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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-06
(45)【発行日】2024-06-14
(54)【発明の名称】検査方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20240607BHJP
   H01J 37/22 20060101ALI20240607BHJP
   H01J 37/28 20060101ALI20240607BHJP
   G01R 31/28 20060101ALI20240607BHJP
   G01R 31/305 20060101ALI20240607BHJP
   G01R 31/308 20060101ALI20240607BHJP
【FI】
H01L21/66 C
H01L21/66 J
H01J37/22 502H
H01J37/28 A
G01R31/28 L
G01R31/305
G01R31/308
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022553302
(86)(22)【出願日】2020-09-30
(86)【国際出願番号】 JP2020037156
(87)【国際公開番号】W WO2022070308
(87)【国際公開日】2022-04-07
【審査請求日】2023-03-13
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】三次 将太
(72)【発明者】
【氏名】中村 洋平
(72)【発明者】
【氏名】備前 大輔
(72)【発明者】
【氏名】布施 潤一
(72)【発明者】
【氏名】高田 哲
(72)【発明者】
【氏名】津野 夏規
【審査官】平野 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-187510(JP,A)
【文献】特開2019-139912(JP,A)
【文献】特開2011-043346(JP,A)
【文献】特開2001-313322(JP,A)
【文献】特開2008-130582(JP,A)
【文献】特開2011-014798(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
H01J 37/22
H01J 37/28
G01R 31/28
G01R 31/305
G01R 31/308
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
観察対象となる試料の微細構造を観察する、荷電粒子線装置を用いた検査方法であって、
前記荷電粒子線装置は:
荷電粒子線を照射する荷電粒子源と、前記荷電粒子線が前記試料に照射されることにより発生する2次電子を検出する検出器とを有した荷電粒子光学系と、
前記試料に所定波長の光を照射する光源と、前記所定波長の光をパルス制御するゲートとを有した光照射系と
前記ゲートによりパルス制御された前記所定波長の光が照射された前記試料に電圧または電流を印加するプローブと、
前記印加電圧又は印加電流により前記試料の特性を計測する計測器と、
前記試料設置される可動式ステージと、
を備え、
当該検査方法は、
パルス制御された前記所定波長の光に同期した制御を前記プローブに対して行いつつ、前記計測器の出力を用いて前記試料の特性計測し、
前記試料の特性に基づいて回路モデルを生成し、
前記回路モデルと、前記検出器が出力する前記2次電子に関する検出信号から、前記試料の回路定数または欠陥構造を推定する、
ことを特徴とする検査方法。
【請求項2】
請求項1に記載の検査方法であって、
前記試料の特性は、電気特性である、
ことを特徴とする検査方法。
【請求項3】
請求項1に記載の検査方法であって、
前記荷電粒子光学系は、前記荷電粒子線をパルス制御する電子パルス発生器を含む、
ことを特徴とする検査方法。
【請求項4】
請求項1に記載の検査方法であって、
前記荷電粒子線装置はさらに:
前記プローブと前記試料とを観察する光学顕微鏡を備え、
前記回路定数又は前記欠陥構造の推定は、さらに前記光学顕微鏡の出力に基づいて行われる、
ことを特徴とする検査方法。
【請求項5】
請求項4に記載の検査方法であって、
前記試料は、所定の領域に電極をコーティングされた解析用試料である、
ことを特徴とする検査方法。
【請求項6】
請求項1に記載の検査方法であって、
前記プローブは非接触プローブであり、
前記計測器の出力は前記可動式ステージを介して前記試料から流れる電流値であり、
前記回路定数又は前記欠陥構造の推定は、さらに前記試料の表面電位に基づいて行われ、
前記表面電位は、前記非接触プローブを用いて、測定される、
ことを特徴とする検査方法。
【請求項7】
荷電粒子線装置と計算機とを含む装置であって、
前記荷電粒子線装置は:
荷電粒子線を照射する荷電粒子源と、前記荷電粒子線が観察対象となる試料に照射されることにより発生する2次電子を検出する検出器と、を有した荷電粒子光学系と、
前記試料に所定波長の光を照射する光源と、前記所定波長の光をパルス制御するゲートと、を有した光照射系と、
前記ゲートによりパルス制御された前記所定波長の光が照射された前記試料に電圧または電流を印加するプローブと、
前記印加電圧又は印加電流により前記試料の特性を計測する計測器と、
前記試料が設置される可動式ステージと、
を備え、
前記計算機は:
パルス制御された前記所定波長の光に同期した制御を前記プローブに対して行いつつ、前記計測器の出力を用いて前記試料の特性を計測し、
前記試料の特性に基づいて回路モデルを生成し、
前記回路モデルと、前記検出器が出力する前記2次電子に関する検出信号から、前記試料の回路定数または欠陥構造を推定する、
ことを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項7に記載の装置であって、
前記試料の特性は、電気特性である、
ことを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項7に記載の装置であって、
前記荷電粒子光学系は、前記荷電粒子線をパルス制御する電子パルス発生器を含む、
ことを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項7に記載の装置であって、
前記荷電粒子線装置はさらに:
前記プローブと前記試料とを観察する光学顕微鏡を備え、
前記回路定数又は前記欠陥構造の推定は、さらに前記光学顕微鏡の出力に基づいて行われる、
ことを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項10に記載の装置であって、
前記試料は、所定の領域に電極をコーティングされた解析用試料である、
ことを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項7に記載の装置であって、
前記プローブは非接触プローブであり、
前記計測器の出力は前記可動式ステージを介して前記試料から流れる電流値であり、
前記回路定数又は前記欠陥構造の推定は、さらに前記試料の表面電位に基づいて行われ、
前記表面電位は、前記非接触プローブを用いて、測定される、
ことを特徴とする装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子顕微鏡やイオン顕微鏡等の荷電粒子線装置は、微細な構造を持つ様々な試料の観察に用いられている。例えば、半導体デバイスの製造工程におけるプロセス管理を目的として、荷電粒子線装置の一つである走査電子顕微鏡が、試料である半導体ウェハ上に形成された半導体デバイスパターンの寸法計測や欠陥検査等の測定に応用されている。
【0003】
電子顕微鏡を用いた試料解析法の1つに、電子ビームを試料に照射することで得られる二次電子等に基づいて電位コントラスト像を形成し、電位コントラスト像の解析に基づいて、試料上に形成された素子の電気抵抗を評価する手法が知られている。
【0004】
例えば、特許文献1には、試料にプローブを接触し電流を計測できる機構を備え、電子ビームと光を照射、または電子ビームのみ照射したときの電流変化から欠陥を検査する方法が開示されている。特許文献2には、試料に光を照射することで電位コントラストを変化させ、欠陥の位置・種類を検査する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2003-022946号公報
