(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】ハンディモバイルプリンタ、ハンディモバイルプリンタの制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 3/28 20060101AFI20240611BHJP
B41J 3/36 20060101ALI20240611BHJP
B41J 21/16 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
B41J3/28
B41J3/36 Z
B41J21/16
(21)【出願番号】P 2019205830
(22)【出願日】2019-11-13
【審査請求日】2022-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】堀越 啓伸
【審査官】大関 朋子
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-134706(JP,A)
【文献】特開2010-100044(JP,A)
【文献】特開2020-029044(JP,A)
【文献】特開平03-272876(JP,A)
【文献】特開2018-052099(JP,A)
【文献】特開2016-000486(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0263062(US,A1)
【文献】特開平11-058845(JP,A)
【文献】特開2014-195286(JP,A)
【文献】特開2006-126488(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 3/28
B41J 3/36
B41J 21/16
B41J 2/01
B41J 29/38
G06F 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体に
第1画像を印刷する印刷部と、
前記媒体に印刷された
第2画像を読取る読取部と、
外部装置に記憶された画像、又はユーザによって入力された文字列に基づく画像を、前記第1画像として取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記第1画像を記憶装置に記憶する記憶制御部と、
ユーザの選択に従い、前記記憶装置に記憶された複数の前記第1画像の中から、前記媒体に印刷する対象となる前記第1画像を選択する選択部と、
前記読取部により読取られた
前記第2画像が
前記第1画像を印刷
する動作と対応付けられた
第3画像を含む場合、
前記選択部により選択された前記第1画像を前記第3画像が印刷された前記媒体上に印刷する動作を開始す
る印刷制御部と、
を備
えるハンディモバイルプリンタ。
【請求項2】
前記印刷
制御部は、
前記読取部により読取られた前記第2画像が前記第2画像上の特定の領域をマスクする印刷を行う動作と対応付けられた第4画像を含む場合、前記媒体上
の前記第4画像が印刷された領域をマスクする印刷を行
う、
請求項1に記載のハンディモバイルプリンタ。
【請求項3】
前記印刷
制御部は、
前記読取部により読取られた前記第2画像が前記第2画像上の特定の領域の付近の領域をマスクする印刷を行う動作と対応付けられた第5画像を含む場合、前記媒体上
の前記第5画像が印刷された領域の直後から開始される一定の領域をマスクする印刷を行
う、
請求項1に記載のハンディモバイルプリンタ。
【請求項4】
媒体に
第1画像を印刷する印刷部と、
前記媒体に印刷された
第2画像を読取る読取部と、
を備えるハンディモバイルプリンタの制御方法であって、
外部装置に記憶された画像、又はユーザによって入力された文字列に基づく画像を、前記第1画像として取得する取得ステップと、
前記取得ステップで取得された前記第1画像を記憶装置に記憶する記憶制御ステップと、
ユーザの選択に従い、前記記憶装置に記憶された複数の前記第1画像の中から、前記媒体に印刷する対象となる前記第1画像を選択する選択ステップと、
前記読取部により読取られた
前記第2画像が
前記第1画像を印刷
する動作と対応付けられた
第3画像を含む場合、
前記選択ステップで選択された前記第1画像を前記第3画像が印刷された前記媒体上に印刷する動作を開始す
る印刷制御ステップと、
を含
むハンディモバイルプリンタの制御方
法。
【請求項5】
媒体に
第1画像を印刷する印刷部と、
前記媒体に印刷された
第2画像を読取る読取部と、
を備えるハンディモバイルプリンタのコンピュータに、
外部装置に記憶された画像、又はユーザによって入力された文字列に基づく画像を、前記第1画像として取得する取得ステップと、
前記取得ステップで取得された前記第1画像を記憶装置に記憶する記憶制御ステップと、
ユーザの選択に従い、前記記憶装置に記憶された複数の前記第1画像の中から、前記媒体に印刷する対象となる前記第1画像を選択する選択ステップと、
前記読取部により読取られた
前記第2画像が
