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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-06
(45)【発行日】2024-06-14
(54)【発明の名称】自動分析装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/02 20060101AFI20240607BHJP
   G01N 35/10 20060101ALI20240607BHJP
【FI】
G01N35/02 D
G01N35/10 F
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023119183
(22)【出願日】2023-07-21
(62)【分割の表示】P 2021555957の分割
【原出願日】2020-10-19
(65)【公開番号】P2023126656
(43)【公開日】2023-09-07
【審査請求日】2023-07-24
(31)【優先権主張番号】P 2019205278
(32)【優先日】2019-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】岩松 智昭
(72)【発明者】
【氏名】大草 武徳
(72)【発明者】
【氏名】末成 元
【審査官】鴨志田 健太
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/111469(WO,A1)
【文献】特開2008-224245(JP,A)
【文献】特開2019-148508(JP,A)
【文献】特開2010-216876(JP,A)
【文献】国際公開第2019/026498(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00-35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状部材を鉛直方向に沿って格納する格納部と、前記棒状部材を洗浄する洗浄部と、前記格納部の上部に、前記棒状部材を前記格納部に出し入れする際に、前記棒状部材の破損を防止する保護部と、を備え、
前記格納部は、円筒形状を有し、前記保護部の内径は、円筒形状の前記格納部の内径より小さく、
前記保護部は、リング形状を有し、該リングの内周の上下両方向にテーパを備え、
前記格納部と前記洗浄部は、一つの筒状体で構成する、ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
請求項1に記載の自動分析装置であって、
前記筒状体の内壁であって、前記筒状体の鉛直方向の中心よりも上側に、洗浄水を前記筒状体の外部へ排出する排出孔を備える、ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項3】
請求項1に記載の自動分析装置であって、
前記棒状部材は、ビーズミキサ機構の撹拌パドル、または試薬分注機構の試薬分注ノズルである、
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項4】
請求項に記載の自動分析装置であって、
前記格納部は、メンテナンス動作において、前記棒状部材を格納する、
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項5】
棒状部材を鉛直方向に沿って格納する格納部と、前記棒状部材を洗浄する洗浄部と、前記格納部の上部に、前記棒状部材を前記格納部に出し入れする際に、前記棒状部材の破損を防止する保護部と、を備え、
前記格納部と前記洗浄部は、一つの筒状体で構成され、
前記棒状部材は、ビーズミキサ機構の撹拌パドル、または試薬分注機構の試薬分注ノズルであり、
前記格納部は、メンテナンス動作において、前記棒状部材を格納する、
ことを特徴とする自動分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自動分析装置では、性能を一定レベルに保持するため、使用者に試料や試薬を分注するノズルやプローブ、ビーズ試薬を撹拌する攪拌パドルの清掃を要求している。また、試薬ボトルを搭載するため、使用者に自動分析装置内部の試薬保管部へ試薬ボトルの出し入れを要求する場合もある。
【0003】
