060】
任意選択的に、ポリマーは、100nm未満の半値全幅(FWHM)で吸収ピークを有する。
【0061】
本発明者らは、ポリマーの置換基およびポリマーの共役切断基の一方または両方の選択によって、ポリマーの溶解度が調整され得ることを見出した。本明細書に記載されるような極性溶媒に可溶であるポリマーは、例えば、
-Stoberプロセスなどによって、極性溶媒中の発光組成物の存在下でシランを重合して、シリカおよび発光組成物を含有する粒子を形成すること、ならびに/または
-発光組成物を蛍光タグとして使用した極性溶媒中のアッセイにおいて使用され得る。
【0062】
ポリマーの1つ以上の繰り返し単位は、1つ以上の水またはC1~8アルコール可溶性置換基で置換され得る。本明細書に記載されるような水またはC1~8アルコール可溶性置換基は、水またはC1~8アルコール可溶性置換基が存在しない、例えば、水またはC1~8アルコール可溶性置換基が、Hまたはアルキル置換基などの非極性置換基で置換されているポリマーと比較して、ポリマーの溶解度を向上させ得る。
【0063】
水またはC1~8アルコール可溶性置換基は、極性基からなり得るか、または1つ以上の極性基を含み得る。極性基は、好ましくは、水素結合またはイオン性基を形成し得る非イオン性基である。
【0064】
本明細書に記載されるポリマーは、ランダム、ブロック、またはレジオ規則性(regioregular)コポリマーであり得る。
【0065】
本明細書に記載されるような共役ポリマーは、モノマーの重合時に脱離して、共役繰り返し単位を形成する脱離基を含むモノマーを重合することによって形成され得る。例示的な重合方法としては、例えば、その内容が参照により本明細書に組み込まれる、T.Yamamoto,”Electrically Conducting And Thermally Stable pi-Conjugated Poly(arylene)s Prepared by Organometallic Processes”,Progress in Polymer Science 1993,17,1153-1205に記載されているようなYamamoto重合、ならびに例えば、その内容が参照により本明細書に組み込まれる、WO00/53656、WO2003/035796、およびUS5777070に記載されるようなSuzuki重合が挙げられるが、これらに限定されない。
【0066】
モノマーは、ボロン酸脱離基またはそのエステルと、ハロゲン化物または擬ハロゲン化物(例えば、スルホネート)脱離基とを含有するモノマーの重合によって形成され得る。脱離基は、ポリマー中でどのモノマーが隣接する繰り返し単位を形成し得るか、またはし得ないかを制御するために選択され得る。任意選択的に、ポリマー中でアリーレン繰り返し単位は、互いに隣接しない。
【0067】
本明細書に記載されるポリマー、好ましくは本明細書に記載されるポリマーのゲル浸透クロマトグラフィーによって測定されるポリスチレン換算数平均分子量(Mn)は、約1×10~1×10、好ましくは1×10~5×10の範囲内であり得る。本明細書に記載されるポリマーのポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は、1×10~1×10、好ましくは1×10~1×10であり得る。
【0068】
アリーレンホスト繰り返し単位
アリールホスト繰り返しArは、C~C14アリーレン繰り返し単位、例えば、フェニレン、フルオレン、ベンゾフルオレン、フェナントレン、ジヒドロフェナントレン、ナフタレン、またはアントラセンから選択される繰り返し単位であり得る。
【0069】
ポリマーは、1つのAr繰り返し単位のみを含有し得る。ポリマーは、2つ以上の異なるAr繰り返し単位を含有し得る。
【0070】
1つ以上のアリーレン繰り返し単位Arは、ポリマーの繰り返し単位の少なくとも40モル%、任意選択的にポリマーの繰り返し単位の40~80モル%を構成し得る。
【0071】
このまたは各Ar繰り返し単位は、非置換であり得るか、または置換され得る。置換基は、極性および非極性置換基から選択され得る。いくつかの好ましい実施形態では、Arは、1つ以上の極性置換基、任意選択的に1つ以上のイオン性置換基で置換される。
【0072】
任意選択的に、ポリマーは、式(II)の繰り返し単位を含み、
【化3】
式中、Arは、アリーレン基、例えば、C6~14アリーレン基であり、Spは、スペーサー基であり、mは、0または1であり、Rは、各発生において、独立して、極性基であり、mが0の場合、nは、1であり、mが1の場合、nは、少なくとも1、任意選択的に1、2、3、または4であり、Rは、各発生において、独立して、非極性基であり、pは、0または正の整数であり、qは、少なくとも1、任意選択的に1、2、3、または4であり、Sp、R、およびRは、各発生において、独立して、同じまたは異なっていてもよい。
【0073】
いくつかの実施形態では、qは、1または2である。好ましくは、mは、1であり、nは、1~4である。
【0074】
好ましくは、pは、0である。