【文献】特開2003-151483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
半導体デバイスの検査計測においては、製造工程におけるデバイスの電気特性の不良を検出することが求められる。特許文献1においては、電子ビームと光照射の条件から抵抗変化による欠陥を検査することができるが、容量性など時間応答に依存する欠陥は検出できない課題がある。また、特許文献2においては、欠陥の位置・種類を検査する方法が開示されているが、欠陥を定量的に評価するにはリファレンスとなる回路モデルが必要である。
【0007】
そこで、本発明の一側面は、従来の手法では測定できなかったデバイスの電気特性を測定することが可能な検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様にかかる検査方法は、荷電粒子線を用いて観察対象となる被検査試料の微細構造を観察する荷電粒子線装置で行われる検査方法であって、荷電粒子線を照射する荷電粒子源と、前記荷電粒子線をパルス制御する電子パルス発生器と、前記パルス制御された荷電粒子線が前記被検査試料に照射されることにより発生する2次電子を検出する検出器とを有した荷電粒子光学系と、前記被検査試料に所定波長の光を照射する光源と、前記所定波長の光をパルス制御するゲートとを有した光照射系とを有する荷電粒子線装置と、前記被検査試料または前記解析用試料に所定波長の光を照射する光源と、前記所定波長の光をパルス制御するゲートとを有した光照射系と、前記ゲートによりパルス制御された前記所定波長の光が照射された前記被検査試料または前記被検査試料の特性を検出する接触プローブと、前記接触プローブにより検出された前記被検査試料または前記被検査試料の特性を計測する計測器と、前記荷電粒子光学系と前記光照射系と前記接触プローブとを制御する制御装置と前記被検査試料または前記解析用試料を設置する可動式ステージを備え、前記制御装置は、パルス制御された前記所定波長の光に同期して前記接触プローブを制御し、前記被検査試料または前記解析用試料の特性を前記計測器で計測し、前記計測器が計測した値に基づいて回路モデルを生成する電気特性解析装置と、前記電気特性解析装置から作成された前記回路モデルと前記荷電粒子線装置により検出した前記2次電子の検出信号から、前記被検査試料の回路定数または欠陥構造を推定する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、従来の手法では測定できなかったデバイスの電気特性を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例1にかかる荷電粒子線装置の構成の一例を示す概略図である。
図2図1に示した荷電粒子線装置の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
図3】実施例1にかかる電気特性解析装置の構成の一例を示す概略図である。
図4図3に示した電気特性解析装置の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
図5】実施例1にかかる電気特性解析装置で行われる、回路定数推定方法の処理手順を示す回路定数推定処理の一例を示すフローチャートである。
図6】観察条件のうち、光条件入力部から入力される光条件、電子線条件入力部から入力される電子線条件の一例を説明するための図である。
図7】ネットリストに含まれる接続情報の一例を示す図である。
図8】電子デバイス回路情報の選択や各種条件の入力、回路定数の推定結果を表示する入出力画面の例を示す図である。
図9】実施例1におけるユースケースの一例を示す図である。
図10】実施例2における電気特性解析装置の構成の一例を示す概略図である。
図11】実施例2における試料Sの加工例を説明するための図である。
図12】実施例2におけるユースケースの一例を示す図である。
図13】実施例3にかかる電気特性解析装置の構成の一例を示す概略図である。
図14】実施例3におけるモデル抽出方法の一例を示す図である。
図15】実施例3におけるユースケースの一例を示す図である。
図16】計算機の一例を示すコンピュータの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の記載および図面は、本発明を説明するための例示であって、説明の明確化のため、適宜、省略および簡略化がなされている。本発明は、他の種々の形態でも実施する事が可能である。特に限定しない限り、各構成要素は単数でも複数でも構わない。
【0012】
図面において示す各構成要素の位置、大きさ、形状、範囲などは、発明の理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、形状、範囲などを表していない場合がある。このため、本発明は、必ずしも、図面に開示された位置、大きさ、形状、範囲などに限定されない。
【0013】
以下の説明では、「テーブル」、「リスト」等の表現にて各種情報を説明することがあるが、各種情報は、これら以外のデータ構造で表現されていてもよい。データ構造に依存しないことを示すために「XXテーブル」、「XXリスト」等を「XX情報」と呼ぶことがある。識別情報について説明する際に、「識別情報」、「識別子」、「名」、「ID」、「番号」等の表現を用いた場合、これらについてはお互いに置換が可能である。
【0014】
同一あるいは同様な機能を有する構成要素が複数ある場合には、同一の符号に異なる添字を付して説明する場合がある。ただし、これらの複数の構成要素を区別する必要がない場合には、添字を省略して説明する場合がある。
【0015】
また、以下の説明では、プログラムを実行して行う処理を説明する場合があるが、プログラムは、プロセッサ(例えばCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit))によって実行されることで、定められた処理を、適宜に記憶資源(例えばメモリ)および/またはインターフェースデバイス(例えば通信ポート)等を用いながら行うため、処理の主体がプロセッサとされてもよい。同様に、プログラムを実行して行う処理の主体が、プロセッサを有するコントローラ、装置、システム、計算機、ノードであってもよい。プログラムを実行して行う処理の主体は、演算部であれば良く、特定の処理を行う専用回路(例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit))を含んでいてもよい。
【0016】
プログラムは、プログラムソースから計算機のような装置にインストールされてもよい。プログラムソースは、例えば、プログラム配布サーバまたは計算機が読み取り可能な記憶メディアであってもよい。プログラムソースがプログラム配布サーバの場合、プログラム配布サーバはプロセッサと配布対象のプログラムを記憶する記憶資源を含み、プログラム配布サーバのプロセッサが配布対象のプログラムを他の計算機に配布してもよい。また、以下の説明において、2以上のプログラムが1つのプログラムとして実現されてもよいし、1つのプログラムが2以上のプログラムとして実現されてもよい。
【0017】
以下では、荷電粒子線装置の一態様として「走査型電子顕微鏡」(SEM:Scanning Electron Microscope)を用いた場合について説明するが、SEM以外の顕微鏡を用いてもよく、その例については実施例2以降で説明する。また、観察対象の画像として半導体ウェハ上の欠陥を撮像した画像を対象に説明するが、フラットパネルディスプレイや生体試料など他の試料を撮像した画像を対象としてもよい。
【0018】
また、以下では、走査型電子顕微鏡の一例として、半導体ウェハ上のパターンを計測する装置を例にとって説明するが、「走査型電子顕微鏡」とは、電子ビームを用いて試料の画像を撮像する装置を広く含むものとする。走査型電子顕微鏡のその他の例としては、走査型電子顕微鏡を用いた検査装置、レビュー装置、汎用の走査型電子顕微鏡、走査型電子顕微鏡を備えた試料加工装置や試料解析装置等が挙げられ、本開示はこれらの装置にも適用が可能である。また、以下に説明する実施例において走査型電子顕微鏡とは、上記走査型電子顕微鏡がネットワークで接続されたシステムや上記走査型電子顕微鏡を複数組み合わせた複合装置をも含むものとする。
【0019】
また、以下に説明する実施例において「試料」とは、パターンが形成された半導体ウェハを一例として説明するが、これに限られるものではなく、金属、セラミックス、生体試料等であっても良い。
