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特許7501124低誘電特性の感光性樹脂組成物、これを用いたパターン硬化物の製造方法、低誘電特性の感光性樹脂組成物の硬化物、及び電子部品
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  • 特許-低誘電特性の感光性樹脂組成物、これを用いたパターン硬化物の製造方法、低誘電特性の感光性樹脂組成物の硬化物、及び電子部品 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】低誘電特性の感光性樹脂組成物、これを用いたパターン硬化物の製造方法、低誘電特性の感光性樹脂組成物の硬化物、及び電子部品
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/027 20060101AFI20240611BHJP
   G03F 7/031 20060101ALI20240611BHJP
   C08F 20/18 20060101ALI20240611BHJP
   C08F 283/04 20060101ALI20240611BHJP
   C08F 290/14 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
G03F7/027 514
G03F7/031
C08F20/18
C08F283/04
C08F290/14
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020098945
(22)【出願日】2020-06-05
(65)【公開番号】P2021192086
(43)【公開日】2021-12-16
【審査請求日】2023-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】株式会社レゾナック
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安部 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】満倉 一行
(72)【発明者】
【氏名】鳥羽 正也
(72)【発明者】
【氏名】今津 裕貴
【審査官】中澤 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-172994(JP,A)
【文献】国際公開第2018/181893(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/071437(WO,A1)
【文献】国際公開第2005/061586(WO,A1)
【文献】国際公開第2010/024295(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/027
G03F 7/031
C08F 20/18
C08F 283/04
C08F 290/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁層を形成するために用いられる樹脂組成物であって、前記樹脂組成物が下記一般式(1)の芳香族ポリエステルイミド構造を含む樹脂と光重合開始剤及び熱ラジカル重合開始剤を含み、一般式(1)の芳香族ポリエステルイミド構造を含む樹脂が下記一般式(2)で表される基を含まない場合は、更に、(メタ)アクリロイル化合物を含有する低誘電特性の感光性樹脂組成物。
【化1】

(一般式(1)中、mは1~100の整数、Arは置換基を有してもよいベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、又はこれらを-O-、-S-、-(CO)-、-O-(CO)-若しくは-(CO)-O-で連結する2価の基、Rは炭素数2~30及び水素数4~100の芳香族骨格を有する2価の基、-COOR、-COORはそれぞれ隣接する-CONH-とは互いにオルト位置にあり、RとR、R’は、それぞれ独立に、水素原子又は一般式(2)で表される基、又は炭素数1~4の炭化水素基である。)
【化2】

(一般式(2)中、R~Rはそれぞれ独立に、水素原子または炭素数1~3の脂肪族炭化水素基であり、nは1~10の整数である。)
【請求項2】
絶縁層を形成するために用いられる樹脂組成物であって、前記樹脂組成物が下記一般式(1)の芳香族ポリエステルイミド構造を含む樹脂と光重合開始剤及び熱ラジカル重合開始剤を含低誘電特性の感光性樹脂組成物。
【化1】

(一般式(1)中、mは1~100の整数、Arは芳香族骨格を有する2価の基、Rは炭素数2~30及び水素数4~100の芳香族骨格を有する2価の基、-COOR、-COORはそれぞれ隣接する-CONH-とは互いにオルト位置にあり、RとR、R’は、それぞれ独立に、水素原子又は一般式(2)で表される基、又は炭素数1~4の炭化水素基であり、R 、R 、及びR’の少なくとも1つは、式(2)で表される基である。)
【化2】

(一般式(2)中、R~Rはそれぞれ独立に、水素原子または炭素数1~3の脂肪族炭化水素基であり、nは1~10の整数である。)
【請求項3】
更に、カップリング剤を含有する、請求項1又は請求項2に記載の低誘電特性の感光性樹脂組成物。
【請求項4】
更に、(メタ)アクリロイル化合物を含有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の低誘電特性の感光性樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1~のいずれか一項に記載の低誘電特性の感光性樹脂組成物の硬化物における塩化物イオンの濃度が5ppm以下である、請求項1~のいずれか一項に記載の低誘電特性の感光性樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1~のいずれか一項に記載の低誘電特性の感光性樹脂組成物の硬化物の破断伸びが10~200%である、請求項1~のいずれか一項に記載の低誘電特性の感光性樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1~のいずれか一項に記載の低誘電特性の感光性樹脂組成物の硬化物の10GHzでの誘電率が3.2以下である、請求項1~のいずれか一項に記載の低誘電特性の感光性樹脂組成物。
【請求項8】
請求項1~のいずれか一項に記載の低誘電特性の感光性樹脂組成物の硬化物の10GHzでの誘電正接が0.0100以下である、請求項1~のいずれか一項に記載の低誘電特性の感光性樹脂組成物。
【請求項9】
請求項1~のいずれか一項に記載の低誘電特性の感光性樹脂組成物の硬化物の5%重量減少温度が300℃以上である、請求項1~のいずれか一項に記載の低誘電特性の感光性樹脂組成物。
【請求項10】
請求項1~のいずれか一項に記載の低誘電特性の感光性樹脂組成物の硬化物の、130℃、相対湿度85%の環境に200時間置かれた後の吸湿率が1質量%以下である、請求項1~のいずれか一項に記載の低誘電特性の感光性樹脂組成物。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の低誘電特性の感光性樹脂組成物を基板上に塗布、乾燥して感光性樹脂膜を形成する工程と、
前記感光性樹脂膜をパターン露光して、樹脂膜を得る工程と、
前記パターン露光後の樹脂膜を、有機溶剤を用いて、現像し、パターン樹脂膜を得る工程と、
前記パターン樹脂膜を加熱処理する工程と、を含む、パターン硬化物の製造方法。
【請求項12】
前記加熱処理温度が200℃以下である請求項11に記載のパターン硬化物の製造方法
【請求項13】
請求項1~10のいずれか一項に記載の低誘電特性の感光性樹脂組成物を硬化した硬化物。
【請求項14】
前記硬化物がパターン硬化物である請求項13に記載の硬化物。
【請求項15】
請求項13又は請求項14に記載の硬化物を層間絶縁膜、カバーコート層又は表面保護膜に用いる硬化物。
【請求項16】
請求項15に記載の層間絶縁膜、カバーコート層又は表面保護膜を含む電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、低誘電特性の感光性樹脂組成物、これを用いたパターン硬化物の製造方法及び低誘電特性の感光性樹脂組成物を層間絶縁膜、カバーコート層又は表面保護膜に用いた硬化物、及び電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体素子の表面保護膜及び層間絶縁膜には、優れた耐熱性と電気特性、機械特性などを併せ持つポリイミドやポリベンゾオキサゾールが用いられている。近年、これらの樹脂自身に感光特性を付与した感光性樹脂組成物が用いられており、これを用いるとパターン硬化物の製造工程が簡略化でき、煩雑な製造工程を短縮できる。(例えば、特許文献1参照)
一方で、半導体パッケージの高密度化及び高性能化を目的に、異なる性能のチップを一つのパッケージに混載する実装形態が提案されている。この場合、コスト面に優れた、チップ間の高密度インターコネクト技術が重要になっている(例えば、特許文献2参照)。
非特許文献1及び非特許文献2には、パッケージ上に異なるパッケージをフリップチップ実装によって積層することで接続するパッケージ・オン・パッケージ(PoP:Package on Package)の態様が記載されている。このPoPは、スマートフォン、タブレット端末等に広く採用されている態様である。
【0003】