【0075】
好ましくは、Spは、
-1つ以上の非隣接C原子が、O、S、N、またはC=Oで置換され得る、C1~20アルキレンまたはフェニレン-C1~20アルキレン、
-1つ以上の極性基R以外が、非置換であり得るか、または1つ以上の非極性置換基、任意選択的に1つ以上のC1~20アルキル基で置換され得る、C6~20アリーレンまたは5~20員ヘテロアリーレン、より好ましくはフェニレンから選択される。
より好ましくは、Spは、
-1つ以上の非隣接C原子が、O、S、またはCOで置換され得る、C1~20アルキレン、および
-非置換であり得るか、または1つ以上の非極性置換基で置換され得る、C6~20アリーレンまたは5~20員ヘテロアリーレン、さらにより好ましくはフェニレンから選択される。
【0076】
は、イオン性基または非イオン性極性基であり得る。
【0077】
例示的な非イオン性極性基は、式-O(RO)-Rを有し、式中、各発生におけるRは、C1~10アルキレン基、任意選択的にC1~5アルキレン基であり、アルキレン基の1つ以上の非隣接非末端C原子は、Oで置換され得、Rは、HまたはC1~5アルキルであり、vは、0または正の整数、任意選択的に1~10である。好ましくは、vは、少なくとも2である。より好ましくは、vは、2~5である。Vの値は、式-O(RO)-Rのすべての極性基において同じであり得る。Vの値は、同じポリマーの極性基間で異なり得る。
【0078】
任意選択的に、非イオン性極性基は、式O(CHCHO)を有し、式中、vは、少なくとも1、任意選択的に1~10であり、Rは、C1~5アルキル基、好ましくはメチルである。好ましくは、vは、少なくとも2である。より好ましくは、vは、2~5であり、最も好ましくは、vは、3である。
【0079】
に関して、本明細書で使用される場合、「C1~10アルキレン基」とは、式-(CH-の基を意味し、式中、fは、1~10である。
【0080】
本明細書で使用される場合、アルキル基の「非末端C原子」とは、n-アルキル基の末端のメチル基または分岐状アルキル鎖の末端のメチル基以外のC原子を意味する。
【0081】
いくつかの実施形態では、ポリマーの1つ以上の繰り返し単位は、イオン性基からなるか、または1つ以上のイオン性基を含む置換基で置換される。イオン性基は、アニオン性、カチオン性、または双性イオン性であり得る。好ましくは、イオン性基は、アニオン基である。
【0082】
例示的なアニオン性基は、-COO、スルホネート基、水酸化物、スルフェート、ホスフェート、ホスフィネート、またはホスホネートである。
【0083】
例示的なカチオン性基は、-N(R であり、式中、各発生におけるRは、HまたはC1~12ヒドロカルビルである。好ましくは、各Rは、C1~12ヒドロカルビルである。
【0084】
カチオン性置換基は、1つ以上のアニオン性基、例えば、1つ以上のアニオン性基を有する多糖類、ポリヌクレオチド、ペプチド、およびタンパク質を含む標的と静電的に相互作用し得る。
【0085】
カチオン性またはアニオン性基を含むポリマーは、これらのイオン性基の電荷のバランスを保つために対イオンを含む。
【0086】
アニオン性またはカチオン性基および対イオンは、同じ原子価を有し得、対イオンは、各アニオン性またはカチオン性基の電荷のバランスを保つ。
【0087】
アニオン性またはカチオン性基は、一価または多価であり得る。好ましくは、アニオン性およびカチオン性基は、一価である。
【0088】
ポリマーは、複数のアニオン性またはカチオン性極性基を含み得、2つ以上のアニオン性またはカチオン性基の電荷は、単一の対イオンによってバランスが保たれる。任意選択的に、極性基は、二価または三価の対イオンを含むアニオン性またはカチオン性基を含む。
【0089】
アニオン性基の場合、カチオン対イオンは、任意選択的に金属カチオン、任意選択的にLi、Na、K、Cs、好ましくはCs、または有機カチオン、任意選択的にテトラアルキルアンモニウムなどのアンモニウム、エチルメチルイミダゾリウム、またはピリジニウムである。
【0090】
カチオン性基の場合、アニオン対イオンは、任意選択的にハロゲン化物、スルホネート基、任意選択的にメシレートまたはトシレート、水酸化物、カルボキシレート、スルフェート、ホスフェート、ホスフィネート、ホスホネート、またはボレートである。
【0091】
いくつかの実施形態では、ポリマーは、式-O(RO)-Rの基、および/またはイオン性基から選択される極性基を含む。好ましくは、ポリマーは、式-O(CHCHO)の基、および/または式-COOのアニオン性基から選択される極性基を含む。
【0092】
は、本明細書の任意の場所に記載されるような極性基であり得る。好ましくは各発生におけるRは、独立して、以下からなる群から選択される。
【0093】
好ましくは、少なくとも1つのRは、-COOである。
【0094】
nが少なくとも2である場合、各Rは、各発生において、独立して、同じまたは異なっていてもよい。nが少なくとも2であるいくつかの実施形態では、各Rは、異なる。
【0095】
