(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-06
(45)【発行日】2024-06-14
(54)【発明の名称】廃プラスチック処理方法
(51)【国際特許分類】
C10G 1/10 20060101AFI20240607BHJP
C08J 11/20 20060101ALI20240607BHJP
C10G 11/18 20060101ALI20240607BHJP
【FI】
C10G1/10
C08J11/20 ZAB
C10G11/18
(21)【出願番号】P 2020187055
(22)【出願日】2020-11-10
【審査請求日】2023-06-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000183646
【氏名又は名称】出光興産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】半田 智彦
(72)【発明者】
【氏名】森 大輔
(72)【発明者】
【氏名】堀口 忠洋
(72)【発明者】
【氏名】宮岡 正夫
(72)【発明者】
【氏名】平松 義文
(72)【発明者】
【氏名】川添 繁美
【審査官】森 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭50-51179(JP,A)
【文献】特開平9-40804(JP,A)
【文献】特開平9-268293(JP,A)
【文献】特開2009-91387(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10G 1/10
C08J 11/20
C10G 11/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃プラスチック処理システムを用いた廃プラスチック処理方法であって、
溶融装置に、廃プラスチックを供給する工程と、
前記廃プラスチックを溶融することにより、溶融廃プラスチックを調製する工程と、
1以上の第1供給ラインから、前記溶融廃プラスチックに原料油を供給することにより、溶融廃プラスチック混合油を調製する工程と、
前記溶融廃プラスチック混合油を混合装置に供給する工程と、
前記混合装置に供給された前記溶融廃プラスチック混合油を混合することにより、分解処理用混合物を調製する工程と、
調製された前記分解処理用混合物を分解処理装置に供給する工程と、を有し、
前記分解処理用混合物を調製する工程は、160℃における動粘度が1mm
2/s以上60mm
2/s以下になるように、前記分解処理用混合物を調製する、
廃プラスチック処理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の廃プラスチック処理方法において、
前記分解処理用混合物を調製する工程は、前記混合装置に供給された前記溶融廃プラスチック混合油を、前記第1供給ラインとは異なる第2供給ラインから前記混合装置に供給された前記原料油と混合することにより、分解処理用混合物を調製する、
廃プラスチック処理方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の廃プラスチック処理方法において、
前記分解処理用混合物を調製する工程は、前記廃プラスチックの供給量に対する、前記溶融装置から前記混合装置に至るまでに供給された前記原料油の合計供給量の比率(前記原料油の合計供給量/前記廃プラスチックの供給量)を、質量比で10以上200以下に調整することにより、前記分解処理用混合物の動粘度を調整する、
廃プラスチック処理方法。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の廃プラスチック処理方法において、
前記分解処理用混合物を調製する工程は、前記溶融廃プラスチックの溶融量に対する、前記溶融装置から前記混合装置に至るまでに供給された前記原料油の合計供給量の比率(前記原料油の合計供給量/前記溶融廃プラスチックの溶融量)を、質量比で10以上200以下に調整することにより、前記分解処理用混合物の動粘度を調整する、
廃プラスチック処理方法。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の廃プラスチック処理方法において、
前記原料油、軽質炭化水素油、ナフサ、軽油、及び前記原料油とは異なる重質炭化水素油からなる群から選ばれる少なくとも1種の他の追加原料油を供給する追加原料供給工程をさらに有する、
廃プラスチック処理方法。
【請求項6】
請求項5に記載の廃プラスチック処理方法において、
前記溶融廃プラスチック混合油を調製する工程は、前記追加原料供給工程をさらに有し、前記溶融廃プラスチックに、さらに少なくとも1種の前記他の追加原料油を供給することにより、前記溶融廃プラスチック混合油を調製する、
廃プラスチック処理方法。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載の廃プラスチック処理方法において、
前記分解処理用混合物を調製する工程は、前記追加原料供給工程をさらに有し、前記溶融廃プラスチック混合油を、さらに少なくとも1種の前記他の追加原料油と混合することにより、分解処理用混合物を調製する、
廃プラスチック処理方法。
【請求項8】
請求項5から請求項7のいずれか一項に記載の廃プラスチック処理方法において、
前記分解処理用混合物を調製する工程は、前記廃プラスチックの溶融量に対する、前記溶融装置から前記混合装置に至るまでに供給された原料油、及び前記溶融装置から前記混合装置に至るまでに供給された前記追加原料油の合計供給量の比率(前記原料油及び前記追加原料油の合計供給量/前記廃プラスチックの溶融量)を、質量比で10以上200以下に調整することにより、前記分解処理用混合物の動粘度を調整する、
廃プラスチック処理方法。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の廃プラスチック処理方法において、
前記溶融廃プラスチック混合油を調製する工程は、200℃における溶融粘度が100mPa・s以上5000万mPa・s以下になるように、前記溶融廃プラスチック混合油を調製する、
廃プラスチック処理方法。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の廃プラスチック処理方法において、
前記第1供給ラインは、前記溶融装置へ原料油を供給する供給ライン1Aを有し、
前記溶融廃プラスチック混合油を調製する工程は、前記溶融廃プラスチックの溶融量に対する、前記供給ライン1Aから前記溶融装置へ供給される前記原料油の供給量の比率(前記原料油の供給量/前記溶融廃プラスチックの溶融量)を、質量比で、少なくとも0.5以上になるように、前記溶融廃プラスチックに前記原料油を供給することにより、前記溶融廃プラスチック混合油を調製する、
廃プラスチック処理方法。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の廃プラスチック処理方法において、
前記第1供給ラインは、前記溶融装置及び前記混合装置を連結する配管へ原料油を供給する供給ライン1Bを有し、
前記溶融廃プラスチック混合油を調製する工程は、前記溶融廃プラスチックの溶融量に対する、前記供給ライン1Bから前記配管へ供給される前記原料油の供給量との比率(前記原料油の供給量/前記溶融廃プラスチックの溶融量)を、質量比で、少なくとも1以上になるように、前記溶融廃プラスチックに前記原料油を供給することにより、前記溶融廃プラスチック混合油を調製する、
廃プラスチック処理方法。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の廃プラスチック処理方法において、
前記分解処理装置に供給する工程は、前記分解処理用混合物を、前記第1供給ラインとは異なる第3供給ラインから輸送された前記原料油と共に、前記分解処理装置に供給する、
廃プラスチック処理方法。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の廃プラスチック処理方法において、
前記分解処理用混合物を調製する工程は、温度160℃以上260℃以下、攪拌手段の回転数10rpm以上20,000rpm以下の条件で、前記分解処理用混合物を調製する、
廃プラスチック処理方法。
【請求項14】
請求項1から請求項13のいずれか一項に記載の廃プラスチック処理方法において、
前記溶融廃プラスチックを調製する工程における前記廃プラスチックの溶融温度は、175℃以上260℃以下であり、
前記溶融廃プラスチック混合油を調製する工程における前記第1供給ライン中の原料油の温度は、80℃以上240℃以下である、
廃プラスチック処理方法。
【請求項15】
請求項1から請求項14のいずれか一項に記載の廃プラスチック処理方法において、
前記原料油は、重質分解軽油、分解残渣油、常圧残渣油、脱硫残渣油、脱硫減圧軽油、未脱硫減圧軽油、未脱硫減圧残渣油、及び鉱油からなる群から選ばれる少なくとも1種である、
廃プラスチック処理方法。
【請求項16】
請求項1から請求項15のいずれか一項に記載の廃プラスチック処理方法において、
前記原料油は、脱硫減圧軽油、重質分解軽油、及び脱硫残渣油からなる群から選ばれる少なくとも1種である、
廃プラスチック処理方法。
【請求項17】
請求項1から請求項16のいずれか一項に記載の廃プラスチック処理方法において、
前記廃プラスチックは、ポリエチレンに由来する廃プラスチック及びポリプロピレンに由来する廃プラスチックの少なくともいずれかを含む、
廃プラスチック処理方法。
【請求項18】
請求項1から請求項17のいずれか一項に記載の廃プラスチック処理方法において、
前記溶融廃プラスチックを調製する工程は、複数の前記溶融装置を用いて実施する、
廃プラスチック処理方法。
【請求項19】
請求項1から請求項18のいずれか一項に記載の廃プラスチック処理方法において、
前記溶融装置は、混練機である、
廃プラスチック処理方法。
【請求項20】
請求項1から請求項19のいずれか一項に記載の廃プラスチック処理方法において、
前記分解処理用混合物を調製する工程は、複数の前記混合装置を用いて実施する、
廃プラスチック処理方法。
【請求項21】
請求項1から請求項20のいずれか一項に記載の廃プラスチック処理方法において、
前記混合装置はラインミキサーである、
廃プラスチック処理方法。
【請求項22】
請求項1から請求項21のいずれか一項に記載の廃プラスチック処理方法において、
前記分解処理装置は、流動接触分解装置である、
廃プラスチック処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃プラスチック処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
廃プラスチックの有効利用率の低さ、及び海洋プラスチック等による環境汚染が世界的な課題となっている。
廃プラスチックをリサイクルするための方法の1つとして、ケミカルリサイクルが挙げられる。ケミカルリサイクルの技術については、従来より、様々な検討がなされている。
【0003】
例えば、特許文献1には、プラスチック材料(1)を溶融させてプラスチック溶融物を形成し、脱ガスした後、解重合反応装置(3)へと送ることを含み、粗油から得られた留分を溶媒(6)として前記プラスチック溶融物に添加することにより、前記解重合反応装置(3)に供給されるそのプラスチック溶融物溶液の粘度を前記プラスチック溶融物の粘度よりも低下させることを特徴とする方法が開示されている。
【0004】
特許文献2には、炭化水素系重合体を流動接触分解(FCC)装置にて分解処理する方法において、該炭化水素系重合体と、FCCガソリン、軽質分解軽油、重質分解軽油、分解残渣油、常圧残渣油及び脱硫残渣油から選ばれる炭化水素油との混合物をFCC原料油に混ぜ、FCC装置に供給することを特徴とする炭化水素系重合体の分解処理方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-518906号公報
【文献】特開2002-294251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1には、プラスチック溶融物に溶媒を添加することで、プラスチック溶融物溶液の粘度を低下させることが記載されている。しかしながら、単に溶媒を添加しただけのプラスチック溶融物溶液は分離し易いため、特許文献1に記載の方法では、混合性が不十分な状態のプラスチック溶融物溶液が解重合反応装置に供給されることがある。その結果、プラスチック材料の分解性を十分向上できないことがある。
なお、特許文献1には、プラスチック材料の混合方法として、解重合反応装置からプラスチック溶融物をポンプで連続的に外に出し、解重合反応装置に再循環させる方法が開示されているが、この方法では、分解対象であるプラスチック溶融物を再循環させることになるため、解重合反応装置に供給されるプラスチック溶融物に対する、プラスチック材料の分解性を向上させることは難しいと考えられる。
