(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】少なくとも1種のジアミン、ジカルボン酸およびダイマー酸のコポリアミドを含むポリマーフィルム
(51)【国際特許分類】
C08G 69/36 20060101AFI20240610BHJP
C08J 5/18 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
C08G69/36
C08J5/18 CFG
(21)【出願番号】P 2019514096
(86)(22)【出願日】2017-09-05
(86)【国際出願番号】 EP2017072230
(87)【国際公開番号】W WO2018050488
(87)【国際公開日】2018-03-22
【審査請求日】2020-09-04
【審判番号】
【審判請求日】2022-07-27
(32)【優先日】2016-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ロルフ ミンクヴィッツ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス トーマス ヘードラー
【合議体】
【審判長】加藤 友也
【審判官】植前 充司
【審判官】天野 宏樹
(56)【参考文献】
【文献】特開平2-53823(JP,A)
【文献】特開昭63-23927(JP,A)
【文献】特開昭51-14997(JP,A)
【文献】特表2016-508081(JP,A)
【文献】特開2014-61634(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 69/36
C08J 5/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーフィルム(P)であって、該ポリマーフィルム(P)は、以下の成分:
(A)以下の成分からなる第1のモノマー混合物(M1)50~85重量%
(A1)少なくとも1種のC
4~C
12-ジカルボン酸および
(A2)少なくとも1種の第1のC
4~C
12-ジアミン
と、
(B)以下の成分からなる第2のモノマー混合物(M2)15~50重量%
(B1)少なくとも1種のC
32~C
40-ダイマー酸および
(B2)少なくとも1種の第2のC
4~C
12-脂肪族ジアミン
との重合によって製造された少なくとも1種のコポリアミドを含み、ここで、前記成分(A)および(B)の重量パーセントはそれぞれ、前記成分(A)および(B)の重量パーセントの合計を基準とし、前記成分(A)は、それぞれ前記成分(A)の全物質量を基準として、45~55モル%の範囲の前記成分(A1)と、45~55モル%の範囲の前記成分(A2)とを含み、前記成分(B)は、それぞれ前記成分(B)の全物質量を基準として、45~55モル%の範囲の前記成分(B1)と、45~55モル%の範囲の前記成分(B2)とを含み、かつ、96重量%硫酸中の前記少なくとも1種のコポリアミドの0.5重量%溶液中で測定した場合に、前記少なくとも1種のコポリアミドは、120~300ml/gの範囲の粘度数(VN
(C))を有し、かつ、前記少なくとも1種のコポリアミドは溶融温度(T
M(C))を有し、前記溶融温度(T
M(C))は220~290℃の範囲にある、ポリマーフィルム(P)。
【請求項2】
ポリマーフィルム(P)であって、該ポリマーフィルム(P)は、以下の成分:
(A)以下の成分からなる第1のモノマー混合物(M1)50~85重量%
(A1)少なくとも1種のC
4~C
12-ジカルボン酸および
(A2)少なくとも1種の第1のC
4~C
12-ジアミン
(A3)少なくとも1種のラクタム
と、
(B)以下の成分からなる第2のモノマー混合物(M2)15~50重量%
(B1)少なくとも1種のC
32~C
40-ダイマー酸および
(B2)少なくとも1種の第2のC
4~C
12-脂肪族ジアミン
(B3)少なくとも1種のラクタム
との重合によって製造された少なくとも1種のコポリアミドを含み、ここで、前記成分(A)および(B)の重量パーセントはそれぞれ、前記成分(A)および(B)の重量パーセントの合計を基準とし、前記成分(A)は、それぞれ前記成分(A)の全物質量を基準として、35~49.95モル%の範囲の成分(A1)と、35~49.95モル%の範囲の成分(A2)と、0.1~25モル%の範囲の成分(A3)とを含み、前記成分(B)は、それぞれ前記成分(B)の全物質量を基準として、35~49.95モル%の範囲の成分(B1)と、35~49.95モル%の範囲の成分(B2)と、0.1~25モル%の範囲の成分(B3)とを含み、かつ、96重量%硫酸中の前記少なくとも1種のコポリアミドの0.5重量%溶液中で測定した場合に、前記少なくとも1種のコポリアミドは、120~300ml/gの範囲の粘度数(VN
(C))を有し、かつ、前記少なくとも1種のコポリアミドは溶融温度(T
M(C))を有し、前記溶融温度(T
M(C))は220~290℃の範囲にある、ポリマーフィルム(P)。
【請求項3】
前記成分(A1)は、ペンタン二酸、ヘキサン二酸、デカン二酸、ドデカン二酸、テレフタル酸およびイソフタル酸からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1または2に記載のポリマーフィルム(P)。
【請求項4】
前記成分(A2)および前記成分(B2)は、それぞれ互いに独立して、1,4-ブタンジアミン、1,5-ペンタメチレンジアミン、1,6-ヘキサメチレンジアミン、1,10-デカメチレンジアミンおよび1,12-ドデカメチレンジアミンからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載のポリマーフィルム(P)。
【請求項5】
前記成分(B1)は、不飽和C
16脂肪酸、不飽和C
18脂肪酸および不飽和C
20脂肪酸からなる群から選択される不飽和脂肪酸から出発して製造されることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載のポリマーフィルム(P)。
【請求項6】
前記少なくとも1種のコポリアミドは少なくとも1つのガラス転移温度(T
G(C))を有し、前記ガラス転移温度(T
G(C))は-10~70℃の範囲にあることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載のポリマーフィルム(P)。
【請求項7】
前記ポリマーフィルム(P)は、前記少なくとも1種のコポリアミドを含む少なくとも1つの第1の層を含み、かつ前記ポリマーフィルム(P)は、少なくとも1つのさらなる層を含み、ここで、前記少なくとも1つのさらなる層は、少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)を含み、前記ポリマー(FP)は、ポリオレフィン、ポリ(エチレン・ビニルアルコール)、ポリ(エチレン・酢酸ビニル)、ポリエチレンテレフタラート、ポリ塩化ビニリデン、および無水マレイン酸をグラフトしたポリオレフィンからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載のポリマーフィルム(P)。
【請求項8】
キャスティング法、インフレーション法、二軸配向ポリアミドフィルム法またはマルチインフレーション法で製造されることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載のポリマーフィルム(P)。
【請求項9】
0.1μm~1mmの範囲の厚さを有することを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載のポリマーフィルム(P)。
【請求項10】
請求項1に記載のポリマーフィルム(P)の製造方法であって、以下:
i)以下の成分:
(A)以下の成分からなる第1のモノマー混合物(M1)50~85重量%
(A1)少なくとも1種のC
4~C
12-ジカルボン酸および
(A2)少なくとも1種の第1のC
4~C
12-ジアミン
と、
(B)以下の成分からなる第2のモノマー混合物(M2)15~50重量%
(B1)少なくとも1種のC
32~C
40-ダイマー酸および
(B2)少なくとも1種の第2のC
4~C
12-脂肪族ジアミン
との重合により製造された少なくとも1種のコポリアミドを準備する工程であって、ここで、前記成分(A)および(B)の重量パーセントはそれぞれ、第1の押出機内の溶融形態の前記成分(A)および(B)の重量パーセントの合計を基準とするものである工程、
ii)前記工程i)で準備された溶融形態の少なくとも1種のコポリアミドを前記第1の押出機からダイを通して押し出して、前記溶融形態の少なくとも1種のコポリアミドのフィルムを得る工程、
iii)前記工程ii)で得られた溶融形態の少なくとも1種のコポリアミドのフィルムを冷却して前記少なくとも1種のコポリアミドを固化させることで、ポリマーフィルム(P)を得る工程
を含む方法。
【請求項11】
請求項2に記載のポリマーフィルム(P)の製造方法であって、以下:
i)以下の成分:
(A)以下の成分からなる第1のモノマー混合物(M1)50~85重量%
(A1)少なくとも1種のC
4~C
12-ジカルボン酸および
(A2)少なくとも1種の第1のC
4~C
12-ジアミン
(A3)少なくとも1種のラクタム
と、
(B)以下の成分からなる第2のモノマー混合物(M2)15~50重量%
(B1)少なくとも1種のC
32~C
40-ダイマー酸および
(B2)少なくとも1種の第2のC
4~C
12-脂肪族ジアミン
(B3)少なくとも1種のラクタム
との重合により製造された少なくとも1種のコポリアミドを準備する工程であって、ここで、前記成分(A)および(B)の重量パーセントはそれぞれ、第1の押出機内の溶融形態の前記成分(A)および(B)の重量パーセントの合計を基準とするものである工程、
ii)前記工程i)で準備された溶融形態の少なくとも1種のコポリアミドを前記第1の押出機からダイを通して押し出して、前記溶融形態の少なくとも1種のコポリアミドのフィルムを得る工程、
iii)前記工程ii)で得られた溶融形態の少なくとも1種のコポリアミドのフィルムを冷却して前記少なくとも1種のコポリアミドを固化させることで、ポリマーフィルム(P)を得る工程
を含む方法。
【請求項12】
工業用フィルムまたは包装用フィルムとしての、請求項1から
9までのいずれか1項記載のポリマーフィルム(P)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
説明
本発明は、少なくとも1種のコポリアミドを含むポリマーフィルム(P)に関する。前記コポリアミドは、第1のモノマー混合物(M1)と第2のモノマー混合物(M2)との重合により製造される。さらに本発明は、前記ポリマーフィルム(P)の製造方法および高温用途での前記ポリマーフィルム(P)の使用に関する。
【0002】
ポリアミドは非常に良好な機械的特性を特徴とし、特に高強度で高靭性を示すとともに耐薬品性が良好でかつ耐摩耗性が高いことから、工業的に特に重要である。ポリアミドは、例えば釣り糸、登山用ロープおよびカーペット裏地の製造に使用されている。さらにポリアミドは、包装用フィルムおよび包装用外装の製造に用いられている。
【0003】
包装用フィルムおよび包装用外装としての使用ならびにその製造方法に関する概要は、例えばEncylcopedia of Polymer Science and Engineering 2nd Ed., Vol. 7, pp. 73-127, Vol. 10, pp. 684-695 (John Wiley & Sons, Inc., 1987)に記載されている。しかし、該文献に記載されているポリアミドフィルムは非常に剛性が高く、引裂伝播抵抗が低くかつ高密度である。
【0004】
したがって、包装用フィルムおよび包装用外装には、また特に高温用途では、異なるポリアミドの好ましい特性を併せ持つコポリアミドが使用されることが多い。従来技術では、種々のコポリアミドが記載されている。
【0005】
欧州特許出願公開第0352562号明細書(EP 0352562)には、ε-カプロラクタムと好ましくは1~10重量部のダイマー酸とジアミンとから製造されたコポリアミドで製造されたホイルが記載されている。その後、該コポリアミドを、フラットフィルムまたはインフレートフィルムの製造に使用することができる。該コポリアミドは、複合ホイルの製造にも同様に適している。
【0006】
この欧州特許出願公開第0352562号明細書(EP 0352562)に記載のコポリアミド製ホイルの欠点は、該ホイルの引裂伝播抵抗が比較的低く、弾性率が高くかつ破断エネルギーが低く、さらには高温用途には劣悪な状態でしか使用できないかまたはその上まったく使用できないという点にある。
【0007】
独国特許出願公開第2846596号明細書(DE 2846596)には、カプロラクタムと脂肪酸二量体とヘキサメチレンジアミンとから構成されたコポリアミドから製造された成形体が記載されている。しかし、記載されているコポリアミドを押出しによりフィルムに成形することは不可能であり、したがって該コポリアミドは、温度に関して高い要求が課されているフィルムにも適さない。
【0008】
米国特許第4,387,184号明細書(US 4,387,184)には、多相ポリアミド組成物が記載されている。該多相ポリアミド組成物は、ポリアミドマトリックスと、その中に分散された、同様にポリアミドを含む相とを含む。該多相ポリアミド組成物は、フィルムへの加工が可能である。この米国特許第4,387,184号明細書(US 4,387,184)に記載されているフィルムの欠点は、該フィルムの透明性がごくわずかしかないかまたは透明性をまったく示さない点や、該フィルムの機械的特性が劣悪であり、特に弾性率が高く、ひいては剛性が高い点にある。
【0009】
したがって本発明は、ポリアミドを含み、かつ従来技術に記載されたポリマーフィルムの欠点を有しないかまたは極めて低減された程度でしか有しないポリマーフィルム(P)を提供するという課題に基づいていた。該ポリマーフィルム(P)はさらに、可能な限り簡便かつ廉価で製造可能であることが望まれていた。
