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特許7501031MWF型ゼオライトの製造方法及びMWF型ゼオライト
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】MWF型ゼオライトの製造方法及びMWF型ゼオライト
(51)【国際特許分類】
   C01B 39/48 20060101AFI20240611BHJP
   B01J 20/18 20060101ALI20240611BHJP
   B01J 20/30 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
C01B39/48
B01J20/18 A
B01J20/30
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020053876
(22)【出願日】2020-03-25
(65)【公開番号】P2021155227
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱ケミカル株式会社
(72)【発明者】
【氏名】阿部 麻理
(72)【発明者】
【氏名】宮城 秀和
(72)【発明者】
【氏名】武脇 隆彦
【審査官】▲高▼橋 真由
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/222028(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 39/48
B01J 20/18
B01J 20/30
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Si元素源、Al元素源、アルカリ金属源及び/またはアルカリ土類金属源、水、並びに有機テンプレートを含む水性反応混合物を用いて、水熱合成により、MWF型ゼオライトを製造する方法であって、
前記アルカリ金属源及び/またはアルカリ土類金属源が、少なくともカリウム(K)を含むものであることを特徴とする、
MWF型ゼオライトの製造方法。
【請求項2】
前記水性反応混合物中の、前記アルカリ金属源及び/またはアルカリ土類金属源となる金属の全量に対するカリウム(K)のモル比が、0.01以上1以下である、
請求項1に記載のMWF型ゼオライトの製造方法。
【請求項3】
前記水性反応混合物中の前記アルカリ金属源及び/またはアルカリ土類金属源として、カリウム(K)及びナトリウム(Na)を含む、
請求項1または2のいずれか1項に記載のMWF型ゼオライトの製造方法。
【請求項4】
前記水性反応混合物中のカリウム(K)及びナトリウム(Na)の全量に対するカリウム (K)が、モル比が0.01以上1以下である、
請求項1から3のいずれか1項に記載のMWF型ゼオライトの製造方法。
【請求項5】
前記水性反応混合物中の、Al元素源の酸化物に対するSi元素源の酸化物のモル比(SiO/Alモル比)が、2以上1000以下である、
請求項1から4のいずれか1項に記載のMWF型ゼオライトの製造方法。
【請求項6】
前記水性反応混合物を撹拌または回転せずに静置する、
請求項1から5のいずれか1項に記載のMWF型ゼオライトの製造方法。
【請求項7】
MWF型ゼオライトの種結晶を前記水性反応混合物に予め添加する、
請求項1から6のいずれか1項に記載のMWF型ゼオライトの製造方法。
【請求項8】
前記Si元素源と水の比が、SiOに対する水のモル比(HO/SiOモル比)で、10以上1000以下である、
請求項1から7のいずれか1項に記載のMWF型ゼオライトの製造方法。
【請求項9】
前記水性反応混合物中のSi元素源と有機テンプレートの比が、Si元素の酸化物に対する有機テンプレートのモル比(有機テンプレート/SiOモル比)として、0.05以上5以下である、
請求項1から8のいずれか1項に記載のMWF型ゼオライトの製造方法。
【請求項10】
前記水性反応混合物中のSi元素源とアルカリ金属源及び/またはアルカリ土類金属源の比が、Si元素の酸化物に対するM(2/n)O(Mはアルカリ金属またはアルカリ土類金属を示し、nはその価数1または2を示す。)のモル比(M(2/n)O/SiOモル比)として、0.02以上1以下である、
請求項1から9のいずれか1項に記載のMWF型ゼオライトの製造方法。
【請求項11】
前記有機テンプレートが、テトラアルキルアンモニウム塩である、
請求項1から10のいずれか1項に記載のMWF型ゼオライトの製造方法。
【請求項12】
カリウム(K)の含有量が、MWF型ゼオライト中のアルミニウム(Al)に対するカリウム(K)のモル比で0.02以上、1.5以下である、
MWF型ゼオライト。
【請求項13】
ナトリウム(Na)の含有量がMWF型ゼオライト中のアルミニウム(Al)に対するナトリウム(Na)のモル比で0.01以上、1.5以下である、
請求項12に記載のMWF型ゼオライト。
【請求項14】
カリウム(K)の含有量は、アルカリ金属源及び/またはアルカリ土類金属源となる金属の全量に対するKのモル比として、0.02以上1以下である、
請求項12または13に記載のMWF型ゼオライト。
【請求項15】
平均粒径が0.1μm以上10μm以下である、
請求項12から14のいずれか1項に記載のMWF型ゼオライト。
【請求項16】
MWF型ゼオライトを構成するゼオライトのSiO/Alモル比が、2以上1000以下である、
請求項12から15のいずれか1項に記載のMWF型ゼオライト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MWF型ゼオライトの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
MWF型ゼオライトは、International Zeolite Association(IZA)が定めるゼオライトの構造を規定するコードでMWF構造のものである。MWF型ゼオライトは、2015年にGuoらが構造を同定するまで、その複雑な構造が明らかになっていなかった。
【0003】
MWF型ゼオライトの製法としては、例えば、特許文献1~3に記載のように、Si源、Al源、アルカリ金属源および有機テンプレートを含む水性反応混合物を用いて、水熱合成によりMWF型ゼオライトを形成する方法が提案されている。
【0004】
特許文献1には、溶液に対する分散性が高く、樹脂と混合して製膜した際に膜の強度と伸度を上げることができる、平均粒子径が300nm以下であるMWF型ゼオライトが記載されている。
【0005】
特許文献2には、結晶格子の歪みや欠陥が少なく、結晶の微細構造と高次構造の8員環が明瞭に形成され、炭化水素の重合反応においてコーキングが少なく長寿命な重合触媒として使用できる、特定のXRDピークを有するのが特徴のMWF型ゼオライトが記載されている。
【0006】
特許文献3には、結晶格子の歪みや欠陥が少なく結晶構造が明瞭に形成され、二酸化炭素の吸着速度が大きい、特定のXRDピークを有することを特徴とするMWF型ゼオライトが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2018-203604号公報