特許文献2には、触媒反応により、原油中の高沸点留分を付加価値の高いガソリン等に分解できるFCC装置を用いて、炭化水素系重合体と炭化水素油との混合物を分解する方法が開示されているが、特許文献2は、炭化水素油への炭化水素系重合体の溶解性、具体的には、炭化水素系重合体と炭化水素油との混合性に何ら着目していない。そのため、特許文献2に記載の方法においても、混合性が不十分な状態の前記混合物がFCC原料油に混ぜられてFCC装置に供給されることがある。その結果、炭化水素系重合体の分解性を十分向上できないことがある。
【0007】
本発明は、廃プラスチックの分解性を向上できる廃プラスチック処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、廃プラスチック処理システムを用いた廃プラスチック処理方法であって、
溶融装置に、廃プラスチックを供給する工程と、
前記廃プラスチックを溶融することにより、溶融廃プラスチックを調製する工程と、
1以上の第1供給ラインから、前記溶融廃プラスチックに原料油を供給することにより、溶融廃プラスチック混合油を調製する工程と、
前記溶融廃プラスチック混合油を混合装置に供給する工程と、
前記混合装置に供給された前記溶融廃プラスチック混合油を混合することにより、分解処理用混合物を調製する工程と、
調製された前記分解処理用混合物を分解処理装置に供給する工程と、を有し、
前記分解処理用混合物を調製する工程は、160℃における動粘度が1mm2/s以上60mm2/s以下になるように、前記分解処理用混合物を調製する、
廃プラスチック処理方法が提供される。
【0009】
本発明の一態様に係る廃プラスチック処理方法において、前記分解処理用混合物を調製する工程は、前記混合装置に供給された前記溶融廃プラスチック混合油を、前記第1供給ラインとは異なる第2供給ラインから前記混合装置に供給された前記原料油と混合することにより、分解処理用混合物を調製することが好ましい。
【0010】
本発明の一態様に係る廃プラスチック処理方法において、前記分解処理用混合物を調製する工程は、前記廃プラスチックの供給量に対する、前記溶融装置から前記混合装置に至るまでに供給された前記原料油の合計供給量の比率(前記原料油の合計供給量/前記廃プラスチックの供給量)を、質量比で10以上200以下に調整することにより、前記分解処理用混合物の動粘度を調整することが好ましい。
【0011】
本発明の一態様に係る廃プラスチック処理方法において、前記分解処理用混合物を調製する工程は、前記溶融廃プラスチックの溶融量に対する、前記溶融装置から前記混合装置に至るまでに供給された前記原料油の合計供給量の比率(前記原料油の合計供給量/前記溶融廃プラスチックの溶融量)を、質量比で10以上200以下に調整することにより、前記分解処理用混合物の動粘度を調整することが好ましい。
【0012】
本発明の一態様に係る廃プラスチック処理方法において、前記原料油、軽質炭化水素油、ナフサ、軽油、及び前記原料油とは異なる重質炭化水素油からなる群から選ばれる少なくとも1種の他の追加原料油を供給する追加原料供給工程をさらに有することが好ましい。
【0013】
本発明の一態様に係る廃プラスチック処理方法において、前記溶融廃プラスチック混合油を調製する工程は、前記追加原料供給工程をさらに有し、前記溶融廃プラスチックに、さらに少なくとも1種の前記他の追加原料油を供給することにより、前記溶融廃プラスチック混合油を調製することが好ましい。
【0014】
本発明の一態様に係る廃プラスチック処理方法において、前記分解処理用混合物を調製する工程は、前記追加原料供給工程をさらに有し、前記溶融廃プラスチック混合油を、さらに少なくとも1種の前記他の追加原料油と混合することにより、分解処理用混合物を調製することが好ましい。
【0015】
本発明の一態様に係る廃プラスチック処理方法において、前記分解処理用混合物を調製する工程は、前記廃プラスチックの溶融量に対する、前記溶融装置から前記混合装置に至るまでに供給された原料油、及び前記溶融装置から前記混合装置に至るまでに供給された前記追加原料油の合計供給量の比率(前記原料油及び前記追加原料油の合計供給量/前記廃プラスチックの溶融量)を、質量比で10以上200以下に調整することにより、前記分解処理用混合物の動粘度を調整することが好ましい。
【0016】
本発明の一態様に係る廃プラスチック処理方法において、前記溶融廃プラスチック混合油を調製する工程は、200℃における溶融粘度が100mPa・s以上5000万mPa・s以下になるように、前記溶融廃プラスチック混合油を調製することが好ましい。
【0017】
本発明の一態様に係る廃プラスチック処理方法において、前記第1供給ラインは、前記溶融装置へ原料油を供給する供給ライン1Aを有し、
前記溶融廃プラスチック混合油を調製する工程は、前記溶融廃プラスチックの溶融量に対する、前記供給ライン1Aから前記溶融装置へ供給される前記原料油の供給量の比率(前記原料油の供給量/前記溶融廃プラスチックの溶融量)を、質量比で、少なくとも0.5以上になるように、前記溶融廃プラスチックに前記原料油を供給することにより、前記溶融廃プラスチック混合油を調製することが好ましい。
【0018】
本発明の一態様に係る廃プラスチック処理方法において、前記第1供給ラインは、前記溶融装置及び前記混合装置を連結する配管へ原料油を供給する供給ライン1Bを有し、
前記溶融廃プラスチック混合油を調製する工程は、前記溶融廃プラスチックの溶融量に対する、前記供給ライン1Bから前記配管へ供給される前記原料油の供給量との比率(前記原料油の供給量/前記溶融廃プラスチックの溶融量)を、質量比で、少なくとも1以上になるように、前記溶融廃プラスチックに前記原料油を供給することにより、前記溶融廃プラスチック混合油を調製することが好ましい。
【0019】
本発明の一態様に係る廃プラスチック処理方法において、前記分解処理装置に供給する工程は、前記分解処理用混合物を、前記第1供給ラインとは異なる第3供給ラインから輸送された前記原料油と共に、前記分解処理装置に供給することが好ましい。
【0020】
本発明の一態様に係る廃プラスチック処理方法において、前記分解処理用混合物を調製する工程は、温度160℃以上260℃以下、攪拌手段の回転数10rpm以上20,000rpm以下の条件で、前記分解処理用混合物を調製することが好ましい。
【0021】
本発明の一態様に係る廃プラスチック処理方法において、前記溶融廃プラスチックを調製する工程における前記廃プラスチックの溶融温度は、175℃以上260℃以下であり、
前記溶融廃プラスチック混合油を調製する工程における前記第1供給ライン中の原料油の温度は、80℃以上240℃以下であることが好ましい。
【0022】
本発明の一態様に係る廃プラスチック処理方法において、前記原料油は、重質分解軽油、分解残渣油、常圧残渣油、脱硫残渣油、脱硫減圧軽油、未脱硫減圧軽油、未脱硫常圧残渣油、及び鉱油からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0023】
本発明の一態様に係る廃プラスチック処理方法において、前記原料油は、脱硫減圧軽油、重質分解軽油、及び脱硫残渣油からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0024】
本発明の一態様に係る廃プラスチック処理方法において、前記廃プラスチックは、ポリエチレンに由来する廃プラスチック及びポリプロピレンに由来する廃プラスチックの少なくともいずれかを含むことが好ましい。
【0025】
本発明の一態様に係る廃プラスチック処理方法において、前記溶融廃プラスチックを調製する工程は、複数の前記溶融装置を用いて実施することが好ましい。
【0026】
本発明の一態様に係る廃プラスチック処理方法において、前記溶融装置は、混練機であることが好ましい。
【0027】
本発明の一態様に係る廃プラスチック処理方法において、前記分解処理用混合物を調製する工程は、複数の前記混合装置を用いて実施することが好ましい。
【0028】
本発明の一態様に係る廃プラスチック処理方法において、前記混合装置はラインミキサーであることが好ましい。
【0029】
本発明の一態様に係る廃プラスチック処理方法において、前記分解処理装置は、流動接触分解装置であることが好ましい。
【発明の効果】
【0030】
本発明の一態様によれば、廃プラスチックの分解性を向上できる廃プラスチック処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】第1実施形態の廃プラスチック処理方法で用いられる廃プラスチック処理システムの一例の概略図である。
【
図2】第2実施形態の廃プラスチック処理方法で用いられる廃プラスチック処理システムの一例の概略図である。
【
図3】第3実施形態の廃プラスチック処理方法で用いられる廃プラスチック処理システムの一例の概略図である。
【
図4】第4実施形態の廃プラスチック処理方法で用いられる廃プラスチック処理システムの一例の概略図である。
【
図5】第5実施形態の廃プラスチック処理方法で用いられる廃プラスチック処理システムの一例の概略図である。
【
図6】第6実施形態の廃プラスチック処理方法で用いられる廃プラスチック処理システムの一例の概略図である。
【
図7A】溶融廃プラスチックと原料油とが十分に混合されていない状態の分解処理用混合物の写真である。
【
図7B】混合装置を用いて、溶融廃プラスチックと原料油とが十分に混合された状態の分解処理用混合物の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前に記載される数値を下限値とし、「~」の後に記載される数値を上限値として含む範囲を意味する。
【0033】
〔第1実施形態〕
本実施形態に係る廃プラスチック処理方法(以下、単に「処理方法」とも称する)は、
溶融装置に、廃プラスチックを供給する工程と、前記廃プラスチックを溶融することにより、溶融廃プラスチックを調製する工程と、1以上の第1供給ラインから、前記溶融廃プラスチックに原料油を供給することにより、溶融廃プラスチック混合油を調製する工程と、前記溶融廃プラスチック混合油を混合装置に供給する工程と、前記混合装置に供給された前記溶融廃プラスチック混合油を混合することにより、分解処理用混合物を調製する工程と、調製された前記分解処理用混合物を分解処理装置に供給する工程と、を有し、前記分解処理用混合物を調製する工程は、160℃における動粘度が1mm2/s以上60mm2/s以下になるように、前記分解処理用混合物を調製する処理方法である。
【0034】
本実施形態の処理方法では、上記工程を有することにより、原料油中に溶融廃プラスチックが均一に近い状態で溶解した分解処理用混合物、つまり、溶融廃プラスチックと原料油との混合性が向上した分解処理用混合物が得られる。
「混合性が向上した分解処理用混合物」について、
図7A、
図7Bを用いて具体的に説明する。
図7Aは、溶融廃プラスチックと原料油とが十分に混合されていない状態の混合物の写真である。溶融廃プラスチックは、原料油中に溶解しているが、部分的にまだらになっていることがわかる。
図7Bは、混合装置を用いて、溶融廃プラスチックと原料油とを混合して調製された分解処理用混合物の写真である。溶融廃プラスチックは、原料油中に均一に溶解していることがわかる。このような溶融廃プラスチックと原料油との混合状態は、本実施形態の「分解処理用混合物を調製する工程」で調製された分解処理用混合物の混合状態に相当する。
また、「分解処理用混合物を調製する工程」で調製された分解処理用混合物は、160℃における動粘度が所定の範囲(1mm
2/s以上60mm
2/s以下)に調整されている。
本実施形態の処理方法によれば、溶融廃プラスチックと原料油との混合性が向上し、かつ動粘度が所定の範囲に調整された分解処理用混合物を分解処理装置に供給できるので、分解処理用混合物中の廃プラスチックの分解性を向上できる。
また、本実施形態の処理方法によれば、動粘度が所定の範囲に調整された分解処理用混合物を分解処理装置へ供給できるので、ポンプ等の輸送手段への負荷も軽減できる。
【0035】
本実施形態の処理方法において、分解処理用混合物を調製する工程は、混合装置に供給された溶融廃プラスチック混合油を、第1供給ラインとは異なる第2供給ラインから前記混合装置に供給された原料油と混合することにより、分解処理用混合物を調製する工程であることが好ましい。
これにより、分解処理用混合物の160℃における動粘度を所定の範囲に調整し易くなる。
【0036】
第1実施形態の処理方法は、
図1に示す廃プラスチック処理システム(以下、単に「処理システム」とも称する)を用いて実施する例である。
始めに、
図1に示す処理システム100について説明し、次いで、第1実施形態の処理方法について説明する。
【0037】
<全体構成>
図1は、第1実施形態の処理方法で用いられる処理システムの一例の概略図である。
図1に示す処理システム100は、溶融装置として混練機20を備え、混合装置としてラインミキサー30を備え、分解処理装置として残油流動接触分解装置(RFCC装置50)(FCC装置の一態様)を備える。また、
図1に示す処理システム100は、原料油温度制御手段として熱交換器HEを備える。
以降の説明において、「第1」、「第2」及び「第3」という序数による表現は、部材を区別することを目的としており、順序を意味するものではない。
【0038】