【0010】
前記課題は、ポリマーフィルム(P)であって、該ポリマーフィルム(P)は、以下の成分:
(A)以下の成分を含む第1のモノマー混合物(M1)15~95重量%
(A1)少なくとも1種のC4~C12-ジカルボン酸および
(A2)少なくとも1種の第1のC4~C12-ジアミン
と、
(B)以下の成分を含む第2のモノマー混合物(M2)5~85重量%
(B1)少なくとも1種のC32~C40-ダイマー酸および
(B2)少なくとも1種の第2のC4~C12-ジアミン
との重合によって製造された少なくとも1種のコポリアミドを含み、ここで、前記成分(A)および(B)の重量パーセントはそれぞれ、前記成分(A)および(B)の重量パーセントの合計を基準とするポリマーフィルム(P)によって解決される。
【0011】
驚くべきことに、本発明によるポリマーフィルム(P)は、押出方向と、それに対して垂直の方向のいずれにおいても高い引裂伝播抵抗を示すことが判明した。このことは、本発明によるポリマーフィルム(P)が包装用フィルムとして使用される場合に特に有利である。
【0012】
さらに、本発明によるポリマーフィルム(P)は、透明性が高く、また低温時の靭性が高い。
【0013】
さらに有利なことに、本発明によるポリマーフィルム(P)は、従来技術に記載されているポリアミドまたはコポリアミドを含むポリマーフィルムよりも剛性が低い。本発明によるポリマーフィルム(P)はさらに、乾燥状態で弾性率が低くかつ破断強度が高い。破断強度が高いことも同様に、ポリマーフィルム(P)が包装用フィルムとして使用される場合には特に重要である。
【0014】
さらに本発明によるポリマーフィルム(P)は、比較的高温、例えば200~260℃の範囲、好ましくは210~250℃の範囲の温度での使用にも適している。
【0015】
本発明につき、以下に詳説する。
【0016】
ポリマーフィルム(P)
本発明によれば、ポリマーフィルム(P)は、少なくとも1種のコポリアミドを含む。
【0017】
本発明において、「少なくとも1種のコポリアミド」とは、厳密に1種のコポリアミドだけでなく、2種以上のコポリアミドの混合物をも意味すると理解される。
【0018】
少なくとも1種のコポリアミドについては、後述する。
【0019】
ポリマーフィルム(P)は、例えば0.1μm~1mmの範囲の、好ましくは5~500μmの範囲の、特に好ましくは20~100μmの範囲の厚さを有する。
【0020】
したがって、0.1μm~1mmの範囲の厚さを有するポリマーフィルム(P)も、本発明の対象である。
【0021】
ポリマーフィルム(P)は、少なくとも1種のコポリアミドに加えて、少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)を含み得る。
【0022】
本発明において、「少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)」とは、厳密に1種のさらなるポリマー(FP)だけでなく、2種以上のさらなるポリマー(FP)の混合物をも意味する。
【0023】
当業者に知られているいずれのポリマーも、少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)として適している。当然のことながら、少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)は、少なくとも1種のコポリアミドとは異なる。
【0024】
好ましくは、少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)は、ポリオレフィン、ポリ(エチレン・ビニルアルコール)、ポリ(エチレン・酢酸ビニル)、ポリエチレンテレフタラート、ポリ塩化ビニリデン、無水マレイン酸をグラフトしたポリオレフィン、ポリエステルおよびアイオノマーからなる群から選択される。特に好ましくは、少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)は、ポリオレフィン、ポリ(エチレン・ビニルアルコール)、ポリ(エチレン・酢酸ビニル)、ポリエチレンテレフタラート、ポリ塩化ビニリデン、および無水マレイン酸をグラフトしたポリオレフィンからなる群から選択される。最も好ましくは、少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)は、ポリオレフィン、無水マレイン酸をグラフトしたポリオレフィンおよびエチレン・ビニルアルコールからなる群から選択される。
【0025】
少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)がポリオレフィンからなる群から選択される場合、さらに、少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)として、無水マレイン酸をグラフトしたポリオレフィンを使用することが好ましい。この場合、少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)として、ポリオレフィンと、無水マレイン酸をグラフトしたポリオレフィンとの混合物を使用することが可能である。ポリマーフィルム(P)が後述する多層フィルムである場合には、ポリマーフィルム(P)が、少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)の少なくとも1つの第1のさらなる層を含むことも同様に可能であり、その際、第1のさらなる層の少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)は、無水マレイン酸をグラフトしたポリオレフィンからなる群から選択され、かつポリマーフィルム(P)は、少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)の少なくとも1つの第2のさらなる層を含み、その際、第2のさらなる層の少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)は、ポリオレフィンからなる群から選択される。その場合、ポリマーフィルム(P)は、好ましくは、少なくとも1種のコポリアミドを含む第1の層と第2のさらなる層との間に、第1のさらなる層を含む。
【0026】
ポリオレフィンそれ自体は、当業者に知られている。好ましいポリオレフィンは、ポリプロピレン(PP)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)および超低密度ポリエチレン(VLDPE)である。
【0027】
直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)とは、エチレンと少なくとも1種のC4~C8-α-オレフィンとのコポリマーである。直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)は、側鎖が短くポリマー鎖が長いことを特徴とする。直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)の側鎖の長さは通常は、低密度ポリエチレン(LDPE)および中密度ポリエチレン(MDPE)の場合よりも短い。直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)の融点は、好ましくは110~130℃の範囲にあり、その密度は、0.91~0.93g/cm3の範囲にある。
【0028】
超低密度ポリエチレン(VLDPE)とは、エチレンと少なくとも1種のC4~C8-α-オレフィンとのコポリマーである。これは通常は、110~130℃の範囲の融点および0.86g/cm3以上0.91g/cm3未満の密度を有する。VLDPEにおけるC4~C8-α-オレフィンの割合は通常は、LLDPEの場合よりも高い。
【0029】
本発明において、「C4~C8-α-オレフィン」とは、炭素原子を4~8個有し、かつα位が不飽和である、すなわちα位にC-C二重結合を有する、直鎖状および分岐状、好ましくは直鎖状のアルキレンを意味すると理解される。その例は、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテンおよび1-オクテンである。1-ブテン、1-ヘキセンおよび1-オクテンが好ましい。
【0030】
ポリ(エチレン・酢酸ビニル)として好ましいのは、エチレンと酢酸ビニルとのコポリマーである。例えば、製造には、82~99.9重量%の範囲のエチレンおよび0.1~18重量%の範囲の酢酸ビニル、好ましくは88~99.9重量%の範囲のエチレンおよび0.1~12重量%の範囲の酢酸ビニルが使用される。
【0031】
好ましいポリ(エチレン・ビニルアルコール)は、上記のポリ(エチレン・酢酸ビニル)の完全または部分鹸化によって得られる。例えばポリ(エチレン・ビニルアルコール)は、該ポリ(エチレン・ビニルアルコール)の全物質量を基準として、50~75モル%の範囲のエチレンおよび25~50モル%の範囲のビニルアルコールを含む。
【0032】
ポリマーフィルム(P)は、少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)を、少なくとも1種のコポリアミドとのブレンド(混合物)として含むことができる。
【0033】
さらに、ポリマーフィルム(P)が、少なくとも1種のコポリアミドを含む少なくとも1つの第1の層を含み、かつポリマーフィルム(P)が、少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)を含む少なくとも1つのさらなる層を含むことが、可能でありかつ本発明によれば好ましい。
【0034】
この実施形態において、少なくとも1種のコポリアミドを含む少なくとも1つの第1の層がさらなるポリマー(FP)を含まないことが好ましい。
【0035】
本発明において、「少なくとも1つの第1の層」とは、厳密に1つの第1の層だけではく、2つ以上の第1の層をも意味する。
【0036】
本発明において、「少なくとも1つのさらなる層」とは、厳密に1つのさらなる層だけでなく、2つ以上のさらなる層をも意味する。2つ以上のさらなる層が好ましい。
【0037】
したがって、ポリマーフィルム(P)が、少なくとも1種のコポリアミドを含む少なくとも1つの第1の層を含み、かつポリマーフィルム(P)がさらに、少なくとも1つのさらなる層を含み、ここで、該少なくとも1つのさらなる層は、少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)を含み、該ポリマー(FP)は、ポリオレフィン、ポリ(エチレン・ビニルアルコール)、ポリ(エチレン・酢酸ビニル)、ポリエチレンテレフタラート、ポリ塩化ビニリデン、および無水マレイン酸をグラフトしたポリオレフィンからなる群から選択されることが好ましい。
【0038】
したがって、ポリマーフィルム(P)であって、該ポリマーフィルム(P)は、少なくとも1種のコポリアミドを含む少なくとも1つの第1の層を含み、かつ該ポリマーフィルム(P)は、少なくとも1つのさらなる層を含み、ここで、該少なくとも1つのさらなる層は、少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)を含み、該ポリマー(FP)は、ポリオレフィン、ポリ(エチレン・ビニルアルコール)、ポリ(エチレン・酢酸ビニル)、ポリエチレンテレフタラート、ポリ塩化ビニリデン、および無水マレイン酸をグラフトしたポリオレフィンからなる群から選択されるポリマーフィルム(P)も、本発明の対象である。
【0039】
ポリマーフィルム(P)が、少なくとも1つの第1の層以外にさらなる層を含まない場合、該ポリマーフィルム(P)は、「モノフィルム」とも呼ばれる。ポリマーフィルム(P)がモノフィルムである場合、該フィルムが厳密に1つの第1の層を含んでかつさらなる層を含まないことも可能であるし、該フィルムが2つ以上の第1の層を含んでかつさらなる層を含まないことも同様に可能である。ポリマーフィルム(P)が2つ以上の第1の層を含み、かつモノフィルムである場合、2つ以上の第1の層は、すべて同一の組成を有する。
【0040】
ポリマーフィルム(P)が、少なくとも1種のコポリアミドを含む少なくとも1つの第1の層と、少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)を含む少なくとも1つのさらなる層とを含む場合、該ポリマーフィルム(P)は、多層フィルムとも呼ばれる。
【0041】
その場合例えば、ポリマーフィルム(P)は、少なくとも1種のコポリアミドを含む1~11の第1の層と、少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)を含む1~13のさらなる層とを含む。好ましくは、ポリマーフィルム(P)は、少なくとも1種のコポリアミドを含む1~5の第1の層と、少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)を含む1~11のさらなる層とを含む。特に好ましくは、ポリマーフィルム(P)は、少なくとも1種のコポリアミドを含む1~3の第1の層と、少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)を含む1~7のさらなる層とを含む。
【0042】
本発明の好ましい一実施形態において、少なくとも1つの第1の層は、少なくとも1種のコポリアミドからなる。少なくとも1つのさらなる層が少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)からなることも同様に好ましい。
【0043】
したがって、本発明において、「ポリマーフィルム(P)」なる概念には、モノフィルムと多層フィルムの双方が包含される。
【0044】
したがって、モノフィルムまたは多層フィルムであるポリマーフィルム(P)も、本発明の対象である。
【0045】