複数のチップを高密度で実装するための他の形態として、高密度配線を有する有機基板を用いたパッケージ技術、スルーモールドビア(TMV:Through Mold Via)を有するファンアウト型のパッケージ技術(FO-WLP:Fan Out―Wafer Level Package)、シリコン又はガラスインターポーザを用いたパッケージ技術、シリコン貫通電極(TSV:Through Silicon Via)を用いたパッケージ技術、基板に埋め込まれたチップをチップ間伝送に用いるパッケージ技術等が提案されている。
特に、半導体用配線層及びFO-WLPにおいて半導体チップ同士を搭載する場合、当該半導体チップ同士を高密度で導通させるための微細な配線層が必要となる(例えば、特許文献3参照)。
更に、近年はスマートフォンのみならず、ウエアラブル端末の登場や「モノとモノをつなぐ通信」(M2M)と呼ばれる人間の介在なしで機器同士がコミュニケーションをするシステムの出現により、交通、医療、企業、公共施設、学校、家庭など社会のあらゆる分野で移動端末が普及している。こうした通信量の増大に対応するために、移動通信の超高速化と利用周波数帯の拡大が図られている。このような流れの中、「5G」と呼ばれる次世代の通信規格への移行が急務となっている。(例えば、非特許文献3参照)
5G(5 Generation)とは,「超高速」、「多数接続」、「超低遅延」といった新たな特徴を持つ第5世代移動通信システムのことである。現行の4Gと呼ばれる第4世代移動通信システムにおける通信速度の100倍に当たる10Gbps以上の速度での移動端末同士の通信を可能とする。
5Gを実現するためには,現行の4G(最大周波数3.5GHz程度)よりも高い周波数帯の電波(第一フェーズ:~28GHz,第二フェーズ:~100GHz)が用いられるため,高い周波数の電波を低消費電力で劣化なく届けるために,電波を送受信するアンテナを構成する各材料に対して低誘電性が求められるようになってきた。(例えば、非特許文献4参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-265520号公報
【文献】特表2012-529770号公報
【文献】米国特許出願公開第2011/0221071号明細書
【非特許文献】
【0005】
【文献】Jinseong Kim et al., "Application of Through Mold Via (TMV) as PoP Base Package", Electronic Components and Technology Conference (ECTC), p.1089-1092 (2008)
【文献】S.W. Yoon et al., "Advanced Low Profile PoP Solution with Embedded Wafer Level PoP (eWLB-PoP) Technology", ECTC, p.1250-1254 (2012)
【文献】国際メディアサービス研究所:「5G 第五世代移動通信システム 最新情報」,2018
【文献】Urmy Ray, "Packaging and Integration Strategy for mm-Wave Products" Proceedings of iMAPS 2018(2018).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ビルドアップ基板、ウェハレベルパッケージ(WLP)、ファンアウト型のPoPのボトムパッケージ等には、複数の半導体チップを搭載するための配線層(半導体用配線層)が用いられることがある。例えば、この配線層にはポリイミド樹脂やポリベンゾオキサゾール樹脂を用いることができるが、これらの樹脂は一般的に誘電特性が悪く、5Gに係る半導体パッケージなどの材料として用いる場合、信号の劣化や遅延の発生などの課題が生じる。
一方で、芳香族ポリエステル骨格を有するポリマは、メソゲン骨格と同様に液晶性を発現し、低誘電性を達成可能であることが知られているが、感光性(光反応性)はなく、前述の特許文献1記載の方法ではパターン硬化物を作製できない。
本発明では、この芳香族ポリエステル骨格に感光性を付与することで、低誘電特性とフォトリソグラフィ性を兼ね備えた樹脂を提供できる。
本発明は、良好な低誘電特性とフォトリソグラフィ性と絶縁信頼性を有する低誘電特性の感光性樹脂組成物、これを用いたパターン硬化物の製造方法及び低誘電特性の感光性樹脂組成物を層間絶縁膜、カバーコート層又は表面保護膜に用いた硬化物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、[1] 絶縁層を形成するために用いられる樹脂組成物であって、前記、樹脂組成物が下記一般式(1)の芳香族ポリエステルイミド構造を含む樹脂と光重合開始剤及び熱ラジカル重合開始剤を含み、一般式(1)の芳香族ポリエステルイミド構造を含む樹脂が下記一般式(2)で表される基を含まない場合は、更に、(メタ)アクリロイル化合物を含有する低誘電特性の感光性樹脂組成物に関する。
【0008】
【化1】
(一般式(1)中、mは1~100の整数、Arは芳香族骨格を有する2価の基、Rは炭素数2~30及び水素数4~100の芳香族骨格を有する2価の基、-COOR、-COORはそれぞれ隣接する-CONH-とは互いにオルト位置にあり、R、R及びR’は、それぞれ独立に、水素原子又は一般式(2)で表される基、又は炭素数1~4の炭化水素基である。)
【0009】
【化2】
(一般式(2)中、R~Rはそれぞれ独立に、水素原子または炭素数1~3の脂肪族炭化水素基であり、nは1~10の整数である。)
【0010】
また、本発明は、[2] 更に、カップリング剤を含有する、上記[1]に記載の低誘電特性の感光性樹脂組成物に関する。
また、本発明は、[3] 更に、(メタ)アクリロイル化合物を含有する、上記[1]又は[2]に記載の低誘電特性の感光性樹脂組成物に関する。
また、本発明は、[4] 上記[1]~[3]のいずれか一項に記載の低誘電特性の感光性樹脂組成物の硬化物における塩化物イオンの濃度が、5ppm以下である、上記[1]~[3]のいずれか一項に記載の低誘電特性の感光性樹脂組成物に関する。
また、本発明は、[5] 上記[1]~[3]のいずれか一項に記載の低誘電特性の感光性樹脂組成物の硬化物の破断伸びが、10~200%である、上記[1]~[4]のいずれか一項に記載の低誘電特性の感光性樹脂組成物に関する。
また、本発明は、[6] 上記[1]~[3]のいずれか一項に記載の低誘電特性の感光性樹脂組成物の硬化物の10GHzでの誘電率が、3.2以下である、上記[1]~[5]のいずれか一項に記載の低誘電特性の感光性樹脂組成物に関する。
また、本発明は、[7] 上記[1]~[3]のいずれか一項に記載の低誘電特性の感光性樹脂組成物の硬化物の10GHzでの誘電正接が、0.0100以下である、上記[1]~[6]のいずれか一項に記載の低誘電特性の感光性樹脂組成物に関する。
また、本発明は、[8] 上記[1]~[3]のいずれか一項に記載の低誘電特性の感光性樹脂組成物の硬化物の5%重量減少温度が、300℃以上である、上記[1]~[7]のいずれか一項に記載の低誘電特性の感光性樹脂組成物に関する。
また、本発明は、[9] 上記[1]~[3]のいずれか一項に記載の低誘電特性の感光性樹脂組成物の硬化物の、130℃、相対湿度85%の環境に200時間置かれた後の吸湿率が、1質量%以下である、上記[1]~[8]のいずれか一項に記載の低誘電特性の感光性樹脂組成物に関する。
また、本発明は、[10] 上記[1]~[9]のいずれか一項に記載の低誘電特性の感光性樹脂組成物を基板上に塗布、乾燥して感光性樹脂膜を形成する工程と、前記感光性樹脂膜をパターン露光して、樹脂膜を得る工程と、前記パターン露光後の樹脂膜を、有機溶剤を用いて、現像し、パターン樹脂膜を得る工程と、前記パターン樹脂膜を加熱処理する工程と、を含む、パターン硬化物の製造方法に関する。
また、本発明は、[11] 前記加熱処理温度が200℃以下である上記[10]に記載のパターン硬化物の製造方法に関する。
また、本発明は、[12] 上記[1]~[9]のいずれか一項に記載の低誘電特性の感光性樹脂組成物を硬化した硬化物に関する。
また、本発明は、[13] 前記硬化物がパターン硬化物である上記[12]に記載の硬化物に関する。
また、本発明は、[14] 上記[12]又は[13]に記載の硬化物を層間絶縁膜、カバーコート層又は表面保護膜に用いる硬化物に関する。
また、本発明は、[15] 上記[14]に記載の層間絶縁膜、カバーコート層又は表面保護膜を含む電子部品に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、誘電率が低く、また、誘電正接が低い低誘電特性で、フォトリソグラフィ性が可能で、絶縁信頼性を有する絶縁層を形成する樹脂組成物を提供することができる。この組成物は、低吸湿性で、加熱処理温度を低温度で行うことができ、パターン硬化物の製造に適する。これから形成した硬化物は、低誘電特性、低吸湿で、層間絶縁膜、カバーコート層又は表面保護膜に適用することで信頼性の高い電子部品を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る、パターン硬化物の製造方法の流れ図である。
図2】本発明の一実施形態に係る電子部品の製造工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の低誘電特性の感光性樹脂組成物、それを用いたパターン硬化物の製造方法、硬化物、層間絶縁膜、カバーコート層、表面保護膜及び電子部品の実施の形態を詳細に説明する。尚、以下の実施の形態により本発明が限定されるものではない。