Pが正の整数、任意選択的に1、2、3、または4である場合、基Rは、
-アルキル、任意選択的にC1~20アルキル、および
-非置換であり得るか、または1つ以上の置換基で置換され得るアリールおよびヘテロアリール基、好ましくは1つ以上のC1~20アルキル基で置換されたフェニル、
-アリールまたはヘテロアリール基の直鎖状または分岐状鎖であって、それらの基の各々は、独立して、置換され得る、例えば、式-(Arの基であり、式中、各Arは、独立して、アリールまたはヘテロアリール基であり、sは、少なくとも2であり、好ましくは、その各々が非置換であり得るか、または1つ以上のC1~20アルキル基で置換され得るフェニル基の分岐状または直鎖状鎖である、アリールまたはヘテロアリール基の直鎖状または分岐状鎖、および
-架橋性基、例えば、ビニル基もしくはアクリレート基、またはベンゾシクロブタン基などの二重結合を含む基から選択され得る。
【0096】
2つのR基は、連結されて、環、例えば、6員環または7員環を形成し得る。任意選択的に、2つのR基は、連結されて、環を形成し、連結されたR2基は、C-またはC-アルキレン鎖を形成し、アルキレン鎖の1つ以上の非隣接C原子は、O、S、NR10、またはSi(R10で置換され得、式中、各発生におけるR10は、独立して、C1~20ヒドロカルビル基である。
【0097】
好ましくは、各Rは、存在する場合、独立して、C1~40ヒドロカルビルから選択され、より好ましくは、C1~20アルキル、非置換フェニル、1つ以上のC1~20アルキル基で置換されたフェニル、およびフェニル基の直鎖状または分岐状鎖から選択され、各フェニルは、非置換であり得るか、もしくは1つ以上の置換基で置換され得、または2つのR基は、連結されて、本明細書に記載されるような環を形成する。
【0098】
任意選択的に、式(II)の繰り返し単位は、式(IIa)~(IId)から選択され、
【化4】
【化5】
式中、各発生におけるR13は、独立して、-(Sp)-(RまたはRであり、2つのR13基は、連結されて、環を形成し得る、ただし、少なくとも1つのR13は、-(Sp)-(Rであり、cは、0、1、2、3、または4、好ましくは1または2であり、各dは、独立して、0、1、2、または3、好ましくは0または1であり、eは、0、1、または2、好ましくは2である。
【0099】
いくつかの好ましい実施形態では、式(IIb)の繰り返し単位は、式(IIb-1)の繰り返し単位であり、
【化6】
式中、R、p、Sp、R、およびnは、各発生において、独立して、上記の通りである。いくつかの好ましい実施形態では、各発生におけるnは、2である。いくつかの好ましい実施形態では、各発生におけるpは、0である。
【0100】
式(IIb-1)の例示的な繰り返し単位は、以下の通りである。
【化7】
【0101】
いくつかの好ましい実施形態では、ポリマーは、式(I)の繰り返し単位および式(II)の繰り返し単位を含有し、式(I)および(II)の繰り返し単位の各々は、式-(Sp)-(Rの少なくとも1つの置換基で置換される。
【0102】
共役切断繰り返し単位
共役切断繰り返し単位は、式(I)を有し得、
【化8】
式中、ArおよびArは、各々独立して、非置換であるか、または1つ以上の置換基で置換されるC6~20アリーレン基または5~20員ヘテロアリーレン基を表し、CBは、ArとArとの間の共役経路を提供しない共役切断基を表す。
【0103】
任意選択的に、式(I)の繰り返し単位は、ポリマーの繰り返し単位の、1~50モル%、任意選択的に1~25モル%を構成する。
【0104】
ArおよびArは、各々独立して、非置換であるか、または1つ以上の置換基で置換される。ArおよびArの置換基は、存在する場合、任意選択的に、上記のような-(Sp)-(RまたはRから選択される。
【0105】
好ましい実施形態では、ArおよびArのうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの置換基-(Sp)-(Rで置換される。
【0106】
任意選択的に、ArおよびArは、各々独立して、非置換または置換フェニレン、任意選択的に1,3-または1,4-連結フェニレンである。
【0107】
CBは、ArとArとの間の任意の共役経路を提供しない。任意選択的に、CBは、ArとArとの間に、単結合および二重結合が交互に並ぶ経路を提供しない。
【0108】
任意選択的に、CBは、C1~20分岐状または直鎖状のアルキレン基であり、1つ以上のH原子は、Fで置換され得、アルキレン基の1つ以上の非隣接C原子は、O、S、CO、COO、またはSi(R10で置換され得、式中、各発生におけるR10は、独立して、C1~20ヒドロカルビル基である。
【0109】
任意選択的に、CBは、ArおよびArを分離する少なくとも1つのsp混成炭素原子を含有する。
【0110】
共役切断繰り返し単位は、式(Ia)または(Ib)を有し得、
【化9】