上述したように、ポリマーフィルム(P)は通常は、0.1μm~1mmの範囲の、好ましくは5~500μmの範囲の、特に好ましくは10~100μmの範囲の厚さを有する。
【0046】
ポリマーフィルム(P)がモノフィルムでありかつ厳密に1つの第1の層を含む場合には、第1の層は、ポリマーフィルム(P)と同一の厚さ、すなわち例えば0.1μm~1mmの範囲の、好ましくは5~500μmの範囲の、特に好ましくは10~100μmの範囲の厚さを有する。ポリマーフィルム(P)がモノフィルムでありかつ2つ以上の第1の層を含む場合、各第1の層の厚さは通常は、ポリマーフィルム(P)の厚さよりも小さい。その場合、個々の第1の層の厚さの合計は、総じてポリマーフィルム(P)の厚さと一致する。その場合例えば、少なくとも1種のコポリアミドを含む少なくとも1つの第1の層は、0.1~100μmの範囲の、好ましくは0.5~50μmの範囲の、特に好ましくは0.5~15μmの範囲の厚さを有する。
【0047】
ポリマーフィルム(P)が多層フィルムである場合、ポリマーフィルム(P)の個々の層の厚さ、すなわち少なくとも1種のコポリアミドを含む少なくとも1つの第1の層の厚さ、および少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)を含む少なくとも1つのさらなる層の厚さは通常は、ポリマーフィルム(P)の厚さを下回る。その場合、個々の層の厚さの合計は、総じてポリマーフィルム(P)の厚さと一致する。
【0048】
その場合例えば、少なくとも1種のコポリアミドを含む少なくとも1つの第1の層は、0.1~100μmの範囲の、好ましくは0.5~50μmの範囲の、特に好ましくは0.5~15μmの範囲の厚さを有する。
【0049】
その場合、少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)を含む少なくとも1つのさらなる層は、例えば0.1~100μmの範囲の、好ましくは0.5~50μmの範囲の、特に好ましくは0.5~15μmの範囲の厚さを有する。
【0050】
ポリマーフィルム(P)は、少なくとも1種の接着促進剤を含み得る。この実施形態は、ポリマーフィルム(P)が多層フィルムである場合に好ましい。
【0051】
本発明において、「少なくとも1種の接着促進剤」とは、厳密に1種の接着促進剤だけでなく、2種以上の接着促進剤の混合物をも意味する。
【0052】
ポリマーフィルム(P)が多層フィルムである場合、少なくとも1種の接着促進剤は、少なくとも1つの第1の層中に少なくとも1種のコポリアミドと一緒に含まれていてよい。少なくとも1つのさらなる層中に、少なくとも1種の接着促進剤が少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)と一緒に含まれていることも同様に可能である。さらに、少なくとも1種の接着促進剤がポリマーフィルム(P)中に少なくとも1つの追加の層として含まれていることも可能である。この実施形態は好ましい。
【0053】
少なくとも1種の接着促進剤がポリマーフィルム(P)中に少なくとも1つの追加の層として含まれている場合、この少なくとも1つの追加の層は好ましくは、少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)を含む少なくとも1つのさらなる層と、少なくとも1種のコポリアミドを含む少なくとも1つの第1の層との間に配置されている。接着促進剤の少なくとも1つの層は、例えば0.1~100μmの範囲、好ましくは0.5~50μmの範囲、特に好ましくは0.5~15μmの範囲の厚さを有する。
【0054】
適切な接着促進剤自体は、当業者に知られている。接着促進剤として好ましいのは、エチレンと無水マレイン酸とのコポリマーまたはエチレンと酢酸ビニルとのコポリマーである。直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)と無水マレイン酸とのコポリマーまたはエチレンと酢酸ビニルとのコポリマーが好ましく、このコポリマーは、18重量%超の酢酸ビニルと82重量%未満のエチレンとを使用して製造される。これらのコポリマーは、例えばDuPont社よりBynel 4105なる商品名で、またはExxon社よりEscorene FL00119の商品名で市販されている。
【0055】
接着促進剤として使用されるエチレンと無水マレイン酸とのコポリマーは、好ましくは無水マレイン酸をグラフトしたエチレンのポリマーまたはコポリマーである。
【0056】
ポリマーフィルム(P)は、さらに添加剤を含み得る。この種の添加剤は当業者に知られており、例えば安定剤、着色剤、帯電防止剤、粘着性付与剤、粘着防止剤、加工助剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤および核形成助剤からなる群から選択される。
【0057】
着色剤としては、有機および無機顔料、例えばサイジング剤を付与した二酸化チタンが適切である。粘着性付与剤としては、例えばポリイソブチレン(PIB)またはエチレン・酢酸ビニル(EVA)が適切である。適切な粘着防止剤は、例えば二酸化ケイ素粒子または炭酸カルシウム粒子である。適切な光安定剤は、例えばいわゆるHALS(ヒンダードアミン光安定剤)である。加工助剤または滑剤としては、例えばエチレンビスステアラミド(EBS)ワックスを使用することができる。核形成助剤は、例えばタルクのような有機または無機のいずれの種類の結晶化核形成剤であってもよい。
【0058】
添加剤は、少なくとも1つの第1の層に含まれていてもよいし、少なくとも1つのさらなる層に含まれていてもよい。添加剤がこれらの層のいずれか1つにしか含まれていないことも可能であり、また添加剤がこれらの層のそれぞれに含まれていることも同様に可能である。
【0059】
コポリアミド
本発明によれば、ポリマーフィルム(P)は、以下の成分:
(A)以下の成分を含む第1のモノマー混合物(M1)15~95重量%
(A1)少なくとも1種のC4~C12-ジカルボン酸および
(A2)少なくとも1種の第1のC4~C12-ジアミン
と、
(B)以下の成分を含む第2のモノマー混合物(M2)5~85重量%
(B1)少なくとも1種のC32~C40-ダイマー酸および
(B2)少なくとも1種の第2のC4~C12-ジアミン
との重合によって製造された少なくとも1種のコポリアミドを含み、ここで、前記成分(A)および(B)の重量パーセントはそれぞれ、前記成分(A)および(B)の重量パーセントの合計を基準とする。
【0060】
「成分(A)」および「第1のモノマー混合物」なる概念は、本発明において同義的に使用され、したがって同一の意味を有する。
【0061】
「成分(B)」および「第2のモノマー混合物(M)」なる概念についても、同様のことが該当する。これらの概念も同様に本発明において同義的に使用されており、したがって同一の意味を有する。
【0062】
本発明によれば、少なくとも1種のコポリアミドは、成分(A)15~95重量%と、成分(B)5~85重量%との重合によって製造されており、好ましくは、少なくとも1種のコポリアミドは、成分(A)25~90重量%と、成分(B)10~75重量%との重合によって製造されており、特に好ましくは、少なくとも1種のコポリアミドは、成分(A)50~85重量%と、成分(B)15~50重量%との重合により製造されており、ここで、前記成分(A)および(B)の重量パーセントはそれぞれ、前記成分(A)および(B)の重量パーセントの合計を基準とする。
【0063】
好ましくは、成分(A)および(B)の重量パーセントの合計は、100重量%である。
【0064】
当然のことながら、成分(A)および(B)の重量パーセントは、重合前の、つまり成分(A)と(B)がまだ互いに反応していないときの、成分(A)および(B)の重量パーセントを基準とする。重合の間に、成分(A)および(B)の重量比が変化する場合がある。
【0065】
本発明によれば、少なくとも1種のコポリアミドは、成分(A)と成分(B)との重合により製造される。成分(A)と成分(B)との重合は、当業者に知られている。通常は、成分(A)と成分(B)との重合は、縮合反応である。この重合の間に、成分(A)に含まれる成分(A1)と成分(A2)と任意に後述の成分(A3)とが互いに反応するとともに、これらの成分と、成分(B)に含まれる成分(B1)および(B2)および任意に同様に成分(B)に含まれ得る後述の成分(B3)とが反応する。同様にまた、成分(B)に含まれる成分(B1)と成分(B2)と任意に後述の成分(B3)とが互いに反応するとともに、これらの成分と、成分(A)に含まれる成分(A1)および(A2)および任意に(A3)とが反応する。その際に、個々の成分の間にアミド結合が形成される。任意に含まれる成分(A3)および(B3)は、通常は、重合時に少なくとも部分的に開鎖状で、つまりアミノ酸として存在する。
【0066】
成分(A)と成分(B)との重合は、触媒の存在下で生じ得る。触媒として、成分(A)と成分(B)との重合を触媒する、当業者に知られているいずれの触媒も適している。この種の触媒は、当業者に知られている。好ましい触媒は、リン化合物、例えば次亜リン酸ナトリウム、亜リン酸、トリフェニルホスフィンまたはトリフェニルホスフィットである。
【0067】
成分(A)と成分(B)との重合の際に、少なくとも1種のコポリアミドが形成される。したがってこのコポリアミドは、成分(A)から誘導された構成単位と、成分(B)から誘導された構成単位とを含む。成分(A)から誘導された構成単位は、成分(A1)および(A2)および任意に成分(A3)から誘導された構成単位を含み、成分(B)から誘導された構成単位は、成分(B1)および(B2)および任意に成分(B3)から誘導された構成単位を含む。
【0068】
成分(A)と成分(B)との重合の際に、コポリアミドがコポリマーとして形成される。このコポリマーがランダムコポリマーである場合もあるが、これがブロックコポリマーであることも同様に可能である。好ましくは、コポリアミドはブロックコポリマーである。
【0069】
したがって、ポリマーフィルム(P)であって、少なくとも1種のコポリアミドがブロックコポリマーであるポリマーフィルム(P)も、本発明の対象である。
【0070】
ブロックコポリマーでは、成分(B)から誘導された単位のブロックと、成分(A)から誘導された単位のブロックとが形成される。これらは、交互に存在する。ランダムコポリマーでは、成分(A)から誘導された構成単位と、成分(B)から誘導された構成単位とが交互に存在する。この交互の配置はランダムに行われ、例えば、成分(B)から誘導された2つの構成単位の後に成分(A)から誘導された構成単位が1つ続き、この後にまた成分(B)から誘導された構成単位が1つ続き、その後に成分(A)から誘導された構成単位を3つ含む構成単位が1つ続く、ということが可能である。
【0071】
少なくとも1種のコポリアミドの製造は、好ましくは以下の工程を含む:
a)成分(A)と成分(B)とを重合させて、少なくとも1種の第1のコポリアミドを得る工程、
b)工程a)で得られた少なくとも1種の第1のコポリアミドを造粒して、少なくとも1種の造粒されたコポリアミドを得る工程、
c)工程b)で得られた少なくとも1種の造粒されたコポリアミドを水で抽出して、少なくとも1種の抽出されたコポリアミドを得る工程、
d)工程c)で得られた少なくとも1種の抽出されたコポリアミドを温度(TT)で乾燥させて、少なくとも1種のコポリアミドを得る工程。
【0072】
したがって、ポリマーフィルム(P)であって、以下の工程を含む方法でコポリアミドが製造されるポリマーフィルム(P)も、本発明の対象である:
a)成分(A)と成分(B)とを重合させて、少なくとも1種の第1のコポリアミドを得る工程、
b)工程a)で得られた少なくとも1種の第1のコポリアミドを造粒して、少なくとも1種の造粒されたコポリアミドを得る工程、
c)工程b)で得られた少なくとも1種の造粒されたコポリアミドを水で抽出して、少なくとも1種の抽出されたコポリアミドを得る工程、
d)工程c)で得られた少なくとも1種の抽出されたコポリアミドを温度(TT)で乾燥させて、少なくとも1種のコポリアミドを得る工程。
【0073】
工程a)における重合は、当業者に知られているいずれの反応器内で行われてもよい。撹拌槽型反応器が好ましい。反応操作を改善するために、追加的に、当業者に知られている助剤、例えばポリジメチルシロキサン(PDMS)のような消泡剤を使用することも可能である。
【0074】
工程b)において、工程a)で得られた少なくとも1種の第1のコポリアミドを、当業者に知られているいずれの方法によって造粒してもよく、例えばストランド造粒法または水中造粒法によって造粒することができる。
【0075】
工程c)における抽出は、当業者に知られているいずれの方法によって行うこともできる。
【0076】
工程c)における抽出の間に、通常は、工程a)における成分(A)と成分(B)との重合の際に形成された副生成物が、少なくとも1種の造粒されたコポリアミドから抽出される。
【0077】
工程d)において、工程c)で得られた少なくとも1種の抽出されたコポリアミドを乾燥させる。乾燥方法は、当業者に知られている。本発明によれば、少なくとも1種の抽出されたコポリアミドを、温度(TT)で乾燥させる。この温度(TT)は好ましくは、少なくとも1種のコポリアミドの少なくとも1つのガラス転移温度(TG(C))を上回り、かつ少なくとも1種のコポリアミドの溶融温度(TM(C))を下回る。
【0078】
工程d)における乾燥は、通常は1~100時間の範囲、好ましくは2~50時間の範囲、特に好ましくは3~40時間の範囲の期間にわたって行われる。
【0079】
工程d)における乾燥によって、少なくとも1種のコポリアミドの分子量がさらに増大すると考えられる。
【0080】
少なくとも1種のコポリアミドは、通常は、少なくとも1つのガラス転移温度(TG(C))を有する。ISO 11357-2:2014により測定した場合に、この少なくとも1つのガラス転移温度(TG(C))は、例えば-10~70℃の範囲、好ましくは10~65℃の範囲、特に好ましくは30~60℃の範囲にある。