前記第1画像を印刷
する動作と対応付けられた
第3画像を含む場合、
前記選択ステップで選択された前記第1画像を前記第3画像が印刷された前記媒体上に印刷する動作を開始す
る印刷制御ステップと、
を実行させるプログラ
ム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンディモバイルプリンタ、ハンディモバイルプリンタの制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、既に印刷されている内容をスキャンして読取る機構と、印刷を実行する機構と、を備えるハンディモバイルプリンタが知られている。
【0003】
たとえば、特許文献1には、一回目の走査で印刷した画像の情報をスキャンし、その印刷位置に対して適切な出力を行えるよう、次回走査時のインク吐出部の位置を調整して印刷を行うことで印刷品質を向上させる技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術では、スキャンして得た画像情報をインク吐出部の位置の調整という目的にしか利用しておらず、ハンディモバイルプリンタの更なる利便性の向上を図るという点については、改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、更なる利便性の向上を図ることができるハンディモバイルプリンタ、ハンディモバイルプリンタの制御方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、媒体に第1画像を印刷する印刷部と、前記媒体に印刷された第2画像を読取る読取部と、外部装置に記憶された画像、又はユーザによって入力された文字列に基づく画像を、前記第1画像として取得する取得部と、前記取得部により取得された前記第1画像を記憶装置に記憶する記憶制御部と、前記記憶装置に記憶された複数の前記第1画像の中から、前記媒体に印刷する対象となる前記第1画像を選択する選択部と、前記読取部により読取られた前記第2画像が前記第1画像を印刷する動作と対応付けられた第3画像を含む場合、前記選択部により選択された前記第1画像を前記第3画像が印刷された前記媒体上に印刷する動作を開始する印刷制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、画像をスキャンして読取る機構を有しているという利点を有効活用し、ハンディモバイルプリンタの更なる利便性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、ハンディモバイルプリンタのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、ハンディモバイルプリンタの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、パーソナルコンピュータのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、パーソナルコンピュータの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、ハンディモバイルプリンタの設定を行う画面の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、ハンディモバイルプリンタの設定ファイルの内容の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、ハンディモバイルプリンタの基本的な動作の一例を示すシーケンス図である。
【
図8】
図8は、ハンディモバイルプリンタの処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかるハンディモバイルプリンタ、ハンディモバイルプリンタの制御方法、及びプログラムの実施の形態を詳細に説明する。
【0010】
(ハンディモバイルプリンタのハードウェア構成)
図1は、ハンディモバイルプリンタのハードウェア構成の一例を示す図である。ハンディモバイルプリンタ1は、ユーザが手動で走査させることによって用紙等の媒体に画像の印刷を行う印刷装置である。
【0011】
本実施形態のハンディモバイルプリンタ1は、制御部10、操作部111、印刷部112、読取部113、表示部114を備える。また、制御部10は、HostI/F(Interface)101、CPU102、ROM103、RAM104、記憶部105、ネットワークI/F106を備える。
【0012】
まず、制御部10の構成について説明する。HostI/F101は、PC(パーソナルコンピュータ)2を接続するためのインターフェースである。CPU102は、ハンディモバイルプリンタ1全体の動作を制御する。ROM103は、CPU102の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM104は、CPU102のワークエリアとして利用される。
【0013】