処理システム100は、廃プラスチックを溶融することにより溶融廃プラスチックを調製する混練機20と、混練機20で調製された溶融廃プラスチックと、原料油との混合物(溶融廃プラスチック混合油)を混合することにより分解処理用混合物を調製するラインミキサー30と、ラインミキサー30で調製された分解処理用混合物中の溶融廃プラスチック及び原料油を共に分解するRFCC装置50と、ラインミキサー30及びRFCC装置50の間に設けられた第2貯留タンク40と、を備える。
また、処理システム100は、RFCC装置50に連結され、原料油をRFCC装置50に輸送する第1輸送ライン10(第3供給ラインの一例)と、混練機20とラインミキサー30とを連結する配管(以下、「溶融廃プラスチック混合油供給ライン」とも称する)であって、溶融廃プラスチック混合油を混練機20からラインミキサー30へ供給する溶融廃プラスチック混合油供給ライン15と、第1輸送ライン10と溶融廃プラスチック混合油供給ライン15とを連結し、第1輸送ライン10から溶融廃プラスチック混合油供給ライン15へ原料油を供給する供給ライン12(第1供給ラインの一例、供給ライン1Bの一例)と、ラインミキサー30で調製された分解処理用混合物を、ラインミキサー30から第1輸送ライン10へ輸送する第2輸送ライン14と、を備える。
図1の場合、分解処理用混合物は、第2貯留タンク40で貯留された後、遠心ポンプ41により第2輸送ライン14を介して第1輸送ライン10へ輸送される。
また、処理システム100は、混練機20へ供給される廃プラスチックの供給量を制御する廃プラスチック供給制御手段25と、供給ライン12から溶融廃プラスチック混合油供給ライン15へ供給される原料油の供給量を制御する第2原料油供給制御手段121と、原料油の温度を制御する熱交換器HE(原料油温度制御手段の一例)と、を備える。
【0039】
<混練機20>
混練機20は、廃プラスチックを溶融することにより溶融廃プラスチックを調製する(得る)。
混練機20には、廃プラスチックの供給量を制御するための廃プラスチック供給制御手段25が接続されている。
廃プラスチック供給制御手段25は、廃プラスチック供給手段としてのフィーダー21と、フィーダー21の動作を制御するフィーダー制御器24とを有する。廃プラスチック供給制御手段25は、フィーダー制御器24からフィーダー21へ制御信号を送信し、フィーダー21の動作を制御することで、廃プラスチックの供給量を制御する。フィーダー制御器24はマイクロコンピュータ等を使用できる。
また、混練機20には、廃プラスチック供給ライン23を介して、フィーダー21と、ホッパー22とが連結されている。ホッパー22は、下部に供給口(不図示)を有し、供給口からフィーダー21へ廃プラスチックを供給できるようになっている。
【0040】
廃プラスチック供給制御手段25は、フィーダー21から混練機20への廃プラスチックの供給量を制御することにより、溶融廃プラスチックの溶融量を制御してもよい。溶融廃プラスチックの溶融量は、混練機20への廃プラスチックの供給量より算出される。この場合、廃プラスチック供給制御手段25は、フィーダー制御器24からフィーダー21へ制御信号を送信し、フィーダー21の動作を制御することで、溶融廃プラスチックの溶融量を制御する。
【0041】
<第1輸送ライン10>
第1輸送ライン10は、RFCC装置50に連結され、原料油をRFCC装置50に輸送する。
図1に示す第1輸送ライン10は、上流側で供給ライン12に分岐する分岐点B1と、下流側で第2輸送ライン14と合流する合流点C1とを有する。
第1輸送ライン10中の原料油は、例えば、80℃以上240℃以下に加熱されることが好ましく、160℃以上230℃以下に加熱されることがより好ましい。第1輸送ライン10中の原料油の温度は、例えば、第1輸送ライン10の任意の箇所に設置した温度制御手段(例えば、熱交換器及びヒーター等)で制御できる。
【0042】
<溶融廃プラスチック混合油供給ライン15>
溶融廃プラスチック混合油供給ライン15は、混練機20とラインミキサー30とを連結する。溶融廃プラスチック混合油供給ライン15は、混練機20で調製された溶融廃プラスチックを、合流点C2で供給ライン12より輸送された原料油と合流(混合)して溶融廃プラスチック混合油(溶融廃プラスチックと原料油との混合物)とし、当該溶融廃プラスチック混合油をラインミキサー30へ供給する。
溶融廃プラスチック混合油供給ライン15の温度は、例えば、160℃以上260℃以下である。溶融廃プラスチック混合油供給ライン15の温度は、例えば溶融廃プラスチック混合油供給ライン15の任意の箇所に設置した温度制御手段(例えば、熱交換器及びヒーター等)で制御できる。
【0043】
<供給ライン12>
供給ライン12は、第1輸送ライン10と溶融廃プラスチック混合油供給ライン15とを連結し、第1輸送ライン10から溶融廃プラスチック混合油供給ライン15へ原料油を供給する。
図1の場合、供給ライン12は、第1輸送ライン10の分岐点B1から、溶融廃プラスチック混合油供給ライン15との合流点C2へ原料油を供給する。
供給ライン12の途中には、合流点C2への原料油の供給量を制御するための第2原料油供給制御手段121が設けられている。
第2原料油供給制御手段121は、原料油供給手段としての第2調節弁122と、第2制御器123とを有する。
第2原料油供給制御手段121は、第2制御器123から第2調節弁122に制御信号を送信し、第2調節弁122の動作を制御することで、原料油の供給量を制御する。第2制御器123はマイクロコンピュータ等を使用できる。
供給ライン12中の原料油は、原料油と溶融廃プラスチックとを良好に混合させる観点から、例えば、80℃以上240℃以下に加熱されることが好ましく、160℃以上230℃以下に加熱されることがより好ましい。供給ライン12中の原料油の温度は、例えば、供給ライン12の任意の箇所に設置した温度制御手段(例えば、熱交換器及びヒーター等)で制御できる。なお、原料油の温度とは、温度制御手段の設定温度である。
図1の場合、供給ライン12中の原料油の温度は、供給ライン12の途中に配置された熱交換器HEにより制御される。
熱交換器HEの数及び設置箇所は特に限定されない。例えば、第1輸送ライン10及び供給ライン12に複数の熱交換器HEを設け、段階的に原料油を加熱してもよい。
【0044】
<ラインミキサー30>
ラインミキサー30は、溶融廃プラスチックと原料油との混合物(溶融廃プラスチック混合油)を混合することにより分解処理用混合物を調製する(得る)。
調製された分解処理用混合物の動粘度は、廃プラスチックの分解性を向上させる観点から、所定の範囲に調整されている。所定の範囲については後述する。
ラインミキサー30は、攪拌手段(例えば回転翼等)を有する。
ラインミキサー30としては、特に限定されず、インラインミキサー(例えばスタティックミキサー等)を用いることができる。ラインミキサー30は、連続式ミキサーであってもよい。
【0045】
<第2貯留タンク40>
第2貯留タンク40は、ラインミキサー30で調製された分解処理用混合物を貯留する。第2貯留タンク40には、遠心ポンプ41が接続されている。なお、ポンプは分解処理用混合物の動粘度に応じて適宜選択することが好ましい。例えば、ポンプとしてギアポンプを用いてもよい。第2貯留タンク40は、分解処理用混合物を供給する手段として、ポンプを備えていることが好ましいが、自圧により分解処理用混合物を第2輸送ライン14へ供給してもよい。
第2貯留タンク40は、分解処理用混合物から発生するガス(例えば、二酸化炭素ガス、水蒸気、及び揮発性有機化合物等)を排出するガス抜き手段を有することが好ましい。ガス抜き手段としては、特に限定されないが、例えば、ガス抜き管等が挙げられる。
第2貯留タンク40がガス抜き手段を有することにより、分解処理用混合物の発泡を防ぐもしくは低減させることができ、分解処理用混合物をスムーズに移送でき運転性の向上が見込まれる。その結果、廃プラスチックの分解効率を向上できると考えられる。
また、第2貯留タンク40は、分解処理用混合物の混合性をより向上させる観点から、攪拌手段(例えば回転翼等)を有していてもよい。
第2貯留タンク40の温度は、分解処理用混合物中における溶融廃プラスチックの溶融状態を維持しつつ、分解処理用混合物の動粘度を所定の範囲に維持する観点から、例えば、160℃以上240℃以下に加熱されることが好ましい。第2貯留タンク40は、温度検知手段(例えば温度計等)を備え、第2貯留タンク40の温度を、温度制御手段(例えば、熱交換器及びヒーター等)で制御することが好ましい。
【0046】
<RFCC装置50>
RFCC装置50は、ラインミキサー30で調製された分解処理用混合物中の溶融廃プラスチック及び原料油を共に分解する。
RFCC装置50は、流動接触分解装置(FCC装置)の一態様である。
RFCC装置50及びFCC装置は、石油精製の分野で通常用いられている装置でよく、基本的には、反応塔、触媒/生成油分離器、触媒表面上油分の除去部、及び触媒再生塔からなり、触媒はこの系内を流動循環する。
触媒としては、通常、合成ゼオライトを含む触媒が用いられる。プロセスとしては、UOP社及びIFP社等で開発されたいずれのプロセスでもよい。
RFCC装置50及びFCC装置に用いられる触媒、並びに稼働条件は、特に限定されず、適宜設定することができる。
【0047】
<第2輸送ライン14>
第2輸送ライン14は、ラインミキサー30で調製された分解処理用混合物を、遠心ポンプ41にてラインミキサー30から第1輸送ライン10へ輸送する。
第2輸送ライン14中の原料油の温度は、分解処理用混合物の動粘度を所定の範囲に維持した状態で分解処理用混合物を輸送する観点から、例えば、160℃以上240℃以下に加熱されることが好ましい。第2輸送ライン14中の原料油の温度は、第2輸送ライン14の任意の箇所に設置した温度制御手段(例えば、熱交換器及びヒーター等)で制御できる。
【0048】
〔第1実施形態の処理方法〕
第1実施形態の処理方法は、
図1に示す処理システム100を用いた場合、以下の工程を経て実施される。
以下の説明では、廃プラスチックを供給する工程を「廃プラスチック供給工程ST1」、溶融廃プラスチックを調製する工程を「溶融廃プラスチック調製工程ST2」、溶融廃プラスチック混合油を調製する工程を「溶融廃プラスチック混合油調製工程ST3」、溶融廃プラスチック混合油を混合装置に供給する工程を「溶融廃プラスチック混合油供給工程ST4」、分解処理用混合物を調製する工程を「分解処理用混合物調製工程ST5」、分解処理用混合物を分解処理装置に供給する工程を「分解処理用混合物供給工程ST6」と称することがある。
【0049】
<廃プラスチック供給工程ST1>
廃プラスチック供給工程ST1は、混練機20に廃プラスチックを供給する工程である。
図1の場合、廃プラスチック供給手段としてのフィーダー21より、混練機20に廃プラスチックが供給される。混練機20への廃プラスチックの供給方法は特に限定されない。
混練機20への廃プラスチックの供給量は、廃プラスチック供給制御手段25により制御される。
本明細書において、廃プラスチックの供給量とは、単位時間当たりに供給される廃プラスチックの量(質量)を意味する。
【0050】
<溶融廃プラスチック調製工程ST2>
溶融廃プラスチック調製工程ST2は、廃プラスチックを溶融することにより、溶融廃プラスチックを調製する工程である。
本明細書において、溶融廃プラスチックとは、固体状の廃プラスチックを溶融して液状にしたものを意味する。そのため、溶融廃プラスチックと固体状の廃プラスチックとの違いは、物質の状態が異なるのみである。
廃プラスチックは、混練機20内において溶融されて溶融廃プラスチックとなり、溶融状態、溶解状態、またはスラリーで混練機20から排出される。
廃プラスチックの溶融温度は、好ましくは175℃以上260℃以下、より好ましくは200℃以上240℃以下である。なお、廃プラスチックの溶融温度は、混練機20の設定温度である。
混練機20で調製される溶融廃プラスチックの溶融量は、廃プラスチック供給制御手段25により制御される。
本明細書において、溶融廃プラスチックの溶融量とは、単位時間当たりに溶融される廃プラスチックの量(質量)を意味する。溶融廃プラスチックの溶融量は、廃プラスチックの供給量から算出される。
混練機20としては、特に限定されないが、例えば、押出機(例えば、単軸押出機及び多軸押出機等)、ニーダー、及び混合機等が挙げられる。
【0051】
<溶融廃プラスチック混合油調製工程ST3>
溶融廃プラスチック混合油調製工程ST3は、溶融廃プラスチックに原料油を供給することにより、溶融廃プラスチック混合油を調製する工程である。
図1の場合、混練機20から排出された溶融廃プラスチックは、溶融廃プラスチック混合油供給ライン15を輸送し、合流点C2において、供給ライン12から輸送された原料油と合流(混合)され、溶融廃プラスチック混合油が調製される。
【0052】
供給ライン12から溶融廃プラスチック混合油供給ライン15への原料油の供給量は、第2原料油供給制御手段121により制御される。
本明細書において、原料油の供給量とは、単位時間当たりに供給される量(質量)を意味する。
供給ライン12の数は限定されず、1つであっても2つ以上であってもよい。
【0053】
(溶融廃プラスチック混合油の粘度)