【0081】
したがって、ポリマーフィルム(P)であって、少なくとも1種のコポリアミドが少なくとも1つのガラス転移温度(TG(C))を有し、前記ガラス転移温度(TG(C))が-10~70℃の範囲にあるポリマーフィルム(P)も、本発明の対象である。
【0082】
本発明の好ましい一実施形態において少なくとも1種のコポリアミドがブロックコポリマーである場合には、少なくとも1種のコポリアミドは通常は、第1のガラス転移温度(TG(C)1)と第2のガラス転移温度(TG(C)2)とを有する。
【0083】
その場合、少なくとも1種のコポリアミドの第1のガラス転移温度(TG(C)1)は、ISO 11357-2:2014により測定した場合に、例えば10~80℃の範囲、好ましくは20~70℃の範囲、特に好ましくは30~60℃の範囲にある。
【0084】
その場合、少なくとも1種のコポリアミドの第2のガラス転移温度(TG(C)2)は、ISO 11357-2:2014により測定した場合に、例えば-15~20℃の範囲、好ましくは-10~15℃の範囲、特に好ましくは-5~10℃の範囲にある。
【0085】
少なくとも1種のコポリアミドの少なくとも1つのガラス転移温度(TG(C))および第1のガラス転移温度(TG(C)1)および第2のガラス転移温度(TG(C)2)は、本発明においてISO 11357-2:2014に準拠し、それぞれ乾燥したコポリアミドのガラス転移温度に関するものである。
【0086】
本発明において、「乾燥」とは、少なくとも1種のコポリアミドが、該少なくとも1種のコポリアミドの全重量を基準として1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満、特に好ましくは0.1重量%未満の水を含むことを意味する。より好ましくは、「乾燥」とは、少なくとも1種のコポリアミドが水を含まないことを意味し、最も好ましくは、少なくとも1種のコポリアミドが溶媒を含まないことを意味する。
【0087】
さらに、少なくとも1種のコポリアミドは、通常は、溶融温度(TM(C))を有する。ISO 11357-3:2014に準拠して測定した場合に、少なくとも1種のコポリアミドの溶融温度(TM(C))は、例えば220~290℃の範囲、好ましくは230~280℃の範囲、特に好ましくは240~270℃の範囲にある。
【0088】
したがって、ポリマーフィルム(P)であって、少なくとも1種のコポリアミドが溶融温度(TM(C))を有し、前記溶融温度(TM(C))が220~290℃の範囲にあるポリマーフィルム(P)も、本発明の対象である。
【0089】
96重量%硫酸中の少なくとも1種のコポリアミドの0.5重量%溶液中で測定した場合に、該少なくとも1種のコポリアミドは、総じて120~300ml/gの範囲の粘度数(VN(C))を有する。
【0090】
好ましくは、96重量%硫酸中の少なくとも1種のコポリアミドの0.5重量%溶液中で測定した場合に、該少なくとも1種のコポリアミドの粘度数(VN(C))は135~290ml/gの範囲にあり、特に好ましくは150~280ml/gの範囲にある。
【0091】
したがって、ポリマーフィルム(P)であって、96重量%硫酸中の少なくとも1種のコポリアミドの0.5重量%溶液中で測定した場合に、該少なくとも1種のコポリアミドが120~300ml/gの範囲の粘度数(VN(C))を有するポリマーフィルム(P)も、本発明の対象である。
【0092】
成分(A)
本発明によれば、成分(A)は、第1のモノマー混合物(M1)である。第1のモノマー混合物(M1)は、成分(A1)少なくとも1種のC4~C12-ジカルボン酸および(A2)少なくとも1種の第1のC4~C12-ジアミンを含む。
【0093】
本発明において、第1のモノマー混合物(M1)とは、2種以上のモノマーの混合物を意味すると理解され、その際、この第1のモノマー混合物(M1)には、少なくとも成分(A1)および成分(A2)が含まれている。
【0094】
本発明において、「成分(A1)」および「少なくとも1種のC4~C12-ジカルボン酸」なる概念は同義的に使用され、したがって同一の意味を有する。
【0095】
「成分(A2)」および「少なくとも1種の第1のC4~C12-ジアミン」なる概念についても、同様のことが該当する。これらの概念も本発明において同様に同義的に使用されており、したがって同一の意味を有する。
【0096】
第1のモノマー混合物(M1)は、それぞれ成分(A1)および(B1)のモルパーセントの合計を基準として、好ましくは第1のモノマー混合物(M1)の全物質量を基準として、例えば45~55モル%の範囲の成分(A1)と、45~55モル%の範囲の成分(A2)とを含む。
【0097】
好ましくは、成分(A)は、それぞれ成分(A1)および(A2)のモルパーセントの合計を基準として、好ましくは成分(A)の全物質量を基準として、47~53モル%の範囲の成分(A1)と、47~53モル%の範囲の成分(A2)とを含む。
【0098】
特に好ましくは、成分(A)は、それぞれ成分(A1)および(A2)のモルパーセントの合計を基準として、好ましくは成分(A)の全物質量を基準として、49~51モル%の範囲の成分(A1)と、49~51モル%の範囲の成分(A2)とを含む。
【0099】
したがって、ポリマーフィルム(P)であって、成分(A)が、それぞれ成分(A)の全物質量を基準として、45~55モル%の範囲の成分(A1)と、45~55モル%の範囲の成分(A2)とを含むポリマーフィルム(P)も、本発明の対象である。
【0100】
成分(A)に含まれる成分(A1)および(A2)のモルパーセントの合計は、通常は100モル%となる。
【0101】
成分(A)はさらに、成分(A3)である少なくとも1種のラクタムを含むことができる。
【0102】
したがって、ポリマーフィルム(P)であって、成分(A)がさらに、成分(A3)である少なくとも1種のラクタムを含むポリマーフィルム(P)も、本発明の対象である。
【0103】
本発明において、「成分(A3)」および「少なくとも1種のラクタム」なる概念は同義的に使用され、したがって同一の意味を有する。
【0104】
成分(A)がさらに成分(A3)を含む場合、成分(A)が、それぞれ該成分(A)の全物質量を基準として、35~49.95モル%の範囲の成分(A1)と、35~49.95モル%の範囲の成分(A2)と、0.1~25モル%の範囲の成分(A3)とを含むことが好ましい。
【0105】
その場合、特に好ましくは、成分(A)は、それぞれ該成分(A)の全物質量を基準として、37~49.95モル%の範囲の成分(A1)と、37~49.95モル%の範囲の成分(A2)と、0.1~20モル%の範囲の成分(A3)とを含む。
【0106】
その場合、最も好ましくは、成分(A)は、それぞれ該成分(A)の全物質量を基準として、40~49.95モル%の範囲の成分(A1)と、40~49.95モル%の範囲の成分(A2)と、0.1~15モル%の範囲の成分(A3)とを含む。
【0107】
成分(A)がさらに成分(A3)を含む場合、成分(A1)、(A2)および(A3)のモルパーセントの合計は、通常は100モル%となる。
【0108】
本発明の一実施形態では、第1のモノマー混合物(M1)は、成分(A3)である少なくとも1種のラクタムを含まない。
【0109】
第1のモノマー混合物(M1)は、さらに水を含んでいてもよい。
【0110】
成分(A)の成分(A1)と(A2)と場合により(A3)とが互いに反応することで、アミドを得ることができる。この反応自体は、当業者に知られている。したがって、成分(A)は、成分(A1)、(A2)および場合により(A3)を、完全に反応した形態で含むことも、部分的に反応した形態で含むことも、未反応の形態で含むこともできる。好ましくは、成分(A)は、成分(A1)、(A2)および場合により(A3)を、未反応の形態で含む。
【0111】
したがって、本発明において、「未反応の形態で」とは、成分(A1)が少なくとも1種のC4~C12-ジカルボン酸として存在し、成分(A2)が少なくとも1種の第1のC4~C12-ジアミンとして存在し、場合により成分(A3)が少なくとも1種のラクタムとして存在することを意味する。
【0112】
成分(A1)と(A2)と場合により(A3)とが互いに少なくとも部分的に反応している場合、成分(A1)および(A2)ならびに場合により(A3)は、少なくとも部分的にアミドとして存在している。
【0113】
成分(A1)
本発明によれば、成分(A1)は、少なくとも1種のC4~C12-ジカルボン酸である。
【0114】
本発明において、「少なくとも1種のC4~C12-ジカルボン酸」とは、厳密に1種のC4~C12-ジカルボン酸だけでなく、2種以上のC4~C12-ジカルボン酸の混合物をも意味する。
【0115】
本発明において、「C4~C12-ジカルボン酸」とは、2~10個の炭素原子および2つのカルボキシル基(-COOH基)を有する脂肪族および/または芳香族化合物を意味すると理解される。これらの脂肪族および/または芳香族化合物は、非置換であっても、さらに少なくとも一置換されていてもよい。これらの脂肪族および/または芳香族化合物がさらに少なくとも一置換されている場合、該化合物は、成分(A)および(B)の重合に関与しない1つ、2つまたはそれを上回る置換基を有していてもよい。この種の置換基は当業者に知られており、例えばアルキル置換基またはシクロアルキル置換基である。好ましくは、少なくとも1種のC4~C12-ジカルボン酸は、非置換である。
【0116】
適切な成分(A1)は、例えばブタン二酸(コハク酸)、ペンタン二酸(グルタル酸)、ヘキサン二酸(アジピン酸)、ヘプタン二酸(ピメリン酸)、オクタン二酸(コルク酸、スベリン酸)、ノナン二酸(アゼライン酸)、デカン二酸(セバシン酸)、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、テレフタル酸およびイソフタル酸からなる群から選択される。
【0117】
好ましくは、成分(A1)は、ペンタン二酸(グルタル酸)、ヘキサン二酸(アジピン酸)、デカン二酸(セバシン酸)、ドデカン二酸、テレフタル酸およびイソフタル酸からなる群から選択される。
【0118】
したがって、ポリマーフィルム(P)であって、成分(A1)が、ペンタン二酸、ヘキサン二酸、デカン二酸、ドデカン二酸、テレフタル酸およびイソフタル酸からなる群から選択されるポリマーフィルム(P)も、本発明の対象である。
【0119】
特に好ましくは、成分(A1)は、ヘキサン二酸(アジピン酸)である。
【0120】
成分(A2)
本発明によれば、成分(A2)は、少なくとも1種の第1のC4~C12-ジアミンである。
【0121】
本発明において、「少なくとも1種の第1のC4~C12-ジアミン」とは、厳密に1種の第1のC4~C12-ジアミンだけでなく、2種以上の第1のC4~C12-ジアミンの混合物をも意味する。
【0122】
本発明において、「C4~C12-ジアミン」とは、4~12個の炭素原子および2個のアミノ基(-NH2基)を有する脂肪族および/または芳香族化合物を意味すると理解される。これらの脂肪族および/または芳香族化合物は、非置換であっても、さらに少なくとも一置換されていてもよい。これらの脂肪族および/または芳香族化合物がさらに少なくとも一置換されている場合、該化合物は、成分(A)と成分(B)との重合に関与しない1つ、2つまたはそれを上回る置換基を有していてもよい。この種の置換基は、例えばアルキル置換基またはシクロアルキル置換基である。これら自体は、当業者に知られている。好ましくは、少なくとも1種の第1のC4~C12-ジアミンは、非置換である。
【0123】
適切な成分(A2)は、例えば1,4-ジアミノブタン(ブタン-1,4-ジアミン;テトラメチレンジアミン;プトレシン)、1,5-ジアミノペンタン(1,5-ペンタメチレンジアミン;ペンタン-1,5-ジアミン;カダベリン)、1,6-ジアミノヘキサン(1,6-ヘキサメチレンジアミン;ヘキサン-1,6-ジアミン)、1,7-ジアミノヘプタン、1,8-ジアミノオクタン、1,9-ジアミノノナン、1,10-ジアミノデカン(1,10-デカメチレンジアミン)、1,11-ジアミノウンデカン(1,11-ウンデカメチレンジアミン)および1,12-ジアミノドデカン(1,12-ドデカメチレンジアミン)からなる群から選択される。
【0124】
好ましくは、成分(A2)は、1,4-ブタンジアミン、1,5-ペンタメチレンジアミン、1,6-ヘキサメチレンジアミン、1,10-デカメチレンジアミンおよび1,12-ドデカメチレンジアミンからなる群から選択される。
【0125】
したがって、ポリマーフィルム(P)であって、成分(A2)が、1,4-ブタンジアミン、1,5-ペンタメチレンジアミン、1,6-ヘキサメチレンジアミン、1,10-デカメチレンジアミンおよび1,12-ドデカメチレンジアミンからなる群から選択されるポリマーフィルム(P)も、本発明の対象である。
【0126】
成分(A3)
成分(A)はさらに、成分(A3)である少なくとも1種のラクタムを含むことができる。
【0127】
本発明において、「少なくとも1種のラクタム」とは、厳密に1種のラクタムだけでなく、2種以上のラクタムの混合物をも意味する。
【0128】
ラクタム自体は、当業者に知られている。本発明によれば、4~12個の炭素原子を有するラクタムが好ましい。
【0129】
本発明において、ラクタムとは、環に好ましくは4~12個の炭素原子、特に好ましくは5~8個の炭素原子を有する環状アミドを意味すると理解される。
【0130】
適切なラクタムは、例えば3-アミノプロパン酸ラクタム(プロピオ-3-ラクタム;β-ラクタム、β-プロピオラクタム)、4-アミノブタン酸ラクタム(ブチロ-4-ラクタム;γ-ラクタム;γ-ブチロラクタム)、5-アミノペンタン酸ラクタム(2-ピペリジノン;δ-ラクタム;δ-バレロラクタム)、6-アミノヘキサン酸ラクタム(ヘキサノ-6-ラクタム;ε-ラクタム;ε-カプロラクタム)、7-アミノヘプタン酸ラクタム(ヘプタノ-7-ラクタム;ζ-ラクタム;ζ-ヘプタノラクタム)、8-アミノオクタン酸ラクタム(オクタノ-8-ラクタム;η-ラクタム;η-オクタノラクタム)、9-アミノノナン酸ラクタム(ノナノ-9-ラクタム;θ-ラクタム;θ-ノナノラクタム)、10-アミノデカン酸ラクタム(デカノ-10-ラクタム;ω-デカノラクタム)、11-アミノウンデカン酸ラクタム(ウンデカノ-11-ラクタム;ω-ウンデカノラクタム)および12-アミノドデカン酸ラクタム(ドデカノ-12-ラクタム;ω-ドデカノラクタム)からなる群から選択される。