しかし、自動分析装置内のユニット配置や検査室等の自動分析装置が設置される環境によって、使用者が装置前面から背面に配置された例えばB/F(Bound/Free)分離ユニットなどのユニットへアクセスしなければならない場合がある。その場合、使用者は装置前面の試薬分注機構などの他のユニットに接触しないように配慮し、障害となるユニットを手動で退避させる必要がある。使用者がユニットに接触した場合、ユニットの破損のリスクがあり、装置前面のユニットへ接触しない様に注意を払いつつ、作業を実施する必要があった。
そこで、特許文献1に記載の技術では、試薬分注機構のアームの軌道上に試薬分注機構が退避する試薬分注機構退避部を配置し、試薬分注ノズルを試薬分注機構退避部に退避させることで試薬分注ノズルと使用者等との直接の接触を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開番号WO2019/026498
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した試薬分注機構退避方式を適用した自動分析装置にあっては、試薬分注ノズルの接触防止を図ることが可能となったが、ビーズ試薬の撹拌を行うビーズミキサ機構の退避部と洗浄部の位置関係等の更なる検討により、自動分析装置の小型化・簡素化を図ることが望まれる。
【0006】
本発明の目的は、上記の課題を解決し、分注ノズル、およびビーズミキサ機構の攪拌パドル等の棒状部材への接触による破損リスク低減を図ると共に、装置の小型・簡素化を図ることが可能な自動分析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明においては、棒状部材を鉛直方向に沿って格納する格納部と、棒状部材を洗浄する洗浄部と、格納部の上部に、棒状部材を格納部に出し入れする際に、棒状部材の破損を防止する保護部と、を備え、格納部は、円筒形状を有し、保護部の内径は、円筒形状の格納部の内径より小さく、保護部は、リング形状を有し、リングの内周の上下両方向にテーパを備え、前記格納部と前記洗浄部は、一つの筒状体で構成する自動分析装置を提供する。
【0008】
また、本発明においては、筒状体の内壁であって、筒状体の鉛直方向の中心よりも上側に、洗浄水を筒状体の外部へ排出する排出孔を備えていても良い。
【発明の効果】
【0009】
メンテナンス等において撹拌パドルなどの棒状部材への接触による破損リスク低減を図ると共に、小型・簡素化を実現する自動分析装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例1に係る自動分析装置の概略構成例の上面図。
図2】実施例1に係る装置のビーズミキサ機構及びビーズミキサ洗浄部の模式図。
図3】実施例1に係る装置のビーズミキサ洗浄部の変形例を示す模式図。
図4】実施例1に係る装置のビーズミキサ洗浄部の具体的構成例を示す図。
図5】実施例1に係る装置の攪拌パドルと待機ポジションとの関係を説明するための断面図。
図6A】実施例1に係る、攪拌パドルの洗浄ステップの攪拌パドルの状態等を示す図。
図6B】実施例1に係る、攪拌パドルの洗浄ステップの攪拌パドルの状態(続き)を示す図。
図7】実施例1に係る装置の分析動作時の攪拌パドルの洗浄手順の動作フローチャートを示す図。
図8】実施例1に係る装置のメンテナンス動作時の攪拌パドルの動作フローチャートを示す図。
図9】実施例2に係る装置の試薬分注機構及び試薬分注ノズル洗浄部の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。
以下の実施例では、自動分析装置を一例として説明する。自動分析装置には、例えば生化学自動分析装置、免疫自動分析装置、などが挙げられる。ただし、これは本発明の単なる一例であって、本発明は以下説明する実施の形態に限定されるものではなく、検体と試薬を反応させて当該反応の結果に基づいて検体の分析を行う装置を広く含む。例えば、臨床検査に用いる質量分析装置や血液の凝固時間を測定する凝固分析装置なども含まれる。また、これらと生化学自動分析装置、免疫自動分析装置との複合システム、またはこれらを応用した自動分析システムにも適用可能である。
【0012】
なお、本明細書において、待機とは装置のメンテナンス動作時に、装置の棒状部材と作業者の接触を防止するため、棒状部材を退避させることを意味する。棒状部材として、攪拌パドル以外に、試薬分注ノズルや検体分注ノズル等の分注ノズルなどがあり、本発明はこれら攪拌パドル以外の自動分析装置の棒状部材にも適用できる。
【実施例1】
【0013】