溶融廃プラスチック混合油調製工程ST3は、得られる溶融廃プラスチック混合油の200℃における溶融粘度が100mPa・s以上5000万mPa・s以下になるように、溶融廃プラスチックに原料油を供給する工程であることが好ましい。
溶融廃プラスチック混合油の200℃における溶融粘度は、より好ましくは1000mPa・s以上2500万mPa・s以下である。
溶融廃プラスチック混合油の溶融粘度(200℃)が100mPa・s以上5000万mPa・s以下であると、分解処理用混合物調製工程ST5において、動粘度が所定範囲に調整された分解処理用混合物が得られ易くなる。また、溶融廃プラスチック混合油の輸送性が向上する。
200℃における溶融粘度は、レオメータ装置(アントンパール社製、MCR302(品番))を用いて、以下の条件で、測定治具としてコーンプレートを用いて測定された値である。
<条件>
・コーンプレート測定システム:DIN EN(ISO 3219及びDIN 53019に準拠)
・角周波数(ω) :0.1rad/秒~100rad/秒
・測定温度 :200℃
・試料仕込み質量 :0.1g~0.3g
【0054】
<溶融廃プラスチック混合油供給工程ST4>
溶融廃プラスチック混合油供給工程ST4は、溶融廃プラスチック混合油をラインミキサー30に供給する工程である。
図1の場合、合流点C2において調製された溶融廃プラスチック混合油は、溶融廃プラスチック混合油供給ライン15からラインミキサー30へ供給される。
【0055】
<分解処理用混合物調製工程ST5>
分解処理用混合物調製工程ST5は、ラインミキサー30に供給された溶融廃プラスチック混合油を混合することにより、分解処理用混合物を調製する工程である。
分解処理用混合物調製工程ST5は、160℃における動粘度が1mm2/s以上60mm2/s以下になるように、分解処理用混合物を調製する工程である。
分解処理用混合物の160℃における動粘度が1mm2/s以上であるとは、廃プラスチックを高濃度で含有していることを示している。そのため、分解処理用混合物の160℃における動粘度が1mm2/s以上であると、廃プラスチックを原料油と共に効率よく分解できる。
分解処理用混合物の160℃における動粘度が60mm2/s以下であると、分解処理装置への分解処理用混合物の供給性が向上し易くなる。
分解処理用混合物の160℃における動粘度は、好ましくは1mm2/s以上40mm2/s以下、より好ましくは1mm2/s以上30mm2/s以下である。
160℃における動粘度は、JIS K 2283(2000)の「原油及び石油製品-動粘度試験方法及び粘度指数算出方法」に準じて測定される値である。
【0056】
分解処理用混合物の160℃における動粘度を所定範囲に調整する観点から、
図1の場合、分解処理用混合物調製工程ST5は、廃プラスチックの供給量に対する、第1供給ラインとしての供給ライン12から溶融廃プラスチック混合油供給ライン15へ供給された原料油の供給量の比率(前記原料油の供給量/前記廃プラスチックの供給量)を、質量比で10以上200以下(好ましくは20以上200以下)に調整することにより、分解処理用混合物の動粘度を調整する工程であることが好ましい。
【0057】
また、分解処理用混合物の160℃における動粘度を所定範囲に調整する方法としては、混練機20の溶融条件(例えば、温度、スクリューの回転数及び時間等)、ラインミキサー30の混合条件(例えば、温度、攪拌手段の回転数及び時間等)、第1輸送ライン10の温度、各供給ラインの温度(
図1の場合、供給ライン12の温度)を調整することも好ましい。
【0058】
分解処理用混合物調製工程ST5は、温度160℃以上260℃以下、攪拌手段の回転数10rpm以上20,000rpm以下の条件で、分解処理用混合物を調製することが好ましい。
分解処理用混合物調製工程ST5において、温度及び攪拌手段の回転数が上記範囲であると、分解処理用混合物の160℃における動粘度を所定範囲(1mm2/s以上60mm2/s以下)に調整し易くなる。
分解処理用混合物調製工程ST5における温度は、より好ましくは170℃以上240℃以下である。攪拌手段の回転数は、より好ましくは100rpm以上10,000rpm以下である。
【0059】
<第2貯留工程ST20>
第1実施形態の処理方法は、分解処理用混合物を第2貯留タンク40に貯留する工程(以下、「第2貯留工程ST20」とも称する)を有する。
図1の場合、分解処理用混合物は、ラインミキサー30から排出された後、第2貯留タンク40に貯留される。
第2貯留工程ST20では、分解処理用混合物から発生するガス(例えば、二酸化炭素ガス、水蒸気、及び揮発性有機化合物等)を、第2貯留タンク40から、ガス抜き手段を介して排出するガス抜き工程を実施することが好ましい。ガス抜き手段としては、特に限定されないが、例えば、ガス抜き管等が挙げられる。
第2貯留タンク40からのガス抜き工程を実施することにより、分解処理用混合物の発泡を防ぐもしくは低減させることができ、分解処理用混合物をスムーズに分解処理装置に移送できるため、運転性の向上が見込まれる。
【0060】
<分解処理用混合物供給工程ST6>
分解処理用混合物供給工程ST6は、調製された前記分解処理用混合物をRFCC装置50に供給する工程である。
図1の場合、分解処理用混合物は、第2貯留タンク40に貯留された後、第2輸送ライン14を介して合流点C1まで輸送される。合流点C1において、分解処理用混合物は、供給ライン12とは異なる第1輸送ライン10(第3供給ラインの一例)からRFCC装置50へ輸送されている原料油と合流(混合)され、原料油と共に、RFCC装置50に供給される。すなわち、第1実施形態の分解処理用混合物供給工程ST6は、分解処理用混合物を、第1輸送ライン10(第3供給ラインの一例)から輸送された原料油と共に、RFCC装置50に供給する。
【0061】
<効果>
第1実施形態の処理方法では、合流点C2で、混練機20で調製された溶融廃プラスチックに、供給ライン12より輸送された原料油が供給されて(1回目の混合)、溶融廃プラスチック混合油が調製される(溶融廃プラスチック混合油調製工程ST3)。次いで、溶融廃プラスチック混合油はラインミキサー30に供給され(溶融廃プラスチック混合油供給工程ST4)、ラインミキサー30にて、さらに混合されて(2回目の混合)、分解処理用混合物が調製される(分解処理用混合物調製工程ST5)。
このように第1実施形態の処理方法では、溶融廃プラスチックと原料油とが処理システム内で予め混合され、さらにラインミキサー30で混合されて分解処理用混合物が調製されるので、調製された分解処理用混合物は、原料油中に溶融廃プラスチックが均一に近い状態で溶解した混合物となり、かつ動粘度(160℃)が所定の範囲に調整されている。
よって、第1実施形態の処理方法によれば、溶融廃プラスチックと原料油との混合性が向上し、かつ動粘度(160℃)が所定の範囲に調整された分解処理用混合物がRFCC装置50に供給されるので、廃プラスチックの分解性を向上できる。また、原料油の分解性も向上できる。
【0062】
〔第2実施形態〕
第2実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項の説明については同一の符号を付す等により、その説明を省略または簡略化する。
第2実施形態は、
図2に示す廃プラスチック処理システムを用いて処理方法を実施する例である。まず、
図2に示す処理システム200について説明し、次いで、第2実施形態の処理方法について説明する。
【0063】
<全体構成>
図2は、第2実施形態の処理方法で用いられる処理システムの一例の概略図である。
図2に示す処理システム200は、混練機20と、ラインミキサー30と、RFCC装置50と、第1輸送ライン10と、溶融廃プラスチック混合油供給ライン15と、供給ライン11(第1供給ラインの一例、供給ライン1Aの一例)と、供給ライン13(第2供給ラインの一例)と、第2輸送ライン14と、第1貯留タンク60と、第2貯留タンク40と、を備える。
また、処理システム200は、廃プラスチック供給制御手段25と、供給ライン11から混練機20へ供給される原料油の供給量を制御する第1原料油供給制御手段111と、供給ライン13からラインミキサー30へ供給される原料油の供給量を制御する第3原料油供給制御手段131と、原料油の温度を制御する熱交換器HEと、を備える。
を備える。
すなわち、
図2に示す処理システム200は、第1実施形態で説明した処理システム100に対し、供給ライン11を備える点、供給ライン13を備える点、第1貯留タンク60を備える点、並びに供給ライン12を備えない点が処理システム100と異なる。その他の点は第1実施形態と同様である。
【0064】
<第1貯留タンク60>
第1貯留タンク60は、混練機20で調製された溶融廃プラスチックと、供給ライン11から混練機20へ供給された原料油との混合物(以下、「溶融廃プラスチック混合油A」とも称する)を貯留する。第1貯留タンク60には、ギアポンプ61が接続されている。第1貯留タンク60は、溶融廃プラスチック混合油Aを供給する手段として、ポンプを備えていることが好ましいが、自圧により溶融廃プラスチック混合油Aを溶融廃プラスチック混合油供給ライン15へ供給してもよい。
第1貯留タンク60は、溶融廃プラスチック混合油Aから発生するガス(例えば、二酸化炭素ガス、水蒸気、及び揮発性有機化合物等)を排出するガス抜き手段を有することが好ましい。ガス抜き手段としては、特に限定されないが、例えば、ガス抜き管等が挙げられる。
第1貯留タンク60がガス抜き手段を有することにより、溶融廃プラスチック混合油Aの発泡を防ぐもしくは低減させることができ、溶融廃プラスチック混合油をスムーズに移送でき、運転性の向上が見込まれる。その結果、廃プラスチックの分解効率を向上できると考えられる。
また、第1貯留タンク60は、溶融廃プラスチック混合油Aの混合性をより向上させる観点から、攪拌手段(例えば回転翼等)を有していてもよい。
第1貯留タンク60の温度は、例えば、160℃以上260℃以下に加熱されることが好ましく、175℃以上260℃以下に加熱されることがより好ましい。第1貯留タンク60は、温度検知手段(例えば温度計等)を備え、第1貯留タンク60の温度を、温度制御手段(例えば、熱交換器及びヒーター等)で制御することが好ましい。
【0065】
<供給ライン11>
供給ライン11は、第1輸送ライン10と混練機20とを連結し、第1輸送ライン10から混練機20へ原料油を供給する。
図2の場合、供給ライン11は、第1輸送ライン10の分岐点B1から分岐され、さらに分岐点B2で分岐されて、混練機20の出口側へ原料油を供給する。
供給ライン11の途中には、混練機20への原料油の供給量を制御するための第1原料油供給制御手段111が設けられている。
第1原料油供給制御手段111は、原料油供給手段としての第1調節弁112と、第1制御器113とを有する。
第1原料油供給制御手段111は、第1制御器113から第1調節弁112に制御信号を送信し、第1調節弁112の動作を制御することで、原料油の供給量を制御する。第1制御器113はマイクロコンピュータ等を使用できる。
【0066】
<供給ライン13>
第2供給ラインとしての供給ライン13は、第1輸送ライン10とラインミキサー30とを連結し、第1輸送ライン10からラインミキサー30へ原料油を供給する。
図2の場合、供給ライン13は、第1輸送ライン10の分岐点B1から分岐され、さらに分岐点B2で分岐されて、ラインミキサー30へ原料油を供給する。
供給ライン13の途中には、原料油の供給量を制御するための第3原料油供給制御手段131が設けられている。
第3原料油供給制御手段131は、原料油供給手段としての第3調節弁132と、第3制御器133とを有する。
第3原料油供給制御手段131は、第3制御器133から第3調節弁132に制御信号を送信し、第3調節弁132の動作を制御することで、原料油の供給量を制御する。第3調節弁132はマイクロコンピュータ等を使用できる。
【0067】
〔第2実施形態の処理方法〕
第2実施形態の処理方法は、第1実施形態に対し、主に、溶融廃プラスチック調製工程ST2、溶融廃プラスチック混合油調製工程ST3及び分解処理用混合物調製工程ST5が異なる。
第2実施形態の処理方法について、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0068】
<溶融廃プラスチック調製工程ST2及び溶融廃プラスチック混合油調製工程ST3>
第2実施形態では、溶融廃プラスチック調製工程ST2及び溶融廃プラスチック混合油調製工程ST3が実質同時に実施される。
図2の場合、混練機20に供給された廃プラスチックが溶融され溶融廃プラスチックが調製されると共に、混練機20には、供給ライン11より輸送された原料油が、混練機20の出口側に供給される。
混練機20内で、溶融廃プラスチックは、供給ライン11より輸送された原料油と混合されて、溶融廃プラスチック混合油A(溶融廃プラスチックと原料油との混合物)が調製される。
廃プラスチックの溶融温度は、第1実施形態と同様の範囲であることが好ましい。
供給ライン11から混練機20内への原料油の供給量は、第1原料油供給制御手段111により制御される。
供給ライン11中の原料油の温度は、溶融廃プラスチックと原料油とを良好に混合させる観点から、好ましくは80℃以上240℃以下、より好ましくは160℃以上230℃以下である。