【0131】
したがって、ポリマーフィルム(P)であって、成分(A3)が、3-アミノプロパン酸ラクタム、4-アミノブタン酸ラクタム、5-アミノペンタン酸ラクタム、6-アミノヘキサン酸ラクタム、7-アミノヘプタン酸ラクタム、8-アミノオクタン酸ラクタム、9-アミノノナン酸ラクタム、10-アミノデカン酸ラクタム、11-アミノウンデカン酸ラクタムおよび12-アミノドデカン酸ラクタムからなる群から選択されるポリマーフィルム(P)も、本発明の対象である。
【0132】
ラクタムは、非置換であってもよいし、少なくとも一置換されていてもよい。少なくとも一置換されたラクタムが使用される場合には、該ラクタムは、環の窒素原子および/または環の炭素原子上に1つ、2つまたはそれを上回る置換基を有してよく、該置換基は、互いに無関係に、C1~C10-アルキル、C5~C6-シクロアルキルおよびC5~C10-アリールからなる群から選択される。
【0133】
C1~C10-アルキル置換基としては、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、s-ブチルおよびt-ブチルが適している。適切なC5~C6-シクロアルキル置換基の1つは、例えばシクロヘキシルである。好ましいC5~C10-アリール置換基は、フェニルおよびアントラニルである。
【0134】
非置換ラクタムを使用することが好ましく、その際、γ-ラクタム(γ-ブチロラクタム)、δ-ラクタム(δ-バレロラクタム)およびε-ラクタム(ε-カプロラクタム)が好ましい。特に好ましいのはδ-ラクタム(δ-バレロラクタム)およびε-ラクタム(ε-カプロラクタム)であり、ε-カプロラクタムが特に好ましい。
【0135】
成分(B)
本発明によれば、成分(B)は、第2のモノマー混合物(M2)である。第2のモノマー混合物(M2)は、成分(B1)少なくとも1種のC32~C40-ダイマー酸と、成分(B2)少なくとも1種の第2のC4~C12-ジアミンとを含む。
【0136】
本発明において、第2のモノマー混合物(M2)とは、2種以上のモノマーの混合物を意味すると理解され、その際、この第2のモノマー混合物(M2)には、少なくとも成分(B1)および成分(B2)が含まれている。
【0137】
本発明において、「成分(B1)」および「少なくとも1種のC32~C40-ダイマー酸」なる概念は同義的に使用され、したがって同一の意味を有する。
【0138】
「成分(B2)」および「少なくとも1種の第2のC4~C12-ジアミン」なる概念についても、同様のことが該当する。これらの概念も本発明において同様に同義的に使用されており、したがって同一の意味を有する。
【0139】
第2のモノマー混合物(M2)は、それぞれ成分(B1)および(B2)のモルパーセントの合計を基準として、好ましくは第2のモノマー混合物(M2)の全物質量を基準として、例えば45~55モル%の範囲の成分(B1)と、45~55モル%の範囲の成分(B2)とを含む。
【0140】
好ましくは、成分(B)は、それぞれ成分(B1)および(B2)のモルパーセントの合計を基準として、好ましくは成分(B)の全物質量を基準として、47~53モル%の範囲の成分(B1)と、47~53モル%の範囲の成分(B2)とを含む。
【0141】
特に好ましくは、成分(B)は、それぞれ成分(B1)および(B2)のモルパーセントの合計を基準として、好ましくは成分(B)の全物質量を基準として、49~51モル%の範囲の成分(B1)と、49~51モル%の範囲の成分(B2)とを含む。
【0142】
したがって、ポリマーフィルム(P)であって、成分(B)が、それぞれ成分(B)の全物質量を基準として、45~55モル%の範囲の成分(B1)と、45~55モル%の範囲の成分(B2)とを含むポリマーフィルム(P)も、本発明の対象である。
【0143】
成分(B)に含まれる成分(B1)および(B2)のモル%の合計は、通常は100モル%となる。
【0144】
成分(B)はさらに、成分(B3)である少なくとも1種のラクタムを含むことができる。
【0145】
したがって、ポリマーフィルム(P)であって、成分(B)がさらに、成分(B3)である少なくとも1種のラクタムを含むポリマーフィルム(P)も、本発明の対象である。
【0146】
本発明において、「成分(B3)」および「少なくとも1種のラクタム」なる概念は同義的に使用され、したがって同一の意味を有する。
【0147】
任意に第2のモノマー混合物(M2)に含まれている成分(B3)についても、任意に第1のモノマー混合物(M1)に含まれている成分(A3)についての上記の実施形態および選好物が同様に該当する。
【0148】
第2のモノマー混合物(M2)に任意にさらに含まれる成分(B3)と、任意に第1のモノマー混合物(M1)に含まれる成分(A3)とは、同一であっても異なっていてもよい。好ましくは、任意に第1のモノマー混合物(M)に含まれる成分(A3)と、任意に第2のモノマー混合物(M2)に含まれる成分(B3)とは、同一である。
【0149】
成分(B)がさらに成分(B3)を含む場合、成分(B)が、それぞれ該成分(B)の全物質量を基準として、35~49.95モル%の範囲の成分(B1)と、35~49.95モル%の範囲の成分(B2)と、0.1~25モル%の範囲の成分(B3)とを含むことが好ましい。
【0150】
その場合、特に好ましくは、成分(B)は、それぞれ該成分(B)の全物質量を基準として、37~49.95モル%の範囲の成分(B1)と、37~49.95モル%の範囲の成分(B2)と、0.1~20モル%の範囲の成分(B3)とを含む。
【0151】
その場合、最も好ましくは、成分(B)は、それぞれ該成分(B)の全物質量を基準として、40~49.95モル%の範囲の成分(B1)と、40~49.95モル%の範囲の成分(B2)と、0.1~15モル%の範囲の成分(B3)とを含む。
【0152】
成分(B)がさらに成分(B3)を含む場合、成分(B1)、(B2)および(B3)のモルパーセントの合計は、通常は100モル%となる。
【0153】
本発明の一実施形態において、第2のモノマー混合物(M2)は、成分(B3)である少なくとも1種のラクタムを含まない。
【0154】
第2のモノマー混合物(M2)は、さらに水を含んでいてもよい。
【0155】
成分(B)の成分(B1)と(B2)と場合により(B3)とが互いに反応することで、アミドを得ることができる。この反応自体は、当業者に知られている。したがって、成分(B)は、成分(B1)、(B2)および場合により(B3)を、完全に反応した形態で含むことも、部分的に反応した形態で含むことも、未反応の形態で含むこともできる。好ましくは、成分(B)は、成分(B1)、(B2)および場合により(B3)を、未反応の形態で含む。
【0156】
したがって、本発明において、「未反応の形態で」とは、成分(B1)が少なくとも1種のC32~C40-ダイマー酸として存在し、成分(B2)が少なくとも1種の第2のC4~C12-ジアミンとして存在し、場合により成分(B3)が少なくとも1種のラクタムとして存在することを意味する。
【0157】
成分(B1)と(B2)と場合により(B3)とが少なくとも部分的に反応している場合、成分(B1)および(B2)ならびに場合により(B3)は、少なくとも部分的にアミドとして存在している。
【0158】
第2のモノマー混合物(M2)に含まれる成分(B2)である少なくとも1種の第2のC4~C12-ジアミンについても、第1のモノマー混合物(M1)に含まれる成分(A2)である少なくとも1種の第1のC4~C12-ジアミンについての上記の実施形態および選好物が同様に該当する。
【0159】
したがって、成分(B2)が、1,4-ブタンジアミン、1,5-ペンタメチレンジアミン、1,6-ヘキサメチレンジアミン、1,10-デカメチレンジアミンおよび1,12-ドデカメチレンジアミンからなる群から選択される方法も、本発明の対象である。
【0160】
したがって、成分(A2)および成分(B2)が、それぞれ互いに独立して、1,4-ブタンジアミン、1,5-ペンタメチレンジアミン、1,6-ヘキサメチレンジアミン、1,10-デカメチレンジアミンおよび1,12-ドデカメチレンジアミンからなる群から選択される方法も、本発明の対象である。
【0161】
成分(B2)は、成分(A2)と同一であってもよいし異なっていてもよい。好ましくは、成分(B2)は、成分(A2)と同一である。
【0162】
成分(B1)
本発明によれば、成分(B1)は、少なくとも1種のC32~C40-ダイマー酸である。
【0163】
本発明において、「少なくとも1種のC32~C40-ダイマー酸」とは、厳密に1種のC32~C40-ダイマー酸だけでなく、2種以上のC32~C40-ダイマー酸の混合物をも意味する。
【0164】
ダイマー酸は、ダイマー脂肪酸とも呼ばれる。C32~C40-ダイマー酸自体は当業者に知られており、通常は不飽和脂肪酸の二量体化によって製造される。この二量体化は、例えばアルミナによって触媒することができる。
【0165】
少なくとも1種のC32~C40-ダイマー酸の製造に適した不飽和脂肪酸は、当業者に知られており、例えば不飽和C16脂肪酸、不飽和C18脂肪酸および不飽和C20脂肪酸である。
【0166】
したがって、好ましくは成分(B1)は、不飽和C16脂肪酸、不飽和C18脂肪酸および不飽和C20脂肪酸からなる群から選択される不飽和脂肪酸から出発して製造され、その際、不飽和C18脂肪酸が特に好ましい。
【0167】
したがって、ポリマーフィルム(P)であって、成分(B1)が、不飽和C16脂肪酸、不飽和C18脂肪酸および不飽和C20脂肪酸からなる群から選択される不飽和脂肪酸から出発して製造されるポリマーフィルム(P)も、本発明の対象である。
【0168】
適切な不飽和C16脂肪酸は、例えばパルミトレイン酸((9Z)-ヘキサデカ-9-エン酸)である。
【0169】
適切な不飽和C18脂肪酸は、例えばペトロセリン酸((6Z)-オクタデカ-6-エン酸)、オレイン酸((9Z)-オクタデカ-9-エン酸)、エライジン酸((9E)-オクタデカ-9-エン酸)、バクセン酸((11E)-オクタデカ-11-エン酸)、リノール酸((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン酸)、α-リノレン酸((9Z,12Z,15Z)-オクタデカ-9,12,15-トリエン酸)、γ-リノレン酸((6Z,9Z,12Z)-オクタデカ-6,9,12-トリエン酸)、カレンデュラ酸((8E,10E,12Z)-オクタデカ-8,10,12-トリエン酸)、プニカ酸((9Z,11E,13Z)-オクタデカ-9,11,13-トリエン酸)、α-エレオステアリン酸((9Z,11E,13E)-オクタデカ-9,11,13-トリエン酸)およびβ-エレオステアリン酸((9E,11E,13E)-オクタデカ-9,11,13-トリエン酸)からなる群から選択される。ペトロセリン酸((6Z)-オクタデカ-6-エン酸)、オレイン酸((9Z)-オクタデカ-9-エン酸)、エライジン酸((9E)-オクタデカ-9-エン酸)、バクセン酸((11E)-オクタデカ-11-エン酸)、リノール酸((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン酸)からなる群から選択される不飽和C18脂肪酸が特に好ましい。
【0170】
適切な不飽和C20脂肪酸は、例えばガドレイン酸((9Z)-エイコサ-9-エン酸)、イコセン酸((11Z)-エイコサ-11-エン酸)、アラキドン酸((5Z,8Z,11Z,14Z)-エイコサ-5,8,11,14-テトラエン酸)およびチムノドン酸((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)-エイコサ-5,8,11,14,17-ペンタエン酸)からなる群から選択される。
【0171】
成分(B1)は、特に好ましくは少なくとも1種のC36-ダイマー酸である。
【0172】
少なくとも1種のC36-ダイマー酸は、好ましくは不飽和C18脂肪酸から出発して製造される。C36-ダイマー酸は、特に好ましくは、ペトロセリン酸((6Z)-オクタデカ-6-エン酸)、オレイン酸((9Z)-オクタデカ-9-エン酸)、エライジン酸((9E)-オクタデカ-9-エン酸)、バクセン酸((11E)-オクタデカ-11-エン酸)およびリノール酸((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン酸)からなる群から選択されるC18脂肪酸から出発して製造される。
【0173】
不飽和脂肪酸から成分(B1)を製造する際に、さらにトリマー酸が形成される場合があり、さらに未反応の不飽和脂肪酸の基が残る場合もある。
【0174】
トリマー酸の形成は、当業者に知られている。
【0175】
本発明によれば、好ましくは、成分(B1)は、それぞれ該成分(B1)の全重量を基準として、0.5重量%以下の未反応不飽和脂肪酸と、0.5重量%以下のトリマー酸とを含み、特に好ましくは、0.2重量%以下の未反応不飽和脂肪酸と、0.2重量%以下のトリマー酸とを含む。
【0176】