【0020】
また、以下に説明する実施例において半導体ウェハ上のパターンを計測する走査型電子顕微鏡おける「計測」とは、半導体ウェハ上のパターンの電気特性を測定することを一例として説明するが、これに限られるものではなく、当該パターンの観察、検査であっても良い。
【0021】
(実施例1)
図1は、本実施例にかかる荷電粒子線装置の構成の一例を示す概略図である。実施例1における荷電粒子線装置100は、試料の撮像を行うSEM本体101Aと、SEM制御機器群101Bとを有している。また、SEM制御機器群101Bは、計算機115に接続されている。図1では、SEM本体101AおよびSEM制御機器群101Bが計算機115に電気的に接続されたシステム構成を例示しているが、これらが1つの装置として構成されていてもよい。
【0022】
SEM本体101Aは、荷電粒子源となる電子銃102、光源114から出射されるレーザ光から電子パルスを発生させる電子パルス発生器103、電子銃102によって発生された1次電子ビーム(照射電子ビーム)の絞りとなるコンデンサレンズ104、1次電子ビームが対物レンズ106に入射する位置をアライメントする偏向器105、対物レンズ106、試料(ウェハ)が置かれるステージ(試料ホルダ)108、1次電子ビームの照射によって試料Sから得られる2次電子を検出する2次電子検出器109を含む。ステージ108は、モータ等の所定の動作機構により可動する可動式のステージであってもよい。
【0023】
1次電子ビームは、コンデンサレンズ104と対物レンズ106によって試料Sに対して収束させて照射される。偏向器105は、1次電子ビームが対物レンズ106に入射する位置をアライメントする。1次電子ビームは、図示しないディフレクタによって試料Sに対して走査される。1次電子ビームの照射によって試料Sから得られる2次電子は、図示しないE×Bフィルタで2次電子検出器109の方向に向けられ、2次電子検出器109で検出される。続いて、SEM制御機器群101Bについて説明する。
【0024】
図1に示すように、SEM制御機器群101Bは、SEM本体101Aの各部およびSEM制御機器群101Bの各部を制御する制御装置110、光源114から出射されるレーザ光を偏向するスプリッター等の光路レンズ112と、上記レーザ光を遮断するか否かを制御するゲート113、所定波長のレーザ光を試料Sに出射する光源114を含む。2次電子検出器109が検出した信号は、制御装置110に送られ画像化される。制御装置110には、2次電子検出器109から出力される信号に基づいて画像を生成する画像生成部、各種のレンズ、偏向器、電極、検出器、回路基板等に電圧を印加するための電圧源や電流を供給するための電流源等を制御する機器制御部が含まれている(図示省略)。機器制御部や画像生成部は、上述の通り、専用の回路基板によってハードウェアとして構成されていてもよいし、荷電粒子線装置100に接続されたコンピュータで実行されるソフトウェアによって構成されてもよい。ハードウェアにより構成する場合には、処理を実行する複数の演算器を配線基板上、または半導体チップまたはパッケージ内に集積することにより実現できる。ソフトウェアにより構成する場合には、コンピュータに高速な汎用CPUを搭載して、所望の演算処理を実行するプログラムを実行することで実現できる。続いて、計算機115について説明する。
【0025】
計算機115は、ハードウェアとしては一般的なコンピュータから構成される。計算機115は、SEM制御機器群101Bを介したSEM本体101Aの制御や、当該制御のための様々な指示に基づく処理を行う演算器116、上記制御や処理に用いる各種データを記憶する記憶装置117を有している。また、計算機115には、上記制御や処理を行うための各種情報の入力や表示、あるいは上記制御や処理を行った結果を示す各種情報の出力や表示を行うための入出力装置118が電気的に接続されている。図1では特に説明していないが、計算機115には、キーボードやマウスといった入力装置を有している。
【0026】
計算機115は、例えば、図16(コンピュータの概略図)に示すような、CPU1401と、メモリ1402と、HDD(Hard Disk Drive)等の外部記憶装置1403と、CD(Compact Disk)やDVD(Digital Versatile Disk)等の可搬性を有する記憶媒体1408に対して情報を読み書きする読書装置1407と、キーボードやマウス等の入力装置1406と、ディスプレイ等の出力装置1405と、通信ネットワークに接続するためのNIC(Network Interface Card)等の通信装置1404と、これらを連結するシステムバス等の内部通信線(システムバスという)1409と、を備えた一般的なコンピュータ200により実現できる。
【0027】
例えば、計算機115に記憶されるデータベースやテーブルは、CPU1401がメモリ1402または外部記憶装置1403から読み出して利用することにより実現可能である。また、計算機115が有する回路マップモデル生成部211、回路シミュレーション(回路シミュレーション部)214、比較部216、回路定数推定演算部217、装置内回路モデル生成部2121(いずれも後述)は、CPU1401が外部記憶装置1403に記憶されている所定のプログラムをメモリ1402にロードして実行することにより実現可能である。計算機115は、CPU1401が入力装置1406を制御して入出力装置118の入力機能を実現してもよい。計算機115は、CPU1401が出力装置1405を制御して入出力装置118の出力機能を実現してもよい。また、計算機115は、CPU1401が通信装置1404を制御して通信機能を実現可能な通信部を有していてもよい。
【0028】
上述した所定のプログラムは、読書装置1407を介して記憶媒体1408から、あるいは、通信装置1404を介してネットワークから、外部記憶装置1403に記憶(ダウンロード)され、それから、メモリ1402上にロードされて、CPU1401により実行されるようにしてもよい。また、読書装置1407を介して、記憶媒体1408から、あるいは通信装置1404を介してネットワークから、メモリ1402上に直接ロードされ、CPU1401により実行されるようにしてもよい。
【0029】
図2は、図1に示した荷電粒子線装置の機能的な構成の一例を示すブロック図である。SEM本体101A、SEM制御機器群101Bを構成する各部については図1と同一の符号を付してその説明を省略している。図2に示すように、入出力装置118は、機能的には、光源114から出射されるレーザ光の強度、波長、周期等の条件の入力を受け付ける光条件入力部201、電子銃102によって発生された1次電子ビームの加速電圧や倍率等の条件の入力を受け付ける電子線条件入力部202、観察対象とした試料Sの座標、ネットリスト、対応表等の試料Sを構成する電子デバイス回路情報の入力を受け付ける電子デバイス回路情報入力部203、試料Sのレイアウト情報やDRAMやSRAMといったデバイス情報の入力を受け付ける電子デバイスレイアウト情報入力部204を有する。例えばDRAMと入力した場合、装置内に用意したDRAMのレイアウト情報を試料Sに適用する。さらに、装置内にあらかじめ記憶する回路モデルをサーバ(例えば、モデルデータサーバ840)など情報媒体から入力する装置内回路モデルアップデート情報入力部205、試料Sの光応答特性の推定値(例えば、回路定数の推定値)を表示する推定結果表示部206、試料Sの光応答特性の実測値(例えば、試料Sの撮像結果)を表示する実測結果表示部207を含む。入出力装置118が入出力する情報の例については、図8を用いて後述する。
【0030】
また、計算機115は、機能的には、入出力装置118の光条件入力部201、電子線条件入力部202から入力された情報を記憶する観察条件記憶部210、入力された装置内回路モデルアップデート情報を記憶する装置内回路モデル記憶部212、入力された電子デバイス回路情報と電子デバイスレイアウト情報と装置内回路モデル記憶部の情報から試料Sの回路マップモデルを生成する回路マップモデル生成部211、回路マップモデル生成部211の回路マップモデルの電気特性をシミュレーションする回路シミュレーション214、2次電子検出器が検出した信号を記憶する実測結果記憶部213、回路シミュレーション結果と実測結果記憶部213が記憶する上記測結果とを比較し、両者が一致しているか否かを判定する比較器(比較部)216、上記シミュレーション結果と上記実測結果とが一致すると判定された場合の回路定数を推定する回路定数推定演算部217、回路定数推定演算部217による推定結果を記憶する推定結果記憶部218を含む。計算機が有する上記各記憶部は、例えば、ハードウェアとしては、上述したメモリや外部記憶装置を用いることができる。