【文献】特開2019-116404号公報
【文献】特開2018-131369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前述の文献に記載された方法では、水性反応混合物中のアルカリ金属源には、水酸化ナトリウムのみを使用していた。また、実施例に記載された合成条件はどれも類似しており、水性反応混合物を回転させながらMWF型ゼオライトを合成しており、回転合成のみであること、反応日数、水性反応混合物中の組成比(具体的には水性反応混合物中の水濃度や有機テンプレートの濃度やSiO/Alモル比)という観点で、MWF型ゼオライトが形成可能な条件の範囲が狭かった。
【0009】
本発明の目的は、かかる従来技術の問題点が解決された、MWF型ゼオライトの製造方法、及びMWF型ゼオライトを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、カリウム(K)を添加した水性反応混合物を用いることで、回転でも静置でも合成可能で、反応日数や水性反応混合物中の組成比(具体的には水性反応混合物中の水濃度や有機テンプレートの濃度やSiO/Alモル比)といった観点で合成条件の幅を広げて合成可能なMWF型ゼオライトを得られることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて成し遂げられたものである。
【0011】
即ち、本発明の要旨は、下記の[1]~[16]に存する。
[1]Si元素源、Al元素源、アルカリ金属源及び/またはアルカリ土類金属源、水、並びに有機テンプレートを含む水性反応混合物を用いて、水熱合成により、MWF型ゼオライトを製造する方法であって、前記アルカリ金属源及び/またはアルカリ土類金属源が、少なくともカリウム(K)を含むものであることを特徴とする、MWF型ゼオライトの製造方法。
[2]前記水性反応混合物中の、前記アルカリ金属源及び/またはアルカリ土類金属源となる金属の全量に対するカリウム(K)のモル比が、0.01以上1以下である、
前記[1]に記載のMWF型ゼオライトの製造方法。
[3]前記水性反応混合物中の前記アルカリ金属源及び/またはアルカリ土類金属源として、カリウム(K)及びナトリウム(Na)を含む、前記[1]または[2]に記載のMWF型ゼオライトの製造方法。
[4]前記水性反応混合物中のカリウム(K)及びナトリウム(Na)の全量に対するカリウム(K)が、モル比が0.01以上1以下である、前記[1]ないし[3]のいずれかに記載のMWF型ゼオライトの製造方法。
[5]前記水性反応混合物中の、Al元素源の酸化物に対するSi元素源の酸化物のモル比(SiO/Alモル比)が、2以上1000以下である、前記[1]ないし[4]のいずれかに記載のMWF型ゼオライトの製造方法。
[6]前記水性反応混合物を撹拌または回転せずに静置する、前記[1]ないし[5]のいずれかに記載のMWF型ゼオライトの製造方法。
[7]MWF型ゼオライトの種結晶を前記水性反応混合物に予め添加する、前記[1]ないし[6]のいずれかに記載のMWF型ゼオライトの製造方法。
[8]前記Si元素源と水の比が、SiOに対する水のモル比(HO/SiOモル比)で、10以上1000以下である、前記[1]ないし[7]のいずれかに記載のMWF型ゼオライトの製造方法。
[9]前記水性反応混合物中のSi元素源と有機テンプレートの比が、Si元素の酸化物に対する有機テンプレートのモル比(有機テンプレート/SiOモル比)として、0.05以上5以下である、前記[1]ないし[8]のいずれかに記載のMWF型ゼオライトの製造方法。
[10]前記水性反応混合物中のSi元素源とアルカリ金属源及び/またはアルカリ土類金属源の比が、Si元素の酸化物に対するM(2/n)O(Mはアルカリ金属またはアルカリ土類金属を示し、nはその価数1または2を示す。)のモル比(M(2/n)O/SiOモル比)として、0.02以上1以下である、前記[1]ないし[9]のいずれかに記載のMWF型ゼオライトの製造方法。
[11]前記有機テンプレートが、テトラアルキルアンモニウム塩である、前記[1]ないし[10]のいずれかに記載のMWF型ゼオライトの製造方法。
【0012】
[12]カリウム(K)の含有量が、MWF型ゼオライト中のアルミニウム(Al)に対するカリウム(K)のモル比で0.02以上、1.5以下である、MWF型ゼオライト。
[13]ナトリウム(Na)の含有量がMWF型ゼオライト中のアルミニウム(Al)に対するナトリウム(Na)のモル比で0.01以上、1.5以下である、前記[12]に記載のMWF型ゼオライト。
[14]Kの含有量は、アルカリ金属源及び/またはアルカリ土類金属源となる金属の全量に対するKのモル比として、0.02以上1以下である、前記[12]または[13]に記載のMWF型ゼオライト。
[15]平均粒径が0.1μm以上10μm以下である、前記[12]ないし[14]のいずれかに記載のMWF型ゼオライト。
[16]MWF型ゼオライトを構成するゼオライトのSiO/Alモル比が、2以上1000以下である、前記[12]ないし[15]のいずれかに記載のMWF型ゼオライト。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、MWF型ゼオライトを、短時間で簡便に製造することができる。
本発明により提供されるMWF型ゼオライトは、カリウム(K)を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施例11のX線回折測定結果を示す図である。
図2】実施例11のSEM観察結果を示す図である。
図3】比較例1のX線回折測定結果を示す図である。
図4】比較例1のSEM観察結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について更に詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例であり、本発明はこれらの内容に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0016】
本発明のMWF型ゼオライトの製造方法は、Si元素源、Al元素源、アルカリ金属源及び/またはアルカリ土類金属源、水、並びに有機テンプレートを含む水性反応混合物を用いて、水熱合成により、MWF型ゼオライトを有するMWF型ゼオライトを製造する方法であって、アルカリ金属源及び/またはアルカリ土類金属源が、少なくともカリウム(K)を含むものであることに特徴を有するものである。Si元素源、Al元素源、アルカリ金属源及び/またはアルカリ土類金属源、水、並びに有機テンプレートを含む水性反応混合物を用いて、水熱合成により、MWF型ゼオライトを有するMWF型ゼオライトを多孔質支持体上に形成することによりMWF型ゼオライトを製造する方法も含む。
【0017】
(MWF型ゼオライト)
本発明のMWF型ゼオライトとは、International Zeolite Association(IZA)が定めるゼオライトの構造を規定するコードでMWF構造のものであり、その構造はX線回折データにより特徴付けられる。
