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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】液体を吐出する装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20240611BHJP
【FI】
B41J2/175
B41J2/175 153
B41J2/175 503
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020088073
(22)【出願日】2020-05-20
(65)【公開番号】P2021020451
(43)【公開日】2021-02-18
【審査請求日】2023-02-27
(31)【優先権主張番号】P 2019136415
(32)【優先日】2019-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】230100631
【弁護士】
【氏名又は名称】稲元 富保
(72)【発明者】
【氏名】可知 泰彦
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 翔平
【審査官】大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-006388(JP,A)
【文献】特開平10-278251(JP,A)
【文献】特開2010-284824(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0215203(US,A1)
【文献】韓国登録特許第10-1963717(KR,B1)
【文献】特開2009-083377(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/175
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出する複数のヘッドと、
温度が調整された温調液が循環する循環経路と、
前記温調液を冷却する冷却手段と、を備え、
前記循環経路は、少なくとも発熱量が異なる2つの発熱部と熱結合されており、
前記2つの発熱部は、前記冷却手段を起点とするとき、相対的に発熱量の小さい順に前記循環経路と熱結合しており、
前記複数のヘッドに前記液体を分配供給する液体供給マニホールドと、
前記複数のヘッドに前記温調液を分配供給する温調液供給マニホールドと、を備え、
前記液体供給マニホールドと前記温調液供給マニホールドとは熱結合されている
ことを特徴とする液体を吐出する装置。
【請求項2】
前記発熱部には、前記ヘッドの筐体部、圧力発生手段、駆動回路部を含み、
前記発熱量は、小さい側から、前記筐体部、前記圧力発生手段、前記駆動回路部の順である
ことを特徴とする請求項1に記載の液体を吐出する装置。
【請求項3】
前記複数のヘッドから前記温調液を回収する温調液回収マニホールドを備えている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の液体を吐出する装置。
【請求項4】
前記温調液回収マニホールドと前記ヘッドの駆動回路部とが熱結合されている
ことを特徴とする請求項3に記載の液体を吐出する装置。
【請求項5】
前記駆動回路部は前記ヘッドに与える駆動波形を増幅する電力増幅部を含み、
前記電力増幅部に熱結合するヒートシンクと前記温調液回収マニホールドとを熱結合している
ことを特徴とする請求項4に記載の液体を吐出する装置。
【請求項6】
環境温度が閾値未満のときに前記冷却手段をオフ状態とし、
前記ヘッドを前記液体が吐出しない波形を印加して前記駆動回路部を駆動して発熱させて前記温調液を前記閾値まで加熱する制御を行う手段を備えている
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の液体を吐出する装置。
【請求項7】
前記ヘッド内において、前記液体の流路と前記温調液の流路とが熱結合している
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の液体を吐出する装置。
【請求項8】
前記冷却手段を起点とするとき、前記2つの発熱部のうち相対的に発熱量の小さい発熱部は、発熱量の大きい発熱部より、下方に配置している
ことを特徴とする請求項1に記載の液体を吐出する装置。
【請求項9】
吐出する液体の色が異なる複数のヘッドと、
温調液を冷却する冷却手段と、
前記複数のヘッドに前記液体を分配供給する複数の液体供給マニホールドと、
前記複数のヘッドに前記温調液を分配供給する複数の温調液供給マニホールドと、を備え、
前記液体供給マニホールドと前記温調液供給マニホールドとは熱結合され、
前記温調液は、前記冷却手段から前記複数の温調液供給マニホールドへそれぞれ供給する