記憶部105は、ハンディモバイルプリンタ用のプログラムや画像データ等の各種データを記憶する。ネットワークI/F106は、インターネット等の通信ネットワークを利用してデータ通信をするためのインターフェースである。
【0014】
操作部111は、ユーザからの指示を受付けてCPU102に出力する。操作部111は、例えば、テンキーやタッチパネル等の入力装置である。また、印刷開始ボタン等のボタンも操作部111に含まれる。
【0015】
印刷部112は、媒体に画像を印刷する。本実施形態において、印刷部112は、媒体に液体を吐出して画像の印刷を行うインクジェットヘッドである。なお、印刷部112は、インクジェットヘッドに限定されない。例えば、熱によって媒体に印刷を行うサーマルヘッドであってもよい。
【0016】
読取部113は、媒体に印刷された画像を読取る。本実施形態において、読取部113は、イメージセンサ等を備える読取装置である。イメージセンサとしては、例えば、一次元CCD(Charged Coupled Device)イメージセンサや一次元CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサが挙げられる。
【0017】
本実施形態において、読取部113は、ユーザがハンディモバイルプリンタ1を走査することにより媒体に印刷された画像を読取る。また、読取部113は、ハンディモバイルプリンタ1の印刷時の移動方向において印刷部112よりも移動方向前方側に設けられる。
【0018】
表示部114は、ハンディモバイルプリンタ1の操作画面等を表示する。表示部114は、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の表示装置である。
【0019】
なお、ハンディモバイルプリンタ1のハードウェア構成は上記に限定されるものではない。例えば、座標を検知するセンサを設けて、座標と読取部113が読取った媒体に印刷された画像の情報とに基づいて、再走査時の印刷部の位置を補正できる構成としてもよい。
【0020】
本実施形態のハンディモバイルプリンタ1で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0021】
さらに、本実施形態のハンディモバイルプリンタ1で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、本実施の形態のハンディモバイルプリンタ1で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【0022】
(ハンディモバイルプリンタの機能)
次に、ハンディモバイルプリンタ1の機能について説明する。
図2は、ハンディモバイルプリンタの機能構成の一例を示す図である。
【0023】
ハンディモバイルプリンタ1は、第1の取得部121、受付部122、表示制御部123、選択部124、読取制御部125、第2の取得部126、判断部127、印刷制御部128を備える。また、記憶部105には、画像データ105A、照合情報105B、設定ファイル105Cが記憶されている。
【0024】
第1の取得部121は、ハンディモバイルプリンタ1の印刷対象となる画像を取得する。本実施形態において、第1の取得部121は、PC2から転送された画像を取得する。また、第1の取得部121は、ネットワークI/F106を介して、インターネットから画像を取得することもできる。
【0025】
さらに、第1の取得部121は、ユーザが操作部111を介して入力した文字列を画像として取得することもできる。第1の取得部121が取得した画像は、後述する画像データ105Aとして、記憶部105に記憶される。
【0026】
受付部122は、ユーザからの入力を受付ける。本実施形態において、受付部122は、ユーザが操作部111を介して入力した印刷指示やユーザによる印刷対象となる画像の選択等を受付ける。
【0027】
表示制御部123は、表示部114に画面を表示する。本実施形態において、表示制御部123は、表示部114にメニュー画面や設定画面等を表示する。また、表示制御部123は、ユーザに印刷対象となる画像を選択するよう促す画面を表示部114に表示する。
【0028】
選択部124は、ハンディモバイルプリンタ1の印刷対象となる画像を選択する。本実施形態において、選択部124は、ユーザの選択に従い、ハンディモバイルプリンタ1の印刷対象となる画像を記憶部105の画像データ105Aの中から選択する。読取制御部125は、読取部113を制御して媒体に印刷された画像を読取る。第2の取得部126は、読取制御部125により読取られた画像を取得する。
【0029】
判断部127は、ハンディモバイルプリンタ1内での種々の判断を行う。本実施形態において、判断部127は、後述する設定ファイル105Cを参照し、動き分け条件が設定されているかを判断する。
【0030】