式中、各発生におけるR14は、独立して、上記のような-(Sp)-(RまたはRから選択され、各wは、独立して、0~4、任意選択的に0、1、または2であり、各Rは、独立して、HまたはC1~6アルキル基、好ましくはHであり、jは、少なくとも1であり、kは、少なくとも1であり、lは、少なくとも1である。
【0111】
いくつかの実施形態では、各wは、0である。
【0112】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのwは、1または2である。
【0113】
14は、存在する場合、好ましくはC1~12アルキル基である。
【0114】
任意選択的に、jは、2~20または2~12である。
【0115】
任意選択的に、kは、2~6、好ましくは2である。
【0116】
任意選択的に、lは、1~6である。
【0117】
式(Ia)および(Ib)の例示的な繰り返し単位は、以下の通りであり、
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】

【化21】
【化22】
式中、rは、各発生において、独立して、少なくとも1、任意選択的に1~10である。
【0118】
1つ以上のアニオン性またはカチオン性基で置換された繰り返し単位は、本明細書に記載されるようなカチオンまたはアニオン対イオンに関連することが理解されよう。
【0119】
いくつかの実施形態では、イオン性基で置換された式(I)の繰り返し単位の形成は、非イオン性前駆体基を含むモノマーの重合、続いて非イオン性前駆体基のイオン性基への変換を含む。
【0120】
変換は、カルボン酸エステル前駆体基のカルボキシレートイオン性基への変換であり得る。この変換は、WO2012/133229に記載されている通りであり得、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0121】
変換は、例えば、ヨウ化メチルなどのハロゲン化アルキルとの反応によって、三級アミンの四級アミンへの変換であり得る。
【0122】
発光基
本明細書に記載されるような発光ポリマーの、このもしくは各発光基、または本明細書に記載されるようなポリマーと混合された発光基は、1つ以上のホストアリーレン繰り返し単位のいずれかよりも小さいHOMO-LUMOバンドギャップを有し得る。
【0123】
ホストアリーレン繰り返し単位のバンドギャップは、ホスト繰り返し単位を形成するためのモノマーのバンドギャップであり得る。発光基がポリマーに結合している場合、発光基のバンドギャップは、それぞれ、発光繰り返し単位または発光基を含む末端基を形成するためのモノマーまたは末端形成基のバンドギャップであり得る。
【0124】
本明細書に記載されるようなHOMOおよびLUMOレベルは、方形波ボルタンメトリーによって決定され得る。
【0125】
ポリマーまたはポリマーと混合された発光基の、このまたは各発光基は、選択されて、ポリマーの所望の発光色を生成し得る。
【0126】
青色発光組成物、例えば、青色発光ポリマーは、500nm以下、好ましくは400~500nm、任意選択的に400~490nmの範囲内のピークを有するフォトルミネッセンススペクトルを有し得る。
【0127】
緑色発光組成物、例えば、青色発光は、500nm超~最大580nm、任意選択的に500nm超~最大540nmのピークを有するフォトルミネッセンススペクトルを有し得る。
【0128】
赤色発光組成物、例えば、青色発光は、580nm超~最大630nm、任意選択的に585nm~最大625nmのピークを有するフォトルミネッセンススペクトルを有し得る。
【0129】
発光繰り返し単位の隣接繰り返し単位への共役は、対応するモノマーからの発光と比較して、ポリマーからの発光に変化をもたらし得ることが理解されよう。
【0130】
本明細書に記載されるような発光材料または組成物のフォトルミネッセンススペクトルは、Ocean Optics 2000+分光計を使用して測定され得る。
【0131】
エネルギー伝達のメカニズムとしては、例えば、共鳴エネルギー伝達、Forster(または蛍光)共鳴エネルギー伝達(FRET)、量子電荷交換(Dexterエネルギー伝達)などが挙げられる。
【0132】
ポリマーと混合された発光材料の場合、発光材料は、非高分子発光材料であり得る。
【0133】
例示的な非高分子発光材料としては、フルオレセインおよびフルオレセインイソチオシアネート(FITC)が挙げられるがこれらに限定されない、フルオレセインおよびその塩;ローダミン、例えば、ローダミン6Gおよびローダミン110クロライド;クマリン;ホウ素-ジピロメテン(BODIPY);ナフタルイミド;ペリレン;ベンザントロン;ベンゾキサントロン;およびベンゾチオオキサントロンが挙げられるがこれらに限定されず、それらの各々は、非置換であり得るか、または1つ以上の置換基で置換され得る。例示的な置換基は、塩素、アルキルアミノ、フェニルアミノ、およびヒドロキシフェニルである。
【0134】
発光ポリマーの場合、1つ以上の発光繰り返し単位は、発光ポリマーの繰り返し単位の少なくとも1モル%、任意選択的に発光ポリマーの繰り返し単位の少なくとも3モル%、任意選択的に3~45モル%を構成し得る。