ことを特徴とする液体を吐出する装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体を吐出する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体を吐出するヘッドにおいては、液体を吐出させる圧電素子などの圧力発生手段、スイッチング回路などの駆動IC(ドライバIC)、ヘッド近傍に配置され駆動波形を生成し圧電素子を駆動する電力増幅部を含むヘッド駆動基板のような発熱部材の発熱による温度上昇に伴って液体温度が上昇し、吐出特性が変動する。
【0003】
従来、温度が調整された温調液(冷却液)を貯留する容器と、容器の冷却液を冷却する冷却手段を備え、容器からの温調液を往路マニホールドによって複数のヘッドに対して分配供給し、複数のヘッドからそれぞれ温調液を復路マニホールドに回収して、容器に戻すようにしたものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平10-86411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されている構成にあっても、複数の発熱部を効率的に冷却できないという課題がある。
【0006】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、複数の発熱部を効率的に冷却することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の請求項1に係る液体を吐出する装置は、
液体を吐出する複数のヘッドと、
温度が調整された温調液が循環する循環経路と、
前記温調液を冷却する冷却手段と、を備え、
前記循環経路は、少なくとも発熱量が異なる2つの発熱部と熱結合されており、
前記2つの発熱部は、前記冷却手段を起点とするとき、相対的に発熱量の小さい順に前記循環経路と熱結合しており、
前記複数のヘッドに前記液体を分配供給する液体供給マニホールドと、
前記複数のヘッドに前記温調液を分配供給する温調液供給マニホールドと、を備え、
前記液体供給マニホールドと前記温調液供給マニホールドとは熱結合されている
構成とした。
【0008】
本発明によれば、複数の発熱部を効率的に冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態に係る液体を吐出する装置としての印刷装置の概略説明図である。
図2】同装置の吐出ユニットを構成するヘッドユニットをノズル面側から見た平面説明図である。
図3】ヘッドの一例の短手方向(ノズル配列方向と直交する方向)の断面説明図である。
図4図3のA-A線における温調液流路の平面説明図である。
図5】同ヘッドのインク及び温調液のポートの説明に供する斜視説明図である。
図6】本発明の第1実施形態における液体(インク)の供給系及び温調液の循環経路系の説明に供するブロック説明図である。
図7】インク供給マニホールド及び温調液供給マニホールドの組み立て状態の斜視説明図である。
図8】温調液供給マニホールドの断面説明図である。
図9】同温調液回収マニホールドの温調液流路の詳細な説明に供する正断面図である。
図10】同温調液回収マニホールドとヘッド駆動基板との結合部分の斜視説明図である。
図11】同じく分解斜視説明図である。
図12】同結合部分の側面説明図である。
図13】ヘッドと温調液供給マニホールドと温調液回収マニホールドとの位置関係の説明に供する説明図である。
図14】温調液の温度制御に関わる部分の説明に供するブロック説明図である。
図15】温調液昇温用駆動波形の一例の説明図である。
図16】同温調液昇温用駆動波形のデューティ(駆動周波数)と環境温度及び温調液温度の関係の一例の説明図である。
図17】本発明の第2実施形態における液体(インク)の供給系及び温調液の循環経路系の説明に供するブロック説明図である。
図18】ヘッド内にノズル駆動素子の波形生成部及び電力増幅部をなどのヘッド駆動ICを有するヘッドの冷却部材の一例の説明に供するヘッドと冷却部材を分離した状態の分解斜視説明図である。
図19】同冷却部材の温調液流路の説明に供するノズル配列方向と直交する方向の一部断面説明図である。
図20】同冷却部材とヘッド駆動ICの熱結合の説明に供するノズル配列方向と直交する方向の一部断面説明図である。
図21】本発明の第3実施形態に係るヘッドユニットの構成と温調液の循環経路を説明する説明図である。
図22】同じくデュアルヘッドの温調液循環経路の説明に供する斜視説明図である。
図23】本発明の第4実施形態における液体(インク)の供給系及び温調液の循環経路系のブロック説明図である。
図24】本発明の第5実施形態における温調液循環系の説明に供する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。本発明の第1実施形態に係る液体を吐出する装置としての印刷装置について図1を参照して説明する。図1は同印刷装置の概略説明図である。
【0011】
印刷装置1は、シート材Pを搬入する搬入部10と、前処理部20と、印刷部30と、乾燥部40と、搬出部50と、反転機構部60を備えている。印刷装置1は、搬入部10から搬入(供給)されるシート材Pに対し、前処理手段である前処理部20で必要に応じて前処理液を付与(塗布)し、印刷部30で液体を付与して所要の印刷を行い、乾燥部40でシート材Pに付着した液体を乾燥させた後、シート材Pを搬出部50に排出する。