【0018】
MWF型ゼオライトは、一部アモルファス成分などが含有されていてもよいが、好ましくは実質的にゼオライトのみで構成されている。
【0019】
MWF型ゼオライトのフレームワーク密度(T/1000Å)は16.1である。
ここで、フレームワーク密度(T/1000Å)とは、ゼオライトの1000Åあたりの、骨格を構成する酸素以外の元素(T元素)の数を意味し、この値はゼオライトの構造により決まるものである。なお、フレームワーク密度とゼオライトの構造との関係は、International Zeolite Association(IZA)のホームページに示されている。
【0020】
<カリウム(K)の含有量>
本発明のMWF型ゼオライトは、カリウム(K)を含む。Kの含有量は、MWF型ゼオライト中のアルミニウム(Al)に対し、Kをモル比で0.02以上、1.5以下含む。Kの含有量は、特に限定されないが、Alに対するKの下限値は、0.02以上が好ましく、0.05以上がより好ましく、0.1以上が更に好ましく、0.15以上が特に好ましい。上限値としては、1.5以下が好ましく、1.2以下がより好ましく、0.9以下が更に好ましく、0.8以下が特に好ましい。カリウム(K)の含有量は、後述するICP発光分光分析測定により作成した検量線を用いて、蛍光X線測定で定量する。
【0021】
<ナトリウム(Na)の含有量>
本発明のMWF型ゼオライトは、ナトリウム(Na)を含む。Naの含有量は、MWF型ゼオライト中のAlに対し、Naをモル比で0.01以上、1.5以下含む。Naの含有量の下限値は、特に限定されないが、Alに対し、0.01以上が好ましく、0.1以上がより好ましく、0.15以上が更に好ましく、0.2以上が特に好ましい。上限値としては、1.5以下が好ましく、1.2以下がより好ましく、0.9以下が更に好ましく、0.85以下が特に好ましい。ナトリウム(Na)の含有量は、後述するICP発光分光分析測定により作成した検量線を用いて、蛍光X線測定で定量する。
【0022】
本発明のMWF型ゼオライトは、K、または、Na及びKの両者を含むことが好ましい。Kの含有量は、アルカリ金属源及び/またはアルカリ土類金属源となる金属の全量に対するKのモル比として、0.02以上1以下である。Kの含有量は、特に限定されないが、アルカリ金属源及び/またはアルカリ土類金属源となる金属の全量に対するKのモル比として、0.02以上が好ましく、0.1以上が好ましく、0.15以上が好ましく、1.0以下が好ましく、0.9以下がさらに好ましく、0.8以下がさらに好ましい。アルカリ金属源及び/またはアルカリ土類金属源となる金属の全量に対するKのモル比は、後述するICP発光分光分析測定により作成した検量線を用いて、蛍光X線測定で定量する。
【0023】
<平均粒径>
MWF型ゼオライトの粒子の平均粒径は特に限定されないが、通常0.1μm以上、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1.0μmより大きいであり、通常10μm以下、好ましくは8μm以下、より好ましくは6μm以下である。平均粒径が前記上限以内であれば、吸着材に用いた時のガス拡散性が良くなる傾向があり、前記下限値以上であれば、取り扱い性が良好である傾向がある。
平均粒径は、以下のSEM画像より算出した値である。具体的な測定法は下記である。
【0024】
<平均粒径の測定方法>
SEM画像から任意に選択した20個以上の粒子について、株式会社マウンテック社製画像解析式粒度分布測定ソフトウェアMac-Viewで画像解析し平均粒径を算出した。Heywood径(選択粒子と同一の面積をもつ円の直径)のmn(mean number diameter、個数平均径)を平均粒径とした。
【0025】
<SiO/Alモル比>
本発明において、MWF型ゼオライトを構成するゼオライトのSiO/Alモル比は、2以上が好ましく、3以上がより好ましく、4以上がさらに好ましく、5以上が特に好ましい。また、上限は、1000以下が好ましく、500以下がより好ましく、100以下がさらに好ましく、50以下が特に好ましい。SiO/Alモル比が前記下限値以上であることで、耐久性が向上する傾向があり、前記上限以下であれば、ガスの吸着分離性を向上できる傾向がある。SiO/Alモル比は、後に述べる水熱合成の合成条件により調整することができる。
【0026】
なお、SiO/Alモル比は、ICP発光分光分析測定で定量したSiO/Alモル比が既知のMWF型ゼオライト数点を用いて、蛍光X線測定(XRF測定)でのX線強度とSiO/Alモル比の検量線を作成した上で、XRF測定をして、X線強度から検量線を用いて定量する。具体的な測定法は下記である。
【0027】
<ICP発光分光分析測定方法>
装置: Thermo Fisher Scientific, iCAP7600Duo
RFパワー:1150W
補助ガス流量:0.50L/min
ネブライザーガス流量:0.50L/min
クーラントガス流量:12L/min
測定元素:Si, Al, Na, K
標準試料:市販原子吸光用1000μg/mLの標準溶液を希釈して使用
【0028】
標準MWF試料を白金るつぼに秤り取り、炭酸ナトリウムとホウ酸を加えて溶融分解した。その後、分解物を温水で溶解し、適宜中和して一定容として試料溶液を得た。試料溶液は適宜希釈して、マトリクスマッチング検量線法でSiとAlを定量した。
【0029】
標準MWF試料を白金るつぼに秤り取り、フッ化水素酸と塩酸を加えて加熱乾固を繰り返した後、残存有機物を加熱灰化した。その後、残渣を希塩酸で溶解して一定容として試料溶液を得た。その後、適宜希釈してマトリクスマッチング検量線法でNaとK定量をした。
【0030】
<XRF測定方法>
装置:リガク社製 蛍光X線分析装置Supermini200
測定雰囲気:真空
コリメーター:10mm
試料量:0.08~0.12g
X線管球:50kV
30mmφ 試料ホルダ
プロレンフィルム使用、回転なし

測定対象に大きな塊があれば粉末状になるよう粉砕し、試料調製した。
定性分析を実施し、X線強度比から、前述のICP発光分光分析測定で作成した検量線を用いて、K/Alモル比、Na/Alモル比、SiO/Alモル比を定量した。
【0031】
(MWF型ゼオライトの製造方法)
MWF型ゼオライトは、次に述べる通り、MWF型ゼオライトを水熱合成により形成する際に、Si元素源、Al元素源、アルカリ金属源及び/またはアルカリ土類金属源、水、並びに有機テンプレートを含む水性反応混合物を用い、前記アルカリ金属源及び/またはアルカリ土類金属源が、少なくともKを含むものとすることにより製造することができる。Kは、水性反応混合液中で少なくとも一部をKイオンとして共存させる。
【0032】
<水熱合成>
水熱合成は、水性反応混合物ないしはこれを熟成して得られる水性ゲルを耐圧容器に入れ、自己発生圧力下、又は結晶化を阻害しない程度の気体加圧下で、撹拌下、又は、容器を回転ないしは揺動させながら、或いは静置状態で、所定温度を保持することにより行われる。
【0033】
<水性反応混合物>