本明細書において「A又はB」とは、AとBのどちらか一方を含んでいればよく、両方を含んでいてもよい。また、本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。また、本明細書において組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。更に、例示材料は特に断らない限り単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本明細書における「(メタ)アクリル基」とは、「アクリル基」及び「メタクリル基」を意味する。
【0014】
(一般式(1)で表される芳香族ポリエステルイミド構造を含む樹脂)
本発明に係る低誘電特性の感光性樹脂組成物は、下記一般式(1)で表される芳香族ポリエステルイミド構造を含む樹脂(化合物)と、光重合開始剤及び熱ラジカル重合開始剤を含み、一般式(1)の芳香族ポリエステルイミド構造を含む樹脂が下記一般式(2)で表される基を含まない場合は、更に、(メタ)アクリロイル化合物を含有する。つまり、この樹脂組成物は、光によって硬化する光硬化性(感光性)樹脂組成物、又は、熱によって硬化する熱硬化性樹脂組成物である。この樹脂組成物は、層間絶縁膜、カバーコート層又は表面保護膜等の絶縁層を形成するために好適に用いられる。
【0015】
【化3】
(一般式(1)中、mは1~100の整数、Arは芳香族骨格を有する2価の基、Rは炭素数2~30及び水素数4~100の芳香族骨格を有する2価の基、-COOR、-COORはそれぞれ隣接する-CONH-とは互いにオルト位置にあり、R、R及びR’は、それぞれ独立に、水素原子又は一般式(2)で表される基、又は炭素数1~4の炭化水素基である。)
【0016】
【化4】
(一般式(2)中、R~Rはそれぞれ独立に、水素原子または炭素数1~3の脂肪族炭化水素基であり、nは1~10の整数である。)
Arの芳香族骨格を有する2価の基の芳香族骨格は、芳香族ポリエステルイミド構造を含む樹脂を合成する際に用いる後述の一般式(3)で表されるエステル基含有テトラカルボン酸二無水物のArに相当するもので、このエステル基含有テトラカルボン酸二無水物を合成する原料のトリメリット酸無水物クロライドと芳香族ジオールのうち、芳香族ジオールに相当する芳香族を示す。芳香族骨格は、ベンゼン骨格、ナフタレン骨格、ピリジン骨格等であり、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン等の置換基を有していてもよい2価の基である。具体的には、フェニレン基、ナフタレン基であり、芳香族骨格から架橋基(-O-、-S-、-(CO)-、-O-(CO)-または-(CO)-O-など)によって芳香族骨格に結合することもできる。後述の芳香族ジオールからジオールを除いた残基を示す。
Rの炭素数2~30及び水素数4~100の芳香族骨格を有する2価の基は、芳香族ポリエステルイミド構造を含む樹脂を合成する際に用いる後述の芳香族ジアミン化合物からアミノ基を除いたジアミン残基である。具体的には、フェニレン基、ナフタレン基であり、芳香族骨格から架橋基(-O-、-S-、-(CO)-、-O-(CO)-または-(CO)-O-など)によって芳香族骨格に結合することもできる。
炭素数1~4の炭化水素基は、メチル、エチル、プロピルまたはブチル基などである。
炭素数1~3の脂肪族炭化水素基は、メチル、エチルまたはプロピル基などである。
【0017】
一般式(1)で表される芳香族ポリエステルイミド構造を含む樹脂は、下記一般式(3)で表されるエステル基含有テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン化合物を反応させて得られる。光硬化性を確実にする場合、酸二無水物が開環して生じたカルボン酸にメタクリロイル基を導入してもよい。この場合、一般式(1)のR、R、R’の少なくとも1つは、一般式(2)で表される基である。
【0018】
【化5】
(一般式(3)中、Arは芳香族骨格を有する2価の基である。)
エステル基含有テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ビス(1,3-ジオキソ-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン-5-カルボン酸)-1,4-フェニレン(p-フェニレンビス(トリメリテート無水物)、商品名:TAHQ、マナック株式会社製)が挙げられるが、トリメリット酸無水物クロライドと芳香族ジオールを反応させて製造したものを使用してもよい。
【0019】
芳香族ジオールとしては、例えば、ヒドロキノン、メチルヒドロキノン、2,3-ジメチルヒドロキノン、トリメチルヒドロキノン、テトラメチルヒドロキノン、メトキシヒドロキノン、1,4-ジヒドロキシナフタレン、1,7-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、1,4-ビス(4-ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルメタン、2,2’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、レゾルシノール、2-メチルレゾルシノール、4-メチルレゾルシノール、5-メチルレゾルシノール、1,4-ビス(3-ヒドロキシフェノキシ)ベンゼンなどが挙げられ、低誘電性や耐熱性、入手のしやすさなどから、1,4-ジヒドロキシナフタレン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’-ジヒドロキシジフェニルメタン、2,2’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,4-ビス(3-ヒドロキシフェノキシ)ベンゼンが好ましく、低吸湿性や分子の直進性の点から、1,4-ジヒドロキシナフタレン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルメタン、2,2’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンが特に好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0020】
トリメリット酸無水物クロライドと芳香族ジオールを反応させるにあたり、反応比は芳香族ジオールが1モルに対して、トリメリット酸無水物クロライドは2.0~3.0モルとすることが好ましい。トリメリット酸無水物クロライドを2モル以上とすることで、トリメリット酸無水物クロライドと芳香族ジオールを充分に反応させることができ、3.0モル以下とすることで、反応が過激になるのを抑制し、安定して合成できる。
【0021】
また、テトラカルボン酸二無水物を合成する本反応は有機溶媒中で合成してもよい。有機溶媒としては、テトラヒドロフラン(THF)やN-メチルピロリドン(NMP)、エクアミド系溶媒(KJCMPA-100、KJCBPA-100;いずれもKJケミカルズ株式会社製:商品名)、ピリジン、γ-ブチロラクトン、ジメチルアセトアミド(DMAc)ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、1,4-ジオキサン、ピコリン、アセトン、クロロホルム、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、N,N-ジエチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、1,2-ジメトキシエタン-ビス(2-メトキシエチル)エーテルなどの非プロトン性溶媒、およびフェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、o-クロロフェノール、m-クロロフェノール、p-クロロフェノールなどのプロトン性溶媒が挙げられる。この中でも、原料の溶解性の点から、テトラヒドロフラン(THF)やN-メチルピロリドン(NMP)、KJCMPA-100、KJCBPA-100、ジメチルアセトアミド(DMAc)ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)が好ましく、より低毒性である点から、テトラヒドロフラン(THF)、N-メチルピロリドン(NMP)、KJCMPA-100、KJCBPA-100であることが特に好ましい。これらの溶媒は、例えば、モレキュラーシーブスなどで脱水したものを用いることが好ましい。また、これらは単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
【0022】
合成時の濃度は、1~50質量%が好ましく、反応時間や廃溶媒の低減(低環境負荷)の点で5~30質量%が好ましい。溶質の濃度が高いと反応温度が50℃以上となり、副反応による収率低下の可能性がある。内温が50℃を超える場合は、水冷などの方法で冷却することが好ましい。
【0023】