実施例1は、免疫反応を利用して血液や尿などの検体中の特定成分を自動で分析する自動分析装置の実施例である。この免疫反応を利用した免疫分析法では、抗原抗体反応により測定対象成分と標識物質を結合させ、標識物質から得られる信号(発光、吸光等)により、当該物質の定量や定性を行う。
【0014】
この際、過剰に加えられた標識物質を除去するために、対象物質と結合していない標識物質を除去するB/F分離という操作が行われる。自動分析装置では、B/F分離を自動的に行うために磁性ビーズを使用した方法が広く採られている。磁性ビーズを使用したB/F分離では、測定対象物質と標識物質が結合した免疫複合体にさらに磁性ビーズを結合させ、磁石で磁性ビーズを吸着させた状態で溶液を置換するなどして過剰な標識物質を反応液から除去している。この方法は自動化に向いているため、自動分析装置で広く用いられている。
【0015】
しかし、磁性ビーズは比重が溶液より大きいため重力により沈降し、濃度の不均一性が生じる。この磁性ビーズの濃度不均一化は、分析結果が正しく得られない原因となる。このため、自動分析装置では、試薬容器に収納された磁性ビーズを含有する試薬(以下ビーズ試薬)を攪拌して濃度を均一にするための機構を有する。
【0016】
磁性ビーズの攪拌は、パドル状の構造を持った攪拌部材をビーズ試薬溶液中に入れて、攪拌部材を回転して行うことが多い。ビーズ試薬攪拌後には攪拌部材に攪拌した液体が付着する。このように液体を付着させたまま別の液体の攪拌を行うと、液体同士の混合が発生し、組成が変化し、分析が正しく行われなくなる可能性があり、そのため、攪拌後は攪拌部材を洗浄する必要がある。
【0017】
上記課題に対応するため、本実施例においては、ビーズ試薬を攪拌するための撹拌パドルと、撹拌パドルを洗浄する洗浄槽と、洗浄槽に並置された、
撹拌パドルを待機させる待機ポジションと、洗浄槽に洗浄水を流入する流入口と、を備え、待機ポジションを、洗浄槽から溢れ出た洗浄水が待機ポジションに流入するよう配置する。
【0018】
図1は、実施例1に係る自動分析装置1の概略構成例の上面図である。自動分析装置1の全体を覆うトップカバーである破線で示した安全カバー4があり、扉開閉検知センサ201にて、安全カバー4の開閉を検出する。この安全カバー4は、安全カバー前辺、ロック受け部22、ロック部(インターロックユニット)23、手掛け部24を有している。
【0019】
また、同図に示す自動分析装置は、検体ラック5aを搬送する検体搬送ライン5と、複数の試薬容器3を保管する試薬ディスク2と、反応ディスクであるインキュベータ9、検体を分注する検体分注機構6と、試薬分注機構15と、攪拌パドル17を用いてビーズ試薬撹拌を行うビーズミキサ機構16と、B/F分離ユニット30を構成するB/F分離プローブ33、検出ユニット31などを備えている。
【0020】
検体ラック5aは、血液や尿などの生体の検体を収容する複数の検体容器、すなわち試料容器が収納されるものであり、検体容器が収納された状態で検体ラック5aが検体搬送ライン5上を搬送される。
【0021】
試薬保冷庫21は、円筒形状を有し、試薬ディスク2を収容する。試薬ディスク2の上面の少なくとも一部は試薬ディスクカバーにより覆われている。試薬保冷庫21の上面には、試薬ディスク2に対する試薬容器3の着脱を行うための試薬容器装填口20が設けられる。また、試薬容器装填口20には、開閉式の試薬容器装填口蓋が設けられる。試薬保冷庫21は、試薬容器3を一定の温度に制御するために、断熱機能を有する。
【0022】
インキュベータ9は、検体と試薬を反応させるための複数の反応容器14が配置される反応容器配置部と、反応容器14の温度を所望の温度に調整する図示を省略した温度調整機構を有している。検体分注機構6は、回転駆動機構や上下駆動機構を有し、これらの駆動機構により検体容器から検体を吸引し、インキュベータ9に収容された反応容器14上に移動して、反応容器14内に検体を分注することが可能である。
また、試薬分注機構15も同じく回転駆動機構や上下駆動機構を有し、これらの駆動機構により試薬容器3から試薬を吸引し、インキュベータ9に収容された反応容器14上に移動して、反応容器14内に試薬を分注する。ビーズ試薬攪拌を行うビーズミキサ機構16は、後で説明するように、回転駆動機構や上下駆動機構を有し、棒状の攪拌パドル17を回転させることにより試薬容器3内の試薬の撹拌を行う。また、自動分析装置1は、攪拌パドル17を洗浄するためのビーズミキサ洗浄部18、試薬分注ノズルを洗浄する試薬分注ノズル洗浄部19を有する。
【0023】