水性反応混合物は、Si元素源、Al元素源、アルカリ金属源及び/またはアルカリ土類金属源、水、並びに有機テンプレート(構造規定剤)を含むものであり、アルカリ源及び/またはアルカリ土類金属源は、少なくともカリウム(K)を含むものである。
【0034】
<Si元素源>
水性反応混合物に用いるSi元素源としては、例えば、無定形シリカ、コロイダルシリカ、シリカゲル、ケイ酸ナトリウム、無定形アルミのシリケートゲル、テトラエトキシシラン(TEOS)、トリメチルエトキシシラン等を用いることができる。
【0035】
<Al元素源>
水性反応混合物に用いるAl元素源としては、例えば、アルミン酸ナトリウム、水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、酸化アルミニウム、無定形アルミノシリケートゲル、アルミニウムアルコキシド等を用いることができる。なお、Al元素源として用いる試薬に?Al元素源以外に他の元素源、例えばGa、Fe、B、Ti、Zr、Sn、Znなどの元素源を含んでいてもよい。
【0036】
<その他の元素源>
前述のSi元素源、Al元素源以外に他の元素源、例えばGa、Fe、B、Ti、Zr、Sn、Znなどの元素源を含んでいてもよい。
【0037】
<アルカリ金属源及び/またはアルカリ土類金属源>
水性反応混合物に用いるアルカリ金属源及び/またはアルカリ土類金属源としては、NaOH、KOHなどのアルカリ金属水酸化物、Ca(OH)などのアルカリ土類金属水酸化物などを用いることができる。
【0038】
アルカリ金属源及び/またはアルカリ土類金属源としては、少なくともKを含むものであれば特に限定されず、通常、Kと、Na、Li、Rb、Cs、Ca、Mg、Sr及びBaよりなる群から選ばれる少なくとも1種以上の元素を含むものである。これらの中で、Kが好ましく、NaとKを併用することがより好ましい。
【0039】
Kを用いると、構造規定剤の役割を果たし、結晶成長を助けるため、反応速度が向上するものと考えられる。また、水性混合物の粘性が上がり、水性混合物を撹拌することなく静置していても、上下での固液分離が起こりにくく、均一な液性で均一に結晶成長させられる。
また、通常は、Alに配位する有機テンプレートとの立体的な制約から、Alに配位するアルカリ金属源及び/またはアルカリ土類金属源として、一般的にはサイズの小さなNaを用いるが、前記の理由により、本願発明のMWF型ゼオライトの製造に用いる水性反応混合物は、少なくともKを含有しているものとする。
【0040】
また、アルカリ金属源及び/またはアルカリ土類金属源は2種類以上を併用してもよく、具体的には、NaとKを併用するのが好ましい。
NaをKと併用することで、結晶性を向上させながら、反応速度を上げられる。
【0041】
水性混合物中のアルカリ金属源及び/またはアルカリ土類金属源となる金属源の全量に対するKのモル比は、0.01以上1以下である。Kの含有量は、特に限定されないが、アルカリ金属源及び/またはアルカリ土類金属源となる金属の全量に対するKのモル比として、0.01以上が好ましく、0.1以上がより好ましく、0.15以上が更に好ましく、1.0以下が好ましく、0.9以下がより好ましく、0.8以下が特に好ましい。前記下限値以上であることで、合成条件の範囲を広げることができる。合成条件の範囲とは、回転や静置合成可能であること、反応日数、水性反応混合物中の組成比(具体的には水性反応物中の水濃度や有機テンプレートの濃度やSiO/Alモル比)の範囲である。前記上限値以下であることで、MWF型ゼオライト以外の不純物が生成しにくい。
【0042】
水性混合物中のアルカリ金属源及び/またはアルカリ土類金属源となる金属源の全量に対するNaのモル比は、0.01以上1以下である。Naの含有量は、特に限定されないが、アルカリ金属源及び/またはアルカリ土類金属源となる金属源の全量に対するNaのモル比として、0.01以上が好ましく、0.1以上がより好ましく、0.15以上が更に好ましく、1.0以下が好ましく、0.9以下がより好ましく、0.85以下が特に好ましい。前記下限値以上であることで、MWF型ゼオライト以外の不純物が生成しにくい。
【0043】
<カリウム(K)とNa(ナトリウム)のモル比>
水性反応混合物中のカリウム(K)及びNa(ナトリウム)の全量に対するカリウム(K)のモル比が0.01以上1以下である。Kの含有量は、前記範囲内であれば特に限定されないが、K及びNaの全量に対するKのモル比として、0.01以上が好ましく、0.1以上がより好ましく、0.15以上が更に好ましい。1.0以下が好ましく、0.9以下がより好ましく、0.85以下が更に好ましい。前記下限値以上であることで、合成条件の範囲を広げることができる。合成条件の範囲とは、回転や静置合成可能であること、反応日数、水性反応混合物中の組成比(具体的には水性反応物中の水濃度や有機テンプレートの濃度やSiO/Alモル比)の範囲である。前記上限値以下であることで、MWF型ゼオライト以外の不純物が生成しにくい。
【0044】
<水性反応混合物中のSiO/Alモル比>
水性反応混合物中のSi元素源とAl元素源の比は、通常、それぞれの元素の酸化物のモル比、すなわちSiO/Alモル比として表わす。
水性反応混合物中のSiO/Alモル比は特に限定されないが、2以上が好ましく、3以上がより好ましく、4以上が更に好ましく、5以上が特に好ましい。上限としては、1000以下が好ましく、500以下がより好ましく、100以下が更に好ましく、50以下が特に好ましい。前記下限値以上であることで耐久性が向上する傾向があり、前記上限値以下であることで、欠陥や非晶質が極めて少ないMWF型ゼオライトが生成し、ガスの吸着能が高く、ガス透過量を高めることができる。
【0045】
水性反応混合物中のSi元素源と有機テンプレートの比は、SiOに対する有機テンプレートのモル比(有機テンプレート/SiO比)で、0.005以上が好ましく、0.01以上がより好ましく、0.02以上が更に好ましい。上限としては、5以下が好ましく、3以下がより好ましく、1以下が更に好ましい。
前記下限値以上であることで、欠陥や非晶質が極めて少ないMWF型ゼオライトが生成しうることに加えて、生成したゼオライトが耐酸性に強くAlが脱離しにくい。前記上限値以下であることで、特に欠陥や非晶質が極めて少なく、耐酸性のMWF型ゼオライトを形成させることができる。
【0046】
<静置、撹拌、回転>
水性反応混合物は、水熱合成中に静置してもよく、撹拌や回転を行ってもよい。静置での合成は装置が簡便にできる。その結果、低コスト化に有利である。
【0047】
<種結晶>
さらに、水熱合成に際して、反応系内に種結晶を存在させることが好ましい。種結晶を加えることで、MWF型ゼオライトの結晶化を促進できる。種結晶を加える方法としては特に限定されず、水性反応混合物中に種結晶を加える方法などを用いることができる。
【0048】
使用する種結晶としては、結晶化を促進するゼオライトであれば種類は問わないが、効率よく結晶化させるためには形成するMWF型ゼオライトと同じ構造単位を有することが好ましい。MWF型ゼオライトを形成する場合は、MWF型ゼオライトの種結晶を用いることが好ましい。
構造単位とは、構造を構成する最小の単位でありBuilding Unitsと呼ばれる。MWF型ゼオライトについてはd8r、pau、Ita、gis、mwf、phiがある。