上記芳香族ジアミンとしては、例えば、1,3-ビス[2-(4-アミノフェニル)-2-プロピル]ベンゼン、p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、o-フェニレンジアミン、3-メチル-1,4-ジアミノベンゼン、2,5-ジメチル-1,4-ジアミノベンゼン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジメチル-ジフェニルメタン、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジエチル-ジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジメトキシビフェニル(o-ジアニシジン)、4,4’-ジアミノ-2,2’-ジメチルビフェニル、4,4’-ジアミノ-2,2’-ジメトキシビフェニル、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルケトン、ベンジジン、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジヒドロキシベンジジン、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、3,3-ジメチル-5,5-ジエチル-4,4-ジフェニルメタンジアミン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’-ジアミノ-2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ジフェニルエーテル、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4-(3-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン、4,4’-ジアミノ-2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、2,2-ビス(4-(4-アミノ-2-(トリフルオロメチル)フェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、N-(4-アミノフェニル)-4-アミノベンズアミド、4-アミノフェニル-4-アミノベンゾエートが挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて用いてよい。
これらの中で、低誘電性や耐熱性の点から、p-フェニレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジメトキシビフェニル(o-ジアニシジン)、4,4’-ジアミノ-2,2’-ジメチルビフェニル、4,4’-ジアミノ-2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、2,2-ビス(4-(4-アミノ-2-(トリフルオロメチル)フェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、N-(4-アミノフェニル)-4-アミノベンズアミド、4-アミノフェニル-4-アミノベンゾエートが好ましく、低毒性の点から4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノ-2,2’-ジメチルビフェニル、4,4’-ジアミノ-2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、N-(4-アミノフェニル)-4-アミノベンズアミド、4-アミノフェニル-4-アミノベンゾエートが特に好ましい。
【0024】
一般式(1)で表される芳香族ポリエステルイミド構造を含む樹脂のポリエステルイミド前駆体を合成するにあたり、前述のテトラカルボン酸二無水物を1.0モルとした際、芳香族ジアミンの比は0.7~0.99モルとすることが好ましく、溶剤溶解性などの点から0.85~0.97モルとすることが特に好ましい。
【0025】
また、ポリエステルイミド前駆体を合成する本反応は有機溶媒中で合成してもよい。有機溶媒としては、テトラヒドロフラン(THF)やN-メチルピロリドン(NMP)、エクアミド系溶媒(KJCMPA-100、KJCBPA-100;いずれもKJケミカルズ株式会社製:商品名)、ピリジン、γ-ブチロラクトン、ジメチルアセトアミド(DMAc)ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、1,4-ジオキサン、ピコリン、アセトン、クロロホルム、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、N,N-ジエチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、1,2-ジメトキシエタン-ビス(2-メトキシエチル)エーテルなどの非プロトン性溶媒、およびフェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、o-クロロフェノール、m-クロロフェノール、p-クロロフェノールなどのプロトン性溶媒が挙げられる。この中でも、原料の溶解性の点から、テトラヒドロフラン(THF)やN-メチルピロリドン(NMP)、KJCMPA-100、KJCBPA-100、ジメチルアセトアミド(DMAc)ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)が好ましく、より低毒性、高沸点である点から、γ-ブチロラクトン、N-メチルピロリドン(NMP)、KJCMPA-100、KJCBPA-100であることが特に好ましい。これらの溶媒は、例えば、モレキュラーシーブスなどで脱水したものをすることが好ましい。また、これらは単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
【0026】
合成時の濃度は、10~50質量%が好ましく、反応時間や廃溶媒の低減(低環境負荷)の点で15~40質量%が好ましい。溶質の濃度が高いと反応温度が50℃以上となり、副反応による収率低下の可能性がある。内温が50℃を超える場合は、水冷などの方法で冷却することが好ましい。ハンドリングの点から、ポリエステルイミド前駆体溶液の粘度を0.1~20.0dL/gとすることが好ましく、0.5~10.0dL/gであると特に好ましい。
【0027】
ポリエステルイミド前駆体を合成したのち、酸無水物が開環して生じたカルボン酸を、例えば、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル(HEMA)でエステル化してメタクリロイル基を導入してもよい。これによりポリイミドポリマにも光硬化性を付与することができ、ポリマがリソグラフィ性と低誘電性を兼ね備えることができる。
【0028】
(光重合開始剤)
本発明は、ラジカル重合開始剤を含有してもよい。ラジカル重合開始剤には光又は熱で活性化するものがあり、光ラジカル重合開始剤(光重合開始剤)としては、例えば、ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノンなどのベンゾフェノン誘導体、2,2’-ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのアセトフェノン誘導体、チオキサントン、2-メチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントンなどのチオキサントン誘導体、ベンジル、ベンジルジメチルケタール、ベンジル-β-メトキシエチルアセタールなどのベンジル誘導体、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテルなどのベンゾイン誘導体、及び、1-フェニル-1,2-ブタンジオン-2-(o-メトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(o-メトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(o-エトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(o-ベンゾイル)オキシム、1,3-ジフェニルプロパントリオン-2-(o-エトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-3-エトキシプロパントリオン-2-(o-ベンゾイル)オキシム、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(o-アセチルオキシム)、下記式(4)で表される化合物などのオキシムエステル類などが好ましく挙げられるが、これらに限定されるものではない。光重合開始剤は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせてもよい。
特に高感度の点で、オキシムエステル類が好ましい。
【0029】
【化6】
【0030】
光重合開始剤の含有量は、一般式(1)の芳香族ポリエステルイミド構造を含む樹脂100質量部に対して、0.1~20質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1~10質量部であり、更に好ましくは0.1~5質量部である。
上記範囲内の場合、光架橋が厚膜方向で均一となりやすく、実質的なレリーフパターンを得やすくなる。
【0031】
(熱ラジカル重合開始剤)
熱ラジカル重合開始剤としては、成膜時に溶剤を除去するための加熱(乾燥)では分解せず、硬化時の加熱により分解してラジカルを発生し、重合反応を促進する化合物が好ましい。
熱ラジカル重合開始剤としては、例えば、分解温度が、110℃以上、200℃以下の化合物が好ましく、より低温で重合反応を促進する観点から、110℃以上、175℃以下の化合物がより好ましい。