【0012】
搬入部10は、複数のシート材Pを収容する搬入トレイ11(下段搬入トレイ11A、上段搬入トレイ11B)と、搬入トレイ11からシート材Pを1枚ずつ分離して送り出す給送装置12(12A、12B)とを備え、シート材Pを前処理部20に供給する。
【0013】
前処理部20は、例えばインクの色材を凝集させ、裏写りを防止する作用効果を有する処理液をシート材Pの印刷面に付与する処理液付与手段である塗布部21などを備えている。
【0014】
印刷部30は、シート材Pを周面に担持して回転する担持部材(回転体)であるドラム31と、ドラム31に担持されたシート材Pに向けて液体を吐出する液体吐出部32を備えている。
【0015】
また、印刷部30は、前処理部20から送り込まれたシート材Pを受け取ってドラム31との間でシート材Pを渡す渡し胴34と、ドラム31によって搬送されたシート材Pを受け取って乾燥部40に渡す受け渡し胴35を備えている。
【0016】
前処理部20から印刷部30へ搬送されてきたシート材Pは、渡し胴34に設けられた把持手段(シートグリッパ)によって先端が把持され、渡し胴34の回転に伴って搬送される。渡し胴34により搬送されたシート材Pは、ドラム31との対向位置でドラム31へ受け渡される。
【0017】
ドラム31の表面にも把持手段(シートグリッパ)が設けられており、シート材Pの先端が把持手段(シートグリッパ)によって把持される。ドラム31の表面には、複数の吸引穴が分散して形成され、吸引手段によってドラム31の所要の吸引穴から内側へ向かう吸い込み気流を発生させる。
【0018】
そして、渡し胴34からドラム31へ受け渡されたシート材Pは、シートグリッパによって先端が把持されるとともに、吸引手段による吸い込み気流によってドラム31上に吸着担持され、ドラム31の回転に伴って搬送される。
【0019】
液体吐出部32は、液体吐出手段である吐出ユニット33(33A~33D)を備えている。例えば、吐出ユニット33Aはシアン(C)の液体を、吐出ユニット33Bはマゼンタ(M)の液体を、吐出ユニット33Cはイエロー(Y)の液体を、吐出ユニット33Dはブラック(K)の液体を、それぞれ吐出する。また、その他、白色、金色(銀色)などの特殊な液体の吐出を行う吐出ユニットを使用することもできる。
【0020】
液体吐出部32の各吐出ユニット33は、印刷情報に応じた駆動信号によりそれぞれ吐出動作が制御される。ドラム31に担持されたシート材Pが液体吐出部32との対向領域を通過するときに、吐出ユニット33から各色の液体が吐出され、当該印刷情報に応じた画像が印刷される。
【0021】
乾燥部40は、印刷部30でシート材P上に付着した液体を乾燥させる。これにより、液体中の水分等の液分が蒸発し、シート材P上に液体中に含まれる着色剤が定着し、また、シート材Pのカールが抑制される。
【0022】
反転機構部60は、乾燥部40を通過したシート材Pに対して両面印刷をおこなうときに、スイッチバック方式で、シート材Pを反転する機構であり、反転されたシート材Pは印刷部30の搬送経路61を通じて渡し胴34よりも上流側に逆送される。
【0023】
搬出部50は、複数のシート材Pが積載される搬出トレイ51を備えている。反転機構部60を通じて搬送されてくるシート材Pは、搬出トレイ51上に順次積み重ねられて保持される。
【0024】
次に、吐出ユニットを構成するヘッドユニットの一例について図2を参照して説明する。図2は同ヘッドユニットをノズル面側から見た平面説明図である。
【0025】
ヘッドユニット300は、液体を吐出する複数のヘッド100を千鳥状にヘッド取付け部材302に並べて配置したものである。
【0026】
各ヘッド100は、液体を吐出する複数のノズル104が配列されたノズル列を複数列(ここでは4列を例にしているが、限定されない。)有している。
【0027】
次に、ヘッド100の一例について図3ないし図5を参照して説明する。図3は同ヘッドの短手方向(ノズル配列方向と直交する方向)の断面説明図、図4図3のA-A線における温調液流路の平面説明図、図5は同ヘッドのインク及び温調液のポートの説明に供する斜視説明図である。
【0028】
ヘッド100は、ノズル104を形成したノズル板101と、ノズル104に通じる圧力室106などの流路を形成する流路板102と、圧力室106の壁面を形成する振動板103を順次積層している。また、ヘッド100は、圧力発生手段としての圧電アクチュエータ111と、共通流路部材を兼ねる筐体部であるフレーム部材120とを有している。
【0029】
圧電アクチュエータ111は、ベース部材113上に固定された柱状の複数の圧電素子112を有し、圧電素子112は振動板103に接合されている。また、圧電素子112にはフレキシブル配線基板などの配線部材115が接続されている。
【0030】
共通流路部材を兼ねるフレーム部材120は、圧力室106に吐出する液体(インク)を供給する共通供給流路110を形成している。
【0031】
このフレーム部材120に温調液(温度が調整された液体)を流すヘッド100内の温調液流路130を形成する温調液流路部材131を接合している。温調液流路部材131には、温調液流路130に温調液を供給する温調液供給口132aと、温調液を外部に回収する温調液回収口133aとを有している。