【0031】
図3は、実施例1にかかる電気特性解析装置900の一例を示す概略図である。実施例1における電気特性解析装置900は、試料の撮像を行うSEM本体101Cと、SEM制御機器群101Dとを有している。また、SEM制御機器群101Cは、計算機1151に接続されている。図3では、SEM本体101CおよびSEM制御機器群101Dが計算機1151に電気的に接続されたシステム構成を例示しているが、これらが1つの装置として構成されていてもよい。
【0032】
SEM本体101Cは、図1に示したSEM本体101Aと同様の構成を備えるほか、試料(ウェハ)Sをなぞることで試料の性質や形状等の特性を観察して、その検出信号(例えば、試料に流れる電流や磁気力、表面電位の検出信号)を出力する微細接触プローブ107を有する。各構成要素の基本的な動作については図1と同様であるため、ここでは同一の符号を付してその説明を省略する。続いて、SEM制御機器群101Dについて説明する。
【0033】
図3に示すように、SEM制御機器群101Dは、SEM本体101Cの各部およびSEM制御機器群101Dの各部を制御する制御装置110の、プローブの電流や電圧を計測する計測器である電流・電圧計111を有する。これら以外の各構成要素の基本的な動作については図1の場合と同様であるため、ここではその説明を省略する。
【0034】
さらに、電気特性解析装置900は、後述する図10の場合と同様、SEM本体101Cにより得られた試料Sの観察画像や当該観察画像に関する各種情報(例えば、試料Sの位置座標やプローブ条件等)を蓄積するウェハデータサーバ820に接続され、必要に応じてこれらの情報が読み出されてもよい。また、電気特性解析装置900には、ウェハデータサーバ820から読み出された座標情報等に従ってプロービング測定が行われ、抽出した回路モデルを蓄積するモデルデータサーバ840に接続されてもよい。モデルデータサーバ840は、欠陥を定量的に評価するには回路マップモデルをはじめ各種回路モデルを蓄積し、必要に応じてこれらの情報が読み出されてもよい。
【0035】
図4は、図3に示した電気特性解析装置900の機能的な構成の一例を示すブロック図である。SEM本体101C、SEM制御機器群101Dを構成する各部については図3と同一の符号を付してその説明を省略している。図4に示すように、入出力装置1181は、機能的には、図2に示した光条件入力部201、電子線条件入力部202のほか、プローブの位置座標や印加電圧、計測モード(電流計測または電圧計測のいずれかを示すモード)等の条件の入力を受け付けるプローブ接触条件入力部2021、図2に示した電子デバイス回路情報入力部203を有するほか、試料Sのレイアウト情報やDRAMやSRAMといったデバイス情報の入力を受け付ける電子デバイスレイアウト情報入力部204を含む。さらに、図2に示した装置内回路モデルアップデート情報入力部205のほか、実測値から回路の絶対値を得るための回路モデルから得られた欠陥箇所を含む試料Sの状態を表示する電子デバイス回路モデル表示部2051、図2に示した推定結果表示部206、実測結果表示部207を含む。
【0036】
また、計算機1151は、機能的には、入力された装置内回路モデルアップデート情報を記憶する装置内回路モデル記憶部212、入力された電子デバイス回路情報と電子デバイスレイアウト情報と装置内回路モデル記憶部212の情報から試料Sの回路マップモデルを生成する回路マップモデル生成部211、入出力装置の光条件入力部201、電子線条件入力部202、プローブ接触条件入力部203、2次電子検出器が検出した信号および電流・電圧計が計測した値を記憶する実測結果記憶部213、回路マップモデル生成部211から入力された情報を記憶する観察条件記憶部210、回路マップモデル生成部211が生成した回路マップモデルの電気特性をシミュレーションする回路シミュレーション214、回路シミュレーション結果と実測結果記憶部213が記憶する上記測結果とを比較し、両者が一致しているか否かを判定する比較器216、上記シミュレーション結果と上記実測結果とが一致すると判定された場合の回路定数を推定する回路定数推定演算部217、回路定数推定演算部217による推定結果を記憶する推定結果記憶部218を含む。計算機が有する上記各記憶部は、例えば、ハードウェアとしては、上述したメモリや外部記憶装置を用いることができる。装置内回路モデル生成部2121については、図5のフローチャートにおいて説明する。
【0037】
図5は、本実施例にかかる電気特性解析装置で行われる、回路定数推定方法の処理手順を示す回路定数推定処理の一例を示すフローチャートである。図5に示すように、まず、計算機の制御部(例えば、CPU1401)は、入出力装置1181から、光条件入力部201、電子線条件入力部202、プローブ接触条件入力部203から入力された各情報を受け取り(S301)、観察条件として観察条件記憶部210に記憶する(S302)。
【0038】
続いて、制御装置110は、観察条件記憶部210に記憶された上記入力された各条件にしたがって、電子銃102、偏向器105、光源114、光路レンズ112、プローブ107等を制御し(S303)、試料Sの画像を撮像する(S304)。これにより、ユーザは試料Sを観察する。
【0039】
制御装置110は、2次電子検出器109から得られた信号と電圧・電流計から得られた値とを計算機1151に出力し、計算機1151の制御部(例えば、CPU1401)は、これらの情報を実測結果として実測結果記憶部213に記憶する(S305)。
【0040】
そして、計算機1151の制御部(例えば、CPU1401)は、全ての観察条件による試料Sの観察が終了したか否かを判定し(S306)、全ての観察条件(例えば、ユーザが指定した複数の条件あるいは予め定められた複数の条件)による試料Sの観察が終了したと判定した場合(S306;Yes)、装置内回路モデル生成部2121は、入力された電子デバイス回路情報203と電子デバイスレイアウト情報204と装置内回路モデルアップデート情報入力部205の情報に基づいて回路モデルを生成し、回路モデルの電気特性をシミュレーションする。装置内回路モデル生成部2121は、シミュレーション結果と実測結果を比較しモデルの一致性を確認する(S307)。
【0041】
一方、計算機1151の制御部(例えば、CPU1401)は、全ての観察条件による試料Sの観察が終了していないと判定した場合(S306;No)、S303に戻り、全ての観察条件による試料Sの観察が終了するまで、以降の処理を繰り返す。
【0042】
例えば、回路マップモデル生成部211は、シミュレーション結果と実測結果の比較において、その一致度が入力された閾値よりも高かった場合、回路モデルの回路定数を推定結果として表示する。一方、回路マップモデル生成部211は、シミュレーション結果と実測結果の比較において、その一致度が入力された閾値よりも低かった場合は、別に用意した回路シミュレーション結果と比較し、閾値よりも高くなるまで繰り返す。
【0043】
図6は、電気特性解析装置の観察条件のうち、光条件入力部201から入力される光条件、電子線条件入力部202から入力される電子線条件の一例を説明するための図である。図6の(a)は、上記光条件および電子線条件にしたがって試料Sが観察される様子を示している。制御装置110は、強度や波長等を定めた上記光条件に基づいて出射したレーザ光Y、加速電圧や倍率等を定めた上記電子線条件に基づいて照射した1次電子ビームXをパルス制御する。2次電子検出器109およびプローブ107は、パルス制御されたレーザ光Y、1次電子ビームXに同期して、観察領域Rに置かれた試料Sをサンプリングする。図6の(b)は、1次電子ビームXをパルス制御し、レーザ光Yの強度を一定としたときに得られる2次電子検出信号とプローブ電流の波形(A)、1次電子ビームXの強度を一定とし、レーザ光Yをパルス制御したときに得られる2次電子検出信号とプローブ電流の波形(B)、1次電子ビームXおよびレーザ光Yをパルス制御したときに得られる2次電子検出信号とプローブ電流の波形(C)の例を示している。これらのグラフに示すように、1次電子ビームXおよびレーザ光Yの双方をパルス制御した場合、2次電子検出信号とプローブ電流の波形がより短時間で得られるため、欠陥の位置・種類を短時間で検査することができる。
【0044】