検体分注チップ/反応容器供給部であるチップラック7には検体分注チップ10や、反応容器14が載置される。検体分注チップ/反応容器搬送機構8は、チップラック7から反応容器14を、検体分注チップバッファ11を介してインキュベータ9に搬送する。検体分注チップバッファ11の側には、検体分注チップ/反応容器廃棄孔12や撹拌機構13が設置されている。
【0024】
検体分注チップ/反応容器搬送機構8は、未使用である複数の反応容器14や検体分注チップ10をチップラック7からインキュベータ9や、検体分注機構6がアクセスする検体分注チップバッファ11へ搬送したり、反応液が入った反応容器14をインキュベータ9から撹拌機構13へ搬送したりする。
検出ユニットカバー32内に設置されるB/F分離ユニット30は、磁性ビーズを集磁する分離部34と、反応液の吸引、緩衝液の吐出を行うB/F分離プローブ33と、B/F分離プローブ33を洗浄するB/F分離プローブ洗浄部35と、一旦集磁された磁性ビーズを再分散させるためのB/F分離攪拌部36と、インキュベータ9に設置された反応容器14をB/F分離ユニット30や検出ユニット31に搬送する搬送機構37などを備える。
検出ユニット31は、図示を省略した、反応容器14内の反応液を吸引する反応液吸引ノズルと、光電子増倍管や光源ランプ、分光器、フォトダイオードなどを備え、それらの温度を調整する機能を持ち、反応液の分析を行う。
【0025】
さらに、自動分析装置1は、全体の動作を制御する制御ユニット200を備えている。制御ユニット200は通常のコンピュータ構成で実現でき、中央処理部(CPU)、記憶部(メモリ)、ハードディスクなどの外部記憶装置、操作部などを有する。操作部は、例えばディスプレイである表示部や、マウス、キーボードなどの入力装置から構成されている。制御ユニット200に接続される図示を省略した制御装置は、専用の回路基板によってハードウェアとして構成されていてもよいし、自動分析装置1に接続されたホストコンピュータで実行されるソフトウェアによって構成されてもよい。
ハードウェアにより構成する場合には、処理を実行する複数の演算器を配線基板上、または半導体チップまたはパッケージ内に集積することにより実現できる。ソフトウェアにより構成する場合には、ホストコンピュータに高速な汎用CPUを搭載して、所望の演算処理を実行するプログラムを実行することで実現できる。このプログラムが記録された記録媒体により、既存の装置をアップグレードすることも可能である。また、これらの装置や回路、コンピュータ間は有線又は無線のネットワークで接続され、適宜データが送受信される。
【0026】
図2は、本実施例の自動分析装置のビーズミキサ機構16及びビーズミキサ洗浄部18の模式図である。同図において、ビーズミキサ機構16は、その先端に棒状の攪拌パドル17が取り付けられ、攪拌パドル17を回転するモータ162が設置されたビーズミキサアーム161を有する。また、ビーズミキサ機構16は、上下駆動用モータ164と、機構軸168とは独立して上下動作可能なシャフト163と、上下駆動用モータ164とシャフト163を接続する上下駆動用ベルト166とを備えることで攪拌パドル17の上下駆動を可能にする。更に、ビーズミキサ機構16は、回転駆動用モータ165と、回転駆動用モータ165と機構軸168を接続する回転駆動用ベルト167を備えることで、撹拌パドル17の回転駆動を可能にする。
一方、ビーズミキサ洗浄部18は、洗浄槽181と、洗浄槽181に並置され、攪拌パドル17を格納して、待機させる待機ポジション182と、洗浄槽181に水を給水する給水口183を備えている。洗浄部である洗浄槽181と格納部である待機ポジション182は、撹拌パドル17を鉛直方向に沿って格納可能に構成され、それぞれ水平方向に並列して配置されることにより、装置の小型・簡略化をもたらすことができる。待機ポジション182の鉛直方向長さは、洗浄槽181の鉛直方向長さよりも長くしてある。待機時における撹拌パドル17の破損リスクを防止するためである。
【0027】
また、洗浄槽181と待機ポジション182はそれぞれ排水口184、185を備え、給水口183、排水口184、排水口185はそれぞれバルブ186に接続される。更に、3個のバルブ186はそれぞれ、ドレン187、ドレン188、ポンプ189に接続される。洗浄槽181、待機ポジション182内部の水は、排水口184、185、バルブ186を経由して、ドレン187、188に流れる。また、ポンプ189は、ポンプ制御装置の制御に基づき、給水タンク190から洗浄水を給水口183に供給することができる。
【0028】