供給ライン11中の原料油の温度は、例えば、供給ライン11の任意の箇所に設置した温度制御手段(例えば、熱交換器及びヒーター等)で制御できる。なお、供給ライン11中の原料油の温度は、温度制御手段の設定温度である。
図2の場合、供給ライン11中の原料油の温度は、分岐点B1及び分岐点B2の間に配置された熱交換器HEにより制御される。
供給ライン11の数は限定されず、1つであっても2つ以上であってもよい。
【0069】
溶融廃プラスチック混合油調製工程ST3で調製された溶融廃プラスチック混合油Aの200℃における溶融粘度は、好ましくは100mPa・s以上5000万mPa・s以下であり、より好ましくは1000mPa・s以上2500万mPa・s以下である。
溶融廃プラスチック混合油の溶融粘度(200℃)を上記範囲に調製する観点から、溶融廃プラスチック混合油調製工程ST3において、溶融廃プラスチックの溶融量に対する、供給ライン11(供給ライン1Aの一例)から混練機20へ供給される原料油の供給量との比率(前記原料油の供給量/前記溶融廃プラスチックの溶融量)は、質量比で、少なくとも0.5以上であることが好ましい。
【0070】
<第1貯留工程ST10>
第2実施形態の処理方法は、溶融廃プラスチック混合油Aを第1貯留タンク60に貯留する工程(以下、「第1貯留工程ST10」とも称する)を有する。
図2の場合、溶融廃プラスチック混合油Aは、混練機20から排出され、第1貯留タンク60に貯留される。
第1貯留工程ST10では、溶融廃プラスチック混合油Aから発生するガス(例えば、二酸化炭素ガス、水蒸気、及び揮発性有機化合物等)を、第1貯留タンク60から、ガス抜き手段を介して排出するガス抜き工程を実施することが好ましい。ガス抜き手段としては、特に限定されないが、例えば、ガス抜き管等が挙げられる。
第1貯留タンク60からのガス抜き工程を実施することにより、溶融廃プラスチック混合油Aの発泡を防ぐもしくは低減させることができ、溶融廃プラスチック混合油Aをスムーズに移送できるため運転性の向上が見込まれる。
【0071】
<溶融廃プラスチック混合油供給工程ST4>
図2の場合、溶融廃プラスチック混合油Aは、第1貯留タンク60に貯留された後、ギアポンプ61にて溶融廃プラスチック混合油供給ライン15を介してラインミキサー30へ供給される。
【0072】
<分解処理用混合物調製工程ST5>
図2の場合、ラインミキサー30に供給された溶融廃プラスチック混合油Aは、供給ライン13より供給された原料油と混合されて、分解処理用混合物が調製される(得られる)。
調製された分解処理用混合物の160℃における動粘度は、1mm
2/s以上60mm
2/s以下である。
分解処理用混合物調製工程ST5における温度、攪拌手段の回転数の条件は、第1実施形態と同様の範囲であることが好ましい。
分解処理用混合物の動粘度(160℃)を所定範囲に調整する観点から、
分解処理用混合物調製工程ST5は、廃プラスチックの供給量に対する、混練機20からラインミキサー30に至るまでに供給された原料油の合計供給量の比率(前記原料油の合計供給量/前記廃プラスチックの供給量)を、質量比で10以上200以下(好ましくは20以上200以下)に調整することにより、分解処理用混合物の動粘度を調整する工程であることが好ましい。
前記比率(前記原料油の合計供給量/前記廃プラスチックの供給量)が、質量比で10以上であると、分解処理用混合物の動粘度を、廃プラスチックが分解され易い動粘度(160℃)に調整できる。
前記比率(前記原料油の合計供給量/前記廃プラスチックの供給量)が、質量比で200以下であると、分解処理用混合物の動粘度を、分解処理装置へ供給し易い動粘度(160℃)に調整できる。
また、分解処理用混合物調製工程ST5は、溶融廃プラスチックの溶融量に対する、混練機20からラインミキサー30に至るまでに供給された原料油の合計供給量の比率(前記原料油の合計供給量/前記溶融廃プラスチックの溶融量)を、質量比で10以上200以下(好ましくは20以上200以下)に調整することにより、分解処理用混合物の動粘度を調整する工程であることも好ましい。
図2の場合、「混練機20からラインミキサー30に至るまでに供給された原料油の合計供給量」とは、供給ライン11より混練機20に供給された原料油、及び供給ライン13よりラインミキサー30に供給された原料油の合計供給量である。
供給ライン13中の原料油の温度は、好ましくは80℃以上240℃以下、より好ましくは160℃以上230℃以下である。
供給ライン13中の原料油の温度は、例えば、供給ライン13の任意の箇所に設置した温度制御手段(例えば、熱交換器及びヒーター等)で制御できる。なお、供給ライン13中の原料油の温度は、温度制御手段の設定温度である。
図2の場合、供給ライン13中の原料油の温度は、分岐点B1及び分岐点B2の間に配置された熱交換器HEにより制御される。
供給ライン13の数は限定されず、1つであっても2つ以上であってもよい。
【0073】
<第2貯留工程ST20>
第1実施形態と同様に、ラインミキサー30から排出された分解処理用混合物は、第2貯留タンク40に貯留される。
【0074】
<分解処理用混合物供給工程ST6>
ラインミキサー30から排出された分解処理用混合物は、第2貯留タンク40に貯留された後、遠心ポンプ41にて、第2輸送ライン14を介して、第1輸送ライン10との合流点C1まで輸送される。合流点C1において、分解処理用混合物は、第1輸送ライン10(第3供給ラインの一例)からRFCC装置50へ輸送されている原料油と合流(混合)されRFCC装置50に供給される。
【0075】
<効果>
第2実施形態の処理方法では、混練機20内で、溶融廃プラスチックに、供給ライン11より輸送された原料油が供給されて(1回目の混合)、溶融廃プラスチック混合油Aが調製される(溶融廃プラスチック調製工程ST2及び溶融廃プラスチック混合油調製工程ST3)。次いで、溶融廃プラスチック混合油Aは、ラインミキサー30にて、さらに供給ライン13より供給された原料油と混合され(2回目の混合)、分解処理用混合物が調製される(分解処理用混合物調製工程ST5)。
また、第1貯留タンク60内においても、溶融廃プラスチック混合油Aは混合される。
このように第2実施形態の処理方法では、溶融廃プラスチックと原料油とが処理システム内で予め複数回混合され、さらにラインミキサー30にて混合されて分解処理用混合物が調製されるので、調製された分解処理用混合物は、原料油中に溶融廃プラスチックが均一に近い状態で溶解した混合物となり、かつ動粘度(160℃)が所定の範囲に調整されている。
よって、第2実施形態の処理方法によれば、溶融廃プラスチックと原料油との混合性が向上し、かつ動粘度(160℃)が所定の範囲に調整された分解処理用混合物がRFCC装置50に供給されるので、廃プラスチックの分解性を向上できる。また、原料油の分解性も向上できる。
特に、第2実施形態の処理方法によれば、第1貯留タンク60に貯留された溶融廃プラスチック混合油Aがギアポンプ61にて、溶融廃プラスチック混合油供給ライン15からラインミキサー30へ供給される。そのため、分解処理用混合物調製工程ST5では、ラインミキサー内における分解処理用混合物の粘度の変動幅を小さくでき、動粘度が調整された分解処理用混合物が得られ易くなる。その結果、分解処理用混合物をRFCC装置50へ安定してスムーズに輸送でき、廃プラスチックを効率よく分解できると考えられる。
【0076】
〔第3実施形態〕
第3実施形態について、第1実施形態及び第2実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項の説明については同一の符号を付す等により、その説明を省略または簡略化する
第3実施形態は、
図3に示す廃プラスチック処理システムを用いて処理方法を実施する例である。まず、
図3に示す処理システム300について説明し、次いで、第3実施形態の処理方法について説明する。
【0077】
<全体構成>
図3は、第3実施形態の処理方法で用いられる処理システムの一例の概略図である。
図3に示す処理システム300は、第2実施形態で説明した処理システム200に対し、第1供給ラインとして、さらに溶融廃プラスチック混合油供給ライン15(混練機20及びラインミキサー30を連結する配管)へ原料油を供給する供給ライン12(第1供給ラインの一例、供給ライン1Bの一例)を備える点、及びガス抜きライン43,44を備える点が処理システム200と異なる。その他の点は第2実施形態と同様である。
【0078】
<供給ライン12>
図3に示す供給ライン12は、第1輸送ライン10の分岐点B1から分岐され、さらに分岐点B2及びB3で分岐されて、溶融廃プラスチック混合油供給ライン15との合流点C3へ原料油を供給する。
供給ライン12の途中には、第1実施形態と同様の構成の第2原料油供給制御手段121が設けられている。
【0079】
〔第3実施形態の処理方法〕
第3実施形態の処理方法は、第2実施形態に対し、主に、溶融廃プラスチック混合油調製工程ST3が異なる。第3実施形態の処理方法について、第2実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0080】
<溶融廃プラスチック混合油調製工程ST3>
図3の場合、混練機20で調製された溶融廃プラスチック混合油A(溶融廃プラスチックと原料油との混合物)は、混練機20から排出された後、溶融廃プラスチック混合油供給ライン15途中の合流点C3で、供給ライン12より輸送された原料油と(混合)され、溶融廃プラスチックAと原料油との混合物(以下、「溶融廃プラスチック混合油B」とも称する)が調製される。
供給ライン12中の原料油の温度は、第1実施形態で説明した供給ライン12中の原料油の温度と同様の範囲であることが好ましい。供給ライン11及び供給ライン13中の原料油の温度は、第2実施形態と同様の範囲であることが好ましい。
溶融廃プラスチック混合油調製工程ST3において、溶融廃プラスチックの溶融量に対する、供給ライン11(供給ライン1Aの一例)から混練機20へ供給される原料油の供給量との比率(前記原料油の供給量/前記溶融廃プラスチックの溶融量)は、質量比で、少なくとも0.5以上であることが好ましい。
溶融廃プラスチック混合油調製工程ST3において、溶融廃プラスチックの溶融量に対する、供給ライン12(供給ライン1Bの一例)から溶融廃プラスチック混合油供給ライン15へ供給される原料油の供給量との比率(前記原料油の供給量/前記溶融廃プラスチックの溶融量)は、質量比で、少なくとも1以上であることが好ましい。
【0081】
<第1貯留工程ST10>
第3実施形態の処理方法は、第1貯留工程ST10として、前記溶融廃プラスチック混合油Bを第1貯留タンク60に貯留する工程を有する。
第3実施形態の第1貯留工程ST10では、ガス抜き工程が実施される。
第1貯留タンク60内で発生したガスは、第1ガス抜きライン44を介して第2ガス抜きライン43へ流通し、第2貯留タンク40内で発生したガスと共に第2ガス抜きライン43から外部に排出される。
ガス抜き手段は、ガス抜きラインに限定されない。第1貯留タンク60及び第2貯留タンク40のそれぞれからガス抜き手段を介してガスを外部に排出(ガス抜き)してもよい。
【0082】
<分解処理用混合物調製工程ST5>
図3の場合、ラインミキサー30に供給された溶融廃プラスチック混合油Bが、供給ライン13より供給された原料油と混合されて、分解処理用混合物が調製される。これ以外は、第2実施形態の分解処理用混合物調製工程ST5と同様の条件で分解処理用混合物が調製される。
調製された分解処理用混合物の160℃における動粘度は、1mm
2/s以上60mm
2/s以下である。
分解処理用混合物調製工程ST5は、廃プラスチックの供給量に対する、混練機20からラインミキサー30に至るまでに供給された原料油の合計供給量の比率(前記原料油の合計供給量/前記廃プラスチックの供給量)を、質量比で10以上200以下(好ましくは20以上200以下)に調整することにより、分解処理用混合物の動粘度を調整する工程であることが好ましい。
分解処理用混合物調製工程ST5は、溶融廃プラスチックの溶融量に対する、混練機20からラインミキサー30に至るまでに供給された原料油の合計供給量の比率(前記原料油の合計供給量/前記廃プラスチックの溶融量)を、質量比で10以上200以下(好ましくは20以上200以下)に調整することにより、分解処理用混合物の動粘度を調整する工程であることも好ましい。
図3の場合、「混練機20からラインミキサー30に至るまでに供給された原料油の合計供給量」とは、供給ライン11より混練機20に供給された原料油、供給ライン12より混練機20に供給された原料油、及び供給ライン13よりラインミキサー30に供給された原料油の合計供給量である。
【0083】
<第2貯留工程ST20>
第3実施形態の処理方法は、第2貯留工程ST20として、ラインミキサー30から排出された分解処理用混合物を第2貯留タンク40に貯留する工程を有する。
第3実施形態の第2貯留工程ST20では、ガス抜き工程が実施される。
【0084】
<分解処理用混合物供給工程ST6>
第2実施形態と同様に、分解処理用混合物は、第2貯留タンク40に貯留された後、RFCC装置50に供給される。
【0085】
<効果>