ここで、動き分け条件とは、ハンディモバイルプリンタ1が特定の印刷動作を行うために充足する必要がある条件のことをいい、本実施形態では、ユーザにより指定された画像が読取制御部125により読取られた媒体に印刷された画像の中に含まれることをいう。また、印刷動作とは、動き分け条件として指定した画像が読取制御部125により読取られた場合にハンディモバイルプリンタ1が行う動作のことをいう。
【0031】
また、判断部127は、読取制御部125が読取った画像の中に動き分け条件として指定された画像が含まれるか否かを判断する。具体的には、判断部127は、読取制御部125が読取った媒体に印刷された画像の中に後述する照合情報105Bに格納された画像が含まれるか否かを判断する。
【0032】
さらに、判断部127は、設定ファイル105Cを参照し、読取制御部125により動き分け条件として指定された画像が読取られた場合に行われる印刷動作が、事前に選択した画像を印刷する動作(以下、選択画像印刷という)であるか、媒体上に印刷された画像の一定の領域をマスクする印刷を行う動作(以下、マスク印刷という)であるかを判断する。
【0033】
加えて、印刷動作がマスク印刷である場合には、マスクを行う対象が指定文字列のみであるか、指定文字列の直後から開始される領域であるかについても判断する。
【0034】
印刷制御部128は、読取制御部125により読取られた画像が予め定めた印刷動作と対応付けられた画像を含む場合、その画像に対応する印刷動作を行う。
【0035】
画像に対応する印刷動作としては、例えば、媒体上に画像の印刷を開始する動作、媒体上の印刷動作と対応付けられた画像が印刷された領域をマスクする印刷を行う動作、媒体上の印刷動作と対応付けられた画像が印刷された領域の直後から開始される一定の領域をマスクする印刷を行う動作等が挙げられる。
【0036】
本実施形態において、印刷制御部128は、判断部127により、第2の取得部126が取得した画像が照合情報105Bとして格納された画像を含むと判断された場合、設定ファイル105Cにより指定された印刷動作を行う。
【0037】
具体的には、指定された印刷動作が選択画像印刷の場合、印刷制御部128は、読取制御部125が読取った画像に照合情報105Bとして格納された画像が含まれる場合、選択部124が選択した画像の印刷を開始する動作を行う。
【0038】
指定された印刷動作がマスク印刷であり、かつ、マスクする領域が指定文字列のみである場合、印刷制御部128は、媒体上の照合情報105Bとして格納された画像が印刷された領域をマスクする印刷を行う。
【0039】
指定された印刷動作がマスク印刷であり、かつ、マスクする領域が指定文字列の直後から開始される領域である場合、印刷制御部128は、媒体上の照合情報105Bとして格納された画像が印刷された領域の直後から開始される一定の領域をマスクする印刷を行う。この場合のマスクする領域は、例えば、指定文字列の直後の文字からその文字の10文字後ろの文字までの領域といったように予め定めておくことができる。
【0040】
画像データ105Aは、記憶部105に記憶されたハンディモバイルプリンタ1による印刷対象となる画像の集合である。本実施形態において、画像データ105Aは、第1の取得部121が取得した画像から構成される。
【0041】
照合情報105Bは、記憶部105内の領域であって、動き分け条件として指定された情報を格納した領域である。動き分け条件として指定される情報としては、例えば、画像や文字列が挙げられる。
【0042】
本実施形態において、照合情報105Bには、後述する設定ファイル105Cで指定した画像が格納される。文字列が指定された場合も、その文字列を表す画像が格納される。ハンディモバイルプリンタ1は、PC2やインターネットを介して照合情報105Bとして格納される画像を取得する。なお、照合情報105Bは、ハンディモバイルプリンタ1の記憶部105内ではなく、ネットワーク上に存在していてもよい。
【0043】
設定ファイル105Cは、ハンディモバイルプリンタ1による種々の処理を制御するための情報を設定するものである。本実施形態において、設定ファイル105Cは、動き分け条件と印刷動作とを対応付けて設定している。
【0044】
本実施形態では、上述の第1の取得部121、受付部122、表示制御部123、選択部124、読取制御部125、第2の取得部126、判断部127、および、印刷制御部128の各々の機能は、CPU102がROM103等に格納されたプログラムを実行することにより実現されるが、これに限られるものではない。例えば、第1の取得部121、受付部122、表示制御部123、選択部124、読取制御部125、第2の取得部126、判断部127、および、印刷制御部128の各々の機能のうちの少なくとも一部の機能が、専用のハードウェア回路で実現される形態であってもよい。
【0045】
(PCのハードウェア構成)
次にPC2について説明する。PC2は、ハンディモバイルプリンタ1へ印刷対象となる画像データや設定ファイルを転送する等、ハンディモバイルプリンタ1の処理を補助する役割を担っている。
【0046】