一般に、そして特に本発明において、不飽和脂肪酸のオリゴマー化によって製造される混合物を、ダイマー酸(二量体化脂肪酸またはダイマー脂肪酸としても知られる)と呼ぶ。該混合物は、例えば植物性不飽和脂肪酸の触媒による二量体化によって製造可能であり、その際、出発物質としては特に不飽和C16~C20-脂肪酸が使用される。主にディールス-アルダー型で結合が進行し、その結果、ダイマー酸の製造に使用される脂肪酸中の二重結合の数および位置に応じて、カルボキシル基の間に脂環式の、直鎖脂肪族の、分岐鎖脂肪族の、さらにはC6-芳香族炭化水素基を有する、主に二量体の生成物の混合物が生じる。機序および/またはその後に行われる場合がある水素化に応じて、脂肪族基は、飽和である場合も不飽和である場合もあり、また芳香族基の割合も変動し得る。その場合、カルボン酸基の間の基は、例えば32~40個の炭素原子を含む。好ましくは、製造には18個の炭素原子を有する脂肪酸が使用され、したがって二量体の生成物は36個の炭素原子を有する。ダイマー脂肪酸のカルボキシル基を結合する基は、好ましくは不飽和結合も芳香族炭化水素基も有しない。
【0177】
したがって、本発明において、製造時には好ましくはC18脂肪酸が使用される。リノレン酸、リノール酸および/またはオレイン酸の使用が特に好ましい。
【0178】
反応操作に応じて、上述のオリゴマー化の際に、主にダイマー分子を含むがトリマー分子およびモノマー分子ならびに他の副生成物をも含む混合物が生じる。通常は蒸留により精製が行われる。市販のダイマー酸は一般に、少なくとも80重量%のダイマー分子、19重量%以下のトリマー分子、および最大1重量%のモノマー分子および他の副生成物を含む。
【0179】
少なくとも90重量%、好ましくは少なくとも95重量%、極めて特に好ましくは少なくとも98重量%がダイマー脂肪酸分子からなるダイマー酸を使用することが好ましい。
【0180】
ダイマー酸中のモノマー、ダイマーおよびトリマー分子ならびに他の副生成物の割合の測定は、例えばガスクロマトグラフィー(GC)によって行うことができる。この場合、GC分析の前に、ダイマー酸を三フッ化ホウ素法により対応するメチルエステルに転化させ(DIN EN ISO 5509参照)、次いでGCにより分析する。
【0181】
したがって、本発明における「ダイマー酸」の基本的な特徴は、その製造が不飽和脂肪酸のオリゴマー化を含むことであると考えられる。このオリゴマー化の際に、とりわけ、つまり好ましくは、少なくとも80重量%、特に好ましくは少なくとも90重量%、極めて特に好ましくは少なくとも95重量%、殊に少なくとも98重量%の程度で二量体生成物が生じる。オリゴマー化の際に主に脂肪酸分子を厳密に2つ含む二量体生成物が生じるという事実によって、このいずれにせよ広く用いられている名称の正当性が証明される。したがって、該当する「ダイマー酸」なる概念の代替的表現は、「二量体化脂肪酸を含む混合物」である。
【0182】
使用可能なダイマー酸は、市販品として入手可能である。例えばOleon社製Radiacid 0970、Radiacid 0971、Radiacid 0972、Radiacid 0975、Radiacid 0976およびRadiacid 0977、Croda社製Pripol 1006、Pripol 1009、Pripol 1012およびPripol 1013、BASF SE社製Empol 1008、Empol 1012、Empol 1061およびEmpol 1062、ならびにArizona Chemical社製Unidyme 10およびUnidyme T1が挙げられる。
【0183】
成分(B1)は、例えば190~200mgKOH/gの範囲の酸価を有する。
【0184】
ポリマーフィルム(P)の製造
本発明によるポリマーフィルム(P)は、好ましくは以下の工程を含む方法で製造される:
i)以下の成分:
(A)以下の成分を含む第1のモノマー混合物(M1)15~95重量%
(A1)少なくとも1種のC4~C12-ジカルボン酸および
(A2)少なくとも1種の第1のC4~C12-ジアミン
と、
(B)以下の成分を含む第2のモノマー混合物(M2)5~85重量%
(B1)少なくとも1種のC32~C40-ダイマー酸および
(B2)少なくとも1種の第2のC4~C12-ジアミン
との重合により製造された少なくとも1種のコポリアミドを準備する工程であって、ここで、前記成分(A)および(B)の重量パーセントはそれぞれ、第1の押出機内の溶融形態の前記成分(A)および(B)の重量パーセントの合計を基準とするものである工程、
ii)前記工程i)で準備された溶融形態の少なくとも1種のコポリアミドを前記第1の押出機からダイを通して押し出して、前記溶融形態の少なくとも1種のポリアミドのフィルムを得る工程、
iii)前記工程ii)で得られた溶融形態の少なくとも1種のコポリアミドのフィルムを冷却して前記少なくとも1種のコポリアミドを固化させることで、ポリマーフィルム(P)を得る工程。
【0185】
したがって、本発明によるポリマーフィルム(P)の製造方法であって、以下:
i)以下の成分:
(A)以下の成分を含む第1のモノマー混合物(M1)15~95重量%
(A1)少なくとも1種のC4~C12-ジカルボン酸および
(A2)少なくとも1種の第1のC4~C12-ジアミン
と、
(B)以下の成分を含む第2のモノマー混合物(M2)5~85重量%
(B1)少なくとも1種のC32~C40-ダイマー酸および
(B2)少なくとも1種の第2のC4~C12-ジアミン
との重合により製造された少なくとも1種のコポリアミドを準備する工程であって、ここで、前記成分(A)および(B)の重量パーセントはそれぞれ、第1の押出機内の溶融形態の前記成分(A)および(B)の重量パーセントの合計を基準とするものである工程、
ii)前記工程i)で準備された溶融形態の少なくとも1種のコポリアミドを前記第1の押出機からダイを通して押し出して、前記溶融形態の少なくとも1種のコポリアミドのフィルムを得る工程、
iii)前記工程ii)で得られた溶融形態の少なくとも1種のコポリアミドのフィルムを冷却して前記少なくとも1種のコポリアミドを固化させることで、ポリマーフィルム(P)を得る工程
を含む方法も、本発明の対象である。
【0186】
工程i)において、溶融形態の少なくとも1種のコポリアミドを、第1の押出機内で準備する。
【0187】
本発明において、「第1の押出機」とは、厳密に1つの第1の押出機だけでなく、2つ以上の第1の押出機をも意味する。通常、ポリマーフィルム(P)に含まれる少なくとも1種のコポリアミドを含む第1の層の数と同数の第1の押出機が使用される。
【0188】
ポリマーフィルム(P)が、例えば少なくとも1種のコポリアミドを含む第1の層を厳密に1つ含む場合には、第1の押出機が厳密に1つ使用される。ポリマーフィルム(P)が、少なくとも1種のコポリアミドを含む第1の層を厳密に2つ含む場合には、第1の押出機が厳密に2つ使用される。ポリマーフィルム(P)が、少なくとも1種のコポリアミドを含む第1の層を厳密に5つ含む場合には、第1の押出機が厳密に5個使用される。
【0189】
例えば、第1の押出機は1~11個使用され、好ましくは第1の押出機は1~5個使用され、特に好ましくは第1の押出機は1~3個使用される。
【0190】
工程i)で準備される少なくとも1種のコポリアミドにも、ポリマーフィルム(P)に含まれる少なくとも1種のコポリアミドについての上記の実施形態および選好物が同様に該当する。
【0191】
本発明によれば、少なくとも1種のコポリアミドは、溶融形態で準備される。
【0192】
本発明において、「溶融形態で」とは、少なくとも1種のコポリアミドが、該少なくとも1種のコポリアミドの溶融温度(TM(C))を上回る温度で準備されることを意味する。つまり「溶融形態で」とは、少なくとも1種のコポリアミドが、該少なくとも1種のコポリアミドの溶融温度(TM(C))を上回る温度にあることを意味する。少なくとも1種のコポリアミドが溶融形態である場合、該少なくとも1種のコポリアミドは流動性である。
【0193】
「流動性」とは、少なくとも1種のコポリアミドを第1の押出機内で搬送することができ、かつ少なくとも1種のコポリアミドを第1の押出機から押し出すことができることを意味する。
【0194】
例えば少なくとも1種のコポリアミドは、工程i)において210~340℃の範囲、好ましくは240~330℃の範囲、特に好ましくは270~320℃の範囲の温度で準備されるが、ただしそれぞれ、少なくとも1種のコポリアミドが準備される温度が、少なくとも1種のコポリアミドの溶融温度(TM(C))を上回ることを前提とする。
【0195】
少なくとも1種のコポリアミドを、当業者に知られているいずれの方法によって第1の押出機内で溶融形態で準備することもできる。
【0196】
例えば、少なくとも1種のコポリアミドを、溶融形態または固体形態で第1の押出機に供給することができる。少なくとも1種のコポリアミドが第1の押出機に固体形態で供給される場合、該コポリアミドを、第1の押出機に例えば造粒体および/または粉末として供給することができる。次いで、少なくとも1種のコポリアミドを第1の押出機内で溶融させ、そのようにして第1の押出機内で溶融形態で準備する。この実施形態は好ましい。
【0197】
さらに、成分(A)および(B)を第1の押出機内で直接重合させ、そのようにして少なくとも1種のコポリアミドを第1の押出機内で溶融形態で準備することが可能である。このための方法は当業者に知られている。
【0198】
工程ii)において、溶融形態の少なくとも1種のコポリアミドを第1の押出機からダイを通して押し出して、該溶融形態の少なくとも1種のコポリアミドのフィルムを得る。
【0199】
本発明において、「ダイ」とは、厳密に1つのダイだけでなく、2つ以上のダイをも意味する。本発明によれば、厳密に1つのダイが好ましい。
【0200】
ダイとしては、溶融形態の少なくとも1種のコポリアミドからのフィルムの押出しを可能にする、当業者に知られているいずれのダイも適している。この種のダイは、例えばリングダイまたはスロットダイである。
【0201】
適切なリングダイおよびスロットダイ自体は、当業者に知られている。
【0202】
例えば、後述の工程i1)を行う場合には、工程ii)において、第1の押出機から得られた溶融形態の少なくとも1種のコポリアミドと、さらなる押出機から得られた溶融形態の少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)とを、例えばリングダイやスロットダイといったダイにおいて合することが好ましい。
【0203】
特に、工程ii)において、第1の押出機から得られた溶融形態の少なくとも1種のコポリアミドと、さらなる押出機から得られた溶融形態の少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)とをダイにおいて合し、その結果、工程ii)で得られた、それぞれ溶融形態である少なくとも1種のコポリアミドおよび少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)のフィルムは、溶融形態の少なくとも1種のコポリアミドを含む少なくとも1つの第1の層と、溶融形態の少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)を含む少なくとも1つのさらなる層とを含む。
【0204】
例えば、溶融形態の少なくとも1種のコポリアミドのフィルムの厚さは、0.1μm~1mmの範囲にあり、好ましくは5~500μmの範囲にあり、特に好ましくは20~100μmの範囲にある。
【0205】
溶融形態の少なくとも1種のコポリアミドのフィルムは、例えばフラットフィルムであってもチューブラーフィルムであってもよい。通常は、ダイとしてリングダイが使用される場合にはチューブラーフィルムが得られ、ダイとしてスロットダイが使用される場合にはフラットフィルムが得られる。
【0206】
工程iii)において、工程ii)で得られた溶融形態の少なくとも1種のコポリアミドのフィルムを冷却する。これにより少なくとも1種のコポリアミドが固化して、ポリマーフィルム(P)が得られる。
【0207】
溶融形態の少なくとも1種のコポリアミドのフィルムの冷却には、当業者に知られているいずれの方法も適している。例えば、溶融形態の少なくとも1種のコポリアミドのフィルムを、空冷もしくは水冷によって、または冷たい表面との接触によって冷却することができる。
【0208】
溶融形態の少なくとも1種のコポリアミドのフィルムを、工程iii)において、例えば少なくとも1種のコポリアミドの溶融温度(TM(C))を下回る温度に冷却することで、ポリマーフィルム(P)が得られる。好ましくは、溶融形態の少なくとも1種のコポリアミドのフィルムを、工程iii)において、少なくとも1種のコポリアミドの少なくとも1つのガラス転移温度(TG(C))を下回る温度に冷却する。
【0209】
例えば、溶融形態の少なくとも1種のコポリアミドのフィルムを、工程iii)において、0~100℃の範囲、好ましくは10~80℃の範囲、特に好ましくは15~70℃の範囲の温度に冷却し、その際、溶融形態の少なくとも1種のコポリアミドのフィルムが冷却される温度は、少なくとも1種のコポリアミドの溶融温度(TM(C))を下回り、好ましくは少なくとも1種のコポリアミドの少なくとも1つのガラス転移温度(TG(C))を下回る。
【0210】
したがって、ポリマーフィルム(P)の製造方法であって、工程iii)において、溶融形態の少なくとも1種のコポリアミドのフィルムを、少なくとも1種のコポリアミドの溶融温度(TM(C))を下回る温度に冷却する方法も、本発明の対象である。
【0211】
工程iii)で得られたポリマーフィルム(P)にも、本発明によるポリマーフィルム(P)に関して記載した実施形態および選好物が同様に該当する。
【0212】
工程ii)およびiii)は、順に行うことも同時に行うことも可能である。
【0213】
好ましくは、さらに工程i1)を行い、該工程i1)において、溶融状態の少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)がさらなる押出機内で準備される。
【0214】
その場合、ポリマーフィルム(P)の製造方法は、以下を含む:
i)以下の成分:
(A)以下の成分を含む第1のモノマー混合物(M1)15~95重量%
(A1)少なくとも1種のC4~C12-ジカルボン酸および
(A2)少なくとも1種の第1のC4~C12-ジアミン
と、
(B)以下の成分を含む第2のモノマー混合物(M2)5~85重量%
(B1)少なくとも1種のC32~C40-ダイマー酸および