具体例としては、メチルエチルケトンペルオキシドなどのケトンペルオキシド、1,1-ジ(t-ヘキシルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ジ(t-ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサンなどのパーオキシケタール、1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロペルオキシド、クメンハイドロペルオキシド、p-メタンハイドロペルオキシドなどのハイドロペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシドなどのジアルキルペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシドなどのジアシルペルオキシド、ジ(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(2-エチルヘキシル)パーオキシジカーボネートなどのパーオキシジカーボネート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエートなどのパーオキシエステル、ビス(1-フェニル-1-メチルエチル)ペルオキシドなどが挙げられる。市販品としては、商品名「パークミルD」、「パークミルP」「パークミルH」(以上、日油株式会社製)などが挙げられる。
【0032】
熱ラジカル重合開始剤の含有量は、一般式(1)の芳香族ポリエステルイミド構造を含む樹脂100質量部に対して、0.1~20質量部が好ましく、良好な耐フラックス性の確保のために0.2~20質量部がより好ましく、乾燥時の分解による溶解性低下抑制の観点から、0.3~10質量部が更に好ましい。
【0033】
(カップリング剤)
また、本発明の低誘電特性の感光性樹脂組成物は、カップリング剤を含有してもよい。カップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤であってよい。シランカップリング剤は、例えば、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アミノ基、ウレイド基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、メルカプト基等を有していてよい。
【0034】
ビニル基を有するシランカップリング剤としては、KBM-1003、KBE-1003(いずれも商品名、信越化学工業株式会社製。以下同様。)等が挙げられる。
エポキシ基を有するシランカップリング剤としては、KBM-303、402、403、KBE-402、403、X-12-981S、X-12-984S等が挙げられる。
スチリル基を有するシランカップリング剤としては、KBM-1403等が挙げられる。
メタクリロイル基を有するシランカップリング剤としては、KBM-502、503、KBE-502、503等が挙げられる。
アクリロイル基を有するシランカップリング剤としては、KBM-5103、X-12-1048、X-12-1050等が挙げられる。
アミノ基を有するシランカップリング剤としては、KBM-602、603、903、573、575、KBE-903、9103P、X-12-972F等が挙げられる。
ウレイド基を有するシランカップリング剤としては、KBE-585等が挙げられる。
イソシアネート基を有するシランカップリング剤としては、KBE-9007、X-12-1159L等が挙げられる。
イソシアヌレート基を有するシランカップリング剤としては、KBM-9659等が挙げられる。
メルカプト基を有するシランカップリング剤としては、KBM-802、803、X-12-1154、X-12-1156等が挙げられる。
この中で、カルボキシ基と反応して密着力を向上させられる点で、エポキシ基を有するKBM-303、402、403、KBE-402、403、X-12-981S、X-12-984Sを用いることが好ましく、エステル化したメタクリロイル基と反応する点で、メタクリロイル基を有するKBM-502、503、KBE-502、503やアクリロイル基を有するKBM-5103、X-12-1048、X-12-1050、アミノ基を有するKBM-602、603、903、573、575、KBE-903、9103P、X-12-972Fなどが好ましい。
この中でも、保存安定性の点から、KBM-502、503、KBE-502、503、KBM-5103が特に好ましい。これらは、目的、用途等に合わせて、1種類を単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
【0035】
シランカップリング剤の含有量は、樹脂組成物100質量部に対して、ガラス、シリカ等との密着性を向上させる観点から、好ましくは0.01~5質量部であり、未反応物が更に残存しにくい観点から、より好ましくは0.1~2質量部である。
【0036】
((メタ)アクリロイル化合物)
本発明の低誘電特性の感光性樹脂組成物は、上記一般式(1)の芳香族ポリエステルイミド構造を含む樹脂が上記一般式(2)で表される基を含まない場合は、(メタ)アクリロイル化合物を含有する。また、一般式(1)の芳香族ポリエステルイミド構造を含む樹脂が一般式(2)で表される基を含む場合でも、(メタ)アクリロイル化合物を含有してもよい。
(メタ)アクリロイル化合物としては、例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、スチレン、ジビニルベンゼン、4-ビニルトルエン、4-ビニルピリジン、N-ビニルピロリドン、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、1,3-アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロパン、1,2-メタクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロパン、メチレンビスアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、トリス(β-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのトリアクリレート、下記一般式(5)で表される化合物、ウレタンアクリレート若しくはウレタンメタクリレート、尿素アクリレート、イソシアヌル酸変性ジ/トリアクリレート及びメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(A-DCP)、トリシクロデカンジメタノールメタクリレート(DCP)等が挙げられる。
【0037】
【化7】
一般式(5)中、R41及びR42は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を示し、f及びgは、それぞれ独立に1以上の整数を示す。
【0038】
この中で、一般式(1)の芳香族ポリエステルイミド構造を含む樹脂と相溶性が良好で、低誘電性に優れる点で、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(A-DCP)、トリシクロデカンジメタノールメタクリレート(DCP)が好ましい。
【0039】
(メタ)アクリロイル化合物の含有量は、一般式(1)の芳香族ポリエステルイミド構造を含む樹脂100質量部に対して、0.1~30質量部であることが好ましく、リソグラフィ性と耐熱性を両立できる点で、0.5~20質量部であることが特に好ましい。
【0040】
(その他の成分)
本発明で用いる感光性樹脂組成物は、上記に加えて、溶解促進剤、溶解阻害剤、顔料、染料及び、界面活性剤又はレベリング剤等の成分を更に含有してもよい。更に前記成分を溶解・分散させるため溶剤を用いることができる。
【0041】
(パターン硬化物の製造方法)
本発明の硬化物は、上述の低誘電特性の感光性樹脂組成物を硬化することで得ることができる。
本発明の硬化物は、パターン硬化物として用いてもよく、パターンがない硬化物として用いてもよい。
本発明の硬化物の膜厚は、5~20μmが好ましい。本発明のパターン硬化物の製造方法では、上述の感光性樹脂組成物を基板上に塗布、乾燥して感光性樹脂膜を形成する工程と、感光性樹脂膜をパターン露光して、樹脂膜を得る工程と、パターン露光後の樹脂膜を、有機溶剤を用いて、現像し、パターン樹脂膜を得る工程と、パターン樹脂膜を加熱処理する工程と、を含む(図1参照)。
これにより、パターン硬化物を得ることができる。
【0042】
パターンがない硬化物を製造する方法は、例えば、上述の感光性樹脂膜を形成する工程と加熱処理する工程とを備える。更に、露光する工程を備えてもよい。
【0043】
基板としては、ガラス基板、Si基板(シリコンウェハ)等の半導体基板、TiO基板、SiO基板等の金属酸化物絶縁体基板、窒化ケイ素基板、銅基板、銅合金基板などが挙げられる。
【0044】
塗布方法に特に制限はないが、スピナー等を用いて行うことができる。乾燥は、ホットプレート、オーブン等を用いて行うことができる。
乾燥温度は90~150℃が好ましく、溶解コントラスト確保の観点から、90~120℃がより好ましい。乾燥時間は、30秒間~5分間が好ましい。乾燥は、2回以上行ってもよい。これにより、上述の感光性樹脂組成物を膜状に形成した感光性樹脂膜を得ることができる。
【0045】