図2は、PCのハードウェア構成図である。PC2は、CPU201、ROM202、RAM203、HD204、HDD(Hard Disk Drive)コントローラ205、ディスプレイ206、外部機器接続I/F208、ネットワークI/F209、バスライン210、キーボード211、ポインティングデバイス212、DVD-RW(Digital Versatile Disk Rewritable)ドライブ214、メディアI/F216を備えている。
【0047】
CPU201は、PC2全体の動作を制御する。ROM202は、IPL等のCPU201の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM203は、CPU201のワークエリアとして使用される。HD204は、プログラム等の各種データを記憶する。HDDコントローラ205は、CPU201の制御にしたがってHD204に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。
【0048】
ディスプレイ206は、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字、又は画像などの各種情報を表示する。外部機器接続I/F208は、各種の外部機器を接続するためのインターフェースである。この場合の外部機器は、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリやプリンタ等である。
【0049】
ネットワークI/F209は、通信ネットワークを利用してデータ通信をするためのインターフェースである。バスライン210は、
図2に示されているCPU201等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0050】
また、キーボード211は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えた入力手段の一種である。ポインティングデバイス212は、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動などを行う入力手段の一種である。
【0051】
DVD-RWドライブ214は、着脱可能な記録媒体の一例としてのDVD-RW213に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。なお、DVD-RWに限らず、DVD-R等であってもよい。メディアI/F216は、フラッシュメモリ等の記録メディア215に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御する。
【0052】
本実施形態のPC2で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク、CD-R、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0053】
さらに、本実施形態のPC2で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、本実施形態のPC2で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【0054】
(PCの機能)
次に、PC2の機能について説明する。
図4は、PCの機能構成の一例を示すブロック図である。PC2は、設定部221と、通信部222と、を備える。
【0055】
設定部221は、画像と印刷動作との対応付けを行う。本実施形態において、設定部221は、動き分け条件として指定した画像と、その画像が読取られた場合に行われる印刷動作と、を対応付けた設定ファイル105Cを作成する。
【0056】
具体的には、設定部221は、PC2上でハンディモバイルプリンタ1の設定ファイル105Cを作成し、ハンディモバイルプリンタ1に転送する機能を備えるPC2上で動作するアプリケーションである。
【0057】
設定部221について詳しく説明する。
図5は、ハンディモバイルプリンタの設定を行う画面の一例を示す図である。
【0058】
画面上段では、動き分け条件として、画像または文字列を指定する。画面中段では、動き分け条件として指定された画像が読取制御部125により読取られた場合に行われる印刷動作を指定する。具体的には、選択画像印刷であるかマスク印刷であるかを指定する。
【0059】
マスク印刷を指定した場合には、マスクする対象が指定文字列のみであるか、指定文字列の直後から開始される一定の領域であるかについても指定する。
【0060】
画面下段では、設定ファイル105Cの名前を指定する。また、画面下段には、画面上段、画面中段で指定した内容を設定ファイル105Cとしてハンディモバイルプリンタ1に転送するためのボタン、内容をキャンセルするボタンが備えられている。本実施形態において、設定部221は、ユーザにより、設定ファイル105Cを転送するボタンが押された場合、後述する通信部222に設定ファイル105Cを送信する指示を出力する。
【0061】