第3実施形態の処理方法では、第2実施形態に対し、さらに溶融廃プラスチック混合油供給ライン15の合流点C3において、溶融廃プラスチック混合油Aに、供給ライン12より輸送された原料油が供給されて、溶融廃プラスチック混合油Aと原料油との混合物(溶融廃プラスチック混合油B)が調製され(溶融廃プラスチック混合油調製工程ST3)、第1貯留タンク60に貯留される。
また、第1貯留タンク60内においても、溶融廃プラスチック混合油Bは混合される。
このように第3実施形態の処理方法では、溶融廃プラスチックと原料油とが処理システム内で予め複数回混合され、さらにラインミキサー30で混合されて分解処理用混合物が調製されるので、調製された分解処理用混合物は、原料油中に溶融廃プラスチックが均一に近い状態で溶解した混合物となり、かつ動粘度(160℃)が所定の範囲に調整されている。
よって、第3実施形態の処理方法によれば、第2実施形態と同様に、廃プラスチックの分解性を向上できる。また、原料油の分解性も向上できる。
特に、第3実施形態の処理方法では、第1貯留タンク60に、さらに供給ライン12より原料油を供給するため、第1貯留タンク内に貯留された混合物(前記溶融廃プラスチック混合油B)を、溶融廃プラスチック混合油供給ライン15からラインミキサー30へギアポンプ61にて輸送する際に、当該混合物の粘度およびその変動幅を小さくすることができ、ラインミキサー30へ安定してスムーズに輸送できる。その結果、動粘度が調整された分解処理用混合物が得られ易くなる。
【0086】
〔第4実施形態〕
第4実施形態について、第1実施形態~第3実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項の説明については同一の符号を付す等により、その説明を省略または簡略化する。
第4実施形態は、
図4に示す廃プラスチック処理システムを用いて処理方法を実施する例である。まず、
図4に示す処理システム300Aについて説明し、次いで、第4実施形態の処理方法について説明する。
【0087】
<全体構成>
図4は、第4実施形態の処理方法で用いられる処理システムの一例の概略図である。
図4に示す処理システム300Aは、第3実施形態で説明した処理システム300に対し、2機のラインミキサーを備える点が処理システム300と異なる。その他の点は第3実施形態と同様である。
【0088】
<ラインミキサー30,30B>
第4実施形態の処理システム300Aは、2機のラインミキサー30,30Bを備える。2機のラインミキサー30,30Bは並列に配置されている。
【0089】
<溶融廃プラスチック混合油供給ライン15>
第4実施形態の溶融廃プラスチック混合油供給ライン15は、混練機20、第1貯留タンク60、ラインミキサー30及びラインミキサー30Bを連結する。
図4の場合、溶融廃プラスチック混合油供給ライン15は、第1貯留タンク60の下流側の分岐点B5で第1混合油分岐ライン151及び第2混合油分岐ライン152に分岐される。第1混合油分岐ライン151はラインミキサー30に連結される。第2混合油分岐ライン152はラインミキサー30Bに連結される。
【0090】
<供給ライン13>
第4実施形態の供給ライン13は、第1輸送ライン10及びラインミキサー30、並びに第1輸送ライン10及びラインミキサー30Bをそれぞれ連結する。
図4の場合、供給ライン13は、第1輸送ライン10の分岐点B1から分岐点B2及びB3を経た後、分岐点B4で第1分岐ライン13A及び第2分岐ライン13Bに分岐される。第1分岐ライン13Aはラインミキサー30に連結される。第2分岐ライン13Bはラインミキサー30Bに連結される。
第1分岐ライン13Aの途中には、第2実施形態と同様の第3原料油供給制御手段131が設けられている。
第2分岐ライン13Bの途中には、ラインミキサー30Bへの原料油の供給量を制御するための第4原料油供給制御手段も設けられているが、第4原料油供給制御手段は図示を省略している。第4原料油供給制御手段は、第3原料油供給制御手段131と同じ構成及び稼働条件であってもよいし、互いに異なる構成及び稼働条件であってもよい。
【0091】
〔第4実施形態の処理方法〕
第4実施形態の処理方法は、第3実施形態に対し、主に、分解処理用混合物調製工程ST5が異なる。第4実施形態の処理方法について、第3実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0092】
<溶融廃プラスチック混合油供給工程ST4>
前記溶融廃プラスチック混合油Bは、第1貯留タンク60に貯留された後、ギアポンプ61にて溶融廃プラスチック混合油供給ライン15を輸送し、一部は分岐点B5から第1混合油分岐ライン151を介してラインミキサー30へ供給され、残りは分岐点B5から第2混合油分岐ライン152を介してラインミキサー30Bへ供給される。
【0093】
<分解処理用混合物調製工程ST5>
第4実施形態の分解処理用混合物調製工程ST5は、並列に配置した2機のラインミキサー30,30Bを用いて分解処理用混合物をそれぞれ調製する。
ラインミキサー30では、溶融廃プラスチック混合油Bと、第1分岐ライン13Aより供給された原料油とが混合されて分解処理用混合物(以下、「分解処理用混合物X1」とも称する)が調製される。ラインミキサー30Bでは、溶融廃プラスチック混合油Bと、第2分岐ライン13Bより供給された原料油とが混合されて分解処理用混合物(以下、「分解処理用混合物Y1」とも称する)が調製される。
分解処理用混合物X1及び分解処理用混合物Y1の160℃における動粘度は、それぞれ1mm2/s以上60mm2/s以下に調整されている。
【0094】
<分解処理用混合物供給工程ST6>
図4の場合、分解処理用混合物X1及び分解処理用混合物Y1は、第2輸送ライン14の合流点C4で合流した後、第2貯留タンク40に貯留され、その後は、第3実施形態と同様の方法でRFCC装置50へ供給される。
【0095】
<効果>
第4実施形態の処理方法では、第3実施形態に対し、2機のラインミキサー30,30Bを並列に配置し、それぞれのラインミキサーで分解処理用混合物を調製するため、溶融廃プラスチックと原料油の混合状態をさらに高めるとともに、溶融廃プラスチックの処理量を増加することができ、分解対象となる分解処理用混合物をより多く調製できる。
よって、第4実施形態の処理方法によれば、廃プラスチックの分解性をより向上でき、原料油の分解性を向上でき、さらに廃プラスチックの分解量を増加できる。
【0096】
〔第5実施形態〕
第5実施形態について、第1実施形態~第4実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項の説明については同一の符号を付す等により、その説明を省略または簡略化する。
第5実施形態は、
図5に示す廃プラスチック処理システムを用いて処理方法を実施する例である。まず、
図5に示す処理システム400について説明し、次いで、第5実施形態の処理方法について説明する。
【0097】
<全体構成>
図5は、第5実施形態の処理方法で用いられる処理システムの一例の概略図である。
図5に示す処理システム400は、第4実施形態で説明した処理システム300Aに対し、2機の混練機を備える点、3機のラインミキサーを備える点、及び供給ライン12を備えない点が処理システム300Aと異なる。その他の点は第4実施形態と同様である。
【0098】
<混練機20,20A>
第5実施形態の処理システム400は、2機の混練機20,20Aを備える。2機の混練機20,20Aは並列に配置されている。
【0099】
<ラインミキサー30,30A,30B>
第5実施形態の処理システム400は、3機のラインミキサーを備える。2機のラインミキサー30,30Aは直列に配置され、残りの1機のラインミキサー30Bは2機のラインミキサー30,30Aに対し並列に配置されている。
【0100】
<溶融廃プラスチック混合油供給ライン15>
第5実施形態の溶融廃プラスチック混合油供給ライン15は、混練機20、混練機20A、第1貯留タンク60、ラインミキサー30及びラインミキサー30Bを連結する。
【0101】
〔第5実施形態の処理方法〕
第5実施形態の処理方法は、第4実施形態に対し、主に、溶融廃プラスチック調製工程ST2、溶融廃プラスチック混合油調製工程ST3及び分解処理用混合物調製工程ST5が異なる。
第5実施形態の処理方法について、第4実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0102】
<廃プラスチック供給工程ST1>
第5実施形態の廃プラスチック供給工程ST1は、第1実施形態と同様の方法で、2機の混練機20,20Aに廃プラスチックをそれぞれ供給する。
図5では、混練機20Aに接続されるフィーダー、ホッパー及び廃プラスチック供給制御手段の図示を省略している。当該フィーダー、ホッパー及び廃プラスチック供給制御手段の構成は特に限定されない。
【0103】
<溶融廃プラスチック調製工程ST2>
第5実施形態の溶融廃プラスチック調製工程ST2は、2機の混練機20,20Aを用いて実施する。
混練機20Aは、混練機20と同様の構成及び稼働条件であってもよいし、互いに異なる構成及び稼働条件であってもよい。
【0104】
<溶融廃プラスチック混合油供給工程ST4>
混練機20では、廃プラスチックの溶融で得られた溶融廃プラスチックと、供給ライン11より混練機20の出口側に供給された原料油とが混合されて、溶融廃プラスチック混合油A(溶融廃プラスチックと原料油との混合物)が調製される。
混練機20Aは、図示は省略するが、混練機20と同様に、廃プラスチックの溶融で得られた溶融廃プラスチックと、供給ライン11とは異なる供給ライン(例えば、追加原料油供給ライン等)より混練機20Aの出口側に供給された原料油とが混合されて、溶融廃プラスチック混合油A’(溶融廃プラスチックと原料油との混合物)が調製される。
混練機20A内への原料油の供給量は、任意の原料油供給制御手段により制御されることが好ましい。溶融廃プラスチックの溶融量に対する、混練機20Aへ供給される原料油の供給量との比率(前記原料油の供給量/前記溶融廃プラスチックの溶融量)は、質量比で、少なくとも0.5以上であることが好ましい。
溶融廃プラスチック混合油A及び溶融廃プラスチック混合油A’は、合流点C5で合流(混合)されて、第1貯留タンク60に貯留される。
第1貯留タンク60に貯留された溶融廃プラスチック混合油(溶融廃プラスチック混合油A及び溶融廃プラスチック混合油A’の混合物)は、ギアポンプ61にて溶融廃プラスチック混合油供給ライン15を輸送し、一部は分岐点B5から第1混合油分岐ライン151を介してラインミキサー30へ供給され、残りは分岐点B5から第2混合油分岐ライン152を介してラインミキサー30Bへ供給される。
【0105】
<分解処理用混合物調製工程ST5>
第5実施形態の分解処理用混合物調製工程ST5は、3機のラインミキサーを用いて実施する。ラインミキサー30では、第1混合油分岐ライン151より供給された溶融廃プラスチック混合油と、第1分岐ライン13Aより供給された原料油とが混合され分解処理用混合物が調製される。その後、分解処理用混合物は、ラインミキサー30の出口に連結された第2輸送ライン14を輸送し、ラインミキサー30Aに供給される。ラインミキサー30Aでは、分解処理用混合物がさらに混合され、分解処理用混合物(以下、「分解処理用混合物X2」とも称する)が調製される。
一方、ラインミキサー30Bでは、第2混合油分岐ライン152より供給された溶融廃プラスチック混合油と、第2分岐ライン13Bより供給された原料油とが混合されて分解処理用混合物(以下、「分解処理用混合物Y2」とも称する)が調製される。
分解処理用混合物X2及び分解処理用混合物Y2の160℃における動粘度は、それぞれ1mm2/s以上60mm2/s以下に調整されている。
ラインミキサー30A,30Bは、ラインミキサー30と同じ構成及び稼働条件であってもよいし、互いに異なる構成及び稼働条件であってもよい。
【0106】
<分解処理用混合物供給工程ST6>
図5の場合、分解処理用混合物X2及び分解処理用混合物Y2は、第2輸送ライン14の合流点C4で合流した後、第2貯留タンク40に貯留され、その後は、第4実施形態と同様の方法でRFCC装置50へ供給される。
【0107】
<効果>
第5実施形態の処理方法では、第4実施形態に対し、2機の混練機20,20Aを並列に配置し、それぞれの混練機で溶融廃プラスチック混合油A及び溶融廃プラスチック混合油A’を調製するため、分解対象となる溶融廃プラスチック混合油をより多く調製できる。さらに、それぞれの混練機において対象となる廃プラの種類、組成、形状、及び状態に応じて、同一もしくは別々の運転条件に設定することができるため、溶融廃プラスチック混合油A及び溶融廃プラスチック混合油A’の混合性が向上する。
また、第5実施形態の処理方法では、ラインミキサー30で調製された分解処理用混合物を、さらにラインミキサー30Aで連続して混合するため、より混合性が向上した「分解処理用混合物X2」が調製される。
よって、第5実施形態の処理方法によれば、廃プラスチックの分解性をより向上でき、原料油の分解性を向上でき、さらに廃プラスチックの分解量を増加できる。
【0108】
〔第5実施形態A〕
第5実施形態Aの処理システムは、第5実施形態で説明した処理システム400(