感光性樹脂膜の膜厚は、5~100μmが好ましく、5~50μmがより好ましく、5~20μmが更に好ましい。
【0046】
パターン露光は、例えばフォトマスクを介して所定のパターンに露光する。
照射する活性光線は、i線、広帯域(BB)等の紫外線、可視光線、放射線などが挙げられるが、i線であることが好ましい。
露光装置としては、平行露光機、投影露光機、ステッパ、スキャナ露光機等を用いることができる。
【0047】
現像することで、パターン形成された樹脂膜(パターン樹脂膜)を得ることができる。一般的に、ネガ型感光性樹脂組成物を用いた場合には、未露光部を現像液で除去する。
現像液として用いる有機溶剤は、感光性樹脂膜の良溶媒を単独で、又は良溶媒と貧溶媒を適宜混合して用いることができる。
良溶媒としては、N-メチル-2-ピロリドン、N-アセチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ガンマブチロラクトン、α-アセチル-ガンマブチロラクトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等が挙げられる。
貧溶媒としては、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル及び水等が挙げられる。
【0048】
現像液に界面活性剤を添加してもよい。添加量としては、現像液100質量部に対して、0.01~10質量部が好ましく、0.1~5質量部がより好ましい。現像時間は、例えば感光性樹脂膜を浸漬して完全に溶解するまでの時間の2倍とすることができる。現像時間は、用いる成分によっても異なるが、10秒間~15分間が好ましく、10秒間~5分間がより好ましく、生産性の観点からは、20秒間~5分間が更に好ましい。
【0049】
現像後、リンス液により洗浄を行ってもよい。リンス液としては、蒸留水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、トルエン、キシレン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル等を単独又は適宜混合して用いてもよく、また段階的に組み合わせて用いてもよい。
【0050】
パターン樹脂膜を加熱処理することにより、パターン硬化物を得ることができる。加熱処理の温度は、250℃以下が好ましく、120~250℃がより好ましく、200℃以下又は140~200℃が更に好ましい。
上記範囲内であることにより、基板やデバイスへのダメージを小さく抑えることができ、デバイスを歩留り良く生産することが可能となり、プロセスの省エネルギー化を実現することができる。
【0051】
加熱処理の時間は、5時間以下が好ましく、3分間~3時間がより好ましい。
加熱処理の雰囲気は大気中であっても、窒素等の不活性雰囲気中であってもよいが、パターン樹脂膜の酸化を防ぐことができる観点から、窒素雰囲気下が好ましい。加熱処理に用いられる装置としては、石英チューブ炉、ホットプレート、ラピッドサー マルアニール、縦型拡散炉、赤外線硬化炉、電子線硬化炉、マイクロ波硬化炉等が挙げられる。
【0052】
本発明の硬化物は、パッシベーション膜、バッファーコート膜、層間絶縁膜、カバーコート層又は表面保護膜等として用いることができる。
上記パッシベーション膜、バッファーコート膜、層間絶縁膜、カバーコート層及び表面保護膜等からなる群から選択される1以上を用いて、信頼性の高い、半導体装置、多層配線板、各種電子デバイス、積層デバイス(マルチダイファンアウトウエハレベルパッケージ等)等の電子部品などを製造することができる。
【0053】
本発明の低誘電特性の感光性樹脂組成物の硬化物における塩化物イオンの濃度が5ppm以下であることが好ましい。塩化物イオンの濃度が5ppm以下であると電子部品の半導体装置では電蝕を防ぐことができ、耐湿性が向上する。
また、硬化物の破断伸びが10~200%であると好ましい。電子部品の応力を緩和し、信頼性を向上させることができる。
また、硬化物の10GHzでの誘電率が3.2以下で、誘電正接が0.0100以下であると低誘電特性に優れ、5G等の周波数が高い領域でも誘電体損、伝送損失を少なくすることができる。
また、硬化物の5%重量減少温度が300℃以上であると耐熱性に優れ、130℃、相対湿度85%の環境に200時間置かれた後の吸湿率が1質量%以下であると低吸湿で、電気的・機械的特性が向上する。
更に、加熱処理温度が200℃以下であると基板やデバイスへのダメージを小さく抑えることができ、デバイスを歩留り良く生産することができる。
【0054】
(電子部品)
本発明の電子部品である半導体装置の製造工程の一例を、図面を参照して説明する。
図2は、本発明の一実施形態に係る電子部品である多層配線構造の半導体装置の製造工程図である。
図2において、回路素子を有するSi基板等の半導体基板1は、回路素子の所定部分を除いてシリコン酸化膜等の保護膜2などで被覆され、露出した回路素子上に第1導体層3が形成される。その後、前記半導体基板1上に層間絶縁膜4が形成される。
【0055】
次に、塩化ゴム系、フェノールノボラック系等の感光性樹脂層5が、層間絶縁膜4上に形成され、公知の写真食刻技術によって所定部分の層間絶縁膜4が露出するように窓6Aが設けられる。
【0056】
窓6Aが露出した層間絶縁膜4は、選択的にエッチングされ、窓6Bが設けられる。
次いで、窓6Bから露出した第1導体層3を腐食することなく、感光性樹脂層5のみを腐食するようなエッチング溶液を用いて感光性樹脂層5が完全に除去される。
【0057】
更に公知の写真食刻技術を用いて、第2導体層7を形成し、第1導体層3との電気的接続を行う。
3層以上の多層配線構造を形成する場合には、上述の工程を繰り返して行い、各層を形成することができる。
【0058】
次に、上述の感光性樹脂組成物を用いて、パターン露光により窓6Cを開口し、表面保護膜8を形成する。表面保護膜8は、第2導体層7を外部からの応力、α線等から保護するものであり、得られる半導体装置は信頼性に優れる。
尚、前記例において、層間絶縁膜を本発明の感光性樹脂組成物を用いて形成することも可能である。
【実施例
【0059】
以下、実施例及び比較例に基づき、本発明について更に具体的に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0060】
本発明の実施例で用いた各成分は下記のとおりである。
1.酸無水物
[1]p-フェニレンビス(トリメリテート無水物)(TAHQ、マナック株式会社製:商品名)
[2]酸無水物(1)(自家合成、下記の製造例1)
[3]酸無水物(2)(自家合成、下記の製造例2)
[4]酸無水物(3)(自家合成、下記の製造例3)
[5]ピロメリット酸無水物
[6]1,6-(ヘキサメチレン)ビス(トリメリテート無水物)
【0061】
2.芳香族ジオール
[1]1,4-ジヒドロキシナフタレン
[2]4,4’-ジヒドロキシジフェニルメタン
[3]2,2’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン
【0062】
3.芳香族ジアミン
[1]p-フェニレンジアミン
[2]4,4’-ジアミノジフェニルエーテル
[3]4,4’-ジアミノ-2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル
[4]4-アミノフェニル-4-アミノベンゾエート
[5]4,4’-ジアミノ-2,2’-ジメチルビフェニル
【0063】
4.カップリング剤
[1]KBM-503(3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業株式会社製:商品名)
【0064】
5.(メタ)アクリロイル化合物
[1]トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(A-DCP、新中村化学工業株式会社製:商品名)
【0065】
6.光重合開始剤及び熱ラジカル重合開始剤
[1]ジクミルパーオキサイド(パークミルD、日油株式会社製:商品名)
[2]1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾイル-3-イル]エタノン-1-(O-アセチルオキシム)(OXE02、BASF社製:商品名)
7.溶剤
[1]NMP(N-メチル-2-ピロリドン)
【0066】
下記の製造例1~22により、芳香族ポリエステル前駆体(1)~(16)と、芳香族ポリイミド(1)~(3)を合成し、実施例に用いた。
そして、上記で合成した樹脂と、光重合開始剤として「OXE02」、熱ラジカル重合開始剤として「パークミルD」を用い、下記の表1~3に示した実施例1~16、比較例1~6の樹脂組成物を作製し試験に供した。
【0067】
(製造例1)
<酸無水物(1)の合成>
式(6)で表される芳香族エステル骨格含有テトラカルボン酸二無水物(酸無水物(1)と称する)は、以下のように合成した。
【0068】
【化8】
ナスフラスコ中に、トリメリット酸無水物クロリド(48mmol)を脱水済みのテトラヒドロフラン(THF)(45.5mL)に溶解し、セプタムキャップでシールして溶液Aを調製した。別のフラスコに1,4-ジヒドロキシナフタレン(20mmol)をTHF(68.5mL)に溶解し、これにピリジン(120mmol)を加えてセプタムキャップでシールし溶液Bを調製した。