(B2)少なくとも1種の第2のC4~C12-ジアミン
との重合により製造された少なくとも1種のコポリアミドを準備する工程であって、ここで、前記成分(A)および(B)の重量パーセントはそれぞれ、第1の押出機内の溶融形態の前記成分(A)および(B)の重量パーセントの合計を基準とするものである工程、
i1)さらなる押出機内で、溶融形態の少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)を準備する工程、
ii)前記工程i)で準備された溶融形態の少なくとも1種のコポリアミドを前記第1の押出機からダイを通して押し出し、かつ前記工程i1)で準備された溶融形態の少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)を前記さらなる押出機からダイを通して押し出して、それぞれ溶融形態の前記少なくとも1種のコポリアミドおよび前記少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)のフィルムを得る工程、
iii)前記工程ii)で得られたそれぞれ溶融形態の少なくとも1種のコポリアミドおよび少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)のフィルムを冷却して、前記少なくとも1種のコポリアミドおよび/または前記少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)を固化させることで、ポリマーフィルム(P)を得る工程。
【0215】
工程i1)において、溶融形態の少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)を、さらなる押出機内で準備する。
【0216】
本発明において、「さらなる押出機」とは、厳密に1つのさらなる押出機のみではなく、2つ以上のさらなる押出機をも意味する。2つ以上のさらなる押出機が好ましい。
【0217】
好ましくは、ポリマーフィルム(P)に含まれる少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)を含むさらなる層と同数のさらなる押出機が使用される。例えば、さらなる押出機は1~13個使用され、好ましくはさらなる押出機は1~11個使用され、特に好ましくはさらなる押出機は1~7個使用される。
【0218】
ポリマーフィルム(P)が、例えば少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)を含むさらなる層を厳密に1つ含む場合には、さらなる押出機が厳密に1つ使用される。ポリマーフィルム(P)が、少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)を含むさらなる層を厳密に2つ含む場合には、さらなる押出機が厳密に2つ使用される。ポリマーフィルム(P)が、少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)を含むさらなる層を厳密に5つ含む場合には、さらなる押出機が厳密に5個使用される。
【0219】
さらなる押出機にも、第1の押出機について上述した実施形態および選好物が同様に該当する。
【0220】
少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)についても、任意にポリマーフィルム(P)に含まれる少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)についての上記の実施形態および選好物が同様に該当する。
【0221】
本発明によれば、少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)は、工程i1)において溶融形態で準備される。「溶融形態で」とは、少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)が、少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)の溶融温度(TM(FP))を上回る温度で準備されることを意味する。したがって「溶融形態で」とは、少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)が、少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)の溶融温度(TM(FP))を上回る温度にあることを意味する。少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)が溶融形態である場合、少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)は、流動性である。
【0222】
「流動性」とは、少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)をさらなる押出機内で搬送することができ、かつ少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)をさらなる押出機から押し出すことができることを意味する。
【0223】
例えば、少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)は、工程i1)において120~350℃の範囲、好ましくは130~300℃の範囲、特に好ましくは140~250℃の範囲の温度で準備されるが、ただしそれぞれ、少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)が準備される温度が、少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)の溶融温度(TM(FP))を上回ることを前提とする。
【0224】
少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)を、当業者に知られているいずれの方法によってさらなる押出機内で溶融形態で準備することもできる。
【0225】
例えば、少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)を、溶融形態または固体形態でさらなる押出機に供給することができる。少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)がさらなる押出機に固体形態で供給される場合、該ポリマーを、さらなる押出機に例えば造粒体および/または粉末として供給することができる。次いで、少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)をさらなる押出機内で溶融させ、そのようにしてさらなる押出機内で溶融形態で準備する。
【0226】
工程i1)は、通常は工程i)と同時に行われる。
【0227】
工程i1)を行う場合の工程i)、ii)およびiii)にも、工程i1)を行わない場合の工程i)、ii)およびiii)についての上記の実施形態および選好物が同様に該当する。
【0228】
工程ii)で得られた、それぞれ溶融形態である少なくとも1種のコポリアミドおよび少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)のフィルムは、少なくとも1種のコポリアミドを少なくとも1つの第1の層に含むとともに、少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)を少なくとも1つのさらなる層に含む。通常は、工程ii)で得られたフィルムは、少なくとも1種のコポリアミドを溶融形態で含む第1の層を、工程i)で使用された第1の押出機と同数だけ含み、かつ少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)を溶融形態で含むさらなる層を、工程i1)で使用されたさらなる押出機と同数だけ含む。
【0229】
当然のことながら、工程i1)を行う場合には、工程iii)で得られたポリマーフィルム(P)は、多層フィルムである。
【0230】
ポリマーフィルム(P)を延伸させることが好ましい。ポリマーフィルム(P)を工程iii)の後に延伸させることが可能であり、また工程iii)の間、すなわち少なくとも1種のコポリアミドおよび場合により少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)のフィルムの冷却中にポリマーフィルム(P)を延伸させることも同様に可能である。
【0231】
したがって、さらに以下:
iv)ポリマーフィルム(P)を延伸させて、延伸されたポリマーフィルム(SP)を得る工程
を行う方法も、本発明の対象である。
【0232】
工程iii)およびiv)を、順に行うことも同時に行うことも可能である。
【0233】
ポリマーフィルム(P)の延伸時に、少なくとも1種のコポリアミドのポリマー鎖が整列し、そして少なくとも1種のコポリアミドの結晶化度が高まり得る。
【0234】
この延伸時にはさらに、任意にポリマーフィルム(P)に含まれる少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)のポリマー鎖も整列し得る。これによって、少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)の結晶化度も高まり得る。
【0235】
延伸は、当業者に知られているいずれの方法によって行われてもよい。
【0236】
例えば、ポリマーフィルム(P)を少なくとも1つのロール、好ましくはロールシステムで案内することによって、またはポリマーフィルム(P)をその幅方向に伸ばすことによって、該フィルムを延伸させることができる。ポリマーフィルム(P)がチューブとして得られる場合には、ポリマーフィルム(P)のチューブに空気を吹き込むことで該フィルムを延伸させることも同様に可能である。当然のことながら、複数の方法を組み合わせることも可能である。
【0237】
ポリマーフィルム(P)が、少なくとも1つのロールで、好ましくはロールシステムで案内される場合、ポリマーフィルム(P)は、押出方向、すなわちその長手方向に延伸される。対照的に、ポリマーフィルム(P)がその幅方向に伸ばされる場合には、該フィルムは押出方向に対して垂直に延伸される。
【0238】
ポリマーフィルム(P)が、延伸のために少なくとも1つのロールで、好ましくはロールシステムで案内される場合、少なくとも1種のコポリアミドおよび場合により少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)のポリマー鎖は、延伸が行われる方向と平行に整列する。その場合、得られた延伸されたポリマーフィルム(SP)は、一軸配向した状態にある。ポリマーフィルム(P)を延伸のためにその幅方向に伸ばした場合、得られた延伸されたポリマーフィルム(SP)も同様に、一軸配向した状態にある。その場合も、少なくとも1種のコポリアミドおよび場合により少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)のポリマー鎖は、延伸が行われる方向に対して平行に整列する。
【0239】
「一軸配向した状態」とは、ポリマー鎖が実質的に一方向に整列していることを意味する。
【0240】
ポリマーフィルム(P)が延伸のためにロールシステムで案内され、そしてさらにその幅方向に伸ばされる場合、少なくとも1種のコポリアミドおよび場合により少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)のポリマー鎖は、延伸が行われるどちらの方向にも平行に整列する。その場合、得られた延伸されたポリマーフィルム(SP)は、二軸配向した状態にある。
【0241】
「二軸配向した状態」とは、ポリマー鎖が実質的に2つの異なる方向に、好ましくは互いに垂直な方向に整列していることを意味する。
【0242】
ポリマーフィルム(P)がチューブとして得られ、このポリマーフィルム(P)のチューブに空気を吹き込むことによってポリマーフィルム(P)が延伸される場合、得られた延伸されたポリマーフィルム(SP)は、一軸配向した状態にある。
【0243】
したがって、ポリマーフィルム(P)を延伸させるための上述の方法を組み合わせた場合には、ポリマーフィルム(P)が例えばチューブとして得られ、そしてこのポリマーフィルム(P)のチューブに空気を吹き込み、それと同時にこれをロールで案内して同様にこれを延伸させることによってポリマーフィルム(P)が延伸され、そのようにして、得られた延伸されたポリマーフィルム(SP)が二軸配向した状態となる。
【0244】
ポリマーフィルム(P)は通常は、少なくとも1種のコポリアミドの少なくとも1つのガラス転移温度(TG(C))を上回りかつ少なくとも1種のコポリアミドの溶融温度(TM(C))を下回る温度で延伸される。ポリマーフィルム(P)が多層フィルムである場合にはさらに、ポリマーフィルム(P)が、少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)の溶融温度(TM(FP))を下回る温度で延伸されることが好ましく、特に好ましくは最も低い温度で溶融する少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)の溶融温度を下回る温度で延伸されることが好ましい。
【0245】
本発明によるポリマーフィルム(P)は、例えばキャスティング法、インフレーション法、二軸配向ポリアミドフィルム法(BOPA法)またはマルチインフレーション法で製造することができる。
【0246】
したがって、キャスティング法、インフレーション法、二軸配向ポリアミドフィルム法またはマルチインフレーション法で製造されるポリマーフィルム(P)も、本発明の対象である。
【0247】
キャスティング法、インフレーション法、二軸配向ポリアミドフィルム法およびマルチインフレーション法自体は、当業者に知られている。通常、ポリマーフィルム(P)はこれらの方法で延伸され、それにより延伸されたポリマーフィルム(vP)が得られる。