図5)に対し、ラインミキサー30Bの下流側に、直列してさらにラインミキサー30Cを備える点が処理システム400と異なる。その他の点は第5実施形態と同様である。
すなわち、第5実施形態Aの処理システムは、4機のラインミキサーを備える。2機のラインミキサー30,30Aは直列に配置され、残りの2機のラインミキサー30B,30Cは、前記2機のラインミキサー30,30Aに対し並列に配置されている。
第5実施形態Aの処理システムについては、図示を省略する。以下の説明は、
図5の符号を援用して説明する。
【0109】
〔第5実施形態Aの処理方法〕
第5実施形態Aの処理方法は、第5実施形態に対し、分解処理用混合物調製工程ST5が異なる。第5実施形態Aの処理方法について、第5実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0110】
<分解処理用混合物調製工程ST5>
第5実施形態Aの分解処理用混合物調製工程ST5は、4機のラインミキサーを用いて実施する。
ラインミキサー30Bでは、分解処理用混合物Y2が調製される。分解処理用混合物Y2は、ラインミキサー30Bの出口に連結された第2輸送ライン14を輸送し、ラインミキサー30Cに供給される。ラインミキサー30Cでは、分解処理用混合物Y2がさらに混合され、分解処理用混合物(以下、「分解処理用混合物Y2’」とも称する)が調製される。
分解処理用混合物Y2’の160℃における動粘度は、1mm2/s以上60mm2/s以下に調整されている。
ラインミキサー30Cは、ラインミキサー30,30A,30Bと同じ構成及び稼働条件であってもよいし、互いに異なる構成及び稼働条件であってもよい。
【0111】
<分解処理用混合物供給工程ST6>
分解処理用混合物X2及び分解処理用混合物Y2’は、第2輸送ライン14の合流点C4で合流した後、第2貯留タンク40に貯留され、その後は、第5実施形態と同様の方法でRFCC装置50へ供給される。
【0112】
<効果>
第5実施形態Aの処理方法では、より混合性が向上した分解処理用混合物X2及び分解処理用混合物Y2’が調製される。
よって、第5実施形態Aの処理方法によれば、廃プラスチックの分解性をさらに向上でき、原料油の分解性を向上でき、さらに廃プラスチックの分解量を増加できる。
【0113】
〔第6実施形態〕
第6実施形態について、第1実施形態~第5実施形態及び第5実施形態Aとの相違点を中心に説明し、同様の事項の説明については同一の符号を付す等により、その説明を省略または簡略化する。
第6実施形態は、
図6に示す廃プラスチック処理システムを用いて処理方法を実施する例である。まず、
図6に示す処理システム500について説明し、次いで、第6実施形態の処理方法について説明する。
【0114】
<全体構成>
図6は、第6実施形態の処理方法で用いられる処理システムの一例の概略図である。
図6に示す処理システム500は、第1実施形態で説明した処理システム100に対し、他の追加原料油(以下、「追加原料油」とも称する)を供給する追加原料油供給ライン70を備える点が処理システム100と異なる。その他の点は第1実施形態と同様である。
【0115】
<追加原料油供給ライン70>
図6に示す追加原料油供給ライン70は、混練機20の出口側へ追加原料油を供給する。追加原料油供給ライン70の途中には、追加原料油の供給量を制御するための追加原料供給制御手段171が設けられている。追加原料供給制御手段171は、追加原料供給手段としての第4調節弁172と、第4制御器173とを有する。
追加原料供給制御手段171は、第4制御器173から第4調節弁172に制御信号を送信し、第4調節弁172の動作を制御することで、追加原料油の供給量を制御する。
追加原料油供給ライン70中の追加原料油の温度は、溶融廃プラスチックの溶融状態を維持したまま、溶融廃プラスチックと追加原料油とを良好に混合させる観点から、好ましくは80℃以上240℃以下、より好ましくは160℃以上230℃以下である。
追加原料油供給ライン70中の追加原料油の温度は、例えば、追加原料油供給ライン70の任意の箇所に設置した温度制御手段(例えば、熱交換器及びヒーター等)で制御できる。なお、追加原料油供給ライン70中の追加原料油の温度は、温度制御手段の設定温度である。
追加原料油供給ライン70は、追加原料油を貯留する貯留タンクに接続されてもよい。また、追加原料油供給ライン70は、例えば、第1輸送ライン10に接続された供給ライン12を追加原料油供給ライン70として用い、追加原料油を第1輸送ライン10から混練機20内に供給できるようにしてもよい。
追加原料油供給ライン70の数は限定されず、1つであっても2つ以上であってもよい。
【0116】
〔第6実施形態の処理方法〕
第6実施形態の処理方法は、第1実施形態に対し、追加原料油を供給する追加原料供給工程(以下、「追加原料供給工程ST7」とも称する)をさらに有する点で第1実施形態と異なる。その他の点は第1実施形態と同様である。
第6実施形態の処理方法について、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
追加原料供給工程ST7は、前記原料油(重質分解軽油、分解残渣油、常圧残渣油、脱硫残渣油、脱硫減圧軽油、未脱硫減圧軽油、未脱硫減圧残渣油、及び鉱油からなる群から選ばれる少なくとも1種)、軽質炭化水素油、ナフサ、軽油、及び前記原料油とは異なる重質炭化水素油からなる群から選ばれる少なくとも1種の他の追加原料油を供給する追加原料供給工程である。
【0117】
<溶融廃プラスチック調製工程ST2及び追加原料供給工程ST7>
第6実施形態では、溶融廃プラスチック調製工程ST2及び追加原料供給工程ST7が実質同時に実施される。
図6の場合、混練機20に供給された廃プラスチックが溶融され溶融廃プラスチックが調製されると共に、混練機20には、追加原料油供給ライン70より輸送された追加原料油が、混練機20の出口側に供給される。
混練機20内で、溶融廃プラスチックは、追加原料油と混合されて、溶融廃プラスチック追加混合油(溶融廃プラスチックと追加原料油との混合物)が調製される。
廃プラスチックの溶融温度は、第1実施形態と同様の範囲であることが好ましい。
【0118】
<溶融廃プラスチック混合油調製工程ST3>
溶融廃プラスチック混合油調製工程ST3は、追加原料供給工程ST7をさらに有し、溶融廃プラスチックに、さらに少なくとも1種の前記追加原料油を供給することにより、溶融廃プラスチック混合油を調製することが好ましい。
図6では、混練機20内で溶融廃プラスチックと追加原料油とが混合されて、溶融廃プラスチック追加混合油(溶融廃プラスチックと追加原料油との混合物)が調製される。
この溶融廃プラスチック追加混合油は、溶融廃プラスチック混合油供給ライン15を輸送し、合流点C2において、供給ライン12から輸送された原料油と合流(混合)され、溶融廃プラスチック混合油(溶融廃プラスチック追加混合油と原料油との混合物)が調製される。
溶融廃プラスチック混合油調製工程ST3で調製された溶融廃プラスチック混合油の200℃における溶融粘度は、好ましくは100mPa・s以上5000万mPa・s以下であり、より好ましくは1000mPa・s以上2500万mPa・s以下である。
【0119】
<分解処理用混合物調製工程ST5>
分解処理用混合物調製工程ST5は、廃プラスチックの溶融量に対する、混練機20からラインミキサー30に至るまでに供給された原料油、及び混練機20からラインミキサー30に至るまでに供給された追加原料油の合計供給量の比率(前記原料油及び前記追加原料油の合計供給量/前記廃プラスチックの溶融量)を、質量比で10以上200以下(好ましくは20以上200以下)に調整することにより、分解処理用混合物の動粘度を調整することが好ましい。
前記比率(前記原料油及び前記追加原料油の合計供給量/前記廃プラスチックの溶融量)が、質量比で10以上であると、分解処理用混合物の動粘度を、分解処理用混合物がRFCC装置50にスムーズに輸送できる動粘度(160℃)に調整できる。また、前記比率が、質量比で10以上であると、廃プラスチックが分解され易い動粘度(160℃)に調整できる。また、前記比率が、質量比で10以上であると、RFCC装置50に分解処理用混合物を供給した際、フィードノズルでの液滴の分散が良化し、分解率が向上する。
前記比率(前記原料油及び前記追加原料油の合計供給量/前記廃プラスチックの溶融量)が、質量比で200以下であると、分解処理用混合物の動粘度を、RFCC装置50へ供給し易い動粘度(160℃)に調整できる。また、前記比率が、質量比で200以下であると、より多くの廃プラスチックを分解処理できる。
分解処理用混合物調製工程ST5は、溶融廃プラスチックの供給量に対する、混練機20からラインミキサー30に至るまでに供給された原料油、及び混練機20からラインミキサー30に至るまでに供給された追加原料油の合計供給量の比率(前記原料油及び前記追加原料油の合計供給量/前記廃プラスチックの供給量)を、質量比で10以上200以下(好ましくは20以上200以下)に調整することにより、分解処理用混合物の動粘度を調整する工程であることも好ましい。
「混練機20からラインミキサー30に至るまでに供給された原料油、及び混練機20からラインミキサー30に至るまでに供給された前記追加原料油の合計供給量」とは、
図6の場合、供給ライン12より溶融廃プラスチック混合油供給ライン15に供給された原料油、及び混練機20内に供給された追加原料油の合計供給量である。
【0120】
<効果>
第6実施形態の処理方法は、第1実施形態に対し、混練機20内で、溶融廃プラスチックと、追加原料油供給ライン70より輸送された追加原料油とが混合されて溶融廃プラスチック追加混合油が調製される(1回目の混合)。次いで、合流点C2で、溶融廃プラスチック追加混合油に、供給ライン12より輸送された原料油が供給されて(2回目の混合)、溶融廃プラスチック混合油(溶融廃プラスチック追加混合油と原料油との混合物)が調製される(溶融廃プラスチック混合油調製工程ST3)。次いで、溶融廃プラスチック混合油はラインミキサー30に供給され(溶融廃プラスチック混合油供給工程ST4)、ラインミキサー30にて、さらに混合されて(3回目の混合)、分解処理用混合物が調製される(分解処理用混合物調製工程ST5)。
また、第2貯留タンク40内においても、分解処理用混合物は混合される。
このように第6実施形態の処理方法によれば、溶融廃プラスチックと追加原料油と原料油とが処理システム内で予め混合され、さらにラインミキサー30で混合されて分解処理用混合物が調製されるので、調製された分解処理用混合物は、原料油(追加原料油を含む)中に溶融廃プラスチックが均一に近い状態で溶解した混合物となり、かつ動粘度(160℃)が所定の範囲に調整されている。
よって、第6実施形態の処理方法によれば、溶融廃プラスチックと原料油との混合性が向上し、かつ動粘度(160℃)が所定の範囲に調整された分解処理用混合物がRFCC装置50に供給されるので、廃プラスチックの分解性を向上できる。また、原料油(追加原料油を含む)の分解性も向上できる。
特に、第6実施形態の処理方法では、追加原料油の種類を適宜選択することで、混練機20内で調製される溶融廃プラスチック追加混合油の混合性をより向上できるため、ラインミキサー30で得られる分解処理用混合物の粘度の変動幅を小さくできる。その結果、ラインミキサー30での分解処理用混合物の調製がより容易になり、分解処理用混合物を、RFCC装置50まで輸送し易くなり、廃プラスチックを効率よく分解できると考えられる。
【0121】
次に、第1実施形態から第6実施形態に共通する構成について説明する。以下、符号の記載を省略することがある。
【0122】
<廃プラスチック>
廃プラスチックとしては、例えば、非塩素化プラスチック、塩素化プラスチック、及びこれらの混合物等が挙げられる。
非塩素化プラスチックとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレンエチレンコポリマー、ポリスチレン、ポリブテン、エチレンオリゴマー、ブテンオリゴマー、スチレンオリゴマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ナイロン、エポキシ樹脂、及びフェノール樹脂等が挙げられる。
ポリエチレンとしては、例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、及び直鎖低密度ポリエチレン等が挙げられる。
塩素化プラスチックとしては、例えば、ポリ塩化ビニル、及びポリ塩化ビニリデン等が挙げられる。
【0123】
廃プラスチックは、ビニル系重合体(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレンエチレンコポリマー、ポリスチレン、ポリブテン、エチレンオリゴマー、ブテンオリゴマー、及びスチレンオリゴマー等)に由来する廃プラスチックの少なくともいずれかを含むことが好ましい。
廃プラスチックは、ポリエチレンに由来する廃プラスチック及びポリプロピレンに由来する廃プラスチックの少なくともいずれかを含むことがより好ましい。
【0124】
なお、廃プラスチックは、ポリスチレンに由来する廃プラスチック、及びエチレン酢酸ビニルに由来する廃プラスチックを含まないことが好ましい。
【0125】
<原料油>