図3は、本実施例の自動分析装置のビーズミキサ洗浄部18の変形例を示す模式図である。本構成にあっては、図2に示したビーズミキサ洗浄部18の洗浄槽181と待機ポジション182を兼ねる一つの筒状部材193で構成している。この格納部である待機ポジションと洗浄部である洗浄槽の一体化により、ビーズミキサ洗浄部の更なる小型・簡素化を図ることができる。
図3において、図2と異なる構成部分のみ図示し、同一部分の図示説明は省略した。
【0029】
同図に示すように、図2に示した洗浄槽181と待機ポジション182は、筒状部材193に一体化され、更に、この一体化した筒状部材193の上面部分に攪拌パドル17の接触を防止するパドル接触防止リング191が設置されている。この接触防止リング191の内周の上下両方向にテーパを備え、撹拌パドル17の挿入・抜去時の破損リスクを低減している。
【0030】
また、筒状部材193の所定の高さ、好適には延長方向の中心より上側の位置に、洗浄水をオーバーフローさせる排出孔となるオーバーフローパイプ192を備えている。このように、筒状体の内壁であって、筒状体の鉛直方向の中心よりも上側に、洗浄水を筒状体の外部へ排出する排出孔を備えている。この排出孔によるオーバーフロー高さは、試薬容器3の液面高さよりも高くする。このような構成とすることにより、図2に示した構成と同様な効果を持ち、更なる小型化を図ることが可能な自動分析装置を提供することができる。
【0031】
図4に本実施例のビーズミキサ洗浄部18のより具体的な構成例を示す図である。同図の(a)はビーズミキサ洗浄部18の斜視図を示し、同図の(b)はその上部の断面構造図である。図2で説明した通り、洗浄槽181と待機ポジション182は並列配置されている。
【0032】
同図に明らかなように、ビーズミキサ洗浄部18の待機ポジション182の上部に、棒状部材の保護部となるパドル接触防止リング191が設置されており、攪拌パドル17を待機ポジション182に待機、格納させる際に、待機ポジション182の壁面に接触するのを防止することができる。パドル接触防止リング191は、洗浄水が待機ポジション182に流入する位置よりも鉛直方向の上側に配置される。また、保護部であるパドル接触防止リング191の下面をテーパ形状195とすることにより、攪拌パドル17を待機ポジション182から取り出す際の破損リスクを低減することができる。
また、同図においても、図3に示したように、接触防止リング191の上下面をテーパ形状としても良い。
【0033】
同図の(b)に示すように、給水口183より注入される洗浄水は洗浄槽181の上面から、下方に傾く斜面を有する溝に沿って洗浄槽181の内部に流入し、洗浄槽181の壁面に沿い螺旋状に下流に流れる渦流196となる。また、洗浄槽181から洗浄水がオーバーフロー194となって待機ポジション182に流入させるため、洗浄槽181と待機ポジション182が接する両者の内壁の高さを、ビーズミキサ洗浄部18の上面よりDT低くしている。
【0034】
このように、攪拌パドル17を待機・格納させる待機ポジション182と、洗浄水のオーバーフロー用のパイプの一体化を行い、装置の小型・簡素化を図ることができる。また、洗浄槽181からの洗浄水を一体化された待機ポジション182へオーバーフロー194させることにより、待機ポジション182の壁面の洗浄を行うことができ、壁面への埃等の付着を抑制させることが可能となる。このような待機ポジション182を有することで、メンテナンス時等において攪拌パドル17等の棒状部材への接触による破損リスク低減を図ることができる。更に、待機ポジション182の上部にパドル接触防止リング191を備え、メンテナンス時等において待機ポジション182への収納時に、攪拌パドル17に想定外の外力が加わらないようにし、攪拌パドル17の破損リスク低減を図ることができる。また、パドル接触防止リング191の下面、或いは上下面のテーパ形状により、攪拌パドル17を待機ポジション182に出し入れする際の破損リスクを低減することができる。
【0035】
図5は、上述した本実施例の攪拌パドル17と待機ポジション182との関係を説明するための断面図である。同図に示すように、攪拌パドル17が待機、格納される際に、撹拌パドル17は待機ポジション182のパドル接触防止リング191上部から挿入されるが、パドル接触防止リング191の内径DAより、待機ポジション182の内径DBを大きくすることにより、攪拌パドル17が待機ポジション182の内壁に接触することを抑制できる。また、上述したように、パドル接触防止リング191の下面をテーパ形状195とすることにより、攪拌パドル17を取り出す際の破損リスクを低減することができる。