【0135】
例示的な発光繰り返し単位としては、ポリマーの骨格中のヘテロアリーレン基またはアミン基を含む繰り返し単位、およびポリマーの骨格からの発光基ペンダントで置換されたポリマーの骨格中のアリーレン基が挙げられるが、これらに限定されない。発光基は、アリーレン基に直接結合し得るか、またはスペーサー基によってアリーレン基から離間し得る。例示的なスペーサー基は、C1~20アルキレンであり、1つ以上の非隣接C原子は、O、S、CO、COO、NR10、Si(R10、およびフェニレンで置換され得、式中、各発生におけるR10は、独立して、C1~20ヒドロカルビル基である。発光基で置換されたアリーレン繰り返し単位は、式(II)の基であり得、式中、少なくとも1つのRは、Ar1に直接結合した、またはスペーサー基によってそれから離間した発光基である。発光基は、上記のような非高分子発光材料であり得る。
【0136】
発光繰り返し単位は、非置換であり得るか、または1つ以上の置換基、例えば、1つ以上のC1~20アルキル基で置換され得る。
【0137】
ポリマー骨格中に1つ以上の非置換または置換5~20員ヘテロアリーレン基を含むか、またはそれらからなる繰り返し単位としては、チオフェン繰り返し単位、ビチオフェン繰り返し単位、ベンゾチアジアゾール繰り返し単位、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。例示的なヘテロアリーレン共繰り返し単位としては、式(VII)、(VIII)、および(IX)の繰り返し単位が挙げられ、
【化23】

式中、各発生におけるRは、独立して、置換基であり、bは、1または2であり、fは、0、1、または2である。
【0138】
存在する場合、各Rは、任意選択的に、独立して、
1~20アルキルであって、1つ以上の非隣接非末端C原子が、O、S、CO、またはCOOで置換され得、1つ以上のH原子が、Fで置換され得る、C1~20アルキル、
非置換であり得るか、または1つ以上の置換基、任意選択的にF、CN、NO2、およびC1~12アルキルのうちの1つ以上で置換され得るフェニルであって、1つ以上の非隣接非末端C原子が、O、S、CO、またはCOOで置換され得、1つ以上のH原子が、Fで置換され得る、フェニル、および
-(Sp)-(Rからなる群から選択される。
【0139】
好ましくは、各Rは、存在する場合、ヒドロカルビル基、例えば、C1~20アルキルである。発光繰り返し単位を、極性置換基、例えば、式-(Sp)-(Rの基で置換することは、発光ポリマーの発光および/または吸収特性に変化をもたらし得る。
【0140】
発光アミン繰り返し単位は、式(XII)を有し得、
【化24】

式中、各発生におけるAr、Ar、およびAr10は、独立して、置換または非置換アリールまたはヘテロアリールから選択され、gは、0、1、または2、好ましくは0または1であり、Rは、各発生において、独立して、置換基であり、x、y、およびzは、各々独立して、1、2、または3である。
【0141】
は、gが1または2の場合、各発生において、同じまたは異なっていてもよく、好ましくは、アルキル、任意選択的にC1~20アルキル、Ar11、およびAr11基の分岐状または直鎖状鎖からなる群から選択され、各発生におけるAr11は、独立して、置換または非置換アリールまたはヘテロアリールである。
【0142】
同じN原子に直接結合しているAr、Ar、ならびに存在する場合、Ar10、およびAr11から選択される任意の2つの芳香族またはヘテロ芳香族基は、直接結合、または二価の連結原子もしくは基によって連結され得る。好ましい二価の連結原子および基としては、O、S、置換されたN、および置換されたCが挙げられる。
【0143】
ArおよびAr10は、好ましくはC6~20アリール、より好ましくはフェニルであり、それらは、非置換であり得るか、または1つ以上の置換基で置換され得る。
【0144】
g=0の場合、Arは、好ましくはC6~20アリール、より好ましくはフェニルであり、それらは、非置換であり得るか、または1つ以上の置換基で置換され得る。
【0145】
g=1の場合、Arは、好ましくはC6~20アリール、より好ましくはフェニル、または多環芳香族基、例えば、ナフタレン、ペリレン、アントラセン、もしくはフルオレンであり、それらは、非置換であり得るか、または1つ以上の置換基で置換され得る。
【0146】
は、好ましくはAr11、またはAr11基の分岐状もしくは直鎖状鎖である。各発生におけるAr11は、好ましくはフェニルであり、それは、非置換であり得るか、または1つ以上の置換基で置換され得る。
【0147】
例示的な基Rは、以下を含み、それらの各々は、非置換であり得るか、または1つ以上の置換基で置換され得、*は、Nへの結合点を表し、
【化25】
x、y、およびzは、好ましくは、各々1である。
【0148】
Ar、Ar、ならびに存在する場合、Ar10、およびAr11は、各々独立して、非置換であるか、あるいは1つ以上、任意選択的に1、2、3、または4つの置換基で置換される。