また、RHOファミリーに属しており、同じ構造単位を含むゼオライトの例として、J. Phys. Chem. C 2018, 122, 28815-28824.に記載のRHO、PST-29、ECR-18、ZSM-25、PST-20が挙げられる。
【0049】
種結晶の平均粒径は小さいほうが望ましく、必要に応じて粉砕して用いても良い。平均粒径は、0.01μm以上が好ましく、0.1μm以上がより好ましく、0.15μm以上が更に好ましい。上限としては、20μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましく、5μm以下がさらに好ましく、3μm以下が特に好ましい。平均粒径は、SEMを用いて測定したものとする。SEMでの測定条件は、前述の平均粒径の測定方法を用いる。
【0050】
<Si元素源と水(HO)の比>
Si元素源と水(HO)の比は、SiOに対する水のモル比(HO/SiOモル比)で、10以上が好ましく、20以上がより好ましく、30以上が更に好ましく、40以上が特に好ましい。上限としては、1000以下が好ましく、500以がより好ましく、200以下が更に好ましく、150以下が特に好ましい。
【0051】
前記下限値以上であることで、欠陥や非晶質が極めて少ないMWF型ゼオライトが生成しうる。水の量は欠陥や非晶質が極めて少ないMWF型ゼオライトの生成においてとくに重要であり、粉末合成法の一般的な条件よりも水がシリカに対して多い条件のほうが細かい結晶が生成して、欠陥や非晶質が極めて少ないMWF型ゼオライトができやすい傾向にある。前記上限値以下であることで、欠陥や非晶質が極めて少ないMWF型ゼオライトが生成し、固形分比率が高いため経済性もよい。
【0052】
<有機テンプレート>
ゼオライトの結晶化において、必要に応じて有機テンプレートを用いることができるが、有機テンプレートを用いて合成したものが好ましい。有機テンプレートを用いて合成することにより、結晶化したゼオライトのアルミニウム原子に対するケイ素原子の割合が高くなり、耐酸性が向上する。
【0053】
有機テンプレートとしては、MWF型ゼオライトを形成しうるものであれば種類は問わず、如何なるものであってもよい。また、テンプレートは1種類でも、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0054】
有機テンプレートとしては、通常、アミン類、4級アンモニウム塩類が用いられる。好ましくは、4級アンモニウム塩、より好ましくはテトラアルキルアンモニウム塩、さらに好ましくはテトラエチルアンモニウム塩を用いる。
【0055】
具体的には、例えば、テトラエチルアンモニウムブロミドを有機テンプレートとしたとき、欠陥や非晶質が極めて少ないMWF型ゼオライトが結晶化する。
【0056】
4級アンモニウム塩は、MWF型ゼオライトの形成に害を及ぼさないアニオンを伴う。このようなアニオンを代表するものには、Cl、Br、Iなどのハロゲン化物イオンや水酸化物イオン、酢酸塩、硫酸塩、およびカルボン酸塩が含まれる。これらの中で、ハロゲン化物イオンが特に好適に用いられる。
【0057】
<Si元素源とアルカリ金属源及び/またはアルカリ土類金属源の全量に対する比>
Si元素源とアルカリ金属源及び/またはアルカリ土類金属源の全量に対する比は、M(OH)/SiO(ここで、MはKを必須に含むアルカリ金属またはアルカリ土類金属を示し、nはその価数1または2を示す。)モル比で、0.02以上が好ましく、0.05以上がより好ましく、0.1以上が更に好ましい。上限としては、1以下が好ましく、0.8以下がより好ましく、0.6以下が特に好ましい。
【0058】
<熟成>
上記のようにして調製された水性反応混合物は、調製後直ちに水熱合成してもよいが、高い結晶性を有するゼオライトを得るために、所定の温度条件下で一定時間熟成してもよい。特に、スケールアップする場合は撹拌性が悪くなり原料の混合状態が不十分となりやすい。そのため一定期間原料を撹拌しながら熟成させることにより、原料をより均一な状態に改善することが好ましい。
【0059】
<水熱合成条件>
MWF型ゼオライトを形成させる際の温度は特に限定されないが、下限としては、100℃以上が好ましく、110℃以上がより好ましく、125℃以上が更に好ましい。上限としては、200℃以下が好ましく、190℃以下がより好ましく、180℃以下が更に好ましい。反応温度が前記下限値以上であると、ゼオライト結晶が成長する。反応温度が前記上限値以下であれば、副生成物が形成しにくく反応時間を短縮できる。
【0060】
加熱時間は特に限定されないが、下限としては、1時間以上が好ましく、5時間以上がより好ましく、10時間以上が更に好ましい。上限としては、10日間以下が好ましく、7日以下がより好ましく、6日以下がさらに好ましく、5日以下が特に好ましい。
前記下限値以上であると、ゼオライト結晶が十分に成長し、結晶サイズが大きくなる。前記上限値以下であることで、結晶性のよいMWFが得られる。また時間が短い方が製造におけるコストダウンにつながるので経済的に好ましい。
【0061】
MWF型ゼオライト形成時の圧力は特に限定されず、密閉容器中に入れた水性反応混合物を、この温度範囲に加熱したときに生じる自生圧力で十分である。さらに必要に応じて、窒素などの不活性ガスを加えても差し支えない。
【0062】
<加熱処理>
水熱合成により得られたMWF型ゼオライト複合体は、水洗した後に、加熱処理して、乾燥させる。ここで、加熱処理とは、熱をかけてMWF型ゼオライトを乾燥することを意味する。
【0063】
加熱処理の温度は、乾燥を目的とする場合は50℃以上が好ましく、80℃以上がより好ましく、100℃以上がさらに好ましい。上限としては、200℃以下が好ましく、150℃以下がより好ましい。
【0064】
加熱時間は、MWF型ゼオライトが十分に乾燥する時間であれば特に限定されず、0.5時間以上が好ましく、1時間以上がより好ましい。上限は特に限定されないが、200時間以内が好ましく、150時間以内がより好ましく、100時間以内が更に好ましい。前記下限値以上であると乾燥が十分にできる。前記上限値以下であると製造のコストダウンにつながる。
【0065】
<焼成>
水熱合成を有機テンプレートの存在下で行った場合、得られたMWF型ゼオライト複合体を、水洗した後に、例えば、加熱処理による焼成や抽出などにより、有機テンプレートを取り除くことが適当である。加熱処理による焼成により有機テンプレートを取り除くことが好ましい。
【0066】
焼成温度は、350℃以上が好ましくは、400℃以上がより好ましく、430℃以上が更に好ましく、480℃以上が特に好ましい。上限としては、900℃以下が好ましく、850℃以下がより好ましく、800℃以下が更に好ましく、750℃以下が特に好ましい。前記下限値以上であると有機テンプレート除去が完全にできる。前記上限値以下であると結晶性を維持できる。
【0067】