氷浴中で冷却、攪拌しながら、溶液Aに溶液Bをシリンジにてゆっくりと滴下し、その後室温(25℃)で12時間攪拌した。反応終了後、白色沈殿物(ピリジン塩酸塩)を濾別し、濾液をエバポレーターで濃縮後、水中に滴下して析出した沈殿物を水で繰り返し洗浄し、160℃で12時間真空乾燥して黄色粉末状粗生成物を得た。これを無水酢酸で再結晶し、無水酢酸およびトルエンで洗浄し、160℃で12時間真空乾燥して黄色結晶の酸無水物(1)を得た。
【0069】
(製造例2)
<酸無水物(2)の合成>
式(7)で表される芳香族エステル骨格含有テトラカルボン酸二無水物(酸無水物(2)と称する)は、以下のように合成した。
【0070】
【化9】
ナスフラスコ中に、トリメリット酸無水物クロリド(48mmol)を脱水済みのテトラヒドロフラン(THF)(45.5mL)に溶解し、セプタムキャップでシールして溶液Aを調製した。別のフラスコに4,4’-ジヒドロキシジフェニルメタン(20mmol)をTHF(68.5mL)に溶解し、これにピリジン(120mmol)を加えてセプタムキャップでシールし溶液Bを調製した。
氷浴中で冷却、攪拌しながら、溶液Aに溶液Bをシリンジにてゆっくりと滴下し、その後室温で12時間攪拌した。反応終了後、白色沈殿物(ピリジン塩酸塩)を濾別し、濾液をエバポレーターで濃縮後、水中に滴下して析出した沈殿物を水で繰り返し洗浄し、160℃で12時間真空乾燥して黄色粉末状粗生成物を得た。これを無水酢酸で再結晶し、無水酢酸およびトルエンで洗浄し、160℃で12時間真空乾燥して黄色結晶の酸無水物(2)を得た。
【0071】
(製造例3)
<酸無水物(3)の合成>
式(8)で表される芳香族エステル骨格含有テトラカルボン酸二無水物(酸無水物(3)と称する)は以下のように合成した。
【0072】
【化10】
ナスフラスコ中、トリメリット酸無水物クロリド(48mmol)を脱水済みのテトラヒドロフラン(THF)(45.5mL)に溶解し、セプタムキャップでシールして溶液Aを調製した。別のフラスコに2,2’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(20mmol)をTHF(68.5mL)に溶解し、これにピリジン(120mmol)を加えてセプタムキャップでシールし溶液Bを調製した。
氷浴中で冷却、攪拌しながら、溶液Aに溶液Bをシリンジにてゆっくりと滴下し、その後室温で12時間攪拌した。反応終了後、白色沈殿物(ピリジン塩酸塩)を濾別し、濾液をエバポレーターで濃縮後、水中に滴下して析出した沈殿物を水で繰り返し洗浄し、160℃で12時間真空乾燥して黄色粉末状粗生成物を得た。これを無水酢酸で再結晶し、無水酢酸およびトルエンで洗浄し、160℃で12時間真空乾燥して黄色結晶の酸無水物(3)を得た。
【0073】
(製造例4)
<芳香族ポリエステルイミド前駆体(1)の合成>
60℃で1時間乾燥させたフラスコにp-フェニレンジアミン(4.75mol)を入れ、超脱水したN-メチル-2-ピロリドン(NMP)で溶解した。その後、180℃で5時間乾燥させたp-フェニレンビス(トリメリテート無水物)(TAHQ、5mol)を、前記溶液を撹拌しながら少しずつ添加した。その後、20~30℃のコントロールしていない室温で24時間撹拌し、芳香族エステルイミド前駆体(1)の溶液を得た。(ワニスの不揮発分は25質量%)
【0074】
(製造例5)
<芳香族ポリエステルイミド前駆体(2)の合成>
上記で作製した芳香族ポリエステルイミド前駆体(1)の溶液に、水冷下で無水トリフルオロ酢酸(9.87mol)を加え、45℃で3時間撹拌し、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル(HEMA)(7.4mol)を加えた。この反応液を蒸留水に滴下し、沈殿物を濾別して集め、減圧乾燥した。得られた粉末を超脱水したNMPに溶解して芳香族ポリエステルイミド前駆体(2)の溶液(不揮発分25質量%)を得た。
【0075】
(製造例6)
<芳香族ポリエステルイミド前駆体(3)の合成>
60℃で1時間乾燥させたフラスコに4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(4.75mol)を入れ、超脱水したN-メチル-2-ピロリドン(NMP)で溶解した。その後、180℃で5時間乾燥させたp-フェニレンビス(トリメリテート無水物)(TAHQ、5mol)を、前記溶液を撹拌しながら少しずつ添加した。その後、20~30℃のコントロールしていない室温で24時間撹拌し、芳香族エステルイミド前駆体(3)の溶液を得た。(ワニスの不揮発分は25質量%)
【0076】
(製造例7)
<芳香族ポリエステルイミド前駆体(4)の合成>
上記で作製した芳香族ポリエステルイミド前駆体(3)の溶液に、水冷下で無水トリフルオロ酢酸(9.87mol)を加え、45℃で3時間撹拌し、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル(HEMA)(7.4mol)を加えた。この反応液を蒸留水に滴下し、沈殿物を濾別して集め、減圧乾燥した。得られた粉末を超脱水したNMPに溶解して芳香族ポリエステルイミド前駆体(4)の溶液(不揮発分25質量%)を得た。
【0077】
(製造例8)
<芳香族ポリエステルイミド前駆体(5)の合成>
60℃で1時間乾燥させたフラスコに4,4’-ジアミノ-2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル(4.75mol)を入れ、超脱水したN-メチル-2-ピロリドン(NMP)で溶解した。その後、180℃で5時間乾燥させたp-フェニレンビス(トリメリテート無水物)(TAHQ、5mol)を、前記溶液を撹拌しながら少しずつ添加した。その後、20~30℃のコントロールしていない室温で24時間撹拌し、芳香族エステルイミド前駆体(5)の溶液を得た。(ワニスの不揮発分は25質量%)
【0078】
(製造例9)
<芳香族ポリエステルイミド前駆体(6)の合成>
上記で作製した芳香族ポリエステルイミド前駆体(5)の溶液に、水冷下で無水トリフルオロ酢酸(9.87mol)を加え、45℃で3時間撹拌し、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル(HEMA)(7.4mol)を加えた。この反応液を蒸留水に滴下し、沈殿物を濾別して集め、減圧乾燥した。得られた粉末を超脱水したNMPに溶解して芳香族ポリエステルイミド前駆体(6)の溶液(不揮発分25質量%)を得た。
【0079】
(製造例10)
<芳香族ポリエステルイミド前駆体(7)の合成>
60℃で1時間乾燥させたフラスコに4-アミノフェニル-4-アミノベンゾエート(4.75mol)を入れ、超脱水したN-メチル-2-ピロリドン(NMP)で溶解した。その後、180℃で5時間乾燥させたp-フェニレンビス(トリメリテート無水物)(TAHQ、5mol)を、前記溶液を撹拌しながら少しずつ添加した。その後、20~30℃のコントロールしていない室温で24時間撹拌し、芳香族エステルイミド前駆体(7)の溶液を得た。(ワニスの不揮発分は25質量%)
【0080】
(製造例11)
<芳香族ポリエステルイミド前駆体(8)の合成>
上記作製した芳香族ポリエステルイミド前駆体(7)の溶液に、水冷下で無水トリフルオロ酢酸(9.87mol)を加え、45℃で3時間撹拌し、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル(HEMA)(7.4mol)を加えた。この反応液を蒸留水に滴下し、沈殿物を濾別して集め、減圧乾燥した。得られた粉末を超脱水したNMPに溶解して芳香族ポリエステルイミド前駆体(8)の溶液(不揮発分25質量%)を得た。
【0081】
(製造例12)
<芳香族ポリエステルイミド前駆体(9)の合成>
60℃で1時間乾燥させたフラスコに4,4’-ジアミノ-2,2’-ジメチルビフェニル(4.75mol)を入れ、超脱水したN-メチル-2-ピロリドン(NMP)で溶解した。その後、180℃で5時間乾燥させたp-フェニレンビス(トリメリテート無水物)(TAHQ、5mol)を、前記溶液を撹拌しながら少しずつ添加した。その後、20~30℃のコントロールしていない室温で24時間撹拌し、芳香族エステルイミド前駆体(9)の溶液を得た。(ワニスの不揮発分は25質量%)
【0082】
(製造例13)
<芳香族ポリエステルイミド前駆体(10)の合成>
上記で作製した芳香族ポリエステルイミド前駆体(9)の溶液に、水冷下で無水トリフルオロ酢酸(9.87mol)を加え、45℃で3時間撹拌し、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル(HEMA)(7.4mol)を加えた。この反応液を蒸留水に滴下し、沈殿物を濾別して集め、減圧乾燥した。得られた粉末を超脱水したNMPに溶解して芳香族ポリエステルイミド前駆体(10)の溶液(不揮発分25質量%)を得た。
【0083】
(製造例14)
<芳香族ポリエステルイミド前駆体(11)の合成>
60℃で1時間乾燥させたフラスコにp-フェニレンジアミン(4.75mol)を入れ、超脱水したN-メチル-2-ピロリドン(NMP)で溶解した。その後、180℃で5時間乾燥させた酸無水物(1)(5mol)を、前記溶液を撹拌しながら少しずつ添加した。その後、20~30℃のコントロールしていない室温で24時間撹拌し、芳香族エステルイミド前駆体(11)の溶液を得た。(ワニスの不揮発分は25質量%)
【0084】
(製造例15)
<芳香族ポリエステルイミド前駆体(12)の合成>