なお、設定部221は、設定内容をPC2のHD204に保存する機能やPC2のHD204に保存された設定ファイル105Cの内容を読み出す機能を備えていてもよい。
【0062】
次に、設定ファイル105Cの内容について説明する。
図6は、ハンディモバイルプリンタの設定ファイルの内容の一例を示す図である。
図6は、Setting.datという名前を付けてPC2上のHD204に保存した設定ファイル105CをPC2上で動作するテキストエディッタ等で開いた場合の例である。
【0063】
この例では、
図5の画面上段で「画像を指定する」、画面中段で「マスク印刷をする」及び「指定文字列のみマスクする」にチェックを入れた場合の設定ファイル105Cを示している。Conditionは動き分け条件、Behavorは印刷動作、MaskDetailsはマスクする対象を示している。ハンディモバイルプリンタ1の判断部127は、これらの設定内容に基づいて種々の判断を行う。
【0064】
本実施形態において、設定部221は、PC2に備えられているが、ハンディモバイルプリンタ1が設定部を備える構成としてもよい。
【0065】
通信部222は、インターネット等の通信ネットワークを利用して通信を行う。また、外部機器との間でデータを送受信する。本実施形態において、通信部222は、ハンディモバイルプリンタ1へ設定ファイル105Cや画像等のデータの送信を行う。なお、通信部222は、インターネット等の通信ネットワークを介してハンディモバイルプリンタ1へデータを送信してもよい。
【0066】
本実施形態において、通信部222は、設定部221により送信指示があった設定ファイル105Cをハンディモバイルプリンタ1へ送信する。
【0067】
本実施形態では、上述の設定部221および通信部222の各々の機能は、CPU201がROM202等に格納されたプログラムを実行することにより実現されるが、これに限られるものではない。例えば、設定部221および通信部222の各々の機能のうちの少なくとも一部の機能が、専用のハードウェア回路で実現される形態であってもよい。
【0068】
(ハンディモバイルプリンタの動作の概要)
次にハンディモバイルプリンタ1の動作の概要について説明する。
図7は、ハンディモバイルプリンタの基本的な動作の一例を示すシーケンス図である。この図では、動き分け条件が設定されており、選択画像印刷を行う場合には、印刷対象となる画像の選択が完了しているものとして説明する。
【0069】
まず、受付部122は、ユーザが操作部111を介して入力した印刷指示を受付ける(ステップS101)。指示が受付けられると、読取制御部125は、媒体に印刷された画像を読取る(ステップS102)。第2の取得部126は、読取制御部125により読取られた画像を取得する(ステップS103)。
【0070】
判断部127は、第2の取得部126により取得された読取画像の中に照合情報105Bとして格納された画像が含まれるかを判断する(ステップS104)。
【0071】
また、照合情報105Bとして格納された画像が含まれると判断した場合、判断部127は、照合情報105Bとして格納された画像を読取制御部125が読取った場合に行う印刷動作が「選択画像印刷」であるか「マスク印刷」であるかについても判断する。さらに、判断部127は、「マスク印刷」と判断した場合には、マスクする対象についても判断を行う。
【0072】
印刷制御部128は、判断部127の判断に従い、印刷動作を行う(ステップS105)。以上がハンディモバイルプリンタ1の基本的な動作の概要である。
【0073】
(ハンディモバイルプリンタの処理)
次に、ハンディモバイルプリンタ1の処理について詳しく説明する。
図8は、ハンディモバイルプリンタの処理の一例を示すフローチャートである。この図において、選択画像印刷を行う場合は、印刷対象となる画像の選択が完了しているものとして説明する。
【0074】
まず、受付部122は、ユーザが操作部111を介して入力した印刷指示を受付ける(ステップS201)。判断部127は、設定ファイル105Cを参照して、ハンディモバイルプリンタ1に動き分け条件が設定されているか否かを判断する(ステップS202)。
【0075】
動き分け条件が設定されている場合(ステップS202:Yes)、読取制御部125は、媒体に印刷された画像を読取る(ステップS203)。判断部127は、読取制御部125が読取った画像に、照合情報105Bとして格納された画像が含まれているか否かを判断する(ステップS204)。
【0076】
照合情報105Bとして格納された画像が含まれている場合(ステップS204:Yes)、判断部127は、照合情報105Bとして格納された画像が含まれている場合に実行される印刷動作が選択画像印刷であるか否かを判断する(ステップS205)。
【0077】
印刷動作が選択画像印刷である場合(ステップS205:Yes)、印刷制御部128は、媒体に選択画像の印刷を行い、本処理を終了する(ステップS207)。
【0078】
ステップS202で、判断部127により動き分け条件が設定されていないと判断された場合(ステップS202:No)、読取制御部125は画像の読取を行わず、印刷制御部128は、媒体に選択画像の印刷を行い、本処理を終了する(ステップS207)。