続いて、図5に戻り、装置内回路モデル生成部2121が回路モデルを生成すると、上記その旨とともに入出力装置118に出力された回路マップモデルの構成を示す情報に基づいてユーザが入力した試料Sの位置座標、ネットリストに含まれる接続情報、これらの対応表等の電子デバイス回路情報と、S302で記憶された観察条件とを用いて、試料Sについてのネットリストを生成する。さらに、回路シミュレーション214は、試料Sについてのネットリストの等価回路を生成し、生成した等価回路のシミュレーションを実行する(S308)。
【0045】
図7は、ネットリストに含まれる接続情報の一例を示す図である。図7では、(a)~(g)までの各部品がリストに登録されている。回路マップモデル生成部211は、これらの部品や接続情報を読み出して組み合わせることで、試料Sについてのネットリストを生成する。そして、回路シミュレーション214は、生成されたネットリストから等価回路を生成し、シミュレーション実行する。
【0046】
比較部216は、回路シミュレーション214によるシミュレーション結果と実測結果記憶部213が記憶する上記実測結果とを比較し(S309)、両者が一致しているか否かを判定する(S310)。比較部216は、両者が一致していないと判定した場合(S310;No)、S308に戻り、両者が一致するまでネットリストの生成、等価回路のシミュレーションを継続する。
【0047】
一方、上記シミュレーション結果と上記実測結果とが一致すると判定された場合(S310;Yes)、回路定数推定演算部217は、当該等価回路の回路定数を試料Sの回路定数として推定するとともに(S311)、推定結果を推定結果記憶部218に記憶し、計算機115の制御部(例えば、CPU1401)が、S305で記憶された実測結果とともに当該推定結果を、それぞれ入出力装置118の実測結果表示部207および推定結果表示部206に表示する(S312)。
【0048】
図8は、電子デバイス回路情報の選択や各種条件の入力、回路定数や回路状態の推定結果を表示する入出力画面の例を示す図である。図8に示すように、入出力画面600には、座標ファイルを選択するための選択欄601と、ネットリストファイルを選択するための選択欄602と、対応表ファイルを選択するための選択欄603とを含む電子デバイス回路情報入力部204が設けられている。
【0049】
選択欄601は、試料Sの位置座標を定めた座標ファイルの選択を受け付ける。ユーザは、あらかじめ記憶されているコンピュータのフォルダや計算機1151から受け取った回路マップモデルにおける試料Sの位置座標等を上記座標ファイルから読み出す。あるいは読み出した座標ファイルに定められた位置座標を変更し、新たな位置座標を設定することができる。
【0050】
選択欄602は、ネットリストを含むネットリストファイルの選択を受け付ける。ユーザは、あらかじめ記憶されているコンピュータのフォルダや計算機1151から受け取った回路マップモデルにおける試料Sのネットリスト等を上記ネットリストファイルから読み出す。あるいは読み出したネットリストファイルに定められたネットリストや部品を変更し、新たなネットリストや部品を設定することができる。
【0051】
選択欄603は、ネットリストと試料Sの位置座標とを対応付けた対応表ファイルの選択を受け付ける。ユーザは、あらかじめ記憶されているコンピュータのフォルダや計算機1151から受け取った回路マップモデルにおける試料Sのネットリストと試料Sの位置座標の対応表等を上記対応表ファイルから読み出す。あるいは読み出した対応表ファイルに定められた対応表を変更し、新たな対応表を設定することができる。
【0052】
さらに、入出力画面600は、電子線条件を入力するための入力欄604を含む電子線条件入力部202と、光条件を入力するための入力欄605を含む光条件入力部201と、プローブ条件を入力するための入力欄606を含むプローブ線条件入力部203とを有している。これらの入力欄は、ユーザが試料Sを観察する際に、観察環境に応じて値が入力される。図8では、例えば、入力欄604には加速電圧として800Vが入力され、入力欄605にはレーザ光の強度として10mVが入力され、入力欄606には印加電圧として50mVが入力されている。
【0053】
さらに、入出力画面600には、上記選択欄601~603、上記入力欄604~606において選択または入力された条件で試料Sを観察したときのSEM画像を表示する画像表示部607を含む。図8では、試料Sが位置座標P145の位置に置かれていることを示している。
【0054】
また、入出力画面600には、画像表示部607で示された位置座標での試料Sの光応答特性について、例えば、回路定数の実測結果と推定結果とを1つのグラフ上で表した光応答比較グラフを表示する光応答表示部608を含む推定結果表示部206および実測結果表示部207を有している。図8では、実測結果を示す実測グラフRと、推定結果を示す推定グラフPとが1つの表示部に表示され、比較されていることがわかる。
【0055】
さらに、入出力画面600には、推定結果としてられた回路状態を表示する回路状態表示部609を含む推定結果表示部206を有している。図8では、図5に示した回路状態推定処理の結果、N021とN022間に配置されたダイオードに欠陥があることが表示されている。
【0056】
図9は、本実施例におけるユースケースの一例を示す図である。図9に示すように、半導体の製造工程では、インライン環境で、複数の製造工程P1~P3において基板上に形成されたパターンの計測や欠陥検査が、各工程に対応して設けられた荷電粒子線装置703および704、ウェハテスタ705を用いて行われる。これらの計測や欠陥検査を経て一定の基準を満たしたもののみダイシング・パッケージング装置706に送られ、製品として出荷される。
【0057】
インライン環境では、半導体の製造を管理するデータサーバ701から装置内回路モデルアップデート情報入力部205の情報やレシピ情報を受け取り、これらの情報に従って、各工程で検査が行われる。そして、各工程での検査結果が検査情報としてデータサーバ701にフィードバックされる。特に、ウェハテスタ705は、試料Sのレイヤーの上層に、後半の製造工程で構築された配線等を除去する前処理工程707に、それまでの過程で製造された半導体デバイスとともに、ウェハ検査データをデータサーバ701に出力する。
【0058】
前処理工程707では、前処理を行う前処理装置(例えば、計算機1151と同様のコンピュータ)が、上記配線等を除去した後のデータを電気特性解析装置100に出力し、電気特性解析装置100において図5で示した回路状態推定処理が行われて欠陥検査された後、その検査結果が、データサーバ710を介して、装置内回路モデルアップデート情報入力部205の情報やレシピとしていずれかの製造工程にフィードバックされる。このほか、各製造工程では、荷電粒子線装置703および704で検査を終えた半導体デバイスの一部が電気特性解析装置100に搬送される。
【0059】
また、データサーバ701に蓄積されたデータは、GDS(Graphic Data System)データ、プロセス情報、ウェハ検査データとして計算サーバ702に読み込まれる。計算サーバ702は、電気特性解析装置100を構成する計算機1151を代用してよい。計算サーバ702は試料Sの位置座標を示す座標情報がデータサーバ701に出力され、インラインでの検査に用いることもできる。
【0060】
このように、本実施例では、荷電粒子線を用いて観察対象となる試料(例えば、試料S)の微細構造を観察する電気特性解析装置800において、上記試料に荷電粒子線を照射する荷電粒子源(例えば、電子銃102)と、上記荷電粒子線をパルス制御する電子パルス発生器(例えば、電子パルス発生器103)と、上記パルス制御された荷電粒子線が上記試料に照射されることにより発生する2次電子を検出する検出器(例えば、2次電子検出器109)とを有した荷電粒子光学系と、上記試料に所定波長の光を照射する光源(例えば、光源114)と、上記所定波長の光をパルス制御するゲート(例えば、ゲート113)とを有した光照射系と、上記電子パルス発生器によりパルス制御された荷電粒子線および上記ゲートによりパルス制御された上記所定波長の光が照射された上記試料の特性を検出する接触プローブ(例えば、微細接触プローブ107)と、上記接触プローブにより検出された上記試料の特性を計測する計測器(例えば、電流・電圧計111)と、上記荷電粒子光学系と上記光照射系と上記接触プローブとを制御する制御装置(例えば、制御装置110)と、を備え、上記制御装置は、パルス制御された上記荷電粒子線および上記所定波長の光に同期して上記接触プローブを制御し、上記試料の特性を上記計測器で計測するので、従来の手法では測定できなかったデバイスの電気特性を測定することができる。