焼成時間は、昇温速度や降温速度により変動するが、有機テンプレートが十分に取り除かれる時間であれば特に限定されないが、1時間以上が好ましく、5時間以上がより好ましい。上限は特に限定されないが、例えば、200時間以内が好ましく、150時間以内がより好ましく、100時間以内が更に好ましく、24時間以内が特に好ましい。前記下限値以上であると有機テンプレート除去が完全にできる。前記上限値以下であると製造のコストダウンにつながる。
焼成は空気雰囲気で行えばよいが、酸素を付加した雰囲気で行ってもよい。
【0068】
焼成の際の昇温速度は、結晶性を維持し亀裂が生じることを避けるために、なるべく遅くすることが望ましい。昇温速度は、5℃/分以下が好ましく、2℃/分以下がより好ましく、1℃/分以下が更に好ましく、0.5℃/分以下が特に好ましい。通常、作業性を考慮し0.1℃/分以上である。前記下限値以上であると作業性がよい。前記上限値以下であると結晶性を維持し亀裂が生じることを回避できる。
【0069】
また、焼成後の降温速度もMWF型ゼオライトに亀裂が生じることを避けるためにコントロールする必要があり、昇温速度と同様、遅ければ遅いほど望ましい。降温速度は、5℃/分以下が好ましく、2℃/分以下がより好ましく、1℃/分以下が更に好ましく、0.5℃/分以下が特に好ましい。通常、作業性を考慮し0.1℃/分以上である。前記下限値以上であると作業性がよい。前記上限値以下であると結晶性を維持し亀裂が生じることを回避できる。
【0070】
かくして製造されるMWF型ゼオライト複合体は、優れたガス吸着性をもつものであり、吸着剤や分離剤、触媒、添加物、コンポジット材料として好適に用いることができる。
【実施例
【0071】
以下、実験例に基づいて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の例により限定されるものではない。
【0072】
<MWF型ゼオライトの分析・評価>
以下の実験例において、MWF型ゼオライトの物性は、次の方法で測定した。
【0073】
(1)X線回折(XRD)測定
XRD測定は以下の条件に基づき行った。
装置:BRUKER社製D2 PHASER
X線源:Cu-Kα線
出力設定:30kV・10mA
発散スリット:0.3°
入射側ソラースリット:2.5°
受光側ソラースリット:2.5°
検出部開き角度:5.69°
Niフィルター:2.5%
回折ピークの位置:2θ(回折角)
測定範囲:2θ=5~50°
スキャン速度:0.05°(2θ/sec)
【0074】
(2)SiO/Alモル比、及びK/Alモル比、Na/Alモル比の測定方法
SiO/Alモル比、及びK/Alモル比、及びNa/Alモル比は、ICP発光分光分析測定で定量したSiO/Alモル比、及びK/Alモル比、Na/Alモル比が既知のMWF型ゼオライト数点を用いて、蛍光X線測定(XRF測定)でのX線強度とSiO/Alモル比、及びK/Alモル比、Na/Alモル比の検量線をそれぞれ作成した上で、XRF測定をしてX線強度から検量線を用いて定量する。具体的な測定法は下記である。
【0075】
<ICP発光分光分析測定>
装置: Thermo Fisher Scientific, iCAP7600Duo
RFパワー:1150W
補助ガス流量:0.50L/min
ネブライザーガス流量:0.50L/min
クーラントガス流量:12L/min
測定元素:Si, Al, Na, K
標準試料:市販原子吸光用1000μg/mLの標準溶液を希釈して使用
【0076】
SiとAlは、標準MWF試料を白金るつぼに秤り取り、炭酸ナトリウムとホウ酸を加えて溶融分解した。その後、分解物を温水で溶解し、適宜中和して一定容として試料溶液を得た。試料溶液は適宜希釈して、マトリクスマッチング検量線法でSiとAlを定量した。
【0077】
NaとKは、標準MWF試料を白金るつぼに秤り取り、フッ化水素酸と塩酸を加えて加熱乾固を繰り返した後、残存有機物を加熱灰化した。その後、残渣を希塩酸で溶解して一定容として一定容として試料溶液を得た。その後、適宜希釈してマトリクスマッチング検量線法でNaとK定量をした。
【0078】
<蛍光X線測定(XRF測定)>
装置:リガク社製 蛍光X線分析装置Supermini200
測定雰囲気:真空
コリメーター:10mm
試料量:0.08~0.12g
X線管球:50kV,
30mmφ 試料ホルダ
プロレンフィルム使用、回転なし
定性分析を実施し、X線強度比から、前述のICP発光分光分析測定で作成した検量線を用いて、K/Alモル比、Na/Alモル比、SiO/Alモル比を定量した。
【0079】
(4)SEMによる平均粒径の測定
装置:日本電子社製 JSM-6010LV
検出器:E.T検出器
電子線源:タングステン
加速電圧:10kV
倍率:2000倍、5000倍
SEM画像から任意に選択した20個以上の粒子について、画像解析式粒度分布測定ソフトウェアMac-Viewで画像解析し平均粒径を算出した。Heywood径(選択粒子と同一の面積をもつ円の直径)のmn(mean number diameter、個数平均径)を平均粒径とした。
【0080】
[比較例1]
水熱合成用の反応混合物(水性反応混合物)として、以下のものを調製した。
1mol/L-NaOH水溶液8.76gに水酸化アルミニウム水溶液(Al 53.5質量%含有、アルドリッチ社製)0.44gを加えて撹拌し溶解させた。これに有機テンプレートとしてTEABr(テトラエチルアンモニウムブロミド)2.50gに水5.83gを加え混合した液を加えて、さらにコロイダルシリカ(LUDOX AS40、アルドリッチ社製)2.48gを加えて約3時間撹拌し、水性反応混合物とした。
前記の水性反応混合物を耐圧容器に入れ、135℃のオーブンで15rpmで回転しながら、6日間水熱合成して結晶化させた。さらに、ろ過、水洗、乾燥して、MWF型ゼオライトを得た。
X線回折測定の結果、MWF型ゼオライトが生成していた。K/Alモル比、Na/Alモル比の測定の結果、得られたMWF型ゼオライト中には、Kが含まれていなかった。
水性反応混合物の組成(モル比)及び合成条件を表1に、結晶のXRD測定結果、平均粒径、SiO/Alモル比、K/Alモル比、Na/Alモル比を表2に示す。
【0081】
[製造例1]
以下の方法で種晶合成を実施した。
水熱合成用の反応混合物(水性反応混合物)として、以下のものを調製した。
1mol/L-NaOH水溶液(キシダ化学社製)37.70gと1mol/L-KOH水溶液(キシダ化学社製)4.21gを混合したものに水酸化アルミニウム水溶液(Al 53.5質量%含有、アルドリッチ社製)2.08gを加えて撹拌し溶解させた。これに有機テンプレートとして50%テトラエチルアンモニウムブロミド(TEABr)水溶液(東京化成工業社製TEABrを水で希釈したもの)24.30gに水15.72gを加えて混合した液を加えた。さらにコロイダルシリカ(LUDOX AS-40、40%SiO水溶液、アルドリッチ社製)11.88gを加えて約2時間撹拌した。その後、比較例1の方法で作製したMWF型ゼオライトを種晶として0.25g添加し、約1時間攪拌し、水性反応混合物とした。
この水性反応混合物の組成(モル比)は、SiO/Al/NaOH/KOH/HO/TEABr=1/0.139/0.477/0.053/54/0.722、SiO/Al=7.2であった。