【0032】
これにより、ヘッド100内において、インクの流路である共通供給流路110と温調液流路130とが熱結合されている。また、ヘッド100の筐体部を兼ねるフレーム部材120は、調液流路130の壁面を形成しており、当然に温調液流路130と熱結合されている。
【0033】
温調液流路部材131にはケース部材150及び蓋部材151が順次積層されている。
【0034】
そして、図5に示すように、ケース部材150には、共通供給流路110にインクを供給するインク供給ポート122、122と、温調液流路130の温調液供給口132aに接続した温調液供給ポート132と、温調液回収口133aに接続した温調液回収ポート133とを有している。
【0035】
次に、本発明の第1実施形態における液体(インク)の供給系及び温調液の循環経路系について図6ないし図8を参照して説明する。図6は同液体(インク)の供給系及び温調液の循環経路系のブロック説明図、図7はインク供給マニホールド及び温調液供給マニホールドの組み立て状態の斜視説明図、図8は温調液マニホールドの断面説明図である。
【0036】
インク供給系には、ヘッド100に供給する液体(インク)を貯留する液体タンク(インクタンク)401と、液体タンク401から供給されるインクを複数のヘッド100に分配供給する液体供給マニホールドであるインク供給マニホールド402とを備えている。インク供給マニホールド402と各ヘッド100とは供給チューブなどの供給経路403で接続されている。
【0037】
インク供給マニホールド402は、図7に示すように、内部にインク流路420(後述の図13参照)が形成された筒状部材であり、インクタンク401からインクが供給される入口ポート421と、各ヘッド100へインクを供給する出口ポート422とを備えている。
【0038】
温調液循環系には、温調液510を貯留する温調液タンク501と、温調液510を送液する送液ポンプ502と、温調液510を冷却する冷却手段である冷却器511と、各ヘッド100に温調液510を分配供給する温調液供給マニホールド505と、各ヘッド100から温調液510を回収する温調液回収マニホールド506とを備えている。
【0039】
温調液供給マニホールド505は、図8に示すように、内部に温調液510の流路が形成された板状部材であり、熱交換器503から温調液が供給される入口ポート555と、各ヘッド100へ温調液を供給する出口ポート556とを備えている。
【0040】
温調液供給マニホールド505は、内部に複数本の液流路551a~551dが長手方向に沿って形成されたマニホールド本体552と、マニホールド本体552の両端部に装着された折り返し部キャップ553とを備えている。
【0041】
液流路551dには、各ヘッド100へ温調液510を供給する出口ポート556が設けられている。温調液510は、出口ポート556から供給経路513を経由して、温調液供給ポート132に供給される。
【0042】
そして、図7に示すように、温調液供給マニホールド505は、インク供給マニホールド402が嵌め合わされており、温調液供給マニホールド505とインク供給マニホールド402とが熱結合している。
【0043】
冷却器511は、例えばラジエターで構成される。
【0044】
温調液供給マニホールド505と各ヘッド100の温調液供給ポート132とは供給チューブなどの供給経路513で接続され、各ヘッド100の温調液回収ポート133と温調液回収マニホールド506とは回収チューブなどの回収経路514で接続されている。
【0045】
送液ポンプ502を駆動することによって、温調液タンク501に貯留された温調液510は、送液ポンプ502、冷却器511、温調液供給マニホールド505、各ヘッド100、温調液回収マニホールド506を経て、温調液タンク501に戻る循環経路500を循環する。
【0046】
そして、温調液回収マニホールド506上に、複数のヘッド100の圧電アクチュエータ111に印加する駆動波形生成部および波形を増幅する電力増幅部などが実装されたヘッド駆動基板160の発熱部が熱結合されている。
【0047】
このように構成した系においては、温調液510は、温調液タンク501から送液ポンプ502で汲み上げられ、温調液510を冷却する冷却器511を通り、温調液供給マニホールド505から各ヘッド100に分配される。
【0048】
そして、各ヘッド100の温調液流路130を温調液510が通ることで各ヘッド100のフレーム部材120(筐体部)を冷却し、各ヘッド100を通過した後、温調液回収マニホールド506にて回収され、その後、ヘッド駆動基板160(駆動回路部)を冷却して電力増幅部などを冷却し、温調液タンク501に戻る。
【0049】
一方、インクは、インクタンク401からインク供給マニホールド402に供給されて各ヘッド100に分配される。
【0050】
温調液供給マニホールド505とインク供給マニホールド402とが熱結合していることで、各ヘッド100にインクが流入する前に、インク供給マニホールド402内のインク温度が温調液510と同等の温度に温調される。これにより、インク供給マニホールド402から供給されるインク温度が均一になり、ヘッド100間及びノズル列103,104上の温度勾配が抑制される(ノズル列方向の温度勾配の抑制)。