【0036】
続いて、図6A図6B図7を用いて、本実施例の自動分析装置の分析動作時の攪拌パドル17の洗浄ステップの動作説明を行う。図6A図6Bは、図7に示す攪拌パドルの洗浄手順を表したフローチャートの各洗浄ステップ(S101~S114)の攪拌パドル17の状態や洗浄水の水位を示す図である。
【0037】
図6Aの(a)は攪拌パドル17が撹拌位置上空に来るようにビーズミキサ機構16のアームを回転させ、攪拌パドル17を試薬容器3の撹拌位置へ下降後、攪拌パドル17を回転して撹拌を行っている状態を示す(S101、S102、S103)。同図の(b)は、空転位置へ上昇し、攪拌パドル17を回転・乾燥させている状態を示す(S104、S105)。同図の(c)は、攪拌パドル17を撹拌位置上空へ移動している状態を示す(S106)。
【0038】
図6Bの(d)は、攪拌パドル17が撹拌位置に来るように、洗浄槽181の上空へアームを移動し、給水のためバルブ186を開けることにより、洗浄水が壁面に沿って渦流を形成しつつ流入する状態を示す(S107、S108)。同図の(e)は、攪拌パドル17を洗浄位置へ下降し、待機ポジション182へ洗浄水をオーバーフローさせ、洗浄槽181のバルブ186を閉じ、攪拌パドル17を回転して洗浄を行う状態を示す(S109、S110、S111)。同図の(f)は、攪拌パドル17を空転位置へ上昇させた後、空転・乾燥を行い、洗浄槽181上空へ上昇させ、終了した状態を示す(S112、S113、S114)。
【0039】
図7は、自動分析装置の分析動作時のビーズミキサ機構の攪拌パドル17の洗浄手順を表したフローチャートであり、ステップ(S101~S114)各々の内容は上述の通りであり、ここでは説明を省略する。分析動作時においては、ビーズミキサ洗浄部18の待機ポジション182は使用していない。待機ポジション182は、メンテナンス動作時において、手動または自動で格納する際に使用される。
【0040】
以下、図8の本実施例の自動分析装置のメンテナンス動作時の動作フローチャートを示す図を用いて、メンテナンス時の自動・手動の切り分け動作等を説明する。自動の場合、安全カバー4が閉じた状態で、制御ユニット200の表示部の画面を使って実行が可能となる。一方、手動の場合、安全カバー4が開いた状態であれば、手動で待機ポジション182へ収納可能である。また、攪拌パドル17自体を清掃したい場合には、手動でビーズミキサ機構16のビーズミキサアーム161を持ち上げて清掃可能である。
【0041】
図8のメンテナンス時の動作フローチャートに示すように、待機要求があった場合(S201)、機構リセットされ(S202)、ホーム位置へ移動する(S203)。その後、攪拌パドル17は、ビーズミキサ機構16のアームの回転により、待機ポジション182の上空へ回転する(S204)。その後、待機位置へ下降し(S205)、待機継続する(S206)。メンテナンス作業完了により(S207でYES)、待機解除要求を行う(S208)。この待機解除要求に従い、攪拌パドル17は待機位置上空へ上昇する(S209)。ホーム位置へ回転した後(S210)、メンテナンス動作が終了する。
【0042】
以上詳述した実施例1の自動分析装置によれば、待機ポジションを有することで、メンテナンス時等において、撹拌パドルへの接触による、破損リスク低減を図ることができる。また、撹拌パドルの待機ポジションと洗浄水のオーバーフローパイプの一体化を行い、小型・簡素化を図ることができる。
更に、待機ポジションへ洗浄槽からの洗浄水をオーバーフローさせることにより、待機ポジション壁面の洗浄を行うことで壁面への埃等の付着を抑制させることが可能となる。また更に、待機ポジションの上部にパドル接触防止リングを備えることにより、メンテナンス時等において待機・収納時にパドルに想定外の外力が加わらないようにし、パドルの破損リスク低減を図ることができる。更にまた、パドル接触防止リング内径が待機ポジションの壁面内径より小さいことにより、撹拌パドルの待機ポジション壁面への接触を防止することができる。
【実施例2】
【0043】
実施例2は、棒状部材が試薬分注ノズルである場合の自動分析装置の試薬分注機構の実施例である。試薬分注機構においても、分注ノズルに残った吸着物質が次の試薬の分注時に遊離して混入する懸念があり、これを防止するために試薬分注ノズルの洗浄機構を備える必要がある。図9は、実施例2による試薬分注機構90及び試薬分注ノズル洗浄部100の模式図である。なお、図9において、実施例1の装置と共通する部分については説明を省略する。