【0061】
(実施例2)
実施例1では、SEMを用いた電気特性解析装置について説明したが、本発明はSEM以外の顕微鏡を用いた場合にも適用することができる。以下では、SEMにかえて光学顕微鏡を用いた電気特性解析装置について説明する。
【0062】
荷電粒子線によって試料を加工する場合、作業者は、試料の加工位置と荷電粒子線の照射位置を観察しながら、試料の加工を行う。したがって、当該加工中に、実施例1のように、試料の加工位置の画像を取得する必要がある。通常、2次電子検出器によって得られた2次電子像を用いるが、2次電子検出器によって得られた2次電子像では、ブロードな荷電粒子線を照射する場合、加工や堆積膜形成を行う位置の特定が困難である場合がある。
【0063】
そこで、以下では、光学顕微鏡によって、加工位置と荷電粒子線の照射位置を特定することができる。例えば、荷電粒子線照射によって形成された加工痕を光学顕微鏡で確認することにより荷電粒子線の照射位置を確認することができる。また、予め荷電粒子線の照射位置と光学顕微鏡の観察位置が合うように機械的あるいは電気的な調整を行ってもよい。それによって、荷電粒子線の加工位置を光学顕微鏡の画像から判断することができる。また、予め荷電粒子線の照射位置と光学顕微鏡の観察位置との関係を記録しておいてもよい。それによって、荷電粒子線の加工位置を光学顕微鏡の画像から判断することができる。
【0064】
図10は、本実施例における電気特性解析装置の構成の一例を示す概略図である。実施例2における電気特性解析装置は、光学式顕微鏡801Aと、顕微鏡制御機器群801Bとを有している。また、顕微鏡制御機器群801Bは、計算機815に接続されている。図10では、光学式顕微鏡801Aおよび顕微鏡制御機器群801Bが計算機815に電気的に接続されたシステム構成を例示しているが、実施例1の場合と同様、これらが1つの装置として構成されていてもよい。
【0065】
光学式顕微鏡801Aは、光学式顕微鏡本体802、実施例1と同様のプローブ807およびステージ808を含む。光学式顕微鏡本体802の具体的な構成については特に示していないが、荷電粒子線を用いた装置として従来から一般的に知られている光学顕微鏡(例えば、共焦点光学系を有した光学顕微鏡)を用いることができる。以下では、光学顕微鏡本体802は、荷電粒子源の光軸に沿って配置されている前提で説明しているが、試料上の荷電粒子源の照射位置を観察することができれば、光学顕微鏡本体802の位置及び光軸の位置は任意である。例えば、光学顕微鏡本体802の光軸は荷電粒子源の光軸に対して傾斜して配置してもよい。続いて、顕微鏡制御機器群801Bについて説明する。
【0066】
図10に示すように、顕微鏡制御機器群801Bは、光学式顕微鏡801Aの各部および顕微鏡制御機器群801Bの各部を制御する制御装置810、プローブ807の電流や電圧を計測する計測器である電流・電圧計811、光源814から出射されるレーザ光を偏向するスプリッター等の光路レンズ812と、上記レーザ光を遮断するか否かを制御するゲート813、所定波長のレーザ光を試料Sに出射する光源814を含む。
【0067】
光学式顕微鏡本体802において上記レーザ光を走査することで共焦点顕微鏡の像が形成された画像信号が制御装置110に送られ画像化される。制御装置810には、光学式顕微鏡本体802から出力される画像信号に基づいて画像を生成する画像生成部、各種のレンズ、偏向器、電極、検出器、回路基板等に電圧を印加するための電圧源や電流を供給するための電流源等を制御する機器制御部が含まれている(図示省略)。当該機器制御部については、実施例1の場合と同様、各種ハードウェアや各種ソフトウェアによって構成されてもよい。続いて計算機815について説明する。
【0068】
計算機815は、実施例1の場合と同様、ハードウェアとしては一般的なコンピュータから構成される。計算機815は、顕微鏡制御機器群801Bを介した光学式顕微鏡801Aの制御や、当該制御のための様々な指示に基づく処理を行う演算器816、上記制御や処理に用いる各種データを記憶する記憶装置817を有している。また、制御装置810には、上記制御や処理を行うための各種情報の入力や表示、あるいは上記制御や処理を行った結果を示す各種情報の出力や表示を行うための入出力装置118が電気的に接続されている。図10では、制御装置810に入出力装置818が接続されている場合を例示しているが、実施例1の場合と同様、入出力装置818が計算機815に接続されていてもよい。
【0069】
さらに、電気特性解析装置800には、光学式顕微鏡801Aにより得られた試料Sの観察画像や当該観察画像に関する各種情報(例えば、試料Sの位置座標、図6に示した光条件605やプローブ条件606等)を蓄積するウェハデータサーバ820に接続され、必要に応じてこれらの情報が読み出される。また、電気特性解析装置800には、ウェハデータサーバ820から読み出された座標情報等に従ってプロービング測定が行われ、抽出した回路モデルを蓄積するモデルデータサーバ840に接続される。モデルデータサーバ840は、欠陥を定量的に評価するには回路マップモデルをはじめ各種回路モデルを蓄積し、必要に応じてこれらの情報が読み出されてもよい。
【0070】
図11は、実施例2における試料Sの加工例を説明するための図である。実施例2における電気特性解析装置800では、光学式顕微鏡を用いて肉眼で試料Sを観察するため、試料Sの複数の電極を一つの領域にまとめ、当該領域を1つの電極とみなして計測対象としている。図11の(a)は、試料Sのある座標位置に配置されたチップ901を複数の領域Rに分割する例を示している。図11の(a)では、ある座標位置付近の座標エリアごとにプロセス条件(例えば、ドーズ量等)を定め、当該座標エリアに対応する位置座標に配置されているチップ901が5つの領域Rの位置に設けられていることを示している。
【0071】
図11の(b)は、図11の(a)に示した複数の領域Rのうちある1つの領域に形成されている複数の電極を1つの計測対象とする手順を示している。具体的には、コーティング電極を塗布する前(処理前)およびコーティング電極を塗布した後(処理後)の領域Rにおけるチップ901の上面図および断面図を示している。処理前の状態では、領域Rの複数の電極Eおよび拡散層D(図11の(b)では9個)がそれぞれ互いに離間した位置座標に配置され、それぞれが独立しているが、処理後の状態では、領域Rの複数の電極Eおよび拡散層Dが、コーティング電極E’として疑似的な1つの電極として形成されていることがわかる。
【0072】
このように、電気特性解析装置800では、プロセス条件を試料Sの座標エリアごとに変えたモデル作成用ウェハに対し、座標エリアごとにコーティング処理を行い、プローブにより座標エリアごとの光照射時の電気特性を測定する。そして、座標エリアごとにコーティング電極が生成された試料の光応答特性の実測値が、計算機815の記憶装置817(例えば、実施例1の実測結果記憶部213と同様の記憶部)に記憶され、当該コーティング電極が生成された試料についての回路マップモデルの生成、ネットリストの生成、等価回路のシミュレーション等、図5のS307以降の処理と同様の処理が行われる。
【0073】
図12は、本実施例におけるユースケースの一例を示す図である。図12に示すユースケースでは、実施例1の場合と同様、インライン環境で複数の製造工程P11~P13において基板上に形成されたパターンの計測や欠陥検査が、各工程に対応して設けられた荷電粒子線装置803および804、ウェハテスタ805を用いて行われ、一定の基準を満たしたもののみダイシング・パッケージング装置806に送られ、製品として出荷される。
【0074】
また、実施例1の場合と同様、インライン環境では、半導体の製造を管理するデータサーバ1001から装置内回路モデルアップデート情報入力部205の情報やレシピ情報を受け取り、これらの情報に従って、各工程で検査が行われ、各工程での検査結果が検査情報としてデータサーバ701にフィードバックされる。特に、本実施例では、ウェハテスタ805において、実施例1の場合と同様の前処理工程1207(前処理工程1)のほか、図11に示した加工を行う前処理工程1208(前処理工程2)が行われる。前処理工程1208は、インラインでの荷電粒子線装置803および804の後において行われ、各製造工程での検査後半導体デバイスの一部が電気特性解析装置800に搬送される。