【0051】
ここで、温調液510の循環経路500は、発熱部であるヘッド100の筐体部としてフレーム部材120と、駆動波形生成部及び波形を増幅する電力増幅部などが実装されたヘッド駆動基板160とそれぞれ熱結合している。
【0052】
この場合、フレーム部材120の発熱量は、ヘッド駆動基板160の発熱量よりも小さい。そこで、循環経路500と熱結合する2つの発熱部であるフレーム部材120及びヘッド駆動基板160は、相対的に発熱量の小さい順、すなわち、本実施形態では、ヘッド100のフレーム部材120、ヘッド駆動基板160の順に循環経路500と熱結合している。
【0053】
これにより、温調液で冷却される順序は、発熱量が小さい順になり、効率的な冷却を行うことができる。
【0054】
つまり、発熱量の大きな発熱部の下流側に発熱量の小さな発熱部を配置すると、冷却された温調液が発熱量の大きな発熱部によって温められて温度が上昇するため、発熱量の小さな発熱部による発熱ですら冷却できなくなるおそれがある。
【0055】
これに対して、本実施形態のように、発熱量の小さな発熱部から順次冷却することで、温調液の急激な温度上昇を生じることなく、確実に熱熱部を冷却することができるようになる。
【0056】
次に、温調液回収マニホールド及び温調液回収マニホールドとヘッド駆動基板160との熱結合について図9ないし図12を参照して説明する。図9は同温調液回収マニホールドの温調液流路の詳細な説明に供する正断面説明図である。図10は同温調液回収マニホールドとヘッド駆動基板160との結合部分の斜視説明図、図11は同じく分解斜視説明図、図12は同結合部分の側面説明図である。
【0057】
温調液回収マニホールド506は、内部に、ヘッド100から回収経路514を通じて供給される温調液510が矢印A方向に流れる温調液流路561が形成されている。また、温調液回収マニホールド506は、複数の回収経路514と接続する入口ポート565と、温調液タンク501へ温調液を排出する出口ポート566を備える。
【0058】
温調液流路561は、複数本の液流路が長手方向に沿い、両端部に折り返し流路を備えている。
【0059】
ヘッド駆動基板160には、駆動波形を増幅するMOS-FETなどで構成される電力増幅部161が実装され、電力増幅部161に接触してヒートシンク162が設けられている。
【0060】
そこで、ヘッド駆動基板160のヒートシンク162と温調液回収マニホールド506とを熱伝導シート163を介して固定することで、温調液回収マニホールド506とヘッド駆動基板160の電力増幅部161とを熱結合している。
【0061】
次に、ヘッド100と温調液供給マニホールド505と温調液回収マニホールド506との位置関係について図13を参照して説明する。図13は同説明に供する説明図である。
【0062】
温調液回収マニホールド506及び温調液供給マニホールド505はヘッド100の上方に配置している。したがって、本実施形態では、温調液供給マニホールド505と熱結合しているインク供給マニホールド402もヘッド100の上方に配置される。
【0063】
インク供給マニホールド402は、インク供給経路403を介してヘッド100のインク供給ポート122に接続されている。温調液供給マニホールド505は、供給経路513を介してヘッド100の温調液供給ポート132に接続されている。温調液回収マニホールド506は、回収経路514を介してヘッド100の温調液回収ポート133に接続されている。
【0064】
温調液回収マニホールド506及び温調液供給マニホールド505は、ヘッド100の上方に配置していることにより、ヘッド100のノズル密度(ヘッド配置密度)を低減することなく、高画質を得ることができる。また、インクの供給経路403と温調液の供給経路513の距離を短く構成することができ、各供給路内の温度変化を小さく抑えることができる。
【0065】
また、ヘッド駆動基板160の発熱量よりも小さいヘッド100のフレーム部材120を、ヘッド駆動基板160よりも下方に配置し、ヘッド100のフレーム部材120、ヘッド駆動基板160の順に循環経路500と熱結合している。そして、ヘッド100の上方に温調液回収マニホールド506と熱結合したヘッド駆動基板160を配置している。これにより、温調液で冷却される順序は、発熱量が小さい順になり、効率的な冷却を行うことができるとともに、ヘッド100の温度上昇を抑制できる。
【0066】
また、ヘッドユニット300と温調液回収マニホールド506と温調液供給マニホールド505とをカバー1000により一体化している。これにより、メンテナンス性が向上する。
【0067】
次に、温調液の温度制御に関わる部分について図14のブロック説明図を参照して説明する。
【0068】
温調液温度制御手段801は、環境温度TH5を検出する環境温度センサ811、冷却器511の入口における温調液の温度TH1を検出する温調液センサ812の各検知結果を入力する。
【0069】