【0149】
置換基は、独立して、極性基、任意選択的に極性置換基-(Sp)-(R、または非極性置換基Rを含む、またはそれからなる基であり得、Sp、m、R、およびRは、上記の通りである。
【0150】
Ar、Ar、ならびに存在する場合、Ar10、およびAr11の好ましい置換基は、C1~40ヒドロカルビル、好ましくはC1~20アルキルである。
【0151】
式(XII)の好ましい繰り返し単位としては、式(XII-1)、(XII-2)、および(XII-3)の非置換または置換単位が挙げられる。
【化26】
【0152】
燐光性共役ポリマーの場合、燐光性基、好ましくは金属錯体、より好ましくはイリジウム錯体は、ポリマーの主鎖に、側基に、および/または末端基として提供され得る。イリジウム錯体を含む例示的な共役繰り返し単位は、以下の式を有する。
【化27】
【0153】
ルミネッセントマーカー
ルミネッセントマーカーは、本明細書に記載されるような発光組成物、好ましくは発光ポリマー、および標的分析物に結合するように構成された結合基、好ましくは生体分子結合基を含み得る。
【0154】
いくつかの実施形態では、結合基は、ポリマーに結合、好ましくは共有結合している。結合基は、ポリマーの繰り返し単位の側基として、またはポリマーの末端基として提供され得る。
【0155】
いくつかの実施形態では、ルミネッセントマーカーは、分析対象の試料中に溶解する。
【0156】
いくつかの実施形態では、ルミネッセントマーカーは、粒子状ルミネッセントマーカーである。
【0157】
ルミネッセントナノ粒子マーカーの形成は、発光ポリマーの崩壊を含み得る。発光粒子は、発光組成物、例えば、発光ポリマー、またはポリマーと本明細書に記載されるような発光材料とマトリックスとの混合物を含み得る。マトリックスは、発光材料を周囲の環境から少なくとも部分的に隔離し得る。これによって、外部環境が発光材料の寿命に及ぼし得る影響が制限され得る。
【0158】
いくつかの実施形態では、粒子は、マトリックスを通して均質に分布した発光組成物、例えば、発光ポリマーを含む。
【0159】
いくつかの実施形態では、粒子は、粒子状コア、および任意選択的にシェルを有し得、コアおよびシェルのうちの少なくとも1つが発光組成物を含有する。好ましくは、発光粒子は、発光組成物およびマトリックス材料を含有する。
【0160】
ポリマーのポリマー鎖は、コアおよび/またはシェルの厚さの一部またはすべてにわたって延在し得る。ポリマー鎖は、コアおよび/もしくはシェル内に含有され得るか、またはコアおよび/もしくはシェルの表面から突出し得る。
【0161】
いくつかの実施形態では、粒子は、発光組成物を含むかまたはそれからなるコアと、マトリックスを含むかまたはそれからなるシェルとを含む。
【0162】
マトリックスは、無機物であり得る。無機マトリックスは、酸化物、任意選択的にシリカ、アルミナ、または二酸化チタンであり得る。
【0163】
好ましくは、マトリックスは、ポリマーに共有結合していない。したがって、マトリックス材料および/またはポリマーは、例えば、粒子の形成中に、そのような共有結合を形成するために反応性基で置換される必要はない。
【0164】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるようなシリカマトリックスは、発光組成物の存在下でのシリカモノマーの重合によって形成され得る。
【0165】
いくつかの実施形態では、重合は、シリカモノマーの溶液を酸または塩基と接触させることを含む。酸または塩基は、溶液中にあり得る。発光組成物は、溶液が混合される前に、酸もしくは塩基および/またはシリカモノマーを有する溶液中にあり得る。任意選択的に、溶液の溶媒は、水、1つ以上のC1~8アルコール、またはこれらの組み合わせから選択される。
【0166】
ポリマーの存在下でマトリックスモノマーを重合することは、粒子内に封入されたポリマーの1つ以上の鎖、および/または粒子を通って延在するポリマーの1つ以上の鎖をもたらし得る。
【0167】
粒子は、1工程の重合プロセスで形成され得る。
【0168】
任意選択的に、シリカモノマーは、アルコキシシラン、好ましくはトリアルコキシまたはテトラアルコキシシラン、任意選択的にC1~12トリアルコキシまたはテトラアルコキシシラン、例えば、テトラエチルオルトシリケートである。シリカモノマーは、アルコキシ基のみで置換され得るか、または1つ以上の基で置換され得る。
【0169】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるようなルミネッセントマーカーは、発光粒子の表面に結合している生体分子結合基を含む。生体分子結合基は、粒子基の表面に直接結合し得るか、または表面結合基を介して結合し得る。表面結合基は、極性基を含み得る。任意選択的に、表面結合基は、ポリエーテル鎖を含む。本明細書で使用される場合、「ポリエーテル鎖」とは、2つ以上のエーテル酸素原子を有する鎖を意味する。
【0170】