【0075】
また、ウェハテスタ805において、実施例1の場合と同様の前処理工程1207を経て、荷電粒子線装置800において図で示した回路状態推定処理が行われて欠陥検査された後、その検査結果が、データサーバ1001を介して、装置内回路モデルアップデート情報やレシピとしていずれかの製造工程にフィードバックされる。このほか、各製造工程では、荷電粒子線装置803および804での検査結果に関するデータが、電気特性解析装置800に出力される。データサーバ1001に蓄積されたデータは、GDSデータ、プロセス情報、ウェハ検査データとして計算サーバ1002に読み込まれる。計算サーバ1002は、荷電粒子線装置800を構成する計算機815を代用してよい。計算サーバ1002は試料Sの位置座標を示す座標情報がデータサーバ1001に出力され、インラインでの検査に用いることもできる。
【0076】
このように、本実施例では、荷電粒子線を用いて観察対象となる試料の微細構造を観察する電気特性解析装置800において、上記試料に荷電粒子線を照射する荷電粒子源(例えば、電子銃102と同様の電子銃)と、上記荷電粒子線をパルス制御する電子パルス発生器(例えば、電子パルス発生器103と同様の電子パルス発生器)とを有した荷電粒子光学系と、上記試料に所定波長の光を照射する光源(例えば、光源814)と、上記所定波長の光をパルス制御するゲート(例えば、ゲート813)とを有した光照射系と、上記電子パルス発生器によりパルス制御された荷電粒子線および上記ゲートによりパルス制御された上記所定波長の光が照射された上記試料の特性を検出する接触プローブ(例えば、プローブ807)と、上記接触プローブにより検出された上記試料の特性を計測する計測器(例えば、電流・電圧計811)と、上記荷電粒子光学系と上記光照射系と上記接触プローブとを制御する制御装置(例えば、制御装置810)と、を備え、上記制御装置は、パルス制御された上記荷電粒子線および上記所定波長の光に同期して上記接触プローブを制御し、上記試料のプロセス条件を上記試料の座標エリアごとに定めた所定の領域(例えば、領域R)について複数の電極Eがコーティングされたコーティング電極E’を用いて、上記試料の特性を上記計測器で計測するので、実施例1とは異なる方法で、従来の手法では測定できなかったデバイスの電気特性を測定することができる。
【0077】
(実施例3)
実施例1では、SEMを用いた電気特性解析装置において、試料(ウェハ)Sをなぞることで試料の性質や形状等の特性を観察して、その検出信号を出力する微細接触プローブを用いたが、非接触プローブを用いることもできる。以下では、SEMを用いた電気特性解析装置において、非接触プローブを用いた電気特性解析装置について説明する。
【0078】
図13は、本実施例にかかる電気特性解析装置の構成の一例を示す概略図である。実施例3における電気特性解析装置1100は、試料の撮像を行うSEM本体1101Aと、SEM制御機器群1101Bとを有している。また、SEM制御機器群1101Bは、実施例1の場合と同様、計算機1115に接続されている。図13では、SEM本体1101AおよびSEM制御機器群1101Bが計算機1115に電気的に接続されたシステム構成を例示しているが、実施例1の場合と同様、これらが1つの装置として構成されていてもよい。
【0079】
SEM本体1101Aは、実施例1の場合と同様、電子銃1102、電子パルス発生器1103、コンデンサレンズ1104、偏向器1105、対物レンズ1106を有し、さらに、探針を一定距離離した非接触状態で試料(ウェハ)Sの性質や形状等の特性を観察して、その検出信号(例えば、試料に流れる電流や磁気力、表面電位の検出信号)を出力する非接触プローブ1107、試料が置かれるステージ1108、1次電子ビームの照射によって試料Sから得られる2次電子を検出する2次電子検出器1109を含む。続いて、SEM制御機器群1101Bについて説明する。
【0080】
図13に示すように、SEM制御機器群1101Bは、実施例1の場合と同様、SEM本体1101Aの各部およびSEM制御機器群1101Bの各部を制御する制御装置110、光路レンズ1112、ゲート113、光源114を含むほか、プローブ1107と試料Sが置かれるステージ1108に流れる電流を計測する計測器である電流計1111A、試料Sの表面電位を計測する計測器である表面電位計1111Bを有する。続いて計算機1115について説明する。
【0081】
計算機1115は、ハードウェアとしては一般的なコンピュータから構成される。計算機1115は、実施例1の場合と同様、SEM制御機器群1101Bを介したSEM本体1101Aの制御や、当該制御のための様々な指示に基づく処理を行う演算器1116、上記制御や処理に用いる各種データを記憶する記憶装置1117を有している。また、計算機1115には、実施例1の場合と同様、入出力装置1118が電気的に接続され、キーボードやマウスといった入力装置を有している。
【0082】
また、電気特性解析装置1100には、非接触でプロービング測定が行われ、抽出した回路モデルを蓄積するモデルデータサーバ1140に接続される。モデルデータサーバ1140は、実施例2の場合と同様、回路マップモデルをはじめ各種回路モデルを蓄積し、必要に応じてこれらの情報が読み出されてもよい。
【0083】
図14は、実施例3におけるモデル抽出方法の一例を示す図である。図14に示すように、本実施例では、電子銃1102が電子線Xを照射させて試料Sの帯電を生成した後、プローブ1107の下に試料Sを移動する。その後、光源1114からレーザ光Yが照射されたときの試料Sの表面電位の変化を表面電位計1111Bで測定するとともに、プローブ1107と試料Sが置かれるステージ1108に流れる電流を電流計1111Aで計測する。計測した表面電位と試料Sに流れた電流から等価回路モデルが作成される。当該等価回路モデルは、実施例1の場合と同様、装置内回路モデル生成部2121と同様の装置内回路モデル生成部を用いて行えばよい。表面電位計1111Bは、レーザ光が試料S上に照射されるように、スリット1201が設けられていてもよい。
【0084】
このように、電気特性解析装置1100では、試料Sに電子線を照射して帯電させた後、レーザ光を照射して試料の表面電位および試料電流といった光照射時の電気特性を測定し、その試料の光応答特性の実測値が、計算機1115の記憶装置1117(例えば、実施例1の実測結果記憶部213と同様の記憶部)に記憶され、当該試料についての回路マップモデルの生成、ネットリストの生成、等価回路のシミュレーション等、図3のS307以降の処理と同様の処理が行われる。
【0085】
図15は、本実施例におけるユースケースの一例を示す図である。図15では、実施例1の場合と同様、インライン環境で、複数の製造工程P1~P3において基板上に形成されたパターンの計測や欠陥検査が、各工程に対応して設けられた荷電粒子線装置1303および1304、ウェハテスタ1305を用いて行われ、一定の基準を満たしたもののみダイシング・パッケージング装置1306に送られ、製品として出荷される。その他、インライン環境では、実施例1の場合と同様、データサーバ1301から装置内回路モデルアップデート情報入力部205の情報やレシピ情報を受け取り、これらの情報に従って、各工程で検査が行われ、検査結果が検査情報としてデータサーバ1301にフィードバックされる。
【0086】
特に、本実施例では、ウェハテスタ1305において、実施例1の場合と同様の前処理工程1307が行われ、当該前処理工程1307を経て、電気特性解析装置1100において図3で示した回路状態推定処理が行われて欠陥検査された後、その検査結果が、データサーバ710を介して、装置内回路モデルアップデート情報やレシピとしていずれかの製造工程にフィードバックされる。このほか、各製造工程では、荷電粒子線装置1303および1304での検査後に半導体デバイスの一部が、電気特性解析装置1100に搬送される。データサーバ1301に蓄積されたデータは、GDSデータ、プロセス情報、ウェハ検査データとして計算サーバ1302に読み込まれる。計算サーバ1302は、電気特性解析装置1100を構成する計算機118を代用してよい。計算サーバ1302は試料Sの位置座標を示す座標情報がデータサーバ1301に出力され、インラインでの検査に用いることもできる。
【0087】