また、温調液温度制御手段801は、冷却器511を構成するラジエターのファンの回転数を検出する回転数センサ814などの検知結果を入力する。
【0070】
そして、温調液温度制御手段801は、これらの入力された検知結果に基づいて、冷却器511を構成するファンの駆動制御を行う。
【0071】
次に、温度制御の動作例として環境温度が25℃未満の場合の概要について説明する。
【0072】
温調液の所定の温度範囲(25℃~36.5℃)に制御される。低温環境下で装置を立ち上げるときは、規定温度にインク温度を立ち上げる必要がある。そこで、ヘッド100の圧電アクチュエータ111に対してインクを吐出しない共振点を外した昇温用駆動波形を印加して、ヘッド駆動基板160のMOS-FETの発熱及び圧電アクチュエータ111の発熱によって温調液510を加熱し、温調液510を循環することで循環経路500と、ヘッド100内及びヘッド100の手前のインク供給路を一定の温度まで加熱する。
【0073】
温調液510の加熱制御を行うときには、環境温度に対して関連付けした温調液温度が所定温度(閾値温度)25℃未満では冷却器511をオフ状態とし、循環経路500の冷却器511の入口における温調液510の温度TH1を検出し、圧電アクチュエータ111による発熱デユーティ(Duty)を制御して、温調液510が25℃になるように加熱制御を実施する。
【0074】
また、温調液510の温度が閾値温度25℃以上に移行したときにはヘッド駆動基板160のMOS-FETの発熱、及び、圧電アクチュエータ111による加熱制御を停止して、印刷待機状態に移行する。
【0075】
さらに、連続印刷を開始し、循環している温調液510の温度が閾値温度25℃以上となったときには、冷却器511を駆動して温調液510の温度が環境温度+3℃以内となるように冷却する。
【0076】
ここで、冷却器511の冷却能力は、ヘッドユニット300の最大インク量に相当する発熱量に対し冷却可能な設定とする。実際の発熱量内訳として、ヘッド100の圧電アクチュエータ111に与える駆動波形を増幅する電力増幅部を含むヘッド駆動基板160の発熱量と、ヘッド100内の圧電アクチュエータ111の発熱量、ヘッド100の圧電アクチュエータ111の駆動波形を与える圧電素子112を選択するヘッド駆動ICの発熱量に応じて冷却能力を設定する
【0077】
次に、低温環境下での立ち上げ時の動作制御について図15及び図16も参照して説明する。図15は温調液昇温用駆動波形の一例の説明図、図16は同温調液昇温用駆動波形のデューティ(駆動周波数)と環境温度及び温調液温度の関係の一例の説明図である。
【0078】
低温環境下での立ち上げ状態では、ヘッド温度、インク温度、温調液温度は低温環境下と同等温度となるため、インク粘度は常温粘度より大幅に増粘しており目標とする吐出特性が得られない。
【0079】
そこで、低温環境下での装置立ち上げ時は、共振点を外した図15に示すような昇温用駆動波形をヘッド駆動基板160とヘッド100の圧電素子112に与える。
【0080】
併せて、送液ポンプ502を駆動して温調液循環動作を行い、温調液と循環経路500、ヘッド100の昇温、インク供給マニホールド402と温調液供給マニホールド505の熱結合を介して、常温環境温度近辺まで昇温する。
【0081】
このとき、ヘッド駆動基板160及び圧電素子112に与える昇温用駆動波形の駆動周波数を制御することで、発熱量をコントロールできる。例えば、環境温度10℃のときはヘッド駆動基板160を発熱量8KW(40KHz)で加熱し、急峻に循環経路500内の温度を立ち上げる。インク温調ターゲットの常温温度に到達するにつれ、オバーシュートを回避するため、発熱量を低減するように駆動周波数を低減する。
【0082】
例えば、図16に示すように、冷却器511を構成するラジエターに流入する温調液の温度TH1応じてヘッド駆動基板に与える昇温用駆動波形の駆動周波数(デューティ)を変化させる。なお、前述したように、温度TH1は冷却器入口の温調液センサ812で、冷却器を制御する温度の検出を行っている。
【0083】
なお、1枚のヘッド駆動基板160には8回路の駆動波生成回路及び駆動波形増幅部が搭載され、ヘッド駆動基板の最大発熱量は290W/枚となる。また、ヘッド駆動基板160は1色分のノズルアレイを構成する11ヘッドに対応して11枚搭載されるので4色の最大発熱量は12KWとなるので、低温立ち上げ時間は短時間で可能となる。
【0084】
図15に示す昇温用駆動波形の波形は圧力室106の共振点を外した波形で、波形長さを14μmとすることで、駆動周波数を可変して発熱量を制御する形態とした。例えば、60KHzの周期は16.7μsであるので14μsで波形を作成すれば、60KHzまで印加可能である。本実施形態では、40KHz印加時の発熱量を100%として発熱量の制御を行うテーブルを作成している(前記図16)。
【0085】
次に、本発明の第2実施形態について図17を参照して説明する。図17は同実施形態における液体(インク)の供給系及び温調液の循環経路系のブロック説明図である。
【0086】
本実施形態では、ヘッド100の配線部材115に搭載されたノズル駆動素子の波形生成部及び電力増幅部などヘッドアクチェータを駆動するヘッド駆動IC116を冷却する冷却部材570を備えている。