前記の水性反応混合物を耐圧容器に入れ、135℃のオーブンで15rpmで回転させて、6日間水熱合成して結晶化させた。さらに、ろ過、水洗、乾燥して、結晶を得た。
生成した結晶のXRD測定をしたところ、MWF型ゼオライトが生成していることがわかった。得られたMWF型ゼオライトの平均粒径は1.7μmであった。
【0082】
[実施例1]
水熱合成用の反応混合物(水性反応混合物)として、以下のものを調製した。
1mol/L-NaOH水溶液(キシダ化学社製)14.12gと1mol/L-KOH水溶液(キシダ化学社製)1.57gを混合したものに水酸化アルミニウム水溶液(Al 53.5質量%含有、アルドリッチ社製)0.78gを加えて撹拌し溶解させた。これに有機テンプレートとして50%テトラエチルアンモニウムブロミド(TEABr)水溶液(東京化成工業社製TEABrを水で希釈したもの)9.10gに水5.88gを加え混合した液を加えた。さらにコロイダルシリカ(LUDOX AS-40、40%SiO水溶液、アルドリッチ社製)4.45gを加えて約2時間撹拌した。その後、製造例1の方法で作製したMWF型ゼオライトを種晶として0.10g添加し、約1時間攪拌し、水性反応混合物とした。
この水性反応混合物の組成(モル比)は、SiO/Al/NaOH/KOH/HO/TEABr=1/0.139/0.477/0.053/54/0.722、SiO/Al=7.2であった。
【0083】
前記の水性反応混合物を耐圧容器に入れ、135℃のオーブンで静置させて、6日間水熱合成して結晶化させた。さらに、ろ過、水洗、乾燥して、結晶を得た。
生成した結晶のXRD測定をしたところ、MWF型ゼオライトが生成していることがわかった。得られたMWF型ゼオライトの平均粒径は4.2μmであった。
SiO/Alモル比、及びK/Alモル比、Na/Alモル比の測定の結果、MWF型ゼオライトのSiO/Alモル比は6.7であった。また、K/Alモル比は0.19、Na/Alモル比は0.76であった。
水性反応混合物の組成(モル比)及び合成条件を表1に、結晶のXRD測定結果、平均粒径、SiO/Alモル比、K/Alモル比、Na/Alモル比を表2に示す。
【0084】
[実施例2]
1mol/L-NaOH水溶液7.84gと1mol/L-KOH水溶液7.84gとした以外は、実施例1と同様に実施して、MWF型ゼオライトを得た。
水性反応混合物の組成(モル比)は、SiO/Al/NaOH/KOH/HO/TMADAOH=1/0.139/0.265/0.265/54/0.722、SiO/Al=7.2であった。
生成した結晶のXRD測定をしたところ、MWF型ゼオライトが生成していることがわかり、平均粒径は5μmであった。
元素分析の結果、MWF型ゼオライトのSiO/Alモル比は6.7であった。また、K/Alモル比は0.68、Na/Alモル比は0.25であった。
水性反応混合物の組成(モル比)及び合成条件を表1に、結晶のXRD測定結果、平均粒径、SiO/Alモル比、K/Alモル比、Na/Alモル比を表2に示す。
【0085】
[実施例3]
1mol/L-NaOH水溶液を使用せず、1mol/L-KOH水溶液15.69gとした以外は、実施例1と同様に実施して、MWF型ゼオライトを得た。
水性反応混合物の組成(モル比)及び合成条件を表1に、結晶のXRD測定結果、平均粒径、SiO/Alモル比、K/Alモル比、Na/Alモル比を表2に示す。
【0086】
[実施例4]
水酸化アルミニウム0.56gとした以外は、実施例2と同様に実施して、MWF型ゼオライトを得た。
水性反応混合物の組成(モル比)及び合成条件を表1に、結晶のXRD測定結果、平均粒径、SiO/Alモル比、K/Alモル比、Na/Alモル比を表2に示す。
【0087】
[実施例5]
実施例1と同様に水性反応混合物を作製した。
前記の水性反応混合物を耐圧容器に入れ、135℃のオーブンで15rpmで回転しながら、6日間水熱合成して結晶化させた。さらに、ろ過、水洗、乾燥して、MWF型ゼオライトを得た。
水性反応混合物の組成(モル比)及び合成条件を表1に、結晶のXRD測定結果、平均粒径、SiO/Alモル比、K/Alモル比、Na/Alモル比を表2に示す。
【0088】
[実施例6]
1mol/L-NaOH水溶液7.84gと1mol/L-KOH水溶液7.84gとした以外は、実施例5と同様に実施して、MWF型ゼオライトを得た。
水性反応混合物の組成(モル比)及び合成条件を表1に、結晶のXRD測定結果、平均粒径、SiO/Alモル比、K/Alモル比、Na/Alモル比を表2に示す。
【0089】
[実施例7]
水熱合成時間を3日とした以外は、実施例1と同様に実施して、MWF型ゼオライトを得た。
水性反応混合物の組成(モル比)及び合成条件を表1に、結晶のXRD測定結果、SiO/Alモル比、K/Alモル比、Na/Alモル比を表2に示す。
【0090】
[実施例8]
水熱合成時間を3日とした以外は、実施例2と同様に実施して、MWF型ゼオライトを得た。
水性反応混合物の組成(モル比)及び合成条件を表1に、結晶のXRD測定結果、SiO/Alモル比、K/Alモル比、Na/Alモル比を表2に示す。
【0091】
[実施例9]
水熱合成時間を3日とした以外は、実施例6と同様に実施して、MWF型ゼオライトを得た。
水性反応混合物の組成(モル比)及び合成条件を表1に、結晶のXRD測定結果、SiO/Alモル比、K/Alモル比、Na/Alモル比を表2に示す。
【0092】
[実施例10]
1mol/L-NaOH水溶液12.54gと1mol/L-KOH水溶液3.14gとし、水熱合成時間を3日とした以外は、実施例5と同様に実施して、MWF型ゼオライトを得た。
水性反応混合物の組成(モル比)及び合成条件を表1に、結晶のXRD測定結果、平均粒径、SiO/Alモル比、K/Alモル比、Na/Alモル比を表2に示す。
【0093】
[実施例11]
水熱合成用の反応混合物(水性反応混合物)として、以下のものを調製した。
1mol/L-NaOH水溶液(キシダ化学社製)7.84gと1mol/L-KOH水溶液(キシダ化学社製)7.84gを混合したものに水酸化アルミニウム水溶液(Al 53.5質量%含有、アルドリッチ社製)0.78gを加えて撹拌し溶解させた。これに有機テンプレートとしてテトラエチルアンモニウムブロミド(TEABr)(東京化成工業社製)4.55gに水2.82gを加え混合した液を加えた。さらにコロイダルシリカ(NALCO 2326、14.6%SiO2水溶液、NALCO社製)12.20gを加えて約2時間撹拌した。その後、製造例1の方法で作製したMWF型ゼオライトを種晶として0.10g添加し、約1時間攪拌し、水性反応混合物とした。
前記の水性反応混合物を耐圧容器に入れ、135℃のオーブンで15rpmで回転しながら、6日間水熱合成して結晶化させた。さらに、ろ過、水洗、乾燥して、MWF型ゼオライトを得た。
水性反応混合物の組成(モル比)及び合成条件を表1に、結晶のXRD測定結果、平均粒径、SiO/Alモル比、K/Alモル比、Na/Alモル比を表2に示す。
【0094】
[実施例12]
有機テンプレートとして50%テトラエチルアンモニウムブロミド(TEABr)水溶液(東京化成工業社製TEABrを水で希釈したもの)4.55gを用いて、水熱合成時間を2日とした以外は、実施例11と同様に実施して、MWF型ゼオライトを得た。