粒子表面のシリカが反応して、生体分子結合基に結合可能な表面に基を形成し得る。任意選択的に、表面のシリカは、シロキサンと反応する。
【0171】
本明細書に記載されるような可溶性または粒子状発光マーカーの生体分子結合基は、DNA、RNA、ペプチド、炭水化物、抗体、抗原、酵素、タンパク質、およびホルモンからなる群から選択され得る。生体分子結合基は、検出対象の標的生体分子に従って選択され得る。
【0172】
標的生体分子としては、DNA、RNA、ペプチド、炭水化物、抗体、抗原、酵素、タンパク質、およびホルモンが挙げられるが、これらに限定されない。生体分子結合基は、標的生体分子または結合剤に応じて選択され得ることが理解されよう。
【0173】
標的分析物に結合するための発光マーカーの結合基は、発光組成物を含む発光マーカーの前駆体の官能基に結合し得る。いくつかの実施形態では、官能基は、ポリマーに共有結合している。いくつかの実施形態では、官能基は、マトリックス材料および発光組成物を含む前駆体のマトリックス材料に共有結合している。
【0174】
任意選択的に、官能基は、
アミン基、任意選択的に-NR11 であって、各発生におけるR11は、独立して、Hまたは置換基、好ましくはHまたはC1~5アルキル、より好ましくはHである、
カルボン酸またはその誘導体、例えば、無水物、酸塩化物もしくはエステル、酸塩化物、酸無水物、またはアミド基、
-OH、-SH、アルケン、アルキン、およびアジド、ならびに
ビオチンまたはビオチン-タンパク質共役物から選択される。
【0175】
官能基は、生体分子と反応または共役して、生体分子を発光マーカーの残りの部分と連結する連結基を形成し得、連結基は、エステル、アミド、尿素、チオ尿素、シッフ塩基、一級アミン(C-N)結合、マレイミド-チオール付加物、またはアジドとアルキンとの付加環化によって形成されるトリアゾールから選択される。
【0176】
官能基がビオチンである場合、それは、タンパク質、例えば、アビジン、ストレプトアビジン、ニュートラビジン、およびこれらの組換え変異体に共役し得、ビオチン化した生体分子は、タンパク質に共役して、発光マーカーを形成し得る。
【0177】
ビオチン化生体分子は、標的抗原に従って選択され得る抗原結合断片、例えば、抗体を含み得る。
【0178】
発光粒子の場合、官能基は、粒子コアの表面に結合し得、例えば、発光粒子コアのマトリックス材料に結合し得る。各官能基は、発光粒子コアの表面に直接結合し得るか、または1つ以上の表面結合基によってそれから離間し得る。表面結合基は、極性基を含み得る。任意選択的に、表面結合基は、ポリエーテル鎖を含む。
【0179】
発光粒子コアの表面は、反応して、官能基に結合し得る表面に基を形成し得る。任意選択的に、シリカ含有粒子は、シロキサンと反応する。
【0180】
好ましくは、本明細書に記載されるような粒子状ルミネッセントマーカーまたは粒子状ルミネッセントマーカー前駆体は、Malvern Zetasizer Nano ZSを使用する動的光散乱(DLS)によって測定される場合、5000nm以下、より好ましくは2500nm以下、1000nm以下、900nm以下、800nm以下、700nm以下、600nm以下、500nm以下、または400nm以下の数平均直径を有する。好ましくは、粒子は、Malvern Zetasizer Nano ZSによって測定される場合、5~5000nm、任意選択的に10~1000nm、好ましくは10~500nm、最も好ましくは10~100nmの数平均直径を有する。
【0181】
好ましくは、粒子状ルミネッセントマーカー前駆体の総重量の少なくとも50重量%は、マトリックス材料からなる。好ましくは、粒子の総重量の少なくとも60、70、80、90、95、98、99、99.5、99.9重量%がマトリックス材料からなる。
【0182】
本明細書に記載されるような粒子状ルミネッセントマーカーまたは粒子状ルミネッセントマーカー前駆体は、液体中に懸濁された粒子を含むコロイド懸濁液として提供され得る。好ましくは、液体は、水、C1~8アルコール、およびこれらの混合物から選択される。好ましくは、粒子は、液体中に均一な(凝集していない)コロイドを形成する。
【0183】
液体は、その中に溶解した塩を含む溶液、任意選択的に緩衝溶液であり得る。
【0184】
用途
本明細書に記載されるような発光組成物を含むルミネッセントマーカーは、ラテラルフローまたは固体イムノアッセイなどのイムノアッセイにおけるルミネッセントプローブとして使用され得る。任意選択的に、ルミネッセントマーカーは、蛍光顕微鏡法またはフローサイトメトリーで使用するためのものである。任意選択的に、ルミネッセントマーカーは、蛍光顕微鏡法、フローサイトメトリー、次世代シーケンシング、インビボイメージング、または発光マーカーが分析対象の試料と接触する任意の他の用途に使用するためのものである。分析は、時間分解分光法を使用して実施され得る。本用途は、患者(該当する場合)が関与しているか、または研究目的であるかにかかわらず、医療、獣医、農業、または環境用途であり得る。
【0185】