上記で作製した芳香族ポリエステルイミド前駆体(11)の溶液に、水冷下で無水トリフルオロ酢酸(9.87mol)を加え、45℃で3時間撹拌し、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル(HEMA)(7.4mol)を加えた。この反応液を蒸留水に滴下し、沈殿物を濾別して集め、減圧乾燥した。得られた粉末を超脱水したNMPに溶解して芳香族ポリエステルイミド前駆体(12)の溶液(不揮発分25質量%)を得た。
【0085】
(製造例16)
<芳香族ポリエステルイミド前駆体(13)の合成>
60℃で1時間乾燥させたフラスコにp-フェニレンジアミン(4.75mol)を入れ、超脱水したN-メチル-2-ピロリドン(NMP)で溶解した。その後、180℃で5時間乾燥させた酸無水物(2)(5mol)を、前記溶液を撹拌しながら少しずつ添加した。その後、20~30℃のコントロールしていない室温で24時間撹拌し、芳香族エステルイミド前駆体(13)の溶液を得た。(ワニスの不揮発分は25質量%)
【0086】
(製造例17)
<芳香族ポリエステルイミド前駆体(14)の合成>
上記で作製した芳香族ポリエステルイミド前駆体(13)の溶液に、水冷下で無水トリフルオロ酢酸(9.87mol)を加え、45℃で3時間撹拌し、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル(HEMA)(7.4mol)を加えた。この反応液を蒸留水に滴下し、沈殿物を濾別して集め、減圧乾燥した。得られた粉末を超脱水したNMPに溶解して芳香族ポリエステルイミド前駆体(14)の溶液(不揮発分25質量%)を得た。
【0087】
(製造例18)
<芳香族ポリエステルイミド前駆体(15)の合成>
60℃で1時間乾燥させたフラスコにp-フェニレンジアミン(4.75mol)を入れ、超脱水したN-メチル-2-ピロリドン(NMP)で溶解した。その後、180℃で5時間乾燥させた酸無水物(3)(5mol)を、前記溶液を撹拌しながら少しずつ添加した。その後、20~30℃のコントロールしていない室温で24時間撹拌し、芳香族エステルイミド前駆体(15)の溶液を得た。(ワニスの不揮発分は25質量%)
【0088】
(製造例19)
<芳香族ポリエステルイミド前駆体(16)の合成>
上記で作製した芳香族ポリエステルイミド前駆体(15)の溶液に、水冷下で無水トリフルオロ酢酸(9.87mol)を加え、45℃で3時間撹拌し、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル(HEMA)(7.4mol)を加えた。この反応液を蒸留水に滴下し、沈殿物を濾別して集め、減圧乾燥した。得られた粉末を超脱水したNMPに溶解して芳香族ポリエステルイミド前駆体(16)の溶液(不揮発分25質量%)を得た。
【0089】
(製造例20)
<芳香族ポリイミド(1)の合成>
60℃で1時間乾燥させたフラスコにp-フェニレンジアミン(4.75mol)を入れ、超脱水したN-メチル-2-ピロリドン(NMP)で溶解した。その後、180℃で5時間乾燥させたピロメリット酸無水物(5mol)を、前記溶液を撹拌しながら少しずつ添加した。その後、20~30℃のコントロールしていない室温で24時間撹拌し、芳香族イミド前駆体(1)の溶液を得た。(ワニスの不揮発分は25質量%)
【0090】
(製造例21)
<芳香族ポリイミド(2)の合成>
60℃で1時間乾燥させたフラスコにp-フェニレンジアミン(4.75mol)を入れ、超脱水したN-メチル-2-ピロリドン(NMP)で溶解した。その後、180℃で5時間乾燥させた3,3’,4,4’-ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物(5mol)を、前記溶液を撹拌しながら少しずつ添加した。その後、20~30℃のコントロールしていない室温で24時間撹拌し、芳香族イミド前駆体(2)の溶液を得た。(ワニスの不揮発分は25質量%)
【0091】
(製造例22)
<芳香族ポリイミド(3)の合成>
60℃で1時間乾燥させたフラスコに4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(4.75mol)を入れ、超脱水したN-メチル-2-ピロリドン(NMP)で溶解した。その後、180℃で5時間乾燥させた3,3’,4,4’-ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物(5mol)を、前記溶液を撹拌しながら少しずつ添加した。その後、20~30℃のコントロールしていない室温で24時間撹拌し、芳香族イミド前駆体(3)の溶液を得た。(ワニスの不揮発分は25質量%)
【0092】
<評価サンプルの作製方法>
シリコンウェハ上に、始めにチタン(Ti)を50nm、次に銅(Cu)を250nmスパッタにて成膜し、更に、電解銅メッキによって、銅を20μm厚に成長させた基板を準備した。その後、表1~3に示した実施例1~16、比較例1~6の配合の感光性樹脂組成物ワニスをそれぞれスピンコータで上記基板上に塗布し、プリベイクにより溶剤を飛ばした。次に、500mJ/cmのUV光を照射した。物性を評価する際に必要なサイズにカッターで切り出してから実施例1~16の評価サンプルは200℃、比較例1~6の評価サンプルは250℃のNオーブンで2時間硬化させた。なお、成膜時の条件は、フルキュア後10μmとなるように調整した。最後に、50質量%の濃度のペルオキソ二硫酸アンモニウム水溶液に浸して銅部分をエッチング・水洗して樹脂サンプルを得た。
【0093】
<評価サンプルの評価>
<塩化物イオン濃度の測定>
塩化物イオン濃度の測定は、感光性樹脂組成物の硬化物からの抽出物を用い、ダイオネクス社製「装置名:ICS-2000」「検出器:電気伝導度検出器」「カラム:AS20(直径4mm×200mm)」を用い、30℃、1.0ml/分、注入量25μlの条件で分析した。
【0094】
<破断伸びの測定>
上記評価サンプルの作製において、プリベイクして溶剤を飛ばすところまで同様に成膜した。次に、露光する際、長さ30mm、幅5mmのマスクを介して露光した。得られた試料を現像・硬化し、上記と同様、50質量%の濃度のペルオキソ二硫酸アンモニウム水溶液に浸して銅部分をエッチング・水洗して樹脂サンプルを得た。得られたサンプルを、小型卓上試験機(株式会社島津製作所製、商品名:EZ-S)にて送り速度(引っ張り速度)5mm/分にて測定したときの破断伸びを測定した。
【0095】
<誘電特性(比誘電率及び誘電正接)の測定>
所定のサイズに切り出した評価用サンプルを用いて、SPDR法にて誘電特性(誘電率Dk及び誘電正接Df)を測定した。SPDRにはAgilent Technologies社製のSPDR誘電体共振器を、測定器にはアジレント・テクノロジー社製ベクトル型ネットワークアナライザE8364Bを、測定プログラムにはCPMA-V2をそれぞれ使用した。条件は、周波数10GHz、測定温度25℃とした。
【0096】
<5%重量減少温度・吸湿率の測定>
作製したサンプルを、相対湿度:85%、130℃に設定された恒温恒湿槽(エスペック株式会社製、商品名:EHS-221MD)内にて、200時間静置した。そして、恒温恒湿槽内を50℃まで下げた後、試料を取り出し、樹脂の一部を示差熱熱重量同時測定装置(株式会社日立ハイテクサイエンス製、商品名:TG/DTA6300)を用いて、昇温速度:10℃/分、窒素フロー:400mL/分、温度範囲:25℃~150℃の条件下で測定した。一方で、同様に作製した試料を、130℃で2時間乾燥させ、同様の方法でTG-DTAを測定した。これらの150℃における重量減少率の差を吸湿率として算出した。
5%重量減少温度は、上記と同様の示差熱熱重量同時測定装置(株式会社日立ハイテクサイエンス製、商品名:TG/DTA6300)を用いて、昇温速度:10℃/分、窒素フロー:400mL/分、温度範囲:25℃~500℃の条件下で測定し、重量が5%減少する温度を測定した。
【0097】
<パターン形成性の評価>
シリコンウェハ上に作製したワニスをスピンコータで塗布し、プリベイクにより溶剤を飛ばした。次に、露光する際、ライン/スペース(Line/Space)が10μm/10μmのネガ型マスクを介して露光した。得られた試料を現像し、膜剥がれやパターンの膨潤・倒れなど外観不良がないものをA、外観不良があったものをBとしてパターン形成性を評価した。
上記の測定、評価結果をまとめて表1~3に示した。
【0098】
【表1】
【0099】
【表2】
【0100】
【表3】
【0101】
比較例1~6の芳香族ポリイミド樹脂を用いた場合では、(メタ)アクリロイル化合物と併用するとパターン形成性が悪くなる。破断伸びは、25~50%と低く、また、吸水率が2%と高く、更に、誘電率、誘電正接の値が高く誘電特性に劣る。
これに対し、実施例1~16に示す本発明の一般式(1)の芳香族ポリエステルイミド構造を含む樹脂を用いた感光性樹脂組成物は、パターン形成性に優れ、破断伸びは、60~140%と高く、また、吸水率が0.2~0.6%と低く、更に、誘電率、誘電正接の値が低く誘電特性に優れる。
一般式(1)の芳香族ポリエステルイミド構造を含む樹脂に、光重合開始剤及び熱ラジカル重合開始剤、必要により(メタ)アクリロイル化合物(実施例1~8)を併用すると低誘電特性を維持し、フォトリソグラフィ性と絶縁信頼性を有する低誘電特性の感光性樹脂組成物が得られ、その硬化物は、良好な低誘電特性と絶縁性を示し、層間絶縁膜、カバーコート層又は表面保護膜に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0102】
1 半導体基板
2 保護膜
3 第1導体層
4 層間絶縁膜
5 感光性樹脂層
6A、6B、6C 窓
7 第2導体層
8 表面保護膜
図1
図2