水性反応混合物の組成(モル比)及び合成条件を表1に、結晶のXRD測定結果、平均粒径、SiO/Alモル比、K/Alモル比、Na/Alモル比を表2に示す。
【0095】
[実施例13]
水熱合成用の反応混合物(水性反応混合物)として、以下のものを調製した。
1mol/L-NaOH水溶液(キシダ化学社製)2.70gと1mol/L-KOH水溶液(キシダ化学社製)2.72gを混合したものに水酸化アルミニウム水溶液(Al 54.3質量%含有、キョーワード200S、協和化学工業社製)0.19gを加えて撹拌し溶解させた。これに有機テンプレートとして50%テトラエチルアンモニウムブロミド(TEABr)水溶液(東京化成工業社製TEABrを水で希釈したもの)1.57gに水8.74gを加え混合した液を加えた。さらにコロイダルシリカ(NALCO 2326、14.6%SiO水溶液、NALCO社製)4.19gを加えて約2時間撹拌した。その後、製造例1の方法で作製したMWF型ゼオライトを種晶として0.05g添加し、約1時間攪拌し、水性反応混合物とした。
前記の水性反応混合物を耐圧容器に入れ、140℃のオーブンで15rpmで回転しながら、5.5日間水熱合成して結晶化させた。さらに、ろ過、水洗、乾燥して、MWF型ゼオライトを得た。
水性反応混合物の組成(モル比)及び合成条件を表1に、結晶のXRD測定結果、平均粒径、SiO/Alモル比、K/Alモル比、Na/Alモル比を表2に示す。
【0096】
[実施例14]
水熱合成用の反応混合物(水性反応混合物)として、以下のものを調製した。
1mol/L-NaOH水溶液(キシダ化学社製)12.85gと1mol/L-KOH水溶液(キシダ化学社製)12.85gを混合したものに水酸化アルミニウム水溶液(Al 53.5質量%含有、アルドリッチ社製)0.92gを加えて撹拌し溶解させた。これに有機テンプレートとして50%テトラエチルアンモニウムブロミド(TEABr)水溶液(東京化成工業社製TEABrを水で希釈したもの)7.46gに水54.29gを加え混合した液を加えた。さらにコロイダルシリカ(LUDOX AS-40、40%SiO水溶液、アルドリッチ社製)7.28gを加えて約3時間撹拌し、水性反応混合物とした。
前記の水性反応混合物を耐圧容器に入れ、140℃のオーブンで静置させて、5.5日間水熱合成して結晶化させた。さらに、ろ過、水洗、乾燥して、MWF型ゼオライトを得た。
水性反応混合物の組成(モル比)及び合成条件を表1に、結晶のXRD測定結果、SiO/Alモル比、K/Alモル比、Na/Alモル比を表2に示す。
【0097】
[実施例15]
水熱合成用の反応混合物(水性反応混合物)として、以下のものを調製した。
1mol/L-NaOH水溶液16.78と1mol/L-KOH水溶液16.78gを混合したものに水酸化アルミニウム水溶液(Al 53.1質量%含有、キョーワード200S、協和化学工業社製)1.19gを加えて1時間撹拌し溶解させた。これに水31.40gとコロイダルシリカ(LUDOX AS40、アルドリッチ社製)9.52gを加えて約1時間撹拌した。さらに有機テンプレートとして49.4%テトラエチルアンモニウムブロミド(TEABr)水溶液(東京化成工業社製TEABrを水で希釈したもの)19.41gと製造例1の方法で作製したMWF型ゼオライトを粉砕したものを種晶として1.00g添加し、約2時間攪拌し、水性反応混合物とした。
この水性反応混合物の組成(モル比)は、SiO/Al/NaOH/KOH/HO/TEABr=1/0.1/0.265/0.265/70/0.72、SiO/Al=10であった。
前記の水性反応混合物を耐圧容器に入れ、140℃のオーブンで静置させて、5.5日間水熱合成して結晶化させた。さらに、ろ過、水洗、乾燥して、MWF型ゼオライトを得た。
水性反応混合物の組成(モル比)及び合成条件を表1に、結晶のXRD測定結果、平均粒径、SiO/Alモル比、K/Alモル比、Na/Alモル比を表2に示す。
【0098】
[実施例16]
49.4%テトラエチルアンモニウムブロミド(TEABr)水溶液0.97gとし、種晶を添加しなかった以外は、実施例15と同様に実施して、MWF型ゼオライトを得た。
水性反応混合物の組成(モル比)及び合成条件を表1に、結晶のXRD測定結果、SiO/Alモル比、K/Alモル比、Na/Alモル比を表2に示す。
【0099】
[比較例2]
1mol/L-KOH水溶液を使用せず、1mol/L-NaOH水溶液15.69gとした以外は、実施例1と同様の操作を実施した。
水性反応混合物の組成(モル比)及び合成条件を表1に、結晶のXRD測定結果、SiO/Alモル比、K/Alモル比、Na/Alモル比を表2に示す。
X線回折測定の結果、MWF型ゼオライトは生成しておらず、GIS型ゼオライトのみが生成していた。
【0100】
[比較例3]
水熱合成用の反応混合物(水性反応混合物)として、以下のものを調製した。
1mol/L-NaOH水溶液(キシダ化学社製)8.76gに水酸化アルミニウム水溶液(Al 53.5質量%含有、アルドリッチ社製)0.44gを加えて撹拌し溶解させた。これに有機テンプレートとしてテトラエチルアンモニウムブロミド(TEABr)(東京化成工業社製)12.50gに水5.79gを加え混合した液を加えた。さらにコロイダルシリカ(LUDOX AS-40、40%SiO水溶液、アルドリッチ社製)2.48gを加えて約2時間撹拌した。その後、比較例3の方法で作製したMWF型ゼオライトを種晶として0.05g添加し、約1時間攪拌し、水性反応混合物とした。
前記の水性反応混合物を耐圧容器に入れ、135℃のオーブンで15rpmで回転しながら、3日間水熱合成して結晶化させた。さらに、ろ過、水洗、乾燥して、粉体を得た。
X線回折測定の結果、MWF型ゼオライトは生成しておらず、非晶質であった。
水性反応混合物の組成(モル比)及び合成条件を表1に、結晶のXRD測定結果、SiO/Alモル比、K/Alモル比、Na/Alモル比を表2に示す。
【0101】
【表1】
【0102】
【表2】
【0103】
以上の結果から、従来はアルカリ金属源にナトリウム(Na)のみを添加した水性反応混合物を使用し、3日ではMWFが形成できなかったが、アルカリ金属源及び/またはアルカリ土類金属源として、カリウム(K)を含む化合物を添加した水性反応混合物を用いることで、2日または3日という短時間でもMWF型ゼオライトが得られることが分かった。また、カリウム(K)を添加することにより、攪拌しながら均一に合成する回転合成だけでなく不均一になりやすい静置合成でもMWF型ゼオライトを得ることができた。さらに、Kを添加することにより、HO/SiOモル比やTEABr/SiOモル比を大きく変えてもMWF型ゼオライトが得られ、従来よりも合成条件の幅が広がり簡便にMWF型ゼオライトを得られることを見出した。また、Kを含むMWF型ゼオライトを得ることができた。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明は産業上の任意の分野に使用可能であるが、例えば、吸着、分離の分野において、特に好適に使用できる。
図1
図2
図3
図4