このように、本実施例では、荷電粒子線を用いて観察対象となる試料(例えば、試料S)の微細構造を観察する電気特性解析装置1100において、上記試料に荷電粒子線を照射する荷電粒子源(例えば、電子銃1102)と、上記荷電粒子線をパルス制御する電子パルス発生器(例えば、電子パルス発生器1103)と、上記パルス制御された荷電粒子線が上記試料に照射されることにより発生する2次電子を検出する検出器(例えば、2次電子検出器1109)とを有した荷電粒子光学系と、上記試料に所定波長の光を照射する光源(例えば、光源1114)と、上記所定波長の光をパルス制御するゲート(例えば、ゲート1113)とを有した光照射系と、上記電子パルス発生器によりパルス制御された荷電粒子線および上記ゲートによりパルス制御された上記所定波長の光が照射された上記試料の特性を検出する非接触プローブ(例えば、非接触プローブ1107)と、上記非接触プローブにより検出された上記試料の特性を計測する計測器(例えば、電流計1111A、表面電位計1111B)と、上記荷電粒子光学系と上記光照射系と上記非接触プローブとを制御する制御装置(例えば、制御装置1110)と、を備え、上記計測器は、上記非接触プローブに流れる電流を計測する上記電流計1111Aと、上記試料の表面電位を計測する上記表面電位計1111Bとを有し、上記制御装置は、パルス制御された上記荷電粒子線および上記所定波長の光に同期して上記非接触プローブを制御し、上記試料の特性として、上記荷電粒子線を照射させて上記試料の帯電を生成した後、上記所定波長の光が照射されたときの上記試料の表面電位の変化を上記表面電位計で測定し、上記非接触プローブに流れる電流を上記電流計で計測するので、実施例1、実施例2とは異なる方法で、従来の手法では測定できなかったデバイスの電気特性を測定することができる。
【0088】
また、本発明は、被検査試料と、当該被検査試料と同様の構造を有した解析用試料とを、荷電粒子線装置と接触プローブを備えた電気特性解析装置とを用いて検査する検査方法としても把握することができる。
【0089】
例えば、実施例1において、荷電粒子線を用いて観察対象となる被検査試料(例えば、試料S)の微細構造を観察する荷電粒子線装置で行われる検査方法であって、荷電粒子線を照射する荷電粒子源(例えば、電子銃102)と、前記荷電粒子線をパルス制御する電子パルス発生器(例えば、電子パルス発生器103)と、前記パルス制御された荷電粒子線が前記被検査試料に照射されることにより発生する2次電子を検出する検出器(例えば、2次電子検出器109)とを有した荷電粒子光学系と、前記被検査試料に所定波長の光を照射する光源(例えば、光源114)と、前記被検査試料または前記解析用試料に所定波長の光を照射する光源(例えば、光源114)と、前記所定波長の光をパルス制御するゲート(例えば、ゲート113)とを有した光照射系と、前記ゲートによりパルス制御された前記所定波長の光が照射された前記被検査試料または前記被検査試料の特性を検出する接触プローブ(例えば、微細接触プローブ107)と、前記接触プローブにより検出された前記被検査試料または前記被検査試料の特性を計測する計測器(例えば、電流・電圧計111)と、前記荷電粒子光学系と前記光照射系と前記接触プローブとを制御する制御装置(例えば、制御装置110)と、前記被検査試料または前記解析用試料を設置する可動式ステージ(例えば、ステージ108)を備え、前記制御装置は、前記所定波長の光に同期して前記接触プローブを制御し、前記被検査試料または前記解析用試料の特性を前記計測器で計測し、前記計測器が計測した値に基づいて回路モデルを生成する電気特性解析装置(例えば、電気特性解析装置900)と、を備えたシステムにおいて、前記電気特性解析装置から作成された前記回路モデルと前記荷電粒子線装置により検出した前記2次電子の検出信号を比較等することにより、前記被検査試料の回路定数または欠陥構造を推定する検査方法としても把握される。
【0090】
さらに、上記検査方法において、前記電気特性解析装置の前記接触プローブは、入力された計測座標まで自動操縦し、自動で前記被検査試料の電気特性を計測してもよい。例えば、プローブ接触条件入力部203から入力された条件、あるいは他のあらかじめ定められた条件に従って、制御装置110がプローブ107を所定の目標位置となる計測座標まで自動的に操作してもよい。
【0091】
さらに、上記検査方法において、前記電気特性解析装置は荷電粒子線を照射する荷電粒子源(例えば、電子銃102)と、前記荷電粒子線をパルス制御する電子パルス発生器(例えば、電子パルス発生器103)と、前記パルス制御された荷電粒子線が前記被検査試料に照射されることにより発生する2次電子を検出する検出器(例えば、2次電子検出器109)とを有した荷電粒子光学系を備えてもよい。
【0092】
さらに、上記検査方法において、前記電気特性解析装置(例えば、電気特性解析装置800)は、前記被検査試料または前記解析用試料に所定波長の光を照射する光源(例えば、光源814)と、前記所定波長の光をパルス制御するゲート(例えば、ゲート813)とを有した光照射系と、前記ゲートによりパルス制御された前記所定波長の光が照射された前記被検査試料または前記解析用試料の特性を検出する接触プローブ(例えば、微細接触プローブ107)と、前記接触プローブにより検出された前記被検査試料または前記解析用試料の特性を計測する計測器(例えば、電流・電圧計111)と、前記被検査試料または前記解析用試料と前記接触プローブを観察する光学顕微鏡(例えば、光学式顕微鏡801A)と、前記光照射系と前記接触プローブと前記光学顕微鏡を制御する制御装置(例えば、制御装置810)により前記被検査試料の回路定数または欠陥構造を推定してもよい。
【0093】
さらに、上記光学顕微鏡を有したシステムにおける上記検査方法において、例えば、図11に示したように、前記解析用試料の所定の領域に電極をコーティングするステップを有してもよい。
【0094】
さらに、上記検査方法において、前記電気特性解析装置(例えば、電気特性解析装置1100)は、荷電粒子線を照射する荷電粒子源(例えば、電子銃1102)と、前記荷電粒子線をパルス制御する電子パルス発生器(例えば、電子パルス発生器1103)と、前記パルス制御された荷電粒子線が前記被検査試料に照射されることにより発生する2次電子を検出する検出器(例えば、2次電子検出器1109)とを有した荷電粒子光学系と、前記被検査試料または前記解析用試料に所定波長の光を照射する光源(例えば、光源1114)と、前記所定波長の光をパルス制御するゲート(例えば、ゲート1113)とを有した光照射系と、前記電子パルス発生器によりパルス制御された荷電粒子線および前記ゲートによりパルス制御された前記所定波長の光が照射された前記被検査試料または前記被検査試料の特性を検出する非接触プローブ(例えば、非接触プローブ1107)と、前記被検査試料または前記解析用試料に流れる電流を計測する計測器(例えば、電流計1111A)と、を備え、前記電気特性解析装置を用いて、前記被検査試料の回路定数または欠陥構造を推定してもよい。
【0095】
さらに、上記計測器(例えば、電流計1111A、表面電位計1111B)を有したシステムにおいて、前記電気特性解析装置は、前記パルス制御された荷電粒子線により帯電した前記被検査試料または解析用試料を前記可動式ステージにより前記非接触プローブの位置に移動し、前記パルス制御された光に同期して前記非接触プローブにより表面電位を計測し、前記電流計により前記被検査試料または前記解析用試料に流れる電流を計測してもよい。
【符号の説明】
【0096】
100 荷電粒子線装置
800、900、1100 電気特性解析装置
101A SEM本体
101B SEM制御機器群
102 電子銃
103 電子パルス発生器
104 コンデンサレンズ
105 偏向器
106 対物レンズ
107 微細接触プローブ107
108 ステージ(試料ホルダ)
109 2次電子検出器
110 制御装置
111 電流・電圧計
112 光路レンズ
113 ゲート
114 光源
115、1151 計算機
116 演算器
117 記憶装置
118、1181 入出力装置
201 光条件入力部
202 電子線条件入力部
2021 プローブ接触条件入力部
203 電子デバイス回路情報入力部
204 電子デバイスレイアウト情報入力部
205 装置内モデルアップデート情報入力部
206 推定結果表示部
207 実測結果表示部
210 観察条件記憶部
211 回路マップモデル生成部
2121 装置内回路モデル生成部
212 装置内回路モデル記憶部
213 実測結果記憶部
214 回路シミュレーション
216 比較部
217 回路定数推定演算部
218 推定結果記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16