【0087】
なお、本実施形態におけるヘッド駆動IC116は、前記第1実施形態におけるヘッド駆動基板160に搭載された波形生成部及び電力増幅部などをノズル列毎に高密度に集積した集積回路で構成され、ヘッド100の圧電アクチュエータ111に印加する波形生成部とアクチェータと波形を増幅する電力増幅部、各ノズルの制御機能などの回路を含んでいる。
【0088】
そして、温調液供給マニホールド505からヘッド100のフレーム部材120に温調液を供給し、フレーム部材120を通過した温調液を冷却部材570に供給し、冷却部材570を通過した温調液を温調液回収マニホールド506に回収する。
【0089】
ここでも、循環経路500には、発熱量の異なる2つの発熱部として、ヘッド100の筐体部であるフレーム部材120と、ヘッド駆動IC116とが配置される。そして、本実施形態では、循環経路500において、冷却器511を起点として、冷却器511の下流側に、発熱量の少ない順、ここでは、筐体部であるフレーム部材120、ヘッド駆動IC116の順に配置されている。
【0090】
これにより、温調液で冷却される順序が発熱量より小さい順になり、効率的な冷却を行うことができる。
【0091】
次に、冷却部材570の一例について図18ないし図20を参照して説明する。図18はヘッドと冷却部材を分離した状態の分解斜視説明図である。図19は同冷却部材の温調液流路の説明に供するノズル配列方向と直交する方向の一部断面説明図、図20は同冷却部材とヘッド駆動IC116の熱結合の説明に供するノズル配列方向と直交する方向の一部断面説明図である。
【0092】
冷却部材570は、受熱部571内に温調液が流れる温調液流路572が形成されている。温調液流路572は供給ポート573、回収ポート574が設けられている。
【0093】
この冷却部材570の受熱部571は熱伝達シート575を介して配線部材115に実装されたヘッド駆動IC116の表面と熱的に結合され、ヘッド駆動IC116に隣接して温調液510が流れる温調液流路572が配置される。
【0094】
これにより、図18及び図19に矢印Aで示すように、冷却部材570の温調液流路572内を温調液510が流れることで、ドライバIC116が冷却されて発熱が抑制され、ヘッド駆動IC116の放熱によるインク温度の上昇が抑制される。
【0095】
次に、本発明の第3実施形態について図21及び図22を参照して説明する。図21は同実施形態に係るヘッドユニットの構成と温調液の循環経路を説明する説明図、図22は同じくデュアルヘッドの温調液循環経路の説明に供する斜視説明図である。
【0096】
ヘッドユニット300は、液体を吐出する2組のヘッド(デュアルヘッド)100、100を千鳥状に並べて配置したものである。
【0097】
そして、図22に実線矢印Aで示すように、温調液供給マニホールドから、2組のヘッド100、100の一方のヘッド100の温調液供給ポート132に対して温調液510を供給し、一方のヘッド100のフレーム部材120を通過した温調液を温調液回収ポート133から回収する。一方のヘッド100から回収した温調液510を他方のヘッド100の温調液供給ポート132に供給し、他方のヘッド100のフレーム部材120を通過した温調液510を温調液回収ポート133から回収する。
【0098】
他方のヘッド100の温調液回収ポート133から回収した温調液510を、冷却部材570を通して、温調液回収マニホールド506に回収する。
【0099】
なお、各ヘッド100に対しては、図22に破線矢印Bで示すように、インク供給ポート122にインクが供給される。
【0100】
次に、本発明の第4実施形態について図23を参照して説明する。図23は同実施形態における液体(インク)の供給系及び温調液の循環経路系のブロック説明図である。
【0101】
循環経路500は、発熱量の異なる3つの発熱部として、ヘッド100を構成する筐体部となるフレーム部材120と、圧電アクチュエータ11を構成するベース部材113と、ヘッド駆動IC116とそれぞれ熱結合している。
【0102】
このとき、発熱量の異なるフレーム部材120、圧電アクチュエータ11及びヘッド駆動IC116は、冷却器511を起点とするとき、相対的に発熱量の小さい順、すなわち、フレーム部材120、ベース部材113、ヘッド駆動IC116の順に循環経路500と熱結合している。
【0103】
これにより、効率的に冷却を行うことができる。
【0104】
次に、本発明の第5実施形態について図24を参照して説明する。図24は同実施形態における温調液循環系の説明に供する説明図である。
【0105】
本実施形態においては、前記第1実施形態の複数のヘッド100を含む複数のヘッドユニット300(33A~33D)に対応して、温調液供給マニホールド505(505A~505D)と、温調液回収マニホールド506(506A~506D)を備えている。
【0106】
そして、共通の温調液タンク501を備えている。共通の温調液タンク501から、送液ポンプ502Aと、ラジエター511A(511A1、511A2の直接接続)を介して、温調液供給マニホールド505A、505Bに温調液510を分岐して供給する。