【0248】
ポリマーフィルム(P)を製造するためのキャスティング法は、好ましくは以下の工程i-c)~iv-c)を含む:
i-c)以下の成分:
(A)以下の成分を含む第1のモノマー混合物(M1)15~95重量%
(A1)少なくとも1種のC4~C12-ジカルボン酸および
(A2)少なくとも1種の第1のC4~C12-ジアミン
と、
(B)以下の成分を含む第2のモノマー混合物(M2)5~85重量%
(B1)少なくとも1種のC32~C40-ダイマー酸および
(B2)少なくとも1種の第2のC4~C12-ジアミン
との重合により製造された少なくとも1種のコポリアミドを準備する工程であって、ここで、前記成分(A)および(B)の重量パーセントはそれぞれ、第1の押出機内の溶融形態の前記成分(A)および(B)の重量パーセントの合計を基準とするものである工程、
ii-c)前記工程i-c)で準備された溶融形態の少なくとも1種のコポリアミドを前記第1の押出機からダイを通して押し出して、前記溶融形態の少なくとも1種のコポリアミドのフィルムを得る工程、
iii-c)前記工程ii-c)で得られた溶融形態の少なくとも1種のコポリアミドのフィルムを冷却して前記少なくとも1種のコポリアミドを固化させることで、ポリマーフィルム(P)を得る工程、
iv-c)前記工程iii-c)で得られたポリマーフィルム(P)を、少なくとも1つのロールで、好ましくはロールシステムで案内することにより延伸させて、延伸されたポリマーフィルム(SP)を得る工程。
【0249】
前記キャスティング法の工程i-c)~iii-c)にも、ポリマーフィルム(P)の製造方法の工程i)~iii)について上述した実施形態および選好物が同様に該当する。
【0250】
前記キャスティング法で工程ii-c)で使用されるダイは、通常はスロットダイである。したがって、工程ii-c)で得られた溶融形態の少なくとも1種のコポリアミドのフィルムは、好ましくはフラットフィルムであり、したがって工程iii-c)で得られたポリマーフィルム(P)および工程iv-c)で得られた延伸されたポリマーフィルム(SP)は、好ましくはフラットホイルである。
【0251】
前記キャスティング法において、工程iii-c)およびiv-c)は、順に行うことも同時に行うことも可能である。好ましくは、前記キャスティング法において工程iii-c)およびiv-c)は同時に行われ、特に好ましくは、工程iii-c)およびiv-c)は、同時に、かつ工程ii-c)の直後に行われる。
【0252】
さらに、前記キャスティング法において、工程iv-c)で使用される少なくとも1つのロール、好ましくはロールシステムが、工程iv-c)の間に冷却されることが好ましい。
【0253】
ポリマーフィルム(P)を製造するためのインフレーション法は、好ましくは以下の工程i-b)~iv-b)を含む:
i-b)以下の成分:
(A)以下の成分を含む第1のモノマー混合物(M1)15~95重量%
(A1)少なくとも1種のC4~C12-ジカルボン酸および
(A2)少なくとも1種の第1のC4~C12-ジアミン
と、
(B)以下の成分を含む第2のモノマー混合物(M2)5~85重量%
(B1)少なくとも1種のC32~C40-ダイマー酸および
(B2)少なくとも1種の第2のC4~C12-ジアミン
との重合により製造された少なくとも1種のコポリアミドを準備する工程であって、ここで、前記成分(A)および(B)の重量パーセントはそれぞれ、第1の押出機内の溶融形態の前記成分(A)および(B)の重量パーセントの合計を基準とするものである工程、
ii-b)前記工程i-b)で準備された溶融形態の少なくとも1種のコポリアミドを、第1の押出機から、リングダイであるダイを通して押し出して、前記溶融形態の少なくとも1種のコポリアミドのチューブラーフィルムを得る工程、
iii-b)前記工程ii-b)で得られた溶融形態の少なくとも1種のコポリアミドのチューブラーフィルムを冷却して前記少なくとも1種のコポリアミドを固化させることで、ポリマーフィルム(P)を得る工程、
iv-b)前記工程iii-b)で得られたポリマーフィルム(P)のチューブに空気を吹き込むことにより前記ポリマーフィルム(P)を延伸させて、延伸されたポリマーフィルム(SP)を得る工程。
【0254】
前記インフレーション法の工程i-b)~iii-b)にも、ポリマーフィルム(P)の製造方法の工程i)~iii)について上述した実施形態および選好物が同様に該当する。
【0255】
前記インフレーション法の工程ii-b)におけるダイとしては、好ましくはスタックダイ、ヘリカルディストリビュータダイまたはそれらの混合形態が使用される。これらのダイは当業者に知られており、例えばKirk Cantor著, “Blown Film Extrusion”, 2nd Edition, Carl Hanser Verlag, Munich 2011に記載されている。
【0256】
前記インフレーション法において、工程iii-b)およびiv-b)を同時に行うことも順に行うことも可能である。好ましくは、前記インフレーション法において、工程iii-b)およびiv-b)は同時に行われる。
【0257】
当然のことながら、前記インフレーション法における工程iii-b)およびiv-b)が同時に行われる場合には、工程ii-b)で得られた溶融形態の少なくとも1種のコポリアミドのチューブラーフィルムを工程iii-b)で冷却し、それと同時に該チューブラーフィルムに空気を吹き込んで延伸させることで、延伸されたポリマーフィルム(SP)が得られる。
【0258】
ポリマーフィルム(P)を製造するための二軸配向ポリアミドフィルム法は、好ましくは以下の工程i-o)~iv-o)を含む:
i-o)以下の成分:
(A)以下の成分を含む第1のモノマー混合物(M1)15~95重量%
(A1)少なくとも1種のC4~C12-ジカルボン酸および
(A2)少なくとも1種の第1のC4~C12-ジアミン
と、
(B)以下の成分を含む第2のモノマー混合物(M2)5~85重量%
(B1)少なくとも1種のC32~C40-ダイマー酸および
(B2)少なくとも1種の第2のC4~C12-ジアミン
との重合により製造された少なくとも1種のコポリアミドを準備する工程であって、ここで、前記成分(A)および(B)の重量パーセントはそれぞれ、第1の押出機内の溶融形態の前記成分(A)および(B)の重量パーセントの合計を基準とするものである工程、
ii-o)前記工程i-o)で準備された溶融形態の少なくとも1種のコポリアミドを前記第1の押出機からダイを通して押し出して、前記溶融形態の少なくとも1種のコポリアミドのフィルムを得る工程、
iii-o)前記工程ii-o)で得られた溶融形態の少なくとも1種のコポリアミドのフィルムを冷却して前記少なくとも1種のコポリアミドを固化させることで、ポリマーフィルム(P)を得る工程、
iv-o)前記工程iii-o)で得られたポリマーフィルム(P)を、少なくとも1つのロールで、好ましくはロールシステムで案内することにより延伸させてその幅方向に伸ばすことによって、延伸されたポリマーフィルム(SP)を得る工程。
【0259】
二軸配向ポリアミドフィルム法の工程i-o)~iii-o)についても、ポリマーフィルム(P)の製造方法の工程i)~iii)について上述した実施形態および選好物が同様に該当する。
【0260】
二軸配向ポリアミドフィルム法で工程ii-o)において使用されるダイは、通常はスロットダイである。したがって、工程ii-o)で得られた溶融形態の少なくとも1種のコポリアミドのフィルムは、好ましくはフラットフィルムであり、したがって工程iii-o)で得られたポリマーフィルム(P)および工程iv-o)で得られた延伸されたポリマーフィルム(SP)は、好ましくはフラットホイルである。
【0261】
二軸配向ポリアミドフィルム法において、工程iii-o)およびiv-o)は、順に行うことも同時に行うことも可能であり、好ましくは、工程iii-o)およびiv-o)は順に行われる。特に好ましくは、二軸配向ポリアミドフィルム法において、工程iii-o)およびiv-o)は順に行われ、かつ工程iii-o)で得られたポリマーフィルム(P)は、工程iv-o)の前に加熱される。その際、ポリマーフィルム(P)は、工程iv-o)の前に、ポリマーフィルム(P)に含まれる少なくとも1種のコポリアミドの少なくとも1つのガラス転移温度(TG(C))を上回りかつポリマーフィルム(P)に含まれる少なくとも1種のコポリアミドの溶融温度(TM(C))を下回る温度に加熱されることが好ましい。ポリマーフィルム(P)を工程iv-o)の前に加熱する温度で、ポリマーフィルム(P)を工程iv-o)において延伸させることが好ましい。
【0262】
ポリマーフィルム(P)を製造するためのマルチインフレーション法は、好ましくは以下の工程i-m)~iv-m)を含む:
i-m)以下の成分:
(A)以下の成分を含む第1のモノマー混合物(M1)15~95重量%
(A1)少なくとも1種のC4~C12-ジカルボン酸および
(A2)少なくとも1種の第1のC4~C12-ジアミン
と、
(B)以下の成分を含む第2のモノマー混合物(M2)5~85重量%
(B1)少なくとも1種のC32~C40-ダイマー酸および
(B2)少なくとも1種の第2のC4~C12-ジアミン
との重合により製造された少なくとも1種のコポリアミドを準備する工程であって、ここで、前記成分(A)および(B)の重量パーセントはそれぞれ、第1の押出機内の溶融形態の前記成分(A)および(B)の重量パーセントの合計を基準とするものである工程、
ii-m)前記工程i-m)で準備された溶融形態の少なくとも1種のコポリアミドを、第1の押出機から、リングダイであるダイを通して押し出して、前記溶融形態の少なくとも1種のコポリアミドのチューブラーフィルムを得る工程、
iii-m)前記工程ii-m)で得られた溶融形態の少なくとも1種のコポリアミドのチューブラーフィルムを冷却して前記少なくとも1種のコポリアミドを固化させることで、ポリマーフィルム(P)を得る工程、
iv-m)前記工程iii-m)で得られたポリマーフィルム(P)のチューブに空気を吹き込むと同時に該ポリマーフィルム(P)を少なくとも1つのロール、好ましくはロールシステムで案内してこれを延伸させることによって、延伸されたポリマーフィルム(SP)を得る工程。
【0263】
前記マルチインフレーション法の工程i-m)~iii-m)にも、ポリマーフィルム(P)の製造方法の工程i)~iii)について上述した実施形態および選好物が同様に該当する。
【0264】
好ましくは、溶融形態の少なくとも1種のコポリアミドのチューブラーフィルムを、工程iii-m)において水浴内で冷却させる。
【0265】
前記マルチインフレーション法において、工程iii-m)およびiv-m)は、同時に行うことも順に行うことも可能であり、好ましくは、工程iii-m)およびiv-m)は順に行われる。特に好ましくは、工程iii-m)およびiv-m)は順に行われ、かつ工程iii-m)で得られたポリマーフィルム(P)は、工程iv-m)の前に加熱される。その際、ポリマーフィルム(P)は、工程iv-m)の前に、ポリマーフィルム(P)に含まれる少なくとも1種のコポリアミドの少なくとも1つのガラス転移温度(TG(C))を上回りかつポリマーフィルム(P)に含まれる少なくとも1種のコポリアミドの溶融温度(TM(C))を下回る温度に加熱されることが好ましい。ポリマーフィルム(P)を工程iv-m)の前に加熱する温度で、ポリマーフィルム(P)を工程iv-m)において延伸させることが好ましい。
【0266】
当然のことながら、キャスティング法、インフレーション法、二軸配向ポリアミドフィルム法またはマルチインフレーション法において任意に同様に工程i1)を行い、該工程i1)において、少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)を、さらなる押出機内で溶融形態で準備することができ、その場合、ポリマーフィルム(P)の製造方法の工程ii)と同様に、工程ii-c)、工程ii-b)、工程ii-o)および工程ii-m)において、それぞれ溶融形態である少なくとも1種のコポリアミドおよび少なくとも1種のさらなるポリマー(FP)のフィルムが得られ、これが、ポリマーフィルム(P)の製造方法の工程iii)と同様に、工程iii-c)、工程iii-b)、工程iii-o)および工程iii-m)において冷却される。
【0267】
任意に行われる工程i1)についても、ポリマーフィルム(P)の製造方法の、任意に行われる工程i1)についての上記の実施形態および選好物が同様に該当する。
【0268】
好ましくは、二軸配向ポリアミドフィルム法では、工程i1)は行われない。したがって好ましくは、二軸配向ポリアミドフィルム法ではまた、さらなる押出機内でのさらなるポリマー(FP)の準備は行われない。
【0269】
得られた延伸されたポリマーフィルム(vP)を、その製造後に例えば巻き取ることができる。このための方法は、当業者に知られている。延伸されたポリマーフィルム(SP)が、例えば前記インフレーション法およびマルチインフレーション法においてチューブとして得られる場合には、該チューブを巻き取る前にさらに切断してもよい。該切断したフィルムを、次いで1つまたは複数のロールに巻き取ることができる。
【0270】
ポリマーフィルム(P)の使用
本発明によるポリマーフィルム(P)は、ポリマーフィルムが使用される当業者に公知のいずれの分野で使用することもできる。特に本発明によるポリマーフィルム(P)は、使用温度が高く、さらに可とう性でなければならないフィルムに適している。こうしたフィルムには、包装用ホイル、例えばオーブンバッグとも呼ばれる焼成用ホイルおよび工業用ホイル、例えば鋳造用ホイル、例えば風力タービンブレード鋳造用のホイルが含まれる。したがって、本発明によるポリマーフィルム(P)は、包装用ホイルとしてまたは工業用ホイルとして特に適している。
【0271】
したがって、工業用ホイルとしてのまたは包装用ホイルとしての本発明によるポリマーフィルム(P)の使用も、本発明の対象である。