【0079】
ステップS204で、照合情報105Bとして格納された画像が含まれていない場合(ステップS204:No)、読取制御部125により媒体に印刷された画像の読取が行われ(ステップS203)、判断部127により読取画像に照合情報105Bとして格納された画像が含まれていると判断されるまで、ステップS203、ステップS204を繰り返す。
【0080】
ステップS205で印刷動作が選択画像印刷ではない場合(ステップS205:No)、判断部127は印刷動作がマスク印刷であると判断し、マスク印刷を行う領域が指定文字列のみであるかを判断する(ステップS206)。
【0081】
マスク領域が指定文字列のみである場合(ステップS206:Yes)、印刷制御部128は、媒体に印刷された画像上の指定文字列のみをマスクする印刷を行い、本処理を終了する(ステップS208)。
【0082】
ステップS206で、マスク領域が指定文字列のみではない場合(ステップS206:No)、判断部127は、マスク領域は、指定文字列の直後から始まる領域であると判断し、印刷制御部128は、指定文字列の直後から始まる一定の領域をマスクする印刷を行い、本処理を終了する(ステップS209)。
【0083】
(ハンディモバイルプリンタの効果)
本実施形態のハンディモバイルプリンタ1は、読取制御部125が予め定められた印刷動作と対応付けられた画像を読取った場合、印刷制御部128は、その画像に対応する印刷動作を行う。
【0084】
具体的には、読取制御部125が予め定められた印刷動作と対応付けられた画像を読取った場合、印刷制御部128は、媒体に選択部124により選択された画像の印刷を開始する。これにより、本実施形態のハンディモバイルプリンタ1は、読取制御部125が指定した画像を読取らない限り、印刷を開始することがないため、ハンディモバイルプリンタ1に誤って印刷開始の指示を与えてしまった場合でも、意図しない対象に画像を印刷してしまうことを防止できる。
【0085】
また、読取制御部125が予め定められた印刷動作と対応付けられた画像を読取った場合、印刷制御部128は、印刷された画像上の一定の領域に対してマスク印刷を行う。これにより、本実施形態のハンディモバイルプリンタ1は、氏名や住所といった個人情報等の秘匿すべき情報を簡単に覆い隠すことができる。
【0086】
つまり、本実施形態のハンディモバイルプリンタ1は、読取制御部125により読取られる媒体に印刷された画像の情報を有効に活用することにより、ハンディモバイルプリンタの更なる利便性の向上を図ることができる。
【0087】
(変形例)
上述の実施形態では、設定ファイル105Cは、ある特定の1の画像と、ある特定の1の印刷動作と、を対応付けるものであると説明した。しかし、設定ファイル105Cは、複数の画像と複数の印刷動作とを対応付けたテーブルであってもよい。
【0088】
設定ファイル105Cを複数の画像と複数の印刷動作とを対応付けたテーブルとすることにより、ハンディモバイルプリンタ1の設定ファイル105Cを書き換えることなく、ハンディモバイルプリンタ1に別の印刷動作を行わせることが可能になる。変形例のハンディモバイルプリンタ1は、選択画像印刷を行った後、すぐに続けてマスク印刷を行いたいような場面で特に有用である。
【0089】
上述した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0090】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図するものではない。上記新規な実施形態はその他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施形態及びその変形は発明の範囲及び要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0091】
1 ハンディモバイルプリンタ
10 制御部
101 HostI/F
102 CPU
103 ROM
104 RAM
105 記憶部
105A 画像データ
105B 照合情報
105C 設定ファイル
106 ネットワークI/F
111 操作部
112 印刷部
113 読取部
114 表示部
121 第1の取得部
122 受付部
123 表示制御部
124 選択部
125 読取制御部
126 第2の取得部
127 判断部
128 印刷制御部
2 PC
201 CPU
202 ROM
203 RAM
204 HD
205 HDDコントローラ
206 ディスプレイ
208 外部機器接続I/F
209 ネットワークI/F
210 バスライン
211 キーボード
212 ポインティングデバイス
213 DVD-RW
214 DVD-RWドライブ
215 記録メディア
216 メディアI/F
221 設定部
222 通信部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0092】