任意選択的に、使用において、発光組成物は、2つ以上の異なる波長、例えば、355、405、488、530、562、および640nm±10nmのうちの少なくとも2つを含む波長の光によって照射される。明確に定義された吸収帯を有するポリマーを使用することによって、異なる波長での吸収は、互いに容易に区別可能である。
【0186】
いくつかの実施形態では、溶解した発光組成物は、分析対象の試料に接触する。
【0187】
いくつかの実施形態では、発光組成物を含有する粒子、例えば、コロイド懸濁液中の粒子は、分析対象の試料に接触する。粒子は、本明細書に記載されるようなマトリックスおよび発光組成物を含み得る。標的分析物は、標的分析物に結合し得る基を有する表面上に、標的分析物が、溶解した発光組成物の成分、例えば、発光ポリマー、または発光ポリマーを含有する粒子に結合する前または後に、固定化され得る。次いで、発光ポリマーに結合した標的分析物、またはポリマーもしくはポリマーと混合された発光基のうちの1つは、標的分析物に結合していない任意の発光組成物から分離され得る。
【0188】
いくつかの実施形態では、粒子は、乾燥した、任意選択的に凍結乾燥した形態で保存され得る。
【実施例
【0189】
以下の反応スキームに従ってモノマー実施例1を調製した。
【化28】
【0190】
段階1
3-ブロモ-5-ヒドロキシ安息香酸(50g、230mmol)をエタノール(500mL)中で懸濁した。撹拌された反応混合物を氷浴中で冷却した後、塩化チオニル(34.1mL、460mmol)を15分間にわたって滴下した。反応混合物を撹拌し、室温で一晩温めた。溶媒を除去し、黄色の粗生成物を、ヘキサン中の酢酸エチルで溶出するシリカ上のカラムクロマトグラフィーによって精製した。生成物含有画分を組み合わせ、濃縮して、99%のHPLC純度を有する段階1材料(40g、71%)を得た。
【0191】
モノマー実施例1
段階1材料(40g、163mmol)およびテトラエチレングリコールジトシレート(25g、54.5mmol)をDMF(400mL)中に溶解した。炭酸カリウム(45.0g、326mmol)および18-ブラウンエーテル(1.43g、5.43mmol)を添加し、混合物を110℃で一晩撹拌した。反応物を氷上に注ぎ、有機物を酢酸エチル(500mL×3)で抽出した。組み合わされた有機層を水およびブラインで洗浄し、NaSO4で乾燥させ、濾過し、濃縮して、黄色の油を得た。粗材料を、ヘキサン中のDCM、続いてヘキサン中の酢酸エチルで溶出するシリカ上のカラムクロマトグラフィーによって精製した。生成物含有画分を組み合わせ、濃縮した後、酢酸エチル中で粉砕して、固体を得、これをアセトニトリルからさらに再結晶して、99.7%のHPLC純度を有するモノマー実施例1(25.5g、52%)を得ることができた。
【0192】
溶解度
表1に示される共役発光ポリマーを、WO00/53656に記載されるように、Suzuki重合によって形成し、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0193】
各ポリマーについて、50モル%の2,7-ジボロン酸エステルフルオレンモノマーを、ポリマーの他の繰り返し単位を形成するために、50モル%のジブロモモノマーと反応させた。ポリマー中のフルオレン繰り返し単位のモルパーセントが50モル%を超える場合、重合混合物は、2,7-ジボロン酸エステルフルオレンモノマーと、2,7-ジブロモフルオレンモノマーとの両方を含んだ。
【0194】
セシウムカルボキシレート基を含有するポリマーを、対応するエステルの重合、続いてWO2012/133229に開示されているような加水分解によって形成し、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【表1】
【化29】
【0195】
比較ポリマー1Aは、不溶性である。比較ポリマー1Aのフルオレン基のアルキル置換基を、比較ポリマー1Bにあるような極性置換基で置換しても、ポリマーの溶解度はもたらされなかった。
【0196】
比較ポリマー1Cにあるような極性置換基を有する繰り返し単位の割合を増加させることによって、溶解度の改善がもたらされたが、以下に記載されるように、望ましくない吸収特性がもたらされた。
【0197】
ポリマー実施例1は、極性溶媒に可溶である。
【0198】
吸収
図1を参照すると、比較ポリマー1Aは、明確に定義された吸収ピークを有する。しかしながら、上記のように、このポリマーは、極性溶媒に不溶である。比較ポリマー1Cは、上記のように、改善された溶解度を有しているが、約390nmでの有意な吸収ショルダーが観察される。
【0199】
共役切断繰り返し単位の導入によって、明確に定義された吸収ピークがもたらされる。いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、比較ポリマー1Cの吸収ショルダーは、フルオレン繰り返し単位が互いに共役していることに起因する。そのようなフルオレン-フルオレン共役は、ポリマー実施例1において、共役切断繰り返し単位の存在により防止される。
図1