【0044】
同図において、試薬分注機構90は、試薬分注アーム91の先端部のノズルガイド92から試薬分注ノズル93が真下に伸び、試薬を分注する。試薬分注アーム91は、独立して上下動作可能なシャフト94と、上下駆動用のモータ97とシャフト94を接続する上下駆動用ベルト95を備えることで、試薬分注ノズル93を含む試薬分注アーム91の上下駆動を可能にする。
さらに、回転駆動用のモータと分注シリンジ99を接続する回転駆動用ベルト96を備えることで、試薬分注アーム91の回転駆動を可能にする。更に、分注シリンジ99を動作させることにより、試薬分注ノズル93から試薬を分注することができる。
【0045】
試薬分注ノズル洗浄部100は、試薬分注洗浄槽101、ノズルガイド収納部102、給水口103、洗浄液供給口104、洗浄槽105、排水口106、待機ポジション107、排水口108、バルブ109、洗浄液シリンジ110等から構成される。実施例1同様、洗浄水はポンプ制御装置によって制御されたポンプの動作により、試薬分注洗浄槽101に送られ、洗浄液と共に試薬分注ノズル93の洗浄を行うために用いられる。使用済みの洗浄水は排水口106、バルブを経由してドレンに流れる。
【0046】
本実施例の試薬分注機構においても実施例1同様、待機ポジションを有することで、メンテナンス時等において、試薬分注ノズルへの接触による、破損リスク低減を図ることができる。また、試薬分注ノズルの待機ポジションと洗浄水のオーバーフローパイプの一体化を行うことにより、小型・簡素化を図ることができる。更に、待機ポジションへ洗浄槽からの洗浄水をオーバーフローさせることにより、待機ポジション壁面の洗浄を行うことで壁面への埃等の付着を抑制させることが可能となる。
【0047】
本発明は上述した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上述した実施例は本発明のより良い理解のために詳細に説明したのであり、必ずしも説明の全ての構成を備えるものに限定されるものではない。上述の実施例では、棒状部材として撹拌パドルや試薬分注ノズルで説明したが、検体分注ノズル等の自動分析装置の他の棒状部材の待機・格納にも、同様の構成が適用可能である。
【0048】
更に、上述した各構成、機能、制御部等は、それらの一部又は全部を実現するプログラムを作成する例を中心に説明したが、それらの一部又は全部を例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現しても良いことは言うまでもない。すなわち、処理部の全部または一部の機能は、プログラムに代え、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路などにより実現してもよい。
【符号の説明】
【0049】
1…自動分析装置、2…試薬ディスク、3…試薬容器、4…安全カバー、5…検体搬送ライン、5a…検体ラック、6…検体分注機構、7…チップラック(検体分注チップ/反応容器供給部)、8…検体分注チップ/反応容器搬送機構、9…インキュベータ、10…検体分注チップ、11…検体分注チップバッファ、12…検体分注チップ/反応容器廃棄孔、13…撹拌機構、14…反応容器、15…試薬分注機構、16…ビーズミキサ機構、17…撹拌パドル、18…ビーズミキサ洗浄部、19…試薬分注ノズル洗浄部、20…試薬容器装填口、21…試薬保冷庫、22…ロック受け部、23…ロック部(インターロックユニット)、24…手掛け部、30…B/F分離ユニット、31…検出ユニット、32…検出ユニットカバー、33…B/F分離プローブ、34…分離部、35…B/F分離プローブ洗浄部、36…B/F分離攪拌部、37…搬送機構、90…試薬分注機構、91…試薬分注アーム、92…ノズルガイド、93…試薬分注ノズル、99…分注シリンジ、100…試薬分注ノズル洗浄部、101…試薬分注洗浄槽、102…ノズルガイド収納部、103、183…給水口、104…洗浄液供給口、105、181…洗浄槽、106、108、184、185…排水口、107、182…待機ポジション、109、186…バルブ、110…洗浄液シリンジ、187、188…ドレン、189…ポンプ、190…給水タンク、191…パドル接触防止リング、194…オーバーフロー、195…テーパ形状、196…渦流、200…制御ユニット、201…扉開閉検知センサ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9