【0107】
また、共通の温調液タンク501から、送液ポンプ502B、ラジエター511B(511B1、511B2の直接接続)を介して、温調液供給マニホールド505C、505Dに温調液510を分岐して供給する。
【0108】
一方、ヘッドユニット300を通過した温調液510は、温調液回収マニホールド506(506A~506D)でそれぞれ回収した後、1つに集約して、温調液タンク501に戻している。
【0109】
したがって、循環経路500Aは、温調液タンク501から送液ポンプ502A、ラジエター511A1、511A2、温調液供給マニホールド505A、505B、ヘッドユニット300A、33B、温調液回収マニホールド506A、506Bを経て、温調液タンク501に戻る経路となる。
【0110】
同様に、循環経路500Bは、温調液タンク501から送液ポンプ502B、ラジエター511B1、511B2、温調液供給マニホールド505C、505D、ヘッドユニット300C、33D、温調液回収マニホールド506C、506Dを経て、温調液タンク501に戻る経路となる。
【0111】
また、各温調液回収マニホールド506とヘッド駆動基板160とを熱結合して、ヘッド駆動基板160に実装されているMOS-FETなどの駆動波形を増幅する電力増幅部を冷却する構成としている。
【0112】
また、本実施形態においても、図13と同様に、ヘッド駆動基板160の発熱量よりも小さいヘッド100のフレーム部材120をヘッド駆動基板160よりも下方に配置し、ヘッド100のフレーム部材120、ヘッド駆動基板160の順に循環経路500と熱結合している。そして、ヘッド100の上方に温調液回収マニホールド506と熱結合したヘッド駆動基板160を配置している。これにより、温調液で冷却される順序は、発熱量が小さい順になり、効率的な冷却を行うことができるとともに、ヘッド100の温度上昇を抑制できる。
【0113】
なお、本実施形態では、冷却手段として、4つのラジエター511を使用し、2つのラジエターを直列接続したものを並列に接続した混合接続の構成としているが、前記第2実施形態のように4つのラジエター511を並列に接続した構成とすることもできる。さらに、複数のラジエターを直列接続、並列接続、又は直列接続と並列接続を混合した冷却手段を配置することもできる。
【0114】
本願において、吐出される液体は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり、これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
【0115】
「ヘッド」には、液体を吐出するエネルギー発生源として、圧電アクチュエータ(積層型圧電素子及び薄膜型圧電素子)、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものが含まれる。
【0116】
また、「液体を吐出する装置」には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
【0117】
この「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
【0118】
例えば、「液体を吐出する装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
【0119】
また、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
【0120】
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
【0121】
上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
【0122】
また、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
【0123】
また、「液体を吐出する装置」としては、他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液を、ノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
【0124】
なお、本願の用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等はいずれも同義語とする。
【符号の説明】
【0125】
1 印刷装置
10 搬入部
20 前処理部
30 印刷部
31 ドラム
40 乾燥部
50 搬出部
60 反転機構部
33 吐出ユニット
100 液体吐出ヘッド(ヘッド)
116 ヘッド駆動IC
160 ヘッド駆動基板
402 インク供給マニホールド(液体供給マニホールド)
505 温調液供給マニホールド
506 温調液回収マニホールド
511 冷却器(冷却手段)
570 冷却部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
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