原料油としては、特に限定されないが、重質分解軽油(HCO)、分解残渣油(CLO)、常圧残渣油(RC)、脱硫残渣油(DSRC)、脱硫減圧軽油(VHHGO)、未脱硫減圧軽油(VGO)、未脱硫減圧残渣油(VC)、及び鉱油(例えばHG500(500ニュートラル留分の鉱油)等)からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、脱硫減圧軽油(VHHGO)、重質分解軽油(HCO)、脱硫残渣油(DSRC)及び鉱油からなる群から選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。
また、前記原料油を輸送する第1輸送ライン10は、FCC装置またはRFCC装置で回収された重質分解軽油(HCO)及び分解残渣油(CLO)の少なくともいずれかを直接供給できるように、例えば、HCO貯留タンクまたはCLO貯留タンクに接続されていてもよい。
また、第1輸送ライン10は、例えば、重油直接脱硫装置で生成された脱硫残渣油(DSRC)を直接供給できるように、例えば、DSRC貯留タンクに接続されていてもよい。
【0126】
<分解処理装置>
分解処理装置としては、例えば、接触分解装置(FCC装置)、残油流動接触分解装置(RFCC装置)(FCC装置の一態様)及び水素化分解装置等が挙げられる。
分解処理装置は、廃プラスチックの分解性を向上させる観点から、接触分解装置(FCC装置)または残油接触分解装置(RFCC装置)であることが好ましい。
【0127】
〔他の実施形態〕
第1実施形態~第6実施形態において、分解処理用混合物供給工程ST6は、分解処理用混合物を、第1供給ライン及び第2供給ラインとは異なる第3供給ライン(
図1~6の場合、第1輸送ライン10)から輸送された原料油と共に、RFCC装置(分解処理装置の一例)に供給する態様について説明したがこれに限定されない。例えば、前記実施形態のいずれかにおいて、ラインミキサーで調製された分解処理用混合物を第2輸送ラインから直接RFCC装置に供給してもよい。
【0128】
第6実施形態では、溶融廃プラスチック混合油調製工程ST3が、追加原料供給工程ST7をさらに有する態様について説明したがこれに限定されない。
例えば、前記実施形態のいずれかにおいて、分解処理用混合物調製工程ST5は、追加原料供給工程ST7をさらに有していてもよい。例えば、分解処理用混合物調製工程ST5は、溶融廃プラスチック混合油を、さらに追加原料油と混合することにより、分解処理用混合物を調製する工程であってもよい。この態様の場合、追加原料油は、ラインミキサーに供給されることが好ましい。
また、分解処理用混合物供給工程ST6は、追加原料供給工程ST7をさらに有していてもよい。例えば、分解処理用混合物供給工程ST6は、分解処理用混合物に、さらに追加原料油を混合して分解処理用混合物と追加原料油との混合物を調製し、当該混合物を分解処理装置に供給する工程であってもよい。この態様の場合、追加原料油は、
図1~6の場合、第2輸送ライン14又は第1輸送ライン10に供給されることが好ましい。
【0129】
第5実施形態では、3機のラインミキサー30,30A,30Bを用いて、分解処理用混合物調製工程ST5を実施し、第5実施形態Aでは、4機のラインミキサー30,30A,30B,30Cを用いて、分解処理用混合物調製工程ST5を実施する態様について説明したが、ラインミキサーの数及び配置はこれらに限定されない。
例えば、前記実施形態のいずれかにおいて、複数のラインミキサーを直列、並列、又は直列及び並列を組み合わせて配置し、分解処理用混合物調製工程ST5を実施してもよい。複数のラインミキサーは、互いに同一であっても異なっていてもよい。
第5実施形態及び第5実施形態Aでは、2機の混練機を並列に配置し、各々の混練機で溶融廃プラスチック調製工程ST2を実施する態様について説明したがこれに限定されない。例えば、前記実施形態のいずれかにおいて、混錬機を3機以上用いて溶融廃プラスチック調製工程ST2を実施してもよい。複数の混練機は、互いに同一であっても異なっていてもよい。混練機の数も限定されない。
【0130】
第6実施形態では、追加原料油供給ライン70が、混練機20に連結される態様について説明したがこれに限定されない。例えば、前記実施形態のいずれかにおいて、追加原料油供給ラインは、混練機、ラインミキサー、第1供給ライン、第2供給ライン、混合油供給ライン、第1輸送ライン及び第2輸送ラインの少なくともいずれかに連結されていればよい。追加原料油供給ラインの数も限定されない。
【0131】
前記実施形態のいずれかの処理システムは、混練機20,20Aに代えて、公知の溶融装置を用いてもよい。
前記実施形態のいずれかの処理システムは、ラインミキサー30,30A,30B,30Cに代えて、公知の混合装置を用いてもよい。
前記実施形態のいずれかの処理システムは、RFCC装置50に代えて、例えば、石油精製の分野で用いられている公知の分解処理装置を用いてもよい。
【実施例】
【0132】
以下、本発明に係る実施例を説明する。本発明はこれらの実施例によって何ら限定されない。
【0133】
〔分解処理用混合物の調製1〕
〔実施例1〕
廃プラスチックとして、圧密化された円柱状のポリプロピレン(径8mm×長さ10~15mm)を用いて、以下の条件で溶融ポリプロピレン(以下、「溶融PP」とも称する)を調製した。
(条件)
・混練機 :芝浦機械社製:二軸混練押出機(品番TEM-37SS)
・溶融温度 :200℃
・溶融量 :30kg/hr
【0134】
次に、溶融PPに対する脱硫残渣油(DSRC)の比率(DSRC/溶融PP)が、質量比で1になるように、溶融PP(10kg)に、原料油としてのDSRCを加え、溶融PPとDSRCとの混合物(20kg)(以下、「溶融PP混合油1」とも称する)を調製した。
溶融PP混合油1の溶融粘度を既述の方法で測定した。溶融PP混合油1の200℃における溶融粘度は、100万mPa・sであった。
【0135】
次に、溶融PPに対する脱硫残渣油(DSRC)の比率(DSRC/溶融PP)が、質量比で50になるように、溶融PP混合油1(6g)に、さらにDSRC(147g)を加えた。その後、バッチ式ミキサーを用いて、以下の条件で溶融PP混合油1とDSRCとの混合物を混合し、分解処理用混合物を調製した。
分解処理用混合物の動粘度を既述の方法で測定した。分解処理用混合物の160℃における動粘度は、10mm2/sであった。
(条件)
・バッチ式ミキサー :プライミクス社製:ホモミクサーMKII ホモミクサー翼
・回転数 :900rpm
・温度 :220℃
・時間 :30秒
【0136】
次に、実施例1の分解処理用混合物をFCC装置に相当する小型反応評価装置(MAT装置)を用い、以下の条件で分解した。
(条件)
・小型反応評価装置:Kayser社製:ACE R+
・反応温度 :530℃
・圧力 :0.05MPaG
・時間 :90秒(オイル通油時間)
・触媒/分解処理用混合物(質量比):6
・触媒 :9g
・触媒種 :FCC平衡触媒
(実装置から抜き出したFCC平衡触媒)
【0137】
〔実施例2〕
実施例1に対し、「触媒/分解処理用混合物(質量比)」を5に変更したこと以外、実施例1と同様の方法で、分解処理用混合物を調製し分解した。
【0138】
〔実施例3〕
実施例1に対し、「触媒/分解処理用混合物(質量比)」を3.98に変更したこと以外、実施例1と同様の方法で、分解処理用混合物を調製し分解した。
【0139】
〔比較例1〕
実施例1と同様の方法で、小型反応評価装置にてDSRC(溶融PPを含まない)を分解した。
【0140】
〔比較例2〕
比較例1に対し、「触媒/DSRC(質量比)」を5に変更したこと以外、比較例1と同様の方法で、DSRCを分解した。
【0141】
〔比較例3〕
比較例1に対し、「触媒/DSRC(質量比)」を3.98に変更したこと以外、比較例1と同様の方法で、DSRCを分解した。
【0142】
<分解性評価1>
実施例1~3の分解処理用混合物、及び比較例1~3のDSRCの分解性をマイクロアクティビィティテスト(MAT)にて評価した結果を表1に示す。
表1中の値は、分解して得られた生成油中の、DSRCの質量に対する各成分の質量の百分率を表す。
転化率(質量%)は、下記式(1)より算出した。
転化率(質量%)=100-(LCO+CLO) …(1)
【0143】
【0144】
・表1中の説明
Dry Gasは、メタン、エタン及びエチレンを表す。
FGは、ガソリンを表す。
LCOは、分解軽油(軽質分解軽油+重質分解軽油)を表す。
CLOは、分解残渣油を表す。
COKEは、コークを表す。
後述する表2も同様である。
【0145】
実施例1と比較例1とを対比した結果、溶融PPを含む分解処理用混合物を分解した実施例1は、DSRCのみを分解した比較例1に比べ、転化率、FG収率、及び液化石油ガス類(プロパン、プロピレン、n-ブタン、イソブタン及びブチレン)の収率が向上した。特に、プロピレン収率、イソブタン収率及びブチレン収率が向上した。
実施例2と比較例2との対比の結果、及び実施例3と比較例3との対比の結果も同様であった。
本実施例によれば、分解処理用混合物中の廃プラスチックを、原料油と共に有用な液化石油ガス類へ転化でき、かつ廃プラスチックの分解性を向上できることが確認された。
【0146】
〔分解処理用混合物の調製2〕
〔実施例4〕
実施例1と同様の廃プラスチックを用いて、実施例1と同様の条件で溶融PPを調製した。ただし、実施例4では、溶融PP(10kg)に対する鉱油(HG500)の比率(HG500/溶融PP)が、質量比で1になるように、混練機の出口側に、原料油としてのHG500を供給しながら廃プラスチックを溶融させた。この操作により、溶融PPとHG500との混合物(20kg)(以下、「溶融PP混合油2」とも称する)を得た。
溶融PP混合油2の溶融粘度を既述の方法で測定した。溶融PP混合油2の200℃における溶融粘度は、100万mPa・sであった。
【0147】
次に、溶融PPに対するHG500の比率(HG500/溶融PP)が、質量比で25になるように、溶融PP混合油2(8g)に、さらにHG500(96g)を加えた。その後、以下の条件で溶融PP混合油2とHG500との混合物を混合し、分解処理用混合物を調製した。
分解処理用混合物の動粘度を既述の方法で測定した。分解処理用混合物の160℃における動粘度は、21mm2/sであった。
【0148】
次に、実施例4の分解処理用混合物をFCC装置に相当する小型反応評価装置(MAT装置)を用い、実施例1と同様の方法で分解した。
【0149】
〔実施例5〕
実施例4に対し、「触媒/分解処理用混合物(質量比)」を5に変更したこと以外、実施例4と同様の方法で、分解処理用混合物を調製し分解した。
【0150】
〔比較例4〕
実施例4と同様の方法で、小型反応評価装置にてHG500(溶融PPを含まない)を分解した。
【0151】
〔比較例5〕
比較例4に対し、「触媒/HG500(質量比)」を5に変更したこと以外、比較例4と同様の方法で、HG500を分解した。
【0152】
<分解性評価2>
実施例4~5の分解処理用混合物、及び比較例4~5のHG500の分解性をマイクロアクティビィティテスト(MAT)にて評価した結果を表2に示す。
表2中の値は、分解して得られた生成油中の、HG500の質量に対する各成分の質量の百分率を表す。
転化率(質量%)は、前記式(1)より算出した。
【0153】
【0154】
実施例4と比較例4とを対比した結果、溶融PPを含む分解処理用混合物を分解した実施例4は、HG500のみを分解した比較例4に比べ、転化率、FG収率、及び液化石油ガス類(プロパン、プロピレン、n-ブタン、イソブタン及びブチレン)の収率が向上した。特に、プロピレン収率、イソブタン収率及びブチレン収率が向上した。
実施例5と比較例5との対比の結果も同様であった。
本実施例によれば、分解処理用混合物中の廃プラスチックを、原料油と共に有用な液化石油ガス類へ転化でき、かつ廃プラスチックの分解性を向上できることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0155】
本発明の廃プラスチック処理方法は、廃プラスチックの有効利用率を上昇できるため、産業上利用可能である。
【符号の説明】
【0156】
10…第1輸送ライン(第3供給ライン)、11,12…供給ライン(第1供給ライン)、13…供給ライン(第2供給ライン)、13A…第1分岐ライン、13B…第2分岐ライン、14…第2輸送ライン、15…溶融廃プラスチック混合油供給ライン、20,20A…混練機、21…フィーダー、22…ホッパー、23…廃プラスチック供給ライン、24…フィーダー制御器、25…廃プラスチック供給制御手段、30,30A,30B…ラインミキサー、40…第2貯留タンク、41…遠心ポンプ、43,44…ガス抜きライン、50…RFCC装置、60…第1貯留タンク、61…ギアポンプ、70…追加原料油供給ライン、100,200,300,300A,400,500…処理システム、111…第1原料油供給制御手段、112…第1調節弁、113…第1制御器、121…第2原料油供給制御手段、122…第2調節弁、123…第2制御器、131…第3原料油供給制御手段、132…第3調節弁、133…第3制御器、151…第1混合油分岐ライン、152…第2混合油分岐ライン、171…追加原料供給制御手段、172…第4調節弁、173…第4制御器、HG…熱交換器。